説明

加水分解した全粒を含む栄養製品

本発明は、加水分解した全粒組成物、活性状態の時に食物繊維に対する加水分解活性を示さないα−アミラーゼ又はその断片を含む栄養製品であって、少なくとも2種の必須ミネラル及び少なくとも4種の必須ビタミンで強化されている、栄養製品に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の技術分野]
本発明は、全粒で補強されている栄養製品に関する。特に、本発明は、加水分解した全粒で補強されている栄養製品であって、その栄養製品の風味又は粘度も官能的特性も損なわれていない栄養製品に関する。
[発明の背景]
【0002】
現在、3回分の食事での全粒製品の1日の摂取量、即ち48gの全粒は、心血管疾患のリスクの低減、インスリン感受性の増加、並びに2型糖尿病の発症、肥満(主に内臓肥満)及び消化器系癌のリスクの低減にポジティブに関連しているという、主に疫学的な研究から新たに明らかになった広範な証拠がある。全粒のこれらの健康効果は、食物繊維、並びにビタミン、ミネラル及び生理活性植物化学物質などのその他の成分の相乗的な役割によるものであると報告されている。
【0003】
スウェーデン、米国及び英国の規制当局は、利用可能な科学的実証に基づく具体的な心臓健康強調表示を既に承認している。全粒摂取は、現在、国民への食事に関する勧告の一部に含まれているというだけでなく、全粒製品が健康によく自然であるとも考えられているので、食物繊維を含む食料品も消費者の人気が高まっている。消費者に全粒を食べるよう促すために、全粒摂取の推奨が、政府当局及び専門家グループによって設けられている。例えば、米国では、この推奨は、1日当たり45〜80gの全粒を摂取することである。しかし、英国、米国及び中国での国民栄養調査によって提供されたデータは、全粒摂取は1日当たり全粒0〜30gの間で変化することを示している。
【0004】
棚に用意される全粒製品が不足すること及び入手可能な全粒製品の官能的特性が不十分であることは、一般に全粒摂取の妨げと見なされ、また例えば栄養食品に添加されるべき全粒の量を限定するが、その理由は、全粒の量を増加して添加すると、栄養製品の物理的及び官能的特性が劇的に変化するからである。
【0005】
全粒は、食物繊維、植物栄養素、抗酸化物質、ビタミン及びミネラルの、認められた供給源でもある。米国穀物化学者協会(AACC)によって定められた定義によれば、全粒及び全粒から作られる食品は、穀物種子全体からなる。穀物種子全体は、胚芽、内胚乳及びふすまを含む。穀物種子全体は、通常、穀粒と称される。
【0006】
さらに、近年では、消費者は、食料品、例えば栄養製品のラベルに対する関心をより高めており、製造食料品ができるだけ自然で健康的であることを期待している。したがって、非天然の食品添加物が健康又は食品安全当局によって十分に認可されている場合でさえ、食品及び飲料加工技術、並びに食料品及び飲料製品を開発して、このような非天然の食品添加物の使用を抑えることが望ましい。
【0007】
全粒穀類の健康効果を考慮すると、できるだけ多くの完全な状態の食物繊維を有する全粒材料を提供することが望ましい。栄養製品は、全粒を送達するための良好なビヒクルであり、製品又は1回分の食事の全粒含有量を増加させることになり、1回分の食事の分量を増加することももちろん可能である。しかし、これはカロリー摂取量の増大につながるので、望ましくない。製品の全粒含有量を増加させる別の難点は、通常、それが栄養製品の風味、質感及び全体的な外観(官能パラメーター)などの物性、並びにその加工性に影響を与えることである。
【0008】
消費者は、毎日の全粒摂取量を増加させるために、栄養製品の官能的特性に妥協はしたくない。風味、質感及び全体的な外観は、このような官能的特性である。
【0009】
工業ラインの効率性が、食品工業における必須要件であることは明らかである。これには、原料の取り扱い及び加工、栄養製品の形成、パッケージング並びにその後に倉庫、棚又は自宅で保存することが含まれる。
【0010】
米国特許第4,282,319号は、全粒からの加水分解製品、及びこのような派生製品の調製のための方法に関する。この方法には、水性媒体中でプロテアーゼ及びアミラーゼを用いる酵素処理が含まれる。得られた製品は、異なるタイプの製品に添加することができる。米国特許第4,282,319号は、全粒中に存在するタンパク質の完全な分解を記載している。
【0011】
米国特許第5,686,123号は、どちらも特異的にマルトース単位を生成し、グルカナーゼ効果を有さない、α−アミラーゼ及びβ−アミラーゼの両方での処理によって生成される穀類懸濁液を開示している。
【0012】
したがって、本発明の目的は、全粒及び食物繊維が豊富である一方でカロリー摂取量を低く維持し、優れた摂取経験を消費者に提供し、官能パラメーターを損なうことなく安価なコストで容易に工業化することができる栄養製品を提供することである。
【0013】
[発明の概要]
したがって、第一の態様において、本発明は、加水分解した全粒組成物(whole grain composition)と、活性状態において食物繊維に対する加水分解活性を示さないα−アミラーゼ又はその断片とを含む栄養製品であって、少なくとも2種の必須ミネラル及び少なくとも4種の必須ビタミンで強化された(fortified)栄養製品に関する。
【0014】
本発明の別の態様は、1) a)全粒成分を、少なくとも1種のα−アミラーゼを含み、食物繊維に対する加水分解活性を示さない酵素組成物と、水中で接触させるステップと、b)酵素組成物を全粒成分と反応させて、全粒加水分解物をもたらすステップと、c)前記加水分解物が65℃で測定した50〜5000mPa.sの間で含まれる粘度に到達した際に、前記酵素を不活化させることによって加水分解した全粒組成物をもたらすステップとを含む、加水分解した全粒組成物を調製する工程と、2)加水分解した全粒組成物を、少なくとも2種の必須ミネラル及び少なくとも4種の必須ビタミンと混合することによって栄養製品をもたらす工程とを備える、栄養製品を調製するための方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】食物繊維と接触させた様々な酵素の薄層クロマトグラフィー分析を示す。異なるトラックの説明は、以下の通りである。A0:純粋なアラビノキシランのスポット(ブランク)β0:純粋なβ−グルカンのスポット(ブランク)A:トラックの下に書かれた酵素(BAN、バリダーゼ(Validase) HT 425L及びアルカラーゼ(Alcalase) AF 2.4L)とインキュベートした後のアラビノキシランのスポットβ:トラックの下に書かれた酵素(BAN、バリダーゼ HT 425L及びアルカラーゼ AF 2.4L)とインキュベートした後のβ−グルカンのスポットE0:酵素のスポット(ブランク)
【図2】酵素添加無しの(実線)、及びアルカラーゼ 2.4Lとインキュベートした後(点線)の、β−グルカン及びアラビノキシランの分子量プロファイルのサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を示す。A)オーツ麦β−グルカン;B)小麦アラビノキシラン。
【図3】酵素添加無しの(実線)、及びバリダーゼ HT 425Lとインキュベートした後(点線)の、β−グルカン及びアラビノキシランの分子量プロファイルのサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を示す。A)オーツ麦β−グルカン;B)小麦アラビノキシラン。
【図4】酵素添加無しの(実線)、及びMATS Lとインキュベートした後(点線)の、β−グルカン及びアラビノキシランの分子量プロファイルのサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を示す。A)オーツ麦β−グルカン;B)小麦アラビノキシラン。
【0016】
[発明の詳細な説明]
