説明

加湿機およびそれを備えた加湿温風機

【課題】シンプルな構成で結露対策を実施することを目的とする。
【解決手段】本発明の加湿器は、吸気口130と吹出口140とを連通する風路150と、風路150の途中に配置された送風機160と、ヒータ170と、加湿フィルタ230と、加湿フィルタ230に給水する加湿トレー220と、風路の一部を形成し、加湿フィルタ230を加湿トレー220の所定位置に固定するフィルタトレー250と、加湿トレー220に給水する水を貯水する給水タンク210とを含み、ヒータ170と加湿フィルタ230との間に、風路150と本体110の内部とを連通する通気口253を備えたことにより、低湿度の温風を通気口を介して本体の内部に供給することがで、本体内部の湿度を低下させることができ、本体内の結露を簡単な構成で抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸水した加湿フィルタに空気を送給して気化させる気化式の加湿機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の加湿機においては、室温が低い場合や急激に室温が低下した場合に、加湿機内部と室温との差により、加湿器内部の送風経路や電気部品収納部に発生する結露に対する対策としは、室温を検知する室温検知手段と、室内湿度を検知する湿度検知手段と、目標湿度を設定する湿度設定手段とを備え、湿度設定手段の設定湿度と湿度検知手段の検知湿度が所定値以下となる安定領域において、室温検知手段の検知温度が所定値以下の場合には、温風用ヒータの通電率を制限して送風機の送風量を多くし、室温検知手段の検知温度が所定値以上の場合には、温風ヒータの通電率を多くして送風機の送風量を制限する制御を実施することにより結露を防止している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−112747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の構成では、結露対策が実施された場合には、使用者が意図しない送風量の変化や温風温度の変化が発生し、使用者が不快を感じたり、加湿器の異常と誤認することがある。また、結露対策のために室温検知手段と湿度検知手段を備えることが必須であり、コストアップと生産性の低下が懸念されるものであり、使い勝手と生産コストの面で改善の余地があった。
【0005】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、シンプルな構成で結露対策を実施することにより使い勝手が良い加湿機を低コストで提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来の課題を解決するために、本発明の加湿器は、本体の外面に開口された吸気口と吹出口とを連通する風路と、風路の途中に配置され空気を送風する送風機と、風路の送風機の下流に配置され空気を加熱するヒータと、風路のヒータの下流に配置されヒータで加熱された空気を加湿する加湿フィルタと、加湿フィルタに給水する加湿トレーと、風路の一部を形成し、加湿フィルタを加湿トレーの所定位置に固定するフィルタトレーと、加湿トレーに給水する水を貯水する給水タンクとを含み、ヒータと加湿フィルタとの間の風路に、風路と本体の内部とを連通する通気口を備えたものである。
【0007】
これにより、低湿度の温風を通気口を介して本体の内部に供給することがで、本体内部の湿度を低下させることができ、本体内の結露を簡単な構成で抑制することができる。また、本体内への温風の供給は常時行われるため、結露対策により他の機能の運転状態が変化することがなく、使用者が不快を感じたり、加湿機の異常を誤認することがなく、本体内に結露することがなく、本体外への漏水を防止することができ、使い勝手のよい加湿機を低コストで提供することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の加湿機は、結露水による本体外への漏水を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1における加湿温風機の外観斜視図
【図2】図1にAAで示す断面図
【図3】図1にBBで示す断面図
