説明

加水分解に安定な多目的ポリマー

本発明は、少なくとも1つのアミノ置換メタ(アクリレート)(ASMA)モノマーまたはその塩と;少なくとも1つの非イオン性ビニル(NIV)モノマーとを含むモノマー混合物から重合させ、このモノマー混合物は、必要に応じて、少なくとも1つのビニル会合(VA)モノマー;少なくとも1つのビニル界面活性剤(VS)モノマー;および/または少なくとも1つの重合可能なシリコーンマクロマー(PSM)のうちの1つ以上を含み、このモノマー混合物は、さらに、必要に応じて、少なくとも1つの架橋(XL)モノマー;少なくとも1つの連鎖移動剤(CTA);および/または少なくとも1つのポリマー安定剤のうちの1つ以上を含む、加水分解に安定な多目的ポリマーに関する。また、本発明の多目的ポリマーは、重合プロセスで一般的に利用される連鎖移動剤または他の官能基構成要素を含有するモノマー混合物から調製することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのアミノ置換メタ(アクリレート)(ASMA)モノマーまたはその塩と;少なくとも1つの非イオン性ビニル(NIV)モノマーとを含むモノマー混合物の重合生成物である多目的ポリマーに関し、このモノマー混合物は、さらに、少なくとも1つのビニル会合(VA)モノマー(vinyl associative monomer);少なくとも1つのビニル界面活性剤(VS)モノマー;および/または少なくとも1つの重合可能なシリコーンマクロマー(PSM)のうちの1つ以上を含み、モノマー混合物は、さらに、必要に応じて、少なくとも1つの架橋(XL)モノマー;少なくとも1つの連鎖移動剤(CTA);および/または少なくとも1つのポリマー安定剤のうちの1つ以上を含む。また、本発明の多目的ポリマーは、重合プロセスで一般的に利用される連鎖移動剤または他の官能基構成要素(functional component)を含有するモノマー混合物から調製することもできる。一実施形態では、本発明の多目的ポリマーは、長期間(例えば、6ヶ月以上の期間)にわたって加水分解に安定であり、酸性水性組成物中で驚くほど有益なレオロジー特性を与え、カチオン性材料と相溶性である。本発明の多目的ポリマーは、限定されないが、パーソナルケア製品、ヘルスケア製品、家庭用ケア製品、施設ケア製品および産業用ケア製品、産業用途を含む種々の製品に有用である。
【背景技術】
【0002】
例えば、ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)モノマーから誘導される多目的コポリマーが当該技術分野で知られている。このようなコポリマーは、上述のモノマーから作られるとき、特定の用途では安定性の問題を有することがある。その結果、このようなポリマーは、貯蔵寿命が短く、約6ヶ月後には「不安定化」し始めることがある。これにより、種々の物流に関する問題や、望ましくない性能の低下が起こる。これらのポリマーの貯蔵寿命が短いのは、DMAEMAモノマーに含まれる、「バックバイティング(back−biting)」によって水性媒体中で容易に加水分解を受けるアミン骨格によるものである。窒素原子上の非共有電子対が、電子不足のカルボニル炭素を攻撃し、5員環の双性イオン性中間体を得る。このような構造は、次いで水存在下で容易に加水分解させることができる。以下に示す反応スキームは、DMAEMAモノマーから誘導されるコポリマーに関連する問題をまとめたものである。加水分解の結果、コポリマーの骨格に−COOH官能基部位が生じるとともに、ジメチルアミノエタノール副生成物が生じる。
【0003】
【化1】

【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、適切な貯蔵寿命(例えば、6ヶ月以上)をもつ加水分解に安定な多目的コポリマーが当該技術分野で必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、少なくとも1つのアミノ置換メタ(アクリレート)(ASMA)モノマーまたはその塩と;少なくとも1つの非イオン性ビニル(NIV)モノマーとを含むモノマー混合物の重合生成物である多目的ポリマーに関し、このモノマー混合物は、さらに、少なくとも1つのビニル会合(VA)モノマー;少なくとも1つのビニル界面活性剤(VS)モノマー;および/または少なくとも1つの重合可能なシリコーンマクロマー(PSM)のうちの1つ以上を含み、モノマー混合物は、さらに、必要に応じて、少なくとも1つの架橋(XL)モノマー;少なくとも1つの連鎖移動剤(CTA);および/または少なくとも1つのポリマー安定剤のうちの1つ以上を含む。また、本発明の多目的ポリマーは、重合プロセスで一般的に利用される連鎖移動剤または他の官能基構成要素を含有するモノマー混合物から調製することもできる。一実施形態では、本発明の多目的ポリマーは、長期間(例えば、6ヶ月以上の期間)にわたって加水分解に安定であり、酸性水性組成物中で驚くほど有益なレオロジー特性を与え、カチオン性材料と相溶性である。本発明の多目的ポリマーは、限定されないが、パーソナルケア製品、ヘルスケア製品、家庭用ケア製品、施設ケア製品および産業用ケア製品、産業用途を含む種々の製品に有用である。
【0006】
本発明の多目的ポリマーは、本明細書に記載の構成要素、要素、プロセスの概要説明を適切に含んでいてもよく、これらからなっていてもよく、またはこれらから本質的になってもよい。本明細書に具体例として適切に開示される本発明は、本明細書に明示的に開示されていない任意の要素が存在しない状態で実施されてもよい。
【0007】
他の意味であると述べられていない限り、本明細書で表現されているあらゆるパーセント、部、比率は、本発明の組成物の合計重量を基準としており、あらゆる重量は、活性成分100パーセントを基準としてあらわされる。
【0008】
一実施形態では、本発明は、モノマー(a)と、(b)と、必要に応じて、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、およびこれらの混合物から選択される構成要素とを含むモノマー混合物の反応生成物である、加水分解に安定なポリマーに関する。
【0009】
別の実施形態では、本発明は、
(i)(a)、(b)および(c);
(ii)(a)、(b)および(d);
(iii)(a)、(b)および(e);
(iv)(a)、(b)、(c)および(d);
(v)(a)、(b)、(c)および(e);
(vi)(a)、(b)、(d)および(e);または
(vii)(a)、(b)、(c)、(d)および(e)のモノマーを含むモノマー混合物の重合反応生成物である加水分解に安定なポリマーに関し、(a)は、少なくとも1つのアミノ置換メタ(アクリレート)(ASMA)モノマーまたはその塩であり、(b)は、少なくとも1つの非イオン性ビニル(NIV)モノマーであり、(c)は、少なくとも1つのビニル会合(VA)モノマーであり、(d)は、少なくとも1つのビニル界面活性剤(VS)モノマーであり、(e)は、少なくとも1つの重合可能なシリコーンマクロマー(PSM)であり、任意の上記混合物は、さらに、必要に応じて、(f)少なくとも1つの架橋(XL)モノマー;(g)少なくとも1つの連鎖移動剤(CTA);(h)少なくとも1つのポリマー安定剤;または、構成要素(f)、(g)および/または(h)のうち2つ以上の任意の適切な組み合わせを含有する。
【0010】
別の実施形態では、本発明は、
(i)(a)、(b)および(c);
(ii)(a)、(b)および(d);
(iii)(a)、(b)および(e);
(iv)(a)、(b)、(c)および(d);
(v)(a)、(b)、(c)および(e);
(vi)(a)、(b)、(d)および(e);または
(vii)(a)、(b)、(c)、(d)および(e)のモノマーを含むモノマー混合物の重合反応生成物である加水分解に安定なポリマーに関し、(a)は、少なくとも1つのアミノ置換メタ(アクリレート)(ASMA)モノマーまたはその塩であり、(b)は、少なくとも1つの非イオン性ビニル(NIV)モノマーであり、(c)は、少なくとも1つのビニル会合(VA)モノマーであり、(d)は、少なくとも1つのビニル界面活性剤(VS)モノマーであり、(e)は、少なくとも1つの重合可能なシリコーンマクロマー(PSM)であり、任意の上記混合物は、さらに、(f)少なくとも1つの架橋(XL)モノマー;(g)少なくとも1つの連鎖移動剤(CTA);(h)少なくとも1つのポリマー安定剤;または、構成要素(f)、(g)および/または(h)のうち2つ以上の任意の適切な組み合わせを含有する。
【0011】
さらに別の実施形態では、本発明は、
(i)(a)、(b)および(c);
(ii)(a)、(b)および(d);
(iii)(a)、(b)および(e);
(iv)(a)、(b)、(c)および(d);
(v)(a)、(b)、(c)および(e);
(vi)(a)、(b)、(d)および(e);または
(vii)(a)、(b)、(c)、(d)および(e)のモノマーを含むモノマー混合物の重合反応生成物である加水分解に安定なポリマーに関し、(a)は、少なくとも1つのアミノ置換メタ(アクリレート)(ASMA)モノマーまたはその塩であり、(b)は、少なくとも1つの非イオン性ビニル(NIV)モノマーであり、(c)は、少なくとも1つのビニル会合(VA)モノマーであり、(d)は、少なくとも1つのビニル界面活性剤(VS)モノマーであり、(e)は、少なくとも1つの重合可能なシリコーンマクロマー(PSM)であり、任意の上記混合物は、さらに、必要に応じて、(f)少なくとも1つの架橋(XL)モノマー;(g)少なくとも1つの連鎖移動剤(CTA);(h)少なくとも1つのポリマー安定剤;または、構成要素(f)、(g)および/または(h)のうち2つ以上の任意の適切な組み合わせを含有し、モノマー混合物は、モノマー混合物の合計重量を基準として、約1重量%〜約90重量%の構成要素(a)、約20重量%〜約80重量%の構成要素(b)、約0.01重量%〜約25重量%の構成要素(c)、約0.01重量%〜約25重量%の構成要素(d)、約0.01重量%〜約10重量%の構成要素(e)、約5重量%までの構成要素(f)、約10重量%までの構成要素(g)、および約2重量%までの構成要素(h)を含む。
【0012】
なおさらに別の実施形態では、本発明は、
(i)(a)、(b)および(c);
(ii)(a)、(b)および(d);
(iii)(a)、(b)および(e);
(iv)(a)、(b)、(c)および(d);
(v)(a)、(b)、(c)および(e);
(vi)(a)、(b)、(d)および(e);または
(vii)(a)、(b)、(c)、(d)および(e)のモノマーを含むモノマー混合物の重合反応生成物である加水分解に安定なポリマーに関し、(a)は、少なくとも1つのアミノ置換メタ(アクリレート)(ASMA)モノマーまたはその塩であり、(b)は、少なくとも1つの非イオン性ビニル(NIV)モノマーであり、(c)は、少なくとも1つのビニル会合(VA)モノマーであり、(d)は、少なくとも1つのビニル界面活性剤(VS)モノマーであり、(e)は、少なくとも1つの重合可能なシリコーンマクロマー(PSM)であり、任意の上記混合物は、さらに、必要に応じて、(f)少なくとも1つの架橋(XL)モノマー;(g)少なくとも1つの連鎖移動剤(CTA);(h)少なくとも1つのポリマー安定剤;または、構成要素(f)、(g)および/または(h)のうち2つ以上の任意の適切な組み合わせを含有し、モノマー混合物は、モノマー混合物の合計重量を基準として、約10重量%〜約80重量%の構成要素(a)、約20重量%〜約70重量%の構成要素(b)、約0.1重量%〜約15重量%の構成要素(c)、約0.1重量%〜約10重量%の構成要素(d)、約0.1重量%〜約7.5重量%の構成要素(e)、約0.01〜約5重量%までの構成要素(f)、約0.1〜約10重量%の構成要素(g)、および0.001〜約2重量%の構成要素(h)を含む、加水分解に安定なポリマーに関する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、加水分解条件にさらされたときに、種々のモノマーについて時間に対する酸価をプロットしたものである。
【図2】図2は、500HzのH NMRによって決定される場合、DMAEMAおよびDMADMPMAについて時間に対する加水分解率をプロットしたものである。
【図3】図3は、実施例1のポリマー(DMAPMA)および実施例2のポリマー(DMAPMA/DMADMPMA)について、ラテックスが45℃で保存された週数に対する酸価をプロットしたものである。
【図4】図4は、実施例1(DMAPMA)および実施例2のポリマー(DMAPMA/DMADMPMA)について、ラテックスが45℃で保存された週数に対する2%TS粘度をプロットしたものである。
【図5】図5は、DMAEMA系市販ポリマー(コントロール3、INCI名:ポリアクリレート−1クロスポリマー)、実施例4のポリマー(DMADMPMA)、および実施例7のポリマー(DMADMPMA)について、ラテックスが50℃で保存された週数に対し、酸価をプロットしたものである。
【図6】図6は、DMAEMA系市販ポリマー(コントロール3、INCI名:ポリアクリレート−1クロスポリマー)、実施例4のポリマー(DMADMPMA)、および実施例7のポリマー(DMADMPMA)について、ラテックスが50℃で保存された週数に対し、2%TSゲル粘度をプロットしたものである。
【図7】図7は、DMAEMA系市販ポリマー(コントロール3、INCI名:ポリアクリレート−1クロスポリマー)、実施例1のポリマー、実施例2のポリマー、実施例4のポリマー、実施例6のポリマー、実施例7のポリマー、および実施例9のポリマーについて、ラテックスが室温で保存された月数に対し、酸価をプロットしたものである。
【図8】図8は、DMAEMA系市販ポリマー(コントロール3、INCI名:ポリアクリレート−1クロスポリマー)、実施例4のポリマー、実施例6のポリマー、実施例7のポリマー、および実施例9のポリマーについて、ラテックスが室温で保存された月数に対し、2%ゲル粘度をプロットしたものである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、少なくとも1つのアミノ置換メタ(アクリレート)(ASMA)モノマーまたはその塩と;少なくとも1つの非イオン性ビニル(NIV)モノマーとを含むモノマー混合物の重合生成物である多目的ポリマーに関し、このモノマー混合物は、さらに、少なくとも1つのビニル会合(VA)モノマー;少なくとも1つのビニル界面活性剤(VS)モノマー;および/または少なくとも1つの重合可能なシリコーンマクロマー(PSM)のうちの1つ以上を含み、モノマー混合物は、さらに、必要に応じて、少なくとも1つの架橋(XL)モノマー;少なくとも1つの連鎖移動剤(CTA);および/または少なくとも1つのポリマー安定剤のうちの1つ以上を含む。また、本発明の多目的ポリマーは、重合プロセスで一般的に利用される連鎖移動剤または他の官能基構成要素を含有するモノマー混合物から調製することもできる。一実施形態では、本発明の多目的ポリマーは、長期間(例えば、6ヶ月以上の期間)にわたって加水分解に安定であり、酸性水性組成物中で驚くほど有益なレオロジー特性を与え、カチオン性材料と相溶性である。本発明の多目的ポリマーは、限定されないが、パーソナルケア製品、ヘルスケア製品、家庭用ケア製品、施設ケア製品および産業用ケア製品、産業用途を含む種々の製品に有用である。
【0015】
本発明のポリマーは、低pHでカチオン性の少なくとも1つの塩基性アミノ置換基と、ビニル会合(VA)モノマーから誘導される少なくとも1つの疎水性に改質されたポリオキシアルキレン置換基と、必要に応じて、ビニル界面活性剤(VS)モノマーから誘導される少なくとも1つのポリオキシアルキレン置換基とを含む、一般的に、塩基性であるか、不溶性であるか、酸水溶液に膨潤性であるか、または、酸水溶液に可溶性のポリマー、およびこれらの塩である。さらに、本発明のポリマーは、必要に応じて、他のモノマー単位(例えば、架橋モノマー単位、ヒドロキシ置換非イオン性ビニルモノマー単位、連鎖移動剤単位、ポリマー安定剤など)から誘導される置換基を含んでいてもよい。本発明のポリマーは、一般的に、水溶液中で会合性を示す。簡便にするため、本発明のポリマーは、一般的に、本明細書で「多目的ポリマー」と呼ばれる。用語「低pH配合物」は、約0.5〜約7以下の範囲、または約6.5以下の酸性pHをもつ配合物を指す。
【0016】
本明細書で使用する場合、用語「(メタ)アクリル」酸は、アクリル酸とメタクリル酸の両方を含む意味である。同様に、用語「(メタ)アクリレート」は、本明細書で使用する場合、アクリレートとメタクリレートの両方を含む意味である。用語「(メタ)アクリルアミド」は、アクリルアミドとメタクリルアミドの両方を含むように用いられる。
【0017】
用語「水性」は、配合物または媒体に適用される場合、多目的ポリマーを含む組成物中に、多目的ポリマーを少なくとも膨潤させるか、または溶解するのに十分な量の水が存在することを意味する。
【0018】
驚くべきことに、本発明の多目的ポリマーは、約6ヶ月以上の改良された貯蔵寿命を与えることが発見されている。さらに、本発明の多目的ポリマーは、低pH水性パーソナルケア製品、ヘルスケア製品、家庭用ケア製品、および施設ケア製品および産業用ケア製品に対し、望ましいレオロジー特性を与える。本発明の多目的ポリマーは、上述のものをカチオンと相溶性にするため、このポリマーは、四級アンモニウム塩またはアミンを含有する製品の増粘剤として特に有用である。驚くべきことに、本発明の多目的ポリマーは、1つ以上の界面活性剤(例えば、アニオン性、カチオン性、両性、非イオン性、および/またはこれら任意の2つ以上の組み合わせ)を含有する組成物で有用であり、また、毛髪をセットする効果も与える。本発明の多目的ポリマーは、活性な酸構成要素を含有し、製品中で有用な増粘剤であり、エマルション(クリーム、ローション)の増粘剤および乳化剤として有用である。増粘に加え、本発明の多目的ポリマーは、界面活性剤、着色剤、毛髪および皮膚のコンディショナー、シリコーン、ポリクアテルニウム化合物、フケ防止剤、アンチエイジング剤、セルライト防止剤、ニキビ防止剤、ビタミン、鎮痛剤、抗炎症性化合物、セルフタンニング剤、毛髪成長促進剤、UV保護剤、美白剤、野菜、草木および植物の抽出物、制汗剤、酸化防止剤、体臭防止剤、毛髪固定ポリマー、エモリエントオイル、およびこれらの組み合わせを含有する製品のための有用な膜形成剤、拡散助剤および付着助剤である。
【0019】
用語「パーソナルケア製品」としては、本明細書で使用される場合、限定されないが、ヒトおよび動物の皮膚、毛髪、頭皮および爪に適用される化粧品、トイレタリー製品、薬用化粧品および美容助剤、個人衛生品および清掃用品が挙げられる。用語「ヘルスケア製品」としては、本明細書で使用する場合、限定されないが、医薬品、医薬香粧品、オーラルケア製品(口腔、歯)、眼のケア製品、耳のケア製品および店頭で購入できる製品および器具(例えば、パッチ、絆創膏、包帯など)、および健康に関連する状態または医学的な状態を軽減するため、または一般的に衛生状態または幸福状態を維持するためのヒトおよび動物の体表面または体内に外から適用する医療用デバイスが挙げられる。用語「体」には、全身(顔、胴体、四肢、手および足)のケラチン皮膚領域(毛髪、爪)および非ケラチン皮膚領域、体の開口部および眼の組織が含まれ、用語「皮膚」には、頭皮および粘膜が含まれる。用語「家庭用ケア製品」としては、本明細書で使用する場合、これらに限定されないが、衛生的な状態を維持するための表面洗浄用製品または殺菌洗浄用製品のために家庭内(例えば、台所内および浴室内)で使用される製品、および布のケアおよび洗浄のための洗濯製品などが挙げられる。用語「施設ケアおよび産業用ケア」および「I&I」としては、本明細書で使用する場合、これらに限定されないが、病院およびヘルスケア施設を含む産業環境および施設環境で洗浄するため、または衛生的な状態を保つために使用される製品などが挙げられる。
【0020】
本発明の多目的ポリマーは、加水分解に安定な多目的ポリマーであり、一実施形態では、
(i)(a)、(b)および(c);
(ii)(a)、(b)および(d);
(iii)(a)、(b)および(e);
(iv)(a)、(b)、(c)および(d);
(v)(a)、(b)、(c)および(e);
(vi)(a)、(b)、(d)および(e);または
(vii)(a)、(b)、(c)、(d)および(e)のモノマーを含む混合物を重合させることによって調製され、ここで、(a)は、少なくとも1つのアミノ置換メタ(アクリレート)(ASMA)モノマーまたはその塩であり、(b)は、少なくとも1つの非イオン性ビニル(NIV)モノマーであり、(c)は、少なくとも1つのビニル会合(VA)モノマーであり、(d)は、少なくとも1つのビニル界面活性剤(VS)モノマーであり、(e)は、少なくとも1つの重合可能なシリコーンマクロマー(PSM)であり、任意の上記混合物は、さらに、必要に応じて、(f)少なくとも1つの架橋(XL)モノマー;(g)少なくとも1つの連鎖移動剤(CTA);(h)少なくとも1つのポリマー安定剤;または、構成要素(f)、(g)および/または(h)のうち2つ以上の任意の適切な組み合わせを含有する。本発明の多目的ポリマーは、重合プロセスで一般的に利用される連鎖移動剤または他の官能基構成要素を含有するモノマー混合物から調製することもできる。
【0021】
一実施形態では、本発明の加水分解に安定な多目的ポリマーは、モノマー混合物の合計重量を基準として、(a)約10重量%〜約90重量%の少なくとも1つのASMAモノマーまたはその塩と、(b)約20重量%〜約80重量%の少なくとも1つのNIVモノマーと、(c)約0.01重量%〜約25重量%の少なくとも1つのVAモノマーと、(d)約25重量%までの少なくとも1つのVSモノマーと、(e)約0.01重量%〜約10重量%の少なくとも1つの重合可能なシリコーンマクロマー(PSM)と、(f)約5重量%までのXLモノマーと、(g)約10重量%までのCTAと、(h)約2重量%までのポリマー安定剤とを含むモノマー混合物の重合生成物である。
【0022】
別の実施形態では、本発明の多目的ポリマーは、モノマー混合物の合計重量を基準として、(a)約10重量%〜約80重量%の少なくとも1つのASMAモノマーまたはその塩と、(b)約20重量%〜約70重量%の少なくとも1つのNIVモノマーと、(c)約0.1重量%〜約15重量%の少なくとも1つのVモノマーと、(d)約0.1重量%〜約10重量%の少なくとも1つのVSモノマーと、(e)約0.1重量%〜約7.5重量%の少なくとも1つの重合可能なシリコーンマクロマー(PSM)と、(f)約0.001重量%〜約5重量%のXLモノマーと、(g)約0.1重量%〜約5重量%のCTAとを含むモノマー混合物の重合生成物である。ここで、明細書および特許請求の範囲のどこかの箇所、個々の数値または限界値を組み合わせ、開示されておらず、および/または述べられていないさらなる範囲を作り出してもよい。
【0023】
さらに別の実施形態では、本発明の多目的ポリマーは、モノマー混合物の重合生成物であるポリマーであり、モノマー混合物の合計重量を基準として、(a)以下の式(I)、I(a)、および/または(II)によってあらわされる1つ以上のモノマーから選択される約20重量%〜約70重量%の少なくとも1つのアミノ置換メタ(アクリレート)(ASMA)モノマー
【0024】
【化2】

