加熱条件決定装置、加熱条件決定方法、温度プロファイル予測装置およびプログラム
【課題】専門知識やスキルを必要とすることなく、管理基準を満足する加熱条件を効率的に決定できるようにする。
【解決手段】基板/部品データベース9、リフロー炉データベース10および温度プロファイル管理基準データベースのデータに基づいて、指定された基板の温度プロファイルが、管理基準内に収まるように、CPU12では、加熱ゾーンにおける基板の目標温度を算出し、更に、目標温度になるように加熱ゾーンの加熱温度を算出するので、温度プロファイルの管理基準内に収まるように、加熱条件を決定することができる。
【解決手段】基板/部品データベース9、リフロー炉データベース10および温度プロファイル管理基準データベースのデータに基づいて、指定された基板の温度プロファイルが、管理基準内に収まるように、CPU12では、加熱ゾーンにおける基板の目標温度を算出し、更に、目標温度になるように加熱ゾーンの加熱温度を算出するので、温度プロファイルの管理基準内に収まるように、加熱条件を決定することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱炉内で加熱対象物を目標の温度プロファイルに従い加熱するに際して、該加熱対象物の加熱条件を決定する装置、方法およびプログラム、並びに、加熱条件から加熱対象物の温度プロファイルを予測する装置に関し、更に詳しくは、電子部品を基板に半田付けするリフロー半田付け装置の加熱条件の決定などに好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
リフロー半田付け装置は、熱輻射、熱風加熱、蒸気加熱、伝熱加熱等の各種の加熱方式に従い、加熱対象物であるプリント基板等の基板上に、クリーム半田等の半田で仮固定された電子部品を、加熱炉内で該クリーム半田を加熱して溶融することにより、接合固定する装置である。
【0003】
このリフロー半田付けを行う温度プロファイルにおいては、一般に、基板やこれに実装している電子部品を急激に加熱して熱損傷するおそれや半田付け不良を回避するなどの理由により、先ず基板を半田の溶融点以下の温度で予備加熱し、次いで、クリーム半田中のフラックス成分を十分機能させるため基板の温度を一定時間保持させるよう均一に加熱し、最後に基板を半田が溶融する温度以上でかつ基板や電子部品の耐熱限界温度を超えない温度の範囲で本加熱するようになっている。
【0004】
このような温度プロファイルでは、溶融点が低い錫鉛半田に代えて環境保護に好ましいが溶融点が高い鉛フリー半田が用いられてきているため、狭い温度範囲で基板の加熱制御を高精度に管理することが要求されるようになっている。 しかしながら、基板には、その材質、板厚が種々あり、また多層基板ではその層数、等により、熱容量等が相違し、また、電子部品においても、QFP(Quad Flat Package)や電解コンデンサ等、その部品その種類、サイズ等により、熱容量等が相違するなどにより、目標の温度プロファイルに従うように、加熱条件を決定するのは容易でない。
【0005】
従来では、基板に温度センサを取り付け、熟練した技術者が、経験と勘を頼りに目標の温度プロファイルが得られるまで、加熱条件を変更して繰り返し温度を実測して決定しており、このため、作業者が限定されるうえ、試行錯誤が必要なため、加熱条件の決定に時間がかかるとともに、基板の種類ごとに、同じ作業を繰り返さなければならないという課題がある。
【0006】
そこで、例えば、特許文献1や特許文献2には、コンピュータシミュレーションを用いる技術が開示されており、特許文献3のように、ファジイ推論によって加熱温度を設定する技術も提案されている。
【特許文献1】特開平11−201647号公報
【特許文献2】特開2002−232131号公報
【特許文献3】実公平7−39482号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1,2の技術はいずれも、ある1つの基板に対して加熱条件を入力して、コンピュータシミュレーションによって温度プロファイルを予測し、得られた結果が基準を満たすか否かを判定する方式であるため、コンピュータシミュレーションに関するスキルを必要とし、作業者が限定され、また、基板の種類ごとに、同じ作業を都度繰り返さなければならない。
【0008】
また、上記特許文献3のように、ファジイ推論によって加熱温度を設定する技術では、基板の種類ごとに、同じ作業を都度繰り返さなければならず、或る一定の温度以上に晒される時間について考慮されていないため、半田の融点以上となる時間が、良好なはんだ付けを得るために必要な時間以上であると保証できない。更に、部品が耐熱基準温度(例えば230℃)以上に晒される時間が、許容範囲内であると保証できないなどといった、品質面に関する課題がある。
【0009】
本発明は、上述のような点に鑑みて為されたものであって、専門知識やスキルを必要とすることなく、温度管理基準を満足する加熱条件を効率的に決定できるようにすることを目的とし、更に、複数種類の基板の加熱条件を同時に決定できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明の加熱条件決定装置は、加熱対象物を、加熱炉の複数の加熱ゾーン内を搬送して加熱する前記加熱炉の加熱条件を決定する装置であって、加熱条件を決定する加熱対象物を指定するための入力手段と、予めデータベースにそれぞれ登録された前記加熱対象物のデータ、前記加熱炉のデータ、および、温度プロファイルの管理基準のデータに基づいて、前記入力手段によって指定された加熱対象物の温度プロファイルが、前記管理基準内に収まるように、前記加熱炉の加熱条件を演算する演算手段とを備え、前記演算手段は、前記加熱ゾーンにおける加熱対象物の目標温度を算出する目標温度算出部と、前記加熱対象物が前記目標温度になるように、加熱ゾーンの加熱温度を算出する加熱温度算出部とを含んでいる。
【0011】
加熱対象物としては、例えば、電子部品が半田で仮固定された基板が好ましい。
【0012】
加熱炉の加熱ゾーンは、予備加熱を行う予熱ゾーンと本加熱を行う本加熱ゾーン(リフロゾーン)とを備えるのが好ましい。
【0013】
入力手段による加熱対象物の指定は、例えば、一種類の基板を指定してもよいし、複数種類の基板を指定してもよい。複数種類の基板を指定した場合には、複数種類の基板の温度プロファイルのいずれもが管理基準内に収まるように加熱条件が決定されることになり、この加熱条件は、複数種類の基板の混流生産が可能な加熱条件となる。
【0014】
また、加熱対象物のデータとして、基板のどの面を温度予測の対象とするかをデータベースに予め登録しておくことにより、基板の面を任意に指定できることになる。
【0015】
入力手段は、どの加熱対象物について加熱条件を決定するか、すなわち、加熱対象物の指定に加えて、どの加熱炉について加熱条件を決定するか、すなわち、使用する加熱炉の指定、および、加熱条件の決定に使用する温度プロファイルの管理基準の指定を行うのが好ましく、更に、加熱対象物が加熱炉で加熱される前の初期温度を指定するのが好ましい。
【0016】
加熱対象物のデータとしては、例えば、加熱対象物である基板や部品のタイプ、材質、比熱、密度、サイズ、厚さなどのデータが好ましい。また、基板のデータには、温度予測の対象とすべき面、その面において温度予測の対象とすべき部品のデータを含むのが好ましい。かかるデータを予め登録しておくことにより、基板が指定された場合には、該基板の温度予測の対象とすべき部品のすべてについて、温度プロファイルの管理基準内に収まるように、加熱条件が決定される。
【0017】
加熱炉のデータとしては、例えば、加熱ゾーンの数、ゾーンのサイズ、熱伝達の度合いを示す加熱特性値などのデータが好ましい。
【0018】
温度プロファイルの管理基準のデータとしては、例えば、予熱を行う加熱ゾーンにおける温度範囲、予熱時間、本加熱を行う加熱ゾーンにおける温度範囲、滞留時間、半田付け温度、半田付け必要時間などのデータが好ましい。
【0019】
演算手段は、加熱ゾーン内の加熱対象物の搬送速度を算出する搬送速度算出部を含む構成とし、加熱条件として、加熱対象物の搬送速度を算出するのが好ましが、ユーザが搬送速度を算出して、当該加熱条件決定装置に入力してもよい。
【0020】
搬送速度算出部では、リフロー滞留時間、冷却時間および本加熱(リフロー)ゾーンの長さに基づいて、加熱ゾーン内の加熱対象物の搬送速度を算出するのが好ましい。
【0021】
演算手段の目標温度算出部は、温度プロファイルの管理基準の上限温度あるいは下限温度、加熱前の初期温度および加熱対象物の搬送速度に基づいて、加熱対象物の温度が直線的に増加すると近似して、加熱ゾーンにおける加熱対象物の目標温度を算出するのが好ましい。この目標温度は、指定された加熱対象物について、温度予測の対象とすべき箇所の全てについて算出し、その最小値あるいは最大値を採用するのが好ましい。
【0022】
演算手段の加熱温度算出部は、加熱対象物が加熱ゾーンに搬入される際の初期温度と加熱ゾーンにおける加熱時間とに基づいて、加熱ゾーンの加熱温度を算出するのが好ましい。この加熱温度は、指定された加熱対象物について、温度予測の対象とすべき箇所の全てについて算出し、その最小値あるいは最大値を採用するのが好ましい。
【0023】
温度予測を加熱対象物全体に対して行うのではなく、予めデータベースに登録しておいた加熱対象物の任意の部位に限定して行うことで、演算手段による演算処理量を抑制することが可能となり、これによって、演算手段を構成するCPUの演算速度やメモリ容量を比較的小さなものとすることができる。
【0024】
加熱条件は、少なくとも加熱ゾーンの加熱温度を含み、更に、加熱ゾーン内の加熱対象物の搬送速度を含むのが好ましい。
【0025】
当該加熱条件決定装置で決定された加熱条件を、加熱炉を制御する制御装置に対して、通信等によって直接設定できるようにしてもよいし、あるいは、決定された加熱条件を表示部等に表示し、ユーザが、表示された加熱条件を前記制御装置に設定するようにしてもよい。
【0026】
加熱炉の性能や管理基準の内容などによって、指定された加熱対象物の温度プロファイルが、前記管理基準内に収まらない場合には、加熱対象のどの部分が、管理基準のどの基準に収まらないかを、表示部などに表示するのが好ましい。
【0027】
本発明の加熱条件決定装置によると、予め登録された加熱対象物のデータ、加熱炉のデータ、および、温度プロファイルの管理基準のデータに基づいて、指定された加熱対象物の温度プロファイルが、管理基準内に収まるように、加熱ゾーンにおける加熱対象物の目標温度を算出し、更に、加熱対象物の温度が目標温度になるように加熱ゾーンの加熱温度を算出するので、温度プロファイルの管理基準内に収まるように、加熱ゾーンの加熱温度、すなわち、加熱条件を決定することができる。
【0028】
(2)本発明の加熱条件決定装置の一つの実施形態では、前記目標温度算出部および加熱温度算出部は、複数種類の温度プロファイルにそれぞれ従って前記目標温度および前記加熱温度をそれぞれ算出するものであり、前記演算手段は、各種類の前記温度プロファイルにそれぞれ従って算出された各加熱温度を合成して最終的な加熱温度とする加熱温度合成部を、更に含むものである。
【0029】
加熱温度合成部では、合成の比率を調整できるようにするのが好ましく、その際、合成される温度プロファイルを、表示部等に表示できるようにするのが好ましい。
【0030】
この実施形態によると、各種類の温度プロファイルに従って加熱温度を算出できるとともに、各種類の温度プロファイルを合成して最終的な加熱温度を算出することができる。また、合成の比率を調整できるようにすることによって、管理基準内に温度プロファイルが収まらない場合に、合成比率を調整して、管理基準内に収まるように、加熱ゾーンの加熱温度、すなわち、加熱条件を修正することが可能となる。
【0031】
(3)上記(2)の実施形態では、前記複数種類が2種類であって、第1の種類の温度プロファイルを、急速に温度を立上げて、その後時間を掛けて温度を一定とする温度プロファイルとし、第2の種類の温度プロファイルを、温度上昇を均一にする温度プロファイルとしてもよい。
【0032】
第1の種類の温度プロファイルは、管理基準の上限に近い温度プロファイルとするのが好ましい。
【0033】
第1の種類の温度プロファイルは、温度のばらつきの低減に有効であり、第2の種類の温度プロファイルは、熱損傷の低減に有効であり、この実施形態では、各温度プロファイルの特性を有効に利用することができる。
【0034】
(4)本発明の加熱条件決定装置の他の一つの実施形態では、前記演算手段は、前記入力手段によって指定された複数の加熱対象物に対して加熱条件の演算を同時に行い、温度プロファイルが管理基準内に収まる前記複数の加熱対象物の一部または全部に対して、共通の加熱条件を決定することができる。
