加熱硬化型導電性ペースト組成物

【課題】 高い導電性を実現できるとともに、基材上に形成された導体パターンの線幅の太りを低減することができ、より細線化に対応可能な加熱硬化型導電性ペースト組成物を低コストで提供する。
【解決手段】 本発明に係る加熱硬化型導電性ペースト組成物は、(A)銀粉末、(B)加熱硬化性成分、(C)硬化剤および(D)溶剤を含有し、(D)溶剤として、(D−a)主溶剤のジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートと、1種類以上の(D−b)副溶剤とを混合して成る混合溶剤が用いられ、(D−b)副溶剤の沸点が200℃〜300℃の範囲内にあり、かつ、その溶解度パラメータが7.5〜12.0の範囲内にある溶剤であり、混合溶剤の溶解度パラメータが8.0〜9.5の範囲内にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱硬化型導電性ペースト組成物に関し、より詳しくは、基材へ印刷されて形成された塗膜を加熱硬化させることにより、優れた導電性を有する電極または電気配線等を形成することのできる加熱硬化型導電性ペースト組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、フィルム、基板、電子部品等の基材に電極または電気配線(配線)等を形成する方法の一つとして、導電性ペースト組成物を用いる技術が広く用いられている。この技術において、比較的低温で導体パターンを作成する場合には、導電性金属粉末(導電性粒子)と熱硬化性樹脂とを含有する加熱硬化型のものが用いられる。そして、この加熱硬化型導電性ペースト組成物を基材上に所定の導体パターンで塗布または印刷するステップ(パターン形成ステップ)が行われ、その後に基材上の導体パターンを乾燥硬化させるために加熱するステップ(加熱硬化ステップ)が行われることにより、基材上に所定の導体パターンの電極や配線等を形成することができる。なお、以下の説明では、このような技術を便宜上「ペースト法」と称する。
【0003】
ここで、近年の電子機器や電子部品の高性能化等に伴って、前記電極や配線等に対して、さらなる低抵抗化が要求されており、この要求は年々厳しいものとなっている。しかしながら、電子機器等の高性能化を維持しつつ電極や配線等の低抵抗化を図ることには課題が存在する。
【0004】
例えば、高温処理により特性が劣化するような電子部品の電極を「ペースト法」により形成する場合、より抵抗の低い電極を形成するためには、加熱硬化ステップで高温加熱することが好ましいが、加熱温度が高すぎると電子部品の品質に影響が生じるおそれがある。
【0005】
具体的には、例えば、アモルファスシリコン層を有する太陽電池では、アモルファスシリコン層の特性の劣化または素子基板の反り等を抑制するためには、電極形成時の加熱温度は低い方が好ましい。ここで、前記太陽電池が集電電極を有しており、当該集電電極を「ペースト法」により形成する場合には、加熱硬化ステップで加熱温度を例えば200℃以上にすることが好ましい。加熱温度を高くすれば、導電性ペースト組成物に含まれる加熱硬化成分の体積収縮が大きくなるため、銀等の導電性粒子同士が強固に接着することで、集電電極の低抵抗化を図ることができる。したがって、アモルファスシリコン層等の品質の維持と集電電極の低抵抗化との両立を図るためには、加熱硬化ステップでの加熱温度に相反する条件が求められることになる。
【0006】
また、太陽電池の変換効率を増加させるためには、受光面積を増大させることが必要となる。前記集電電極は太陽電池の受光面側に形成されるため、集電電極の線幅が太ければ、受光面積が減少して発電量の増加が期待できない。それゆえ、集電電極に対しては、線幅をある程度以下に抑えるように細線化(ファインライン化)が要求されている。したがって、導電性ペースト組成物に対しては、パターン形成ステップで細線化された印刷を可能とする物性が要求されることになる。
【0007】
したがって、太陽電池の集電電極を「ペースト法」により形成する場合には、導電性ペースト組成物に対しては、加熱硬化ステップにおいて比較的低温の加熱でも低抵抗化が可能となる物性と、パターン形成ステップにおいてより細線化した印刷が可能となる物性とが要求されることになる。
【0008】
このように、低抵抗で高い導電性を実現できるとともに、例えばスクリーン印刷により導体パターンを形成しても線幅の太りが少ない導電性ペースト組成物を実現する手法としては、例えば、特許文献1ないし3に開示される技術が提案されている。
【0009】
特許文献1および2に開示される技術は、基材上に線幅の細い配線や電極を形成できるものであり、特許文献1には、エポキシ樹脂(アリル基非含有の常温固体エポキシ樹脂とアリル基含有エポキシ樹脂との混合)、フェノール樹脂、銀粉、硬化剤からなる導電性ペースト組成物を用いることで、低抵抗かつにじみの少ない配線描画が可能となることが開示されている。また、特許文献2には、平均粒径が50nm以下の金属超微粒子(球状銀粉末)を用いることで低抵抗かつにじみの少ない配線描画が可能となる導電性ペースト組成物が開示されている。
【0010】
また、特許文献3に開示される技術は、ペーストの粘度変化を防止することを課題としており、溶解度パラメータが異なる2種の溶剤を混合して導電性ペースト組成物を調製することで、導電性粉末の沈降によるペーストの粘度変化を防止できることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2007−18932号公報
【特許文献2】特開2007−66824号公報
【特許文献3】特開2004−273446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、前記従来の技術では、電極や配線等を低コストでより一層細線化するに形成するには不十分な点が存在する。
【0013】
例えば、特許文献1には、導電性ペースト組成物の樹脂成分の種類を特定することで低抵抗かつにじみを抑制する旨の記載がなされているが、にじみの評価は5mm線幅の配線を印刷することにより行われている。スクリーン印刷においては、線幅が狭まるほどにじみの制御が困難になるため、5mm線幅の配線でにじまない導電性ペースト組成物が、100μm以下の配線でもにじまなくできるわけではない。
【0014】
また、特許文献2に開示される導電性ペースト組成物は、100μm以下のファインライン印刷が可能であるとしているが、導電性ペースト組成物に含有される金属超微粒子は、一般的に、凝集または凝結を抑制してそれ自体の大きさを維持するために、大量の有機分によって包まれている。そのため、加熱硬化後も有機分の一部が残存するため、抵抗が高くなる傾向にある。また、特許文献2では、比抵抗5.0×10-5 Ω・cm以下であれば良好な導電性であると判断しているが、太陽電池用途として用いるためには、さらなる低抵抗化が求められる。加えて、金属超微粒子が実質的に必須の成分であることから、導電性ペースト組成物の低コスト化が難しいものとなっている。
【0015】
特許文献3に記載された導電性ペースト組成物は、溶解度パラメータの異なる2種類の溶剤を用いることで粘度変化を抑制できるとしているが、当該導電性ペースト組成物はフリットガラスも併せて用いている。加熱硬化型導電性ペースト組成物においてフリットガラスを用いた場合、例えば、300℃以下で硬化させるような硬化条件では、フリットガラスが導電性を阻害する役割を果たすため、高い導電性を得ることが困難となる。また、特許文献3には、例えばスクリーン印刷での配線形成時に、線幅の太りが生じることを抑制して細線化を図ることに関しては考慮されていない。