本発明の発明者らは、驚くべきことに、全粒成分をα−アミラーゼ、場合によってプロテアーゼで処理することによって全粒は粘性が小さくなり、その後の栄養製品への混合が容易になり得ることを発見した。このことによって、製品中の全粒の量を増加させることが可能になる。さらに、α−アミラーゼ処理はまた、スクロースなどの甘味料を栄養製品に添加する必要性を減少させる。
【0017】
したがって、第一の態様において、本発明は、加水分解した全粒組成物と、活性状態の場合に食物繊維に対する加水分解活性を示さないα−アミラーゼ又はその断片とを含む栄養製品であって、少なくとも2種の必須ミネラル及び少なくとも4種の必須ビタミンで強化された栄養製品に関する。
【0018】
本発明による加水分解した全粒組成物を含む栄養製品を有することのいくつかの利点が存在し得る。
I.最終製品中の全粒及び繊維含有量を増加させることができるが、製品の官能パラメーターは実質的に影響を受けない。
II.全粒からの食物繊維を保護することができる。
III.製品の官能パラメーターに実質的に影響を及ぼさない、より大きな満腹感及びより穏やかな消化。現在、非流動的な粘度、ざらざらとした質感、及び風味の問題によって、栄養製品を全粒で増強するには限界がある。しかし、本発明による加水分解した全粒を栄養製品に使用すると、所望の粘度、滑らかな質感、最小限の香味の影響、並びに栄養上の健康(nutritional health)及びウェルネスの付加価値(wellness values)の提供が可能になる。
IV.追加的な利点は、例えばグルコースシロップ、異性化糖、転化シロップ、マルトデキストリン、スクロース、繊維濃縮物、イヌリンなどの、外部から供給される従来の甘味料を、より健康によい甘味料源と置き換えることによって、栄養製品の炭水化物プロファイルを向上させることができる。
【0019】
本文脈において、「栄養製品」という用語は、すぐに摂取できる液体若しくはプディングなどの、又は粉末など摂取前に液体にもどすことができる製品などの、調製された形態で包装された製品に関する。「すぐに摂取できる」という用語とは、製品が、さらなる材料の添加を必要とせず、パッケージから直接摂取できるとともに適していることを意味する。「すぐに摂取できる」という用語は、製品又は製品の一部をグラス、カップ、ジャーなどに注ぐことは除外しない。したがって、一実施形態において、栄養製品は、粉末や、プディング又は液体などの半固体製品である。追加的な実施形態において、栄養製品は、摂取前に液体成分にもどすことができる。
【0020】
上述した通り、本発明は、少なくとも2種の必須ミネラル及び少なくとも4種の必須ビタミンを含む。ミネラルは、多くの身体機能に関与する食品の成分である。例えば、カルシウム及びマグネシウムは、骨構造にとって重要であり、鉄は、赤血球が酸素を運搬するのに必要である。ビタミンと同様に、ミネラルはエネルギーの供給源ではなく、栄養補助食品よりもむしろ多様な食事を通して最もよく得られる。
【0021】
本発明による栄養製品は、ミネラル及びビタミンで強化することができる。一実施形態において、栄養製品は、少なくとも2種の必須ミネラル、例えば少なくとも4種、例えば少なくとも6種、例えば少なくとも8種の必須ミネラルを含む。さらに一実施形態において、必須ミネラルは、カルシウム、銅、ヨウ素、鉄、マグネシウム、マンガン、リン、ホウ素、クロム、モリブデン、ニッケル、カリウム、セレン、ケイ素、スズ及びバナジウム、好ましくは亜鉛、カルシウム、マグネシウム及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0022】
ビタミンは、体内の化学反応を調節するのを助ける化合物である。ビタミンA、ビタミンB複合体、C、D、E、及びKを含む13種類のビタミンがある。ほとんどのビタミンは体内で作ることができないので、食事を通してビタミンを得なければならない。ビタミンを摂取した後は、より精力的になると感じると言われているが、ビタミンは、エネルギー(カロリー)の供給源ではない。ビタミンは、1回で大量に服用する機会はほとんどないので、栄養補助食品としてよりもむしろ多様な食事を通して最もよく摂取される。
【0023】
さらなる実施形態において、栄養製品は、少なくとも4種の必須ビタミン、例えば少なくとも6種、例えば少なくとも8種、例えば少なくとも10種の必須ビタミンを含むことができる。さらなる実施形態において、必須ビタミンは、ビオチン、葉酸、ナイアシン、パントテン酸、リボフラビン、チアミン、ビタミンA、ビタミンB12、ビタミンB6、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE及びビタミンK、特に葉酸、リボフラビン、チアミン、ビタミンA、ビタミンB12、ビタミンB6、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される。好ましい実施形態において、ビタミンは、葉酸、リボフラビン、チアミン、ビタミンA、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0024】
提供する量は任意であってよく、一般には摂取方法(serving)によると言われる。なぜなら、多くの製品は、単一の栄養素のために設計することができ、そのため、栄養素の単一の供給源として意図していない製品に入れた場合は、生命を脅かすとは言わないまでも危険であり、又はその逆の場合は役に立たない量を有することになるためである。下の表で提供した範囲は、最低基準栄養所要量(LRNI)、好ましくは生理学的必要量の下限を含むように意図された量、又は平均から標準偏差2つ分を引いた値と定義される量と、許容上限摂取量(有害事象のリスクを引き起こさないであろう最大栄養水準)までの間隔を包含し、これらの両方は、当業者に知られている。同様に、1回分の食事の分量は、薬剤を通す間に(薬剤を服用する時)十分な栄養を提供するために設計された高齢者用製品(典型的には60〜125ml)から、典型的なブースト(Boost)製品用の約237mlから経管食用の1.5Lまで異なる。
【0025】
1回分の摂取当たりの製品中のビタミン及びミネラルの量:
【0026】
【表1】

【0027】
上の表は、本発明によるビタミン及びミネラルの特定の濃度を表示している。栄養製品の品質パラメーター及び製品加工性に関する重要なパラメーターは、加水分解した全粒組成物の粘度である。本文脈において、「粘度」という用語は、流体の「濃さ」又は流動性の測定値である。したがって、粘度は、せん断応力又は引張応力のいずれかによって変形している流体の抵抗の尺度である。他に指定のない限り、粘度は、mPa.sで表される。
【0028】
粘度は、Newport Scientificのラピッドビスコアナライザー(Rapid Visco Analyzer)を使用して測定することができる。ラピッドビスコアナライザーは、パドルの撹拌作用に対する製品の抵抗を測定する。粘度は、65℃及び50rpmでの10分間の撹拌後に測定される。
【0029】
本発明による栄養製品の粘度は、特定の製品によって異なることがある。本発明の一実施形態において、栄養製品は、1〜300mPa.sの範囲内、例えば10〜200mPa.sの範囲内、例えば10〜150mPa.sの範囲内、例えば10〜100mPa.sの範囲内、例えば10〜50mPa.sの範囲内、例えば2〜50mPa.sの範囲内、又は例えば2〜20mPa.sの範囲内の粘度を有する液体である。
【0030】
全粒成分は、異なる供給源から得ることができる。全粒供給源の例は、セモリナ、コーン(cones)、グリッツ、小麦粉及び微粉化した穀物(微粉化した小麦粉)である。全粒は摩砕してもよく、好ましくは乾式粉砕によって摩砕してもよい。このような摩砕は、全粒成分が本発明による酵素組成物と接触する前又は後に行うことができる。
【0031】
本発明の一実施形態において、全粒成分は、熱処理して、酸敗臭及び微生物数を抑えることができる。