【0035】
この実施形態によると、指定された複数の加熱対象物の全部について、温度プロファイルの管理基準内に収まる共通の加熱条件を決定できる場合には、その共通の加熱条件によって複数の加熱対象物の全部を加熱することができ、また、指定された複数の加熱対象物の全部ではないがその一部について、温度プロファイルの管理基準内に収まる共通の加熱条件を決定できる場合には、その共通の加熱条件によって、複数の加熱対象物の一部を加熱することができる。
【0036】
これによって、複数の加熱対象物の一部または全部を、加熱条件を変えずに効率よく加熱することができる。
【0037】
(5)本発明の温度プロファイル予測装置は、加熱対象物を、加熱炉の複数の加熱ゾーン内を搬送させて加熱する前記加熱炉における前記加熱対象物の温度プロファイルを予測する装置であって、温度プロファイルを予測する加熱対象物を指定するとともに、前記加熱炉の加熱条件を入力するための入力手段と、前記加熱炉の加熱条件、予めデータベースにそれぞれ登録された前記加熱対象物のデータおよび前記加熱炉のデータに基づいて、指定された加熱対象物の温度プロファイルを演算する演算手段とを備え、前記加熱条件は、前記加熱ゾーンの加熱温度および前記加熱対象物の前記搬送速度を含むものである。
【0038】
加熱対象物のデータとしては、例えば、加熱対象物である基板や部品のタイプ、材質、比熱、密度、サイズ、厚さなどのデータが好ましい。
【0039】
加熱炉のデータとしては、加熱ゾーンの数、ゾーンのサイズ、加熱特性値などのデータが好ましい。
【0040】
本発明の温度プロファイル予測装置によると、入力手段で指定した加熱条件、加熱対象物のデータおよび加熱炉のデータに基づいて、指定された加熱対象物の温度プロファイルを演算して予測することができる。
【0041】
(6)本発明の加熱条件決定方法は、加熱対象物を、加熱炉の複数の加熱ゾーン内を搬送させて加熱する前記加熱炉の加熱条件を決定する方法であって、前記加熱対象物のデータ、前記加熱炉のデータ、および、温度プロファイルの管理基準のデータが、予め登録されたデータベースの前記データに基づいて、指定された加熱対象物の温度プロファイルが、前記管理基準内に収まるように、前記加熱炉の加熱条件を演算する演算ステップを備え、前記演算ステップは、前記加熱ゾーンにおける加熱対象物の目標温度を算出する目標温度算出ステップと、前記加熱対象物が前記目標温度になるように、加熱ゾーンの加熱温度を算出する加熱温度算出ステップとを含むものである。
【0042】
本発明の加熱条件決定方法によると、予め登録された加熱対象物のデータ、加熱炉のデータ、および、温度プロファイルの管理基準のデータに基づいて、指定された加熱対象物の温度プロファイルが、管理基準内に収まるように、加熱ゾーンにおける加熱対象物の目標温度を算出し、更に、目標温度になるように加熱ゾーンの加熱温度を算出するので、温度プロファイルの管理基準内に収まるように、加熱条件を決定することができる。
【0043】
(7)本発明のプログラムは、加熱対象物を、加熱炉の複数の加熱ゾーン内を搬送させて加熱する前記加熱炉の加熱条件を決定する方法に用いるプログラムであって、前記加熱対象物のデータ、前記加熱炉のデータ、および、温度プロファイルの管理基準のデータが、予め登録されたデータベースの前記データに基づいて、指定された加熱対象物の温度プロファイルが、前記管理基準内に収まるように、前記加熱炉の加熱条件を演算する手順をコンピュータに実行させるプログラムであって、前記演算する手順が、前記加熱ゾーンにおける加熱対象物の目標温度を算出する手順と、前記加熱対象物が前記目標温度になるように、加熱ゾーンの加熱温度を算出する手順とを含むものである。
【0044】
本発明のプログラムは、コンピュータに読み取り可能な記録媒体、例えばフレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等に記録してもよい。
【0045】
本発明のプログラムによると、当該プログラムをコンピュータに実行させることにより、予め登録された加熱対象物のデータ、加熱炉のデータ、および、温度プロファイルの管理基準のデータに基づいて、指定された加熱対象物の温度プロファイルが、管理基準内に収まるように、加熱ゾーンにおける加熱対象物の目標温度を算出し、更に、目標温度になるように加熱ゾーンの加熱温度を算出するので、温度プロファイルの管理基準内に収まるように、加熱条件を決定することができる。
【発明の効果】
【0046】
本発明によれば、予め登録された加熱対象物のデータ、加熱炉のデータ、および、温度プロファイルの管理基準のデータに基づいて、指定された加熱対象物の温度プロファイルが、管理基準内に収まるように、加熱ゾーンにおける加熱対象物の目標温度を算出し、更に、加熱対象物の温度が目標温度になるように加熱ゾーンの加熱温度を算出するので、温度プロファイルの管理基準内に収まるように、加熱条件を決定することができる。
【0047】
また、本発明によれば、指定した加熱条件、加熱対象物のデータおよび加熱炉のデータに基づいて、指定された加熱対象物の温度プロファイルを演算して予測することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
以下、図面によって、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
【0049】
図1は、加熱炉としてのリフロー炉の概略構成図である。
【0050】
このリフロー炉1は、電子部品がマウントされた基板2を、筐体3の内部に搬送する搬送コンベア4と、搬送される基板2に対して、予備加熱を行う6つの予熱ゾーンZ1〜Z6と、半田が溶融する温度以上に本加熱する1つ本加熱ゾーン(リフロゾーン)Z7と、1つの冷却ゾーンZ8とを備えている。
【0051】
予熱ゾーンZ1〜Z6および本加熱ゾーンZ7には、それぞれ上下に赤外線ヒータや熱風ヒータ等の熱源5および加熱用ファン6が設けられ、冷却ゾーンZ8には、上方に冷却用ファン7が設けられている。
【0052】
基板2には、クリーム半田が印刷され、その上に電子部品がマウントされており、この基板2を搬送コンベア4によって、予熱ゾーンZ1〜Z6、本加熱ゾーンZ7、および、冷却ゾーンZ8へと順次搬送することで電子部品を基板2に半田付けする。
【0053】
かかるリフロー炉1では、図示しない制御装置によって、各ゾーンZ1〜Z7の加熱温度、搬送コンベア4のコンベア速度、各ファン6,7の風量等の加熱条件が制御される。かかる制御装置に対して、温度プロファイルの管理基準に従った温度制御を行えるように、加熱条件を設定する必要がある。
【0054】
図2は、図1のリフロー炉1を制御する制御装置に対して、加熱条件を決定して通信等で設定する加熱条件設定装置8の概略構成図である。
【0055】
この実施形態の加熱条件設定装置8は、パーソナルコンピュータによって構成されており、この加熱条件設定装置8の、例えばハードディスク装置には、加熱対象物である基板および部品のデータ、リフロー炉のデータ、および、温度プロファイルの管理基準のデータが、基板/部品データベース9、リフロー炉データベース10、および、温度プロファイル管理基準データベース11として予め登録されている。
【0056】
また、この加熱条件設定装置8は、各データベース9〜11のデータを処理して加熱条件を決定するとともに、全体を制御するCPU12と、RAM13と、ROM14とを備えており、CPU12、RAM13およびROM14によって、加熱条件を決定するための所要の演算を行う演算手段が構成され、後述のように、搬送コンベアの速度、各ゾーンZ1〜Z7における加熱対象物の目標温度、目標温度にするための加熱温度などの算出が行われる。
【0057】
この加熱条件設定装置8は、更に、加熱条件を求める加熱対象物の指定などを行うキーボードやマウス等の入力装置15、および、求められた加熱条件や予測される温度プロファイルなどを表示する液晶ディスプレイ等の表示装置16を備えている。
【0058】
基板/部品データベース9には、基板に関するデータとして、基板の材質(比熱・密度)、厚さ、層数、部品実装位置などのデータが格納され、部品に関するデータとして、部品の種類、サイズ、比熱、密度、温度予測対象部位(ボディor端子)などのデータが格納されている。
【0059】
図3は、基板に関するデータを登録する際の表示装置16の表示画面例を示す図である。基板に関するデータとしては、この図3に示すように、基板の形式、基板名、FR−4やCEM−3といった材質、長さ、幅、板厚、層数、A面に実装される部品の内で温度予測の対象とすべき部品の数(A面部品)、B面に実装される部品の内で温度予測の対象とすべき部品の数(B面部品)がある。なお、図3には示されていないが、基板の材質については、その比熱、熱伝導率、密度等のデータも登録される。
【0060】
更に、基板に関するデータとしては、図3に示すように、A面およびB面の温度予測の対象とすべき各部品についての部品リスト(A面部品リスト、B面部品リスト)として、QFPやSOPといった部品のタイプ、部品名、部品の位置、端子やボディといった部位、端子の位置がある。
【0061】
このように基板のデータとして、温度予測の対象とすべき部品が予め登録されているので、基板を指定して加熱条件を決定する場合には、指定された基板の温度予測の対象とすべき部品の全てについて、温度プロファイルの管理基準内に収まるように、加熱条件が決定される。
【0062】
また、基板は、図4の基板グループを登録する際の表示画面例に示すように、グループとして登録することができ、例えば、一種類の基板を基板グループとして登録することもできるし、複数種類の基板を組み合わせて基板グループとして登録することもできる。更に、基板の温度予測の対象面としてA面、B面を登録することができる。
【0063】
したがって、例えば、複数種類の基板を基板グループとして登録しておき、その基板グループを指定して加熱条件を決定すれば、前記複数種類の基板のいずれも温度プロファイルの管理基準内に収まるように加熱条件が決定されることになる。すなわち、複数種類の基板の混流生産が可能な加熱条件を決定できることになる。
【0064】
なお、リフロー炉の性能や管理基準によっては、複数種類、例えば、3種類の基板の全てが管理基準内に収まる加熱条件を決定できない場合には、後述のように、管理基準内に収まらない箇所および収まらない管理基準の項目を表示装置16に表示できる。
【0065】
この場合、例えば、3種類の基板の内の1種類の基板が、管理基準に収まらず、残りの2種類の基板が、管理基準内に収まる共通の加熱条件を決定できる場合には、この2種類の基板について、共通の加熱条件を決定し、前記1種類の基板については、管理基準内に収まらない箇所や管理基準の項目を表示することができる。
【0066】
これによって、管理基準内に収まらない1種類の基板のみを分離し、2種類の基板については、決定された共通の加熱条件を設定して加熱することができる。
【0067】
このように複数の加熱対象物が指定された場合には、少なくともその一部の加熱対象物について、温度プロファイルの管理基準内に収まる共通の加熱条件を決定できる場合には、その加熱条件を決定し、管理基準内に収まらない加熱対象物を表示することができる。
【0068】
図5は、例えば、部品に関するデータを登録する際の表示画面例を示すものである。部品の関するデータとして、部品名、タイプ、サイズなどのデータがある。なお、図5には示されていないが、各タイプについて、比熱、密度、形状等のデータが登録されている。
【0069】
リフロー炉データベース10には、図6の登録の際の表示画面例に示すように、加熱ゾーンおよび冷却ゾーンの数、ゾーンのサイズ、ファンの回転数、初期温度のデータが格納される。また、図6には、示されていないが、リフロー炉データベース10には、熱伝達率を示す加熱特性値などのデータも格納される。また、加熱ゾーンについては、更に、予熱ゾーンと本加熱(リフロー)ゾーンとが区別されている。
【0070】
温度プロファイル管理基準データベース11には、図7の温度プロファイルの管理基準の登録の際の表示画面例に示すように、予熱温度範囲、予熱時間、リフロー温度範囲、リフロー滞留許容時間、温度勾配などのデータが格納される。また、図7には示されていないが、温度プロファイル管理基準データベース11には、はんだ付け温度、はんだ付け必要時間のデータも格納される。
【0071】
この実施の形態の加熱条件設定装置8では、次のような手順で加熱条件を決定して、リフロー炉の制御装置に対して加熱条件を設定する。
【0072】
図8は、加熱条件の設定手順の全体の流れを示すフローチャートである。
【0073】