【0016】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであって、低抵抗化を実現できるとともに、基材上に形成された導体パターンの線幅の太りを低減することができ、より細線化に対応可能な加熱硬化型導電性ペースト組成物を低コストで提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係る加熱硬化型導電性ペースト組成物は、前記の課題を解決するために、(A)銀粉末と、(B)加熱硬化性成分と、(C)硬化剤と、(D)溶剤とを含有する加熱硬化型導電性ペースト組成物であって、前記(D)溶剤として、1種類の(D−a)主溶剤と、1種類以上の(D−b)副溶剤とを混合して成る混合溶剤が用いられ、前記(D−a)主溶剤がジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートであり、前記(D−b)副溶剤が、前記ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート以外の溶剤であって、その沸点が200℃〜300℃の範囲内にあり、かつ、その溶解度パラメータが7.5〜12.0の範囲内にある溶剤であるとともに、前記混合溶剤の溶解度パラメータが8.0〜9.5の範囲内にある構成である。
【0018】
前記加熱硬化型導電性ペースト組成物においては、前記(A)銀粉末、前記(B)加熱硬化性成分、前記(C)硬化剤、および前記(D)溶剤の含有量が、それぞれ81〜95重量%、4〜9重量%、0.05〜2重量%、および0.95〜8重量%の範囲内である構成であってもよい。
【0019】
前記加熱硬化型導電性ペースト組成物においては、前記(D−b)副溶剤が、グリコールエーテル類、エステル類、ケトン類、アルコール類、およびラクタム類からなる群より選択される少なくとも1種である構成であってもよく、より具体的には、前記(D−b)副溶剤が、ターピネオール、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジブチルジグリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、メタクリル酸2−エチルヘキシル、γ−ブチロラクトン、n−メチル−2−ピロリドン、ベンジルアルコールからなる群より選択される少なくとも1種である構成であってもよい。
【0020】
また、前記加熱硬化型導電性ペースト組成物においては、前記(B)加熱硬化性成分としてエポキシ樹脂を含有する構成であってもよく、当該(B)加熱硬化性成分として、さらに(B−b)ブロック化ポリイソシアネート化合物を含有する構成であってもよい。
【0021】
また、前記加熱硬化型導電性ペースト組成物においては、前記(A)銀粉末が、(A−a)フレーク状銀粉末および(A−b)球状銀粉末から構成されてもよい。
【0022】
また、前記加熱硬化型導電性ペースト組成物においては、基材上に印刷された導体パターンを加熱硬化することによって、当該基材上に電極または電気配線を形成する用途に用いられる構成であってもよく、当該加熱硬化型導電性ペースト組成物は、前記電極として、太陽電池の集電電極に好ましく用いることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明では、低抵抗化を実現できるとともに、基材上に形成された導体パターンの線幅の太りを低減することができ、より細線化に対応可能な加熱硬化型導電性ペースト組成物を低コストで提供することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る加熱硬化型導電性ペースト組成物の特性(比抵抗)を評価するための導体パターンの形状を示す平面図である。
【図2】本発明に係る加熱硬化型導電性ペースト組成物の特性(80μm線幅)を評価するための導体パターンの形状を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に係る加熱硬化型導電性ペースト組成物は、成分として、(A)銀粉末、(B)加熱硬化性成分、(C)硬化剤、および(D)溶剤を少なくとも含有しており、(D)溶剤が、(D−a)主溶剤であるジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートと1種類以上の(D−b)副溶剤とからなる混合溶剤であって溶解度パラメータ(SP値)が所定範囲内に設定されているものである。なお、以下の説明では、本発明に係る加熱硬化型導電性ペースト組成物を、単に導電性ペースト組成物と略記する。
【0026】
特に、(D)溶剤のうち、(D−b)副溶剤は、それ自体の溶解度パラメータ7.5〜12.0の範囲内にあり、その沸点が200℃〜300℃の範囲内にある。また、(A)銀粉末が、好ましくは(A−a)フレーク状銀粉末と(A−b)球状銀粉末とから成り、(B)加熱硬化性成分が、好ましくは(B−a)エポキシ樹脂を含有し、より好ましくは(B−a)エポキシ樹脂に加えて(B−b)ブロック化ポリイソシアネート化合物を含有している。
【0027】
本発明に係る導電性ペースト組成物の前記各成分およびその調整等に関して、その好ましい実施の形態を以下に詳細に説明する。
【0028】
[(A)銀粉末]
本発明に係る導電性ペースト組成物に用いられる(A)銀粉末は、当該導電性ペースト組成物における導電性粒子(導電性金属粉末)であって、その具体的構成は、後述の[導電性ペースト組成物の使用例]で説明する導体パターン形成に影響を及ぼさない限り特に限定されないが、(A−a)フレーク状銀粉末および(A−b)球状銀粉末の少なくとも一方が用いられることが好ましく、両者が併用されることがより好ましい。
【0029】
これら(A)銀粉末のうち(A−a)フレーク状銀粉末は、部分的に凹凸があり、変形が見られても、全体として見た場合に、平板または厚みの薄い直方体を含む形状(フレーク状)を有する銀粒子であればよい。当該(A−a)フレーク状銀粉末の平均粒径D50(累積50体積%粒径)は特に限定されないが、2〜20μmの範囲内であることが好ましく、2〜12μmの範囲内であることがより好ましく、7〜10μmの範囲内であることがさらに好ましい。平均粒径D50が2μmより小さいと、(A−a)フレーク状銀粉末の粒子間の接触抵抗が大きくなる傾向にあるため、得られる導電性ペースト組成物の導電性が十分に向上しない場合がある。一方、平均粒径D50が20μmより大きいと、(A−a)フレーク状銀粉末の粒子間の接触抵抗は小さくなるが、後述するように、メッシュスクリーンを用いて導体パターンをスクリーン印刷する場合、当該メッシュスクリーンの目詰まりが起こる等、配線の細線化が困難となる場合がある。
【0030】
(A−b)球状銀粉末は、部分的に凹凸があり、変形が見られても、全体として見た場合に、直方体よりは立方体に近い立体形状を有する銀粒子であればよい。当該(A−b)球状銀粉末の平均粒径D50は、0.1〜10μmの範囲内であることが好ましく、1〜10μmの範囲内であることがより好ましく、1〜5μmの範囲内であることがさらに好ましい。(A−b)球状銀粉末の平均粒径D50が0.1μmより小さいと、導電性ペースト組成物が高粘度化することにより実質的にペースト化が困難となる傾向にある。一方、(A−b)球状銀粉末の平均粒径D50が10μmより大きいと、(A−a)フレーク状銀粉末の場合と同様に、メッシュスクリーンを用いて導体パターンを印刷する場合、当該メッシュスクリーンの目詰まりが起こる等、配線の細線化が困難となる場合がある。
【0031】
なお、本実施の形態においては、前記(A−a)フレーク状銀粉末および(A−b)球状銀粉末の平均粒径D50(累積50体積%粒径)は、レーザー回折法を用いて測定している。具体的な測定方法の一例について説明すると、銀粉試料0.3gを50mLビーカーに秤量し、イソプロピルアルコール30mLに加えた後、超音波洗浄器(アズワン株式会社製USM−1)により5分間分散させ、マイクロトラック粒度分布測定装置(日機装株式会社製のマイクロトラック粒度分布測定装置9320−HRA X−100)を使用して測定している。
【0032】
本発明では、前述したように、(A)銀粉末として、(A−a)フレーク状銀粉末または(A−b)球状銀粉末を少なくとも用いればよいが、好ましくは、(A−a)フレーク状銀粉末および(A−b)球状銀粉末の両方を併用する。