【図4】本発明の実施の形態1における加湿温風機の給水タンクの着脱操作途中を示す背面側の斜視図
【図5】本発明の実施の形態1における加湿温風機の本体から給水タンクと加湿トレーを取り外した状態を示す斜視図
【図6】本発明の実施の形態1における給水タンクの斜視図
【図7】本発明の実施の形態1における給水タンクの倒立状態を示す斜視図
【図8】本発明の実施の形態1における加湿トレーとフィルタトレーと加湿フィルタの分解状態を示す斜視図
【図9】本発明の実施の形態1における加湿トレーの平面図
【図10】本発明の実施の形態1における本体とフィルタトレーの当接状態の詳細を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
第1の発明は、本体の外面に開口された吸気口と吹出口とを連通する風路と、前記風路の途中に配置され空気を送風する送風機と、前記風路の前記送風機の下流に配置され空気を加熱するヒータと、前記風路の前記ヒータの下流に配置され前記ヒータで加熱された空気を加湿する加湿フィルタと、前記加湿フィルタに給水する加湿トレーと、前記風路の一部を形成し、前記加湿フィルタを前記加湿トレーの所定位置に固定するフィルタトレーと、前記加湿トレーに給水する水を貯水する給水タンクとを含み、前記ヒータと前記加湿フィルタとの間の前記風路に、前記風路と前記本体の内部とを連通する通気口を備えた加湿機である。
【0011】
これにより、低湿度の温風を通気口を介して本体の内部に供給することがで、本体内部の湿度を低下させることができ、本体内の結露を簡単な構成で抑制することができる。また、本体内への温風の供給は常時行われるため、結露対策により他の機能の運転状態が変化することがなく、使用者が不快を感じたり、加湿機の異常を誤認することがなく、本体内に結露することがなく使い勝手のよい加湿機を低コストで提供することができる。
【0012】
第2の発明は、特に第1の発明において、前記通気口は前記フィルタトレーの側壁に配置されたものである。
【0013】
これにより、通気口は湿度が一番高い加湿フィルタの近傍に配置することができるので、結露の抑制をより効果的に実施することができる。
【0014】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明において、前記本体は立面に開口を備え、前記加湿フィルタと前記フィルタトレーと前記加湿トレーとは合体させた状態で前記開口を介して前記本体に着脱可能な構成としたものである。
【0015】
これにより、加湿フィルタとフィルタトレーと加湿フィルタは本体より取り出して、清掃およびメンテナンスをすることが可能となり、加湿機の機能および性能を長期間にわたり安定して得ることができる。
【0016】
第4の発明は、第1〜第3のいずれか1つの発明の加湿器と、前記風路の前記ヒータの下流で分岐し、前記加湿フィルタに連通させる加湿風路と、前記風路の前記ヒータの下流で分岐し、前記加湿フィルタを通過させずに前記吹出口に直接連通する温風風路と、前記
加湿風路および前記温風風路のいずれか一方または両方に温風を選択的に送風するダンパと、前記ダンパの操作を行う操作手段とを備え、前記操作手段で前記ダンパの操作することにより、温風と加湿温風の吹き出しが選択可能な加湿温風機である。
【0017】
これにより、温風のみの送風と加湿温風の選択が可能となり、短時間の暖房をする場合は温風を選択することにより短時間で昇温することが可能となり、長時間の暖房する場合は加湿温風を選択することにより快適な暖房効果を得ることができる。
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0019】
(実施の形態1)
図1は本実施の形態における加湿機を備えた加湿温風機の外観を示す斜視図であり、図2は図1に示すAA断面図を示し、図3は図1に示すBB断面図を示し、図4は貯水タンクの着脱操作途中を示す斜視図であり、図5は本体から給水タンクと給水トレーを取り外した状態を示す斜視図である。
【0020】
なお、本実施の形態においては、図1に示す加湿温風機の吹出口を設けた前面側を前とし、吸気口を設けた背面側を後とし、前面から背面に向かって右側を右とし、左側を左として説明をおこなう。また着脱可能な部材については本体に設置した状態での方向に従って説明を行う。