先ず、ユーザは、表示装置16に表示される、例えば図9に示す入力画面に基づいて、入力装置15を操作して、加熱条件を求めたい対象基板グループ、使用するリフロー炉、および、温度プロファイルの管理基準(基準プロファイル)を選択する(ステップn101)。対象基板グループは、上述の図4に示すように一種類の基板として登録されている基板グループであってもよいし、複数種類の基板からなる基板グループなどであってもよい。
【0074】
次に、リフロー炉の風速(ファン回転数)および初期温度を設定する(ステップn102)。風速は、予測できない部品の飛びや位置ズレに影響するため、この実施の形態では、手動設定としており、上述の図6に示すように、L、M、Hの3段階で設定するようにしている。初期温度として、例えば、室温が設定される。
【0075】
次に、加熱条件設定装置8では、以上の設定に基づいて、搬送コンベア4の速度を算出する(ステップn103)。搬送コンベアの速度は、リフロー炉の本加熱ゾーンの滞留許容時間を超えないように、冷却時間を考慮して、例えば、次式に従って算出する。
【0076】
搬送コンベア速度=本加熱ゾーンの長さ/(滞留時間−冷却時間)
冷却時間は、例えば一律10sというように固定値としてもよい。また、冷却温度勾配を測定などによって求めておいた上で、次式に従って決定してもよい。
【0077】
冷却時間(s)={リフロピーク温度P(℃)−はんだ付け温度Q(℃)}/冷却温度勾配(−℃/s)
この実施の形態では、予熱ゾーンの加熱条件は、2種類の温度プロファイルを算出し、それらを合成して決定するようにしている。
【0078】
2種類の温度プロファイルの内の一方の温度プロファイルは、管理基準の上限まで急速に立上げ、その後時間を掛けて温度均一化を狙うものであり、フラットプロファイルという。このフラットプロファイルは、管理基準の上限温度のぎりぎりを狙うものである。
【0079】
他方の温度プロファイルは、均一な温度上昇を狙うものであり、マイルドプロファイルという。
【0080】
以下、予熱ゾーンのフラットプロファイルの加熱条件および予熱ゾーンのマイルドプロファイルの加熱条件をそれぞれ算出する(ステップn104,105)。
【0081】
図10は、予熱ゾーンのフラットプロファイルの加熱条件の算出の手順を示すフローチャートであり、図11は、予熱ゾーンのフラットプロファイルを示す図である。なお、図11においては、上述の図1のリフロー炉1に対応しており、横軸の時間軸には、対応する各ゾーンZ1〜Z8を併せて示しており、縦の太い実線が、最終の予熱ゾーンZ6と、本加熱(リフロー)ゾーンZ7との境界を示している。
【0082】
また、図11において、Rはリフロー(本加熱)温度上限、Pは半田付けピーク温度下限、Qは半田付け温度、Nは予熱温度上限、Mは予熱終了温度下限、Lは予熱温度下限、t1はリフロー滞留許容時間、t2は半田付け必要時間、Oは加熱開始点である。また、破線A−Bは、予熱部上限の温度管理基準を、破線C−Dは、予熱部下限の温度管理基準をそれぞれ示している。また、図11では、二つの温度プロファイルによって、温度予測する加熱対象物の予測温度のばらつき幅の例を示している。
【0083】
先ず、予熱部上限の温度プロファイルの管理基準A−Bの開始点Aが、6つの予熱ゾーンZ1〜Z6のどのゾーンに属するかを算出する。具体的には、上述の搬送コンベア速度と各予熱ゾーンZ1〜Z6の長さに基づいて、予熱ゾーンZ1〜Z6による予熱終了時から逆算して算出する。例えば、予熱滞留時間の上限が2.5min、搬送コンベア速度が1.0m/min、各予熱ゾーンZ1〜Z6の長さが0.6m、予熱終了が第6の予熱ゾーンZ6の場合、6−2.5/1/0.6=1.83であるから、小数点以下を切り上げて開始点Aは第2の予熱ゾーンZ2に属することになる。
【0084】
部品温度が初期温度から上限管理基準A−Bの開始点Aの温度L℃まで直線的に増加すると近似して、第1の予熱ゾーンZ1終了時の目標温度を求める。開始点Aが第3の予熱ゾーンZ3以降になる場合は、同様に開始点Aの直前の予熱ゾーンまで、予熱ゾーン終了時の目標温度を求める。この場合の目標温度は、超えてはならない上限である。
【0085】
第1の予熱ゾーンZ1について、温度予測する全部品を対象に、第1の予熱ゾーンZ1終了時の温度が目標温度となる加熱温度を、初期温度と加熱時間とから算出し、その内最低のものを第1の予熱ゾーンZ1の加熱温度とする。例えば、対象がa・b・cの3部品で、aの加熱温度が120℃、bの加熱温度が130℃、cの加熱温度が110℃となった場合、加熱温度はこれらの内で最小の110℃とすれば、全ての部品が目標温度以下となる。
【0086】
この加熱温度の算出の際には、温度予測の対象とする部品が、近傍の他の部品の熱容量および位置関係(実装面や距離)から、どの程度の温度低下をもたらすかを予め数式化してデータベースに登録しておくことにより、より正確に対象とする部品の温度予測が可能になる。
【0087】
開始点Aが第3の予熱ゾーンZ3以降になる場合は、同様に開始点Aの直前の予熱ゾーンまで加熱温度を求める。なお、第2の予熱ゾーンZ2以降については、直前の予熱ゾーン終了時の温度を初期温度とする。
【0088】
開始点Aを含む予熱ゾーンについて、温度予測の対象とすべき全部品を対象に、開始点Aを通るゾーン終了時の温度が目標温度となるように加熱温度を算出し、そのうち最小のものを加熱温度とする。ただし、ゾーン終了時にN℃を超える場合は、ゾーン終了時に目標温度N℃となる加熱温度を算出し、そのうち最小のものを加熱温度とする。
【0089】
以後、予熱終了ゾーンまで、温度予測する全部品を対象に、ゾーン終了時に予熱温度上限のN℃となる加熱温度を算出し、そのうち最低のものを加熱温度とする。
【0090】
以上の手順が、上述の図10のフローチャートに示されており、上限管理基準A−Bの開始点Aが属する予熱ゾーンnを算出し(ステップn201)、予熱ゾーンnまでの各ゾーン終了時の目標温度を、加熱開始点Oと上限管理基準A−Bの開始点Aとを通る直線で近似して設定し(ステップn202)、温度予測対象箇所全てについて、前記目標温度になるように、予熱ゾーンn−1までの各ゾーンの加熱温度を算出し、その内の最小値を採用する(ステップn203)。
【0091】
次に、予熱ゾーンn終了時の目標温度Tnが、予熱温度上限のN℃以下であるか否かを判断し(ステップn204)、N℃以下であるときには、温度予測対象箇所全てについて、目標温度Tnになるように、予熱ゾーンnの加熱温度を算出し、その内の最小値を採用する(ステップn206)。ステップn204において、N℃以下でないときには、目標温度TnをN℃としてステップn205に移る(ステップn208)。
【0092】
以後は、予熱ゾーンn+1から予熱終了までの各ゾーンの終了時の目標温度をN℃に設定し(ステップn206)、温度予測対象箇所全てについて、目標温度N℃になるように、各ゾーンの加熱温度を算出し、その内の最小値を採用して(ステップn207)、終了する。
【0093】
図12は、予熱ゾーンのマイルドプロファイルの加熱条件の算出の手順を示すフローチャートであり、図13は、予熱ゾーンのマイルドプロファイルを示す図である。
予熱ゾーン終了時の目標温度を、予熱温度上限のN℃とする(ステップn301)。
【0094】
部品温度が初期温度から直線的に増加すると近似して、各予熱ゾーン終了時の目標温度を設定する(ステップn302)。例えば、予熱終了が第6の予熱ゾーンZ6、初期温度25℃、N=180℃の場合、第1の予熱ゾーンZ1終了時の目標温度は、25+(180−25)×1/6=50.8℃となる。この場合の目標温度も、超えてはならない上限である。
【0095】
予熱におけるフラットプロファイルの設定手順と同様に、温度予測する全部品を対象に、各予熱ゾーン終了時の温度が目標温度となる加熱温度を、初期温度と加熱時間とから算出し、その内最小のものを各予熱ゾーンの加熱温度とする(ステップn303)。
【0096】
なお、他の実施形態として、温度上昇勾配の許容範囲(特に上限)を設けておき、目標温度までの温度上昇勾配が許容範囲内にない場合は、温度勾配を上限値とした場合にゾーン終了時に到達する温度を、新たな目標温度として設定するようにしてもよい。
【0097】
次に、本加熱ゾーンの加熱条件を算出する。
【0098】
この本加熱ゾーンの加熱条件の算出は、本加熱ゾーンが1ゾーンの場合と複数ゾーンの場合とで異なり、複数ゾーンの場合は、予熱と同様にフラットプロファイルとマイルドプロファイルの2種類のプロファイルを形成し、任意の比率で合成して決定することが可能である。
【0099】
先ず、本加熱ゾーンが1ゾーンの場合について、図14のフローチャートおよび上述の図11の温度プロファイルに基づいて説明する。
【0100】
なお、図11において、予備加熱後の台形状の太い実線E−Fは、リフロー部上限の温度管理基準を示し、三角状の太い実線G−Hは、リフロー部下限の温度管理基準をそれぞれ示している。
【0101】
先ず、リフロー(本加熱ゾーン)終了時の目標温度を、はんだ付けピーク温度下限のP℃に設定し(ステップn401)、全はんだ付け部を対象に、目標温度P℃となる加熱温度を求め、その内の最大のものを加熱温度とする(ステップn402)。例えば、対象がa・b・cの3部品で、aの加熱温度が240℃、bの加熱温度が250℃、Cの加熱温度が230℃となった場合、加熱温度をこれらの内で最大の250℃とすると、全はんだ付け部がP℃以上となる。
【0102】
はんだ付け必要時間t2を満足しない部分がある場合(ステップn403)、加熱温度を、例えば1℃ずつ上げて最もはんだ付け時間が短い部分を再計算し(ステップn404,405)、t2を満足した時点の温度を加熱温度として終了する。
【0103】
次に、本加熱ゾーンが複数ゾーンの場合について、説明する。この場合は、予備加熱と同様に、フラットプロファイルとマイルドプロファイルとを合成する。
【0104】
先ず、本加熱ゾーンが複数である場合のフラットプロファイルの加熱条件の算出の手順を、図15のフローチャートおよび図16の温度プロファイルに基づいて説明する。図16では、本加熱ゾーンが2ゾーンの例を示している。
【0105】
上限の温度管理基準E−Fの開始点E点が本加熱ゾーンの何ゾーン目になるかを、搬送コンベアの速度と各ゾーンの長さに基づいて、本加熱ゾーン終了と同時に冷却が始まるものとして算出する。例えば、リフロー滞留許容時間t1が50s、冷却時間t3が10s、コンベア速度が1.0m/min、各ゾーンの長さが0.6m、本加熱ゾーンが2ゾーンの場合、2−(50−10)/60/1/0.6=0.88であるから、小数点以下を切り上げて開始点Eは、本加熱1ゾーン目となる。
【0106】
開始点E点が、本加熱2ゾーン目以降になる場合は、部品温度がリフロー開始温度からE点の温度Q℃まで直線的に増加すると近似して、開始点Eの直前のゾーンまで、終了時の目標温度を求める。この場合の目標温度は、超えてはならない上限である。
【0107】
開始点Eが本加熱2ゾーン目以降の場合、それ以前の各本加熱ゾーンについて、温度予測する全部品を対象に、ゾーン終了時の温度が目標温度となる加熱温度を、初期温度と加熱時間から算出し、その内の最小のものを加熱温度とする。
【0108】
開始点Eを含む本加熱ゾーンについて、温度予測する全部品を対象に、開始点Eを通る加熱温度を算出し、その内の最小のものを加熱温度とする。ただし、ゾーン終了時にリフロー温度上限のR℃を超える場合は、終了時にR℃となる加熱温度を算出し、その内の最小のものを加熱温度とする。
【0109】
以後本加熱終了ゾーンまで、温度プロファイルを算出する全はんだ付け部を対象に、ゾーン終了時にはんだ付けピーク温度下限のP℃となる加熱温度を算出し、その内の最大のものを加熱温度とする。例えば、対象がa・b・cの3部品で、aの加熱温度が240℃、bの加熱温度が250℃、cの加熱温度が230℃となった場合、加熱温度をこれらの内で最大の250℃とすると、全はんだ付け部がP℃以上となる。
【0110】
以上の手順が、上述の図15のフローチャートに示されており、上限の温度管理基準E−Fの開始点E点が属する本加熱ゾーンmを算出し(ステップn501)、本加熱ゾーンmまでの各ゾーン終了時間目標温度をリフロー開始点と上限の温度管理基準E−Fの開始点Eを通る直線で近似して設定し(ステップn502)、温度予測対象箇所全てについて、前記目標温度になるように、本加熱ゾーンm−1までの各ゾーンの加熱温度を算出し、その内の最小値を採用する(ステップn503)。
【0111】
次に、本加熱ゾーンm終了時の目標温度Tmが、リフロー温度上限のR℃以下であるか否かを判断し(ステップn504)、R℃以下であるときには、温度予測対象箇所全てについて、目標温度Tmになるように、本加熱ゾーンmの加熱温度を算出し、その内の最小値を採用する(ステップn505)。ステップn504において、R℃以下でないときには、目標温度をR℃としてステップn505に移る(ステップn508)。
【0112】