【0033】
(A)銀粉末として(A−a)フレーク状銀粉末のみを使用した場合、銀粒子間の接触面積を大きくすることができるので、高い導電性を期待することができる。ただし、(A−a)フレーク状銀粉末の製造過程では滑剤が使用されるため、この滑剤により形成される電極や配線等の接着性および導電性の低下を避けることが難しくなる。また、加熱硬化後の電極や配線においては、(A−a)フレーク状銀粉末の形状に起因して、その厚みを一定以上大きくすることが難しくなり、形成された電極や配線の抵抗値が期待したほど低くならないことがある。
【0034】
そこで、このような導電性の低下等をより一層有効に抑制したい場合には、(A−a)フレーク状銀粉末に(A−b)球状銀粉末を併用することが好ましい。なお、(A)銀粉末として(A−b)球状銀粉末のみを使用してもよいが、(A−a)フレーク状銀粉末に比して銀粒子間の接触面積が小さくなりやすいため、(A−a)フレーク状銀粉末のみを用いた場合よりも比抵抗が上昇しやすくなる傾向にある。
【0035】
(A)銀粉末として(A−a)フレーク状銀粉末および(A−b)球状銀粉末を併用する場合、その重量混合比率は、両者の合計を100重量部としたとき、(A−a)フレーク状銀粉末が20〜80重量部の範囲内であり、かつ、(A−b)球状銀粉末が80〜20重量部の範囲内であることが好ましく、(A−a)フレーク状銀粉末が40〜60重量部の範囲内であり、(A−b)球状銀粉末が60〜40重量部の範囲内であることがより好ましい。(A−a)フレーク状銀粉末もしくは(A−b)球状銀粉末が80重量部を超える場合、あるいは20重量部を下回る場合、両者を併用したことによる比抵抗を下げる効果が十分に得られない場合があり、また、フィルム、基板、電子部品等の基材への優れた接着性が得られなくなる場合がある。
【0036】
本発明に係る導電性ペースト組成物においては、必要に応じて、(A−a)フレーク状銀粉末および(A−b)球状銀粉末以外の他の銀粉末(例えば、樹脂状銀粉末等)を用いることができる。当該他の銀粉末は、(A−a)フレーク状銀粉末または(A−b)球状銀粉末の代わりに用いられてもよいし、(A−a)フレーク状銀粉末および(A−b)球状銀粉末に併用されてもよい。さらに、導電性成分として、(A)銀粉末以外の導電性粉末、例えば、銅粉末、銀コート銅粉末、銀コートニッケル粉末等を併用することも可能である。
【0037】
[(B)加熱硬化性成分]
本発明に係る導電性ペースト組成物に用いられる(B)加熱硬化性成分としては、公知の加熱硬化性成分を好適に用いることができるが、好ましくは(B−a)エポキシ樹脂が用いられ、より好ましくは、(B−a)エポキシ樹脂および(B−b)ブロック化ポリイソシアネート化合物が併用される。
【0038】
本発明において(B)加熱硬化性成分として用いられる(B−a)エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ環またはエポキシ基を有する多価エポキシ樹脂であれば特に限定されず、一般に用いられているものが使用可能である。具体的には、例えば、グリシジル型のエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンエポキシド等の脂環式エポキシ樹脂、ブタジエンダイマージエポキシド等の脂肪族エポキシ樹脂等が挙げられる。グリシジル型のエポキシ樹脂としては、エピクロルヒドリンまたは2−メチルエピクロルヒドリンと、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等のノボラック系化合物;ビスフェノール、水添ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、レゾルシン等の多価フェノール系化合物;エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の多価アルコール系化合物;エチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、アニリン等のポリアミノ化合物;または、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸等の多価カルボキシル化合物;等と、を反応させて得られるものが挙げられる。これらエポキシ樹脂は単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。本実施の形態において特に好ましいエポキシ樹脂としては、グリシジル型のエポキシ樹脂を挙げることができる。
【0039】
本発明における(B−a)エポキシ樹脂のエポキシ当量は100〜1000の範囲内であることが好ましく、100〜400の範囲内であることがより好ましい。エポキシ当量が100未満であると、得られる導電性ペースト組成物で形成される硬化膜の耐熱性または耐久性等が不充分となりやすい傾向にある。一方、エポキシ当量が1000を超えると、得られる導電性ペースト組成物のチクソ性が低下する傾向にある。
【0040】
本発明において、(B−a)エポキシ樹脂に併用される(B−b)ブロック化ポリイソシアネート化合物としては、公知のポリイソシアネート化合物のイソシアネート基をブロック化したものであればよい。用いられるポリイソシアネート化合物としては、具体的には、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、トリジンジイソソアネート、キシリレンジイソソアネート、ナフタリンジイソソアネート等の芳香族イソシアネート化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソソアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネート化合物;等を挙げることができる。これらポリイソシアネート化合物を用いたブロック化ポリイソシアネート化合物は単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0041】
これらのポリイソシアネート化合物のうち、その成分中に3核体以上のポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートを含むものが好ましく用いられる。また、ポリイソシアネートとポリオールとを公知の方法により反応させて合成した末端イソシアネート基含有化合物も、本発明におけるポリイソシアネート化合物として用いることができる。この場合のポリオールについては特に限定はなく、一般的なポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリカーボネートポリオール類等を好適に用いることができる。また、ポリイソシアネート化合物のブロック化剤についても特に限定はなく、イミダゾール類、フェノール類、オキシム類等の公知のものを好適に用いることができる。
【0042】
(B)加熱硬化性成分として(B−a)エポキシ樹脂と(B−b)ブロック化ポリイソシアネート化合物とを併用する場合、その重量混合比率は、両者の合計を100重量部としたとき、(B−a)エポキシ樹脂成分30重量部かつ(B−b)ブロック化ポリイソシアネート化合物成分70重量部から(B−a)エポキシ樹脂成分90重量部かつ(B−b)ブロック化ポリイソシアネート化合物成分10重量部までの範囲内であることが好ましい。
【0043】
なお、ここでいう(B−a)エポキシ樹脂「成分」および(B−b)ブロック化ポリイソシアネート化合物「成分」とは、エポキシ樹脂またはブロック化ポリイソシアネート化合物を1種類のみ用いる場合だけでなく、複数種類用いる場合を含むものであり、例えば、2種類以上のエポキシ樹脂を用いる場合、(B−a)エポキシ樹脂成分30重量部には、2種類のエポキシ樹脂の総量が30重量部であることを意味する。以下、「〜成分」という用語は他の成分(A)、(C)および(D)においても同様に用いるものとする。
