説明

加減圧カプセル装置

【課題】コンパクトで、使用目的によってハウジングを縦方向または横方向に設置することができ、かつ内部の運動補助設備とベッド設備は縦方向と横方向で兼用することができる加減圧カプセル装置を提供する。
【解決手段】高気圧カプセル装置1は、ハウジング10と、ハウジング10を縦方向に設置するための第1の支持手段20と、ハウジング10を横方向に設置するための第2の支持手段30a,30bと、運動補助設備40と、LED照明装置80と、加圧発生装置90とを備える。ハウジング10は、内部を加圧室とする密閉耐圧構造とされている。また、運動補助設備40は、ハウジング10が縦方向に設置される際に、利用者がぶらさがる運動を行う第1の運動補助器具40aと、脚または腕の筋肉をトレーニングするための第2の運動補助器具40bとを備える。第2の運動補助器具40bを変形させることで、椅子または横臥するためのベッド設備になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジング内部で高気圧環境又は減圧環境を実現するためのカプセル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、内部に大気圧より低い気圧または大気圧より高い気圧の環境を作り上げ、中で運動等を行うことができる装置が提案されている。
【0003】
例えば、内部の気圧を加減圧することができる運動用気密室が提案されている(特許文献1)。
【0004】
特許文献1の運動用気密室は、適宜の運動器具を搬入することができ、且つ少なくとも一人が飛んだり跳ねたりし得る容積をもった透明のカプセル状室本体を有するものである。
【0005】
また例えば、内部の気圧を制御できるトレーニング用加減圧カプセルが提案されている(特許文献2)。
【0006】
特許文献2のトレーニング用加減圧カプセルは、スポーツジム等の施設に設置されるものであり、内部の気圧を制御する加減圧発生装置と、温度を制御する空気調和機と、一定方向に任意の風速で風を発生させることができる送風機と、モーターにより駆動され可変速の走行ベルト装置とから構成されている。使用者が所定の気圧、温度、風速の環境で走行ベルト装置を利用してランニングを行う。
【0007】
また、高地の気圧環境を平地で実現するためのカプセル型低圧室が提案されている(特許文献3)。
【0008】
特許文献3のカプセル型低圧室は、2つの楕円体形鏡板の外周端部を突き合わせて内部に設けた凹部を居住空間ができるように筐体を構成してある。筐体の片側に開口部が設けられている。さらに、筐体の内部に利用者が座るための椅子が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平2−42992号公報
【特許文献2】特開平2−118571号公報
【特許文献3】特開2007−136152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1の運動用気密室は、運動器具を搬入するためのある程度の広さスペースが必要となり、設置場所が必要となる。また、従来の運動器具は設置場所を広く必要とするうえに、重量も有るために移動もしくは持ち運びが困難である。
【0011】
特許文献2のトレーニング用加減圧カプセルは、所定の気圧、温度、風速の環境を実現することができるが、空気調和機、送風機および走行ベルト装置を収納するために大きな容積が必要となり、設置スペースが大きく必要となる。また、ランニングしかできない専用構造である。
【0012】
また、特許文献3のカプセル型低圧室は、コンパクトであるが、内部に利用者が座るための椅子のみが設置されている静止耐久型であり、運動器具の設置ができる内部構造を示しておらず、使用目的が限られている。
【0013】
さらに、特許文献1〜3は、一方向に設置することしか念頭においていない。即ち、使用目的等に応じて設置方向を変更するという技術思想が開示されていない。
【0014】
そこで、本発明者は、施設のほかに家庭等においても設置可能なスペース内に収まるコンパクトさを備える装置形態を研究した。特に、家庭内では、天井高さと室内幅スペース等とを考慮し、扱いやすさも重要な要素となる。軽量化も重要な要素である。次に、上記スペース等の制約下において、身体の運動を可能にできると同時に、リラックスする静止状態をも可能とする兼用目的を同時に達成できる構造としなければならない。身体の運動では身体の最大伸び代の運動器具等の設備が要求され、運動設備等と別個にリラクゼイションの設備が必要である。
【0015】
発明者は、さらなる機能の付加を研究した。上記した装置形態や兼用目的の制約下において、身体の運動機能の一層の活性化を図ることができ、静止状態におけるリラックス効果を向上することを希求した。加減圧下においては、特定波長の点灯が加減圧との共同により身体の活性化に寄与することを見出した。
