説明

加湿および殺菌可能な空調システムと加湿および殺菌可能な空調方法

【課題】空調空気を加湿する空調運転を実施することができ、空調機の加湿エレメントの殺菌が必要な場合に機能水を利用した殺菌運転を実施することができる空調システムを提供する。
【解決手段】空調システム10Aでは、測定湿度が設定湿度に達していない場合、加湿エレメント22が空調機12によって作られた空調空気を加湿する第1空調運転を実施し、測定湿度が設定湿度に達している場合、加湿水供給ライン13から加湿エレメント22への加湿水の給水を停止し、空調機12によって作られた空調空気を空調室11に供給する第2空調運転を実施し、加湿エレメント22に発生した菌を殺菌する場合、加湿水給水ライン13からの加湿水の給水を停止しつつ、機能水貯水タンク39,41に貯水された機能水を加湿エレメント22に所定時間給水する殺菌運転を実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調空気を加湿可能であって加湿機構を殺菌可能な空調システムおよび空調空気を加湿可能であって加湿機構を殺菌可能な空調方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空調機内における空気通路の一部に空気通路の断面全体をほぼ覆うように設けられた除菌脱臭エレメントと、除菌脱臭エレメントに対して殺菌水を供給することによって除菌脱臭エレメントのほぼ全面に水膜を形成する殺菌水生成装置とを備え、除菌脱臭エレメントに形成された水膜に対して空調機内に導入された空気を接触させるように構成し、空調機によって循環する空気中に存在する微生物の除菌および臭気の除去を行う除菌脱臭空調システムがある(特許文献1参照)。殺菌水としては、塩化物を添加した水溶液を電気分解して生成される次亜塩素酸を含む電解機能水であって、pH3以下の強酸性水やpH5〜7の電解中性水、pH8〜9の電解次亜水の中から選択された電解機能水、次亜塩素酸(HOCl)を主成分とし、pH5〜7の弱酸性で有効塩素濃度が数ppm〜数100ppmの弱酸性水、塩化物がとけ込んだ水溶液を有効塩素濃度が数ppm〜数100ppm程度に希釈し、殺菌能力を保持した塩素系水溶液、オゾンを水に溶け込ませたオゾン水が使用される。
【0003】
この除菌脱臭空調システムは、空調機内の一部に設置された除菌脱臭エレメントを殺菌水で湿らせることによって除菌脱臭エレメントの全面に水膜を形成し、この水膜と除菌脱臭対象となる空気とを接触させることができるから、気液接触面積が大幅に増大させることができ、その結果、空気中の微生物を高い効率で除去することができるとともに、空気中に存在する臭気やガスを除去することができる。水廻りに殺菌水を使用することにより、循環空気はもとより空調機の内部まで十分に除菌できるから、空調機内部の無菌化が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−227622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1に開示の除菌脱臭空調システムは、殺菌水生成装置によって生成された殺菌水を常時除菌脱臭エレメントに供給し、その殺菌水を利用して空気中の微生物や空気中の臭気を除去するとともに、空調機の内部を殺菌する。しかし、除菌脱臭空調システムは、殺菌水を利用した殺菌運転のみが実施され、殺菌水の他に加湿水を利用して空調空気を加湿する空調運転を実施することはない。したがって、通常時において空調空気を加湿する空調運転を実施しつつ、空調機の加湿機構の殺菌が必要な場合のみに殺菌水を利用する殺菌運転を実施することができず、殺菌水を含まない加湿された清潔な空調空気を空調室に供給することはできない。また、複数の空調室に空調空気を供給する空調機が存在する場合、それら空調機の加湿機構を同時にまたは個別に殺菌する殺菌運転を実施することができず、殺菌水を含まない加湿された清潔な空調空気をそれら空調機から各空調室に供給することはできない。
【0006】
本発明の目的は、加湿水を利用して空調空気を加湿する空調運転を実施することができるとともに、空調機の加湿機構の殺菌が必要な場合に機能水を利用した殺菌運転を実施することができる加湿および殺菌可能な空調システムと加湿および殺菌可能な空調方法とを提供することにある。本発明の他の目的は、複数の空調室に空調空気を供給する空調機が存在したとしても、それら空調機の加湿機構を同時にまたは個別に殺菌する殺菌運転を実施することができ、殺菌水を含まない加湿された清潔な空調空気をそれら空調機から各空調室に供給することができる加湿および殺菌可能な空調システムと加湿および殺菌可能な空調方法とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための本発明にかかる加湿および殺菌可能な空調システムと空調方法とは、空調室に空調空気を供給する空調機と、空調機に設置された加湿機構に加湿水を給水する加湿水供給ラインと、加湿機構を殺菌する機能水を加湿機構に供給する機能水供給ラインとを備え、機能水供給ラインが、一定量の機能水を貯水する機能水貯水タンクと、機能水貯水タンクに貯水された機能水を加湿機構に送水する送水ポンプとを有し、加湿水供給ラインから加湿機構へ加湿水を給水するとともに、加湿機構が空調機によって作られた空調空気を加湿する第1空調運転(第1空調操作)と、加湿水供給ラインからの加湿機構への加湿水の給水を停止するとともに、空調機によって作られた空調空気を空調室に供給する第2空調運転(第2空調操作)と、加湿機構に発生した菌を殺菌する場合に第1および第2空調運転(第1および第2空調操作)を停止して加湿機構を殺菌する殺菌運転(殺菌操作)とのいずれかを実施し、殺菌運転(殺菌操作)では、加湿水給水ラインからの加湿水の給水を停止しつつ、機能水貯水タンクに貯水された機能水を送水ポンプを介して機能水供給ラインから加湿機構に所定時間供給することを特徴とする。
【0008】
本発明にかかる空調システムおよび空調方法の一例としては、空調室に設置された湿度センサを含み、湿度センサが計測した湿度が設定湿度に達していない場合、第1空調運転(第1空調操作)を実施し、湿度センサが計測した湿度が設定湿度に達している場合、第2空調運転(第2空調操作)を実施する。
【0009】
本発明にかかる空調システムおよび空調方法の一例としては、機能水供給ラインに設置されて機能水を生成しつつその機能水を機能水貯水タンクに供給する機能水生成装置を含み、機能水貯水タンクが機能水生成装置によって生成された機能水を貯水し、機能水生成装置が機能水貯水タンクに略一定量の機能水が貯水されるように機能水を機能水貯水タンクに供給する。
【0010】
本発明にかかる空調システムおよび空調方法の他の一例としては、空調機がそこにおいて発生する排水を捕集するドレンパンを有し、殺菌運転(殺菌操作)では、機能水貯水タンクに貯水された機能水を機能水供給ラインからドレンパンに供給し、ドレンパンに発生した菌を殺菌する。
【0011】
本発明にかかる空調システムおよび空調方法の他の一例としては、第1および第2空調運転を所定期間実施した後に殺菌運転(殺菌操作)を実施する。
【0012】
本発明にかかる空調システムおよび空調方法の他の一例としては、2室以上の空調室が存在するとともに、それら各空調室へ空調空気を供給する2つ以上の空調機が存在し、第1および第2空調運転(第1および第2空調操作)では、それら空調機によって作られた空調空気を各空調室に供給し、殺菌運転(殺菌操作)では、機能水貯水タンクに貯水された機能水を機能水供給ラインから各空調機に設置された各加湿機構に供給する。
【0013】
本発明にかかる空調システムおよび空調方法の他の一例としては、それら各空調室毎に第1および第2空調運転(第1および第2空調操作)を所定期間個別に実施した後、殺菌運転(殺菌操作)をそれら各空調機毎に個別に実施する。
【0014】
本発明にかかる空調システムおよび空調方法の他の一例としては、機能水供給ラインが第1機能水を加湿機構に供給する第1機能水供給ライン、第2機能水を加湿機構に供給する第2機能水供給ライン・・・第n機能水を加湿機構に供給する第n機能水供給ラインから形成され、第1機能水供給ライン〜第n機能水供給ラインがそれぞれ殺菌作用の異なる第1機能水〜第n機能水を加湿機構に供給する。
【0015】
本発明にかかる空調システムおよび空調方法の他の一例としては、空調機によって作られた空調空気の臭気を計測する臭気センサを含み、臭気センサが計測した臭気レベルがあらかじめ設定された設定臭気レベルを超えた場合、殺菌運転(殺菌操作)を実施する。
【0016】
本発明にかかる空調システムおよび空調方法の他の一例としては、臭気センサが計測した臭気レベルが設定臭気レベルを超えた場合における殺菌運転において、臭気センサが計測した臭気レベルと設定臭気レベルとの比較を停止し、殺菌運転終了後、第1および第2空調運転を実施したときから所定時間経過後に、臭気センサが計測した臭気レベルと設定臭気レベルとの比較を再開する。
【0017】
本発明にかかる空調システムおよび空調方法の他の一例として、殺菌運転(殺菌工程)では、空調機の運転が停止している。
【0018】
本発明にかかる空調システムおよび空調方法の他の一例として、殺菌運転(殺菌工程)では、空調機の運転が行われている。
【0019】
本発明にかかる空調システムおよび空調方法の他の一例としては、加湿機構の加湿方式が気化式加湿または噴霧式加湿のいずれかである。
【0020】
本発明にかかる空調システムおよび空調方法の他の一例としては、機能水が電解機能水、弱酸性水、塩素系水溶液、オゾン水、過酸化水素水の中から選択された少なくとも1種類である。
【発明の効果】
【0021】
本発明にかかる加湿および殺菌可能な空調システムと空調方法とによれば、湿度が不足している場合、加湿機構が空調機によって作られた空調空気を加湿する第1空調運転(第1空調操作)を実施し、湿度が足りている場合、空調機によって作られた空調空気を加湿することなく空調室に供給する第2空調運転(第2空調操作)を実施するから、空調室の湿度を最適に保持しつつ空調空気を空調機から空調室に供給することができ、加湿機構に発生(繁殖)した菌を殺菌する場合、第1および第2空調運転(第1および第2空調操作)を停止して加湿機構を殺菌する殺菌運転(殺菌操作)を実施するから、加湿機構を清潔な状態にすることができる。空調システムおよび空調方法は、加湿水を利用して空調空気を加湿し、適度な湿度を有する空調空気を空調室に供給することができるのみならず、空調機の加湿機構の殺菌が必要な場合に機能水を利用して加湿機構を殺菌することができ、加湿機構を清潔な状態で利用することができる。空調システムおよび空調方法は、加湿機構を清潔な状態で利用することができるから、加湿機構から空調空気に菌や悪臭が混入することはなく、加湿されて適度な湿度を有する清潔な空調空気や加湿されずに適度な湿度を有する清潔な空調空気を空調室に供給することができる。
【0022】
空調室に設置された湿度センサを含み、湿度センサが計測した湿度が設定湿度に達していない場合、第1空調運転(第1空調操作)を実施し、湿度センサが計測した湿度が設定湿度に達している場合、第2空調運転(第2空調操作)を実施する空調システムおよび空調方法は、湿度センサが計測した湿度が設定湿度に達していない場合、加湿機構が空調機によって作られた空調空気を加湿する第1空調運転(第1空調操作)を実施し、湿度センサが計測した湿度が設定湿度に達している場合、空調機によって作られた空調空気を加湿することなく空調室に供給する第2空調運転(第2空調操作)を実施するから、適度な湿度を有する空調空気を空調機から空調室に供給することができ、加湿機構に発生(繁殖)した菌を殺菌する場合、第1および第2空調運転(第1および第2空調操作)を停止して加湿機構を殺菌する殺菌運転(殺菌操作)を実施するから、加湿機構を清潔な状態にすることができる。空調システムおよび空調方法は、加湿水を利用して空調空気を加湿し、適度な湿度を有する空調空気を空調室に供給することができるのみならず、空調機の加湿機構の殺菌が必要な場合に機能水を利用して加湿機構を殺菌することができ、加湿機構を清潔な状態で利用することができるから、加湿機構から空調空気に菌や悪臭が混入することはなく、加湿されて適度な湿度を有する清潔な空調空気や加湿されずに適度な湿度を有する清潔な空調空気を空調室に供給することができる。
【0023】
機能水を生成しつつ機能水を機能水貯水タンクに供給する機能水生成装置を含み、機能水生成装置が機能水貯水タンクに略一定量の機能水が貯水されるように機能水を機能水貯水タンクに供給する空調システムおよび空調方法は、機能水が機能水生成装置から機能水貯水タンクに供給され、略一定量の機能水が機能水貯水タンクに常時貯水されるから、機能水貯水タンクにおいて機能水が枯渇することはなく、機能水が枯渇することによる殺菌運転(殺菌操作)の実施不能を防ぐことができる。空調システムおよび空調方法は、空調機の加湿機構の殺菌が必要な場合に機能水を利用して加湿機構を確実に殺菌することができ、加湿機構を清潔な状態で利用することができるから、加湿機構から空調空気に菌や悪臭が混入することはなく、加湿されて適度な湿度を有する清潔な空調空気や加湿されずに適度な湿度を有する清潔な空調空気を空調室に供給することができる。
【0024】
空調機がそこにおいて発生する排水を捕集するドレンパンを有し、機能水貯水タンクに貯水された機能水を機能水供給ラインからドレンパンに供給し、ドレンパンに発生した菌を殺菌する空調システムおよび空調方法は、空調機のドレンパンの殺菌が必要な場合に機能水を利用してドレンパンを殺菌することができ、ドレンパンを清潔な状態で利用することができる。空調システムおよび空調方法は、加湿機構のみならずドレンパンを清潔な状態で利用することができるから、ドレンパンから空調空気に菌や悪臭が混入することはなく、加湿されて適度な湿度を有する清潔な空調空気や加湿されずに適度な湿度を有する清潔な空調空気を空調室に供給することができる。
【0025】
第1および第2空調運転(第1および第2空調操作)を所定期間実施した後に殺菌運転(殺菌操作)を実施する空調システムおよび空調方法は、第1および第2空調運転(第1および第2空調操作)を所定期間実施すると、空調機の加湿機構やドレンパンに菌が繁殖する場合があるが、第1および第2空調運転(第1および第2空調操作)を所定期間実施した後に殺菌運転(殺菌操作)を実施するから、加湿機構やドレンパンに菌が繁殖したとしても、その菌を殺菌することができ、加湿機構やドレンパンを清潔な状態で利用することができる。空調システムおよび空調方法は、空調機の加湿機構やドレンパンに菌が繁殖したとしても、機能水を利用して加湿機構やドレンパンを確実に殺菌することができ、加湿機構やドレンパンを清潔な状態で利用することができるから、加湿機構やドレンパンから空調空気に菌や悪臭が混入することはなく、加湿されて適度な湿度を有する清潔な空調空気や加湿されずに適度な湿度を有する清潔な空調空気を空調室に供給することができる。
【0026】
2室以上の空調室が存在するとともに、それら各空調室へ空調空気を供給する2つ以上の空調機が存在し、第1および第2空調運転(第1および第2空調操作)において、それら空調機によって作られた空調空気を各空調室に供給し、殺菌運転(殺菌操作)において、機能水貯水タンクに貯水された機能水を機能水供給ラインから各空調機に設置された各加湿機構に供給する空調システムおよび空調方法は、湿度が不足している場合、各加湿機構が各空調機によって作られた空調空気を加湿する第1空調運転(第1空調工程)を実施し、湿度が足りている場合、各空調機によって作られた空調空気を加湿することなく各空調室に供給する第2空調運転(第2空調操作)を実施するから、空調室の湿度を最適に保持しつつ空調空気を各空調機から各空調室に供給することができ、それら加湿機構に発生(繁殖)した菌を殺菌する場合、第1および第2空調運転(第1および第2空調操作)を停止して各加湿機構を殺菌する殺菌運転(殺菌操作)を実施するから、それら加湿機構を清潔な状態にすることができる。空調システムおよび空調方法は、加湿水を利用して空調空気を加湿し、適度な湿度を有する空調空気を各空調室に供給することができるのみならず、それら空調機の加湿機構の殺菌が必要な場合に機能水を利用して各加湿機構を同時にまたは個別に殺菌することができ、各加湿機構を清潔な状態で利用することができる。空調システムおよび空調方法は、それら加湿機構を清潔な状態で利用することができるから、各加湿機構から空調空気に菌や悪臭が混入することはなく、加湿されて適度な湿度を有する清潔な空調空気や加湿されずに適度な湿度を有する清潔な空調空気を各空調室に供給することができる。
