説明

加水分解抵抗性ホウ素含有治療薬および使用法

【課題】
特に、現在利用できる療法に抵抗性である感染性疾患を治療するために、新規のより有効な抗生化合物に対する必要性が医療業界に存続している。
【解決手段】
細菌またはウィルスにより引き起される疾患治療のための治療薬として、ベンゾオキサボロール類、ベンズアザボロール類およびベンズチアボロール類などのボロール誘導体の組成物および使用法、ならびに前記治療薬およびその組成物の合成法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本出願は、2003年6月16日出願の米国仮特許出願第60/478,921号の優先権を主張し、その開示は、参照としてその全体が本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明は、選択的な治療活性を有する新規な化合物および組成物、このような化合物を製造する方法、これらの方法に用いられる合成中間体および治療を必要とするヒトまたは他の哺乳動物の治療法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
20世紀における医薬品の進歩の多くは、種々の治療必要性に対する低分子量エフェクターの新規クラスの発見に依ってきた。本明細書において、我々は、多様な、しかし選択的な薬理学的に活性なホウ素含有物質を開示する。
【0004】
医薬品の現代における優良品質証明の1つは、細菌感染および真菌感染に関連した罹患率および死亡率の低下であった。しかしながら、従来の抗生物質の乱用および感染性細菌集団の自然選択の結果、大多数の抗生剤に対して、大多数の細菌感染因子による薬物耐性の程度に変化が現れるようになった。MRSA(多剤耐性黄色ブドウ球菌)などの重症例においては、現在有効なのは、1種または数種の抗生物質だけである。また、免疫不全症候群の存在により、集中的抗生物質治療を必要とする日和見感染がさらに発生する結果となっている。
【0005】
ウィルスは、種々の動物疾患およびヒト疾患に関与している。限定はしないが、ヘルペスウィルス1および2(HSV−1およびHSV−2)、インフルエンザウィルスA、BおよびC、パラインフルエンザウィルス1〜4、シンシチウムウィルス、エプスタイン・バーウイルス、ライノウィルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ポリオウィルス、コクサッキーウィルス、エコーウィルス、風疹ウィルス、水痘帯状疱疹ウィルス、神経皮膚向性ウィルス、痘瘡ウィルス、サイトメガロウィルス、A型、B型およびC型肝炎ウィルス、パポウィルス、狂犬病ウィルス、黄熱病ウィルス、デング熱ウィルス、西ナイルウィルスおよびSARSウィルスなどの、これらの病原体と戦うために、多数の方法が提案されてきた。
【0006】
抗ウィルス化合物の開発における方法の1つは、感染した宿主細胞における通常のウィルス代謝および複製を妨害する化合物の同定であった。新規ホウ酸エステル化合物のスクリーニング時に、細胞培養アッセイ系において、抗ウィルス活性を示す一定のこれらの化合物を我々は発見した。現在、ウィルス性疾患の治療に用いられている多くの既存の化合物は、耐性機構の対象となり、製造するのに高価であり、患者の治療が十分になされないか、または有害な副作用を有している。したがって、ウィルスを殺し、ウィルス複製を阻害するか、またはウィルスの病原性作用を妨害するために働く新規化合物に対する必要性が存続している。
【0007】
【表1】

【0008】
ホウ素含有化合物は、有機合成における技術が発展して、この原子を含むようになったこの数年に亘って、治療薬として多くの注目を集めるようになった[「Boron Therapeutics on the horizon」、グロジアク M.P.(Groziak,M.P.);American Journal of Therapeutics(2001)8、321−328頁]。最も注目すべきホウ素含有治療薬は、多発性骨髄腫の治療のために最近市販されたボロン酸ボルテゾミブである。このブレークスルーにより、ホウ素含有化合物を薬剤として用いる実現可能性が証明されている。ホウ素含有化合物は、除草剤[「Organic boron compounds as herbicides」、バーンスレイ G.E.(Barnsley,G.E.);イートン J.K.(Eaton,J.K.);エアズ R.S.(Airs,R.S.);(1957)、DE 1016978号明細書 19571003]、ホウ素中性子捕捉療法[「Molecular Design and Synthesis of B−10 Carriers for Neutron Capture Therapy」、ヤマモト Y.(Yamamoto,Y.);Pure Appl.Chem.、(1991)63、423−426頁]、セリンプロテアーゼ阻害[「Borinic acid inhibitors as probes of the factors involved in binding at the active sites of subtilisin Carlsberg and α−chymotrypsin」、シンペルキャンプ J.(Simpelkamp,J.);ジョーンズ J.B.(Jones,J.B.);Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters、(1992)、2(11)、1391−4頁]、[「Design,Synthesis and Biological Evaluation of Selective Boron−containing Thrombin inhibitors」、ウェイナンド A.(Weinand,A.);エールハルト C.(Ehrhardt,C.);メテルニッチ R.(Metternich,R.);タッパレルリ C.(Tapperelli,C.);Bioorganic and Medicinal Chemistry、(1999)、7、1295−1307頁]、アセチルコリンエステラーゼ阻害[「New,specific and reversible bifunctional alkylborinic acid inhibitor of acetylcholinesterase」、ケーラー K.A.(Koehler,K.A.);ヘス G.P.(Hess,G.P.);Biochemistry(1974)、13、5345−50頁]など、および抗菌剤として[「Boron−Containing Antibacterial Agents:Effects on Growth and Morphology of Bacteria Under Various Culture Conditions」、ベイリー P.J.(Bailey,P.J.);カジンズ G.(Cousins,G.);スノウ G.A.(Snow,G.A.);およびホワイト A.J.(White,A.J.);Antimicrobial Agents and Chemotherapy、(1980)、17、549−553頁]、種々の生物学的活性を有していることが示されている。抗菌活性を有するホウ素含有化合物は、1960年代から知られているジアザボリニン類(diazaborinines)とジチエニルボリン酸(dithienylborinic acid)複合体の主に2つのクラスに細分できる。この後者のクラスは拡大されて、強力な抗菌活性を有する種々の多くのジアリールボリン酸複合体を含むようになった[「Preparation of diarylborinic acid esters as DNA methyl transferase inhibitors」.ベンコビック S.J.(Benkovic,S.J.);シャピロ L.(Shapiro,L.);ベーカー S.J.(Baker,S.J.);ワーノン D.C.(Wahnon,D.C.);ウォール M.(Wall,M.);シアー V.K.(Shier,V.K.);スコット C.P.(Scott,C.P.);バボヴァル J.(Baboval,J.);PCT国際出願公開(2002)国際公開第20022044184号パンフレット]。ベンコビック(Benkovic)らに記載された合成開発は、以前不可能であった、はるかに多種多様なクラスの非対称二置換ボリン酸複合体の創製を可能にした。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
発明の簡単な説明
このように、特に、現在利用できる療法に抵抗性である感染性疾患を治療するために、新規のより有効な抗生化合物に対する必要性が医療業界に存続している。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一の態様において、本発明は、ホウ素を含有する治療用組成物に関する。これらの化合物は、ベンゾオキサボロール(benzoxaborole)類、ベンズアザボロール(benzazaborole)類およびベンズチアボロール(benzthiaborole)類および関連類縁体を包含する構造を含む。
【0011】
これらの化合物は、細菌、真菌、またはウィルスの病因を有する疾患の治療のため、動物、最も好ましくは、ヒト、免疫無防備状態または健康虚弱状態のヒトに対して投与できる製薬組成物としても提供される。
【0012】
好ましい実施形態において、本発明の化合物は、本明細書に開示された好ましい置換基を有する式1により与えられる構造を有するものである。
【0013】
また、本発明は、これらの治療用化合物およびそれらの製薬組成物を調製する方法ならびに前記化合物を治療に使用する方法を提供する。本発明のこれらの化合物および製薬組成物のキットおよび包装実施形態もまた考慮されている。
【0014】
また、本発明は、本明細書に開示された化合物を用いて、種々の医学的病態を治療する方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明の詳細な説明
本発明は、細菌、真菌またはウィルスの病原体による病態の治療および/または予防に有用な治療薬、特に抗細菌、抗真菌または抗ウィルス化合物を提供する。
【0016】
本発明は、以下の構造
【化1】


(式中、Bは、ホウ素であり、Mは、酸素、硫黄およびNR**から選択され、
式中、Rは、置換または非置換アルキル(C〜C)、置換または非置換シクロアルキル(C〜C)、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アルキニル、置換または非置換アラルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから選択され、
式中、R**は、H、アルキル、アルキルオキシ、アルコキシアルキル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリールであり、
式中、Aは、CH、CR、またはNであり
式中、Dは、CH、CR、またはNであり
式中、Eは、CH、CR、またはNであり
式中、Gは、CH、CR、またはNであり
窒素の組合せ(A+D+E+G)は、0〜3であり
式中、Jは、(CH(n=0から2)またはCHRであり
式中、Wは、(CH(m=0から1)、C=O(カルボニル)またはCHRであり
式中、R、R、RおよびRは、水素、ハロアルキル、アルキル、シクロアルキル、(CHOH(p=1から3)、ハロゲン、CHO、CH=NOH、COH、CO−アルキル、S−アルキル、SO−アルキル、S−アリール、(CHNR1819(式中、R18およびR19は、水素、アルキル、およびアルカノイルから独立して選択される)(q=0から2)、アルコキシ、CF、SCF、NO、SOH、OH、置換または非置換アリール、置換または非置換アラルキル、置換または非置換ヘテロアリール、縮合置換または非置換アリール、縮合置換または非置換ヘテロアリールよりなる群から各々独立して選択され、
式中、Rは、置換または非置換アルキル(C〜C)、置換または非置換シクロアルキル(C〜C)、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アルキニル、置換または非置換アラルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから選択され、
式中、Rは、置換または非置換アルキル(C〜C)、置換または非置換シクロアルキル(C〜C)、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アルキニル、置換または非置換アラルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから選択される)
を有する、
その塩類、特に製薬的に許容できる全ての塩類を含む、化合物を含む。
【0017】
式1の好ましい実施形態において、Mは酸素であるか、またはMは硫黄であるか、またはMはNR**である。この3つのうち任意のものの好ましいさらなる実施形態は、以下のうちのいずれかである。
【0018】
式1の好ましい一の実施形態において、Rは、置換または非置換アルキル(C〜C)である。
【0019】
式1の好ましい一の実施形態において、Rは、置換または非置換シクロアルキル(C〜C)である。
【0020】
式1の好ましい一の実施形態において、Rは、置換または非置換アルケニルである。その好ましいさらなる一の実施形態において、置換アルケニルは、下記構造
【化2】


(式中、R、R、およびRは、水素、アルキル、ハロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アラルキル、(CHOH(式中、r=1から3)、CHNR2021(式中、R20およびR21は、水素およびアルキルから独立して選択される)、COH、COアルキル、CONH、S−アルキル、S−アリール、SOアルキル、SOH、SCF、CN、ハロゲン、CFおよびNOよりなる群から各々独立して選択される)
を有する。
【0021】
式1の好ましい一の実施形態において、Rは、置換または非置換アルキニルである。その好ましいさらなる一の実施形態において、置換アルキニルは、下記構造
【化3】


(式中、Rは、先に定義されたとおりである)
を有する。
【0022】
式1の好ましい一の実施形態において、Rは、置換または非置換アリールである。その好ましいさらなる一の実施形態において、置換アリールは、下記構造
【化4】


(式中、R10、R11、R12、R13およびR14は、水素、アルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アラルキル、(CHOH(s=1から3)、COH、COアルキル、CONH、CONHアルキル、CON(アルキル)、OH、アルコキシ、アリールオキシ、SH、S−アルキル、S−アリール、SOアルキル、SOH、SCF、CN、ハロゲン、CF、NO、(CHNR2223(式中、R20およびR21は、水素、アルキル、およびアルカノイルから独立して選択される)(t=0から2)、SONH、OCHCHNH、OCHCHNHアルキル、OCHCHN(アルキル)、オキサゾリジン−2−イル、またはアルキル置換オキサゾリジン−2−イルよりなる群から各々独立して選択される)
を有する。
【0023】
式1の好ましい一の実施形態において、Rは、置換または非置換アラルキルである。その好ましいさらなる一の実施形態において、置換アラルキルは、下記構造
【化5】


(式中、R10、R11、R12、R13およびR14は、先に定義されたとおりである)
を有する。
【0024】
式1の好ましい一の実施形態において、Rは、置換または非置換ヘテロアリールである。その好ましいさらなる一の実施形態において、置換ヘテロアリールは、下記構造
【化6】


(式中、X=CH=CH、N=CH、NR17(式中、R17=H、アルキル、アリールまたはベンジルである)、O、またはSであり、
式中、Y=CHまたはNであり、
式中、R15およびR16は、水素、アルキル、シクロアルキル、ハロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アラルキル、(CHOH(u=1、2または3)、(CHNR2425(式中、R24およびR25は、水素、アルキルおよびアルカノイルから独立して選択される)(v=0から3)、COH、COアルキル、CONH、S−アルキル、S−アリール、SOアルキル、SOH、SCF、CN、ハロゲン、CFおよびNOよりなる群から各々独立して選択される)
を有する。
【0025】
また、本発明の構造は、合成操作時および治療使用時に、本発明の化合物に遭遇した溶媒に由来する原子を含む構造(式1B)を与え得る溶媒相互作用を可能にする。構造1Bは、溶媒とルイス酸ホウ素中心との間の供与結合の形成から生じる。したがって、このような溶媒複合体1Bは、同等の生物活性を有する安定な物質であり得る。このような構造は、R***が、Hまたはアルキルである場合の本発明により、特に考慮されている。
【化7】