【0016】
そこで、本発明は、コンパクトで、使用目的によってハウジングを縦方向または横方向に設置することでき、かつ内部の運動補助設備とベッド設備は縦方向と横方向で兼用することができる加減圧カプセル装置を提供することを目的として提供されるものである。また、加減圧とLED照明との共同作用により身体の活性化を促進することができる加減圧カプセル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するため、本発明に係る加減圧カプセル装置は、内部を加減圧する長尺筒体の外形を有する密閉耐圧構造のハウジングと、前記ハウジングの外側端部に設けられ前記ハウジングを縦方向に設置する第1の支持台と、前記ハウジングの外側の複数部位に設けられ前記ハウジングを横方向に設置する第2の支持台と、前記ハウジングの長尺筒体の内側に沿って設けられる運動補助設備とベッド設備とを備え、前記第1の支持台によりハウジングが縦方向に設置されるときに運動補助設備が前記縦方向と同方向に向かって使用可能となるとともに、前記第2の支持台によりハウジングが横方向に設置されるときにベッド設備が前記横方向と同方向に向かって使用可能となり、運動補助設備とベッド設備は縦方向と横方向で兼用されることを特徴とするものである。
【0018】
例えば、前記運動補助設備は、前記ハウジングの長尺筒体の内側に沿ってスライド可能な複数の板状部材を有し、前記ハウジングが縦方向に設置されるときに、前記板状部材が屈折して椅子となる。
【0019】
また例えば、前記運動補助設備は、前記ハウジングが縦方向に設置されるときに、前記ハウジングの内側の上部に設置され、利用者がぶらさがる運動を行う運動補助器具を有する。
【0020】
また例えば、前記ベッド設備は、ハウジングが横方向に設置されるときに、前記板状部材を並べて形成される。
【0021】
また、内部を加減圧する長尺筒体の外形を有する密閉耐圧構造のハウジングと、前記ハウジングの外側端部に設けられ前記ハウジングを縦方向に設置する第1の支持台と、前記ハウジングの外側の複数部位に設けられ前記ハウジングを横方向に設置する第2の支持台と、前記ハウジングの長尺筒体の内側に沿って設けられる運動補助設備とベッド設備と、前記ハウジングの内側に設けられ所定波長のLED照明装置とを備え、前記第1の支持台によりハウジングが縦方向に設置されるときに運動補助設備が前記縦方向と同方向に向かって使用可能となるとともに、前記第2の支持台によりハウジングが横方向に設置されるときにベッド設備が前記横方向と同方向に向かって使用可能となり、前記LED照明装置は運動補助設備とベッド設備が縦方向と横方向で兼用されるときに点灯されることを特徴とするものである。
【0022】
例えば、上記の加減圧カプセル装置は、前記ハウジングの内部を加圧する高気圧カプセル装置であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、加減圧カプセル装置は、ハウジングと、ハウジングを縦方向に設置する第1の支持台と、ハウジングを横方向に設置する第2の支持台と、ハウジングの内部に設けられる運動補助設備とベッド設備とを備えることで、使用目的によってハウジングを縦方向または横方向に設置することでき、かつ縦方向に設置したときに運動補助設備が使用可能になるとともに、横方向に設置したときにベッド設備が使用可能になり、運動補助設備とベッド設備は縦方向と横方向で兼用することができる。また、ハウジングをコンパクトにすることで、容易に移動運搬することができる。また、利用者が高気圧環境でリハビリ、トレーニングを行うことができるとともに、休憩、疲労回復等の目的にも利用できる。
【0024】
また、運動補助設備は、一対のレールにスライド可能な複数の板部材を有することで、ハウジングが縦方向に設置される際に、利用者が脚、腕の筋肉をトレーニングすることができる。また、椅子としても利用できる。
【0025】
また、運動補助設備は、ハウジングが横方向に設置される際に、複数の板部材がレールに並べた状態でベッド設備となることにより、利用者が高気圧環境で横臥することができる。また、利用者が横臥で脚の運動も可能である。
【0026】
運動補助設備は、ぶらさがる運動を行う運動補助器具を有することで、ハウジングが縦方向に設置される状態において、高気圧環境でぶらさがる運動を行うことができる。
【0027】