【0021】
<1>加湿温風機の構成
図1〜図4に示すように、加湿温風機100の本体110の上面には操作部120が、背面には吸気口130が、前面には吹出口140が設けられており、図2に示すように本体110内には吸気口130から吹出口140まで風路150が連通している。風路150には、吸気口130に近い最も上流側には送風機160が配置されており吸気口130から吸引した外気を風路150に送風する。
【0022】
送風機160の下流にはヒータ170が配置されている。ヒータ170は全体で1200Wの容量であるが、全体を2分割した構成であり、低容量の加熱を行うときは、その半分にのみに通電することで600Wの容量で加熱することができる。
【0023】
風路150は送風機160とヒータ170との間で2本に分岐しており、分岐した風路は静電霧化部180を介して吹出口140に連通する静電霧化風路151を形成している。送風機160から送風された少量(約5%)の風量は常時静電霧化風路151に供給される構成となっている。
【0024】
また、風路150はヒータ170の下流で2本に分岐しており、一方は吹出口140に直接連通する温風風路152と、他方は加湿部190を介して吹出口140に連通する加湿風路153が形成されている。
【0025】
送風機160より下流側の風路150は、送風機160から静電霧化風路151および加湿風路153までの範囲と温風風路152は、燃性の耐熱樹脂材料により一体に成型されたダクト部材154で形成されている。ヒータ170はダクト部材154の内部に設置されている。
【0026】
ダクト部材154の温風風路152と加湿風路153の分岐点にはダンパ200が設置されている。ダンパ200はステッピングモータ等で構成された駆動機構(図示せず)を備えており、ヒータ170で加熱された温風を、温風風路152のみ、または温風風路1
52と加湿風路153の両方に送風することを操作部120の操作で選択的に切り替えることができる。
【0027】
図2に示すようにダンパ200が位置Cの場合、温風は温風風路152と加湿風路153の両方に同時に送風される。この場合、風量の約10%を温風風路152に送風し、残りを加湿風路153に送風する。
【0028】
ダンパ200が加湿風路153を閉じる位置Dに切り替えられた場合は、温風風路152にのみ温風が送風される。
【0029】
操作部120には、加湿温風機100の電源の「入」、「切」を行う電源スイッチ121と、温風運転を連続的に行う温風連続スイッチ122と、設定温度に合わせて温風運転を行う温風室温連動スイッチ123と、加湿運転を行う加湿スイッチ124と、静電霧化運転を行う静電霧化スイッチ125と、入タイマを設定する入タイマスイッチ126と、切タイマを設定する切タイマスイッチ127と、子供のいたずら等の誤操作をロックするロックスイッチ128と、加湿部190のメンテナンス後に操作するリセットスイッチ129が設けられている。
【0030】
また、操作部120には上記の各種スイッチの操作状態を表示する複数の表示ランプが設置されている。
【0031】
なお、本実施の形態における加湿温風機100は、加湿風路153とは別に温風風路152を設けるとともに、風路を切り替えるダンパ200と切り替え操作を行う操作スイッチとを設け、「温風」と「加湿温風」とが選択できる構成としたが、これに限るものではなく、例えば、風路は加湿風路153のみとし、ダンパ200および切り替え操作を行う操作スイッチを設けない構成とし、送風機160による送風が全て加湿部190に供給されるものを加湿機と定義する。なお、ヒータ170は加湿機の必須の構成要素ではないが、加湿性能を向上するためにヒータ170を備えた構成であってもよい。また、静電霧化部180も加湿機の必須の構成要素ではない。
【0032】
<2>静電霧化部の構成
図2に示すように、静電霧化部180は、送風機160とヒータ170との間の風路150から分岐した静電霧化風路151内に静電霧化ユニット181が設置されている。
【0033】
静電霧化ユニット181は、送風機160で送風された空気中の水分を結露させて水を生成する結露水生成部と、生成された水に電圧を印加する霧化電極と、霧化電極に対向して設けられた対向電極とで構成されている。
【0034】