【0026】
本明細書に用いられる以下の用語は、記載された意味を有する。
本明細書における用語「アルキル」、「低級アルキル」および「C〜Cアルキル」とは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、2−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、および3−メチルペンチルなどの1個〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基を意味する。
【0027】
本発明における用語「アルカノイル」とは、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、ペンタノイル、ヘキサノイル、イソブタノイル、3−メチルブタノイル、および4−メチルペンタノイルなどの1個〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルカノイル基を意味する。
【0028】
本発明における用語「アルコキシ」、「低級アルコキシ」および「C〜Cアルコキシ」とは、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブキシ、s−ブキシ、t−ブキシ、ペントキシ、2−ペンチル、イソペントキシ、ネオペントキシ、ヘキソキシ、2−ヘキソキシ、3−ヘキソキシ、および3−メチルペントキシなどの1個〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルコキシ基を意味する。
【0029】
本発明における用語「ハロゲン」とは、フッ素、臭素、塩素およびヨウ素を意味する。
【0030】
本発明における用語「シクロアルキル」、例えばC〜Cシクロアルキルとは、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロヘプチルなどの3個〜7個の原子を有するシクロアルキル基を意味する。C〜Cシクロアルキル基において、好ましくは、C〜Cシクロアルキル基において、環を形成している炭素原子の1個または2個は、硫黄、酸素または窒素などのヘテロ原子によって任意に置換できる。このような基の例は、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、ペルヒドロアゼピニル、ペルヒドロオキサザピニル、オキセパニル、ペルヒドロオキセパニル、テトラヒドロフラニルおよびテトラヒドロピラニルである。窒素または酸素により置換されているメンバーを有するCおよびCシクロアルキル基としては、アジリジニル、アゼチジニル、オキセタニルおよびオキシラニルが挙げられる。
【0031】
用語「アリール」とは、少なくとも1つが、例えば、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、トリフルオロメチル、低級アシルオキシ、アリール、ヘテロアリールおよびヒドロキシによって、任意に、モノ−、ジ−またはトリ置換されている芳香族(例えば、1,2,3,4−テトラヒドロナフチル、ナフチル、アントリル、またはフェナントリル)である単環(例えば、フェニル)、多環(例えば、ビフェニル)または多縮合環を有する芳香族炭素環式基を意味する。好ましいアリール基としては、各々が本明細書に定義されたとおり、任意に置換されているフェニルおよびナフチルが挙げられる。
【0032】
用語「ヘテロアリール」は、窒素、酸素または硫黄から選択される少なくとも1個から4個までのヘテロ原子を含有する5員環、6員環または7員環の1つ以上の芳香族環系を意味する。このようなヘテロアリール基としては、例えば、チエニル、フラニル、チアゾリル、イミダゾリル、(イソ)オキサゾリル、ピリジル、ピリミジニル、(イソ)キノリニル、ナフチリジニル、ベンズイミダゾリル、およびベンゾオキサゾリルが挙げられる。好ましいヘテロアリールは、チアゾリル、ピリミジニル、好ましくは、ピリミジン−2−イルおよびピリジルである。他の好ましいヘテロアリール基としては、1−イミダゾリル、2−チエニル、1−(または2−)キノリニル、1−(または2−)イソキノリニル、1−(または2−)テトラヒドロイソキノリニル、および2−(または3−)フラニルが挙げられる。
【0033】
また、本発明は、製薬組成物として、本明細書に開示された化合物の実施形態を提供する。本発明の製薬組成物は、それ自体公知の様式で、例えば、従来の混合法、溶解法、顆粒化法、糖衣丸作製法、湿式粉砕法、乳化法、カプセル化法、エントラッピング法または凍結乾燥法によって製造できる。
【0034】
したがって、本発明により使用される製薬組成物は、製薬的に使用できる製剤中への活性化合物の処理を促進する賦形剤および補助剤を含んでなる1種以上の薬理学的に許容できる担体を用いて、従来の様式において製剤化できる。適切な製剤は選択される投与経路によって決まる。
【0035】
非毒性製薬用塩類としては、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸、スルフィン酸、ギ酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ヒドロキシエタンスルホン酸、硝酸、安息香酸、クエン酸、酒石酸、マレイン酸、ヨウ化水素酸、酢酸、nが0〜4のHOOC−(CH−CHなどのアルカン酸などの酸の塩類が挙げられる。非毒性製薬用塩基付加塩類としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウムなどの塩基および機能的等価物の塩類が挙げられる。当業者は、種々多様な非毒性の製薬的に許容できる付加塩類を認識するであろう。
【0036】
注射用として、本発明の化合物は、ハンクス液、リンゲル液または生理的食塩緩衝液などの生理学的に適合性の緩衝液などの適切な水性溶液において製剤化できる。経粘膜および経皮投与用には、浸透させるバリアに対して適切な浸透剤が該製剤中に用いられる。このような浸透剤は一般に当業界に公知である。
【0037】
経口投与用に、該活性化合物を当業界に周知の製薬的に許容できる担体と組み合わせることにより、該化合物は容易に製剤化できる。このような担体により、本発明の化合物は、治療を受ける患者による経口服用のために、錠剤、丸剤、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁剤などとして製剤化することが可能になる。経口使用のための製薬製剤は、固体賦形剤によって得ることができ、錠剤を得るには、所望の場合、好適な補助剤の添加後、生じた混合物を任意に粉砕し、顆粒混合物を処理する。好適な賦形剤は、特に、乳糖、ショ糖、マンニトールまたはソルビトールなどの糖などの増量剤;例えば、トウモロコシ澱粉、コムギ澱粉、コメ澱粉、ジャガイモ澱粉、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび/またはポリビニルピロリドン(PVP)などのセルロース製剤である。所望の場合、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸あるいはアルギン酸ナトリウムなどのその塩などの崩壊剤を添加できる。
【0038】
経口使用することのできる製薬製剤には、ゼラチンから作製されるプッシュ−フィットカプセル剤、ならびにゼラチンおよびグリセロールまたはソルビトールなどの可塑剤から作製されるソフト密封カプセル剤が含まれる。プッシュ−フィットカプセル剤は、乳糖などの増量剤、澱粉などの結合剤および/またはタルクまたはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤および任意に安定化剤と混合させた有効成分を含有することができる。ソフトカプセル剤において、該活性化合物は、脂肪油類、液体パラフィン、または液体ポリエチレングリコール類などの好適な液体中に溶解または懸濁化できる。さらに、安定化剤を加えることができる。経口投与用の全ての製剤は、このような投与に好適な用量である必要がある。舌下投与用に、該組成物は、従来の様式で製剤化された錠剤または舐剤の形態をとることができる。
【0039】
吸入による投与用に、本発明による使用のための化合物は、好適な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラ−フルオロエタン、二酸化炭素または他の好適な気体を用いて、加圧容器またはネブライザーから、エアロゾルスプレー提供法の形態で便利に送達される。加圧エアロゾルの場合、用量単位は、計量された量を送達するバルブを提供することにより測定できる。吸入器に使用するため、例えば、ゼラチンのカプセル剤およびカートリッジは、該化合物と乳糖または澱粉などの好適な粉末基剤との粉末混合物を含有して製剤化できる。
【0040】
該化合物は、注射により、例えば、ボーラス注射または連続的注入により、非経口投与用に製剤化できる。注射用製剤は、単位用量形態において、例えば、防腐剤を添加したアンプルにおいて、または多用量容器において提供できる。該組成物は、油性または水性媒体中の懸濁剤、液剤または乳剤などの形態をとることができ、懸濁剤、安定化剤および/または分散剤などの製剤化剤を含有することができる。
【0041】
非経口投与用の製薬製剤には、水溶性形態における活性化合物の水性溶液が含まれる。また、該活性化合物の懸濁液を適切な油性注射用懸濁剤として調製することができる。好適な親油性溶媒または媒体としては、ゴマ油などの脂肪油、またはオレイン酸エチルまたはトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステルまたはリポソームが挙げられる。水性注射用懸濁剤は、懸濁剤の粘稠性を増加させるカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールまたはデキストランなどの物質を含有できる。場合により、該懸濁剤はまた、高濃度溶液の製剤を考慮に入れて、該化合物の溶解性を高める好適な安定剤または試剤を含有することもできる。あるいは、該有効成分は、使用前に好適な媒体、例えば、発熱物質の無い滅菌水による構成のため、粉末形態であってもよい。また、該化合物は、例えば、カカオバターまたは他のグリセリドなどの従来の坐剤用基剤を含有する坐剤または保持浣腸剤などの直腸用組成物においても製剤化できる。
【0042】
先に記載した製剤に加えて、また、該化合物は、デポー製剤として製剤化できる。このような長時間作用製剤は、移植(例えば、皮下または筋肉内に)により、または筋肉内注射により投与できる。したがって、例えば、該化合物は、好適なポリマー材料または疎水性材料により(例えば、許容できる油中の乳剤として)あるいはイオン交換樹脂により、または難溶性誘導体として、例えば、難溶性の塩として製剤化できる。
【0043】
本発明の疎水性化合物のための製薬担体は、ベンジルアルコール、非極性界面活性剤、水混和性有機ポリマーおよび水相を含んでなる共溶媒系である。この共溶媒系は、VPD共溶媒系であってもよい。VPDは、無水エタノール中の容量で、3%w/vベンジルアルコール、8%w/v非極性界面活性剤ポリソルベート80および65%w/vポリエチレングリコール300に構成された溶液である。VPD共溶媒系(VPD:5W)は、水溶液中5%デキストロースで1:1に希釈したVPDから構成されている。この共溶媒系は、疎水性化合物をよく溶解し、また、それ自体、全身投与の際に低毒性を生じる。当然、共溶媒系の比率は、その溶解性と毒性特性を破壊する破壊することなく、かなり変化させることができる。さらに、共溶媒成分自体を変化させることができ、例えば、ポリソルベート80の代わりに、他の低毒性非極性界面活性剤を使用でき、ポリエチレングリコールの比率の大きさを変えることができ、他の生体適合性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドンを、ポリエチレングリコールの代わりにすることができ、また、他の糖類または多糖類をデキストロースの代わりにすることができる。
【0044】
あるいは、疎水性製薬組成物のために、他の送達システムを用いることができる。リポソームおよび乳液は、疎水性薬物のための送達媒体または担体のよく知られた例である。ジメチルスルホキシドなどの一定の有機溶媒もまた、通常より高い毒性という犠牲を払ってではあるが、使用できる。また、該治療薬を含有する固体疎水性ポリマーの半透過性基質などの持続放出システムを用いて、該化合物を送達することができる。種々の持続放出材料が確立されており、当業者によく知られている。持続放出カプセル剤は、それらの化学的性質に依存して数週間から100日超まで、該化合物を放出することができる。該治療薬の化学的性質および生物学的安定性に依存して、蛋白質および核酸の安定化のために、追加の方式を用いることができる。
【0045】
また、該製薬組成物は、好適な固体相またはゲル相の担体または賦形剤を含んでなり得る。このような担体または賦形剤の例としては、限定はしないが、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、種々の糖類、澱粉類、セルロース誘導体、ゼラチン、およびポリエチレングリコールなどのポリマー類が挙げられる。
【0046】
本発明の化合物は、製薬的に適合性の対イオンによる塩として提供できる。製薬的に適合性の塩類は、限定はしないが、塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、リン酸、臭化水素酸、スルフィン酸、ギ酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、硝酸、安息香酸、クエン酸、酒石酸、マレイン酸、ヨウ化水素酸、酢酸などの、nが0〜4であるHOOC−(CH−CHなどのアルカン酸などの多くの酸により形成できる。塩類は、対応する遊離塩基形態である水性または他のプロトン溶媒により溶解性である傾向がある。非毒性製薬用塩基付加塩類としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウムなどの塩基の塩類が挙げられる。当業者は、種々多様な非毒性の製薬的に許容できる付加塩類を認識するであろう。
【0047】
本発明の化合物の製薬組成物は、製剤化でき、全身投与、限局的投与または局所投与などの種々の手段によって投与できる。製剤化および投与のための方法は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、マック出版社(Mack Publishing Co.)、ペンシルバニア州イーストン所在、において見ることができる。投与様式を、体内の所望の標的部位への送達を最大化するように選択できる。好適な投与経路としては、例えば、経口、経直腸、経粘膜、経皮または経腸投与;筋肉内、皮下、髄内注射ならびに、鞘内、直接心室内、静脈内、腹腔内、鼻腔内または眼内注射などの非経口送達を挙げることができる。
【0048】
あるいは、該化合物を、全身様式ではなく、局所に、例えば、該化合物を多くの場合、デポー剤形または持続放出剤形において、特定の組織内へ直接注射により投与することができる。
【0049】
本発明における使用に好適な製薬組成物には、有効成分がその意図された目的を達成するために、有効な量で含有されている組成物が含まれる。より具体的には、治療的な有効量とは、治療を受けている対象の既存の症状の発現を予防するか、または軽減するために有効な量を意味する。有効量の決定は、本明細書に提供された詳細な開示を特に考慮して、十分に当業者の能力の範囲内にある。
【0050】
本発明の方法に用いられるいずれの化合物に関しても、治療的に有効な用量は、本明細書に開示されたとおり、最初、細胞培養アッセイから予測できる。例えば、細胞培養において決定されたEC50(50%増加のための有効用量)、すなわち、細菌細胞増殖の最大阻害の半分を達成する試験化合物の濃度を含む循環濃度範囲に達成するように、動物モデルにおいて、用量を剤形化できる。ヒトにおいてより正確に有益な用量を決定するために、このような情報を用いることができる。
【0051】
しかしながら、いずれかの具体的な患者に対する特定の用量レベルは、用いられる特定の化合物の活性、年齢、体重、全身の健康状態、性別、食事、投与時間、投与経路、排泄速度、薬物併用、療法を受けている特定疾患の重症度、および処方医師の判断などの種々の因子に依る。
【0052】
動物への投与に関しては、該薬物または該薬物を含有する製薬組成物を、動物の飼料または飲み水に添加してもよい。動物がその食餌と共に、適量の薬物を服用するように、予め決められた用量の薬物と共に動物飼料および飲み水製品を剤形化することが便利であろう。動物による摂取のほぼ直前に、該薬物を含有する予備混合物を、飼料または飲み水に添加することも便利であろう。
【0053】
本発明の好ましい化合物は、一定の薬理学的性質を有する。このような性質には、限定はしないが、経口生物学的利用能、低毒性、血清蛋白低結合性および望ましいインビトロおよびインビボ半減期が含まれる。これらの望ましい薬理学的性質を予測するために、アッセイを用いてもよい。生物学的利用能を予測するために用いられるアッセイは、Caco−2細胞単層など、ヒトの腸の細胞単層を越える輸送を含む。血清蛋白結合は、アルブミン結合アッセイから予測できる。このようなアッセイは、オラルブコバ(Oravcova)らによるレビュー(1996年、J.Chromat.B677:1−27頁)に記載されている。化合物の半減期は、化合物の投与頻度に逆比例する。化合物のインビトロ半減期は、クーンズ(Kuhnz)およびギーシェン(Gieschen)(「Drug Metabolism and Disposition」、(1998)第26巻、1120−1127頁)により記載されたとおり、ミクロソーム半減期のアッセイから予測できる。
【0054】
このような化合物の毒性および治療的有効性は、例えば、LD50(集団の50%に対し、致命的な用量)およびED50(集団の50%において治療的に有効な用量)を決定するために、細胞培養または実験動物において、標準的な薬学的手順により決定することができる。毒性と治療的効果との間の用量比は、治療的指数であり、それはLD50とED50との間の比として表すことができる。高い治療的指数を表す化合物が好ましい。これらの細胞培養アッセイおよび動物試験から得られたデータは、ヒトに使用するための用量範囲の処方に用いることができる。このような化合物の用量は、毒性を殆ど有さないか、または全く有さずに、ED50を含む循環濃度の範囲内にあることが好ましい。用量は、この範囲内で用いられる剤形および利用される投与経路に依って変化し得る。正確な処方、投与経路および用量は、患者の状態を考慮して、個々の医師によって選択され得る(例えば、フィングル(Fingl)ら、1975年、「The Pharmacological Basis of Therapeuticcs」、第1章、1頁を参照)。
【0055】
用量および間隔は、細菌細胞増殖阻害効果を維持するために十分な活性部分の血漿中濃度を提供するように、個々に調整できる。全身投与のための患者の常用量は、100mg/日〜2000mg/日の範囲である。患者の体表面積の点から言えば、常用量は、50mg/m/日〜910mg/m/日の範囲である。通常の平均血漿中濃度は、0.1μM〜1000μMの範囲に維持する必要がある。局所投与または選択的摂取の場合、該化合物の有効局所濃度は、血漿中濃度に関連し得ない。
【0056】
本発明の化合物は、限定はしないが、放線菌症、炭疽、細菌性赤痢、ボツリヌス中毒、ブルセラ症、小胞炎、コレラ、結膜炎、膀胱炎、ジフテリア、細菌性心内膜炎、喉頭蓋炎、脱疽、胃腸炎、鼻疽、淋病、レジオネラ病、レプトスピラ症、細菌性髄膜炎、疫病、細菌性肺炎、中耳炎、産褥熱、ピロネフリチス(pyronephritis)、リウマチ熱、ロッキー山紅斑熱、猩紅熱、蓄膿症、連鎖球菌性咽頭炎、梅毒、破傷風、毒物ショック症候群、結核、野兎病、腸チフス熱、発疹チフス、および百日咳などの動物およびヒト双方の疾病治療のための抗生物質として有用である。
【0057】
本発明の化合物は、選択的治療薬の新規クラスを含んでなる。抗菌治療薬として、それらは、ブドウ球菌種(Staphylococcus species)および連鎖球菌種(Streptococcus species)などの球菌(cocci)を含むグラム陽性細菌(gram−positive bacteria);ミコバクテリア種(Mycobacterium species)などの抗酸菌(acid−fast bacterium);バシラス種(Bacillus species)、コリネバクテリウム種(Corynebacterium species)(プロピオン酸菌種(Propionibacterium)も)およびクロストリジウム種(Clostridium species)などの桿菌(bacilli);放線菌種(Actiomyces species)およびストレプトミセス種(Streptomyces species)などの線状菌(filamentous bacteria);ナイセリア種(Neisseria species)およびアシネトバクター種(Acinetobacter species)などの球菌(cocci)を含むグラム陰性菌(gram−negative bacteria);シュードモナス種(Pseudomonas species)、ブルセラ種(Brucella species)、アグロバクテリウム種(Agrobacterium species)、ボルデテラ種(Bordetella species)、大腸菌種(Escherichia species)、赤痢菌種(Shigella species)、エルシニア種(Yersinia species)、サルモネラ種(Salmonella species)、クレブシエラ種(Klebsiella species)、エンテロバクター種(Enterobacter species)、ヘモフィルス種(Haemophilus species)、パスツレラ種(Pasteurella species)、およびストレプトバチルス種(Streptobacillus species)などの桿菌(bacilli);スピロヘータ種(spirochetal species)、カンピロバクター種(Campylobacter species)、ビブリオ種(Vibrio species);ならびにリケッチア種(Rickettsiae species)およびクラミジア種(Chlamydia species)などの細胞内細菌(intracellular bacteria)などの医学的に重要な細菌種を阻害する。
【0058】
本発明の抗生物質の標的である特定の細菌種としては、座瘡プロピオンバクテリウム(Propionibacterium acnes)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus);表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、腐性ブドウ球菌(Staphylococcus saprophyticus);化膿連鎖球菌(Streptococus pyogenes);ストレプトコッカス・アガラクティエ(Streptococcus agalactiae);肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae);エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis);エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium);炭疽菌(Bacillus anthracis);マイコバクテリウム・アビウム(Mycobacterium avium)−イントラセルラー(intracellulare)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、アシネトバクター・バウマニイ(Acinetobacter baumanii);ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheria);ウェルシュ菌(Clostridium perfringens);ボツリヌス菌(Clostridium botulinum);破傷風菌(Clostridium tetani);淋菌(Neisseria gonorrhoeae);髄膜炎菌(Neisseria meningitidis);緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa);レジュネラ・ニューモフィラ菌(Legionella pneumophila);大腸菌(Escherichia coli);ペスト菌(Yersinia pestis);インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae);ピロリ菌(Helicobacter pylori);カンピロバクター・フィタス(Campylobacter fetus);カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni);コレラ菌(Vibrio cholerae);腸炎ビブリオ(Vibrio parahemolyticus);トレポメナ・パリダム(Trepomena pallidum);イスラエル放線菌(Actinomyces israelii);発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii);斑点熱リケッチア(Rickettsia rickettsii);トラコーマクラミジア(Chlamydia trachomatis);オウム病クラミジア(Chlamydia psittaci);ウシ流産菌(Brucella abortus);アグロバクテリウムチュメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens);および野兎病菌(Francisella tularensis)が挙げられる。
【0059】
本発明の阻害剤の抗真菌活性に関する適切な標的を提供する、医学的に関連した真菌種および酵母種としては、カンジダアルビカンス(Candida albicans)、カンジダグラブラータ(Candida glabrata)、カンジダクルセイ(Candida krusei)、カンジダパラプシロシス(Candida parapsilosis)、トリコフィトン・メタングロフィテス(Trichophyton mentagrophytes)、ミクロスポリウム・カニス(Microsporium canis)、アスペルギルス種(Aspergillus spp.)、クリプトコックス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、ブラストミセス・デルマティティディス(Blastomyces dermatitidis)、コクシオジオデス・イミティス(Cocciodiodes immitis)、ヒストプラスマ・カプスラーツム(Histoplasma capsulatum)、ブラジルパラコクシジオデス(Paracoccidiodes brasiliensis)および藻菌類種(Phycomycetes spp.)が挙げられる。
【0060】
本発明の化合物は、限定はしないが、A型〜C型肝炎、黄熱病、呼吸器合胞体ウイルス、インフルエンザ、ヒト免疫不全ウイルス1および2、アデノウィルス、ノーウォークウィルス、単純ヘルペスウイルス1および2、サイトメガロウィルス(HCMV)、水痘帯状疱疹、エプスタイン・バーウイルス、および他のヘルペスウィルス類などの動物およびヒト双方の疾病治療のための抗ウィルス剤として有用である。
【0061】
本出願において、特許を含め全ての論文および参考文献の開示は参照として、本明細書に組み込まれている。
【0062】
本発明の方法の実施において、特定の緩衝液、培地、試薬、細胞、培養条件などへの言及は、限定を意図するものではなく、通常の当業者により、検討されている特定の文脈において興味深い、または価値があると認められると思われる全ての関連事項を含むものとして読まれるべきであることを当然理解すべきである。例えば、ある緩衝液系または培地を他のものに替えて、同一でないとしても、同様の結果を得ることは多くの場合に可能である。当業者は、過度の実験をすることなく、本明細書に開示された方法および手順の使用において、彼らの目的に最適に役立つそのような置換を行うことができるように、そのような系および方法論についての十分な知識を持っているであろう。
【0063】
本発明は、以下の非限定的な例において、より詳細に説明されている。これらの方法および例は、本発明を、本明細書に記載された実施形態に決して限定するものではなく、他の実施形態および使用法が当業者に、明らかに示唆されることを理解すべきである。
【0064】
本発明の化合物は、米国臨床研究所規格委員会(NCCLS)により、規定された指針および手順(NCCLS文書、M7−A3、1993年 「Antimicrobial Susceptibility Testing」を参照)に従って、抗菌活性に関して評価される。
【0065】
MIC決定のためのプロトコル
MIC決定のための有用なプロトコルは以下のとおりである。
1.凡そ2.5mgの被験化合物をクリオバイアル中に秤量した。
2.次いで、前記サンプルにDMSOを加えることにより、5mg/mlのストック溶液を作製した。
3.次いで5mg/mlのストック溶液を用い、滅菌蒸留水を加えることにより、256μg/mlの使用液を作製した。
4.以下のとおり、96ウェルプレートにブロスおよび化合物を装入するように、ベックマン(Beckman)2000自動化ワークステーションをプログラム化した。
− 100μlの適切なブロスをカラム1〜11に加えた
− 200μlの適切なブロスをカラム12に加えた
− 256μg/mlの使用液における100μlの化合物を、カラム1に加えた(1列につき1化合物)
− カラム1〜10に2倍連続希釈を行った
− カラム11を増殖対照として用いた。
5.−80℃で保存した予製バイアルから10の生物パネルを塗布し、34℃で24時間温置した。次いで前記生物を継代培養し、34℃で24時間温置した。
− 種菌は先ず、波長620nmにおいて0.09〜0.11の吸光度の標的と共に、滅菌蒸留水中で調製した
− 適切なブロス中へ1/1000希釈を行った
− カラム1〜11に生物と共に100μlのブロスを加えた
− カラム12は、ブランク対照として用いた。
6.完了した96ウェルプレートを34℃で24時間温置した。次いで、この96ウェルプレートをベックマン(Beckman)自動化プレートリーダーを用いて、波長650nmにおいて読み取った。増殖対照(カラム11)およびブランク対照を(カラム12)を含めた計算によってMICを決定した。
【0066】
計算
バイオメック(Biomek)自動化プレートリーダーの吸光度読取り値を用いて、各試験ウェルに関する阻害パーセントを決定した。用いられた式は以下のとおりである。
阻害%=[1−(ABS試験−ABSブランク)/(ABS増殖平均−ABSブランク)]×100%
ABS試験:試験ウェルの吸光度
ABSブランク:試験ウェルと同じ列におけるブランクウェル(カラム12)の吸光度
ABS増殖平均:増殖対照ウェル(カラム11)の平均吸光度
【0067】
最小阻害濃度(MIC)は、阻害パーセントが80%超か、またはそれに等しい最低化合物濃度において見られる。
【0068】
1ml当たりのマイクログラムとして表される数値を有するMIC(最小阻害濃度)として、表1に示された化合物10から19に関する代表的な微生物学的データを得るために、これらの手順が用いられた。
【0069】
本発明の化合物は、規定の指針と手順に従って、それらの抗ウィルス活性に関して評価される。
【0070】
抗ウィルス決定のためのプロトコル
7日アッセイエンドポイントを可能とするために、用いられるHeLa細胞により、黄熱病(YFV)抗ウィルスアッセイを実施した。HeLa細胞は、T−75フラスコにおいて継代した。アッセイ前日に、細胞をトリプシン処理し、ペレット化し、計数し、96ウェル平底組織培養プレートの組織培養培地に1ウェル当たり100μlの容量において、1×10/ウェルで再懸濁した。細胞塗布1日後に、該ウェルを洗浄し、培地を倍地中、半指数連続希釈した種々の濃度の試験化合物を含有する完全培地(2%血清)と取り替えた。17D株YFVウィルスの前滴定アリコートを、各実験直前にフリーザー(−80℃)から取り出した。各ウェルに加えたウィルス量が、感染7日後に完全な細胞死滅をもたらすように、該ウィルスを組織培養培地へ希釈した。
【0071】
HepG2 2.15抗ウィルス評価アッセイ−HBV ayw1株を産生するHepG2 2.2.15細胞を、2%ウシ胎仔血清を補足したDMEM培地を有する96ウェルのコラーゲンコーティングしたマイクロタイタープレートに、2.5×10/ウェルの密度で塗布した。細胞塗布1日後に、該ウェルを洗浄し、培地を倍地中、半指数連続希釈した試験化合物を含有する完全培地と取り替えた。
【0072】
陽性対照化合物のラミブジンを最初に加えてから3日後に、該培地を、一度新たに希釈した化合物を含有する新鮮培地と取り替えた。セルタイター96(CellTiter 96(登録商標))試薬(プロメガ(Promega)、ウィスコン州マジソン所在)を、製造元のプロトコルに従って用い、Vmaxプレートリーダー(モレキュラーデバイスイズ(Molecular Devices)、カリフォルニア州サニーベール所在)を用いて、細胞生存度を決定した。該混合物は、代謝活性細胞のミトコンドリア酵素により、溶解性のホルマサン産物へと代謝されて、細胞数の迅速な定量分析が可能となる。該培地を除去して100μlの新鮮培地および10μlのセルタイター96に取り替えた。プレートを、37℃で4時間、再温置し、モレキュラーデバイスイズVmaxプレートリーダーにより490nmおよび650nmにおいて分光光度的に読み取った。化合物なしの対照と比較した、化合物処理ウェルの細胞生存度パーセントを、対照値に相対的な、各薬物濃度におけるウィルスの細胞変性効果の減少パーセントと細胞数をグラフで表示する社内コンピュータプログラムを用いて計算した。該プログラムは、細胞変性効果を50%減少させる薬物の阻害濃度(IC50)および50%の細胞を死滅させる毒性濃度(TC50)を補間する。
【0073】
HCV RNAレプリコン抗ウィルス評価プロトコル
【化8】