また、本発明によれば、加減圧カプセル装置は、ハウジングの内側に青色の発光ダイオードを用いたLED照明装置を配置することで、利用者が青い光を浴びることができ、高気圧と青色の発光ダイオードの光との共同作用により身体機能の活性化を促進することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態の高気圧カプセル装置1の縦方向に設置する状態を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態の高気圧カプセル装置1の横方向に設置する状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態の高気圧カプセル装置1の構成を示す分解図である。
【図4】高気圧カプセル装置1のハウジング10の断面図である。
【図5】高気圧カプセル装置1の縦方向に設置する状態を示す断面図である。
【図6】高気圧カプセル装置1の横方向に設置する状態を示す断面図である。
【図7】高気圧カプセル装置1の利用状態(その1)を示す図である。
【図8】高気圧カプセル装置1の利用状態(その2)を示す図である。
【図9】高気圧カプセル装置1の利用状態(その3)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る加減圧カプセル装置の実施の形態として高気圧カプセル装置を、図を参照して説明する。
【0030】
本発明に係る高気圧カプセル装置1は、ハウジング内部を高気圧状態(1.3気圧前後が適当である。)にし、この高気圧状態でリハビリ、トレーニング等を行うための装置である。以下、コンプレッサーから供給された圧縮空気により内部を高気圧状態にし、この高気圧状態でリハビリ、トレーニング等を行う例を説明する。
【0031】
図1は、本発明の実施の形態の高気圧カプセル装置1の縦方向に設置する状態を示す斜視図である。図1において、第1の支持手段20の装着部の拡大図も示している。図2は、本発明の実施の形態の高気圧カプセル装置1の横方向に設置する状態を示す斜視図である。図2において、第2の支持手段30a,30bの装着部の拡大図、および出入り用の梯子60を配置した状態を示している。図3は、本発明の実施の形態の高気圧カプセル装置1の構成を示す分解図である。図4は、高気圧カプセル装置1のハウジング10のA−A断面図である。図4において、ハウジング10内部の運動補助設備40を省略した状態を示している。図5は、高気圧カプセル装置1の縦方向に設置する状態を示す断面図である。図6は、高気圧カプセル装置1の横方向に設置する状態を示す断面図である。図6において、横方向に設置する場合の利用状態(利用者の横臥状態)も示している。
【0032】
図1〜図6に示すように、高気圧カプセル装置1は、内部を加減圧する長尺筒体の外形を有する密閉耐圧構造のハウジング10と、第1の支持台としての第1の支持手段20と、第2の支持台としての第2の支持手段30a,30bと、長尺筒体の内側に沿って設けられる運動補助設備40と、所定波長のLED照明装置80と、加圧発生装置90とを備える。運動補助設備40は、横方向に設置するときベッド設備となる。ベッド設備は、ハウジング10が横方向に設置されるときに、複数の板状部材(板部材52、第1の延長板54、第2の延長板56)を並べて形成される。
【0033】
高気圧カプセル装置1において、第1の支持手段20によりハウジング10が縦方向に設置されるときに運動補助設備40が前記縦方向と同方向に向かって使用可能となるとともに、第2の支持手段30a,30bによりハウジング10が横方向に設置されるときにベッド設備が横方向と同方向に向かって使用可能となり、運動補助設備とベッド設備は縦方向と横方向で兼用される。ここで、長尺筒体の内側に沿って運動補助設備とベッド設備がその都度配置されている。
【0034】
ハウジング10は、内部を加圧する密閉耐圧構造のカプセル状で、即ち、端部10a,10bと筒部10cをパッキンを介して突き合わせて構成された両端が封止された長筒状である。端部10a,10bと筒部10cは、連結棒13により連結されている。端部10a,10bは、帯状の連結部14a,14bを有し、この連結部14a,14bの外周には、連結棒13を固定するための連結孔を有する取付部15a,15bが複数(例えば4〜8個)設けられている。連結する際に筒部10cの端部が連結部14a,14bの溝に差し込まれて、パッキンにより接続部の気密性を確保している。また、連結棒13と取付部15a,15bとの連結は、溶接またはネジ込み等方法が考えられる。また、この例において、ハウジング10の大きさは、おとな一人が中で屈伸運動およびぶらさがる運動を行うことができる程度とされる。例えば、直径800mm程度、長さ2000mm程度である。
【0035】
また、取付部15aの下端には、第1の支持手段20を装着することが可能とされる。また、取付部15a,15bには、第2の支持手段30a,30bを装着することが可能とされる。
【0036】