結露水生成部は、冷却基板と放熱基板とを有するペルチェ素子を主構成部材とし、ペルチェ素子の冷却基板には尖鋭形状の霧化電極が設置されており、ペルチェ素子の冷却基板に結露した水が霧化電極に搬送される構成となっている。
【0035】
尖鋭形状の霧化電極と対向する位置に、霧化電極を包囲するように略ドーム状の対向電極が配置されており、霧化電極と対向電極の間に約3500Vの直流電流が印加することにより、霧化電極に搬送された結露水にレイリー分裂を生じさせ、ナノメートルサイズの帯電微粒子水が発生する。
【0036】
すなわち、静電霧化ユニット181を通過後の空気は、ナノメートルサイズの帯電微粒子水が含まれたものであり、霧化吹出口182を介して吹出口140から帯電微粒子水が放出される。ナノメータサイズの帯電微粒子水は、アンモニア、アセトアルデヒド、酢酸
、メタン、一酸化炭素、一酸化窒素、ホルムアルデヒド等の臭気成分の分解除去と各種菌類への殺菌効果を備えており、室内に浮遊および壁面や床面に付着した臭気成分や菌類に対して脱臭と除菌および殺菌の効果を発揮することができる。
【0037】
<3>加湿部の構成
図6は給水タンクの正立状態の斜視図を示し、図7は給水タンクの倒立状態の斜視図を示し、図8は加湿レートとフィルタトレーと加湿フィルタの分解状態を示す斜視図であり、 図9は加湿レートの平面図を示すものであり、図10は本体とフィルタトレーの当接状態の詳細を示す断面図である。なお、図8および図9は加湿トレーを後ろ側から見た状態を示したものである。
【0038】
図2および図3に示すように、加湿部190は、加湿に使用する水を貯水する給水タンク210と、給水タンク210から流出した水を貯溜する加湿トレー220と、水を気化させる加湿フィルタ230と、加湿フィルタ230を加湿トレー220に取り付けるフィルタトレー250を主構成部材として構成されている。
【0039】
図3、図6、図7に示すように、給水タンク210は、半透明の樹脂材料で成型された容量約3リットルのボトル形状のタンク本体211と、タンク本体211の下面に設けた給水口211aに着脱自在に螺合する蓋212と、タンク本体211の上面に設けられた略コの字型の取っ手213と、タンク本体211の側部に設置されタンク開口111を閉塞する閉塞部材214で構成されている。
【0040】
蓋212には、ばねの付勢力により自動的に閉止される閉止栓212aが設けられており、給水タンク210が加湿トレー220の所定位置にセットされた場合に閉止栓212aが自動的に開放され、給水タンク210の水が加湿トレー220に供給される。
【0041】
取っ手213は略コの字型の形状をしており両端部がタンク本体211の上部に起倒自在に枢支されている。図2に示すように取っ手213はタンク本体211の上面に倒置した状態で本体110内のタンク収容部111aに収容される。また、給水タンク210を本体110から取り出した状態では、取っ手213を起立させることにより保持部213aを握って給水タンク210を容易に持ち運びすることができる。
【0042】
図7に示すように、取っ手213を起立させて最も開放した起立位置で係止されるストッパ211bがタンク本体211に一体に形成されており、取っ手213をストッパ211bに係止した状態で給水タンク210を倒立させると、閉塞部材214の上縁214aと取っ手213が給水タンク210の脚となり、給水口211aを上方に配置した状態で平坦面に自立させることができ、この状態で給水作業を容易に行うことができる。
【0043】
特に本実施に形態における取っ手213には起立位置に起立させた状態で保持部213aの一方の端部が他の部分より突出する突起部213bが形成される構成となっており、給水タンク210は閉塞部材214の上縁214aと突起部213bの3点支持の形態で支持されるため安定性がよい。なお、突起部213bは必須の構成要素ではなく、突起部213bがなくても給水タンク210を倒立させることは可能である。
【0044】
閉塞部材214はタンク本体211の側部に設置されており、給水タンク210を本体110に設置した状態で、タンク開口111の全面を閉塞し、外表面は本体110の外表面と連続的な形状を成すように形成されており、タンク本体211にねじで固定されている。
【0045】
