説明

加熱冷却装置

【課題】本明細書開示の加熱冷却装置は、機器の使用環境として機器の保証温度範囲を超えるような酷暑と極寒が想定される場合であっても、温度調整対象となる接続機器を適切な温度環境下に置くことを課題とする。
【解決手段】加熱冷却装置の本体部は、温度調整対象となる接続機器に空気を導入する第1開口、接続機器から空気が導入される第2開口、空気導入口、空気排出口を備える。加熱冷却装置は、空気導入口から本体部内へ外気を導入する第1ファン、第1開口と第2開口との間に配置されたヒーターに隣接して設けられた第2ファンを備える。第2ファンは、ヒーターによって加熱された空気を循環させる。加熱冷却装置は、第1弁と第2弁を備える。第1弁と第2弁は、第1ファンと第2ファンの動作に応じて変化する本体部内の圧力状態に応じて、開閉状態を変化させ、外気を導入して冷却する状態と、加熱した空気を循環させて加熱する状態とを切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品やその他の部品を備えた機器を適切に動作させるためには、それらの機器を適切な温度環境下に置くことが求められる。例えば、電子部品には、動作保証温度が設定されており、この動作保証温度内で機器を使用することが求められる。極低温環境下で機器を動作させる場合、ヒーターによって発生させた温風を、ファンを用いて循環させ、動作環境を整えることが考えられ、従来、ファンとヒーターとを備えた機器が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような機器を応用して機器動作に適するように温度環境を改善することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3790439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、機器の動作に求められる適切な温度範囲は、低温側だけでなく、高温側にも求められる。機器の使用環境によっては、朝晩で温度変化が激しかったり、航空機に搭載されたりするなど、保証温度範囲を超えるような酷暑と極寒に対応することが求められる場合も想定される。前記特許文献1で開示された機器は、このような酷暑と極寒に対応することは想定していない。
【0005】
そこで、本明細書開示の加熱冷却装置は、機器の使用環境として機器の保証温度範囲を超えるような酷暑と極寒が想定される場合であっても、温度調整対象となる接続機器を適切な温度環境下に置くことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書開示の加熱冷却装置は、温度調整対象となる接続機器に空気を導入する第1開口と、前記接続機器から空気が導入される第2開口と、空気導入口と、空気排出口が設けられた本体部と、前記空気導入口から前記本体部内へ外気を導入する第1ファンと、前記第1開口と前記第2開口との間に配置された加熱部に隣接して設けられ、前記第1ファンと動作時機が異なり、前記加熱部によって加熱された空気を循環させる第2ファンと、前記第1ファンと前記加熱部との間に設けられ、前記第1ファンが動作しているときに、前記本体部内の圧力状態に基づいて前記第1開口を通じて前記接続機器内に外気を導入する第1の状態となるとともに、前記第2ファンが動作しているときに、前記本体部内の圧力状態に基づいて前記空気導入口と前記第1開口との連通を遮断し、前記加熱部によって加熱された空気を前記第1開口を通じて前記接続機器内を循環させる第2の状態となる第1弁と、前記第2ファンと前記空気排出口との間に設けられ、前記第1ファンが動作しているときに、前記本体部内の圧力状態に基づいて前記第2開口と前記空気排出口とを連通させる第1の状態となるとともに、前記第2ファンが動作しているときに、前記本体部内の圧力状態に基づいて前記第2開口と前記空気排出口との連通を遮断する第2の状態となる第2弁と、を備える。
【0007】
加熱冷却装置は、第1ファンを動作させ、第2ファンを停止することにより、第1弁及び第2弁をそれぞれの第1の状態とする。これにより、外気を接続機器内に導入するとともに排出することができ、接続機器内を冷却することができる。
【0008】
一方、加熱冷却装置は、第1ファンを停止し、第2ファンを動作させることにより、第1弁及び第2弁をそれぞれの第2の状態とする。これにより、加熱部で加熱した空気を本体部内と接続機器内で循環させることができ、接続機器内を加熱することができる。
【発明の効果】
【0009】