【0044】
(B−a)エポキシ樹脂成分が30重量部未満すなわち(B−b)ブロック化ポリイソシアネート化合物成分が70重量部を超えると、得られる導電性ペースト組成物により形成される硬化膜の強度および接着性が低下する傾向にある。一方、(B−a)エポキシ樹脂成分が90重量部を超えると、すなわち(B−b)ブロック化ポリイソシアネート化合物成分が10重量部未満であると、(B−b)ブロック化ポリイソシアネート化合物成分の硬化収縮による導電性粉末間の接触を促進させる効果が小さくなり、形成される電極や配線等の導電性が低下する傾向にある。
【0045】
[(C)硬化剤]
本発明に係る導電性ペースト組成物に用いられる(C)硬化剤としては、用いられる(B)加熱硬化性成分の種類に応じて適切なものを好適に用いることができるが、前述したように、本実施の形態では、少なくとも(B−a)エポキシ樹脂が好適に用いられ、より好ましくは(B−a)エポキシ樹脂と(B−b)ブロック化ポリイソシアネート化合物とが併用されるので、これらに対応する(C)硬化剤としては、イミダゾール類、フッ化ホウ素を含むルイス酸およびそれらの錯体または塩、アミンアダクト、3級アミン、ジシアンジアミド、フェノール樹脂、酸無水物等を好適に用いることができる。
【0046】
イミダゾール類としては、具体的には、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−アミノエチル−2−メチルイミダゾール、1−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール等を挙げることができる。
【0047】
フッ化ホウ素を含むルイス酸およびそれらの錯体または塩としては、具体的には、例えば、三フッ化ホウ素エチルエーテル、三フッ化ホウ素フェノール、三フッ化ホウ素ピペリジン、酢酸三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素トリエタノールアミン、三フッ化ホウ素モノエタノールアミン、三フッ化ホウ素モノエチルアミン等を挙げることができる。
【0048】
アミンアダクトとしては、具体的には、例えば、味の素ファインテクノ株式会社製アミキュアシリーズ、富士化成工業株式会社製フジキュアシリーズ等を挙げることができる。
【0049】
3級アミンとしては、具体的には、例えば、ジメチルオクチルアミン、ジメチルデシルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルミリスチルアミン、ジメチルパルミチルアミン、ジメチルステアリルアミン、ジメチルベヘニルアミン、ジラウリルモノエチルアミン、メチルジデエシルアミン、メチルジオレイルアミン、トリアリルアミン、トリイソプロパノールアミン、トリエチルアミン、3−(ジブチルアミノ)プロピルアミン、トリ−n−オクチルアミン、2,4,6−トリスジメチルアミノメチルフェノール、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジアザビシクロウンデセン等を挙げることができる。
【0050】
フェノール樹脂としては、具体的には、例えば、三菱化学株式会社製JER170、JER171N、明和化成株式会社製MEH−8000H、MEH−8005等を挙げることができる。
【0051】
酸無水物としては、具体的には、例えば、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水cis−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸、無水トリメット酸、無水ピロメリット酸、あるいは、新日本理化株式会社製リカシッドMH−700、リカシッドHNA−100等を挙げることができる。
【0052】
これら(C)硬化剤は単独で用いてもよいし、複数種類を組み合わせて用いてもよい。またこれら(C)硬化剤の添加量は特に限定されないが、(B−a)エポキシ樹脂を基準として、(B−a)エポキシ樹脂成分100重量部に対して(C)硬化剤成分3〜30重量部の範囲内であればよく、3〜15重量部の範囲内であることが好ましく、3〜10重量部の範囲内であることがより好ましい。(C)硬化剤の添加量がエポキシ樹脂100重量部に対して3重量部未満であると、(B)加熱硬化性成分の硬化が不十分となり、形成される電極や配線において良好な導電性が得られない。一方、30重量部を超えると、導電性ペースト組成物のペースト粘度が高くなり、コスト軽減につながらないおそれもある。
【0053】
[(D)溶剤]
本発明に係る導電性ペースト組成物に用いられる(D)溶剤としては、1種類の(D−a)主溶剤と、1種類以上の(D−b)副溶剤とを混合して成る混合溶剤が用いられる。(D−a)主溶剤は、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートであり、(D−b)副溶剤は、前記ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート以外の溶剤であって、その沸点が200〜300℃の範囲内、好ましくは、沸点が200〜260℃の範囲内にあり、かつ、その溶解度パラメータが7.0〜12.0の範囲内、好ましくは、溶解度パラメータが8.0〜11.0の範囲内となるものである。ここで、(D)溶剤の溶解度パラメータは、次に示すFedor の式から算出することができる。なお、下記式におけるEcohは凝集エネルギー(単位:cal/mol)を表し、Vはモル容積(単位:cm3 /mol)を表す。
【0054】
溶解度パラメータ[(cal/cm3 )1/2]=(ΣEcoh/ΣV)1/2
また、後述するように、本発明では、(D)溶剤成分として、(D−a)主溶剤であるジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートと、1種類以上の(D−b)副溶剤とを混合して成る混合溶剤を用いるが、当該混合溶剤の溶解度パラメータは、それぞれの溶剤の凝集エネルギーおよびモル容積から算出することができる。本実施の形態では、各溶剤の凝集エネルギーおよびモル容積は、R. F. Fedors, Polym. Eng. Sci., 14, 147 (1974) に記載されている値を使用している。
【0055】
本発明に係る導電性ペースト組成物は、特に、スクリーン印刷によって導体パターンを形成する用途に好適に用いられる。そのため、沸点が200℃を下回る溶剤は、スクリーン印刷の版の感想を抑制することが困難になることから好ましくない。また、本発明に係る導電性ペースト組成物は、加熱硬化ステップにおいて100〜300℃の範囲内で加熱するため、300℃を上回る溶剤は、加熱硬化ステップにおいて十分に揮発しないため、抵抗を十分に下げられないおそれがある。
【0056】
(D−b)副溶剤として用いることが可能な溶剤、すなわち溶解度パラメータと沸点とが前記の範囲内にある溶剤としては、具体的には、例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジブチルジグリコール等のグリコールエーテル類;およびこれらグリコールエーテル類の酢酸エステル(ただし、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを除く);DBE(二塩基酸エステル);2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のエステル類;イソホロン等の環状ケトン類;ターピネオール、水添ターピネオール等のモノテルペンアルコール類;およびこれらモノテルペンアルコール類の酢酸エステル;γ−ブチロラクトン等の環状エステル類;n−メチル−2−ピロリドン等のラクタム類;ベンジルアルコール等のアルコール類;等を例示することができる。
【0057】