【0032】
全粒は、食用のデンプン質穀物用に栽培される、ポアセアエ(Poaceae)科(草木科)の単子葉植物の穀類である。全粒穀類の例として、大麦、米、黒米、玄米、野生米、ソバ、ブルグア、トウモロコシ、キビ、オーツ麦、ソルガム、スペルト小麦、ライ小麦、ライ麦、小麦、ウィートベリー、テフ、カナリアクサヨシ、ジュズダマ及びフォニオが挙げられる。イネ科に属さない植物種も、穀物粒と同様に使用することができるデンプン質の種子及び果実を生じ、擬穀物と呼ばれる。擬穀物の例として、アマランス、ソバ、韃靼そば及びキヌアが挙げられる。穀類を指定する場合、これには、穀類及び擬穀物の両方が包含されることになる。
【0033】
したがって、本発明による全粒成分は、穀類又は擬穀物を起源とすることができる。したがって、一実施形態において、加水分解した全粒組成物は、大麦、米、玄米、野生米、黒米、ソバ、ブルグア、トウモロコシ、キビ、オーツ麦、ソルガム、スペルト小麦、ライ小麦、ライ麦、小麦、ウィートベリー、テフ、カナリアクサヨシ、ジュズダマ、フォニオ、アマランス、ソバ、韃靼そば、キヌア、その他の様々な穀類及び擬穀物からなる群から選択される植物、並びにこれらの混合物から得ることができる。一般に、穀物の供給源は、各穀物がそれ自体の風味プロファイルをもたらすことになるので、製品タイプによって異なる。
【0034】
全粒成分は、未精製の穀物粒から作られる成分である。全粒成分は、穀物の全可食部、即ち胚芽、内胚乳及びふすまを含む。全粒成分は、製粉業で一般に知られているように、摩砕、フレーク状、粗挽き又はその他の形態などの様々な形態で提供することができる。
【0035】
本文脈において、「加水分解した全粒組成物」という表現は、酵素的に処理された(digested)全粒成分、又は活性状態の時に食物繊維に対する加水分解活性を示さない、少なくとも1種のα−アミラーゼを使用することによって処理された全粒成分を指す。加水分解した全粒組成物は、活性状態の時に食物繊維に対する加水分解活性を示さない、プロテアーゼの使用によってさらに処理され得る。
【0036】
本文脈において、「加水分解した全粒組成物」という語句は、小麦粉の酵素処理、並びにそれに続く小麦粉、ふすま及び胚芽をブレンドすることによる全粒の再構成にも関することも理解されたい。再構成は、最終製品での使用前又は最終製品に混合する間に実施され得ることも理解されたい。したがって、全粒の個々の部分の1つ又は複数の処理後の全粒の再構成も、本発明の一部を形成する。
【0037】
全粒の摩砕前又はその後、全粒成分の多糖構造、場合によってタンパク質構造を崩壊させるために、全粒成分は、加水分解処理にかけることができる。
【0038】
加水分解した全粒組成物は、液体、濃縮物、粉末、ジュース又はピューレの形態で提供することができる。1種以上の酵素のタイプが使用される場合、全粒の酵素加工は、酵素の連続添加によって、又は1種以上の酵素のタイプを含む酵素組成物を供給することによって実行することができることを理解されたい。
【0039】
本文脈において、「活性状態の時に食物繊維に対する加水分解活性を示さない酵素」という語句は、その酵素が由来としている酵素混合物も包含しているものとして理解されるべきである。例えば、本文脈に記載したプロテアーゼ、アミラーゼ、グルコースイソメラーゼ及びアミログルコシダーゼは、使用前に完全には精製されていないので、例えば食物繊維に対する酵素活性を含む酵素混合物として提供することができる。しかし、その酵素が多機能である場合、食物繊維に対する活性は、特定の酵素を由来とすることもある。ここで使用される通り、酵素(又は酵素混合物)は、食物繊維に対する加水分解活性をもたない。
【0040】
「加水分解活性がない」又は「食物繊維に対する加水分解活性をもたない」という用語は、食物繊維の最大5%の分解、例えば最大3%、例えば最大2%及び例えば最大1%の分解を包含し得る。このような分解は、高い濃度又は延長したインキュベーション時間が使用される場合に、避けることができない。
【0041】
「活性状態の」という用語は、加水分解活性を実行するための酵素又は酵素混合物の能力を指し、不活化される前の酵素の状態である。不活化は、分解及び変性の両方によって起こり得る。
【0042】
一般に、本出願の全体にわたって、重量パーセントは、別段の記述がない限り乾燥物質基準での重量パーセントで表される。
【0043】
本発明による栄養製品は、活性状態の時に食物繊維に対する加水分解活性を示さないプロテアーゼを含むことができる。本発明によるプロテアーゼを添加する利点は、加水分解した全粒の粘度をより低くすることができ、このことによって最終製品の粘度の低減もできることである。したがって、本発明による一実施形態において、栄養製品は、総全粒含有量の0.0001〜5重量%(w/w)、例えば0.01〜3重量%、例えば0.01〜1重量%、例えば0.05〜1重量%、例えば0.1〜1重量%、例えば0.1〜0.7重量%、又は例えば0.1〜0.5重量%の濃度で、前記プロテアーゼ又はその断片を含む。添加したプロテアーゼの最適な濃度は、いくつかの要因によって決まる。加水分解した全粒の作製中にプロテアーゼを添加すると、苦く不快な風味を引き起こし得ることが発見されたので、プロテアーゼを添加することは、粘度を低くすること及び不快な風味の間での二律背反として考えることができる。加えて、プロテアーゼの量も、加水分解した全粒の作製中のインキュベーション時間によって決まることもある。例えば、インキュベーション時間が増加される場合、より低い濃度のプロテアーゼを使用することができる。
【0044】
プロテアーゼは、タンパク質の加水分解を可能にする酵素である。プロテアーゼは、加水分解した全粒組成物の粘度を低減するために使用することができる。Novozymesのアルカラーゼ 2.4L(EC3.4.21.62)は、適した酵素の例である。プロテアーゼのインキュベーション時間及び濃度によって、加水分解した全粒成分からのタンパク質の一定の量は、加水分解されて、アミノ酸及びペプチドの断片になりうる。したがって、一実施形態において、全粒組成物からのタンパク質の1〜10%、例えば2〜8%、例えば3〜6%、10〜99%、例えば30〜99%、例えば40〜99%、例えば50〜99%、例えば60〜99%、例えば70〜99%、例えば80〜99%、例えば90〜99%、又は例えば10〜40%、40〜70%、及び60〜99%が加水分解される。かさねて、タンパク質の分解は、粘度の低下及び官能パラメーターの向上をもたらすことができる。
【0045】
本文脈において、「加水分解したタンパク質含有量」という語句は、別段の定義がない限り、全粒組成物からの加水分解したタンパク質の含有量を指す。タンパク質は、分解されて、より大きな若しくはより小さなペプチド単位、又はアミノ酸成分にもなることができる。当業者には、加工及び保存中に少量の分解が起こることになるが、これが外部からの酵素分解によるものではないことが分かるであろう。
【0046】
一般に、加水分解した全粒組成物の作製で使用される(したがって、最終製品中にも存在する)酵素は、全粒成分中に自然に存在する相当する酵素とは異なることを理解されたい。
【0047】
本発明による栄養製品は、加水分解した全粒成分とは異なる供給源からの分解されないタンパク質も含むことができるので、全粒組成物中に存在するより特定のタンパク質に対するタンパク質分解を評価するのに適切であり得る。したがって、一実施形態において、分解されたタンパク質は、グルテンタンパク質、グロブリン、アルブミン及び糖タンパク質などの全粒タンパク質である。
【0048】
