説明

加工複合建築材料およびその製造方法

1つまたは複数の加工表面下領域を有するファイバーセメントなどの加工複合建築材料を提供する。この表面下領域は、建築材料に改善された耐水浸入性、塗料密着性、および他の機械的性質を与えるように設計されている。この表面下領域は、基体の気孔へ含浸剤を導入することによって形成されたセメントポリマーマトリックスを有する。この複合建築材料は、基体の表面下領域に含浸剤を適用して、建築材料のマトリックス、補強繊維、および/またはこの材料に塗布した表面コーティングと、化学的および/または機械的結合を形成することにより形成することができる。表面下領域の厚さは、建築材料基体の粘度および気孔率を変えることにより制御することができる。このセメントポリマー建築材料は、耐久性、耐候性、強度、および剛性が向上している。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
本発明は、一般に複合建築材料に関し、特に加工セメントポリマーマトリックス(engineered cement−polymer matrix)を有する複合建築材料に関する。
【0002】
明細書全体における従来技術のいかなる考察も、こうした従来技術が広く知られていること、またはその分野における共通の一般知識の一部を形成していることを認めるものであると決して見なすべきではない。
【0003】
繊維強化複合材料(特にファイバーセメント)は建築材料として普及している。多くの場合、ファイバーセメントは、木材、金属またはプラスチックなどのより古い材料よりも好まれている。木材と比較した場合、ファイバーセメントは耐水性が高く、さらに腐りにくく、割れにくく、または裂けにくい。さらに、通常決まった色で販売されている金属またはビニル外装材とは異なり、ファイバーセメント品は、通常木材に塗布する標準的なアクリル系外装用塗料の任意の色を用いて現場で塗装することができる。
【0004】
ファイバーセメント上の塗料の耐用年数を延ばすためには、ファイバーセメントに吸収された湿気を減らして、吸収された湿気がコーティングの結合性に及ぼすマイナス効果を低下させることが一般に望ましい。大部分の塗料は水の浸入に抵抗できるように見えるかもしれないが、これらの塗料は、依然としてある程度は水が浸透する性質を有しており、塗料と基体との結合性(integrity)および接着性は基体に吸収された湿気の量によってマイナスの影響を受ける恐れがある。
【0005】
従来のコンクリート用シーラー(concrete sealers)は、セルロース、ガラス、鋼またはポリマー繊維を含む、セメント質、石膏、または他の無機複合材料にはうまく機能しない。こうした従来のシーラーは通常粘度が高く、複合材料の表面で膜を形成する傾向がある。従来のシーラーは、複合体の表面下層に浸透するようには配合されておらず、そこにある気孔を湿気からブロックすることはない。
【発明の概要】
【0006】
発明の概要
以上のことを考慮して、本明細書では、水の浸入に抵抗して外表面上の塗料および/またはトップコート(topcoat)の耐用年数を向上させる方法、配合物、および建築材料製品を説明する。本明細書が提供する加工建築材料(engineered building materials)は、耐候性が改善されており、材料の基体と外部塗料またはコーティングとの耐久性接着を維持することができる。
【0007】
一形態では、本明細書の複合建築材料は、基体の気孔を効率的に充填し、その気孔を湿気からブロックするために、複合体の表面下層(subsurface layers)に浸透する手段を備えている。本明細書で使用される「含浸させる」、「含浸している」また、「含浸」という用語は、建築材料の1つまたは複数の表面下領域(建築材料のコアマトリックス(core matrix)を含む)に添加した化合物を染み込ませるか、浸透させるか、飽和させることを意味するものである。
【0008】
本発明の実施形態は、所定の気孔率を有するセメント質基体(cementitious substrate)と、この基体に形成された表面下領域(subsurface region)とを含む加工複合建築材料(engineered composite building materials)を含むことができる。この表面下領域は、建築材料の吸湿を低減するように構成されたセメントポリマーマトリックス(cement−polymer matrix)を含む。セメントポリマーマトリックスは、基体中の水酸官能基(hydroxyl functional groups)と化学結合する高分子含浸剤を含んでもよい。表面下領域の厚さは、含浸剤の粘度およびセメント質基体の気孔率で決まる。一実施形態では、含浸した表面下領域の厚さは、約10ミクロン、好ましくは50ミクロン、好ましくは100ミクロン以上である。別の実施形態では、含浸した表面下領域の厚さは、約100ミクロンであり、より好ましくは150、200、250、300ミクロンまたはそれ以上である。さらに別の実施形態では、含浸した表面下領域の厚さは実質的にファイバーセメントマトリックス(fiber cement matrix)の厚さと同じである。
【0009】
1つまたは複数の実施においては、含浸剤は、1種または複数種のイソシアネート、エポキシ、アクリル樹脂、不飽和二重結合を有する有機物、およびこれらの混合物からなる群から選択される。ある実施形態では、含浸剤は、1個または複数のブロックされた官能基を有するイソシアネート化合物を含む。含浸剤は、シラン、低粘度オリゴマーまたはモノマー、およびこれらの組合せからなる群から選択してもよい。一実施形態では、含浸剤は、未硬化状態では、25℃で約300センチポアズ(cps)未満の粘度を有する低粘度材料である。ある実施形態においては、含浸剤は、有機過酸化物、アゾ化合物、およびこれらの混合物からなる群から選択される重合開始剤をさらに含む。含浸剤は、さらに第三級アミン、金属塩、およびこれらの組合せからなる群から選択される触媒を含んでもよい。好ましくは、選択された1種または複数種の含浸剤は、ファイバーセメントマトリックス中に分散した遊離の水酸基および他の官能基と非加水分解性結合(non−hydrolysable bonds)を形成する。一実施形態では、ファイバーセメントマトリックスはセルロース繊維を含み、含浸剤はセルロース繊維に結合した遊離の水酸基と非加水分解性結合を形成する。他の実施形態では、ファイバーセメントマトリックスは、ポリビニルアルコール(PVA)、変性ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、およびポリエステル繊維からなる群から選択されるポリマーファイバーを含む。一実施形態では、含浸剤は自己硬化性化合物を含む。
【0010】
ある実施形態では、この複合建築材料は、建築材料の外面上に形成された外部コーティングをさらに含む。この外部コーティングは、塗料、トップコート、プライマー、シーラー(sealers)、およびこれらの組合せからなる群から選択することができる。一実施形態では、含浸剤は、外部コーティングと化学結合を形成して、コーティングとファイバーセメントマトリックスとの結合強度を改善する。別の実施形態では、含浸した表面下領域は、建築材料の弾性率を約5%以上増加させる。ある実施形態においては、含浸した表面下領域は、必要な材料特性、例えば、破壊係数(MOR)、弾性率(MOE)、およびZ方向引張強さなどを保持したまま、建築材料の吸水率を非処理の同じ材料の吸水率値の約10%以上低下させ、凍結融解サイクル(freeze thaw cycle)を非処理の同じ材料の約15%以上増加させる。建築材料は、石膏ボード、繊維セメント板、メッシュまたは長繊維によって強化された繊維セメント板、短繊維、メッシュまたは長繊維によって強化された石膏ボード、無機集成材および繊維複合材料、ジオポリマー集成材およびファイバーボード、コンクリート製屋根瓦材料、および繊維プラスチック複合材料からなる群から選択することができる。