以後は、本加熱ゾーンm+1から本加熱終了までの各ゾーンの終了時の目標温度をP℃に設定し(ステップn506)、半田付け対象箇所全てについて、目標温度P℃になるように、各ゾーンの加熱温度を算出し、その内の最大値を採用して(ステップn507)、終了する。
【0113】
なお、開始点Eを含む本加熱ゾーンまでと、その次以降の本加熱ゾーンとでは、基準となる対象が異なる、すなわち、温度予測する全部品と全はんだ付け部とで対象が異なるため、加熱温度がそれ以前の本加熱ゾーンよりも低下する場合があり、図16のように全部品が一律に温度上昇するとは限らず、図17のように一部温度の高い部品で、リフロー後半に温度が下がる場合がある。典型的な例は、ここまでの過程で全はんだ付け部がP℃以上に達している場合である。
【0114】
次に、本加熱ゾーンが複数の場合のマイルドプロファイルの加熱条件の算出について、図18のフローチャートおよび図19の温度プロファイルに基づいて説明する。
【0115】
本加熱終了時の目標温度を、はんだ付けピーク温度下限のP℃とする(ステップn601)。
【0116】
部品温度がリフロー開始温度から直線的に増加すると近似して、各本加熱ゾーン終了時の目標温度を設定する(ステップn602)。例えば、本加熱2ゾーンで初期温度180℃、P=245℃の場合、本加熱1ゾーン目終了時の目標温度は、180+(245−180)×1/2=212.5℃となる。この場合の目標温度は、下回ってはならない下限である。
【0117】
本加熱におけるフラットプロファイルの設定手順と同様に、半田付け部全てを対象に、各本加熱ゾーン終了時の温度が目標温度となる加熱温度を算出し、その内の最大のものを各本加熱ゾーンの加熱温度とする(ステップn603)。
【0118】
半田付け必要時間t2を満足しない部分がある場合、全体の加熱温度を1℃ずつ上げて最も半田付け時間が短い部分を再計算し(ステップn606,605)、t2を満足した時点の温度を加熱温度とする(ステップn604)。
【0119】
次に、フラットプロファイルとマイルドプロファイルの合成について説明する。 フラットプロファイルとマイルドプロファイルを任意の比率で合成して、最終的なプロファイル形状と加熱条件を決定する。リフロゾーンまで含めた任意のゾーンにおいて、フラットプロファイルの加熱温度をT1、マイルドプロファイルの加熱温度をT2、合成比率をx:yとすると、最終的な加熱温度Tは以下の式で求められる。
【0120】
T=(T1x+T2y)/(x+y)
通常は、x:y=1:1としており、フラットプロファイルで算出された加熱温度と、マイルドプロファイルで算出された加熱温度との平均温度を、最終的な加熱温度としている。なお、この比率は、後述のように調整可能である。
【0121】
図20は、以上のようにして算出された加熱条件の設定値の表示画面例を示す図である。
【0122】
加熱条件として、加熱ゾーン1〜7までの上下ヒータの温度およびコンベア速度が表示される。なお、上下のファンの回転数は、この実施形態では、上述のように手動で設定される。
【0123】
この実施の形態では、加熱条件に加えて、指定した基板や部品について、決定された加熱条件の下で、予測される温度プロファイルが表示される。この温度プロファイルは、上述のように、合成比率x:y=1:1の場合の温度プロファイルである。この図20では、決定された加熱条件の下で、基板Board1上にある部品Aの端子と部品Bのボディ、および基板Board2上にある部品Cの端子の3箇所についての予測される温度プロファイルが表示されている。
【0124】
予測される温度プロファイルと管理基準の温度範囲や時間との比較結果を対比させて表示し、基準を逸脱する部分を、例えば、赤字で表示してユーザに警告することができる。また、温度プロファイルに管理基準の範囲を重ねて表示し、基準を逸脱する部分を一目瞭然にすることもできる。
【0125】
このように予測される温度プロファイルが、管理基準を逸脱する箇所があるような温度プロファイルである場合には、上述の合成比率であるx:yを調整する。
【0126】
フラットプロファイルは温度ばらつきΔTの低減に向いており、マイルドプロファイルは被加熱量、すなわち、熱損傷の低減に向いているので、目的に応じて合成比率を調整すればよい。なお、ΔTと被加熱量は、下記表1に示すように背反関係にある。
【0127】
【表1】
【0128】
この合成比率x:yを調整すると、予測される温度プロファイルの形状が調整されるとともに、加熱温度Tも調整されることになる。この合成比率x:yは、1:0あるいは0:1として一方の温度プロファイルのみを使用するようにしてもよい。
【0129】
フラットプロファイルとマイルドプロファイルの合成比率の調整のみでは、所望の温度プロファイルが得られない場合には、予熱ゾーンのマイルドプロファイルをシフトさせ、形状を変更して合成する方法がある。
【0130】
すなわち、図21に示すように、マイルドプロファイルで目標温度N℃とするゾーンを前方(図の左方)に、例えば1ゾーンシフトさせ、残りの予熱ゾーンをフラットプロファイルの設定手順と同様に温度設定して、フラットプロファイルとシフト後のマイルドプロファイルとを合成すると、被加熱量を抑えつつΔTを低減することが可能である。前方にシフトするゾーン数を多くすると、フラットプロファイルに近い形状となる。
【0131】
ここで、再び上述の図8のフローチャートを参照して、ステップn104,105において、予熱ゾーンのフラットプロファイルおよびマイルドプロファイルの加熱条件を算出した後、更に、ステップn106,107で本加熱ゾーンの加熱条件を上述のように算出し、ステップn108で両プロファイルを合成して加熱条件を算出する。この加熱条件が、管理基準を満足するか否かを判断し(ステップn109)、満足するものであれば、設定を終了し、満足しないときには、上述のようにプロファイルの合成比率を調整し(ステップn110)、管理基準を満足するときには、終了する。また、管理基準を満足しないときには、上述のようにマイルドプロファイルを、1ゾーン分シフトし(ステップn111,112)、フラットプロファイルよりも温度上昇が遅いか否かを判断し(ステップn113)、遅いときには、ステップn108に戻り、遅くないときには、管理基準を満足する加熱条件を設定することはできないとして、管理基準を満足しない基板/部品を分離して再設定を行う(ステップn114)。
【0132】
上述の実施形態では、加熱条件を決定し、決定された加熱条件の下で、指定された部品の温度プロファイルを予測したけれども、任意の加熱条件および予測対象の基板や部品を入力することにより、入力された加熱条件の下での基板や部品の温度プロファイルを予測することができる。温度プロファイルを予測する箇所は、加熱条件の決定の場合と同様に、同一基板上の同一面を対象とする場合に限らず、複数種類の基板の任意の面を対象として予測することができる。
【産業上の利用可能性】
【0133】
本発明は、電子部品の基板へのリフロー半田付けなどに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】リフロー炉の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る加熱条件設定装置のブロック図である。
【図3】基板に関するデータを登録する際の表示画面例を示す図である。
【図4】基板グループを登録する際の表示画面例を示す図である。
【図5】部品に関するデータを登録する際の表示画面例を示す図である。
【図6】リフロー炉に関するデータを登録する際の表示画面例を示す図である。
【図7】温度プロファイルの管理基準の登録の際の表示画面例を示す図である。
【図8】加熱条件の設定手順の全体の流れを示すフローチャートである。
【図9】加熱条件を設定するための入力画面例を示す図である。
【図10】予熱ゾーンのフラットプロファイルの加熱条件の算出の手順を示すフローチャートである。
【図11】予熱ゾーンのフラットプロファイルを示す図である
【図12】予熱ゾーンのマイルドプロファイルの加熱条件の算出の手順を示すフローチャートである。
【図13】予熱ゾーンのマイルドプロファイルを示す図である。
【図14】本加熱ゾーンが1ゾーンの場合の加熱条件の算出の手順を示すフローチャートである。
【図15】本加熱ゾーンが複数ゾーンの場合のフラットプロファイルの加熱条件の算出の手順を示すフローチャートである。
【図16】本加熱ゾーンが複数ゾーンの場合のフラットプロファイルを示す図である。
【図17】本加熱ゾーンが複数ゾーンの場合の他のフラットプロファイルを示す図である。
【図18】本加熱ゾーンが複数ゾーンの場合のマイルドプロファイルの加熱条件の算出の手順を示すフローチャートである。
【図19】本加熱ゾーンが複数ゾーンの場合のマイルドプロファイルを示す図である。
【図20】加熱条件の設定値および予測される温度プロファイルの表示画面例を示す図である。
【図21】マイルドプロファイルの形状変更を示す図である。
【符号の説明】
【0135】
1 リフロー炉
2 基板
4 搬送コンベア
5 熱源
6 加熱用ファン
7 冷却用ファン
8 加熱条件設定装置
9 基板/部品データベース
10 リフロー炉データベース
11 温度プロファイル管理基準データベース
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱炉内で加熱対象物を目標の温度プロファイルに従い加熱するに際して、該加熱対象物の加熱条件を決定する装置、方法およびプログラム、並びに、加熱条件から加熱対象物の温度プロファイルを予測する装置に関し、更に詳しくは、電子部品を基板に半田付けするリフロー半田付け装置の加熱条件の決定などに好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
リフロー半田付け装置は、熱輻射、熱風加熱、蒸気加熱、伝熱加熱等の各種の加熱方式に従い、加熱対象物であるプリント基板等の基板上に、クリーム半田等の半田で仮固定された電子部品を、加熱炉内で該クリーム半田を加熱して溶融することにより、接合固定する装置である。
【0003】
このリフロー半田付けを行う温度プロファイルにおいては、一般に、基板やこれに実装している電子部品を急激に加熱して熱損傷するおそれや半田付け不良を回避するなどの理由により、先ず基板を半田の溶融点以下の温度で予備加熱し、次いで、クリーム半田中のフラックス成分を十分機能させるため基板の温度を一定時間保持させるよう均一に加熱し、最後に基板を半田が溶融する温度以上でかつ基板や電子部品の耐熱限界温度を超えない温度の範囲で本加熱するようになっている。
【0004】
このような温度プロファイルでは、溶融点が低い錫鉛半田に代えて環境保護に好ましいが溶融点が高い鉛フリー半田が用いられてきているため、狭い温度範囲で基板の加熱制御を高精度に管理することが要求されるようになっている。 しかしながら、基板には、その材質、板厚が種々あり、また多層基板ではその層数、等により、熱容量等が相違し、また、電子部品においても、QFP(Quad Flat Package)や電解コンデンサ等、その部品その種類、サイズ等により、熱容量等が相違するなどにより、目標の温度プロファイルに従うように、加熱条件を決定するのは容易でない。
【0005】
従来では、基板に温度センサを取り付け、熟練した技術者が、経験と勘を頼りに目標の温度プロファイルが得られるまで、加熱条件を変更して繰り返し温度を実測して決定しており、このため、作業者が限定されるうえ、試行錯誤が必要なため、加熱条件の決定に時間がかかるとともに、基板の種類ごとに、同じ作業を繰り返さなければならないという課題がある。
【0006】
そこで、例えば、特許文献1や特許文献2には、コンピュータシミュレーションを用いる技術が開示されており、特許文献3のように、ファジイ推論によって加熱温度を設定する技術も提案されている。
【特許文献1】特開平11−201647号公報
【特許文献2】特開2002−232131号公報
【特許文献3】実公平7−39482号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1,2の技術はいずれも、ある1つの基板に対して加熱条件を入力して、コンピュータシミュレーションによって温度プロファイルを予測し、得られた結果が基準を満たすか否かを判定する方式であるため、コンピュータシミュレーションに関するスキルを必要とし、作業者が限定され、また、基板の種類ごとに、同じ作業を都度繰り返さなければならない。
【0008】
また、上記特許文献3のように、ファジイ推論によって加熱温度を設定する技術では、基板の種類ごとに、同じ作業を都度繰り返さなければならず、或る一定の温度以上に晒される時間について考慮されていないため、半田の融点以上となる時間が、良好なはんだ付けを得るために必要な時間以上であると保証できない。更に、部品が耐熱基準温度(例えば230℃)以上に晒される時間が、許容範囲内であると保証できないなどといった、品質面に関する課題がある。