閉塞部材214の上端部には閉塞部材214を本体110に係止する係止部214bが
設置されている。係止部214bは弾性により本体110に係止され、開放する場合は閉塞部材214の上部に設けられたロック解除ボタン214cを押すことにより開放される。
【0046】
また、閉塞部材214の上部には表面より凹陥した引き手214dが形成されており、引き手214dに指をかけて引き出すことにより給水タンク210を本体110より取り外すことができる。
【0047】
図8および図9に示すように、加湿トレー220は給水タンク210から水を受ける水受部221と、加湿フィルタ230に供給する水を貯水する貯水部222と、貯水部の水位を検知する水位検知部の構成部材であるフロート槽240で構成されている。本実施の形態においては、加湿トレー220の右側に水受部221と、中央部に貯水部222と左側にフロート槽240が配置されている。
【0048】
水受部221は略円形の凹陥形状であり、その中央には円柱状の突出部223が形成されており、給水タンク210の閉止栓212aが突出部223に当接することにより、閉止栓212aが開放される構成となっている。
【0049】
貯水部222は略長方形の箱状に形成されており、貯水部222の内部には貯水部222と略相似形のフィルタトレー250が所定位置に設置されている。
【0050】
フィルタトレー250は底面と4辺の側壁252からなる略長方形の箱状の形状をしており、加湿トレー220より耐熱性の高い樹脂材料で成型されており、加湿部190に送風される温風で加湿トレー220が変形することを防止する目的と、加湿フィルタ230を加湿トレー220に固定する機能を備えている。
【0051】
フィルタトレー250は底面には複数の開口(図示せず)が設けられており、貯水部222に貯水された水が開口を介して流入する構成となっている。フィルタトレー250の内面には加湿フィルタ230を所定位置に支持する複数のフィルタリブ251が一体に形成されている。
【0052】
また、側壁252の上端部には略U字形状の通気口253が設けられている。通気口253は加湿フィルタ230の設置位置より上流側に配置されており、幅が約4mmで高さが約6mmの寸法となっている。
【0053】
図2および図10示すように、フィルタトレー250は加湿風路153の一部を構成したおり、4辺の側壁252の上端部はダクト部材154の下端に当接し、本体110の加湿風路153と連接する構成となっている。通気口253は加湿フィルタ230の上流側の加湿風路153から乾燥した空気の一部を本体110の内部に放出する機能を備えている。
【0054】
フィルタトレー250の前方の側壁252とダクト部材154との当接部はダクト部材154の下端に設置されたパッキン113を介して密着する構成となっており、後方の側壁252とダクト部材154との当接部は双方に形成した傾斜面がパッキン113を介して面接触させることにより密接する構成となっている。また、両側部の側壁252とダクト部材154との当接部にはフィルタトレー250を摺動可能にするために僅かな隙間が設けられている。
【0055】
水受部221と貯水部222とフロート槽240は連通溝で連通しており、水受部221で給水タンク210より給水された水は連通溝を介して貯水部222とフロート槽24
0に供給されて一定の水位で維持される。
【0056】
フロート槽240には水位の変動により浮動するフロート270が設置されており、フロート270に内蔵された磁石(図示せず)と本体110に設置されたリードスイッチ(図示せず)で推移検知部を構成しており、水位検知部の検知結果に基づいて加湿温風機100の運転が制御される。
【0057】
また、加湿トレー220の後方上部には、加湿トレー220を本体110にロックするロック機構224が設置されており、背面下部には加湿トレー220を本体110から引き出すときに使用する引き手225が一体に形成されている。
【0058】
加湿フィルタ230は樹脂材料で成型した略直方体のフィルタケース231と、フィルタケース231に内装されたフィルタ材232で構成されている。フィルタケース231は網目状に形成されており、その内外が通風可能な構成となっている。フィルタ材232は樹脂繊維の不織布を蛇行形状に折り曲げて形成した吸水性能および耐熱性の優れたものである。