【0011】
本発明の他の実施形態は、加工複合建築用品の形成方法を提供することができる。1つまたは複数の方法は、セメント質基体を形成するステップと、硬化性含浸剤が基体の表面下領域の所定深さまで浸透するように含浸剤を基体の表面下領域に組み込むステップとを含む。本方法は、含浸剤が所定深さまで基体に浸透した後、含浸剤を硬化させるステップをさらに含むことができる。好ましくは、この硬化性含浸剤は、25℃で約500cps以下の粘度を有している。一実施形態では、この含浸剤は自己的に硬化することができる。ある実施形態では、本方法は、表面下領域に硬化性含浸剤を組み込む前にこの含浸剤の粘度を低下させるステップをさらに含む。一実施形態では、表面下領域に硬化性含浸剤を組み込むステップは、基体が硬化した後、基体の外面にこの材料を適用するステップと、硬化した基体の所定深さまで含浸剤を浸透させるステップとを含む。一実施形態では、所定深さは少なくとも約10ミクロンである。別の実施形態では、所定深さは少なくとも約100ミクロンである。
【0012】
一実施形態においては、セメント質基体に硬化性含浸剤を組み込むステップは、硬化性含浸剤を、セメント質基体を形成する成分と組み合わせるステップとグリーン成形品を形成するステップとを含み、この硬化性含浸剤は、グリーン成形品の少なくとも一部に全体にわたって分布している。他の実施形態においては、セメント質基体に硬化性含浸剤を組み込むステップは、セメント質基体を形成する成分を組み合わせてグリーン成形品を形成するステップと、次いでグリーン成形品の外表面に硬化性含浸剤を適用するステップとを含む。硬化性含浸剤は、好ましくは25℃で約500cps以下の粘度を有しており、より好ましくは25℃で約300cps以下の粘度を有している。ある実施形態では、本方法は、建築用品に保護コーティングを塗布するステップをさらに含む。ある実施形態においては、本方法は、周囲温度、高温、低温、真空、圧力、大気圧、UV、赤外線、電子線、マイクロ波または他の放射線、およびこれらの組合せからなる群から選択される成形条件下で硬化性含浸剤を硬化させるステップをさらに含む。硬化性含浸剤は、真空コーター、浸漬、オーバーフローコーター(flooding coater)、直接ローラーコーター、噴霧器、ファウンテンコーター(fountain coater)、ブラシコーター、シーソーコーター(sea saw coater)、およびカーテンコーター、あるいは他のコーターまたは反応槽、ならびにこれらの組合せからなる群から選択されるプロセスによってセメント質基体に塗布することができる。セメント質基体は、空気硬化、水硬化(高温または周囲条件)、マイクロ波硬化、オートクレーブ硬化、およびこれらの組合せからなる群から選択されるプロセスによって硬化することができる。
【0013】
さらに別の実施における実施形態は、セメントポリマーマトリックスを含む表面下領域を有する加工複合建築材料を提供することができる。このセメントポリマーマトリックスは、少なくとも10ミクロンの厚さを有し、表面下領域のない等価な複合建築材料と比較して、建築材料の吸湿を約15%以上低下させるように構成されている。
【0014】
さらに別の実施における実施形態は、1種または複数種の含浸剤を有する複合建築材料を提供することができる。これらの含浸剤は、好ましくは、複合建築材料の1種または複数種の成分と化学的および/または機械的結合を形成することができる。これらの化学的および/または機械的結合は、好ましくは耐凍結融解性かつ非加水分解性であり、したがって材料の耐久性を向上させる。一実施形態では、含浸剤は、セメント質マトリックス、少なくとも1種の補強繊維、および/またはシーラー、プライマー、トップコートまたは塗料などの外部コーティングと化学的および/または機械的結合を形成するように選択される。
【0015】
一実施形態によれば、複合建築材料は、無機バインダー、補強繊維、反応性含浸剤、1種または複数種の骨材、および1種または複数種のフィラーもしくは添加剤を含む繊維強化無機複合材料である。無機バインダーとしては、それだけに限らないが、ポルトランドセメント、高アルミナセメント、石灰、高炉スラグ微粉末セメント(ground granulated blast furnace slag cement)、および高燐酸セメント、またはこれらの混合物を挙げることができる。骨材としては、それだけに限らないが、粉砕ケイ砂、非晶質シリカ、マイクロシリカ、ケイソウ土、石炭燃焼フライアッシュおよびボトムアッシュ(coal combustion fly and bottom ahes)、ガラスのミクロスフェア、プラスチックビーズおよびミクロスフェア、セラミック、ポリマー、予備反応型ケイ酸カルシウム水和物粒子、炭酸カルシウム粒子、もみ殻灰、高炉スラグ、水砕スラグ、鉄鋼スラグ、無機酸化物、無機水酸化物、粘土、マグネサイトまたはドロマイト、金属酸化物および水酸化物、ポリマービーズ、あるいはこれらの混合物を挙げることができる。補強繊維としては、それだけに限らないが、化学、機械または熱機械パルプなどの様々な形態のセルロース繊維、セラミックファイバー、ガラス繊維、ミネラルウール、鋼繊維、およびポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ビスコース、ナイロン、PVC、PVA、レーヨンなどの合成高分子繊維、ガラスセラミック、炭素、またはこれらの任意の混合物を挙げることができる。これらの繊維は、さらに国際公開WO0228796およびWO0228795に開示されたものなどの加工セルロース繊維(engineered cellulose fibers)を含んでもよい。これらは、すべての目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。フィラーとしては、それだけに限らないが、低密度の有機および無機不活性粒子を挙げることができる。添加剤としては、それだけに限らないが、密度調節剤、分散剤、シリカフューム、地熱シリカ(geothermal silica)、難燃剤、増粘剤、顔料、着色剤、分散剤、発泡剤、凝集剤、防水剤、有機密度調節剤、アルミニウム粉、カオリン、アルミナ三水和物、雲母、メタカオリン、炭酸カルシウム、ウォラストナイト(wollastonite)、高分子樹脂乳濁液、およびこれらの混合物を挙げることができる。
【0016】
ある実施形態では、含浸剤としては、それだけに限らないが、低粘度イソシアネート、低粘度エポキシ、不飽和二重結合を有する低粘度有機物、シランまたはその低粘度オリゴマー、低粘度アクリル樹脂、他の低粘度ポリマー、およびこれらの乳濁液または分散液が挙げられる。含浸剤は、上記化学物質の1種または複数種の成分を含んでもよい。さらに含浸剤は、固形物として上記化学物質を含んでもよく、または水、溶媒および他の希釈剤と共に上記化学物質を含んでもよい。好ましくは、含浸剤の粘度は、25℃で約500cps未満であり、25℃で約200cps未満である。より好ましくは、25℃で、250、200、175、150、125、100、75、50、25、10、1、または0.1cps未満である。好ましくは、含浸剤は、補強繊維および/または他の成分の表面上で、ならびに/あるいは引き続き塗布したコーティング上で、マトリックス材料全体にわたって分散した遊離の水酸基(−OH)または他の反応性基と反応することができる。
【0017】
ある実施の実施形態は、さらに含浸剤と仕上げコーティングとを含む耐久性仕上げファイバーセメント材料を形成する方法を含むこともできる。仕上げコーティングは、含浸剤の硬化前にファイバーセメント材料に塗布してもよく、含浸剤の硬化後に塗布してもよい。未硬化含浸ファイバーセメント上の仕上げコーティングは、含浸剤硬化時の含浸剤の蒸発を実質的になくすか、または最小化する。これにより、製造時のVOCを低下させる利点、および含浸剤の保持を改善する利点を得ることができる。一実施形態では、シランおよびイソシアネートなどの含浸剤は、ファイバーセメント中の−OH基ならびに基体および空気中の水分と反応することができ、したがって周囲条件下で硬化することができる。
