加熱炉、その制御装置、その制御プログラム、および、その制御方法
【課題】工場内でのエネルギ消費の低減と生産効率の維持の両立を実現する。
【解決手段】リフロー炉100では、不活性雰囲気室13内にワーク90が導入されなくなったとき、通常モードから省エネモードに、動作モードが移行する。次回、ワーク90が投入されるまでの残り時間(残待機時間)が、基準復帰時間(tr)となるまでは、省エネモードが継続される。そして、残待機時間が基準復帰時間(tr)以下となると、リフロー炉の各要素の制御が通常モードに戻される。省エネモードは、不活性雰囲気室13にエネルギを供給するための部材(ヒータ11A〜11N等)におけるエネルギ消費量が、通常モードよりも低いモードである。
【解決手段】リフロー炉100では、不活性雰囲気室13内にワーク90が導入されなくなったとき、通常モードから省エネモードに、動作モードが移行する。次回、ワーク90が投入されるまでの残り時間(残待機時間)が、基準復帰時間(tr)となるまでは、省エネモードが継続される。そして、残待機時間が基準復帰時間(tr)以下となると、リフロー炉の各要素の制御が通常モードに戻される。省エネモードは、不活性雰囲気室13にエネルギを供給するための部材(ヒータ11A〜11N等)におけるエネルギ消費量が、通常モードよりも低いモードである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱炉の制御に関し、特に、適切な態様での加熱炉におけるエネルギ消費の低減に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、エネルギ消費の低減について、種々検討がなされ、その中でも産業分野におけるエネルギ消費の低減については、種々の技術が提案されている。
【0003】
たとえば、非特許文献1(伊藤貞芳,村上友康,領木直矢,田端大助,松田直子,中裕之、「省エネソリューション技術による省エネトップランナー工場の実現」、Panasonic Technical Journal Vol.57 No.1 Apr. 2011、[online]、平成23年4月、検索日(平成23年9月20日)、インターネット<URL:http://panasonic.co.jp/ptj/v5701/pdf/p0106.pdf>)には、工場内で使用されるエネルギを削減するための技術が開示されている。当該技術では、リフロー炉や乾燥炉や焼成炉などの生産待機状態に、給排気風量を低下させる省エネ待機モードが導入されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】伊藤貞芳,村上友康,領木直矢,田端大助,松田直子,中裕之、「省エネソリューション技術による省エネトップランナー工場の実現」、Panasonic Technical Journal Vol.57 No.1 Apr. 2011、[online]、平成23年4月、検索日(平成23年9月20日)、インターネット<URL:http://panasonic.co.jp/ptj/v5701/pdf/p0106.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
エネルギ問題は、常に検討を必要とされる問題である。ただし、特に工場内でのエネルギ消費の低減を図る場合、製品の生産効率の維持との両立も考慮される必要がある。
【0006】
本発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、工場内でのエネルギ消費の低減と生産効率の維持の両立を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施の形態に従った制御装置は、加熱炉の制御装置であって、加熱炉の炉内にエネルギを供給するための供給部の動作を制御するための制御手段を備えた、加熱炉の制御装置であって、制御手段は、供給部を、加熱炉の炉内の状態を当該加熱炉の炉内で被加熱物を熱処理するための第1の状態で維持するための第1の条件に従って動作させ、所定の条件が成立した場合に、供給部を、加熱炉の炉内の状態を第1の状態に維持するよりもエネルギ消費量が低い状態で制御するための第2の条件に従って動作させ、供給部が第2の条件に従って動作している状態から加熱炉を第1の状態に復帰させるまでに要する時間である基準復帰時間を記憶するための記憶手段をさらに備え、制御手段は、供給部を第2の条件で動作させている場合に、加熱炉を第1の状態に復帰させるべきタイミングまでの残り時間が基準復帰時間以下となったとき、供給部を、加熱炉を第1の状態で維持するように動作させる。
【0008】
好ましくは、記憶手段は、第2の条件の内容として、複数の内容を記憶し、制御手段は、第2の条件の複数の内容のそれぞれについて、当該第2の条件に従った制御から加熱炉を第1の状態に復帰させるまでに、要した時間である予備復帰時間と、供給部が消費したエネルギ量である消費エネルギ量とを、計測し、提示する。
【0009】
好ましくは、基準復帰時間を入力するための入力手段をさらに備え、制御手段は、予備復帰時間と消費エネルギ量の計測結果において、入力手段に基準復帰時間として入力された時間が予備復帰時間であるとした場合の、当該予備復帰時間に対応する消費エネルギ量を提示する。
【0010】
好ましくは、第2の条件に従った制御では、制御手段は、供給部による加熱炉へのエネルギの供給を一時的に停止する。
【0011】
好ましくは、第1の状態は、加熱炉の炉内の温度が特定の温度以上である状態であり、第2の条件に従った制御では、制御手段は、加熱炉の炉内の温度を特定の温度よりも低い温度で維持する。
【0012】
好ましくは、第1の状態は、加熱炉の炉内の酸素濃度が特定の濃度以下である状態であり、第2の条件に従った制御では、制御手段は、加熱炉の炉内の酸素濃度を特定の濃度よりも高い濃度で維持する。
【0013】
好ましくは、所定の条件は、当該加熱炉の炉内の被加熱物がないことを条件とする。
好ましくは、所定の条件は、さらに第2の条件に従った制御となるべき時間が基準復帰時間以上となる。
【0014】
好ましくは、第2の条件に従った制御となるべき時間は、当該加熱炉の前工程の被加熱物の有無によって決定される。
【0015】
本発明に従った制御プログラムは、好ましくは、加熱炉の炉内にエネルギを供給するための供給部の動作を制御するコンピュータによって実行されるプログラムであって、コンピュータに、加熱炉の炉内の状態を当該加熱炉の炉内で被加熱物を熱処理するための第1の状態で維持するための第1の条件に従って、供給部を動作させるステップと、所定の条件が成立した場合に、加熱炉の炉内の状態を第1の状態に維持するよりもエネルギ消費量が低い状態で制御するための第2の条件に従って、供給部を動作させるステップと、供給部を第2の条件で動作させている場合に、加熱炉を第1の状態に復帰させるべきタイミングまでの残り時間が、供給部が第2の条件に従って動作している状態から加熱炉を第1の状態に復帰させるまでに要する時間である基準復帰時間以下となったときに、加熱炉を第1の状態で維持するように、供給部を動作させるステップとを実行させる。
【0016】
本発明に従った加熱炉の制御方法は、加熱炉の制御装置が、当該加熱炉の炉内にエネルギを供給するための供給部の動作を制御するための制御方法であって、加熱炉の炉内の状態を当該加熱炉の炉内で被加熱物を熱処理するための第1の状態で維持するための第1の条件に従って、供給部を動作させるステップと、所定の条件が成立した場合に、加熱炉の炉内の状態を第1の状態に維持するよりもエネルギ消費量が低い状態で制御するための第2の条件に従って、供給部を動作させるステップと、供給部を第2の条件で動作させている場合に、加熱炉を第1の状態に復帰させるべきタイミングまでの残り時間が、供給部が第2の条件に従って動作している状態から加熱炉を第1の状態に復帰させるまでに要する時間である基準復帰時間以下となったときに、加熱炉を第1の状態で維持するように、供給部を動作させるステップとを実行させる。
【0017】
本発明に従った加熱炉は、上記したいずれかの制御装置と、加熱炉の炉内にエネルギを供給するための供給部とを備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、制御装置は、所定の条件が成立した場合、加熱炉の炉内にエネルギを供給する供給部を、炉内の環境が被加熱物を熱処理する場合よりも低温または高酸素濃度などエネルギ消費量が低い状態となることを許容する態様で、制御する。また、被加熱物の熱処理が再開されるまでの残り時間が基準復帰時間以下となった場合、そのような態様での制御を終了して、被加熱物を熱処理するための態様での制御で供給部を制御する。
【0019】
これにより、工場内でのエネルギ消費の低減と生産効率の維持の両立を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施の形態にかかるリフロー炉を含む基板処理システムの全体構成を示す図である。
【図2】当該リフロー炉の構成を模式的に示す図である。
【図3】図2のリフロー炉の制御ブロック図である。
【図4】不活性雰囲気室13に導入される基板の数の時間変化を模式的に示す図である。
【図5】ヒータ11A〜11Nによって消費される電力の時間変化(実線)と、その運転開始時からの積算値(一点鎖線)とを模式的に示す図である。
【図6】不活性雰囲気室13内の第7番目の加熱工程(ヒータ11Mとヒータ11Nが配置された位置における加熱工程)における雰囲気温度の時間変化を模式的に示す図である。
【図7】流量計15において検出される窒素流量の時間変化(実線)と、その積算値(一点鎖線)とを模式的に示す図である。
【図8】酸素濃度センサ80によって検出される酸素濃度の時間変化を模式的に示す図である。
【図9】コントローラ101において実行される、上記した基準復帰時間を設定するための処理(教示処理)のフローチャートである。
【図10】ステップSA20〜ステップSA80の処理によって取得されるデータを含む、教示処理で利用されるデータの一例を示す図である。
【図11】ステップSA90の処理によって表示されるグラフの一例を模式的に示す図である。
【図12】運転制御処理のフローチャートである。
【図13】残待機時間算出処理のフローチャートの一例である。
【図14】本発明の第2の実施の形態において実行される教示処理のフローチャートである。
【図15】ステップSD20〜ステップSD80の処理によって取得されるデータを含む、本実施の形態の教示処理で利用されるデータの一例を示す図である。
【図16】ステップSD90の処理によって表示されるグラフの一例を模式的に示す図である。
【図17】本発明の第3の実施の形態において実行される教示処理のフローチャートである。
【図18】ステップSE20〜ステップSE80の処理によって取得されるデータを含む、本実施の形態の教示処理で利用されるデータの一例を示す図である。
【図19】ステップSE90の処理によって表示されるグラフの一例を模式的に示す図である。
【図20】リフロー炉における運転モードの切り替わりの一例を説明するための図である。
【図21】本発明の実施の形態の加熱炉における温度変化のパターンの例を模式的に示す図である。
【図22】消費が抑えられると予測される電力量を提示するための画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の加熱炉の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、同一の構成要素には各図において同一の符号を付し、詳細な説明は繰返さない。
【0022】
なお、以下の実施の形態では、加熱炉の一例としてリフロー炉を挙げるが、本発明にかかる加熱炉はリフロー炉に限定されず、炉内で処理対象物を加熱するものであれば、乾燥炉や焼成炉であってもよい。
【0023】
[第1の実施の形態]
<概略構成>
図1は、本実施の形態にかかるリフロー炉を含む基板処理システムの全体構成を示す図である。図2は、当該リフロー炉の構成を模式的に示す図である。また、図3は、図2のリフロー炉の制御ブロック図である。
【0024】
(1) 基板処理システムの概略構成
図1の基板処理システムは、プリント基板に電子部品を実装するためのシステムである。
【0025】
図1を参照して、基板処理システムでは、処理されるプリント基板が、ローダ210、半田印刷機220、検査装置230、高速マウンタ240、高精度マウンタ250、検査装置260、リフロー炉100、アンローダ310の順に送られる。図1中の矢印D1は、プリント基板の搬送方向を示している。
【0026】
ローダ210から送られたプリント基板は、半田印刷機220においてはんだを印刷され、当該印刷の態様が検査装置230で検査された後、高速マウンタ240および高精度マウンタ250で電子部品をマウントされ、さらに、当該マウントの態様が検査装置260で検査され、そして、電子部品をマウントされたプリント基板がリフロー炉100に送られる。本明細書では、リフロー炉100に送られた、電子部品をマウントされたプリント基板を、「ワーク」と呼ぶ。
【0027】
そして、リフロー炉100で、はんだを溶解させて電子部品が固定された後、ワークは、アンローダ310を介して、種々の工程に送られる。
【0028】
なお、ローダ210、半田印刷機220、検査装置230、高速マウンタ240、高精度マウンタ250、検査装置260、リフロー炉100、および、アンローダ310は、非常ランプ219,229,239,249,259,269,109,319をそれぞれ備え、また、その動作がそれぞれの制御装置によって制御される。そして、当該制御装置は、それぞれにおいて非常事態が発生した場合には、各装置に対応する非常ランプを点灯させる。
【0029】
(2) リフロー炉の概略構成
図2を参照して、リフロー炉100内では、検査装置260から送り込まれたワーク90が、コンベア80上に載置されて、リフロー炉100中で輸送される。図2中の矢印D2は、コンベア80の回転方向を示している。
【0030】
リフロー炉には、不活性雰囲気室13が設けられている。不活性雰囲気室13の上流側にはダクト56Aが、下流側にはダクト56Bが設けられている。
【0031】
ダクト56A,56Bには、それぞれ、ファン50A,50B、および、開閉板52A,52Bが設けられている。ファン50A,50Bは、モータ51A,51Bによって駆動され、モータ51A,51Bは、インバータ55A,55Bから電力を供給される。
【0032】
開閉板52A,52Bは、ダクト56A,56Bのそれぞれにおいて空気が流れる度合いを調整するために設けられている。開閉板52A,52Bによるダクト56A,56B内の送風路の開閉度合いは、ダンパ用モータ53A,53Bによってそれぞれ制御される。
【0033】
ワーク90に使用されているはんだが、いわゆる鉛フリーのはんだである場合等、酸素濃度を低下させることが望ましい場合、不活性雰囲気室13には、酸素濃度を低下させるために、窒素ライン14を介して窒素ガスが送られる。不活性雰囲気室13への窒素ガスの導入量は、窒素バルブ(以下、「N2バルブ」とも称する)16の開閉度が制御されることによって、制御される。なお、窒素ライン14における窒素ガスの流量は、流量計15によって検出される。また、リフロー炉には、不活性雰囲気室13内の酸素濃度を検出するための酸素濃度センサ(以下、「O2濃度センサ」とも称する)80が設けられている。
【0034】
不活性雰囲気室13内では、7段階でワークを加熱するために、ヒータ11A,11B、ヒータ11C,11D、ヒータ11E,11F、ヒータ11G,11H、ヒータ11I,11J、ヒータ11K,11L、ヒータ11M,11Nの7組の加熱装置が設けられている。各組の加熱装置は、コンベア80の上方に配置されたヒータと下方に配置されたヒータを含む。リフロー炉では、ヒータ11A〜11Nで消費された電力が電力計70によって計測される。
【0035】
また、各ヒータの近傍には、不活性雰囲気室13内の空気を攪拌するために、ファン12A,12B、ファン12C,12D、ファン12E,12F、ファン12G,12H、ファン12I,12J、ファン12K,12L、ファン12M,12Nが設けられている。
【0036】
不活性雰囲気室13において、ヒータ11A,11B、ヒータ11C,11D、ヒータ11E,11F、ヒータ11G,11H、ヒータ11I,11J、ヒータ11K,11L、ヒータ11M,11Nによって加熱されたワーク90は、ダクト56Bに送られ、チラー60によって冷却される。チラー60は、冷却管61,62を備える。その後、ワーク90は、次工程(たとえば、図1のアンローダ310)に送られる。
【0037】
不活性雰囲気室13およびダクト56Bには、図示せぬ温度センサが設けられている。温調ユニット102は、当該温度センサによって検出される温度に基づいて、ヒータ11A〜11Nの動作をフィードバック制御する。また、リフロー炉には、電力計70や酸素濃度センサ80の検出出力に基づいて、ヒータ11A〜11N等の各要素の動作を全体的に制御するためのコントローラ101が設けられている。
【0038】
コントローラ101には、モニタ等として機能するパーソナルコンピュータ(以下、「PC」とも称する)300や、検査装置230,260等の、基板処理システム(図1参照)においてリフロー炉100より前工程に設けられた装置を制御するための装置(コントローラ200)が接続されている。コントローラ101は、後述するように、PC300やコントローラ200から取得した情報に基づいても、ヒータ11A〜11N等の各要素の動作を制御する場合が有り得る。
【0039】
(3) リフロー炉の制御ブロック
図3を参照して、リフロー炉100では、コントローラ101は、図2を参照して説明したヒータ11A〜11N等の各要素に加え、不活性雰囲気室13内の7段階の加熱工程(各ヒータ組)のそれぞれにおける雰囲気温度およびダクト56Bのワーク90の通過領域近傍の雰囲気温度を検出するための温度センサ22、不活性雰囲気室13内に導入されている基板の数を検出する基板用センサ21、コンベア80を回転させるコンベアモータ81、および、図1を参照して説明した非常ランプ109に接続されている。なお、図3は、図2の温調ユニット102が、コントローラ101内に含まれるものとして記載されている。
【0040】
コントローラ101は、温度センサ22の検出出力に基づいて、ヒータ11A〜11Nの加熱動作等を、PID(Proportional Integral Differential)制御等のフィードバック制御で、各加熱工程について定められた温度に維持するように、制御する。また、コントローラ101は、窒素バルブ16の開閉度合いを、酸素濃度センサ80の検出出力に基づいてフィードバック制御する。また、コントローラ101は、温度センサ22によるダクト56B内の雰囲気温度の検出出力に基づいて、チラー60における冷却管61,62における冷媒の循環量等、ダクト56B内の雰囲気の冷却態様を制御する。
【0041】
また、コントローラ101は、不活性雰囲気室13内の温度が異常に上昇した場合や、コンベア80によるワーク90の搬送に支障が出た場合等、基板処理システムにおいて予定される動作を正常に実行できない事態が生じた場合には、ヒータ11A〜11Nによる加熱を停止する、コンベア80によるワーク90の搬送を停止させる、等の公知の措置を講じた後、非常ランプ109を点灯させる。これに応じて、作業員は、リフロー炉における不具合を除去した後、コントローラ101をリセットさせて、リフロー炉の運転を再開させる、等の措置を講じる。
【0042】