【0009】
本発明は、上述のような点に鑑みて為されたものであって、専門知識やスキルを必要とすることなく、温度管理基準を満足する加熱条件を効率的に決定できるようにすることを目的とし、更に、複数種類の基板の加熱条件を同時に決定できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明の加熱条件決定装置は、加熱対象物を、加熱炉の複数の加熱ゾーン内を搬送して加熱する前記加熱炉の加熱条件を決定する装置であって、加熱条件を決定する加熱対象物を指定するための入力手段と、予めデータベースにそれぞれ登録された前記加熱対象物のデータ、前記加熱炉のデータ、および、温度プロファイルの管理基準のデータに基づいて、前記入力手段によって指定された加熱対象物の温度プロファイルが、前記管理基準内に収まるように、前記加熱炉の加熱条件を演算する演算手段とを備え、前記演算手段は、前記加熱ゾーンにおける加熱対象物の目標温度を算出する目標温度算出部と、前記加熱対象物が前記目標温度になるように、加熱ゾーンの加熱温度を算出する加熱温度算出部とを含んでいる。
【0011】
加熱対象物としては、例えば、電子部品が半田で仮固定された基板が好ましい。
【0012】
加熱炉の加熱ゾーンは、予備加熱を行う予熱ゾーンと本加熱を行う本加熱ゾーン(リフロゾーン)とを備えるのが好ましい。
【0013】
入力手段による加熱対象物の指定は、例えば、一種類の基板を指定してもよいし、複数種類の基板を指定してもよい。複数種類の基板を指定した場合には、複数種類の基板の温度プロファイルのいずれもが管理基準内に収まるように加熱条件が決定されることになり、この加熱条件は、複数種類の基板の混流生産が可能な加熱条件となる。
【0014】
また、加熱対象物のデータとして、基板のどの面を温度予測の対象とするかをデータベースに予め登録しておくことにより、基板の面を任意に指定できることになる。
【0015】
入力手段は、どの加熱対象物について加熱条件を決定するか、すなわち、加熱対象物の指定に加えて、どの加熱炉について加熱条件を決定するか、すなわち、使用する加熱炉の指定、および、加熱条件の決定に使用する温度プロファイルの管理基準の指定を行うのが好ましく、更に、加熱対象物が加熱炉で加熱される前の初期温度を指定するのが好ましい。
【0016】
加熱対象物のデータとしては、例えば、加熱対象物である基板や部品のタイプ、材質、比熱、密度、サイズ、厚さなどのデータが好ましい。また、基板のデータには、温度予測の対象とすべき面、その面において温度予測の対象とすべき部品のデータを含むのが好ましい。かかるデータを予め登録しておくことにより、基板が指定された場合には、該基板の温度予測の対象とすべき部品のすべてについて、温度プロファイルの管理基準内に収まるように、加熱条件が決定される。
【0017】
加熱炉のデータとしては、例えば、加熱ゾーンの数、ゾーンのサイズ、熱伝達の度合いを示す加熱特性値などのデータが好ましい。
【0018】
温度プロファイルの管理基準のデータとしては、例えば、予熱を行う加熱ゾーンにおける温度範囲、予熱時間、本加熱を行う加熱ゾーンにおける温度範囲、滞留時間、半田付け温度、半田付け必要時間などのデータが好ましい。
【0019】
演算手段は、加熱ゾーン内の加熱対象物の搬送速度を算出する搬送速度算出部を含む構成とし、加熱条件として、加熱対象物の搬送速度を算出するのが好ましが、ユーザが搬送速度を算出して、当該加熱条件決定装置に入力してもよい。
【0020】
搬送速度算出部では、リフロー滞留時間、冷却時間および本加熱(リフロー)ゾーンの長さに基づいて、加熱ゾーン内の加熱対象物の搬送速度を算出するのが好ましい。
【0021】
演算手段の目標温度算出部は、温度プロファイルの管理基準の上限温度あるいは下限温度、加熱前の初期温度および加熱対象物の搬送速度に基づいて、加熱対象物の温度が直線的に増加すると近似して、加熱ゾーンにおける加熱対象物の目標温度を算出するのが好ましい。この目標温度は、指定された加熱対象物について、温度予測の対象とすべき箇所の全てについて算出し、その最小値あるいは最大値を採用するのが好ましい。
【0022】
演算手段の加熱温度算出部は、加熱対象物が加熱ゾーンに搬入される際の初期温度と加熱ゾーンにおける加熱時間とに基づいて、加熱ゾーンの加熱温度を算出するのが好ましい。この加熱温度は、指定された加熱対象物について、温度予測の対象とすべき箇所の全てについて算出し、その最小値あるいは最大値を採用するのが好ましい。
【0023】
温度予測を加熱対象物全体に対して行うのではなく、予めデータベースに登録しておいた加熱対象物の任意の部位に限定して行うことで、演算手段による演算処理量を抑制することが可能となり、これによって、演算手段を構成するCPUの演算速度やメモリ容量を比較的小さなものとすることができる。
【0024】
加熱条件は、少なくとも加熱ゾーンの加熱温度を含み、更に、加熱ゾーン内の加熱対象物の搬送速度を含むのが好ましい。
【0025】
当該加熱条件決定装置で決定された加熱条件を、加熱炉を制御する制御装置に対して、通信等によって直接設定できるようにしてもよいし、あるいは、決定された加熱条件を表示部等に表示し、ユーザが、表示された加熱条件を前記制御装置に設定するようにしてもよい。
【0026】
加熱炉の性能や管理基準の内容などによって、指定された加熱対象物の温度プロファイルが、前記管理基準内に収まらない場合には、加熱対象のどの部分が、管理基準のどの基準に収まらないかを、表示部などに表示するのが好ましい。
【0027】
本発明の加熱条件決定装置によると、予め登録された加熱対象物のデータ、加熱炉のデータ、および、温度プロファイルの管理基準のデータに基づいて、指定された加熱対象物の温度プロファイルが、管理基準内に収まるように、加熱ゾーンにおける加熱対象物の目標温度を算出し、更に、加熱対象物の温度が目標温度になるように加熱ゾーンの加熱温度を算出するので、温度プロファイルの管理基準内に収まるように、加熱ゾーンの加熱温度、すなわち、加熱条件を決定することができる。
【0028】
(2)本発明の加熱条件決定装置の一つの実施形態では、前記目標温度算出部および加熱温度算出部は、複数種類の温度プロファイルにそれぞれ従って前記目標温度および前記加熱温度をそれぞれ算出するものであり、前記演算手段は、各種類の前記温度プロファイルにそれぞれ従って算出された各加熱温度を合成して最終的な加熱温度とする加熱温度合成部を、更に含むものである。
【0029】
加熱温度合成部では、合成の比率を調整できるようにするのが好ましく、その際、合成される温度プロファイルを、表示部等に表示できるようにするのが好ましい。
【0030】
この実施形態によると、各種類の温度プロファイルに従って加熱温度を算出できるとともに、各種類の温度プロファイルを合成して最終的な加熱温度を算出することができる。また、合成の比率を調整できるようにすることによって、管理基準内に温度プロファイルが収まらない場合に、合成比率を調整して、管理基準内に収まるように、加熱ゾーンの加熱温度、すなわち、加熱条件を修正することが可能となる。
【0031】
(3)上記(2)の実施形態では、前記複数種類が2種類であって、第1の種類の温度プロファイルを、急速に温度を立上げて、その後時間を掛けて温度を一定とする温度プロファイルとし、第2の種類の温度プロファイルを、温度上昇を均一にする温度プロファイルとしてもよい。
【0032】
第1の種類の温度プロファイルは、管理基準の上限に近い温度プロファイルとするのが好ましい。
【0033】
第1の種類の温度プロファイルは、温度のばらつきの低減に有効であり、第2の種類の温度プロファイルは、熱損傷の低減に有効であり、この実施形態では、各温度プロファイルの特性を有効に利用することができる。
【0034】
(4)本発明の加熱条件決定装置の他の一つの実施形態では、前記演算手段は、前記入力手段によって指定された複数の加熱対象物に対して加熱条件の演算を同時に行い、温度プロファイルが管理基準内に収まる前記複数の加熱対象物の一部または全部に対して、共通の加熱条件を決定することができる。
【0035】
この実施形態によると、指定された複数の加熱対象物の全部について、温度プロファイルの管理基準内に収まる共通の加熱条件を決定できる場合には、その共通の加熱条件によって複数の加熱対象物の全部を加熱することができ、また、指定された複数の加熱対象物の全部ではないがその一部について、温度プロファイルの管理基準内に収まる共通の加熱条件を決定できる場合には、その共通の加熱条件によって、複数の加熱対象物の一部を加熱することができる。
【0036】
これによって、複数の加熱対象物の一部または全部を、加熱条件を変えずに効率よく加熱することができる。
【0037】
(5)本発明の温度プロファイル予測装置は、加熱対象物を、加熱炉の複数の加熱ゾーン内を搬送させて加熱する前記加熱炉における前記加熱対象物の温度プロファイルを予測する装置であって、温度プロファイルを予測する加熱対象物を指定するとともに、前記加熱炉の加熱条件を入力するための入力手段と、前記加熱炉の加熱条件、予めデータベースにそれぞれ登録された前記加熱対象物のデータおよび前記加熱炉のデータに基づいて、指定された加熱対象物の温度プロファイルを演算する演算手段とを備え、前記加熱条件は、前記加熱ゾーンの加熱温度および前記加熱対象物の前記搬送速度を含むものである。
【0038】
加熱対象物のデータとしては、例えば、加熱対象物である基板や部品のタイプ、材質、比熱、密度、サイズ、厚さなどのデータが好ましい。
【0039】
加熱炉のデータとしては、加熱ゾーンの数、ゾーンのサイズ、加熱特性値などのデータが好ましい。
【0040】
本発明の温度プロファイル予測装置によると、入力手段で指定した加熱条件、加熱対象物のデータおよび加熱炉のデータに基づいて、指定された加熱対象物の温度プロファイルを演算して予測することができる。
【0041】
(6)本発明の加熱条件決定方法は、加熱対象物を、加熱炉の複数の加熱ゾーン内を搬送させて加熱する前記加熱炉の加熱条件を決定する方法であって、前記加熱対象物のデータ、前記加熱炉のデータ、および、温度プロファイルの管理基準のデータが、予め登録されたデータベースの前記データに基づいて、指定された加熱対象物の温度プロファイルが、前記管理基準内に収まるように、前記加熱炉の加熱条件を演算する演算ステップを備え、前記演算ステップは、前記加熱ゾーンにおける加熱対象物の目標温度を算出する目標温度算出ステップと、前記加熱対象物が前記目標温度になるように、加熱ゾーンの加熱温度を算出する加熱温度算出ステップとを含むものである。
【0042】
本発明の加熱条件決定方法によると、予め登録された加熱対象物のデータ、加熱炉のデータ、および、温度プロファイルの管理基準のデータに基づいて、指定された加熱対象物の温度プロファイルが、管理基準内に収まるように、加熱ゾーンにおける加熱対象物の目標温度を算出し、更に、目標温度になるように加熱ゾーンの加熱温度を算出するので、温度プロファイルの管理基準内に収まるように、加熱条件を決定することができる。
【0043】
(7)本発明のプログラムは、加熱対象物を、加熱炉の複数の加熱ゾーン内を搬送させて加熱する前記加熱炉の加熱条件を決定する方法に用いるプログラムであって、前記加熱対象物のデータ、前記加熱炉のデータ、および、温度プロファイルの管理基準のデータが、予め登録されたデータベースの前記データに基づいて、指定された加熱対象物の温度プロファイルが、前記管理基準内に収まるように、前記加熱炉の加熱条件を演算する手順をコンピュータに実行させるプログラムであって、前記演算する手順が、前記加熱ゾーンにおける加熱対象物の目標温度を算出する手順と、前記加熱対象物が前記目標温度になるように、加熱ゾーンの加熱温度を算出する手順とを含むものである。
【0044】
本発明のプログラムは、コンピュータに読み取り可能な記録媒体、例えばフレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等に記録してもよい。
【0045】
本発明のプログラムによると、当該プログラムをコンピュータに実行させることにより、予め登録された加熱対象物のデータ、加熱炉のデータ、および、温度プロファイルの管理基準のデータに基づいて、指定された加熱対象物の温度プロファイルが、管理基準内に収まるように、加熱ゾーンにおける加熱対象物の目標温度を算出し、更に、目標温度になるように加熱ゾーンの加熱温度を算出するので、温度プロファイルの管理基準内に収まるように、加熱条件を決定することができる。
【発明の効果】
【0046】