筒部10cには、利用者が出入用の開口部11が形成されている。開口部11は筒体の一部を切り欠きしてから構成されている。また、開口部11に補強するための折り曲げ部(補強爪)が形成されている。
【0037】
開口部11には、スライド式、気密性の扉12が設けられている。図4に示すように、扉12は溝を有する扉用レール12aに沿って左右にスライドすることで開閉できる。これによりハウジング10は、内部を加圧室とする密閉耐圧構造とされている。扉12は、透明または半透明材料から形成される。例えば、透明のガラスまたは樹脂材にスモークフィルム(smoke film)を貼り付けて構成することが好ましい。透明度の低いフィルムを用いることで内部の利用者のプライバシーも保護される。
【0038】
また、ハウジング10の下部の端部10aには、空気用入口16、空気用出口17が設けられ、配管91,92を介してコンプレッサーを備えた加圧発生装置90に接続される。コンプレッサーから供給された圧縮空気は、空気用入口16に接続された内部配管(図示せず)により端部10b側に誘導されてハウジング10の内部に吹き出す。この圧縮空気によりハウジング10の内部が高気圧環境になる。ハウジング10の内部の気圧は、例えば、1.2〜1.4気圧(大気圧を1気圧として)であり、好ましくは1.3気圧である。このような高気圧状態で有酸素運動を行い、リハビリ、トレーニングの効果を向上することが可能である。
【0039】
また、端部10aには、AC電源線を導入する引き込み口が設けられている(図示せず)。これにより、LED照明装置、操作パネルに安定した電力を供給することが可能となる。なお、ハウジング10の内部と加圧発生装置90側に対話連絡用の電話を設けた場合、通信線はAC電源線と一緒に引き込み口から導入することができる。また、図に示していないが、加圧発生装置90には、気圧調整等を行う操作パネルが設けられている。
【0040】
第1の支持手段20は、ハウジング10の外側端部に着脱可能に設けられ、ハウジング10を縦方向に設置するためのものである。この第1の支持手段20は、4本の脚部21と、連結固定部材22と、キャスター23とから構成されている。脚部21の上端には、端部10aの連結部14aの取付部15aに挿入する取付端部21aが形成されている。取付端部21aは例えばネジ等により取付部15aに固定されている。
【0041】
第2の支持手段30a,30bは、ハウジング10の外側の複数部位に着脱可能に設けられ、ハウジング10を横方向に設置するためのものである。例えば連結部14a,14bの取付部15a,15bに着脱可能に取り付けられている。この第2の支持手段30a,30bは、脚部31a,31bと、連結部材32a,32bと、キャスター34a,34bとからなる。支持具31a,31bの一端に取付部15a,15bに挿入するための取付端部33a,33bが形成されている。取付端部33a,33bは例えばネジ等により取付部15a,15bに固定されている。なお、第2の支持手段30aと30bとは、ハウジング10に装着後、連結手段を用いて連結し固定するようにしてもよい。
【0042】
図5に示すように、ハウジング10が縦方向に設置されている場合、第2の支持手段30a,30bは装着されず、そのため、高気圧カプセル装置1の設置の邪魔にならない。また、縦方向に設置する状態において、高気圧カプセル装置1は簡単に移動することができる。
【0043】
また、図6に示すように、ハウジング10が横方向に設置されている場合、第1の支持手段20は装着されず、第2の支持手段30a,30bのみでハウジング10を支える。なお、図5、図6では、付勢手段70が外された状態を示している。
【0044】
運動補助設備40は、ハウジング10の内部に設けられて、利用者が複数の運動を行うことができるものである。例えば、運動補助設備40は、ハウジング10が縦方向に設置される際に利用者がぶらさがる運動を行う第1の運動補助器具40aと、脚または腕の筋肉をトレーニングするための第2の運動補助器具40bとを備える。
【0045】
第1の運動補助器具40aは、ハウジング10が縦方向に設置される状態で、ハウジング10の内側の上部に水平に設置された棒状部材41からなる。棒状部材41は、水平に設置された一対の支持アーム42と垂直に設置された一対の固定部材43との接合部の間に固定されている。固定部材43の上端は取付具44を介してハウジング10の端部10bに固定される。棒状部材41の設置高度は利用者が掴んでぶらさがることができるように適宜に設計される。なお、棒状部材41の設置高度を調整できるようにしてもよい。
【0046】