アミラーゼ(EC3.2.1.1)は、多糖を切断する酵素であるサッカリダーゼとして分類される酵素である。この酵素は、主にデンプンなどの長鎖炭水化物をより小さい単位に崩壊させるのに必要な、膵液及び唾液の構成要素である。ここで、α−アミラーゼは、ゼラチン化デンプンを加水分解して、加水分解した全粒組成物の粘度を低減させるために使用される。Valley Researchのバリダーゼ HT 425L(Validase HT 425L)、バリダーゼ RA、NovozymesのFungamyl、及びDSMのMATSは、本発明に適したα−アミラーゼの例である。これらの酵素は、使用される加工条件(継続時間、酵素濃度)において、食物繊維に対する活性を示さない。一方、実施例3も参照すると、例えばNovozymesのBANは、食物繊維だけでなくデンプンも低分子量繊維又はオリゴ糖に分解する。
【0049】
本発明の一実施形態において、酵素濃度が、5%(w/w)より低い、例えば3%(w/w)より低い、例えば1%(w/w)より低い、例えば0.75%(w/w)より低い、例えば0.5%(w/w)より低い場合、酵素は、食物繊維に対する活性を示さない。
【0050】
ある種のα−アミラーゼは、炭水化物の最少単位としてマルトース単位を生成し、その一方、その他のα−アミラーゼは、グルコース単位の画分(fraction)を生成することもできる。したがって、一実施形態において、α−アミラーゼ又はその断片は、グルコース生成活性を含有し、活性状態の時に混和糖を生成するα−アミラーゼである。ある種のα−アミラーゼは、共に、グルコース生成活性を含むが、活性状態の時に食物繊維に対する加水分解活性を有さないことが見出された。グルコースは、マルトースのほぼ2倍の甘味を有するので、グルコース生成活性を含むα−アミラーゼを有することによって、増加した甘味を得ることができる。本発明の一実施形態において、本発明による加水分解した全粒組成物が使用される場合、外部からの糖供給源の量を減少させて、栄養製品に別々に添加する必要がある。グルコース生成活性を含むα−アミラーゼが酵素組成物中に使用される場合、その他の外部からの糖供給源又は非糖類甘味料の使用をなくす又は少なくとも減少させることが可能になる場合がある。
【0051】
本文脈において、「外部からの糖又は非糖類の甘味料の供給源」という用語は、加水分解した全粒組成物中にもともと存在しない又はもともと生成されない糖及び非糖類甘味料に関する。このような外部からの糖又は非糖類の供給源の例は、スクロース、ラクトース、及び人工甘味料とすることができる。
【0052】
アミログルコシダーゼ(EC3.2.1.3)は、多糖鎖の非還元末端からグルコース単位を加水分解することによって、デンプン、マルトデキストリン及びマルトースからグルコース残基を遊離することができる酵素である。遊離したグルコースの濃度が増加するにつれて、調製物の甘味は増加する。したがって、一実施形態において、栄養製品は、アミログルコシダーゼ又はその断片をさらに含む。遊離したグルコースの濃度が増加するにつれて、調製物の甘味は増加するので、加水分解した全粒組成物の作製にアミログルコシダーゼを添加することは、有利になり得る。アミログルコシダーゼが、直接又は間接的に全粒の健康特性に影響を与えなかった場合も、有利になり得る。したがって、一実施形態において、アミログルコシダーゼは、活性状態の時に食物繊維に対する加水分解活性を示さない。本発明、詳細には本発明による栄養製品を調製するための方法の関心は、アミログルコシダーゼが、従来技術に記載の製品と比較して、栄養製品の糖(例えばスクロース)含有量を減少させることである。アミログルコシダーゼが酵素組成物中に使用される場合、その他の外部からの糖供給源、例えばスクロースの添加をなくすことを可能にし得る。
【0053】
しかし、上述した通り、一定のα−アミラーゼはグルコース単位を生成することが可能であるため、アミログルコシダーゼの使用が必ずしも必要でないほど、製品に十分な甘味を添加できる。さらに、アミログルコシダーゼの適用はまた、栄養製品の製造コストを増加させるので、アミログルコシダーゼの使用を抑えることが望ましいことがある。したがって、さらに一実施形態において、本発明による栄養製品は、外因性のアミログルコシダーゼなどのアミログルコシダーゼを含まない。
【0054】
グルコースイソメラーゼ(D−グルコースケトイソメラーゼ)は、グルコースのフルクトースへの異性化を引き起こす。したがって、本発明の一実施形態において、栄養製品は、活性状態の時に食物繊維に対する加水分解活性を示さない、グルコースイソメラーゼ又はその断片をさらに含む。グルコースは、スクロースの甘味の70〜75%を有し、その一方、フルクトースはスクロースの2倍の甘さがある。したがって、フルクトースの製造のための方法は、製品の甘味が外部からの糖供給源(スクロース又は人工甘味剤など)の添加無しでも著しく増加し得るので、かなり有用である。
【0055】
特定の酵素又は酵素混合物の多くは、本発明による加水分解した全粒組成物の作製に使用することができる。この必要条件は、食物繊維に対して使用される加工条件において、実質的に加水分解活性を示さないことである。したがって、一実施形態において、α−アミラーゼは、Valley Researchのバリダーゼ HT 425L及びバリダーゼ RA、NovozymesのFungamyl、及びDSMのMATSから選択することができ、プロテアーゼは、アルカラーゼ、iZyme B及びiZyme G(Novozymes)からなる群から選択することができる。
【0056】
栄養製品における本発明による酵素の濃度は、栄養製品の官能パラメーターに影響を与え得る。加えて、酵素の濃度は、温度及びインキュベーション時間などのパラメーターを変更することによって調整することもできる。したがって、一実施形態において、栄養製品は、栄養製品中の総全粒含有量の0.0001〜5重量%の少なくとも以下の1つを含む。すなわち、活性状態の時に食物繊維に対する加水分解活性を示さない、α−アミラーゼ又はその断片、アミログルコシダーゼが、活性状態の時に食物繊維に対する加水分解活性を示さない、アミログルコシダーゼ又はその断片、及びアミログルコシダーゼが、活性状態の時に食物繊維に対する加水分解活性を示さない、グルコースイソメラーゼ又はその断片である。
【0057】
さらに一実施形態において、栄養製品は、栄養製品中の総全粒含有量の0.001〜3重量%、例えば0.01〜3重量%、例えば0.01〜0.1重量%、例えば0.01〜0.5重量%、例えば0.01〜0.1重量%、例えば0.03〜0.1重量%、例えば0.04〜0.1重量%のα−アミラーゼを含む。さらに一実施形態において、栄養製品は、栄養製品中の総全粒含有量の0.001〜3重量%、例えば0.001〜3重量%、例えば0.01〜1重量%、例えば0.01〜0.5重量%、例えば0.01〜0.5重量%、例えば0.01〜0.1重量%、例えば0.03〜0.1重量%、例えば0.04〜0.1重量%のアミログルコシダーゼを含む。別のさらなる実施形態において、栄養製品は、栄養製品中の総全粒含有量の0.001〜3重量%、例えば0.001〜3重量%、例えば0.01〜1重量%、例えば0.01〜0.5重量%、例えば0.01〜0.5重量%、例えば0.01〜0.1重量%、例えば0.03〜0.1重量%、例えば0.04〜0.1重量%のグルコースイソメラーゼを含む。
【0058】
β−アミラーゼは、単糖類も崩壊させる酵素であるが、β−アミラーゼは、主に生成された炭水化物の最少単位としてのマルトースを有する。したがって、一実施形態において、本発明による栄養製品は、外因性のβ−アミラーゼなどのβ−アミラーゼを含まない。α−アミラーゼは、基質に対してβ−アミラーゼと競合しなければならないので、β−アミラーゼを避けることによって、デンプンのより大きな画分は、グルコース単位に加水分解されることになる。したがって、向上した糖プロファイルを得ることができる。このことは、α−アミラーゼ及びβ−アミラーゼの両方で処理することによって生成される穀類懸濁液を開示している米国特許第5,686,123号とは対照的である。
【0059】
