説明

加水分解安定性ポリウレタンナノ複合材

ポリエステル系ポリウレタンの耐水性は、実質的に分散されているナノ粒子プロトンスカベンジャーを該ポリマーに含めることにより、これらの材料の透明性にいかなる有意な程度にも有害な影響を及ぼすことなく著しく強化される。ポリエステル系ポリウレタンの加水分解安定性および耐水性は、実質的に分散されているナノ粒子プロトンスカベンジャー、例えば炭酸カルシウム、を該ポリマーに含めることにより、これらの材料の透明性にいかなる有意な程度にも有害な影響を及ぼすことなく著しく強化され、ポリカーボネート系ポリウレタンのものに匹敵する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景および要旨
例えばポリエステル、ポリエステル系ポリウレタン、ポリエステル系ポリウレアおよびポリエステル系ポリアミドなどの、エステル基を含有するポリマーは、該エステル基の加水分解のため、望ましいとは言えない耐水性を有する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本発明に従って、ポリエステル系ポリウレタンの耐水性を、実質的に分散されているナノ粒子プロトンスカベンジャーを該ポリマーに含めることにより、これらの材料の透明性にいかなる有意な程度にも有害な影響を及ぼすことなく著しく強化できることが判明した。
【0003】
従って、本発明は、プロトンスカベンジャーナノ粒子を実質的に分散されている形態で含有する固体ポリエステル−ポリウレタンポリマーを含む加水分解安定性ポリウレタンナノ複合材を提供する。
【0004】
加えて、本発明は、水とポリエステル−ポリウレタンポリマーと実質的に分散されているプロトンスカベンジャーナノ粒子とを含む、コロイド安定性の水性分散液をさらに提供する。
【0005】
加えて、本発明は、そのような水性分散液を作製するためのプロセスをさらに提供し、このプロセスでは、既に実質的に分散されている形態のこれらのプロトンスカベンジャーナノ粒子を、(a)このポリエステル−ポリウレタンポリマーを形成するために使用されるプレポリマーであって、水性分散液を形成するために水と合わせる前のこのプレポリマー、(b)水性プレポリマー分散液を形成するために水と合わせた後のまたは合わせている最中のこのプレポリマー、(c)このプレポリマーを形成する1つ以上の成分、(d)このプレポリマーを連鎖延長することにより形成されたポリエステル−ポリウレタンポリマーの水性分散液、および(e)これらの組み合わせのうちの少なくとも1つと合わせる。
【0006】
加えて、本発明は、そのような分散液を作製するための他のプロセスも提供し、このプロセスでは、前記実質的に分散されているナノ粒子より大きい粒子サイズを有する粒子および/または凝集物の形態のプロトンスカベンジャーを含む予備材料を、(a)このポリエステル−ポリウレタンポリマーを形成するために使用されるプレポリマーであって、水性分散液を形成するために水と合わせる前のこのプレポリマー、(b)水性プレポリマー分散液を形成するために水と合わせた後のまたは合わせている最中のこのプレポリマー、(c)このプレポリマーを形成する1つ以上の成分、および(d)これらの組み合わせのうちの少なくとも1つの存在下で微粉砕する。
【0007】
以下の図面を参照することにより、本発明をより容易に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1A、1Bおよび1Cは、下記実施例2において生成したポリエステルポリウレタンフィルムの顕微鏡写真である。
【図2】図2Aおよび2Bは、Omya XC−6600−34 CaCOの顕微鏡写真である。
【図3】図3は、m/gでの様々な窒素BET表面積のCaCOについての破断までの引張強度および伸びのプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
先行技術ポリウレタン組成物にまさる改善された加水分解安定性を有するポリウレタン組成物を記載する。ポリエステルマクログリコールに基づくポリウレタンが加水分解を受けやすいことは公知である。この改善された生成物の加水分解性は、プロトンスカベンジャーの、(該プロトンスカベンジャーが、ポリウレタンのポリエステル部分における加水分解起因鎖切断前にプロトン性化学種を掃去できる確率を増す)有意な表面積を有する高分散形態での、存在に帰する。前記ポリウレタンは、フィルム、塗料または造形品の形態であり得る。前記プロトンスカベンジャーは、好ましくは、炭酸カルシウムなどの無機炭酸塩である。前記プロトンスカベンジャーの凝集体が光の波長に比べて小さい場合、そのポリウレタン組成物は、可視光に対して実質的に透明であろう。前記プロトンスカベンジャー、例えば炭酸カルシウム、が、5から100ナノメートルの重量平均径である、ゆるく凝集した一次結晶子からなる場合、それは、プロトンの掃去に有効であろう高い表面積(例えば、>40m/g)を有するだろう。
【0010】
詳細な説明
定義
本文書において、「プロトンスカベンジャー」および「酸スカベンジャー」は、互いに同義であると解するものとする。
【0011】
加えて、「水性の」および「水」は、互いに同義であると解するものとする。
【0012】
加えて、「ポリウレタン」は、それらの作製方法にかかわらず、ウレタン基、すなわち−O−C(=O)−NH−、を含有するオリゴマー(例えば、プレポリマー)を含むポリマーを記述するために用いる一般用語である。周知であるように、これらのポリウレタンは、ウレタン基に加えて、追加の基、例えばウレア、アロファネート、ビウレット、カルボジイミド、オキサゾリジニル、イソシアヌレート(isocynaurate)、ウレチジオン、アルコール、アミン、ヒドラジド、シロキサン、シラン、ケトン、オレフィンなど、を含有する場合がある。
【0013】
「重量%」は、ポリマー100重量部あたりのモノマーの重量部数、または成分の、該成分が一部分を構成する組成物もしくは材料100重量部あたりの、重量部数を意味する。
【0014】
「水性媒体」は、かなりの量の水を含有する組成物を意味する。これは他の成分も含有することがある。
【0015】
「最終ポリウレタン生成物」は、本発明の水性分散液生成物でのポリウレタンの形態を指す。ポリウレタンプレポリマーが場合により連鎖延長される場合、その最終ポリウレタン生成物は、この連鎖延長されたポリマーである。ポリウレタンプレポリマーが連鎖延長されない場合、その最終ポリウレタン生成物は、該プレポリマーそれ自体である。
【0016】
「水の実質的不在」は、一切の有意な量の水の意図的添加を伴わずに(例えば、約2重量%以下ほど)形成された組成物を指す。シリカの水性分散液から水を排出し、その後、そのシリカを有機成分に添加することによって作製された組成物は、そのシリカからの不純物として少量の水が存在したとしても、実質的水不在の状態で形成されるだろう。高濃度シリカ分散液を有機成分に添加することによって作製された組成物は、実質的水不在の状態で形成されないだろう。また、「実質的水不在」は、結晶水を指さない。
【0017】
分散液に関して「界面活性剤の実質的不在」ならびに「実質的に残留界面活性剤が無い」は、分散液が、その分散液の分散相を懸濁または分散させるために界面活性剤を意図的に含めることなく作製されることを意味する。
【0018】
熱可塑性ポリエステルポリウレタン
本発明は、ポリウレタンポリマーまたはプレポリマー内にポリエステルセグメントを含有する熱可塑性ポリウレタンの耐水性(加水分解安定性)を強化するための、プロトンスカベンジャーナノ粒子の実質的に分散されているナノ粒子(プロトンスカベンジャーの一次結晶子もしくは粒子およびまたはプロトンスカベンジャーの凝集体を指す)の使用を含む。熱可塑性ポリウレタンは、直ぐ下のウォーターボーンポリエステルポリウレタン(水中のポリウレタン分散液)と同じ構成材料で作製されるが、典型的に、熱可塑性ポリウレタンは、水分散性強化化合物(単数または複数)を実質的に殆どまたは全く有さない。1つの実施形態において、前記加水分解安定性ポリウレタンは、熱可塑性ポリウレタンである。熱可塑性ポリウレタンを作製および使用するための技術は周知であり、例えば、米国特許第6,777,466号B2およびEncyclopedia of Polymer Science and Engineering、第13巻、H F.Markら編、243−303頁(1998)におけるJ.K.Backusら、「Polyrethanes」に記載されており、これらの全開示が参照により本明細書に援用されている。
【0019】
ウォーターボーンポリエステルポリウレタン
本発明は、1つの実施形態において、ポリエステルポリウレタンであって、水性分散液から誘導されるものであり、乾燥させ硬化させると、強靭である固体ポリエステルセグメント含有ポリウレタン生成物を生じさせるものであり、および存在する他の成分(例えば、TiOまたは他の顔料の不在)に依存して透明であり得るものである、ポリエステルポリウレタンに関する。
【0020】
ポリウレタンは、通常、3つの主成分、すなわちマクログリコールまたは類似体と、ジイソシアネートと、自由選択の連鎖延長剤、例えば短鎖、ジおよびポリオール、ジおよびポリアミンまたはこれらに類するもの、を互いに反応させることによって作製される。マクログリコールがポリエーテル、炭化水素またはポリカーボネートであるポリウレタンは、マクログリコールがポリエステルであるときより加水分解による分解に対して優れた耐性を呈示する。対照的に、ポリエステルポリウレタンは、然程耐性でない。例えば、Leonard Pinchukの米国特許第5,133,742号参照(この全開示が参照により本明細書に援用されている)。多くの用途において、ポリエステルセグメントの加水分解不安定性は致命的な欠点である。例としては、多数の洗濯サイクルおよび/または湿潤環境に耐えなければならない繊維、雨に曝露される屋外塗装、船舶塗装ならびにこれらに類するものが挙げられる。
【0021】
幾つかのポリウレタンは、水性分散液の形態で入手できる。そのような場合、界面張力を減少させ、分散相を凝集しないように安定させることにより水性媒体へのポリマーの分散を助ける少なくとも1つの「水分散性強化化合物」(すなわち、コモノマー)をポリマーの主鎖に含めるのが通例である。ジメチロールプロパン酸が通常はこのために使用されるが、他の類似化合物を使用することもできる。
【0022】
そのようなウォーターボーンポリウレタンは周知であり、例えば、米国特許第6,576,702号に記載されており、その全開示が参照により本明細書に援用されている。それらは、(1)少なくとも1つのポリイソシアネートと(2)少なくとも1つのマクログリコールまたは類似体と(3)少なくとも1つの水分散性強化化合物とを反応させて、イソシアネート末端プレポリマーを形成し、その後、このプレポリマーを(4)少なくとも1つの中和剤で場合により中和してもよく、そしてその後(5)水に分散させて水性プレポリマー分散液を形成することによって調製される。そのような分散液をそのまま使用して、強靭で透明な塗料および他の製品を形成することができる。あるいは、例えば(6)水または(7)2つ以上の第一級および/もしくは第二級アミン基を有するアミンとの反応により、そのような分散液を処理してプレポリマーを連鎖延長して、より複雑なポリウレタンを形成することができる。その後、そのようにして形成されたポリ(ウレタン−ウレア)を使用して、強靭で透明な塗料および他の製品を形成することができる。
【0023】
本発明は、マクログリコール(または類似体)構成材料の些細でない部分が、少なくとも1つのエステル結合を含む化合物からなる、任意のそのようなウォーターボーンポリウレタンに適用可能である。便宜上、そのような化合物を、以後、「エステル含有多官能性イソシアネート反応性化合物」と呼ぶ。上で述べたように、そのようなエステル含有ポリウレタンポリマーおよびプレポリマーから作製される固体生成物は、一般に、それらのポリエーテルおよびポリカーボネート相当品より加水分解による分解を被りやすい。本発明に従って、この分解問題は、実質的に分散されているナノ粒子プロトンスカベンジャーを前記ポリマーに組み込むことにより克服される。
【0024】
ウォーターボーンポリエステルポリウレタンを作製するために以前に使用されたことがあるまたは将来使用され得る本質的にいずれの成分も、本発明のウォーターボーンポリエステルポリウレタンポリマーおよびプレポリマーを作製するために使用することができる。例としては以下のものが挙げられる:
(i)ポリイソシアネート
適するポリイソシアネートは、1分子あたり平均で約2個以上のイソシアネート基、好ましくは平均で約2から約4個のイソシアネート基を有し、ならびに脂肪族、環式脂肪族、芳香脂肪族、芳香族および複素環式ポリイソシアネート、ならびに単独でまたは2つ以上のものの混合物で使用される、それらのオリゴマー化生成物を含む。ジイソシアネートがより好ましい。
【0025】
適する脂肪族ポリイソシアネートの具体的な例としては、5から20個の炭素原子を有するアルファ,オメガ−アルキレンジイソシアネート、例えば、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、1,12−ドデカンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチル−ヘキサメチレンジイソシアネート、2−メチル−1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、およびこれらに類するものが挙げられる。5個より少ない炭素原子を有するポリイソシアネートを使用してもよいが、それらの高い揮発性および毒性のため、あまり好ましくない。好ましい脂肪族ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレン−ジイソシアネート、および2,4,4−トリメチル−ヘキサメチレンジイソシアネートが挙げられる。
【0026】
適する環式脂肪族ポリイソシアネートの具体的な例としては、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(Bayer CorporationからDesmodur(商標)Wとして市販されている)、イソホロンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−ビス−(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、およびこれらに類するものが挙げられる。好ましい環式脂肪族ポリイソシアネートとしては、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートおよびイソホロンジイソシアネートが挙げられる。
【0027】
適する芳香脂肪族ポリイソシアネートの具体的な例としては、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、p−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、およびこれらに類するものが挙げられる。好ましい芳香脂肪族ポリイソシアネートは、テトラメチルキシリレンジイソシアネートである。
【0028】
適する芳香族ポリイソシアネートの例としては、4,4’−ジフェニルメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、それらの異性体、ナフタレンジイソシアネート、およびこれらに類するものが挙げられる。好ましい芳香族ポリイソシアネートとしては、4,4’−ジフェニルメチレンジイソシアネートおよびトルエンジイソシアネートが挙げられる。
【0029】
適する複素環式イソシアネートの例としては、5,5’−メチレンビスフルフリルイソシアネートおよび5,5’−イソプロピリデンビスフルフリルイソシアネートが挙げられる。
【0030】
(ii)エステル含有多官能性イソシアネート反応性化合物
(1)それぞれがイソシアネート基と反応してウレタン結合を形成することができる、少なくとも2つの官能基を含むと共に(2)これらの官能基のうちの少なくとも2つの官能基の間にエステル結合を含む任意の化合物(「エステル含有多官能性イソシアネート反応性化合物」)を、本発明の発明ウォーターボーンポリエステルポリウレタンを作製するために使用することができる。この文脈での「間に」は、エステル結合を切断すると、前記化合物が、イソシアネート反応性部分(またはそのような部分から形成されるウレタン結合)をそれぞれが有する少なくとも2つの異なるセグメントに分離することとなるように、前記エステルおよび多官能性イソシアネート反応性部分が前記化合物内に配列されていることを意味する。
【0031】
本発明において使用される最も一般的なエステル含有多官能性イソシアネート反応性化合物は、アルキド樹脂とホスホン酸のエステルとを含むポリエステルポリオールであろう。有機ポリカルボン酸またはそれらの無水物と化学量論的過剰のジオール(単数または複数)との反応によって調製されるエステル化生成物は、特に興味深い。本発明において使用するための適するポリオールの例としては、ポリ(グリコールアジペート)、ポリ(エチレンテレフタレート)ポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、アルキドポリオール、オルトフタル酸ポリオール、スルホン化およびホスホン化ポリオール、ならびにこれらに類するもの、ならびにこれらの混合物が挙げられる。