本明細書開示の加熱冷却装置によれば、機器の使用環境として機器の保証温度範囲を超えるような酷暑と極寒が想定される場合であっても、温度調整対象となる接続機器を適切な温度環境下に置くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、実施例1の加熱冷却装置の概略構成を示す説明図である。
【図2】図2は、第1側板を取り外した状態の、実施例1の加熱冷却装置の斜視図である。
【図3】図3は、実施例1の加熱冷却装置のブロック図である。
【図4】図4(A)〜(C)は、第1弁の弁枠を示す3面図である。
【図5】図5(A)〜(C)は、第1弁の弁体を示す3面図である。
【図6】図6は、組み立てられた第1弁の斜視図である。
【図7】図7(A)〜(C)は、第2弁の弁枠を示す3面図である。
【図8】図8(A)〜(C)は、第2弁の弁体を示す3面図である。
【図9】図9は、組み立てられた第2弁の斜視図である。
【図10】図10は、外気を導入して冷却状態にある加熱冷却装置を示す説明図である。
【図11】図11は、加熱空気を循環させて加熱状態にある加熱冷却装置を示す説明図である。
【図12】図12は、実施例2の加熱冷却装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。ただし、図面中、各部の寸法、比率等は、実際のものと完全に一致するようには図示されていない場合がある。
【実施例1】
【0012】
図1は、実施例1の加熱冷却装置1の概略構成を示す説明図である。図2は、第1側板10aを取り外した状態の、実施例1の加熱冷却装置1の斜視図である。図3は、実施例1の加熱冷却装置1のブロック図である。加熱冷却装置1は、接続機器100と接続されて、接続機器100内の温度を調節する。本実施例において、接続機器100は、電子機器である。
【0013】
加熱冷却装置1は、第1側板10aと第2側板10bとを備えた筐体である本体部10を備えている。加熱冷却装置1は、第1側板10aに温度調節対象となる接続機器100に空気を導入する第1開口11を備えている。また、加熱冷却装置1は、第1側板10aに接続機器100から空気が導入される第2開口12を備えている。第1開口11と第2開口12は、並列して設けられている。加熱冷却装置1は、本体部10内に外気を導入する空気導入口13を備えている。また、加熱冷却装置1は、本体部10内から外部へ空気を排出する空気排出口14を備えている。空気導入口13は、本体部10の第1開口11に近い側の端面に設けられている。空気排出口14は、本体部10の第2開口12に近い側の端面に設けられている。空気導入口13と空気排出口14は、矩形の側面に囲われた筐体である本体部10の対向する面に設けられている。
【0014】
加熱冷却装置1は、空気導入口13の近傍に第1ファン21を備えている。第1ファン21は、空気導入口13から本体部10内へ外気を導入することができる。第1ファン21は、冷却用のファンである。
【0015】
加熱冷却装置1は、第1開口1と第2開口12との間に加熱部となるヒーター23を備えている。また、加熱冷却装置1は、ヒーター23に隣接して第2ファン22を備えている。第2ファン22は、ヒーター23と第2開口12との間に設置されているが、ヒーター23と第1開口11との間に設置されていてもよい。この第2ファン22は、第1ファン21と動作時機が異なる。すなわち、第2ファン22は、第1ファン21が動作しているときに停止し、第1ファン21が停止しているときに動作する。第2ファン22は、加熱用のファンである。第2ファン22は、ヒーター23によって加熱された空気を循環させる。より具体的に、第2ファン22は、本体部10内と接続機器内とで形成される循環経路に加熱された空気を循環させる。
【0016】
加熱冷却装置1は、第1弁31を備える。第1弁31は、第1ファン21とヒーター23との間に設けられている。第1弁31は、第1ファン21が動作しているときに、本体部10内の圧力状態に基づいて第1開口11を通じて接続機器100内に空気を導入する第1の状態となることができる。また、第1弁31は、第2ファン22が動作しているときに、本体部10内の圧力状態に基づいて空気導入口13と第1開口11との連通を遮断することができる。これにより、加熱冷却装置1は、ヒーター23によって加熱された空気を第1開口11を通じて接続機器100内を循環させる第2の状態となることができる。
【0017】