好ましい高沸点溶剤としては、具体的には、例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ターピネオール、ジブチルジグリコール、メタクリル酸2−エチルヘキシル、γ−ブチロラクトン、n−メチル−2−ピロリドン、ベンジルアルコール等を挙げることができる。これら高沸点溶剤のうち、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートは(D−a)主溶剤であり、他の高沸点溶剤は、少なくとも1種類以上を(D−b)副溶剤として用いることができる。
【0058】
本発明においては、(D)溶剤成分として、前述した各溶剤のうち、(D−a)主溶剤であるジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートと、1種類以上の(D−b)副溶剤とを適宜組み合わせて混合した混合溶剤を使用する。当該混合溶剤の溶解度パラメータは、8.0〜9.5の範囲内であることが好ましく、8.3〜9.3の範囲内であることがより好ましい。混合溶剤の溶解度パラメータが8.0未満であれば、(B)加熱硬化性成分、特にエポキシ樹脂ないしブロック化ポリイソシアネートと混合溶剤との相溶性が低下し、ペースト組成物の製造時に液分れが発生する。また、液分れなく導電性ペースト組成物が得られたとしても、形成される導体パターンに断線が生じやすくなる等の問題が生じる。一方、混合溶剤の溶解度パラメータが9.5を超えると、形成される導体パターンににじみが生じやすくなる。にじみ発生の理由は明らかではないが、溶剤の溶解度パラメータがある程度上がり過ぎると、導電性ペースト組成物中の粘弾性が強くなるため、導体パターン形成時にせん断力を受けることでにじみが大きくなりやすいと考えられる。
【0059】
本発明において、混合溶剤の組成、すなわち(D−a)主溶剤であるジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートと(D−b)副溶剤との混合割合は特に限定されず、当該混合溶剤の前記溶解度パラメータが実現できるように、(D−a)主溶剤および(D−b)副溶剤を混合すればよい。
【0060】
[その他の成分]
本発明に係る導電性ペースト組成物においては、前述した成分(A)〜(D)を含んでいればよいが、必要に応じて他の成分を含有してもよい。このような他の成分としては、公知の各種の添加剤を好適に用いることができるが、好ましい一例として、分散剤(安定剤)を挙げることができる。分散剤の具体的な種類は特に限定されないが、具体的には、例えば、ビックケミー・ジャパン株式会社製のBYKシリーズまたはDisperBYKシリーズ、あるいは、楠本化成株式会社製DISPARLONシリーズ等を挙げることができる。
【0061】
より具体的には、前記BYKシリーズの分散剤としては、例えば、BYK−350、BYK−352、BYK−354、BYK−355、BYK−356、BYK−358N、BYK−361N、BYK−380N、BYK−381、BYK−392、BYK−394、BYK−405、BYK−410、BYK−411、BYK−420、BYK−425、BYK−428等が挙げられ、前記DisperBYKシリーズの分散剤としては、例えば、Disperbyk−101、Disperbyk−102、Disperbyk−103、Disperbyk−106、Disperbyk−110、Disperbyk−111、Disperbyk−140、Disperbyk−142、Disperbyk−145、Disperbyk−161、Disperbyk−162、Disperbyk−163、Disperbyk−164、Disperbyk−166、Disperbyk−167、Disperbyk−168、Disperbyk−170、Disperbyk−171、Disperbyk−174、Disperbyk−180、Disperbyk−182、Disperbyk−2000、Disperbyk−2001、Disperbyk−2050、Disperbyk−2070、Disperbyk−2090等が挙げられる。
【0062】
また、前記DISPARLONシリーズの分散剤としては、ディスパロンKS−860、ディスパロンKS−873N、ディスパロン7004、ディスパロン1831、ディスパロン1850、ディスパロン1860、ディスパロン2150、ディスパロンDA−400N、ディスパロンPW36、ディスパロンDA−703−50、ディスパロンDA−725、ディスパロンDA−705、ディスパロンDA−7301、ディスパロンDA−325、ディスパロンDA−375、ディスパロンDA−234、ディスパロンDN−900、ディスパロンDA−1200等が挙げられる。
【0063】
[導電性ペースト組成物の製造方法]
本発明に係る導電性ペースト組成物の製造方法は特に限定されず、公知の方法を好適に用いることができる。代表的な一例としては、成分(A)〜(D)、必要に応じて他の成分を所定の配合割合(重量基準)で配合し、公知の混練装置を用いてペースト化すればよい。混練装置としては、例えば、3本ロールミル等を挙げることができる。
【0064】
なお、本発明に係る導電性ペースト組成物の物性は特に限定されないが、パターン形成ステップ時の便宜、特にスクリーン印刷の効率性から、当該導電性ペースト組成物の粘度は、75〜100Pa・sの範囲内であることが好ましい。粘度がこの範囲内であれば、スクリーン印刷による導体パターンの形成を好適に行うことができる。
【0065】
また、本発明に係る導電性ペースト組成物における成分(A)〜(D)の配合量(含有量)は、(A)銀粉末が81〜95重量%、(B)加熱硬化性成分が4〜9重量%、(C)硬化剤が0.05〜2重量%、および(D)溶剤の含有量が0.95〜8重量%の範囲内であればよい。
【0066】
ここで、固形分中における(A)銀粉末の重量比は、90〜98重量%の範囲内であることが好ましく、92〜97重量%の範囲内であることがより好ましく、93〜97重量%の範囲内であることがさらに好ましい。固形分中の(A)銀粉末の重量比が90重量%未満であれば、比抵抗を十分に下げられなくなるおそれがある。一方、(A)銀粉末が98重量%を超えると、(B)加熱硬化性成分への(A)銀粉末の均一な分散が難しくなり、形成される導体パターンがカスレたり、導体パターンの均一性が低下したりするおそれがある。
【0067】
また、(D−a)主溶剤および(D−b)副溶剤の合計量を100重量%としたときに、(D−a)主溶剤の配合量が40〜95重量%の範囲内であり、(D−b)副溶剤の配合量が5〜60重量%の範囲内であることが好ましい。(D−a)主溶剤および(D−b)副溶剤の配合比(混合比)が前記範囲から外れると、混合溶剤の溶解度パラメータが8.0〜9.5の範囲から外れるため、形成される導体パターンににじみが生じやすくなる等の不都合が生じるおそれがある。
【0068】
[導電性ペースト組成物の使用]
本発明に係る導電性ペースト組成物は、前記各成分を含み、かつ、成分(D)として、(D−a)主溶剤および(D−b)副溶剤を組み合わせて、溶解度パラメータを適切な範囲に調整した混合溶剤を用いているので、細線化した電極や配線の形成に広く利用することができる。具体的には、例えば、太陽電池セルの集電電極;チップ型電子部品の外部電極;RFID(Radio Frequency IDentification)、電磁波シールド、振動子接着、メンブレンスイッチ、またはエレクトロルミネセンス等に用いられる部品の電極または配線;等の用途に好適に用いることができる。
【0069】
本発明に係る導電性ペースト組成物の具体的な使用方法は特に限定されず、導電性ペースト組成物を基材上に所定の導体パターンで塗布または印刷するステップ(パターン形成ステップ)と、基材上の導体パターンを加熱硬化させるステップ(加熱硬化ステップ)とを含む方法であればよい。硬化した後の導体パターン(硬化膜)が基材上に形成された電極や配線となる。
【0070】