本発明によれば、予め登録された加熱対象物のデータ、加熱炉のデータ、および、温度プロファイルの管理基準のデータに基づいて、指定された加熱対象物の温度プロファイルが、管理基準内に収まるように、加熱ゾーンにおける加熱対象物の目標温度を算出し、更に、加熱対象物の温度が目標温度になるように加熱ゾーンの加熱温度を算出するので、温度プロファイルの管理基準内に収まるように、加熱条件を決定することができる。
【0047】
また、本発明によれば、指定した加熱条件、加熱対象物のデータおよび加熱炉のデータに基づいて、指定された加熱対象物の温度プロファイルを演算して予測することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
以下、図面によって、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
【0049】
図1は、加熱炉としてのリフロー炉の概略構成図である。
【0050】
このリフロー炉1は、電子部品がマウントされた基板2を、筐体3の内部に搬送する搬送コンベア4と、搬送される基板2に対して、予備加熱を行う6つの予熱ゾーンZ1〜Z6と、半田が溶融する温度以上に本加熱する1つ本加熱ゾーン(リフロゾーン)Z7と、1つの冷却ゾーンZ8とを備えている。
【0051】
予熱ゾーンZ1〜Z6および本加熱ゾーンZ7には、それぞれ上下に赤外線ヒータや熱風ヒータ等の熱源5および加熱用ファン6が設けられ、冷却ゾーンZ8には、上方に冷却用ファン7が設けられている。
【0052】
基板2には、クリーム半田が印刷され、その上に電子部品がマウントされており、この基板2を搬送コンベア4によって、予熱ゾーンZ1〜Z6、本加熱ゾーンZ7、および、冷却ゾーンZ8へと順次搬送することで電子部品を基板2に半田付けする。
【0053】
かかるリフロー炉1では、図示しない制御装置によって、各ゾーンZ1〜Z7の加熱温度、搬送コンベア4のコンベア速度、各ファン6,7の風量等の加熱条件が制御される。かかる制御装置に対して、温度プロファイルの管理基準に従った温度制御を行えるように、加熱条件を設定する必要がある。
【0054】
図2は、図1のリフロー炉1を制御する制御装置に対して、加熱条件を決定して通信等で設定する加熱条件設定装置8の概略構成図である。
【0055】
この実施形態の加熱条件設定装置8は、パーソナルコンピュータによって構成されており、この加熱条件設定装置8の、例えばハードディスク装置には、加熱対象物である基板および部品のデータ、リフロー炉のデータ、および、温度プロファイルの管理基準のデータが、基板/部品データベース9、リフロー炉データベース10、および、温度プロファイル管理基準データベース11として予め登録されている。
【0056】
また、この加熱条件設定装置8は、各データベース9〜11のデータを処理して加熱条件を決定するとともに、全体を制御するCPU12と、RAM13と、ROM14とを備えており、CPU12、RAM13およびROM14によって、加熱条件を決定するための所要の演算を行う演算手段が構成され、後述のように、搬送コンベアの速度、各ゾーンZ1〜Z7における加熱対象物の目標温度、目標温度にするための加熱温度などの算出が行われる。
【0057】
この加熱条件設定装置8は、更に、加熱条件を求める加熱対象物の指定などを行うキーボードやマウス等の入力装置15、および、求められた加熱条件や予測される温度プロファイルなどを表示する液晶ディスプレイ等の表示装置16を備えている。
【0058】
基板/部品データベース9には、基板に関するデータとして、基板の材質(比熱・密度)、厚さ、層数、部品実装位置などのデータが格納され、部品に関するデータとして、部品の種類、サイズ、比熱、密度、温度予測対象部位(ボディor端子)などのデータが格納されている。
【0059】
図3は、基板に関するデータを登録する際の表示装置16の表示画面例を示す図である。基板に関するデータとしては、この図3に示すように、基板の形式、基板名、FR−4やCEM−3といった材質、長さ、幅、板厚、層数、A面に実装される部品の内で温度予測の対象とすべき部品の数(A面部品)、B面に実装される部品の内で温度予測の対象とすべき部品の数(B面部品)がある。なお、図3には示されていないが、基板の材質については、その比熱、熱伝導率、密度等のデータも登録される。
【0060】
更に、基板に関するデータとしては、図3に示すように、A面およびB面の温度予測の対象とすべき各部品についての部品リスト(A面部品リスト、B面部品リスト)として、QFPやSOPといった部品のタイプ、部品名、部品の位置、端子やボディといった部位、端子の位置がある。
【0061】
このように基板のデータとして、温度予測の対象とすべき部品が予め登録されているので、基板を指定して加熱条件を決定する場合には、指定された基板の温度予測の対象とすべき部品の全てについて、温度プロファイルの管理基準内に収まるように、加熱条件が決定される。
【0062】
また、基板は、図4の基板グループを登録する際の表示画面例に示すように、グループとして登録することができ、例えば、一種類の基板を基板グループとして登録することもできるし、複数種類の基板を組み合わせて基板グループとして登録することもできる。更に、基板の温度予測の対象面としてA面、B面を登録することができる。
【0063】
したがって、例えば、複数種類の基板を基板グループとして登録しておき、その基板グループを指定して加熱条件を決定すれば、前記複数種類の基板のいずれも温度プロファイルの管理基準内に収まるように加熱条件が決定されることになる。すなわち、複数種類の基板の混流生産が可能な加熱条件を決定できることになる。
【0064】
なお、リフロー炉の性能や管理基準によっては、複数種類、例えば、3種類の基板の全てが管理基準内に収まる加熱条件を決定できない場合には、後述のように、管理基準内に収まらない箇所および収まらない管理基準の項目を表示装置16に表示できる。
【0065】
この場合、例えば、3種類の基板の内の1種類の基板が、管理基準に収まらず、残りの2種類の基板が、管理基準内に収まる共通の加熱条件を決定できる場合には、この2種類の基板について、共通の加熱条件を決定し、前記1種類の基板については、管理基準内に収まらない箇所や管理基準の項目を表示することができる。
【0066】
これによって、管理基準内に収まらない1種類の基板のみを分離し、2種類の基板については、決定された共通の加熱条件を設定して加熱することができる。
【0067】
このように複数の加熱対象物が指定された場合には、少なくともその一部の加熱対象物について、温度プロファイルの管理基準内に収まる共通の加熱条件を決定できる場合には、その加熱条件を決定し、管理基準内に収まらない加熱対象物を表示することができる。
【0068】
図5は、例えば、部品に関するデータを登録する際の表示画面例を示すものである。部品の関するデータとして、部品名、タイプ、サイズなどのデータがある。なお、図5には示されていないが、各タイプについて、比熱、密度、形状等のデータが登録されている。
【0069】
リフロー炉データベース10には、図6の登録の際の表示画面例に示すように、加熱ゾーンおよび冷却ゾーンの数、ゾーンのサイズ、ファンの回転数、初期温度のデータが格納される。また、図6には、示されていないが、リフロー炉データベース10には、熱伝達率を示す加熱特性値などのデータも格納される。また、加熱ゾーンについては、更に、予熱ゾーンと本加熱(リフロー)ゾーンとが区別されている。
【0070】
温度プロファイル管理基準データベース11には、図7の温度プロファイルの管理基準の登録の際の表示画面例に示すように、予熱温度範囲、予熱時間、リフロー温度範囲、リフロー滞留許容時間、温度勾配などのデータが格納される。また、図7には示されていないが、温度プロファイル管理基準データベース11には、はんだ付け温度、はんだ付け必要時間のデータも格納される。
【0071】
この実施の形態の加熱条件設定装置8では、次のような手順で加熱条件を決定して、リフロー炉の制御装置に対して加熱条件を設定する。
【0072】
図8は、加熱条件の設定手順の全体の流れを示すフローチャートである。
【0073】
先ず、ユーザは、表示装置16に表示される、例えば図9に示す入力画面に基づいて、入力装置15を操作して、加熱条件を求めたい対象基板グループ、使用するリフロー炉、および、温度プロファイルの管理基準(基準プロファイル)を選択する(ステップn101)。対象基板グループは、上述の図4に示すように一種類の基板として登録されている基板グループであってもよいし、複数種類の基板からなる基板グループなどであってもよい。
【0074】
次に、リフロー炉の風速(ファン回転数)および初期温度を設定する(ステップn102)。風速は、予測できない部品の飛びや位置ズレに影響するため、この実施の形態では、手動設定としており、上述の図6に示すように、L、M、Hの3段階で設定するようにしている。初期温度として、例えば、室温が設定される。
【0075】
次に、加熱条件設定装置8では、以上の設定に基づいて、搬送コンベア4の速度を算出する(ステップn103)。搬送コンベアの速度は、リフロー炉の本加熱ゾーンの滞留許容時間を超えないように、冷却時間を考慮して、例えば、次式に従って算出する。
【0076】
搬送コンベア速度=本加熱ゾーンの長さ/(滞留時間−冷却時間)
冷却時間は、例えば一律10sというように固定値としてもよい。また、冷却温度勾配を測定などによって求めておいた上で、次式に従って決定してもよい。
【0077】
冷却時間(s)={リフロピーク温度P(℃)−はんだ付け温度Q(℃)}/冷却温度勾配(−℃/s)
この実施の形態では、予熱ゾーンの加熱条件は、2種類の温度プロファイルを算出し、それらを合成して決定するようにしている。
【0078】
2種類の温度プロファイルの内の一方の温度プロファイルは、管理基準の上限まで急速に立上げ、その後時間を掛けて温度均一化を狙うものであり、フラットプロファイルという。このフラットプロファイルは、管理基準の上限温度のぎりぎりを狙うものである。
【0079】
他方の温度プロファイルは、均一な温度上昇を狙うものであり、マイルドプロファイルという。
【0080】
以下、予熱ゾーンのフラットプロファイルの加熱条件および予熱ゾーンのマイルドプロファイルの加熱条件をそれぞれ算出する(ステップn104,105)。
【0081】
図10は、予熱ゾーンのフラットプロファイルの加熱条件の算出の手順を示すフローチャートであり、図11は、予熱ゾーンのフラットプロファイルを示す図である。なお、図11においては、上述の図1のリフロー炉1に対応しており、横軸の時間軸には、対応する各ゾーンZ1〜Z8を併せて示しており、縦の太い実線が、最終の予熱ゾーンZ6と、本加熱(リフロー)ゾーンZ7との境界を示している。
【0082】
また、図11において、Rはリフロー(本加熱)温度上限、Pは半田付けピーク温度下限、Qは半田付け温度、Nは予熱温度上限、Mは予熱終了温度下限、Lは予熱温度下限、t1はリフロー滞留許容時間、t2は半田付け必要時間、Oは加熱開始点である。また、破線A−Bは、予熱部上限の温度管理基準を、破線C−Dは、予熱部下限の温度管理基準をそれぞれ示している。また、図11では、二つの温度プロファイルによって、温度予測する加熱対象物の予測温度のばらつき幅の例を示している。
【0083】
先ず、予熱部上限の温度プロファイルの管理基準A−Bの開始点Aが、6つの予熱ゾーンZ1〜Z6のどのゾーンに属するかを算出する。具体的には、上述の搬送コンベア速度と各予熱ゾーンZ1〜Z6の長さに基づいて、予熱ゾーンZ1〜Z6による予熱終了時から逆算して算出する。例えば、予熱滞留時間の上限が2.5min、搬送コンベア速度が1.0m/min、各予熱ゾーンZ1〜Z6の長さが0.6m、予熱終了が第6の予熱ゾーンZ6の場合、6−2.5/1/0.6=1.83であるから、小数点以下を切り上げて開始点Aは第2の予熱ゾーンZ2に属することになる。
【0084】
部品温度が初期温度から上限管理基準A−Bの開始点Aの温度L℃まで直線的に増加すると近似して、第1の予熱ゾーンZ1終了時の目標温度を求める。開始点Aが第3の予熱ゾーンZ3以降になる場合は、同様に開始点Aの直前の予熱ゾーンまで、予熱ゾーン終了時の目標温度を求める。この場合の目標温度は、超えてはならない上限である。
【0085】
第1の予熱ゾーンZ1について、温度予測する全部品を対象に、第1の予熱ゾーンZ1終了時の温度が目標温度となる加熱温度を、初期温度と加熱時間とから算出し、その内最低のものを第1の予熱ゾーンZ1の加熱温度とする。例えば、対象がa・b・cの3部品で、aの加熱温度が120℃、bの加熱温度が130℃、cの加熱温度が110℃となった場合、加熱温度はこれらの内で最小の110℃とすれば、全ての部品が目標温度以下となる。
【0086】
この加熱温度の算出の際には、温度予測の対象とする部品が、近傍の他の部品の熱容量および位置関係(実装面や距離)から、どの程度の温度低下をもたらすかを予め数式化してデータベースに登録しておくことにより、より正確に対象とする部品の温度予測が可能になる。