ここで、第1弁31の構成について、図4〜図6を参照しつつ説明する。図4(A)〜(C)は、第1弁31が備える弁枠31aの3面図である。具体的に図4(A)は弁枠31aの正面図、図4(B)は弁枠31aの平面図、図4(C)は弁枠31aの側面図である。なお、図4(C)に示すように、弁枠31aの正面側と背面側とを規定して以下の説明が行われる。図5(A)〜(C)は、第1弁31が備える弁体31bの3面図である。具体的に、図5(A)は弁体31bの平面図、図5(B)は弁体31bの正面図、図5(C)は弁体31bの側面図である。図6は、弁枠31aに弁体31bを取り付けて組み立てられた第1弁31の斜視図である。
【0018】
弁枠31aは、枠状の部材であり、第2弁口32bが設けられている。弁枠31aは、図1に示すように第2弁口32bが第1側板10a、第2側板10bに対して斜めとなるように本体部10内に装着される。弁枠31aは、このように本体部10内に装着されることにより、第1ファン21によって本体部10内に導入された外気を第1開口11へ向かわせることができる。すなわち、弁枠31aは、整流板の機能も備える。弁枠31aは、本体部10内に装着されることにより、本体部10の第1開口11近傍に設けられた当接突起部11aとの間に第1弁口32aを形成する。当接突起部11aは、第1開口11の空気導入口12に近い側の縁部に設けられている。
【0019】
弁枠31aは、背面側に突出した取付部31a1を備えている。この取付部31a1に弁体31bが備える取付部31b1が装着される。板状の弁体31bは、図6に示すようにピン部材31cとeリング31dを用いて弁枠31aに取り付けられる。弁体31bが取り付けられた弁枠31aは、図1に示すように第1弁口32aと第2弁口32bを開閉することが可能となる。弁体31bは、第1ファン21が動作しているときに、本体部10内の圧力状態によって、第1弁口32aを開く。弁体31bは、第1弁口32aを開くことにより、第1開口11を通じて接続機器100内に空気を導入する第1の状態となることができる。なお、弁体31bは、弁枠31aの背面側に装着されているため、弁枠31aの正面側に移動することはできない。すなわち、弁体31bの先端部が弁枠31aと当接することにより、第2弁口32bが閉塞された状態となる。なお、弁枠31aと弁体31bとの取付部にベアリングを装備して、弁体31bの動きをさらに滑らかにすることもできる。
【0020】
弁体31bは、第2ファン22が動作しているとき、換言すれば、第1ファン21が動作していないときに、当接突起部11aに当接し、第1弁口32aを閉塞し、空気導入口13と第1開口11との連通を遮断することができる。すなわち、弁体31bは、第2ファン22が動作しているときに空気導入口13と第1開口11との連通を遮断する第2の状態となることができる。第2ファン22が動作しているとき、弁体31bは、正面側から風を受けるので、第1弁口32aを閉塞し、第2の状態になることができる。
【0021】
加熱冷却装置1は、第2弁33を備える。第2弁33は、第2ファン22と空気排出口14との間に設けられている。第2弁33は、第1ファン21が動作しているときに、本体部10内の圧力状態に基づいて第2開口12と空気排出口14とを連通させる第1の状態となることができる。また、第2弁33は、第2ファン22が動作しているときに、本体部10内の圧力状態に基づいて第2開口12と空気排出口14との連通を遮断する第2の状態となることができる。
【0022】
ここで、第2弁33の構成について、図7〜図9を参照しつつ説明する。図7(A)〜(C)は、第2弁33が備える弁枠33aの3面図である。具体的に図7(A)は弁枠33aの正面図、図7(B)は弁枠33aの平面図、図7(C)は弁枠33aの側面図である。なお、以下、図7(C)に示すように、弁枠33aの正面側と背面側とを規定して説明する。図8(A)〜(C)は、第2弁33が備える弁体33bの3面図である。具体的に、図8(A)は弁体33bの平面図、図8(B)は弁体33bの正面図、図8(C)は弁体33bの側面図である。図9は、弁枠33aに弁体33bを取り付けて組み立てられた第2弁33の斜視図である。
【0023】
弁枠33aは、枠状の部材であり、第3弁口34aが設けられている。弁枠33aは、図1に示すように第3弁口34aが第1側板10a、第2側板10bに対して斜めとなるように本体部10内に装着される。弁枠33aは、このように本体部10内に装着されることにより、第2ファン22が動作したときに、第2開口12を通じて本体部10内に導入される空気を第2ファン22へ向かわせることができる。すなわち、弁枠33aは、整流板の機能も備える。
【0024】