【0018】
本明細書に記述されるいくつかの実施形態および実施は、建築用品を形成するための配合物を提供することができる。この配合物は、繊維強化セメント質基体を形成するための成分と、25℃で約500cps未満の粘度を有する硬化性高分子化合物を含む含浸剤とを含むことができる。好ましくは、含浸剤は、繊維強化セメント質基体を形成する1種または複数種の成分と非加水分解性化学結合を形成するように選択される。一実施形態では、繊維強化セメント質基体を形成する成分は、セルロース繊維、PVA繊維、PP繊維、PE繊維、ポリエステル繊維、炭素繊維、鋼繊維、およびこれらの組合せからなる群から選択される繊維を含む。
【0019】
ある実施形態は、吸水率、吸水速度、水移動性、および水透過性がいずれも低下した望ましい特徴を有する仕上げファイバーセメント建築材料を有利に提供することができる。ある実施形態は、従来のファイバーセメント製品と比較して、塗料密着性、耐凍結融解性、耐薬品性、耐塩性などが向上し、機械的性質が改善した最終製品を提供することができる。
【0020】
図面の簡単な説明
本明細書に記載した本発明の特徴および利点をより完全に理解するために、以下に添付の図面と共に本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、建築材料の1種または複数種の成分と化学的および/または機械的結合を形成することができる、1種または複数種の含浸剤を含む表面下領域を示す一実施形態の複合建築用品の横断面概略図である。図1A〜1Cは、建築用厚板の形の複合建築用品の一実施形態を示す図である。
【図2】図2は、本明細書に記載の一実施形態によって複合建築用品を形成するプロセスを示す図である。
【図3】図3は、一実施形態に従って製造された含浸ファイバーセメント試料の横断面写真である。
【図4】図4は、含浸ファイバーセメント試料の凍結融解サイクル後のMOE結果を、含浸していない等価なファイバーセメント試料の結果と比較した図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
実施形態の詳細な説明
様々な実施形態を作りこれを使用することについて以下に詳細に論ずるが、これらの記述が、多種多様なコンテクストで具現化できる多くの発明概念を提供することを理解されたい。本明細書で論じられる特定の態様および実施形態は、本発明を作りこれを使用する方法を単に例証するに過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
【0023】
ここで図面を参照すると、似ている数字は、全体にわたって似ている部分または類似の部分を指す。図面は必ずしも寸法通りではなく、明瞭さおよび簡明さのために、特定の特徴の寸法を誇張して、あるいはそれを多少一般化または概略化した形で示すことがある。
【0024】
本明細書では、従来の問題を克服した製品および方法を説明する。本明細書の方法および建材製品により、特に、繊維強化複合材料を含めて建築材料上のどんなコーティングの耐久性をも長くできることによって、種々の改良点が提供される。
【0025】
図1は、少なくとも一実施形態の加工複合建築材料100の横断面図を概略的に示す。図1に示すように、建築材料100は基体102を含み、この基体102は、1つまたは複数の加工表面下領域104と、基体102の外表面108上に形成されたコーティング106とを有する。好ましくは、加工表面下領域104は、建築材料の物理的機械的特性を改善するように設計されたセメントポリマー複合体マトリックス(cement−polymer composite matrix)を含む。
【0026】
図1の加工複合建築材料100の基体102は多孔質であり、石膏複合体、セメント複合体、ジオポリマー複合体(geopolymer composite)、または無機バインダーを有する他の複合体などの様々な異なる材料に基づくことができる。基体102は、当技術分野で公知の様々なプロセスによって、砂研磨、機械加工、押出、成形または他の方法で任意の所望形状に形成することができる。基体102は、完全に硬化させることも、部分的に硬化させることも、あるいは未硬化の「グリーン」(green)状態に置くこともできる。オーストラリア特許AU515151、国際公開WO0169547、および国際公開WO9845222に記述されているような、様々な異なるファイバーセメント組成物、およびファイバーセメント基体を作る方法をこれらの用途に使用することができる。これらの特許は、すべての目的のために参照によりその全体を本明細書に組み込む。
【0027】
図1に示した基体102の加工表面下領域104は、セメント質材料とポリマーからなるマトリックスを含むことが好ましい。一実施形態では、このセメントポリマーマトリックスは、ファイバーセメントと、ファイバーセメント複合体マトリックスのバインダー、フィラー、骨材、補強繊維、および/または任意の他の成分と化学的および/または機械的結合を形成することができる1種または複数種の含浸剤との均質混合物を含む。この1種または複数種の含浸剤は、さらに材料の外部コーティング106と化学的および/または機械的結合を形成することにより、コーティング106と基体102との接着を改善することができる。実施形態に応じて、化学的結合のみ、機械的結合のみ、または化学的結合と機械的結合の組合せがありうる。含浸剤は、多孔質ファイバーセメント基体102のボイドおよび割れ目に浸透し、放射線または熱硬化の支援を必要とすることなしにファイバーセメントと化学的および/または機械的結合を形成することが好ましい。ある実施形態においては、含浸剤は、基体のセメント中または繊維上に存在する水酸基(−OH)または他の反応性基と化学結合する。含浸剤は、自己的に硬化してもよく、かつ/あるいは硬化助剤、熱または放射線の助けを借りて硬化してもよい。以下により詳細に説明するように、含浸剤としては、それだけに限らないが、低粘度イソシアネート、低粘度エポキシ、不飽和二重結合を有する低粘度有機物、シランまたはその低粘度オリゴマー、低粘度アクリル樹脂、他の低粘度ポリマー、およびこれらの乳濁液または分散液を挙げることができる。
【0028】
表面下領域104の数、形状、分布および厚さは、複合材料の目的とする最終用途に基づいて加工することができる。各表面下領域104の厚さは、基体の気孔率、多孔質基体に導入される含浸剤の量、および室温における含浸剤の粘度によって事前に選択し制御することが好ましい。一実施形態では、加工表面下領域は実質的に基体全体にわたって延在し、表面下領域の厚さは実質的に基体の厚さと同じである。別の実施形態では、表面下領域の厚さは、基体の厚さの約0.1%〜約100%、好ましくは約0.4%〜100%である。別の実施形態では、表面下領域の厚さは、約10ミクロン以上とすることができ、または約100ミクロン以上とすることができる。さらに別の実施形態では、表面下領域の厚さは、約0.006〜約5.0インチ(0.15〜127ミリメートル)とすることができる。
【0029】
図1に示した建築材料100の外部コーティング106としては、塗料、トップコート、プライマー、シーラー、放射線硬化性コーティング、あるいは熱硬化性コーティングなどの様々な異なる仕上げおよび/または保護コーティングを挙げることができる。ある実施形態では、基体102の表面下領域104のセメントポリマー複合体マトリックスは、外部コーティングと化学的および/または機械的結合を形成して、基体102へのこのコーティングの密着性を高める。ある実施形態においては、セメントポリマー複合体マトリックスは、コーティング中の−OH基と化学的結合を形成することができる。図1に示した建築材料100は、それだけに限らないが、外装用パネル、シート、ボード、厚板(planks)、トリム(trims)、桶板(shakes)、敷板(decking)、鼻隠し板(fascia)、スレート(slates)、柵用の棒ぐい(fencing pickets)またはボード、およびパイプを含む多種多様な建築用品に使用することができる。