コントローラ101は、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置101Aと、プログラム等の各種のデータを記憶するためのメモリ101Bと、上記したPC300やコントローラ200とコントローラ101との通信の際に利用されるインターフェース101Cとを備える。インターフェース101Cは、たとえばネットワークカード等の通信装置によって実現される。そして、演算装置101Aが、たとえば当該メモリ101Bに格納されたプログラムを実行することによって、本明細書に記載されるようなコントローラ101による制御動作が実現される。ただし、コントローラ101は、当該コントローラ101の各機能を実現する1以上のハードウェア装置(LSI(Large Scale Integration)等)を備えることによって実現される場合も有り得る。
【0043】
なお、メモリ101Bは、コントローラ101の本体から着脱可能な記憶媒体によって実現される場合も有り得る。このような記憶媒体としては、CD−ROM(Compact Disk - Read Only Memory)、DVD−ROM(Digital Versatile Disk - Read Only Memory)、USB(Universal Serial Bus)メモリ、メモリカード、FD(Flexible Disk)、ハードディスク、磁気テープ、カセットテープ、MO(Magnetic Optical Disk)、MD(Mini Disk)、IC(Integrated Circuit)カード(メモリカードを除く)、光カード、マスクROM、EPROM、EEPROM(Electronically Erasable Programmable Read-Only Memory)などの、不揮発的にプログラムを格納する媒体が挙げられる。
【0044】
<リフロー炉における省エネルギ制御の概要>
図20は、リフロー炉における運転モードの切り替わりの一例を説明するための図である。なお、この図において、横方向は時間軸である。
【0045】
図20を参照して、コントローラ101は、リフロー炉の運転が開始されると、不活性雰囲気室13内の状態(温度、酸素濃度、等)をワーク90の熱処理に適した状態に維持するための通常モードで、リフロー炉の各要素を制御する。
【0046】
通常モードでの制御の実行中に、たとえば一定時間ワーク90が不活性雰囲気室13に搬送されなくなる等の所定の条件が成立すると、コントローラ101は、上記通常モードに対して、単位時間あたりのリフロー炉の消費電力量が低い省エネルギモード(以下、「省エネモード」とも称する)で、リフロー炉の各要素を制御する。なお、所定の条件は、前工程のコントローラ200、PC300、他の入力装置などからコントローラ101への入力によって決定する。
【0047】
省エネモードでの制御の実行中に、不活性雰囲気室13内の状態をワーク90の熱処理に適した状態に復帰させるべき時刻に対する残り時間(以下、「残待機時間」とも称する)が、不活性雰囲気室13内の状態を省エネモードの制御下の状態から上記熱処理に適した状態に戻すまでに要する時間(以下、「基準復帰時間」ともいう)以下となったことを条件として、コントローラ101は、リフロー炉の各要素の制御モードを、上記した通常モードに戻す。
【0048】
そして、通常モードが再開された後、不活性雰囲気室13内の状態が上記熱処理に適した状態に復帰したことを条件として、不活性雰囲気室13内に、再度ワーク90が搬送される。
【0049】
図21は、図20を参照して説明したように運転モードが切り替えられたときの、不活性雰囲気室13内の第7番目の加熱工程における雰囲気温度の変化の例を模式的に示す図である。なお、図21は、(A)と(B)の、温度変化の2つのパターンを含む。なお、図21(A)と図21(B)の双方において、縦軸は上記雰囲気温度を示し、横軸は時間を示す。また、これらの双方は、縦軸および横軸は同じスケールで記載されている。
【0050】
図21(A)の例では、上記雰囲気温度が第1の温度(図21(A)では「TP1」)に達した後、時刻TA1で、ヒータ11A〜11Nへの電力供給が停止される。これにより、以降、上記雰囲気温度は低下する。その後、時刻TA2で、ヒータ11A〜11Nへの電力供給が再開される。これにより、上記雰囲気温度が上昇し、時刻TA3で、当該雰囲気温度が上記TP1に復帰している。
【0051】
図21(B)の例では、上記雰囲気温度が上記TP1に達した後、時刻TB1で、ヒータ11A〜11Nへの電力供給が停止される。これにより、以降、上記雰囲気温度は低下する。その後、時刻TB2で、ヒータ11A〜11Nへの電力供給が再開される。これにより、上記雰囲気温度が上昇し、時刻TB3で、当該雰囲気温度が上記TP1に復帰している。
【0052】
なお、図21(A)と図21(B)を比較して、図21(A)に示された例の方が図21(B)に示された例よりも、ヒータ11A〜11Nへの電力の供給が停止された時間が長い。つまり、時刻TA1から時刻TA2までの時間の方が、時刻TB1から時刻TB2までの時間よりも長い。
【0053】
これにより、図21(A)に示された例の方が図21(B)に示された例よりも、上記雰囲気温度がより低い温度まで低下している。
【0054】
このことから、図21(A)に示された例の方が図21(B)に示された例よりも、ヒータ11A〜11Nへの電力供給後、上記雰囲気温度がTP1まで復帰するまでの時間が長い。つまり、時刻TA2から時刻TA3までの時間の方が、時刻TB2から時刻TB3までの時間よりも長い。
【0055】
さて、通常モードにおける温度制御としては、温度センサ22の検出出力に基づいて、不活性雰囲気室13内の温度がワーク90の熱処理に適した温度(以下、「第1の温度」とも称する)で維持されるようにヒータ11A〜11Nのオン/オフ(または、ヒータ11A〜11Nへの供給電力)が制御される。なお、本実施の形態では、上記した7段階の加熱工程の雰囲気温度のそれぞれが測定され、それぞれがワーク90の熱処理に適した温度になるように、ヒータ11A〜11Nの動作が制御される。そして、本明細書における「第1の温度」とは、これらのうち、7段階目の加熱工程における雰囲気温度について言うこととする。
【0056】
省エネモードにおける制御としては、たとえば、一定時間、ヒータ11A〜11Nへの電力供給が停止される制御(一定時間連続してヒータ11A〜11Nをオフにする)や、不活性雰囲気室13内の温度を上記第1の温度よりも低い温度で維持するためのヒータ11A〜11Nの動作の制御が挙げられる。なお、後者の制御においても、継続的にヒータ11A〜11Nの動作制御の実行中、不活性雰囲気室13内の温度が上記第1の温度以上である場合には、一時的にヒータ11A〜11Nがオフにされる場合も有り得る。これに対し、前者の制御、つまり、「ヒータ11A〜11Nへの電力供給が停止される制御」は、一定時間、ヒータ11A〜11Nへの電力供給が停止され、かつ、ヒータ11A〜11Nの動作の制御自体が実行されないことを意味する。本実施の形態では、省エネモードにおける制御として、前者の制御が説明される。なお、後者の制御は、第2の実施の形態において説明される。
【0057】
なお、具体的な省エネモードでの制御内容は、後述する。
<リフロー炉内の挙動>
図4は、不活性雰囲気室13に導入される基板の数の時間変化を模式的に示す図である。図5は、リフロー炉において消費される電力の時間変化(実線)と、その運転開始時からの積算値(一点鎖線)とを模式的に示す図である。図6は、不活性雰囲気室13内の第7番目の加熱工程(ヒータ11Mとヒータ11Nが配置された位置における加熱工程)における雰囲気温度の時間変化を模式的に示す図である。なお、図6において、実線(「上部」として示された方)は、第7番目の加熱工程が行なわれる領域のコンベア80より上方における検出温度を示し、実線(「下部」として示された方)は、第7番目の加熱工程が行なわれる領域のコンベア80より下方における検出温度を示す。図7は、流量計15において検出される窒素流量の時間変化(実線)と、その積算値(一点鎖線)とを模式的に示す図である。図8は、酸素濃度センサ80によって検出される酸素濃度の時間変化を模式的に示す図である。
【0058】
図4〜図8の横軸には、計測が行なわれた時刻が示されている。各図において、計測時刻は共通している。たとえば、各図において、「17:30」は、同日の17時30分を表している。
【0059】
図4を参照して、この例では、17時20分以降、不活性雰囲気室13への基板の導入が所定期間停止される状態が示されている。
【0060】
ここで、不活性雰囲気室13への基板の導入が所定期間に停止される間、リフロー炉における電力消費を抑えるために、ヒータ11A〜11Nへの電力の供給が停止され、また、リフロー炉における圧力エネルギの消費を抑えるために、窒素バルブ16が閉じられる場合を考える。
【0061】
この場合、17時45分以降、ヒータ11A〜11Nへの電力の供給が停止される。なお、ここで、「17時45分」とは、17時20分に不活性雰囲気室13内に導入されたことが検出された「最後の」ワーク90が、不活性雰囲気室13およびダクト56Bを経て、リフロー炉の次の工程に送られることが予定される時刻を意味している。そして、ヒータ11A〜11Nへの電力の供給が停止されることにより、図5において「装置立下げ」と示されるように、ヒータ11A〜11Nにおける電力の消費量(実線)が低下する。
【0062】
具体的には、図5において、17時45分頃から18時15分頃までは、ヒータ11A〜11Nの停止により、リフロー炉における消費電力が加熱用ファン12A〜12N等のみとなるため急激に電力が低下する。そして、18時15分には、リフロー炉に対する電力の供給が停止される(電源遮断)。
【0063】
また、上記17時45分以降、窒素バルブ16が閉じられ、不活性雰囲気室13への窒素ガスの供給が停止される。これにより、図7に示されるように、窒素を供給する量(図7において実線で表される流量)が低下する。
【0064】
つまり、本実施の形態のリフロー炉では、図5を参照して説明したようにヒータ11A〜11Nへの電力の供給が停止(または、低減)されることに応じて、図6に示されるように、不活性雰囲気室13内の雰囲気温度が下降する。また、図7を参照して説明したように窒素バルブ16が閉じられることに応じて、図8に示されるように、不活性雰囲気室13内の酸素濃度が上昇する。
【0065】
上記のように不活性雰囲気室13内の雰囲気温度が下降した場合、ヒータ11A〜11Nへの電力の供給を再開させて不活性雰囲気室13内の温度をワーク90の熱処理に適した温度まで上昇させるまでには、ある程度の時間を要する。
【0066】
また、上記のように不活性雰囲気室13内の酸素濃度が上昇した場合、窒素バルブ16を開き不活性雰囲気室13内への窒素ガスの供給量を増加させることによって不活性雰囲気室13内の酸素濃度をワーク90の熱処理に適した濃度まで低下させるまでには、ある程度の時間を要する。
【0067】
本明細書では、不活性雰囲気室13内の温度を、一度低下させた後、再度ワーク90の熱処理に適した温度まで上昇させることを、「復帰」と呼ぶ。また、不活性雰囲気室13内の酸素濃度を、一度上昇させた後、再度ワーク90の熱処理に適した濃度まで低下させることについても、「復帰」と呼ぶ。
【0068】
<基準復帰時間の設定>
図9は、コントローラ101において実行される、上記した基準復帰時間を設定するための処理(教示処理)のフローチャートである。当該教示処理は、リフロー炉において、たとえば、不活性雰囲気室13内の温度がワーク90の熱処理に適した温度に調整されている状況下であって、当該処理の実行を指示されたことに応じてもしくはリフロー炉の起動時に、開始される。処理の実行の指示は、たとえばPC300から、インターフェース101Cを介して入力される。なお、コントローラ101は、マウスやキーボード、タッチパネルといった入力装置を備え、当該装置に対する操作によって上記処理の実行を指示される場合も有り得る。
【0069】
図9を参照して、ステップSA10では、コントローラ101は、教示処理において使用される変数nを1に初期化して、ステップSA20へ処理を進める。
【0070】
ステップSA20では、コントローラ101は、ヒータ11A〜11Nへの電力の供給を期間Tnだけ停止させて、ステップSA30へ処理を進める。ここで、期間Tnは、変数nの値に関連付けられて予め定められた値である。メモリ101Bには、教示処理において電力供給を停止させる時間の長さとして予め定められた、N個の期間(T1〜TN)を特定する情報が格納されている。ステップSA20では、コントローラ101は、メモリ101BからN個の期間のうちn番目の期間を特定する情報を取得し、当該期間、ヒータ11A〜11Nへの電力の供給を停止させる。
【0071】
ステップSA30では、コントローラ101は、不活性雰囲気室13内の指標(本実施の形態では、第7番目の加熱工程の雰囲気温度)の検出を開始して、ステップSA40へ処理を進める。
【0072】
ステップSA40では、コントローラ101は、ヒータ11A〜11Nへの電力の供給を再開させて、ステップSA50へ処理を進める。これにより、ステップSA20における電力供給の停止から期間Tnが経過した時点で、ヒータ11A〜11Nへの電力の供給が再開される。
【0073】
ステップSA50では、コントローラ101は、指標が制御の目標範囲に到達したか否かを判断する。そして、到達したと判断すると、コントローラ101は、ステップSA60へ処理を進める。つまり、上記雰囲気温度が第1の温度に到達した場合に、ステップSA60へ処理が進められる。
【0074】
ステップSA60では、コントローラ101は、消費電力と復帰時間を取得し、メモリ101Bに記録して、ステップSA70へ処理を進める。なお、ここでの消費電力とは、ステップSA20においてヒータ11A〜11Nへの電力の供給が停止されてから、電力供給が再開され、ステップSA50において上記雰囲気温度が第1の温度に到達するまでの、ヒータ11A〜11Nにおける消費電力である。また、復帰時間とは、ステップSA40において電力供給が再開されてから、ステップSA50において上記雰囲気温度が第1の温度に到達するまでの時間である。なお、ここでの「到達」は、「到達してから所定時間継続して第1の温度が保持される」とされる等、温度の復帰を特定するために一般的に利用される条件に置換され得る。
【0075】
ステップSA70では、コントローラ101は、変数nを1加算更新して、ステップSA80へ処理を進める。
【0076】
ステップSA80では、コントローラ101は、変数nの値が上記した期間の個数である「N」を超えたか否かを判断し、まだ超えてないと判断するとステップSA20へ処理を戻し、超えたと判断するとステップSA90へ処理を進める。
【0077】
つまり、コントローラ101は、ステップSA20〜ステップSA80の処理により、N個の期間のそれぞれについての「消費電力」と「復帰時間」を取得する。
【0078】
図10は、ステップSA20〜ステップSA80の処理によって取得されるデータを含む、教示処理で利用されるデータの一例を示す図である。
【0079】
図10には、運転停止時間、ならびに、各運転停止時間についての、復帰時間、周期時間、周期、電力量/周期、電力量、および、省エネ率各項目のデータが示されている。
【0080】
「運転停止時間」とは、上記したTnである。
「復帰時間」とは、各運転停止時間についてステップSA60で取得された復帰時間である。
【0081】
「周期時間」とは、上記運転停止時間と復帰時間の和である。
「周期」とは、特定の時間(この例では、3.5時間(210分))において、上記周期時間を繰り返すことができる回数であり、「特定の時間」を「周期時間」で除して得られる値である。
【0082】
「電力量/周期」とは、上記した周期時間において消費された電力量であり、ステップSA60で取得される消費電力量である。
【0083】
「電力量」とは、上記「電力量/周期」と上記「周期」の積であり、具体的には、特定の時間において、運転停止時間の電力供給停止と復帰時間の電力供給が繰り返された際に消費されると想定される消費電力量である。
【0084】
なお、図10には、「運転停止時間」が「0分」である場合として、上記特定の時間の間連続的にヒータ11A〜11Nに電力が供給された場合のデータも示されている。
【0085】
そして、「省エネ率」とは、「運転停止時間」が「0分」である場合の「電力量」に対する「電力量」の差であり、上記特定の時間の間に、連続的に運転した場合に対して消費を抑えることができる電力量に相当する。
【0086】
図10には、運転停止時間が0分(連続的な電力供給)、7分、15分、30分、45分、60分、75分、90分、105分、120分、135分、150分、165分、および、180分についてのデータが示されている。
【0087】
図10において、運転停止時間が7分と150分では、「電力量」は「10.5KWh」と「3.5KWh」である。そして、これらの期間では、運転停止時間が長くなるほど「電力量」が低下している。運転停止時間が165分のとき、「電力量」は150分のものと変化がない。そして、運転停止時間が180分のとき、「電力量」は「4.0KWh」となり、150分および165分のものに対して、若干上昇している。
【0088】
また、運転停止時間が7分と150分では、「省エネ率」は「5%」と「64%」である。そして、「省エネ率」も、運転停止時間の変化に対して、「電力量」と同様の傾向を示している。
【0089】
図9に戻って、ステップSA90では、コントローラ101は、上記した運転停止時間の変化に伴う、「消費電力」(図10の「電力量」)と「復帰時間」(図10の「復帰時間」)の変化を示すグラフを表示するための画面データを作成し、PC300に送信する。ステップSA90の処理により、PC300のモニタでは、当該グラフが表示される。なお、コントローラ101がモニタを備え、当該グラフがコントローラ101のモニタにおいて表示される場合も有り得る。
【0090】
図11は、ステップSA90の処理によって表示されるグラフの一例を模式的に示す図である。
【0091】
図11には、グラフ901とグラフ902の2つのグラフが示されている。グラフ901は、運転停止時間の変化に伴う「消費電力」(図10の「電力量」)の変化を示すグラフである。また、グラフ902は、運転停止時間の変化に伴う「復帰時間」(図10の「復帰時間」)の変化を示すグラフである。
【0092】
グラフ901とグラフ902では、運転停止時間を示す横軸の左右方向の位置が共通している。したがって、図11に示されたグラフを見ることにより、ユーザは、運転停止時間を設定した場合、上記した特定の時間において消費することが予想される電力量と、不活性雰囲気室13内の環境(温度)を復帰させるのに必要な時間とを、認識することができる。
【0093】
なお、グラフ901とグラフ902には、各データに基づいて作成された近似関数が太線で示されている。コントローラ101は、図10に示されたような運転停止時間の変化に伴った電力量や復帰時間の実測値に基づいて近似関数を生成し、グラフ901とグラフ902に示されるように、当該実測値と併せて表示させることも有り得る。
【0094】
図9に戻って、ステップSA90の後、コントローラ101は、ステップSA100で、実際の運転時にヒータ11A〜11Nへの電力供給を停止させる時間(以下、「基準停止時間(td)」とも称する)の指定を受付けて、ステップSA110へ処理を進める。
【0095】
ユーザは、たとえば図11に示されたグラフを参照しながら、基準停止時間(td)を指定することができる。具体的には、たとえば、ユーザは、PC300において、図11において示されるような一点鎖線の位置を左右方向に移動させることにより運転停止時間を特定する操作、および、当該特定した運転停止時間を基準停止時間(td)として指定するための操作を行なうことにより、PC300からインターフェース101Cを介してコントローラ101に、基準停止時間(td)を指定するための情報が入力される。
【0096】
ここで、基準停止時間(td)として指定される時間は、図10に「運転停止時間」として示される、電力量等の実測値を有する時間に限定されない。
【0097】