安定なルシフェラーゼ(LUC)レポーターを含有する新規HCV RNAレプリコンである細胞系ET(luc−ubi−neo/ET)を用いた。該レプリコンの組成は、上記の図解で示してある(クリーガー N.(Krieger,N.)、V.ローマン(V.Lohmann)、およびR.バーテンシュレーガー(R.Bartenschlager)、2001年.「Enhancement of hepatitis C virus RNA replicon replication by cell culture−adaptive mutations」、J.Virol.75:4614−4624頁を参照)。HCV RNAレプリコンETは、ホタルルシフェラーゼ(Luc)、ユビキチン(Ubiq)、およびネオマイシンリン酸転移酵素(Neo)融合蛋白質の産生を駆動するHCV(5’)の5’NTR(IRES)を含有する。ユビキノンの開裂により、LUCおよびNeo遺伝子が解除される。EMCV IRES要素(E−I)は、HCV構造蛋白質のNS3−NS5の翻訳を制御する。
【0074】
NS3蛋白質は、HCVポリ蛋白質を開裂して、HCVの複製に必要な成熟NS3、NS4A、NS4B、NS5AおよびNS5B蛋白質を遊離させる。前記レプリコンの3’端にHCVの識別3’NTRがある。HCV複製の間接的な目安としてLUCレポーターが用いられる。LUCレポーターの活性は、HCVのRNA濃度に直接的に比例しており、陽性対照抗ウィルス化合物は、LUCまたはRNAエンドポイントのいずれを用いても、同等の作用をする。LUCエンドポイントの使用は、HCV RNAよりも経済的であり、化合物ライブラリーの選別に対するハイスループット適用のために用いることができる。
【0075】
HCV RNAレプリコン抗ウィルス評価アッセイでは、各々5つの半指数濃度における化合物の効果が検討される。ヒトインターフェロンのアルファ−2bは、陽性対照化合物として、各試験に含まれる。ET系のサブ集密培養物を、細胞数(細胞毒性)または抗ウィルス活性専用の96ウェルプレートに塗布し、翌日、適切なウェルに薬物を添加する。72時間後の細胞がまだサブ集密の時、細胞を処理する。TaqMan RT−PCRを用い、HCV RNAレプリコン誘導LUC活性として、またはHCV RNAとして評価されたHCV RNA濃度から、化合物のIC50値およびIC90値を導き出す。化合物のTC50値およびTC90値は、LUCアッセイシステムが用いられる場合は、細胞数および細胞毒性の指標として、比色分析を用いて計算され、一方、RNAベースのアッセイにおいては、細胞数の指標としてTaqMan RTPCRにより、リボゾーム(rRNA)濃度が決定される。化合物のTI50値およびTI90値は、スプレットシートから計算される。
【0076】
抗菌活性
化合物11から24に関する代表的な抗菌データを表1に示す。関連する抗菌特異的な生物学的に標準であるシプロフロキサシン、クロキサシリン、イミペネム、セフトリアキソン、メロペネム、エリスロマイシンおよびペニシリンGの抗菌活性が陽性対照として含まれている。
【0077】
【表2】

【0078】
ベンゾオキサボロール抗ウィルス薬
この手順は、以下の表における結果を得るために用いられた。化合物11から22に関する代表的な抗ウィルスデータを表2および表3に示す。関連するウィルス特異的な生物学的標準であるインターフェロンおよびラミビジンの抗ウィルス活性が陽性対照として含まれている。
【0079】
【表3】

【0080】
【表4】

【0081】
ホウ素含有治療薬
本発明の化合物の合成は、種々の様式で達成される。スキーム#1は、広範囲の置換基を有し、類縁体(M=O、S、NR**)およびより大きな環の類縁体を含めたベンゾオキサボロール類の効率的な合成を示している。これは、範囲が制限されているハイネス(Haynes)とスナイダー(Snyder)[J.Org.Chem.、29、3229−3233頁(1964)]の手順とは対照的である。グリニャール交換(臭化イソプロピルマグネシウム)または有機リチウム(好ましくは、s−ブチルリチウムまたはt−ブチルリチウム)のいずれかによる金属交換反応後、中間体1を、ホウ酸トリアルキルと反応させる。引き続いて酸性加水分解により中間体のボロン酸2が得られる。2からボロン酸エチレングリコール3への変換は高収率で達成される。1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、またはピナコールアルコールなどの他のジオール類を使用することができる。ボロン酸エステル類3を、置換基Rの適切な有機金属供与体と反応させた後、酸性加水分解により、所望のベンゾオキサボロール類5が得られる。
【0082】
実施例において、我々は、メトキシメチル(MOM)保護基の使用を示しているが、他の好適な保護基を使用することができ、例としては、トリアルキルシリル、アルキルジアリールシリル、テトラヒドロピラニル、トリアルキルシリルアルコキシ、トリチルおよび置換トリチル類およびt−ブチルがある。
【0083】
対応するベンゾアザボロール類7およびベンゾチアボロール類9は、好適に保護された前駆体から同様に得られた。
【化9】

【0084】
一定の状態において、本発明の化合物は、種々の立体異性体の形態で存在できるように、1個以上の非対称炭素原子を含有し得る。これらの化合物は、例えば、ラセミ体または光学活性形態であり得る。これらの状態において、単一の鏡像異性体、すなわち、光学活性形態は、非対称的合成により、またはラセミ体の分割により得ることができる。ラセミ体の分割は、例えば、分割剤の存在下での結晶化、または例えば、キラルHPLCカラムを用いるクロマトグラフィなどの従来の方法によって達成できる。
【0085】
本発明の代表的化合物には、限定はしないが、本明細書に開示された化合物およびそれらの製薬的に許容できる酸付加塩および塩基付加塩が含まれる。また、本発明の化合物が、酸付加塩として得られる場合、酸性塩の溶液を塩基性にすることにより、遊離塩基を得ることができる。逆に、生成物が遊離塩基の場合、付加塩、特に製薬的に許容できる付加塩は、塩基化合物から酸付加塩を調製する従来の方法に従って、遊離塩基を好適な有機溶媒中に溶解し、前記溶液を酸で処理することによって作製できる。好ましい実施形態において、本発明の化合物は、化合物11〜24(表1〜表3)およびそれらの変形体のいずれかを含んでなる。
【0086】
また、本発明は、本発明の化合物のアシル化プロドラッグを包含する。本発明の化合物の非毒性の製薬的に許容できる付加塩およびアシル化プロドラッグを調製するために使用できる種々の合成方法論を当業者は認識されるであろう。
【実施例】
【0087】
実施例
プロトンNMRは、バリアン(Varian)AS400分光器で記録され、化学シフトは、テトラメチルシランからの低磁場δ(ppm)として報告される。質量スペクトルは、Micromass Quattro IIで測定される。
1−(3−クロロフェニル)−5−フルオロ−1,3−ジヒドロベンゾ[c][1,2]オキサボロール(11)
【化10】