第2の運動補助器具40bは、一対のレール51と、このレール51にスライド可能な板部材(板状部材)52と、該板部材52を所定方向に付勢する付勢手段70とを備える。レール51の上端は支持アーム42に固定され、下端はハウジング10の端部10aに固定されている。板部材52はローラー機構を有し、レール51に沿って自在にスライドすることが可能である。また、板部材52は、連結軸53を介して第1の延長板(板状部材)54の一端に着脱可能に連結され、この第1の延長板54の他端は連結軸55を介して第2の延長板(板状部材)56の一端に着脱可能に連結され、第2の延長板56の他端は連結軸57を介してレール51の下端に連結される。板部材52と第1の延長板54と第2の延長板56を屈折させた状態で椅子となる(図5参照)。この際に、ロック機構(図示せず)によって第1の延長板54をレール51にロックすることで水平状態を保つことができる。なお、ロック機構としては、蝶ねじまたはノブねじが考えられる。
【0047】
また、板部材52の一端(上端)には、弾性を有する一対の肩ガード52aが取付部材52bを介して装着されている。肩ガード52aは取付部材52bに対して上下方向に移動可能である。また、肩ガード52aはねじで所定の位置に固定される。なお、肩ガード52aには、肩の形状に合わせた円弧状の板を用いてもよい。
【0048】
また、付勢手段70は、両端に取付穴が設けられた取付部を有するゴム材またはバネから構成される。この例において、付勢手段70は、ゴム材から形成される。この付勢手段70は、ねじ71で板部材52に連動する付勢手段取付部52cとレール51の下端に設けられる付勢手段取付部51aに取り付けられる。これにより、第2の運動補助器具40bを利用して脚または腕の筋肉をトレーニングすることができる。また、付勢手段取付部52cと付勢手段取付部52dには、上下方向に複数のねじ穴が設けられているため、付勢手段70の取付位置を調整することが可能であり、使用者が自身の状態に合わせてトレーニングの強度を調整することができる。なお、付勢手段70は、付勢手段取付部52dと付勢手段取付部51bに取り付けるようにしてもよい。この場合、付勢手段70の付勢方向が異なる。
【0049】
また、第2の運動補助器具40bは、ハウジング10が横方向に設置される際に板部材52、第1の延長板54および第2の延長板56をレール51に沿って並べて利用者が横臥するためのベッド設備を構成することができる。利用者がこのベッド設備に横臥することが可能である(図6参照)。これにより、利用者が高気圧環境においてリラックスした状態で休憩、または疲労回復することができる。また、利用者が横臥する体勢で脚の運動を行うことができる。
【0050】
なお、ハウジング10の内側に青色発光ダイオード(例えば、波長460ナノメートル)を用いたLED照明装置80が配置されている。ここで、LED照明装置80がハウジング10の上端側に配置される。これにより、利用者が高気圧状態でリハビリ、トレーニングを行うと同時に青い光を浴びることができ、青い光による治療効果等も期待できる。なお、LED照明装置80を開口部11の片側または両側に配置するようにしてもよい。
【0051】
図7は、高気圧カプセル装置1の利用状態(その1)を示す図である。図7に示すように、ハウジング10が縦方向に設置される場合、利用者が両手を上げて棒状部材41に掴まり、両足を床面から離れてぶらさがる運動を行うことができる。
【0052】
図8は、高気圧カプセル装置1の利用状態(その2)を示す図である。図8に示すように、ハウジング10が縦方向に設置される場合、連結軸55を外して第2の延長板56を床面と平行状態にし、利用者が第2の延長板56の上に立てて、両手は肩ガード52aの握り部を握る状態で脚の屈曲と伸展(起立姿勢にするように)を繰り返すことで、脚の筋肉をトレーニングすることができる。この場合、付勢手段70は、付勢手段取付部52cとレール51の下端に設けられた付勢手段取付部51aに取り付けられている。また、板部材52と第1の延長板54はレール51に沿って移動する。
【0053】
図9は、高気圧カプセル装置1の利用状態(その3)を示す図である。図9に示すように、ハウジング10が縦方向に設置される場合、板部材52と第1の延長板54の連結を外し、第1の延長板54をレール51に固定して、第1の延長板54と第2の延長板56が椅子として利用できる。また、付勢手段70は、付勢手段取付部52cとレール51の下端に設けられる付勢手段取付部51aに取り付けられ、または付勢手段取付部52dとレール51の上端に設けられた付勢手段取付部51bに取り付けられる。利用者が第1の延長板54に座った状態で、両手は肩ガード52aの握り部を握り、腕の屈曲と伸展を繰り返すことで、腕の筋肉をトレーニングすることができる。この場合、板部材52はレール51に沿って移動する。
【0054】
なお、横方向に設置する場合の利用状態について、図5に示すように、利用者がこのベッド設備に横臥することができる。また、出入りの際に、図2に示すように、出入り用の梯子60を用いることができる。