【0032】
ホスホネート(O=P(OR)2R)基に加えて、前記ポリオールは、以下の基を含有することがある:ホスフィナイト(P(OR)R2)、ホスホナイト(P(OR)2R)、ホスファイト(P(OR)3)、ホスフィネート(O=P(OR)R2)、ホスフェート−O=P(OR)3基。
【0033】
適するリン含有ポリオールの例としては、ICL Industrial ProductsからのFyroltex HP、Fryol 6およびFyrol PNX、ならびに類似のポリオールが挙げられる。
【0034】
これらのポリエステルポリオールを作製する際に使用されるジオールとしては、アルキレングリコール、例えばエチレングリコール、1,2−および1,3−プロピレングリコール、1,2−、1,3−、1,4−および2,3−ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、ならびに他のグリコール、例えばビスフェノール−A、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール(1,4−ビス−ヒドロキシメチルシクロヘキサン)、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコール、ポリブチレングリコール、ダイマレート(dimerate)ジオール、ヒドロキシル化ビスフェノール、ポリエーテルグリコール、ハロゲン化ジオール、およびこれらに類するもの、ならびにそれらの混合物が挙げられる。好ましいジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、およびネオペンチルグリコールが挙げられる。
【0035】
これらのポリエステルポリオールを作製する際に使用される適するカルボン酸としては、ジカルボン酸およびトリカルボン酸ならびに無水物、例えば、マレイン酸、無水マレイン酸、コハク酸、グルタル酸、無水グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、ピメル酸、アゼライン酸、セバシン酸、クロレンド酸、1,2,4−ブタン−トリカルボン酸、フタル酸、フタル酸の異性体、無水フタル酸、フマル酸、二量体脂肪酸、例えばオレイン酸、およびこれらに類するもの、ならびにそれらの混合物が挙げられる。前記ポリエステルポリオールを作製する際に使用される好ましいポリカルボン酸としては、脂肪族または芳香族二塩基酸が挙げられる。
【0036】
特に興味深いポリオールは、ポリエステルジオール、すなわち、−C(=O)−O−基を含有する任意の化合物である。例としては、ポリ(ブタンジオールアジペート)、カプロラクトン、酸含有ポリオール、ヘキサンジオールとアジピン酸とイソフタル酸から作製されるポリエステル、例えばヘキサンアジペートイソフタレートポリエステル、ヘキサンジオールネオペンチルグリコールアジピン酸ポリエステルジオール、例えばPiothane 67−3000 HNA(Panolam Industries)およびPiothane 67−1000 HNA、ならびにプロピレングリコール無水マレイン酸アジピン酸ポリエステルジオール、例えばPiothane 50−1000 PMA;およびヘキサンジオールネオペンチルグリコールフマル酸ポリエステルジオール、例えばPiothane 67−500 HNFが挙げられる。他の好ましいポリエステルジオールとしては、Rucoflex(商標)S1015−35、S1040−35、およびS−1040−110(Bayer Corporation)が挙げられる。
【0037】
ポリエステルポリオールに加えて、イソシアネート反応性ヒドロキシル基の間に少なくとも1つのエステル結合を含有する他のポリオールも、本発明のエステル含有多官能性イソシアネート反応性化合物として使用することができる。例としては、次のタイプのエステル含有ポリオールが挙げられる:ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリヒドロキシポリエステルアミド、ヒドロキシル含有ポリカプロラクトン、ヒドロキシル含有アクリル系ポリマー、ヒドロキシル含有エポキシド、ポリヒドロキシポリカーボネート、ポリヒドロキシポリアセタール、ポリヒドロキシポリチオエーテル、ポリシロキサンポリオール、エトキシ化ポリシロキサンポリオール、ポリブタジエンポリオールおよび水素化ポリブタジエンポリオール、ポリイソブチレンポリオール、ポリアクリレートポリオール、水素化ポリエステルおよびポリエーテル、ならびにこれらに類するもの、ならびにそれらの混合物。ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリシロキサンポリオール、およびエトキシ化ポリシロキサンポリオールが好ましい。
【0038】
エステル含有ポリエーテルポリオールも、本発明のエステル含有多官能性イソシアネート反応性化合物として使用することができる。エステル結合に加えて、そのような化合物は、−C−O−C−基も含有する。それらは、(A)反応性水素原子を含有する出発化合物、例えば、水、またはポリエステルポリオールの調製について述べたジオールと(B)アルキレンオキシド、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、テトラヒドロフラン、エピクロロヒドリン、およびこれらに類するもの、ならびにそれらの混合物との反応による、公知の手法で得ることができる。好ましいポリエーテルとしては、ポリ(プロピレングリコール)、ポリテトラヒドロフラン、およびポリ(エチレングリコール)とポリ(プロピレングリコール)のコポリマーが挙げられる。
【0039】
エステル含有ポリカーボネートポリオールも、本発明のエステル含有多官能性イソシアネート反応性化合物として使用することができる。エステル結合に加えて、そのような化合物は、−O−C(=O)−O−基も含む。それらは、例えば、(A)ジオール、例えば、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、およびこれらに類するもの、ならびにそれらの混合物と(B)ジアリールカーボネート、例えば、ジフェニルカーボネートまたはホスゲンとの反応から、得ることができる。脂肪族および環式脂肪族ポリカーボネートポリオールも使用することができる。
【0040】
本発明のエステル含有多官能性イソシアネート反応性化合物としての使用に有用なエステル含有ポリヒドロキシポリアセタールとしては、(A)アルデヒド、例えば、ホルムアルデヒドおよびこれらに類するものと(B)グリコール、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エトキシ化4,4’−ジヒドロキシ−ジフェニルジメチルメタン、1,6−ヘキサンジオール、およびこれらに類するものとの反応から調製することができる化合物が挙げられる。環式アセタールの重合によってポリアセタールを調製することもできる。
【0041】
上記エステル含有ポリオールに加えて、他のイソシアネート反応性官能基を末端に有するエステル含有化合物を使用して、本発明のウォーターボーンポリエステルポリウレタンを調合することができる。例としては、エステル含有ポリチオール、ポリアミン、ポリエステルアミドおよびポリアミド、例えば、(A)多塩基性飽和および不飽和カルボン酸またはそれらの無水物と(B)多価飽和または不飽和アミノアルコール、ジアミン、ポリアミン、およびこれらに類するもの、ならびにこれらの混合物との反応から得られる主として線状の縮合体が挙げられる。
【0042】
上述のポリエステルアミドおよびポリアミドを調製する際に有用な好ましい化合物には、ジアミンおよびポリアミンなどがある。適するジアミンおよびポリアミンとしては、1,2−ジアミノエタン、1,6−ジアミノヘキサン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、1,12−ジアミノドデカン、2−アミノエタノール、2−[(2−アミノエチル)アミノ]−エタノール、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチル−シクロヘキサン(イソホロンジアミンまたはIPDA)、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)−メタン、ビス−(4−アミノ−3−メチル−シクロヘキシル)−メタン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,2−プロピレンジアミン、ヒドラジン、ウレア、アミノ酸ヒドラジド、セミカルバジドカルボン酸のヒドラジド、ビス−ヒドラジドおよびビス−セミカルバジド、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、N,N,N−トリス−(2−アミノエチル)アミン、N−(2−ピペラジノエチル)−エチレンジアミン、N,N’−ビス−(2−アミノエチル)−ピペラジン(N,N’−bis−(2−aminoethyl)−piperazin−e)、N,N,N’−トリス−(2−アミノエチル)エチレンジアミン、N−[N−(2−アミノエチル)−2−アミノ−エチル]−N’−(2−アミノエチル)−ピペラジン、N−(2−アミノエチル)−N’−(2−ピペラジノエチル)−エチレンジアミン、N,N−ビス−(2−アミノエチル)−N−(2−ピペラジノエチル)アミン、N,N−ビス−(2−ピペラジノエチル)−アミン、ポリエチレンイミン、イミノビスプロピルアミン、グアニジン、メラミン、N−(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミン、3,3’−ジアミノベンジジン、2,4,6−トリアミノピリミジン、ポリオキシプロピレンアミン、テトラプロピレンペンタミン、トリプロピレンテトラミン、N,N−ビス−(6−アミノヘキシル)アミン、N,N’−ビス−(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、および2,4−ビス−(4’−アミノベンジル)−アニリン、およびこれらに類するもの、ならびにそれらの混合物が挙げられる。好ましいジアミンおよびポリアミンとしては、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリ−メチル−シクロヘキサン(イソホロンジアミンまたはIPDA)、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)−m−エタン、ビス−(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)−メタン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、およびペンタエチレンヘキサミン、ならびにこれらに類するもの、ならびにそれらの混合物が挙げられる。他の適するジアミンおよびポリアミンとしては、Jeffamine(商標)D−2000およびD−4000が挙げられ、これらは、分子量のみが異なる、アミン末端ポリプロピレングリコールであり、Huntsman Chemical Companyから入手できる。
【0043】
本発明のウォーターボーンエステル含有ポリウレタンを作製するために使用されるエステル含有多官能性イソシアネート反応性化合物(例えば、エステル含有マクログリコール)は、通常は高分子であり、従って、少なくとも約500ダルトン、さらに典型的には約1,000から10,000ダルトン、またはさらに1,000から6,000ダルトンの分子量を有するだろう。用語マクログリコールを用いるとき、これらのマクログリコールは、1分子あたり2個以上のヒドロキシル基(または他のイソシアネート反応性基)を有する場合がある(すなわち、マクログリコールは、2個のみのイソシアネート反応性基に限定されない)と解される。これらの化合物の低分子量バージョン、すなわち、約500ダルトン未満の数平均分子量を有する化合物、例えば、脂肪族、環式脂肪族および芳香族エステル含有ポリオール、とりわけジオール、も使用することができるが、殆どの著者は、低分子量グリコール種(例えば、500ダルトン未満の分子量)を連鎖延長剤として分類する。
【0044】
(iii)エステル不含多官能性イソシアネート反応性化合物
本発明のウォーターボーンポリエステルポリウレタンは、いずれのエステル結合も含有しない追加の多官能性イソシアネート反応性化合物を自由選択成分として含む場合もある。一般的に言うと、そのような化合物にエステル結合が無いまたは本質的に無いことを除き、上で説明したのと同じエステル含有多官能性イソシアネート反応性化合物をこの目的のために使用することができる。
【0045】
概して「連鎖延長剤」と呼ばれる低分子量化合物がこのコモノマー群に含まれる。例としては、約500ダルトン未満の数平均分子量を有する低分子量ポリオールならびに上で説明したジオール、ジアミンおよびポリアミンが挙げられる。この文脈での「ポリオール」は、1分子あたり平均で約2個以上のヒドロキシル基を有する任意の生成物を意味する。具体的な例としては、2から20個の炭素原子、さらに典型的には2から10個の炭素原子を有する脂肪族、環式脂肪族および芳香族ポリオール、とりわけジオール、例えば1,4−ブタンジオールが挙げられる。ポリエステルポリオールの中で連鎖延長剤として機能することが公知である任意の他の化合物も使用することができる。
【0046】
(iv)水分散性強化化合物
ポリウレタンは、一般に疎水性であり、水分散性ではない。従って、少なくとも1つの親水性、イオン性または潜在的イオン性の基を有する、少なくとも1つの水分散性強化化合物(すなわち、モノマー)を場合により本発明のポリウレタンポリマーおよびプレポリーに含めて、該ポリマー/プレポリマーの水への分散を支援する。典型的に、これは、少なくとも1つの親水性基または(例えば、中和などの化学的修飾により)親水性にすることができる基を持つ化合物を前記ポリマー/プレポリマー鎖に組み込むことによって行われる。これらの化合物は、非イオン性のもの、アニオン性のもの、カチオン性のものもしくは両性イオン性のものまたはこれらの組み合わせであり得る。例えば、カルボン酸基などのアニオン性基を前記プレポリマーに反応性形態で組み込み、その後、例えば下でさらに十分に定義する第三級アミンなどの塩形成性化合物によって活性化して、約1から約60mgKOH/グラム、典型的には1から約40、またはさらに10から35もしくは12から30もしくは14から25mgKOH/グラムの酸価を有するプレポリマーを作ることができる。他の水分散性強化化合物を反応させて、側部または末端親水性エチレンオキシドまたはウレイド単位を含むウレタン結合または尿素結合により、プレポリマー主鎖にすることもできる。
【0047】
特に興味深い水分散性強化化合物は、カルボキシル基を前記プレポリマーに組み込むことができるものである。通常、それらは、一般式(HO)Q(COOH)(式中、Qは、1から12個の炭素原子を含有する直鎖または分岐炭化水素ラジカルであり、ならびにxおよびyは、1から3である)を有するヒドロキシ−カルボン酸から誘導される。そのようなヒドロキシ−カルボン酸の例としては、ジメチロールプロパン酸(DMPA)、ジメチロールブタン酸(DMBA)、クエン酸、酒石酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、ジヒドロキシリンゴ酸、ジヒドロキシ酒石酸、およびこれらに類するもの、ならびにそれらの混合物が挙げられる。ジヒドロキシ−カルボン酸はさらに好ましく、ジメチロールプロパン酸(DMPA)およびジメチロールブタン酸(DMBA)が最も好ましい。
【0048】
特に興味深い水分散性強化化合物のもう1つの群は、側鎖親水性モノマーである。幾つかの例としては、例えば米国特許第6,897,281号(この開示は参照により本明細書に援用されている)に示されているような、アルキレンオキシド基が2から10個の炭素原子を有するアルキレンオキシドポリマーおよびコポリマーが挙げられる。
【0049】
水分散性強化化合物は、ポリウレタンにカチオン的性質を付与することができる。カチオン性ポリウレタンは、その主鎖に組み込まれたまたは付属するカチオン中心を含有する。そのようなカチオン中心としては、アンモニウム、ホスホニウムおよびスルホニウム基が挙げられる。これらの基を主鎖にイオン形態で重合することができ、または場合により、対応する窒素、リンもしくは硫黄部分の後中和または後四級化によってそれらを作成することができる。上記の基のすべてを併用することができ、それらと非イオン的安定化を併用することもできる。アミンの例としては、N−メチルジエタノールアミン、ならびにDPA、ZF−10、Z−110、ZR−50および同様のものなどのJeffcat(登録商標)商品名でHuntsmanから入手できるアミノアルコールが挙げられる。それらは、事実上任意の酸と塩を作ることができる。酸の例としては、塩酸、硫酸、酢酸、リン酸、硝酸、過塩素酸、クエン酸、酒石酸、クロロ酢酸、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、2−カルボキシエチルアクリレートおよびその他が挙げられる。四級化剤としては、塩化メチル、塩化エチル、ハロゲン化アルキル、塩化ベンジル、臭化メチル、臭化エチル、臭化ベンジル、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、クロロ酢酸、酸および同様のものが挙げられる。四級化ジオールの例としては、塩化ジメチルジエタノールアンモニウムおよびメタンスルホン酸N,N−ジメチル−ビス(ヒドロキシエチル)第四級アンモニウムが挙げられる。例えばエポキシ第四級アンモニウム化合物とDMPAのカルボン酸基との反応などの、他の後重合反応によって、カチオン的性質を付与することができる。