【0027】
各空調室毎に第1および第2空調運転(第1および第2空調操作)を所定期間個別に実施した後、殺菌運転(殺菌操作)をそれら各空調機毎に個別に実施する空調システムおよび空調方法は、第1および第2空調運転(第1および第2空調操作)を所定期間実施すると、各空調機の加湿機構に菌が繁殖する場合があるが、第1および第2空調運転(第1および第2空調操作)を所定期間実施した後、各空調機毎に殺菌運転(殺菌操作)を実施するから、各加湿機構に菌が繁殖したとしても、その菌を殺菌することができ、加湿機構を清潔な状態で利用することができる。空調システムおよび空調方法は、それら空調機の加湿機構に菌が繁殖したとしても、機能水を利用して各加湿機構を確実に殺菌することができ、加湿機構を清潔な状態で利用することができるから、加湿機構から空調空気に菌や悪臭が混入することはなく、加湿されて適度な湿度を有する清潔な空調空気や加湿されずに適度な湿度を有する清潔な空調空気を各空調室に供給することができる。
【0028】
機能水供給ラインが第1機能水を加湿機構に供給する第1機能水供給ライン、第2機能水を加湿機構に供給する第2機能水供給ライン・・・第n機能水を加湿機構に供給する第n機能水供給ラインから形成され、第1機能水供給ライン〜第n機能水供給ラインがそれぞれ殺菌作用の異なる第1機能水〜第n機能水を加湿機構に供給する空調システムおよび空調方法は、殺菌作用(殺菌効果)の異なる機能水をそれら機能水供給ラインから供給することで、多量の菌が発生した加湿機構やドレンパンを強い殺菌効果を有する機能水によって殺菌することができるとともに、菌の発生が少ない加湿機構やドレンパンを弱い殺菌効果を有する機能水によって殺菌することができる。なお、機能水供給ラインや加湿機構、ドレンパンの耐薬品性にもよるが、強い殺菌効果を有する機能水を常時使用すると、その抗菌作用によって機能水供給ラインや加湿機構、ドレンパンが痛む原因になるが、弱い殺菌効果を有する機能水を適宜使用することによって機能水供給ラインや加湿機構、ドレンパンの痛みを防ぐことができる。
【0029】
空調機によって作られた空調空気の臭気を計測する臭気センサを含み、臭気センサが計測した臭気レベルがあらかじめ設定された設定臭気レベルを超えた場合に殺菌運転(殺菌操作)を実施する空調システムおよび空調方法は、加湿機構やドレンパンにおいて菌が発生すると、加湿機構やドレンパンから悪臭が発生し、その悪臭を臭気センサによって計測することで、加湿機構やドレンパンにおける菌の発生を判定することができる。空調システムおよび空調方法は、臭気レベルが設定臭気レベルを超えた場合、加湿機構やドレンパンにおける菌の発生が認められ、殺菌運転(殺菌操作)を実施するから、加湿機構やドレンパンに菌が繁殖したとしても、機能水を利用して各加湿機構や各ドレンパンを確実に殺菌することができる。空調システムおよび空調方法は、加湿機構やドレンパンを清潔な状態で利用することができるから、加湿機構やドレンパンから空調空気に菌や悪臭が混入することはなく、加湿されて適度な湿度を有する清潔な空調空気や加湿されずに適度な湿度を有する清潔な空調空気を空調室に供給することができる。
【0030】
臭気センサが計測した臭気レベルが設定臭気レベルを超えた場合における殺菌運転において、臭気センサが計測した臭気レベルと設定臭気レベルとの比較を停止し、殺菌運転終了後、第1空調運転または第2空調運転を実施したときから所定時間経過後に、臭気センサが計測した臭気レベルと設定臭気レベルとの比較を再開する空調システムおよび空調方法は、殺菌運転(殺菌操作)中に臭気レベルと設定臭気レベルとの比較を継続すると、機能水の臭気によって臭気レベルが設定臭気レベルを超えた状態となる場合があり、不必要な殺菌運転(殺菌操作)が継続されることになるが、殺菌運転(殺菌操作)において臭気レベルと設定臭気レベルとの比較を停止するから、機能水の臭気によって臭気レベルが設定臭気レベルを超えることはなく、最適な時間で殺菌運転(殺菌操作)を終了することができる。空調システムおよび空調方法は、第1および第2空調運転(第1および第2空調操作)を実施した直後に臭気レベルと設定臭気レベルとの比較を開始すると、機能水の残存する臭気によって臭気レベルが設定臭気レベルを超えた状態となる場合があり、不必要な殺菌運転(殺菌操作)が再び実施されることになるが、第1空調運転または第2空調運転(第1空調操作または第2空調操作)を実施したときから所定時間経過後に臭気レベルと設定臭気レベルとの比較を再開するから、機能水の残存する臭気によって臭気レベルが設定臭気レベルを超えることはなく、不必要な殺菌運転(殺菌操作)の実施を防ぐことができる。
【0031】
殺菌運転(殺菌操作)において空調機の運転が停止している空調システムおよび空調方法は、殺菌運転(殺菌操作)において空調機の運転を停止させることで、加湿機構やドレンパンに機能水を留めることができ、空調機の加湿機構やドレンパンに菌が繁殖したとしても、機能水を利用して加湿機構やドレンパンを確実に殺菌することができる。空調システムおよび空調方法は、機能水の成分を含んだ空調空気が空調室に供給されることはなく、機能水の臭気の空調室への充満を防ぐことができる。空調システムおよび空調方法は、加湿機構やドレンパンを清潔な状態で利用することができるから、加湿機構やドレンパンから空調空気に菌や悪臭が混入することはなく、加湿されて適度な湿度を有する清潔な空調空気や加湿されずに適度な湿度を有する清潔な空調空気を空調室に供給することができる。
【0032】
殺菌運転(殺菌操作)において空調機の運転が行われている空調システムおよび空調方法は、殺菌運転(殺菌操作)において空調機を運転することで、機能水の成分を含んだ空調空気が空調室に供給され、機能水の殺菌作用(殺菌効果)によって空調室の空気が殺菌されるから、加湿機構やドレンパンを殺菌することができるのみならず、空調室も殺菌することができる。空調システムおよび空調方法は、加湿機構やドレンパンを清潔な状態で利用することができるとともに、空調室を清潔な状態で利用することができる。
【0033】
加湿機構の加湿方式が気化式加湿または噴霧式加湿のいずれかである空調システムおよび空調方法は、加湿機構の加湿方式が前記いずれかの方式であったとしても、機能水を利用して加湿機構に発生した菌を確実に殺菌することができ、加湿機構を清潔な状態で利用することができるから、加湿機構から空調空気に菌が混入することはなく、加湿されて適度な湿度を有する清潔な空調空気や加湿されずに適度な湿度を有する清潔な空調空気を各空調室に供給することができる。
【0034】
機能水が電解機能水、弱酸性水、塩素系水溶液、オゾン水、過酸化水素水の中から選択された少なくとも1種類である空調システムおよび空調方法は、空調機の加湿機構やドレンパンに菌が繁殖したとしても、それら機能水を利用して加湿機構やドレンパンを確実に殺菌することができ、加湿機構やドレンパンを清潔な状態で利用することができるから、加湿機構やドレンパンから空調空気に菌や悪臭が混入することはなく、加湿されて適度な湿度を有する清潔な空調空気や加湿されずに適度な湿度を有する清潔な空調空気を空調室に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】一例として示す空調システムの構成図。
【図2】タイムスケジュールの一例を示す図。
【図3】空調システム(空調方法)における第1空調運転(第1空調操作)を説明する図。
【図4】空調システム(空調方法)における弱殺菌運転(弱殺菌操作)の一例を説明する図。
【図5】空調システム(空調方法)における強殺菌運転(強殺菌操作)の一例を説明する図。
【図6】他の一例として示す空調システムの構成図。
【図7】空調システム(空調方法)における第1空調運転(第1空調操作)を説明する図。
【図8】空調システム(空調方法)における弱殺菌運転(弱殺菌操作)の一例を説明する図。
【図9】空調システム(空調方法)における強殺菌運転(強殺菌操作)の一例を説明する図。
【図10】図6とは異なる空調システムの構成図。
【図11】他の一例として示す空調システムの構成図。
【図12】空調システム(空調方法)における弱殺菌運転(弱殺菌操作)の一例を説明する図。
【図13】空調システム(空調方法)における強殺菌運転(強殺菌操作)の一例を説明する図。
【図14】他の一例として示す空調システムの構成図。
【図15】空調システム(空調方法)における弱殺菌運転(弱殺菌操作)の一例を説明する図。
【図16】空調システム(空調方法)における強殺菌運転(強殺菌操作)の一例を説明する図。
【図17】図14とは異なる空調システムの構成図。
【図18】他の一例として示す空調機の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
一例として示す空調システム10Aの構成図である図1等の添付の図面を参照し、本発明にかかる加湿可能かつ殺菌可能な空調システムおよび空調方法の詳細を説明すると、以下のとおりである。なお、図2は、タイムスケジュールの一例を示す図であり、図3は、空調システム10A(空調方法)における第1空調運転(第1空調操作)を説明する図である。
【0037】
空調システム10A(空調方法)は、所定容積を有する空調室11と、空気を空調する空調機12と、加湿水供給ライン13と、第1および第2機能水供給ライン14,15(第1機能水供給ライン〜第n機能水供給ライン)と、コントローラ16(制御装置)と、湿度センサ17とから形成されている。なお、図1のシステム10Aでは、2本の機能水供給ライン14,15が設置されているが、機能水供給ラインの本数に特に限定はなく、1本の機能水供給ラインのみが設置されていてもよく、3本以上の機能水供給ラインが設置されていてもよい。
【0038】
空調室11には、クリーンルームや病室、実験室等を例示することができるが、空調室11はそれらに限定されず、あらゆる種類の室(ホールや劇場、体育館、工場等を含む)に適用することができる。空調室1は、天井および床と前後壁および側壁とに囲繞された所定容積の空調空間を有し、天井、床、それら壁によって室外と仕切られている。天井には、空調空気を空調室11に取り入れるための給気口(図示せず)が施設されている。側壁には、空調室11の空気を排気するための排気口(図示せず)が施設されている。
【0039】
湿度センサ17は、空調室11の内部に設置されている。湿度センサ17は、インターフェイス18を介してコントローラ16に接続されている。湿度センサ17は、空調室11の内部の湿度を計測し、計測した測定湿度をコントローラ16に送信する。空調室11の内部の設定湿度や設定温度は、コントローラ16に送信される。
【0040】
空調機12は、空調室11に気化式加湿(滴下式加湿)によって加湿された空調空気または加湿されない空調空気を供給する。空調機12は、空調室11の室外に設置されているが、室内に設置される場合もある。空調機12は、ハウジング19と、冷却コイル20および加熱コイル21と、気化式加湿エレメント22(加湿機構)および送風機23(ファン)と、ドレンパン24と、制御部(図示せず)とから形成されている。空調機12の制御部は、インターフェイス18を介してコントローラ16に接続されている。
【0041】
空調機12には、外気を取り入れるダクト25が連結されている。空調機12は、給気ダクト26を介して空調室11に連結されている。ハウジング19には、図示はしていないが、空気流入口と空気流出口とが形成されている。空調機12では、空気流入口から空気流出口に向かって、冷却コイル20、加熱コイル21、気化式加湿エレメント22、送風機23の順で並んでいる。冷却コイル20は、空調機12の内部に設置され、空気を冷却および除湿して空調空気を作る。加熱コイル21は、空調機12の内部に設置され、空気を加熱して空調空気を作る。空調機12では、コントローラ16は、送信された設定温度にしたがい、冷却コイル20または加熱コイル21に熱媒を流し、空調室11の温度や湿度をコントロールする。
【0042】
気化式加湿エレメント22には、ポリエステル樹脂繊維やフェノール樹脂繊維、無機繊維等から作られた既存のそれが使用されている。気化式加湿エレメント22は、上端部27と、ドレンパン24に対向する下端部29と、上下端部27,29の間に位置する中間部28とを有し、上下方向へ長く延びている。気化式加湿エレメント22は、加湿水供給ライン13や第1および第2機能水供給ライン14,15から給水される加湿水や機能水を保水し、加湿水や機能水のうちの余剰分をドレンパン24に排水する。
【0043】
機能水には、食塩水や塩酸等の塩化物を含んだ水溶液を電気分解して生成される次亜塩素酸を含む電解機能水であって、pH2.7以下で有効塩素濃度が20〜60mg/Lである強酸性電解水、pH2.7〜5.0で有効塩素濃度が10〜60mg/Lである弱酸性電解水、pH5.0〜6.5で有効塩素濃度が10〜30mg/Lまたは50〜80mg/Lの微酸性電解水、pH7.5以上の電解次亜水、塩化物が溶け込んだ水溶液を有効塩素濃度が数mg/L〜数百mg/L程度に稀釈した殺菌能力を有する塩素系水溶液、オゾンを水に溶け込ませたオゾン水、過酸化水素水の中から選択された少なくとも1種類が使用される。
【0044】
送風機23は、空調機12の内部に空気を強制的に流入させ、空調空気を空調機12の内部から外部に強制的に流出させる。送風機23は、その稼働中における風量(風速)が設定されている。ドレンパン24は、冷却コイル20から滴下する水滴を捕集するとともに、気化式加湿エレメント22の下端部29から排水された加湿水や機能水を捕集し、それら水を排水溝に排水する。
【0045】
ダクト25は、その先端部が空調機12の空気流入口に連結されている。給気ダクト26は、その基端部が空調機12の空気流出口に連結され、その先端部が空調室11の天井に施設された給気口に連結されている。給気ダクト26は、空調機12によって作られた空調空気を空調室11に供給する。
【0046】
加湿水供給ライン13は、第1加湿水用電磁弁30および第2加湿水用電磁弁31と、チャッキ弁32と、加湿水用給水管33とから形成されている。加湿水供給ライン13は、必要に応じて気化式加湿エレメント22に加湿水(水道水)を給水する。加湿水用給水管33の基端部は、図示はしていないが、水源配管に連結されている。加湿水用給水管33の先端部は、気化式加湿エレメント22の上端部27に連結されている。加湿水供給ライン13では、加湿水用給水管33の基端部から先端部に向かって加湿水用第1電磁弁30、チャッキ弁32、加湿水用第2電磁弁31の順に並んでいる。
【0047】
加湿水用第1電磁弁30は、加湿水用給水管33に取り付けられ、その制御部がインターフェイス18を介してコントローラ16に接続されている。チャッキ弁32は、加湿水用給水管33に取り付けられ、加湿水の逆流を防止する。加湿水用第2電磁弁31は、加湿水用給水管33に取り付けられ、その制御部がインターフェイス18を介してコントローラ16に接続されている。
【0048】