【0059】
図5に示すように、加湿トレー220は本体110背面の下部に設けられたトレー開口112よりトレー収容部112aに収容および取り出しを行うことができる。また、本実施の形態におけるタンク開口111とトレー開口112は中間部に仕切り等を配設せず連続して一体的に形成された開口となっており、同様にタンク収容部111aとトレー収容部112aも連続した一体空間となっている。
【0060】
<4>加湿温風機の動作、作用
加湿温風機100を使用する場合、準備作業として第1に給水タンク210への水の充填作業を行う。水の充填作業を行うときは、給水タンク210を倒立させて取っ手213を起立位置まで回動させてストッパ211bで固定することにより自立させることができる。
【0061】
この状態で蓋212をタンク本体211から取り外し給水口211aからタンク本体211内に水を充填する。充填終了後蓋212を閉めることにより充填作業は終了する。
【0062】
次に、加湿フィルタ230とフィルタトレー250を加湿トレー220の貯水部222にセットし、本体110背面のトレー開口112からトレー収容部112a押し込む。加湿トレー220が所定位置まで押し込まれたら、ロック機構224により本体110に固定される。
【0063】
次に水を充填した給水タンク210を取っ手213が上になる起立状態で保持し、タンク開口111からタンク収容部111aに蓋212を加湿トレー220の水受部221に挿入しながら、上部をタンク開口111に押し付けることにより、閉塞部材214の係止部214bが本体110に係止して給水タンク210は本体110に固定される。
【0064】
上記の準備作業完了状態において、給水タンク210の水は加湿トレー220の水受部221に流出して貯水部222およびフロート槽240に流入し、所定の水位に達したら停止する。この状態で加湿フィルタ230の下側の約1/3は水没した状態になり、毛細管現象によりフィルタ材232全体が吸水状態となる。
【0065】
貯水部222が所定の水位に達して給水が停止した状態において、フロート270はフロート槽240の規制片241に当接する位置に浮き上がっており、リードスイッチ(図示せず)はONの状態となっており、操作部120の電源スイッチ121の操作が可能な
状態となる。
【0066】
加湿温風機100の運転を開始する場合、まず操作部120の電源スイッチ121を「入」にし、次に好みの運転モードを選択する。運転モードとしては、「温風」、「加湿」、「静電霧化」3つの基本的な運転モードがあるが、これに加え「温風」と「加湿」を同時に行う「加湿温風」の運転モードがある。また、「静電霧化」の運転モードは単独の運転モードに加え、他の「温風」、「加湿」、「加湿温風」の運転モードとの同時運転が可能な構成となっている。
【0067】
温風モードの運転を行う場合は、温風連続スイッチ122か温風室温連動スイッチ123のどちらかを選択操作する。温風連続スイッチ122を選択した場合には、加湿温風機100はヒータ170が「強」または「弱」の容量で室温に関係なく温風を吹き出す。また、温風室温連動スイッチ123を選択した場合、室温に連動してヒータ170の容量を切り換えて室温を所定温度に保つように運転する。
【0068】
温風モードの運転を行う場合は、ダンパ200は加湿風路153を閉じる位置Dに配置され、温風は温風風路152のみに供給され吹出口140から直接吹き出す。この場合、吹き出す温風は高温で乾燥した状態のものであり、このモードは短時間の部屋の暖房や、乾燥を目的とした使用に適している。
【0069】
加湿モードの運転を行う場合は加湿スイッチ124を操作する。加湿モードの運転の場合、ヒータ170の容量は低容量(約600)に設定される。ダンパ200は温風を主に加湿風路153に送風する位置Cに配置され、低温の温風は温風風路152と加湿風路153の両方に送風され、温風風路152を通過した乾燥状態の温風と、加湿風路153を通過し加湿部190で加湿された加湿空気が吹出口140の手前で混合され、吹出口140から吹き出す。
【0070】
このモードの場合、温風の一部を温風風路152から直接吹き出させることにより、流速の早い温風が吹出口140の手前で混合する加湿空気を効率的に吸引して吹き出す効果を得ることができる。
【0071】