弁枠33aは、正面側に突出した取付部33a1を備えている。この取付部33a1に弁体33bが備える取付部33b1が装着される。板状の弁体33bは、図9に示すようにピン部材33cとeリング33dを用いて弁枠33aに取り付けられる。弁体33bが取り付けられた弁枠33aは、図1に示すように第3弁口34aを開閉することが可能となる。弁体33bは、第1ファン21が動作しているときに、本体部10内の圧力状態によって、第3弁口34aを開く。弁体33bは、第3弁口34aを開くことにより、第2開口12と空気排出口14とを連通させる第1の状態となることができる。なお、弁枠33aと弁体33bとの取付部にベアリングを装備して、弁体33bの動きをさらに滑らかにすることもできる。
【0025】
弁体33bは、第2ファン22が動作しているとき、第3弁口34aを閉塞し、第2開口12と空気排出口14との連通を遮断することができる。すなわち、弁体33bは、第2ファン22が動作しているときに第2開口12と空気排出口14との連通を遮断する第2の状態となることができる。第2ファン22が動作しているとき、第2ファン22の手前、すなわち、第2ファン22と第2弁33と間の空間が負圧となるため、弁体33bは、第2ファン22側へ引き込まれ、第3弁口34aを閉塞し、第2の状態になることができる。なお、弁体33bは、弁枠33aの正面側に装着されているため、弁枠33aの背面側に移動することはできない。すなわち、弁体33bの先端部が弁枠33aと当接することにより、第3弁口34aが閉塞された状態となる。
【0026】
加熱冷却装置1は、空気排出口14の縁部にストッパ15を備えている。このストッパ15は、第2弁33の開弁量を規制するものである。具体的に、ストッパ15は、弁体33bが第2側板10bに密着することを抑制することによって第2弁33の開弁量を規制している。弁体33bは、開弁量が大きくなり、第2側板10bに近づきすぎると、第2ファン22が動作を開始したときに即座に第3弁口34aを閉塞する側に動くことができないことが想定される。ストッパ15を装備することにより、弁体33bの状態をスムーズに第3弁口34aを閉塞することができる状態に維持しておくことができる。
【0027】
図3に示すように、加熱冷却装置1は、電源40及びこの電源40と電気的に接続された温度センサ41を備える。温度センサ41は、本体部10内に設置される。温度センサ41は、加熱冷却装置1の使用状況に応じて、設置場所を適宜設定することができ、例えば、温度調整対象となる接続機器100内に設置してもよい。
【0028】
温度センサ41は、温度検出回路42に電気的に接続されている。この温度検出回路42は、電源40にも電気的に接続されている。温度検出回路42は、第1リレー43及び第2リレー44と電気的に接続されている。温度検出回路42は、温度センサ41の温度出力に応じて第1リレー43及び第2リレー44の通電状態を制御する。
【0029】
第1リレー43は、電源40と接続されているとともに、第1ファン21と電気的に接続されている。第1リレー43が閉じた状態となると、第1ファン21がONとなり、第1ファン21が動作する。
【0030】
第2リレー44は、電源40と接続されるととも、第2ファン22及びヒーター23と電気的に接続されている。第2リレー44が閉じた状態となると、第2ファン22及びヒーター23がともにONとなり、両者が同時に動作する。
【0031】
つぎに、加熱冷却装置1の使用状態について表1、図10、図11を参照しつつ説明する。表1は、温度状態に応じた各部の状態を示している。図10は、外気を導入して冷却状態にある加熱冷却装置1を示す説明図である。図11は、加熱空気を循環させて加熱状態にある加熱冷却装置1を示す説明図である。
【0032】
表1

【0033】
加熱冷却装置1は、図10や図11に示すように、温度調整対象となる接続機器100と隣り合わせの状態に設置される。ここで、接続機器100は、温度調整を必要とするどのような機器も対象とすることができる。実施例1では、筐体101内に電子部品を収容したサーバーブレードを接続機器とする場合について説明する。接続機器100の筐体101は、加熱冷却装置1の本体部10と隣り合わせの状態に設置される。このとき、筐体101の当接壁102を本体部10の第1側板10aに当接させる。当接壁102には、空気導入口103と空気排出口104が設けられている。空気導入口103は、本体部10が備える第1開口11と連通する位置に設けられている。空気排出口104は、本体部10が備える第2開口12と連通する位置に設けられている。
【0034】