第1機能水供給ライン14は、第1機能水生成装置34と、第1機能水貯水タンク35(第1バッファタンク)と、第1送水ポンプ36と、チャッキ弁37と、機能水用第1供給管38とから形成されている。第1機能水供給ライン14は、気化式加湿エレメント22に第1機能水を供給する。機能水用第1供給管38の基端部は、第1機能水生成装置34に連結されている。機能水用第1供給管38は、後記する機能水用第2供給管44と合流し、その先端部が気化式加湿エレメント22の上端部27に連結されている。第1機能水供給ライン14では、機能水用第1供給管38の基端部から先端部に向かって、第1機能水生成装置34、第1機能水貯水タンク35、第1機能水送水ポンプ36、チャッキ弁37の順に並んでいる。
【0049】
第1機能水生成装置34は、必要に応じて第1機能水を生成し、生成した第1機能水を第1貯水タンク35に供給する。第1機能水には、たとえば、次亜塩素酸を含む電解機能水であって前述したpH2.7以下で有効塩素濃度が20〜60mg/Lである強酸性電解水を使用することができる。したがって、第1機能水は、その殺菌作用(殺菌効果)が強い。
【0050】
第1機能水貯水タンク35は、機能水用第1供給管38に取り付けられ、第1機能水を貯水する。第1機能水貯水タンク35には、第1水位センサ39(水位計)が設置されている。第1水位センサ39は、インターフェイス18を介して第1機能水生成装置34に接続されている。第1水位センサ39は、第1機能水貯水タンク35に貯水された第1機能水の水位を計測し、計測した実測水位を第1機能水生成装置34に送信する。第1送水ポンプ36は、機能水用第1供給管38に取り付けられ、インターフェイス18を介してコントローラ16に接続されている。チャッキ弁37は、機能水用第1供給管38に取り付けられ、第1機能水の逆流を防止する。
【0051】
第1機能水生成装置34の制御部には、あらかじめ設定された設定水位が格納されている。第1機能水生成装置34の制御部は、第1水位センサ39から送信された実測水位と設定水位とを比較し、実測水位が設定水位未満になると、第1機能水を生成しつつ、生成した第1機能水を第1機能水貯水タンク35に供給する。したがって、第1機能水生成装置34は、第1機能水貯水タンク35に貯水された第1機能水の水位を監視し、第1機能水貯水タンク35に略一定量の第1機能水が常時貯水されるように、第1機能水を機能水貯水タンク35に供給する。なお、実測水位が設定水位になると、第1機能水の生成・供給を停止する。
【0052】
第2機能水供給ライン15は、第2機能水生成装置40と、第2機能水貯水タンク41(第2バッファタンク)と、第2送水ポンプ42と、チャッキ弁43と、機能水用第2供給管44とから形成されている。第2機能水供給ライン15は、気化式加湿エレメント22に第2機能水を供給する。機能水用第2供給管44の基端部は、第2機能水生成装置40に連結されている。機能水用第2供給管44は、機能水用第1供給管38と合流し、その先端部が気化式加湿エレメント22の上端部27に連結されている。第2機能水供給ライン15では、機能水用第2供給管44の基端部から先端部に向かって、第2機能水生成装置40、第2機能水貯水タンク41、第2機能水送水ポンプ42、チャッキ弁43の順に並んでいる。
【0053】
機能水用第2供給管44の先端部(機能水用第1供給管38の先端部)には、ドレンパン24に機能水を供給するドレンパン用機能水供給管52が連結されている。供給管52には、仕切弁53が設置されている。仕切弁53は、その弁機構が通常開状態に保持されているが、ドレンパン24に機能水を供給しない場合はその弁機構が閉鎖される。第2機能水生成装置40は、必要に応じて第2機能水を生成し、生成した第2機能水を第2貯水タンク41に供給する。第2機能水には、たとえば、次亜塩素酸を含む電解機能水であって前述したpH2.7〜5.0で有効塩素濃度が10〜60mg/Lである弱酸性電解水を使用することができる。したがって、第2機能水は、その殺菌作用(殺菌効果)が第1機能水のそれよりも弱い。
【0054】
第2機能水貯水タンク41は、機能水用第2供給管44に取り付けられ、第2機能水を貯水する。第2機能水貯水タンク41には、第2水位センサ45(水位計)が設置されている。第2水位センサ45は、インターフェイス18を介して第2機能水生成装置40に接続されている。第2水位センサ45は、第2機能水貯水タンク41に貯水された第2機能水の水位を計測し、計測した実測水位を第2機能水生成装置40に送信する。第2送水ポンプ42は、機能水用第2供給管44に取り付けられ、インターフェイス18を介してコントローラ16に接続されている。チャッキ弁43は、機能水用第2供給管44に取り付けられ、第2機能水の逆流を防止する。
【0055】
第2機能水生成装置40の制御部には、あらかじめ設定された設定水位が格納されている。第2機能水生成装置40の制御部は、第2水位センサ45から送信された実測水位と設定水位とを比較し、実測水位が設定水位未満になると、第2機能水を生成しつつ、生成した第2機能水を第2機能水貯水タンク41に供給する。したがって、第2機能水生成装置40は、第2機能水貯水タンク41に貯水された第2機能水の水位を監視し、第2機能水貯水タンク41に略一定量の第2機能水が常時貯水されるように、第2機能水を機能水貯水タンク41に供給する。なお、実測水位が設定水位になると、第2機能水の生成・供給を停止する。
【0056】
コントローラ16は、中央処理部(CPUまたはMPU)とメモリ(主記憶部)とを有するマイクロコンピュータであり、データ記憶装置が内蔵されている。コントローラ16には、テンキーユニット(図示せず)やディスプレイ(図示せず)等の入出力装置がインターフェイスを介して接続されている。コントローラ16の中央処理部は、オペレーティングシステムによる制御に基づいて、メモリからアプリケーションを起動し、起動したアプリケーションに従って、後記する各運転(操作)を実施する。コントローラ16の中央処理部は、空調機12の停止(OFF)または稼働(ON)を行う。
【0057】
コントローラ16のデータ記憶装置には、空調室11の設定湿度や設定温度が格納されているとともに、図2に示すタイムスケジュールが格納されている。タイムスケジュールには、第1送水ポンプ36の稼働時間(稼働期間)および停止時間(停止期間)、第2送水ポンプ42の稼働時間(稼働期間)および停止時間(停止期間)がある。タイムスケジュールは、テンキーユニットを介して自由に設定することができる。
【0058】
第1送水ポンプ36の停止時間は、たとえば、1ヶ月、2ヶ月等の時間が設定され、第1送水ポンプ36の稼働時間は、たとえば、15分、30分、1時間等が設定される。第2送水ポンプ42の停止時間は、第1送水ポンプ36のそれよりも短く、たとえば、1日、1週間等の時間が設定され、第2送水ポンプ42の稼働時間は、たとえば、15分、30分、1時間等が設定される。第1および第2送水ポンプ36,42の稼働時間が停止時間に比べて短いのは、菌の殺菌に長い時間が必要ないからである。
【0059】
図3に基づいて、空調システム10A(空調方法)における第1空調運転(第1空調操作)を説明すると、以下のとおりである。なお、第1送水ポンプ36の停止時間が1ヶ月に設定されているとともに、第2送水ポンプ42の停止時間が1週間に設定されているものとする。また、第1および第2送水ポンプ36,42の稼働時間が30分に設定されているものとする。なお、図2のタイムスケジュールに示すように、第1送水ポンプ36が稼働する場合、第2送水ポンプ42の停止時間が第1送水ポンプ36の稼働から1週間延長される。第1機能水貯水タンク35に第1機能水が貯水され、第2機能水貯水タンク41に第2機能水が貯水されているものとする。
【0060】
空調システム10A(空調方法)では、第2送水ポンプ42の停止時間(1週間)が経過すると、第2機能水供給ライン15による弱殺菌運転が行われる。空調システム10A(空調方法)では、第2送水ポンプ42の稼働時間(30分)が経過すると、加湿水供給ライン13による第1空調運転または第2空調運転が行われる。空調システム10A(空調方法)では、第1送水ポンプ36の停止時間(1ヶ月)が経過すると、第1機能水供給ライン14による強殺菌運転が行われる。空調システム10A(空調方法)では、第1送水ポンプ36の稼働時間(30分)が経過すると、加湿水供給ライン13による第1空調運転または第2空調運転が行われる。
【0061】
コントローラ16は、第1および第2送水ポンプ36,42の停止時間(停止期間)にあるかを判断する。第1および第2送水ポンプ36,42の停止時間にある場合であって、湿度センサ17が計測した測定湿度が設定湿度に達していない場合、空調システム10A(空調方法)では、第1空調運転(第1空調操作)を実施する。第1空調運転では、空調室11の設定温度がコントローラ16から空調機12の制御部に送信され、空調室12の温度が設定温度になるように、空調機12の制御部が冷却コイル20または加熱コイル21を調節する。さらに、加湿水供給ライン13が加湿エレメント22へ加湿水を給水するとともに、加湿エレメント22が空調空気を加湿する。
【0062】
第1空調運転では、第1および第2機能水供給ライン14,15から機能水は供給されない。第1空調運転においてコントローラ16は、第1および第2送水ポンプ36,42の停止時間(停止期間)にあると判断し、第1および第2送水ポンプ36,42に停止指令を送信する。第1および第2送水ポンプ36,42は、コントローラ16から送信された停止指令にしたがってその電源がOFFとなり、停止状態を保持する。また、コントローラ16は、加湿水用第1電磁弁30の弁機構を開放した状態に保持する。
【0063】
第1空調運転において、湿度センサ17から測定湿度がコントローラ16に送信されている。コントローラ16は、湿度センサ17が計測した測定湿度と設定湿度とを比較し、測定湿度が設定湿度に達していないと判断すると、加湿水用第2電磁弁31に開放指令を送信する。加湿水用第2電磁弁31は、コントローラ16から送信された開放指令にしたがってその弁機構を開放する。なお、測定湿度が設定湿度に達していない間、加湿水用第2電磁弁31の弁機構の開放が継続される。
【0064】
第1空調運転では、加湿水用第2電磁弁31の弁機構が開放され、図3に矢印L1で示すように、加湿水(水道水)が加湿水用給水管33を通って加湿エレメント22の上端部27からエレメント22全域に給水される。加湿エレメント22では、加湿水を保水し、余剰分をドレンパン24に排水する。空調機12によって作られた空調空気は、加湿水を保水した加湿エレメント22を通過しつつ、加湿水と接触し、加湿された空調空気となる。加湿された空調空気は、図3に矢印L2で示すように、給気ダクト26から空調室11に供給される。なお、測定湿度が設定湿度に達するまで第1空調運転が実施される。
【0065】
次に、空調システム10A(空調方法)における第2空調運転(第2空調操作)を説明すると、以下のとおりである。コントローラ16は、第1および第2送水ポンプ36,42の停止時間(停止期間)にあるかを判断する。第1および第2送水ポンプ36,42の停止時間にある場合であって、湿度センサ17が計測した測定湿度が設定湿度に達している場合(第1空調運転を実施した後、測定湿度が設定湿度に達した場合を含む)、空調システム10A(空調方法)では、第2空調運転を実施する。
【0066】
第2空調運転では、空調室11の温度がコントローラ16から送信された設定温度になるように、空調機12が冷却コイル20または加熱コイル21を調節する。さらに、加湿水供給ライン13から加湿エレメント22への加湿水の給水が停止されるとともに、空調機12によって作られた空調空気が空調室11に供給される。
【0067】
第2空調運転において、湿度センサ17から測定湿度がコントローラ16に送信されている。コントローラ16は、湿度センサ17が計測した測定湿度と設定湿度とを比較し、測定湿度が設定湿度に達したと判断すると、加湿水用第2電磁弁31に閉鎖指令を送信する。加湿水用第2電磁弁31は、コントローラ16から送信された閉鎖指令にしたがってその弁機構を閉鎖する。なお、測定湿度が設定湿度に達している間、加湿水用第2電磁弁31の弁機構の閉鎖が継続される。
【0068】
第2空調運転では、加湿水用第2電磁弁31の弁機構が閉鎖され、加湿水(水道水)の加湿エレメント22への給水が停止される。加湿されない空調空気は、給気ダクト25から空調室11に供給される。なお、測定湿度が設定湿度に達している間、第2空調運転が実施され、測定湿度が設定湿度に達しなくなると、再び第1空調運転が実施される。
【0069】
図4は、空調システム10A(空調方法)における弱殺菌運転(弱殺菌操作)の一例を説明する図である。図4に基づいて、空調システム10A(空調方法)における弱殺菌運転(弱殺菌操作)の一例を説明すると、以下のとおりである。空調システム10A(空調方法)では、加湿エレメント22やドレンパン24に発生した菌(繁殖した菌)を殺菌する場合、第1および第2空調運転を停止し、加湿エレメント22やドレンパン24を殺菌する殺菌運転(弱殺菌運転または強殺菌運転)を実施する。殺菌運転では、加湿水給水ライン13からの加湿水の給水を停止しつつ、機能水貯水タンク35,41に貯水された機能水(第1機能水または第2機能水)を送水ポンプ36,42を介して機能水供給ライン14,15から加湿エレメント22やドレンパン24に所定時間(設定時間)供給する。
【0070】
コントローラ16は、第1および第2送水ポンプ36,42の停止時間(停止期間)にあるかを判断する。第1空調運転または第2空調運転を実施してから1週間が経過し、第1送水ポンプ36の稼働時間になく(停止時間にあり)、第2送水ポンプ42の停止時間にない(稼働時間にある)場合、空調システム10A(空調方法)では、第2機能水供給ライン15による弱殺菌運転(弱殺菌操作)を実施する。なお、図2のタイムスケジュールに示すように、1週間の期間(時間)の起算日(起算時間)は弱殺菌運転を行う毎にリセットされ、弱殺菌運転が行われた後、あらたに1週間の期間(時間)が進行する。
【0071】
弱殺菌運転では、加湿水供給ライン13から加湿水は給水されず、第1機能水供給ライン14から第1機能水は供給されない。弱殺菌運転においてコントローラ16は、加湿水用第1電磁弁30に閉鎖指令を送信する。加湿水用第1電磁弁30は、コントローラ16から送信された閉鎖指令にしたがってその弁機構を閉鎖する。それによって、加湿水給水ライン13からの加湿水の給水が停止する。
【0072】
弱殺菌運転においてコントローラ16は、第2送水ポンプ42の稼働時間にあると判断し、第2送水ポンプ42に稼働指令を送信する。第2送水ポンプ42は、コントローラ16から送信された稼働指令にしたがってその電源がONとなる。また、コントローラ16は、第1送水ポンプ36の停止時間にあると判断し、第1送水ポンプ36に停止指令を送信する。第1送水ポンプ36は、コントローラ16から送信された停止指令にしたがってその電源がOFFのままとなり、停止状態を保持する。
【0073】
第2送水ポンプ42が稼働すると、図4に矢印L3で示すように、第2機能水貯水タンク41に貯水された第2機能水がタンク41から機能水用第2供給管44を通って加湿エレメント22の上端部27からエレメント22全域に供給される。また、第2機能水が供給管52を通ってドレンパン24に供給される。なお、第2機能水をドレンパン24に供給しない場合、仕切弁53の弁機構が閉鎖される。加湿エレメント22では、第2機能水を保水し、余剰分をドレンパン24に排水する。弱殺菌運転では、加湿エレメント22が第2機能水によって殺菌され、ドレンパン24が第2機能水によって殺菌される。
【0074】
なお、第2機能水が供給されると、第2機能水貯水タンク41における第2機能水の貯水量が減少する。第2機能水生成装置40の制御部は、第2水位センサ45から送信された実測水位が設定水位未満になると、第2機能水を生成しつつ、生成した第2機能水を第2機能水貯水タンク41に供給し、第2機能水貯水タンク41における第2機能水の貯水量を設定水位にまで回復させる。