なお、PC300における運転停止時間の特定の際には、図11において破線の矢印で示されるように、当該運転停止時間に対応する電力量と復帰時間とを示すような情報がPC300において表示されても良い。このような対応する電力量と復帰時間の表示は、たとえばコントローラ101上でCGI(Common Gateway Interface)として実現される。つまり、たとえば、演算装置101AがPC300からの要求に応じてメモリ101Bに格納されたCGIプログラムを実行することにより、PC300において特定された運転停止時間に対応する電力量と復帰時間を表示させるデータがコントローラ101からPC300に送信される。なお、図10のデータは、たとえばメモリ101Bに格納される場合、演算装置101Aは、当該データを利用して、上記CGIプログラムを実行する。
【0098】
図9に戻って、ステップSA110では、コントローラ101は、ステップSA100で指定を受付けた基準停止時間(td)をメモリ101Bに格納し、また、上記近似関数または図10の実測値において、当該基準停止時間(td)と同じ長さの時間の運転停止時間に対応する復帰時間を「基準復帰時間(tr)」として格納して、処理を終了する。
【0099】
なお、教示処理では、設定された基準停止時間(td)に対応して、特定の時間において、消費が抑えられると予測される電力量が提示されても良い。
【0100】
図22は、消費が抑えられると予測される電力量を提示するための画面の一例を示す図である。
【0101】
図22では、「運転停止時間」として、基準停止時間(td)として指定された時間が表示されている。また、図22では、「削減できる電力量」として、図11のグラフ901において、上記基準停止時間(td)と同じ時間の運転停止時間に対応する電力量が表示されている。コントローラ101は、たとえばCGIプログラムを実行することにより、図10または当該図10の電力量の運転停止時間の変化の態様に基づいて作成した近似関数に基づいて、指定された基準停止時間(td)に対応する電力量を取得し、PC300等に、これを表示する情報を送信する。
【0102】
<通常の運転制御>
次に、リフロー炉において、不活性雰囲気室13内にワーク90が導入され、当該ワーク90の熱処理が行なわれる際の、コントローラ101によって実行される処理(運転制御処理)について説明する。当該処理は、たとえばリフロー炉が起動時に実行される。
【0103】
図12は、運転制御処理のフローチャートである。
図12を参照して、コントローラ101は、ステップSB10で、上記した通常モードでヒータ11A〜11Nを含めたリフロー炉の各要素の動作を制御して、ステップSB20へ処理を進める。
【0104】
ステップSB20では、コントローラ101は、基板用センサ21の検出出力を参照することにより、不活性雰囲気室13内に導入されている基板(ワーク90)の枚数が0になったか否かを判断し、0になったと判断するとステップSB30へ処理を進める。
【0105】
ステップSB30では、コントローラ101は、残待機時間を算出して、ステップSB40へ処理を進める。残待機時間とは、次に不活性雰囲気室13内に基板(ワーク90)が投入される時刻(または、投入が予定されている時刻)までの残り時間を算出するための処理である。たとえば、メモリ101Bに、予め次回投入予定時刻が格納され、コントローラ101は、現在時刻と次回投入予定時刻との差を算出することによって、ステップSB30の処理を実現する。
【0106】
ステップSB40では、コントローラ101は、上記残待機時間が上記した基準復帰時間(tr)以上であるか否かを判断し、そうであると判断するとステップSB50へ処理を進め、上記残待機時間が上記した基準復帰時間(tr)未満であるかと判断すると、ステップSB60へ処理を進める。
【0107】
ステップSB50では、コントローラ101は、上記した省エネモードでの制御を実行して、ステップSB30へ処理を戻す。
【0108】
省エネモードにおける具体的な制御内容は、たとえば、基準停止時間(td)のヒータ11A〜11Nへの電力供給の停止と、不活性雰囲気室13をワーク90の熱処理に適した状態にするためのフィードバック制御下での基準復帰時間(tr)のヒータ11A〜11Nへの電力供給とを、繰返し続けるものが挙げられる。
【0109】
一方、ステップSB60では、コントローラ101は、上記した通常モードでの制御を実行して、ステップSB10へ処理を戻す。
【0110】
以上説明した運転制御処理によれば、不活性雰囲気室13内にワーク90が導入されなくなったとき、次回ワーク90が投入されるまでの残り時間(残待機時間)が、メモリ101Bに格納された基準復帰時間(tr)となるまでは、省エネモードで、リフロー炉の各要素が制御される。そして、残待機時間が基準復帰時間(tr)以下となると、リフロー炉の各要素の制御が通常モードに戻される。
【0111】
省エネモードは、不活性雰囲気室13にエネルギを供給するための部材(ヒータ11A〜11N等)におけるエネルギ消費量が、通常モードよりも低いモードである。
【0112】
そして、図12の運転制御処理により、上記した次回投入予定時刻に確実に不活性雰囲気室13内の環境(温度等)をワーク90の熱処理に適した状態に復帰させつつ、上記したエネルギを供給するための部材におけるエネルギ消費量を抑えることができる。
【0113】
<残待機時間算出処理について>
図12を参照して説明した運転制御処理のステップSB30の残待機時間算出処理では、次回投入予定時刻と現在時刻とに基づいて、残待機時間が算出された。
【0114】
なお、残待機時間は、基板処理システムにおける、リフロー炉とは別の装置(検査装置230等)の状態に基づいて算出されても良い。
【0115】
図13は、残待機時間算出処理のフローチャートの一例である。図13の処理は、たとえば、図12の処理のバックグラウンドで実行される。図13の処理が実行される場合、図12のステップSB30の処理は省略されることが好ましい。
【0116】
図13を参照して、コントローラ101は、ステップSC10で、前工程基板投入フラグの値が1であるか否かを判断する。前工程基板投入フラグとは、基板処理システムにおいて、リフロー炉100よりも前に基板を処理する特定の装置(検査装置230等)に基板が投入されている場合には「1」とされ、投入されていない場合には「0」とされるフラグである。コントローラ101は、たとえば上記特定の装置のコントローラ(図3の「コントローラ200」)から基板投入の有無についての信号を受信することにより、前工程基板投入フラグの値を更新し、残待機時間算出処理において利用する。
【0117】
そして、ステップSC10で、前工程基板投入フラグの値が「1」であると判断すると、コントローラ101は、ステップSC20へ処理を進める。
【0118】
ステップSC10の後、ステップSC20で、コントローラ101は、残待機時間をカウントダウンさせて、ステップSC30へ処理を進める。ここで、残待機時間の初期値は、上記特定の装置からリフロー炉まで基板が直行する場合のタクトタイムである。なお、上記特定の装置からリフロー炉までの間、基板(ワーク90)が、複数の装置を経る場合には、上記初期値は各装置におけるタクトタイムの総和である。そして、ステップSC20では、当該初期値からカウントダウンが行なわれることによって残待機時間が更新される。2回目以降のステップSC20では、更新後の残待機時間からカウントダウンされる。
【0119】
ステップSC20の後、コントローラ101は、残待機時間が0を超えているか否かを判断し、超えていると判断するとステップSC40へ処理を進め、0以下であると判断するとステップSC50へ処理を進める。
【0120】
ステップSC40では、コントローラ101は、前工程運転フラグが0であるか否かを判断する。前工程運転フラグは、上記した特定の装置が正常に稼動しているか否かを示すフラグであり、正常に稼動しているときには値は「1」であり、正常に稼動していないとき(異常の発生等)には値は「0」である。コントローラ101は、上記特定の装置と通信することにより、前工程運転フラグの値を適宜更新する。たとえば、コントローラ101は、当該特定の装置において非常ランプ(非常ランプ239等)に送信される点灯/消灯信号を受信し、当該信号の内容に基づいて、前工程運転フラグの値を更新しても良い。つまり、たとえば、非常ランプに当該非常ランプを点灯させる信号が送信されたときには、前工程運転フラグが「0」に更新され、当該非常ランプを消灯させる信号が送信されたときには、前工程運転フラグが「1」に更新される。そして、前工程運転フラグの値が「1」であればステップSC20へ処理が戻される。一方、前工程運転フラグの値が「0」であれば、コントローラ101は、ステップS20における残待機時間のカウントダウンを、前工程運転フラグの値が「1」に戻るまで、停止させる。そして、当該値が「1」に戻れば、ステップSC20でのカウントダウンを再開させる。
【0121】
以上説明した残待機時間算出処理によれば、残待機時間は、リフロー炉が設置される基板処理システムにおける、リフロー炉の前工程の装置の稼動状況に応じて、更新される。これにより、図12を参照して説明した運転制御処理において、不活性雰囲気室13内の環境を復帰させるべきタイミングとして、実情に沿ったタイミングを、利用できる。これにより、リフロー炉に基板が導入されるタイミングが前工程の装置の不具合等に応じて遅れた場合には、その遅れに応じて、より長く省エネモードでの制御を行なうことができる。これにより、リフロー炉に基板が導入されるタイミングに合わせて不活性雰囲気室13内の環境を復帰させつつ、より多くのエネルギの消費を抑えることができる。
【0122】
[第2の実施の形態]
本実施の形態のリフロー炉は、第1の実施の形態において説明されたリフロー炉と同様の構成とすることができる。ただし、本実施の形態では、上記したように、省エネモードにおける制御として、不活性雰囲気室13内の温度を上記第1の温度よりも低い温度で維持するためのヒータ11A〜11Nの動作の制御が実行される。以下、本実施の形態において実行される処理内容について、説明する。
【0123】
<基準復帰時間の設定(教示処理)>
図14は、本実施の形態において実行される教示処理のフローチャートである。
【0124】
図14を参照して、ステップSD10では、コントローラ101は、本教示処理において使用される変数nを1に初期化して、ステップSD20へ処理を進める。
【0125】
ステップSD20では、コントローラ101は、不活性雰囲気室13内の制御目標温度を仮制御温度Tnに設定して、ステップSD30へ処理を進める。ここで、仮制御温度Tnは、変数nの値に関連付けられて予め定められた値である。メモリ101Bには、教示処理において制御目標の温度として予め定められた、N個の仮制御温度(T1〜TN)を特定する情報が格納されている。ステップSD20では、コントローラ101は、メモリ101BからN個の仮制御温度のうちn番目の仮制御温度を特定する情報を取得し、設定する。これにより、不活性雰囲気室13内の温度(第7番目の加熱工程の雰囲気温度)が当該仮制御温度で維持されるように、ヒータ11A〜11Nのオン/オフが制御される。
【0126】
なお、N個の仮制御温度(T1〜TN)は、いずれも、不活性雰囲気室13におけるワーク90の熱処理に適した温度(第1の温度)よりも低い温度である。
【0127】
ステップSD30では、コントローラ101は、不活性雰囲気室13内の温度(第7番目の加熱工程の雰囲気温度)が仮制御温度Tnまで低下したか否かを判断し、低下したと判断するとステップSD40へ処理を進める。
【0128】
ステップSD40では、コントローラ101は、不活性雰囲気室13内の温度制御の目標を上記した第1の温度に戻し、また、不活性雰囲気室13内の指標(本実施の形態では、第7番目の加熱工程の雰囲気温度)の検出を開始して、ステップSD50へ処理を進める。
【0129】
ステップSD50では、コントローラ101は、不活性雰囲気室13内の温度が上記第1の温度まで上昇したか否かを判断する。そして、第1の温度まで上昇したと判断すると、コントローラ101は、ステップSD60へ処理を進める。
【0130】
ステップSD60では、コントローラ101は、消費電力と復帰時間を取得し、メモリ101Bに記録して、ステップSD70へ処理を進める。なお、ここでの消費電力とは、ステップSD20において不活性雰囲気室13内の温度の制御目標が仮制御温度Tnに変更された制御を開始させてからステップSD60で不活性雰囲気室13内の温度が第1の温度に復帰するまでの、ヒータ11A〜11Nにおける消費電力である。また、復帰時間とは、ステップSD40において制御目標を第1の温度に戻されてから、ステップSD50において上記雰囲気温度が第1の温度に到達したと判断されるまでの時間である。なお、ここでの「到達」は、「到達してから所定時間継続して第1の温度が保持される」とされる等、温度の復帰を特定するために一般的に利用される条件に置換され得る。
【0131】
ステップSD70では、コントローラ101は、変数nを1加算更新して、ステップSD80へ処理を進める。
【0132】
ステップSD80では、コントローラ101は、変数nの値が上記した期間の個数である「N」を超えたか否かを判断し、まだ超えてないと判断するとステップSD20へ処理を戻し、超えたと判断するとステップSD90へ処理を進める。
【0133】
つまり、コントローラ101は、ステップSD20〜ステップSD80の処理により、N個の仮制御温度のそれぞれについての「消費電力」と「復帰時間」を取得する。
【0134】
図15は、ステップSD20〜ステップSD80の処理によって取得されるデータを含む、本実施の形態の教示処理で利用されるデータの一例を示す図である。
【0135】
図15には、仮制御温度、ならびに、各仮制御温度についての、復帰時間、周期時間、周期、電力量/周期、電力量、および、省エネ率の各項目のデータが示されている。
【0136】
「仮制御温度」とは、上記したTnである。
「復帰時間」とは、各仮制御温度についてステップSD60で取得された復帰時間である。
【0137】
「周期時間」とは、ステップSD20において制御目標を仮制御温度に変更されてからステップSD50で不活性雰囲気室13内の温度が第1の温度に到達したと判断されるまでの時間である。
【0138】
「周期」とは、特定の時間(この例では、3.5時間(210分))において、上記周期時間を繰り返すことができる回数であり、「特定の時間」を「周期時間」で除して得られる値である。
【0139】
「電力量/周期」とは、上記した周期時間において消費された電力量であり、ステップSD60で取得される消費電力量である。
【0140】
「電力量」とは、上記「電力量/周期」と上記「周期」の積であり、具体的には、上記特定の時間において、仮制御温度への制御目標の変更とその後の第1の温度までの復帰が繰り返された際に消費されると想定される消費電力量である。
【0141】
図15では、仮制御温度が第1の温度(230℃)とされた場合として、上記特定の時間の間連続的にヒータ11A〜11Nに電力が供給された場合のデータも示されている。
【0142】
そして、「省エネ率」とは、「仮制御温度」が第1の温度である場合の「電力量」に対する「電力量」の差であり、上記特定の時間の間に、連続的に運転した場合に対して消費を抑えることができる電力量に相当する。
【0143】
図15には、仮制御温度が230℃(連続的な第1の温度での温度制御)、223℃、215℃、200℃、185℃、170℃、155℃、140℃、125℃、110℃、95℃、80℃、65℃、および、50℃についてのデータが示されている。
【0144】
図15において、たとえば仮制御温度が223℃と80℃では、「電力量」は「10.5KWh」と「3.5KWh」である。そして、これらの期間では、仮制御温度が長くなるほど「電力量」が低下している。仮制御温度が65℃のとき、「電力量」は80℃のものと変化がない。そして、仮制御温度が50℃のとき、「電力量」は「4.0KWh」となり、80℃および65℃のものに対して、若干上昇している。
【0145】
また、仮制御温度が223℃と80℃では、「省エネ率」は「5%」と「64%」である。そして、「省エネ率」も、仮制御温度の変化に対して、「電力量」と同様の傾向を示している。
【0146】
図14に戻って、ステップSD90では、コントローラ101は、上記した仮制御温度の変化に伴う、「消費電力」(図15の「電力量」)と「復帰時間」(図15の「復帰時間」)の変化を示すグラフを表示するための画面データを作成し、PC300に送信する。ステップSD90の処理により、PC300のモニタでは、当該グラフが表示される。なお、コントローラ101がモニタを備え、当該グラフがコントローラ101のモニタにおいて表示される場合も有り得る。
【0147】
図16は、ステップSD90の処理によって表示されるグラフの一例を模式的に示す図である。
【0148】
図16には、グラフ911とグラフ912の2つのグラフが示されている。グラフ911は、仮制御温度の変化に伴う「消費電力」(図15の「電力量」)の変化を示すグラフである。また、グラフ912は、仮制御温度の変化に伴う「復帰時間」(図15の「復帰時間」)の変化を示すグラフである。
【0149】
グラフ911とグラフ912では、仮制御温度を示す横軸の左右方向の位置が共通している。したがって、図16に示されたグラフを見ることにより、ユーザは、後述するように省エネモードにおける制御目標温度として設定した場合、当該制御目標温度に対応する仮制御温度に対応する情報として、上記した特定の時間において消費することが予想される電力量と、不活性雰囲気室13内の環境(温度)を復帰させるのに必要な時間とを、認識することができる。
【0150】
なお、グラフ911とグラフ912には、各データに基づいて作成された近似関数が太線で示されている。コントローラ101は、図15に示されたような仮制御温度の変化に伴った電力量や復帰時間の実測値に基づいて近似関数を生成し、グラフ911とグラフ912に示されるように、当該実測値と併せて表示させることも有り得る。
【0151】
図14に戻って、ステップSD90の後、コントローラ101は、ステップSD100で、実際の運転時に、省エネモードで不活性雰囲気室13内の温度の制御目標となる温度(以下、「省エネ制御温度(Tes)」とも称する)の指定を受付けて、ステップSD110へ処理を進める。
【0152】
ユーザは、たとえば図16に示されたグラフを参照しながら、省エネ制御温度(Tes)を指定することができる。具体的には、たとえば、ユーザは、PC300において、図16において示されるような一点鎖線の位置を左右方向に移動させることにより仮制御温度を特定する操作、および、当該特定した仮制御温度を省エネ制御温度(Tes)として指定するための操作を行なうことにより、PC300からインターフェース101Cを介してコントローラ101に、省エネ制御温度(Tes)を指定するための情報が入力される。
【0153】
ここで、省エネ制御温度(Tes)として指定される時間は、図15に「仮制御温度」として示される、電力量等の実測値を有する温度に限定されない。
【0154】
なお、PC300における仮制御温度の特定の際には、図16において破線の矢印で示されるように、当該仮制御温度に対応する電力量と復帰時間とを示すような情報がPC300において表示されても良い。このような対応する電力量と復帰時間の表示は、たとえばコントローラ101上でCGIとして実現される。つまり、たとえば、演算装置101AがPC300からの要求に応じてメモリ101Bに格納されたCGIプログラムを実行することにより、PC300において特定された省エネ制御温度に対応する電力量と復帰時間を表示させるデータがコントローラ101からPC300に送信される。なお、図15のデータは、たとえばメモリ101Bに格納される場合、演算装置101Aは、当該データを利用して、上記CGIプログラムを実行する。
【0155】
