説明

加工装置

【課題】密閉式の蓋付きカセットを用いる形態の加工装置において、カセット蓋が取り外された際に、カセット本体から半導体ウェーハが飛び出したことを検出可能とする加工装置を提供する。
【解決手段】一側面に搬出入開口部71aを有するカセット本体71と搬出入開口部71aを開閉するカセット蓋72とからなり、カセット本体71中に半導体ウェーハWを収容したカセット7を載置するカセットテーブル81を備えたカセット載置機構8と、カセットテーブル81に載置されたカセット7から搬出された半導体ウェーハWを保持するチャックテーブル19と、チャックテーブル19に保持された半導体ウェーハWを加工する加工手段としての切削ユニット24と、を具備する加工装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カセットに収容された半導体ウェーハを搬出して加工するための加工装置に関し、特にFOUP(Front Open Unified Pod)と呼ばれるウェーハを収容する密閉式のカセットを使用する加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス製造プロセスにおいては、略円板形状である半導体ウェーハの表面に格子状に配列されたストリートと呼ばれる分割予定ラインによって複数の領域が区画され、この区画された領域にIC、LSI等の回路を形成する。そして、半導体ウェーハを分割予定ラインに沿って切削するとともに、回路が形成された領域を分割することで個々の半導体デバイスを製造している。こうした切削に使用される装置として、ダイシングソーなどと呼ばれる切削装置が知られている。
【0003】
切削装置では、複数枚の半導体ウェーハを収容するカセットの搬出入開口から、半導体ウェーハを一枚ずつ搬出して切削加工を行う形態が知られている。ここで、カセットをクリーンルーム外からクリーンルーム内の切削装置に搬送する搬送中において、半導体ウェーハの表面にコンタミ(異物)が付着することが懸念される。そこで、カセットの搬出入開口にカセット蓋を装着した密閉式の蓋付きカセット(FOUP(Front Open Unified Pod))を用いる形態とするものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に開示される切削装置では、オペレータが蓋が付いたままのカセットを切削装置のカセットテーブルに載置したのちに、自動的にカセット蓋が外される。そして、カセットテーブルの昇降によりカセット本体が随時上下方向に移動され、カセット内の半導体ウェーハが一枚ずつ自動的に搬出されて切削加工がなされる。
【0005】
なお、カセット内には、複数枚の半導体ウェーハを上下方向に間隔を空けて収容するための複数段の棚板部を有してなるラックが設けられており、半導体ウェーハは、フレーム等に固定されずに単体で収容される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3927018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
こうした密閉式の蓋付きカセットでは、収容した半導体ウェーハを固定するために、カセット蓋の裏側に爪部を設ける構成とするものがある。
【0008】
しかしながら、このような構成において、切削装置で自動的にカセット蓋が外された際に、カセット蓋の爪部に係合した半導体ウェーハがカセット蓋の移動に伴ってカセット本体から飛び出してしまうケースが散見された。
【0009】
そして、半導体ウェーハが飛び出した状態のままカセット本体が上下動されてしまうと、飛び出した半導体ウェーハが破損するといった不具合が生じる可能性が懸念される。
【0010】
そこで、本発明は、密閉式の蓋付きカセットを用いる形態の加工装置において、カセット蓋が取り外された際に、カセット本体から半導体ウェーハが飛び出したことを検出可能とする加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明では、一側面に搬出入開口部を有するカセット本体と搬出入開口部を開閉するカセット蓋とからなり、カセット本体中に半導体ウェーハを収容したカセットを載置するカセットテーブルを備えたカセット載置機構と、カセットテーブルに載置されたカセットから搬出された半導体ウェーハを保持するチャックテーブルと、チャックテーブルに保持された半導体ウェーハを加工する加工手段と、を具備する加工装置において、カセット載置機構は、カセットテーブルをカセットから半導体ウェーハを搬出する搬出入位置と、搬出入位置より下方に設定された蓋着脱位置とに位置づける昇降機構を備え、カセット載置機構のカセットテーブルが蓋着脱位置に位置づけられた状態で、カセット蓋を着脱する蓋着脱機構を備え、蓋着脱機構は、カセット本体から飛び出した半導体ウェーハを検出する検出手段を備えていることを特徴とする加工装置が提供される。
