加工装置
【課題】加工具を交換する際の作業やメディアを加工する際の作業を軽減するとともに、その作業時間を短縮化することができるようにする。
【解決手段】所定の方向に移動自在に配置されたキャリッジに装着した加工具によりメディアに対して加工を行う加工装置において、加工装置本体と通信可能、かつ、書き込み可能な記憶手段を有し、キャリッジに装着可能な加工具と、上記加工具の上記記憶手段に記憶された情報を取得する取得手段と、上記取得手段より取得した情報に基づき、上記加工装置本体の動作を制御する制御手段とを有する。
【解決手段】所定の方向に移動自在に配置されたキャリッジに装着した加工具によりメディアに対して加工を行う加工装置において、加工装置本体と通信可能、かつ、書き込み可能な記憶手段を有し、キャリッジに装着可能な加工具と、上記加工具の上記記憶手段に記憶された情報を取得する取得手段と、上記取得手段より取得した情報に基づき、上記加工装置本体の動作を制御する制御手段とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工装置に関し、さらに詳細には、加工対象物であるメディアの表面に所望の加工を行う際に好適な加工手段を有する加工装置に関するものである。
【0002】
なお、本明細書において、「メディア」とは、普通紙などの紙類よりなる各種の記録媒体は勿論のこと、PVC、ポリエステルなどの樹脂材料などの各種の材料が含まれるものとする。
【0003】
また、本明細書においては、メディアの幅方向を「主走査方向」と適宜称することとし、メディアの長手方向を「副走査方向」と適宜称することとする。このメディアの幅方向たる主走査方向とメディアの長手方向たる副走査方向とは、互いに直交するものである。
【背景技術】
【0004】
従来より、加工装置として、搬送装置によって副走査方向に搬送されるメディアに対して、主走査方向に移動するキャリッジに搭載したカッターペンやテーブルの搬送装置によって副走査方向に搬送されるメディアに対して、主走査方向に移動するキャリッジに搭載したヒートペンなどの加工具を用いて、当該メディアのカットや箔押しなどの加工を行うようにした加工装置が知られている。
【0005】
即ち、こうした加工装置においては、キャリッジに設けられたペンホルダーなどの加工具保持手段にカッターペンやヒートペンなどの加工具を把持させ、カッターペンの先端によりメディアのカットを行ったり、ヒートペンの先端によりメディアの箔押しなどを行ったりする加工を行うものである。
【0006】
しかしながら、従来の加工装置によれば、メディアのカットを行うカッターペンを加工具として備えたメディアカット用のカッティングプロッタと、メディアの箔押しを行うヒートペンを備えたメディア箔押し用の加工装置とは、それぞれ別異の加工装置として独立に構成されていた。
【0007】
そのため、メディアに対してカットと箔押しとの両方の加工を行う場合などは、例えば、ヒートペンを搭載したメディア箔押し用の加工装置にてメディア上に箔押し加工を行い、その後、カッティングプロッタまで移動し、箔押し済みのメディアに対してカッターペンを搭載したメディアカット用のカッティングプロッタによりカットを行う必要があり、メディアの加工作業が繁雑になるとともに長時間を要するという問題点があった。さらに、単に同じ制御では、ランディングや加減速等の内部制御が異なるため、それぞれの成果物を正しく加工することができなかった。
【0008】
また、上記したように、メディア箔押し用の加工装置には加工具としてヒートペンが搭載されており、メディアカット用の加工装置には加工具としてカッターペンが搭載されているが、こうした加工具は、製造時の誤差などによりメディアに圧接する先端部の位置が個々の加工具でずれているなどするため、各種の加工装置の工場出荷前において当該加工装置に搭載される加工具の特性に応じた設定を行い、その後に加工装置を出荷するようになされている。
【0009】
従って、工場出荷時に搭載された加工具の経年変化により当該加工具を取り外して当該加工具と同種の新しい加工具を加工装置に取り付ける場合や、工場出荷時に搭載された加工具を取り外して当該加工具とは別種の加工具を加工装置に取り付ける場合には、新たに搭載する加工具の特性に応じた設定をそれぞれ行う必要があり、加工具の交換作業が繁雑になるとともに長時間を要するという問題点があった。
【0010】
なお、本願出願人が特許出願時に知っている先行技術は、上記において説明したようなものであって文献公知発明に係る発明ではないため、記載すべき先行技術情報はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、従来の技術の有する上記したような種々の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、加工具を交換する際の作業を軽減するとともに、その作業時間を短縮化することができるようにした加工装置を提供しようとするものである。
【0012】
また、本発明の目的とするところは、メディアを加工する際の作業を軽減するとともに、その作業時間を短縮化することができるようにした加工装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明は、加工装置に搭載する加工具に記憶素子を内蔵するようにして、記憶素子に当該加工具の特性を示す各種の情報を記憶させるようにしたものである。
【0014】
また、本発明は、加工装置に搭載する加工具を交換した際に、その交換を自動で認識して、加工装置における動作モードを切り替えるようにしたものである。
【0015】
即ち、本発明は、所定の方向に移動自在に配置されたキャリッジに装着した加工具によりメディアに対して加工を行う加工装置において、加工装置本体と通信可能、かつ、書き込み可能な記憶手段を有し、キャリッジに装着可能な加工具と、上記加工具の上記記憶手段に記憶された情報を取得する取得手段と、上記取得手段より取得した情報に基づき、上記加工装置本体の動作を制御する制御手段とを有するようにしたものである。
【0016】
また、本発明は、上記加工装置本体に上記加工具が装着されたことを認識する認識手段を有し、上記制御手段は、上記認識手段が上記加工装置本体に上記加工具が装着されたことを認識したときに、上記加工具の種類に応じて上記加工装置本体の動作モードを切り替えるようにしたものである。
【0017】
また、本発明は、加工具固有の情報をもとに動作設定を補正することを特徴とする加工装置。
【0018】
また、本発明は、上記加工装置と上記加工手段との間の通信が有線または無線であるようにしたものである。
【0019】
また、本発明は、上記キャリッジが上記加工具を所定の位置に固定的に配置する位置決め機構を備えるようにしたものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、以上説明したように構成されているので、加工具を交換する際の作業を軽減することができるとともに、その作業時間を短縮化することができるようになるという優れた効果を奏する。さらには、加工具特有の特性(補正や制御)に自動切り替えすることができる。
【0021】
また、本発明は、以上説明したように構成されているので、メディアを加工する際の作業を軽減することができるとともに、その作業時間を短縮化することができるようになるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明による加工装置の実施の形態の一例を示した概略構成斜視説明図である。
【図2】図2(a)(b)は、図1に示す加工装置のキャリッジの領域を拡大して示した概略構成斜視説明図である。
【図3】図3(a)は、本発明による加工装置に用いるヒートペンの概略構成説明図であり、また、図3(b)は、図3(a)に示すヒートペンのコネクタより伝達される情報の例を示した図表である。
【図4】図4は、本発明による加工装置の構成を示すブロック説明図である。
【図5】図5(a)(b)(c)は、本発明による加工装置により実行される各処理を示したフローチャートである。
【図6】図6(a)(b)(c)は、本発明による加工装置にヒートペンを装着する方法を説明した概略説明図である。
【図7】図7は、本発明による加工装置に装着可能である加工具の種類を説明した図表である。
【図8】図8(a)(b)(c)は、本発明による加工装置の実施の形態の一例を示した概念説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明による加工装置の実施の形態の一例について詳細に説明するものとする。