(式中、R、R、RおよびRは、以下に定義されるとおりであり、CAは、四級アンモニウム部分の電荷と合うような適切な対アニオンである。);(b)アクリル酸のC〜C30アルキルエステル、メタクリル酸のC〜C30アルキルエステル、またはこれら2つ以上の任意の適切な混合物から選択される約50重量%〜約65重量%の少なくとも1つの非イオン性ビニル(NIV)モノマー;(c)セチルポリエトキシ化メタクリレート(CEM)、セテアリルポリエトキシ化メタクリレート(CSEM)、ステアリルポリエトキシ化(メタ)アクリレート、アラキジルポリエトキシ化(メタ)アクリレート、ベヘニルポリエトキシ化メタクリレート(BEM)、ラウリルポリエトキシ化メタクリレート(LEM)、セロチルポリエトキシ化(メタ)アクリレート、モンタニルポリエトキシ化(メタ)アクリレート、メリシルポリエトキシ化(メタ)アクリレート、ラクセリルポリエトキシ化(メタ)アクリレート、トリスチリルフェノールポリエトキシ化メタクリレート(TEM)、水素化ヒマシ油ポリエトキシ化メタクリレート(HCOEM)、キャノーラポリエトキシ化(メタ)アクリレート、およびコレステロールポリエトキシ化メタクリレート(CHEM)から選択される約0.1重量%〜約10重量%の少なくとも1つのビニル会合(VA)モノマー;(d)約0.1重量%〜約10重量%の式(VI)
【0025】
【化3】

によってあらわされる少なくとも1つのビニル界面活性剤(VS)モノマー(式中、各Rは、独立して、水素またはメチル、−C(O)OH、または−C(O)ORであり;Rは、C〜C30アルキルであり;Aは、−CHC(O)O−、−C(O)O−、−O−または−CHO−であり;pは、0〜約30の範囲の整数であり、rは、0または1であり、ただし、pが0である場合、rは0であり、pが1〜約30の範囲である場合、rは1であり、rは1であり;(R−O)は、C〜Cオキシアルキレン単位のホモポリマー、ランダムコポリマーまたはブロックコポリマーであるポリオキシアルキレンであり、各Rは、独立して、C、C、C、またはこれらの混合物であり、vは、約1〜約250、または約5〜約100、または約10〜約80、または約15〜約60の範囲の整数であり;Rは、水素またはC〜Cアルキルである);(e)約1重量%〜約7.5重量%の少なくとも1つの重合可能なシリコーンマクロマー(PSM);(f)約5重量%までの架橋(XL)モノマー;(g)約10重量%までの連鎖移動剤(CTA);および(h)約2重量%までのポリマー安定剤を含む。ここで、明細書および特許請求の範囲のどこかの箇所、種々の別個の実施形態からの個々の数値または限界値を組み合わせ、開示されておらず、および/または述べられていないさらなる範囲を作り出してもよい。
【0026】
本明細書に使用する場合、用語「アルキル」は、直鎖、分枝鎖および炭素環のアルキル部分を含む、置換または非置換の脂肪族炭化水素部分を意味する。用語「炭素環アルキル」は、炭素原子が3〜約12個の大きさである1つ以上の炭素環式環を含み、必要に応じて、炭素環式環の上にアルキル置換基を含むアルキル基を意味する。用語「アリール」は、置換および非置換のフェニル部分およびナフチル部分を含む。「C〜C」という形態の修飾語は、アルキルまたは炭素環アルキル基が、炭素原子を合計でx〜y含む分子式を有し、xおよびyが特定の整数であることを示している。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用する場合、用語「複合エステル」は、C〜Cアルキレンオキシドでアルキル化することが可能な少なくとも1つのヒドロキシル基を有するポリオール(例えば、糖)のジエステル、トリエステルまたはポリエステルを意味する。用語「複合エステル」は、ある場合には、米国特許第5,639,841号(関連する開示内容は、本明細書に参考として組み込まれる)に記載される複合疎水性物質を含む。
【0027】
用語「ハロゲン置換」、「ヒドロキシ置換」、「カルボキシ置換」、「ポリオキシアルキレン置換」、「アルキル置換」、および「アリール置換」は、アルキル基またはアリール基などを参照しつつ本明細書で使用する場合、アルキル基、アリール基などの基の上の少なくとも1つの水素原子が、それぞれ少なくとも1つのハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ポリオキシアルキレン基、アルキル基またはアリール基と置き換わっていることを意味する。用語「ポリ(メタ)アクリレート」および「ポリ(メタ)アクリルアミド」は、本明細書で使用する場合、それぞれ、ポリアクリレートまたはポリメタクリレート、およびポリアクリルアミドまたはポリメタクリルアミドの代替表現を指す。
【0028】
本発明の多目的ポリマーの調製に有用な適切なモノマーを以下に示す。本発明の多目的ポリマーを形成するのに利用されるモノマー、モノマー混合物、および「必要量」の各構成要素の量に関し、以下に述べられているはずである。各モノマーまたは種々の「必要量」の構成要素の合計量は、本明細書に開示されている最も広い範囲の量を用いて各構成要素を個々に取り出し、合計した場合、個々にみると合計で100重量%を超えている場合もあるかもしれないが、当業者ならそういうことではないことは理解するだろう。そうではなく、本発明の種々の反応について、それぞれの個々の構成要素(すなわち、構成要素(a)〜(e)と、存在する場合、構成要素(f)および(g))の「必要量」は、述べられている範囲内で、合計重量%が100になるように望ましい範囲で変わってもよい。
【0029】
(ASMAモノマー)
本発明の多目的ポリマーを調製するのに適切なアミノ置換メタ(アクリレート)(ASMA)モノマーは、少なくとも1つのアミノ官能基を含む、塩基性で重合可能なエチレン性不飽和モノマーである。これらの塩基性アミノ基は、モノ−、ジ−またはポリ−アミノアルキル基または窒素含有ヘテロ芳香族基から誘導されてもよい。アミノ基は、一級、二級または三級のアミンを含んでいてもよい。モノマーは、所望な場合、アミノ形態または塩形態で使用することができる。
【0030】
本発明のポリマーは、一実施形態では、以下に示される式(I)または(II)
【0031】
【化4】

であらわされるモノマーから選択される1つ以上のASMAモノマーを含み、式中、Rはメチルであり、Rは、置換または非置換の直鎖または分枝鎖のC〜Cアルカンジイル基(すなわち、少なくとも2の自由原子価をもつアルカン基)であり、ただし、Rが炭素を2つ含む場合、R基の2つの炭素原子のうちの少なくとも1つは、直鎖または分枝鎖のC〜C30アルキル基で置換(例えば、一置換または二置換)されており、各Rは、独立して、水素、直鎖または分枝鎖のC〜C30アルキル基、1つ以上のヘテロ原子を含有する直鎖または分枝鎖のC〜C30アルキル基、直鎖または分枝鎖のC〜C30アルケニル基、1つ以上のヘテロ原子を含有する直鎖または分枝鎖のC〜C30アルケニル基、直鎖または分枝鎖のC〜C30アルキニル基、1つ以上のヘテロ原子を含有する直鎖または分枝鎖のC〜C30アルキニル基、C〜C20アリール基、1つ以上のヘテロ原子を含有するC〜C20アリール基、C〜C20シクロアルキル基、1つ以上のヘテロ原子を含有するC〜C20シクロアルキル基、C〜C20ヘテロ環式基から選択されるか、または、両方のR置換基と、これらが結合する窒素原子とが、飽和または不飽和のC〜C20ヘテロ環式基、または2つ以上のヘテロ原子を含む飽和または不飽和のC〜C20ヘテロ環式基を形成していてもよく、ヘテロ原子が存在する場合、ヘテロ原子は、カルボニル基、N、S、PまたはOから選択され、Rは、直鎖または分枝鎖のC〜C30アルキル基であり、CAは、四級アンモニウム部分の電荷と合うような適切な対アニオンである。別の実施形態では、Rはメチルであり、Rは、置換または非置換の直鎖または分枝鎖のC〜Cアルカンジイル基(すなわち、少なくとも2の自由原子価をもつアルカン基)であり、各Rは、独立して、水素、直鎖または分枝鎖のC〜C15アルキル基、1つ以上のヘテロ原子を含有する直鎖または分枝鎖のC〜C15アルキル基、直鎖または分枝鎖のC〜C20アルケニル基、1つ以上のヘテロ原子を含有する直鎖または分枝鎖のC〜C20アルケニル基、直鎖または分枝鎖のC〜C20アルキニル基、1つ以上のヘテロ原子を含有する直鎖または分枝鎖のC〜C20アルキニル基、C〜C10アリール基、1つ以上のヘテロ原子を含有するC〜C10アリール基、C〜C10シクロアルキル基、1つ以上のヘテロ原子を含有するC〜C10シクロアルキル基、C〜C10ヘテロ環式基から選択されるか、または、両方のR置換基と、これらが結合する窒素原子とが、飽和または不飽和のC〜C10ヘテロ環式基、または2つ以上のヘテロ原子を含む飽和または不飽和のC〜C10ヘテロ環式基を形成していてもよく、ヘテロ原子が存在する場合、ヘテロ原子は、カルボニル基、N、S、PまたはOから選択され、Rは、直鎖または分枝鎖のC〜C20アルキル基であり、CAは、四級アンモニウム部分の電荷と合うような適切な対アニオンである。ここで、明細書および特許請求の範囲のどこかの箇所、個々の数値(炭素原子の数に関する値を含む)または限界値を組み合わせ、開示されておらず、および/または述べられていないさらなる範囲を作り出してもよい。
【0032】
さらに別の実施形態では、Rはメチルであり、Rは、置換または非置換の直鎖または分枝鎖のC〜Cアルカンジイル基(すなわち、少なくとも2の自由原子価をもつアルカン基)であり、各Rは、独立して、水素、直鎖または分枝鎖のC〜Cアルキル基、1つ以上のヘテロ原子を含有する直鎖または分枝鎖のC〜Cアルキル基、直鎖または分枝鎖のC〜C10アルケニル基、1つ以上のヘテロ原子を含有する直鎖または分枝鎖のC〜C10アルケニル基、直鎖または分枝鎖のC〜C10アルキニル基、1つ以上のヘテロ原子を含有する直鎖または分枝鎖のC〜C10アルキニル基、C〜Cアリール基、1つ以上のヘテロ原子を含有するC〜Cアリール基、C〜Cシクロアルキル基、1つ以上のヘテロ原子を含有するC〜Cシクロアルキル基、C〜Cヘテロ環式基から選択されるか、または、両方のR置換基と、これらが結合する窒素原子とが、飽和または不飽和のC〜Cヘテロ環式基、または2つ以上のヘテロ原子を含む飽和または不飽和のC〜Cヘテロ環式基を形成していてもよく、ヘテロ原子が存在する場合、ヘテロ原子は、カルボニル基、N、S、PまたはOから選択され、Rは、直鎖または分枝鎖のC〜C15アルキル基であり、CAは、四級アンモニウム部分の電荷と合うような適切な対アニオンである。ここで、明細書および特許請求の範囲のどこかの箇所、個々の数値(炭素原子の数に関する値を含む)または限界値を組み合わせ、開示されておらず、および/または述べられていないさらなる範囲を作り出してもよい。
【0033】
式(II)の化合物に関し、この化合物は、式(I)であらわされる化合物の対応する四級アンモニウム化合物である。当業者にとって明らかであると思われるが、式(II)のモノマー化合物は、式(I)によってあらわされる化合物に対し、式CA−Rのハロゲン化アルキル化合物(Rは、上に定義されるような直鎖または分枝鎖のアルキル基であり、CAは、反応して式(II)によってあらわされる化合物の四級アンモニウム化合物を生成するときに対イオンとなる任意の適切な種および/または部分である)を用いた四級化反応を行うことによって作られる。一実施形態では、CAおよび/またはCAに適した種および/または部分としては、限定されないが、ハロゲン(例えば、臭素、塩素、フッ素またはヨウ素)、硫酸、スルホン酸、リン酸およびホスホン酸が挙げられる。別の実施形態では、CAおよび/またはCAに適した種および/または部分としては、限定されないが、塩化物、臭化物、メト硫酸(methosulfate)(すなわち、メチル硫酸)、酢酸、ギ酸、硫酸、硝酸などが挙げられる。さらに別の実施形態では、CAおよび/またはCAは、塩素、臭素またはフッ素のようなハロゲンである。
【0034】
さらに別の実施形態では、式(I)のモノマーを、過酸化水素(H)と反応させ、以下の式によってあらわされるアミンオキシド化合物
【0035】
【化5】