【0012】
好ましくは、蓋着脱機構は、カセット蓋と対面しカセット蓋を保持する蓋保持手段を備えた移動基台と、移動基台を待機位置と作用位置とに移動させる移動機構と、からなり、移動基台には、検出手段が設けられ、検出手段は、カセット蓋を保持する保持面の上部中央と下部中央にそれぞれ突出して配設された発光部と受光部とからなる光学センサーを具備し、発光部及び受光部は、待機位置に移動基台が位置づけられた状態で昇降するカセット及びカセットテーブルと接触せず、且つ、カセット蓋を保持した状態でカセット蓋の位置よりも保持面に対して反対側に突出して配設されていることとする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、カセット蓋を保持して外す蓋着脱機構に、ウェーハの飛び出しを検出するための検出手段を配置したので、カセットから飛び出したウェーハを検出することが可能となり、ウェーハの飛び出しに伴う不具合の発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明を実施するのに適した加工装置である切削装置の斜視図である。
【図2】デバイスウェーハの斜視図である。
【図3】カセットの構成について説明する斜視図である。
【図4】カセット蓋の内部構造などについて示す水平断面図である。
【図5】(A)はカセットテーブルが搬出入位置にセットされた状態について示す側面図である。(B)はカセットテーブルが蓋着脱位置にセットされた状態について示す側面図である。(C)は蓋着脱機構が作用位置にセットされた状態について示す側面図である。(D)は蓋着脱機構が待機位置にセットされた状態について示す側面図である。
【図6】(A)は正常な状態でカセット蓋が外された場合について示す側面図である。(B)はウェーハが飛び出す異常が生じた場合について示す側面図である。
【図7】蓋着脱機構の構成について示す斜視図である。
【図8】(A)は蓋着脱機構の他の実施形態について示す側面図である。(B)は蓋着脱機構の他の実施形態における検出手段の構成について示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図1を参照すると、本発明の加工装置を実施するのに適した切削装置2の斜視図が示されている。切削装置2の前面側には、オペレータが加工条件等の装置に対する指示を入力するための操作パネル4が設けられている。装置上部には、オペレータに対する案内画面や後述する撮像ユニットによって撮像された画像が表示されるCRT等の表示ユニット6が設けられている。
【0016】
図2に示すように、ダイシング対象の半導体ウェーハWの表面においては、第1のストリートS1と第2のストリートS2とが直交して形成されており、第1のストリートS1と第2のストリートS2とによって区画された各領域にデバイスDが形成されている。
【0017】
図3に示すように、ウェーハWは密閉式の蓋付きのカセット7(FOUP(Front Open Unified Pod))に収容される。カセット7は、搬出入開口部71aが形成されるカセット本体71と、搬出入開口部71aを閉じるための脱着式のカセット蓋72を有して構成される。カセット本体71内の壁面には、複数段の棚板部を有してなるラック(棚)71bが形成されており、各棚板部の間の隙間に差し込むようにして複数枚(例えば25枚)のウェーハWが収容される。
【0018】
図1に示すように、ウェーハWが収容されたカセット7は、後に詳しく説明するカセット載置機構8に載置されてカセット蓋72が取り外されるとともに、被加工物搬出機構11に対向する位置にセットされる。
【0019】
被加工物搬出機構11は、カセット載置機構8に載置されたカセット7に対して進退することにより、カセット7に収容されたウェーハWを仮置き領域12にある位置合わせ機構14に搬送する。位置合わせ機構14において半導体ウェーハWが規定の位置にセンタリング(位置決め)される。
【0020】
仮置き領域12の近傍には、ウェーハWを吸着して搬送する吸引保持部15を有する搬送ユニット16が配設されており、仮置き領域12に搬出されたウェーハWは、搬送ユニット16により吸着されてチャックテーブル19上に搬送され、このチャックテーブル19に吸引保持される。