電源がONとされると、温度センサ41による測温が行われ、環境の温度が判断される。そして、温度センサ41の出力に応じて表1に示す動作が実行される。
【0035】
温度が30℃以上であると判定された場合、温度検出回路41は、第1リレー43に通電する。すると、第1リレー43が閉じた状態となって第1ファン21がON状態となる。これにより、図10中、矢示X1で示すように外気が本体部10内へ導入される。第1ファン21により導入された外気は、第1弁31の弁体31bを押し上げ、第1弁口32aを開放するとともに、第2弁口32bを閉塞する。これにより、矢示X2で示すように、第1開口11及び空気導入口103を通じて接続機器100内に外気を導入する第1の状態となる。接続機器100内に導入された外気は、図10中、矢示X3で示すように接続機器100内を進み、空気排出口104及び第2開口12を通じて矢示X4で示すように再び本体部10内へ導入される。本体部10内に導入された外気は、第2弁33の弁体33bを押し上げる。これにより、第3弁口34aが開放され、第2開口12と空気排出口14とが連通する第1の状態となる。第2弁33の弁体33bを押し上げた外気は、矢示X5で示すように空気導入口14を通じて再び外部へ排出される。
【0036】
このように、加熱冷却装置1は、外気を接続機器100内に導入し、再び排出させることができるため、効率よく接続機器100を冷却することができる。なお、第1ファン21が動作しているとき、第2ファン22、ヒーター23は動作していない。
【0037】
つぎに、温度が5℃〜30℃であると判定された場合、温度検出回路41は、第1リレー43、第2リレー44のいずれにも通電しない。すなわち、加熱冷却装置1は、動作しない。5℃〜30℃は接続機器100の動作保証がされている温度範囲だからである。
【0038】
つぎに、温度が5℃以下であると判定された場合、温度検出回路42は、第2リレー44に通電する。すると、第2リレー44が閉じた状態となって第2ファン22及びヒーター23がON状態となる。第2ファン22が動作を開始すると、図11中、矢示Y1で示す第2ファン22の吸引作用により、図11中、参照符号Zで示す領域が負圧となる。これにより、第2弁33の弁体33bが第2ファン22側に引き寄せられて、第3弁口34aが閉塞され、第2開口12と空気排出口14との連通が遮断される第2の状態となる。第2ファン22は、矢示Y2で示すようにヒーター23で加熱された空気を第1弁31側へ送る。そして、加熱された空気に押された弁体31bは、第2弁口32bを開放するとともに第1弁口32aを閉塞する。これにより、空気導入口13と第1開口11との連通を遮断し、矢示Y3で示すように加熱された空気を、第1開口11を通じて接続機器100内を循環させる第2の状態となる。接続機器100内に導入された加熱された空気は、矢示Y4で示すように接続機器100内を進む。そして、加熱された空気は、矢示Y5で示すように空気排出口104及び第2開口12を通じて再び第2ファン22に吸い込まれる。
【0039】
このように、加熱された空気は、本体部10及び接続機器100内を循環するため、接続機器100を効率よく加熱することができる。なお、第2ファン22及びヒーター23が動作しているとき、第1ファン21は動作していない。
【0040】
以上のような加熱冷却装置1を纏めると以下の如くである。まず、接続機器100の冷却時には外部から吸気し、外部に排気する。一方、加熱時には内部のみで空気を循環させる。これにより、単独の装置で効率よく冷却及び加熱をするこができる。このように、効率よく冷却及び加熱を行うことで、ヒーターやファンの消費電力を抑えることができる。
【0041】
経路を切り替える弁の駆動をファンが発生させる風で行うことで、弁を制御する構成品を減らし故障を軽減することができる。また、弁を制御する構成品を必要とせず、ファンとヒーターのみで構成することが可能であるため、寸法や重量を小さくすることができる。
【0042】
電子機器等の接続機器の外部に実装することで、接続機器内部の加工なしに動作温度範囲を広げることができる。接続機器の限られたスペース内で、加熱及び冷却を行うための装置を実装することができる。
【0043】
なお、本明細書において、本体部内の圧力状態とは、本体部内における圧力の分布や、風の流れなど、第1弁31、第2弁33を開閉させることができる本体部内の環境を意味するものとする。また、各リレーの接続温度は一例である。
【実施例2】
【0044】
つぎに、実施例2の加熱冷却装置50につき、表2と図12を参照しつつ説明する。表2は、温度状態に応じた加熱冷却装置50の各部の状態を示している。