前記基材としては、前述した電子部品または電子機器に応じた公知のフィルム、基板、その他の基材を挙げることができる。これら基材の具体的な材質、形状、寸法、その他条件等は特に限定されず、電子部品や電子機器の種類に応じて適切なものを選択すればよい。
【0071】
また、パターン形成ステップでは、公知の種々の導体パターン形成方法(印刷方法または塗布方法)を用いることができるが、代表的には、メッシュスクリーンを用いたスクリーン印刷を挙げることができる。本発明では、成分(A)〜(D)が適切な組成で配合され、かつ、(D−a)主溶剤および(D−b)副溶剤を組み合わせた混合溶剤を用いているので、前述したように、メッシュスクリーンを用いて導体パターンをスクリーン印刷する場合であっても、細線(ファインライン)の形成を容易とすることができる。
【0072】
また、加熱硬化ステップにおいても加熱方法または加熱温度は特に限定されないが、加熱温度は、100〜300℃の範囲内であることが好ましい。加熱温度が100℃より低ければ、導電性ペースト組成物の硬化が不十分となるおそれがあり、300℃より高くなれば、(B)加熱硬化性成分の分解または基材から剥離等が生じるおそれがある。
【0073】
このように、本発明においては、導電性ペースト組成物に用いる(D)溶剤成分として、少なくともジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを含む2種類または3種類以上の溶剤の混合系(混合溶剤)にするとともに、混合後の混合溶剤の溶解度パラメータを一定範囲以内になるように設定している。それゆえ、例えば、スクリーン印刷を用いて微細配線の導体パターンを描画する際にも、にじみ等による配線太りを抑制できる。その結果、例えば太陽電池の集電電極に適用した際に、必要以上に受光面積を減少させることなく、導電性が良好な電極や電気配線等を作成することができる。また、混合溶剤に用いられる2種類または3種類以上の溶剤としては高沸点溶剤を用いているので、版乾きが抑制され、作業性も改善される。
【実施例】
【0074】
本発明について、実施例および比較例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。当業者は本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更、修正、および改変を行うことができる。なお、以下の実施例および比較例における物性等の測定・評価は次に示すようにして行った。
【0075】
[粘度の測定方法]
実施例および比較例の導電性ペースト組成物の粘度は、Brookfield社製DV−III型粘度計を用いて測定した。測定時のコーンとしてCP−52を用い、5rpm回転時(ずり速度10s−1)の粘度を測定した。
【0076】
[特性評価用サンプルの作製方法]
実施例および比較例の導電性ペースト組成物を用いて、次のようにして特性評価用サンプルを作製した。
【0077】
(1)比抵抗評価用サンプル
基材としてのアルミナ基板上に、実施例または比較例の導電性ペースト組成物を用いて、図1に示すように、両端に端子11および12を有し配線部分がつづら折り状となっている導体パターン10をスクリーン印刷した。なお、スクリーン印刷には、マイクロ・テック株式会社製スクリーン印刷機MT−320を使用した。この導体パターン10のアスペクト比は75となっている。その後、アルミナ基板を180℃の熱風乾燥機中で60分間加熱し、導体パターン10(導電性ペースト組成物)を硬化させた。これにより比抵抗評価用サンプルを作製した。
【0078】
(2)80μm線幅評価用サンプル
基材としてのアルミナ基板上に、実施例または比較例の導電性ペースト組成物を用いて、図2に示すように、線幅L=80μmの櫛状の配線である導体パターン20スクリーン印刷した。なお、導体パターン20においては、集積部分以外の6本の配線の線幅が全て80μmとなっている。なお、印刷には、マイクロ・テック株式会社製スクリーン印刷機MT−320を使用し、SUS200メッシュのスクリーン版(中沼アートスクリーン株式会社製)を用いた。その後、アルミナ基板を180℃の熱風乾燥機中で60分間加熱し、導体パターン20(導電性ペースト組成物)を硬化させた。これにより80μm線幅評価用サンプルを作製した。
【0079】
[比抵抗の評価方法]
図1に示す導体パターン10の配線の膜厚を表面粗さ計(株式会社東京精密製サーフコム480A)で測定するとともに、その電気抵抗(端子11、12間)をデジタルマルチメータ(株式会社アドバンテスト製R6551)で測定し、それら膜厚、電気抵抗および前記アスペクト比に基づいて比抵抗を算出し、評価した。
【0080】
比抵抗の評価基準については、当該比抵抗の上限値を設定し、それ以下になるか否かにより評価した。配線(電極)の比抵抗が高ければ、同程度の配線抵抗を得るために膜厚を厚くする必要があるため、用いられる導電性ペースト組成物の量も多く必要になる。それゆえ、電極や配線の比抵抗はできる限り低いことが好ましい。以下の実施例および比較例では、配線の比抵抗が10μΩ・cm以下であれば好ましく、9μΩ・cm以下であればより好ましいとして評価した。
【0081】
[80μm配線の評価方法]
図2に示す導体パターン20の80μm配線を、KEYENCE製デジタルマイクロスコープVHX−100Fにより倍率300倍で観察し、にじみを含めた幅を線幅と定義して評価した。
【0082】
線幅の評価基準については、比較例および実施例の線幅の対比から評価した。例えば、太陽電池の集電電極においては、配線の線幅が太すぎると受光部の面積が狭まるために、発電量の低下を引き起こすことになる。そこで、以下の実施例および比較例では、比較例1の線幅を1.00で規格化し、線幅が0.95以下であれば好ましく、0.90以下であればより好ましいとして評価した。
【0083】
[実施例1]
表1に示す組成(いずれも重量部)で表2に示す具体的な成分を用いて、成分(A)〜(D)を配合し、3本ロールミルで混練してペースト化することにより、実施例1の導電性ペースト組成物を製造(調製)した。なお、本実施例では、(A)銀粉末として(A−a)フレーク状銀粉末と(A−b)球状銀粉末とを併用するとともに、(B)加熱硬化性成分として(B−a)エポキシ樹脂と(B−b)ブロック化ポリイソシアネート化合物とを併用した。
【0084】
また、(D)溶剤としては、表1および表2に示すように、(D−a)主溶剤であるジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを1.8重量部配合するとともに、(D−b)副溶剤として1.8重量部のターピネオール(副溶剤1)を配合した。なお、表2には、(D−a)主溶剤および(D−b)副溶剤の溶解度パラメータ(SP値)と沸点とを併記している。また、(D−a)主溶剤および(D−b)副溶剤は、前記重量割合になるよう予め混合して混合溶剤としてから配合した。この混合溶剤(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートとターピネオールとの混合物)の溶解度パラメータ(SP値)は表1に示すように9.3であった。
【0085】
得られた導電性ペースト組成物の粘度を測定するとともに、前述した比抵抗評価用サンプルおよび80μm線幅評価用サンプルを作製して、導体パターン10の比抵抗と導体パターン20の80μm線幅とを評価した。その結果を表1に示す。
【0086】
[実施例2]
表1および表2に示すように、(D−a)主溶剤の配合量を1.7重量部とし、(D−b)副溶剤として、1.7重量部のトリエチレングリコールジメチルエーテル(副溶剤2)を配合した以外は前記実施例1と同様にして、実施例2の導電性ペースト組成物を製造した。このときの混合溶剤(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートとトリエチレングリコールジメチルエーテルとの混合物)の溶解度パラメータは表1に示すように8.7であった。
【0087】