【0021】
チャックテーブル19は、回転可能且つX軸方向に往復動可能に構成されており、チャックテーブル19のX軸方向の移動経路の上方には、ウェーハWの切削すべきストリートを検出するアライメントユニット20が配設されている。
【0022】
アライメントユニット20は、ウェーハWの表面を撮像する撮像素子及び顕微鏡を有する撮像ユニット22を備えており、撮像により取得した画像に基づき、パターンマッチング等の画像処理によって切削すべきストリートを検出することができる。撮像ユニット22によって取得された画像は、表示ユニット6に表示される。
【0023】
アライメントユニット20の左側には、チャックテーブル19に保持されたウェーハWに対して切削加工を施す切削ユニット24が配設されている。切削ユニット24はアライメントユニット20と一体的に構成されており、両者が連動してY軸方向及びZ軸方向に移動する。
【0024】
切削ユニット24は、回転可能なスピンドル26の先端に切削ブレード28が装着されて構成され、Y軸方向及びZ軸方向に移動可能となっている。切削ブレード28は撮像ユニット22のX軸方向の延長線上に位置している。
【0025】
25は切削加工の終了したウェーハWを吸着してスピンナ洗浄ユニット27まで搬送する搬送ユニットであり、スピンナ洗浄ユニット27ではウェーハWがスピン洗浄及びスピン乾燥される。
【0026】
次に、カセット載置機構8に載置するカセットについて図3及び図4を参照して説明する。カセット7は、カセット本体71と、カセット本体71に着脱可能に装着されるカセット蓋72とから構成される。カセット本体71は、一側部に半導体ウェーハWを出し入れするための搬出入開口部71aを備えており、内部には半導体ウェーハWを載置するための複数個のラック71bが上下方向に設けられている。また、カセット本体71の搬出入開口部71aの近傍の側壁内側には、後述するラッチが嵌入する嵌入穴71cが設けられている。
【0027】
カセット蓋72は、カセット本体71の搬出入開口部71aに嵌合される嵌合部72aと、嵌合部72aの背面側に形成されるフランジ部72bを有して構成される。図4に示されるように、嵌合部72aには、2個のラッチ73,73が設けられ、各ラッチ73,73は、係合部73aと軸部73bとから構成される。軸部73bは嵌合部72aの前壁に軸受ブッシュ74を介して回動可能に支持され、係合部73aの中心部には、後述するラッチキーが挿入される矩形状のキー穴73cが形成されている。
【0028】
カセット蓋72の嵌合部72aにおいて、カセット本体71の内部に対面する側のおもて面72fには、ウェーハWの外周部の一部に対向し、カセット本体71内でのウェーハWのズレを防止するための爪部72gが設けられている。
【0029】
爪部72gは、図6(B)に示すように、上下方向に所定の間隔を空けて複数箇所に配設されている。本実施形態では、爪部72gは側面視略コ字状に構成されて、上下の突起の間の隙間MにウェーハWの端部が挿入され得る構成としている。また、図4に示すごとく、水平方向において、同じ高さに2箇所に配設されるようになっている。
【0030】
そして、カセット蓋72が閉じられた状態では、各爪部72gによってウェーハWの外周部の移動が規制されることにより、カセット本体71内のラック71bにおいて積層して収容されるウェーハWがラック71bから脱落したり、ラック71bに載せられた状態で大きく移動するといったことが防止される。
【0031】
カセット蓋72の嵌合部72aの両側壁には、係合部73aおよびカセット本体71に形成された嵌入穴71c,71cと対応する位置に係合部73aの回動を許容する開口72c、72cが設けられている。カセット本体71の搬出入開口部71aにカセット蓋72の嵌合部72aを嵌合した後、ラッチ73,73を図4において実線で示す開錠状態から角度90度回動すると、係合部73a,73aは図4において2点鎖線で示すように開口72c,72cを通して嵌入穴71c,71cに嵌入し、カセット蓋72がカセット本体71に施錠される。
【0032】
カセット蓋72のフランジ部72bには、上記ラッチ73を構成する係合部73aに設けられた矩形状のキー穴73cと対応する位置にキー挿入穴72dが形成されている。
【0033】
次に、カセット載置機構8について、図5及び図6を用いて詳細に説明する。カセット載置機構8は、カセット7を載置するカセットテーブル81と、カセットテーブル81を昇降せしめる昇降機構82とを有する。