【0075】
第2送水ポンプ42が稼働してから30分が経過し、第2送水ポンプ42の稼働時間が経過した場合、コントローラ16は、第2送水ポンプ42の停止時間にあると判断し、第2送水ポンプ42に停止指令を送信する。さらに、加湿水用第1電磁弁30に開放指令を送信する。第2送水ポンプ42は、コントローラ16から送信された停止指令にしたがってその電源がOFFとなり、停止状態を保持する。加湿水用第1電磁弁30は、コントローラ16から送信された開放指令にしたがってその弁機構を開放する。第2送水ポンプ42が稼働してから30分が経過した後、第1空調運転または第2空調運転のいずれかが行われる。図4の弱殺菌運転では、コントローラ16が空調機12の稼働を停止する場合、または、コントローラ16が空調機12の稼働を継続する場合がある。
【0076】
弱殺菌運転(弱殺菌操作)において空調機12の稼働を停止する場合、空調機12から空調室11への空調空気の供給が停止され、第2機能水の成分を含む空調空気は空調室11に供給されない。弱殺菌運転において空調機12の運転を停止させることで、加湿エレメント22やドレンパン24に第2機能水を留めることができ、加湿エレメント22やドレンパン24に菌が発生(繁殖)したとしても、第2機能水を利用して加湿エレメント22やドレンパン24を確実に殺菌することができる。また、第2機能水の成分を含んだ空調空気が空調室11に供給されることはなく、第2機能水の臭気の空調室11への充満を防ぐことができる。
【0077】
弱殺菌運転(弱殺菌操作)において空調機12の稼働を継続する場合、空調機12から空調室11への空調空気が供給され、第2機能水の成分を含む空調空気が空調室11に供給される。弱殺菌運転において空調機12を運転することで、第2機能水の成分を含んだ空調空気が空調室11に供給され、第2機能水の殺菌作用(殺菌効果)によって空調室11の空気が殺菌されるから、加湿エレメント22やドレンパン24を殺菌することができるのみならず、空調室11も殺菌することができる。
【0078】
図5は、空調システム10A(空調方法)における強殺菌運転(強殺菌操作)の一例を説明する図である。図5に基づいて、空調システム10A(空調方法)における強殺菌運転(強殺菌操作)の一例を説明すると、以下のとおりである。コントローラ16は、第1および第2送水ポンプ36,42の停止時間(停止期間)にあるかを判断する。第1空調運転または第2空調運転を実施してから1ヶ月が経過し、第2送水ポンプ42の稼働時間になく(停止時間にあり)、第1送水ポンプ36の停止時間にない(稼働時間にある)場合、空調システム10A(空調方法)では、第1機能水供給ライン14による強殺菌運転(強殺菌操作)を実施する。なお、図2のタイムスケジュールに示すように、1ヶ月の期間(時間)の起算日(起算時間)は強殺菌運転を行う毎にリセットされ、強殺菌運転が行われた後、あらたに1ヶ月の期間(時間)が進行する。
【0079】
強殺菌運転では、加湿水供給ライン13から加湿水は給水されず、第2機能水供給ライン15から第2機能水は供給されない。強殺菌運転においてコントローラ16は、加湿水用第1電磁弁30に閉鎖指令を送信する。加湿水用第1電磁弁30は、コントローラ16から送信された閉鎖指令にしたがってその弁機構を閉鎖する。それによって、加湿水給水ライン13からの加湿水の給水が停止する。
【0080】
強殺菌運転においてコントローラ16は、第1送水ポンプ36の稼働時間にあると判断し、第1送水ポンプ36に稼働指令を送信する。第1送水ポンプ36は、コントローラ16から送信された稼働指令にしたがってその電源がONとなる。また、コントローラ16は、第2送水ポンプ42の停止時間にあると判断し、第2送水ポンプ42に停止指令を送信する。第2送水ポンプ42は、コントローラ16から送信された停止指令にしたがってその電源がOFFのままとなり、停止状態を保持する。
【0081】
第1送水ポンプ36が稼働すると、図5に矢印L4で示すように、第1機能水貯水タンク35に貯水された第1機能水がタンク35から機能水用第1供給管38を通って加湿エレメント22の上端部27からエレメント22全域に供給される。また、第1機能水が供給管52を通ってドレンパン24に供給される。なお、第1機能水をドレンパン24に供給しない場合、仕切弁53の弁機構が閉鎖される。加湿エレメント22では、第1機能水を保水し、余剰分をドレンパン24に排水する。強殺菌運転では、加湿エレメント22が第1機能水によって殺菌され、ドレンパン24が第1機能水によって殺菌される。
【0082】
なお、第1機能水が供給されると、第1機能水貯水タンク35における第1機能水の貯水量が減少する。第1機能水生成装置34の制御部は、第1水位センサ39から送信された実測水位が設定水位未満になると、第1機能水を生成しつつ、生成した第1機能水を第1機能水貯水タンク35に供給し、第1機能水貯水タンク35における第1機能水の貯水量を設定水位にまで回復させる。
【0083】
第1送水ポンプ36が稼働してから30分が経過し、第1送水ポンプ36の稼働時間が経過した場合、コントローラ16は、第1送水ポンプ36の停止時間にあると判断し、第1送水ポンプ36に停止指令を送信する。さらに、加湿水用第1電磁弁30に開放指令を送信する。第1送水ポンプ36は、コントローラ16から送信された停止指令にしたがってその電源がOFFとなり、停止状態を保持する。加湿水用第1電磁弁30は、コントローラ16から送信された開放指令にしたがってその弁機構を開放する。第1送水ポンプ36が稼働してから30分が経過した後、第1空調運転または第2空調運転のいずれかが行われる。図5の強殺菌運転では、コントローラ16が空調機12の稼働を停止する場合、または、コントローラ16が空調機12の稼働を継続する場合がある。
【0084】
強殺菌運転(強殺菌操作)において空調機12の稼働を停止する場合、空調機12から空調室11への空調空気の供給が停止され、第1機能水の成分を含む空調空気は空調室11に供給されない。強殺菌運転において空調機12の運転を停止させることで、加湿エレメント22やドレンパン24に殺菌作用の強い第1機能水を留めることができ、加湿エレメント22やドレンパン24に菌が発生(繁殖)したとしても、第1機能水を利用して加湿エレメント22やドレンパン24を確実に殺菌することができる。また、第1機能水の成分を含んだ空調空気が空調室11に供給されることはなく、第1機能水の臭気の空調室11への充満を防ぐことができる。
【0085】
強殺菌運転(強殺菌操作)において空調機12の稼働を継続する場合、空調機12から空調室11への空調空気が供給され、第1機能水の成分を含む空調空気が空調室11に供給される。強殺菌運転において空調機12を運転することで、殺菌作用の強い第1機能水の成分を含んだ空調空気が空調室11に供給され、第1機能水の殺菌作用(殺菌効果)によって空調室11の空気が殺菌されるから、加湿エレメント22やドレンパン24を殺菌することができるのみならず、空調室11も殺菌することができる。
【0086】
空調システム10A(空調方法)は、湿度センサ17が計測した湿度が設定湿度に達していない場合、加湿エレメント22が空調機12によって作られた空調空気を加湿する第1空調運転(第1空調操作)を実施し、湿度センサ17が計測した湿度が設定湿度に達している場合、空調機12によって作られた空調空気を加湿することなく空調室11に供給する第2空調運転(第2空調操作)を実施するから、適度な湿度を有する空調空気を空調機12から空調室11に供給することができ、加湿エレメント22に発生(繁殖)した菌を殺菌する場合、第1および第2空調運転(第1および第2空調操作)を停止して加湿エレメント22やドレンパン24を殺菌する殺菌運転(殺菌操作)を実施するから、加湿エレメント22やドレンパン24を清潔な状態にすることができる。
【0087】
空調システム10A(空調方法)は、加湿水を利用して空調空気を加湿し、適度な湿度を有する空調空気を空調室11に供給することができるのみならず、空調機12の加湿エレメント22やドレンパン24の殺菌が必要な場合に機能水を利用して加湿エレメント22やドレンパン24を殺菌することができ、加湿エレメント22やドレンパン24を清潔な状態で利用することができる。空調システム10A(空調方法)は、加湿エレメント22やドレンパン24を清潔な状態で利用することができるから、加湿エレメント22やドレンパン24から空調空気に菌や悪臭が混入することはなく、加湿されて適度な湿度を有する清潔な空調空気や加湿されずに適度な湿度を有する清潔な空調空気を空調室11に供給することができる。
【0088】
図6は、他の一例として示す空調システム10Bの構成図であり、図7は、空調システム10B(空調方法)における第1空調運転(第1空調操作)を説明する図である。図6のシステム10Bが図1のそれと異なるところは、図1の空調室11A(第1空調室)の他に第2空調室11Bが存在し、図1の空調機12A(第1空調機)の他に第2空調機12Bが存在する点、それら空調機12A,12Bからそれら空調室11A,11Bに個別に空調空気が供給される点にある。さらに、加湿水供給ライン13と第1および第2機能水供給ライン14,15とが第1空調機12Aと第2空調機12Bとに接続されている点、加湿エレメント22の上端部27につながる給水管38,44に第1および第2切換用電磁弁47A,47Bが設置されている点にある。
【0089】
このシステム10Bにおける空調室11A,11Bや空調機12A,12Bは図1のシステム10Aのそれらと同一であるから、図1と同一の符号を付すとともに、図1のシステム10Aの説明を援用することで、それらの詳細な説明は省略する。なお、空調室11や空調機12の数に特に限定はなく、システム10Bに3室以上の空調室11が存在し、3台以上の空調機12が存在してもよい。また、1台の空調機12によって2室以上の空調室11を空調してもよい。
【0090】
空調システム10B(空調方法)は、所定容積を有する第1および第2空調室11A,11Bと、空気を空調する第1および第2空調機12A,12Bと、加湿水供給ライン13と、第1および第2機能水供給ライン14,15(第1機能水供給ライン〜第n機能水供給ライン)と、コントローラ16(制御装置)と、湿度センサ17A,17Bとから形成されている。なお、図5のシステム10Bでは、2本の機能水供給ライン14,15が設置されているが、機能水供給ラインの本数に特に限定はなく、1本の機能水供給ラインのみが設置されていてもよく、3本以上の機能水供給ラインが設置されていてもよい。
【0091】
湿度センサ17A,17Bは、それら空調室11A,11Bの内部に設置されている。湿度センサ17A,17Bは、インターフェイス18を介してコントローラ16に接続されている。湿度センサ17A,17Bは、各空調室11A,11Bの内部の湿度を計測し、計測した測定湿度をコントローラ16に送信する。空調室11A,11Bの内部の設定湿度や設定温度は、コントローラ16に送信される。
【0092】
それら空調機12A,12Bは、各空調室11A,11Bに気化式加湿(滴下式加湿)によって加湿された空調空気または加湿されない空調空気を供給する。空調機12A,12Bの制御部では、コントローラ16から送信された設定温度によって冷却コイル20または加熱コイル21に熱媒を流し、空調室11A,11Bの温度をコントロールする。加湿水供給ライン13は、第1加湿水用電磁弁30および2つの第2加湿水用電磁弁31A,31Bと、2つのチャッキ弁32と、加湿水用給水管33とから形成されている。加湿水用給水管33の基端部は、水源配管に連結されている。加湿水用給水管33の先端部は、2つに分岐して気化式加湿エレメント22の上端部27に連結されている。
【0093】
加湿水用第1電磁弁30は、加湿水用給水管33に取り付けられ、その制御部がインターフェイス18を介してコントローラ16に接続されている。それらチャッキ弁32は、加湿水用給水管33に取り付けられ、加湿水の逆流を防止する。それら加湿水用第2電磁弁31A,31Bは、加湿水用給水管33に取り付けられ、その制御部がインターフェイス18を介してコントローラ16に接続されている。
【0094】
第1機能水供給ライン14および第2機能水供給ライン15は、2つに分岐して第1および第2空調機12A,12Bの加湿エレメント22に連結されている点、第1および第2切換用電磁弁47A,47Bが設置されている点を除き、図1のそれらと同一である。空調機12Aに設置された加湿エレメント22の上端部27につながる供給管38,44には、第1切換用電磁弁47Aが設置され、空調機12Bに設置された加湿エレメント22の上端部27につながる供給管38,44には、第1切換用電磁弁47Bが設置されている。それら切換用電磁弁47A,47Bの制御部は、インターフェイスを介してコントローラ16に接続されている。コントローラ16のハードディスクには、図1のシステム10Aと同様に、図2に示すタイムスケジュールが格納されている。
【0095】
図7に基づいて、空調システム10B(空調方法)における第1空調運転(第1空調操作)を説明すると、以下のとおりである。なお、第1および第2送水ポンプ36,42の停止時間(停止期間)や稼働時間(稼働期間)は、図1のシステム10Aと同一の時間(期間)が設定されているものとする。また、第1機能水貯水タンク35に第1機能水が貯水され、第2機能水貯水タンク41に第2機能水が貯水されているものとする。
【0096】
第1および第2送水ポンプ36,42の停止時間にある場合であって、各湿度センサ17A,17Bが計測した測定湿度が設定湿度に達していない場合、空調システム10B(空調方法)では、第1空調運転を実施する。第1空調運転では、各空調室11A,11Bの温度がコントローラ16から送信された設定温度になるように、各空調機12A,12Bが冷却コイル20または加熱コイル21を調節する。さらに、加湿水供給ライン13が各加湿エレメント22へ加湿水を給水するとともに、加湿エレメント22が各空調機12A,12Bによって作られた空調空気を加湿する。
【0097】
第1空調運転では、第1および第2機能水供給ライン14,15から機能水は供給されない。第1空調運転では、コントローラ16が加湿水用第1電磁弁30の弁機構を開放した状態に保持する。また、コントローラ16が第1および第2送水ポンプ36,42に停止指令を送信し、第1および第2送水ポンプ36,42がコントローラ16から送信された停止指令にしたがって停止状態を保持する。
【0098】
コントローラ16は、湿度センサ17A,17Bが計測した測定湿度と設定湿度とを比較し、測定湿度が設定湿度に達していないと判断すると、加湿水用第2電磁弁31A,31Bの弁機構を開放する。また、測定湿度が設定湿度に達していない間、加湿水用第2電磁弁31A,31Bの弁機構の開放を継続する。加湿水用第2電磁弁31A,31Bの弁機構が開放されると、図7に矢印L1で示すように、加湿水(水道水)が加湿水用給水管33を通って加湿エレメント22の上端部27からエレメント22全域に給水される。加湿エレメント22では、加湿水を保水し、余剰分をドレンパン24に排水する。空調機12A,12Bによって作られた空調空気は、加湿水を保水した加湿エレメント22を通過しつつ、加湿水と接触し、加湿された空調空気となる。加湿された空調空気は、図7に矢印L2で示すように、給気ダクト26から空調室11A,11Bに供給される。なお、測定湿度が設定湿度に達するまで第1空調運転が実施される。
【0099】
次に、空調システム10B(空調方法)における第2空調運転(第2空調操作)を説明すると、以下のとおりである。第1および第2送水ポンプ36,42の停止時間にある場合であって、湿度センサ17A,17Bが計測した測定湿度が設定湿度に達している場合(第1空調運転を実施した後、測定湿度が設定湿度に達した場合を含む)、空調システム10B(空調方法)では、第2空調運転を実施する。