(式中、R、RおよびRは、上に定義されるとおりである)を得ることができる。さらに、本発明の多目的ポリマーを製造した後に、式(I)から式(II)または上のアミンオキシドへの上述のいずれかの変換プロセスを行ってもよい。
【0036】
別の実施形態では、ASMAモノマーの必要量は、式(I)および(II)の化合物の混合物である。ある場合には、式(I)のモノマーの量と式(II)の四級モノマーの量の重量比は、約5:95〜約95:5、または約10:90〜90:10、約15:85〜85:15、または約20:80〜約80:20、または約25:75〜約75:25、または約30:70〜70:30、または約35:65〜65:35、または約40:60〜約60:40、または約45:55〜約55:45、または約50:50の範囲である。ここで、明細書および特許請求の範囲のどこかの箇所、個々の数値または限界値を組み合わせ、開示されておらず、および/または述べられていないさらなる範囲を作り出してもよい。
【0037】
本明細書および特許請求の範囲を通して使用する場合、用語「アルカンジイル」は、少なくとも2の自由原子価をもつアルカン基を意味すると定義される。自由原子価は、ラジカルの末端位置および/またはラジカル骨格の任意の炭素原子の上に位置していてもよい。具体例を挙げる目的で、直鎖および分枝鎖のアルカンジイル部分の非限定的な例は、以下のとおりである(1個の炭素原子にしか接続していない線は、自由原子価をあらわす)。
【0038】
【化6】

特定のASMAモノマーの例としては、限定されないが、以下に示すものが挙げられる。
【0039】
【化7】

ここで、上の化合物は、以下の省略形であらわすことができる。3−(ジメチルアミノ)プロピルメタクリレート(DMAPMA);2−(ジメチルアミノ)プロパン−2−イルメタクリレート(DMAIPMA);3−(ジメチルアミノ)−2,2−ジメチルプロピルメタクリレート(DMADMPMA);2−(ジメチルアミノ)−2−メチルプロピルメタクリレート(DMAMPMA);および4−(ジメチルアミノ)ブチルメタクリレート(DMABMA)。
【0040】
上のモノマーの適切な塩形態としては、限定されないが、塩酸塩、硫酸塩およびリン酸塩のような鉱物酸塩;および酢酸塩、クエン酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩およびフマル酸塩のような有機酸塩などが挙げられる。
【0041】
上のモノマーまたはその塩を、単独または2種類以上の混合物で、本発明の多目的ポリマーのアミノ置換ビニルモノマー構成要素として用いてもよい。
【0042】
一実施形態では、ASMAモノマーは、モノマー混合物の合計重量を基準として、約5重量%〜約90重量%、または約10重量%〜約80重量%、または約15重量%〜約70重量%、または約20重量%〜約60重量%、または約25重量%〜約50重量%、または約30重量%〜約40重量%含まれる。ここで、明細書および特許請求の範囲のどこかの箇所、個々の数値(炭素原子の数に関する値を含む)または限界値を組み合わせ、開示されておらず、および/または述べられていないさらなる範囲を作り出してもよい。
【0043】
上に示す式(I)、I(a)および/または(II)から選択されるASMAモノマーを使用するため、本発明のポリマーは、貯蔵寿命が改善された多目的コポリマーを製造するために1つ以上の加水分解に安定なアミンモノマーを利用する。上述のように、本発明の多目的コポリマーは、貯蔵寿命が少なくとも6ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月であり、貯蔵寿命が少なくとも約24ヶ月またはより長い場合もある。ここで、明細書および特許請求の範囲のどこかの箇所、個々の数値(炭素原子の数に関する値を含む)または限界値を組み合わせ、開示されておらず、および/または述べられていないさらなる範囲を作り出してもよい。
【0044】
「貯蔵寿命」とは、水溶液中または水性環境にあっても、本発明の多目的コポリマーが安定なままであり、上述の加水分解反応によって過剰な分解が起こらないことを意味する。
【0045】
ある理論によって束縛されることを望まないが、本発明の多目的コポリマーは、水溶液中または水性環境にあっても安定なままであり、限定されないが、アミノ官能基または複数のアミノ官能基とアクリレート官能基との間の鎖が長いこと(直鎖および分枝鎖)を含む多くの因子に起因する上述の加水分解反応によって過剰な分解が起こらないと考えられる。さらに別の実施形態では、驚くべきことに、上述の実施形態の分岐したRおよび/または伸びたRを含むR基を利用することによって、本発明の種々の実施形態にしたがって作られた多目的ポリマーのアミノ−エステル部分のエステル部分において、加水分解が起こりにくくなったり、および/または起こらなかったりし得ることがわかった。これにより、加水分解反応で上に詳細に記載した5員環中間体の生成しやすさが減ると考えられる。同時に、このアプローチによって、モノマーの疎水性が上がり、水への溶解性も下がる。驚くべきことに、この両者のアプローチを組み合わせると(ASMAモノマー分子の鎖長を長くし、疎水性を上げる)、本発明によってこの物質から作られる多目的コポリマーに予測できない安定性能を与える。さらに、式(I)および(II)に関して上に述べたように内部水素原子を直鎖または分枝鎖のアルキル基で置換することによって末端ビニルエステル基を「保護」しても、本発明によってこの物質から作られる多目的コポリマーに予測できない優れた安定性能を与える。
【0046】
本発明のASMAモノマーを利用し、ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)から重合させた繰り返し単位を含むポリマーに固有の加水分解に対する不安定性を減らすことができる。本発明のASMAモノマーを、DMAEMAモノマーを含む重合可能なモノマー混合物に組み込み、DMAEMAから誘導される繰り返し単位を含むポリマーに固有の加水分解に対する不安定性を減らすことができる。本発明の一局面では、重合可能なDMAEMAを含有するモノマー混合物に含まれることが可能なASMAモノマーの量は、ASMAモノマーおよびDMAEMAモノマーをあわせた重量100重量部を基準として、DMAEMAモノマー約99〜1重量部に対し、ASMAモノマー約1〜99重量部の範囲である。別の局面では、モノマー混合物は、約10〜90重量部のASMAモノマーと、約90〜10重量部のDMAEMAモノマーとを含む。さらなる局面では、モノマー混合物は、約20〜80重量部のASMAモノマーと、約80〜20重量部のDMAEMAモノマーとを含有する。さらに別の局面では、モノマー混合物は、約30〜70重量部のASMAモノマーと、約70〜30重量部のDMAEMAモノマーとを含有する。なおさらなる局面では、モノマー混合物は、約40〜60重量部のASMAモノマーと、約60〜40重量部のDMAEMAモノマーとを含有する。なおさらなる局面では、モノマー混合物は、約50重量部のASMAモノマーと、約50重量部のDMAEMAモノマーとを含有する。上のすべての局面は、ASMAモノマーとDMAEMAモノマーを合わせた重量100重量部を基準としたものである。他の重合可能なモノマーを、重合可能なモノマー混合物(例えば、本明細書で上に記載したNIVモノマー、Vモノマー、VSモノマー、PSMモノマーおよびXLモノマーのうち1つ以上)に組み込んでもよい。
【0047】
DMAEMAから誘導されたポリマーの有害な加水分解感受性を減らすのに有用な適切なASMAモノマーとしては、上述の式I、I(a)およびIIを満たす1つ以上のASMAモノマーが挙げられる。代表的なASMAモノマーは、3−(ジメチルアミノ)プロピルメタクリレート(DMAPMA);2−(ジメチルアミノ)プロパン−2−イルメタクリレート(DMAIPMA);3−(ジメチルアミノ)−2,2−ジメチルプロピルメタクリレート(DMADMPMA);2−(ジメチルアミノ)−2−メチルプロピルメタクリレート(DMAMPMA);および4−(ジメチルアミノ)ブチルメタクリレート(DMABMA)から選択される。式I、I(a)およびIIを満たすモノマーおよび本明細書に開示した特定の代表的なモノマーを、すぐ上に記載した量および範囲で利用してもよい。
【0048】
本発明の多目的ポリマーの調製に使用するのに適した非イオン性ビニル(NIV)モノマーは、式(III)および/または(IV)によってあらわされる共重合可能な非イオン性エチレン性不飽和モノマー
C(X)=C(X)Z (III)
CH=CH−OC(O)R (IV)
であり、式中、式(III)および(IV)それぞれにおいて、各Xは、独立して、水素、メチル、−CHC(O)OR、−C(O)ORであり、Zは、−C(O)OR、−C、−COR、−CN、−C(O)N(R、−NHC(O)CH、−NHC(O)H、−C(O)OA’OR15、N−(2−ピロリドニル)、N−カプロラクタミル、−C(O)NHCHCH−N−エチレン尿素、または−C(O)NHC(CHであり、A’は、−CHCH(OH)CH−および−CHCH(CHOH)−から選択される二価の基であり、各Rは、独立して、直鎖および分枝鎖のC〜C30アルキル、ヒドロキシ置換C〜C30アルキル、C〜C30シクロアルキル、およびC〜Cアルキル置換C〜C30シクロアルキルであり、R15は、直鎖または分枝鎖の飽和または不飽和のC〜C22脂肪酸のアシル残基である。適切な非イオン性ビニルモノマーの非限定的な例としては、C〜C30アルキル(メタ)アクリレート;C〜C30アルキル(メタ)アクリルアミド;スチレン;置換スチレン、例えば、ビニルトルエン(例えば、2−メチルスチレン)、ブチルスチレン、イソプロピルスチレンなど;ビニルエステル、例えば、酢酸ビニル、酪酸ビニル、ピバル酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、カプロン酸ビニル(vinyl caprolate)、ノナン酸ビニル、デカン酸ビニル、ネオデカン酸ビニル、ウンデカン酸ビニル、ラウリン酸ビニルなど;不飽和ニトリル、例えば、メタクリロニトリル、アクリロニトリル、およびHexion Specialty Chemicals,Inc.(コロンブス、OH)からACETMモノマーおよび(M)ACETMモノマーの商品名で入手可能なモノマーが挙げられる。
【0049】
ACEモノマー(CAS No.94624−09−06)は、グリシジルt−デカノエート(CAS No.71206−09−2)とアクリル酸との反応生成物である。(M)ACEモノマーは、グリシジルt−デカノエートとメタクリル酸とを反応させることによって合成される。式(III)で記載され、Zが−C(O)OA’OR15である他のモノマーは、エステル化によってグリシドールとC〜C22脂肪酸とを反応させ、それぞれの脂肪酸のグリシジルエステルを得ることによって合成することができる。このようにして作られたグリシジルエステルを、次いでこのエステルのエポキシ官能基と、(メタ)アクリル酸のカルボキシル部分とを反応させておき、前生成モノマーを得てもよい。
【0050】
本発明の一局面では、上述の前生成モノマー構成要素(ACEおよび(M)ACE))を作るのに適切なグリシジルエステルは、米国特許第5,179,157号(第13欄)に開示されており、関連する開示内容は、本明細書に参考として組み込まれる。ネオデカン酸およびその異性体のグリシジルエステルは、Hexion Specialty Chemicals、Inc.からCarduraTM E10Pの商品名で市販されている。
【0051】
別の実施形態では、非イオン性ビニル(NIV)モノマーとしては、アクリル酸のC〜C30アルキルエステルおよびメタクリル酸のC〜C30アルキルエステル、およびこれらの混合物、例えば、アクリル酸メチル(MA)、アクリル酸エチル(EA)、メタクリル酸メチル(MMA)、アクリル酸n−ブチル(nBA)、アクリル酸2−エチルヘキシル(2−EHA)、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルメタクリレート(TMCHMA)、メタクリル酸ステアリル(SMA)、およびこれら任意の2つ以上の適切な混合物が挙げられる。
【0052】
さらに別の実施形態では、本発明と組み合わせて使用するのに適した非イオン性ビニル(NIV)モノマーとしては、限定されないが、アクリル酸のC〜C30アルキルエステルおよびメタクリル酸のC〜C30アルキルエステル、アクリル酸およびメタクリル酸のヒドロキシC〜C30アルキルエステル、およびこれら任意の2つ以上の混合物を含むビニルモノマーが挙げられる。例としては、限定されないが、アクリル酸メチル(MA)、アクリル酸エチル(EA)、メタクリル酸メチル(MMA)、アクリル酸n−ブチル(nBA)、アクリル酸2−エチルヘキシル(2EHA)、およびメタクリル酸ステアリル(SMA);不飽和C〜C30ジアルキルジカルボキシレート、例えば、イタコン酸ジエチル;ビニルエステル、例えば、ネオデカン酸ビニル、ノナン酸ビニル、およびウンデカン酸ビニル;N−ビニルピロリドン;C〜C30アルキル(メタ)アクリルアミド、例えば、メタクリルアミドおよびt−ブチルメタクリルアミド;スチレン;炭素環C〜C30アルキル置換メタクリレート、例えば、メタクリル酸シクロヘキシル、および3,3,5−トリメチルシクロヘキシルメタクリレート(TMCHMA)、およびこれら任意の2つ以上の適切な混合物が挙げられる。
【0053】
一実施形態では、NIVモノマーは、モノマー混合物の合計重量を基準として、約0.01重量%〜約90重量%、または約0.1重量%〜約85重量%、または約1重量%〜約80重量%、または約5重量%〜約75重量%、または約10重量%〜約70重量%、または約15重量%〜約65重量%、または約20重量%〜約60重量%、または約25重量%〜約55重量%、または約30重量%〜約50重量%、または約35重量%〜約45重量%含まれる。ここで、明細書および特許請求の範囲のどこかの箇所、個々の数値(炭素原子の数に関する値を含む)または限界値を組み合わせ、開示されておらず、および/または述べられていないさらなる範囲を作り出してもよい。
【0054】
さらに別の実施形態では、本発明の多目的ポリマーは、1つ以上のヒドロキシル置換基を含むエチレン性不飽和モノマーであるNIVモノマーを含むモノマー混合物から調製することができる。この種の適切なNIVモノマーの例としては、限定されないが、ヒドロキシ置換(C〜C)アルキル(メタ)アクリレート、例えば、メタクリル酸 2−ヒドロキシエチル(HEMA)、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(2−HEA)、アクリル酸3−ヒドロキシプロピルなど;ヒドロキシ置換(C〜C)アルキル(メタ)アクリルアミド、例えば、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−(3−ヒドロキシプロピル)アクリルアミド、N−(2,3−ジヒドロキシプロピル)アクリルアミドなどが挙げられる。他の有用なNIVモノマーとしては、アリルアルコール、グリセロールモノアリルエーテル、3−メチル−3−ブテン−1−オール、およびビニルアルコール前駆体および等価体(例えば、酢酸ビニル)が挙げられる。
【0055】
一実施形態では、本発明のモノマー反応混合物は、一実施形態では、モノマー混合物の合計重量を基準として、約15重量%までの量で、上に開示する1つ以上の任意のNIVモノマーを含有する。別の実施形態では、混合物中のNIVモノマーの量は、モノマー混合物の合計重量を基準として、約0.01重量%〜約15重量%、または約0.1重量%〜約10重量%、または約1重量%〜約8重量%、または約1重量%〜約5重量%の範囲である。ここで、明細書および特許請求の範囲のどこかの箇所、個々の数値(炭素原子の数に関する値を含む)または限界値を組み合わせ、開示されておらず、および/または述べられていないさらなる範囲を作り出してもよい。
【0056】
(VAモノマー)
本発明の多目的モノマーを製造するときに使用するのに適したビニル会合モノマー(VA)は、一実施形態では、(A)この系の他のモノマーとの付加重合のためのエチレン性不飽和末端基部分と、(B)生成物であるポリマーに対し、選択的な親水性を付与するためのポリオキシアルキレン中間部分と、(C)このポリマーに対し、選択的な疎水性を与えるための疎水性末端基部分とを有する化合物である。
【0057】
エチレン性不飽和末端基を供給する部分(A)は、一実施形態では、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸またはジカルボン酸またはこれらの無水物、またはCまたはCのモノカルボン酸またはジカルボン酸またはこれらの無水物から誘導される。または、ビニル会合(VA)モノマーの部分(A)は、アリルエーテルまたはビニルエーテル;非イオン性ビニル置換ウレタンモノマー、例えば、米国再発行特許第33,156号または米国特許第5,294,692号に開示されているもの;または、ビニル置換尿素反応生成物、例えば、米国特許第5,011,978号に開示されているものから誘導されてもよく、これらの関連する開示内容は、本明細書に参考として組み込まれる。
【0058】
中間部分(B)は、一実施形態では、約5〜約250、または約10〜約120、または約15〜約60の繰り返しC〜Cアルキレンオキシド単位を含むポリオキシアルキレンセグメントである。一実施形態では、中間部分(B)は、約5〜約150、または約10〜約100、または約15〜約60のエチレンオキシド単位、プロピレンオキシド単位またはブチレンオキシド単位、およびエチレンオキシド単位、プロピレンオキシド単位またはブチレンオキシド単位のランダムまたは非ランダムな配列のポリオキシエチレンセグメント、ポリオキシプロピレンセグメント、およびポリオキシブチレンセグメントを含む。ここで、明細書および特許請求の範囲のどこかの箇所、個々の数値(炭素原子の数に関する値を含む)または限界値を組み合わせ、開示されておらず、および/または述べられていないさらなる範囲を作り出してもよい。
【0059】
ビニル会合(VA)モノマーの疎水性末端基部分(C)は、一実施形態では、以下の炭化水素群の1つに属する炭化水素部分である。C〜C40直鎖アルキル、アリール置換C〜C40アルキル、C〜C40アルキル置換フェニル、C〜C40分枝鎖アルキル、C〜C40炭素環アルキル;およびC〜C80複合エステル。
【0060】
ビニル会合(VA)モノマーの適切な疎水性末端基部分(C)の非限定的な例は、炭素原子が約8〜約40個の直鎖または分枝鎖のアルキル基、例えば、カプリル(C)、イソオクチル(分枝鎖C)、デシル(C10)、ラウリル(C12)、ミリスチル(C14)、セチル(C16)、セテアリル(C16〜C18)、ステアリル(C18)、イソステアリル(分枝鎖C18)、アラキジル(C20)、ベヘニル(C22)、リグノセリル(C24)、セロチル(C26)、モンタニル(C28)、メリシル(C30)、ラクセリル(C32)などである。
【0061】
天然源から誘導される炭素原子が約8〜約40個の直鎖および分枝鎖のアルキル基の例としては、限定されないが、水素化ピーナッツ油、大豆油およびキャノーラ油(すべて主にC18)、水素化タロー油(C16〜C18)など;および水素化C10〜C30テルペノール、例えば、水素化ゲラニオール(分枝鎖C10)、水素化ファルネソール(分枝鎖C15)、水素化フィトール(分枝鎖C20)などから誘導されるアルキル基が挙げられる。
【0062】
適切なC〜C40アルキル置換フェニル基の非限定的な例としては、オクチルフェニル、ノニルフェニル、デシルフェニル、ドデシルフェニル、ヘキサデシルフェニル、オクタデシルフェニル、イソオクチルフェニル、sec−ブチルフェニルなどが挙げられる。
【0063】
適切なC〜C40炭素環アルキル基としては、これらに限定されないが、動物源に由来するステロール(例えば、コレステロール、ラノステロール、7−デヒドロコレステロールなど)から誘導される基、植物源に由来するステロール(例えば、フィトステロール、スチグマステロール、カンペステロールなど)から誘導される基;および酵母源に由来するステロール(例えば、エルゴステロール、菌類ステリンなど)から誘導される基が挙げられる。本発明で有用な他の炭素環アルキル疎水性末端基としては、これらに限定されないが、シクロオクチル、シクロドデシル、アダマンチル、デカヒドロナフチル、およびピネン、水素化レチノール、ショウノウ、イソボルニルアルコールなどのような天然炭素環材料から誘導される基が挙げられる。
【0064】
例示的なアリール置換C〜C40アルキル基としては、限定されないが、スチリル(例えば、2−フェニルエチル)、ジスチリル(例えば、2,4−ジフェニルブチル)、トリスチリル(例えば、2,4,6−トリフェニルヘキシル)、4−フェニルブチル、2−メチル−2−フェニルエチル、トリスチリルフェノーリルなどが挙げられる。
【0065】
適切なC〜C80複合エステルの非限定的な例としては、限定されないが、水素化ヒマシ油(主に、12−ヒドロキシステアリン酸のトリグリセリド);1,2−ジアシルグリセロール、例えば、1,2−ジステアリルグリセロール、1,2−ジパルミチルグリセロール、1,2−ジミリスチルグリセロールなど;糖類のジエステル、トリエステル、またはポリエステル、例えば、3,4,6−トリステアリルグルコース、2,3−ジラウリルフルクトースなど;およびソルビタンエステル、例えば、米国特許第4,600,761号(関連する開示内容は、本明細書に参考として組み込まれる)に開示されているものが挙げられる。
【0066】
有用なモノマーは、当該技術分野で既知の任意の方法によって調製することができる。例えば、米国特許第4,421,902号;第4,384,096号;第4,514,552号;第4,600,761号;第4,616,074号;第5,294,692号;第5,292,843号;第5,770,760号;および第5,412,142号を参照(関連する開示内容は、本明細書に参考として組み込まれる)。
【0067】
本発明と組み合わせて使用するのに有用なビニル会合(VA)モノマーの例としては、一実施形態では、式(V)によってあらわされるものが挙げられ、
【0068】
【化8】