得られた導電性ペースト組成物の粘度を測定するとともに、前述した比抵抗評価用サンプルおよび80μm線幅評価用サンプルを作製して、導体パターン10の比抵抗と導体パターン20の80μm線幅とを評価した。その結果を表1に示す。
【0088】
[実施例3]
表1および表2に示すように、(D−a)主溶剤の配合量を1.6重量部とし、(D−b)副溶剤として、1.6重量部のジブチルジグリコール(副溶剤3)を配合した以外は前記実施例1と同様にして、実施例3の導電性ペースト組成物を製造した。このときの混合溶剤(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートとジブチルジグリコールとの混合物)の溶解度パラメータは表1に示すように8.7であった。
【0089】
得られた導電性ペースト組成物の粘度を測定するとともに、前述した比抵抗評価用サンプルおよび80μm線幅評価用サンプルを作製して、導体パターン10の比抵抗と導体パターン20の80μm線幅とを評価した。その結果を表1に示す。
【0090】
[実施例4]
表1および表2に示すように、(D−b)副溶剤として、0.8重量部のジブチルジグリコール(副溶剤3)と、0.8重量部の2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート(副溶剤4)とを配合した以外は前記実施例3と同様にして、実施例4の導電性ペースト組成物を製造した。このときの混合溶剤(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートとジブチルジグリコールと2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートとの混合物)の溶解度パラメータは表1に示すように8.9であった。
【0091】
得られた導電性ペースト組成物の粘度を測定するとともに、前述した比抵抗評価用サンプルおよび80μm線幅評価用サンプルを作製して、導体パターン10の比抵抗と導体パターン20の80μm線幅とを評価した。その結果を表1に示す。
【0092】
[実施例5]
表1および表2に示すように、(D−b)副溶剤として、0.8重量部のターピネオール(副溶剤1)と、0.8重量部のジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(副溶剤5)とを配合した以外は前記実施例2と同様にして、実施例5の導電性ペースト組成物を製造した。このときの混合溶剤(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートとターピネオールとジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートとの混合物)の溶解度パラメータは表1に示すように9.1であった。
【0093】
得られた導電性ペースト組成物の粘度を測定するとともに、前述した比抵抗評価用サンプルおよび80μm線幅評価用サンプルを作製して、導体パターン10の比抵抗と導体パターン20の80μm線幅とを評価した。その結果を表1に示す。
【0094】
[実施例6]
表1および表2に示すように、(D−b)副溶剤として、0.8重量部のターピネオール(副溶剤1)と、0.8重量部のメタクリル酸2−エチルヘキシル(副溶剤6)とを配合した以外は前記実施例2と同様にして、実施例6の導電性ペースト組成物を製造した。このときの混合溶剤(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートとターピネオールとメタクリル酸2−エチルヘキシルとの混合物)の溶解度パラメータは表1に示すように9.0であった。
【0095】
得られた導電性ペースト組成物の粘度を測定するとともに、前述した比抵抗評価用サンプルおよび80μm線幅評価用サンプルを作製して、導体パターン10の比抵抗と導体パターン20の80μm線幅とを評価した。その結果を表1に示す。
【0096】
[実施例7]
表1および表2に示すように、(D−b)副溶剤として、0.9重量部のターピネオール(副溶剤1)と、0.9重量部のγ−ブチロラクトン(副溶剤7)とを配合した以外は前記実施例2と同様にして、実施例7の導電性ペースト組成物を製造した。このときの混合溶剤(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートとターピネオールとγ−ブチロラクトンとの混合物)の溶解度パラメータは表1に示すように9.3であった。
【0097】
得られた導電性ペースト組成物の粘度を測定するとともに、前述した比抵抗評価用サンプルおよび80μm線幅評価用サンプルを作製して、導体パターン10の比抵抗と導体パターン20の80μm線幅とを評価した。その結果を表1に示す。
【0098】
[実施例8]
表1および表2に示すように、(D−b)副溶剤として、0.9重量部のγ−ブチロラクトン(副溶剤7)と、0.9重量部のn−メチル−2−ピロリドン(副溶剤8)とを配合した以外は前記実施例1と同様にして、実施例8の導電性ペースト組成物を製造した。このときの混合溶剤(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートとγ−ブチロラクトンとn−メチル−2−ピロリドンとの混合物)の溶解度パラメータは表1に示すように9.3であった。
【0099】
得られた導電性ペースト組成物の粘度を測定するとともに、前述した比抵抗評価用サンプルおよび80μm線幅評価用サンプルを作製して、導体パターン10の比抵抗と導体パターン20の80μm線幅とを評価した。その結果を表1に示す。
【0100】
[実施例9]
表1および表2に示すように、(D−a)主溶剤の配合量を3.2重量部とし、(D−b)副溶剤であるターピネオールの配合量を0.4重量部とした以外は前記実施例1と同様にして、実施例9の導電性ペースト組成物を製造した。このときの混合溶剤(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートとターピネオールとの混合物)の溶解度パラメータは表1に示すように9.0であった。
【0101】
得られた導電性ペースト組成物の粘度を測定するとともに、前述した比抵抗評価用サンプルおよび80μm線幅評価用サンプルを作製して、導体パターン10の比抵抗と導体パターン20の80μm線幅とを評価した。その結果を表1に示す。
【0102】
[比較例1]
表1に示すように、(B−a)エポキシ樹脂の配合量を変えるとともに、(D)溶剤成分として(D−a)主溶剤のみを3.6重量部配合して(D−b)副溶剤を配合しなかった以外は前記実施例1と同様にして、比較例1の導電性ペースト組成物を製造した。このときの(D−a)主溶剤(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート)の溶解度パラメータは、表1および表2に示すように8.9であった。
【0103】
得られた導電性ペースト組成物の粘度を測定するとともに、前述した比抵抗評価用サンプルおよび80μm線幅評価用サンプルを作製して、導体パターン10の比抵抗と導体パターン20の80μm線幅とを評価した。その結果を表1に示す。
【0104】
[比較例2]
表1および表2に示すように、(D−b)副溶剤として、1.8重量部のベンジルアルコール(副溶剤9)を配合した以外は前記実施例1と同様にして、比較例2の導電性ペースト組成物を製造した。このときの比較混合溶剤(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートとベンジルアルコールとの混合物)の溶解度パラメータは表1に示すように10.2であり、9.5を超えていた。
【0105】
得られた導電性ペースト組成物の粘度を測定するとともに、前述した比抵抗評価用サンプルおよび80μm線幅評価用サンプルを作製して、導体パターン10の比抵抗と導体パターン20の80μm線幅とを評価した。その結果を表1に示す。
【0106】
[比較例3]