図14に戻って、ステップSD110では、コントローラ101は、ステップSD100で指定を受付けた省エネ制御温度(Tes)をメモリ101Bに格納し、また、上記近似関数または図15の実測値において、当該省エネ制御温度(Tes)と同じ温度の仮制御温度に対応する復帰時間を「基準復帰時間(tr)」として格納して、処理を終了する。
【0156】
なお、本実施の形態の教示処理においても、図22を参照して説明したように、設定された省エネ制御温度(Tes)に対応して、特定の時間において、消費が抑えられると予測される電力量が提示されても良い。
【0157】
<通常の運転制御>
図12を参照して説明した第1の実施の形態の「通常の運転処理」では、所定の条件が成立したことに応じて、運転モードが通常モードから省エネモードに移行する。そして、残待機時間が基準復帰時間(tr)以上でなくなったことを条件として、運転モードが省エネモードから通常モードに戻される。
【0158】
なお、本実施の形態の通常モードでは、不活性雰囲気室13内の温度の制御目標は、第1の温度とされる。そして、省エネモードでは、不活性雰囲気室13内の温度の制御目標が、第1の温度よりも低い省エネ制御温度(Tes)へと変更される。
【0159】
本実施の形態では、不活性雰囲気室13内でワーク90の熱処理が行なわれる場合には、不活性雰囲気室13内の制御温度が第1の温度に制御される。そして、所定の条件が成立した場合、省エネモード(不活性雰囲気室13内の制御目標が通常モードよりも温度が低いモード)で、リフロー炉が制御される。これにより、ヒータ11A〜11Nの消費電力を確実に抑えることができる。
【0160】
[第3の実施の形態]
第1の実施の形態において説明したように、リフロー炉において、不活性雰囲気室13への窒素ガスの供給を停止すると、不活性雰囲気室13内の酸素濃度が上昇する。したがって、再度、不活性雰囲気室13にワーク90を導入して(ワーク90の)はんだを溶解させるためには、窒素バルブ16を開いて不活性雰囲気室13内の酸素濃度を適切な濃度にまで低下させる必要がある。
【0161】
本実施の形態では、省エネモードにおける制御として、不活性雰囲気室13内の酸素濃度を通常モードよりも高い濃度で維持するように、窒素バルブ16の開閉が制御される。つまり、本実施の形態では、消費を抑えるエネルギは、圧力エネルギであり、当該エネルギの消費量は不活性雰囲気室13に対する窒素ガスの供給量(消費量)によって表される。以下、本実施の形態において実行される処理内容について、説明する。
【0162】
<基準復帰時間の設定(教示処理)>
図17は、本実施の形態において実行される教示処理のフローチャートである。
【0163】
図17を参照して、ステップSE10では、コントローラ101は、本教示処理において使用される変数nを1に初期化して、ステップSE20へ処理を進める。
【0164】
ステップSE20では、コントローラ101は、不活性雰囲気室13内の酸素濃度の制御目標を仮酸素濃度Cnにして、ステップSE30へ処理を進める。ここで、仮酸素濃度Cnは、変数nの値に関連付けられて予め定められた値である。メモリ101Bには、教示処理において酸素濃度の制御目標として予め定められた、N個の仮酸素濃度(C1〜CN)を特定する情報が格納されている。ステップSE20では、コントローラ101は、メモリ101BからN個の仮酸素濃度のうちn番目の仮酸素濃度を特定する情報を取得し、設定する。これにより、不活性雰囲気室13内の酸素濃度が当該仮酸素濃度で維持されるように、窒素バルブ16の開閉が制御される。
【0165】
なお、N個の仮酸素濃度(C1〜CN)は、いずれも、不活性雰囲気室13におけるワーク90の熱処理に適した酸素濃度(第1の濃度)よりも高い濃度である。
【0166】
ステップSE30では、コントローラ101は、不活性雰囲気室13内の酸素濃度が仮酸素濃度Cnまで上昇したか否かを判断し、上昇したと判断するとステップSE40へ処理を進める。
【0167】
ステップSE40では、コントローラ101は、不活性雰囲気室13内の酸素濃度の制御目標を上記した第1の濃度に戻し、また、不活性雰囲気室13内の指標(本実施の形態では、酸素濃度)の検出を開始して、ステップSE50へ処理を進める。
【0168】
ステップSE50では、コントローラ101は、不活性雰囲気室13内の酸素濃度が上記第1の濃度まで低下したか否かを判断する。そして、第1の濃度まで低下したと判断すると、コントローラ101は、ステップSE60へ処理を進める。
【0169】
ステップSE60では、コントローラ101は、窒素ガスの消費量と復帰時間を取得し、メモリ101Bに記録して、ステップSE70へ処理を進める。なお、ここでの窒素ガスの消費量力とは、ステップSE20において不活性雰囲気室13内の酸素濃度の制御目標が仮酸素濃度Cnに変更された制御を開始させてからステップSE60で不活性雰囲気室13内の酸素濃度が第1の濃度に復帰するまでに、窒素ライン14を介して不活性雰囲気室13に導入された窒素ガスの量である。また、復帰時間とは、ステップSE40において制御目標を第1の濃度に戻されてから、ステップSE50において酸素濃度が第1の濃度に到達したと判断されるまでの時間である。なお、ここでの「到達」は、「到達してから所定時間継続して第1の濃度が保持される」とされる等、濃度の復帰を特定するために一般的に利用される条件に置換され得る。
【0170】
ステップSE70では、コントローラ101は、変数nを1加算更新して、ステップSE80へ処理を進める。
【0171】
ステップSE80では、コントローラ101は、変数nの値が上記した期間の個数である「N」を超えたか否かを判断し、まだ超えてないと判断するとステップSE20へ処理を戻し、超えたと判断するとステップSE90へ処理を進める。
【0172】
つまり、コントローラ101は、ステップSE20〜ステップSE80の処理により、N個の仮酸素濃度のそれぞれについての「窒素ガスの消費量(N2消費量)」と「復帰時間」を取得する。
【0173】
図18は、ステップSE20〜ステップSE80の処理によって取得されるデータを含む、本実施の形態の教示処理で利用されるデータの一例を示す図である。
【0174】
図18には、仮酸素濃度、ならびに、各仮酸素濃度についての、復帰時間、周期時間、周期、消費量/周期、消費量、および、省エネ率の各項目のデータが示されている。
【0175】
「仮酸素濃度」とは、上記したCnである。
「復帰時間」とは、各仮酸素濃度についてステップSE60で取得された復帰時間である。
【0176】
「周期時間」とは、この例では、60分である。
「周期」とは、上記特定の時間(この例では、3.5時間(210分))において、上記周期時間を繰り返すことができる回数であり、「特定の時間」を「周期時間」で除して得られる値である。
【0177】
「消費量/周期」とは、上記した周期時間において消費された窒素ガスの消費量であり、ステップSE60で取得される消費量である。
【0178】
「消費量」とは、上記「消費量/周期」と上記「周期」の積であり、具体的には、上記特定の時間において、仮酸素濃度への制御目標の変更とその後の第1の濃度までの復帰が繰り返された際に消費されると想定される窒素ガスの消費量である。
【0179】
図18では、仮酸素濃度が第1の濃度(4000PPM)とされた場合として、上記特定の時間の間当該第1の濃度で不活性雰囲気室13が維持された場合のデータも示されている。
【0180】
そして、「省エネ率」とは、「仮酸素濃度」が第1の濃度である場合の「消費量」に対する「消費量」の差であり、上記特定の時間の間に、連続的に運転した場合に対して消費を抑えることができる消費量に相当する。
【0181】
図18には、仮酸素濃度が4000PPM(連続的な第1の濃度での制御)、4500PPM、5000PPM、5500PPM、6000PPM、6500PPM、7000PPM、7500PPM、8000PPM、8500PPM、9000PPM、9500PPM、および、10000PPMについてのデータが示されている。
【0182】
図18において、たとえば仮酸素濃度が4500PPMでは、「消費量」は「26.1m3」である。そして、仮酸素濃度が高くなるほど「消費量」が低下している。
【0183】
また、仮酸素濃度が4500PPMでは、「省エネ率」は「11%」である。そして、「省エネ率」も、仮酸素濃度の変化に対して、「消費量」と同様の傾向を示している。
【0184】
図17に戻って、ステップSE90では、コントローラ101は、上記した仮酸素濃度の変化に伴う、「消費量」と「復帰時間」の変化を示すグラフを表示するための画面データを作成し、PC300に送信する。ステップSE90の処理により、PC300のモニタでは、当該グラフが表示される。なお、コントローラ101がモニタを備え、当該グラフがコントローラ101のモニタにおいて表示される場合も有り得る。
【0185】
図19は、ステップSE90の処理によって表示されるグラフの一例を模式的に示す図である。
【0186】
図19には、グラフ921とグラフ922の2つのグラフが示されている。グラフ921は、仮酸素濃度の変化に伴う「消費電力」(図18の「消費量」)の変化を示すグラフである。また、グラフ922は、仮酸素濃度の変化に伴う「復帰時間」(図18の「復帰時間」)の変化を示すグラフである。
【0187】
グラフ921とグラフ922では、仮酸素濃度を示す横軸の左右方向の位置が共通している。したがって、図19に示されたグラフを見ることにより、ユーザは、後述するように省エネモードにおける制御目標濃度(省エネ酸素濃度)を設定した場合、当該省エネ酸素濃度に対応する仮酸素濃度に対応する情報として、上記した特定の時間において消費することが予想される消費量と、不活性雰囲気室13内の環境(濃度)を復帰させるのに必要な時間とを、認識することができる。
【0188】
なお、グラフ921とグラフ922には、各データに基づいて作成された近似関数が太線で示されている。コントローラ101は、図18に示されたような仮酸素濃度の変化に伴った消費量や復帰時間の実測値に基づいて近似関数を生成し、グラフ921とグラフ922に示されるように、当該実測値と併せて表示させることも有り得る。
【0189】
図17に戻って、ステップSE90の後、コントローラ101は、ステップSE100で、実際の運転時に、省エネモードで不活性雰囲気室13内の温度の制御目標となる温度(以下、「省エネ酸素濃度(Ces)」とも称する)の指定を受付けて、ステップSE110へ処理を進める。
【0190】
ユーザは、たとえば図19に示されたグラフを参照しながら、省エネ酸素濃度(Ces)を指定することができる。具体的には、たとえば、ユーザは、PC300において、図19において示されるような一点鎖線の位置を左右方向に移動させることにより仮酸素濃度を特定する操作、および、当該特定した仮酸素濃度を省エネ酸素濃度(Ces)として指定するための操作を行なうことにより、PC300からインターフェース101Cを介してコントローラ101に、省エネ酸素濃度(Ces)を指定するための情報が入力される。
【0191】
ここで、省エネ酸素濃度(Ces)として指定される濃度は、図18に「仮酸素濃度」として示される、消費量等の実測値を有する濃度に限定されない。
【0192】
なお、PC300における仮酸素濃度の特定の際には、図19において破線の矢印で示されるように、当該仮酸素濃度に対応する消費量と復帰時間とを示すような情報がPC300において表示されても良い。このような対応する消費量と復帰時間の表示は、たとえばコントローラ101上でCGIとして実現される。つまり、たとえば、演算装置101AがPC300からの要求に応じてメモリ101Bに格納されたCGIプログラムを実行することにより、PC300において特定された省エネ酸素濃度に対応する消費量と復帰時間を表示させるデータがコントローラ101からPC300に送信される。なお、図18のデータは、たとえばメモリ101Bに格納される場合、演算装置101Aは、当該データを利用して、上記CGIプログラムを実行する。
【0193】
図17に戻って、ステップSE110では、コントローラ101は、ステップSE100で指定を受付けた省エネ酸素濃度(Ces)をメモリ101Bに格納し、また、上記近似関数または図18の実測値において、当該省エネ酸素濃度(Ces)と同じ濃度の仮酸素濃度に対応する復帰時間を「基準復帰時間(tr)」として格納して、処理を終了する。
【0194】
なお、本実施の形態の教示処理においても、図22を参照して説明したように、設定された省エネ酸素濃度(Ces)に対応して、特定の時間において、消費が抑えられると予測される消費量が提示されても良い。
【0195】
<通常の運転制御>
図12を参照して説明した第1の実施の形態の「通常の運転処理」では、所定の条件が成立したことに応じて、運転モードが通常モードから省エネモードに移行する。そして、残待機時間が基準復帰時間(tr)以上でなくなったことを条件として、運転モードが省エネモードから通常モードに戻される。
【0196】
本実施の形態の通常モードでは、不活性雰囲気室13内の酸素濃度の制御目標が、第1の濃度とされる。そして、省エネモードでは、不活性雰囲気室13内の酸素濃度の制御目標が、第1の濃度よりも高い省エネ酸素濃度(Ces)へと変更される。
【0197】
本実施の形態では、不活性雰囲気室13内でワーク90の熱処理が行なわれる場合には、不活性雰囲気室13内の酸素濃度が第1の濃度以下に制御される。そして、所定の条件が成立した場合、省エネモード(不活性雰囲気室13内の制御目標が通常モードよりも酸素濃度が高いモード)で、リフロー炉が制御される。これにより、窒素ガスの消費量を確実に抑えることができる。
【0198】
[その他の変形例等]
以上説明した実施の形態では、不活性雰囲気室13に窒素ガスを導入して、当該不活性雰囲気室13内の酸素濃度を低下させていたが、このような制御は、上記したようにワーク90に使用されるはんだが鉛フリーのはんだである場合等、特別な場合に限られる。つまり、本発明に係るリフロー炉では、不活性雰囲気室13において窒素ガスの導入を必要としない場合も考えられる。
【0199】
今回開示された各実施の形態およびその変形例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0200】
また、各実施の形態およびその変形例は、単独でも、また必要に応じて適宜組み合わされて、実施されることが意図される。
【符号の説明】
【0201】
11A〜11N ヒータ、16 N2バルブ、22 温度センサ、80 O2濃度センサ、100 リフロー炉、101 コントローラ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱炉の制御に関し、特に、適切な態様での加熱炉におけるエネルギ消費の低減に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、エネルギ消費の低減について、種々検討がなされ、その中でも産業分野におけるエネルギ消費の低減については、種々の技術が提案されている。
【0003】
たとえば、非特許文献1(伊藤貞芳,村上友康,領木直矢,田端大助,松田直子,中裕之、「省エネソリューション技術による省エネトップランナー工場の実現」、Panasonic Technical Journal Vol.57 No.1 Apr. 2011、[online]、平成23年4月、検索日(平成23年9月20日)、インターネット<URL:http://panasonic.co.jp/ptj/v5701/pdf/p0106.pdf>)には、工場内で使用されるエネルギを削減するための技術が開示されている。当該技術では、リフロー炉や乾燥炉や焼成炉などの生産待機状態に、給排気風量を低下させる省エネ待機モードが導入されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】伊藤貞芳,村上友康,領木直矢,田端大助,松田直子,中裕之、「省エネソリューション技術による省エネトップランナー工場の実現」、Panasonic Technical Journal Vol.57 No.1 Apr. 2011、[online]、平成23年4月、検索日(平成23年9月20日)、インターネット<URL:http://panasonic.co.jp/ptj/v5701/pdf/p0106.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
エネルギ問題は、常に検討を必要とされる問題である。ただし、特に工場内でのエネルギ消費の低減を図る場合、製品の生産効率の維持との両立も考慮される必要がある。
【0006】
本発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、工場内でのエネルギ消費の低減と生産効率の維持の両立を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施の形態に従った制御装置は、加熱炉の制御装置であって、加熱炉の炉内にエネルギを供給するための供給部の動作を制御するための制御手段を備えた、加熱炉の制御装置であって、制御手段は、供給部を、加熱炉の炉内の状態を当該加熱炉の炉内で被加熱物を熱処理するための第1の状態で維持するための第1の条件に従って動作させ、所定の条件が成立した場合に、供給部を、加熱炉の炉内の状態を第1の状態に維持するよりもエネルギ消費量が低い状態で制御するための第2の条件に従って動作させ、供給部が第2の条件に従って動作している状態から加熱炉を第1の状態に復帰させるまでに要する時間である基準復帰時間を記憶するための記憶手段をさらに備え、制御手段は、供給部を第2の条件で動作させている場合に、加熱炉を第1の状態に復帰させるべきタイミングまでの残り時間が基準復帰時間以下となったとき、供給部を、加熱炉を第1の状態で維持するように動作させる。
【0008】
好ましくは、記憶手段は、第2の条件の内容として、複数の内容を記憶し、制御手段は、第2の条件の複数の内容のそれぞれについて、当該第2の条件に従った制御から加熱炉を第1の状態に復帰させるまでに、要した時間である予備復帰時間と、供給部が消費したエネルギ量である消費エネルギ量とを、計測し、提示する。
【0009】
好ましくは、基準復帰時間を入力するための入力手段をさらに備え、制御手段は、予備復帰時間と消費エネルギ量の計測結果において、入力手段に基準復帰時間として入力された時間が予備復帰時間であるとした場合の、当該予備復帰時間に対応する消費エネルギ量を提示する。
【0010】
好ましくは、第2の条件に従った制御では、制御手段は、供給部による加熱炉へのエネルギの供給を一時的に停止する。
【0011】
好ましくは、第1の状態は、加熱炉の炉内の温度が特定の温度以上である状態であり、第2の条件に従った制御では、制御手段は、加熱炉の炉内の温度を特定の温度よりも低い温度で維持する。
【0012】
好ましくは、第1の状態は、加熱炉の炉内の酸素濃度が特定の濃度以下である状態であり、第2の条件に従った制御では、制御手段は、加熱炉の炉内の酸素濃度を特定の濃度よりも高い濃度で維持する。
【0013】
好ましくは、所定の条件は、当該加熱炉の炉内の被加熱物がないことを条件とする。
好ましくは、所定の条件は、さらに第2の条件に従った制御となるべき時間が基準復帰時間以上となる。
【0014】
好ましくは、第2の条件に従った制御となるべき時間は、当該加熱炉の前工程の被加熱物の有無によって決定される。
【0015】
本発明に従った制御プログラムは、好ましくは、加熱炉の炉内にエネルギを供給するための供給部の動作を制御するコンピュータによって実行されるプログラムであって、コンピュータに、加熱炉の炉内の状態を当該加熱炉の炉内で被加熱物を熱処理するための第1の状態で維持するための第1の条件に従って、供給部を動作させるステップと、所定の条件が成立した場合に、加熱炉の炉内の状態を第1の状態に維持するよりもエネルギ消費量が低い状態で制御するための第2の条件に従って、供給部を動作させるステップと、供給部を第2の条件で動作させている場合に、加熱炉を第1の状態に復帰させるべきタイミングまでの残り時間が、供給部が第2の条件に従って動作している状態から加熱炉を第1の状態に復帰させるまでに要する時間である基準復帰時間以下となったときに、加熱炉を第1の状態で維持するように、供給部を動作させるステップとを実行させる。