【0024】
図1には、本発明による加工装置の実施の形態の一例の概略構成斜視説明図が示されている。
【0025】
この図1に示す加工装置10は、加工具22と当該加工具22を装着可能な加工装置本体10bとスタンド10aとにより構成され、加工装置本体10bの副走査方向に搬送されるメディアに対して主走査方向に移動するキャリッジに搭載された加工具を用いて、メディアに対して加工具に応じた種々の加工を行うようにしたペーパームーブタイプの加工装置である。
【0026】
この加工装置10は、主走査方向に延長して配設された固定系のベース部材12と、ベース部材12の左右両端でベース部材12に直交して配設された側方部材14L、14Rと、左右一対の側方部材14L、14Rを連結するように配設され、かつ、後述するキャリッジ20を摺動自在に支持するレールを壁面に有する中央壁16と、中央壁16の正面に主走査方向に延長して配設されたガイドレール18と、中央壁16の壁面に平行して主走査方向に沿って配設されたレールとガイドレール18とに摺動自在に支持されたキャリッジ20と、キャリッジ20を主走査方向に移動させるモーター(図示せず。)とを有して構成されている。
【0027】
そして、上記したキャリッジ20を主走査方向に移動させるXモーター(図示せず。)の駆動制御を含む加工装置10の全体の動作は、コンピューターシステムによって制御されている。
【0028】
このコンピューターシステムは、後述するメインCPU26、サブCPU20C、各種のデータを記憶するためのメモリ装置(図示せず。)などにより構成されており、メモリ装置の記憶内容をメインCPU26の制御によって順次読み出すことにより、ガイドレール18上におけるキャリッジ20の主走査方向に沿った右方向および左方向への移動を実現する。
【0029】
また、キャリッジ20は、後述するヒートペン22などの加工具を着脱自在に把持し、内蔵されている昇降機構21(上下駆動用ソレノイド)によって上下移動することができるとともに、図示しないYモータの駆動によって上記X方向と直交する方向(Y方向)に移動することができるようになされている。従って、メディアと上記キャリッジ20を相対的に移動させることにより、メディアに対して所定の加工を施すことができる。
【0030】
こうした加工装置10には、ユーザーの所望の指示を入力するための操作パネル24が配設されており、当該操作パネル24の操作により行われた各種設定の内容は、内蔵されるコンピューターシステムによって処理されて、コンピューターシステムにより実現される加工のための各種処理に用いられる情報としてメモリ装置の所定のエリアに記憶される。
【0031】
即ち、加工装置10においては、コンピューターシステムが操作パネル24や各種センサーなどからデータを受け取り、上記Xモータ、Yモータ、キャリッジ20の昇降機構等の出力機器を駆動制御して、メディアに対して所定の加工を行わせるように構成されている。
【0032】
次に、図2(a)(b)、図3(a)(b)および図6(a)(b)(c)を参照しながら、キャリッジ20に把持される加工具の一例として、ヒートペン22の構成について説明する。
【0033】
なお、図2(a)(b)には、キャリッジ20にヒートペン22を装着し、両者を有線で接続している状態を示す概略説明図が示されている。
【0034】
また、図3(a)には、加工装置10に用いるヒートペン22の構成を示すブロック説明図が示されており、図3(b)には、ヒートペン22のコネクタ22baより伝達される情報の例を示した図表が示されている。
【0035】
また、図6(a)(b)(c)には、ヒートペン22をキャリッジ20へ固定的に装着する方法を示した概念説明図が示されている。
【0036】
ここで、ヒートペン22とは、メディアに対して当該メディアと接する先端部より熱を加えて転写箔(金箔)を印刷するなどの箔押し加工を行うための加工具である。
【0037】
こうしたヒートペン22は、メディアに対して加工を行う加工部22aと、キャリッジ20に接続される接続部22bとより構成される。
【0038】
そして、加工部22aは、キャリッジ20の側面に配設されているホルダー20aに、着脱可能に取り付けられる。
【0039】
より詳細には、ヒートペン22の加工部22aは、その先端に金属などの熱伝導可能な材料よりなる先端部22aaを有して構成される。
【0040】
そして、先端部22aaをメディアに当接させて当該メディアに加工を行うものであり、そうした先端部22aaを有する加工部22aを、ホルダー20aが把持しているものである。
【0041】
さらに、ヒートペン22の加工部22aには、ホルダー20aに載置する際に高さ方向の位置決め用の凸部22abが形成されている。また、凸部22abの上方には、ヒートペン22の回転防止のためのストッパーとして、多角部22acが形成されている。
【0042】
図6(a)に示すように、凸部22abは、その外周が加工部22aの外周よりも大きく形成されている。そして、凸部22abは、ホルダー20aの内側の上面20aaに載置されるようになされている。
【0043】
そして、多角部22acは、その外周が加工部22aの外周とほぼ同一で、かつ、角柱形状になるように形成されている。
【0044】
一方、ホルダー20aは加工具把持部20abと蓋20acとより構成されており、蓋20acは開閉可能に加工具把持部20abに接続されている。
【0045】
そして、ホルダー20aの蓋20acには、ヒートペン22の凸部22abに嵌合可能な開口部20adが設けられている。
【0046】
図6(b)に示すように、開口部20adがヒートペン22の凸部22abに嵌合するように蓋20acを閉じ、留め具20aeで蓋20acを固定して、キャリッジ20に対するヒートペン22の位置決めを行う。
【0047】
また、図6(c)には、図6(b)に示すVIC矢印方向から見た場合の矢視説明図を示しているが、図6(c)に示すように、ヒートペン22の多角部22acのひとつの面とホルダー20aの蓋ad内側の面とが圧接されてヒートペン22の回転が防止され、キャリッジ20に対するヒートペン22の位置決めがなされる。
【0048】
一方、ヒートペン22のコネクタ22ba内部には、書き換え可能な記憶素子22bb(図3(a)を参照する。)およびヒーター(図示せず。)が内蔵されている。
【0049】
記憶素子22bbは、ヒートペン22の特性を示す各種の情報、例えば、ホルダー20aにヒートペン22を取り付ける際にヒートペン22の製造誤差などの特性に応じてキャリッジ20の移動を補正するための補正値や、加工具の種別や、箔押し加工時のオフセット値や、先端部22aaの径などが記憶される。
【0050】
ここで、加工具の種別とは、加工具の種類を示すものであり、こうした情報を記憶素子22bbに記憶しておくことで、加工装置10は、接続された加工具が、ヒートペンであるか、あるいは、カッターペンであるかなどの加工具の種類の判断を行うことが可能となる。
【0051】
また、オフセット値とは、加工装置10に加工具を取り付けた際に、加工装置10が有するセンター位置と加工具の中心とのずれ、所謂、芯ずれを示すものである。
【0052】
記憶素子22bbとしては、ICチップ(IC:集積回路)やEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)などが挙げられる。
【0053】
なお、本実施の形態においては、1−wire(登録商標)EEPROMを用いることとする。
【0054】
上記において説明したオフセット値や加工具の径などの値は、加工具たるヒートペン22を加工装置10に取り付ける際に補正を行うためのパラメータとなり、こうしたパラメータはユーザーによって書き換え可能である。
【0055】
そのため、長年使用している加工具たるヒートペン22と加工装置10との間に生じたずれが予め記憶されているパラメータと合わなくなった場合などには、新たにパラメータを設定して記憶素子22bbの内容を書き換えることが可能である。
【0056】
また、加工具たるヒートペン22を交換する際には、新たにパラメータを設定して記憶素子22bbに記憶させることが可能である。
【0057】
さらに、こうしたパラメータの値は、加工具たるヒートペン22の記憶素子22bbに記憶させているため、加工装置10を使用するたびに新たに設定する必要がない。
【0058】