【0030】
ある実施形態においては、表面下領域104を形成するために使用される含浸剤の組成物は、pH約6.5〜7.5、好ましくはpH約6.8〜7.2の芳香族または脂肪族イソシアネート化合物を含む。一実施形態では、この組成物に存在するイソシアネート化合物は、ポリマーの総重量の約5重量%〜50重量%の−NCO官能基を有する。この官能基は約10重量%〜33重量%とすることができる。さらに、別の実施形態では、イソシアネートポリマーは、好ましくは約2.0〜3.5の官能基価(一分子当たりのNCOの数)を有し、平均官能基価は少なくとも2.0である。また、その粘度は25℃で3〜500cpsである。好適な液状イソシアネート末端組成物としては、それだけに限らないが、Huntsman Polyurethanes of Sterling Heights,Michiganから入手可能なRubinate MおよびRubinate 9433;Bayer Corporation,Pittsburgh,Pennsylvaniaから入手可能なMondur MR、Mondur MRS、Mondur MRS−4、およびMondur MR200;Dow Chemical of Midland,Michiganから入手可能なIsonate 2134、Papi 94、Papi 27、Papi 20;ならびにこれらの混合物が挙げられる。好適な脂肪族イソシアネートとしては、それだけに限らないが、Desmodur XP−7100(Bayer)、Desmodur N−3400(Bayer)およびDesmodur N−3300(Bayer)、ならびにこれらの混合物が挙げられる。
【0031】
ある実施形態では、含浸剤の組成物は、さらに、第三級アミン、金属塩、およびこれらの任意の組合せなどの、当技術分野で公知の1種または複数種の触媒も含む。金属塩としては、例えば、スズカルボン酸塩、有機ケイ素チタン酸塩、アルキルチタン酸塩、ビスマスカルボン酸塩、亜鉛カルボン酸塩、亜鉛系塩、スズ系塩触媒などを挙げることができる。この系は、およそ0.005重量%〜5重量%の触媒を含むことが好ましい。この触媒は、水分の存在下でイソシアネートとファイバーセメント中の水酸官能基との反応に触媒作用を及ぼし、混合物中のイソシアネート化合物と基体中の水酸官能基(hydroxyl functional groups)との化学結合を形成することができる。一実施形態では、この系に存在する触媒は、およそ0.3重量%〜20重量%のビスマス濃度を有するビスマス系の塩である。別の実施形態では、イソシアネート化合物は、含浸剤の粘度を低下させる可塑剤をさらに含む。例えば、フタル酸アルキル(フタル酸ジオクチルまたはフタル酸ジブチル)、リン酸トリオクチル、エポキシ可塑剤、トルエンスルファミド、塩化パラフィン、アジピン酸エステル、ひまし油、トルエンおよびアルキルナフタレンなどの可塑剤をポリウレタン系に使用することができる。可塑剤の使用量は、約0重量%〜90重量%とすることができる。別の実施形態では、イソシアネート化合物は適用する前に水で乳化する。他の実施形態では、イソシアネート化合物は−NCO官能基を有し、この官能基は当初はブロックされており、適用した後で活性化される。
【0032】
含浸剤は、さらに、一分子中に不飽和二重結合を有する単官能および多官能有機物を含めた低粘度モノマーを含んでもよい。これらの成分は、ファイバーセメント基体に含浸し、これにしっかり結合する。前記単官能性成分は、例えば、スチレン、メチルスチレン、ハロゲン化スチレン、C1〜C4アルキルスチレン、ビニルブチルエーテル、ビニルトルエン、酢酸ビニル、C3〜C18モノカルボン酸のビニルエステル(例えば、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、吉草酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、デカン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル)、およびバーサティック酸(Versatic acids)のビニルエステル(バーサティック酸は、一般に、炭素原子5〜11個を有する分岐脂肪族カルボン酸である)、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸メトキシル化シクロデカトリエン(methoxylated cyclodecatriene (meth)acrylate)、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アルキルオキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アルキルオキシプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モルホリン(メタ)アクリレート、エトキシカルボニルメチル(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性フタル酸(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性コハク酸(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、または2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドとすることができる。多官能性成分は、一分子中に少なくとも2個の不飽和二重結合を有することが好ましい。
【0033】
ある実施形態では、不飽和二重結合を有する有機物に重合開始剤を加える。例えば、開始剤として以下の有機過酸化物を使用することができる:(1)ケトンペルオキシド、例えば、メチルエチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンペルオキシド、メチルシクロヘキサノンペルオキシド、アセト酢酸メチルペルオキシドおよびアセチルアセトンペルオキシド;(2)ペルオキシケタール、例えば、1、1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(tert−ブチルペルオキシ)オクタン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルペルオキシ)吉草酸および2、2−ビス(tert−ブチルペルオキシ)ブタン;(3)ヒドロペルオキシド、例えば、tert−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、パラメタンヒドロペルオキシド、2、5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロペルオキシドおよび1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロペルオキシド;(4)ジアルキルペルオキシド、例えば、ジ−tert−ブチルペルオキシド、tert−ブチルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、α,α’−ビス(tert−ブチルペルオキシ−メタ−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサンおよび2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3;(5)ジアシルペルオキシド、例えば、過酸化アセチル、過酸化イソブチル、過酸化オクタノイル、過酸化デカノイル、過酸化ラウロイル、3,3,5−トリメチルヘキサノイルペルオキシド、過酸化コハク酸、過酸化ベンゾイル、2、4−ジクロロベンゾイルペルオキシドおよびm−トルオイルペルオキシド;(6