【0016】
本発明に従った加熱炉の制御方法は、加熱炉の制御装置が、当該加熱炉の炉内にエネルギを供給するための供給部の動作を制御するための制御方法であって、加熱炉の炉内の状態を当該加熱炉の炉内で被加熱物を熱処理するための第1の状態で維持するための第1の条件に従って、供給部を動作させるステップと、所定の条件が成立した場合に、加熱炉の炉内の状態を第1の状態に維持するよりもエネルギ消費量が低い状態で制御するための第2の条件に従って、供給部を動作させるステップと、供給部を第2の条件で動作させている場合に、加熱炉を第1の状態に復帰させるべきタイミングまでの残り時間が、供給部が第2の条件に従って動作している状態から加熱炉を第1の状態に復帰させるまでに要する時間である基準復帰時間以下となったときに、加熱炉を第1の状態で維持するように、供給部を動作させるステップとを実行させる。
【0017】
本発明に従った加熱炉は、上記したいずれかの制御装置と、加熱炉の炉内にエネルギを供給するための供給部とを備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、制御装置は、所定の条件が成立した場合、加熱炉の炉内にエネルギを供給する供給部を、炉内の環境が被加熱物を熱処理する場合よりも低温または高酸素濃度などエネルギ消費量が低い状態となることを許容する態様で、制御する。また、被加熱物の熱処理が再開されるまでの残り時間が基準復帰時間以下となった場合、そのような態様での制御を終了して、被加熱物を熱処理するための態様での制御で供給部を制御する。
【0019】
これにより、工場内でのエネルギ消費の低減と生産効率の維持の両立を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施の形態にかかるリフロー炉を含む基板処理システムの全体構成を示す図である。
【図2】当該リフロー炉の構成を模式的に示す図である。
【図3】図2のリフロー炉の制御ブロック図である。
【図4】不活性雰囲気室13に導入される基板の数の時間変化を模式的に示す図である。
【図5】ヒータ11A〜11Nによって消費される電力の時間変化(実線)と、その運転開始時からの積算値(一点鎖線)とを模式的に示す図である。
【図6】不活性雰囲気室13内の第7番目の加熱工程(ヒータ11Mとヒータ11Nが配置された位置における加熱工程)における雰囲気温度の時間変化を模式的に示す図である。
【図7】流量計15において検出される窒素流量の時間変化(実線)と、その積算値(一点鎖線)とを模式的に示す図である。
【図8】酸素濃度センサ80によって検出される酸素濃度の時間変化を模式的に示す図である。
【図9】コントローラ101において実行される、上記した基準復帰時間を設定するための処理(教示処理)のフローチャートである。
【図10】ステップSA20〜ステップSA80の処理によって取得されるデータを含む、教示処理で利用されるデータの一例を示す図である。
【図11】ステップSA90の処理によって表示されるグラフの一例を模式的に示す図である。
【図12】運転制御処理のフローチャートである。
【図13】残待機時間算出処理のフローチャートの一例である。
【図14】本発明の第2の実施の形態において実行される教示処理のフローチャートである。
【図15】ステップSD20〜ステップSD80の処理によって取得されるデータを含む、本実施の形態の教示処理で利用されるデータの一例を示す図である。
【図16】ステップSD90の処理によって表示されるグラフの一例を模式的に示す図である。
【図17】本発明の第3の実施の形態において実行される教示処理のフローチャートである。
【図18】ステップSE20〜ステップSE80の処理によって取得されるデータを含む、本実施の形態の教示処理で利用されるデータの一例を示す図である。
【図19】ステップSE90の処理によって表示されるグラフの一例を模式的に示す図である。
【図20】リフロー炉における運転モードの切り替わりの一例を説明するための図である。
【図21】本発明の実施の形態の加熱炉における温度変化のパターンの例を模式的に示す図である。
【図22】消費が抑えられると予測される電力量を提示するための画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の加熱炉の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、同一の構成要素には各図において同一の符号を付し、詳細な説明は繰返さない。
【0022】
なお、以下の実施の形態では、加熱炉の一例としてリフロー炉を挙げるが、本発明にかかる加熱炉はリフロー炉に限定されず、炉内で処理対象物を加熱するものであれば、乾燥炉や焼成炉であってもよい。
【0023】
[第1の実施の形態]
<概略構成>
図1は、本実施の形態にかかるリフロー炉を含む基板処理システムの全体構成を示す図である。図2は、当該リフロー炉の構成を模式的に示す図である。また、図3は、図2のリフロー炉の制御ブロック図である。
【0024】
(1) 基板処理システムの概略構成
図1の基板処理システムは、プリント基板に電子部品を実装するためのシステムである。
【0025】
図1を参照して、基板処理システムでは、処理されるプリント基板が、ローダ210、半田印刷機220、検査装置230、高速マウンタ240、高精度マウンタ250、検査装置260、リフロー炉100、アンローダ310の順に送られる。図1中の矢印D1は、プリント基板の搬送方向を示している。
【0026】
ローダ210から送られたプリント基板は、半田印刷機220においてはんだを印刷され、当該印刷の態様が検査装置230で検査された後、高速マウンタ240および高精度マウンタ250で電子部品をマウントされ、さらに、当該マウントの態様が検査装置260で検査され、そして、電子部品をマウントされたプリント基板がリフロー炉100に送られる。本明細書では、リフロー炉100に送られた、電子部品をマウントされたプリント基板を、「ワーク」と呼ぶ。
【0027】
そして、リフロー炉100で、はんだを溶解させて電子部品が固定された後、ワークは、アンローダ310を介して、種々の工程に送られる。
【0028】
なお、ローダ210、半田印刷機220、検査装置230、高速マウンタ240、高精度マウンタ250、検査装置260、リフロー炉100、および、アンローダ310は、非常ランプ219,229,239,249,259,269,109,319をそれぞれ備え、また、その動作がそれぞれの制御装置によって制御される。そして、当該制御装置は、それぞれにおいて非常事態が発生した場合には、各装置に対応する非常ランプを点灯させる。
【0029】
(2) リフロー炉の概略構成
図2を参照して、リフロー炉100内では、検査装置260から送り込まれたワーク90が、コンベア80上に載置されて、リフロー炉100中で輸送される。図2中の矢印D2は、コンベア80の回転方向を示している。
【0030】
リフロー炉には、不活性雰囲気室13が設けられている。不活性雰囲気室13の上流側にはダクト56Aが、下流側にはダクト56Bが設けられている。
【0031】
ダクト56A,56Bには、それぞれ、ファン50A,50B、および、開閉板52A,52Bが設けられている。ファン50A,50Bは、モータ51A,51Bによって駆動され、モータ51A,51Bは、インバータ55A,55Bから電力を供給される。
【0032】
開閉板52A,52Bは、ダクト56A,56Bのそれぞれにおいて空気が流れる度合いを調整するために設けられている。開閉板52A,52Bによるダクト56A,56B内の送風路の開閉度合いは、ダンパ用モータ53A,53Bによってそれぞれ制御される。
【0033】
ワーク90に使用されているはんだが、いわゆる鉛フリーのはんだである場合等、酸素濃度を低下させることが望ましい場合、不活性雰囲気室13には、酸素濃度を低下させるために、窒素ライン14を介して窒素ガスが送られる。不活性雰囲気室13への窒素ガスの導入量は、窒素バルブ(以下、「N2バルブ」とも称する)16の開閉度が制御されることによって、制御される。なお、窒素ライン14における窒素ガスの流量は、流量計15によって検出される。また、リフロー炉には、不活性雰囲気室13内の酸素濃度を検出するための酸素濃度センサ(以下、「O2濃度センサ」とも称する)80が設けられている。
【0034】
不活性雰囲気室13内では、7段階でワークを加熱するために、ヒータ11A,11B、ヒータ11C,11D、ヒータ11E,11F、ヒータ11G,11H、ヒータ11I,11J、ヒータ11K,11L、ヒータ11M,11Nの7組の加熱装置が設けられている。各組の加熱装置は、コンベア80の上方に配置されたヒータと下方に配置されたヒータを含む。リフロー炉では、ヒータ11A〜11Nで消費された電力が電力計70によって計測される。
【0035】
また、各ヒータの近傍には、不活性雰囲気室13内の空気を攪拌するために、ファン12A,12B、ファン12C,12D、ファン12E,12F、ファン12G,12H、ファン12I,12J、ファン12K,12L、ファン12M,12Nが設けられている。
【0036】
不活性雰囲気室13において、ヒータ11A,11B、ヒータ11C,11D、ヒータ11E,11F、ヒータ11G,11H、ヒータ11I,11J、ヒータ11K,11L、ヒータ11M,11Nによって加熱されたワーク90は、ダクト56Bに送られ、チラー60によって冷却される。チラー60は、冷却管61,62を備える。その後、ワーク90は、次工程(たとえば、図1のアンローダ310)に送られる。
【0037】
不活性雰囲気室13およびダクト56Bには、図示せぬ温度センサが設けられている。温調ユニット102は、当該温度センサによって検出される温度に基づいて、ヒータ11A〜11Nの動作をフィードバック制御する。また、リフロー炉には、電力計70や酸素濃度センサ80の検出出力に基づいて、ヒータ11A〜11N等の各要素の動作を全体的に制御するためのコントローラ101が設けられている。
【0038】
コントローラ101には、モニタ等として機能するパーソナルコンピュータ(以下、「PC」とも称する)300や、検査装置230,260等の、基板処理システム(図1参照)においてリフロー炉100より前工程に設けられた装置を制御するための装置(コントローラ200)が接続されている。コントローラ101は、後述するように、PC300やコントローラ200から取得した情報に基づいても、ヒータ11A〜11N等の各要素の動作を制御する場合が有り得る。
【0039】
(3) リフロー炉の制御ブロック
図3を参照して、リフロー炉100では、コントローラ101は、図2を参照して説明したヒータ11A〜11N等の各要素に加え、不活性雰囲気室13内の7段階の加熱工程(各ヒータ組)のそれぞれにおける雰囲気温度およびダクト56Bのワーク90の通過領域近傍の雰囲気温度を検出するための温度センサ22、不活性雰囲気室13内に導入されている基板の数を検出する基板用センサ21、コンベア80を回転させるコンベアモータ81、および、図1を参照して説明した非常ランプ109に接続されている。なお、図3は、図2の温調ユニット102が、コントローラ101内に含まれるものとして記載されている。
【0040】
コントローラ101は、温度センサ22の検出出力に基づいて、ヒータ11A〜11Nの加熱動作等を、PID(Proportional Integral Differential)制御等のフィードバック制御で、各加熱工程について定められた温度に維持するように、制御する。また、コントローラ101は、窒素バルブ16の開閉度合いを、酸素濃度センサ80の検出出力に基づいてフィードバック制御する。また、コントローラ101は、温度センサ22によるダクト56B内の雰囲気温度の検出出力に基づいて、チラー60における冷却管61,62における冷媒の循環量等、ダクト56B内の雰囲気の冷却態様を制御する。
【0041】
また、コントローラ101は、不活性雰囲気室13内の温度が異常に上昇した場合や、コンベア80によるワーク90の搬送に支障が出た場合等、基板処理システムにおいて予定される動作を正常に実行できない事態が生じた場合には、ヒータ11A〜11Nによる加熱を停止する、コンベア80によるワーク90の搬送を停止させる、等の公知の措置を講じた後、非常ランプ109を点灯させる。これに応じて、作業員は、リフロー炉における不具合を除去した後、コントローラ101をリセットさせて、リフロー炉の運転を再開させる、等の措置を講じる。
【0042】
コントローラ101は、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置101Aと、プログラム等の各種のデータを記憶するためのメモリ101Bと、上記したPC300やコントローラ200とコントローラ101との通信の際に利用されるインターフェース101Cとを備える。インターフェース101Cは、たとえばネットワークカード等の通信装置によって実現される。そして、演算装置101Aが、たとえば当該メモリ101Bに格納されたプログラムを実行することによって、本明細書に記載されるようなコントローラ101による制御動作が実現される。ただし、コントローラ101は、当該コントローラ101の各機能を実現する1以上のハードウェア装置(LSI(Large Scale Integration)等)を備えることによって実現される場合も有り得る。
【0043】
なお、メモリ101Bは、コントローラ101の本体から着脱可能な記憶媒体によって実現される場合も有り得る。このような記憶媒体としては、CD−ROM(Compact Disk - Read Only Memory)、DVD−ROM(Digital Versatile Disk - Read Only Memory)、USB(Universal Serial Bus)メモリ、メモリカード、FD(Flexible Disk)、ハードディスク、磁気テープ、カセットテープ、MO(Magnetic Optical Disk)、MD(Mini Disk)、IC(Integrated Circuit)カード(メモリカードを除く)、光カード、マスクROM、EPROM、EEPROM(Electronically Erasable Programmable Read-Only Memory)などの、不揮発的にプログラムを格納する媒体が挙げられる。
【0044】
<リフロー炉における省エネルギ制御の概要>
図20は、リフロー炉における運転モードの切り替わりの一例を説明するための図である。なお、この図において、横方向は時間軸である。
【0045】
図20を参照して、コントローラ101は、リフロー炉の運転が開始されると、不活性雰囲気室13内の状態(温度、酸素濃度、等)をワーク90の熱処理に適した状態に維持するための通常モードで、リフロー炉の各要素を制御する。
【0046】
通常モードでの制御の実行中に、たとえば一定時間ワーク90が不活性雰囲気室13に搬送されなくなる等の所定の条件が成立すると、コントローラ101は、上記通常モードに対して、単位時間あたりのリフロー炉の消費電力量が低い省エネルギモード(以下、「省エネモード」とも称する)で、リフロー炉の各要素を制御する。なお、所定の条件は、前工程のコントローラ200、PC300、他の入力装置などからコントローラ101への入力によって決定する。
【0047】
省エネモードでの制御の実行中に、不活性雰囲気室13内の状態をワーク90の熱処理に適した状態に復帰させるべき時刻に対する残り時間(以下、「残待機時間」とも称する)が、不活性雰囲気室13内の状態を省エネモードの制御下の状態から上記熱処理に適した状態に戻すまでに要する時間(以下、「基準復帰時間」ともいう)以下となったことを条件として、コントローラ101は、リフロー炉の各要素の制御モードを、上記した通常モードに戻す。
【0048】
そして、通常モードが再開された後、不活性雰囲気室13内の状態が上記熱処理に適した状態に復帰したことを条件として、不活性雰囲気室13内に、再度ワーク90が搬送される。
【0049】
図21は、図20を参照して説明したように運転モードが切り替えられたときの、不活性雰囲気室13内の第7番目の加熱工程における雰囲気温度の変化の例を模式的に示す図である。なお、図21は、(A)と(B)の、温度変化の2つのパターンを含む。なお、図21(A)と図21(B)の双方において、縦軸は上記雰囲気温度を示し、横軸は時間を示す。また、これらの双方は、縦軸および横軸は同じスケールで記載されている。
【0050】
図21(A)の例では、上記雰囲気温度が第1の温度(図21(A)では「TP1」)に達した後、時刻TA1で、ヒータ11A〜11Nへの電力供給が停止される。これにより、以降、上記雰囲気温度は低下する。その後、時刻TA2で、ヒータ11A〜11Nへの電力供給が再開される。これにより、上記雰囲気温度が上昇し、時刻TA3で、当該雰囲気温度が上記TP1に復帰している。
【0051】
図21(B)の例では、上記雰囲気温度が上記TP1に達した後、時刻TB1で、ヒータ11A〜11Nへの電力供給が停止される。これにより、以降、上記雰囲気温度は低下する。その後、時刻TB2で、ヒータ11A〜11Nへの電力供給が再開される。これにより、上記雰囲気温度が上昇し、時刻TB3で、当該雰囲気温度が上記TP1に復帰している。
【0052】
なお、図21(A)と図21(B)を比較して、図21(A)に示された例の方が図21(B)に示された例よりも、ヒータ11A〜11Nへの電力の供給が停止された時間が長い。つまり、時刻TA1から時刻TA2までの時間の方が、時刻TB1から時刻TB2までの時間よりも長い。
【0053】
これにより、図21(A)に示された例の方が図21(B)に示された例よりも、上記雰囲気温度がより低い温度まで低下している。
【0054】
このことから、図21(A)に示された例の方が図21(B)に示された例よりも、ヒータ11A〜11Nへの電力供給後、上記雰囲気温度がTP1まで復帰するまでの時間が長い。つまり、時刻TA2から時刻TA3までの時間の方が、時刻TB2から時刻TB3までの時間よりも長い。
【0055】
さて、通常モードにおける温度制御としては、温度センサ22の検出出力に基づいて、不活性雰囲気室13内の温度がワーク90の熱処理に適した温度(以下、「第1の温度」とも称する)で維持されるようにヒータ11A〜11Nのオン/オフ(または、ヒータ11A〜11Nへの供給電力)が制御される。なお、本実施の形態では、上記した7段階の加熱工程の雰囲気温度のそれぞれが測定され、それぞれがワーク90の熱処理に適した温度になるように、ヒータ11A〜11Nの動作が制御される。そして、本明細書における「第1の温度」とは、これらのうち、7段階目の加熱工程における雰囲気温度について言うこととする。
【0056】
省エネモードにおける制御としては、たとえば、一定時間、ヒータ11A〜11Nへの電力供給が停止される制御(一定時間連続してヒータ11A〜11Nをオフにする)や、不活性雰囲気室13内の温度を上記第1の温度よりも低い温度で維持するためのヒータ11A〜11Nの動作の制御が挙げられる。なお、後者の制御においても、継続的にヒータ11A〜11Nの動作制御の実行中、不活性雰囲気室13内の温度が上記第1の温度以上である場合には、一時的にヒータ11A〜11Nがオフにされる場合も有り得る。これに対し、前者の制御、つまり、「ヒータ11A〜11Nへの電力供給が停止される制御」は、一定時間、ヒータ11A〜11Nへの電力供給が停止され、かつ、ヒータ11A〜11Nの動作の制御自体が実行されないことを意味する。本実施の形態では、省エネモードにおける制御として、前者の制御が説明される。なお、後者の制御は、第2の実施の形態において説明される。
【0057】
なお、具体的な省エネモードでの制御内容は、後述する。
<リフロー炉内の挙動>