温風モードの運転と加湿モードの運転を同時に行う加湿温風モードの運転を行う場合を、上記のように温風連続スイッチ122か温風室温連動スイッチ123のどちらかと加湿スイッチを操作する。
【0072】
加湿温風モードの運転の場合、ダンパ200の位置および送風状態は加湿運転の場合と同じであるが、ヒータ170の容量が1200Wの最大容量で運転される。そのため、適度に加湿された温風が吹き出し、長時間に亘り部屋を快適に暖房する場合に最も適したモードである。
【0073】
加湿モードおよび加湿温風モードの運転を行う場合に、フィルタトレー250の側壁252の両側部と本体110との当接部が部品のバラツキや変形により隙間が大きい場合には高湿度の空気が漏れることがある。
【0074】
加湿フィルタ230の上流側から漏れる低湿度の空気は周囲に悪影響を及ぼすことはないが、加湿フィルタ230の下流側から漏れる高湿度の温風が漏れた場合、周囲の本体内部に結露して結露水が本体より流出し、床面を濡らす等の不都合が発生することがある。
【0075】
本実施の形態における加湿温風機100の構成においては、加湿フィルタ230より上流側となるフィルタトレー250の側壁252の上端部に設けた通気口253より低湿度
の空気を加湿トレー220のフロート槽240に放出し、主に本体110内のトレー収容部112aに拡散させる。
【0076】
低湿度の空気を通気口253より常時放出することにより、加湿フィルタ230の下流側から高湿度の空気が本体110内に漏れた場合でも相互に混ざり合って湿度を低下させることにより結露を防止することができる。
【0077】
発明者の実験によれば、加湿フィルタ230より下流側の高湿度の空気は相対湿度が約80%であるのに対し、漏れた高湿度の空気と通気口253を介して放出した低湿度の空気とが混ざり合うことにより約35%に低下させることができ、通常の使用状態では結露が発生することがなかった。
【0078】
静電霧化モードの運転を行う場合は静電霧化スイッチ125を操作する。静電霧化スイッチ125を操作することにより、静電霧化ユニット181に通電され、静電霧化ユニット181は送風機160から送風された空気に含まれる水分からナノメートルサイズの帯電微粒子を発生し、帯電微粒子を含む空気を霧化吹出口182を介して吹出口140から吹き出す。
【0079】
静電霧化モードの運転は、単独運転で実施することに加え、温風運転、加湿運転、加湿温風運転の各運転モードと同時に運転することが可能であり、いずれ運転モードにおいても室内に浮遊および壁面や床面に付着した臭気成分や菌類に対して脱臭と除菌および殺菌の効果を発揮することができる。
【0080】
運転を停止する場合は、電源スイッチ121を「切」操作することにより、加湿温風機100の運転が停止する。
【0081】
運転停止の状態で、給水タンク210の水の補充や加湿フィルタ230のメンテナンス等を実施することができる。給水タンク210を本体110から取り外す場合は、閉塞部材214の上部に設置されたロック解除ボタン214cを押しながら引き手214dに指を掛けて引けば上部を手前に引き出すことができ、取っ手213を回動させて保持部213aを保持して上方に引き出せば本体110より取り外すことができる。
【0082】
加湿トレー220を本体110から取り外すときは、加湿トレー220の背面の引き手225に指を掛けて強く引っ張ることにより本体110から引き出すことができる。
【0083】
加湿フィルタ230メンテナンスを行う場合は、加湿フィルタ230とフィルタトレー250を加湿トレー220から取り外して水洗いをすることによりフィルタ材の中に堆積したスケールやごみを取り除ことができる。
【0084】
以上のように、本実施に形態の加湿温風機100は、加湿トレー220と給水タンク210は本体110の背面に設けられた開口部より着脱可能な構成としたことにより、給水タンク210の着脱作業には給水タンク210を高い位置まで持ち上げる必要がなく、本体110の低い位置のタンク開口111から着脱可能となり安全かつ容易に着脱作業を行うことができる。
【0085】
特に、給水タンク210はタンク本体211と閉塞部材214を一体構造として形成し、ワンタッチで着脱可能としたことにより、着脱作業を容易に行うことができるとともに、タンク本体211を閉塞部材で隠蔽することにより加湿温風機の外観のデザイン性を向上することができる。