【0100】
第2空調運転では、第1および第2空調室11A,11Bの温度がコントローラ16から送信された設定温度になるように、それら空調機12A,12Bが冷却コイル20または加熱コイル21を調節する。さらに、加湿水供給ライン13から加湿エレメント22への加湿水の給水が停止されるとともに、各空調機12A,12Bによって作られた空調空気が各空調室11A,11Bに供給される。
【0101】
コントローラ16は、湿度センサ17A,17Bが計測した測定湿度と設定湿度とを比較し、測定湿度が設定湿度に達したと判断すると、加湿水用第2電磁弁31A,31Bの弁機構を閉鎖する。また、測定湿度が設定湿度に達している間、加湿水用第2電磁弁31A,31Bの弁機構の閉鎖を継続する。第2空調運転では、加湿水用第2電磁弁31A,31Bの弁機構が閉鎖され、加湿水(水道水)の加湿エレメント22への給水が停止される。空調空気は、給気ダクト25から空調室11A,11Bに供給される。なお、測定湿度が設定湿度に達している間、第2空調運転が実施され、測定湿度が設定湿度に達しなくなると、再び第1空調運転が実施される。
【0102】
図8は、空調システム10B(空調方法)における弱殺菌運転(弱殺菌操作)の一例を説明する図である。図8に基づいて、空調システム10B(空調方法)における弱殺菌運転(弱殺菌操作)の一例を説明すると、以下のとおりである。コントローラ16は、第1および第2送水ポンプ36,42の停止時間(停止期間)にあるかを判断する。第1空調運転または第2空調運転を実施してから1週間が経過し、第1送水ポンプ36の稼働時間になく(停止時間にあり)、第2送水ポンプ42の停止時間にない(稼働時間にある)場合、空調システム10B(空調方法)では、第2機能水供給ライン15による弱殺菌運転を実施する。
【0103】
弱殺菌運転では、コントローラ16が加湿水用第1電磁弁30に閉鎖指令を送信し、加湿水用第1電磁弁30がその弁機構を閉鎖する。それによって、加湿水給水ライン13からの加湿水の給水が停止する。弱殺菌運転では、コントローラ16が第2送水ポンプ42の稼働時間にあると判断し、第2送水ポンプ42に稼働指令を送信し、ポンプ42の電源がONとなり、ポンプ42が稼働する。また、コントローラ16が第1送水ポンプ36の停止時間にあると判断し、第1送水ポンプ36に停止指令を送信し、ポンプ36の電源がOFFのままとなり、ポンプ36が停止状態を保持する。さらに、コントローラ16が切換用第1および第2電磁弁47A,47Bに開放指令を送信し、それら電磁弁47A,47Bがその弁機構を開放する。
【0104】
第2送水ポンプ42が稼働し、電磁弁47A,47Bの弁機構が開放されると、図8に矢印L3で示すように、第2機能水貯水タンク41に貯水された第2機能水がタンク41から機能水用第2供給管44を通って加湿エレメント22の上端部27からエレメント22全域に供給される。また、第2機能水が供給管52を通ってドレンパン24に供給される。加湿エレメント22では、第2機能水を保水し、余剰分をドレンパン24に排水する。
【0105】
弱殺菌運転では、加湿エレメント22が第2機能水によって殺菌され、ドレンパン24が第2機能水によって殺菌される。第2機能水生成装置40の制御部は、第2水位センサ45から送信された実測水位が設定水位未満になると、第2機能水を生成しつつ、生成した第2機能水を第2機能水貯水タンク41に供給し、第2機能水貯水タンク41における第2機能水の貯水量を設定水位にまで回復させる。
【0106】
第2送水ポンプ42が稼働してから30分が経過し、第2送水ポンプ42の稼働時間が経過した場合、コントローラ16が第2送水ポンプ42の停止時間にあると判断し、第2送水ポンプ42に停止指令を送信し、ポンプ42の電源がOFFとなり、ポンプ42が停止状態を保持する。コントローラ16が加湿水用第1電磁弁30に開放指令を送信し、加湿水用第1電磁弁30がその弁機構を開放する。さらに、コントローラ16が切換用第1および第2電磁弁47A,47Bに閉鎖指令を送信し、それら電磁弁47A,47Bがその弁機構を閉鎖する。第2送水ポンプ42が稼働してから30分が経過し、ポンプ42が停止した直後に第1空調運転または第2空調運転のいずれかが行われる。図8の弱殺菌運転では、図1のそれと同様に、コントローラ16が空調機12の稼働を停止する場合、または、コントローラ16が空調機12の稼働を継続する場合がある。
【0107】
図9は、空調システム10B(空調方法)における強殺菌運転(強殺菌操作)の一例を説明する図である。図9に基づいて、空調システム10B(空調方法)における強殺菌運転(強殺菌操作)の一例を説明すると、以下のとおりである。コントローラ16は、第1および第2送水ポンプ36,42の停止時間(停止期間)にあるかを判断する。第1空調運転または第2空調運転を実施してから1ヶ月が経過し、第2送水ポンプ42の稼働時間になく(停止時間にあり)、第1送水ポンプ36の停止時間にない(稼働時間にある)場合、空調システム10B(空調方法)では、第1機能水供給ライン14による強殺菌運転を実施する。
【0108】
強殺菌運転では、コントローラ16が加湿水用第1電磁弁30に閉鎖指令を送信し、加湿水用第1電磁弁30がその弁機構を閉鎖する。それによって、加湿水給水ライン13からの加湿水の給水が停止する。強殺菌運転では、コントローラ16が第1送水ポンプ36の稼働時間にあると判断し、第1送水ポンプ36に稼働指令を送信し、ポンプ36の電源がONとなり、ポンプ36が稼働する。また、コントローラ16が第2送水ポンプ42の停止時間にあると判断し、第2送水ポンプ42に停止指令を送信し、ポンプ42の電源がOFFのままとなり、ポンプ42が停止状態を保持する。さらに、コントローラ16が切換用第1および第2電磁弁47A,47Bに開放指令を送信し、それら電磁弁47A,47Bがその弁機構を開放する。
【0109】
第1送水ポンプ36が稼働し、電磁弁47A,47Bの弁機構が開放されると、図9に矢印L4で示すように、第1機能水貯水タンク35に貯水された第1機能水がタンク35から機能水用第1供給管38を通って加湿エレメント22の上端部27からエレメント22全域に供給される。また、第1機能水が供給管52を通ってドレンパン24に供給される。加湿エレメント22では、第1機能水を保水し、余剰分をドレンパン24に排水する。
【0110】
強殺菌運転では、加湿エレメント22が第1機能水によって殺菌され、ドレンパン24が第1機能水によって殺菌される。第1機能水生成装置34の制御部は、第1水位センサ39から送信された実測水位が設定水位未満になると、第1機能水を生成しつつ、生成した第1機能水を第1機能水貯水タンク35に供給し、第1機能水貯水タンク35における第1機能水の貯水量を設定水位にまで回復させる。
【0111】
第1送水ポンプ36が稼働してから30分が経過し、第1送水ポンプ36の稼働時間が経過した場合、コントローラ16が第1送水ポンプ36の停止時間にあると判断し、第1送水ポンプ36に停止指令を送信し、ポンプ36の電源がOFFとなり、ポンプ36が停止状態を保持する。また、コントローラ16が加湿水用第1電磁弁30に開放指令を送信し、加湿水用第1電磁弁30がその弁機構を開放する。さらに、コントローラ16が切換用第1および第2電磁弁47A,47Bに閉鎖指令を送信し、それら電磁弁47A,47Bがその弁機構を閉鎖するする。第1送水ポンプ36が稼働してから30分が経過し、ポンプ36が停止した直後に第1空調運転または第2空調運転のいずれかが行われる。図9の強殺菌運転では、図1のそれと同様に、コントローラ16が空調機12の稼働を停止する場合、または、コントローラ16が空調機12の稼働を継続する場合がある。
【0112】
空調システム10B(空調方法)は、湿度センサ17A,17Bが計測した湿度が設定湿度に達していない場合、各加湿エレメント22が各空調機12A,12Bによって作られた空調空気を加湿する第1空調運転(第1空調操作)を実施し、湿度センサ17A,17Bが計測した湿度が設定湿度に達している場合、各空調機12A,12Bによって作られた空調空気を加湿することなく各空調室11A,11Bに供給する第2空調運転(第2空調操作)を実施するから、適度な湿度を有する空調空気を各空調機12A,12Bから各空調室11A,11Bに供給することができ、それら加湿エレメント22やドレンパン24に発生(繁殖)した菌を殺菌する場合、第1および第2空調運転(第1および第2空調操作)を停止して各加湿エレメント22や各ドレンパン24を殺菌する殺菌運転(殺菌操作)を実施するから、それら加湿エレメント22やそれらドレンパン24を清潔な状態にすることができる。
【0113】
空調システム10B(空調方法)は、加湿水を利用して空調空気を加湿し、適度な湿度を有する空調空気を各空調室11A,11Bに供給することができるのみならず、それら空調機12A,12Bの加湿エレメント22やドレンパン24の殺菌が必要な場合に機能水を利用して各加湿エレメント22やドレンパン24を殺菌することができ、各加湿エレメント22やドレンパン24を清潔な状態で利用することができる。空調システム10B(空調方法)は、それら加湿エレメント22やドレンパン24を清潔な状態で利用することができるから、各加湿エレメント22やドレンパン24から空調空気に菌や悪臭が混入することはなく、加湿されて適度な湿度を有する清潔な空調空気や加湿されずに適度な湿度を有する清潔な空調空気を空調室11A,11Bに供給することができる。
【0114】
図10は、図6とは異なる空調システム10Bの構成図である。図10のシステム10Bが図6のそれと異なるところは、空調機12A(第1空調機)に向かって延びていて加湿エレメント22の上端部27につながる給水管38に第1切換用電磁弁47Aが設置され、空調機12Aに向かって延びていて加湿エレメント22の上端部27につながる給水管44に第2切換用電磁弁47Bが設置されている点、空調機12B(第2空調機)に向かって延びていて加湿エレメント22の上端部27につながる給水管38に第3切換用電磁弁47Cが設置され、空調機12Bに向かって延びていて加湿エレメント22の上端部27につながる給水管44に第4切換用電磁弁47Dが設置されている点にある。第1〜第4切換用電磁弁47A〜47Dは、インターフェイス18を介してコントローラ16に接続されている。
【0115】
図10に示すシステム10Bにおけるその他の構成は図6のシステム10Bのそれらと同一であるから、図6と同一の符号を付すとともに、図6のシステム10Bの説明を援用することで、それらの説明は省略する。図10のシステム10Bは、それら給水管38,44に第1〜第4切換用電磁弁47A〜47Dを設置し、第1〜第4切換用電磁弁47A〜47Dを利用して第1および第2機能水の供給切替えを行うことで、空調機12Aにおいて弱殺菌運転を実施し、空調機12Bにおいて強殺菌運転を実施することができる。また、空調機12Aにおいて強殺菌運転を実施し、空調機12Bにおいて弱殺菌運転を実施することができる。なお、空調機12A,12Bにおいて弱殺菌運転または強殺菌運転のいずれかが行えることはいうまでもない。
【0116】
図10のシステム10Bは、空調機12A,12Bの一方において弱殺菌運転を実施し、他方において強殺菌運転を実施することができるから、菌の繁殖の度合い、加湿エレメント22やドレンパン24の使用年数、空調機12A,12Bの新旧等の条件に応じて強弱いずれかの殺菌運転を各空調機12A,12Bに適用することができ、それら空調機12A,12Bの加湿エレメント22やドレンパン24を清潔な状態にすることができる。
【0117】
図11は、他の一例として示す空調システム10Cの構成図である。図11のシステム10Cが図1のそれと異なるところは、空調機12に臭気センサ46(ニオイセンサ)が設置されている点にあり、その他の構成は図1のシステム10Aのそれらと同一であるから、図1と同一の符号を付すとともに、図1のシステム10Aの説明を援用することで、このシステム10Cにおけるその他の構成の詳細な説明は省略する。
【0118】
空調システム10C(空調方法)は、所定容積を有する空調室11と、空気を空調する空調機12と、加湿水供給ライン13と、第1および第2機能水供給ライン14,15(第1機能水供給ライン〜第n機能水供給ライン)と、コントローラ16(制御装置)と、湿度センサ17と、臭気センサ46(ニオイセンサ)とから形成されている。
【0119】
なお、図10のシステム10Cでは、2本の機能水供給ライン14,15が設置されているが、機能水供給ラインの本数に特に限定はなく、1本の機能水供給ラインのみが設置されていてもよく、3本以上の機能水供給ラインが設置されていてもよい。湿度センサ17は、空調室11の内部に設置され、インターフェイス18を介してコントローラ16に接続されている。空調室11の内部の設定湿度や設定温度は、コントローラ16に送信される。空調機12の制御部では、コントローラ16から送信された設定温度によって冷却コイル20または加熱コイル21に熱媒を流し、空調室11の温度をコントロールする。
【0120】
臭気センサ46は、空調機12の内部に設置されている。臭気センサ46は、インターフェイス18を介してコントローラ16に接続されている。臭気センサ46は、送風機23から流出した空調空気の臭気を計測し、計測した測定臭気をコントローラ16に送信する。臭気センサ46は、金属酸化物半導体センサを利用し、臭気とセンサとの反応によって臭気レベル(ニオイの強さ)を計測する。臭気センサ46は、基準となるガス(アンモニア系ガス、アミン系ガス、アルデヒド系ガス、芳香族系ガス、エステル系ガス、炭化水素系ガス、有機酸系ガス、硫黄系ガス、硫化水素系ガス)との対比によって類似度、臭気寄与度を分析する。
【0121】
コントローラ16のハードディスクには、第1および第2送水ポンプ36,42の稼働時間が格納され、設定臭気レベル(設定されたニオイの強さ)が格納されているとともに、第1空調運転または第2空調運転を実施したときから(ポンプ36,42の稼働が停止してから)測定臭気レベルと設定臭気レベルとの比較を再開(臭気センサ46の計測を実質的に再開)するまでの時間が格納されている。第1および第2送水ポンプ36,42の稼働時間は、30分が設定されているものとする。定臭気レベルは、弱殺菌運転を行う基準となる第1設定臭気レベルと、強殺菌運転を行う基準となる第2設定臭気レベルとがある。たとえば、第1設定臭気レベルとして800が設定され、第2設定臭気レベルとして1200が設定されているものとする。測定臭気レベルと設定臭気レベルとの比較を再開するまでの時間は、30分が設定されているものとする。なお、ポンプ36,42の稼働時間や設定臭気レベル、臭気センサ46を再起動させるまでの時間は、テンキーユニットを介して自由に設定することができる。
【0122】
コントローラ16は、湿度センサ17から送信された測定湿度と設定湿度と比較するとともに、臭気センサ46から送信された測定臭気レベルと設定された第1および第2設定臭気レベルとを比較する。測定臭気レベルとそれら設定臭気レベルとを比較し、測定湿度と設定湿度と比較した結果、測定臭気レベルがそれら設定臭気レベルに達していない場合であって、測定湿度が設定湿度に達していない場合、空調システム10C(空調方法)では、第1空調運転(第1空調操作)を実施する。なお、第1空調運転は、図1のシステム10Aのそれと同一であるから、図1のシステム10Aの説明を援用することで、その説明は省略する。
【0123】
測定臭気レベルとそれら設定臭気レベルとを比較し、測定湿度と設定湿度と比較した結果、測定臭気レベルがそれら設定臭気レベルに達していない場合であって、測定湿度が設定湿度に達している場合、空調システム10C(空調方法)では、第2空調運転(第2空調工程)を実施する。なお、第2空調運転は、図1のシステム10Aのそれと同一であるから、図1のシステム10Aの説明を援用することで、その説明は省略する。
【0124】