一定の事例において、プロテアーゼの作用は、十分に低い粘度をもたらすためには必須ではない。したがって、本発明による一実施形態において、栄養製品は、外因性のプロテアーゼなどのプロテアーゼを含まない。既に記載した通り、プロテアーゼを添加すると、一定の事例において、避けることが望ましい苦い不快な風味を生成することがある。このことは、プロテアーゼ及びアミラーゼを用いる酵素処理を含めた方法を開示している米国特許第4,282,319号とは対照的である。
【0060】
一般に、加水分解した全粒組成物を作製するために本発明に従って使用される酵素は、活性状態の時に食物繊維に対する加水分解活性を示さない。したがって、さらなる実施形態において、加水分解した全粒組成物は、出発物質に対する実質的に完全な状態の(intact)β−グルカン構造を有する。さらなる実施形態において、加水分解した全組成物は、出発物質に対する実質的に完全な状態の(intact)アラビノキシラン構造を有する。加水分解した全粒組成物の作製のために本発明による1種又は複数の酵素を使用することによって、実質的に未変性の(intact)β−グルカン及びアラビノキシラン構造が、保持され得る。β−グルカン及アラビノキシラン構造の分解の程度は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって決定することができる。このSEC技術は、参照によって本明細書に組み込まれる「Determination of beta−Glucan Molecular Weight Using SEC with Calcofluor Detection in Cereal Extracts Lena Rimsten、Tove Stenberg、Roger Andersson、Annica Andersson、及びPer Aman.Cereal Chem.80(4):485−490」に、より詳細に記載されている。
【0061】
本文脈において、「実質的に完全な状態の構造」という語句は、その構造の多くの部分が完全な状態であると理解されたい。しかし、添加した酵素が原因ではないけれども、任意の自然製品中での自然分解によって、構造の一部(β−グルカン構造又はアラビノキシラン構造など)が分解することがある。したがって、「実質的に完全な状態の構造」は、その構造が少なくとも95%完全な状態の、例えば少なくとも97%、例えば少なくとも98%、又は例えば少なくとも99%完全な状態であることを理解されたい。
【0062】
本文脈において、プロテアーゼ、アミラーゼ、グルコースイソメラーゼ及びアミログルコシダーゼなどの酵素は、既に精製されている、又は部分的に精製されている酵素を指す。このようなタンパク質/酵素は、細菌、真菌又は酵母において生成することができるが、これらは植物由来であってもよい。一般に、このような生成された酵素は、本文脈において、「外因性の酵素」という部類に入ることになる。このような酵素は、作製中に製品に添加され、物質に一定の酵素効果を加えることができる。同様に、本文脈において、酵素が本発明から否定される場合、このような否定は、外因性の酵素を指す。本文脈において、このような酵素は、例えば、デンプン及びタンパク質を酵素分解し、粘度を増加させる。本発明の方法に関して、このような酵素は、溶液の状態でも、又は固定化酵素など、表面に付着していてもよい。後者の方法において、タンパク質は、最終製品の部分を形成していなくてもよい。
【0063】
既に述べた通り、α−アミラーゼの作用は、風味に影響を及ぼし、最終製品に添加されるべき外部からの糖又は甘味料の量を減少させることができる、有用な糖プロファイルをもたらす。
【0064】
本発明の一実施形態において、加水分解した全粒組成物のグルコース含有量は、乾燥物質基準で、加水分解した全粒組成物の少なくとも0.25重量%、例えば少なくとも0.35重量%、例えば少なくとも0.5重量%である。
【0065】
使用される特定の酵素によって、最終製品の糖プロファイルは変化し得る。したがって、一実施形態において、栄養製品のグルコースに対するマルトースの重量比は、製品中、144:1より低い、例えば120:1より低い、例えば100:1、例えば50:1より低い、例えば30:1より低い、例えば20:1より低い又は例えば10:1より低い。
【0066】
使用されるデンプンを加工する唯一の酵素がグルコース生成α−アミラーゼである場合、特異的にマルトース単位を生成するα−アミラーゼを使用するよりも、最終生成物のより大きなフラクション(fraction)がグルコースの形態をとることになる。グルコースは、マルトースよりも甘味が高いので、このことによって、さらなる糖供給源(例えばスクロース)の添加をなくすことができる。この利点は、この比が、加水分解した全粒中に存在するマルトースのグルコースへの変換(1つのマルトース単位が、2つのグルコース単位に変換される)によって低くなる場合、さらに顕著になり得る。
【0067】
アミログルコシダーゼが酵素組成物に含有される場合、酵素もグルコース単位を生成するので、グルコースに対するマルトースの比はさらに低くなり得る。
【0068】
酵素組成物がグルコースイソメラーゼを含む場合、グルコースの画分は、グルコースよりもさらに高い甘味を有するフルクトースに変化する。したがって、一実施形態において、栄養製品のグルコース+フルクトースに対するマルトースの重量比は、製品中、144:1より低い、例えば120:1より低い、例えば100:1より低い、例えば50:1より低い、例えば30:1より低い、例えば20:1より低い、又は例えば10:1より低い。
【0069】
さらに、本発明の一実施形態において、栄養製品のフルクトースに対するマルトースの重量比は、製品中、230:1より低い、例えば144:1より低い、例えば120:1より低い、例えば100:1より低い、例えば50:1より低い、例えば30:1より低い、例えば20:1より低い、又は例えば10:1より低くなり得る。
【0070】
本文脈において、「全粒の総含有量」という表現は、「加水分解した全粒組成物」の含有量及び「固形全粒含有量」の組合せとして理解されたい。他に指定のない限り、「全粒の総含有量」は、最終製品中の重量%として提供される。一実施形態において、栄養製品の全粒の総含有量は、栄養製品の1〜30重量%、例えば1〜20重量%、例えば1〜15重量%、例えば1〜10重量%、及び例えば1〜7重量%の範囲である。
【0071】
本文脈において、「加水分解した全粒組成物の含有量」という表現は、最終製品中の加水分解した全粒の重量%として理解されたい。加水分解した全粒組成物の含有量は、全粒組成物の総含有量の一部である。したがって、一実施形態において、本発明による栄養製品の加水分解した全粒組成物の含有量は、栄養製品の1〜30重量%、例えば1〜20重量%、例えば1〜10重量%及び例えば1〜5重量%の範囲である。最終製品中の加水分解した全粒組成物の量は、製品のタイプによって変わり得る。加水分解した全粒中の可溶性繊維の量を増加させたので、本発明による加水分解した全粒組成物を栄養製品中に使用することによって、(加水分解していない全粒組成物と比較して)より多量の加水分解した全粒は、製品の官能パラメーターに実質的に影響を及ぼさずに添加することができる。
【0072】
製品の官能パラメーターを損なわず、高含量の食物繊維を含む栄養製品を有することが有利である。したがって、さらに一実施形態において、栄養製品の食物繊維の含有量は、栄養製品の0.1〜10重量%の範囲、好ましくは0.5〜3重量%の範囲、さらにより好ましくは1〜2重量%(w/w)の範囲である。本発明によって提供される加水分解した全粒成分の添加によって、多量の食物繊維が、本発明による栄養製品にもたらされ得る。このことは、本発明による方法の独特な設定によって実施することができる。
【0073】
食物繊維は、消化酵素によって崩壊されない、植物の可食部である。食物繊維は、ヒトの大腸内でミクロフローラによって発酵される。繊維には、可溶性繊維及び不溶性繊維の2つのタイプがある。可溶性食物繊維及び不溶性食物繊維の両方は、腸管を通過する良好な運搬を含めた多くのポジティブな生理的効果を促進することができ、このことが、便秘、又は膨満感の予防を助ける。保健機関は、体重、性別、年齢及びエネルギー摂取量によって、1日当たり20〜35gの間の繊維の摂取を推奨している。