式中、各Rは、独立して、H、メチル、−C(O)OHまたは−C(O)ORであり、Rは、C〜C30アルキルであり、Aは、−CHC(O)O−、−C(O)O−、−O−または−CHO−であり、(R−O)は、は、C〜Cオキシアルキレン単位のホモポリマー、ランダムコポリマーまたはブロックコポリマーであるポリオキシアルキレンであり、各Rは、独立して、C、C、C、またはこれらの混合物であり、nは、約5〜約250、または約5〜約100、または約10〜約80、または約15〜約60の範囲の整数であり、Rは、直鎖または分枝鎖のC〜C40アルキル、C〜C40炭素環アルキル、C〜C40アルキル置換フェニル、アリール置換C〜C40アルキル、およびC〜C80複合エステルから選択される置換または非置換のアルキルであり、Rアルキル基は、必要に応じて、ヒドロキシル基、アルコキシル基、および/またはハロゲン基から選択される1つ以上の置換基を含む。
【0069】
一実施形態では、式(V)の適切なビニル会合(VA)モノマーとしては、限定されないが、セチルポリエトキシ化メタクリレート(CEM)、セテアリルポリエトキシ化メタクリレート(CSEM)、ステアリルポリエトキシ化(メタ)アクリレート、アラキジルポリエトキシ化(メタ)アクリレート、ベヘニルポリエトキシ化メタクリレート(BEM)、ラウリルポリエトキシ化メタクリレート(LEM)、セロチルポリエトキシ化(メタ)アクリレート、モンタニルポリエトキシ化(メタ)アクリレート、メリシルポリエトキシ化(メタ)アクリレート、ラクセリルポリエトキシ化(メタ)アクリレート、トリスチリルフェノールポリエトキシ化メタクリレート(TEM)、水素化ヒマシ油ポリエトキシ化メタクリレート(HCOEM)、キャノーラポリエトキシ化(メタ)アクリレート、およびコレステロールポリエトキシ化メタクリレート(CHEM)が挙げられ、このモノマーのポリエトキシ化部分は、約5〜約100、または約10〜約80、または約15〜約60のエチレンオキシド繰り返し単位を含む。
【0070】
一実施形態では、モノマー混合物中のVAモノマー構成要素は、モノマー混合物の合計重量を基準として、モノマー混合物の約0.001重量%〜約25重量%、または約0.01重量%〜約20重量%、または約0.1重量%〜約15重量%、または約1重量%〜約10重量%含まれる。ここで、明細書および特許請求の範囲のどこかの箇所、個々の数値(炭素原子の数に関する値を含む)または限界値を組み合わせ、開示されておらず、および/または述べられていないさらなる範囲を作り出してもよい。
【0071】
(VSモノマー)
驚くべきことに、ビニル界面活性剤(VS)モノマー(ポリオキシアルキレン鎖を含む)は、このモノマーを含む多目的ポリマーの会合性を調節することができ、そのため、きわめて望ましい質感およびレオロジー特性を有する水性ゲルを得ることができることがわかった。ある理論によっても束縛されることを望まないが、VSモノマーのポリオキシアルキレン基は、ポリマー内の会合モノマーの疎水性基の間の非特異性会合を妨害または遮断し、これにより、ポリマーの会合性を弱めると考えられる。このようなVSモノマーは、選択される用途に望ましいようにポリマーのレオロジー特性をカスタマイズするように、得られるポリマーの増粘効果を調節することができる。最も驚くべきことに、VSモノマーは、水性ゲルに対して望ましいレオロジー特性および美的特性を付与し、VSモノマーを含まない多目的ポリマーよりも柔らかく、滑らかで、広げやすいゲルが得られることがわかった。
【0072】
驚くべきことに、VSモノマーを多目的ポリマーに組み込むと、低い剪断応力での粘度低下を最低限にするか、または減らすことができ、なめらかに流動するずり減粘プロフィールを与えることができる。
【0073】
ポリオキシアルキレン部分(R−O)は、特定的には、長鎖ポリオキシアルキレンセグメントを含み、このセグメントは、会合モノマーの親水性部分と実質的に同じである。一実施形態では、ポリオキシアルキレン部分(R−O)は、約1〜約250、または約5〜約100のオキシアルキレン単位を含む、ポリオキシエチレン単位、ポリオキシプロピレン単位、ポリオキシブチレン単位、およびこれらの組み合わせを含む。VSモノマーが、2種類以上のオキシアルキレン単位を含む場合、この単位は、ランダム、非ランダム、またはブロック配列で配置されていてもよい。
【0074】
適切なVSモノマーとしては、限定されないが、式(VI)によってあらわされるものが挙げられ、
【0075】
【化9】

式中、各Rは、独立して、水素またはメチル、−C(O)OHまたは−C(O)ORであり、Rは、C〜C30アルキルであり、Aは、−CHC(O)O−、−C(O)O−、−O−または−CHO−であり、pは、0〜約30の範囲の整数であり、rは、0または1であり、ただし、pが0である場合、rは0であり、pが1〜約30の範囲である場合、rは1であり、(R−O)は、C〜Cオキシアルキレン単位のホモポリマー、ランダムコポリマーまたはブロックコポリマーとして配置されていてもよいポリオキシアルキレン部分であり、各Rは、独立して、C、C、C、またはこれらの混合物であり、vは、約1〜約250、または約4〜約100、または約10〜約80、または約15〜約60の範囲の整数であり、Rは、水素またはC〜Cアルキルである。
【0076】
一実施形態では、適切なVSモノマーとしては、限定されないが、以下の化学式を有するモノマー
C=CH−O(CHO(CO)(CO)H;
C=CHCHO(CO)(CO)H;
C=C(Q)−C(O)−O(CHO(CO)(CO)H;または
C=C(Q)−C(O)−O(CO)(CO)
が挙げられ、式中、Qは、水素またはメチルであり、aは、2、3または4であり、bは、1〜約20、または約2〜約10、または約3〜約7の範囲の整数であり、cは、約5〜約50、または約8〜約40、または約10〜約30の範囲の整数であり、dは、1〜約20、または約2〜約10、または約3〜約7の範囲の整数であり、eは、約1〜約50、または約5〜約40、または約10〜約25の範囲の整数である。別の実施形態では、bまたはcは、ゼロであってもよい。さらに別の実施形態では、dまたはeは、ゼロであってもよい。
【0077】
適切なVSモノマーの例としては、限定されないが、Clariant Corporationによって販売される商品名EMULSOGEN(登録商標)R109、R208、R307、RAL100、RAL109、RAL208、およびRAL307;Bimax、Inc.によって販売されるBX−AA−E5P5で市販されている重合可能な乳化剤、およびこれらの組み合わせが挙げられる。別の実施形態では、適切なVSモノマーとしては、限定されないが、EMULSOGEN(登録商標)R208、R307,およびRAL307が挙げられる。
【0078】
製造業者によれば、EMULSOGEN(登録商標)R109は、実験式CH=CH−O(CHO(CO)(CO)10Hを有するランダムにエトキシ化/プロポキシル化された1,4−ブタンジオールビニルエーテルであり、EMULSOGEN(登録商標)R208は、実験式:CH=CH−O(CHO(CO)(CO)20Hを有するランダムにエトキシ化/プロポキシル化された1,4−ブタンジオールビニルエーテルであり、EMULSOGEN(登録商標)R307は、実験式:CH=CH−O(CHO(CO)(CO)30Hを有するランダムにエトキシ化/プロポキシル化された1,4−ブタンジオールビニルエーテルであり、EMULSOGEN(登録商標)RAL109は、実験式CH=CHCHO(CO)(CO)10Hを有するランダムにエトキシ化/プロポキシル化されたアリルエーテルであり、EMULSOGEN(登録商標)RAL208は、実験式CH=CHCHO(CO)(CO)20Hを有するランダムにエトキシ化/プロポキシル化されたアリルエーテルであり、EMULSOGEN(登録商標)RAL307は、実験式CH=CHCHO(CO)(CO)30Hを有するランダムにエトキシ化/プロポキシル化されたアリルエーテルであり、BX−AA−E5P5は、実験式CH=CHCHO(CO)(CO)Hを有するランダムにエトキシ化/プロポキシル化されたアリルエーテルである。
【0079】
一実施形態では、本発明と組み合わせて利用可能な適切なVSモノマーとしては、限定されないが、ポリアルキレングリコールモノアリルエーテル(例えば、CH=CHCH(OCHCHOH、例えば、ポリグリコール A350(M=350);ポリグリコール A500(M=500);および/またはポリグリコール A1100(M=1100);および/またはCH=CHCH(OCHCH(OCHCHCHOH、例えば、ポリグリコール A31/1000−EO:POの比が3:1(M=1000);ポリグリコール A32/550−EO:POの比が3:2(M=550);ポリグリコール A11/1800−EO:POの比が1:1(M=1800);ポリグリコール A91/550−EO:POの比が3:2(M=550);ポリグリコール A11−4−EO:POの比が3:1(M=750);および/またはポリグリコール A20−20−EO:POの比が1:1(M=2100)、ポリアルキレングリコールモノビニルエーテル(例えば、CH=CH(OCHCHOH、例えば、ポリグリコールR−500(M=500);ポリグリコール R−1100(M=1100);および/またはポリグリコール R−5000(M=約6000)、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルモノメタクリレート(すなわち、CH(OCHCHOCOC(CH)=CH、例えば、Genagen M 750 MA(M=810〜870)および/またはGenagen M 1100 MA(M=1160〜1220)、またはこれら任意の2つ以上の適切な混合物が挙げられる。
【0080】
本発明の多目的ポリマーの調製に利用されるVSモノマーの量は、幅広く変動してもよく、特に、ポリマーで望ましい最終的なレオロジー特性によって変わる。利用される場合、モノマー反応混合物は、一実施形態では、モノマー混合物の合計重量を基準として、少なくとも約0.01重量%の1つ以上のVSモノマーを含むか、または、少なくとも約0.1重量%の1つ以上のVSモノマーを含む。モノマー混合物は、一実施形態では、モノマー混合物の合計重量を基準として、約25重量%以下のVSモノマー、約20重量%以下のVSモノマー、約15重量%以下のVSモノマー、約10重量%以下のVSモノマー、または約7.5重量%以下のモノマーを含む。別の実施形態では、モノマー混合物は、モノマー混合物の合計重量を基準として、約0.01重量%〜約25重量%、または約0.1重量%〜約20重量%、または約0.5重量%〜約15重量%、または約1重量%〜約10重量%、または約2重量%〜約7.5重量%のVSモノマーを含む。ここで、明細書および特許請求の範囲のどこかの箇所、個々の数値(炭素原子の数に関する値を含む)または限界値を組み合わせ、開示されておらず、および/または述べられていないさらなる範囲を作り出してもよい。
【0081】
(重合可能なシリコーンマクロマー(PSM))
本発明の多目的ポリマーは、1つ以上の側鎖または側部の鎖を有し、この鎖が1つ以上の繰り返しポリオキシアルキレン単位を含む1つ以上の重合可能なシリコーンマクロマーを含むモノマー混合物から調製することができる。本発明と組み合わせて有用なシロキサンモノマーは、以下の式
【0082】
【化10】

によってあらわすことができ、式中、各R20は、独立して、直鎖または分枝鎖のC〜C30アルキル、C〜C20アリール、またはC〜C20アルケニルから選択され、(R−O)は、C〜Cオキシアルキレン単位のホモポリマー、ランダムコポリマーまたはブロックコポリマーとして配置されていてもよいポリオキシアルキレン部分であり、各Rは、独立して、C、C、C、またはこれらの混合物であり、vは、約1〜約250、または約4〜約100、または約10〜約80、または約15〜約60の範囲の整数であり、xは、0〜約200の範囲の整数であり、yは、0〜約200の範囲の整数であり、zは、1〜約200の範囲の整数であり、Gは、遊離ラジカルによって重合可能な少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む任意の部分から選択される。
【0083】
Gは、遊離ラジカルによって重合可能な炭素−炭素二重結合を含む任意の部分から選択される。一実施形態では、Gは、シリコーンコポリオールと、炭素−炭素二重結合を含有する反応剤とのエステル化反応またはエーテル化反応から得られる残基である。エステル化またはエーテル化を行うと、炭素−炭素二重結合はそのまま残り、シリコーンマクロマーが本発明の多目的ポリマーの骨格内で重合するときの遊離ラジカル重合のために利用することができる。別の実施形態では、炭素−炭素二重結合を有する反応剤は、環状酸無水物(例えば、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水マレイン酸およびこれらの異性体)、(メタ)アクリル酸、ビニルアルコールおよびアリルアルコールから選択される。さらに別の実施形態では、Gは、以下の式
【0084】
【化11】