【0087】
開始点Aが第3の予熱ゾーンZ3以降になる場合は、同様に開始点Aの直前の予熱ゾーンまで加熱温度を求める。なお、第2の予熱ゾーンZ2以降については、直前の予熱ゾーン終了時の温度を初期温度とする。
【0088】
開始点Aを含む予熱ゾーンについて、温度予測の対象とすべき全部品を対象に、開始点Aを通るゾーン終了時の温度が目標温度となるように加熱温度を算出し、そのうち最小のものを加熱温度とする。ただし、ゾーン終了時にN℃を超える場合は、ゾーン終了時に目標温度N℃となる加熱温度を算出し、そのうち最小のものを加熱温度とする。
【0089】
以後、予熱終了ゾーンまで、温度予測する全部品を対象に、ゾーン終了時に予熱温度上限のN℃となる加熱温度を算出し、そのうち最低のものを加熱温度とする。
【0090】
以上の手順が、上述の図10のフローチャートに示されており、上限管理基準A−Bの開始点Aが属する予熱ゾーンnを算出し(ステップn201)、予熱ゾーンnまでの各ゾーン終了時の目標温度を、加熱開始点Oと上限管理基準A−Bの開始点Aとを通る直線で近似して設定し(ステップn202)、温度予測対象箇所全てについて、前記目標温度になるように、予熱ゾーンn−1までの各ゾーンの加熱温度を算出し、その内の最小値を採用する(ステップn203)。
【0091】
次に、予熱ゾーンn終了時の目標温度Tnが、予熱温度上限のN℃以下であるか否かを判断し(ステップn204)、N℃以下であるときには、温度予測対象箇所全てについて、目標温度Tnになるように、予熱ゾーンnの加熱温度を算出し、その内の最小値を採用する(ステップn206)。ステップn204において、N℃以下でないときには、目標温度TnをN℃としてステップn205に移る(ステップn208)。
【0092】
以後は、予熱ゾーンn+1から予熱終了までの各ゾーンの終了時の目標温度をN℃に設定し(ステップn206)、温度予測対象箇所全てについて、目標温度N℃になるように、各ゾーンの加熱温度を算出し、その内の最小値を採用して(ステップn207)、終了する。
【0093】
図12は、予熱ゾーンのマイルドプロファイルの加熱条件の算出の手順を示すフローチャートであり、図13は、予熱ゾーンのマイルドプロファイルを示す図である。
予熱ゾーン終了時の目標温度を、予熱温度上限のN℃とする(ステップn301)。
【0094】
部品温度が初期温度から直線的に増加すると近似して、各予熱ゾーン終了時の目標温度を設定する(ステップn302)。例えば、予熱終了が第6の予熱ゾーンZ6、初期温度25℃、N=180℃の場合、第1の予熱ゾーンZ1終了時の目標温度は、25+(180−25)×1/6=50.8℃となる。この場合の目標温度も、超えてはならない上限である。
【0095】
予熱におけるフラットプロファイルの設定手順と同様に、温度予測する全部品を対象に、各予熱ゾーン終了時の温度が目標温度となる加熱温度を、初期温度と加熱時間とから算出し、その内最小のものを各予熱ゾーンの加熱温度とする(ステップn303)。
【0096】
なお、他の実施形態として、温度上昇勾配の許容範囲(特に上限)を設けておき、目標温度までの温度上昇勾配が許容範囲内にない場合は、温度勾配を上限値とした場合にゾーン終了時に到達する温度を、新たな目標温度として設定するようにしてもよい。
【0097】
次に、本加熱ゾーンの加熱条件を算出する。
【0098】
この本加熱ゾーンの加熱条件の算出は、本加熱ゾーンが1ゾーンの場合と複数ゾーンの場合とで異なり、複数ゾーンの場合は、予熱と同様にフラットプロファイルとマイルドプロファイルの2種類のプロファイルを形成し、任意の比率で合成して決定することが可能である。
【0099】
先ず、本加熱ゾーンが1ゾーンの場合について、図14のフローチャートおよび上述の図11の温度プロファイルに基づいて説明する。
【0100】
なお、図11において、予備加熱後の台形状の太い実線E−Fは、リフロー部上限の温度管理基準を示し、三角状の太い実線G−Hは、リフロー部下限の温度管理基準をそれぞれ示している。
【0101】
先ず、リフロー(本加熱ゾーン)終了時の目標温度を、はんだ付けピーク温度下限のP℃に設定し(ステップn401)、全はんだ付け部を対象に、目標温度P℃となる加熱温度を求め、その内の最大のものを加熱温度とする(ステップn402)。例えば、対象がa・b・cの3部品で、aの加熱温度が240℃、bの加熱温度が250℃、Cの加熱温度が230℃となった場合、加熱温度をこれらの内で最大の250℃とすると、全はんだ付け部がP℃以上となる。
【0102】
はんだ付け必要時間t2を満足しない部分がある場合(ステップn403)、加熱温度を、例えば1℃ずつ上げて最もはんだ付け時間が短い部分を再計算し(ステップn404,405)、t2を満足した時点の温度を加熱温度として終了する。
【0103】
次に、本加熱ゾーンが複数ゾーンの場合について、説明する。この場合は、予備加熱と同様に、フラットプロファイルとマイルドプロファイルとを合成する。
【0104】
先ず、本加熱ゾーンが複数である場合のフラットプロファイルの加熱条件の算出の手順を、図15のフローチャートおよび図16の温度プロファイルに基づいて説明する。図16では、本加熱ゾーンが2ゾーンの例を示している。
【0105】
上限の温度管理基準E−Fの開始点E点が本加熱ゾーンの何ゾーン目になるかを、搬送コンベアの速度と各ゾーンの長さに基づいて、本加熱ゾーン終了と同時に冷却が始まるものとして算出する。例えば、リフロー滞留許容時間t1が50s、冷却時間t3が10s、コンベア速度が1.0m/min、各ゾーンの長さが0.6m、本加熱ゾーンが2ゾーンの場合、2−(50−10)/60/1/0.6=0.88であるから、小数点以下を切り上げて開始点Eは、本加熱1ゾーン目となる。
【0106】
開始点E点が、本加熱2ゾーン目以降になる場合は、部品温度がリフロー開始温度からE点の温度Q℃まで直線的に増加すると近似して、開始点Eの直前のゾーンまで、終了時の目標温度を求める。この場合の目標温度は、超えてはならない上限である。
【0107】
開始点Eが本加熱2ゾーン目以降の場合、それ以前の各本加熱ゾーンについて、温度予測する全部品を対象に、ゾーン終了時の温度が目標温度となる加熱温度を、初期温度と加熱時間から算出し、その内の最小のものを加熱温度とする。
【0108】
開始点Eを含む本加熱ゾーンについて、温度予測する全部品を対象に、開始点Eを通る加熱温度を算出し、その内の最小のものを加熱温度とする。ただし、ゾーン終了時にリフロー温度上限のR℃を超える場合は、終了時にR℃となる加熱温度を算出し、その内の最小のものを加熱温度とする。
【0109】
以後本加熱終了ゾーンまで、温度プロファイルを算出する全はんだ付け部を対象に、ゾーン終了時にはんだ付けピーク温度下限のP℃となる加熱温度を算出し、その内の最大のものを加熱温度とする。例えば、対象がa・b・cの3部品で、aの加熱温度が240℃、bの加熱温度が250℃、cの加熱温度が230℃となった場合、加熱温度をこれらの内で最大の250℃とすると、全はんだ付け部がP℃以上となる。
【0110】
以上の手順が、上述の図15のフローチャートに示されており、上限の温度管理基準E−Fの開始点E点が属する本加熱ゾーンmを算出し(ステップn501)、本加熱ゾーンmまでの各ゾーン終了時間目標温度をリフロー開始点と上限の温度管理基準E−Fの開始点Eを通る直線で近似して設定し(ステップn502)、温度予測対象箇所全てについて、前記目標温度になるように、本加熱ゾーンm−1までの各ゾーンの加熱温度を算出し、その内の最小値を採用する(ステップn503)。
【0111】
次に、本加熱ゾーンm終了時の目標温度Tmが、リフロー温度上限のR℃以下であるか否かを判断し(ステップn504)、R℃以下であるときには、温度予測対象箇所全てについて、目標温度Tmになるように、本加熱ゾーンmの加熱温度を算出し、その内の最小値を採用する(ステップn505)。ステップn504において、R℃以下でないときには、目標温度をR℃としてステップn505に移る(ステップn508)。
【0112】
以後は、本加熱ゾーンm+1から本加熱終了までの各ゾーンの終了時の目標温度をP℃に設定し(ステップn506)、半田付け対象箇所全てについて、目標温度P℃になるように、各ゾーンの加熱温度を算出し、その内の最大値を採用して(ステップn507)、終了する。
【0113】
なお、開始点Eを含む本加熱ゾーンまでと、その次以降の本加熱ゾーンとでは、基準となる対象が異なる、すなわち、温度予測する全部品と全はんだ付け部とで対象が異なるため、加熱温度がそれ以前の本加熱ゾーンよりも低下する場合があり、図16のように全部品が一律に温度上昇するとは限らず、図17のように一部温度の高い部品で、リフロー後半に温度が下がる場合がある。典型的な例は、ここまでの過程で全はんだ付け部がP℃以上に達している場合である。
【0114】
次に、本加熱ゾーンが複数の場合のマイルドプロファイルの加熱条件の算出について、図18のフローチャートおよび図19の温度プロファイルに基づいて説明する。
【0115】
本加熱終了時の目標温度を、はんだ付けピーク温度下限のP℃とする(ステップn601)。
【0116】
部品温度がリフロー開始温度から直線的に増加すると近似して、各本加熱ゾーン終了時の目標温度を設定する(ステップn602)。例えば、本加熱2ゾーンで初期温度180℃、P=245℃の場合、本加熱1ゾーン目終了時の目標温度は、180+(245−180)×1/2=212.5℃となる。この場合の目標温度は、下回ってはならない下限である。
【0117】
本加熱におけるフラットプロファイルの設定手順と同様に、半田付け部全てを対象に、各本加熱ゾーン終了時の温度が目標温度となる加熱温度を算出し、その内の最大のものを各本加熱ゾーンの加熱温度とする(ステップn603)。
【0118】
半田付け必要時間t2を満足しない部分がある場合、全体の加熱温度を1℃ずつ上げて最も半田付け時間が短い部分を再計算し(ステップn606,605)、t2を満足した時点の温度を加熱温度とする(ステップn604)。
【0119】
次に、フラットプロファイルとマイルドプロファイルの合成について説明する。 フラットプロファイルとマイルドプロファイルを任意の比率で合成して、最終的なプロファイル形状と加熱条件を決定する。リフロゾーンまで含めた任意のゾーンにおいて、フラットプロファイルの加熱温度をT1、マイルドプロファイルの加熱温度をT2、合成比率をx:yとすると、最終的な加熱温度Tは以下の式で求められる。
【0120】
T=(T1x+T2y)/(x+y)
通常は、x:y=1:1としており、フラットプロファイルで算出された加熱温度と、マイルドプロファイルで算出された加熱温度との平均温度を、最終的な加熱温度としている。なお、この比率は、後述のように調整可能である。
【0121】
図20は、以上のようにして算出された加熱条件の設定値の表示画面例を示す図である。
【0122】
加熱条件として、加熱ゾーン1〜7までの上下ヒータの温度およびコンベア速度が表示される。なお、上下のファンの回転数は、この実施形態では、上述のように手動で設定される。
【0123】
この実施の形態では、加熱条件に加えて、指定した基板や部品について、決定された加熱条件の下で、予測される温度プロファイルが表示される。この温度プロファイルは、上述のように、合成比率x:y=1:1の場合の温度プロファイルである。この図20では、決定された加熱条件の下で、基板Board1上にある部品Aの端子と部品Bのボディ、および基板Board2上にある部品Cの端子の3箇所についての予測される温度プロファイルが表示されている。
【0124】
予測される温度プロファイルと管理基準の温度範囲や時間との比較結果を対比させて表示し、基準を逸脱する部分を、例えば、赤字で表示してユーザに警告することができる。また、温度プロファイルに管理基準の範囲を重ねて表示し、基準を逸脱する部分を一目瞭然にすることもできる。
【0125】
このように予測される温度プロファイルが、管理基準を逸脱する箇所があるような温度プロファイルである場合には、上述の合成比率であるx:yを調整する。
【0126】
フラットプロファイルは温度ばらつきΔTの低減に向いており、マイルドプロファイルは被加熱量、すなわち、熱損傷の低減に向いているので、目的に応じて合成比率を調整すればよい。なお、ΔTと被加熱量は、下記表1に示すように背反関係にある。
【0127】
【表1】
【0128】
この合成比率x:yを調整すると、予測される温度プロファイルの形状が調整されるとともに、加熱温度Tも調整されることになる。この合成比率x:yは、1:0あるいは0:1として一方の温度プロファイルのみを使用するようにしてもよい。
【0129】