表1に示すように(C)硬化剤の配合量を変えるとともに、表1および表2に示すように、(D−a)主溶剤を用いず、(D−b)副溶剤として、1.7重量部のγ−ブチロラクトン(副溶剤7)と、1.7重量部のベンジルアルコール(副溶剤9)とを配合した以外は前記実施例1と同様にして、比較例3の導電性ペースト組成物を製造した。このときの比較混合溶剤(γ−ブチロラクトンとベンジルアルコールとの混合物)の溶解度パラメータは表1に示すように9.7であり、9.5を超えていた。
【0107】
得られた導電性ペースト組成物の粘度を測定するとともに、前述した比抵抗評価用サンプルおよび80μm線幅評価用サンプルを作製して、導体パターン10の比抵抗と導体パターン20の80μm線幅とを評価した。その結果を表1に示す。
【0108】
[比較例4]
表1に示すように(C)硬化剤の配合量を変えるとともに、表1および表2に示すように、(D−b)副溶剤に代えて、他の溶剤であるヘキサンを1.7重量部配合した以外は、前記実施例2と同様にして、比較例4の導電性ペースト組成物を製造した。このときのヘキサンの溶解度パラメータは表1に示すように7.3であり、7.5を下回っていた。また、比較混合溶媒(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートとヘキサンの混合物)の溶解度パラメータは表1に示すように7.9であり、8.0を下回っていた。
【0109】
さらに、得られた導電性ペースト組成物には液体の滲み出しが観察されたので、ヘキサンが十分に混合されていない(ヘキサンが主溶媒から分離している)ことが示唆された。また、液体の滲み出しが観察されたことから、本比較例では、導電性ペースト組成物として成立するものを製造することができなかった。それゆえ、前述した比抵抗評価用サンプルおよび80μm線幅評価用サンプルを作製することができなかった。
【0110】
【表1】

【0111】
【表2】

実施例1〜9は、混合溶剤の溶解度パラメータが8.0〜9.5の範囲内に入るように調整され、さらに粘度もスクリーン印刷に好適な範囲内に調整されている。そのため、導電性ペースト組成物の粘弾性が適切に設定されているので、比抵抗が10μΩ・cm以下になっており、80μm線幅はいずれも0.95以下になっている。
【0112】
しかしながら、比較例1は(D−a)主溶剤1種類のみしか用いておらず、また、比較例2は(D−a)主溶剤と(D−b)副溶剤との混合溶剤を用いているものの、当該混合溶剤の溶解度パラメータが9.3を超えており、さらに、比較例3は、(D−a)主溶剤を用いないで、2種類の(D−b)副溶剤を混合した混溶剤を用いており、当該混合溶剤の溶解度パラメータが9.3を超えている。それゆえ、比抵抗は10μΩ・cm以下であるものの、80μm線幅は0.95を超えている。また、比較例4は(D−a)主溶剤と(D−b)副溶剤ではない他の溶剤(ヘキサン)とを併用しているため、当該混合溶剤の溶解度が8.0を下回っただけでなく、得られた導電性ペースト組成物から溶剤の滲み出しが観察された。
【0113】
このように、本実施例に係る導電性ペースト組成物は、低抵抗化を実現しつつ、高精細な導体パターンの形成が可能となっている。
【0114】
なお、本発明は前記実施の形態の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲内で種々の変更が可能であり、異なる実施の形態や複数の変形例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明は、各種電子機器や電子部品を製造する分野に好適に用いることができ、特に、太陽電池の集電電極、チップ型電子部品の外部電極、RFID、電磁波シールド、振動子接着、メンブレンスイッチ、またはエレクトロルミネセンス等に用いられる部品の電極や配線等、より高精細な電極や配線を形成することが求められる分野に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0116】
10 導体パターン
11 端子
12 端子
20 導体パターン



【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)銀粉末と、(B)加熱硬化性成分と、(C)硬化剤と、(D)溶剤とを含有する加熱硬化型導電性ペースト組成物であって、
前記(D)溶剤として、1種類の(D−a)主溶剤と、1種類以上の(D−b)副溶剤とを混合して成る混合溶剤が用いられ、
前記(D−a)主溶剤がジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートであり、
前記(D−b)副溶剤が、前記ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート以外の溶剤であって、その沸点が200℃〜300℃の範囲内にあり、かつ、その溶解度パラメータが7.5〜12.0の範囲内にある溶剤であるとともに、
前記混合溶剤の溶解度パラメータが8.0〜9.5の範囲内にあることを特徴とする、加熱硬化型導電性ペースト組成物。
【請求項2】
前記(A)銀粉末、前記(B)加熱硬化性成分、前記(C)硬化剤、および前記(D)溶剤の含有量が、それぞれ81〜95重量%、4〜9重量%、0.05〜2重量%、および0.95〜8重量%の範囲内であることを特徴とする、請求項1に記載の加熱硬化型導電性ペースト組成物。
【請求項3】
前記(D−b)副溶剤が、グリコールエーテル類、エステル類、ケトン類、アルコール類、およびラクタム類からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1または2に記載の加熱硬化型導電性ペースト組成物。
【請求項4】
前記(D−b)副溶剤が、ターピネオール、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジブチルジグリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、メタクリル酸2−エチルヘキシル、γ−ブチロラクトン、n−メチル−2−ピロリドン、ベンジルアルコールからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項3に記載の加熱硬化型導電性ペースト組成物。
【請求項5】
前記(B)加熱硬化性成分として(B−a)エポキシ樹脂を含有することを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の加熱硬化型導電性ペースト組成物。
【請求項6】
前記(B)加熱硬化性成分として、さらに(B−b)ブロック化ポリイソシアネート化合物を含有することを特徴とする、請求項5に記載の加熱硬化型導電性ペースト組成物。
【請求項7】
前記(A)銀粉末が、(A−a)フレーク状銀粉末および(A−b)球状銀粉末から成ることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の加熱硬化型導電性ペースト組成物。
【請求項8】
基材上に印刷された導体パターンを加熱硬化することによって、当該基材上に電極または電気配線を形成する用途に用いられることを特徴とする、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の加熱硬化型導電性ペースト組成物。
【請求項9】
前記電極が、太陽電池の集電電極であることを特徴とする、請求項8に記載の加熱硬化型導電性ペースト組成物。



【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−114837(P2013−114837A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258616(P2011−258616)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(397059571)京都エレックス株式会社 (43)
【Fターム(参考)】