【0045】
実施例2の加熱冷却装置50は、実施例1の加熱冷却装置1と以下の点で相違する。すなわち、加熱冷却装置50は、温度センサ41、温度検出回路42、第1リレー43及び第2リレー44を備えていない。加熱冷却装置50は、これらに代えて、第1サーモスタット61及び第2サーモスタット62を備えている。なお、他の構成要素は、実施例1と同様であるので、共通する構成要素については図面中、同一の参照番号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0046】
第1サーモスタット61は、電源40と第1ファン21との間に介装されている。第1サーモスタット61は、高温時に通電するように構成されている。
【0047】
一方、第2サーモスタット62は、電源40と第2ファン22及びヒーター23との間に介装されている。第2サーモスタット62は、低温時に通電するように構成されている。
【0048】
表2

【0049】
温度が30℃以上である場合、第1サーモスタット61が通電状態となり第1ファン21がONとなる。一方、第2サーモスタット62は、遮断状態となり、第2ファン22及びヒーター23は、OFFとなる。これにより、実施例1の加熱冷却装置1と同様の動作を実現することができる。
【0050】
つぎに、温度が5℃〜30℃である場合、第1サーモスタット61及び第2サーモスタット62はいずれも遮断状態となる。すなわち、加熱冷却装置50は、動作しない。この点も、実施例1の加熱冷却装置1と同様である。
【0051】
つぎに、温度が5℃以下である場合、第1サーモスタット61は遮断状態となり第1ファン21がOFF状態となる。一方、第2サーモスタット62は、通電状態となり、第2ファン22及びヒーター23は、ON状態となる。これにより、実施例1の加熱冷却装置1と同様の動作を実現することができる。
【0052】
以上説明したように、実施例2の加熱冷却装置50は、実施例1の加熱冷却装置1と同様に動作し、接続機器100の温度を調節することができる。
【0053】
以上本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0054】
1、50 加熱冷却装置 10 本体部
10a 第1側板 10b 第2側板
11 第1開口 11a 当接突起部
12 第2開口 13 空気導入口
14 空気排出口 15 ストッパ
21 第1ファン 22 第2ファン
23 ヒーター 31 第1弁
32a 第1弁口 32b 第2弁口
33 第2弁 34a 第3弁口
40 電源 41 温度センサ
42 温度検出回路 43 第1リレー
44 第2リレー 31 第1サーモスタット
32 第2サーモスタット 100 接続機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度調整対象となる接続機器に空気を導入する第1開口と、前記接続機器から空気が導入される第2開口と、空気導入口と、空気排出口が設けられた本体部と、
前記空気導入口から前記本体部内へ外気を導入する第1ファンと、
前記第1開口と前記第2開口との間に配置された加熱部に隣接して設けられ、前記第1ファンと動作時機が異なり、前記加熱部によって加熱された空気を循環させる第2ファンと、
前記第1ファンと前記加熱部との間に設けられ、前記第1ファンが動作しているときに、前記本体部内の圧力状態に基づいて前記第1開口を通じて前記接続機器内に外気を導入する第1の状態となるとともに、前記第2ファンが動作しているときに、前記本体部内の圧力状態に基づいて前記空気導入口と前記第1開口との連通を遮断し、前記加熱部によって加熱された空気を前記第1開口を通じて前記接続機器内を循環させる第2の状態となる第1弁と、
前記第2ファンと前記空気排出口との間に設けられ、前記第1ファンが動作しているときに、前記本体部内の圧力状態に基づいて前記第2開口と前記空気排出口とを連通させる第1の状態となるとともに、前記第2ファンが動作しているときに、前記本体部内の圧力状態に基づいて前記第2開口と前記空気排出口との連通を遮断する第2の状態となる第2弁と、
を、備える加熱冷却装置。
【請求項2】
前記第2弁の開弁量を規制するストッパをさらに備えた請求項1記載の加熱冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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