説明

加水装置

【課題】 米粉や澱粉などの原料に対する加水処理を連続して行なうことができる加水装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 米粉などの原料を供給するホッパー2と、該ホッパー2から原料を移送する移送手段3と、前記移送手段3の下部に設置され該移送手段3から投下される原料に加水する加水手段4とからなり、前記加水手段4は、原料を飛散させる飛散手段21と、飛散した原料に加水する噴霧手段22とを上方に備え、加水された原料を排出する排出口23を下方に備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米粉や澱粉などの原料に加水し、原料を糊化させる加水装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、粉粒体に加水する場合には、攪拌装置で原料を攪拌しながら加水する方法が採られており、原料粉粒体を収容する円筒状ケーシングに、原料粉粒体を攪拌する攪拌装置と、原料粉粒体に水を噴霧する多数の噴霧装置とを設けて、ケーシングに収容した原料粉粒体と噴霧装置で噴霧した水とを攪拌装置で攪拌混合するように構成した加水混合機が開示されている(例えば特許文献1)。また、前記攪拌装置は、回転軸を円筒状ケーシングの内側にケーシング軸芯Xと同芯状に支持して、その回転軸に固定してある多数のショベル状の攪拌羽根を、モータによる回転軸の駆動回転で、ケーシングの内周面に沿って回動させて、原料粉粒体と水とを攪拌混合するミキサと、ケーシング軸芯Xに直交する軸芯Y周りで回転自在な破砕具を、攪拌羽根の移動に干渉しないように、ケーシング軸芯X方向で隣り合う攪拌羽根の移動経路の間に支持して、モータの駆動による破砕具の回転で原料粉粒体中に混じっている原料粉粒体の固まりを破砕するチョッパーとを設けて構成される。
【特許文献1】特開2002−200418号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記した特許文献1においても、原料粉粒体の投入および排出は、ミキサを停止させる必要があり、いわゆるバッチ処理により行われるもので、1回の処理で必要量を得られない場合には数度に渡って同様の動作を行う必要があるため、作業負担、作業時間が増大するという問題があった。また、一度に処理できる容量を増やすため、装置は必然的に大型のものとなり、比較的小規模な工場では設置および使用が困難であるという問題があった。
【0004】
そこで、本願発明は上記した問題点に鑑み、米粉や澱粉などの原料に対する加水処理を連続して行なうことができると共に、簡易な構成で比較的小規模な加水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1記載の加水装置は、米粉などの原料を供給するホッパーと、該ホッパーから原料を移送する移送手段と、前記移送手段の下部に設置され該移送手段から投下される原料に加水する加水手段とからなり、前記加水手段は、原料を飛散させる飛散手段と、飛散した原料に加水する噴霧手段とを備えたことを特徴とする。
【0006】
また、請求項2に記載の加水装置は、前記加水手段が、前記飛散手段と前記噴霧手段とを上方に備え、加水された原料を排出する排出口を下方に備える。
【0007】
また、請求項3に記載の加水装置は、前記移送手段が、前記ホッパーと前記加水手段とを連結する原料供給管と、該原料供給管内に設置されたスクリュウコンベアとからなる。
【0008】
また、請求項4に記載の加水装置は、前記飛散手段が、飛散羽根と該飛散羽根に回転力を与える駆動部とからなる。
【0009】
また、請求項5に記載の加水装置は、前記噴霧手段が、原料に加水される水を所定量に調節する水量調節手段と、該水量調節手段で調節された所定量の水を噴霧するノズルとからなる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1に記載の加水装置によれば、ホッパから原料を供給し、供給された原料を移送手段によって加水手段に投下し、投下された原料を飛散させ、飛散した原料に対して加水を行うので、原料に対する加水を連続して行なうことができる。
【0011】
また、請求項2に記載の加水装置によれば、加水された原料は下方に備えられた排出口から排出されるので、装置を止めることなく加水された原料を取り出すことができる。
【0012】
また、請求項3に記載の加水装置によれば、加水手段に投下する原料の供給量をスクリュウコンベアで調節できるので、加水処理される原料の量を適宜変更できると共に、原料に加えられる水分量を選択的に変更することができる。
【0013】
また、請求項4に記載の加水装置によれば、回転する飛散羽根により投下された原料を飛散させ、加水された原料は自重により下方に落下し排出することとしたので、連続処理が可能であり、しかも短時間で原料に加水することができ、効率を向上できる。
【0014】
また、請求項5に記載の加水装置によれば、飛散した原料に霧状に水を噴霧し付着させるので、まんべんなく原料の全体に加水できると共に処理時間を短縮でき、また、水量調節手段により原料および原料によって製造される製品の種類に応じて原料への加水量を選択的に変更でき、多用途に使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