【0086】
また、給水タンク210を倒立した状態で自立可能な構成としたことにより、給水タンク210への給水作業を容易に行うことができる。
【0087】
また、タンク開口111とトレー開口112を本体110の背面に設けたことにより、本体110の前面と上面および側面に発生する接合部を少なくすることができ、特に本体110上面には広いスペースの操作部120を設置することが可能となり、デザイン性が高くかつ操作性の高い使い勝手のより加湿温風機を提供することができる。
【0088】
また、加湿フィルタ230の上流側の加湿風路であるフィルタトレー250の側壁252に通気口253を設けたことにより、加湿フィルタ230の下流側より高湿度の空気が漏れた場合でも、漏れた高湿度の空気と通気口253を介して放出した低湿度の空気とが混ざり合うことにより湿度を低下させることができ、通常の使用状態では本体110の内部に結露が発生することを抑制することができる。
【0089】
なお、本実施の形態においては、加湿トレー220の右側に水受部221と、中央部に貯水部222と左側にフロート槽240が配置された構成としたが、特に水受け部とフロート槽の配置はこれに限るものではなく、左右反対または本体の形状によっては前後に配置してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0090】
以上のように、本発明にかかる加湿機は、本体内への結露を防止することが可能となるので、加湿空気を使用する他の民生用機器等の用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0091】
100 加湿温風機
110 本体
112 トレー開口(開口部)
120 操作部(操作手段)
130 吸気口
140 吹出口
150 風路
152 温風風路
153 加湿風路
160 送風機
170 ヒータ
200 ダンパ
210 給水タンク
220 加湿トレー
230 加湿フィルタ
250 フィルタトレー
252 側壁
253 通気口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体の外面に開口された吸気口と吹出口とを連通する風路と、
前記風路の途中に配置され空気を送風する送風機と、
前記風路の前記送風機の下流に配置され空気を加熱するヒータと、
前記風路の前記ヒータの下流に配置され前記ヒータで加熱された空気を加湿する加湿フィルタと、
前記加湿フィルタに給水する加湿トレーと、
前記風路の一部を形成し、前記加湿フィルタを前記加湿トレーの所定位置に固定するフィルタトレーと、
前記加湿トレーに給水する水を貯水する給水タンクと、を含み、
前記ヒータと前記加湿フィルタとの間の前記風路に、前記風路と前記本体の内部とを連通する通気口を備えた、
加湿機。
【請求項2】
前記通気口は前記フィルタトレーの側壁に配置された、
請求項1に記載の加湿機。
【請求項3】
前記本体は立面に開口を備え、
前記加湿フィルタと前記フィルタトレーと前記加湿トレーとは合体させた状態で前記開口を介して前記本体に着脱可能な構成の、
請求項1または2に記載の加湿機。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の加湿器と、
前記風路の前記ヒータの下流で分岐し、前記加湿フィルタに連通させる加湿風路と、
前記風路の前記ヒータの下流で分岐し、前記加湿フィルタを通過させずに前記吹出口に直接連通する温風風路と、
前記加湿風路および前記温風風路のいずれか一方または両方に温風を選択的に送風するダンパと、
前記ダンパの操作を行う操作手段と、を備え、
前記操作手段で前記ダンパの操作することにより、温風と加湿温風の吹き出しが選択可能な、
加湿温風機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−96690(P2013−96690A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243300(P2011−243300)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】