【0050】
他の適する水分散性強化化合物としては、チオグリコール酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、スルホイソフタル酸、ポリエチレングリコール、およびこれらに類するもの、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0051】
水分散性強化化合物の使用は好ましいが、本発明の分散液は、それらなしで高剪断分散法および界面活性剤による安定化によって調製することができる。
【0052】
プレポリマーのための連鎖延長剤
プレポリマーのための連鎖延長剤としては、平均で約2個以上のアルコール基を有する有機ポリオール、約500g/mol未満の数平均分子量を有する多価アルコール、またはこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つが、本発明での使用に適する。連鎖延長剤としての使用に適するジオールは、ポリエステルポリオールを作製するためのモノマーとして説明したものと同じであり、上に列挙されている。約500g/mol未満の数平均分子量を有するポリエステルポリオールも、プレポリマー連鎖延長剤として使用することができる。場合によっては、分散液のための連鎖延長剤として下で説明するアミンを使用することもできる。
【0053】
分散液のための連鎖延長剤
上で説明したように生成した水性ナノ粒子/プレポリマー複合粒子分散液を、所望される場合には、そのまま使用することができる。あるいは、それらの複合粒子中のプレポリマーを連鎖延長して、ポリ(ウレタン−ウレア)などのより複雑なポリウレタンに変換することができる。
【0054】
連鎖延長剤として、水、平均で約2個以上の第一級および/もしくは第二級アミン基を有する無機もしくは有機ポリアミン、多価アルコール、またはこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つが、本発明での使用に適する。連鎖延長剤としての使用に適する有機アミンとしては、上に列挙したアミンが挙げられ、ジエチレントリアミン(DETA)、エチレンジアミン(EDA)、メタ−キシリレンジアミン(MXDA)、アミノエチルエタノールアミン(AEEA)、2−メチルペンタンジアミン、およびこれらに類するもの、ならびにこれらの混合物も挙げられる。プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、シクロヘキシレンジアミン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、3,3−ジクロロベンジデン、4,4’−メチレン−ビス−(2−クロロアニリン)、3,3−ジクロロ−4,4−ジアミノジフェニルメタン、スルホン化第一級および/または第二級アミン、ならびにこれらに類するもの、ならびにそれらの混合物も、本発明での実施に適する。適する無機アミンとしては、ヒドラジン、置換ヒドラジン、およびヒドラジン反応生成物、ならびにこれらに類するもの、ならびにそれらの混合物が挙げられる。適する多価アルコールとしては、2から12個の炭素原子、好ましくは2から8個の炭素原子、を有するもの、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、およびこれらに類するもの、ならびにそれらの混合物が挙げられる。適するウレアとしては、ウレアおよびその誘導体、ならびにこれらに類するもの、ならびにそれらの混合物が挙げられる。ヒドラジンが好ましく、最も好ましくはそれを水中の溶液として使用する。連鎖延長剤の量は、典型的には、利用可能なイソシアネートに基づき約0.5から約1.1当量の範囲である。
【0055】
(iv)少なくとも1つの架橋性官能基を有する化合物
少なくとも1つの架橋性官能基を有する化合物も、所望される場合には、本発明のポリウレタンプレポリマーに組み込むことができる。これらの自由選択の化合物の例としては、カルボキシル基、カルボニル基、アミン基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アセトアセトキシ基、オレフィン基およびヒドラジド基、ブロックトイソシアネート、およびこれらに類するもの、ならびにそのような基の混合物、およびそれらが誘導された元の基に戻すことができる保護された形態でのそれらの基が挙げられる。
【0056】
架橋性をもたらす他の適する化合物としては、チオグリコール酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、およびこれらに類するもの、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0057】
(v)触媒
前記プレポリマーは、所望される場合には、触媒を使用せずに形成することができるが、場合によっては触媒が好まれることがある。適する触媒の例としては、オクタン酸第一錫、ジブチル錫ジラウレート、および第三級アミン化合物、例えばトリエチルアミンおよびビス−(ジメチルアミノエチル)エーテル、モルホリン化合物、例えばベータ,ベータ−ジモルホリノジエチルエーテル、カルボン酸ビスマス、カルボン酸亜鉛ビスマス、塩化鉄(III)、オクタン酸カリウム、酢酸カリウムならびにKing Industriesからのジルコニウム触媒K−KAT(登録商標)XC−9213およびK−KAT(登録商標)6212が挙げられる。
【0058】
いくつかのアミン触媒は、ポリウレタンの主鎖に永久に組み込むことができる。これらとしては、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、メチコール、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)イソニコチンアミド(BIN)、HunstmanからのJEFFCAT(登録商標)DPA、JEFFCAT(登録商標)ZF−10、JEFFCAT(登録商標)ZR−50、JEFFCAT(登録商標)Z−110、およびこれらに類するものが挙げられる。
【0059】
好ましい触媒は、Air ProductsからのDABCO(登録商標)(ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン)、2−エチルヘキサン酸とオクタン酸第一錫の混合物、例えばElf Atochem North AmericaからのFASCAT(登録商標)2003、HunstmanからのJEFFCAT(登録商標)DPA、およびKing IndustriesからのK−KAT XC−9213である。
【0060】
(vi)イソシアネートブロッキング剤
幾つかのタイプの化合物は、ブロッキング剤(保護剤またはマスキング剤としても公知)として利用することができる。それらの機能は、イソシアネート基を望ましくない反応から一時的に保護することである。ブロッキング化合物についての主な要件は、イソシアネートとのその反応が可逆的であることである。反応が逆転すると、イソシアネート基が再生され、さらなる反応に利用できる。この逆反応は、物理的または化学的手段により、例えば、高温、放射線、真空、触媒、活性水素を有する化合物、またはこれらの組み合わせによって誘発することができる。
【0061】
ブロッキング剤の例としては、オキシム、フェノール、アルコール、ラクタム、イミダゾール、ピラゾール、酸、メルカプタン、イミド、第二級アミン、スルフィット、アセトアセテート、およびマロン酸の誘導体が挙げられる。
【0062】
オキシムが一般に好ましいが、一部または全部を他のブロッキング剤に取り換えてもよい。オキシムは、一般式CRR’=NOHによって表すことができ、この式中のRおよびR’は、独立してHまたはC2n+1であり得る。RおよびR’は、環式脂肪族、芳香族基、およびヘテロ原子を有する基(複素環式の基を含む)も含有することがある。オキシムは、RおよびR’の一方または両方が水素であるときアルドキシムであり得、またはRおよびR’の両方がヒドロカルビル基であるときケトキシムであり得る。アルドキシムの例としては、ホルムアルドキシム、アセトアルドキシム、プロピオンアルドキシム、ブチルアルドキシム、ベンズアルドキシムおよびこれらに類するものが挙げられる。ケトキシムの例としては、アセトキシム、ブタノンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、アセトフェノンオキシムおよびこれらに類するものが挙げられる。
【0063】
他の好ましいブロッキング剤としては、ラクタム、第二級および第三級アルコール、ピラゾールならびにそれらの混合物が挙げられる。他の適するブロッキング剤のいくつかの具体的な例としては、マロン酸ジメチル、トリアゾール、カプロラクタム、フェノール、ジメチルピラゾール、ジブチルアミン、ジイソプロピルアミン、tert−ブタノール、シクロヘキサノール、およびイソプロパノールが挙げられる。段階的反応が所望される場合には、2つ以上のブロッキング剤を併用することができ、特に、異なる温度で脱ブロッキングするブロッキング剤の混合物を使用することができる。
【0064】
脱ブロッキングは、連鎖延長中に起こることもあり、またはポリマー乾燥および/もしくは硬化中に起こることもある。多くの場合、乾燥または硬化中にポリマーから蒸発するブロッキング剤の使用が好ましい。これらの場合、低分子量オキシム、例えばアセトキシム、ブタノンオキシム、ブチルアルドキシムおよびこれらに類するものが、好ましい。
【0065】
(vii)成分の割合
通常、本発明により生成されるプレポリマーは、イソシアネートを末端に有するだろう。このために、前記プレポリマー中のポリイソシアネートの多官能性イソシアネート反応性化合物(エステル含有およびエステル不含、両方)に対する比率は、当量ベースで、典型的には、約1.3/1から約2.5/1、好ましくは約1.5/1から約2.1/1、およびさらに好ましくは約1.7/1から約2/1の範囲である。この文脈で、「当量ベース」は、多官能性イソシアネート反応性化合物(単数または複数)のイソシアネート反応性部分の総数に対するポリイソシアネートの反応性イソシアネート部分の総数を意味する。他の場合、すべてのイソシアネート基が反応して消え去ったプレポリマーを生成することができる。この場合は、イソシアネートに対して化学量論的過剰のイソシアネート反応性化合物を使用する。
【0066】
本発明の多くの実施形態において、多官能性イソシアネート反応性化合物構成材料は、上で説明したような1つ以上のエステル含有多官能性イソシアネート反応性化合物から完全になるだろう。他の実施形態では、当量ベースで、多官能性イソシアネート反応性化合物構成材料の≦50%、さらに典型的には≦40%、≦30%、≦20%またはさらに≦10%が、1つ以上のエステル不含多官能性イソシアネート反応性化合物からなり得る。多官能性イソシアネート反応性化合物構成材料ベースの≧10%、≧20%、≧30%、およびさらに≧40%がエステル不含である実施形態が考えられる。他の実施形態では、多官能性イソシアネート反応性化合物構成材料(マクログリコール)ベースの≧10%、≧20%、≧30%、≧40%、≧50%、≧60%およびさらに≧75%が、エステル含有構成材料である。
【0067】
前記プレポリマー中の自由選択の水分散性強化化合物の典型的な量はその性質に依存するが、非イオン性化合物については約70重量%ほども高い場合があり、イオン性または潜在的にイオン性の化合物については、そのプレポリマーの総重量に基づき典型的には約1重量%から約30重量%、およびとりわけ約2重量%から約10重量%であり得る。本発明者らの米国特許第6,897,281号(この全開示が参照により本明細書に援用されている)を参照のこと。
【0068】
前記プレポリマー中の架橋性官能基を有する自由選択化合物の量は、典型的には、乾燥重量ベースで最終ポリウレタン1グラムあたり約1ミリ当量まで、好ましくは約0.05から約0.5ミリ当量、およびさらに好ましくは約0.1から約0.3ミリ当量であろう。
【0069】
前記プレポリマーを形成するために使用される触媒の量は、使用するにしても、典型的に、プレポリマー反応物の総重量の約5から約200百万分率であろう。
【0070】
水性分散液の形成
本発明のポリエステルポリウレタンプレポリマーは、従来のやり方で、例えば上記成分を共に合わせ、それらを適する時間、通常は適切に混合しながら、反応させることによって、形成される。その後、通常はシロップ状の液体である、そのようにして形成されたプレポリマーを、従来のやり方で、例えば該プレポリマーと水を適切に攪拌しながら合わせることなどによって、水性分散液に変換することができる。所望される場合には、自由選択の乳化剤(界面活性剤)を含めてもよい。溶媒重合を用いる場合、溶媒および他の揮発性構成材料を、所望される場合には、最終分散液から場合により蒸留除去することができる。
【0071】
好ましいプロセスの論述を続ける前に、本発明のポリウレタン分散液を製造するために他のプロセスも使用できることに留意され、それらのプロセスとしては、限定されないが以下のものが挙げられる:
1.乳化剤(外部乳化剤、例えば界面活性剤、あるいはポリウレタン主鎖の一部としてもしくはペンダントとしておよび/またはポリウレタン主鎖上の末端基としてアニオン性および/またはカチオン性基を有する内部乳化剤)を用いる剪断力によるプレポリマーの分散。
【0072】
2.アセトンプロセス。アセトン、MEK、および/または非反応性であり容易に蒸留される他の極性溶媒の存在を用いてまたは用いずに、プレポリマーを形成する。そのプレポリマーを、必要に応じて前記溶媒でさらに希釈し、活性水素含有化合物で連鎖延長する。その連鎖延長されたポリウレタンに水を添加し、溶媒を蒸留除去する。このプロセスの変形は、そのプレポリマーを水へのその分散後に連鎖延長させるものであろう。
【0073】
3.溶融分散プロセス。イソシアネート末端プレポリマーを形成し、その後、過剰なアンモニアまたはウレアと反応させて、末端ウレアまたはビウレット基を有する低分子量オリゴマーを形成する。このオリゴマーを水に分散させ、ホルムアルデヒドでのビウレット基のメチロール化により連鎖延長する。
【0074】
4.ケタジンおよびケチミンプロセス。ヒドラジンまたはジアミンをケトンと反応させて、ケタジンまたはケチミンを形成する。これらをプレポリマーに付加させるが、これらはイソシアネートに対して不活性のままである。そのプレポリマーを水に分散させると、ヒドラジンまたはジアミンが遊離され、分散が起こるにつれて連鎖延長が起こる。
【0075】
5.連続プロセス重合。イソシアネート末端プレポリマーを形成する。このプレポリマーをポンプで高剪断混合ヘッド(単数または複数)に通し、該混合ヘッド(単数もしくは複数)において水に分散させその後連鎖延長するか、該混合ヘッド(単数もしくは複数)において同時に分散および連鎖延長する。これは、プレポリマー(または中和されたプレポリマー)と自由選択の中和剤と水と自由選択の連鎖延長剤および/または界面活性剤とからなる多数の流れによって果たされる。
【0076】
6.逆供給プロセス。水および自由選択の中和剤(単数もしくは複数)および/または延長剤アミン(単数もしくは複数)を攪拌しながらプレポリマーに投入する。水および/またはジアミン連鎖延長剤を添加する前にプレポリマーを中和してもよい。
【0077】
本発明の1つの実施形態において、前記プレポリマーが、乳化剤(界面活性剤)を添加せずに安定な分散液を形成するような十分な水分散性強化化合物を含む場合、所望される場合には、該分散液を、そのような化合物なしで、すなわち実質的に界面活性剤なしで、作製することができる。このアプローチの利点は、そのポリウレタンから作製される塗料または他の製品が、より低い感水性、より良好な皮膜形成、より少ない発泡、およびカビ、細菌等々の生育低減を呈示することである。
【0078】
前記プレポリマーが、ペンダントカルボキシル基を有する水分散性強化化合物を含む場合は、該プレポリマーの水分散性を強化するために、これらのカルボキシル基をそれらをカルボキシレートアニオンに転化させることによって中和することができる。
【0079】
このために適する中和剤としては、第三級アミン、金属水酸化物、水酸化アンモニウム、ホスフィン、および当業者に周知の他の薬剤が挙げられる。第三級アミンおよび水酸化アンモニウム、例えば、トリエチルアミン(TEA)、ジメチルエタノールアミン(DMEA)、N−メチルモルホリン、およびこれらに類するもの、ならびにそれらの混合物が好ましい。第一級または第二級アミンが、前記連鎖延長プロセスへの干渉を防止するほどに十分制約されている場合、それらを第三級アミンの代わりに使用できることは認められる。
【0080】