【0088】
a)2−(3−クロロフェニル)−[1,3,2]−ジオキサボロラン:3−クロロフェニルボロン酸(3.041g、19.4mmol)を、N下、75mLの乾燥THF中に溶解した。エチレングリコール(1.323g、21.3mmol)を加え、この溶液を18時間還流した。該溶液を放冷し、THFを減圧留去した。残渣を、時々加熱しながら高減圧(<1mmHg)下、さらに乾燥して、余分なエチレングリコールおよびTHFを除去した。これにより、フリーザー内で冷却時結晶化する褐色油として純粋な2−(3−クロロフェニル)−[1,3,2]−ジオキサボロラン(3.55g、100%)を得た。H NMRδ4.39(s、4H)、7.32(t、1H)、7.44(ddd、1H)、7.67(d、1H)、7.78(d、1H)。
【0089】
b)2−ブロモ−5−フルオロベンジルアルコール:2−ブロモ−5−フルオロベンズアルデヒド(2.05g、10.1mmol)を、20mLの温無水エタノールに溶解した。室温まで冷却させたら、前記エタノール溶液に、水素化ホウ素ナトリウム(0.19g、5.0mmol)を徐々に加えた。この溶液を、室温で18時間攪拌した。該溶液に、1mLのHOを加え、エタノールを減圧留去した。次いで白色残渣を、30mLのHOと50mLのジエチルエーテルとの間で分配した。エーテルを分離し、水性溶液を、さらに2回、エーテル(2×50mL)で抽出した。エーテル抽出液を合わせ、MgSOで乾燥し、ろ過し、蒸発させ、純粋な2−ブロモ−5−フルオロベンジルアルコールを、白色固体(1.98g、96%)として得た。H NMRδ1.98(t、1H)、4.72(d、2H)、6.89(dt、1H)、7.27(dd、1H)、7.48(dd、1H)。
【0090】
c)1−ブロモ−4−フルオロ−2−((メトキシメトキシ)メチル)ベンゼン:水素化ナトリウム(鉱油中60%分散、0.225g、5.6mmol)を、N下、250mLの丸底フラスコに入れた。NaHを乾燥ヘキサン(5mL)で洗浄した。ヘキサンをカニューレにより除去し、この処理を2回繰り返した(2×5mL)。自由流動粉末になるまでNaHを減圧乾燥し、N下に置いた。(2−ブロモ−5−フルオロフェニル)メタノール(0.97g、4.7mmol)を、20mLの乾燥THF中に溶解し、固体NaHに滴下して加えた。Hの発生が止んだら、この溶液を1.5時間還流した。該溶液を室温まで放冷してから、氷浴中で0℃まで冷却した。次いでクロロメチルエーテル(0.36mL、4.2mmol)を加え、この溶液を室温まで温めた。前記溶液を室温で18時間攪拌してから、セライトの1cmカラムを通してろ過した。セライトをTHFで洗浄した(2×10mL)。THFろ液を合わせて、減圧蒸発させると、純粋な1−ブロモ−4−フルオロ−2−((メトキシメトキシ)メチル)ベンゼンを油として得た(1.05g、99%)。H NMRδ3.49(s、3H)、4.63(s、2H)、4.78(s、2H)、6.88(dt、1H)、7.26(dd、1H)、7.49(dd、1H)。
【0091】
d)(3−クロロフェニル)(4’−フルオロ−(2’−(メトキシメトキシ)メチル)フェニル)ボリン酸:1−ブロモ−4−フルオロ−2−((メトキシメトキシ)メチル)ベンゼン(1.06g、4.2mmol)を、N下、50mLの乾燥THFに溶解し、−78℃に冷却した。この溶液に、t−BuLi(ペンタン中、1.7M)(5.3mL、9.0mmol)を徐々に加えた。−78℃で10分間攪拌後、10mLの乾燥THF中、2−(3−クロロフェニル)−[1,3,2]−ジオキサボロランを加え、この溶液を、さらに0.5時間攪拌した。次いで溶液を室温まで温め、18時間攪拌した。THFを減圧留去し、残渣を40mLのHOと80mLのジエチルエーテルとの間で分配した。溶液を数分間激しく攪拌してから、6N HClで中和(pH7)した。エーテルを分離し、水性溶液を、再度エーテル(2×80mL)で抽出した。エーテル抽出液を合わせ、MgSOで乾燥し、ろ過し、蒸発させると黄色油(1.22g)を得た。この生成物のH NMRは、所望のボリン酸が形成されたことを示している。これを精製せずに次のステップに使用した。
【0092】
注:前記ボリン酸は、溶出液として3:1ヘキサン:酢酸エチルを用いて、シリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィにより精製できる。しかしながら、これは、所望の生成物のかなりの損失をもたらす。引き続く反応は、このステップにおける精製が必要ないことを示した。H NMRδ3.45(s、3H)、4.65(s、2H)、4.66(s、2H)、7.06−7.12(2H)、7.34(t、1H)、7.44(ddd、1H)、7.52(dd、1H)、7.63(td、1H)、7.73(d、1H)、8.00(s、1H)。
【0093】
e)1−(3−クロロフェニル)−5−フルオロ−1,3−ジヒドロベンゾ[c][1,2]−オキサボロール:MOM保護したボリン酸(0.70g、2.3mmol)を、46mLのTHFおよび4mLの濃HClに溶解した。この溶液を、室温で12時間攪拌した。次いで10mLのHOを加え、THFを減圧留去した。これによって、固体の懸濁液を得た。この固体を減圧ろ過し、水(10mL)、次いでヘキサン(5mL)で洗浄し、乾燥した。これにより、標題化合物を白色固体として得た(0.334g、59%)。H NMRδ5.38(s、2H)、7.14−7.19(2H)、7.43(t、1H)、7.52(td、1H)、8.00(d、1H)、8.08(d、1H)、8.13(dd、1H);MS(ES)247.08、249.03(3:1);HPLC[保持時間(面積%)]14.346分(97.1%)。
1−(3−クロロフェニル)−1,3−ジヒドロベンゾ[c][1,2]オキサボロール(12)
【化11】

【0094】
これは、2−(3−クロロフェニル)−[1,3,2]−ジオキサボロランおよび1−ブロモ−2−((メトキシメトキシ)メチル)ベンゼンから、実施例11の手順に従って調製し、白色結晶生成物を得た。
5−クロロ−1−(3−フルオロフェニル)−1,3−ジヒドロベンゾ[c][1,2]オキサボロール(13)
【化12】

【0095】
これは、2−(3−フルオロフェニル)−[1,3,2]−ジオキサボロランおよび1−ブロモ−4−クロロ−2−((メトキシメトキシ)メチル)ベンゼンから、実施例11の手順に従って調製し、白色結晶生成物を得た。
3−(ベンゾ[c][1,2]オキサボロール−1(3H)−イル)ベンゾニトリル(14)
【化13】

【0096】
これは、2−(3−シアノフェニル)−[1,3,2]−ジオキサボロランおよび1−ブロモ−2−((メトキシメトキシ)メチル)ベンゼンから、実施例11の手順に従って調製し、白色結晶生成物を得た。
1−(3−クロロフェニル)−6−フルオロ−1,3−ジヒドロベンゾ[c][1,2]−オキサボロール(15)
【化14】

【0097】
a)2−ブロモ−4−フルオロベンジルアルコール:2−ブロモ−4−フルオロ安息香酸(7.908g、36.1mmol)を、N下、50mLの乾燥THFに溶解し、0℃に冷却した。BH−THF(THF中1M)(72mL、72mmol)を攪拌しながら、滴下して加えた。泡立ちが静まったら、該溶液を、0℃でさらに0.5時間攪拌し、次いで室温まで温めた。該溶液を室温で18時間攪拌した。THFを減圧留去し、残渣をCHCl(100mL)に溶解した。この溶液に、メタノールを発泡が見られなくなるまで徐々に加え、溶液をさらに15分間攪拌した。溶媒を減圧留去し、残渣をメタノール(100mL)に再度溶解した。この溶液をさらに10分間攪拌してから溶媒を減圧留去した。残渣を数時間、高減圧(<1mmHg)下さらに乾燥した。これにより、2−ブロモ−4−フルオロベンジルアルコールを、淡黄色固体として得た(7.33g、99%)。H NMRδ1.99(s、1H)、4.72(s、3H)、7.05(dt、1H)、7.31(dd、1H)、7.46(dd、1H)。
【0098】
b)2−ブロモ−4−フルオロ−1−((メトキシメトキシ)メチル)ベンゼン:水素化ナトリウム(鉱油中60%分散、0.39g、9.7mmol)を、N下、250mLの丸底フラスコに入れた。NaHを乾燥ヘキサン(5mL)で洗浄した。ヘキサンをカニューレにより除去し、この処理を2回繰り返した(2×5mL)。自由流動粉末になるまでNaHを減圧乾燥し、N下に置いた。(2−ブロモ−4−フルオロフェニル)メタノール(1.61g、7.8mmol)を、30mLの乾燥THF中に溶解し、固体NaHに滴下して加えた。Hの発生が止んだら、この溶液を1時間還流した。該溶液を室温まで放冷してから、氷浴中で0℃まで冷却した。次いでクロロメチルエーテル(0.6mL、7.9mmol)を加え、この溶液を室温まで温めた。前記溶液を室温で18時間攪拌してから、セライトの1.5cmカラムを通してろ過した。セライトをTHFで洗浄した(2×10mL)。THFろ液を合わせて、減圧蒸発させると、純粋な2−ブロモ−4−フルオロ−1−((メトキシメトキシ)メチル)ベンゼンを油として得た(1.700g、87%)。H NMRδ3.43(s、3H)、4.63(s、2H)、4.75(s、2H)、7.04(dt、1H)、7.31(dd、1H)、7.46(dd、1H)。
【0099】
d)(3−クロロフェニル)(5’−フルオロ−(2’−(メトキシメトキシ)メチル)フェニル)ボリン酸:2−ブロモ−4−フルオロ−1−((メトキシメトキシ)メチル)ベンゼン(1.70g、6.8mmol)を、N下、50mLの乾燥THFに溶解し、−78℃に冷却した。この溶液に、t−BuLi(ペンタン中、1.7M)(8.5mL、14.5mmol)を徐々に加えた。−78℃で15分間攪拌後、10mLの乾燥THF中、2−(3−クロロフェニル)−[1,3,2]−ジオキサボロランを加え、この溶液を、さらに0.5時間攪拌した。次いで溶液を室温まで温め、18時間攪拌した。THFを減圧留去し、残渣を50mLのHOと80mLのジエチルエーテルとの間で分配した。溶液を数分間激しく攪拌してから、6N HClで中和(pH7)した。エーテルを分離し、水性溶液を、再度エーテル(2×50mL)で抽出した。エーテル抽出液を合わせ、MgSOで乾燥し、ろ過し、蒸発させると橙色油(2.27g)を得た。この生成物のH NMRは、所望のボリン酸が形成されたことを示している。これを精製せずに次のステップに使用した。
【0100】
e)1−(3−クロロフェニル)−6−フルオロ−1,3−ジヒドロベンゾ[c][1,2]−オキサボロール:MOM保護した粗製ボリン酸(2.27g)を、46mLのTHFおよび4mLの濃HClに溶解した。この溶液を、室温で12時間攪拌した。次いで10mLのHOを加え、THFを減圧留去した。水性溶液を、ジエチルエーテル(3×50mL)で抽出した。エーテル抽出液を合わせ、生理食塩水で、中性になるまで洗浄した。前記エーテルを、MgSOで乾燥し、ろ過し、蒸発させると橙色油を得た。この粗製物を、溶出液としてヘキサン:酢酸エチル5:1を用い、シリカゲルカラムクロマトグラフィにより精製した。溶媒留去後、標題化合物(Rf=0.63)を、白色固体として得た(0.515g、2.1mmol、33%;2ステップ)。H NMRδ5.39(s、2H)、7.24−7.29(2H)、7.42−7.48(2H)、7.53(ddd、1H)、7.78(dd、1H)、7.99(d、1H)、8.07(d、1H);MS(ES)290.95、292.97(3:1)[注:M+ギ酸];HPLC[保持時間(面積%)]14.162分(97.6%)。
1−(3−クロロフェニル)−1,3−ジヒドロ−3,3−ジメチルベンゾ[c][1,2]−オキサボロール(16)
【化15】

【0101】
a)2−(2−ブロモフェニル)プロパン−2−オール:メチル−2−ブロモベンゾアート(3.403g、15.8mmol)を、N下、50mLの乾燥THFに溶解し、0℃に冷却した。ヨウ化メチルマグシウム(ジエチルエーテル中3M)(11mL、33mmol)を加え、溶液を室温に温め、次いで1時間還流した。50mLの飽和塩化アンモニウムを加え、溶液を減圧ろ過した。分離された固体を、THFで洗浄した。THFろ液を合わせて、溶媒を減圧留去した。残渣を40mLのHOと60mLのジエチルエーテルとに攪拌しながら分配した。エーテルを分離し、水溶液を、エーテル(2×60mL)でさらに2回抽出した。エーテル抽出液を合わせて、中性になるまでブラインで洗浄した。エーテルをMgSOで乾燥し、ろ過し、蒸発させて黄色油を得た。溶出液としてCHClを用い、粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィにより精製した。溶媒の留去後、純粋な2−(2−ブロモフェニル)プロパン−2−オール(Rf=0.33)を黄色油(2.55g、75%)として得た。H NMRδ1.75(s、6H)、2.79(s、1H)、7.10(dt、1H)、7.30(dt、1H)、7.58(dd、1H)、7.66(dd、1H)。
【0102】
b)1−ブロモ−2−(2−(メトキシメトキシ)プロパン−2−イル)ベンゼン:水素化ナトリウム(鉱油中60%分散、0.576g、14.4mmol)を、N下、250mLの丸底フラスコに入れた。NaHを乾燥ヘキサン類(10mL)で洗浄した。ヘキサン類をカニューレにより除去し、この処理を2回繰り返した(2×10mL)。自由流動粉末になるまでNaHを減圧乾燥し、N下に置いた。2−(2−ブロモフェニル)プロパン−2−オール(2.55g、11.8mmol)を、50mLの乾燥THF中に溶解し、固体NaHに滴下して加えた。Hの発生が止んだら、この溶液を1.5時間還流した。該溶液を室温まで放冷してから、氷浴中で0℃まで冷却した。次いでクロロメチルエーテル(0.82mL、10.8mmol)を加え、この溶液を室温まで温めた。前記溶液を室温で18時間攪拌してから、セライトの1cmカラムを通してろ過した。セライトをTHFで洗浄した(2×15mL)。THFろ液を合わせて、減圧蒸発させると褐色油を得た。溶出液としてヘキサン類:酢酸エチル2:1を用い、粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィにより精製した。溶媒の留去後、純粋な1−ブロモ−2−(2−(メトキシメトキシ)プロパン−2−イル)ベンゼン(Rf=0.82)を黄色油(1.70g、55%)として得た。H NMRδ1.77(s、6H)、3.14(s、3H)、4.62(s、2H)、7.10(dt、1H)、7.28(dt、1H)、7.50(dd、1H)、7.62(dd、1H)。
【0103】
c)(3−クロロフェニル)(2−(2−(メトキシメトキシ)プロパン−2−イル)フェニルボリン酸:2−ブロモ−2−(2−(メトキシメトキシ)プロパン−2−イル)ベンゼン(1.700g、6.5mmol)を、N下、50mLの乾燥THFに溶解し、−78℃に冷却した。この溶液に、t−BuLi(ペンタン中、1.7M)(8.4mL、14.3mmol)を徐々に加えた。−78℃で15分間攪拌後、10mLの乾燥THF中、2−(3−クロロフェニル)−[1,3,2]−ジオキサボロランを加え、この溶液を、さらに0.5時間攪拌した。次いで溶液を室温まで温め、18時間攪拌した。THFを減圧留去し、残渣を50mLのHOと80mLのジエチルエーテルとの間で分配した。溶液を数分間激しく攪拌してから、6N HClで中和(pH7)した。エーテルを分離し、水性溶液を、再度エーテル(2×50mL)で抽出した。エーテル抽出液を合わせ、MgSOで乾燥し、ろ過し、蒸発させると橙色油(2.13g)を得た。溶出液としてヘキサン類:酢酸エチル3:1を用い、粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィにより精製した。溶媒の留去後、純粋なボリン酸(Rf=0.80)を黄色油(0.87g、42%)として得た。H NMRδ1.61(s、6H)、3.39(s、3H)、4.57(s、2H)、7.19−7.55(5H)、8.02−8.11(3H)。
【0104】
e)1−(3−クロロフェニル)−1,3−ジヒドロ−3,3−ジメチルベンゾ[c][1,2]−オキサボロール:MOM保護した粗製ボリン酸(0.87g、2.7mmol)を、46mLのTHFおよび4mLの濃HClに溶解した。この溶液を、室温で12時間攪拌した。次いで10mLのHOを加え、THFを減圧留去した。水溶液を、ジエチルエーテル(3×60mL)で抽出した。エーテル抽出液を合わせ、ブラインで中性になるまで洗浄した。前記エーテルを、MgSOで乾燥し、ろ過し、蒸発させると黄色油を得た。溶出液としてヘキサン類:酢酸エチル5:1を用い、粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィにより精製した。溶媒留去後、標題化合物(Rf=0.67)を、黄色油として得た(0.29g、41%)。H NMRδ1.64(s、6H)、7.37(d、1H)、7.40−7.45(2H)、7.48−7.55(2H)、8.03(td、1H)、8.07−8.11(2H);MS(ES)301.01、303.02(3:1)[注:M+ギ酸];HPLC[保持時間(面積%)]15.847分(92.2%)。
1−(4−クロロフェニル)−1,3[c][1,2]−オキサボロール(17)
【化16】