図12は、空調システム10C(空調方法)における弱殺菌運転(弱殺菌操作)の一例を説明する図である。図12に基づいて、空調システム10C(空調方法)における弱殺菌運転(弱殺菌操作)の一例を説明すると、以下のとおりである。臭気センサ46から送信された測定臭気レベルとそれら設定臭気レベルとを比較した結果、測定臭気レベルが第1設定臭気レベルに達しているとともに、測定臭気レベルが第2設定臭気レベルに達していない場合、空調システム10C(空調方法)では、第2機能水供給ライン15による弱殺菌運転を実施する。
【0125】
弱殺菌運転においてコントローラ16は、臭気センサ46から測定臭気が送信されたとしても、その測定臭気レベルと設定臭気レベルとの比較は行わない(臭気センサ46の計測を実質的に停止)。弱殺菌運転では、コントローラ16が加湿水用第1電磁弁30に閉鎖指令を送信し、加湿水用第1電磁弁30がその弁機構を閉鎖する。それによって、加湿水給水ライン13からの加湿水の給水が停止する。弱殺菌運転では、コントローラ16が第2送水ポンプ42に稼働指令を送信し、ポンプ42の電源がONとなり、ポンプ42が稼働する。また、コントローラ16が第1送水ポンプ36に停止指令を送信し、ポンプ36の電源がOFFのままとなり、ポンプ36が停止状態を保持する。
【0126】
第2送水ポンプ42が稼働すると、図12に矢印L3で示すように、第2機能水貯水タンク41に貯水された第2機能水がタンク41から機能水用第2供給管44を通って加湿エレメント22の上端部27からエレメント22全域に供給される。また、第2機能水が供給管52を通ってドレンパン24に供給される。なお、第2機能水をドレンパン24に供給しない場合、仕切弁53の弁機構が閉鎖される。加湿エレメント22では、第2機能水を保水し、余剰分をドレンパン24に排水する。弱殺菌運転では、加湿エレメント22が第2機能水によって殺菌され、ドレンパン24が第2機能水によって殺菌される。
【0127】
第2機能水生成装置40の制御部は、第2水位センサ45から送信された実測水位が設定水位未満になると、第2機能水を生成しつつ、生成した第2機能水を第2機能水貯水タンク41に供給し、第2機能水貯水タンク41における第2機能水の貯水量を設定水位にまで回復させる。
【0128】
第2送水ポンプ42が稼働してから30分が経過し、第2送水ポンプ42の稼働時間が経過した場合、コントローラ16が第2送水ポンプ42の停止時間にあると判断し、第2送水ポンプ42に停止指令を送信し、ポンプ42の電源がOFFとなり、ポンプ42が停止状態を保持する。コントローラ16は、加湿水用第1電磁弁30に開放指令を送信し、加湿水用第1電磁弁30がその弁機構を開放する。第2送水ポンプ42が稼働してから30分が経過し、ポンプ42が停止した直後に第1空調運転または第2空調運転のいずれかが行われる。
【0129】
コントローラ16は、第1空調運転または第2空調運転を実施したときから30分が経過後(第2送水ポンプ42が停止してから30分が経過した後)、臭気センサ46から送信された測定臭気レベルと設定臭気レベルとの比較を再開する(臭気センサ46の計測を実質的に再開)。図11の弱殺菌運転では、図1のそれと同様に、コントローラ16が空調機12の稼働を停止する場合、または、コントローラ16が空調機12の稼働を継続する場合がある。
【0130】
図13は、空調システム10C(空調方法)における強殺菌運転(強殺菌操作)の一例を説明する図である。図13に基づいて、空調システム10C(空調方法)における強殺菌運転(強殺菌操作)の一例を説明すると、以下のとおりである。臭気センサ46から送信された測定臭気レベルとそれら設定臭気レベルとを比較した結果、測定臭気レベルが第2設定臭気レベルに達している場合、空調システム10C(空調方法)では、第1機能水供給ライン14による強殺菌運転を実施する。
【0131】
強殺菌運転においてコントローラ16は、臭気センサ46から測定臭気が送信されたとしても、その測定臭気レベルと設定臭気レベルとの比較は行わない(臭気センサ46の計測を実質的に停止)。強殺菌運転では、コントローラ16が加湿水用第1電磁弁30に閉鎖指令を送信し、加湿水用第1電磁弁30がその弁機構を閉鎖する。それによって、加湿水給水ライン13からの加湿水の給水が停止する。強殺菌運転では、コントローラ16が第1送水ポンプ36に稼働指令を送信し、ポンプ36の電源がONとなり、ポンプ36が稼働する。また、コントローラ16が第2送水ポンプ42に停止指令を送信し、ポンプ42の電源がOFFのままとなり、ポンプ42が停止状態を保持する。
【0132】
第1送水ポンプ36が稼働すると、図13に矢印L4で示すように、第1機能水貯水タンク35に貯水された第1機能水がタンク35から機能水用第1供給管38を通って加湿エレメント22の上端部27からエレメント22全域に供給される。また、第1機能水が供給管52を通ってドレンパン24に供給される。なお、第1機能水をドレンパン24に供給しない場合、仕切弁53の弁機構が閉鎖される。加湿エレメント22では、第1機能水を保水し、余剰分をドレンパン24に排水する。強殺菌運転では、加湿エレメント22が第1機能水によって殺菌され、ドレンパン24が第1機能水によって殺菌される。
【0133】
第1機能水生成装置34の制御部は、第1水位センサ39から送信された実測水位が設定水位未満になると、第1機能水を生成しつつ、生成した第1機能水を第1機能水貯水タンク35に供給し、第1機能水貯水タンク35における第1機能水の貯水量を設定水位にまで回復させる。
【0134】
第1送水ポンプ36が稼働してから30分が経過し、第1送水ポンプ36の稼働時間が経過した場合、コントローラ16が第1送水ポンプ36の停止時間にあると判断し、第1送水ポンプ36に停止指令を送信し、ポンプ36の電源がOFFとなり、ポンプ36が停止状態を保持する。コントローラ16は、加湿水用第1電磁弁30に開放指令を送信し、加湿水用第1電磁弁30がその弁機構を開放する。第1送水ポンプ36が稼働してから30分が経過し、ポンプ36が停止した直後に第1空調運転または第2空調運転のいずれかが行われる。
【0135】
コントローラ16は、第1空調運転または第2空調運転を実施したときから30分が経過後(第1送水ポンプ36が停止してから30分が経過した後)、臭気センサ46から送信された測定臭気レベルと設定臭気レベルとの比較を再開する(臭気センサ46の計測を実質的に再開)。図12の強殺菌運転では、図1のそれと同様に、コントローラ16が空調機12の稼働を停止する場合、または、コントローラ16が空調機12の稼働を継続する場合がある。
【0136】
空調システム10C(空調方法)は、加湿エレメント22やドレンパン24において菌が発生(繁殖)すると、加湿エレメント22やドレンパン24から悪臭が発生し、その悪臭を臭気センサ46によって計測することで、加湿エレメント22やドレンパン24における菌の発生(繁殖)を判定することができる。空調システム10C(空調方法)は、測定臭気レベルが設定臭気レベルを超えた場合、加湿エレメント22やドレンパン24における菌の発生(繁殖)が認められ、弱殺菌運転または強殺菌運転(殺菌操作)を実施するから、加湿エレメント22やドレンパン24に菌が発生(繁殖)したとしても、第1機能水または第2機能水を利用して加湿エレメント22やドレンパン24を確実に殺菌することができる。
【0137】
空調システム10C(空調方法)は、加湿エレメント22やドレンパン24を清潔な状態で利用することができるから、加湿エレメント22やドレンパン24から空調空気に菌や悪臭が混入することはなく、加湿されて適度な湿度を有する清潔な空調空気や加湿されずに適度な湿度を有する清潔な空調空気を空調室11に供給することができる。
【0138】
殺菌運転(殺菌操作)中に臭気レベルと設定臭気レベルとの比較を継続すると、機能水の臭気によって臭気レベルが設定臭気レベルを超えた状態となる場合があり、不必要な殺菌運転(殺菌操作)が継続されることになるが、空調システム10C(空調方法)は、殺菌運転(殺菌操作)において臭気レベルと設定臭気レベルとの比較を停止するから、機能水の臭気によって臭気レベルが設定臭気レベルを超えることはなく、最適な時間で殺菌運転(殺菌操作)を終了することができる。
【0139】
また、第1および第2空調運転(第1および第2空調操作)を実施した直後に臭気レベルと設定臭気レベルとの比較を開始すると、機能水の残存する臭気によって臭気レベルが設定臭気レベルを超えた状態となる場合があり、不必要な殺菌運転(殺菌操作)が再び実施されることになるが、空調システム10C(空調方法)は、第1空調運転または第2空調運転(第1空調操作または第2空調操作)を実施したときから30分経過後に臭気レベルと設定臭気レベルとの比較を再開するから、機能水の残存する臭気によって臭気レベルが設定臭気レベルを超えることはなく、不必要な殺菌運転(殺菌操作)の実施を防ぐことができる。
【0140】
図14は、他の一例として示す空調システム10Dの構成図である。図14のシステム10Bが図6のそれと異なるところは、各空調機12A,12Bに臭気センサ46A,46Bが設置されている点にある。その他の構成は図6のシステム10Bのそれらと同一であるから、図1や図6と同一の符号を付すとともに、図1や図6のシステム10A,10Bの説明を援用することで、このシステム10Dにおけるその他の構成の詳細な説明は省略する。なお、空調室11や空調機12の数に特に限定はなく、システム10Dに3室以上の空調室11が存在し、3台以上の空調機12が存在してもよい。また、1台の空調機12によって2室以上の空調室11を空調してもよい。
【0141】
空調システム10D(空調方法)は、所定容積を有する第1および第2空調室11A,11Bと、それら空調室11A,11Bの内部の空気を空調する第1および第2空調機12A,12Bと、加湿水供給ライン13と、第1および第2機能水供給ライン14,15(第1機能水供給ライン〜第n機能水供給ライン)と、コントローラ16(制御装置)と、湿度センサ17A,17Bと、臭気センサ46A,46B(ニオイセンサ)とから形成されている。なお、図14のシステム10Dでは、2本の機能水供給ライン14,15が設置されているが、機能水供給ラインの本数に特に限定はなく、1本の機能水供給ラインのみが設置されていてもよく、3本以上の機能水供給ラインが設置されていてもよい。
【0142】
それら空調室11A,11Bの内部には、湿度センサ17A,17Bは、それら空調室11A,11Bの内部に設置され、インターフェイス18を介してコントローラ16に接続されている。空調室11A,11Bの内部の設定湿度や設定温度は、コントローラ16に送信される。空調機12A,12Bの制御部では、コントローラ16から送信された設定温度によって冷却コイル20または加熱コイル21に熱媒を流し、空調室11A,11Bの温度をコントロールする。
【0143】
空調機12Aに設置された加湿エレメント22の上端部27につながる供給管38,44には、第1切換用電磁弁47Aが設置され、空調機12Aに設置された加湿エレメント22の上端部27につながる供給管38,44には、第1切換用電磁弁47Bが設置されている。それら切換用電磁弁47A,47Bの制御部は、インターフェイスを介してコントローラ16に接続されている。
【0144】
臭気センサ46A,46Bは、それら空調機12A,12Bの内部に設置され、インターフェイス18を介してコントローラ16に接続されている。臭気センサ46A,46Bは、送風機23から流出した空調空気の臭気を計測し、計測した測定臭気をコントローラ16に送信する。臭気センサ46A,46Bは、図10のシステム10Cのそれと同一である。
【0145】
コントローラ16のハードディスクには、第1および第2送水ポンプ36,42の稼働時間が格納され、設定臭気レベル(設定されたニオイの強さ)が格納されているとともに、第1空調運転または第2空調運転を実施したときから(ポンプ36,42の稼働が停止してから)測定臭気レベルと設定臭気レベルとの比較を再開(臭気センサ46の計測を実質的に再開)するまでの時間が格納されている。第1および第2送水ポンプ36,42の稼働時間は、30分が設定されているものとする。定臭気レベルは、第1設定臭気レベルとして800が設定され、第2設定臭気レベルとして1200が設定されているものとする。測定臭気レベルと設定臭気レベルとの比較を再開するまでの時間は、30分が設定されているものとする。
【0146】
コントローラ16は、湿度センサ17A,17Bから送信された測定湿度と設定湿度と比較するとともに、臭気センサ46A,46Bから送信された測定臭気レベルと設定された第1および第2設定臭気レベルとを比較する。測定臭気レベルとそれら設定臭気レベルとを比較し、測定湿度と設定湿度と比較した結果、測定臭気レベルがそれら設定臭気レベルに達していない場合であって、測定湿度が設定湿度に達していない場合、空調システム10D(空調方法)では、第1空調運転(第1空調操作)を実施する。なお、第1空調運転は、図6のシステム10Bのそれと同一であるから、図6のシステム10Bの説明を援用することで、その説明は省略する。
【0147】
測定臭気レベルとそれら設定臭気レベルとを比較し、測定湿度と設定湿度と比較した結果、測定臭気レベルがそれら設定臭気レベルに達していない場合であって、測定湿度が設定湿度に達している場合、空調システム10D(空調方法)では、第2空調運転(第2空調操作)を実施する。なお、第2空調運転は、図6のシステム10Bのそれと同一であるから、図6のシステム10Bの説明を援用することで、その説明は省略する。
【0148】
図15は、空調システム10D(空調方法)における弱殺菌運転(弱殺菌操作)の一例を説明する図である。図15に基づいて、空調システム10D(空調方法)における弱殺菌運転(弱殺菌操作)の一例を説明すると、以下のとおりである。臭気センサ46A,46Bから送信された測定臭気レベルとそれら設定臭気レベルとを比較した結果、測定臭気レベルが第1設定臭気レベルに達しているとともに、測定臭気レベルが第2設定臭気レベルに達していない場合、空調システム10D(空調方法)では、第2機能水供給ライン15による弱殺菌運転を実施する。なお、臭気センサ46Aが計測した臭気レベルが第1設定臭気レベルに達し、臭気センサ46Bが計測した臭気レベルが第1設定臭気レベルに達していないものとする。
【0149】
弱殺菌運転においてコントローラ16は、臭気センサ46Aから測定臭気が送信されたとしても、その測定臭気レベルと設定臭気レベルとの比較は行わない(臭気センサ46Aの計測を実質的に停止)。弱殺菌運転では、コントローラ16が加湿水用第1電磁弁30に閉鎖指令を送信し、加湿水用第1電磁弁30がその弁機構を閉鎖する。それによって、加湿水給水ライン13からの加湿水の給水が停止する。なお、コントローラ16は、臭気センサ46Bから送信された測定臭気レベルと設定臭気レベルとの比較を継続する。
【0150】
弱殺菌運転では、コントローラ16が第2送水ポンプ42に稼働指令を送信し、ポンプ42の電源がONとなり、ポンプ42が稼働する。また、コントローラ16が第1送水ポンプ36に停止指令を送信し、ポンプ36の電源がOFFのままとなり、ポンプ36が停止状態を保持する。さらに、コントローラ16が第1切換用電磁弁47Aに開放指令を送信し、第1切換用電磁弁47Aがその弁機構を開放し、コントローラ16が第2切換用電磁弁47Bに閉鎖指令を送信し、第2切換用電磁弁47Bがその弁機構を閉鎖する。
【0151】
第2送水ポンプ42が稼働すると、図15に矢印L3で示すように、第2機能水貯水タンク41に貯水された第2機能水がタンク41から機能水用第2供給管44を通り、第1空調機12Aに設置された加湿エレメント22の上端部27からエレメント22全域に供給される。また、第2機能水が供給管52を通ってドレンパン24に供給される。なお、第2切換用電磁弁47Bの弁機構が閉鎖されているから、第2空調機12Bに設置された加湿エレメント22やドレンパン24に第2機能水は給水されない。第1空調機12Aに設置された加湿エレメント22では、第2機能水を保水し、余剰分をドレンパン24に排水する。弱殺菌運転では、加湿エレメント22が第2機能水によって殺菌され、ドレンパン24が第2機能水によって殺菌される。