)ペルオキシジカーボネート、例えば、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルペルオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルペルオキシジカーボネート、ビス(4−tert−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルペルオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルペルオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)ペルオキシジカーボネートおよびジアリルペルオキシジカーボネート;(7)ペルオキシエステル、例えば、tert−ブチルペルオキシアセテート、tert−ブチルペルオキシイソブチレート、tert−ブチルペルオキシピバレート、tert−ブチルペルオキシネオデカノエート、クミルペルオキシネオデカノエート、tert−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルペルオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート、tert−ブチルペルオキシラウレート、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、ジ−tert−ブチルペルオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、tert−ブチルペルオキシマレイン酸、tert−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、クミルペルオキシオクトエート、tert−ヘキシルペルオキシネオデカノエート、tert−ヘキシルペルオキシピバレート、tert−ブチルペルオキシネオヘキサノエート、tert−ヘキシルペルオキシネオヘキサノエートおよびクミルペルオキシネオヘキサノエート;ならびに(8)その他の有機過酸化物、例えば、アセチルシクロヘキシルスルホニルペルオキシドおよびtert−ブチルペルオキシアリルカーボネート。
【0034】
さらに、重合開始剤として以下のアゾ化合物を使用することができる:(9)アゾニトリル化合物、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1−(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾホルムアミドおよび2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル;(10)アゾアミジン化合物、例えば、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロ塩化物;(11)環状アゾアミジン化合物、例えば、2,2’−アゾビス−2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン;(12)アゾアミド化合物、例えば、2,2’−アゾビス(2−メチル−n−1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−(ヒドロキシエチルプロピオンアミド)および2,2’−アゾビス(2−メチル−n−1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル)プロピオンアミド;(13)アルキルアゾ化合物、例えば、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)。これらの重合開始剤は、単独で使用してもよく、2種以上の混合物として組み合わせて使用してもよい。ある実施形態では、硬化性の視点から、重合開始剤の中では有機過酸化物が優れている。
【0035】
別の種類の含浸剤にはシランがある。これには、以下のものが含まれるが、これらに限定されるものではない:シラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、アルコキシシラン、アルキル鎖中に1〜18個の炭素を有するアルキルアルコキシシラン、ハロゲン化オルガノシラン、カルボキシル化オルガノシラン、エポキシアルコキシシラン、シリコーン乳濁液、およびこれらの混合物。ある実施形態では、ファイバーセメント用の含浸剤は、イソシアネート、シランおよび二重結合を有する成分の組合せを含む。別の含浸剤は、イソシアネートと、エーテルまたはエステルなどの他の低粘度可塑剤との組合せを含む。ある実施形態においては、選択される含浸剤の粘度は、この含浸剤が、ファイバーセメント品への保護シーラーなどの外部コーティングとしても塗布できるように調節することができる。
【0036】
図1Aは、所定容積、長さ、幅、および厚さを有する建築用厚板110を含む実施形態を示す。建築用厚板110は、長さ4〜16フィート(1.2〜4.9メートル)、好ましくは長さ6〜12フィート(1.8〜3.7メートル);幅2インチ〜約4フィート(0.05〜1.2メートル)、好ましくは幅3インチ〜12インチ(0.07〜0.3メートル)および厚さ1/8インチ〜6インチ(0.003〜0.15メートル)、好ましくは厚さ1/4インチ〜1インチ(6〜2.5センチメートル)である。建築用厚板110は、その体積内に1個または複数個の気泡を含んでいる可能性がある。建築用厚板110は、例えば、外部被覆用厚板、外装用パネル、シングル屋根板(roofing shingle)、柵用の厚板、柵用のパネルまたは他の建築用被覆材として使用することができる。建築用厚板110は、円筒形であってもよく、パイプまたは支柱として使用することもできる。
【0037】
図1Bは建築用厚板110の横断面X−Xを表しており、この建築用厚板110は、多孔質基体102、仕上げコーティング106、含浸領域104およびシーラー材108を含む。含浸領域104は、建築用厚板100の少なくとも1つの表面から所定深さまで、好ましくは少なくとも0.002インチ(0.05ミリメートル)まで、より好ましくは少なくとも0.005インチ(0.1ミリメートル)まで多孔質基体102中へ延在している。含浸領域104は、建築用厚板110の全長に沿って連続的に同一の広がりを持っていてもよく、あるいは建築用厚板110の一端からその長さに沿って所定の点まで延在していてもよい。
【0038】
建築用厚板が柵用の厚板またはパネルである一実施形態では、含浸領域104は、建築用厚板110の一端から0.1インチ〜12インチ(0.25〜30.5センチメートル)、より好ましくは4〜8インチ(10〜20センチメートル)延在している。含浸領域104を含まない建築用厚板110の領域は、その代わり図1Cの横断面Y−Yに示すように、多孔質基体102、仕上げコーティング106およびシーラー108を含む。シーラー108は、任意の種類のフィルム形成高分子材料を含むことができるが、好ましくはアクリル樹脂、アクリル共重合体またはイソシアネート系シーラーである。
【0039】
図2は、一実施形態による加工複合建築材料の製造プロセス200を示す。この図では、加工複合建築材料は、ファイバーセメント外装用パネルの形に作られる。図2に示すように、プロセス200は、ファイバーセメント基体が形成されるブロック210に進む。ファイバーセメント基体は、公知のまたは利用可能なファイバーセメント組成物および生産技術に従って製造することが好ましい。一実施形態では、ファイバーセメント組成物は、一般に以下の表1に記載の範囲内とすることができる。
【0040】
【表1】

【0041】