図4は、不活性雰囲気室13に導入される基板の数の時間変化を模式的に示す図である。図5は、リフロー炉において消費される電力の時間変化(実線)と、その運転開始時からの積算値(一点鎖線)とを模式的に示す図である。図6は、不活性雰囲気室13内の第7番目の加熱工程(ヒータ11Mとヒータ11Nが配置された位置における加熱工程)における雰囲気温度の時間変化を模式的に示す図である。なお、図6において、実線(「上部」として示された方)は、第7番目の加熱工程が行なわれる領域のコンベア80より上方における検出温度を示し、実線(「下部」として示された方)は、第7番目の加熱工程が行なわれる領域のコンベア80より下方における検出温度を示す。図7は、流量計15において検出される窒素流量の時間変化(実線)と、その積算値(一点鎖線)とを模式的に示す図である。図8は、酸素濃度センサ80によって検出される酸素濃度の時間変化を模式的に示す図である。
【0058】
図4〜図8の横軸には、計測が行なわれた時刻が示されている。各図において、計測時刻は共通している。たとえば、各図において、「17:30」は、同日の17時30分を表している。
【0059】
図4を参照して、この例では、17時20分以降、不活性雰囲気室13への基板の導入が所定期間停止される状態が示されている。
【0060】
ここで、不活性雰囲気室13への基板の導入が所定期間に停止される間、リフロー炉における電力消費を抑えるために、ヒータ11A〜11Nへの電力の供給が停止され、また、リフロー炉における圧力エネルギの消費を抑えるために、窒素バルブ16が閉じられる場合を考える。
【0061】
この場合、17時45分以降、ヒータ11A〜11Nへの電力の供給が停止される。なお、ここで、「17時45分」とは、17時20分に不活性雰囲気室13内に導入されたことが検出された「最後の」ワーク90が、不活性雰囲気室13およびダクト56Bを経て、リフロー炉の次の工程に送られることが予定される時刻を意味している。そして、ヒータ11A〜11Nへの電力の供給が停止されることにより、図5において「装置立下げ」と示されるように、ヒータ11A〜11Nにおける電力の消費量(実線)が低下する。
【0062】
具体的には、図5において、17時45分頃から18時15分頃までは、ヒータ11A〜11Nの停止により、リフロー炉における消費電力が加熱用ファン12A〜12N等のみとなるため急激に電力が低下する。そして、18時15分には、リフロー炉に対する電力の供給が停止される(電源遮断)。
【0063】
また、上記17時45分以降、窒素バルブ16が閉じられ、不活性雰囲気室13への窒素ガスの供給が停止される。これにより、図7に示されるように、窒素を供給する量(図7において実線で表される流量)が低下する。
【0064】
つまり、本実施の形態のリフロー炉では、図5を参照して説明したようにヒータ11A〜11Nへの電力の供給が停止(または、低減)されることに応じて、図6に示されるように、不活性雰囲気室13内の雰囲気温度が下降する。また、図7を参照して説明したように窒素バルブ16が閉じられることに応じて、図8に示されるように、不活性雰囲気室13内の酸素濃度が上昇する。
【0065】
上記のように不活性雰囲気室13内の雰囲気温度が下降した場合、ヒータ11A〜11Nへの電力の供給を再開させて不活性雰囲気室13内の温度をワーク90の熱処理に適した温度まで上昇させるまでには、ある程度の時間を要する。
【0066】
また、上記のように不活性雰囲気室13内の酸素濃度が上昇した場合、窒素バルブ16を開き不活性雰囲気室13内への窒素ガスの供給量を増加させることによって不活性雰囲気室13内の酸素濃度をワーク90の熱処理に適した濃度まで低下させるまでには、ある程度の時間を要する。
【0067】
本明細書では、不活性雰囲気室13内の温度を、一度低下させた後、再度ワーク90の熱処理に適した温度まで上昇させることを、「復帰」と呼ぶ。また、不活性雰囲気室13内の酸素濃度を、一度上昇させた後、再度ワーク90の熱処理に適した濃度まで低下させることについても、「復帰」と呼ぶ。
【0068】
<基準復帰時間の設定>
図9は、コントローラ101において実行される、上記した基準復帰時間を設定するための処理(教示処理)のフローチャートである。当該教示処理は、リフロー炉において、たとえば、不活性雰囲気室13内の温度がワーク90の熱処理に適した温度に調整されている状況下であって、当該処理の実行を指示されたことに応じてもしくはリフロー炉の起動時に、開始される。処理の実行の指示は、たとえばPC300から、インターフェース101Cを介して入力される。なお、コントローラ101は、マウスやキーボード、タッチパネルといった入力装置を備え、当該装置に対する操作によって上記処理の実行を指示される場合も有り得る。
【0069】
図9を参照して、ステップSA10では、コントローラ101は、教示処理において使用される変数nを1に初期化して、ステップSA20へ処理を進める。
【0070】
ステップSA20では、コントローラ101は、ヒータ11A〜11Nへの電力の供給を期間Tnだけ停止させて、ステップSA30へ処理を進める。ここで、期間Tnは、変数nの値に関連付けられて予め定められた値である。メモリ101Bには、教示処理において電力供給を停止させる時間の長さとして予め定められた、N個の期間(T1〜TN)を特定する情報が格納されている。ステップSA20では、コントローラ101は、メモリ101BからN個の期間のうちn番目の期間を特定する情報を取得し、当該期間、ヒータ11A〜11Nへの電力の供給を停止させる。
【0071】
ステップSA30では、コントローラ101は、不活性雰囲気室13内の指標(本実施の形態では、第7番目の加熱工程の雰囲気温度)の検出を開始して、ステップSA40へ処理を進める。
【0072】
ステップSA40では、コントローラ101は、ヒータ11A〜11Nへの電力の供給を再開させて、ステップSA50へ処理を進める。これにより、ステップSA20における電力供給の停止から期間Tnが経過した時点で、ヒータ11A〜11Nへの電力の供給が再開される。
【0073】
ステップSA50では、コントローラ101は、指標が制御の目標範囲に到達したか否かを判断する。そして、到達したと判断すると、コントローラ101は、ステップSA60へ処理を進める。つまり、上記雰囲気温度が第1の温度に到達した場合に、ステップSA60へ処理が進められる。
【0074】
ステップSA60では、コントローラ101は、消費電力と復帰時間を取得し、メモリ101Bに記録して、ステップSA70へ処理を進める。なお、ここでの消費電力とは、ステップSA20においてヒータ11A〜11Nへの電力の供給が停止されてから、電力供給が再開され、ステップSA50において上記雰囲気温度が第1の温度に到達するまでの、ヒータ11A〜11Nにおける消費電力である。また、復帰時間とは、ステップSA40において電力供給が再開されてから、ステップSA50において上記雰囲気温度が第1の温度に到達するまでの時間である。なお、ここでの「到達」は、「到達してから所定時間継続して第1の温度が保持される」とされる等、温度の復帰を特定するために一般的に利用される条件に置換され得る。
【0075】
ステップSA70では、コントローラ101は、変数nを1加算更新して、ステップSA80へ処理を進める。
【0076】
ステップSA80では、コントローラ101は、変数nの値が上記した期間の個数である「N」を超えたか否かを判断し、まだ超えてないと判断するとステップSA20へ処理を戻し、超えたと判断するとステップSA90へ処理を進める。
【0077】
つまり、コントローラ101は、ステップSA20〜ステップSA80の処理により、N個の期間のそれぞれについての「消費電力」と「復帰時間」を取得する。
【0078】
図10は、ステップSA20〜ステップSA80の処理によって取得されるデータを含む、教示処理で利用されるデータの一例を示す図である。
【0079】
図10には、運転停止時間、ならびに、各運転停止時間についての、復帰時間、周期時間、周期、電力量/周期、電力量、および、省エネ率各項目のデータが示されている。
【0080】
「運転停止時間」とは、上記したTnである。
「復帰時間」とは、各運転停止時間についてステップSA60で取得された復帰時間である。
【0081】
「周期時間」とは、上記運転停止時間と復帰時間の和である。
「周期」とは、特定の時間(この例では、3.5時間(210分))において、上記周期時間を繰り返すことができる回数であり、「特定の時間」を「周期時間」で除して得られる値である。
【0082】
「電力量/周期」とは、上記した周期時間において消費された電力量であり、ステップSA60で取得される消費電力量である。
【0083】
「電力量」とは、上記「電力量/周期」と上記「周期」の積であり、具体的には、特定の時間において、運転停止時間の電力供給停止と復帰時間の電力供給が繰り返された際に消費されると想定される消費電力量である。
【0084】
なお、図10には、「運転停止時間」が「0分」である場合として、上記特定の時間の間連続的にヒータ11A〜11Nに電力が供給された場合のデータも示されている。
【0085】
そして、「省エネ率」とは、「運転停止時間」が「0分」である場合の「電力量」に対する「電力量」の差であり、上記特定の時間の間に、連続的に運転した場合に対して消費を抑えることができる電力量に相当する。
【0086】
図10には、運転停止時間が0分(連続的な電力供給)、7分、15分、30分、45分、60分、75分、90分、105分、120分、135分、150分、165分、および、180分についてのデータが示されている。
【0087】
図10において、運転停止時間が7分と150分では、「電力量」は「10.5KWh」と「3.5KWh」である。そして、これらの期間では、運転停止時間が長くなるほど「電力量」が低下している。運転停止時間が165分のとき、「電力量」は150分のものと変化がない。そして、運転停止時間が180分のとき、「電力量」は「4.0KWh」となり、150分および165分のものに対して、若干上昇している。
【0088】
また、運転停止時間が7分と150分では、「省エネ率」は「5%」と「64%」である。そして、「省エネ率」も、運転停止時間の変化に対して、「電力量」と同様の傾向を示している。
【0089】
図9に戻って、ステップSA90では、コントローラ101は、上記した運転停止時間の変化に伴う、「消費電力」(図10の「電力量」)と「復帰時間」(図10の「復帰時間」)の変化を示すグラフを表示するための画面データを作成し、PC300に送信する。ステップSA90の処理により、PC300のモニタでは、当該グラフが表示される。なお、コントローラ101がモニタを備え、当該グラフがコントローラ101のモニタにおいて表示される場合も有り得る。
【0090】
図11は、ステップSA90の処理によって表示されるグラフの一例を模式的に示す図である。
【0091】
図11には、グラフ901とグラフ902の2つのグラフが示されている。グラフ901は、運転停止時間の変化に伴う「消費電力」(図10の「電力量」)の変化を示すグラフである。また、グラフ902は、運転停止時間の変化に伴う「復帰時間」(図10の「復帰時間」)の変化を示すグラフである。
【0092】
グラフ901とグラフ902では、運転停止時間を示す横軸の左右方向の位置が共通している。したがって、図11に示されたグラフを見ることにより、ユーザは、運転停止時間を設定した場合、上記した特定の時間において消費することが予想される電力量と、不活性雰囲気室13内の環境(温度)を復帰させるのに必要な時間とを、認識することができる。
【0093】
なお、グラフ901とグラフ902には、各データに基づいて作成された近似関数が太線で示されている。コントローラ101は、図10に示されたような運転停止時間の変化に伴った電力量や復帰時間の実測値に基づいて近似関数を生成し、グラフ901とグラフ902に示されるように、当該実測値と併せて表示させることも有り得る。
【0094】
図9に戻って、ステップSA90の後、コントローラ101は、ステップSA100で、実際の運転時にヒータ11A〜11Nへの電力供給を停止させる時間(以下、「基準停止時間(td)」とも称する)の指定を受付けて、ステップSA110へ処理を進める。
【0095】
ユーザは、たとえば図11に示されたグラフを参照しながら、基準停止時間(td)を指定することができる。具体的には、たとえば、ユーザは、PC300において、図11において示されるような一点鎖線の位置を左右方向に移動させることにより運転停止時間を特定する操作、および、当該特定した運転停止時間を基準停止時間(td)として指定するための操作を行なうことにより、PC300からインターフェース101Cを介してコントローラ101に、基準停止時間(td)を指定するための情報が入力される。
【0096】
ここで、基準停止時間(td)として指定される時間は、図10に「運転停止時間」として示される、電力量等の実測値を有する時間に限定されない。
【0097】
なお、PC300における運転停止時間の特定の際には、図11において破線の矢印で示されるように、当該運転停止時間に対応する電力量と復帰時間とを示すような情報がPC300において表示されても良い。このような対応する電力量と復帰時間の表示は、たとえばコントローラ101上でCGI(Common Gateway Interface)として実現される。つまり、たとえば、演算装置101AがPC300からの要求に応じてメモリ101Bに格納されたCGIプログラムを実行することにより、PC300において特定された運転停止時間に対応する電力量と復帰時間を表示させるデータがコントローラ101からPC300に送信される。なお、図10のデータは、たとえばメモリ101Bに格納される場合、演算装置101Aは、当該データを利用して、上記CGIプログラムを実行する。
【0098】
図9に戻って、ステップSA110では、コントローラ101は、ステップSA100で指定を受付けた基準停止時間(td)をメモリ101Bに格納し、また、上記近似関数または図10の実測値において、当該基準停止時間(td)と同じ長さの時間の運転停止時間に対応する復帰時間を「基準復帰時間(tr)」として格納して、処理を終了する。
【0099】
なお、教示処理では、設定された基準停止時間(td)に対応して、特定の時間において、消費が抑えられると予測される電力量が提示されても良い。
【0100】
図22は、消費が抑えられると予測される電力量を提示するための画面の一例を示す図である。
【0101】
図22では、「運転停止時間」として、基準停止時間(td)として指定された時間が表示されている。また、図22では、「削減できる電力量」として、図11のグラフ901において、上記基準停止時間(td)と同じ時間の運転停止時間に対応する電力量が表示されている。コントローラ101は、たとえばCGIプログラムを実行することにより、図10または当該図10の電力量の運転停止時間の変化の態様に基づいて作成した近似関数に基づいて、指定された基準停止時間(td)に対応する電力量を取得し、PC300等に、これを表示する情報を送信する。
【0102】
<通常の運転制御>
次に、リフロー炉において、不活性雰囲気室13内にワーク90が導入され、当該ワーク90の熱処理が行なわれる際の、コントローラ101によって実行される処理(運転制御処理)について説明する。当該処理は、たとえばリフロー炉が起動時に実行される。
【0103】
図12は、運転制御処理のフローチャートである。
図12を参照して、コントローラ101は、ステップSB10で、上記した通常モードでヒータ11A〜11Nを含めたリフロー炉の各要素の動作を制御して、ステップSB20へ処理を進める。
【0104】
ステップSB20では、コントローラ101は、基板用センサ21の検出出力を参照することにより、不活性雰囲気室13内に導入されている基板(ワーク90)の枚数が0になったか否かを判断し、0になったと判断するとステップSB30へ処理を進める。
【0105】
ステップSB30では、コントローラ101は、残待機時間を算出して、ステップSB40へ処理を進める。残待機時間とは、次に不活性雰囲気室13内に基板(ワーク90)が投入される時刻(または、投入が予定されている時刻)までの残り時間を算出するための処理である。たとえば、メモリ101Bに、予め次回投入予定時刻が格納され、コントローラ101は、現在時刻と次回投入予定時刻との差を算出することによって、ステップSB30の処理を実現する。
【0106】
ステップSB40では、コントローラ101は、上記残待機時間が上記した基準復帰時間(tr)以上であるか否かを判断し、そうであると判断するとステップSB50へ処理を進め、上記残待機時間が上記した基準復帰時間(tr)未満であるかと判断すると、ステップSB60へ処理を進める。
【0107】
ステップSB50では、コントローラ101は、上記した省エネモードでの制御を実行して、ステップSB30へ処理を戻す。
【0108】
省エネモードにおける具体的な制御内容は、たとえば、基準停止時間(td)のヒータ11A〜11Nへの電力供給の停止と、不活性雰囲気室13をワーク90の熱処理に適した状態にするためのフィードバック制御下での基準復帰時間(tr)のヒータ11A〜11Nへの電力供給とを、繰返し続けるものが挙げられる。
【0109】
一方、ステップSB60では、コントローラ101は、上記した通常モードでの制御を実行して、ステップSB10へ処理を戻す。
【0110】
以上説明した運転制御処理によれば、不活性雰囲気室13内にワーク90が導入されなくなったとき、次回ワーク90が投入されるまでの残り時間(残待機時間)が、メモリ101Bに格納された基準復帰時間(tr)となるまでは、省エネモードで、リフロー炉の各要素が制御される。そして、残待機時間が基準復帰時間(tr)以下となると、リフロー炉の各要素の制御が通常モードに戻される。
【0111】
省エネモードは、不活性雰囲気室13にエネルギを供給するための部材(ヒータ11A〜11N等)におけるエネルギ消費量が、通常モードよりも低いモードである。
【0112】
そして、図12の運転制御処理により、上記した次回投入予定時刻に確実に不活性雰囲気室13内の環境(温度等)をワーク90の熱処理に適した状態に復帰させつつ、上記したエネルギを供給するための部材におけるエネルギ消費量を抑えることができる。
【0113】
<残待機時間算出処理について>
図12を参照して説明した運転制御処理のステップSB30の残待機時間算出処理では、次回投入予定時刻と現在時刻とに基づいて、残待機時間が算出された。
【0114】
なお、残待機時間は、基板処理システムにおける、リフロー炉とは別の装置(検査装置230等)の状態に基づいて算出されても良い。
【0115】
図13は、残待機時間算出処理のフローチャートの一例である。図13の処理は、たとえば、図12の処理のバックグラウンドで実行される。図13の処理が実行される場合、図12のステップSB30の処理は省略されることが好ましい。
【0116】
図13を参照して、コントローラ101は、ステップSC10で、前工程基板投入フラグの値が1であるか否かを判断する。前工程基板投入フラグとは、基板処理システムにおいて、リフロー炉100よりも前に基板を処理する特定の装置(検査装置230等)に基板が投入されている場合には「1」とされ、投入されていない場合には「0」とされるフラグである。コントローラ101は、たとえば上記特定の装置のコントローラ(図3の「コントローラ200」)から基板投入の有無についての信号を受信することにより、前工程基板投入フラグの値を更新し、残待機時間算出処理において利用する。
【0117】
そして、ステップSC10で、前工程基板投入フラグの値が「1」であると判断すると、コントローラ101は、ステップSC20へ処理を進める。
【0118】