【0105】
これは、実施例11の手順に従って、2−(4−クロロフェニル)−[1,3,2]−ジオキサボロランおよび1−ブロモ−2−((メトキシメトキシ)メチル)ベンゼンから調製して白色結晶性生成物を得た。
4−(ベンゾ[c][1,2]オキサボロール−1(3H)−イル)ベンゾニトリル(18)
【化17】

【0106】
これは、実施例11の手順に従って、2−(4−シアノフェニル)−[1,3,2]−ジオキサボロランおよび1−ブロモ−2−((メトキシメトキシ)メチル)−ベンゼンから調製して白色結晶性生成物を得た。
4−(5−フルオロベンゾ[c][1,2]オキサボロール−1(3H)−イル)ベンゾニトリル(19)
【化18】

【0107】
これは、実施例11の手順に従って、2−(4−シアノフェニル)−[1,3,2]−ジオキサボロランおよび1−ブロモ−4−フルオロ−2−((メトキシメトキシ)メチル)−ベンゼンから調製して白色結晶性生成物を得た。
3−(5−フルオロベンゾ[c][1,2]オキサボロール−1(3H)−イル)ベンゾニトリル(20)
【化19】

【0108】
これは、実施例11の手順に従って、2−(3−シアノフェニル)−[1,3,2]−ジオキサボロランおよび1−ブロモ−4−フルオロ−2−((メトキシメトキシ)メチル)−ベンゼンから調製して白色結晶性生成物を得た。
3−(6−フルオロベンゾ[c][1,2]オキサボロール−1(3H)−イル)ベンゾニトリル(21)
【化20】

【0109】
これは、実施例11の手順に従って、2−(3−シアノフェニル)−[1,3,2]−ジオキサボロランおよび1−ブロモ−5−フルオロ−2−((メトキシメトキシ)メチル)−ベンゼンから調製して白色結晶性生成物を得た。
1−(3−シアノフェニル)−5,6−ジメトキシ−1,3−ジヒドロベンゾ[c][1,2]オキサボロール(22)
【化21】

【0110】
これは、実施例11の手順に従って、2−(3−クロロフェニル)−[1,3,2]−ジオキサボロランおよび1−ブロモ−4,5−ジメトキシ−2−((メトキシメトキシ)メチル)−ベンゼンから調製して白色結晶性生成物を得た。
(4−(5−(フルオロベンゾ[c][1,2]オキサボロール−1(3H)−イル)フェニルメタンアミン(23)
【化22】

【0111】
a)N,N−ビス(メトキシメチル)−4−ブロモベンジルアミン:塩酸4−ブロモベンジルアミン(4.54g、20.0mmol)のメタノール(200mL)溶液に、37%ホルムアルデヒド(25mL)および炭酸カリウム(4.28g、31.0mmol)を加え、この混合物を室温で一晩攪拌した。この混合物を、三分の一の容量に減圧濃縮した。水を加え、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去してN,N−ビス(メトキシメチル)−4−ブロモベンジルアミン(5.45g、99%)を得た。H NMR(300MHz、CDCl)δ3.26(s、6H)、3.94(s、4H)、4.20(s、2H)、7.21(d、J=8.2Hz、2H)、7.44(d、J=8.5Hz、2H)。
【0112】
b)1−ブロモ−4−フルオロ−2−((メトキシメトキシ)メチル)ベンゼン:2−ブロモ−5−フルオロ安息香酸(10.3g、45.3g)のテトラヒドロフラン(50mL)溶液に、窒素雰囲気下、0℃でボラン−テトラヒドロフラン錯体(テトラヒドロフラン中1M;92mL)を加え、この混合物を室温で一晩攪拌した。水を注意深く加え、混合物を、約50mLに減圧濃縮した。水を加え、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して、2−ブロモ−5−フルオロベンジルアルコールを得、これを実施例11、ステップ(a)と同様の方法で、そのメトキシメチルエーテルに変換して1−ブロモ−4−フルオロ−2−((メトキシメトキシ)メチル)ベンゼン(9.64g、2ステップで85%)を得た。H NMR(300MHz、CDCl)δ3.43(s、3H)、4.62(s、2H)、4.78(s、2H)、6.88(td、J=8.5、3.2Hz、1H)、7.25(dd、J=9.6、3.1Hz、1H)、7.48(dd、J=8.8、5.3Hz、1H)。
【0113】
c)5−フルオロ−2−(メトキシメトキシメチル)フェニル]−[1,3,2]−ジオキサボロラン:これは、上記中間体から得られた。H NMR(300MHz、CDCl)δ3.42(s、3H)、4.36(s、4H)、4.76(s、2H)、4.87(s、2H)、6.96(td、J=8.2、2.6Hz、1H)、7.26(dd、J=10.6、2.6Hz、1H)、7.83(dd、J=8.2、6.4Hz、1H)。
【0114】
d)(4−(5−(フルオロベンゾ[c][1,2]オキサボロール−1(3H)−イル)フェニルメタンアミン:標題化合物は、N,N−ビス(メトキシメチル)−4−ブロモベンジルアミンおよび5−フルオロ−2−[(メトキシメトキシメチル)フェニル]−[1,3,2]−ジオキサボロランから得られた。H NMR(300MHz、DMSO−d)δ3.72(s、2H)、5.29(s、2H)、7.15(m、1H)、7.3−7.5(m、3H)、7.96(d、J=7.6Hz、1H)、8.11(dd、J=8.2、5.9Hz、1H):ESI−MS m/z 242(陽性);C1413BFNO=241。
(3−(5−(フルオロベンゾ[c][1,2]オキサボロール−1(3H)−イル)フェニルメタンアミン(24)
【化23】

【0115】
標題化合物は、実施例23と同様の順序で塩酸3−ブロモベンジルアミンから得られた。H NMR(300MHz、DMSO−d)δ3.74(s、2H)、5.32(s、2H)、7.1−7.5(m、4H)、7.86(d、J=7.6Hz、1H)、7.98(s、1H)、8.12(dd、J=8.2、5.9Hz、1H):ESI−MS m/z 242(陽性);C1413BFNO=241。
(4−(5−(フルオロベンゾ[c][1,2]オキサボロール−1(3H)−イル)フェニル)メタノール(25)
【化24】

【0116】
標題化合物は、実施例11および実施例23に記載されたのと同様の順序で4−ブロモベンジルアルコールから得られた。H NMR(300MHz、DMSO−d)δ4.56(d、J=5.0Hz、2H)、5.25(t、J=5.6Hz、1H)、5.37(s、2H)、7.26(m、1H)、7.4−7.5(m、3H)、8.05(d、J=7.9Hz、1H)、8.22(dd、J=8.2、5.9Hz、1H):ESI−MS m/z 241(陰性);C1412BFO=242。
(3−(5−(フルオロベンゾ[c][1,2]オキサボロール−1(3H)−イル)フェニル)メタノール(26)
【化25】

【0117】
標題化合物は、実施例11および実施例23と同様の順序で3−ブロモベンジルアルコールから得られた。H NMR(300MHz、DMSO−d)δ4.57(d、J=5.6Hz、2H)、5.22(t、J=5.6Hz、1H)、5.37(s、2H)、7.26(m、1H)、7.4−7.5(m、3H)、8.03(s、1H)、8.20(dd、J=8.2、5.9Hz、1H):ESI−MS m/z 241(陰性);C1412BFO=242。
3−(6−フルオロベンゾ[c][1,2]オキサボロール−1(3H)−イル)フェノール(27)
【化26】

【0118】
標題化合物は、実施例11および実施例23と同様の順序で3−ブロモフェノールと2−ブロモ−4−フルオロ安息香酸とから得られた。H NMR(300MHz、DMSO−d)δ5.30(s、2H)、6.89(d、J=8.2Hz、1H)、7.25(t、J=7.6Hz、1H)、7.33(t、J=8.9Hz、1H)、7.41(s、1H)、7.45(d、J=7.0Hz、1H)、7.55(dd、J=8.4、4.9Hz、1H)、7.73(d、J=8.8Hz、1H)、9.31(s、1H):ESI−MS m/z 227(陰性);C1310BFO=228。
3−(5−フルオロベンゾ[c][1,2]オキサボロール−1(3H)−イル)ピリジン(28)
【化27】

【0119】
3−ブロモピリジン(731mg、4.63mmol)のテトラヒドロフラン溶液に、窒素雰囲気下、室温で塩化イソプロピルマグネシウム(1mol/L;2.3mL)を加え、混合物を1時間攪拌した。この混合物に、実施例23、ステップ(c)で得られたテトラヒドロフラン(4mL)中の5−フルオロ−2−[(メトキシメトキシメチル)フェニル]−[1,3,2]−ジオキサボロラン(1.11g、4.63mmol)を加え、混合物を室温で一晩攪拌した。水を加え、このpHを1M塩酸でpH7に調整した。次いで混合物を酢酸エチルで抽出した。溶媒を減圧留去し、残渣をテトラヒドロフラン(30mL)に溶解した。この混合物に、1M塩酸(10mL)を加え、混合物を一晩還流した。pHを、飽和重炭酸ナトリウムで7に調整し、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をジイソプロピルエーテルから再結晶して標題化合物(76mg、7.7%)を得た。H NMR(300MHz、DMSO−d)δ4.94(s、2H)、6.9−7.1(m、2H)、7.36(br s、1H)、7.66(dd、J=6.7、5.3Hz、1H)、8.19(d、J=6.7Hz、1H)、8.24(brs、1H)、8.64(d、J=5.3Hz、1H):ESI−MS m/z 214(陽性);C12BFNO=213。
(2−(ベンゾ[c][1,2]オキサボロール−1(3H)−イル)フェニル)メタノール(29)
【化28】

【0120】
a)1−ブロモ−2−((メトキシメトキシ)メチル)ベンゼン:2−ブロモベンジルアルコール(10.0g、53.5mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(11mL、64mmol)のジクロロメタン(150mL)溶液に、窒素雰囲気下、0℃でクロロメチルメチルエーテル(4.5mL、59mmol)を加え、混合物を室温で15時間攪拌した。水を加え、混合物をクロロホルムで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン/酢酸エチル12:1)により精製して1−ブロモ−2−((メトキシメトキシ)メチル)ベンゼン(11.7g、95%)を得た。H NMR(300MHz、CDCl)δ3.44(s、3H)、4.67(s、2H)、4.77(s、2H)、7.16(td、J=7.9、1.8Hz、1H)、7.32(td、J=7.3、1.2Hz、1H)、7.49(dd、J=7.9、1.8Hz、1H)、7.55(dd、J=8.2、1.2Hz、1H)。
【0121】
b)2−[(メトキシメトキシ)メチル]フェニルボロン酸:テトラヒドロフラン(25mL)中、1−ブロモ−2−(メトキシメトキシ)メチルベンゼン(2.50g、10.8mmol)に、窒素雰囲気下、−78℃でs−ブチルリチウム(シクロヘキサン中1.4mol/L;9.3mL)を加えた。15分間攪拌後、ホウ酸トリメチル(2.5mL、22mol)を滴下により加え、混合物を室温で16時間攪拌した。水と1M塩酸を加え、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン/酢酸エチル2:1)により精製して所望のボロン酸(1.47g、69%)を得た。
【0122】
c)2−[(メトキシメトキシメチル)フェニル]−[1,3,2]−ジオキサボロラン:2−[(メトキシメトキシ)メチル]フェニルボロン酸(1.47g、7.50mmol)、エチレングリコール(466mg、7.50mmol)およびトルエン(50mL)の混合物をディーン−スターク装置中、3時間加熱還流した。溶媒を減圧留去して、所望のボロン酸エステル(1.59g、95%)を得た。H NMR(300MHz、CDCl)δ3.42(s、3H)、4.37(s、4H)、4.75(s、2H)、4.87(s、2H)、7.30(td、J=7.3、2.1Hz、1H)、7.4−7.5(m、2H)、7.84(d、J=7.9Hz、1H)。
【0123】
d)ビス[2−(メトキシメトキシメチル)フェニル]ボリン酸:ステップ(a)で得られた1−ブロモ−2−((メトキシメトキシ)メチル)ベンゼン(1.65g、7.16mmol)のテトラヒドロフラン(14mL)溶液に、窒素雰囲気下、−78℃でs−ブチルリチウム(シクロヘキサン中1.4M;6.2mL)を加えた。15分間攪拌後、ステップ(c)で得られた2−[(メトキシメトキシメチル)フェニル]−[1,3,2]−ジオキサボロラン(1.59g、7.16mmol)のテトラヒドロフラン(7mL)溶液を加え、混合物を室温で1時間攪拌した。水と1M塩酸を加え、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、所望のボリン酸(1.82g、77%)を得た。
【0124】
e)(2−(ベンゾ[c][1,2]オキサボロール−1(3H)−イル)フェニル)メタノール:上記化合物(1.38g、4.18mmol)のテトラヒドロフラン(60mL)溶液に、1M塩酸(20mL)を加え、この混合物を5時間還流した。混合物を、約半分の容量に減圧濃縮した。形成した沈殿物を、ろ過により採取して標題化合物(610mg、65%)を得た。H NMR(300MHz、DMSO−d)δ4.98(s、4H)、7.1−7.4(m、8H);ESI−MS m/z 223(陰性);C1413BO=224。

(2−(ベンゾ[c][1,2]オキサボロール−1(3H)−イル)フェニル)−N,N−ジメチルメタンアミン(30)
【化29】

【0125】
(2−(ベンゾ[c][1,2]オキサボロール−1(3H)−イル)フェニル)メタノール(300mg、1.34mmol)のジクロロメタン(10mL)溶液に、0℃でトリエチルアミン(0.373mL、2.7mmol)と塩化メタンスルホニル(0.125mL、1.60mmol)を連続的に加えた。30分間攪拌後、ジメチルアミン(テトラヒドロフラン中2M;3mL)を加え、混合物を、さらに30分間攪拌した。水を加え、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン/酢酸エチル1:2)により精製し、次いでジイソプロピルエーテル/へキサンから再結晶して標題化合物(185mg、55%)を得た。H NMR(300MHz、DMSO−d)δ2.25(s、3H)、2.41(s、3H)、4.09(brd、J=8.5Hz、2H)、4.87(d、J=13.2Hz、1H)、5.05(d、J=13.2Hz、1H)、7.0−7.3(m、8H);ESI−MS m/z 252(陽性);C1618BNO=251。
(2−(ベンゾ[c][1,2]オキサボロール−1(3H)−イル)−5−クロロフェニル)−N,N−ジメチルメタンアミン(31)
【化30】