【0034】
カセットテーブル81は、図1に示すように、上面にカセット7を載置したとき位置決めするための位置決め部材81aが設けられているとともに、カセットが載置されていることを検出するカセットセンサー81bが配設されている。
【0035】
昇降機構82は、図5に示すように装置ハウジングの側壁5に沿って上下方向に配設され回転可能に支持された雄ねじロッド82aと、雄ねじロッド82aを回転せしめる正転および逆転可能なパルスモータ82bとを具備しており、雄ねじロッド82aにカセットテーブル81の一端部に設けられた雌ねじ穴81cが螺合するようになっている。これにより、パルスモータ82bを一方向に回転駆動するとカセットテーブル81は雄ねじロッド82aに沿って下降し、パルスモータ82bを他方向に回転駆動するとカセットテーブル81は雄ねじロッド82aに沿って上昇する。
【0036】
このように昇降可能に構成されるカセットテーブル81は、図5(B)、(C)、(D)に示す下降位置である蓋着脱位置と、図5(A)及び図6(A)、に示す上昇位置である搬出入位置にセットされる。
【0037】
そして、図5(B)に示すように、カセットテーブル81が下降位置である蓋着脱位置にあるときにおいて、カセット7と対向する位置には、蓋着脱機構9が配設されている。蓋着脱機構9は、図5(B)及び図7に示すように、支持台91上に配設される固定基台92を有し、固定基台92には、カセット載置機構8の雄ねじロッド82aに対して垂直方向に延びる案内レール92aが設けられる。固定基台92の上面には案内レール92aに沿って移動可能に移動基台93が設けられ、移動基台93は、ベース部93aと垂直部93bとによってL字状に形成される。ベース部93aは案内レール92aに沿って移動可能に配設されている。
【0038】
固定基台92の上面には、案内レール92aの両側にエアシリンダ94,94が配設されており、このエアシリンダ94,94のピストンロッド94a,94aの先端が移動基台93のベース部93aに連結される。エアシリンダ94,94は、図示せぬ高圧空気制御手段に接続されており、移動基台93を案内レール92aに沿って進退させる進退手段として機能する。
【0039】
移動基台93は、カセットテーブル81(カセット7)から離れて待機する位置である「待機位置」と、カセットテーブル81(カセット7)に近づいてカセット蓋72を着脱させる位置である「作用位置」に、移動可能に構成される。
【0040】
移動基台93の垂直部93bには、ラッチ73,73の係合部73a,73aに形成されたキー穴73c,73cに挿入されるラッチキー95,95が前面側(保持面93c)より突出して回動可能に配設される。ラッチキー95,95は、垂直部93bに設けられる図示せぬエアモータによって略90度の角度に渡って回動制御され、ラッチ作動手段として機能する。
【0041】
移動基台93の垂直部93bの前面、即ち、カセット蓋72に対向してカセット蓋72を保持する保持面93cには、2個の吸着パッド97,97が配設されている。この吸着パッド97,97は、図示せぬ負圧制御手段に接続されており、吸着パッド97,97をカセット蓋72に接触させつつ負圧を作用させることで、垂直部93bにてカセット蓋72を吸引保持することができる。吸着パッド97,97は、移動基台93にカセット蓋72を保持するカセット蓋保持手段として機能する。
【0042】
蓋着脱機構9の移動基台93の垂直部93bには、カセット蓋72から飛び出したウェーハWを検出する検出手段を備えている。
【0043】
具体的には、検出手段は、カセット蓋72を保持する保持面93cの上部中央と下部中央にそれぞれ突出して配設された発光部98と受光部99とからなる光学センサーを具備している。発光部98には発光素子98aが、受光部99には受光素子99aがそれぞれ設けられている。
【0044】
これにより、図6(B)に示すように、発光素子98aから発せられる光R1がウェーハWにて遮られた際に、ウェーハWがカセット本体71から飛び出しているとして、異常が検出できる。
【0045】
また、発光部98及び受光部99は、それぞれ棒状の部材にて構成されてその先端部に発光素子98a、受光素子99aがそれぞれ設けられており、図5(D)に示すように、待機位置に移動基台93が位置づけられた状態で昇降するカセット7及びカセットテーブル81と接触せず、且つ、カセット蓋72を保持した状態でカセット蓋72の位置よりも保持面93cに対して反対側に突出して配設されている。