【0074】
可溶性繊維は、大腸内で完全に又は部分的に発酵される食物繊維である。穀類からの可溶性繊維の例として、β−グルカン、アラビノキシラン、アラビノガラクタン及び難消化性デンプンタイプ2及び3、並びに後者から由来するオリゴ糖が挙げられる。その他の供給源からの可溶性繊維として、例えばペクチン、アカシアガム、ガム、アルギネート、アガー、ポリデキストロース、イヌリン及びガラクト−オリゴ糖が挙げられる。ある種の可溶性繊維は、大腸中に存在する有益な細菌(例えばビフィズス菌及び乳酸菌)のエネルギーの供給源であるので、プレバイオティクスと呼ばれる。可溶性繊維のさらなる恩恵として、糖尿病予防、コレステロールの制御、又は心血管疾患のリスク減少に重要な血糖コントロールが挙げられる。
【0075】
不溶性繊維は、大腸内で発酵されない、又は腸内ミクロフローラによってゆっくり消化されるだけの食物繊維である。不溶性繊維の例として、セルロース、ヘミセルロース、難消化性デンプンタイプ1及びリグニンが挙げられる。不溶性繊維のさらなる恩恵として、結腸の筋肉を、より活発にし、より強くし、機能を向上させる、ぜん動の刺激を介した腸機能の促進が挙げられる。不溶性繊維の摂取が、胃腸の癌のリスクの減少につながり得るという証拠も存在する。
【0076】
本発明による栄養製品の総固形分は、変更することができる。したがって、別の実施形態において、総固形分は、栄養製品の1〜50重量%の範囲、例えば50未満、例えば40重量%未満、例えば25重量%未満又は例えば10重量%未満である。固形分に影響を与える要因の例は、この組成物中の加水分解した全粒組成物の量及び加水分解の程度の可能性がある。本文脈において、「総固形分」という表現は、製品の水分含量(%)を100から引いたものと等しい。
【0077】
多量の外部からの糖供給源を添加せず、甘味などの良好な官能パラメーターを有する栄養製品を得ることができれば、有利である。したがって、別の実施形態において、栄養製品の糖又は非糖類甘味料の含有量は、栄養製品の12重量%未満、例えば10重量%未満、7重量%未満、5重量%未満、3重量%未満、1重量%未満又は例えば0重量%である。加水分解した全粒組成物は、栄養製品を、グルコース及びマルトースなどの炭水化物の供給源で補強するので、栄養製品も、外部からの糖供給源とは異なる天然の糖供給源から甘味づけられる。したがって、添加される外部からの甘味料の量は、抑えることができる。スクロースは、食料品に広く使用される甘味料であるが、その他の糖も使用することができる。したがって、さらなる実施形態において、糖は、単糖及び/又は二糖及び/又はオリゴ糖である。さらに一実施形態において、単糖は、グルコース、ガラクトース、ブドウ糖、フルクトース又はこれらの任意の組合せである。さらに別の実施形態において、二糖は、スクロース、マルトース、ラクトース又はこれらの任意の組合せである。
【0078】
栄養製品の水分活性は、変更することができる。したがって、一実施形態において、栄養製品の水分活性は、0.35を超える、例えば0.5を超える、例えば0.7を超える、又は例えば0.8を超える。水分活性は、含水量を反映するので、製品の粘度を反映することも多い。したがって、水分活性の増加によって、粘度の低下をもたらすことができる。水分活性又はaは、含水量の測定値である。水分活性は、液体の蒸気圧を、同じ温度の純水の蒸気圧で割ったものとして定義され、したがって、純粋な蒸留水の水分活性は、ちょうど1である。温度が上昇するにつれて、結晶の塩又は糖が含まれているある種の製品を除いて、典型的には、aは増加する。0.65を超えるa−値では、歯ごたえのある製品は、従来では歯ごたえをなくす。よりawの高い物質は、製品をだめにする虞のある微生物をより支持する傾向がある。細菌は、通常、少なくとも0.91、真菌は少なくとも0.7を必要とする。水分活性を、AOAC法978.18に従って測定し、平衡状態が達成された後、RotronicのHygroLab(ハイグロラボ)装置を使用して25℃で実行する。
【0079】
保湿剤は、乾燥又は半乾燥状態であるべき製品に添加されることが多い。したがって、一実施形態において、栄養製品は、保湿剤を含まない。栄養製品の補助的な材料として、トコフェロールなどの保存料、レシチンなどの乳化剤、粉末状タンパク質、固形ココア、アルキルレゾルシノール、フェノール類並びにDHA、カフェイン、及びプレバイオティクスなどのその他の活性成分が挙げられる。
【0080】
さらなる実施形態において、栄養製品の脂肪含有量は、栄養製品の1〜60重量%の範囲、例えば5〜50重量%の範囲、例えば5〜40重量%の範囲、例えば5〜30重量%の範囲である。脂肪の量は、製品のタイプによって変更することができる。脂肪成分は、好ましくはカカオバター、菜種油、ヒマワリ油又はパーム油などの、好ましくは水素添加されていない、植物脂肪である。
【0081】
さらに一実施形態において、栄養製品は、栄養製品の0〜2重量%の範囲の塩分を有することができる。より具体的な実施形態において、塩は、塩化ナトリウムである。
【0082】
具体的な栄養製品のタイプによって、異なる香味成分を添加して、所望の風味を提供することができる。したがって、さらなる実施形態において、香味成分は、バタースコッチ、バニラ、ココア、コーヒー、果実、麦芽、大豆、茶、野菜、及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0083】
本発明による栄養製品は、液体成分で補強して、適正な稠度及び粘度を提供することができる。したがって、一実施形態において、栄養製品は、液体成分をさらに含む。別の実施形態において、液体成分は、水、ミルク、液体果実抽出物、液体野菜抽出物、液体コーヒー抽出物、液体チョコレート抽出物、茶濃縮物、麦芽抽出物、植物抽出物、大豆成分又はこれらの任意の組合せからなる群から選択される。さらに一実施形態において、ミルクは、全乳、クリーム、2%脂肪乳、1%脂肪乳、無脂肪スキムミルク、非乳製品のクリーマー、乳清画分、カゼイン及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される。液体成分の添加によって、風味、粘度及び栄養プロファイルなどの要因を向上させることができる。
【0084】
本発明の製品を提供する態様に関して、栄養製品を調製するための方法であって、1)以下のステップ、a)全粒成分を、少なくとも1種のα−アミラーゼを含み、食物繊維に対する加水分解活性を示さない酵素組成物と、水中で接触させるステップと、b)酵素組成物を全粒成分と反応させて、全粒加水分解物をもたらすステップと、c)前記加水分解物が65℃で測定した50〜5000mPa.sの間で含まれる粘度に到達した時、前記酵素を不活化させることによって加水分解した全粒組成物をもたらすステップと、を含む、加水分解した全粒組成物を調製する工程と、2)加水分解した全粒組成物を、少なくとも2種の必須ミネラル及び少なくとも4種の必須ビタミンと混合することによって栄養製品をもたらす工程とを備える方法が提供される。
【0085】
一実施形態において、酵素組成物は、活性状態の時に食物繊維に対する加水分解活性を示さないプロテアーゼ又はその断片をさらに含む。同様に、酵素組成物は、本発明によるアミログルコシダーゼ及び/又はグルコースイソメラーゼを含むことができる。
【0086】
この方法のいくつかのパラメーターは、本発明による栄養製品を提供するために制御することができる。したがって、一実施形態において、ステップ1b)は、30〜100℃、好ましくは50〜85℃で実行される。さらなる実施形態において、ステップ1b)は、1分〜24時間、例えば1分〜12時間、例えば1分〜6時間、例えば5〜120分間実行される。さらに一実施形態において、ステップ1b)は、30〜100℃で5〜120分間実行される。