次に、ヒートペン22の加工部22aの先端部22aaと対向する端部に接続されている接続部22bについて説明する。
【0059】
ヒートペン22の先端部22aaとキャリッジ20とは、接続部22bを介して電気的に接続されている。
【0060】
こうした接続部22bは、一方の端部が加工部22aと着脱可能に連結しており、また、他方の端部はコネクタ22baとなっている。
【0061】
こうしたコネクタ22baは、例えば、8本の信号ピンを備えており、キャリッジ20の側面に設けられたソケット部に接続される。
【0062】
そして、コネクタ22baを介して、ヒートペン22が有する固有の補正値であるパラメータの情報などがキャリッジ20に伝達され、キャリッジ20より加工装置10へ伝達される。
【0063】
次に、図3(a)を参照しながら、ヒートペン22とキャリッジ20との情報伝達について詳細に説明する。
【0064】
キャリッジ20には基板20bが内蔵されており、基板20bにサブCPU20c、リーダ/ライター20dおよび温度制御部20eが配置されている。
【0065】
さらに、サブCPU20cは、加工装置10のメインCPU26と電気的に接続されており、メインCPU26よりの信号を受け取り、サブCPU20cより温度制御部20eへ伝達する。
【0066】
そして、ヒートペン22のコネクタ22baと基板20bとは電気的に接続しており、コネクタ22baより伝達されたヒートペン22の情報をリーダ/ライター20dにおいて読み込む処理や、温度制御部20eによるヒートペン22の制御などがコネクタ22baを介して行われる。
【0067】
なお、コネクタ22baの8本の信号ピンは、それぞれ、図3(b)の図表に示す各機能を有するものであり、各信号の伝達を行うものである。
【0068】
上記のようにして、コネクタ22baに内蔵された記憶素子22bbの情報をキャリッジ20の基板20bを介して、加工装置10に伝達することが可能となっている。
【0069】
次に、図4を参照しながら、本発明による加工装置10の動作モード切り替え機能について説明することとする。
【0070】
図4には、加工装置10の構成を示すブロック構成説明図が示されているが、コンピューターシステムのメイン基板28に、メインCPU26およびドライバ30が搭載されている。
【0071】
また、メインCPU26には、キャリッジ20のサブCPU20c、操作パネル24、USBインターフェース32とが接続されている。
【0072】
そして、図4に示すように、加工装置10のメインCPU26とキャリッジ20のサブCPU20cとは接続されており、キャリッジ20に接続された加工具たるヒートペン22の記憶素子22bbに記憶されている情報が、キャリッジ20のサブCPU20cからメインCPU26へと伝達される。
【0073】
さらに、メインCPU26がアクセス可能なメイン基板28に搭載された記憶装置(図示せず。)には、加工具の種類を認識するためのソフトウェアが記憶されており、加工具のコネクタPEN−IDに記憶された情報に従って加工具の種類を認識し、動作モードの切り替えを行う機能を実現している。
【0074】
即ち、コネクタPEN−IDとは、加工具の種別が記憶されている記憶素子を有するコネクタであり、こうしたコネクタPEN−IDの情報をもとに、加工装置10では接続されている加工具がカッターペンであるか、ヒートペンであるかなどを認識し、加工具の種別に合わせて動作モードを切り替え、加工装置10の動作を決定するものである。
【0075】
さらに、加工具がヒートペンであった場合には、上記ソフトウェアの制御によりヒートペンが有するパラメータの情報を読み取り、ヒートペンに適した後述する処理が行われることになる。
【0076】
なお、図4に示すように、本実施の形態による加工装置10のメインCPU26には、上記の他に、電源、ファンモーター、スキャンエンコーダーおよびフィードエンコーダーとが接続されている。
【0077】
以上の構成において、本実施の形態による加工装置10を用いた箔押し加工の際に加工装置10において行われる処理について説明する。
【0078】
まず、加工装置10が加工具の種類を認識する仕組みの概要について説明するものとする。
【0079】
加工装置10に加工具が装着されると、キャリッジ20の内部のサブCPU20cにおいて、図5(a)に示す加工具の設定処理が行われる。
【0080】
はじめに、加工装置10において、キャリッジ20に加工具が装着、もしくは、交換されたことを認識し、加工具の選択処理が開始されると、ステップS502において、加工具がヒートペンか否かの判断処理が行われる。
【0081】
この判断処理においては、加工具のコネクタPEN−IDの記憶された情報を確認することにより、加工具の性質を判断するものである。
【0082】
ここで、装着された加工具のコネクタPEN−IDにヒートペンであることが記憶されているものとすると、ステップS502においてYesと判断され、ステップS504に進む。
【0083】
次に、ステップS504においては、装着された加工具がヒートペンであることをメインCPU26に伝達し、操作パネル24に表示するメニューを箔押しメニューとする処理が行われる。
【0084】
より詳細には、装着された加工具がヒートペンであることを、サブCPU20cよりメインCPU26へ伝達する処理が行われ、さらに、メインCPU26において、ヒートペンが装着されたことから、メニューを箔押し用のメニューとして設定し、加工装置10を箔押し用の動作モードに切り替えて、箔押し用の動作モードとして機能するさせるための各種の設定を行う。
【0085】
こうしてステップS504の処理を行うと、加工具の設定処理を終了する。
【0086】
また、装着された加工具がヒートペンではなくカッターペンであった場合には、ステップS502の判断処理においてはNoと判断され、ステップS506に進む。
【0087】
そして、ステップS506においては、装着された加工具がカッターペンであることをメインCPUに伝達し、操作パネル24に表示するメニューをカットメニューとする処理が行われる。
【0088】
より詳細には、装着された加工具がカッターペンであることを、サブCPU20cよりメインCPU26へ伝達する処理が行われ、さらに、メインCPU26において、カッターペンが装着されたことから、メニューをカット用メニューとして設定し、加工装置10をカット用の動作モードに切り替えて、カット用の動作モードとして機能するさせるための各種の設定を行う。
【0089】
こうしてステップS506の処理を行うと、加工具の設定処理を終了する。
【0090】
次に、本実施の形態による加工装置10では、キャリッジ20に装着されたヒートペン22のパラメータを読み取る処理が行われる。
【0091】
こうした処理は、図5(b)に示すヒートペン設定値読み取り処理のフローチャートに従って行われる。
【0092】
はじめに、ヒートペン設定値読み取り処理の動作が開始されると、ステップS602の判断処理において、ヒートペン22がキャリッジに装着されたか否かの判断処理が行われる。
【0093】
ここで、加工装置10にヒートペン22が装着されたものとすると、ステップS602の判断処理においてYesと判断され、ステップS604に進む。
【0094】
次に、ステップS604においては、ヒートペン22の記憶素子22bbから設定値を読み取る処理が行われる。
【0095】
このステップS604では、ヒートペン22に内蔵されている記憶素子22bbに記憶されているヒートペン22の補正値などを読み取り、メインCPU26へ伝達する。メインCPU26では、伝達された補正値などに応じて処理を行う。
【0096】
即ち、キャリッジ20に装着された加工具がヒートペン22であった場合には、ヒートペン22を用いて行う箔押し処理を行うことになるため、自動的に箔押し動作処理が開始されるものである。
【0097】
こうしてヒートペン設定値読み取り処理が終了する。
【0098】
一方、キャリッジ装着されている加工手段がヒートペン22以外の加工具であった場合には、ステップS602の判断処理においてはNoと判断され、ヒートペン設定値読み取り処理を終了となる。
【0099】
このように、メインCPU26において行われるヒートペン設定値読み取り処理により、加工装置10ではヒートペン22が装着されたことが認識するようになされているものである。
【0100】
図5(c)には、箔押し動作処理のフローチャートを示している。
【0101】
箔押し動作処理が開始されると、ステップS702において、加工データがあるか否かの判断処理が行われる。