中和されているにせよ、中和されていないにせよ、上で説明した手法で得られる水性ポリエステルポリウレタンプレポリマー分散液をそのまま使用して、塗料、フィルムおよび他の固体ポリウレタン製品を提供することができる。加えてまたは代替的に、これらの分散液を従来のやり方で処理して、その中のプレポリマーを連鎖延長してポリ(ウレタン−ウレア)を形成することができる。このために、水、2個以上の第一級および/もしくは第二級アミン基を有する無機および/または有機ポリアミン、多価アルコール、またはこれらの組み合わせを使用することができる。連鎖延長剤としての使用に適する有機アミンとしては、ジエチレントリアミン(DETA)、エチレンジアミン(EDA)、メタ−キシリレンジアミン(MXDA)、アミノエチルエタノールアミン(AEEA)、2−メチルペンタンジアミン、およびこれらに類するもの、ならびにそれらの混合物が挙げられる。プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、シクロヘキシレンジアミン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、3,3−ジクロロベンジデン、4,4’−メチレン−ビス−(2−クロロアニリン)、3,3−ジクロロ−4,4−ジアミノジフェニルメタン、スルホン化第一級および/または第二級アミン、ならびにこれらに類するもの、ならびにそれらの混合物も、本発明での実施に適する。適する無機アミンとしては、ヒドラジン、置換ヒドラジン、およびヒドラジン反応生成物、ならびにこれらに類するもの、ならびにそれらの混合物が挙げられる。適する多価アルコールとしては、2から12個の炭素原子、好ましくは2から8個の炭素原子、を有するもの、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、およびこれらに類するもの、ならびにこれらの混合物が挙げられる。ヒドラジンおよびエチレンジアミンが好ましく、最も好ましくは水中の溶液として使用される。連鎖延長剤の量は、典型的には、利用可能なイソシアネートに基づき約0.5から約1.1当量の範囲である。
【0081】
このやり方で得られる水性ポリエステルポリウレタン分散液を「そのまま」使用して、塗料、フィルムおよび他の固体ポリウレタン製品を提供することもできる。
【0082】
ナノ粒子プロトンスカベンジャー
本発明に従って、ポリエステルポリウレタンの加水分解による分解の受けやすさを、実質的に分散されているナノ粒子(凝集体および/または単位粒子(ultimate particles)/微結晶を指す)プロトンスカベンジャーを該ポリマーに組み込むことにより、本質的に完全に無くすことができることが判明している。
【0083】
一定の材料は、固体、液体および/または気体媒体中でプロトン、すなわち水素イオン、に曝露されたとき、それと反応する、それに結合、またはそれを別様に捕捉することが知られている。炭酸カルシウムは、よい例であり、他のアルカリおよびアルカリ土類金属炭酸塩、すなわちLiCO、BeCO、MgCO、SrCO、BaCO、およびRaCOもよい例である。プロトンを掃去するであろう炭酸塩の他の例としては、Fe(II)、Fe(III)、Mn(II)、Zn、Ag、Hg(I)、Hg(II)、Cu(II)、Pb(II)、Bi(III)の炭酸塩が挙げられる。
【0084】
炭酸カルシウムは、式CaCOを有する。これは、世界のあらゆる地域における岩石の中で見つけられる一般的な物質であり、海洋生物、巻貝、真珠および卵殻の殻の主構成材料である。炭酸カルシウムは、次の鉱物および岩石として天然に見つけられる:アラゴナイト、方解石、バテライトまたは(μ−CaCO3)、白亜、石灰石、大理石、トラバーチン。工業で使用される大多数の炭酸カルシウムは、採鉱または採石によって抽出される。純粋な炭酸カルシウム(例えば、食品または製薬用のもの)は、純粋な採石源(通常は大理石)から生産することができる。粉砕炭酸カルシウム(GCC)は、天然に産出する炭酸カルシウム岩:大理石、石灰石および白亜の機械的粉砕によって生産される。顔料製剤中のGCCは、低コストで良好なレオロジーおよび高い輝度を提供する。あるいは、粗炭酸カルシウムを酸化カルシウム(生石灰)にか焼する。水を添加して水酸化カルシウムにし、この溶液に二酸化炭素を通して、所望の炭酸カルシウムを沈降させ、これは沈降炭酸カルシウム(PCC)として公知である。このプロセスは、非常に純粋な炭酸カルシウム結晶を生産する。それらの結晶を、用いる具体的な反応プロセスに依存して、様々な異なる形状およびサイズに作り変えることができる。PCC結晶の3つの主な形状は、アラゴナイト、菱面体型および偏三画面体型である。各結晶タイプの中で、前記PCCプロセスは、平均値粒子サイズ、サイズ分布および表面積を制御することができる。沈降炭酸カルシウムは、世界中で紙生産のための鉱物顔料として使用されている。これは、その高い輝度および光散乱特性のため紙充填および塗工用途において珍重されている。
【0085】
プロトンを掃去するであろう無機化合物の他の例としては、Ba、Ca、Mg、Al、Cr(III)、Fe(II)、Fe(III)、Mn(II)、Zn、Ag、Cu(II)、Pb(II)のケイ酸塩;Fe(II)、Mn(II)、Zn、Ag、Hg(I)、Hg(II)、Cu(II)、Pb(II)、Bi(III)、Sn(II)の硫化物;上記金属の酸化物および水酸化物;ならびにカルシウムアパタイトの天然に産出する鉱物の形態であるヒドロキシアパタイトが挙げられる。
【0086】
プロトンを掃去するであろう有機化合物の例としては、1,8−ビス−(ジメチルアミノ)ナフタレン、1,8−ビス(ヘキサメチルトリアミノホスファゼニル)ナフタレンおよび2,6−ジ−tert−ブチルピリジンが挙げられる。
【0087】
上記スカベンジャーの任意の組み合わせを使用することができる。
【0088】
本発明に従って、これらのプロトンスカベンジャーの材料形態は、それらが実質的に分散されているナノ粒子および/または高表面積形態でポリマーに組み込まれている場合にのみ、該ポリエステルポリウレタンの加水分解による分解の受けやすさを、該ポリマーにいずれの有意なヘーズも生じさせることなく、実質的に低減することになる、または完全に無くすことにさえなることが判明した。
【0089】
このことに関して、ナノ粒子は、水性および有機性両方の粉末または分散液形態で概して市販されている。これらの製品中の個々の/一次(CaCOについては微結晶)粒子は、ナノサイズ範囲である場合があるが、通常、これらの粒子は合体して、ナノ粒子が、三次元で、通常、互いに比較的密に充填されている、より大きな凝集物になる。従って、これらのナノ粒子粉末および分散液を使用してナノ粒子含有ポリマーを作製するとき、それらのナノ粒子は、これらのより大きな凝集物の形態のままである。言い換えると、それらのナノ粒子は、ポリマー塊に実質的に分散されていない。本発明によると、プロトンスカベンジャーナノ粒子は、それらが、最終的に形成されたポリマー塊に、実質的に分散されているおよび/または高表面積形態で導入されている場合にのみ、ポリエステルポリウレタンの加水分解による分解の受けやすさを実質的に低減することになる、または完全に無くすことにさえなることが判明した。
【0090】
この文脈において、「実質的に分散されている」は、個々のナノ粒子が、互いに完全に離隔されていなこともあるが、それでもなお、互いに密に充填されていないことを意味する。そのような配列の例は、下の実施例1から5のナノ粒子含有ポリエステルポリウレタン生成物を撮影した顕微鏡写真である図1A、1Bおよび1Cにおいて例証される。これらの図に示されているように、この生成物中の個々のナノ粒子は、ポリマー塊全体にわたって均一に分布している小さな、本質的に線形の「ヘビのような」凝集体の状態にゆるく配列されており、これらの「ヘビのような」凝集体は、典型的には≦100、さらに典型的には≦50、≦40、≦30、またはさらに≦20個のナノ粒子を含有する。これらの図にさらに示されているように、「ヘビ」の中の個々のナノ粒子は、同じヘビの中の隣接ナノ粒子には触れていることがあるが、これらの「ヘビ」同志は離隔されている。従って、それぞれのナノ粒子の表面積は、それぞれが同じヘビの中の隣接ナノ粒子に触れている場合を除き、ポリマー塊と直接接触している。そのような構造は、高い窒素BET表面積を有すると予測されるだろう。
【0091】
実質的に分散されている(しかしゆるく凝集されていて高い表面積(例えば41m/g)を有する)配列のもう1つの例を図2Aおよび2Bに示す。OmyaからのOmya XC−6600−34の一次ナノ微結晶は、それらが中にあるマトリックスにその表面の相当な部分が露出している様々な形状および寸法のフロックを形成する。この観点から考えると、フロキュレーションの最も有効な形態は、粒子の列または鎖である。比較的大きいフロック粒子へのそのような配列は、ナノ複合材に多少のヘーズを生じさせる場合があるが、ナノ粒子表面の大部分がマトリックスに露出しているため、エステル加水分解の阻止に依然として有効であろう。
【0092】
この配列は、ナノ粒子が3つの次元すべてに関して比較的密に充填されている従来どおり調製されたナノ粒子のより大きな凝集物の構造とはまったく対照的である。従って、例えば、これらのより大きな凝集物は、多数の層に配列された多くのナノ粒子、例えば1,000以上、を概して含有し、それによって該凝集物の長さ、幅および深さは、概して単一のナノ粒子の直径の何倍にもなる。この配列の場合、各ナノ粒子の表面積の大部分が、その凝集物中の他のナノ粒子によってポリマー塊との接触を阻止または妨害される。対照的に、図1A、1Bおよび1Cの「ヘビのような」凝集体の幅および深さは、これらの凝集体の「ヘビのような」構造のため、一般に、単一のナノ粒子の直径、またはことによると2個のナノ粒子の直径、とほぼ同じである。結果として、これらの凝集体中の各ナノ粒子の表面積の大部分が開放されており、ポリマー塊との直接接触に利用できる。このことが、開放表面積のこの大部分を、ポリマー塊中の位置の定まらないプロトン(水素イオン)の捕捉に有効にさせ、その結果として、そのポリエステルポリウレタンポリマーは、加水分解による分解に対して本質的に完全に安定化される。
【0093】
本発明の範囲を限定することなく、本発明者らは、本発明の長いヘビのようなナノ粒子凝集物が、事実上よりいっそう立体的である、すなわちそれらのサイズが3つの次元すべてに関してかなり均一である、従来のナノ粒子凝集物より、実質的に少なく光を散乱すると仮定する。これは、散乱光の強度が、光の方向に対して垂直な面への粒子の投影面積に比例するからである。等軸粒子については、すべての投影がほぼ同じであるが、本発明の長い、ヘビのようなナノ粒子凝集物については、3つの次元のうちの2つの次元に関する投影は無視できるほど小さい。本発明者らは、この現象が、本発明の本発明ナノ粒子/ポリエステルポリウレタン複合材の非常に低いヘーズおよび高い明澄度の利用であり得ると推測する。
【0094】
本出願において後で説明するように、表面積は、単位粒子/微結晶径に逆比例して増加する(例えば、表面積は、理論的には、単位粒子サイズが10倍減少するたびに10倍増加する)。従って、非常に小さい単位粒子/微結晶サイズを獲得することが望ましい。表面積は、プロトンスカベンジャーのグラムあたりの最大プロトン掃去能力の獲得に非常に重要であるからである。粒子サイズを理解することは難しい場合があり、粒子サイズを定義するために一貫した専門用語を用いる必要がある。プロトンスカベンジャーのこの論述に関して、本発明者らは、単位粒子/微結晶サイズについて重量平均粒子径を用いることとする。重量平均と体積平均は、密度がわかれば換算できる。通常は粒子径の分布がある。本発明者らが粒子径と呼ぶとき、本発明者らが選択するのは、粒子の少なくとも50重量パーセント(D50)が、所定の直径(各粒子についてx、yおよびz方向を平均したもの)より小さいものである。もう1つの範囲で、本発明者らは、粒子の少なくとも90重量パーセント(D90)が、所定の直径より小さいことを指定することがある。一次粒子または微結晶についてのすべての直径は、透過電子顕微鏡(TEM)によるものであり、TEM画像に基づく計算値であるものとする。
【0095】
1つの実施形態において、単位粒子/微結晶径が小さい場合、望ましくは、D50は、1マイクロメートル未満、さらに望ましくは500nm未満、さらに望ましくは100nm未満、および好ましくは50nm未満である。類似の実施形態において、望ましくは、D90は、1マイクロメートル未満、さらに望ましくは500nm未満、さらに望ましくは100nm未満、および好ましくは50nm未満である。1つの実施形態において、窒素BET表面積は、20m/gより大きく;さらに望ましくは30m/gより大きく;さらにいっそう望ましくは35m/gより大きく、および好ましくは約40m/g以上である。
【0096】
1つ以上の化学反応が、本発明のナノ複合材中のプロトンスカベンジャーナノ粒子の表面と、この複合材のポリエステル−ポリウレタンポリマーとの間で、またはこのポリマーを形成するプレポリマー構成材料のうちの少なくともいくつかのものとの間で発生する、例えばイソシアネートとナノ粒子表面のヒドロキシル基との反応などが発生する、ことがあることも理解されるはずである。このために、これらのプロトンスカベンジャーナノ粒子の表面を、所望される場合には公知の技術により、例えば、反応性基(例えば、シラン、アルコール、カルボニル、チオールなど)、ならびに表面張力を修飾し、高分子マトリックスとの相溶性に備える不活性基(例えば、疎水性炭化水素、シロキサンおよびフッ素化基)をグラフトすることにより、意図的に修飾することができる。
【0097】
既に実質的に分散されている形態でのプロトンスカベンジャーナノ粒子の使用
プロトンスカベンジャーナノ粒子を本発明のポリエステル−ポリウレタンナノ複合体に所望の実質的に分散されている形態で組み込むために様々なアプローチを用いることができる。1つのアプローチは、既に実質的に分散されている形態であるプロトンスカベンジャーナノ粒子を選択し、その後、これらの実質的に分散されているプロトンスカベンジャーナノ粒子とこのポリマー複合材を形成するために使用される1つ以上の成分とを合わせるアプローチである。
【0098】
既に実質的に分散されている形態であるプロトンスカベンジャーナノ粒子を、様々な異なるやり方で得ることができる。例えば、いくつかのプロトンスカベンジャーナノ粒子を、実質的に分散されているナノ粒子形態で、それらの製造工程の一部として作る。そのような製造プロセスの一例は、酸性ガスと金属塩基を合わせることにより様々な有機媒体に可溶性および/または分散性の高塩基性潤滑添加剤を作製する、過塩基性化(overbasing)技術である。例えば、炭酸カルシウムおよび他の類似の材料をどのようにしてこのやり方で作製できるかが記載されている、WO 2004/048484を参照のこと(この全開示は参照により本明細書に援用されている)。有機および無機両方の多くの他の高塩基性材料の粒状材料をどのようにして過塩基性化技術で作製できるかが記載されている、WO 2004/048484に、とりわけ5頁に、列挙されている多くの追加の特許も、参照のこと。
【0099】
実質的に分散されている形態のプロトンスカベンジャーナノ粒子をそれらの製造工程の一部として作ることとなる他の製造技術としては、沈殿技術、結晶化および再結晶技術、化学蒸着技術、ならびに例えば米国特許第5,514,349号および同第6,669,823号に記載されているような、粒子を気相から基板上で成長させるまたはその気相中で直接成長させるプラズマガスプロセスが挙げられる。不溶性粒子を化学反応の結果として可溶性前駆体から形成するゾル−ゲルプロセスも用いることができる。Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology、第4版、第22巻、J.I.KroschwitzおよびM.Howe−Grant編、497−528頁(1997)におけるL.L.Hench、「Sol−Gel Technology」を参照のこと。
【0100】
既に所望の実質的に分散されている形態のプロトンスカベンジャーナノ粒子を得るためのもう1つのアプローチは、これらの実質的に分散されているプロトンスカベンジャーナノ粒子を、より大きな粒子および/またはこれらのナノ粒子の凝集物から作製された前駆材料から作成するアプローチである。
【0101】
例えば、そのような前駆材料を、ビーズミル、とりわけ30マイクロメートルほどもの小さいサイズの粉砕媒体を使用する小型媒体ビーズミル、での粉砕により、微粉砕(機械的に破砕)することができる。そのようなミルは、通常、その内部にミリングシャフトを有し、およびその外部に温度制御ジャケットを有する、水平粉砕チャンバからなる。そのチャンバに異なる量の丸型ビーズまたは他の粉砕媒体が充填され、液体中の前駆材料の懸濁液が、その攪拌され流動化している媒体を通してポンプにより送られる。その前駆材料がミリングチャンバに入り、粉砕媒体とのおよびそれ自体との衝突によって破砕される。これらの衝突の結果として作成される完全に分散されているナノ粒子は、そのミルの末端部の細目フィルターによって粉砕媒体から分離され、ビーズおよびより大きな未粉砕粒子は、そのミリングチャンバから出て行かないようにされる。
【0102】