バインダーには、普通ポルトランドセメントタイプIが含まれるが、石膏、ジオポリマー(geopolymer)または他の無機セメントなどの他の無機バインダーも含まれる。骨材としては、粉砕石英、非晶質シリカ、パーライト、バーミキュライト、合成ケイ酸カルシウム水和物、ケイソウ土、もみ殻灰分、フライアッシュ、ボトムアッシュ、高炉スラグ、水砕スラグ、鉄鋼スラグ、無機酸化物、無機水酸化物、粘土、マグネサイトまたはドロマイト、高分子ビーズ、金属酸化物および水酸化物、炭酸カルシウム、無機および有機ミクロスフェア、あるいはこれらの混合物を挙げることができる。
【0042】
繊維としては、漂白または無漂白のクラフトパルプなどの様々な形のセルロース繊維が挙げられる。しかし、他の形の繊維も使用できることを理解されたい。好適な繊維の他の例としては、セラミックファイバー、ガラス繊維、ミネラルウール、鋼繊維、およびポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ビスコース、ナイロン、PVC、PVA、レーヨンなどの合成高分子繊維、ガラスセラミック、炭素、またはこれらの任意の混合物が挙げられる。これらの繊維は、疎水性処理をしたセルロース繊維、殺菌剤処理をしたセルロース繊維、あるいは国際公開WO0228796およびWO0228795に開示されたものなどのセルロース繊維を含んでもよい。これら特許は、すべての目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0043】
尚、追加の添加剤を任意選択でファイバーセメント組成物中に組み込むことができる。この添加剤としては、それだけに限らないが、密度調節剤、分散剤、シリカフューム、地熱シリカ(geothermal silica)、難燃剤、粘度調整剤、増粘剤、顔料、着色剤、分散剤、発泡剤、凝集剤、防水剤、有機密度調節剤、アルミニウム粉、カオリン、アルミナ三水和物、雲母、メタカオリン、炭酸カルシウム、ウォラストナイト(wollastnite)、高分子樹脂乳濁液、疎水性物質およびこれらの混合物が挙げられる。
【0044】
1つの方法では、ファイバーセメントグリーンシート(fiber cement green sheet)がハチェック(Hatschek)法を使用して製造される。当技術分野で公知のように、ハチェック(Hatschek)法では、一連の回転ドラムふるいを使用して、吸収コンベヤー上に脱水スラリーの連続層を堆積し、所望のシート厚が得られるまでこれをサイズロール(size roll)上に蓄積する。しかし、グリーンシート(green sheet)は、例えば、押出法、キャスティング法、成形法、マッツァ(Mazza)法、マニャーニ(Magnani)法、フォドリニエール(Fourdrinier、長網抄紙機)法およびロールプレス法などの他の適切な方法を使用して製造することもできることを理解されたい。
【0045】
プロセス200のブロック220では、本明細書に記載された1種または複数種の含浸剤をファイバーセメント基体に含浸させることにより、セメントポリマー複合体マトリックスを含む表面下領域をこの基体に形成することができる。含浸剤は、ファイバーセメント基体がまだグリーン(green)な状態にある間に適用してもよく、任意選択で、完全に硬化したファイバーセメントに適用してもよい。含浸剤は、吹付け、ロール塗装、オーバーフロー(flooding)、真空コーティングなどの標準コーティング技術を使用して適用することができる。あるいは、ファイバーセメント基体を所定時間、含浸剤に浸漬してもよい。好ましくは、含浸剤は、低粘度イソシアネート、シラン、アクリル樹脂、および二重結合を有する成分またはこれらの組合せである。含浸は、圧力下で行っても真空下で行ってもよく、非加熱で行っても加熱して行ってもよい。含浸は、水分の多い環境で行ってもよく、水分のない環境で行ってもよい。含浸剤がファイバーセメントマトリックスの気孔および割れ目に浸透できるようにするために、含浸剤は、十分低い粘度に配合される。すなわち、好ましくは25℃で約500cps未満に、より好ましくは25℃で約250、200、175、150、125、100、75、50、25、10、1または0.1cps未満に配合される。さらに、ある実施形態では、含浸剤は、グリーンシートを形成する前にファイバーセメント組成物に混合することができる。
【0046】
プロセス200のブロック230では、含浸剤は、セメント質マトリックス、補強繊維、バインダーまたは骨材などのファイバーセメント基体の1つまたは複数の成分と、耐久性のある機械的および/または化学的結合を形成することができる。これらの結合は、熱または放射エネルギーを加える必要なしに、自己的に形成されることが好ましい。ある実施においては、表面下領域のセメントポリマーマトリックスは、含浸剤がファイバーセメントマトリックスの気孔および割れ目の中に堆積した後、事前に選択された様々な温度および圧力条件で硬化させることができる。一実施形態では、セメントポリマーマトリックスは、約100℃未満の温度および約10気圧〜20気圧の圧力で硬化させることができる。別の実施形態では、セメントポリマーマトリックスは、約50〜200ミリバールの圧力で硬化させることができる。他の実施形態では、低温条件または高温条件でセメントポリマーマトリックスを硬化させる。
【0047】
プロセス200のブロック240では、任意選択のコーティング、積層物または他の保護材料をファイバーセメント基体の少なくとも1つの表面に適用することができる。これにより、このコーティングまたは積層物は、この物品の表面に実質的に連続的なフィルムを形成することができる。ある実施形態では、このコーティングまたは積層物は、表面下領域の含浸剤のうちの少なくとも一部と反応して、基体と含浸剤の間、および含浸剤と表面のコーティングの間に耐久性のある結合を形成する。ある実施形態においては、ブロック230で記述されているように含浸剤が硬化する前に、コーティング、積層物、または他の保護材料をファイバーセメント品に適用する。次いで、ある実施形態においては、このコーティングまたは積層物は、当技術分野で公知または利用可能な標準方法を使用して硬化させることができる。
【実施例】
【0048】
実施例1
吸水率に対する影響
ファイバーセメント試料(10mm×25mm×25mm)を以下の配合に従い、米国特許第6,676,744号に記載の方法を使用して作った:ポルトランドセメント約35重量%、シリカ凝集体約57重量%、およびセルロース繊維約8重量%。この特許を、すべての目的のためにその全体を参照により本明細書に組み込む。ファイバーセメント試料は、温度約105℃で15分間、炉の中で乾燥した。乾燥したファイバーセメント試料の各々の重量を含浸する前に測定した。次に、各ファイバーセメント試料を、大気圧下72°F(22.2℃)+2°Fで10分間、表2に示した含浸剤に浸漬させた。ペーパータオルを使用して含浸後の試料の表面から過剰の含浸剤を除去した。含浸したファイバーセメント試料の重量を測定した。含浸率を下記の式に基づいて計算した:
【0049】
【数1】

【0050】
【表2】

【0051】
表2は、種々の含浸剤を添加したファイバーセメント試料の含浸率、および硬化後の各含浸ファイバーセメント試料の24時間吸水試験の結果を示す。表2に示したように、含浸剤としては以下のものがある:Prosil 9202(主としてオクチルトリエトキシシランを含む。Clariant LSM of Jacksonville、Floridaから入手可能);SR 239(メタクリル酸塩モノマー。Sartomer Company, Inc. of Exton、Pennsylvania社から入手可能(過酸化ベンゾイル開始剤3%を、含浸剤としてのSR 239に加えた));Rubinate 9433(Huntsman Polyurethanes of Sterling Heights、Michiganから入手可能なイソシアネート);BS 2101(Wacker Chemical Corporation、Adrian、MIから入手可能なシリコーンエマルジョン);Michem 71235(Michelman, Inc. of Cincinnati、Ohioから入手可能なワックスエマルジョン);Bayhydrol PR 240(Bayer Corporationからのポリウレタン分散液)。さらに表2に示したように、Rubinate 9433およびこれをProsil 9202と組み合わせたものは耐水浸入性を有する。