ステップSC10の後、ステップSC20で、コントローラ101は、残待機時間をカウントダウンさせて、ステップSC30へ処理を進める。ここで、残待機時間の初期値は、上記特定の装置からリフロー炉まで基板が直行する場合のタクトタイムである。なお、上記特定の装置からリフロー炉までの間、基板(ワーク90)が、複数の装置を経る場合には、上記初期値は各装置におけるタクトタイムの総和である。そして、ステップSC20では、当該初期値からカウントダウンが行なわれることによって残待機時間が更新される。2回目以降のステップSC20では、更新後の残待機時間からカウントダウンされる。
【0119】
ステップSC20の後、コントローラ101は、残待機時間が0を超えているか否かを判断し、超えていると判断するとステップSC40へ処理を進め、0以下であると判断するとステップSC50へ処理を進める。
【0120】
ステップSC40では、コントローラ101は、前工程運転フラグが0であるか否かを判断する。前工程運転フラグは、上記した特定の装置が正常に稼動しているか否かを示すフラグであり、正常に稼動しているときには値は「1」であり、正常に稼動していないとき(異常の発生等)には値は「0」である。コントローラ101は、上記特定の装置と通信することにより、前工程運転フラグの値を適宜更新する。たとえば、コントローラ101は、当該特定の装置において非常ランプ(非常ランプ239等)に送信される点灯/消灯信号を受信し、当該信号の内容に基づいて、前工程運転フラグの値を更新しても良い。つまり、たとえば、非常ランプに当該非常ランプを点灯させる信号が送信されたときには、前工程運転フラグが「0」に更新され、当該非常ランプを消灯させる信号が送信されたときには、前工程運転フラグが「1」に更新される。そして、前工程運転フラグの値が「1」であればステップSC20へ処理が戻される。一方、前工程運転フラグの値が「0」であれば、コントローラ101は、ステップS20における残待機時間のカウントダウンを、前工程運転フラグの値が「1」に戻るまで、停止させる。そして、当該値が「1」に戻れば、ステップSC20でのカウントダウンを再開させる。
【0121】
以上説明した残待機時間算出処理によれば、残待機時間は、リフロー炉が設置される基板処理システムにおける、リフロー炉の前工程の装置の稼動状況に応じて、更新される。これにより、図12を参照して説明した運転制御処理において、不活性雰囲気室13内の環境を復帰させるべきタイミングとして、実情に沿ったタイミングを、利用できる。これにより、リフロー炉に基板が導入されるタイミングが前工程の装置の不具合等に応じて遅れた場合には、その遅れに応じて、より長く省エネモードでの制御を行なうことができる。これにより、リフロー炉に基板が導入されるタイミングに合わせて不活性雰囲気室13内の環境を復帰させつつ、より多くのエネルギの消費を抑えることができる。
【0122】
[第2の実施の形態]
本実施の形態のリフロー炉は、第1の実施の形態において説明されたリフロー炉と同様の構成とすることができる。ただし、本実施の形態では、上記したように、省エネモードにおける制御として、不活性雰囲気室13内の温度を上記第1の温度よりも低い温度で維持するためのヒータ11A〜11Nの動作の制御が実行される。以下、本実施の形態において実行される処理内容について、説明する。
【0123】
<基準復帰時間の設定(教示処理)>
図14は、本実施の形態において実行される教示処理のフローチャートである。
【0124】
図14を参照して、ステップSD10では、コントローラ101は、本教示処理において使用される変数nを1に初期化して、ステップSD20へ処理を進める。
【0125】
ステップSD20では、コントローラ101は、不活性雰囲気室13内の制御目標温度を仮制御温度Tnに設定して、ステップSD30へ処理を進める。ここで、仮制御温度Tnは、変数nの値に関連付けられて予め定められた値である。メモリ101Bには、教示処理において制御目標の温度として予め定められた、N個の仮制御温度(T1〜TN)を特定する情報が格納されている。ステップSD20では、コントローラ101は、メモリ101BからN個の仮制御温度のうちn番目の仮制御温度を特定する情報を取得し、設定する。これにより、不活性雰囲気室13内の温度(第7番目の加熱工程の雰囲気温度)が当該仮制御温度で維持されるように、ヒータ11A〜11Nのオン/オフが制御される。
【0126】
なお、N個の仮制御温度(T1〜TN)は、いずれも、不活性雰囲気室13におけるワーク90の熱処理に適した温度(第1の温度)よりも低い温度である。
【0127】
ステップSD30では、コントローラ101は、不活性雰囲気室13内の温度(第7番目の加熱工程の雰囲気温度)が仮制御温度Tnまで低下したか否かを判断し、低下したと判断するとステップSD40へ処理を進める。
【0128】
ステップSD40では、コントローラ101は、不活性雰囲気室13内の温度制御の目標を上記した第1の温度に戻し、また、不活性雰囲気室13内の指標(本実施の形態では、第7番目の加熱工程の雰囲気温度)の検出を開始して、ステップSD50へ処理を進める。
【0129】
ステップSD50では、コントローラ101は、不活性雰囲気室13内の温度が上記第1の温度まで上昇したか否かを判断する。そして、第1の温度まで上昇したと判断すると、コントローラ101は、ステップSD60へ処理を進める。
【0130】
ステップSD60では、コントローラ101は、消費電力と復帰時間を取得し、メモリ101Bに記録して、ステップSD70へ処理を進める。なお、ここでの消費電力とは、ステップSD20において不活性雰囲気室13内の温度の制御目標が仮制御温度Tnに変更された制御を開始させてからステップSD60で不活性雰囲気室13内の温度が第1の温度に復帰するまでの、ヒータ11A〜11Nにおける消費電力である。また、復帰時間とは、ステップSD40において制御目標を第1の温度に戻されてから、ステップSD50において上記雰囲気温度が第1の温度に到達したと判断されるまでの時間である。なお、ここでの「到達」は、「到達してから所定時間継続して第1の温度が保持される」とされる等、温度の復帰を特定するために一般的に利用される条件に置換され得る。
【0131】
ステップSD70では、コントローラ101は、変数nを1加算更新して、ステップSD80へ処理を進める。
【0132】
ステップSD80では、コントローラ101は、変数nの値が上記した期間の個数である「N」を超えたか否かを判断し、まだ超えてないと判断するとステップSD20へ処理を戻し、超えたと判断するとステップSD90へ処理を進める。
【0133】
つまり、コントローラ101は、ステップSD20〜ステップSD80の処理により、N個の仮制御温度のそれぞれについての「消費電力」と「復帰時間」を取得する。
【0134】
図15は、ステップSD20〜ステップSD80の処理によって取得されるデータを含む、本実施の形態の教示処理で利用されるデータの一例を示す図である。
【0135】
図15には、仮制御温度、ならびに、各仮制御温度についての、復帰時間、周期時間、周期、電力量/周期、電力量、および、省エネ率の各項目のデータが示されている。
【0136】
「仮制御温度」とは、上記したTnである。
「復帰時間」とは、各仮制御温度についてステップSD60で取得された復帰時間である。
【0137】
「周期時間」とは、ステップSD20において制御目標を仮制御温度に変更されてからステップSD50で不活性雰囲気室13内の温度が第1の温度に到達したと判断されるまでの時間である。
【0138】
「周期」とは、特定の時間(この例では、3.5時間(210分))において、上記周期時間を繰り返すことができる回数であり、「特定の時間」を「周期時間」で除して得られる値である。
【0139】
「電力量/周期」とは、上記した周期時間において消費された電力量であり、ステップSD60で取得される消費電力量である。
【0140】
「電力量」とは、上記「電力量/周期」と上記「周期」の積であり、具体的には、上記特定の時間において、仮制御温度への制御目標の変更とその後の第1の温度までの復帰が繰り返された際に消費されると想定される消費電力量である。
【0141】
図15では、仮制御温度が第1の温度(230℃)とされた場合として、上記特定の時間の間連続的にヒータ11A〜11Nに電力が供給された場合のデータも示されている。
【0142】
そして、「省エネ率」とは、「仮制御温度」が第1の温度である場合の「電力量」に対する「電力量」の差であり、上記特定の時間の間に、連続的に運転した場合に対して消費を抑えることができる電力量に相当する。
【0143】
図15には、仮制御温度が230℃(連続的な第1の温度での温度制御)、223℃、215℃、200℃、185℃、170℃、155℃、140℃、125℃、110℃、95℃、80℃、65℃、および、50℃についてのデータが示されている。
【0144】
図15において、たとえば仮制御温度が223℃と80℃では、「電力量」は「10.5KWh」と「3.5KWh」である。そして、これらの期間では、仮制御温度が長くなるほど「電力量」が低下している。仮制御温度が65℃のとき、「電力量」は80℃のものと変化がない。そして、仮制御温度が50℃のとき、「電力量」は「4.0KWh」となり、80℃および65℃のものに対して、若干上昇している。
【0145】
また、仮制御温度が223℃と80℃では、「省エネ率」は「5%」と「64%」である。そして、「省エネ率」も、仮制御温度の変化に対して、「電力量」と同様の傾向を示している。
【0146】
図14に戻って、ステップSD90では、コントローラ101は、上記した仮制御温度の変化に伴う、「消費電力」(図15の「電力量」)と「復帰時間」(図15の「復帰時間」)の変化を示すグラフを表示するための画面データを作成し、PC300に送信する。ステップSD90の処理により、PC300のモニタでは、当該グラフが表示される。なお、コントローラ101がモニタを備え、当該グラフがコントローラ101のモニタにおいて表示される場合も有り得る。
【0147】
図16は、ステップSD90の処理によって表示されるグラフの一例を模式的に示す図である。
【0148】
図16には、グラフ911とグラフ912の2つのグラフが示されている。グラフ911は、仮制御温度の変化に伴う「消費電力」(図15の「電力量」)の変化を示すグラフである。また、グラフ912は、仮制御温度の変化に伴う「復帰時間」(図15の「復帰時間」)の変化を示すグラフである。
【0149】
グラフ911とグラフ912では、仮制御温度を示す横軸の左右方向の位置が共通している。したがって、図16に示されたグラフを見ることにより、ユーザは、後述するように省エネモードにおける制御目標温度として設定した場合、当該制御目標温度に対応する仮制御温度に対応する情報として、上記した特定の時間において消費することが予想される電力量と、不活性雰囲気室13内の環境(温度)を復帰させるのに必要な時間とを、認識することができる。
【0150】
なお、グラフ911とグラフ912には、各データに基づいて作成された近似関数が太線で示されている。コントローラ101は、図15に示されたような仮制御温度の変化に伴った電力量や復帰時間の実測値に基づいて近似関数を生成し、グラフ911とグラフ912に示されるように、当該実測値と併せて表示させることも有り得る。
【0151】
図14に戻って、ステップSD90の後、コントローラ101は、ステップSD100で、実際の運転時に、省エネモードで不活性雰囲気室13内の温度の制御目標となる温度(以下、「省エネ制御温度(Tes)」とも称する)の指定を受付けて、ステップSD110へ処理を進める。
【0152】
ユーザは、たとえば図16に示されたグラフを参照しながら、省エネ制御温度(Tes)を指定することができる。具体的には、たとえば、ユーザは、PC300において、図16において示されるような一点鎖線の位置を左右方向に移動させることにより仮制御温度を特定する操作、および、当該特定した仮制御温度を省エネ制御温度(Tes)として指定するための操作を行なうことにより、PC300からインターフェース101Cを介してコントローラ101に、省エネ制御温度(Tes)を指定するための情報が入力される。
【0153】
ここで、省エネ制御温度(Tes)として指定される時間は、図15に「仮制御温度」として示される、電力量等の実測値を有する温度に限定されない。
【0154】
なお、PC300における仮制御温度の特定の際には、図16において破線の矢印で示されるように、当該仮制御温度に対応する電力量と復帰時間とを示すような情報がPC300において表示されても良い。このような対応する電力量と復帰時間の表示は、たとえばコントローラ101上でCGIとして実現される。つまり、たとえば、演算装置101AがPC300からの要求に応じてメモリ101Bに格納されたCGIプログラムを実行することにより、PC300において特定された省エネ制御温度に対応する電力量と復帰時間を表示させるデータがコントローラ101からPC300に送信される。なお、図15のデータは、たとえばメモリ101Bに格納される場合、演算装置101Aは、当該データを利用して、上記CGIプログラムを実行する。
【0155】
図14に戻って、ステップSD110では、コントローラ101は、ステップSD100で指定を受付けた省エネ制御温度(Tes)をメモリ101Bに格納し、また、上記近似関数または図15の実測値において、当該省エネ制御温度(Tes)と同じ温度の仮制御温度に対応する復帰時間を「基準復帰時間(tr)」として格納して、処理を終了する。
【0156】
なお、本実施の形態の教示処理においても、図22を参照して説明したように、設定された省エネ制御温度(Tes)に対応して、特定の時間において、消費が抑えられると予測される電力量が提示されても良い。
【0157】
<通常の運転制御>
図12を参照して説明した第1の実施の形態の「通常の運転処理」では、所定の条件が成立したことに応じて、運転モードが通常モードから省エネモードに移行する。そして、残待機時間が基準復帰時間(tr)以上でなくなったことを条件として、運転モードが省エネモードから通常モードに戻される。
【0158】
なお、本実施の形態の通常モードでは、不活性雰囲気室13内の温度の制御目標は、第1の温度とされる。そして、省エネモードでは、不活性雰囲気室13内の温度の制御目標が、第1の温度よりも低い省エネ制御温度(Tes)へと変更される。
【0159】
本実施の形態では、不活性雰囲気室13内でワーク90の熱処理が行なわれる場合には、不活性雰囲気室13内の制御温度が第1の温度に制御される。そして、所定の条件が成立した場合、省エネモード(不活性雰囲気室13内の制御目標が通常モードよりも温度が低いモード)で、リフロー炉が制御される。これにより、ヒータ11A〜11Nの消費電力を確実に抑えることができる。
【0160】
[第3の実施の形態]
第1の実施の形態において説明したように、リフロー炉において、不活性雰囲気室13への窒素ガスの供給を停止すると、不活性雰囲気室13内の酸素濃度が上昇する。したがって、再度、不活性雰囲気室13にワーク90を導入して(ワーク90の)はんだを溶解させるためには、窒素バルブ16を開いて不活性雰囲気室13内の酸素濃度を適切な濃度にまで低下させる必要がある。
【0161】
本実施の形態では、省エネモードにおける制御として、不活性雰囲気室13内の酸素濃度を通常モードよりも高い濃度で維持するように、窒素バルブ16の開閉が制御される。つまり、本実施の形態では、消費を抑えるエネルギは、圧力エネルギであり、当該エネルギの消費量は不活性雰囲気室13に対する窒素ガスの供給量(消費量)によって表される。以下、本実施の形態において実行される処理内容について、説明する。
【0162】
<基準復帰時間の設定(教示処理)>
図17は、本実施の形態において実行される教示処理のフローチャートである。
【0163】
図17を参照して、ステップSE10では、コントローラ101は、本教示処理において使用される変数nを1に初期化して、ステップSE20へ処理を進める。
【0164】
ステップSE20では、コントローラ101は、不活性雰囲気室13内の酸素濃度の制御目標を仮酸素濃度Cnにして、ステップSE30へ処理を進める。ここで、仮酸素濃度Cnは、変数nの値に関連付けられて予め定められた値である。メモリ101Bには、教示処理において酸素濃度の制御目標として予め定められた、N個の仮酸素濃度(C1〜CN)を特定する情報が格納されている。ステップSE20では、コントローラ101は、メモリ101BからN個の仮酸素濃度のうちn番目の仮酸素濃度を特定する情報を取得し、設定する。これにより、不活性雰囲気室13内の酸素濃度が当該仮酸素濃度で維持されるように、窒素バルブ16の開閉が制御される。
【0165】
なお、N個の仮酸素濃度(C1〜CN)は、いずれも、不活性雰囲気室13におけるワーク90の熱処理に適した酸素濃度(第1の濃度)よりも高い濃度である。
【0166】
ステップSE30では、コントローラ101は、不活性雰囲気室13内の酸素濃度が仮酸素濃度Cnまで上昇したか否かを判断し、上昇したと判断するとステップSE40へ処理を進める。
【0167】
ステップSE40では、コントローラ101は、不活性雰囲気室13内の酸素濃度の制御目標を上記した第1の濃度に戻し、また、不活性雰囲気室13内の指標(本実施の形態では、酸素濃度)の検出を開始して、ステップSE50へ処理を進める。
【0168】
ステップSE50では、コントローラ101は、不活性雰囲気室13内の酸素濃度が上記第1の濃度まで低下したか否かを判断する。そして、第1の濃度まで低下したと判断すると、コントローラ101は、ステップSE60へ処理を進める。
【0169】
ステップSE60では、コントローラ101は、窒素ガスの消費量と復帰時間を取得し、メモリ101Bに記録して、ステップSE70へ処理を進める。なお、ここでの窒素ガスの消費量力とは、ステップSE20において不活性雰囲気室13内の酸素濃度の制御目標が仮酸素濃度Cnに変更された制御を開始させてからステップSE60で不活性雰囲気室13内の酸素濃度が第1の濃度に復帰するまでに、窒素ライン14を介して不活性雰囲気室13に導入された窒素ガスの量である。また、復帰時間とは、ステップSE40において制御目標を第1の濃度に戻されてから、ステップSE50において酸素濃度が第1の濃度に到達したと判断されるまでの時間である。なお、ここでの「到達」は、「到達してから所定時間継続して第1の濃度が保持される」とされる等、濃度の復帰を特定するために一般的に利用される条件に置換され得る。
【0170】
ステップSE70では、コントローラ101は、変数nを1加算更新して、ステップSE80へ処理を進める。
【0171】
ステップSE80では、コントローラ101は、変数nの値が上記した期間の個数である「N」を超えたか否かを判断し、まだ超えてないと判断するとステップSE20へ処理を戻し、超えたと判断するとステップSE90へ処理を進める。
【0172】
つまり、コントローラ101は、ステップSE20〜ステップSE80の処理により、N個の仮酸素濃度のそれぞれについての「窒素ガスの消費量(N2消費量)」と「復帰時間」を取得する。
【0173】
図18は、ステップSE20〜ステップSE80の処理によって取得されるデータを含む、本実施の形態の教示処理で利用されるデータの一例を示す図である。
【0174】
図18には、仮酸素濃度、ならびに、各仮酸素濃度についての、復帰時間、周期時間、周期、消費量/周期、消費量、および、省エネ率の各項目のデータが示されている。
【0175】
「仮酸素濃度」とは、上記したCnである。
「復帰時間」とは、各仮酸素濃度についてステップSE60で取得された復帰時間である。
【0176】
「周期時間」とは、この例では、60分である。
「周期」とは、上記特定の時間(この例では、3.5時間(210分))において、上記周期時間を繰り返すことができる回数であり、「特定の時間」を「周期時間」で除して得られる値である。
【0177】
「消費量/周期」とは、上記した周期時間において消費された窒素ガスの消費量であり、ステップSE60で取得される消費量である。
【0178】