【0087】
さらなる実施形態において、ステップ1c)は、70〜150℃で少なくとも1秒間、例えば1〜5分間、例えば5〜120分間、例えば5〜60分間続行することができる。追加的な実施形態において、ステップ1c)は、5〜30分間少なくとも90℃まで加熱することによって実行される。
【0088】
さらに一実施形態において、ステップ1c)における反応は、加水分解物が50〜4000mPa.sの間、例えば50〜3000mPa.sの間、例えば50〜1000mPa.sの間、例えば50〜500mPa.sの間で含まれる粘度に到達した時に、停止される。追加的な実施形態において、粘度は、TS 50で測定される。
【0089】
別の実施形態において、工程1)における加水分解した全粒組成物は、前記加水分解物の総固形分が25〜60%に達した時に、もたらされる。粘度及び固形分を制御することによって、加水分解した全粒は、異なる形態でもたらされ得る。
【0090】
追加的な実施形態において、ステップ1c)における加水分解した全粒成分は、液体、濃縮物、粉末、ジュース又はピューレの形態でもたらされる。加水分解した全粒組成物が異なる形態を有する利点は、食料品に使用される場合、乾燥又は半乾燥形態を使用することによって、希釈を避けることができることである。同様に、より湿った製品が望ましい場合、液体状態の加水分解した全粒組成物を使用することができる。
【0091】
上のパラメーターを調整して、デンプン分解の程度、糖プロファイル、総固形分を調節すること、及び最終製品の全体的な官能パラメーターを調節することができる。
【0092】
全粒成分の酵素加工を向上させるために、酵素処理の前又は後に穀物を加工することが有利となり得る。穀物を摩砕することによって、より大きい表面積が酵素に接触可能になり、それによって、加工の速度が上がる。加えて、官能パラメーターは、より小さい粒径の穀物を使用することによって、向上させることができる。追加的な実施形態において、全粒は、酵素処理の前又は後に、焙煎又は焙焼される。焙煎及び焙焼は、最終製品の風味を向上させることができる。
【0093】
製品の保存期間を延長するために、いくつかの処理を実行することができる。したがって、一実施形態において、方法は、少なくとも1つの以下の処理:UHT、低温殺菌、熱処理、レトルト及び任意のその他の熱処理、又は加圧処理などの非熱処理をさらに含む。さらなる実施形態において、栄養製品は、無菌状態下で封入される。さらに一実施形態において、栄養製品は、レトルト又はホット−フォー−ホールドによってなど、非無菌状態下で封入される。
【0094】
本発明の態様又は実施形態の1つに照らして記載した実施形態及び特徴も、本発明のその他の態様に適用されることに留意するべきである。
【0095】
本出願で引用される全ての特許及び非特許文献は、これらの全体の参照によって本明細書に組み込まれる。
【0096】
本発明は、ここで、以下の非限定的な実施例において、さらに詳細に記載される。
【実施例】
【0097】
実施例1−加水分解した全粒組成物の調製
バリダーゼ HT 425L(α−アミラーゼ)を場合によってアルカラーゼ 2.4L(プロテアーゼ)と組み合わせて含む酵素組成物を、小麦、大麦及びオーツ麦の加水分解に使用した。
【0098】
混合は、二重釜調理器中で実行することができるが、その他の工業用機器を使用してもよい。スクレーピングミキサーは、連続して作動し、ミキサーの内部表面を擦る。これによって、製品の燃焼を避け、均一の温度を保持するのを助ける。したがって、酵素活性は、より良好に制御される。蒸気を二重釜に注入し、温度を上昇させることができるが、同時に、冷水を使用して、温度を低下させる。
【0099】
一実施形態において、酵素組成物及び水を、10〜25℃の間の室温で一緒に混合する。この低温で、酵素組成物の酵素は、非常に弱い活性を有する。次いで、全粒成分を添加し、混合物が均一になるまで、短時間、通常20分未満で材料を混合する。
【0100】
混合物を、徐々に又は閾値まで加熱して、酵素を活性化し、全粒成分を加水分解する。
【0101】
加水分解は、混合物の粘度の減少をもたらす。全粒加水分解物が、65℃で測定した50〜5000mPa.sの間で含まれる粘度及び例えば総固形分が25〜60重量%に到達すると、酵素は、100℃を超える温度で加水分解物を加熱することによって、好ましくは120℃での蒸気注入によって、不活化する。
【0102】
酵素を、総全粒の量に従って投入する。酵素の量は、タンパク質の比率が異なるので、全粒成分のタイプによって異なる。水/全粒成分の比は、最終液体全粒に必要な水分に従って、調節することができる。通常、水/全粒成分の比は、60/40である。割合は重量による。
【0103】
【表2】

【0104】
【表3】

【0105】
【表4】

【0106】
実施例2−加水分解した全粒組成物の糖プロファイル
小麦、大麦及びオーツ麦を含む加水分解した全粒組成物を、実施例1の方法に従って調製した。
【0107】
炭水化物 HPAE:
加水分解した全粒組成物を、加水分解した全粒組成物の糖プロファイルを例示するために、HPAEによって分析した。
【0108】
炭水化物を、水で抽出し、陰イオン交換カラム上でイオンクロマトグラフィーによって分離する。溶出した化合物を、パルスアンペロメトリック検出器を用いて電気化学的に検出し、外部標準のピーク面積との比較によって定量化する。
【0109】
総食物繊維:
複製試料(必要であれば脱脂する)を、3種の酵素(膵α−アミラーゼ、プロテアーゼ、及びアミログルコシダーゼ)を用いたヒトの消化器系を模した方法で、16時間処理して、デンプン及びタンパク質を取り除く。エタノールを添加して、高分子量の可溶性食物繊維を沈殿させる。得られた混合物を濾過し、残渣を乾燥して、秤量する。複製の1つの残渣においてタンパク質を、もう1つの複製において灰分を判定する。濾液を採取し、濃縮し、HPLCを介して分析して、低分子量の可溶性食物繊維(LMWSF)の値を決定する。
【0110】
全粒小麦:
【0111】
【表5】

【0112】
全粒オーツ麦:
【0113】
【表6】

【0114】
全粒大麦:
【0115】
【表7】

【0116】
この結果は、グルコース含有量の著しい増加が、加水分解によってもたらされ、加水分解した大麦のグルコース含有量は、乾燥物質基準で0.61%(w/w)であり、加水分解したオーツ麦のグルコース含有量は、乾燥物質基準で0.58%(w/w)であり、加水分解した小麦のグルコース含有量は、乾燥物質基準で1.43%(w/w)であることを、はっきりと証明している。
【0117】
さらに、この結果は、マルトース:グルコースの比が、約15:1〜約6:1の範囲であることも証明している。
【0118】
したがって、これらの結果に基づいて、従来技術と比較して増加した甘味を有する新しい糖プロファイルがもたらされる。
【0119】
結論として、本発明による加水分解した全粒組成物を使用することによって、増加した甘味を得ることができ、そのため、さらなる甘味源の必要性をなくす又は抑えることができる。
【0120】
加えて、この結果は、食物繊維含有量が完全な状態のままであり、可溶性繊維及び不溶性繊維の比及び量が、加水分解していない全粒組成物及び加水分解した全粒組成物中で実質的に同じであることを証明している。
【0121】
実施例3−食物繊維に対する加水分解活性
バリダーゼ HT 425L(Valley Research)、アルカラーゼ 2.4L(Novozymes)及びBAN(Novozymes)の酵素を、どちらも全粒の食物繊維の成分であるアラビノキシラン及びβ−グルカン繊維抽出物に対する活性について、薄層クロマトグラフィー分析を用いて分析した。
【0122】
薄層クロマトグラフィー分析の結果は、図1を参照すると、アミラーゼであるバリダーゼHT及びプロテアーゼであるアルカラーゼは、β−グルカン又はアラビノキシランのいずれかに対する加水分解活性を示さないが、一方、市販のα−アミラーゼ調製物であるBANは、β−グルカン及びアラビノキシランの両方の加水分解を引き起こすことを示した。実施例4も参照されたい。