【0016】
図1に示す1は、米粉などの原料を供給するホッパー2と、該ホッパー2から所定量の原料を移送する移送手段3と、前記移送手段3の下部に設置され投入される原料に加水する加水手段4とからなる加水装置である。ホッパー2はステンレス製の枠体で形成され、上方に広口の原料供給口5を有し、下方は狭口の接続部6を有し、この接続部6で前記移送手段3に接続されている。前記加水装置1は、前記移送手段3及び加水手段4を制御する制御部7を有する。
【0017】
移送手段3は、原料供給管11と、該原料供給管11内に設置されたスクリュウコンベア12と、該スクリュウコンベア12に回転力を与える第1の駆動部13とからなる。原料供給管11は、ステンレス製の円筒からなり、一端の上部には接続口14を有し、他端の下部には投下口15が形成される。前記接続口14で前記ホッパー2の接続部6と接続し、前記投下口15で加水手段4に接続される。原料供給管11の内部には、内接するスクリュウ12aを有するスクリュウコンベア12が備えられ、原料供給管11の他端において連結部16に接続し、該連結部16に第1の駆動部13が接続される。前記連結部16は、例えばローラチェーンとスプロケットとからなるチェーンカップリングなどが用いられる。第1の駆動部13は、前記制御部7に電気的に接続される。制御部7は、電力を変換する第1のインバータ回路7aを備え、この第1のインバータ回路7aによって第1の駆動部13に供給される電力の周波数を調節することにより回転数が増減される。第1の駆動部13の回転数が増減されると、スクリュウコンベア12の回転数が増減され、移送手段3により移送される原料、すなわち加水手段4に投下される原料の供給量が増減する。
【0018】
前記加水手段4は、ステンレス製の筒状の筐体24に、原料を飛散させる飛散手段21と、飛散した原料に加水する噴霧手段22とを上方に備え、前記筐体24は加水された原料を排出する排出口23とを有する。
【0019】
筐体24は、上端が大径の円錐台形状部24aにその小径である下端で円筒部24bを接続して形成されている。上端は蓋体25によって密閉されている。蓋体25は投入口26を有し、この投入口26は前記移送手段3に設けられた投下口15に接続している。筐体24の下端は開口しており、排出口23を構成する。
【0020】
飛散手段21は、飛散羽根27と該飛散羽根27に回転力を与える駆動部である第2の駆動部28とからなる。飛散羽根27は、円盤29と該円盤29の表面に放射状に備えられた凸条30とを有する。円盤29は凸条30を有しない裏面の中心でシャフト31の先端と一体的に接続され、該シャフト31は基端で第2の駆動部28に連結されている。飛散手段21は、飛散羽根27の表面が前記投下口15に対向するように配置され、下方において固定手段32により筐体24内面に固定される。第2の駆動部28は、前記制御部7に電気的に接続される。制御部7は、電力を変換する第2のインバータ回路7bを備え、この第2のインバータ回路7bによって第2の駆動部28に供給される電力の周波数を調節することにより回転数が増減される。第2の駆動部28の回転数が増減されると、飛散羽根27の回転数が増減する。
【0021】
噴霧手段22は、水供給源35と、該水供給源35から供給された水を所定量に調節する水量調節手段36と、該水量調節手段36で調節された所定量の水を噴霧するノズル37とからなる。水供給源35は水を溜めておくタンクや水道の蛇口であって、水をノズル37から噴霧するのに十分な水圧と容量を有するものである。水供給源35と水量調節手段36とは第1のホース37で接続されている。
【0022】
水量調節手段36は、加水量を増減する図示しない弁体と、弁体による水路の開度を調節する調節部38と、前記加水量を表示する表示部39とからなる。前記調節部38により調節された開度に応じた加水量は、前記表示部39により表示される。表示部39は水量調節手段36の視認しやすい位置に設けられる。水量調節手段36は、前記ノズル37と第2のホース40で接続される。
【0023】
ノズル37は、前記筐体24の上方を密閉する前記蓋体25に複数備えられ、霧状に水を噴霧する噴霧口37aを有する。噴霧口37aは、円盤29に対向する向きに方向付けて設置される。このようにして、ノズル37は、水量調節手段36により調節された水量の水を、筐体24の内部に霧状に噴霧する。
【0024】
次に、上記構成の作用について説明する。ホッパー2に貯留された原料が接続部6を通って原料供給管11の一端に達する。この状態で、第1の駆動部13と第2の駆動部28を駆動させる。第1の駆動部13により連結部16が回転する。連結部16が回転すると、スクリュウコンベア12が回転する。スクリュウコンベア12が回転すると、原料供給管11の一端にある原料がスクリュウ12aにより送り出され他端の投下口15に達する。原料供給管11の投下口15に達した原料は、投下口15に接続された投入口26から加水装置1に自重によって投下される。投下された原料は、第2の駆動部28により回転する飛散羽根27の表面に落下する。飛散羽根27の表面に落下した原料41は、凸条30により遠心力を与えられ筐体24内の上部に飛散する。同時にノズル37から調節された水量の水が噴霧される。水が噴霧されると飛散した原料41に水が付着する。水が付着した原料41aは重量が増えることによって、その自重により下方へ落下する。落下した原料41aは、排出口23より加水された状態で排出される。原料41へ加水される水分は、第1の駆動部13の回転数、すなわち原料の供給量と、ノズル37から噴霧される水量により調節される。原料と原料から製造される製品の種類に応じて、原料に加水される水分量を変える必要があり、原料に加えられる水分量は、原料の供給量と水量により調節されるものである。