【0046】
これにより、図5(D)に示されるように、発光部98及び受光部99は、待機位置に移動基台93が位置づけられた状態では、昇降するカセット7及びカセットテーブル81と接触しないため、カセット7及びカセットテーブル81の昇降が発光部98及び受光部99によって妨げられることがない。
【0047】
次に、以上のように構成した切削装置2によるカセット蓋72の着脱について説明する。まず、カセット蓋72が正常に取り外される場合について説明する。
【0048】
図5(A)に示すように、カセットテーブル81が上昇位置である搬出入位置にセットされた状態で、オペレータによりカセット7がカセットテーブル81上に載置される。
【0049】
次に、図5(B)に示すように、コントローラは、昇降機構82によりカセットテーブル81を下降位置である蓋着脱位置にセットする。これにより、カセット7が蓋着脱機構9に対向させられる。
【0050】
次に、図5(C)に示すように、コントローラは、エアシリンダ94を駆動して移動基台93を待機位置から作用位置に移動させる。そして、コントローラは、図示せぬエアモータにてラッチキー95を操作するとともに、図示せぬ負圧制御手段にて吸着パッド97によるカセット蓋72の吸引保持を行う。これにより、カセット本体71に対するカセット蓋72の係合が解除されるとともに、カセット蓋72が移動基台93に保持された状態となる。
【0051】
次に、図5(D)に示すように、コントローラは、エアシリンダ94を駆動して移動基台93を作用位置から待機位置に移動させる。これにより、カセット蓋72は移動基台93とともに移動して、カセット本体71から外される。
【0052】
次に、図6(A)に示すように、コントローラは、昇降機構82によりカセットテーブル81を上昇位置である搬出入位置にセットする。カセット本体71からはカセット蓋72が外された状態となっており、カセット本体71に対するウェーハWの搬出、搬入が順次行われる。
【0053】
全てのウェーハWについての加工が終了すると、上述した順序と逆の順序を辿り、図5(A)の状態へと戻され、オペレータによってカセットテーブル81上からカセット7が移送される。
【0054】
次に、カセット蓋72の取り外しの際に異常検出について説明する。この異常検出は、図6(B)に示すように、カセット蓋72を取り外した際に、ウェーハWがカセット蓋72につられて引き出された際になされる。
【0055】
具体的には、コントローラは、受光素子99aにおいて光R1の受光が検出されない場合には、光R1がウェーハWにて遮られ、ウェーハWがカセット本体71から飛び出しているとして、異常検出する。異常検出された際には、コントローラは、カセットテーブル81を下降位置である蓋着脱位置にセットしたままとし、異常検出が解除されるまで待機する。
【0056】
このように異常検出をすることで、ウェーハWがカセット本体71から飛び出したまま、カセットテーブル81が昇降してしまうことを防ぐことができる。仮に、ウェーハWがカセット本体71から飛び出したまま、カセットテーブル81が昇降してしまうと、ウェーハWがカセット本体71から脱落することや、ウェーハWが他の部材に当たって損傷してしまうことになる。
【0057】
以上に説明したように、本実施形態では、一側面に搬出入開口部71aを有するカセット本体71と搬出入開口部71aを開閉するカセット蓋72とからなり、カセット本体71中に半導体ウェーハWを収容したカセット7を載置するカセットテーブル81を備えたカセット載置機構8と、カセットテーブル81に載置されたカセット7から搬出された半導体ウェーハWを保持するチャックテーブル19と、チャックテーブル19に保持された半導体ウェーハWを加工する加工手段としての切削ユニット24と、を具備する加工装置とする。なお、加工装置としては、上述の実施形態で述べた切削装置のほかにも、研削装置、研磨装置など、各種装置が考えられる。
【0058】
そして、カセット載置機構8は、カセットテーブル81をカセット7から半導体ウェーハWを搬出する搬出入位置と、搬出入位置より下方に設定された蓋着脱位置とに位置づける昇降機構82を備え、カセット載置機構8のカセットテーブル81が蓋着脱位置に位置づけられた状態で、カセット蓋72を着脱する蓋着脱機構9を備え、蓋着脱機構9は、カセット本体71から飛び出した半導体ウェーハWを検出する検出手段として、発光部98と受光部99とからなる光学センサーを具備している。
【0059】