によってあらわされる残基であってもよく、式中、この特定の場合に、Rは、水素およびメチルをあらわし、結合手の余った結合線(open bond line)は、シリコーンコポリオール上の酸素原子との共有結合をあらわす。
【0085】
シリコーンコポリオール上の末端ヒドロキシル基と、環状酸無水物および(メタ)アクリル酸反応剤によって提供される無水物基またはカルボン酸基との間でそれぞれエステル化反応が起こる。同様に、シリコーンコポリオール上の末端ヒドロキシル基と、ビニルアルコールまたはアリルアルコールの上に存在するヒドロキシル基との間でエーテル化反応が起こる。エステル化反応およびエーテル化反応は、当該技術分野でよく知られている。シリコーンコポリオールと環状酸無水物の反応によって遊離ラジカルによって重合可能なシリコーンマクロマーを得ることは、PCT公開第WO 2007/101048号に開示されており、この内容は、本明細書に参考として組み込まれる。
【0086】
上に開示したシリコーンコポリオールと環状酸無水物とのエステル化反応において、重合可能なシリコーンマクロマーのハーフエステルまたはモノエステルが示されている。この実施形態では、残りのカルボキシル官能基は、エステル化反応後に環状酸無水物残基の一部となる部分に残っている。また、残りのカルボキシル基を、第2のシリコーンコポリオールによって与えられる末端ヒドロキシル基と反応させ、シリコーンマクロマージエステルを与えることができるように反応剤の化学量論量を調節することによって、シリコーンジエステルマクロマーを作ることができることも、本発明の範囲内である。
【0087】
別の実施形態では、各R20は、独立して、直鎖または分枝鎖のC〜C20アルキル、C〜C14アリール、またはC〜C15アルケニルから選択され、aは、1〜約50の範囲の整数であり、bは、約1〜約50の範囲の整数であり、xは、1〜約100の範囲の整数であり、yは、1〜約100の範囲の整数であり、zは、2〜約100の範囲の整数であり、Gは、上に定義されるとおりである。さらに別の実施形態では、各R20は、独立して、直鎖または分枝鎖のC〜C10アルキル、C〜C10アリール、またはC〜C10アルケニルから選択され、aは、5〜約25の範囲の整数であり、bは、約5〜約25の範囲の整数であり、xは、5〜約50の範囲の整数であり、yは、5〜約50の範囲の整数であり、zは、5〜約50の範囲の整数であり、Gは、上に定義されるとおりである。ここで、明細書および特許請求の範囲のどこかの箇所、個々の数値(炭素原子の数に関する値を含む)または限界値を組み合わせ、開示されておらず、および/または述べられていないさらなる範囲を作り出してもよい。
【0088】
一実施形態では、PSMモノマーは、モノマー混合物の合計重量を基準として、約0.01重量%〜約10重量%、または約0.1重量%〜約7.5重量%、または約0.5重量%〜約5重量%、または約1重量%〜約2.5重量%含まれる。ここで、明細書および特許請求の範囲のどこかの箇所、個々の数値(炭素原子の数に関する値を含む)または限界値を組み合わせ、開示されておらず、および/または述べられていないさらなる範囲を作り出してもよい。
【0089】
(XLモノマー)
本発明の多目的ポリマーは、分枝鎖を導入し、分子量を制御するために1つ以上の架橋モノマーを含むモノマー混合物から調製することができる。適切な多価不飽和架橋剤は、当該技術分野でよく知られている。生成したコポリマーを、重合前、重合中または重合後に架橋することが可能な反応基を有する一不飽和化合物を利用してもよい。他の有用な架橋モノマーとしては、複数の反応基(例えば、エポキシド基、イソシアネート基、および加水分解可能なシラン基)を含む多官能モノマーが挙げられる。種々の多価不飽和化合物を利用し、部分的または実質的に架橋した三次元網目構造を生成することができる。
【0090】
適切な多価不飽和架橋モノマー構成要素の例としては、限定されないが、多価不飽和芳香族モノマー、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフチレン、およびトリビニルベンゼン;多価不飽和脂環式モノマー、例えば、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン;フタル酸の二官能エステル、例えば、フタル酸ジアリル;多価不飽和脂肪族モノマー、例えば、ジエン、トリエンおよびテトラエン(イソプレン、ブタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,5,9−デカトリエン、1,9−デカジエン、1,5−ヘプタジエンを含む)などが挙げられる。
【0091】
他の適切な多価不飽和架橋モノマーとしては、限定されないが、ポリアルケニルエーテル、例えば、トリアリルペンタエリスリトール、ジアリルペンタエリスリトール、ジアリルスクロース、オクタアリルスクロース、およびトリメチロールプロパンジアリルエーテル;ポリアルコールまたはポリ酸の多価不飽和エステル、例えば、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレントリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アリル、イタコン酸ジアリル、フマル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、およびポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;アルキレンビスアクリルアミド、例えば、メチレンビスアクリルアミド、プロピレンビスアクリルアミドなど;メチレンビスアクリルアミドのヒドロキシ誘導体およびカルボキシ誘導体、例えば、N,N’−ビスメチロールメチレンビスアクリルアミド;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、およびトリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;多価不飽和シラン、例えば、ジメチルジビニルシラン、メチルトリビニルシラン、アリルジメチルビニルシラン、ジアリルジメチルシラン、およびテトラビニルシラン;多価不飽和スタンナン、例えば、テトラアリルスズ、およびジアリルジメチルスズなどが挙げられる。
【0092】
反応基を有する有用な一不飽和化合物としては、N−メチロールアクリルアミド;N−アルコキシ(メタ)アクリルアミド(アルコキシ基はC〜C18アルコキシである);および不飽和の加水分解可能なシラン、例えば、トリエトキシビニルシラン、トリス−イソプロポキシビニルシラン、および3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートなどが挙げられる。
【0093】
複数の反応基を有する有用な多官能架橋モノマーとしては、限定されないが、加水分解可能なシラン、例えば、エチルトリエトキシシランおよびエチルトリメトキシシラン;エポキシ置換された加水分解可能なシラン、例えば、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランおよび3−グリシドキシプロピルトリメチルオキシシラン(3−glycidoxypropyltrimethyoxysilane);ポリイソシアネート、例えば、1,4−ジイソシアネートブタン、1,6−ジイソシアネートヘキサン、1,4−フェニレンジイソシアネート、および4,4’−オキシビス(フェニルイソシアネート);不飽和エポキシド、例えば、グリシジルメタクリレートおよびアリルグリシジルエーテル;ポリエポキシド、例えば、ジグリシジルエーテル、1,2,5,6−ジエポキシヘキサン、およびエチレングリコールジグリシジルエーテルなどが挙げられる。
【0094】
また、エトキシ化ポリオールから誘導される多価不飽和架橋剤(例えば、ヒドロキシル官能基1モルあたり、約2〜約100モルのエチレンオキシドでエトキシ化され、重合可能な不飽和基(例えば、ビニルエーテル、アリルエーテル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルなど)で末端が保護されたジオール、トリオールおよびビス−フェノール)も有用である。このような架橋剤の例としては、ビスフェノールAエトキシ化ジメタクリレート;ビスフェノールFエトキシ化ジメタクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリメタクリレートなどが挙げられる。本発明の多目的ポリマーで有用な他のエトキシ化架橋剤としては、米国特許第6,140,435号(関連する開示内容は、本明細書に参考として組み込まれる)に開示されているような、エトキシ化ポリオールから誘導される架橋剤が挙げられる。
【0095】
特定の適切なXLモノマーの例としては、限定されないが、少なくとも2つのアクリル酸エステル基またはメタクリル酸エステル基を含むポリオールのアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、エトキシ化−3 トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPEO3TA)、エトキシ化−15 トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPEO15TA)、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)、エトキシ化(30)ビスフェノールAジメタクリレート(EOBDMA);ポリアルケニルエーテル(APE)、例えば、トリアリルペンタエリスリトール、ジアリルペンタエリスリトール、およびトリメチロールプロパンジアリルエーテル(TMPDAE);スクロースアリルエーテル(AS)、例えば、ジアリルスクロース、オクタアリルスクロース;アルキレンビスアクリルアミド、例えば、メチレンビスアクリルアミド(MBA)、プロピレンビスアクリルアミド;およびこれら任意の2種類以上の適切な混合物が挙げられる。
【0096】
架橋モノマーが利用される場合、架橋モノマーは、モノマー反応混合物中に、モノマー混合物の合計重量を基準として、約5重量%までの量で存在する。別の実施形態では、XLモノマーは、モノマー混合物の合計重量を基準として、モノマー混合物の約0.001重量%〜約5重量%、または約0.01重量%〜約4重量%、または約0.05重量%〜約3重量%、または約0.1重量%〜約2重量%、または約0.5重量%〜約1重量%の量で存在する。ここで、明細書および特許請求の範囲のどこかの箇所、個々の数値(炭素原子の数に関する値を含む)または限界値を組み合わせ、開示されておらず、および/または述べられていないさらなる範囲を作り出してもよい。
【0097】
(連鎖移動剤)
本発明の多目的ポリマーは、必要に応じて、1つ以上の連鎖移動剤(CTA)を含むモノマー混合物から調製することができ、このことは、ポリマー技術分野でよく知られている。
【0098】
本発明で使用するのに適切な連鎖移動剤は、これらに限定されないが、種々のチオ含有化合物およびジスルフィド含有化合物、例えば、C〜C18アルキルメルカプタン、メルカプトカルボン酸、メルカプトカルボン酸エステル、チオエステル、C〜C18アルキルジスルフィド、アリールジスルフィド、多官能チオールなど;亜リン酸化合物および次亜リン酸化合物;ハロアルキル化合物、例えば、四塩化炭素、ブロモトリクロロメタンなど;および不飽和連鎖移動剤、例えば、α−メチルスチレンから選択される。
【0099】
多官能チオールとしては、三官能チオール、例えば、トリメチロールプロパン−トリス−(3−メルカプトプロピオネート)、四官能チオール、例えば、ペンタエリスリトール−テトラ−(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトール−テトラ−(チオグリコレート)、およびペンタエリスリトール−テトラ−(チオールアセテート);六官能チオール、例えば、ジペンタエリスリトール−ヘキサ−(チオグリコレート)などが挙げられる。
【0100】
または、連鎖移動剤は、ビニルモノマーの遊離ラジカル重合中に、付加ポリマーの分子量を下げるような、任意の触媒的な連鎖移動剤であってもよい。触媒的な連鎖移動剤の例としては、例えば、コバルト錯体(例えば、コバルト(II)キレート)が挙げられる。触媒的な連鎖移動剤は、チオール系CTAに対し、多くは、比較的低い濃度で利用することができる。
【0101】
適切な連鎖移動剤の例としては、限定されないが、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、ヘキサデシルメルカプタン、オクタデシルメルカプタン(ODM)、イソオクチル 3−メルカプトプロピオネート(IMP)、ブチル 3−メルカプトプロピオネート、3−メルカプトプロピオン酸、チオグリコール酸ブチル、チオグリコール酸イソオクチル、チオグリコール酸ドデシルなどが挙げられる。連鎖移動剤を、モノマー混合物の合計重量を基準として、重合可能なモノマー混合物の約10重量%までの量でモノマー反応混合物に加えることができる。連鎖移動剤が存在する場合、連鎖移動剤は、モノマー混合物の合計重量を基準として、混合物の少なくとも約0.05重量%含まれる。ここで、明細書および特許請求の範囲のどこかの箇所、個々の数値(炭素原子の数に関する値を含む)または限界値を組み合わせ、開示されておらず、および/または述べられていないさらなる範囲を作り出してもよい。
【0102】
(多目的ポリマーおよびこれを製造する方法)
本発明の多目的ポリマーは、従来の重合技術(例えば、乳化重合、逆乳化重合、溶液重合、沈殿重合、塊重合および分散重合)によって合成することができる。このような重合技術は、ポリマー技術分野でよく知られている。
【0103】
本発明の一実施形態では、多目的ポリマーは、その構成成分であるモノマーから乳化重合によって重合し、この重合は、単純なバッチプロセスとして、または計量して加えるプロセスとして行ってもよく、または、反応を小さなバッチとして開始し、次いで、モノマーの塊を反応器に連続して秤量して入れてもよい(シードプロセス)。典型的には、この重合プロセスは、約20℃〜約95℃の範囲の反応温度で行われるが、これより高い温度、または低い温度を用いてもよい。モノマー混合物の乳化を促進するために、乳化重合は、少なくとも1つの界面活性剤存在下で行われる。一実施形態では、乳化重合は、エマルションの合計重量を基準として、約1重量%〜約10重量%、または約3重量%〜約8重量%、または約5重量%〜約7重量%の範囲の量の界面活性剤存在下で行われる。ここで、明細書および特許請求の範囲のどこかの箇所、個々の数値(炭素原子の数に関する値を含む)または限界値を組み合わせ、開示されておらず、および/または述べられていないさらなる範囲を作り出してもよい。
【0104】
乳化重合反応混合物は、1つ以上の遊離ラジカル開始剤も含んでいる。一実施形態では、1つ以上の遊離ラジカル開始剤は、モノマーの合計重量を基準として、約0.01重量%〜約3重量%の範囲の量で存在する。この重合は、水性媒体または水性アルコール媒体中、中性または中程度にアルカリ性のpHで行うことができる。
【0105】
典型的な重合では、適切な反応器において、乳化する界面活性剤(例えば、非イオン性界面活性剤、一実施形態では、直鎖または分枝鎖のアルコールエトキシレート、または非イオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤(例えば、脂肪族アルコールサルフェートまたはアルキルスルホネート)の混合物の溶液に対し、適切な量の水中、モノマーの混合物を撹拌しながら加え、モノマーエマルションを調製する。このエマルションを任意の従来の方法で脱酸素し(例えば、窒素をスパージし)、次いで、重合触媒(開始剤)、例えば、過硫酸ナトリウムまたは乳化重合技術分野でよく知られている任意の他の適切な付加重合触媒を用い、重合反応を開始させる。この反応物を重合が終了するまで、典型的には、約4〜約16時間撹拌する。所望な場合、開始剤を加える前に、モノマーエマルションを約20℃〜約95℃の範囲の温度まで加熱してもよい。乳化重合技術でよく知られているように、もっと多くの触媒を加えることによって、未反応モノマーをなくしてもよい。得られたポリマーエマルション生成物を、次いで、反応器から取り出し、保存または使用するために入れ物に入れてもよい。必要に応じて、反応器から取り出す前に、エマルションのpHまたは他の物理的特徴または化学的特徴を調節してもよい。典型的には、生成物のエマルションは、合計固体(TS)含有量が約10重量%〜約60重量%の範囲である。典型的には、生成物のエマルションの合計固体含有量は、約15重量%〜約50重量%の範囲であり、一般的に、約40重量%以下である。ここで、明細書および特許請求の範囲のどこかの箇所、個々の数値(炭素原子の数に関する値を含む)または限界値を組み合わせ、開示されておらず、および/または述べられていないさらなる範囲を作り出してもよい。
【0106】
乳化重合を促進するのに適切な界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、およびこれらの混合物が挙げられる。最も一般的には、非イオン性界面活性剤およびアニオン性界面活性剤またはこれらの混合物が利用される。当該技術分野でよく知られているように、乳化する界面活性剤の疎水性および親水性を適切に選択することによって、中和したポリマーの物理的特性(例えば、粘度、展延性、透明さ、質感など)を変えることができる。
【0107】
乳化重合を促進するのに適切な非イオン性界面活性剤は、ポリマー技術分野でよく知られており、限定されないが、直鎖または分枝鎖のアルコールエトキシレート、C〜C12アルキルフェノールアルコキシレート、例えば、オクチルフェノールエトキシレート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーなどが挙げられる。他の有用な非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレングリコールのC〜C22脂肪酸エステル、モノグリセリドおよびジグリセリド、ソルビタンエステルおよびエトキシ化ソルビタンエステル、C〜C22脂肪酸グリコールエステル、HLB値が約12より大きいエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのブロックコポリマー、エトキシ化オクチルフェノール、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0108】
適切なアルキルフェノールアルコキシレート界面活性剤としては、限定されないが、Rhodia,Inc.によって商品名IGEPAL(登録商標)CA−897で販売されるオクチルフェノールである。別の実施形態では、直鎖アルコールアルコキシレートとしては、BASF Corp.によって商品名PLURAFAC(登録商標)C−17、PLURAFAC(登録商標)A−38およびPLURAFAC(登録商標)A−39で販売されるセテアリルアルコール(セチルアルコールとステアリルアルコールの混合物)のポリエチレングリコールエーテルが挙げられる。さらに別の実施形態では、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーとしては、BASF Corp.によって商品名PLURONIC(登録商標)F127およびPLURONIC(登録商標)L35で販売されるコポリマーが挙げられる。
【0109】
他の適切な非イオン性界面活性剤としては、限定されないが、エトキシ化直鎖脂肪族アルコール、例えば、DISPONIL(登録商標)A 5060(Cognis)、Ethal LA−23およびEthal LA−50(Ethox Chemicals)、分枝鎖アルキルエトキシレート、例えば、GENAPOL(登録商標)X 1005(Clariant Corp.)、二級C12〜C14アルコールエトキシレート、例えば、TERGITOL(登録商標)S15−30およびS15−40(Dow Chemical Co.)、エトキシ化オクチルフェノール系界面活性剤、例えば、TRITON(登録商標)X−305、X−405およびX−705(Dow Chemical Co.)、IGEPAL(登録商標)CA 407、887、および897(Rhodia,Inc.)、ICONOL(登録商標)OP 3070および4070(BASF Corp.)、SYNPERONIC(登録商標)OP 30および40(Uniqema)、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマー、例えば、PLURONIC(登録商標)L35およびF127(BASF Corp.)、および二級C11アルコールエトキシレート、例えば、EMULSOGEN(登録商標)EPN 407(Clariant Corp.)が挙げられる。営業用文献には、多くの他の供給業者が記載されている。
【0110】
乳化重合を促進するのに適切なアニオン性界面活性剤は、ポリマー技術分野でよく知られており、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジ−sec−ブチルナフチレンスルホン酸ナトリウム、ドデシルジフェニルエーテルスルホン酸二ナトリウム、およびn−オクタデシルスルホコハク酸二ナトリウムなどが挙げられる。
【0111】
本発明の乳化重合プロセスに適したポリマー安定剤(保護コロイドとしても知られている)は、水溶性ポリマーであり、例えば、合成ポリマー、例えば、ポリビニルアルコール、部分的に加水分解したポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、カルボキシレート官能基付加ポリマー、ポリアルキルビニルエーテルなど;水溶性天然ポリマー、例えば、ゼラチン、ペクチン、アルギネート、カゼイン、デンプンなど;および修飾された天然ポリマー、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アリル修飾されたヒドロキシエチルセルロースなどが挙げられる。ある場合には、合成保護コロイドおよび天然保護コロイドの混合物、例えば、ポリビニルアルコールとカゼインの混合物を使用することが利点である場合がある。さらに適切な天然ポリマーは、メチルヒドロキシエチルセルロースおよびカルボキシメチルメチルセルロースのような混合エーテルである。エマルションの合計重量を基準として、約10重量%までの量、または約7.5重量%まで、または約5重量%まで、または約2.5重量%まで、または約2重量%までの量でポリマー安定剤を利用してもよい。別の実施形態では、ポリマー安定剤を利用する場合、ポリマー安定剤は、エマルションの合計重量を基準として、約0.001重量%〜約10重量%、または約0.01重量%〜約7.5重量%、または約0.1重量%〜約5重量%、または約0.5重量%〜約2.5重量%、または約1重量%〜約2重量%の量で含まれる。ここで、明細書および特許請求の範囲のどこかの箇所、個々の数値(炭素原子の数に関する値を含む)または限界値を組み合わせ、開示されておらず、および/または述べられていないさらなる範囲を作り出してもよい。
【0112】
本発明で使用するポリマー安定剤は、水と任意の比率で混和性であるか、または20℃の水に少なくとも約0.1重量%の可溶性を有し、上述の温度で水で希釈しても、これらの水溶液から沈殿しない場合に、水溶性と呼ばれる。水溶性合成ポリマー安定剤の分子量は、典型的には、約5,000〜約2,000,000ダルトン、または約25,000〜約1,500,000ダルトンの範囲である。ポリマー安定剤の水溶液の粘度は、典型的には、約2重量%〜約10重量%の濃度、温度約20℃で約1〜約10,000mPa・sの範囲である。ここで、明細書および特許請求の範囲のどこかの箇所、個々の数値(炭素原子の数に関する値を含む)または限界値を組み合わせ、開示されておらず、および/または述べられていないさらなる範囲を作り出してもよい。
【0113】
有用なポリマー安定剤は、アリル修飾されたヒドロキシエチルセルロース、例えば、Clariantから入手可能なTYLOSE(登録商標)AM−HECグレードである。側鎖にある反応性アリル基は、セルロースエーテルの接合力を高め、安定なエマルションを生じる。TYLOSE(登録商標)安定剤は、アリル修飾されたヒドロキシエチルセルロース粉末(粒径は180μm未満)TYLOSE(登録商標)AM H40 YP2(AMHEC)である。
【0114】
例示的な遊離ラジカル開始剤としては、限定されないが、水溶性無機過硫酸化合物、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムおよび過硫酸ナトリウム;過酸化物、例えば、過酸化水素、過酸化ベンゾイル、過酸化アセチル、および過酸化ラウリル;有機ヒドロペルオキシド、例えば、クメンヒドロペルオキシドおよびt−ブチルヒドロペルオキシド;有機過酸、例えば、過酢酸;および油溶性の遊離ラジカル発生剤、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルなど、およびこれら2つ以上の適切な混合物が挙げられる。ペルオキシドおよび過酸は、必要に応じて、例えば、亜硫酸水素ナトリウムまたはアスコルビン酸、スルフィン酸誘導体、例えば、Brueggolite(登録商標)FF6およびFF7(Brueggemann Chemical)遷移金属、ヒドラジンなどの還元剤で活性化することができる。一実施形態では、適切な遊離ラジカル重合開始剤としては、限定されないが、水溶性アゾ重合開始剤、例えば、アルキル基の上に水に溶解する置換基を有する2,2’−アゾビス(tert−アルキル)化合物が挙げられる。別の実施形態では、アゾ重合触媒としては、限定されないが、DuPontから入手可能なVAZO(登録商標)遊離ラジカル重合開始剤、例えば、VAZO(登録商標)44(2,2’−アゾビス(2−(4,5−ジヒドロイミダゾリル)プロパン)、VAZO(登録商標)56(2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩)およびVAZO(登録商標)68(4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸))が挙げられる。