【0055】
このように本実施の形態においては、高気圧カプセル装置1は、ハウジング10と、ハウジング10を縦方向に設置するための第1の支持手段20と、ハウジング10を横方向に設置するための第2の支持手段30a,30bと、運動補助設備40とを備える。ハウジング10は両端が封止された長筒状である。ハウジング10は、内部を加圧室とする密閉耐圧構造とされている。ハウジング10に利用者が出入用の開口部11が形成され、開口部11には気密性扉12が設けられている。また、運動補助設備40は、ハウジング10が縦方向に設置される際に、利用者がぶらさがる運動を行う第1の運動補助器具40aと、脚、腕の筋肉をトレーニングするための第2の運動補助器具40bとを備える。第2の運動補助器具40bを変形させることで、椅子または横臥するためのベッド設備になる。
【0056】
これにより、ハウジング10を使用目的によって縦方向または横方向に設置することができ、かつ縦方向に設置したときに運動補助設備40が使用可能になるとともに、横方向に設置したときにベッド設備が使用可能になり、運動補助設備40とベッド設備は縦方向と横方向で兼用することができる。また、ハウジング10をコンパクトにすることで、容易に移動運搬することができる。また、利用者が高気圧環境でリハビリ、トレーニングを行うことができるとともに、休憩、疲労回復等の目的にも利用できる。そのため、有酸素運動の効果を高めることができ、疲労回復、老化防止、新陳代謝促進、骨折・ケガの早期治癒等の効果が期待できる。
【0057】
また、第1の運動補助器具40aを備えることで、ハウジング10が縦方向に設置される際に、利用者がぶらさがる運動を行うことができる。
【0058】
また、第2の運動補助器具40bを備えることで、ハウジング10が縦方向に設置される際に、利用者が脚、腕の筋肉をトレーニングすることができる。
【0059】
また、第2の運動補助器具40bの板部材52と第1の延長板と第2の延長板は、屈折させた状態で椅子として利用できる。
【0060】
また、第2の運動補助器具40bの板部材52と第1の延長板と第2の延長板は、ハウジング10が横方向に設置される際に、板部材52、第1の延長板54および第2の延長板56をレール51に沿って並べて、利用者が横臥するためのベッド設備を構成することができる。
【0061】
さらに、ハウジング10の内側に青色発光ダイオード(波長は、例えば460ナノメートルである)を用いたLED照明装置80を配置することで、利用者が青い光を浴びることができ、高気圧と青色の発光ダイオードの光との共同作用により身体機能の活性化を促進することが可能である。例えば、血流の活性化の効果があると思われる。
【0062】
なお、上述実施の形態においては、ハウジング10の中に、利用者がぶらさがる運動を行う第1の運動補助器具40aと、脚または腕の筋肉をトレーニングするための第2の運動補助器具40bとを備える運動補助設備40が取り付けられたものについて説明したが、これ以外に小型の足踏自転車、乗馬運動器具、ボートこぎ運動装置等を設置してもよい。
【0063】
また、上述実施の形態において、板部材52、第1の延長板54、第2の延長板56は、板材からなるものについて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、所定の枠にシートまたは網を固定してからなる構成にしてもよい。
【0064】
また、ハウジング10の形状を、上述実施の形態以外の形状にしてもよい。例えば、楕円体状、フラットな端面を有する円筒形または角筒形にしてもよい。
【0065】
また、上述実施の形態において、第1の支持手段20と第2の支持手段30a,30bは、着脱可能なものとしたが、これに限定されるものではない。例えば、第1の支持手段20と第2の支持手段30a,30bは、ハウジング10と一体にして形成されてもよい。また、第1の支持手段20と第2の支持手段30a,30bは、4本の脚を有するものとしたが、これに限定されるものではない。台形の支持手段等を用いてもよい。
【0066】
また、上述実施の形態において、ハウジング10の内部に加圧して高気圧状態にする例を説明したが、これに限定されるものではない。高地トレーニングを行う目的で、高地の気圧環境を実現するために、ハウジング10の内部に減圧して低気圧状態(例えば、0.8気圧)にすることも可能であり、減圧カプセル装置でも実施可能である。
【0067】