【0102】
こうした加工データとは、加工装置10がメディアに対して行う加工処理の内容であり、加工データは、例えば、外部接続されたコンピューターなどから加工装置10内のメインCPU26より読み出されるものである。
【0103】
ここでは、加工データがあるものとすると、ステップS702の判断処理においてYesと判断され、ステップS704に進む。
【0104】
そして、ステップS706においては、設定値があるか否かの判断処理が行われる。
【0105】
ここでは、ヒートペン22の記憶素子22bbに設定値が記憶されているか否かの判断処理が行われる。
【0106】
ここで、ヒートペン22に設定値が設定されているものとすると、ステップS704においてYesと判断され、ステップS706に進む。
【0107】
なお、ここで、設定値が設定されていない場合は、ステップS704においてNoと判断され、ステップS708に進むものである。
【0108】
ステップS706においては、データを設定値に応じて補正する処理が行われる。
【0109】
例えば、装着しているヒートペン22の軸が中心とわずかにずれている場合、加工装置10の中心位置にヒートペン22の軸を補正して両者が一致するように調整を行ってから加工を行う必要があるものである。
【0110】
そのため、ステップS706においては、あらかじめヒートペン22の記憶素子22bbに記憶されている補正値などを用いて、ヒートペン22の軸についての調整が行われる。
【0111】
こうした調整が行われると、加工装置10によるメディアへの加工の準備が整うため、次の処理に進むことができるものである。
【0112】
そして、ステップS708においては、箔押し処理が行われる。
【0113】
ここでは、実際に上記加工データに従って、ヒートペン22の先端によるメディアへの箔押し作業が行われる。
【0114】
ステップS708の処理が終了すると、ステップS702にもどり、ふたたび、加工データがあるか否かの判断処理が行われる。
【0115】
ここで、加工データがない場合には、ステップS702においてNoと判断され、処理が終了となる。
【0116】
上記において説明したように、本発明による加工装置10によれば、装着された加工具の種類を自動で認識し、加工装置の動作モードの切り替えが可能である。
【0117】
また、本発明による加工装置10によれば、装着された加工具がヒートペン22であった場合には、ヒートペン22の固有の補正値などを認識し、自動で中心の位置を調整することが可能である。
【0118】
なお、上記した実施の形態は、以下の(1)乃至(5)に示すように変形することができるものである。
【0119】
(1)上記した実施の形態においては、加工具の回転防止手段として、凸部22abを開口部20adに嵌合し、多角部22acの面と蓋20acの内側とが圧接するようにして加工具の回転を防止して位置決めするものとしたが、これに限られるものではないことは勿論である。
【0120】
例えば、他の回転防止手段の一例としては、本実施の形態のヒートペン22を例として示すと、ヒートペン22の凸部22abに小さい孔を穿設し、加工具であるヒートペン22を載置するホルダー20aの上面20aaに上記孔に嵌合する形状を有する凸部を設置させるようにする。
【0121】
そして、加工具を載置する際に、上記孔と上記凸部とが嵌合するように載置することにより、加工具の回転を防止して位置決めすることができる。
【0122】
また、他の回転防止手段の一例としては、加工具の円筒部分の側面に凸部を配置し、上記凸部に合う孔を把持部の側面に穿設させる。そして、上記凸部と上記孔とを嵌合させるように加工具を載置すると、加工具の回転を防止して位置決めすることができる。
【0123】
(2)上記した実施の形態においては、加工具としてヒートペンもしくはカッターペンを例として説明したが、それに限られるものではないことは勿論であり、図7に示した各種加工具を使用することも可能である。
【0124】
加工具の種類としては、カッターペン、ヒートペンの他に、メディアに対して折り曲げのための線などの跡を付けるクリーシングペン、文字や画像を描くインクペンが挙げられる。
【0125】
(3)上記した実施の形態においては、ヒートペンとキャリッジとを有線で接続するようにしたが、それに限られるものではないことは勿論であり、加工具とキャリッジとを無線にして通信するようにしてもよいものである。
【0126】
図8(a)(b)(c)には、加工具とキャリッジとを無線で通信するようにした場合の説明を記載している。
【0127】
図8(c)には無線通信可能な加工具の例を示している。
【0128】
通信可能な加工具の場合、加工具本体にPEN−ID EEPROMを内蔵するようにする。
【0129】
さらに、キャリッジと無線通信や赤外線通信などが可能であるように、通信手段も搭載されているものである。
【0130】
そして、通信により加工具と情報のやりとりを行う場合、加工装置のキャリッジは、例えば、図8(a)に示すように構成される。
【0131】
キャリッジ内には、RFID制御手段(RFID:Radio Frequency Identification)を有するものであり、上記RFID制御手段はサブCPUと接続する。
【0132】
そして、加工具が有する情報を、キャリッジ内のRFID制御手段において、加工具の情報の受信および加工具への情報の送信を行うようにし、得られた情報は、サブCPUを介してメインCPUへ伝達されるものである。
【0133】
また、こうしたRFID制御手段が、補正値などの読み込み、温度制御およびリーダ/ライターの役割をする。
【0134】
なお、通信可能なRFID制御手段の例を、図8(b)に示している。
【0135】
(4)上記した実施の形態においては、ペーパームーブタイプの加工装置を用いるようにしたものであるが、これに限られるものではないことは勿論であり、面積の広い基台上に記録紙を固定的に載置する、所謂、フラットベッドタイプの加工装置を用いても良いものである。
【0136】
(5)上記した実施の形態ならびに上記した(1)乃至(4)に示す変形例は、適宜に組み合わせるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0137】
本発明は、メディアに対して箔押しやカットをはじめとする各種加工を行う加工装置に利用することができるものである。
【符号の説明】
【0138】
10 加工装置、12 ベース部材、14R、14L 側方部材、16 中央壁、18 ガイドレール、20 キャリッジ、20a ホルダー、20ab 加工具把持部、20ac 蓋、20ad 開口部、20ae 留め具、20b 基板、20c サブCPU、20d リーダ/ライター、20e 温度制御部、21 昇降機構、22 ヒートペン、22a 加工部、22ab 先端部、22ac 多角部、22b 接続部、22ba コネクタ、22bb 記憶素子、24 操作パネル、26 メインCPU、28 メイン基板、30 ドライバ、32 USBインターフェース
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工装置に関し、さらに詳細には、加工対象物であるメディアの表面に所望の加工を行う際に好適な加工手段を有する加工装置に関するものである。
【0002】
なお、本明細書において、「メディア」とは、普通紙などの紙類よりなる各種の記録媒体は勿論のこと、PVC、ポリエステルなどの樹脂材料などの各種の材料が含まれるものとする。
【0003】
また、本明細書においては、メディアの幅方向を「主走査方向」と適宜称することとし、メディアの長手方向を「副走査方向」と適宜称することとする。このメディアの幅方向たる主走査方向とメディアの長手方向たる副走査方向とは、互いに直交するものである。
【背景技術】
【0004】
従来より、加工装置として、搬送装置によって副走査方向に搬送されるメディアに対して、主走査方向に移動するキャリッジに搭載したカッターペンやテーブルの搬送装置によって副走査方向に搬送されるメディアに対して、主走査方向に移動するキャリッジに搭載したヒートペンなどの加工具を用いて、当該メディアのカットや箔押しなどの加工を行うようにした加工装置が知られている。
【0005】
即ち、こうした加工装置においては、キャリッジに設けられたペンホルダーなどの加工具保持手段にカッターペンやヒートペンなどの加工具を把持させ、カッターペンの先端によりメディアのカットを行ったり、ヒートペンの先端によりメディアの箔押しなどを行ったりする加工を行うものである。