【0052】
実施例2
凍結融解サイクル後の塗料密着性
実施例1と同じ材料およびプロセスを使用して調製したファイバーセメント試料に、湿潤膜厚が約0.002インチになるようにRubinate 9513をコーティングし、ファイバーセメント基体の気孔内に耐久性の結合を形成するように10分間、表面に浸透させた。図3の写真に示すように、約150〜350ミクロンの浸透深さが試料の横断面の検査で観察された。塗料密着性を試験した。次いで、試料は、日本工業規格JIS1435−1991による凍結融解試験にかけたが、以下の表3に示したように、塗料剥離不良の徴候を示すことなく320回までの凍結/融解サイクルに耐えた。
【0053】
【表3】

【0054】
実施例3
曲げ剛性の保持
実施例1と同じ材料およびプロセスを使用して調製されたファイバーセメント試料について、凍結/融解サイクルの関数としての弾性率(MOE)を評価した。図4に示すように、イソシアネート含浸剤を使用して形成された試料は250回の凍結融解サイクル後に元の曲げ剛性弾性率の少なくとも50%を保持したが、未処理材料は50サイクル後には元の曲げ剛性の50%超が失われた。
【0055】
実施例4
含浸ファイバーセメント品の耐水性に対する含浸時間の影響
表4は、SR 239含浸ファイバーセメントの吸水率に対する含浸時間および含浸率の影響を示す。約3%の過酸化ベンゾイル開始剤を含浸剤SR 239に加えた。表4に示すように、含浸時間が増大するにつれて、含浸ファイバーセメントの吸水率は大きく減少した。含浸率は含浸時間と共に増加する。
【0056】
【表4】

【0057】
実施例5
塗料密着性に対する影響
含水率が約18〜20%である、5/16”×4”×5”(0.8×10×12.7cm)のファイバーセメント厚板(配合Iの選択されたシーダーミルテクスチャー(Cedarmill texture)、James Hardie Building Products of Fontana、California)の1つの面に、約0.0005”〜0.002”(0.013〜0.05mm)のRubinate M(Huntsman Polyurethanes of Sterling Heights、Michiganから入手可能)をコーティングした。Rubinate Mには、Bicat 8(Shepherd Chemical Company、OHから入手可能)などのビスマスおよび亜鉛に基づいた触媒0.01%を混合した。この厚板を、Rubinate Mでコーティングした直後に、2層の塗料(モントレーグレー(Monterey Grey)、光沢単位15、James Hardie Building Products of Fontana、California)で仕上げた。塗料の1層目は60℃の炉内で約4分間、乾燥した。第1のコーティングの乾燥厚さは約0.002”〜0.004”(0.05〜0.1mm)であった。塗料の2層目は105℃の炉内で約2分間乾燥した。第2のコーティングの乾燥厚さは約0.001”〜0.003”(0.025〜0.075mm)であった。仕上げを行ったファイバーセメント試料を実験室条件で7日間、硬化した後、マスキングテープ3M 250を用いて塗料の剥離接着試験を行った。
【0058】
表5は、この試料を水で飽和させた場合、(含浸剤またはアンダーコートのない)未処理のファイバーセメントは上記テープで塗料の60〜90%が剥離したことを示す。しかし、厚さ約0.0005”〜0.002”(0.013〜0.05mm)のRubinate Mを含浸させた同じファイバーセメントでは、塗料はテープで剥離しなかった。これらの結果は、ファイバーセメントの表面上のRubinate Mがファイバーセメント品上の塗料の結合に実質的に影響することを示している。0.002”(0.05mm)のRubinate 9513およびRubinate 9433などの他のイソシアネートも優れた密着性を示した。
【0059】
【表5】

【0060】
実施例6
5/16”×4”×5”(0.8×10×12.7cm)のファイバーセメント厚板(配合IIの選択されたシーダーミルテクスチャー(Cedarmill texture)、James Hardie Building Products of Fontana、California)に含浸剤を適用することにより実施例6を調製した。表6は、脂肪族イソシアネート含浸剤Desmondur XP 7100(Bayer Corpから入手可能)も塗料とファイバーセメント厚板との密着性を改善することを示している。Desmondur XP 7100には、Bicat 8(Shepherd Chemical Company、OHから入手可能)などのビスマスおよび亜鉛に基づいた触媒0.01%を混合した。
【0061】
【表6】

【0062】
実施例7
機械的性質の改良
含水率が約18〜20%である、5/16”×5”×7.5”(0.8×12.7×19cm)のファイバーセメント厚板(選択されたシーダーミルテクスチャー(Cedarmill texture)、James Hardie Building Products of Fontana、California)の6つの面にRubinate Mを約0.0005”〜0.002”(0.013〜0.05mm)含む含浸剤を塗布した。Rubinate Mには、Bicat 8(Shepherd Chemical Company、OHから入手可能)などのビスマスおよび亜鉛に基づいた触媒0.01%を混合した。Rubinate Mを周囲条件で7日間、硬化した後、試料を水に48時間、浸漬した。次いで、厚板の弾性率(MOE)を試験した。表7の結果は、ファイバーセメント上のRubinate Mを含む含浸剤の薄層がファイバーセメント厚板の剛性をわずかに増加させたことを示している。MOE値は、ファイバーセメント上のRubinate Mの厚さ増加につれてわずかに増加する。
【0063】
【表7】

【0064】
これらの実施形態の加工複合建築材料は、加工表面下領域のない等価な従来の複合建築材料と比較して特定の改善された物理的・化学的性質を提供する。一実施形態では、加工表面下領域を有する複合建築材料は吸湿特性が改善されている。1つまたは複数の実施形態においては、約100%の含浸率を有する複合建築材料は、加工表面下領域のない等価な建築材料と比較して、吸水量が約15%、より好ましくは約25%減少している。さらに、この加工複合建築材料は、この材料と塗料および他の外部コーティングとの密着性も改善する。これにより、剥離不良は、不良率約60%〜90%から不良率約0%へ低下する。
【0065】
様々な実施形態についての上記の説明は、本発明の特定の新規な特徴を示し、説明し、かつ指摘しているが、当分野の技術者なら、本発明の範囲から逸脱することなしに、例示した細部の形態ならびにその使用に様々な省略、置換、および修正を加えることができることを理解されたい。特に、上記の実施形態は、これにより作られた物品の最終用途に応じて、適宜、他の形状および構成で発現できることを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外表面および表面下領域(subsurface region)を有する多孔質ファイバーセメント基体(porous fiber cement substrate)であって、前記表面下領域がファイバーセメントポリマーマトリックス(fiber cement−polymer matrix)を含み、前記マトリックスが前記ファイバーセメント基体中の水酸官能基(hydroxyl functional groups)と化学結合したメチルジイソシアネート含浸剤を含み、前記表面下領域の厚さが約50ミクロンを超える、多孔質ファイバーセメント基体と、