【0123】
実施例4−酵素加水分解後のオーツ麦β−グルカン及びアラビノキシラン分子量プロファイル
加水分解:
中粘度のオーツ麦β−グルカン(Megazyme)又は中粘度の小麦アラビノキシラン(Megazyme)の0.5%(w/v)水溶液を、調製した。
【0124】
酵素を、基質に対する酵素の比(E/S)が0.1%(v/v)で添加した。反応を、50℃で20分間続行させ、次いで、デンプンのゼラチン化及び加水分解ができるように、15分間、85℃で試料を置いた。最後に、酵素を95℃で15分間不活化した。以下の酵素の異なるバッチが評価された。
【0125】
アルカラーゼ 2.4L(Valley Research):バッチ BN 00013
バッチ 62477
バッチ 75039
バリダーゼ HT 425L(Valley Research):バッチ RA8303A
バッチ 72044
MATS L(DSM): バッチ 408280001
【0126】
分子量分析
加水分解した試料を、シリンジフィルター(0.22μm)において濾過し、25μLを、直列の2つのTSKgelカラム(G3000PWXL 7.8×300mm)、(GMPWXL 7.8×30mm)及びガードカラム(PWXL 6×44mm)を備えた高圧液体クロマトグラフィー Agilent 1200シリーズに注入した。(Tosoh Bioscence)
【0127】
硝酸ナトリウム0.1M/を0.5ml/分で、泳動用バッファーとして使用した。検出は、反射率測定によって実施した。
【0128】
結果
図2〜4に、対照(酵素無し)及び酵素を使用したテストの両方のグラフを表示している。しかし、これらのグラフの間に実質的な違いはないので、両方のグラフを互いに区別することは難しいことがある。
【0129】
結論
アルカラーゼ 2.4L(図2)、バリダーゼ HT 425 L(図3)又はMATS L(図4)を用いた加水分解後のオーツ麦β−グルカン及び小麦アラビノキシランの繊維分子量プロファイルにおける変化は、判定されなかった。
【0130】
実施例5−加水分解した全粒組成物を含む、そのまま飲める栄養飲料
加水分解した全粒組成物(HWGC)を、実施例1に従って準備する。
【0131】
【表8】

【0132】
実施例6−加水分解した全粒組成物を含む栄養粉末
加水分解した全粒組成物(HWGC)を、実施例1に従って準備する。
粉末は、摂取前に液体でもどすことができる。
【0133】
【表9】

【0134】
実施例7−加水分解した全粒組成物を含む栄養経管食
加水分解した全粒組成物(HWGC)を、実施例1に従って準備する。
【0135】
【表10】

【0136】
実施例8−加水分解した全粒組成物を含む、体重減少のためのRTD完全栄養製品
加水分解した全粒組成物(HWGC)を、実施例1に従って準備する。
【0137】
【表11】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
加水分解した全粒組成物と、
活性状態において食物繊維に対する加水分解活性を示さないα−アミラーゼ又はその断片と、
を含む栄養製品であって、
少なくとも2種の必須ミネラル及び少なくとも4種の必須ビタミンで強化された、栄養製品。
【請求項2】
液体成分をさらに含む、請求項1に記載の栄養製品。
【請求項3】
β−アミラーゼを含まないことを条件とする、請求項1又は2に記載の栄養製品。
【請求項4】
プロテアーゼ又はその断片を総全粒含有量の0.001〜5重量%の濃度でさらに含み、
プロテアーゼ又はその断片が、活性状態において食物繊維に対する加水分解活性を示さない、前記請求項のいずれか一項に記載の栄養製品。
【請求項5】
プロテアーゼを含まないことを条件とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の栄養製品。
【請求項6】
少なくとも1種のアミログルコシダーゼ又はその断片及びグルコースイソメラーゼ又はその断片をさらに含み、
アミログルコシダーゼ又はグルコースイソメラーゼが、活性状態において食物繊維に対する加水分解活性を示さない、前記請求項のいずれか一項に記載の栄養製品。
【請求項7】
全粒組成物の総含有量が、栄養製品の1〜30重量%、例えば1〜20重量%及び1〜15重量%の範囲である、前記請求項のいずれか一項に記載の栄養製品。
【請求項8】
加水分解した全粒組成物が、出発物質に対して実質的に完全な状態のβ−グルカン構造を有する、前記請求項のいずれか一項に記載の栄養製品。
【請求項9】
加水分解した全粒組成物が、出発物質に対して実質的に完全な状態のアラビノキシラン構造を有する、前記請求項のいずれか一項に記載の栄養製品。
【請求項10】
栄養製品中、グルコースに対するマルトースの重量比が、144:1より低い、例えば120:1より低い、例えば100:1より低い、例えば50:1より低い、例えば30:1より低い、例えば20:1より低い又は例えば10:1より低い、前記請求項のいずれか一項に記載の栄養製品。
【請求項11】
粉末や、プディング又は液体などの半固体製品である、前記請求項のいずれか一項に記載の栄養製品。
【請求項12】
少なくとも2種の必須ミネラル、例えば少なくとも4種、例えば少なくとも6種、及び例えば少なくとも8種の必須ミネラルが、カルシウム、銅、ヨウ素、鉄、マグネシウム、マンガン、リン、ホウ素、クロム、モリブデン、ニッケル、カリウム、セレン、ケイ素、スズ及びバナジウム、好ましくは亜鉛、カルシウム及び/又はマグネシウムからなる群から選択される、前記請求項のいずれか一項に記載の栄養製品。
【請求項13】
少なくとも4種の必須ビタミン、例えば少なくとも6種、例えば少なくとも8種、及び例えば少なくとも10種の必須ビタミンが、ビオチン、葉酸、ナイアシン、パントテン酸、リボフラビン、チアミン、ビタミンA、ビタミンB12、ビタミンB6、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE及びビタミンK、特に葉酸、リボフラビン、チアミン、ビタミンA、ビタミンB12、ビタミンB6、ビタミンC、ビタミンD及び/又はビタミンEからなる群から選択される、前記請求項のいずれか一項に記載の栄養製品。
【請求項14】
1) a)全粒成分を、少なくとも1種のα−アミラーゼを含み、食物繊維に対する加水分解活性を示さない酵素組成物と、水中で接触させるステップと、b)酵素組成物を全粒成分と反応させて、全粒加水分解物をもたらすステップと、c)前記加水分解物が65℃で測定した50〜5000mPa.sの粘度に到達した際に、前記酵素を不活化させることによって加水分解した全粒組成物をもたらすサブステップと、を含む、加水分解した全粒組成物を調製する工程と、
2)加水分解した全粒組成物を、少なくとも2種の必須ミネラル及び少なくとも4種の必須ビタミンと混合することによって栄養製品をもたらす工程と、
を備える、請求項1〜13に記載の栄養製品を調製するための方法。
【請求項15】
工程1)の加水分解した全粒組成物が、前記加水分解物の総固形分が25〜60%に到達した時にもたらされる、請求項14に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate


【公表番号】特表2013−513368(P2013−513368A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542535(P2012−542535)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【国際出願番号】PCT/EP2010/069147
【国際公開番号】WO2011/070057
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】