【0006】
しかしながら、従来の加工装置によれば、メディアのカットを行うカッターペンを加工具として備えたメディアカット用のカッティングプロッタと、メディアの箔押しを行うヒートペンを備えたメディア箔押し用の加工装置とは、それぞれ別異の加工装置として独立に構成されていた。
【0007】
そのため、メディアに対してカットと箔押しとの両方の加工を行う場合などは、例えば、ヒートペンを搭載したメディア箔押し用の加工装置にてメディア上に箔押し加工を行い、その後、カッティングプロッタまで移動し、箔押し済みのメディアに対してカッターペンを搭載したメディアカット用のカッティングプロッタによりカットを行う必要があり、メディアの加工作業が繁雑になるとともに長時間を要するという問題点があった。さらに、単に同じ制御では、ランディングや加減速等の内部制御が異なるため、それぞれの成果物を正しく加工することができなかった。
【0008】
また、上記したように、メディア箔押し用の加工装置には加工具としてヒートペンが搭載されており、メディアカット用の加工装置には加工具としてカッターペンが搭載されているが、こうした加工具は、製造時の誤差などによりメディアに圧接する先端部の位置が個々の加工具でずれているなどするため、各種の加工装置の工場出荷前において当該加工装置に搭載される加工具の特性に応じた設定を行い、その後に加工装置を出荷するようになされている。
【0009】
従って、工場出荷時に搭載された加工具の経年変化により当該加工具を取り外して当該加工具と同種の新しい加工具を加工装置に取り付ける場合や、工場出荷時に搭載された加工具を取り外して当該加工具とは別種の加工具を加工装置に取り付ける場合には、新たに搭載する加工具の特性に応じた設定をそれぞれ行う必要があり、加工具の交換作業が繁雑になるとともに長時間を要するという問題点があった。
【0010】
なお、本願出願人が特許出願時に知っている先行技術は、上記において説明したようなものであって文献公知発明に係る発明ではないため、記載すべき先行技術情報はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、従来の技術の有する上記したような種々の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、加工具を交換する際の作業を軽減するとともに、その作業時間を短縮化することができるようにした加工装置を提供しようとするものである。
【0012】
また、本発明の目的とするところは、メディアを加工する際の作業を軽減するとともに、その作業時間を短縮化することができるようにした加工装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明は、加工装置に搭載する加工具に記憶素子を内蔵するようにして、記憶素子に当該加工具の特性を示す各種の情報を記憶させるようにしたものである。
【0014】
また、本発明は、加工装置に搭載する加工具を交換した際に、その交換を自動で認識して、加工装置における動作モードを切り替えるようにしたものである。
【0015】
即ち、本発明は、所定の方向に移動自在に配置されたキャリッジに装着した加工具によりメディアに対して加工を行う加工装置において、加工装置本体と通信可能、かつ、書き込み可能な記憶手段を有し、キャリッジに装着可能な加工具と、上記加工具の上記記憶手段に記憶された情報を取得する取得手段と、上記取得手段より取得した情報に基づき、上記加工装置本体の動作を制御する制御手段とを有するようにしたものである。
【0016】
また、本発明は、上記加工装置本体に上記加工具が装着されたことを認識する認識手段を有し、上記制御手段は、上記認識手段が上記加工装置本体に上記加工具が装着されたことを認識したときに、上記加工具の種類に応じて上記加工装置本体の動作モードを切り替えるようにしたものである。
【0017】
また、本発明は、加工具固有の情報をもとに動作設定を補正することを特徴とする加工装置。
【0018】
また、本発明は、上記加工装置と上記加工手段との間の通信が有線または無線であるようにしたものである。
【0019】
また、本発明は、上記キャリッジが上記加工具を所定の位置に固定的に配置する位置決め機構を備えるようにしたものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、以上説明したように構成されているので、加工具を交換する際の作業を軽減することができるとともに、その作業時間を短縮化することができるようになるという優れた効果を奏する。さらには、加工具特有の特性(補正や制御)に自動切り替えすることができる。
【0021】
また、本発明は、以上説明したように構成されているので、メディアを加工する際の作業を軽減することができるとともに、その作業時間を短縮化することができるようになるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明による加工装置の実施の形態の一例を示した概略構成斜視説明図である。
【図2】図2(a)(b)は、図1に示す加工装置のキャリッジの領域を拡大して示した概略構成斜視説明図である。
【図3】図3(a)は、本発明による加工装置に用いるヒートペンの概略構成説明図であり、また、図3(b)は、図3(a)に示すヒートペンのコネクタより伝達される情報の例を示した図表である。
【図4】図4は、本発明による加工装置の構成を示すブロック説明図である。
【図5】図5(a)(b)(c)は、本発明による加工装置により実行される各処理を示したフローチャートである。
【図6】図6(a)(b)(c)は、本発明による加工装置にヒートペンを装着する方法を説明した概略説明図である。
【図7】図7は、本発明による加工装置に装着可能である加工具の種類を説明した図表である。
【図8】図8(a)(b)(c)は、本発明による加工装置の実施の形態の一例を示した概念説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明による加工装置の実施の形態の一例について詳細に説明するものとする。
【0024】
図1には、本発明による加工装置の実施の形態の一例の概略構成斜視説明図が示されている。
【0025】
この図1に示す加工装置10は、加工具22と当該加工具22を装着可能な加工装置本体10bとスタンド10aとにより構成され、加工装置本体10bの副走査方向に搬送されるメディアに対して主走査方向に移動するキャリッジに搭載された加工具を用いて、メディアに対して加工具に応じた種々の加工を行うようにしたペーパームーブタイプの加工装置である。
【0026】
この加工装置10は、主走査方向に延長して配設された固定系のベース部材12と、ベース部材12の左右両端でベース部材12に直交して配設された側方部材14L、14Rと、左右一対の側方部材14L、14Rを連結するように配設され、かつ、後述するキャリッジ20を摺動自在に支持するレールを壁面に有する中央壁16と、中央壁16の正面に主走査方向に延長して配設されたガイドレール18と、中央壁16の壁面に平行して主走査方向に沿って配設されたレールとガイドレール18とに摺動自在に支持されたキャリッジ20と、キャリッジ20を主走査方向に移動させるモーター(図示せず。)とを有して構成されている。
【0027】
そして、上記したキャリッジ20を主走査方向に移動させるXモーター(図示せず。)の駆動制御を含む加工装置10の全体の動作は、コンピューターシステムによって制御されている。
【0028】
このコンピューターシステムは、後述するメインCPU26、サブCPU20C、各種のデータを記憶するためのメモリ装置(図示せず。)などにより構成されており、メモリ装置の記憶内容をメインCPU26の制御によって順次読み出すことにより、ガイドレール18上におけるキャリッジ20の主走査方向に沿った右方向および左方向への移動を実現する。
【0029】
また、キャリッジ20は、後述するヒートペン22などの加工具を着脱自在に把持し、内蔵されている昇降機構21(上下駆動用ソレノイド)によって上下移動することができるとともに、図示しないYモータの駆動によって上記X方向と直交する方向(Y方向)に移動することができるようになされている。従って、メディアと上記キャリッジ20を相対的に移動させることにより、メディアに対して所定の加工を施すことができる。
【0030】