そして、以上の実施形態によれば、カセット蓋72を保持して外す蓋着脱機構9に、ウェーハWの飛び出しを検出するための検出手段として光学センサーを配置したので、カセット24から飛び出したウェーハWを検出することが可能となり、ウェーハWの飛び出しに伴う不具合の発生を防止できる。
【0060】
また、以上の実施形態では、一組の発光部98と受光部99を上下方向に配置して透過型の光学センサーを構成することで、複数組の光学センサーを備えることなく、全てのウェーハWについての飛び出しについて検出することが可能である。なお、透過型の光学センサーに代えて、反射式(光反射を検出するもの)の光学センサーを用いることとしてもよい。
【0061】
さらに、図8(A)(B)に示すように、光学センサーを構成する発光部98において、その端部から発光素子98aまでの間の隙間Sの範囲においては、ウェーハWの存在を検出できない不検出部分となる。このため、移動基台93の保持面93cの上部において、隙間Sに存在するウェーハWを検出するための一対の発光部98A,受光部99Aを水平方向に対向させて設け、光R2を発光、受光させることとしてもよい。
【0062】
この実施形態によれば、ウェーハWの飛び出し量が少なく、発光部98,受光部99からなる光学センサーでウェーハWが検出できない状況を補完することが可能となり、ウェーハWの飛び出しを確実に検知することが可能となる。
【0063】
発光部98A,受光部99Aの上下方向の位置は、カセット載置機構8のカセットテーブル81が蓋着脱位置に位置づけられた状態で、最も上側に収容されるウェーハWよりも上方とすることが好ましい。これによれば、最も上側に収容されるウェーハWについてもウェーハWの飛び出しを検知することが可能となる。なお、この発光部98,受光部99による検知は、カセットテーブル81が上昇する過程において行われるものである。
【符号の説明】
【0064】
2 切削装置
7 カセット
8 カセット載置機構
9 蓋着脱機構
19 チャックテーブル
24 切削ユニット
71 カセット本体
72 カセット蓋
72f おもて面
72g 爪部
81 カセットテーブル
82 昇降機構
91 支持台
92 固定基台
93 移動基台
93c 保持面
98 発光部
98a 発光素子
99 受光部
99a 受光素子
R1 光
W 半導体ウェーハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一側面に搬出入開口部を有するカセット本体と該搬出入開口部を開閉するカセット蓋とからなり、該カセット本体中に半導体ウェーハを収容したカセットを載置するカセットテーブルを備えたカセット載置機構と、
該カセットテーブルに載置された該カセットから搬出された該半導体ウェーハを保持するチャックテーブルと、
該チャックテーブルに保持された該半導体ウェーハを加工する加工手段と、を具備する加工装置において、
該カセット載置機構は、
該カセットテーブルを該カセットから該半導体ウェーハを搬出する搬出入位置と、該搬出入位置より下方に設定された蓋着脱位置とに位置づける昇降機構を備え、
該カセット載置機構の該カセットテーブルが該蓋着脱位置に位置づけられた状態で、該カセット蓋を着脱する蓋着脱機構を備え、
該蓋着脱機構は、該カセット本体から飛び出した該半導体ウェーハを検出する検出手段を備えていることを特徴とする加工装置。
【請求項2】
前記蓋着脱機構は、
前記カセット蓋と対面し該カセット蓋を保持する蓋保持手段を備えた移動基台と、
該移動基台を待機位置と作用位置とに移動させる移動機構と、からなり、
該移動基台には、前記検出手段が設けられ、
該検出手段は、該カセット蓋を保持する保持面の上部中央と下部中央にそれぞれ突出して配設された発光部と受光部とからなる光学センサーを具備し、
該発光部及び該受光部は、
該待機位置に該移動基台が位置づけられた状態で昇降する前記カセット及びカセットテーブルと接触せず、且つ、
該カセット蓋を保持した状態で該カセット蓋の位置よりも該保持面に対して反対側に突出して配設されていることを特徴とする、請求項1に記載の加工装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−84682(P2013−84682A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222150(P2011−222150)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(000134051)株式会社ディスコ (2,397)
【Fターム(参考)】