【0126】
a)臭化2−ブロモ−5−クロロベンジル:四塩化炭素(220mL)中、2−ブロモ−5−クロロトルエン(12.0g、56.6mmol)、N−ブロモスクシンイミド(11.1g、62.3mmol)、および2,2’−アゾビスイソ−ブチロニトリル(464mg、2.83mmol)の混合物を、各30分間50℃、60℃、70℃で攪拌、還流した。室温に冷却後、水を加え、混合物をクロロホルムで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して臭化2−ブロモ−5−クロロベンジル(17.1g)を得た。H NMR(300MHz、CDCl)δ4.53(s、2H)、7.15(dd、J=8.5、2.3Hz、1H)、7.45(d、J=2.3Hz、1H)、7.50(d、J=8.8Hz、1H)。
【0127】
b)1−ブロモ−2−(ジメチルアミノ)メチル−4−クロロベンゼン:上記化合物(5.00g、17.6mmol)のテトラヒドロフラン(10mL)溶液に、ジメチルアミン(テトラヒドロフラン中2M;20mL)を加え、混合物を2時間室温で攪拌した。水を加え、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して1−ブロモ−2−(ジメチルアミノ)メチル−4−クロロベンゼン(2.32g、53%)を得た。H NMR(300MHz、CDCl)δ2.30(s、6H)、3.48(s、2H)、7.09(dd、J=7.9、2.6Hz、1H)、7.45(d、J=8.2Hz、1H)、7.46(d、J=2.6Hz、1H)。
【0128】
c)(2−(ベンゾ[c][1,2]オキサボロール−1(3H)−イル)−5−クロロフェニル)−N,N−ジメチルメタンアミン:テトラヒドロフラン(8mL)中、1−ブロモ−2−(ジメチルアミノ)メチル−4−クロロベンゼン(1.00g、4.02mmol)に、窒素雰囲気下、−78℃でs−ブチルリチウム(シクロ−ヘキサン中1.4M;3.6mL)を加えた。15分間攪拌後、テトラヒドロフラン(4mL)中の2−[(メトキシメトキシメチル)フェニル]−[1,3,2]ジオキサ−ボロラン(892mg、4.02mmol)を加え、混合物を一晩攪拌しながら室温に温めた。水を加え、混合物を酢酸エチルで抽出した。pHを、1M塩酸でpH7に調整し、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去した。残渣をテトラヒドロフラン(60mL)に溶解し、1mol/L塩酸(20mL)を加えた。混合物を2時間還流した。室温まで冷却後、水と飽和重炭酸ナトリウムとを加え、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン/酢酸エチル2:3から1:2)により精製し、次いでジイソプロピルエーテルと共に粉砕して標題化合物(356mg、2ステップで31%)を得た。H NMR(300MHz、DMSO−d)δ2.25(s、3H)、2.41(s、3H)、4.10(d、J=3.8Hz、2H)、4.88(d、J=14.1Hz、1H)、5.05(d、J=14.1Hz、1H)、7.0−7.3(m、7H);ESI−MS m/z 288、286(陽性);C161735ClNO=285。
(2−(ベンゾ[c][1,2]オキサボロール−1(3H)−イル)−5−クロロフェニル)メタノール(32)
【化31】

【0129】
a)2−ブロモ−5−クロロベンジルアルコール:臭化2−ブロモ−5−クロロベンジル(12.1g、42.6mmol)、酢酸ナトリウム(16.4g、200mmol)、およびジメチルホルムアミド(120mL)の溶液を、70℃で一晩攪拌した。室温に冷却後、水を加え、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をメタノール(160mL)に溶解した。この混合物に、1M水酸化ナトリウム(40mL)を加え、混合物を2時間還流した。この混合物を、約半分の容量に減圧濃縮した。次いで水を加え、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をヘキサンで粉砕して所望のアルコール(5.00g、2ステップで53%)を得た。H NMR(300MHz、DMSO−d)δ4.47(d、J=5.6Hz、2H)、5.57(t、J=5.6Hz、1H)、7.26(dd、J=8.5、2.9Hz、1H)、7.50(d、J=2.6Hz、1H)、7.58(d、J=8.5Hz、1H)。
【0130】
b)1−ブロモ−4−クロロ−2−((メトキシメトキシ)メチル)ベンゼン:上記アルコールを、実施例11、ステップ(a)と同様の様式でそのメトキシメチルエーテルに変換して1−ブロモ−4−クロロ−2−((メトキシメトキシ)メチル)ベンゼンを得た。H NMR(300MHz、CDCl)δ3.43(s、3H)、4.62(s、2H)、4.77(s、2H)、7.13(dd、J=8.5、2.6Hz、1H)、7.46(d、J=8.5Hz、1H)、7.50(d、J=2.6Hz、1H)。
【0131】
c)(2−(ベンゾ[c][1,2]オキサボロール−1(3H)−イル)−5−クロロフェニル)メタノール:標題化合物は、上記中間体(b)および2−[(メトキシメトキシ−メチル)フェニル]−[1,3,2]−ジオキサボロランから得られた。H NMR(300MHz、DMSO−d)δ4.92(s、2H)、5.00(s、2H)、7.1−7.4(m、7H);ESI−MS m/z 259、257(陰性);C141235ClO=258。
(5−クロロ−2−(5−クロロベンゾ[c][1,2]オキサボロール−1(3H)−イル)フェニル)メタノール(33)
【化32】

【0132】
a)ビス[4−クロロ−2−(メトキシメトキシメチル)フェニル]ボリン酸:1−ブロモ−4−クロロ−2−((メトキシメトキシ)メチル)ベンゼン(3.62g、13.6mmol)のテトラヒドロフラン(27mL)溶液に、窒素雰囲気下、−78℃でs−ブチルリチウム(シクロヘキサン中1.4mol/L;12mL)を加えた。15分間攪拌後、テトラヒドロフラン(5mL)中のホウ酸トリメチル(706mg、6.8mmol)を滴下により加え、混合物を室温で一晩攪拌した。水と1mol/L塩酸を加え、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン/酢酸エチル3:1〜2:1)により精製して所望の酸(880mg、32%)を得た。
【0133】
b)(5−クロロ−2−(5−クロロベンゾ[c][1,2]オキサボロール−1(3H)−イル)フェニル)メタノール:標題化合物は、実施例11、ステップ(e)と同様の様式で上記化合物から、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(クロロホルム/メタノール9:1)による精製後に得られた。H NMR(300MHz、DMSO−d)δ4.93(s、4H)、7.18(m、4H)、7.32(m、2H);ESI−MS m/z 295、293、291(陰性);C141135Cl=292。
(5−クロロ−2−(5−クロロベンゾ[c][1,2]オキサボロール−1(3H)−イル)フェニル−N,N−ジメチル−メタンアミン(34)
【化33】

【0134】
標題化合物を、(5−クロロ−2−(5−クロロベンゾ[c][1,2]オキサボロール−1(3H)−イル)フェニル)メタノールから得た。H NMR(300MHz、DMSO−d)δ2.26(s、3H)、2.42(s、3H)、4.11(d、J=2.9Hz、2H)、4.86(d、J=14.7Hz、1H)、5.03(d、J=14.3Hz、1H)、7.03(d、J=7.6Hz、1H)、7.1−7.2(m、3H)、7.2−7.3(m、2H);ESI−MS m/z 324、322、320(陽性);C161635ClNO=319。
1−(4−クロロ−2−メトキシフェニル)−1,3−ジヒドロベンゾ[c][1,2]ベンゾオキサボロール(35)
【化34】

【0135】
a)4−クロロ−2−メトキシフェニルボロン酸エチレングリコールエステル:2−ブロモ−5−クロロアニソール(4.43g、20mmol)の乾燥THF(100mL)溶液に、−78℃でt−BuLi(14.1mL、1.7M;23.97mmol)を滴下により加えた。この混合物を、−78℃で10分間攪拌し、ホウ酸トリメチル(2.23mL、20mmol)を加えた。冷浴を取り外し、混合物を−78℃から室温に30分間攪拌してから、水浴で3時間攪拌した。塩酸(6N、8mL)とブラインを加えた。混合物を酢酸エチルで抽出し、乾燥し、蒸発させて、4−クロロ−2−メトキシフェニルボロン酸を89.4%の収率(3.33g、17.88mmol)で褐色固体として得た。このボロン酸を、エチレングリコール(1.1g、17.88mmol)とトルエン(150mL)とで混合した。この混合物を、N下で、ディーンスタークトラップの補助により2時間還流して、生成した水を除いた。室温に冷却後、この溶液を別の乾燥フラスコに移し、ロータリー蒸発させて4−クロロ−2−メトキシフェニルボロン酸エチレングリコールエステルを84.8%の収率(3.6g、16.97mmol)で褐色液として得た。
【0136】
b)1−(4−クロロ−2−メトキシフェニル)−1,3−ジヒドロベンゾ[c][1,2]ベンゾオキサボロール:実施例11(a)に記載されたとおりに得られた臭化2−(メトキシメトキシメチル)フェニル(3.929g、17mmol)の乾燥THF(150〜200mL)溶液に、−78℃でt−BuLi(12mL、1.7M、20.4mmol)を滴下により加えた。この混合物を、−78℃で10分間攪拌し、4−クロロ−2−メトキシフェニルボロン酸エチレングリコールエステル(3.6g、17mmol)のTHF層(30mL)溶液を加えると、粘稠な混合物が生じた。冷浴を取り外し、混合物を−78℃から室温に30分間攪拌してから、水浴で3時間攪拌した。塩酸(6N、12mL)を加え、混合物を5分間だけ攪拌した。水層を除き、THFをロータリー蒸発させた。残渣をTHF(50mL)、メタノール(50mL)および6N HCl(50mL)と混合し、室温で30分間攪拌して均一溶液を得た。有機溶媒をロータリー蒸発させて、残渣を酢酸エチル(3×80mL)で抽出した。酢酸エチル溶液を合わせて、ブラインで洗浄し、乾燥し、蒸発させた。残渣を、ヘキサン類と酢酸エチルとの混合溶媒(6:1、v/v)で溶出させるフラッシュカラムクロマトグラフィにより精製して、59.8%の収率(AN−2551、2.63g、10.17mmol)で1,3−ジヒドロ−1−(4−クロロ−2−メトキシフェニル)−2,1−ベンゾオキサボロールを白色固体として得た。M.p.66〜68℃;H NMR(DMSO−d、300MHz):δ8.05(dm、J=7.2Hz、1H)、7.80(dd、J=7.8Hz、J=2.1Hz、1H)、7.52−7.50(m、2H)、7.40−7.36(m、1H)、7.15−7.13(m、1H)、7.06(dt、J=8.1Hz、J=2.1Hz、1H)、5.34(s、2H)および3.904&3.898(s&s、3H)ppm。
2−(ベンゾ[c][1,2]オキサボラール−1(3H)−イル)−5−クロロフェノール(36)
【化35】

【0137】
白色固体としての1,3−ジヒドロ−1−(4−クロロ−2−メトキシフェニル)−2,1−ベンゾオキサボロール(AN−2551、0.5g、1.93mmol)の無水メチレンクロリド(25mL)溶液に、窒素下、−78℃でメチレンクロリド中の三臭化ホウ素溶液(1.0M、1.93mL、1.93mmol)を滴下により加えた。この混合物を、−78℃で1時間、室温で4時間攪拌した。次いで、反応フラスコを、−78℃に再度冷却し、メタノール(10mL)を加えた。反応混合物を室温に温め、6N HCl(2mL)を加えた。混合物を蒸発させて残渣を得、酢酸エチルと混合させた。有機層をブラインで洗浄し、乾燥し、蒸発させた。残渣を、ヘキサン類と酢酸エチルとの混合溶媒(4:1、v/v)で溶出させるフラッシュカラムクロマトグラフィにより精製して、67.8%の収率(0.32g、1.31mmol)で所望の化合物1,3−ジヒドロ−1−(4−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)−2,1−ベンゾオキサボロールを白色固体として得た。M.p.96〜98℃;H NMR(MeOH−d、300MHz):δ8.19(d、J=7.5Hz、1H)、7.92(d、J=8.1Hz、1H)、7.52−7.51(m、2H)、7.43−7.38(m、1H)、6.96−6.91(m、1H)、6.89−6.88(m、1H)および5.41(s、2H)ppm。
2−(3−(ベンゾ[c][1,2]オキサボロール−1(3H)−イル)フェノキシ)−5−クロロフェノール(37)
【化36】

【0138】
a)臭化3−(4−クロロ−2−メトキシフェノキシ)フェニル:温度計、上部冷却器付ディーン−スタークトラップおよびラバーセプタを装備した三頚フラスコに、4−クロロ−2−メトキシフェノール(10g、63.05mmol)、1,3−ジブロロベンゼン(14.88g、63.05mmol)、銅粉(0.4g、6.3mmol)および水酸化カリウム(5g、75.7mmol)を加えた。窒素雰囲気下で、混合物を攪拌し、220〜230℃まで徐々に加熱し、この温度で1時間維持した。室温に冷却後、メチレンクロリドを加え、混合物をろ過した。ろ液を10%NaOH(2×200mL)で洗浄し、乾燥し、蒸発させた。残渣を、ヘキサン類とEtOAcとの混合溶媒(6:1、v/v)で溶出させるシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィにより精製して、15.6%の収率(3.09g、9.85mmol)で臭化3−(4−クロロ−2−メトキシフェノキシ)フェニルを液体−固体混合形態として得た。H NMR(DMSO−d、300MHz):δ7.29−7.20(m、3H)、7.12(dd、J=8.4Hz、J=1.2Hz、1H)、7.05−7.00(m、2H)、6.85−6.81(m、1H)、および3.75(s、3H)ppm。
【0139】
b)臭化3−(4−クロロ−2−ヒドロキシフェノキシ)フェニル:実施例37に用いられた脱メチル化法を、臭化3−(4−クロロ−2−メトキシフェノキシ)フェニルから臭化3−(4−クロロ−2−ヒドロキシフェノキシ)フェニルの合成に適応させた。粗製物を、ヘキサン類とEtOAcとの混合溶媒(6:1、v/v)で溶出させるフラッシュカラムクロマトグラフィにより精製して、100%の収率で臭化3−(4−クロロ−2−ヒドロキシフェノキシ)フェニルを白色固体として得た。M.p.63〜65℃;MS(ESI、陰性):m/z=299(M−1);H NMR(DMSO−d、300MHz):δ10.21(s、1H)、7.28−7.19(m、2H)、7.05(d、J=9.0Hz、1H)、6.99−6.97(m、2H)、および6.89−6.82(m、2H)ppm。
【0140】
c)臭化3−(4−クロロ−2−メトキシメトキシフェノキシ)フェニル:実施例11(a)に用いられたメトキシメチル保護法を、臭化3−(4−クロロ−2−ヒドロキシフェノキシ)フェニルから臭化3−(4−クロロ−2−メトキシメトキシフェノキシ)フェニルの合成に適応した。粗製物を、ヘキサン類と酢酸エチルとの混合溶媒(5:1、v/v)で溶出させるフラッシュカラムクロマトグラフィにより精製して、84.5%の収率で臭化3−(4−クロロ−2−メトキシメトキシフェノキシ)フェニルを無色油として得た。H−NMR(DMSO−d、300MHz):δ7.33−7.01(m、6H)、6.89−6.85(m、1H)、5.18(s、2H)および3.21(s、3H)ppm。
【0141】
d)2−(3−(ベンゾ[c][1,2]オキサボロール−1(3H)−イル)フェノキシ)−5−クロロフェノール:臭化2−(メトキシメトキシ)メチルフェニルおよび4−クロロ−2−メトキシフェニルボロン酸エチレングリコールエステルから実施例36の調製に用いられた方法を、臭化3−(4−クロロ−2−メトキシメトキシフェノキシ)フェニルおよび2−[(メトキシメトキシ)メチル]フェニルボロン酸エチレングリコールエステルからの標題化合物の合成に適応した。粗製物を、ヘキサン類とEtOAcとの混合溶媒(4:1、v/v)で溶出させるシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィにより精製した。得られた固体を、n−ペンタンおよびヘキサン類(50:50、v/v)で洗浄して、28.5%の収率で1,3−ジヒドロ−1−[3−(4−クロロ−2−ヒドロキシフェノキシ)フェニル]−2,1−ベンゾオキサボロールを白色固体として得た。M.p.115〜117℃;H NMR(MeOH−d、300MHz):δ8.05(d、J=7.2Hz、1H)、7.85(d、J=6.9Hz、1H)、7.64(d、J=2.1Hz、1H)、7.52(d、J=3.9Hz、2H)、7.47−7.38(m、2H)、7.11(dd、J=8.1Hz、J=2.1Hz、1H)、6.98(d、J=2.4Hz、1H)、6.91(d、J=8.7Hz、1H)、6.83(dd、J=8.4Hz、J=2.4Hz、1H)および5.35(s、2H)ppm。あるいは、標題化合物は、臭化3−(4−クロロ−2−メトキシフェノキシ)フェニルのリチウム交換に次いで2−[(メトキシメトキシ)メチル]フェニルボロン酸エチレングリコールエステルと反応させることにより調製し、標題化合物の対応するメチル化類縁体を得ることができる。この類縁体の脱メチル化により、所望の標題化合物を生成させることができる。
4−((3−(5−フルオロベンゾ[c][1,2]オキサボロール−1(3H)−イル)フェニル)メチル)モルホリン(38)
【化37】