こうした加工装置10には、ユーザーの所望の指示を入力するための操作パネル24が配設されており、当該操作パネル24の操作により行われた各種設定の内容は、内蔵されるコンピューターシステムによって処理されて、コンピューターシステムにより実現される加工のための各種処理に用いられる情報としてメモリ装置の所定のエリアに記憶される。
【0031】
即ち、加工装置10においては、コンピューターシステムが操作パネル24や各種センサーなどからデータを受け取り、上記Xモータ、Yモータ、キャリッジ20の昇降機構等の出力機器を駆動制御して、メディアに対して所定の加工を行わせるように構成されている。
【0032】
次に、図2(a)(b)、図3(a)(b)および図6(a)(b)(c)を参照しながら、キャリッジ20に把持される加工具の一例として、ヒートペン22の構成について説明する。
【0033】
なお、図2(a)(b)には、キャリッジ20にヒートペン22を装着し、両者を有線で接続している状態を示す概略説明図が示されている。
【0034】
また、図3(a)には、加工装置10に用いるヒートペン22の構成を示すブロック説明図が示されており、図3(b)には、ヒートペン22のコネクタ22baより伝達される情報の例を示した図表が示されている。
【0035】
また、図6(a)(b)(c)には、ヒートペン22をキャリッジ20へ固定的に装着する方法を示した概念説明図が示されている。
【0036】
ここで、ヒートペン22とは、メディアに対して当該メディアと接する先端部より熱を加えて転写箔(金箔)を印刷するなどの箔押し加工を行うための加工具である。
【0037】
こうしたヒートペン22は、メディアに対して加工を行う加工部22aと、キャリッジ20に接続される接続部22bとより構成される。
【0038】
そして、加工部22aは、キャリッジ20の側面に配設されているホルダー20aに、着脱可能に取り付けられる。
【0039】
より詳細には、ヒートペン22の加工部22aは、その先端に金属などの熱伝導可能な材料よりなる先端部22aaを有して構成される。
【0040】
そして、先端部22aaをメディアに当接させて当該メディアに加工を行うものであり、そうした先端部22aaを有する加工部22aを、ホルダー20aが把持しているものである。
【0041】
さらに、ヒートペン22の加工部22aには、ホルダー20aに載置する際に高さ方向の位置決め用の凸部22abが形成されている。また、凸部22abの上方には、ヒートペン22の回転防止のためのストッパーとして、多角部22acが形成されている。
【0042】
図6(a)に示すように、凸部22abは、その外周が加工部22aの外周よりも大きく形成されている。そして、凸部22abは、ホルダー20aの内側の上面20aaに載置されるようになされている。
【0043】
そして、多角部22acは、その外周が加工部22aの外周とほぼ同一で、かつ、角柱形状になるように形成されている。
【0044】
一方、ホルダー20aは加工具把持部20abと蓋20acとより構成されており、蓋20acは開閉可能に加工具把持部20abに接続されている。
【0045】
そして、ホルダー20aの蓋20acには、ヒートペン22の凸部22abに嵌合可能な開口部20adが設けられている。
【0046】
図6(b)に示すように、開口部20adがヒートペン22の凸部22abに嵌合するように蓋20acを閉じ、留め具20aeで蓋20acを固定して、キャリッジ20に対するヒートペン22の位置決めを行う。
【0047】
また、図6(c)には、図6(b)に示すVIC矢印方向から見た場合の矢視説明図を示しているが、図6(c)に示すように、ヒートペン22の多角部22acのひとつの面とホルダー20aの蓋ad内側の面とが圧接されてヒートペン22の回転が防止され、キャリッジ20に対するヒートペン22の位置決めがなされる。
【0048】
一方、ヒートペン22のコネクタ22ba内部には、書き換え可能な記憶素子22bb(図3(a)を参照する。)およびヒーター(図示せず。)が内蔵されている。
【0049】
記憶素子22bbは、ヒートペン22の特性を示す各種の情報、例えば、ホルダー20aにヒートペン22を取り付ける際にヒートペン22の製造誤差などの特性に応じてキャリッジ20の移動を補正するための補正値や、加工具の種別や、箔押し加工時のオフセット値や、先端部22aaの径などが記憶される。
【0050】
ここで、加工具の種別とは、加工具の種類を示すものであり、こうした情報を記憶素子22bbに記憶しておくことで、加工装置10は、接続された加工具が、ヒートペンであるか、あるいは、カッターペンであるかなどの加工具の種類の判断を行うことが可能となる。
【0051】
また、オフセット値とは、加工装置10に加工具を取り付けた際に、加工装置10が有するセンター位置と加工具の中心とのずれ、所謂、芯ずれを示すものである。
【0052】
記憶素子22bbとしては、ICチップ(IC:集積回路)やEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)などが挙げられる。
【0053】
なお、本実施の形態においては、1−wire(登録商標)EEPROMを用いることとする。
【0054】
上記において説明したオフセット値や加工具の径などの値は、加工具たるヒートペン22を加工装置10に取り付ける際に補正を行うためのパラメータとなり、こうしたパラメータはユーザーによって書き換え可能である。
【0055】
そのため、長年使用している加工具たるヒートペン22と加工装置10との間に生じたずれが予め記憶されているパラメータと合わなくなった場合などには、新たにパラメータを設定して記憶素子22bbの内容を書き換えることが可能である。
【0056】
また、加工具たるヒートペン22を交換する際には、新たにパラメータを設定して記憶素子22bbに記憶させることが可能である。
【0057】
さらに、こうしたパラメータの値は、加工具たるヒートペン22の記憶素子22bbに記憶させているため、加工装置10を使用するたびに新たに設定する必要がない。
【0058】
次に、ヒートペン22の加工部22aの先端部22aaと対向する端部に接続されている接続部22bについて説明する。
【0059】
ヒートペン22の先端部22aaとキャリッジ20とは、接続部22bを介して電気的に接続されている。
【0060】
こうした接続部22bは、一方の端部が加工部22aと着脱可能に連結しており、また、他方の端部はコネクタ22baとなっている。
【0061】
こうしたコネクタ22baは、例えば、8本の信号ピンを備えており、キャリッジ20の側面に設けられたソケット部に接続される。
【0062】
そして、コネクタ22baを介して、ヒートペン22が有する固有の補正値であるパラメータの情報などがキャリッジ20に伝達され、キャリッジ20より加工装置10へ伝達される。
【0063】
次に、図3(a)を参照しながら、ヒートペン22とキャリッジ20との情報伝達について詳細に説明する。
【0064】
キャリッジ20には基板20bが内蔵されており、基板20bにサブCPU20c、リーダ/ライター20dおよび温度制御部20eが配置されている。
【0065】
さらに、サブCPU20cは、加工装置10のメインCPU26と電気的に接続されており、メインCPU26よりの信号を受け取り、サブCPU20cより温度制御部20eへ伝達する。
【0066】
そして、ヒートペン22のコネクタ22baと基板20bとは電気的に接続しており、コネクタ22baより伝達されたヒートペン22の情報をリーダ/ライター20dにおいて読み込む処理や、温度制御部20eによるヒートペン22の制御などがコネクタ22baを介して行われる。
【0067】
なお、コネクタ22baの8本の信号ピンは、それぞれ、図3(b)の図表に示す各機能を有するものであり、各信号の伝達を行うものである。
【0068】
上記のようにして、コネクタ22baに内蔵された記憶素子22bbの情報をキャリッジ20の基板20bを介して、加工装置10に伝達することが可能となっている。
【0069】
次に、図4を参照しながら、本発明による加工装置10の動作モード切り替え機能について説明することとする。
【0070】
図4には、加工装置10の構成を示すブロック構成説明図が示されているが、コンピューターシステムのメイン基板28に、メインCPU26およびドライバ30が搭載されている。
【0071】
また、メインCPU26には、キャリッジ20のサブCPU20c、操作パネル24、USBインターフェース32とが接続されている。
【0072】
