説明

加工食品とその製造方法

【課題】原料納豆と調味料とを混練して得られる加工納豆を、納豆特有の糸引きや納豆臭を伴うことなく、所要加工素材の食材に封入した加工食品とその製造方法を提供する。
【解決手段】原料納豆1と調味料2が混練されて冷凍された加工納豆4の小塊4aを所要加工素材の食材(飯米のおにぎり、シュウマイ、ギョーザ等)に封入して加工食品とする。加工食品の製造方法は、原料納豆1と調味料2を粉砕状に混練して加工納豆4とする混練工程Aと、加工納豆4を所定の容器5に盛り込む盛込み工程Bと、加工納豆4を冷凍する冷凍工程Cと、冷凍の加工納豆4を小塊4aに分割する分割処理工程Dと、該小塊4aを所要加工素材の食材(前記の食材)に封入する封入工程Eとから加工食品を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉砕状の加工納豆を内蔵する加工飯米(おにぎり)、ギョーザ、シュウマイ等の加工食品とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
納豆の糸引きや納豆臭がなく、口当たりが滑らかなペースト状納豆を内蔵するおにぎり又はにぎり寿司を提供する技術として実用新案登録第3071205号(特許文献1)が提案されている。
この特許文献1におけるペースト状納豆は、おにぎりやにぎり寿司に内蔵する前に、可食性蛋白フィルムに封入するものであるため、ペースト状納豆のおにぎりやにぎり寿司への内蔵処理にコストを要するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3071205号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記背景技術に鑑みて、手間のかかる可食性蛋白フィルムを用いることなく、原料納豆と調味料とを混練した混練状の加工納豆を冷凍塊とし糸引きや納豆臭を伴うことなく、所要加工素材の食材に封入した加工食品と該加工食品の製造方法の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に記載した加工食品は、原料納豆と調味料とが混練されて冷凍された加工納豆の小塊を、所要加工素材の食材に封入して成る。
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した加工食品において、
前記所要加工素材が、成形飯米、ギョーザ、シュウマイから選択される一から成る。
請求項3に記載した加工食品の製造方法は、納豆と調味料とをミキサーに混入し、粉砕状に混練して粉砕状の加工納豆とする混練工程と、該混練工程に続きミキサーから供給される加工納豆を所定の容器に盛り込む盛込み工程と、該盛込み工程に続いて該容器内の加工納豆を冷凍する冷凍工程と、冷凍された加工納豆が小塊に分割される分割処理工程と、冷凍された加工納豆の小塊が所要加工素材の食材に封入される封入工程とから成る。
請求項4に記載した発明は、請求項3に記載した加工食品の製造方法において、
前記盛込み工程が、混練工程のミキサーから供給される加工納豆が二次充填手段に供給されて所定容器への局部的な盛り込みから成る。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、粉砕状の加工納豆は、所要加工素材の食材への封入時に冷凍状態であるため、納豆特有の糸引きもなく処理し易く作業効率もよいものであり、また、納豆臭を伴う納豆菌の拡散もないことから前記食材への不要な納豆菌の付着もなく、衛生的に封入処理できるため、食材への封入設備等の運用効率が向上する。また、加工納豆の盛込み工程が二次充填手段による所定容器への局部的な盛り込みである場合には、この局部的な盛り込みが該容器と共に冷凍されて加工納豆の小塊となるから、冷凍工程後の封入工程では直接前記容器に食材を充填して該小塊を封入できるので、冷凍工程後の加工納豆の小塊の処理が簡便となる。さらに、加工食品の物流過程では食材及び粉砕状の加工納豆が共に冷凍状態の場合には、アンモニア臭やチロシンの結晶も発現せず、品質の劣化を来たすことがないから全国への広範囲な流通にも適応できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の加工食品の製造方法を用いた加工食品の製造ブロック図。
【図2】図1の加工食品の製造ブロック図において、容器50の形態と、冷凍された平盤状の加工納豆4の分割処理工程Dによる分割状態を示す説明図。
【図3】二次充填手段としての絞り出し袋8による加工納豆4の容器51への局部的な盛り込みを示す説明図。
【図4】二次充填手段としての自動充填機9による加工納豆4の容器51への局部的な盛り込みを示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明において、粉砕状の加工納豆を盛り込む容器は、格子状の小分け凹部を多数配列したものから、平面視横長矩形状の所要深さの大凹部を有する皿状のもの、或いは加工食品、例えば輪郭を三角型おにぎりなどの形状に形成した凹部を有するものなどで提供される。また、分割処理工程は前記容器の両端を相互に逆方向に捩り、振動などで小分け凹部で加工納豆の小塊を分割するものから、丸のこなどの切断手段で平盤状の加工納豆を縦横に切断して小塊に分割するものなどである。また、盛り込みに関しては、直接ミキサーから容器に供給するものから、二次充填手段(例えば絞り出し袋や自動充填機など)を介して各個の又は一連の容器に局部的に盛り込むなどである。
【実施例】
【0009】