【0142】
標題化合物は、実施例27で得られた(3−(5−(フルオロベンゾ[c][1,2]オキサボロール−1(3H)−イル)フェニル)メタノールおよびモルホリンから得られた。それをエーテルに溶解し、メタノール中0.25Mフマル酸溶液で処理した。溶媒を減圧留去し、残渣をジイソプロピルエーテルと共に粉砕して、標題化合物をフマル酸塩として得た。H NMR(DMSO−d、300MHz):δ2.41(m、4H)、3.57(m、4H)、5.33(s、2H)、6.60(s、1H)、7.23(t、J=9.1Hz、1H)、7.3−7.5(m、3H)、7.94(m、2H)、8.12(dd、J=7.6,6.5Hz、1H):ESI−MS m/z 312(陽性);C1819BFNO=311。
(3−(5−フルオロベンゾ[c][1,2]オキサボロール−1(3H)−イル)フェニル)−メチル8−ヒドロキシ−キノリン−2−カルボキシレート(39)
【化38】

【0143】
ジメチルホルムアミド(3mL)中、実施例27の(3−(5−(フルオロベンゾ[c][1,2]オキサボロール−1(3H)−イル)−フェニル)メタノール(100mg、0.413mmol)、8−ヒドロキシキノリン−2−カルボン酸(156mg、0.826mmol)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(159mg、0.826mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(112mg、0.826mmol)、および4−N,N−ジメチルアミノピリジン(101mg、0.826mmol)の混合物を、室温で一晩攪拌した。水を加え、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン/酢酸エチル1:1)により精製し、次いで酢酸エチル/ヘキサンから再結晶して、標題化合物(92mg、54%)を得た。H NMR(DMSO−d、300MHz):δ5.34(s、2H)、5.54(s、2H)、7.1−7.2(m、2H)、7.36(dd、J=9.6、2.0Hz、1H)、7.4−7.6(m、3H)、7.67(d、J=7.6Hz、1H)、8.01(d、J=7.3Hz、1H)、8.1−8.2(m、3H)、8.47(d、J=8.5Hz、1H)、10.0(s、1H):ESI−MS m/z 414(陽性)、412(陰性);C2417BFNO=413。
1−(3−クロロフェニル)−2,3−ジヒドロ−2−(メトキシメチル)−1H−ベンゾ[c][1,2]アザボロール(40)
【化39】

【0144】
a)N,N−ビス(メトキシメチル)−2−ブロモベンジルアミン:塩酸2−ブロモベンジル−アミン(4.85g、20.7mmol)のメタノール(200mL)溶液に、37%ホルムアルデヒド(25mL)および炭酸カリウム(4.28g、31.0mmol)を加え、混合物を室温で一晩攪拌した。この混合物を三分の一の容量に減圧蒸発させた。水を加え、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、N,N−ビス(メトキシメチル)−2−ブロモベンジルアミン(5.76g、定量的)を得た。H NMR(300MHz、CDCl):δ3.28(s、6H)、4.11(s、2H)、4.26(s、4H)、7.12(td、J=7.6、1.8Hz、1H)、7.28(td、J=7.3、0.9Hz、1H)、7.43(dd、J=7.6、1.8Hz、1H)、7.55(dd、J=7.9、1.2Hz、1H)。
【0145】
b)3−クロロフェニル2−[N,N−ビス(メトキシメチル)アミノメチル]フェニルボリン酸:上記化合物の(2.74g、10.0mmol)のテトラヒドロフラン(20mL)溶液に、窒素雰囲気下、−78℃でs−ブチルリチウム(シクロヘキサン中1.4mol/L;10mL)を加えた。15分間攪拌後、混合物にテトラヒドロフラン(8mL)中の3−クロロフェニル−[1,3,2]−ジオキサボロラン(1.82g、10.0mmol)を加え、混合物を室温で2時間攪拌した。水と1M塩酸を加え、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、3−クロロフェニル2−[N,N−ビス(メトキシメチル)アミノメチル]フェニルボリン酸(2.57g、77%)を得た。
【0146】
c)1−(3−クロロフェニル)−2,3−ジヒドロ−2−(メトキシメチル)−1H−ベンゾ[c][1,2]アザボロール:上記化合物(1.00g、4.18mmol)のエタノール(27mL)溶液に、濃塩酸(3mL)を加え、この混合物を一晩還流した。飽和重炭酸ナトリウムを加え、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(クロロホルム/メタノール9:1)により精製して標題化合物(550mg、68%)を得た。H NMR(300MHz、DMSO−d):δ3.03(s、3H)、3.9−4.2(m、2H)、5.94(brs、2H)、7.0−7.3(m、7H)。
1−(3−クロロフェニル)−1,3,4,5−テトラヒドロベンゾ−[c][1,2]−オキサボレピン(41)
【化40】

【0147】
a)3−(2−ブロモフェニル)プロパン−1−オール:3−(2−ブロモフェニル)プロピオン酸(4.989g、21.8mmol)を、N下、50mLの乾燥THFに溶解し、0℃に冷却した。BH−THF(THF中1M)(40mL、40mmol)を、攪拌しながら滴下により加えた。激しい発泡が静まったら、溶液を0℃でさらに0.5時間攪拌してから室温に温めた。溶液を室温で18時間攪拌した。THFを減圧留去し、残渣をCHCl(100mL)に溶解した。メタノールを、発泡が見られなくなるまでこの溶液に徐々に加え、溶液をさらに15分間攪拌した。溶媒を減圧留去し、残渣を再度メタノール(100mL)に溶かした。この溶液を10分間攪拌してから、溶媒を減圧留去した。残渣を、高度真空(<1mmHg)下でさらに数時間乾燥した。これにより、純粋な3−(2−ブロモフェニル)プロパン−1−オールを黄色油(4.54g、97%)として得た。H NMR δ1.90(tt、2H)、2.84(t、2H)、3.71(t、2H)、7.06(m、1H)、7.24(m、2H)、7.53(d、1H)。
【0148】
b)1−ブロモ−2−(2−(メトキシメトキシ)プロピル)ベンゼン:3−(2−ブロモフェニル)プロパン−1−オール(2.123g、9.9mmol)を、N下、室温で50mLのCHClに溶解した。次にジイソプロピルエチルアミン(1.9mL、10.9mmol)とクロロメチルメチルエーテル(0.82mL、10.8mmol)とを加え、溶液を室温で18時間攪拌した。反応混合物を、分液ロートに注いでHO(2×20mL)に次いでブライン(1×20mL)で抽出した。CHClをMgSOで乾燥し、ろ過し、減圧蒸発させて純粋な1−ブロモ−2−(2−メトキシメトキシ)プロピル)ベンゼンを黄色油(2.45g、96%)として得た。H NMR δ1.92(tt、2H)、2.83(t、2H)、3.39(s、3H)、3.58(t、2H)、4.65(s、2H)、7.06(m、1H)、7.24(m、2H)、7.53(d、1H)。
【0149】
c)1−(3−クロロフェニル)−1,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[c][1,2]−オキサボレピン:2−ブロモ−2−(3−メトキシメトキシプロピル)ベンゼン(1.212g、4.7mmol)を、N下、50mLの乾燥THFに溶解し、−78℃に冷却した。t−BuLi(ペンタン中1.7M)(6.0mL、10.2mmol)を、この溶液に徐々に加えた。−78℃で15分間攪拌後、2−(3−クロロ−フェニル)−[1,3,2]ジオキサボロランを加え、溶液をさらに0.5時間攪拌した。次に溶液を室温に温め、18時間攪拌した。次いで5mLの濃HClを加え、溶液を室温でさらに24時間攪拌した。次いで10mLのHOを加え、THFを減圧留去した。水溶液を、ジエチルエーテル(3×50mL)で抽出した。エーテル抽出液を合わせ、中性になるまでブラインで洗浄した。このエーテルをMgSOで乾燥し、ろ過し、蒸発させて、橙色油を得た。溶出液としてヘキサン類:酢酸エチル5:1を用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィにより粗製物を精製した。溶媒留去後、標題化合物(Rf=0.82)を、黄色油(0.480g、40%)として得た。H NMR δ2.18(tt、2H)、2.81(t、2H)、4.11(t、2H)、7.24(t、1H)、7.29−7.36(2H)、7.40−7.49(3H)、7.73(td、1H)、7.84(m、1H);MS(ES)分子イオンは観測されず;HPLC[保持時間(面積%)]15.573分(96.9%)。
1−(3−クロロフェニル)−3,4−ジヒドロ−1H−ベンゾ[c][1,2]−オキサボリニン(42)
【化41】

【0150】
a)2−(3−クロロフェニル)−[1,3,2]ジオキサボロラン:3−クロロフェニルボロン酸(3.041g、19.4mmol)を、N下、75mLの乾燥THFに溶解した。エチレングリコール(1.323g、21.3mmol)を加え、溶液を18時間還流した。溶液を冷却し、THFを減圧留去した。残渣を、時折加熱しながら高度真空(<1mmHg)下でさらに乾燥して、過剰のエチレングリコールとTHFを除去した。これにより、純粋な2−(3−クロロフェニル)−[1,3,2]ジオキサボロラン(3.55g、100%)が褐色油として得られ、フリーザー中冷却すると固化した。H NMR δ4.39(s、4H)、7.32(t、1H)、7.44(ddd、1H)、7.67(d、1H)、7.78(d、1H)。
【0151】
b)1−ブロモ−2−(2−(メトキシメトキシ)エチル)ベンゼン:水素化ナトリウム(鉱油中60%分散、0.966g、24.1mmol)を、N下、250mLの丸底フラスコに入れた。NaHを乾燥ヘキサン類(10mL)で洗浄した。ヘキサン類をカニューレにより除去し、この処理を2回繰り返した(2×10mL)。自由流動粉末になるまでNaHを減圧乾燥し、N下に置いた。2−(2−ブロモフェニル)エタノール(4.016g、20mmol)を、60mLの乾燥THF中に溶解し、固体NaHに滴下して加えた。Hの発生が止んだら、この溶液を1時間還流した。該溶液を室温まで放冷してから、氷浴中で0℃に冷却した。次いでクロロメチルメチルエーテル(1.52mL、20mmol)を加え、この溶液を室温まで温めた。前記溶液を室温で18時間攪拌してから、セライトの1.5cmカラムを通してろ過した。セライトをTHFで洗浄した(2×15mL)。THFのろ液を合わせて、減圧蒸発させると純粋なメトキシメトキシエーテルを油(4.64g、95%)として得た。H NMRδ3.06(t、2H)、3.31(s、3H)、3.78(t、2H)、4.62(s、2H)、7.08(dt、1H)、7.26(m、2H)、7.54(dd、1H)。
【0152】
c)(3−クロロフェニル)(2’−(2−(メトキシメトキシ)エチル)フェニル)ボリン酸:1−ブロモ−2−(2−(メトキシメトキシ)エチル)ベンゼン(2.21g、9.0mmol)を、N下、50mLの無水THFに溶解し、−78℃に冷却した。この溶液に、t−BuLi(ペンタン中1.7M)(11.7mL、19.9mmol)を徐々に加えた。−78℃で15分間攪拌後、10mLの乾燥THF中、2−(3−クロロフェニル)−[1,3,2]−ジオキサボロランを加え、この溶液を、さらに0.5時間攪拌した。次いで溶液を室温まで温め、18時間攪拌した。THFを減圧留去し、残渣を50mLのHOと80mLのジエチルエーテルとの間で分配した。溶液を数分間激しく攪拌してから、6N HClで中和(pH=7)した。エーテルを分離し、水性溶液を、再度エーテル(2×50mL)で抽出した。エーテル抽出液を合わせ、MgSOで乾燥し、ろ過し、蒸発させると橙色油(2.83g)を得た。生成物のH NMRは、所望のボリン酸が形成していることを示した。これを精製せずに次のステップに用いた。
【0153】
d)1−(3−クロロフェニル)−3,4−ジヒドロ−1H−ベンゾ[c][1,2]−オキサボリニン:MOM保護した粗製ボリン酸(2.83g)を、46mLのTHFおよび4mLの濃HClに溶解した。この溶液を、室温で12時間攪拌した。次いで10mLのHOを加え、THFを減圧留去した。水溶液を、ジエチルエーテル(3×50mL)で抽出した。エーテル抽出液を合わせ、ブラインで中性になるまで洗浄した。前記エーテルを、MgSOで乾燥し、ろ過し、蒸発させると橙色油(2.5g)を得た。溶出液としてヘキサン類:酢酸エチル5:1を用い、この粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィにより精製した。溶媒留去後、純粋な生成物(Rf=0.66)を、黄色油(0.600g、27%;2ステップ)として得た。1H NMRδ3.03(t、2H)、4.35(t、2H)、7.26(d、1H)、7.32−7.39(2H)、7.44−7.50(2H)、7.75(d、1H)、7.79(d、1H)、7.85(m、1H):MS(ES)243.01;HPLC[保持時間(面積%)]14.623分(96.8%)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1
【化1】


(式中、Bは、ホウ素であり、Mは、酸素、硫黄およびNR**から選択され、
式中、Rは、置換または非置換アルキル(C〜C)、置換または非置換シクロアルキル(C〜C)、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アルキニル、置換または非置換アラルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから選択され、
式中、R**は、H、アルキル、アルキルオキシ、アルコキシアルキル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリールであり、
式中、Aは、CH、CR、またはNであり、
式中、Dは、CH、CR、またはNであり、
式中、Eは、CH、CR、またはNであり、
式中、Gは、CH、CR、またはNであり、
窒素の組合せ(A+D+E+G)は、0〜3であり、
式中、Jは、(CH(n=0から2)またはCHRであり、
式中、Wは、(CH(m=0から1)、C=O(カルボニル)またはCHRであり、
式中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、ハロアルキル、アルキル、(CHOH(p=1から3)、ハロゲン、CHO、CH=NOH、COH、CO−アルキル、S−アルキル、SO−アルキル、S−アリール、(CHNR1819(式中、R18およびR19は、それぞれ独立して、水素、アルキル、およびアルカノイルから選択される)(q=0から2)、アルコキシ、CF、SCF、NO、SOH、OH、置換または非置換アリール、置換または非置換アラルキル、置換または非置換ヘテロアリール、縮合置換または非置換アリール、縮合置換または非置換ヘテロアリールよりなる群から選択され、
式中、Rは、置換または非置換アルキル(C〜C)、置換または非置換シクロアルキル(C〜C)、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アルキニル、置換または非置換アラルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから選択され、
式中、Rは、置換または非置換アルキル(C〜C)、置換または非置換シクロアルキル(C〜C)、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アルキニル、置換または非置換アラルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから選択される)
の構造を有する、
その塩類、特に製薬的に許容できる全ての塩類を含む、化合物。
【請求項2】
Mが、酸素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Mが、硫黄である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Mが、NR**である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
が、置換または非置換アルキル(C〜C)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
が、置換または非置換シクロアルキル(C〜C)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
が、置換または非置換アルケニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
前記アルケニルが、下記構造
【化2】


(式中、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アラルキル、(CHOH(rは1から3)、CHNR2021(式中、R2oおよびR21は、それぞれ独立して、水素およびアルキルから選択される)、COH、COアルキル、CONH、S−アルキル、S−アリール、SOアルキル、SOH、SCF、CN、ハロゲン、CFおよびNOよりなる群から選択される)
を有する、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
が、置換または非置換アルキニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
前記アルキニルが、下記構造
【化3】


(式中、Rは、水素、アルキル、ハロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アラルキル、(CHOH(ここで、r=1から3)、CHNR2021(式中、R20およびR21は、それぞれ独立して、水素およびアルキルから選択される)、COH、COアルキル、CONH、S−アルキル、S−アリール、SOアルキル、SOH、SCF、CN、ハロゲン、CFおよびNOよりなる群から選択される)
を有する、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
が、置換または非置換アリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
前記アリールが、下記構造
【化4】


(式中、R10、R11、R12、R13およびR14は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アラルキル、(CHOH(ここで、s=1から3)、COH、COアルキル、CONH、CONHアルキル、CON(アルキル)、OH、アルコキシ、アリールオキシ、SH、S−アルキル、S−アリール、SOアルキル、SOH、SCF、CN、ハロゲン、CF、NO、(CHNR2223(式中、R22およびR23は、それぞれ独立して、水素、アルキルおよびアルカノイルから選択される)(t=0から2)、SONH、OCHCHNH、OCHCHNHアルキル、OCHCHN(アルキル)、オキサゾリジン−2−イル、またはアルキル置換オキサゾリジン−2−イルよりなる群から選択される)
を有する、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
が、置換または非置換アラルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
前記アラルキルが、下記構造
【化5】