そして、図4に示すように、加工装置10のメインCPU26とキャリッジ20のサブCPU20cとは接続されており、キャリッジ20に接続された加工具たるヒートペン22の記憶素子22bbに記憶されている情報が、キャリッジ20のサブCPU20cからメインCPU26へと伝達される。
【0073】
さらに、メインCPU26がアクセス可能なメイン基板28に搭載された記憶装置(図示せず。)には、加工具の種類を認識するためのソフトウェアが記憶されており、加工具のコネクタPEN−IDに記憶された情報に従って加工具の種類を認識し、動作モードの切り替えを行う機能を実現している。
【0074】
即ち、コネクタPEN−IDとは、加工具の種別が記憶されている記憶素子を有するコネクタであり、こうしたコネクタPEN−IDの情報をもとに、加工装置10では接続されている加工具がカッターペンであるか、ヒートペンであるかなどを認識し、加工具の種別に合わせて動作モードを切り替え、加工装置10の動作を決定するものである。
【0075】
さらに、加工具がヒートペンであった場合には、上記ソフトウェアの制御によりヒートペンが有するパラメータの情報を読み取り、ヒートペンに適した後述する処理が行われることになる。
【0076】
なお、図4に示すように、本実施の形態による加工装置10のメインCPU26には、上記の他に、電源、ファンモーター、スキャンエンコーダーおよびフィードエンコーダーとが接続されている。
【0077】
以上の構成において、本実施の形態による加工装置10を用いた箔押し加工の際に加工装置10において行われる処理について説明する。
【0078】
まず、加工装置10が加工具の種類を認識する仕組みの概要について説明するものとする。
【0079】
加工装置10に加工具が装着されると、キャリッジ20の内部のサブCPU20cにおいて、図5(a)に示す加工具の設定処理が行われる。
【0080】
はじめに、加工装置10において、キャリッジ20に加工具が装着、もしくは、交換されたことを認識し、加工具の選択処理が開始されると、ステップS502において、加工具がヒートペンか否かの判断処理が行われる。
【0081】
この判断処理においては、加工具のコネクタPEN−IDの記憶された情報を確認することにより、加工具の性質を判断するものである。
【0082】
ここで、装着された加工具のコネクタPEN−IDにヒートペンであることが記憶されているものとすると、ステップS502においてYesと判断され、ステップS504に進む。
【0083】
次に、ステップS504においては、装着された加工具がヒートペンであることをメインCPU26に伝達し、操作パネル24に表示するメニューを箔押しメニューとする処理が行われる。
【0084】
より詳細には、装着された加工具がヒートペンであることを、サブCPU20cよりメインCPU26へ伝達する処理が行われ、さらに、メインCPU26において、ヒートペンが装着されたことから、メニューを箔押し用のメニューとして設定し、加工装置10を箔押し用の動作モードに切り替えて、箔押し用の動作モードとして機能するさせるための各種の設定を行う。
【0085】
こうしてステップS504の処理を行うと、加工具の設定処理を終了する。
【0086】
また、装着された加工具がヒートペンではなくカッターペンであった場合には、ステップS502の判断処理においてはNoと判断され、ステップS506に進む。
【0087】
そして、ステップS506においては、装着された加工具がカッターペンであることをメインCPUに伝達し、操作パネル24に表示するメニューをカットメニューとする処理が行われる。
【0088】
より詳細には、装着された加工具がカッターペンであることを、サブCPU20cよりメインCPU26へ伝達する処理が行われ、さらに、メインCPU26において、カッターペンが装着されたことから、メニューをカット用メニューとして設定し、加工装置10をカット用の動作モードに切り替えて、カット用の動作モードとして機能するさせるための各種の設定を行う。
【0089】
こうしてステップS506の処理を行うと、加工具の設定処理を終了する。
【0090】
次に、本実施の形態による加工装置10では、キャリッジ20に装着されたヒートペン22のパラメータを読み取る処理が行われる。
【0091】
こうした処理は、図5(b)に示すヒートペン設定値読み取り処理のフローチャートに従って行われる。
【0092】
はじめに、ヒートペン設定値読み取り処理の動作が開始されると、ステップS602の判断処理において、ヒートペン22がキャリッジに装着されたか否かの判断処理が行われる。
【0093】
ここで、加工装置10にヒートペン22が装着されたものとすると、ステップS602の判断処理においてYesと判断され、ステップS604に進む。
【0094】
次に、ステップS604においては、ヒートペン22の記憶素子22bbから設定値を読み取る処理が行われる。
【0095】
このステップS604では、ヒートペン22に内蔵されている記憶素子22bbに記憶されているヒートペン22の補正値などを読み取り、メインCPU26へ伝達する。メインCPU26では、伝達された補正値などに応じて処理を行う。
【0096】
即ち、キャリッジ20に装着された加工具がヒートペン22であった場合には、ヒートペン22を用いて行う箔押し処理を行うことになるため、自動的に箔押し動作処理が開始されるものである。
【0097】
こうしてヒートペン設定値読み取り処理が終了する。
【0098】
一方、キャリッジ装着されている加工手段がヒートペン22以外の加工具であった場合には、ステップS602の判断処理においてはNoと判断され、ヒートペン設定値読み取り処理を終了となる。
【0099】
このように、メインCPU26において行われるヒートペン設定値読み取り処理により、加工装置10ではヒートペン22が装着されたことが認識するようになされているものである。
【0100】
図5(c)には、箔押し動作処理のフローチャートを示している。
【0101】
箔押し動作処理が開始されると、ステップS702において、加工データがあるか否かの判断処理が行われる。
【0102】
こうした加工データとは、加工装置10がメディアに対して行う加工処理の内容であり、加工データは、例えば、外部接続されたコンピューターなどから加工装置10内のメインCPU26より読み出されるものである。
【0103】
ここでは、加工データがあるものとすると、ステップS702の判断処理においてYesと判断され、ステップS704に進む。
【0104】
そして、ステップS706においては、設定値があるか否かの判断処理が行われる。
【0105】
ここでは、ヒートペン22の記憶素子22bbに設定値が記憶されているか否かの判断処理が行われる。
【0106】
ここで、ヒートペン22に設定値が設定されているものとすると、ステップS704においてYesと判断され、ステップS706に進む。
【0107】
なお、ここで、設定値が設定されていない場合は、ステップS704においてNoと判断され、ステップS708に進むものである。
【0108】
ステップS706においては、データを設定値に応じて補正する処理が行われる。
【0109】
例えば、装着しているヒートペン22の軸が中心とわずかにずれている場合、加工装置10の中心位置にヒートペン22の軸を補正して両者が一致するように調整を行ってから加工を行う必要があるものである。
【0110】
そのため、ステップS706においては、あらかじめヒートペン22の記憶素子22bbに記憶されている補正値などを用いて、ヒートペン22の軸についての調整が行われる。
【0111】
こうした調整が行われると、加工装置10によるメディアへの加工の準備が整うため、次の処理に進むことができるものである。
【0112】
そして、ステップS708においては、箔押し処理が行われる。
【0113】
ここでは、実際に上記加工データに従って、ヒートペン22の先端によるメディアへの箔押し作業が行われる。
【0114】
ステップS708の処理が終了すると、ステップS702にもどり、ふたたび、加工データがあるか否かの判断処理が行われる。
【0115】
ここで、加工データがない場合には、ステップS702においてNoと判断され、処理が終了となる。
【0116】
上記において説明したように、本発明による加工装置10によれば、装着された加工具の種類を自動で認識し、加工装置の動作モードの切り替えが可能である。
【0117】
また、本発明による加工装置10によれば、装着された加工具がヒートペン22であった場合には、ヒートペン22の固有の補正値などを認識し、自動で中心の位置を調整することが可能である。