同じく用いることができる他の微粉砕技術としては、キャビテーション技術、例えば米国特許第5,931,771号および同第7,314,516号に記載されているコントロールド・フロー・キャビテーション(CFC)技術、ならびに例えばKirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology、第4版、Supplement、J.I.KroschwitzおよびM.Howe−Grant編、516−541頁(1998)におけるK.S.Suslick、「Sonochemistry」に記載されているような、高強度超音波がキャビテーションを生じさせる超音波処理技術が挙げられる。
【0103】
機械的技術に加えて、より大きな前駆材料をばらばらに分解して所望の実質的に分散されている形態を有するより小さなナノ粒子にするために、化学的技術も用いることができる。そのような技術は周知であり、米国特許出願公開第2005/0175649号、米国特許出願公開第2007/0085231号および米国特許第7,501,4668号(これらの全開示も参照により本明細書に援用されている)をはじめとする様々な異なる公報に記載されている。米国特許第7,285,583号、米国特許出願公開2007/0106005号、同第2006/0293430号、同第2008/0103459号、同第2008/0161496号、同第2008/0156438号および同第2009/0133826号(これらの開示も参照により本明細書に援用されている)も参照のこと。
【0104】
一般的に言うと、これらの化学的技術は、水性または有機分散液中の予備材料を、隣接粒子にまたは層状鉱物の場合には材料の隣接層に浸み込んでそれらの間の間隔を拡大することが可能である物質で処理すること(「挿入」)、その後、処理した分散液を、これらの隣接粒子/層が互いに完全に離隔するように熟成させること(「剥離(exfoliation)」)を含む。とりわけ、上述の米国特許出願公開第2007/0085231号の段落[0051]を参照のこと。場合によっては、前記分散液の混合、例えば、単純な攪拌から激しい剪断混合にわたる混合を用いて、剥離を促進することができる。このアプローチの特別な利点は、上で説明した過塩基性化技術において通常使用される有機溶媒または他の有機媒体が無いまたは本質的に無い水性分散液を使用できることであり、これは、一部の状況では環境的な理由で望ましいことがある。
【0105】
1つの実施形態において、本発明が望む実質的に分散されている形態であるときのプロトンスカベンジャーナノ粒子の粒子サイズは多種多様であることができ、ナノ粒子サイズ範囲内の本質的にいずれの粒子サイズを用いてもよい。本発明のために、ナノ粒子および実質的に分散されているナノ粒子は、約250nm未満(D90)の、しかし通常は約150nm未満であるだろう、3つの次元のうちの少なくとも1つの次元を有する粒子と定義する。他の実施形態において、平均値粒子サイズは、約100nm以下(D90)、75nm以下、またはさらに50nm以下であるだろう。いくつかの実施形態において、前記粒子サイズは、25nm以下、10nm以下、またはさらに5nm以下ほども低いことさえある。一般に、これらの実質的に分散されているナノ粒子の平均値粒子サイズ、D50、は、250nm(ナノメートル)ほども大きいことがあるが、通常は100nm未満であるだろう。約75nm以下、さらに典型的には50nm以下、またはさらに40nm以下の平均値粒子サイズを有する実質的に分散されているナノ粒子は興味深い。他の実施形態において、前記平均値粒子サイズは、30nm以下、25nm以下、またはさらに10nm以下であるだろう。いくつかの実施形態において、前記粒子サイズは、5nm以下、2nm以下、またはさらに1nm以下ほども低いことさえある。
【0106】
粒子サイズ分布は、次の技術のうちの1つによって測定することができる:ふるい分析、光分析、光学計数、電気抵抗計数、沈降分離、レーザー回折法、音響分光法または超音波減衰分光法。本開示に関して、実質的に分散されているナノ粒子の粒子サイズおよび粒子サイズ分布は、透過電子顕微鏡検査(TEM)によって決定された測定値を指す。TEMは、粒子およびそれらのアスペクト比の寸法の最も信頼できる測定ツールの1つである。
【0107】
粒子サイズ分布の評価は、TEM写真から、その写真の中のそれぞれのおよびすべての粒子を測定することにより手作業で、または専門の画像認識システムを使用してコンピュータによって行うことができる。例としては、Scion Corp.(http://www.scioncorp.com/pages/scion_image_windows.htm)からのScion Imageおよび米国保険福祉省、国立衛生研究所(U.S. Department of Health and Human Services,National Institutes of Health)(http://rsb.info.nih.gov/ij/)からのImageJが挙げられる。補足表は、他の利用可能な画像解析ソフトウェアおよびライブラリーをのリストを含む。
【0108】
粒子サイズ分布についての平均化方法は、数、重量、体積、流体力学的体積、散乱光強度および表面平均化を含む。粒子サイズ分布はまた、メジアンサイズ、幾何平均値サイズ、平均サイズ、D50、D90等々、様々に呈示することができる。粒子サイズ分布の幅は、通常、多分散性指数(PDI)によって記述される。
【0109】
さらに、熟練ポリマー化学者には理解されるように、粒子サイズは均一な厚みを有する仮想球形を表すが、ナノ粒子サイズ範囲内の殆どの固体粒子は、まさに、形状の点で不規則であり球形でない可能性が高い。極端な場合、これらの粒子、例えばカーボンナノチューブ(CNTおよびMWCNT)、セルロースウィスカー、グラフェン、クレー、タルクなど、は、1つまたは2つの次元で大きなアスペクト比を有する場合がある。本発明に関して、ナノメートルでの粒子サイズ分布への言及は、実際の粒子体積に相当する仮想球形粒子の直径を指す。
【0110】
1バッチの粒子中のすべての粒子が同一の粒子サイズを有するとは限らないので、粒子サイズは、通常、粒子サイズ分布によって特徴づけられる。例えば、本発明のいくつかの実施形態において、ナノ粒子バッチは、250nm未満のD90を有する(すなわち、そのバッチにおける粒子の体積の90%が250nm未満の相当直径を有する)ことが望ましい。150nm以下、100nm以下、さらに典型的には75nm以下、またはさらに50nm以下、25nm以下、10nm以下、またはさらに5nm以下のD90を有するナノ粒子バッチは、とりわけ興味深い。
【0111】
約100nm以下、およびとりわけ75nm以下、またはさらに50nm以下のD90を有するナノ粒子バッチは、特に興味深い。ポリマーマトリックス内に実質的に分散されているときこのサイズのナノ粒子は、裸眼に対して本質的に透明になるからである。
【0112】
本開示の実験の部に関して、ポリウレタン−ナノ粒子分散液の粒子サイズおよび粒子サイズ分布は、ガウス分布での強度平均を用いたSubmicron Particle Sizer Autodilute PAT Model 370(NICOMP Particle Sizing Systems)を用いてレーザー光散乱により決定した測定値を指す。これは、レーザー光散乱測定値のほうがTEM測定値の測定より迅速であり費用がかからないからである。強度平均化は、それが、レイリー則に従って、より大きな粒子サイズに偏っているため、および分散液の重力不安定性の主な原因となる、より大きな粒子であるため、選択される。
【0113】
表面積対粒子サイズ
表面積と粒子サイズは非常に密接な関係にある。互いに接触していない均一なサイズの球形粒子の理想的な場合を考える。d=W/V、V=4πR/3、S=4πR、およびD=2R(この場合、d−比密度、W−サンプル重量、V−球体体積、S−球体表面、R−半径、D−直径)と仮定して、サンプルの全表面積を粒子サイズと関係づける次の方程式を導くことができる:
S=6W/(D*d)
Wをグラムで、Dをnmで、およびdをg/smで表すと、
S=6,000W/(D*d)(m/g)
となる。
【0114】
下の表は、d=1g/smの場合のいくつかの代表的計算結果をまとめたものである。
【0115】
【化1】

この関係を表す双曲線を補足図に示す。比表面積の劇的な増加が約200から250nm未満の値について観察される。
【0116】
比表面積と粒子径の間のこの直接的関係は、不規則な形状を有する多分散粒子については、とりわけ粒子が部分的に融合しているまたはフロックを形成しているときには、より複雑になり、多くの場合、理論的に解明することが不可能になる。粒子集合体についてのいくつかの複雑な配列および付随する名称の論述は、Deutsches Institut fuer Normung(ドイツ規格協会(German Institute for Standardization))によるDIN 53206「顔料の試験:粒子サイズ分析、基本用語(Testing of pigments;particle size analysis,basic term)」において見つけることができる。
【0117】
既に所望の実質的に分散されている形態のプロトンスカベンジャーナノ粒子を得るためのさらにもう1つのアプローチでは、あるタイプの媒体(例えば、有機液)中にこの所望の実質的に分散されている形態で存在するナノ粒子を溶媒交換して、異なる媒体(例えば水)中のこれらの実質的に分散されているナノ粒子の分散液を作成する。
【0118】
下でさらに論ずるように、本発明のいくつかの実施形態では、前記プロトンスカベンジャーナノ粒子を、ポリエステル−ポリウレタン(またはその成分のうちの1つ)と合わせるとき、水に分散させることが望ましい。他の実施形態では、前記プロトンスカベンジャーナノ粒子を、そのように合わせるとき、有機媒体または少なくとも無水の媒体に分散させることが望ましいこともある。溶媒交換は、ある分散媒を別のものに交換する周知の手順である。既に所望の実質的に分散されている形態のプロトンスカベンジャーナノ粒子を、上で説明した手法で得る場合、およびこれらのナノ粒子を分散させる液体媒体が、これらのナノ粒子とポリエステル−ポリウレタン(またはその成分のうちの1つ)と合わせるときに望まれる液体媒体とは異なる場合、そのプロトンスカベンジャーナノ粒子分散液における液体媒体を所望の液体媒体と溶媒交換することができる。
【0119】
ナノ分散液の安定化
ナノ粒子の形成中に、新たな表面の非常に有意な面積が作られる。この表面を安定させないと、粒子は再び凝集に向かうこととなる。2つの粒子安定化メカニズム:静電気的またはイオン的、エントロピー的または立体化学的メカニズム、およびこれら2つの組み合わせがある。無機粒子に、それらを有機酸(例えば、ギ酸、シュウ酸)もしくは無機酸(例えば、HNO3、HCl、HClO4)または塩基(例えば、アンモニア、アミン、苛性アルカリ)で処理することにより、静電荷を付与することができる。特別な安定剤または分散剤を分散液に添加して安定性を付与する。それらをポリマータイプ(アクリレート、エーテル、エステル、ウレタン、ウレアなど);アーキテクチャ(ヘッド・アンド・テール、ランダム、ブロック−、コーム−、グラジエント−およびスター−コポリマー);分子量および分子量分布;アームの数、性質および長さ;アニオン性、カチオン性、非イオン性および両性イオン性;官能基および反応性基のタイプおよび密度によって特徴づけることができる。
【0120】
多数の市販分散剤、例えば、Solsperse(登録商標)46000、Solsperse(登録商標)4190、Solplus(登録商標)D540(すべてLubrizolから)、またはDispersbyk(商標)190(ドイツ、ヴェーゼルのByk Chemieから)を使用することができる。
【0121】
既に実質的に分散されている形態のプロトンスカベンジャーナノ粒子をポリエステル−ポリウレタンポリマーと合わせること
既に実質的に分散されている形態であるプロトンスカベンジャーナノ粒子を上に示したようにして得たら、それらを様々な異なるやり方で本発明のポリエステル−ポリウレタンナノ複合材に組み込むことができる。
【0122】
例えば、これらの実質的に分散されているプロトンスカベンジャーナノ粒子を、
(a)本発明のナノ複合材のポリエステルポリウレタンポリマーを形成するプレポリマーであって、水性分散液を形成するために水と合わせる前の該プレポリマー、
(b)この水性分散液を形成するために水と合わせた後のこのプレポリマー、
(c)このプレポリマーの、それを形成する前の、1つ以上の成分、
(d)このプレポリマーを連鎖延長することによって得た複合ポリエステルポリウレタンポリマーの水性分散液、および
(e)このプレポリマーを分散させる水性媒体、ならびに
(f)それらの組み合わせ
に添加することができる。
【0123】
これらの実質的に分散されているプロトンスカベンジャーナノ粒子の水性分散液と有機分散液の両方をこのために使用することができる。
【0124】
本発明の特に興味深い実施形態では、米国特許第7,598,315号に記載されているアプローチを用いる。この文献の全開示が参照により本明細書に援用されている。そこに記載されているように、ポリウレタンプレポリマー/ナノ粒子複合材の水性分散液は、これらの成分を実質的に水不在下で合わせ、その後、このブレンドを水性媒体に分散させることによって作製される。結果として、形成される個々のナノ粒子/プレポリマー分散粒子は、ナノ粒子の独立した分散を通常はさけて、ナノ粒子とプレポリマーの均質混合物からなる。このアプローチの利点は、少なくともプレポリマーが水分散性強化化合物を含む場合、親水性界面活性剤および分散剤を添加することなく分散液を作製できることであり、これは、さらに、最終的に生成されるポリエステルポリウレタンの耐水性に寄与し得る。通常、適する有機媒体中のプロトンスカベンジャーナノ粒子の分散液(この場合、該ナノ粒子は、所望の実質的に分散されている形態である)がこのために使用されるだろう。
【0125】
本質的に任意の量の実質的に分散されているプロトンスカベンジャーナノ粒子を本発明のポリエステル−ポリウレタンナノ粒子複合材に組み込むことができる。典型的に、添加されるナノ粒子の量は、それらを含有するポリエステル−ポリウレタンポリマーの加水分解安定性に対する顕著な効果を達成するために十分な量でなければならない。含まれる特定のポリマーに依存して、得られるナノ粒子複合材中のこれらのナノ粒子の濃度は、全体としてのその生成物ナノ粒子複合体(例えば、ポリウレタン、プロトンスカベンジャーナノ粒子、およびそのポリウレタン中の他の自由選択の添加剤(ポリウレタン分散液中の水または他の溶媒系媒体を除く))の重量に基づき、約0.01重量%ほども低い場合がある。約0.05重量%、約0.1重量%、約0.25重量%、約0.5重量%、約0.7重量%およびさらに約0.9重量%といったような最小濃度がより一般的である。類似して、得られるナノ粒子複合材中のこれらのナノ粒子の最大濃度は、同じ基準で約70重量%ほども高い場合があるが、約25重量%、約15重量%、約10重量%、約5重量%、約3重量%およびさらに約2.5重量%といったような最大濃度がより一般的である。約0.1から15重量%、約0.5から5重量%、またはさらに約1.0から2.5重量%といったような濃度がより典型的であり、より高い表面積を有するより小さい粒子形態のプロトンスカベンジャーを利用できれば、より低い重量百分率が可能となる。
【0126】
別の成分の存在下での実質的に分散されているナノ粒子の作成
実質的に分散されているプロトンスカベンジャーナノ粒子を本発明のポリエステルポリウレタンポリマー複合材に組み込むために用いることができるもう1つのアプローチは、本発明の複合材のポリエステル−ポリウレタンを形成するために使用するプレポリマーまたはこのプレポリマーの構成材料の存在下で、これらの実質的に分散されているプロトンスカベンジャーナノ粒子を作成する(または、より正確には、これらのナノ粒子の実質的に分散されている形態を作成する)アプローチである。これは、最も適便には、より大きな粒子からおよび/またはこれらのナノ粒子の凝集物から作製した前駆体材料を上で説明した手法で機械的に微粉砕するのだが、このプレポリマーおよび/またはこのプレポリマーの構成材料の存在下で(すなわち、このプレポリマーおよび/またはこのプレポリマーの構成材料と混合したこの前駆材料を用いて)そうすることによって、行うことができる。
【0127】
そのため、例えば、より大きな粒子サイズ形態の、すなわち、ここで望まれるナノ粒子サイズ範囲より大きい粒子サイズを有する粒子および/または凝集物の形態の、プロトンスカベンジャーを含む予備材料を、
(i)本発明のナノ複合材のポリエステルポリウレタンポリマーを形成するプレポリマーであって、水性分散液を形成するために水と合わせる前のこのプレポリマー、
(ii)水性分散液を形成するために水と合わせた後のこのプレポリマー、
(iii)このプレポリマーの、それを形成する前の、1つ以上の成分、および
(iv)水性媒体、ならびに
(v)それらの混合物
の存在下でミルすることができる。
【0128】
ナノ粒子をプレポリマーの存在下で微粉砕する状況では、該プレポリマーは、望ましくは液体(シロップ状)形態である。これにより、プレポリマー粒子の微粉砕操作への干渉が防止されるからである。
【0129】