フラットプロファイルとマイルドプロファイルの合成比率の調整のみでは、所望の温度プロファイルが得られない場合には、予熱ゾーンのマイルドプロファイルをシフトさせ、形状を変更して合成する方法がある。
【0130】
すなわち、図21に示すように、マイルドプロファイルで目標温度N℃とするゾーンを前方(図の左方)に、例えば1ゾーンシフトさせ、残りの予熱ゾーンをフラットプロファイルの設定手順と同様に温度設定して、フラットプロファイルとシフト後のマイルドプロファイルとを合成すると、被加熱量を抑えつつΔTを低減することが可能である。前方にシフトするゾーン数を多くすると、フラットプロファイルに近い形状となる。
【0131】
ここで、再び上述の図8のフローチャートを参照して、ステップn104,105において、予熱ゾーンのフラットプロファイルおよびマイルドプロファイルの加熱条件を算出した後、更に、ステップn106,107で本加熱ゾーンの加熱条件を上述のように算出し、ステップn108で両プロファイルを合成して加熱条件を算出する。この加熱条件が、管理基準を満足するか否かを判断し(ステップn109)、満足するものであれば、設定を終了し、満足しないときには、上述のようにプロファイルの合成比率を調整し(ステップn110)、管理基準を満足するときには、終了する。また、管理基準を満足しないときには、上述のようにマイルドプロファイルを、1ゾーン分シフトし(ステップn111,112)、フラットプロファイルよりも温度上昇が遅いか否かを判断し(ステップn113)、遅いときには、ステップn108に戻り、遅くないときには、管理基準を満足する加熱条件を設定することはできないとして、管理基準を満足しない基板/部品を分離して再設定を行う(ステップn114)。
【0132】
上述の実施形態では、加熱条件を決定し、決定された加熱条件の下で、指定された部品の温度プロファイルを予測したけれども、任意の加熱条件および予測対象の基板や部品を入力することにより、入力された加熱条件の下での基板や部品の温度プロファイルを予測することができる。温度プロファイルを予測する箇所は、加熱条件の決定の場合と同様に、同一基板上の同一面を対象とする場合に限らず、複数種類の基板の任意の面を対象として予測することができる。
【産業上の利用可能性】
【0133】
本発明は、電子部品の基板へのリフロー半田付けなどに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】リフロー炉の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る加熱条件設定装置のブロック図である。
【図3】基板に関するデータを登録する際の表示画面例を示す図である。
【図4】基板グループを登録する際の表示画面例を示す図である。
【図5】部品に関するデータを登録する際の表示画面例を示す図である。
【図6】リフロー炉に関するデータを登録する際の表示画面例を示す図である。
【図7】温度プロファイルの管理基準の登録の際の表示画面例を示す図である。
【図8】加熱条件の設定手順の全体の流れを示すフローチャートである。
【図9】加熱条件を設定するための入力画面例を示す図である。
【図10】予熱ゾーンのフラットプロファイルの加熱条件の算出の手順を示すフローチャートである。
【図11】予熱ゾーンのフラットプロファイルを示す図である
【図12】予熱ゾーンのマイルドプロファイルの加熱条件の算出の手順を示すフローチャートである。
【図13】予熱ゾーンのマイルドプロファイルを示す図である。
【図14】本加熱ゾーンが1ゾーンの場合の加熱条件の算出の手順を示すフローチャートである。
【図15】本加熱ゾーンが複数ゾーンの場合のフラットプロファイルの加熱条件の算出の手順を示すフローチャートである。
【図16】本加熱ゾーンが複数ゾーンの場合のフラットプロファイルを示す図である。
【図17】本加熱ゾーンが複数ゾーンの場合の他のフラットプロファイルを示す図である。
【図18】本加熱ゾーンが複数ゾーンの場合のマイルドプロファイルの加熱条件の算出の手順を示すフローチャートである。
【図19】本加熱ゾーンが複数ゾーンの場合のマイルドプロファイルを示す図である。
【図20】加熱条件の設定値および予測される温度プロファイルの表示画面例を示す図である。
【図21】マイルドプロファイルの形状変更を示す図である。
【符号の説明】
【0135】
1 リフロー炉
2 基板
4 搬送コンベア
5 熱源
6 加熱用ファン
7 冷却用ファン
8 加熱条件設定装置
9 基板/部品データベース
10 リフロー炉データベース
11 温度プロファイル管理基準データベース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱対象物を、加熱炉の複数の加熱ゾーン内を搬送して加熱する前記加熱炉の加熱条件を決定する装置であって、
加熱条件を決定する加熱対象物を指定するための入力手段と、
予めデータベースにそれぞれ登録された前記加熱対象物のデータ、前記加熱炉のデータ、および、温度プロファイルの管理基準のデータに基づいて、前記入力手段によって指定された加熱対象物の温度プロファイルが、前記管理基準内に収まるように、前記加熱炉の加熱条件を演算する演算手段とを備え、
前記演算手段は、前記加熱ゾーンにおける加熱対象物の目標温度を算出する目標温度算出部と、前記加熱対象物が前記目標温度になるように、加熱ゾーンの加熱温度を算出する加熱温度算出部とを含むことを特徴とする加熱条件決定装置。
【請求項2】
前記目標温度算出部および加熱温度算出部は、複数種類の温度プロファイルにそれぞれ従って前記目標温度および前記加熱温度をそれぞれ算出するものであり、
前記演算手段は、各種類の前記温度プロファイルにそれぞれ従って算出された各加熱温度を合成して最終的な加熱温度とする加熱温度合成部を、更に含む請求項1に記載の加熱条件決定装置。
【請求項3】
前記複数種類が2種類であって、第1の種類の温度プロファイルが、急速に温度を立上げて、その後時間を掛けて温度を一定とする温度プロファイルであり、第2の種類の温度プロファイルが、温度上昇を均一にする温度プロファイルである請求項2に記載の加熱条件決定装置。
【請求項4】
前記演算手段は、前記入力手段によって指定された複数の加熱対象物に対して加熱条件の演算を同時に行い、前記複数の加熱対象物の一部または全部に対して共通の加熱条件を算出できる、請求項1に記載の加熱条件決定装置。
【請求項5】
加熱対象物を、加熱炉の複数の加熱ゾーン内を搬送させて加熱する前記加熱炉における前記加熱対象物の温度プロファイルを予測する装置であって、
温度プロファイルを予測する加熱対象物を指定するとともに、前記加熱炉の加熱条件を入力するための入力手段と、
前記加熱炉の加熱条件、予めデータベースにそれぞれ登録された前記加熱対象物のデータおよび前記加熱炉のデータに基づいて、指定された加熱対象物の温度プロファイルを演算する演算手段とを備え、
前記加熱条件は、前記加熱ゾーンの加熱温度および前記加熱対象物の前記搬送速度を含むことを特徴とする温度プロファイル予測装置。
【請求項6】
加熱対象物を、加熱炉の複数の加熱ゾーン内を搬送させて加熱する前記加熱炉の加熱条件を決定する方法であって、
前記加熱対象物のデータ、前記加熱炉のデータ、および、温度プロファイルの管理基準のデータが、予め登録されたデータベースの前記データに基づいて、指定された加熱対象物の温度プロファイルが、前記管理基準内に収まるように、前記加熱炉の加熱条件を演算する演算ステップを備え、
前記演算ステップは、前記加熱ゾーンにおける加熱対象物の目標温度を算出する目標温度算出ステップと、前記加熱対象物が前記目標温度になるように、加熱ゾーンの加熱温度を算出する加熱温度算出ステップとを含むことを特徴とする加熱条件決定方法。
【請求項7】
加熱対象物を、加熱炉の複数の加熱ゾーン内を搬送させて加熱する前記加熱炉の加熱条件を決定する方法に用いるプログラムであって、
前記加熱対象物のデータ、前記加熱炉のデータ、および、温度プロファイルの管理基準のデータが、予め登録されたデータベースの前記データに基づいて、指定された加熱対象物の温度プロファイルが、前記管理基準内に収まるように、前記加熱炉の加熱条件を演算する手順をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記演算する手順が、前記加熱ゾーンにおける加熱対象物の目標温度を算出する手順と、前記加熱対象物が前記目標温度になるように、加熱ゾーンの加熱温度を算出する手順とを含むことを特徴とするプログラム。
【請求項1】
加熱対象物を、加熱炉の複数の加熱ゾーン内を搬送して加熱する前記加熱炉の加熱条件を決定する装置であって、
加熱条件を決定する加熱対象物を指定するための入力手段と、
予めデータベースにそれぞれ登録された前記加熱対象物のデータ、前記加熱炉のデータ、および、温度プロファイルの管理基準のデータに基づいて、前記入力手段によって指定された加熱対象物の温度プロファイルが、前記管理基準内に収まるように、前記加熱炉の加熱条件を演算する演算手段とを備え、
前記演算手段は、前記加熱ゾーンにおける加熱対象物の目標温度を算出する目標温度算出部と、前記加熱対象物が前記目標温度になるように、加熱ゾーンの加熱温度を算出する加熱温度算出部とを含むことを特徴とする加熱条件決定装置。
【請求項2】
前記目標温度算出部および加熱温度算出部は、複数種類の温度プロファイルにそれぞれ従って前記目標温度および前記加熱温度をそれぞれ算出するものであり、
前記演算手段は、各種類の前記温度プロファイルにそれぞれ従って算出された各加熱温度を合成して最終的な加熱温度とする加熱温度合成部を、更に含む請求項1に記載の加熱条件決定装置。
【請求項3】
前記複数種類が2種類であって、第1の種類の温度プロファイルが、急速に温度を立上げて、その後時間を掛けて温度を一定とする温度プロファイルであり、第2の種類の温度プロファイルが、温度上昇を均一にする温度プロファイルである請求項2に記載の加熱条件決定装置。
【請求項4】
前記演算手段は、前記入力手段によって指定された複数の加熱対象物に対して加熱条件の演算を同時に行い、前記複数の加熱対象物の一部または全部に対して共通の加熱条件を算出できる、請求項1に記載の加熱条件決定装置。
【請求項5】
加熱対象物を、加熱炉の複数の加熱ゾーン内を搬送させて加熱する前記加熱炉における前記加熱対象物の温度プロファイルを予測する装置であって、
温度プロファイルを予測する加熱対象物を指定するとともに、前記加熱炉の加熱条件を入力するための入力手段と、
前記加熱炉の加熱条件、予めデータベースにそれぞれ登録された前記加熱対象物のデータおよび前記加熱炉のデータに基づいて、指定された加熱対象物の温度プロファイルを演算する演算手段とを備え、
前記加熱条件は、前記加熱ゾーンの加熱温度および前記加熱対象物の前記搬送速度を含むことを特徴とする温度プロファイル予測装置。
【請求項6】
加熱対象物を、加熱炉の複数の加熱ゾーン内を搬送させて加熱する前記加熱炉の加熱条件を決定する方法であって、
前記加熱対象物のデータ、前記加熱炉のデータ、および、温度プロファイルの管理基準のデータが、予め登録されたデータベースの前記データに基づいて、指定された加熱対象物の温度プロファイルが、前記管理基準内に収まるように、前記加熱炉の加熱条件を演算する演算ステップを備え、
前記演算ステップは、前記加熱ゾーンにおける加熱対象物の目標温度を算出する目標温度算出ステップと、前記加熱対象物が前記目標温度になるように、加熱ゾーンの加熱温度を算出する加熱温度算出ステップとを含むことを特徴とする加熱条件決定方法。
【請求項7】
加熱対象物を、加熱炉の複数の加熱ゾーン内を搬送させて加熱する前記加熱炉の加熱条件を決定する方法に用いるプログラムであって、
前記加熱対象物のデータ、前記加熱炉のデータ、および、温度プロファイルの管理基準のデータが、予め登録されたデータベースの前記データに基づいて、指定された加熱対象物の温度プロファイルが、前記管理基準内に収まるように、前記加熱炉の加熱条件を演算する手順をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記演算する手順が、前記加熱ゾーンにおける加熱対象物の目標温度を算出する手順と、前記加熱対象物が前記目標温度になるように、加熱ゾーンの加熱温度を算出する手順とを含むことを特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2010−58152(P2010−58152A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−227736(P2008−227736)
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
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