「消費量」とは、上記「消費量/周期」と上記「周期」の積であり、具体的には、上記特定の時間において、仮酸素濃度への制御目標の変更とその後の第1の濃度までの復帰が繰り返された際に消費されると想定される窒素ガスの消費量である。
【0179】
図18では、仮酸素濃度が第1の濃度(4000PPM)とされた場合として、上記特定の時間の間当該第1の濃度で不活性雰囲気室13が維持された場合のデータも示されている。
【0180】
そして、「省エネ率」とは、「仮酸素濃度」が第1の濃度である場合の「消費量」に対する「消費量」の差であり、上記特定の時間の間に、連続的に運転した場合に対して消費を抑えることができる消費量に相当する。
【0181】
図18には、仮酸素濃度が4000PPM(連続的な第1の濃度での制御)、4500PPM、5000PPM、5500PPM、6000PPM、6500PPM、7000PPM、7500PPM、8000PPM、8500PPM、9000PPM、9500PPM、および、10000PPMについてのデータが示されている。
【0182】
図18において、たとえば仮酸素濃度が4500PPMでは、「消費量」は「26.1m3」である。そして、仮酸素濃度が高くなるほど「消費量」が低下している。
【0183】
また、仮酸素濃度が4500PPMでは、「省エネ率」は「11%」である。そして、「省エネ率」も、仮酸素濃度の変化に対して、「消費量」と同様の傾向を示している。
【0184】
図17に戻って、ステップSE90では、コントローラ101は、上記した仮酸素濃度の変化に伴う、「消費量」と「復帰時間」の変化を示すグラフを表示するための画面データを作成し、PC300に送信する。ステップSE90の処理により、PC300のモニタでは、当該グラフが表示される。なお、コントローラ101がモニタを備え、当該グラフがコントローラ101のモニタにおいて表示される場合も有り得る。
【0185】
図19は、ステップSE90の処理によって表示されるグラフの一例を模式的に示す図である。
【0186】
図19には、グラフ921とグラフ922の2つのグラフが示されている。グラフ921は、仮酸素濃度の変化に伴う「消費電力」(図18の「消費量」)の変化を示すグラフである。また、グラフ922は、仮酸素濃度の変化に伴う「復帰時間」(図18の「復帰時間」)の変化を示すグラフである。
【0187】
グラフ921とグラフ922では、仮酸素濃度を示す横軸の左右方向の位置が共通している。したがって、図19に示されたグラフを見ることにより、ユーザは、後述するように省エネモードにおける制御目標濃度(省エネ酸素濃度)を設定した場合、当該省エネ酸素濃度に対応する仮酸素濃度に対応する情報として、上記した特定の時間において消費することが予想される消費量と、不活性雰囲気室13内の環境(濃度)を復帰させるのに必要な時間とを、認識することができる。
【0188】
なお、グラフ921とグラフ922には、各データに基づいて作成された近似関数が太線で示されている。コントローラ101は、図18に示されたような仮酸素濃度の変化に伴った消費量や復帰時間の実測値に基づいて近似関数を生成し、グラフ921とグラフ922に示されるように、当該実測値と併せて表示させることも有り得る。
【0189】
図17に戻って、ステップSE90の後、コントローラ101は、ステップSE100で、実際の運転時に、省エネモードで不活性雰囲気室13内の温度の制御目標となる温度(以下、「省エネ酸素濃度(Ces)」とも称する)の指定を受付けて、ステップSE110へ処理を進める。
【0190】
ユーザは、たとえば図19に示されたグラフを参照しながら、省エネ酸素濃度(Ces)を指定することができる。具体的には、たとえば、ユーザは、PC300において、図19において示されるような一点鎖線の位置を左右方向に移動させることにより仮酸素濃度を特定する操作、および、当該特定した仮酸素濃度を省エネ酸素濃度(Ces)として指定するための操作を行なうことにより、PC300からインターフェース101Cを介してコントローラ101に、省エネ酸素濃度(Ces)を指定するための情報が入力される。
【0191】
ここで、省エネ酸素濃度(Ces)として指定される濃度は、図18に「仮酸素濃度」として示される、消費量等の実測値を有する濃度に限定されない。
【0192】
なお、PC300における仮酸素濃度の特定の際には、図19において破線の矢印で示されるように、当該仮酸素濃度に対応する消費量と復帰時間とを示すような情報がPC300において表示されても良い。このような対応する消費量と復帰時間の表示は、たとえばコントローラ101上でCGIとして実現される。つまり、たとえば、演算装置101AがPC300からの要求に応じてメモリ101Bに格納されたCGIプログラムを実行することにより、PC300において特定された省エネ酸素濃度に対応する消費量と復帰時間を表示させるデータがコントローラ101からPC300に送信される。なお、図18のデータは、たとえばメモリ101Bに格納される場合、演算装置101Aは、当該データを利用して、上記CGIプログラムを実行する。
【0193】
図17に戻って、ステップSE110では、コントローラ101は、ステップSE100で指定を受付けた省エネ酸素濃度(Ces)をメモリ101Bに格納し、また、上記近似関数または図18の実測値において、当該省エネ酸素濃度(Ces)と同じ濃度の仮酸素濃度に対応する復帰時間を「基準復帰時間(tr)」として格納して、処理を終了する。
【0194】
なお、本実施の形態の教示処理においても、図22を参照して説明したように、設定された省エネ酸素濃度(Ces)に対応して、特定の時間において、消費が抑えられると予測される消費量が提示されても良い。
【0195】
<通常の運転制御>
図12を参照して説明した第1の実施の形態の「通常の運転処理」では、所定の条件が成立したことに応じて、運転モードが通常モードから省エネモードに移行する。そして、残待機時間が基準復帰時間(tr)以上でなくなったことを条件として、運転モードが省エネモードから通常モードに戻される。
【0196】
本実施の形態の通常モードでは、不活性雰囲気室13内の酸素濃度の制御目標が、第1の濃度とされる。そして、省エネモードでは、不活性雰囲気室13内の酸素濃度の制御目標が、第1の濃度よりも高い省エネ酸素濃度(Ces)へと変更される。
【0197】
本実施の形態では、不活性雰囲気室13内でワーク90の熱処理が行なわれる場合には、不活性雰囲気室13内の酸素濃度が第1の濃度以下に制御される。そして、所定の条件が成立した場合、省エネモード(不活性雰囲気室13内の制御目標が通常モードよりも酸素濃度が高いモード)で、リフロー炉が制御される。これにより、窒素ガスの消費量を確実に抑えることができる。
【0198】
[その他の変形例等]
以上説明した実施の形態では、不活性雰囲気室13に窒素ガスを導入して、当該不活性雰囲気室13内の酸素濃度を低下させていたが、このような制御は、上記したようにワーク90に使用されるはんだが鉛フリーのはんだである場合等、特別な場合に限られる。つまり、本発明に係るリフロー炉では、不活性雰囲気室13において窒素ガスの導入を必要としない場合も考えられる。
【0199】
今回開示された各実施の形態およびその変形例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0200】
また、各実施の形態およびその変形例は、単独でも、また必要に応じて適宜組み合わされて、実施されることが意図される。
【符号の説明】
【0201】
11A〜11N ヒータ、16 N2バルブ、22 温度センサ、80 O2濃度センサ、100 リフロー炉、101 コントローラ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱炉の制御装置であって、
前記加熱炉の炉内にエネルギを供給するための供給部の動作を制御するための制御手段を備えた、加熱炉の制御装置であって、
前記制御手段は、
前記供給部を、前記加熱炉の炉内の状態を当該加熱炉の炉内で被加熱物を熱処理するための第1の状態で維持するための第1の条件に従って動作させ、
所定の条件が成立した場合に、前記供給部を、前記加熱炉の炉内の状態を前記第1の状態に維持するよりもエネルギ消費量が低い状態で制御するための第2の条件に従って動作させ、
前記供給部が前記第2の条件に従って動作している状態から前記加熱炉を前記第1の状態に復帰させるまでに要する時間である基準復帰時間を記憶するための記憶手段をさらに備え、
前記制御手段は、
前記供給部を前記第2の条件で動作させている場合に、前記加熱炉を前記第1の状態に復帰させるべきタイミングまでの残り時間が前記基準復帰時間以下となったとき、前記供給部を、前記加熱炉を前記第1の状態で維持するように動作させる、制御装置。
【請求項2】
前記記憶手段は、前記第2の条件の内容として、複数の内容を記憶し、
前記制御手段は、前記第2の条件の複数の内容のそれぞれについて、当該第2の条件に従った制御から前記加熱炉を前記第1の状態に復帰させるまでに、要した時間である予備復帰時間と、前記供給部が消費したエネルギ量である消費エネルギ量とを、計測し、提示する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記基準復帰時間を入力するための入力手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記予備復帰時間と前記消費エネルギ量の計測結果において、前記入力手段に前記基準復帰時間として入力された時間が前記予備復帰時間であるとした場合の、当該予備復帰時間に対応する前記消費エネルギ量を提示する、請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記第2の条件に従った制御では、前記制御手段は、前記供給部による前記加熱炉へのエネルギの供給を一時的に停止する、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の制御装置。
【請求項5】
前記第1の状態は、前記加熱炉の炉内の温度が特定の温度以上である状態であり、
前記第2の条件に従った制御では、前記制御手段は、前記加熱炉の炉内の温度を前記特定の温度よりも低い温度で維持する、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の制御装置。
【請求項6】
前記第1の状態は、前記加熱炉の炉内の酸素濃度が特定の濃度以下である状態であり、
前記第2の条件に従った制御では、前記制御手段は、前記加熱炉の炉内の酸素濃度を前記特定の濃度よりも高い濃度で維持する、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の制御装置。
【請求項7】
前記所定の条件は、当該加熱炉の炉内の被加熱物がないことを条件とする、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の制御装置。
【請求項8】
前記所定の条件は、さらに前記第2の条件に従った制御となるべき時間が前記基準復帰時間以上となる、請求項7に記載の制御装置。
【請求項9】
前記第2の条件に従った制御となるべき時間は、当該加熱炉の前工程の被加熱物の有無によって決定される、請求項8に記載の制御装置。
【請求項10】
加熱炉の炉内にエネルギを供給するための供給部の動作を制御するコンピュータによって実行されるプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記加熱炉の炉内の状態を当該加熱炉の炉内で被加熱物を熱処理するための第1の状態で維持するための第1の条件に従って、前記供給部を動作させるステップと、
所定の条件が成立した場合に、前記加熱炉の炉内の状態を前記第1の状態に維持するよりもエネルギ消費量が低い状態で制御するための第2の条件に従って、前記供給部を動作させるステップと、
前記供給部を前記第2の条件で動作させている場合に、前記加熱炉を前記第1の状態に復帰させるべきタイミングまでの残り時間が、前記供給部が前記第2の条件に従って動作している状態から前記加熱炉を前記第1の状態に復帰させるまでに要する時間である基準復帰時間以下となったときに、前記加熱炉を前記第1の状態で維持するように、前記供給部を動作させるステップとを実行させる、加熱炉の制御プログラム。
【請求項11】
加熱炉の制御装置が、当該加熱炉の炉内にエネルギを供給するための供給部の動作を制御するための制御方法であって、
前記加熱炉の炉内の状態を当該加熱炉の炉内で被加熱物を熱処理するための第1の状態で維持するための第1の条件に従って、前記供給部を動作させるステップと、
所定の条件が成立した場合に、前記加熱炉の炉内の状態を前記第1の状態に維持するよりもエネルギ消費量が低い状態で制御するための第2の条件に従って、前記供給部を動作させるステップと、
前記供給部を前記第2の条件で動作させている場合に、前記加熱炉を前記第1の状態に復帰させるべきタイミングまでの残り時間が、前記供給部が前記第2の条件に従って動作している状態から前記加熱炉を前記第1の状態に復帰させるまでに要する時間である基準復帰時間以下となったときに、前記加熱炉を前記第1の状態で維持するように、前記供給部を動作させるステップとを備える、加熱炉の制御方法。
【請求項12】
請求項1〜請求項9のいずれかに記載の制御装置と、
前記加熱炉の炉内にエネルギを供給するための供給部とを備える、加熱炉。
【請求項1】
加熱炉の制御装置であって、
前記加熱炉の炉内にエネルギを供給するための供給部の動作を制御するための制御手段を備えた、加熱炉の制御装置であって、
前記制御手段は、
前記供給部を、前記加熱炉の炉内の状態を当該加熱炉の炉内で被加熱物を熱処理するための第1の状態で維持するための第1の条件に従って動作させ、
所定の条件が成立した場合に、前記供給部を、前記加熱炉の炉内の状態を前記第1の状態に維持するよりもエネルギ消費量が低い状態で制御するための第2の条件に従って動作させ、
前記供給部が前記第2の条件に従って動作している状態から前記加熱炉を前記第1の状態に復帰させるまでに要する時間である基準復帰時間を記憶するための記憶手段をさらに備え、
前記制御手段は、
前記供給部を前記第2の条件で動作させている場合に、前記加熱炉を前記第1の状態に復帰させるべきタイミングまでの残り時間が前記基準復帰時間以下となったとき、前記供給部を、前記加熱炉を前記第1の状態で維持するように動作させる、制御装置。
【請求項2】
前記記憶手段は、前記第2の条件の内容として、複数の内容を記憶し、
前記制御手段は、前記第2の条件の複数の内容のそれぞれについて、当該第2の条件に従った制御から前記加熱炉を前記第1の状態に復帰させるまでに、要した時間である予備復帰時間と、前記供給部が消費したエネルギ量である消費エネルギ量とを、計測し、提示する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記基準復帰時間を入力するための入力手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記予備復帰時間と前記消費エネルギ量の計測結果において、前記入力手段に前記基準復帰時間として入力された時間が前記予備復帰時間であるとした場合の、当該予備復帰時間に対応する前記消費エネルギ量を提示する、請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記第2の条件に従った制御では、前記制御手段は、前記供給部による前記加熱炉へのエネルギの供給を一時的に停止する、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の制御装置。
【請求項5】
前記第1の状態は、前記加熱炉の炉内の温度が特定の温度以上である状態であり、
前記第2の条件に従った制御では、前記制御手段は、前記加熱炉の炉内の温度を前記特定の温度よりも低い温度で維持する、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の制御装置。
【請求項6】
前記第1の状態は、前記加熱炉の炉内の酸素濃度が特定の濃度以下である状態であり、
前記第2の条件に従った制御では、前記制御手段は、前記加熱炉の炉内の酸素濃度を前記特定の濃度よりも高い濃度で維持する、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の制御装置。
【請求項7】
前記所定の条件は、当該加熱炉の炉内の被加熱物がないことを条件とする、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の制御装置。
【請求項8】
前記所定の条件は、さらに前記第2の条件に従った制御となるべき時間が前記基準復帰時間以上となる、請求項7に記載の制御装置。
【請求項9】
前記第2の条件に従った制御となるべき時間は、当該加熱炉の前工程の被加熱物の有無によって決定される、請求項8に記載の制御装置。
【請求項10】
加熱炉の炉内にエネルギを供給するための供給部の動作を制御するコンピュータによって実行されるプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記加熱炉の炉内の状態を当該加熱炉の炉内で被加熱物を熱処理するための第1の状態で維持するための第1の条件に従って、前記供給部を動作させるステップと、
所定の条件が成立した場合に、前記加熱炉の炉内の状態を前記第1の状態に維持するよりもエネルギ消費量が低い状態で制御するための第2の条件に従って、前記供給部を動作させるステップと、
前記供給部を前記第2の条件で動作させている場合に、前記加熱炉を前記第1の状態に復帰させるべきタイミングまでの残り時間が、前記供給部が前記第2の条件に従って動作している状態から前記加熱炉を前記第1の状態に復帰させるまでに要する時間である基準復帰時間以下となったときに、前記加熱炉を前記第1の状態で維持するように、前記供給部を動作させるステップとを実行させる、加熱炉の制御プログラム。
【請求項11】
加熱炉の制御装置が、当該加熱炉の炉内にエネルギを供給するための供給部の動作を制御するための制御方法であって、
前記加熱炉の炉内の状態を当該加熱炉の炉内で被加熱物を熱処理するための第1の状態で維持するための第1の条件に従って、前記供給部を動作させるステップと、
所定の条件が成立した場合に、前記加熱炉の炉内の状態を前記第1の状態に維持するよりもエネルギ消費量が低い状態で制御するための第2の条件に従って、前記供給部を動作させるステップと、
前記供給部を前記第2の条件で動作させている場合に、前記加熱炉を前記第1の状態に復帰させるべきタイミングまでの残り時間が、前記供給部が前記第2の条件に従って動作している状態から前記加熱炉を前記第1の状態に復帰させるまでに要する時間である基準復帰時間以下となったときに、前記加熱炉を前記第1の状態で維持するように、前記供給部を動作させるステップとを備える、加熱炉の制御方法。
【請求項12】
請求項1〜請求項9のいずれかに記載の制御装置と、
前記加熱炉の炉内にエネルギを供給するための供給部とを備える、加熱炉。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2013−98417(P2013−98417A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241259(P2011−241259)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【特許番号】特許第5077475号(P5077475)
【特許公報発行日】平成24年11月21日(2012.11.21)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【特許番号】特許第5077475号(P5077475)
【特許公報発行日】平成24年11月21日(2012.11.21)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]