本発明の特に興味深い実施形態では、プレポリマーまたはこのプレポリマーの成分の存在下でこれらのナノ粒子の完全に分散された形態を作成するこのアプローチを、上で述べた本発明者らの米国特許第7,598,315号の「水不在」手順を用いて行う。すなわち、ナノ粒子とプレポリマー(および/または該プレポリマーの構成材料)を合わせ、実質的に水不在下で微粉砕し、その後、そのようにして形成された微粉砕ブレンドを水性媒体に分散させる。上で示したように、この「水不在」手順は、ナノ粒子の独立した分散を通常は避けて、ナノ粒子とプレポリマーのとりわけ均質な混合物を実現する。加えて、水分散性強化コモノマーを含むプレポリマーを、親水性界面活性剤および分散剤を添加せずに分散させることができる。
【0130】
さらなる特徴
上で説明したような本発明の、ポリウレタンプレポリマー、それらから生成される生成物ポリウレタン、および水性ナノ粒子/プレポリマー複合粒子水性分散液は、公知のポリウレタン技術に従って様々なさらなる成分および特徴を用いて作製することができる。例としては、以下のものが挙げられる:
(i)ポリマー分岐
引張強度を補助するために、および耐クリープ性−すなわち、伸張後のその原長のものまたは原長付近のものへの回復−を改善するために、プレポリマーばかりでなく最終的なポリマー生成物の分岐を行うことができる。これに関しては、米国特許第6,897,281号を参照のこと(上記特許の参照によりその開示が本明細書に援用されている)。
【0131】
(ii)一官能性活性水素含有化合物
上述の米国特許第6,897,281号においても説明されているように、一官能性活性水素含有化合物を用いて本発明のプレポリマーを作製して、水性媒体への該プレポリマーの分散性を強化すること、および架橋性などの他の有用な特性を付与すること、ならびに基材に塗工されたときのそのポリマーの形態およびレオロジーを調整することもできる。
【0132】
(iii)可塑剤
本発明のポリウレタンプレポリマーおよび最終的なポリウレタン生成物を可塑剤の存在下で調製することができる。可塑剤は、プレポリマー調製もしくは分散中の任意の時点で添加することができ、またはポリウレタンに、その製造中もしくは製造後に、添加することができる。当該技術分野において周知の可塑剤を、特定のポリウレタンとの相溶性および最終組成物の所望の特性などのパラメータに従って、本発明での使用のために選択することができる。例えば、上述の米国特許第6,897,281ばかりでなく、WO 02/08327 A1も参照のこと。
【0133】
(iv)分散液の調製のための他の添加剤
当業者に周知の他の添加剤を使用して、本発明の分散液の調製を補助することができる。そのような添加剤としては、脱泡剤、酸化防止剤、例えばヒンダードフェノールおよびアミン(例えば、Irganox 1010)、UV吸収剤(例えば、カーボンブラック、二酸化チタン、Ciba−GiegyからのTinuvin(登録商標)P)、安定剤、例えばカルボジイミド(例えば、BayerからのStaboxal P)、SATRAからのSatrastab(英国ケタリングのShoe and Allied Trades Assoc.)、架橋剤、例えばアジリジン(Xama(登録商標)−7)、イソシアネート、メラミン、カルボジイミド、エポキシド、多価金属イオン(Zn、Zr、Ca、Al)、エポキシシラン、接着促進剤、標識剤、充填剤、増量剤、他のポリマー、活性化剤、硬化剤、着色剤、顔料、中和剤、増粘剤、非反応性および反応性可塑剤、融合助剤、例えばジ(プロピレングリコール)メチルエーテル(DPM)、ワックス、スリップおよび離型剤、抗微生物剤、界面活性剤、例えばPluronic(商標)F68−LFおよびIGEPAL(商標)CO630ならびにシリコーン界面活性剤、金属、塩、難燃性添加剤、オゾン分解防止剤、ならびにこれらに類するものが挙げられる。当業者に周知であるように、それらを、適宜、本発明の分散液の完成品への加工前にまたは加工中に、場合により添加することができる。添加剤を適宜使用して、物品を作製することまたは他の製品を(例えば、含浸、飽和、噴霧、塗工またはこれらに類するものなどにより)処理することもできる。本発明の分散液は、典型的に、少なくとも約20重量%、好ましくは少なくとも約25重量%、およびさらに好ましくは少なくとも約30重量%の全固形分を有する。
【0134】
(v)他のポリマーおよびポリマー分散液とのブレンド
本発明の分散液を、当業者に周知の方法により、市販ポリマーおよびポリマー分散液と合わせることができる。そのようなポリマーおよび分散液としては、WIPO公開公報WO 02/02657 A2、米国特許第4,920,176号、同第4,292,420号、同第6,020,438号、同第6,017,997号、ならびにD.P.TateおよびT.W.Bethea、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering、第2巻、537頁による総説に記載されているものが挙げられ、これらの参考文献の開示は参照により本明細書に援用されている。
【0135】
類似して、本発明の分散液は、ナノ粒子/プレポリマー混合物を別のポリマー(単数もしくは複数)および/またはナノ粒子の予め形成された水性分散液に分散させることによって形成することができる。言い換えると、本発明に従ってナノ粒子/プレポリマー混合物を分散させる水性媒体それ自体が、乳化および懸濁重合技術によって作製されたものを含む別のポリマー(単数または複数)および/またはナノ粒子の予め形成された水性分散液である場合がある。
【0136】
(vi)他のポリマーとのハイブリッド
本発明の水性分散液は、ポリウレタンと他のポリマーのハイブリッドを形成するために種ポリマーとして使用することもできる。これは、上で説明した手法でナノ粒子/ポリウレタン複合材の水性分散液を形成し、その後、これらの分散液の存在下で乳化または懸濁重合により追加のモノマーを重合すること、すなわち、本発明の分散液をそれらの追加のモノマーと混合した後、重合を完了すること、によって行うことができる。ポリウレタンとアクリル樹脂のハイブリッドをこのアプローチによって有利に作製することができる。
【0137】
本発明に従ってハイブリッドポリマーを作製するさらにもう1つのやり方は、ポリウレタンプレポリマー反応系にエチレン性不飽和モノマーを含め、そのプレポリマーを水性分散液に分散するときまたはした後にこれらのモノマーを重合させるやり方である。このアプローチにおいて、前記エチレン性不飽和モノマーは、プレポリマー形成中に希釈剤として作用する。水性媒体中で、追加のモノマーを添加してまたは添加せずに、これらのエチレン性不飽和モノマーを完全に重合することができる。ポリウレタンとアクリル樹脂のハイブリッドをこのアプローチによっても有利に作製することができる。
【0138】
(vii)ウォーターボーンエネルギー硬化性ナノ粒子/ポリウレタン組成物
エネルギー(UVおよびIR線ならびに/または電子ビーム)の印加によって硬化させることができるウォーターボーンポリウレタンおよびハイブリッド組成物を、ポリウレタンを(メタ)アクリル酸エステルおよび他のエチレン性不飽和モノマーでエンドキャップすることによって作製できることは、既知である。この技術を本発明に応用して、エネルギー硬化性ウォーターボーンナノ粒子/ポリウレタン塗料を生じさせることができる。
【0139】
用途
プレポリマー形態と連鎖延長形態両方の、本発明の水性ナノ粒子/ポリエステル−ポリウレタン分散液を使用して、多孔質および無孔質基材、例えば紙、不織材料、繊維、革、木材、コンクリート、石造建築物、金属、ハウスラップおよび他の建築材料、繊維状ガラス、ポリマー物品、パーソナル防護用品(例えば、フェースマスク、医療用ドレープおよびガウンならびに消防士の出動服を含む、危険物質防護服)、ならびにこれらに類するもののための塗料およびフィルムを作製することができる。用途としては、紙および不織、繊維状材料、フィルム、シート、複合材および他の物品、インクおよび捺染用バインダー、フロックおよび他の接着剤、ならびにパーソナルケア製品、例えばスキンケア、ヘアケアおよびネイルケア製品、家畜および種子用途、ならびにこれらに類するものが挙げられる。
【0140】
カーペット、ならびに衣類、室内装飾材料、テント、天幕、エアバッグおよびこれらに類するものに使用される繊維を含めて、任意の繊維状材料に、当業者に周知の方法により、本発明の組成物を塗工することができ、含浸させることができ、または別様に処理を施すことができる。適する繊維は、織られているものであろうと、不織のものであろうと、または編まれているものであろうと、および天然のものであろうと、合成のものであろうと、または再生されたものであろうと、布、糸およびブレンドを含む。適する繊維の例としては、酢酸セルロース、アクリル樹脂、ウール、綿、ジュート、リネン、ポリエステル、ポリアミド、再生セルロース(レーヨン)、およびこれらに類するものが挙げられる。
【0141】
本発明の組成物は、パーソナル防護用具などの独立型フィルムおよび物体で作製された物品を生産するために使用することもできる。防護用品目の例としては、グローブおよびコンドームが挙げられる。
【0142】
加えて、本発明の組成物は、接着剤として、または当業者に周知の接着剤タイプを増強もしくは補足するために、使用することができる。例えば、イソシアネートのタイプおよび量、ポリオールのタイプ、量および分子量、ならびにポリ(アルキレンオキシド)側鎖単位の量を変えることによって特定の接着特性を獲得することができる。
【0143】
本発明の水性分散液を塗布し、乾燥させて生成されたポリエステル−ポリウレタンナノ粒子複合材は、該ポリエステル−ポリウレタンが連鎖延長されていようと、されていなかろうと、加水分解による分解に対してひときわすぐれた耐性、特に、よりいっそう高価なポリカーボネートポリウレタン樹脂のものに匹敵する耐加水分解性を呈示する。さらに、使用される実質的に分散されているナノ粒子のD90粒子サイズが、≦75nm、好ましくは≦50nmまたはさらに≦40nmである限り、得られるポリウレタンは、勿論、それらの透明性を損なう他の材料が無いまたは本質的に無いことを条件に、本質的に透明であるだろう。
【0144】
最後に、水性ポリウレタン分散液を製造するための他の技術に本発明の原理を応用することができる。例えば、本発明は、米国特許第6,897,281号に記載されている通気性ポリウレタン分散液(すなわち、通気性ポリウレタンの層を形成する分散液)を製造するための技術に、ならびに米国公開特許出願第20050004306号に記載されているコア−シェル型ポリウレタン分散液を製造するための技術に応用することができる。上記特許および公開出願の開示は、参照により本明細書に援用されている。
【実施例】
【0145】
作業実施例
本発明をより綿密に説明するために、以下の作業実施例を提供する。これらの実施例では以下の試薬を使用した:
●Aldrichからのブロモフェノールブルー指示薬
●Carbosperse(商標)K−7058N − The Lubrizol Corporationからのポリ(アクリル酸)のアンモニア中和溶液。固形分含量約46%;pH約7
●DBA − Aqua Solutionsからのジブチルアミン
●DeCAL 2042 − 40重量%。Devine Chmicals,Ltd.からの水中のアクリル系コポリマーのナトリウム塩
●Dehydran 1293 − Cognisからの脱泡剤
●DMAMP 80 − TCI Americaからの2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール、水中80%
●DMPA − GEO Specialty Chemicalsからのジメチロールプロパン酸
●DowからのDowanol DPM
●H12MDI − 1,1’−メチレンビス−(4−イソシアナトシクロヘキサン);Bayer CorporationからのDesmodur(登録商標)W
●EDA − Alfa Aesarからのエチレンジアミン
●FASCAT(登録商標)2003 − 2−エチレンヘキサン酸とオクタン酸第一錫の混合物;Elf Atochem North Americaからの触媒
●HCl − WVRからの1M塩酸
●Humectant GRB2 − Lubrizolから;グリセリン、非イオン性界面活性剤およびポリエチレングリコール(PEG)を含有。
●ヒドラジン溶液 − Acrosからの水中35重量%溶液
●IMERYS RLO 7428 − Imerysからの炭酸カルシウム
●Multiflex−MM(登録商標) − 報告19m/g表面積を有するSpecialty Mineralsからの沈降炭酸カルシウム。
●NEP − BASFからの1−エチル−2−ピロリドン
●NMP − BASFからの1−メチル−2−ピロリドン
●Placcel(登録商標)CD210 − Daicelからのポリカーボネートポリオール(数平均分子量M 約1,000g/mol)
●Sancure(登録商標)777 − The Lubrizol Corporationからのポリウレタン分散液
●Sancare(登録商標)825 − The Lubrizol Corporationからのポリウレタン分散液
●Snowflake White(登録商標) − 測定2.0m/g BET比表面積を有するECC Internationalからの石灰石(炭酸カルシウム)
●Solsperse(登録商標)46000 − Lubrizolからの分散剤、水中50%
●Stabaxol P200 − LANXESS AGからのウレタンゴム用のポリカルボジイミド耐加水分解剤
●TEA − J.T.Bakerからのトリエチルアミン
●TMP − Celaneseからのトリメチロールプロパン
●VWRからのトルエン
●Ultrapaque(登録商標)Slurry − 報告7.5m/g表面積を有するSpecialty Mineralsからの沈降炭酸カルシウム水性スラリー(40重量%)。
●XC−6600−34 − 測定40.8m/g BET比表面積と粒子サイズ100nm(D50)および300nm(D98)とを有するOmya Inc.からの石灰石(炭酸カルシウム)水性スラリー(52重量%)。
【0146】
加えて、これらの実施例を実施する際に、以下の分析および試験手順を用いた:
●ブルックフィールド粘度。ブルックフィールド粘度試験は、Brookfield RV粘度計および(粘度に依存して)スピンドル#3から#6を使用して20rpmおよび約77°Fで行った。
●粒子サイズ測定。分散液の粒子サイズおよび粒子サイズ分布は、次の計器によって得た:ガウス分布での強度平均化を用いるSubmicron Particle Sizer AutodilutePAT Model 370(NICOMP Particle Sizing Systems);Zetasizer Software 6.12およびNanoTrak(登録商標)粒子サイズ分析装置によるデータ分析を伴うMalvern Zetasizer Nano−S90。固形分含量。Moisture/Solids Analyzer LabWare 9000(商標)(CEM Corporation)によって全固形分を測定した。
●固形分含量。Moisture/Solids Analyzer LabWare 9000(商標)(CEM Corporation)によって全固形分を測定した。
●pH測定。Acumet Basic pH Meter(Fisher Scientific)を使用してpH読み取り値を得た。
●光学顕微鏡検査。Leica MZ16双眼実体顕微鏡で入射(反射)光を用いてサンプルを検査した。1.25倍対物レンズを使用した。
●イソシアネート(NCO)滴定。プレポリマーのサンプル(約3グラム)を250mLエルレンマイヤーフラスコに量り入れる。トルエン(50mL)およびトルエン中の2Mジブチルアミン溶液(20mL)を添加し、その混合物を、プレポリマーが完全に溶解するまで、ホットプレートで加熱する。そのフラスコに200mLまでイソプロパノールを充填する。ブロモフェノールブルー指示薬(6から7滴)を添加し、溶液を、その色が青色から淡黄色に変わるまで、1N HCl溶液で滴定する。
●加水分解安定性試験。サンプルをレベル6ミルPET(Mylar(登録商標))フィルム上に延伸して、約2から3ミル乾燥状態の乾燥フィルムを生成する。フィルムを一晩、周囲温度で乾燥させて、翌日、300°F/3分で硬化させる。フィルムを1インチストリップに切断し、75℃/95%相対湿度(RH)の湿度チャンバ内に置く。被定義期間の後、そのチャンバからサンプルを取りだし、恒温湿度室内に一晩置いた後、試験する。
●物理的特性。ASTM D882「薄手プラスチックシートの引張特性についての標準試験方法(Standard Test Method for Tensile Properties of Thin Plastic Sheeting)」をこの試験に採用した。TestWorks 4ソフトウェアにより実行されるMTS ReNew Elite Controllerを後付し、装備したInstron(登録商標)Model 4301でサンプルを極限引張および伸びについて試験した。ジョーのギャップを1インチに設定し、毎分2インチの速度で試験を行った。ピーク荷重および破断点歪を各サンプルについて記録した。3から6回の測定を各サンプルについて行い、平均結果を報告した。