【0115】
必要に応じて、乳化重合分野でよく知られている他の乳化重合添加剤(例えば、溶媒、緩衝化剤、キレート化剤、無機電解質、連鎖停止剤およびpH調節剤)が重合系に含まれていてもよい。
【0116】
本発明の多目的ポリマーを調製するための、ある適切な一般的な乳化重合手順を以下に提供する。
【0117】
一実施形態では、モノマーエマルションは、窒素注入口および撹拌機を設けた反応器内で、窒素雰囲気下、混合撹拌しつつ、乳化する量の非イオン性界面活性剤、または非イオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤の混合物を含む所定量の水に望ましい量の各モノマーを混合することによって調製される。上述の種類のモノマー混合物からエマルションを形成するのに必要な撹拌度は、当業者にはよく知られている。このようにして作られたエマルションを、当該技術分野で既知の任意の適切な方法によって実質的に脱酸素し(例えば、窒素をスパージし)、次いで、連続的に混合撹拌しつつ、エマルションに遊離ラジカル開始剤を加え、重合を開始させる。所望な場合、開始剤を加える前または加えた後に、エマルションの温度を約20℃〜約60℃の範囲に調節してもよい。開始剤を加えた後、重合反応混合物の温度を、典型的には、約60℃〜95℃の範囲の温度に調節し、このような温度で、重合が終了するのに十分な時間保持する(典型的には、約3〜約14時間)。必要に応じて、未反応の残留モノマーは、種々の酸化還元試薬または触媒を加えることによって分解したり、さらに重合させたりすることができる。次いで、得られたポリマーエマルションを冷却し、反応器から取り出し、集めてもよい。
【0118】
任意の望ましい比率のモノマー構成要素を含むポリマーを得るために、各モノマー構成要素の量を調節することができることをポリマー技術分野の当業者は認識するだろう。所望な場合、水の比率を変えてもよい。上述のような水混和性の溶媒(例えば、アルコール)および他の重合添加剤も、反応混合物に含まれていてもよい。適切なアルコールとしては、限定されないが、グリコール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセロールなどが挙げられる。
【0119】
生成物であるポリマーエマルションは、ポリマーの重量を基準として、一実施形態では、約1%〜約60%、または約10%〜約40%、または約15%〜約25%のポリマーの合計固形分を含むように調製することができる。ここで、明細書および特許請求の範囲のどこかの箇所、個々の数値(炭素原子の数に関する値を含む)または限界値を組み合わせ、開示されておらず、および/または述べられていないさらなる範囲を作り出してもよい。中和する前に、ポリマーエマルションは、製造されたときには、典型的には、pHが約7以上、周囲室温でのBrookfield粘度(スピンドル番号2、20rpm)が約100mPa・s以下である。
【0120】
必要に応じて、製造された多目的ポリマーエマルションを、酸性pHが望ましい場合には、酸性物質(例えば、有機酸、鉱物酸など)を用いて約1〜約7以下の範囲のpH値に調節することによってさらに処理してもよい。多目的ポリマーエマルションは、典型的には、膨潤してなめらかで粘度の高い溶液を生成し、この溶液は、中性から酸性のpHで流動性があり、噴霧可能であるか、またはゲルであり、このポリマーは、一般的に、このようなpH値で実質的に安定である。多目的ポリマーエマルションを水または溶媒で希釈してもよく、または、水の一部を蒸発させることによって濃縮してもよい。または、得られた多目的ポリマーエマルションを、当該技術分野で周知の装置(例えば、スプレードライヤー、ドラムドライヤー、フリーズドライヤーなど)を利用し、粉末または結晶形態になるまで実質的に乾燥させてもよい。
【0121】
本発明の多目的ポリマーは、例えば、乳化重合、溶液重合、沈殿重合、塊重合、分散重合によって調製することができ、必要な場合、種々の既知の添加剤および従来の補助剤、よび水以外の溶媒を組み込むことによって利用することができる。重合技術として乳化重合が選択される場合、重合反応は、バッチ技術および半バッチ技術によって行うことができる。
【0122】
本発明の多目的ポリマーは、脱イオン水中、約2重量%の濃度で、約1〜約7のpH範囲では中性形態または酸性形態で存在し、Brookfield粘度を、約300mPa・s〜約100,000mPa・sまたはそれ以上にすることができる(Brookfield RVT、20rpm、周囲室温約25℃で)。
【0123】
本発明の多目的ポリマーの分子量(重量平均)は、ポリスチレン標準を用いたGPCによって測定すると、一局面では約5,000ダルトン〜約10,000,000ダルトンであり、別の局面では約10,000ダルトン〜約5,000,00ダルトン、本発明のさらなる局面では約50,000ダルトン〜約3,000,000ダルトンである。
【0124】
本発明の多目的ポリマーは、パーソナルケア、ヘルスケア、家庭用ケア、施設および産業用(まとめて「I&I」)ケア用の種々の製品、および医薬品用途および産業用途の種々の製品に利用することができる。本発明の多目的ポリマーは、乳化剤、安定剤、懸濁剤、効果を高め、化学的および生理学的に活性な成分および化粧品材料を付着または送達するための付着助剤、膜形成剤、増粘剤、レオロジー調整剤、毛髪固定剤、コンディショニング固定剤、コンディショナー、保湿剤、拡散助剤、担体として使用することができ、また、これを加えた配合物の精神知覚性および美感を高めるための薬剤として使用することができる。さらに、本発明の多目的ポリマーのカチオン性によって、これらのポリマーが帯電防止剤として有用になり、特定の条件下で、殺菌活性、静菌活性、防腐活性および抗微生物活性も付与することがある。
【0125】
(方法)
粘度:各ポリマーを含有する組成物の粘度報告値は、Brookfield回転スピンドル粘度計(Brookfield Engineering Laboratories,Inc.、RVT型)を使用し、毎分20回転(rpm)、約20℃〜約25℃の周囲室温でミリパスカル秒(mPa・s)(cP)で測定される(Brookfield粘度と呼ばれる)。特定の粘度測定で利用するスピンドルの大きさは、製造業者が供給している粘度表にしたがって選択される。
【0126】
「弱い粘度または低い粘度」は、典型的には、粘度が約1,000mPa・sまでの注ぐことが可能な流動する生成物を指し、「中程度の粘度」は、粘度が約1,000〜約3,000mPa・sの範囲の生成物を指し、「高粘度」は、粘度が3,000より高く、約10,000mPa・sまでの範囲の生成物を指し、「ゲル」は、他の意味であると示されていない限り、粘度が10,000mPa・sより大きな生成物を指す。
【0127】
降伏値:降伏値は、応力がかかった状態で流動するための初期抵抗であると定義される。この値は、Brookfield粘度計(RVT型)を用いるBrookfield Yield Value(BYV)Extrapolation Methodによって測定される。Brookfield粘度計を用い、0.5〜100rpmの速度で、液体サンプルに対してスピンドルを回転させるのに必要なトルクを測定する。トルクの読みにスピンドルおよび速度の適切な定数を掛けると、見かけ粘度が得られる。降伏値は、測定値を剪断速度0に外挿した値である。BYVは、以下の式によって算出される。
【0128】
BYV(dyn/cm)=(ηα1−ηα2)/100
式中、ηα1およびηα2=2種類の異なるスピンドル速度で得られた見かけ粘度(それぞれ0.5rpmおよび1.0rpm)である。これらの技術および降伏値測定の有用性は、Noveon Consumer Specialties Division of Lubrizol Advanced Materials,Inc.のTechnical Data Sheet Number 244(Revision:5/98)に記載されており、本明細書に参考として組み込まれる。応力値が低いこと(<50ダイン/cm)は、なめらかであり、かつニュートン流動性をもつことの指標である。
【0129】
透明さ:報告されているとき、上のポリマーを含有する組成物の透明さは、組成物を作製してから少なくとも24時間後に、Brinkmann PC 920比色計によって%T(透過率)で測定される。透明さの測定は、脱イオン水(透明さは100%と評価される)に対して行われる。透明さが約60%以上の組成物は、実質的に透明であり、透明さが約45%〜約59%の組成物は、実質的に半透明であると判断される。
【0130】
D.濁度:報告されているとき、上のポリマーを含有する組成物の濁度は、Nephelometric濁度計を使用し、標準として蒸留水(NTU=0)を用い、Nephelometric Turbidity Units(NTU)で決定される。NTU値が約90以上の組成物は、濁っていると判断される。
【0131】
E.安定性:上のポリマー生成物エマルションまたは配合した組成物の安定性は、以下の1つ以上の手順によって評価される。
【0132】
貯蔵:試験生成物サンプルを、以下の1つ以上の温度で保存する。(a)約20℃〜約25℃の範囲の周囲室温で少なくとも1週間から約6ヶ月まで;(b)約30℃〜約50℃の範囲(他の記載がない限り)の選択した温度で、オーブン中、高温で約5週間まで(加速経変貯蔵)。
【0133】
安定性は、保存したサンプルを周期的に目で見て、目に見える沈殿がないか観察することによって、または、以下の例で示されるような選択した間隔で決定される測定可能なBrookfield粘度のきわだった増加によって決定される。周囲温度での保存の場合、サンプルを1週間は毎日、次いで、合計貯蔵期間が約2ヶ月になるまでは週に2回、その後、合計貯蔵期間が約6ヶ月になるまで1ヶ月に1回、目で見て調べる。いずれかの貯蔵温度で、(a)沈殿が観察されないか、またはある程度沈殿が生じている場合には、サンプルの合計容積の約2%を超えていないとき;(b)生成物の粘度が増加していないか、またはある程度増加している場合には、その増加が約100mPa・sを超えないときに、生成物は安定であると判断される。
【0134】
F.酸−塩基滴定によるアミン加水分解:各モノマーについて、重量比1:1(モル比1:10)の過剰量の水の中で1週間または2週間、周期的に加水分解安定性を調べるために、酸−塩基滴定を行う。アミンモノマーが100%加水分解すると、1モルのアミンアルコールおよび1モルのメタクリル酸が得られると予想され、この量は、酸−塩基滴定によって測定することができる(酸価、mg KOH/g)。
【0135】
G.懸濁試験手順:ポリマー系が、不溶性の油性材料および粒子状材料を有効におよび/または美的に懸濁する能力は、生成物の効果および魅力の観点から重要である。懸濁能力は、表4で処方されているような透明バスジェルサンプルを用いて試験される。6ドラムバイアル(高さ約70mm×直径25mm)に、50mmの印のところまでバスジェル試験配合物を満たす。美的試験用ビーズ(aesthetic bead)(Unispheres UEA−509、Induchem AG(スイス)から入手可能、組成物:ラクトース、セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)をバスジェルサンプルに十分に分散し、ジェル中のビースの初期位置を確認するために写真を撮影する。このバイアルを45℃のオーブンに置き、12週間経変させる。12週間のオーブン試験が終了した時点で、サンプルについて、ビーズ懸濁性を調べる。懸濁結果を目で見て4〜0のランクにわける。4=ジェル内のビーズの初期位置に対し、検知できるほどの沈殿なし、3=わずかに沈殿、またはジェル内のビーズの初期位置に対し、距離にして低下が約1/4未満、2=ジェル内のビーズの初期位置に対し、距離にして低下が約1/4、1=バスジェル内のビーズの初期位置に対し、距離にして低下が1/4より大きく、1/2まで、0=バスジェル内のビーズの初期位置に対し、距離にして低下が1/2より大きい。
【0136】
H.分子量の決定:本明細書で記載している重量平均分子量は、Polymer Laboratories(Varian,Inc.)によって製造されるRI検出器を備えたPL−GPC 220高温GPC装置を用いてGPCによって測定される。約0.02gのポリマーサンプルを、250ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)および0.05モル濃度のNaNOを含む5mlのテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。この試験サンプル溶液を穏やかに約2時間撹拌し、サンプル溶液を0.45μm PTFE使い捨て円形フィルタに通すことによって濾過する。クロマトグラフィー条件は、以下のとおりである。移動相:THF、250ppmのBHTおよび1.0%酢酸を含む、70℃、1.0ml/分。サンプルの大きさ:100μl カラムセット:PLgel(Guard+2×Mixed−C)、このシリーズはすべて5μm。Waters Empower Pro LC/GPCソフトウエアを使用して結果を分析し、本発明のポリマーのMを算出する。ポリスチレン標準を使用する。
【実施例】
【0137】
以下の実施例によって、実施形態の調製法および使用をさらに説明するが、これらに限定されるものではない。以下は、明細書で使用される物質の省略形および商品名のリストである。
コントロール3 INCI名:ポリアクリレート−1クロスポリマー
ACE ACETMヒドロキシルアクリレートモノマーは、アクリル酸とCarduraTMとの反応生成物である。Carduraは、VERSATICTM酸10(炭素原子を10個含む高度に分岐した飽和カルボン酸)のグリシジルエステルである。
EA アクリル酸エチル
MA アクリル酸メチル
MMA メタクリル酸メチル
Mam メタクリルアミド
n−BA アクリル酸n−ブチル
2−EHA アクリル酸2−エチルヘキシル
DEIA イタコン酸ジエチル
TMCHMA 3,3,5−トリメチルシクロヘキシルメタクリレート
DMAEMA 2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート
DMAPMA 3−(ジメチルアミノ)プロピルメタクリレート
DMAIPMA 1−(ジメチルアミノ)プロパン−2−イルメタクリレート
DMABMA 4−(ジメチルアミノ)ブチルメタクリレート
DMADMEMA 2−(ジメチルアミノ)−2−メチルプロピルメタクリレート
DMADMPMA 2−(ジメチルアミノ)−2,2−ジメチルプロピルメタクリレート
DMANPA N,N−ジメチルアミノネオペンチルアクリレート
CSEM25 セテアレス−25メタクリレート
HEMA メタクリル酸 2−ヒドロキシエチル
TEGDMA トリエチレングリコールジメタクリレート
TMPDAE トリメチロールプロパンジアリルエーテル
TMPTA トリメチロールプロパントリアクリレート
MBA メチレンビスアクリルアミド
AS ショ糖のアリルエーテル
APE ペンタエリスリトールのアリルエーテル
VEOVA−10 ネオデカン酸ビニル
VP N−ビニルピロリドン
SMA メタクリル酸ステアリル
過酸化水素
Polyglykol 実験式CH=CHCHO(CO)(CO)−Hを有するランダムにエトキシ化/プロポキシル化されたアリルエーテル;(Polyglykol A32/550、Clariant Corporation)
RAL307 実験式CH=CHCHO(CO)(CO)30−Hを有するランダムにエトキシ化/プロポキシル化されたアリルエーテル;(EMULSOGENTM RAL307、Clariant Corporation)
E407 アルコール単位あたり40個のエチレンオキシド単位を有する二級C11エトキシレート(EMULSOGENTM EPN 407、Clariant Corp.)
IPA イソプロピルアルコール
EtOH エタノール
Siマクロマー PEG/PPG−23/6ジメチコーンシトラコネートマクロモノマー
(DMAPMAまたはDMADMPMAの合成−トランスエステル化による)
凝縮器、温度計および窒素/空気注入口を備え、蒸留カラムを取り付けた反応フラスコに、2.5当量のメタクリル酸メチル(MMA)、(1.0当量)のジメチルアミノ−プロパノール(DMAPOL)または3−ジメチルアミノ−2,2−ジメチル−1−プロパノール(DMADMPOL)、適切な量の重合抑制剤(例えば、フェノチアジンまたはMEHQ)および触媒量の適切なトランスエステル化触媒を加える。適切な触媒としては、限定されないが、Sn塩、Ti塩、Zr塩およびZn塩が挙げられる。ある実施形態では、このような触媒としては、限定されないが、塩化スズ、スズトリフラート、塩化ジメチルスズ、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズ二塩化物、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジトリフラート、酸化ジブチルスズ、ジブチルスズジメトキシド、ジブチルスズジエトキシド、ジオクチルスズジアセテート、ジオクチルスズ二塩化物、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジトリフラート、酸化ジオクチルスズ、ジオクチルスズジメトキシド、ジオクチルスズジエトキシド;塩化チタン、チタンメトキシド、チタンエトキシド、チタンイソプロポキシド、チタンブトキシドなどが挙げられる。この混合物にN/空気を非常にゆっくり流しつつ、加熱して還流させる。GC分析によって示されるように反応が終了するまで、温度を100℃〜120℃に維持する。反応が終了したら、望ましいモノマーを減圧蒸留によって良好な収率で精製することができる。
【0138】
ジメチルアミノ−プロパノール(DMAPOL)または3−ジメチルアミノ−2,2−ジメチル−1−プロパノール(DMADMPOL)に関し、これらの化合物を、限定されないが、米国仮特許出願第61/231,780号(2009年8月6日出願、開示している全体について、本明細書で全体的に組み込まれる)に開示されている技術/方法を含む多くの技術に従って合成することができる。
【0139】
酸−塩基滴定:一連のアミンアクリレートモノマーを上に開示した例示的な方法にしたがって合成し、加水分解安定性について試験する。これらのアミンモノマーの加水分解安定性を試験し、DMAEMAの安定性と比較する(図1を参照)。酸価が大きいことは、アミン加水分解度が大きいことを示す。対照的に、鎖長が長く、疎水性が大きい他のすべてのアミンは、DMAEMAと比較して加水分解安定度が高いことが示されている。窒素とエステルの酸素原子との間の炭素鎖長に伴って疎水性が上がることは、加水分解を減らすことに対する予測できない因子であることがわかる。分岐は、窒素とエステルの酸素原子との間の炭素鎖長が、少なくとも3個の炭素原子分またはアルキル置換基を有する2個の炭素原子分伸びている場合、伸びた鎖長の加水分解安定性を有効に高める。
【0140】
H NMR試験:DMADMPMAの性能を確認するために、加水分解プロセスをH NMR分析によってモニタリングする(図2を参照)。ここでも、DMADMPMAは、DMAEMAよりも優れた加水分解安定性を示す。
【0141】
重合の一般的な手順:典型的な重合では、乳化する界面活性剤(例えば、非イオン性界面活性剤、例えば、直鎖または分枝鎖のアルコールエトキシレート、または非イオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤(例えば、脂肪族アルコールサルフェートまたはアルキルスルホネート)の混合物、メチルグルコシド誘導体(GlucamateTMDOE 120、GlucamateTMSSE−20およびGlucamateTMLT)を適切な量の水に溶かした溶液を2Lの反応器に入れ、撹拌しつつ、モノマー混合物を加え、モノマーエマルションを調製する。このエマルションを任意の適切な方法で脱酸素し(例えば、窒素をスパージし)、次いで、重合触媒(開始剤)、例えば、過硫酸ナトリウムまたは乳化重合技術分野でよく知られている任意の他の適切な付加重合触媒を用い、重合反応を開始させる。この反応物を重合が終了するまで、典型的には、約4時間〜約16時間撹拌する。所望な場合、開始剤を加える前に、モノマーエマルションを約20℃〜約95℃の温度まで加熱してもよい。乳化重合技術でよく知られているように、もっと多くの触媒を加えることによって、未反応モノマーをなくしてもよい。得られたポリマーエマルション生成物を、次いで、反応器から取り出し、保存または使用するために入れ物に入れてもよい。必要に応じて、反応器から取り出す前に、エマルションのpHまたは他の物理的特徴または化学的特徴を調節してもよい。典型的には、生成物のエマルションの合計ポリマー含有量は、ポリマー固形分(TS)の合計重量の約15重量%〜約60重量%の範囲であるが、一般的には、約40重量%以下である。
【0142】
コントロールポリマー:コントロール1−このコントロールポリマー(実施例0)は、アクリレートアミン型であるDMANPAを用いて製造される。コントロール2−このコントロールポリマー(実施例18)は、DMAEMAを用いて製造される。コントロール3−DMAEMA系の市販ポリマー(INCI:ポリアクリレート−1クロスポリマーのCarbopol(登録商標)Aqua CC)。
【0143】
表1は、新規コポリマーおよびその組成物のリストを記載している。これらの新規ポリマーは、以下のアミンモノマーのうちの少なくとも1つを用いて合成される。他の共重合可能なモノマーを含む、DMANPA、DMADMPMA、DMAPMA、DMABMAおよびDMAEMA。表1の実施例番号3で特定される多目的ポリマーは、上に記載した一般的な手順にしたがい、以下に詳細に記載するように調製される。混合撹拌しつつ、約24.29グラムのEmulsogen E407(70%)非イオン性界面活性剤および約2.0グラムのラウリル硫酸ナトリウム(30%)アニオン性界面活性剤を含む約360グラムの水が入った反応器に、約59.05グラムのアクリル酸エチル、約35グラムのDMADMPMA、約1.8グラムのHEMA、約4.0グラムのRAL307および約0.15グラムのTEGDMAを加えることによって、モノマーエマルションを調製する。窒素雰囲気下、得られた混合物を約30〜約40℃の範囲の温度でエマルションが得られるまで撹拌する(約200rpm)。次いで、このモノマーエマルションに、混合撹拌しつつ、約0.16グラムの過硫酸ナトリウムを約5グラムの水に溶かした酸化剤溶液と、約0.12重量部のBrueggolite(登録商標)FF6を約5グラムの水に溶かした還元剤溶液を加え、重合反応を開始させる。開始剤を加えた後、反応混合物の温度を、約60〜約70℃の範囲の温度に約2.5時間維持する。さらなる量の開始剤(加えられる開始剤のさらなる量について、それぞれ、約0.08グラムの過硫酸ナトリウムを約3.0グラムの水に加えたもの、約0.06グラムのBrueggolite(登録商標)FF6を約3.0グラムの水に加えたもの)を、反応を開始してから約1.0時間および約2.0時間の時点で加える。反応温度を約60〜約70℃にさらに2時間半維持し、重合を終了させる。次いで、得られたポリマーエマルション生成物を室温まで冷却し、反応器から取り出し、回収する。得られたポリマーエマルション(実施例番号3)は、ポリマーの合計固形分が約21重量%であり、pHが約7.79であり、粘度が約8.5mPa・sであった。表1に記載されている残りの実施例も、この表に特定されているモノマー構成要素から同様に調製する。
【0144】
表2は、各ポリマーについて、%TS、粘度、pHおよび酸価のようなラテックスの性能を提供している。DMAEMAを含有するコントロールポリマー(実施例18)について示される高い酸価は、重合中に顕著な量のモノマー加水分解が起こっていることを示す。対照的に、実施例1、12、13のポリマーは、酸価が低く、この値は、DMAPMAおよびDMABMAに由来するポリマーが、重合中の加水分解安定性が優れていることを示している。しかし、他のすべてのポリマーは、これよりかなり小さな酸価を与え、DMADMPMA系ポリマーおよびそのブレンド(DMADMPMA/DMAPMAおよびDMADMPMA/DMAEMA)が、重合中の加水分解安定性が良好であることを示している。
【0145】
表3は、表1に列挙されているポリマーの増粘特性を与えている。すべての2%TSゲル(脱イオン水中、ポリマーの合計固形分が2wt.%の粘液)は、50%グリコール酸水溶液を用いてpH4.0になるまで中和することによって製造され、次いで、粘度(20RPM)、YV、pHおよび透明さ(濁度としてNTUで測定)について特性決定する。
【0146】
DMANPAを用いて製造されるコントロールポリマー(実施例0)は、2%TS(脱イオン水中、ポリマーの合計固形分が2wt.%の粘液)の増粘性能が、メタクリレート型(実施例1、2、2a、3、12および13のポリマー)と比較して低いことを示す。
【0147】
【表1−1】