(式中、R10、R11、R12、R13およびR14は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アラルキル、(CHOH(ここで、s=1から3)、COH、COアルキル、CONH、CONHアルキル、CON(アルキル)、OH、アルコキシ、アリールオキシ、SH、S−アルキル、S−アリール、SOアルキル、SOH、SCF、CN、ハロゲン、CF、NO、(CHNR2223(式中、R22およびR23は、それぞれ独立して、水素、アルキル、およびアルカノイルから選択される)(t=0から2)、SONH、OCHCHNH、OCHCHNHアルキル、OCHCHN(アルキル)、オキサゾリジン−2−イル、またはアルキル置換オキサゾリジン−2−イルよりなる群から選択される)
を有する、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
が、置換または非置換ヘテロアリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
前記ヘテロアリールが、下記構造
【化6】


(式中、X= CH=CH、N=CH、NR17(式中、R17=H、アルキル、アリールまたはベンジルである)、O、またはSであり、
式中、Y=CHまたはNであり、
式中、R15およびR16は、それぞれ独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アラルキル、(CHOH(ここで、u=1から3)、(CHNR2425(式中、R24およびR25は、それぞれ独立して、水素アルキルおよびアルカノイルから選択され、ここで、v=0から3)、COH、COアルキル、CONH、S−アルキル、S−アリール、SOアルキル、SOH、SCF、CN、ハロゲン、CFおよびNOよりなる群から選択される)
を有する、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
化合物11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24の構造を有する化合物。
【請求項18】
製薬的に許容できる担体に、請求項1に記載の化合物を含む組成物。
【請求項19】
製薬的に許容できる担体に、請求項17に記載の化合物を含む組成物。
【請求項20】
細菌を、式1
【化7】


(式中、Bは、ホウ素であり、Mは、酸素、硫黄およびNR**から選択され、
式中、Rは、置換または非置換アルキル(C〜C)、置換または非置換シクロアルキル(C〜C)、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アルキニル、置換または非置換アラルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから選択され、
式中、R**は、H、アルキル、アルキルオキシ、アルコキシアルキル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリールであり、
式中、Aは、CH、CR、またはNであり、
式中、Dは、CH、CA、またはNであり、
式中、Eは、CH、CR、またはNであり、
式中、Gは、CH、CR、またはNであり、
窒素の組合せ(A+D+E+G)は、0〜3であり、
式中、Jは、(CH(n=0から2)またはCHRであり、
式中、Wは、(CH(m=0から1)、C=O(カルボニル)またはCHRであり、
式中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、ハロアルキル、アルキル、(CH0H(p=1から3)、ハロゲン、CHO、CH=NOH、COH、C0−アルキル、S−アルキル、S0−アルキル、S−アリール、(CHNR1819(式中、R18およびR19は、それぞれ独立して、水素、アルキルおよびアルカノイルから選択される)(q=0から2)、アルコキシ、CF、SCF、NO、SOH、OH、置換または非置換アリール、置換または非置換アラルキル、置換または非置換ヘテロアリール、縮合置換または非置換アリール、縮合置換または非置換ヘテロアリールよりなる群から選択され、
式中、Rは、置換または非置換アルキル(C〜C)、置換または非置換シクロアルキル(C〜C)、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アルキニル、置換または非置換アラルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから選択され、
式中、Rは、置換または非置換アルキル(C〜C)、置換または非置換シクロアルキル(C〜C)、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アルキニル、置換または非置換アラルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから選択される)
の構造を有する、その塩類、特に製薬的に許容できる全ての塩類を含む化合物と接触させることを含む、微生物の増殖を阻害する方法。
【請求項21】
Mが、酸素である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
Mが、硫黄である、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
Mが、NR**である、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
が、置換または非置換アルキル(C〜C)である、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
が、置換または非置換シクロアルキル(C〜C)である、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
が、置換または非置換アルケニルである、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
前記アルケニルが、下記構造
【化8】


(式中、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アラルキル、(CHOH(ここで、rは1から3)、CHNR2021(式中、R20およびR21は、それぞれ独立して、水素およびアルキルから選択される)、COH、COアルキル、CONH、S−アルキル、S−アリール、SOアルキル、SOH、SCF、CN、ハロゲン、CFおよびNOよりなる群から選択される)
を有する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
が、置換または非置換アルキニルである、請求項20に記載の方法。
【請求項29】
前記アルキニルが、下記構造
【化9】


(式中、Rは、水素、アルキル、ハロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アラルキル、(CHOH(ここで、r=1から3)、CHNR2021(式中、R20およびR21は、それぞれ独立して、水素およびアルキルから選択される)、COH、COアルキル、CONH、S−アルキル、S−アリール、SOアルキル、SOH、SCF、CN、ハロゲン、CFおよびNOよりなる群から選択される)
を有する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
が、置換または非置換アリールである、請求項20に記載の方法。
【請求項31】
前記アリールが、下記構造
【化10】


(式中、R10、R11、R12、R13およびR14は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アラルキル、(CHOH(ここで、s=1から3)、COH、COアルキル、CONH、CONHアルキル、CON(アルキル)、OH、アルコキシ、アリールオキシ、SH、S−アルキル、S−アリール、SOアルキル、SOH、SCF、CN、ハロゲン、CF、NO、(CHNR2223(式中、R22およびR23は、それぞれ独立して、水素、アルキル、およびアルカノイルから独立して選択される)(t=0から2)、SONH、OCHCHNH、OCHCHNHアルキル、OCHCHN(アルキル)、オキサゾリジン−2−イル、またはアルキル置換オキサゾリジン−2−イルよりなる群から選択される)
を有する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
が、置換または非置換アラルキルである、請求項20に記載の方法。
【請求項33】
前記アラルキルが、下記構造
【化11】


(式中、R10、R11、R12、R13およびR14は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アラルキル、(CHOH(ここで、s=1から3)、COH、COアルキル、CONH、CONHアルキル、CON(アルキル)、OH、アルコキシ、アリールオキシ、SH、S−アルキル、S−アリール、SOアルキル、SOH、SCF、CN、ハロゲン、CF、NO、(CHNR2223(式中、R22およびR23は、それぞれ独立して、水素、アルキル、およびアルカノイルから選択される)(t=0から2)、SONH、OCHCHNH、OCHCHNHアルキル、OCHCHN(アルキル)、オキサゾリジン−2−イル、またはアルキル置換オキサゾリジン−2−イルよりなる群から選択される)
を有する、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
が、置換または非置換ヘテロアリールである、請求項20に記載の方法。
【請求項35】
前記ヘテロアリールが、下記構造
【化12】


(式中、X= CH=CH、N=CH、NR17(式中、R17=H、アルキル、アリールまたはベンジルである)、O、またはSであり、
式中、Y=CHまたはNであり、
式中、R15およびR16は、それぞれ独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アラルキル、(CHOH(ここで、u=3まで)、(CHNR2425(式中、R24およびR25は、それぞれ独立して、水素、アルキルおよびアルカノイルから選択され、v=0から3)、COH、COアルキル、CONH、S−アリール、SOアルキル、SOH、SCF、CN、ハロゲン、CFおよびNOよりなる群から選択される)
を有する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記化合物が、化合物11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24の構造を有する、請求項18に記載の方法。
【請求項37】
前記接触を、インビボで行う、請求項18に記載の方法。
【請求項38】
患者に請求項1に記載の化合物の治療的有効量を投与することを含む、微生物性疾患に悩む患者における微生物性疾患を治療する方法。
【請求項39】
前記微生物が、細菌である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記細菌が、グラム陽性菌である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記グラム陽性菌が、ブドウ球菌種、連鎖球菌種、バチルス種、マイコバクテリウム種、コリネバクテリウム種(プロピオン酸菌種)、クロストリジウム種、放線菌種、エンテロコッカス種およびストレプトミセス種よりなる群から選択されるメンバーである、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記細菌が、グラム陰性菌である、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
前記グラム陰性菌が、アシネトバクター種、ナイセリア種、シュードモナス種、ブルセラ種、アグロバクテリウム種、ボルデテラ種、大腸菌種、赤痢菌種、エルシニア種、サルモネラ種、クレブシエラ種、エンテロバクター種、ヘモフィルス種、パスツレラ種、ストレプトバチルス種、スピロヘータ種、カンピロバクター種、ビブリオ種およびヘリコバクター種よりなる群から選択されるメンバーである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記細菌が、座瘡プロピオンバクテリウム、黄色ブドウ球菌;表皮ブドウ球菌、腐性ブドウ球菌;化膿連鎖球菌;ストレプトコッカス・アガラクティエ;肺炎球菌;エンテロコッカス・フェカリス;エンテロコッカス・フェシウム;炭疽菌;マイコバクテリウム・アビウム−イントラセルラー、結核菌、アシネトバクター・バウマニイ(Acinetobacter baumanii);ジフテリア菌;ウェルシュ菌;ボツリヌス菌;破傷風菌;淋菌;髄膜炎菌;緑膿菌;レジュネラ・ニューモフィラ菌;大腸菌;ペスト菌;インフルエンザ菌;ピロリ菌;カンピロバクター・フィタス;カンピロバクター・ジェジュニ;コレラ菌;腸炎ビブリオ;トレポメナ・パリダム;イスラエル放線菌;発疹チフスリケッチア;斑点熱リケッチア;トラコーマクラミジア;オウム病クラミジア;ウシ流産菌;アグロバクテリウムチュメファシエンス;および野兎病菌よりなる群から選択されるメンバーである、請求項39に記載の方法。
【請求項45】
前記化合物が、化合物11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24の構造を有する、請求項38に記載の方法。
【請求項46】
ウィルスを、式1
【化13】


(式中、Bは、ホウ素であり、Mは、酸素、硫黄およびNR**から選択され、
式中、Rは、置換または非置換アルキル(C〜C)、置換または非置換シクロアルキル(C〜C)、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アルキニル、置換または非置換アラルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから選択され、
式中、R**は、H、アルキル、アルキルオキシ、アルコキシアルキル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリールであり、
式中、Aは、CH、CR、またはNであり、
式中、Dは、CH、CR、またはNであり、
式中、Eは、CH、CR、またはNであり、
式中、Gは、CH、CR、またはNであり、
窒素の組合せ(A+D+E+G)は、0〜3であり、
式中、Jは、(CH(n=0から2)またはCHRであり、
式中、Wは、(CH(m=0から1)、C=O(カルボニル)またはCHRであり、
式中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、ハロアルキル、アルキル、(CHOH(p=1から3)、ハロゲン、CHO、CH=NOH、COH、CO−アルキル、S−アルキル、SO−アルキル、S−アリール、(CHNR1819(式中、R18およびR19は、それぞれ独立して水素、アルキル、およびアルカノイルから選択される)(q=0から2)、アルコキシ、CF、SCF、NO、SOH、OH、置換または非置換アリール、置換または非置換アラルキル、置換または非置換ヘテロアリール、縮合置換または非置換アリール、縮合置換または非置換ヘテロアリールよりなる群から選択され、
式中、Rは、置換または非置換アルキル(C〜C)、置換または非置換シクロアルキル(C〜C)、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アルキニル、置換または非置換アラルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから選択され、
式中、Rは、置換または非置換アルキル(C〜C)、置換または非置換シクロアルキル(C〜C)、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アルキニル、置換または非置換アラルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから選択される)
の構造を有する、
その塩類、特に製薬的に許容できる全ての塩類を含む、化合物と接触させることを含む、ウィルス増殖を阻害する方法。
【請求項47】
Mが、酸素である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
Mが、硫黄である、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
Mが、NR**である、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
が、置換または非置換アルキル(C〜C)である、請求項46に記載の方法。
【請求項51】
が、置換または非置換シクロアルキル(C〜C)である、請求項46に記載の方法。
【請求項52】
が、置換または非置換アルケニルである、請求項46に記載の方法。
【請求項53】
前記アルケニルが、下記構造
【化14】


(式中、R、R、およびRが、それぞれ独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アラルキル、(CHOH(r=1から3)、CHNR2021(式中、R20およびR21は、それぞれ独立して、水素およびアルキルから選択される)、COH、COアルキル、CONH、S−アルキル、S−アリール、SOアルキル、SOH、SCF、CN、ハロゲン、CFおよびNOよりなる群から選択される)
を有する、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
が、置換または非置換アルキニルである、請求項46に記載の方法。
【請求項55】
前記アルキニルが、下記構造
【化15】


(式中、Rは、水素、アルキル、ハロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アラルキル、(CHOH(r=1から3)、CHNR2021(式中、R20およびR21は、それぞれ独立して、水素およびアルキルから選択される)、COH、COアルキル、CONH、S−アルキル、S−アリール、SOアルキル、SOH、SCF、CN、ハロゲン、CFおよびNOよりなる群から選択される)
を有する、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
が、置換または非置換アリールである、請求項46に記載の方法。
【請求項57】
前記アリールが、下記構造
【化16】


(式中、R10、R11、R12、R13およびR14は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アラルキル、(CHOH(s=1から3)、COH、COアルキル、CONH、CONHアルキル、CON(アルキル)、OH、アルコキシ、アリールオキシ、SH、S−アルキル、S−アリール、SOアルキル、SOH、SCF、CN、ハロゲン、CF、NO、(CHNR2223(式中、R22およびR23は、それぞれ独立して、水素、アルキル、およびアルカノイルから選択される)(t=0から2)、SONH、OCHCHNH、OCHCHNHアルキル、OCHCHN(アルキル)、オキサゾリジン−2−イル、またはアルキル置換オキサゾリジン−2−イルよりなる群から選択される)
を有する、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
が、置換または非置換アラルキルである、請求項46に記載の方法。
【請求項59】
前記アラルキルが、下記構造
【化17】


(式中、R10、R11、R12、R13およびR14は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アラルキル、(CHOH(s=1から3)、COH、COアルキル、CONH、CONHアルキル、CON(アルキル)、OH、アルコキシ、アリールオキシ、SH、S−アルキル、S−アリール、SOアルキル、SOH、SCF、CN、ハロゲン、CF、NO、(CHNR2223(式中、R22およびR23は、それぞれ独立して、水素、アルキル、およびアルカノイルから選択される)(t=0から2)、SONH、OCHCHNH、OCHCHNHアルキル、OCHCHN(アルキル)、オキサゾリジン−2−イル、またはアルキル置換オキサゾリジン−2−イルよりなる群から選択される)
を有する、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
が、置換または非置換ヘテロアリールである、請求項46に記載の方法。
【請求項61】
前記ヘテロアリールが、下記構造
【化18】


(式中、X= CH=CH、N=CH、NR17(式中、R17=H、アルキル、アリールまたはベンジルである)、O、またはSであり、
式中、Y=CHまたはNであり、
式中、R15およびR16は、それぞれ独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アラルキル、(CHOH(u=1から3まで)、(CHNR2425(式中、R24およびR25は、それぞれ独立して、水素、アルキルおよびアルカノイルから選択され、v=0から3)、COH、COアルキル、CONH、S−アルキル、S−アリール、SOアルキル、SOH、SCF、CN、ハロゲン、CFおよびNOよりなる群から選択される)
を有する、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記化合物が、化合物11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24の構造を有する、請求項46に記載の方法。
【請求項63】
前記接触を、インビボで行う、請求項46に記載の方法。
【請求項64】
前記ウィルスが、A型〜B型肝炎、黄熱病、呼吸器合胞体ウイルス、インフルエンザ、ヒト免疫不全ウイルス1および2、アデノウィルス、ノーウォークウィルス、単純ヘルペスウイルス1および2、サイトメガロウィルス(HCMV)、水痘帯状疱疹、エプスタイン・バーウイルス、および他のヘルペスウィルス類よりなる群から選択されるメンバーである、請求項46に記載の方法。
【請求項65】
患者に請求項46に記載の化合物の治療的有効量を投与することを含む、ウィルス性疾患に悩む患者におけるウィルス性疾患を治療する方法。
【請求項66】
前記ウィルスが、A型〜B型肝炎、黄熱病、呼吸器合胞体ウイルス、インフルエンザ、ヒト免疫不全ウイルス1および2、アデノウィルス、ノーウォークウィルス、単純ヘルペスウイルス1および2、サイトメガロウィルス(HCMV)、水痘帯状疱疹、エプスタイン・バーウイルス、および他のヘルペスウィルス類よりなる群から選択されるメンバーである、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記化合物が、化合物11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24の構造を有する、請求項65に記載の方法。
【請求項68】
請求項1に記載の化合物を合成する方法。
【請求項69】
請求項17に記載の化合物を合成する方法。

【公開番号】特開2010−70557(P2010−70557A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−286593(P2009−286593)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【分割の表示】特願2006−517240(P2006−517240)の分割
【原出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【出願人】(505465841)アナコール ファーマシューティカルズ,インコーポレイテッド (19)
【Fターム(参考)】