●透過(Transition)電子顕微鏡検査(TEM)画像は、Philips CM12透過電子顕微鏡を用いてを得た。サンプルを2日間、空気乾燥させ、−160℃の極低温条件下でダイヤモンドブレードを用いて検鏡用切片を作る。得られた小さな断片をワン・ヘア・アーティスト・ブラシ(one−hair artist brush)によって銅グリッド上に移し、画像を記録する。
●ヘーズ。知覚されるヘーズおよび明澄度は、塗料および他の物品の最も重要な特性の1つであるため、ヘーズの好ましい評価は、目視評価である。客観的な計器による手段によってもヘーズを測定することができる。例としては、ASTM D 1003−07「透明プラスチックのヘーズおよび視感透過率についての標準試験方法(Standard Test Method for Haze and Luminous Transmittance of Transparent Plastics)」に記載されている方法、異なる角度での光沢の測定、L、a、b値の測定、ならびにまた、ASTM Guide E179−96(2003)「材料の反射および透過特性の測定のための幾何学的条件の選択に関する標準ガイド(Standard Guide for Selection of Geometric Conditions for Measurement of Reflection and Transmission Properties of Materials)」、D1455「エマルジョン床磨き剤の60度鏡面光沢度についての試験方法(Test Method for 60−deg Specular Gloss of Emulsion Floor Polish)」、D1746「プラスチックシートの透明度についての試験方法(Test Method for Transparency of Plastic Sheeting)」、D4039「高光沢面の反射ヘーズについての試験方法(Test Method for Reflection Haze of High−Gloss Surfaces)」、D4061「水平塗膜の再帰反射率についての試験方法(Test Method for Retroreflectance of Horizontal Coatings)」およびD523「鏡面光沢度についての試験方法(Test Method for Specular Gloss)」に記載されている他の方法が挙げられる。複合フィルムの明澄度は、ASTM D 1003−07「透明プラスチックのヘーズおよび視感透過率についての標準試験方法(Standard Test Method for Haze and Luminous Transmittance of Transparent Plastics)」、手順B(セクション8)に従ってヘーズを測定することによって評価した。X−Rite,Inc(前Gretagmacbeth)からのColor i7ベンチトップ分光光度計を使用した。サンプル調製:ナノ分散液を、Sancure(登録商標)777またはSancure(登録商標)825に、乾燥ベースでポリマー100部あたり5部で混入し、約35%固形分含量を有する3ミル厚(約76マイクロメートル)液体塗料をレベル面上のMylarシートに塗布し;約30分間、空気乾燥させた後、フィルムをオーブンで3分間、300°Fで硬化させた。異なる箇所で得た3から9の読み取り値の平均を、散乱された透過光のパーセントとして報告した。
●BET(Brunauer、EmmettおよびTeller)比表面積は、ISO 9277:1955「BET法を用いる気体吸着による固体の比表面積の測定(Determination of the specific surface area of solids by gas adsorption using the BET method)」に従ってMicromeritics Analytical Servicesが測定した。
【0147】
(実施例1)
プロトンスカベンジャー炭酸カルシウムナノ粒子分散液の調製
実質的に分散されている炭酸カルシウムナノ粒子の水性分散液を以下の成分から剥離によって生成した:
表1
実施例1において使用した成分
【0148】
【表1】

これらの成分を先ず別々の容器で予混し、その後、MicroCer(登録商標)ヘッドと回転式蠕動ポンプと0.025mmスクリーンとを装備したNetzsch Lab Starミルにおいて再循環モードを用いておおよそ12時間、粉砕した。そのチャンバは、窒化ケイ素製であり、そのローターは、酸化イットリウム安定化酸化ジルコニウム製であった。0.05mmの直径を有するZrO−Y粉砕媒体を使用した。以下の条件を用いた:50%と60%の間の粉砕チャンバ充填度、14から30lts/分のポンプ速度、14から18m/秒の先端速度。約23重量%の実質的に分散されている炭酸カルシウムナノ粒子を含有する水性分散液を生成した。これらのナノ粒子の粒子サイズを、NanoTrak(登録商標)粒子サイズ分析装置によって測定してD50=88nmおよびD90=180nmであると定量した。
【0149】
(実施例2)
ナノCaCOを伴う硬質ポリエステル−ポリウレタン
プレポリマー段階
500から1000の分子量を有するヒドロキシル末端ポリエステルポリオールを、アルカンジオールと脂肪族ジカルボン酸の反応によって形成した。このポリエステルポリオールと少量のTMPと1.7から2.0当量過剰のH12MDIとを乾燥窒素ブラケット下、210から240°F(99から116℃)で約1時間反応させた。その反応混合物を205°F(96℃)に冷却し、約600グラムのこの系に31グラムのDMPA、150から200グラムのNEPおよび少量の触媒を添加した。その反応混合物を205から210°F(96から99℃)で1時間かきまぜて、NCO末端プレポリマーを生成した。その混合物を150°F(66℃)に冷却し、激しく攪拌しながら26グラムのTEAを添加した。そのプレポリマーの粘度の測定値は、約150°F(66℃)で1,900cPであった。
【0150】
分散段階
そのプレポリマーの一部分(300グラム)を、実施例1からのナノ−CaCO分散液(52グラム)と少量の脱泡剤と融合助剤Dowanol DPM(34グラム)とを含有する68°F(20℃)の310gの水に混合しながら約10から15分かけて投入して、ナノ粒子とNCO末端ポリウレタンプレポリマーとからなる複合粒子の水性分散液を形成した。
【0151】
連鎖延長
約30分の厳密な攪拌の後、ヒドラジン(7.7グラム)、EDA(3.5グラム)およびDM水(3.5グラム)の混合物を一滴ずつ添加して、そのポリウレタンプレポリマーを連鎖延長し、その結果、42.4%の全固形分含量、8.0のpHおよび600cPのブルックフィールド粘度を有するナノ−CaCO/ポリウレタン複合粒子の水性分散液を生成した。粒子サイズ分布の平均値直径は、(NICOMPによって測定し、強度平均ガウス分布として報告して)62nmであった。
【0152】
TEM分析
上で形成したポリウレタン分散液の一部分を6ミルポリエチレンテレフタレート(Mylar(登録商標))フィルムに塗布し、一晩、周囲温度で放置して乾燥させ、その結果、乾燥厚が約2から3ミルの乾燥フィルムを生成した。そのようにして得たポリエステル−ポリウレタンナノ複合材フィルムのTEM顕微鏡写真を図1A、1Bおよび1Cに複写する。これらの図からわかるはずであるが、この生成物中の個々のナノ粒子は、そのポリマー塊全体にわたって均一に分布している小さな本質的に線形の「ヘビのような」凝集体の状態にゆるく配列されており、これらの「ヘビのような」凝集体は、典型的には≦100、さらに典型的には≦50、≦40、≦30、またはさらに≦20のナノ粒子を含有する。図1Cから、個々のナノ粒子が、この顕微鏡写真の中の0.1μ(マイクロメートル)寸法線の約二分の一の平均または平均値粒子サイズを有するように見える(それによってだいたい50nmの平均値粒子サイズを示す)ことにも留意すること。
【0153】
比較実施例A CaCOを伴わない硬質ポリエステル−ポリウレタン
ナノ粒子を添加しなかったことを除いて実施例2を繰り返した。この分散液は、35.7%の全固形分含量、8.5のpH、50cPのブルックフィールド粘度および(NICOMPによって測定し、強度平均ガウス分布として報告して)平均値粒子サイズ直径50nmを有した。
【0154】
比較実施例B CaCOを伴わない硬質ポリカーボネート−ポリウレタン
ポリカーボネートポリウレタンは、それらの顕著な加水分解安定性について公知であるが、製造に非常に費用がかかる。従って、本発明のポリエステル−ポリウレタンナノ複合材をこれらのより費用のかかるポリカーボネート−ポリウレタンポリマーと比較するために比較実施例Bを行った。
【0155】
プレポリマー段階
ポリカーボネートポリオールPlaccel CD210(OH # 112.3、203グラム)、35グラムのDMPA、120グラムのNMPおよび少量の触媒を200から210°F(93から99℃)でかきまぜながら乾燥窒素ブランケット下で約2時間、H12MDI(243グラム)と反応させた。NCO含量の測定値は、6.48%であった。この混合物を140°F(60℃)に冷却した。プレポリマーの粘度の測定値は、この温度で23,000cPであった。
【0156】
分散段階
そのプレポリマー(470グラム)を、50°F(10℃)で22グラムのTEAを含有する560gの水に混合しながら約10分かけて投入して、水性分散液を形成した。
【0157】
延長段階
約20分の厳密な攪拌の後、ヒドラジン(25グラム)を一滴ずつ添加して、そのポリウレタンプレポリマーを連鎖延長し、その結果、38.9%の全固形分含量、7.9のpH、320cPのブルックフィールド粘度、および(NICOMPによって測定し、強度平均ガウス分布として報告して)平均値粒子サイズ直径50nmを有するポリウレタンの水性分散液を生成した。
【0158】
加水分解試験
上の実施例2において生成した乾燥ポリエステル−ポリウレタンナノ複合材フィルム(一晩乾燥後)のもう一部分を、翌日、300°F(149℃)で3分間加熱することによって硬化させた。そのフィルムを1インチストリップに切断し、その後、上で説明したような標準耐加水分解性試験に付した。比較のために、炭酸カルシウムプロトンスカベンジャーナノ粒子を省いた比較実施例Aのポリエステルポリウレタンから作製した硬化試験ストリップを用いて同じ耐加水分解性試験を行った。加えて、比較実施例Bのポリカーボネート−ポリウレタンから作製した試験ストリップであって、実施例2および比較実施例Aのものと同じやり方で硬化させもしたこれらのストリップを用いて同じ耐加水分解性試験も行った。以下の結果を得た:
表2
硬質PUDの加水分解安定性
【0159】
【表2】

表2中の0の値は、分解することなくMylar支持体から取り外すことができなかったフィルムに割り当てたものである。
【0160】
表2からわかるはずであるが、本発明のナノ−CaCO安定化ポリエステルポリウレタン(実施例2)は、安定化されていない同一のポリエステルポリウレタンのものよりはるかに良好であるばかりでなく、そのポリカーボネートポリウレタン相当品によって呈示されるものと本質的に同様に良好でもある、耐加水分解性を呈示した。これは、ポリエステルポリウレタンへのプロトンスカベンジャーナノ粒子の添加が、該プロトンスカベンジャーナノ粒子が実質的に分散されている形態であることを条件に、ポリマーの加水分解による分解の受けやすさを実質的に無くすことを明示している。そしてまた、これは、はるかに費用のかかるポリカーボネートポリウレタンによってしか以前には達成できなかった性能をはるかに安価な本発明のポリエステルポリウレタンで提供することが今や可能でありことを示している。
【0161】
(実施例3)
5重量%ナノCaCOを伴う軟質ポリエステル−ポリウレタン
プレポリマー段階
2000から3000の数平均分子量を有するヒドロキシル末端ポリエステルポリオールを、アルカンジオールと脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジカルボン酸とを反応させることによって形成した。このポリエステルポリオール、少量の三官能性低分子量ポリオール、少量の触媒および過剰なH12MDIを乾燥窒素ブランケット下、200から220°F(93から104℃)で約30分間反応させた。その反応混合物を195°F(91℃)に冷却し、約560グラムのこの系に21グラムのDMPA、約200グラムのNMPおよび少量の触媒を添加した。その反応混合物を205から210°F(96から99℃)で1時間かきまぜて、NCO末端プレポリマーを生成した。その混合物を130°F(54℃)に冷却し、17グラムのTEAを激しく攪拌しながら添加した。このプレポリマーの粘度の測定値は約125°F(52℃)で6,900cPであった。
【0162】
プロトンスカベンジャー炭酸カルシウムナノ粒子を合わせること
TEA添加から約20分の後、そのプレポリマーの一部分(300グラム)を、その実施例1からの49グラムのナノ−CaCO分散液を含有する水に混合しながら60°F(16℃)で約5分かけて投入して、ナノ粒子とNCO末端ポリウレタンプレポリマーとからなる複合粒子の水性分散液を形成した。
【0163】
延長段階
約30分の厳密な攪拌の後、ヒドラジン(5.7グラム)を一滴ずつ添加して、そのポリウレタンプレポリマーを連鎖延長し、その結果、43.3%の全固形分含量および7.9のpH、20cPのブルックフィールド粘度を有するナノCaCO/ポリウレタン複合粒子の水性分散液を生成した。粒子サイズ分布の平均値直径は、(NICOMPによって測定し、強度平均ガウス分布として報告して)132nmであった。
【0164】
比較実施例C ナノCaCOを伴わない軟質ポリエステル−ポリウレタン
ナノ粒子を省いたことを除いて実施例3を繰り返した。この分散液は、38.5%の全固形分含量、7.6のpH、および10cPのブルックフィールド粘度を有した。粒子サイズ分布の平均値直径は、(NICOMPによって測定し、強度平均ガウス分布として報告して)112nmであった。
【0165】
比較実施例D 従来の加水分解安定剤を伴う軟質ポリエステル−ポリウレタン
Stabaxol P200(2グラム)、周知の市販カルボジイミド加水分解安定剤、を、比較実施例Cにおいて生成した100gの水性ポリマー分散液に混合しながら添加した。
【0166】
加水分解安定性
上の実施例3ならびに比較実施例CおよびDにおいて生成したポリマー生成物の1インチ試験ストリップを、上で説明した手法で硬化させた後、上で説明したのと同じ加水分解安定性試験プロトコルに付した。以下の結果を得た:
表3
軟質PUDの加水分解安定性
【0167】
【表3】

表3は、実施例3の本発明のポリエステル−ポリウレタンナノ粒子複合材が、加水分解試験に従って、比較実施例Cの未修飾ポリエステル−ポリウレタンおよび比較実施例Dの従来どおり安定化されたポリエステル−ポリウレタンのものをはるかに超える引張強度および伸びを呈示したことを示している。
【0168】
(実施例4)
本発明のポリエステル−ポリウレタンナノ複合材のブレンド
実施例4のポリエステル−ポリウレタンナノ複合材水性分散液を、比較実施例Aの異なる量の未修飾ポリエステル−ポリウレタン水性分散液とブレンドして、乾燥重量ベースで、すなわち最終乾燥生成物中に、0.5重量%、1.0重量%および2.5重量%CaCOナノ粒子を含有するポリマー生成物を生成した。そのようにして得たポリマーブレンドを、上で説明したのと同じ手法で乾燥させ、硬化させたポリマーフィルム試験ストリップにした後、上で説明したのと同じ加水分解試験に付した。得られた結果を次の表4に示す。
【0169】
表4
硬質PUDナノ複合材の加水分解安定性
【0170】
【表4】

表4は、非常に少量のナノCaCOの添加でさえポリエステルポリウレタンの加水分解安定性の有意な改善を生じさせることとなることを示している。より具体的には、表4は、所望の濃度のプロトンスカベンジャーナノ粒子をポリエステル−ポリウレタンに組み込むさらにもう1つのやり方が、比較的高い濃度のプロトンスカベンジャーナノ粒子を有するポリエステル−ポリウレタンナノ粒子複合材を上で説明した手法で形成し、その後、この複合材を別のポリマーとブレンドして、所望の比較的低い濃度のこれらのナノ粒子を有する生成物ポリマー複合材を獲得するやり方であることを示している。この実施例では、前記ポリエステル−ポリウレタンナノ粒子複合材の場合と同じポリエステル−ポリウレタンを前記複合材とブレンドし、ブレンディングは、これらのポリマーの水性分散液を混合することによって行った。これらのブレンドを作製するために他のアプローチを用いることもできる。例えば、異なるポリマー、すなわち、前記複合材のポリエステル−ポリウレタンとは異なるポリマー、を前記複合材とブレンドすることができる。あるいは、例えば米国特許出願公開第2008/0153975号A1(この全開示が参照により本明細書に援用されている)に教示されているように異なるポリマーをナノ複合材にし、その後、ポリエステル−ポリウレタンとブレンドすることができる。加えて、異なるブレンディング手順、例えば、溶融ブレンディング、溶媒ブレンディング、乾式ブレンディングおよびこれらに類するものを用いることもできる。
【0171】
(実施例5)
Omyaからの5%CaCOを伴う硬質ポリエステル−ポリウレタン