さらに、上述実施の形態において、LED照明装置80の設置位置は上述した実施の形態に限定されるものではない。また、青色発光ダイオードの代わりに、LED照明装置80に赤色発光ダイオードを用いてもよい。近年の研究結果によると、ヒトを対象に、両眼を光から完全に遮蔽させた状態にて、前頭部の前方より赤色発光ダイオードの光(波長は、例えば660ナノメートルである)を照射する場合は、ストレス軽減の効果が期待できる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
この発明は、一般家庭、学校、スポーツジム、ホテル、病院、福祉施設等の一角に設置可能であり、高気圧環境でリハビリ、トレーニング等を行う目的に利用できる。
【符号の説明】
【0069】
1 高気圧カプセル装置
10 ハウジング
10a,10b 端部
10c 筒部
11 開口部
12 扉
12a 扉用レール
13 連結棒
14a,14b 連結部
15a,15b 取付部
15c,15d 装着孔
16 空気用入口
17 空気用出口
20 第1の支持手段
21 脚部
21a 取付端部
22 連結固定部材
23 キャスター
30a,30b 第2の支持手段
31a,31b 脚部
32a,32b 連結部材
33a,33b 取付端部
34a,34b キャスター
40 運動補助設備
40a 第1の運動補助器具
40b 第2の運動補助器具
41 棒状部材
42 支持アーム
43 固定部材
44 取付具
51 レール
51a,51b 付勢手段取付部
52 板部材
52a 肩ガード
52b 取付部材
52c,52d 付勢手段取付部
53,55,57 軸
54 第1の延長板
56 第2の延長板
60 梯子
70 付勢手段
71 ねじ
80 LED照明装置
90 加減圧発生装置
91,92 配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部を加減圧する長尺筒体の外形を有する密閉耐圧構造のハウジングと、前記ハウジングの外側端部に設けられ前記ハウジングを縦方向に設置する第1の支持台と、前記ハウジングの外側の複数部位に設けられ前記ハウジングを横方向に設置する第2の支持台と、前記ハウジングの長尺筒体の内側に沿って設けられる運動補助設備とベッド設備とを備え、
前記第1の支持台によりハウジングが縦方向に設置されるときに運動補助設備が前記縦方向と同方向に向かって使用可能となるとともに、前記第2の支持台によりハウジングが横方向に設置されるときにベッド設備が前記横方向と同方向に向かって使用可能となり、運動補助設備とベッド設備は縦方向と横方向で兼用されることを特徴とする加減圧カプセル装置。
【請求項2】
前記運動補助設備は、前記ハウジングの長尺筒体の内側に沿ってスライド可能な複数の板状部材を有し、前記ハウジングが縦方向に設置されるときに、前記板状部材が屈折して椅子となることを特徴とする請求項1に記載の加減圧カプセル装置。
【請求項3】
前記運動補助設備は、前記ハウジングが縦方向に設置されるときに、前記ハウジングの内側の上部に設置され、利用者がぶらさがる運動を行う運動補助器具を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の加減圧カプセル装置。
【請求項4】
前記ベッド設備は、ハウジングが横方向に設置されるときに、前記板状部材を並べて形成されることを特徴とする請求項1に記載の加減圧カプセル装置。
【請求項5】
内部を加減圧する長尺筒体の外形を有する密閉耐圧構造のハウジングと、前記ハウジングの外側端部に設けられ前記ハウジングを縦方向に設置する第1の支持台と、前記ハウジングの外側の複数部位に設けられ前記ハウジングを横方向に設置する第2の支持台と、前記ハウジングの長尺筒体の内側に沿って設けられる運動補助設備とベッド設備と、前記ハウジングの内側に設けられ所定波長のLED照明装置とを備え、
前記第1の支持台によりハウジングが縦方向に設置されるときに運動補助設備が前記縦方向と同方向に向かって使用可能となるとともに、前記第2の支持台によりハウジングが横方向に設置されるときにベッド設備が前記横方向と同方向に向かって使用可能となり、前記LED照明装置は運動補助設備とベッド設備が縦方向と横方向で兼用されるときに点灯されることを特徴とする加減圧カプセル装置。
【請求項6】
前記ハウジングの内部を加圧する高気圧カプセル装置であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の加減圧カプセル装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−147665(P2011−147665A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−12469(P2010−12469)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【出願人】(503208909)株式会社エアープレス (5)