【0025】
上記のように本実施形態は請求項1に対応して、米粉などの原料を供給するホッパー2と、該ホッパー2から原料を移送する移送手段3と、前記移送手段3の下部に設置され該移送手段3から投下される原料に加水する加水手段4とからなり、前記加水手段4は、原料を飛散させる飛散手段21と、飛散した原料に加水する噴霧手段22とを備えたから、ホッパー2から原料を供給し、供給された原料を移送手段3によって加水手段4に投下し、投下された原料に対して加水を行うので、原料に対する加水を連続して行なうことができる。
【0026】
また、請求項2に対応して、前記加水手段4は、前記飛散手段21と前記噴霧手段22とを上方に備え、加水された原料41aを排出する排出口23を下方に備えるから、加水された原料41aは下方に備えられた排出口23から排出されるので、加水装置1を止めることなく加水された原料41aを取り出すことができる。
【0027】
また、請求項3に対応して、前記移送手段3は、前記ホッパー2と前記加水手段4とを連結する原料供給管11と、該原料供給管11内に設置されたスクリュウコンベア12とからなるから、加水手段4に投下する原料の供給量をスクリュウコンベア12で調節できるので、加水処理される原料の量を適宜変更できると共に、原料に加えられる水分量を選択的に変更することができる。
【0028】
また、請求項4に対応して、前記飛散手段21は、飛散羽根27と該飛散羽根27に回転力を与える駆動部28とからなるから、回転する飛散羽根27により投下された原料を飛散させ、加水された原料は自重により下方に落下し排出することとしたので、連続処理が可能であり、しかも短時間で原料に加水することができ、効率を向上できる。
【0029】
また、請求項5に対応して、前記噴霧手段22は、原料に加水される水を所定量に調節する水量調節手段36と、該水量調節手段36で調節された所定量の水を噴霧するノズル37とからなるから、飛散した原料に霧状に水を噴霧し付着させるので、ムラなく原料の全体に加水でき、処理時間を短縮できる、また、水量調節手段により原料および原料によって製造される製品の種類に応じて原料への加水量を選択的に変更でき、多用途に使用できる。
【0030】
本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の本実施形態に係る加水装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】同上、飛散羽根の構成を示す全体斜視図である。
【図3】同上、加水手段を示す概略図であり、使用状態を示す図である。
【符号の説明】
【0032】
1 加水装置
2 ホッパー
3 移送手段
4 加水手段
11 原料供給管
12 スクリュウコンベア
21 飛散手段
22 噴霧手段
23 排出口
27 飛散羽根
28 第2の駆動部(駆動部)
35 水供給源
36 水量調節手段
37 ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
米粉などの原料を供給するホッパーと、該ホッパーから原料を移送する移送手段と、前記移送手段の下部に設置され該移送手段から投下される原料に加水する加水手段とからなり、前記加水手段は、原料を飛散させる飛散手段と、飛散した原料に加水する噴霧手段とを備えたことを特徴とする加水装置。
【請求項2】
前記加水手段は、前記飛散手段と前記噴霧手段とを上方に備え、加水された原料を排出する排出口を下方に備えることを特徴とする請求項1記載の加水装置。
【請求項3】
前記移送手段は、前記ホッパーと前記加水手段とを連結する原料供給管と、該原料供給管内に設置されたスクリュウコンベアとを備えることを特徴とする請求項1又は2記載の加水装置。
【請求項4】
前記飛散手段は、飛散羽根と該飛散羽根に回転力を与える駆動部とからなることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項記載の加水装置。
【請求項5】
前記噴霧手段は、原料に加水される水を所定量に調節する水量調節手段と、該水量調節手段で調節された所定量の水を噴霧するノズルとを備えることを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項記載の加水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−61094(P2006−61094A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−248406(P2004−248406)
【出願日】平成16年8月27日(2004.8.27)
【出願人】(504327546)日本三和盛有限会社 (1)
【Fターム(参考)】