比較実施例Aの未修飾ポリエステル−ポリウレタン水性分散液をXC−6600−34 − Omyaからの炭酸カルシウム分散液− と混合して、乾燥重量ベースで、すなわち最終乾燥生成物中に、5重量%CaCOを含有するポリマー複合材を生成した。そのようにして得たポリマーナノ複合材を、上で説明したのと同じ加水分解試験に付した。試験フィルムは作製時の状態で白濁しており(hazy)、試験期間を通して白濁したままであった。得られた結果を次の表5に示す。
【0172】
表5
5%Omyaを伴う硬質PUDの加水分解安定性
【0173】
【表5】

(実施例6)
軟質ポリエステル−ポリウレタンの加水分解安定性に対する炭酸カルシウムの比表面積の影響
比較実施例Cの未修飾ポリエステル−ポリウレタン水性分散液を、異なる比表面積を有する炭酸カルシウムと混合して、乾燥重量ベースで5重量%CaCOを含有するポリマー複合材を生成した。そのようにして得たCaCO−ポリマー複合材を、上で説明したとおりの加水分解試験に付した。試験フィルムは、作製時の状態で白濁しており、試験期間を通して白濁したままであった。得られた結果を次の表6に示す。性能の驚くべき段階的変化増加が、高い比表面積を有する炭酸カルシウムXC−6600−34(実施例6D)について観察される。
【0174】
表6.軟質ポリエステル−ポリウレタンの加水分解安定性に対する炭酸カルシウムの比表面積の影響。
【0175】
【表6】

(実施例7)
炭酸カルシウムナノ粒子分散液の調製
Omya XC−6600−34炭酸カルシウムをナノミリングによってさらに精錬した。以下の成分を使用した:
【0176】
【化2】

約15分間、約800rpmでCowelesブレードを使用して容器の中でこれらの成分を混合して、均一な分散液を生成した。その後、その混合物を、MicroCer(登録商標)ヘッドと回転式蠕動ポンプと0.025mmスクリーンとを具備するNetzsch LabStarミルに接続したジャケット付冷却タンクに、75マイクロメートルフィルター経由で移送した。そのチャンバは、窒化ケイ素製であり、およびそのφ6.9cmローターは、ポリウレタン製であった。0.1mmの直径を有する酸化イットリウム安定化酸化ジルコニウム(ZrO−Y)粉砕媒体(YTZビーズ)を使用した。粉砕チャンバに80容量%までYTZビーズを充填した。
【0177】
ラインおよびミリングチャンバを脱気するためならびに発泡を回避するために、最初の5分間は前記ミルを1,000rpmおよびポンプ速度75mL/分で運転した。システムから空気がなくなったら、ローター速度を3,600rpm(先端速度約13m/秒)に増加し、ポンプを125mL/分に設定した。再循環モードで20分間、25から35℃で粉砕を行った。
【0178】
約17重量%の実質的に分散されている炭酸カルシウムナノ粒子を含有する水性分散液を生成した。Malvern粒子サイズ分析装置によって測定して、Z平均粒子サイズは、190nmであり、D50=212nmおよびD90=370nmであった。SC 777を伴う5重量%CaCO3複合フィルムのヘーズの測定値は2.8%であり、このヘーズは、目で見てもほとんどわからなかった。比較して、バージンOmya XC−6600−34炭酸カルシウムは、目に非常によく見えるヘーズおよび7.5%のその値を有する、SC 777を伴う5重量%CaCO3複合フィルムを生じさせた。炭酸カルシウムを伴わない前記ポリウレタンフィルムのヘーズの測定値は、0.86%であった。
【0179】
(実施例8)
実施例7からの炭酸カルシウムを伴う複合材
実施例7からの炭酸カルシウム分散液を、比較実施例CからのPUDに、乾燥ポリマーあたり5重量%の乾燥CaCO3のレベルで添加した。
【0180】
その複合材を、上で説明したのと同じ加水分解安定性試験プロトコルに付した。以下の結果を得た:
表7
軟質PUDの加水分解安定性
【0181】
【表7】

表7は、実施例8の本発明のポリエステル−ポリウレタンナノ粒子複合材が、加水分解試験に従って、比較実施例Cの未修飾ポリエステル−ポリウレタンおよび比較実施例Dの従来どおり安定化されたポリエステル−ポリウレタンのもの(表3参照)をはるかに超える引張強度および伸びを呈示したことを示している。
【0182】
(実施例9)
炭酸カルシウムナノ粒子分散液の調製
Omya XC−6600−34の精錬を、以下の違いがある、実施例7と同様の手法で行った。初期投入の際に以下の成分を使用した:
【0183】
【化3】

約3時間、ミリングを行った。ミリングに入って2時間の時点で、ポンプ速度を100mL/分に低下させた。6グラムのCarbosperse K−7058Nと6グラムの水の混合物を10、30、80および150分の時点で添加した。追加の6グラムのSolsperse 46000を100分の時点で添加した。
【0184】
約14重量%の実質的に分散されている炭酸カルシウムナノ粒子を含有する水性分散液を生成した。Malvern粒子サイズ分析装置によって測定して、Z平均粒子サイズは、100nmであり、D50=117nmおよびD90=241nmであった。SC 777を伴う5重量%CaCO3複合フィルムは、特に明澄であり、ヘーズの測定値は0.88%であった。比較のため、炭酸カルシウムを伴わないポリウレタンフィルムのヘーズの測定値は、0.86%であった。
【0185】
(実施例10)
炭酸カルシウムナノ粒子分散液の調製
Omya XC−6600−34の精錬を、以下の違いがある、実施例7と同様の手法で行った。初期投入の際に以下の成分を使用した:
【0186】
【化4】

ミリングを約1時間40分間、ポンプ速度90mL/分で行った。最初の40分の間にローター速度を2,000から3,600rpmへと徐々に増加させた。1時間の時点で、7グラムのDeCAL 2042および10グラムのDM水を添加した。ミリング終了時、追加の20グラムのDeCAL 2042および10グラムの水を添加した。
【0187】
約16重量%の実質的に分散されている炭酸カルシウムナノ粒子を含有する水性分散液を生成した。Malvern粒子サイズ分析装置によって測定して、Z平均粒子サイズは、126nmであり、D50=139nmおよびD90=227nmであった。Sancure 825を伴う5重量%ナノ複合材のTEM写真を図3に示す。
【0188】
本発明の少数の実施形態しか上で説明していないが、本発明の精神および範囲を逸脱することなく多くの変更を施すことができることは理解されるだろう。そのような変更すべてが、後続の請求項によってのみ限定され得る本発明の範囲内に包含され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体ポリエステル−ポリウレタンポリマーを含む加水分解安定性ポリエステルポリウレタンナノ複合材であって、該固体ポリエステル−ポリウレタンポリマーは、20m/gより大きい窒素BET表面積を望ましくは特徴とするプロトンスカベンジャーナノ粒子を実質的に分散されている形態で含有する、ポリエステルポリウレタンナノ複合材。
【請求項2】
前記固体ポリエステルポリウレタンが、塗料、フィルム、接着剤または造形品の形態である、請求項1に記載のポリエステルポリウレタンナノ複合材。
【請求項3】
前記プロトンスカベンジャーナノ粒子が、無機のものである、請求項1または2に記載のポリエステルポリウレタンナノ複合材。
【請求項4】
前記プロトンスカベンジャーナノ粒子が、少なくとも1つの炭酸塩を含む、請求項3に記載のポリエステルポリウレタンナノ複合材。
【請求項5】
前記プロトンスカベンジャーナノ粒子が、炭酸カルシウムである、請求項4に記載のポリエステルポリウレタンナノ複合材。
【請求項6】
前記プロトンスカベンジャーナノ粒子が、微粉砕または剥離によって形成される、前記請求項のいずれか一項に記載のポリエステルポリウレタンナノ複合材。
【請求項7】
前記プロトンスカベンジャーナノ粒子の粒子サイズが、前記固体ポリエステルポリウレタンが本質的に透明であるように十分に小さいものである、前記請求項のいずれか一項に記載のポリエステルポリウレタンナノ複合材。
【請求項8】
前記ポリエステルポリウレタンが、ポリイソシアネートと、エステル含有多官能性イソシアネート反応性化合物と、水分散性強化化合物との反応生成物である、前記請求項のいずれか一項に記載のポリエステルポリウレタンナノ複合材。
【請求項9】
前記エステル含有多官能性イソシアネート反応性化合物が、ポリオールである、請求項8に記載のポリエステルポリウレタンナノ複合材。
【請求項10】
連鎖延長される、請求項8または9に記載のポリエステルポリウレタン。
【請求項11】
加水分解安定性ポリウレタンナノ複合材の水性分散液であって、水と、ポリエステルポリウレタンと、20m/gより大きい窒素BET表面積を望ましくは特徴とする実質的に分散されているプロトンスカベンジャーナノ粒子とを含む、水性分散液。
【請求項12】
前記プロトンスカベンジャーナノ粒子が、無機のものである、請求項11に記載の水性分散液。
【請求項13】
前記プロトンスカベンジャーナノ粒子が、少なくとも1つの炭酸塩を含む、請求項11または12に記載の水性分散液。
【請求項14】
前記プロトンスカベンジャーナノ粒子が、炭酸カルシウムである、請求項13に記載の水性分散液。
【請求項15】
前記プロトンスカベンジャーナノ粒子が、剥離および/またはミリングによって形成される、請求項11から14のいずれか一項に記載の水性分散液。
【請求項16】
前記プロトンスカベンジャーナノ粒子の粒子サイズが、前記固体ポリエステルポリウレタンが可視光に対して本質的に透明であるように十分な小さいものである、請求項11から15のいずれか一項に記載の水性分散液。
【請求項17】
前記ポリエステルポリウレタンが、ポリイソシアネートと、エステル含有多官能性イソシアネート反応性化合物と、水分散性強化化合物との反応生成物である、請求項11から16のいずれか一項に記載の水性分散液。
【請求項18】
前記エステル含有多官能性イソシアネート反応性化合物が、ポリオールである、請求項17に記載の水性分散液。
【請求項19】
前記ポリエステルポリウレタンが、プレポリマーである、請求項11から17のいずれか一項に記載の水性分散液。
【請求項20】
前記ポリエステルポリウレタンが、連鎖延長される、請求項11から17のいずれか一項に記載の水性分散液。
【請求項21】
既に実質的に分散されている形態のプロトンスカベンジャーナノ粒子を、
(a)ポリエステル−ポリウレタンポリマーを形成するために使用されるプレポリマーであって、水性分散液を形成するために水と合わせる前のこのプレポリマー、
(b)水と合わせて水性プレポリマー分散液を形成した後のこのプレポリマー、
(c)このプレポリマーを形成する1つ以上の成分、
(d)このプレポリマーを連鎖延長することにより形成されたポリエステル−ポリウレタンポリマーの水性分散液、
(e)水に分散されているポリエステル−ポリウレタン、および
(f)これらの組み合わせ
のうちの少なくとも1つと合わせる、請求項11から20のいずれか一項に記載の水性分散液を作製するためのプロセス。
【請求項22】
既に実質的に分散されている形態のプロトンスカベンジャーナノ粒子を、前記プレポリマーを形成する成分と合わせる、請求項21に記載のプロセス。
【請求項23】
既に実質的に分散されている形態のプロトンスカベンジャーナノ粒子を、前記プレポリマー自体と、該プレポリマーを形成した後であるが、水と合わせて水性分散液を形成する前に合わせる、請求項21に記載のプロセス。
【請求項24】
既に実質的に分散されている形態のプロトンスカベンジャーナノ粒子を、前記プレポリマーと、(a)該プレポリマーを水と合わせて水性プレポリマー分散液を形成した後であるが連鎖延長前に合わせるか、または(b)該プレポリマーを水に分散させている最中に合わせる、請求項21に記載のプロセス。
【請求項25】
既に実質的に分散されている形態のプロトンスカベンジャーナノ粒子を、前記プレポリマーと、該プレポリマーを水と合わせて水性プレポリマー分散液を形成し、連鎖延長した後に合わせる、請求項21に記載のプロセス。
【請求項26】
既に実質的に分散されている形態の前記プロトンスカベンジャーナノ粒子が、酸性ガスを金属塩基と合わせて有機媒体に可溶性または分散性の高塩基性潤滑添加剤を形成する過塩基性化技術によって作製される、請求項21から25のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項27】
既に実質的に分散されている形態の前記プロトンスカベンジャーナノ粒子が、沈降、結晶化、再結晶、化学蒸着またはプラズマガスプロセスによって作製される、請求項21から25のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項28】
既に実質的に分散されている形態の前記プロトンスカベンジャーナノ粒子が、微粉砕によって作製される、請求項21から25のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項29】
既に実質的に分散されている形態の前記プロトンスカベンジャーナノ粒子が、ボールミリングによって作製される、請求項28に記載のプロセス。
【請求項30】
既に実質的に分散されている形態の前記プロトンスカベンジャーナノ粒子が、キャビテーションによって作製される、請求項28に記載のプロセス。
【請求項31】
既に実質的に分散されている形態の前記プロトンスカベンジャーナノ粒子が、超音波処理によって作製される、請求項28に記載のプロセス。
【請求項32】
既に実質的に分散されている形態の前記プロトンスカベンジャーナノ粒子が、剥離によって作製される、請求項21から25のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項33】
前記ナノ粒子より大きい粒子サイズを有する粒子および/または凝集物の形態のプロトンスカベンジャーを含む予備材料が、(a)ポリエステル−ポリウレタンポリマーを形成するために使用されるプレポリマーであって、水性分散液を形成するために水と合わせる前のこのプレポリマー、(b)水性プレポリマー分散液を形成するために水と合わせた後のこのプレポリマー、(c)このプレポリマーまたはポリウレタンナノ複合材を形成する1つ以上の成分、および(d)これらの組み合わせのうちの少なくとも1つの存在下で微粉砕される、請求項11から20のいずれか一項に記載の水性分散液を作製するためのプロセス。
【請求項34】
前記予備材料が、前記プレポリマーを形成する成分の存在下または該プレポリマーが分散される水性相の成分の1つの存在下で微粉砕される、請求項33に記載のプロセス。
【請求項35】
前記予備材料が、前記プレポリマーであって、該プレポリマーを形成した後であるが、該プレポリマーを水と合わせて水性分散液を形成する前の、プレポリマー自体の存在下で微粉砕される、請求項33に記載のプロセス。
【請求項36】
前記予備材料が、前記プレポリマーであって、該プレポリマーを水と合わせて水性プレポリマー分散液を形成した後のプレポリマーの存在下で微粉砕される、請求項33に記載のプロセス。
【請求項37】
前記プロトンスカベンジャーナノ粒子が、少なくとも30m/gの窒素BET表面積を特徴とする、請求項1に記載のポリエステルポリウレタンナノ複合材。
【請求項38】
前記プロトンスカベンジャーナノ粒子が、100ナノメートル未満の一次微結晶サイズD50を特徴とする、請求項1に記載のポリエステルポリウレタンナノ複合材。
【請求項39】
前記プロトンスカベンジャーナノ粒子が、100ナノメートル未満の一次微結晶サイズD90を特徴とする、請求項1に記載のポリエステルポリウレタンナノ複合材。
【請求項40】
前記プロトンスカベンジャーナノ粒子が、50ナノメートル未満の一次微結晶サイズD50を特徴とする、請求項1に記載のポリエステルポリウレタンナノ複合材。
【請求項41】
前記プロトンスカベンジャーナノ粒子が、50ナノメートル未満の一次微結晶サイズD90を特徴とする、請求項1に記載のポリエステルポリウレタンナノ複合材。
【請求項42】
前記プロトンスカベンジャーナノ粒子が、100ナノメートル未満の一次微結晶サイズD50を特徴とする、請求項11に記載の水性分散液。
【請求項43】
前記プロトンスカベンジャーナノ粒子が、100ナノメートル未満の一次微結晶サイズD90を特徴とする、請求項11に記載の水性分散液。
【請求項44】
前記プロトンスカベンジャーナノ粒子が、50ナノメートル未満の一次微結晶サイズD50を特徴とする、請求項11に記載の水性分散液。
【請求項45】
前記プロトンスカベンジャーナノ粒子が、50ナノメートル未満の一次微結晶サイズD90を特徴とする、請求項11に記載の水性分散液。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−502494(P2013−502494A)
【公表日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−525705(P2012−525705)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【国際出願番号】PCT/US2010/046071
【国際公開番号】WO2011/022582
【国際公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(506347528)ルブリゾル アドバンスド マテリアルズ, インコーポレイテッド (74)
【Fターム(参考)】