本発明の加工食品の製造方法を実施例により説明すると、図1に示すように、混練工程Aで原料納豆(つぶ納豆、ひき割納豆など)1と調味料(砂糖、しょう油、ミリン等)2とがミキサー3に混入され、撹拌翼3aにより撹拌混合粉砕されて粉砕状の加工納豆4が生成され、盛り込み工程Bでミキサー3を運転しながらバルブ3bを開けると、加工納豆4が格子状に小分けされた小分け凹部(深さ15mm、縦横各20mm)5aを多数配列した容器5に盛り込まれる。容器5に盛り込まれた加工納豆4は次の冷凍工程Cで冷凍庫6に収納され、所要時間冷凍されて取り出された容器5は、分割処理工程Dで容器5の小分け凹部5aに剥離作用(逆方向に相反する捩りを与えたり、振動を与えるなど)が施され、該小分け凹部5aで冷凍された加工納豆4のサイコロ状の小塊(高さ15mm、縦横各20mm)4aが分割される。
次に、分割された小塊4aは封入工程Eで容器7に盛り込まれた所要加工素材、本実施例では飯米の三角型おにぎり7aに封入されて容器7から取り出され、海苔巻きされるなどで加工食品としての三角型海苔巻おにぎり70が適宜に包装されて市販に供される。この三角型海苔巻おにぎり70に封入された冷凍状態の小塊4aは、流通過程で解凍され、軟化されて食べ易い状態でおいしく食されるものである。
【0010】
次に、盛込み工程Bの他の実施態様を説明すると、図2に示すように、平面視横長矩形状で深さ15mm程度の大凹部50aを有する皿状の容器50にミキサー3から加工納豆4が盛り込まれる。
この場合は、冷凍工程Cで冷凍された平盤状の加工納豆4が分割処理工程Dで丸のこなどの切断手段(図外)で縦横各20mmに分割されてサイコロ状の小塊4aとして形成される。
【0011】
盛込み工程Bのさらなる他の実施態様は、図3に示すように、所要加工素材の食材(三角型おにぎり)の輪郭形状が凹設された凹部51aを有する容器51の略中央に、ミキサー3から供給された加工納豆4が二次充填手段としての絞り出し袋8から所要量宛人力で盛り込まれ、盛込みが完了すると、その状態で冷凍工程Cにおいて冷凍庫6の中で冷凍される。このような絞り出し袋8による人力での容器51への充填(盛込み)では、充填位置決めも区々である上、筋力的な消耗も多く非能率的なものである。
そこで、二次充填手段として絞り出し袋8に代えて、自動充填機9によりベルトコンベア10で搬送される個々の容器51に加工納豆4を所要量自動的に充填するのが図4に示す実施例である。この場合は、容器51への加工納豆4の充填位置決めが簡便且つ正確で効率的である。
なお、容器51の平面形状は三角型おにぎりであったり、シュウマイやギョーザの様な形状であるが、個々のものに代えて数個の容器51が一体に接続された一連のものでも良しとする。
【0012】
このようにして絞り出し袋8又は自動充填9で充填され容器51と共に冷凍された加工納豆4の各個の小塊4aは、冷凍庫6から取り出された容器51に盛り込まれた所要加工素材(本実施例では飯米による三角型おにぎり7a)に封入工程Eで封入され、容器51から取り出されて前記と同様に海苔巻きなどで仕上げられて三角型海苔巻おにぎり70の加工食品として市販に供される。
また、盛り込み用の容器51において、その凹部51aの中央に所要量の加工納豆4が盛り込まれた状態で、前記飯米が盛り込まれ、その状態で冷凍工程Cで冷凍処理された場合は、飯米、すなわち三角型おにぎり7aと所要量の加工納豆4(小塊4a)とが共に冷凍状態であるから、各容器51の凹部51aから取り出されたものは冷凍の三角型おにぎり7aであり、このものに海苔巻き処理して適宜に包装すれば、冷凍加工食品の三角型海苔巻おにぎり70として市販に供される。
なお、加工食品に用いる加工納豆4の調味に関しては、ネギやナメタケなどの添加は勿論のこと、しょう油味、キムチ味、塩味などの各様のタイプで提供される。
【産業上の利用可能性】
【0013】
本発明は、原料納豆(主原料)と調味料とを混練粉砕して加工納豆とし、この加工納豆を冷凍してサイコロ状の小塊として所要加工素材の食材、例えば飯米のおにぎりやシュウマイ、ギョーザなどに具として封入した加工食品とその製造方法を提供するものであり、納豆製造業界は元より加工食品業界にとっても多大に貢献できる技術である。
【符号の説明】
【0014】
1:原料納豆
2:調味料
3:ミキサー
3a:撹拌翼
3b:バルブ
4:加工納豆
4a:小塊
5、50、51:容器
50a:大凹部
5a、51a:凹部
6:冷凍庫
7:容器
7a:三角型おにぎり
70:三角型海苔巻おにぎり
8:絞り出し袋
9:自動充填機
10:ベルトコンベア
A:混練工程
B:盛込み工程
C:冷凍工程
D:分割処理工程
E:封入工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料納豆と調味料とが混練されて冷凍された加工納豆の小塊を、所要加工素材の食材に封入して成る加工食品。
【請求項2】
前記所要加工素材が、成形飯米、ギョーザ、シュウマイから選択される一である請求項1記載の加工食品。
【請求項3】
納豆と調味料とをミキサーに混入し、粉砕状に混練して粉砕状の加工納豆とする混練工程と、該混練工程に続きミキサーから供給される加工納豆を所定の容器に盛り込む盛込み工程と、該盛込み工程に続いて該容器内の加工納豆を冷凍する冷凍工程と、冷凍された加工納豆が小塊に分割される分割処理工程と、冷凍された加工納豆の小塊が所要加工素材の食材に封入される封入工程とから成る加工食品の製造方法。
【請求項4】
前記盛込み工程が、混練工程のミキサーから供給される加工納豆が、二次充填手段に供給されて所要容器への局部的な盛り込みから成る請求項3記載の加工食品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−42702(P2013−42702A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182569(P2011−182569)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(391037917)株式会社ヤマダフーズ (6)
【Fターム(参考)】