【0152】
第2機能水生成装置40の制御部は、第2水位センサ45から送信された実測水位が設定水位未満になると、第2機能水を生成しつつ、生成した第2機能水を第2機能水貯水タンク41に供給し、第2機能水貯水タンク41における第2機能水の貯水量を設定水位にまで回復させる。
【0153】
第2送水ポンプ42が稼働してから30分が経過し、第2送水ポンプ42の稼働時間が経過した場合、コントローラ16が第2送水ポンプ42の停止時間にあると判断し、第2送水ポンプ42に停止指令を送信し、ポンプ42の電源がOFFとなり、ポンプ42が停止状態を保持する。コントローラ16が加湿水用第1電磁弁30に開放指令を送信し、加湿水用第1電磁弁30がその弁機構を開放する。さらに、コントローラ16が切換用第1電磁弁47Aに閉鎖指令を送信し、電磁弁47Aがその弁機構を閉鎖する。第2送水ポンプ42が稼働してから30分が経過し、ポンプ42が停止した直後に第1空調運転または第2空調運転のいずれかが行われる。
【0154】
コントローラ16は、第1空調運転または第2空調運転を実施したときから30分が経過後(第2送水ポンプ42が停止してから30分が経過した後)、臭気センサ46Aから送信された測定臭気レベルと設定臭気レベルとの比較を再開する(臭気センサ46Aの計測を実質的に再開)。図14の弱殺菌運転では、図1のそれと同様に、コントローラ16が空調機12Aの稼働を停止する場合、または、コントローラ16が空調機12Aの稼働を継続する場合がある。
【0155】
図16は、空調システム10D(空調方法)における強殺菌運転(強殺菌操作)の一例を説明する図である。図16に基づいて、空調システム10D(空調方法)における強殺菌運転(強殺菌操作)の一例を説明すると、以下のとおりである。臭気センサ46A,46Bから送信された測定臭気レベルとそれら設定臭気レベルとを比較した結果、測定臭気レベルが第2設定臭気レベルに達している場合、空調システム10D(空調方法)では、第2機能水供給ライン15による強殺菌運転を実施する。なお、臭気センサ46Bが計測した臭気レベルが第2設定臭気レベルに達し、臭気センサ46Aが計測した臭気レベルが第2設定臭気レベルに達していないものとする。
【0156】
強殺菌運転においてコントローラ16は、臭気センサ46Bから測定臭気が送信されたとしても、その測定臭気レベルと設定臭気レベルとの比較は行わない(臭気センサ46Bの計測を実質的に停止)。強殺菌運転では、コントローラ16が加湿水用第1電磁弁30に閉鎖指令を送信し、加湿水用第1電磁弁30がその弁機構を閉鎖する。それによって、加湿水給水ライン13からの加湿水の給水が停止する。なお、コントローラ16は、臭気センサ46Aから送信された測定臭気レベルと設定臭気レベルとの比較を継続する。
【0157】
強殺菌運転では、コントローラ16が第1送水ポンプ36に稼働指令を送信し、ポンプ36の電源がONとなり、ポンプ36が稼働する。また、コントローラ16が第2送水ポンプ42に停止指令を送信し、ポンプ42の電源がOFFのままとなり、ポンプ42が停止状態を保持する。さらに、コントローラ16が第2切換用電磁弁47Bに開放指令を送信し、第2切換用電磁弁47Bがその弁機構を開放し、コントローラ16が第1切換用電磁弁47Aに閉鎖指令を送信し、第1切換用電磁弁47Aがその弁機構を閉鎖する。
【0158】
第1送水ポンプ36が稼働すると、図16に矢印L4で示すように、第1機能水貯水タンク35に貯水された第1機能水がタンク35から機能水用第1供給管38を通り、第2空調機12Bに設置された加湿エレメント22の上端部27からエレメント22全域に供給される。また、第1機能水が供給管52を通ってドレンパン24に供給される。なお、第1切換用電磁弁47Aの弁機構が閉鎖されているから、第1空調機12Aに設置された加湿エレメント22やドレンパン24に第1機能水は給水されない。第2空調機12Bに設置された加湿エレメント22では、第1機能水を保水し、余剰分をドレンパン24に排水する。強殺菌運転では、加湿エレメント22が第1機能水によって殺菌され、ドレンパン24が第1機能水によって殺菌される。
【0159】
第1機能水生成装置34の制御部は、第1水位センサ39から送信された実測水位が設定水位未満になると、第1機能水を生成しつつ、生成した第1機能水を第1機能水貯水タンク35に供給し、第1機能水貯水タンク35における第1機能水の貯水量を設定水位にまで回復させる。
【0160】
第1送水ポンプ36が稼働してから30分が経過し、第1送水ポンプ36の稼働時間が経過した場合、コントローラ16が第1送水ポンプ36の停止時間にあると判断し、第1送水ポンプ36に停止指令を送信し、ポンプ36の電源がOFFとなり、ポンプ36が停止状態を保持する。コントローラ16が加湿水用第1電磁弁30に開放指令を送信し、加湿水用第1電磁弁30がその弁機構を開放する。さらに、コントローラ16が切換用第2電磁弁47Bに閉鎖指令を送信し、それら電磁弁47Bがその弁機構を閉鎖する。第1送水ポンプ36が稼働してから30分が経過し、ポンプ36が停止した直後に第1空調運転または第2空調運転のいずれかが行われる。
【0161】
コントローラ16は、第1空調運転または第2空調運転を実施したときから30分が経過後(第1送水ポンプ36が停止してから30分が経過した後)、臭気センサ46Bから送信された測定臭気レベルと設定臭気レベルとの比較を再開する(臭気センサ46Bの計測を実質的に再開)。図16の強殺菌運転では、図1のそれと同様に、コントローラ16が空調機12Bの稼働を停止する場合、または、コントローラ16が空調機12Bの稼働を継続する場合がある。
【0162】
空調システム10D(空調方法)は、各加湿エレメント22や各ドレンパン24において菌が発生すると、加湿エレメント22やドレンパン24から臭気が発生し、その臭気を臭気センサ46A,46Bによって計測することで、加湿エレメント22やドレンパン24における菌の発生(繁殖)を判定することができる。空調システム10D(空調方法)は、測定臭気レベルが設定臭気レベルを超えた場合、各加湿エレメント22や各ドレンパン24における菌の発生(繁殖)が認められ、弱殺菌運転または強殺菌運転(殺菌操作)を実施するから、加湿エレメント22やドレンパン24に菌が発生(繁殖)したとしても、第1機能水または第2機能水を利用して加湿エレメント22やドレンパン24を確実に殺菌することができる。
【0163】
空調システム10D(空調方法)は、各加湿エレメント22や各ドレンパン24を清潔な状態で利用することができるから、加湿エレメント22やドレンパン24から空調空気に菌や悪臭が混入することはなく、加湿されて適度な湿度を有する清潔な空調空気や加湿されずに適度な湿度を有する清潔な空調空気を空調室11A,11Bに供給することができる。
【0164】
空調システム10D(空調方法)は、殺菌運転(殺菌操作)において臭気レベルと設定臭気レベルとの比較を停止するから、機能水の臭気によって臭気レベルが設定臭気レベルを超えることはなく、最適な時間で殺菌運転(殺菌操作)を終了することができる。第1および第2空調運転(第1および第2空調操作)を実施したときから30分経過後に臭気レベルと設定臭気レベルとの比較を再開するから、機能水の残存する臭気によって臭気レベルが設定臭気レベルを超えることはなく、不必要な殺菌運転(殺菌操作)の実施を防ぐことができる。
【0165】
次に、図14のシステム10Dに基づいて、図2に示すタイムスケジュールと臭気センサ46A,46Bが測定した測定臭気レベルとを併用する場合について説明する。第1および第2送水ポンプ36,42の停止時間(停止期間)や稼働時間(稼働期間)は、図1や図6のシステム10A,10Bと同一の時間(期間)が設定されているものとする。また、測定臭気レベルと設定臭気レベルとの比較を再開するまでの時間は、図11や図14のシステム10C,10Dと同一の時間(期間)が設定されているものとする。
【0166】
空調システム10Dでは、タイムスケジュールによる第1および第2空調運転よりも臭気レベルによる殺菌運転が優先されるものとする。したがって、第1および第2空調運転中に、測定臭気レベルが設定臭気レベルを超えた場合、殺菌運転が行われる。なお、空調システム10Dでは、臭気レベルによる殺菌運転よりもタイムスケジュールによる殺菌運転を優先するようにすることもできる。この場合、タイムスケジュールによる殺菌運転中、臭気レベルによる殺菌運転は行われず、通常時において空調システム10Dではタイムスケジュールにしたがって第1空調運転や第2空調運転、殺菌運転が行われる。
【0167】
第1および第2送水ポンプ36,42の停止時間にある場合であって、各湿度センサ17A,17Bが計測した測定湿度が設定湿度に達していない場合、空調システム10D(空調方法)では、タイムスケジュールにしたがって第1空調運転を実施する。第1空調運転は、図6のシステム10Bのそれと同一であるから、図6のシステム10Bの説明を援用することで、その説明は省略する。
【0168】
第1および第2送水ポンプ36,42の停止時間にある場合であって、各湿度センサ17A,17Bが計測した測定湿度が設定湿度に達している場合、空調システム10D(空調方法)では、タイムスケジュールにしたがって第2空調運転を実施する。第2空調運転は、図6のシステム10Bのそれと同一であるから、図6のシステム10Bの説明を援用することで、その説明は省略する。
【0169】
コントローラ16は、第1空調運転または第2空調運転の実施中に、臭気センサ46A,46Bから送信された測定臭気レベルとそれら設定臭気レベルとを比較する。測定臭気レベルとそれら設定臭気レベルとを比較した結果、測定臭気レベルが第1設定臭気レベルに達しているとともに、測定臭気レベルが第2設定臭気レベルに達していない場合、第1空調運転を停止し、第2機能水供給ライン15による弱殺菌運転を実施する。なお、臭気センサ46Aが計測した臭気レベルが第1設定臭気レベルに達し、臭気センサ46Bが計測した臭気レベルが第1設定臭気レベルに達していないものとする。
【0170】
弱殺菌運転においてコントローラ16は、臭気センサ46Aから測定臭気が送信されたとしても、その測定臭気レベルと設定臭気レベルとの比較は行わない。弱殺菌運転では、加湿水給水ライン13からの加湿水の給水が停止する。なお、コントローラ16は、臭気センサ46Bから送信された測定臭気レベルと設定臭気レベルとの比較を継続する。弱殺菌運転では、ポンプ42が稼働するとともに、ポンプ36が停止状態を保持する。さらに、第1切換用電磁弁47Aがその弁機構を開放し、第2切換用電磁弁47Bがその弁機構を閉鎖する。
【0171】
弱殺菌運転では、第2機能水が第1空調機12Aに設置された加湿エレメント22の上端部27からエレメント22全域に供給され、第2機能水が供給管52を通ってドレンパン24に供給される。なお、第2切換用電磁弁47Bの弁機構が閉鎖されているから、第2空調機12Bに設置された加湿エレメント22やドレンパン24に第2機能水は供給されない。弱殺菌運転では、第1空調機12Aの加湿エレメント22が第2機能水によって殺菌され、ドレンパン24が第2機能水によって殺菌される。
【0172】
第2送水ポンプ42が稼働してから30分が経過し、第2送水ポンプ42の稼働時間が経過した場合、ポンプ42の電源がOFFとなり、ポンプ42が停止状態を保持する。さらに、加湿水用第1電磁弁30がその弁機構を開放し、電磁弁47Aがその弁機構を閉鎖する。第2送水ポンプ42が稼働してから30分が経過し、ポンプ42が停止した直後にタイムスケジュールにしたがって第1空調運転または第2空調運転のいずれかが行われる。コントローラ16は、第1空調運転または第2空調運転を実施したときから30分が経過後(第2送水ポンプ42が停止してから30分が経過した後)、臭気センサ46Aから送信された測定臭気レベルと設定臭気レベルとの比較を再開する。
【0173】
コントローラ16は、第1空調運転または第2空調運転の実施中に、測定臭気レベルとそれら設定臭気レベルとを比較した結果、測定臭気レベルが第2設定臭気レベルに達している場合、第1空調運転を停止し、第1機能水供給ライン14による強殺菌運転を実施する。なお、臭気センサ46Bが計測した臭気レベルが第2設定臭気レベルに達し、臭気センサ46Aが計測した臭気レベルが第2設定臭気レベルに達していないものとする。
【0174】
強殺菌運転においてコントローラ16は、臭気センサ46Bから測定臭気が送信されたとしても、その測定臭気レベルと設定臭気レベルとの比較は行わない。強殺菌運転では、加湿水給水ライン13からの加湿水の給水が停止する。なお、コントローラ16は、臭気センサ46Aから送信された測定臭気レベルと設定臭気レベルとの比較を継続する。強殺菌運転では、ポンプ36が稼働するとともに、ポンプ42が停止状態を保持する。さらに、第2切換用電磁弁47Bがその弁機構を開放し、第1切換用電磁弁47Aがその弁機構を閉鎖する。
【0175】
強殺菌運転では、第1機能水が第2空調機12Bに設置された加湿エレメント22の上端部27からエレメント22全域に供給され、第1機能水が供給管52を通ってドレンパン24に供給される。なお、第1切換用電磁弁47Aの弁機構が閉鎖されているから、第1空調機12Aに設置された加湿エレメント22やドレンパン24に第1機能水は供給されない。強殺菌運転では、第2空調機12Bの加湿エレメント22が第1機能水によって殺菌され、ドレンパン24が第1機能水によって殺菌される。
【0176】
第1送水ポンプ36が稼働してから30分が経過し、第1送水ポンプ36の稼働時間が経過した場合、ポンプ36の電源がOFFとなり、ポンプ36が停止状態を保持する。さらに、加湿水用第1電磁弁30がその弁機構を開放し、電磁弁47Bがその弁機構を閉鎖する。第1送水ポンプ36が稼働してから30分が経過し、ポンプ36が停止した直後にタイムスケジュールにしたがって第1空調運転または第2空調運転のいずれかが行われる。コントローラ16は、第1空調運転または第2空調運転を実施したときから30分が経過後(第1送水ポンプ36が停止してから30分が経過した後)、臭気センサ46Bから送信された測定臭気レベルと設定臭気レベルとの比較を再開する。
【0177】
タイムスケジュールと測定臭気レベルとを併用する空調システム10D(空調方法)は、タイムスケジュールにしたがった第1または第2空調運転を実施中に、各加湿エレメント22や各ドレンパン24において菌が発生すると、加湿エレメント22やドレンパン24から臭気が発生し、その臭気を臭気センサ46A,46Bによって計測することで、加湿エレメント22やドレンパン24における菌の発生(繁殖)を判定することができる。したがって、タイムスケジュールにしたがった第1または第2空調運転を実施中において、測定臭気レベルが設定臭気レベルを超えた場合、各加湿エレメント22や各ドレンパン24における菌の発生(繁殖)が認められ、弱殺菌運転または強殺菌運転(殺菌操作)を実施するから、加湿エレメント22やドレンパン24に菌が発生(繁殖)したとしても、第1機能水または第2機能水を利用して加湿エレメント22やドレンパン24を確実に殺菌することができる。また、タイムスケジュールにしたがって弱殺菌運転または強殺菌運転を実施するから、各加湿エレメント22や各ドレンパン24を清潔な状態で利用することができ、加湿エレメント22やドレンパン24から空調空気に菌や悪臭が混入することはなく、加湿されて適度な湿度を有する清潔な空調空気や加湿されずに適度な湿度を有する清潔な空調空気を空調室11A,11に供給することができる。
【0178】