前記外表面に塗布されたコーティングであって、外部コーティングが前記含浸剤と化学結合を形成するコーティングと、
を有する加工複合建築材料。
【請求項2】
前記含浸剤は、第1の厚さのセメントポリマーマトリックスを形成するように事前に選択された粘度を有する、請求項1に記載の加工複合材料。
【請求項3】
前記セメントポリマーマトリックスの厚さは、複合建築材料の厚さと実質的に同じである、請求項1に記載の加工複合材料。
【請求項4】
所定の気孔率を有するセメント質基体(cementitious substrate)と、
前記基体中に形成された表面下領域(subsurface region)であって、建築材料の吸水率を低下させるように構成されたセメントポリマーマトリックス(cement−polymer matrix)を含む表面下領域と、
を有し、
前記セメントポリマーマトリックスは、前記基体中の水酸官能基(hydroxyl functional groups)と化学結合した高分子含浸剤を含み、
前記表面下領域の厚さが前記含浸剤の粘度と前記セメント質基体の気孔率によって制御される、加工複合建築材料。
【請求項5】
前記表面下領域の厚さは約10ミクロン以上である、請求項4に記載の加工複合建築材料。
【請求項6】
前記表面下領域の厚さは約100ミクロン以上である、請求項4に記載の加工複合建築材料。
【請求項7】
前記表面下領域の厚さは前記セメント質基体の厚さと実質的に同じである、請求項4に記載の加工複合建築材料。
【請求項8】
前記高分子含浸剤は、イソシアネート、エポキシ、アクリル樹脂およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項4に記載の加工複合建築材料。
【請求項9】
前記含浸剤は官能基を含み、前記官能基はブロックされている、請求項8に記載の加工複合建築材料。
【請求項10】
前記含浸剤はメチルジイソシアネートである、請求項8に記載の加工複合建築材料。
【請求項11】
前記含浸剤は、有機過酸化物、アゾ化合物、およびこれらの混合物からなる群から選択される重合開始剤をさらに含む、請求項4に記載の加工複合建築材料。
【請求項12】
前記含浸剤は、第三級アミン、金属塩、およびこれらの組合せからなる群から選択される触媒をさらに含む、請求項11に記載の加工複合建築材料。
【請求項13】
前記含浸剤はシランおよびその低粘度オリゴマーを含む、請求項4に記載の加工複合建築材料。
【請求項14】
前記含浸剤は、前記セメント質基体中の遊離水酸官能基(free hydroxyl functional groups)と非加水分解性化学結合(non−hydrolysable chemical bonds)を形成する、請求項4に記載の加工複合建築材料。
【請求項15】
前記セメント質基体はファイバーセメントマトリックスを含み、
前記ファイバーセメントマトリックスは、セルロース繊維、PVA繊維、PP繊維、PE繊維、ポリエステル繊維、炭素繊維、鋼繊維、ガラス繊維および他の無機繊維からなる群から選択される繊維を含み、
前記高分子含浸剤は前記繊維と化学的および機械的結合を形成する、請求項4に記載の加工複合建築材料。
【請求項16】
前記建築材料の外表面上に形成された外部コーティングをさらに含み、
前記外部コーティングは、塗料、トップコート(topcoats)、プライマー(primers)、シーラー(sealers)およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項4に記載の加工複合建築材料。
【請求項17】
前記表面下領域の前記含浸剤は、前記外部コーティングと化学結合を形成する、請求項16に記載の加工複合建築材料。
【請求項18】
前記建築材料は、石膏ボード、繊維セメント板、メッシュまたは長繊維によって強化された繊維セメント板、短繊維、メッシュまたは長繊維によって強化された石膏ボード、無機集成材および繊維複合材料、ジオポリマー集成材およびファイバーボード、コンクリート製屋根瓦、ならびに1種または複数種の繊維プラスチック複合材料からなる群から選択される、請求項4に記載の加工複合建築材料。
【請求項19】
加工複合建築用品を形成する方法であって、
セメント質基体を形成するステップと;
硬化性含浸剤が前記基体内に浸透して表面下領域を形成するように、前記基体内に前記含浸剤を組み込むステップと;
前記含浸剤が前記基体の所定深まで浸透した後、前記含浸剤を硬化させるステップと
を含む方法。
【請求項20】
前記硬化性含浸剤を組み込むステップが、前記基体の後に前記含浸剤を適用するステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記含浸剤は少なくとも約100ミクロンの深さにまで浸透する、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記セメント質基体に前記硬化性含浸剤を組み込むステップは、
前記硬化性含浸剤を、前記セメント質基体を形成する成分と組み合わせるステップと、
グリーン成形品(green shaped article)を形成するステップと、
を含み、
前記硬化性含浸剤は、前記グリーン成形品の少なくとも一部に全体にわたって分布している、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記セメント質基体に前記硬化性含浸剤を組み込むステップは、
前記セメント質基体を形成する成分を組み合わせてグリーン成形品(green shaped article)を形成するステップと、
次いで、前記グリーン成形品の外表面に前記硬化性含浸剤を適用するステップと、
を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記硬化性含浸剤は25℃で約500cps未満の粘度を有する、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記建築用品に保護コーティングを塗布するステップをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
周囲温度、高温、低温、真空、圧力、大気圧、放射線硬化、およびこれらの組合せからなる群から選択される成形条件下で前記硬化性含浸剤を硬化させるステップをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項27】
前記含浸剤は、前記セメント質基体の1種または複数種の成分と非加水分解性化学結合(non−hydrolysable chemical bonds)を形成するように選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項28】
前記セメント質基体は、セルロース繊維、PVA繊維、PP繊維、PE繊維、ポリエステル繊維、炭素繊維および鋼繊維からなる群から選択される繊維を含む、請求項19に記載の方法。


【図1】
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【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−513056(P2010−513056A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−541318(P2009−541318)
【出願日】平成19年12月10日(2007.12.10)
【国際出願番号】PCT/US2007/025210
【国際公開番号】WO2008/076241
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(505018256)ジェイムズ ハーディー インターナショナル ファイナンス ベスローテン フェンノートシャップ (11)
【氏名又は名称原語表記】JAMES HARDIE INTERNATIONAL FINANCE B.V.
【Fターム(参考)】