【0148】
【表1−2】

【0149】
【表1−3】

【0150】
【表1−4】

【0151】
【表1−5】

【0152】
【表2−1】

【0153】
【表2−2】

【0154】
【表2−3】

【0155】
【表3−1】

【0156】
【表3−2】

【0157】
【表3−3】

(加水分解安定性)
加水分解に安定なアミンモノマー(DMAPMAおよびDMADMPMA)を用いて製造された多目的コポリマーの貯蔵寿命性能が向上していることを、以下に示すような経変試験で示す。
【0158】
この試験を、3種類の異なる条件で行う。(1)ラテックスを45℃で3ヶ月間保存;(2)ラテックスを50℃で5週間保存;および(3)ラテックスを室温で1〜約2年間保存。
【0159】
(高温での経変試験(ラテックスを45℃で3ヶ月間保存))
2種類のポリマー(実施例1および2)を45℃のオーブンで3ヶ月間保存する。サンプルを周期的に取り出し、ラテックスの性質および増粘性を試験する(表4を参照)。図3は、ラテックスを45℃で保存する週数に対し、mg KOH/g(酸価)で酸価を提供する。両ポリマーは、温度45℃の保存条件で、中程度(DMAPMAモノマー)から優れた(DMADMPMAモノマーを用いる)貯蔵寿命性能を示す。
【0160】
【表4】

経変したポリマーから、50%グリコール酸を用いてpH4に中和することによって2%ゲルを調製する。以下の図4は、時間(ラテックスを45℃で保存した週数)に対する2%ゲル粘度(mPa・s)を与えている。
【0161】
(高温での経変試験(50℃で5週間))
2種類のポリマー(実施例4および7)を50℃のオーブンで5週間保存する。サンプルを週に1回取り出し、ラテックスの特性および増粘特性を試験する(表5)。図5は、DMADMPMAを用いて合成した両ポリマーについて、時間(ラテックスを50℃で保存する週数)に対し、mg KOH/g(酸価)で酸価を提供する。同様に、図6は、コントロール3に対し、実施例4および7の両ポリマーについて、時間に対する2%wt.%TSゲル粘度を示す。両方の図が、50℃で長期間にわたって一定の酸価および粘度プロフィールを示しており、このことから、DMADMPMAモノマーを用いて作られるポリマーは、コントロール3よりも加水分解安定性が良好であることが確認される。
【0162】
表5は、多目的ポリマーが50℃で安定性が良好であることと、同じ条件で一定量の増粘効果減少を示すコントロール3と比較して、増粘効果が検知できるほど落ちていないことを示す。
【0163】
【表5−1】

【0164】
【表5−2】

(生成物の色)
典型的には、室温(RT)または45℃で保存したコントロール3は、ミルク色から褐色に変化する。しかし、DMADMPMAモノマーから作られた多目的ポリマー(実施例4および7)は、高温(例えば、50℃)で保存する前と後とで良好な色安定性を有している。
【0165】
(室温での1〜2年の経変試験)
8種類のポリマー(実施例1、2、4、6、7、8、13および14)を、コントロール3とともに安定性についてモニタリングし、約9ヶ月目から約1年にわたって性能を試験する。サンプルを周期的に取り出し、ラテックスの特性および増粘性を試験する。図7は、時間(ラテックスを室温で保存する月数)に対する酸価を示す。これらのポリマーはすべて、周囲室温での貯蔵条件(20〜25℃)で、中程度(実施例1、2、13,および14)から優れた(実施例4、6、7,および8)貯蔵寿命特性を示す。対照的に、コントロール3は、室温貯蔵条件で酸価が一定量ずつ増加しており、DMAEMA骨格が徐々に分解していることを示す。
【0166】
図8は、DMADMPMA系ポリマーを1〜約2年にわたって周期的にモニタリングした増粘(2%ゲル)特性を示す。4種類のポリマー(実施例4、6、7および9)はすべて、一定の性能を示し、これは、これらのポリマーの貯蔵寿命が良好であることを示しており、一方、コントロール3の性能は、DMAEMA骨格を用いているため、この期間中に徐々に低下する。
【0167】
表6は、本発明の数種類の多目的ポリマーに関するラテックス特性(wt.%TS、pH、粘度および酸価)および2%ゲル特性(粘度、YVおよび濁度)を与えている。1〜約2年間にわたって、これらの特性を周期的に試験する。一般的に、DMADMPMAモノマーに由来する新規ポリマーは、1年の貯蔵寿命試験で、実験誤差の範囲内に収まっている。表6は、1年間にわたって周期的にモニタリングしたアミンブレンド(DMADMPMA/DMAEMA)系ポリマー(実施例14および15)の増粘特性も与えている。実施例14および15のポリマーは、それぞれ、約25%および50%のDMAEMAを含んでいる。両ポリマーは、わずかな増粘特性の低下を示すものの、徐々に分解するコントロール3よりも良い。DMAPMA系ポリマー(実施例1および2)の増粘特性は、6ヶ月までは一定の特性を示し、その後、10ヶ月目には粘度がわずかに低下したが、それでもコントロール3より良好である。
【0168】
典型的には、室温で保存したコントロール3生成物は、ミルク色から褐色へとゆっくりと変化する。対照的に、DMAPMAモノマーまたはDMADMPMAモノマーから作られる本発明のポリマーは、室温保存条件で1年後にも良好な色安定性を有する。
【0169】
【表6−1】

【0170】
【表6−2】

【0171】
【表6−3】

【0172】
【表7−1】

【0173】
【表7−2】

(四級化ポリマー)
実施例45および46の多目的ポリマーを表8に示されるように調製し、その後に硫酸ジエチルを用いて約60℃で四級化する(四級化度の理論値は50%)。両四級化ポリマーは、粘度が670および1,880mPa・sであり、注ぐことができる。濁度は、それぞれ160および248NTUである。
【0174】
【表8】

(アミンオキシドポリマー−溶液ポリマー)
DMADMPMAをコモノマーとして用いてアミンコポリマー(実施例47〜50)を調製し、これをHを用いてアミンオキシドに変換し、DMAEMA系アミンオキシドポリマーと比較する。DMADMPMAポリマーは、溶液重合では、DMAEMAよりも低い酸価を与える。低い酸価は、DMADMPMAの良好な加水分解安定性を示している。表9は、各ポリマーの組成詳細を示す。
【0175】
【表9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーであって、
(i)(a)、(b)および(c)を含む混合物;
(ii)(a)、(b)および(d)を含む混合物;
(iii)(a)、(b)および(e)を含む混合物;
(iv)(a)、(b)、(c)および(d)を含む混合物;
(v)(a)、(b)、(c)および(e)を含む混合物;
(vi)(a)、(b)、(d)および(e)を含む混合物;または
(vii)(a)、(b)、(c)、(d)および(e)を含む混合物
を含むモノマー混合物の重合反応生成物であり、
モノマー構成要素(a)は、少なくとも1つのアミノ置換メタ(アクリレート)(ASMA)モノマーまたはその塩であり、モノマー構成要素(b)は、少なくとも1つの非イオン性ビニル(NIV)モノマーであり、モノマー構成要素(c)は、少なくとも1つのビニル会合(VA)モノマーであり、モノマー構成要素(d)は、少なくとも1つのビニル界面活性剤(VS)モノマーであり、モノマー構成要素(e)は、少なくとも1つの重合可能なシリコーンマクロマー(PSM)であり、任意の上記混合物は、さらに、必要に応じて、(f)少なくとも1つの架橋(XL)モノマー;(g)少なくとも1つの連鎖移動剤(CTA);(h)少なくとも1つのポリマー安定剤;または、構成要素(f)、(g)および/もしくは(h)のうち2つ以上の任意の適切な組み合わせを含有する、ポリマー。
【請求項2】
モノマー構成要素(a)が、式(I)および(II)によってあらわされる少なくとも1つの化合物
【化12】

【化13】

(式中、Rはメチルであり、Rは、置換または非置換の直鎖または分枝鎖のC〜Cアルカンジイル基であり、ただし、Rが炭素を2つ含む場合、R基の2つの炭素原子のうちの少なくとも1つは、直鎖または分枝鎖のC〜C30アルキル基で置換されており、各Rは、独立して、水素、直鎖または分枝鎖のC〜C30アルキル基、1つ以上のヘテロ原子を含有する直鎖または分枝鎖のC〜C30アルキル基、直鎖または分枝鎖のC〜C30アルケニル基、1つ以上のヘテロ原子を含有する直鎖または分枝鎖のC〜C30アルケニル基、直鎖または分枝鎖のC〜C30アルキニル基、1つ以上のヘテロ原子を含有する直鎖または分枝鎖のC〜C30アルキニル基、C〜C20アリール基、1つ以上のヘテロ原子を含有するC〜C20アリール基、C〜C20シクロアルキル基、1つ以上のヘテロ原子を含有するC〜C20シクロアルキル基、C〜C20ヘテロ環式基から選択されるか、または、両方のR置換基と、これらが結合する窒素原子とが、飽和または不飽和のC〜C20ヘテロ環式基、または2つ以上のヘテロ原子を含む飽和または不飽和のC〜C20ヘテロ環式基を形成していてもよく、前記ヘテロ原子が存在する場合、前記ヘテロ原子は、カルボニル基、N、S、PまたはOから選択され、Rは、直鎖または分枝鎖のC〜C30アルキル基である)
またはその塩から選択される、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
CAが、塩化物、臭化物、メト硫酸、酢酸、ギ酸、クエン酸、マレイン酸、グリコール酸、乳酸、フマル酸、硫酸、スルホン酸、リン酸、ホスホン酸または硝酸から選択される、請求項2に記載のポリマー。
【請求項4】
モノマー構成要素(a)が、それぞれ式(I)および(II)によってあらわされる少なくとも1つの化合物、またはその塩の組み合わせから選択され、式(I)のモノマーの量と式(II)の四級モノマーの量の重量比は、約5:95〜約95:5の範囲内である、請求項2に記載のポリマー。
【請求項5】
モノマー構成要素(a)は、3−(ジメチルアミノ)プロピルメタクリレート、2−(ジメチルアミノ)プロパン−2−イルメタクリレート、3−(ジメチルアミノ)−2,2−ジメチルプロピルメタクリレート、2−(ジメチルアミン)−2−メチルプロピルメタクリレート、4−(ジメチルアミン)ブチルメタクリレート、これらの1つ以上の塩、またはこれらの任意の1つ以上の混合物から選択される1つ以上のモノマーである、請求項1に記載のポリマー。
【請求項6】
モノマー構成要素(a)が、モノマー混合物の合計重量を基準として、約1重量%〜約90重量%の範囲で存在する、請求項1に記載のポリマー。
【請求項7】
式(I)の1つ以上のモノマーを過酸化水素(H)と反応させ、以下の式(Ia)によってあらわされるアミンオキシド化合物
【化14】