図17は、図14とは異なる空調システム10Dの構成図である。図17のシステム10Dが図14のそれと異なるところは、空調機12A(第1空調機)に向かって延びていて加湿エレメント22の上端部27につながる給水管38に第1切換用電磁弁47Aが設置され、空調機12Aに向かって延びていて加湿エレメント22の上端部27につながる給水管44に第2切換用電磁弁47Bが設置されている点、空調機12B(第2空調機)に向かって延びていて加湿エレメント22の上端部27につながる給水管38に第3切換用電磁弁47Cが設置され、空調機12Bに向かって延びていて加湿エレメント22の上端部27につながる給水管44に第4切換用電磁弁47Dが設置されている点にある。第1〜第4切換用電磁弁47A〜47Dは、インターフェイス18を介してコントローラ16に接続されている。
【0179】
図17に示すシステム10Dにおけるその他の構成は図14のシステム10Dのそれらと同一であるから、図14と同一の符号を付すとともに、図14のシステム10Dの説明を援用することで、それらの説明は省略する。図17のシステム10Dは、それら給水管38,44に第1〜第4切換用電磁弁47A〜47Dを設置し、第1〜第4切換用電磁弁47A〜47Dを利用して第1および第2機能水の供給切替えを行うことで、たとえば、臭気センサ46Aが測定した測定臭気レベルが高く、臭気センサ46Bが測定した測定臭気レベルが低い場合、空調機12Aにおいて強殺菌運転を実施し、空調機12Bにおいて弱殺菌運転を実施することができる。また、臭気センサ46Aが測定した測定臭気レベルが低く、臭気センサ46Bが測定した測定臭気レベルが高い場合、空調機12Aにおいて弱殺菌運転を実施し、空調機12Bにおいて強殺菌運転を実施することができる。なお、空調機12A,12Bにおいて弱殺菌運転または強殺菌運転のいずれかが行えることはいうまでもない。
【0180】
図17のシステム10Dは、空調機12A,12Bの一方において弱殺菌運転を実施し、他方において強殺菌運転を実施することができるから、臭気センサ46A,46Bが測定した測定臭気レベルの高低、菌の繁殖の度合い、加湿エレメント22やドレンパン24の使用年数、空調機12A,12Bの新旧等の条件に応じて強弱いずれかの殺菌運転を各空調機12A,12Bに適用することができ、それら空調機12A,12Bの加湿エレメント22やドレンパン24を清潔な状態にすることができる。
【0181】
図18は、他の一例として示す空調システム10Eの構成図である。図18のシステム10Eが図1のそれと異なるところは、加湿機構として噴霧式を採用する空調機51が設置されている点にある。このシステム10Eのその他の構成は図1のシステム10Aと同一であるから図1と同一の符号を付すとともに、図1の説明を援用することで、このシステム10Eのその他の構成の説明は省略する。
【0182】
空調機51は、ハウジング19と、冷却コイル20および加熱コイル21と、噴霧式加湿機構および送風機23(ファン)と、ドレンパン24と、制御部(図示せず)とから形成されている。空調機12の制御部は、インターフェイス18を介してコントローラ16に接続されている。
【0183】
ハウジング19には、空気流入口と空気流出口とが形成されている。空調機51では、空気流入口から空気流出口に向かって、冷却コイル20、加熱コイル21、噴霧式加湿機構、送風機23の順で並んでいる。空調機12では、コントローラ16から送信された設定温度によって冷却コイル20または加熱コイル21に熱媒を流し、空調室11の温度や湿度をコントロールする。
【0184】
噴霧式加湿機構は、噴霧装置49とエリミネーター50とから形成されている。噴霧装置49は、加湿水供給ライン13から水を噴霧する。噴霧装置49とエリミネーター50とは、第1および第2機能水供給ライン14,15から供給される機能水を保水し、機能水のうちの余剰分をドレンパン24に排水する。
【0185】
なお、加湿水供給ライン13には、第1加湿水用電磁弁30に替えて、加湿水送水ポンプ48が加湿水用給水管33に取り付けられている。加湿水送水ポンプ48は、インターフェイス18を介してコントローラ16に接続されている。空調機51は、システム10Aと同様のシステム10Eに使用されているが、システム10B〜10Dに使用することもできる。空調機51は、第1および第2機能水供給ライン14,15から給水される機能水によって噴霧装置49やエリミネーター50、ドレンパン24が殺菌される。
【符号の説明】
【0186】
10A〜10E 室調システム
11 空調室
11A 第1空調室
11B 第2空調室
12 空調機
12A 第1空調機
12B 第2空調機
13 加湿水供給ライン
14 第1機能水供給
15 第2機能水供給
16 コントローラ
17 湿度センサ
17A,17B 湿度センサ
22 加湿エレメント(加湿機構)
24 ドレンパン
34 第1機能水生成装置(機能水生成装置)
35 第1機能水貯水タンク(機能水貯水タンク)
36 第1送水ポンプ(送水ポンプ)
39 第1水位センサ(水位計)
40 第2機能水生成装置(機能水生成装置)
41 第2機能水貯水タンク(機能水貯水タンク)
42 第2送水ポンプ(送水ポンプ)
45 第2水位センサ(水位計)
46 臭気センサ
46A 第1臭気センサ
46B 第2臭気センサ
47A 第1切換用電磁弁
47B 第2切換用電磁弁
48 加湿水送水ポンプ
49 噴霧装置
50 エリミネーター
51 空調機


【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調室に空調空気を供給する空調機と、前記空調機に設置された加湿機構に加湿水を給水する加湿水供給ラインと、前記加湿機構を殺菌する機能水を該加湿機構に供給する機能水供給ラインとを備え、前記機能水供給ラインが、一定量の前記機能水を貯水する機能水貯水タンクと、前記機能水貯水タンクに貯水された機能水を前記加湿機構に送水する送水ポンプとを有し、
前記加湿水供給ラインから前記加湿機構へ加湿水を給水するとともに、前記加湿機構が前記空調機によって作られた空調空気を加湿する第1空調運転と、前記加湿水供給ラインからの前記加湿機構への加湿水の給水を停止するとともに、前記空調機によって作られた空調空気を前記空調室に供給する第2空調運転と、前記加湿機構に発生した菌を殺菌する場合に前記第1および第2空調運転を停止して該加湿機構を殺菌する殺菌運転とのいずれかを実施し、
前記殺菌運転では、前記加湿水給水ラインからの加湿水の給水を停止しつつ、前記機能水貯水タンクに貯水された機能水を前記送水ポンプを介して前記機能水供給ラインから前記加湿機構に所定時間供給することを特徴とする加湿および殺菌可能な空調システム。
【請求項2】
前記空調システムが、前記空調室に設置された湿度センサを含み、前記空調システムでは、前記湿度センサが計測した湿度が設定湿度に達していない場合、前記第1空調運転を実施し、前記湿度センサが計測した湿度が設定湿度に達している場合、前記第2空調運転を実施する請求項1に記載の空調システム。
【請求項3】
前記空調システムが、前記機能水供給ラインに設置されて前記機能水を生成しつつ該機能水を前記機能水貯水タンクに供給する機能水生成装置を含み、前記機能水貯水タンクが、前記機能水生成装置によって生成された機能水を貯水し、前記機能水生成装置が、前記機能水貯水タンクに略一定量の機能水が貯水されるように該機能水を該機能水貯水タンクに供給する請求項1または請求項2に記載の空調システム。
【請求項4】
前記空調機が、そこにおいて発生する排水を捕集するドレンパンを有し、前記殺菌運転では、前記機能水貯水タンクに貯水された機能水を前記機能水供給ラインから前記ドレンパンに供給し、前記ドレンパンに発生した菌を殺菌する請求項1ないし請求項3いずれかに記載の空調システム。
【請求項5】
前記空調システムでは、前記第1および第2空調運転を所定期間実施した後に前記殺菌運転を実施する請求項1ないし請求項4いずれかに記載の空調システム。
【請求項6】
前記空調システムでは、2室以上の前記空調室が存在するとともに、それら各空調室へ空調空気を供給する2つ以上の前記空調機が存在し、前記第1および第2空調運転では、それら空調機によって作られた空調空気を各空調室に供給し、前記殺菌運転では、前記機能水貯水タンクに貯水された機能水を前記機能水供給ラインから各空調機に設置された各加湿機構に供給する請求項1ないし請求項5いずれかに記載の空調システム。
【請求項7】
前記空調システムでは、それら各空調室毎に前記第1および第2空調運転を所定期間個別に実施した後、前記殺菌運転をそれら各空調機毎に個別に実施する請求項6に記載の空調システム。
【請求項8】
前記機能水供給ラインが、第1機能水を前記加湿機構に供給する第1機能水供給ライン、第2機能水を前記加湿機構に供給する第2機能水供給ライン・・・第n機能水を前記加湿機構に供給する第n機能水供給ラインから形成され、前記第1機能水供給ライン〜第n機能水供給ラインが、それぞれ殺菌作用の異なる第1機能水〜第n機能水を前記加湿機構に供給する請求項1ないし請求項7いずれかに記載の空調システム。
【請求項9】
前記空調システムが、前記空調機によって作られた空調空気の臭気を計測する臭気センサを含み、前記空調システムでは、前記臭気センサが計測した臭気レベルがあらかじめ設定された設定臭気レベルを超えた場合、前記殺菌運転を実施する請求項1ないし請求項8いずれかに記載の空調システム。
【請求項10】
前記空調システムでは、前記臭気センサが計測した臭気レベルが前記設定臭気レベルを超えた場合における前記殺菌運転において、前記臭気センサが計測した臭気レベルと前記設定臭気レベルとの比較を停止し、前記殺菌運転終了後、前記第1空調運転または前記第2空調運転を実施したときから所定時間経過後に、前記臭気センサが計測した臭気レベルと前記設定臭気レベルとの比較を再開する請求項9に記載の空調システム。
【請求項11】
前記殺菌運転では、前記空調機の運転が停止している請求項1ないし請求項10いずれかに記載の空調システム。
【請求項12】
前記殺菌運転では、前記空調機の運転が行われている請求項1ないし請求項10いずれかに記載の空調システム。
【請求項13】
前記加湿機構の加湿方式が、気化式加湿または噴霧式加湿のいずれかである請求項1ないし請求項12いずれかに記載の空調システム。
【請求項14】
前記機能水が、電解機能水、弱酸性水、塩素系水溶液、オゾン水、過酸化水素水の中から選択された少なくとも1種類である請求項1ないし請求項13いずれかに記載の空調システム。
【請求項15】
空調室に空調空気を供給する空調機と、前記空調機に設置された加湿機構に加湿水を給水する加湿水供給ラインと、前記加湿機構を殺菌する機能水を該加湿機構に供給する機能水供給ラインとを備え、前記機能水供給ラインが、一定量の前記機能水を貯水する機能水貯水タンクと、前記機能水貯水タンクに貯水された機能水を前記加湿機構に送水する送水ポンプとを有し、
前記加湿水供給ラインから前記加湿機構へ加湿水を給水するとともに、前記加湿機構が前記空調機によって作られた空調空気を加湿する第1空調操作と、前記加湿水供給ラインからの前記加湿機構への加湿水の給水を停止するとともに、前記空調機によって作られた空調空気を前記空調室に供給する第2空調操作と、前記加湿機構に発生した菌を殺菌する場合に前記第1および第2空調操作を停止して該加湿機構を殺菌する殺菌操作とのいずれかが実施され、
前記殺菌操作では、前記加湿水給水ラインからの加湿水の給水が停止され、前記機能水貯水タンクに貯水された機能水が前記送水ポンプを介して前記機能水供給ラインから前記加湿機構に所定時間供給されることを特徴とする加湿および殺菌可能な空調方法。
【請求項16】
前記空調方法が、前記空調室に設置された湿度センサを含み、前記空調方法では、前記湿度センサが計測した湿度が設定湿度に達していない場合、前記第1空調操作が実施され、前記湿度センサが計測した湿度が設定湿度に達している場合、前記第2空調操作を実施される請求項15に記載の空調方法。
【請求項17】
前記機能水供給ラインが、前記機能水を生成しつつ該機能水を前記機能水貯水タンクに供給する機能水生成装置を含み、前記空調方法では、前記機能水貯水タンクに略一定量の機能水が貯水されるように該機能水が前記機能水生成装置から該機能水貯水タンクに供給される請求項15または請求項16に記載の空調方法。
【請求項18】
前記空調機が、そこにおいて発生する排水を捕集するドレンパンを有し、前記殺菌操作では、前記機能水貯水タンクに貯水された機能水が前記機能水供給ラインから前記ドレンパンに供給され、前記ドレンパンに発生した菌が殺菌される請求項15ないし請求項17いずれかに記載の空調方法。
【請求項19】
前記空調方法では、前記第1および第2空調工程を所定期間実施した後に前記殺菌操作が実施される請求項15いし請求項18いずれかに記載の空調方法。
【請求項20】
前記空調方法では、2室以上の前記空調室が存在するとともに、それら各空調室へ空調空気を供給する2つ以上の前記空調機が存在し、前記第1および第2空調操作では、それら空調機によって作られた空調空気が各空調室に供給され、前記殺菌操作では、前記機能水貯水タンクに貯水された機能水が前記機能水供給ラインから各空調機に設置された各加湿機構に供給される請求項15ないし請求項19いずれかに記載の空調方法。
【請求項21】
前記空調方法では、前記第1および第2空調操作がそれら各空調室毎に所定期間個別に実施された後、前記殺菌操作がそれら各空調機毎に個別に実施される請求項20に記載の空調方法。
【請求項22】
前記機能水供給ラインが、第1機能水を前記加湿機構に供給する第1機能水供給ライン、第2機能水を前記加湿機構に供給する第2機能水供給ライン・・・第n機能水を前記加湿機構に供給する第n機能水供給ラインから形成され、第1機能水供給ライン〜第n機能水供給ラインが、それぞれ殺菌作用の異なる第1機能水〜第n機能水を前記加湿機構に供給する請求項15ないし請求項21いずれかに記載の空調方法。
【請求項23】
前記空調方法が、前記空調機によって作られた空調空気の臭気を計測する臭気センサを含み、前記空調方法では、前記臭気センサが計測した臭気レベルがあらかじめ設定された設定臭気レベルを超えた場合、前記殺菌操作が実施される請求項15いし請求項22いずれかに記載の空調方法。
【請求項24】
前記空調方法では、前記臭気センサが計測した臭気レベルが前記設定臭気レベルを超えた場合における前記殺菌操作において、前記臭気センサが計測した臭気レベルと前記設定臭気レベルとの比較が停止され、前記殺菌運転終了後、前記第1空調運転または前記第2空調運転を実施したときから所定時間経過後に、前記臭気センサが計測した臭気レベルと前記設定臭気レベルとの比較が再開される請求項23に記載の空調方法。
【請求項25】
前記空調方法では、前記殺菌操作において前記空調機の運転を停止している請求項15ないし請求項24いずれかに記載の空調方法。
【請求項26】
前記空調方法では、前記殺菌操作において前記空調機の運転が行われている請求項15ないし請求項24いずれかに記載の空調方法。
【請求項27】
前記空調方法では、前記加湿機構の加湿方式が気化式加湿または噴霧式加湿のいずれかである請求項15ないし請求項26いずれかに記載の空調方法。
【請求項28】
前記空調方法では、前記機能水が電解機能水、弱酸性水、塩素系水溶液、オゾン水、過酸化水素水の中から選択された少なくとも1種類である請求項15いし請求項27いずれかに記載の空調方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−53767(P2013−53767A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190792(P2011−190792)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(591023479)ダイダン株式会社 (82)
【Fターム(参考)】