【0118】
なお、上記した実施の形態は、以下の(1)乃至(5)に示すように変形することができるものである。
【0119】
(1)上記した実施の形態においては、加工具の回転防止手段として、凸部22abを開口部20adに嵌合し、多角部22acの面と蓋20acの内側とが圧接するようにして加工具の回転を防止して位置決めするものとしたが、これに限られるものではないことは勿論である。
【0120】
例えば、他の回転防止手段の一例としては、本実施の形態のヒートペン22を例として示すと、ヒートペン22の凸部22abに小さい孔を穿設し、加工具であるヒートペン22を載置するホルダー20aの上面20aaに上記孔に嵌合する形状を有する凸部を設置させるようにする。
【0121】
そして、加工具を載置する際に、上記孔と上記凸部とが嵌合するように載置することにより、加工具の回転を防止して位置決めすることができる。
【0122】
また、他の回転防止手段の一例としては、加工具の円筒部分の側面に凸部を配置し、上記凸部に合う孔を把持部の側面に穿設させる。そして、上記凸部と上記孔とを嵌合させるように加工具を載置すると、加工具の回転を防止して位置決めすることができる。
【0123】
(2)上記した実施の形態においては、加工具としてヒートペンもしくはカッターペンを例として説明したが、それに限られるものではないことは勿論であり、図7に示した各種加工具を使用することも可能である。
【0124】
加工具の種類としては、カッターペン、ヒートペンの他に、メディアに対して折り曲げのための線などの跡を付けるクリーシングペン、文字や画像を描くインクペンが挙げられる。
【0125】
(3)上記した実施の形態においては、ヒートペンとキャリッジとを有線で接続するようにしたが、それに限られるものではないことは勿論であり、加工具とキャリッジとを無線にして通信するようにしてもよいものである。
【0126】
図8(a)(b)(c)には、加工具とキャリッジとを無線で通信するようにした場合の説明を記載している。
【0127】
図8(c)には無線通信可能な加工具の例を示している。
【0128】
通信可能な加工具の場合、加工具本体にPEN−ID EEPROMを内蔵するようにする。
【0129】
さらに、キャリッジと無線通信や赤外線通信などが可能であるように、通信手段も搭載されているものである。
【0130】
そして、通信により加工具と情報のやりとりを行う場合、加工装置のキャリッジは、例えば、図8(a)に示すように構成される。
【0131】
キャリッジ内には、RFID制御手段(RFID:Radio Frequency Identification)を有するものであり、上記RFID制御手段はサブCPUと接続する。
【0132】
そして、加工具が有する情報を、キャリッジ内のRFID制御手段において、加工具の情報の受信および加工具への情報の送信を行うようにし、得られた情報は、サブCPUを介してメインCPUへ伝達されるものである。
【0133】
また、こうしたRFID制御手段が、補正値などの読み込み、温度制御およびリーダ/ライターの役割をする。
【0134】
なお、通信可能なRFID制御手段の例を、図8(b)に示している。
【0135】
(4)上記した実施の形態においては、ペーパームーブタイプの加工装置を用いるようにしたものであるが、これに限られるものではないことは勿論であり、面積の広い基台上に記録紙を固定的に載置する、所謂、フラットベッドタイプの加工装置を用いても良いものである。
【0136】
(5)上記した実施の形態ならびに上記した(1)乃至(4)に示す変形例は、適宜に組み合わせるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0137】
本発明は、メディアに対して箔押しやカットをはじめとする各種加工を行う加工装置に利用することができるものである。
【符号の説明】
【0138】
10 加工装置、12 ベース部材、14R、14L 側方部材、16 中央壁、18 ガイドレール、20 キャリッジ、20a ホルダー、20ab 加工具把持部、20ac 蓋、20ad 開口部、20ae 留め具、20b 基板、20c サブCPU、20d リーダ/ライター、20e 温度制御部、21 昇降機構、22 ヒートペン、22a 加工部、22ab 先端部、22ac 多角部、22b 接続部、22ba コネクタ、22bb 記憶素子、24 操作パネル、26 メインCPU、28 メイン基板、30 ドライバ、32 USBインターフェース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の方向に移動自在に配置されたキャリッジに装着した加工具によりメディアに対して加工を行う加工装置において、
加工装置本体と通信可能、かつ、書き込み可能な記憶手段を有し、キャリッジに装着可能な加工具と、
前記加工具の前記記憶手段に記憶された情報を取得する取得手段と、
前記取得手段より取得した情報に基づき、前記加工装置本体の動作を制御する制御手段と
を有することを特徴とする加工装置。
【請求項2】
請求項1に記載の加工装置において、さらに、
前記加工装置本体に前記加工具が装着されたことを認識する認識手段を有し、
前記制御手段は、前記認識手段が前記加工装置本体に前記加工具が装着されたことを認識したときに、前記加工具の種類に応じて前記加工装置本体の動作モードを切り替える
ことを特徴とする加工装置。
【請求項3】
請求項1または2のいずれか1項に記載の加工装置において、
加工具固有の情報をもとに動作設定を補正することを特徴とする加工装置。
【請求項4】
請求項1、2または3のいずれか1項に記載の加工装置において、
前記加工装置と前記加工具との間の通信は、有線または無線である
ことを特徴とする加工装置。
【請求項5】
請求項1、2、3または4のいずれか1項に記載の加工装置において、
前記キャリッジは、前記加工具を所定の位置に固定的に配置する位置決め機構を備えた
ことを特徴とする加工装置。
【請求項1】
所定の方向に移動自在に配置されたキャリッジに装着した加工具によりメディアに対して加工を行う加工装置において、
加工装置本体と通信可能、かつ、書き込み可能な記憶手段を有し、キャリッジに装着可能な加工具と、
前記加工具の前記記憶手段に記憶された情報を取得する取得手段と、
前記取得手段より取得した情報に基づき、前記加工装置本体の動作を制御する制御手段と
を有することを特徴とする加工装置。
【請求項2】
請求項1に記載の加工装置において、さらに、
前記加工装置本体に前記加工具が装着されたことを認識する認識手段を有し、
前記制御手段は、前記認識手段が前記加工装置本体に前記加工具が装着されたことを認識したときに、前記加工具の種類に応じて前記加工装置本体の動作モードを切り替える
ことを特徴とする加工装置。
【請求項3】
請求項1または2のいずれか1項に記載の加工装置において、
加工具固有の情報をもとに動作設定を補正することを特徴とする加工装置。
【請求項4】
請求項1、2または3のいずれか1項に記載の加工装置において、
前記加工装置と前記加工具との間の通信は、有線または無線である
ことを特徴とする加工装置。
【請求項5】
請求項1、2、3または4のいずれか1項に記載の加工装置において、
前記キャリッジは、前記加工具を所定の位置に固定的に配置する位置決め機構を備えた
ことを特徴とする加工装置。
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図1】
【図2】
【図6】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図1】
【図2】
【図6】
【公開番号】特開2013−99810(P2013−99810A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244357(P2011−244357)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000116057)ローランドディー.ジー.株式会社 (163)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000116057)ローランドディー.ジー.株式会社 (163)
【Fターム(参考)】
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