(式中、R、RおよびRは、上に定義されるとおりである)
を得る、請求項1に記載のポリマー。
【請求項8】
モノマーモノマー構成要素(b)が、式(III)および(IV)
C(X)=C(X)Z (III)
CH=CH−OC(O)R (IV)
によってあらわされる少なくとも1つの共重合可能な非イオン性エチレン性不飽和モノマーから選択され、
ここで、式(III)および(IV)のそれぞれにおいて、各Xは、独立して、水素、メチル、−CHC(O)OR、−C(O)ORであり、Zは、−C(O)OR、−C、−COR、−CN、−C(O)N(R、−NHC(O)CH、−NHC(O)H、−C(O)OA’OR15N−(2−ピロリドニル)、N−カプロラクタミル、−C(O)NHCHCH−N−エチレン尿素、または−C(O)NHC(CHであり、A’は、−CHCH(OH)CH−および−CHCH(CHOH)−から選択される二価の基であり、各Rは、独立して、直鎖および分枝鎖のC〜C30アルキル、ヒドロキシ置換C〜C30アルキル、C〜C30シクロアルキルおよびC〜Cアルキル置換C〜C30シクロアルキルであり、R15は、直鎖または分枝鎖の飽和または不飽和のC〜C22脂肪酸のアシル残基である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
モノマー構成要素(b)が、少なくとも1つのC〜C30アルキル(メタ)アクリレート、少なくとも1つのヒドロキシC〜C30アルキル(メタ)アクリレート、少なくとも1つのC〜C30アルキル(メタ)アクリルアミド、少なくとも1つのスチレン;少なくとも1つの置換スチレン、少なくとも1つのビニルエステル、少なくとも1つの不飽和亜硝酸化合物、グリシジルt−デカノエートとアクリル酸との反応生成物、グリシジルt−デカノエートとメタクリル酸との反応生成物、またはこれらの2つ以上の任意の組み合わせから選択される、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
モノマー構成要素(b)が、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルメタクリレート、メタクリル酸ステアリル、およびこれらの任意の2つ以上の適切な混合物から選択される、請求項8に記載のポリマー。
【請求項11】
モノマー構成要素(b)が、モノマー混合物の合計重量を基準として、約0.01重量%〜約90重量%の範囲内で存在する、請求項1に記載のポリマー。
【請求項12】
モノマー構成要素(c)が、(A)モノマー混合物の他のモノマーとの付加重合のためのエチレン性不飽和末端基部分と、(B)生成物であるポリマーに対し、選択的な親水性を付与するためのポリオキシアルキレン中間部分と、(C)前記ポリマーに対し、選択的な疎水性を与えるための疎水性末端基部分とを有する少なくとも1つのモノマーから選択される、請求項1に記載のポリマー。
【請求項13】
モノマー構成要素(c)が、式(V)によってあらわされる少なくとも1つのモノマーから選択され、
【化15】

(式中、各Rは、独立して、H、メチル、−C(O)OHまたは−C(O)ORであり、Rは、C〜C30アルキルであり、Aは、−CHC(O)O−、−C(O)O−、−O−または−CHO−であり、(R−O)は、C〜Cオキシアルキレン単位のホモポリマー、ランダムコポリマーまたはブロックコポリマーであるポリオキシアルキレンであり、ここで、各Rは、独立して、C、C、C、またはこれらの混合物であり、nは、約5〜約250の範囲の整数であり、ここで、Rは、直鎖または分枝鎖のC〜C40アルキル、C〜C40炭素環アルキル、C〜C40アルキル置換フェニル、アリール置換C〜C40アルキル、およびC〜C80複合エステルから選択される置換または非置換のアルキルであり、Rアルキル基は、必要に応じて、ヒドロキシル基、アルコキシル基またはハロゲン基から選択される1つ以上の置換基を含む、請求項1に記載のポリマー。
【請求項14】
nが、約5〜約100の範囲の整数である、請求項13に記載のポリマー。
【請求項15】
モノマー構成要素(c)が、セチルポリエトキシ化メタクリレート、セテアリルポリエトキシ化メタクリレート、ステアリルポリエトキシ化(メタ)アクリレート、アラキジルポリエトキシ化(メタ)アクリレート、ベヘニルポリエトキシ化メタクリレート、ラウリルポリエトキシ化メタクリレート、セロチルポリエトキシ化(メタ)アクリレート、モンタニルポリエトキシ化(メタ)アクリレート、メリシルポリエトキシ化(メタ)アクリレート、ラクセリルポリエトキシ化(メタ)アクリレート、トリスチリルフェノールポリエトキシ化メタクリレート、水素化ヒマシ油ポリエトキシ化メタクリレート、キャノーラポリエトキシ化(メタ)アクリレートおよびコレステロールポリエトキシ化メタクリレートのうち1つ以上から選択され、前記モノマーのポリエトキシ化部分は、約5〜約100のエチレンオキシド繰り返し単位を含む、請求項1に記載のポリマー。
【請求項16】
モノマー構成要素(c)が、モノマー混合物の合計重量を基準として、約0.001重量%〜約25重量%の範囲で存在する、請求項1に記載のポリマー。
【請求項17】
モノマー構成要素(d)が、式(VI)によってあらわされる少なくとも1つのモノマーから選択され、
【化16】

式中、各Rは、独立して、水素またはメチル、−C(O)OHまたは−C(O)ORであり、Rは、C〜C30アルキルであり、Aは、−CHC(O)O−、−C(O)O−、−O−または−CHO−であり、pは、0〜約30の範囲の整数であり、rは、0または1であり、ただし、pが0である場合、rは0であり、pが1〜約30の範囲である場合、rは1であり、(R−O)は、C〜Cオキシアルキレン単位のホモポリマー、ランダムコポリマーまたはブロックコポリマーであるポリオキシアルキレンであり、各Rは、独立して、C、C、C、またはこれらの混合物であり、vは、約1〜約250の範囲の整数であり、Rは、水素またはC〜Cアルキルである、請求項1に記載のポリマー。
【請求項18】
vが、約5〜約100の範囲の整数である、請求項17に記載のポリマー。
【請求項19】
モノマー構成要素(d)が、以下の化学式
C=CH−O(CHO(CO)(CO)H;
C=CHCHO(CO)(CO)H;
C=C(Q)−C(O)−O(CHO(CO)(CO)H;または
C=C(Q)−C(O)−O(CO)(CO)
のうち1つを有する少なくとも1つのモノマーから選択され、
式中、Qは、水素またはメチルであり、aは、2、3または4であり、bは、1〜約10の範囲の整数であり、cは、約5〜約50の範囲の整数であり、dは、1〜約10の範囲の整数であり、eは、約1〜約50の範囲の整数である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項20】
bまたはcがゼロであってもよい、請求項19に記載のポリマー。
【請求項21】
dまたはeがゼロであってもよい、請求項19に記載のポリマー。
【請求項22】
モノマー構成要素(d)が、モノマー混合物の合計重量を基準として、約0.01重量%〜約25重量%の範囲で存在する、請求項1に記載のポリマー。
【請求項23】
モノマー構成要素(d)が、モノマー混合物の合計重量を基準として、約0.1重量%〜約20重量%の範囲で存在する、請求項22に記載のポリマー。
【請求項24】
モノマー構成要素(e)が、以下の式によってあらわされる少なくとも1つの重合可能なシリコーンマクロマーから選択され、
【化17】

式中、各R20は、独立して、直鎖または分枝鎖のC〜C30アルキル、C〜C20アリールまたはC〜C20アルケニルから選択され、(R−O)は、C〜Cオキシアルキレン単位のホモポリマー、ランダムコポリマーまたはブロックコポリマーとして配置されていてもよいポリオキシアルキレン部分であり、各Rは、独立して、C、C、Cまたはこれらの混合物であり、vは、約1〜約250の範囲の整数であり、xは、0〜約200の範囲の整数であり、yは、0〜約200の範囲の整数であり、zは、1〜約200の範囲の整数であり、Gは、遊離ラジカルによって重合可能な少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む任意の部分から選択される、請求項1に記載のポリマー。
【請求項25】
Gは、シリコーンコポリオールと、炭素−炭素二重結合を含有する反応剤とのエステル化反応またはエーテル化反応から得られる残基である、請求項24に記載のポリマー。
【請求項26】
Gが、以下の式によってあらわされる残基であり、
【化18】

この特定の場合に、Rは、水素およびメチルをあらわし、結合手の余った結合線は、シリコーンコポリオール上の酸素原子との共有結合をあらわす、請求項24に記載のポリマー。
【請求項27】
各R20が、独立して、直鎖または分枝鎖のC〜C20アルキル、C〜C14アリールまたはC〜C15アルケニルから選択され、aは、1〜約50の範囲の整数であり、bは、約1〜約50の範囲の整数であり、xは、1〜約100の範囲の整数であり、yは、1〜約100の範囲の整数であり、zは、2〜約100の範囲の整数である、請求項24に記載のポリマー。
【請求項28】
モノマー構成要素(e)が、モノマー混合物の合計重量を基準として、約0.01重量%〜約10重量%の範囲で存在する、請求項1に記載のポリマー。
【請求項29】
前記モノマー混合物が、構成要素(f)をさらに含み、構成要素(f)は、モノマー混合物の合計重量を基準として、約5重量%までの量で存在する、請求項1に記載のポリマー。
【請求項30】
前記モノマー混合物が、構成要素(f)をさらに含み、構成要素(f)は、モノマー混合物の合計重量を基準として、約0.001重量%〜約5重量%の範囲で存在する、請求項1に記載のポリマー。
【請求項31】
前記モノマー混合物が、構成要素(g)をさらに含み、構成要素(g)が、モノマー混合物の合計重量を基準として、約0.1〜約10重量%の範囲で存在する、請求項1に記載のポリマー。
【請求項32】
前記連鎖移動剤が、1つ以上のチオ含有化合物またはジスルフィド含有化合物、1つ以上の亜リン酸化合物または次亜リン酸化合物、1つ以上のハロアルキル化合物、または1つ以上の不飽和連鎖移動剤から選択される、請求項31に記載のポリマー。
【請求項33】
前記連鎖移動剤が、1つ以上の触媒的な連鎖移動剤から選択される、請求項31に記載のポリマー。
【請求項34】
前記モノマー混合物が、構成要素(h)をさらに含み、構成要素(h)が、モノマー混合物の合計重量を基準として、約0.001〜約10重量%の範囲で存在する、請求項1に記載のポリマー。
【請求項35】
構成要素(h)が、少なくとも1つの水溶性ポリマー安定剤から選択される、請求項34に記載のポリマー。
【請求項36】
前記少なくとも1つの水溶性ポリマー安定剤が、ポリビニルアルコール、部分的に加水分解したポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、カルボキシレート官能基付加ポリマー、ポリアルキルビニルエーテル、水溶性天然ポリマー、修飾された天然ポリマー、またはこれらの任意の2つ以上の混合物から選択される、請求項35に記載のポリマー。
【請求項37】
ポリマーであって、
(i)(a)、(b)および(c)を含む混合物;
(ii)(a)、(b)および(d)を含む混合物;
(iii)(a)、(b)および(e)を含む混合物;
(iv)(a)、(b)、(c)および(d)を含む混合物;
(v)(a)、(b)、(c)および(e)を含む混合物;
(vi)(a)、(b)、(d)および(e)を含む混合物;または
(vii)(a)、(b)、(c)、(d)および(e)を含む混合物
を含むモノマー混合物の重合反応生成物であり、
(a)は、少なくとも1つのアミノ置換メタ(アクリレート)(ASMA)モノマーまたはその塩であり、(b)は、少なくとも1つの非イオン性ビニル(NIV)モノマーであり、(c)は、少なくとも1つのビニル会合(VA)モノマーであり、(d)は、少なくとも1つのビニル界面活性剤(VS)モノマーであり、(e)は、少なくとも1つの重合可能なシリコーンマクロマー(PSM)であり、任意の上記混合物は、さらに、必要に応じて、(f)少なくとも1つの架橋(XL)モノマー;(g)少なくとも1つの連鎖移動剤(CTA);(h)少なくとも1つのポリマー安定剤;または、構成要素(f)、(g)および/または(h)のうち2つ以上の任意の適切な組み合わせを含有し、前記モノマー混合物は、モノマー混合物の合計重量を基準として、約1重量%〜約90重量%のモノマー構成要素(a)、約20重量%〜約80重量%のモノマー構成要素(b)、約0.01重量%〜約25重量%のモノマー構成要素(c)、約0.01重量%〜約25重量%のモノマー構成要素(d)、約0.01重量%〜約10重量%のモノマー構成要素(e)、約5重量%までの構成要素(f)、約10重量%までの構成要素(g)、および約2重量%までの構成要素(h)を含む、ポリマー。
【請求項38】
ポリマーであって、
(i)(a)、(b)および(c)を含む混合物;
(ii)(a)、(b)および(d)を含む混合物;
(iii)(a)、(b)および(e)を含む混合物;
(iv)(a)、(b)、(c)および(d)を含む混合物;
(v)(a)、(b)、(c)および(e)を含む混合物;
(vi)(a)、(b)、(d)および(e)を含む混合物;または
(vii)(a)、(b)、(c)、(d)および(e)を含む混合物
を含むモノマー混合物の重合反応生成物であり、
(a)は、少なくとも1つのアミノ置換メタ(アクリレート)(ASMA)モノマーまたはその塩であり、(b)は、少なくとも1つの非イオン性ビニル(NIV)モノマーであり、(c)は、少なくとも1つのビニル会合(VA)モノマーであり、(d)は、少なくとも1つのビニル界面活性剤(VS)モノマーであり、(e)は、少なくとも1つの重合可能なシリコーンマクロマー(PSM)であり、任意の上記混合物は、さらに、必要に応じて、(f)少なくとも1つの架橋(XL)モノマー;(g)少なくとも1つの連鎖移動剤(CTA);(h)少なくとも1つのポリマー安定剤;または、構成要素(f)、(g)および/または(h)のうち2つ以上の任意の適切な組み合わせを含有し、
前記モノマー混合物は、モノマー混合物の合計重量を基準として、約10重量%〜約80重量%のモノマー構成要素(a)、約20重量%〜約70重量%のモノマー構成要素(b)、約0.1重量%〜約15重量%のモノマー構成要素(c)、約0.1重量%〜約10重量%のモノマー構成要素(d)、約0.1重量%〜約7.5重量%のモノマー構成要素(e)、約0.01〜約5重量%までのモノマー構成要素(f)、約0.1〜約10重量%のモノマー構成要素(g)、および0.001〜約2重量%のモノマー構成要素(h)を含む、ポリマー。
【請求項39】
前記ポリマーが、少なくとも6ヶ月間は水溶液中で安定である、請求項1、37または38のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項40】
前記ポリマーが、少なくとも24ヶ月間は水溶液中で安定である、請求項39に記載のポリマー。
【請求項41】
前記ポリマーを、(ii)(a)、(b)および(d)を含むものから選択されるモノマー混合物から重合させ、モノマー構成要素(a)が、3−(ジメチルアミノ)プロピルメタクリレート;2−(ジメチルアミノ)プロパン−2−イルメタクリレート;3−(ジメチルアミノ)−2,2−ジメチルプロピルメタクリレート;2−(ジメチルアミノ)−2−メチルプロピルメタクリレート;4−(ジメチルアミノ)ブチルメタクリレート、およびこれらの混合物のうちの少なくとも1つから選択され、モノマー構成要素(b)が、C〜C30アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシル置換C〜C30アルキル(メタ)アクリレート、およびこれらの混合物のうちの少なくとも1つから選択され、モノマー構成要素(d)が、以下の式によってあらわされる少なくとも1つのモノマー
C=CHCHO(CO)(CO)
およびこれらの混合物から選択され、dは、1〜20の範囲であり、eは、5〜40の範囲である、請求項1〜40のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項42】
前記ポリマーを、3−(ジメチルアミノ)−2,2−ジメチルプロピルメタクリレートと、アクリル酸エチルと、アクリル酸メチルと、式HC=CHCHO(CO)2−10(CO)10−25Hによってあらわされるモノマーとを含むモノマー混合物から重合させる、請求項41に記載の組成物。
【請求項43】
前記ポリマーを、(ii)(a)、(b)および(c)を含むものから選択されるモノマー混合物から重合させ、モノマー構成要素(a)は、3−(ジメチルアミノ)プロピルメタクリレート;2−(ジメチルアミノ)プロパン−2−イルメタクリレート;3−(ジメチルアミノ)−2,2−ジメチルプロピルメタクリレート;2−(ジメチルアミノ)−2−メチルプロピルメタクリレート;4−(ジメチルアミノ)ブチルメタクリレート、およびこれらの混合物のうちの少なくとも1つから選択され、モノマー構成要素(b)は、C〜C30アルキル(メタ)アクリレート、およびこれらの混合物のうちの少なくとも1つから選択され、モノマー構成要素(c)は、セチルポリエトキシ化メタクリレート、セテアリルポリエトキシ化メタクリレート、ステアリルポリエトキシ化(メタ)アクリレート、アラキジルポリエトキシ化(メタ)アクリレート、ベヘニルポリエトキシ化メタクリレート、ラウリルポリエトキシ化メタクリレート、セロチルポリエトキシ化(メタ)アクリレート、モンタニルポリエトキシ化(メタ)アクリレート、メリシルポリエトキシ化(メタ)アクリレート、ラクセリルポリエトキシ化(メタ)アクリレート、トリスチリルフェノールポリエトキシ化メタクリレート、水素化ヒマシ油ポリエトキシ化メタクリレート、キャノーラポリエトキシ化(メタ)アクリレート、およびコレステロールポリエトキシ化メタクリレートのうち1つ以上から選択される少なくとも1つのモノマーから選択され、前記モノマーのポリエトキシ化部分は、約5〜約100のエチレンオキシド繰り返し単位を含む、請求項1〜40のいずれか1項に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−512330(P2013−512330A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542148(P2012−542148)
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/058507
【国際公開番号】WO2011/068837
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(506347528)ルブリゾル アドバンスド マテリアルズ, インコーポレイテッド (74)
【Fターム(参考)】