説明

加熱硬化性シリコーン樹脂組成物およびこれを用いる光半導体封止体

【課題】透明性に優れ、高温下での長期信頼性に優れる加熱硬化性シリコーン樹脂組成物、およびこれを用いる光半導体封止体の提供。
【解決手段】(A)1分子中に2個以上のシラノール基を有するポリシロキサン100質量部と、(B)1分子中にケイ素原子に結合しているアルコキシ基を2個以上有するシラン化合物0.1〜2000質量部と、(C)縮合触媒としてアルミニウム化合物および/または亜鉛化合物と、(D)リン酸エステル、亜リン酸エステルおよびホウ素化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種とを含有する加熱硬化性シリコーン樹脂組成物、および当該加熱硬化性シリコーン樹脂組成物をLEDチップに付与し、前記LEDチップを加熱し前記加熱硬化性シリコーン樹脂組成物を硬化させて前記LEDチップを封止することによって得られる光半導体封止体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱硬化性シリコーン樹脂組成物およびこれを用いる光半導体封止体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シラノール基を有するポリシロキサンの縮合系硬化では触媒として、アルミニウ系、ジルコニウム系、チタン系、スズ系などの化合物が提案された(例えば、特許文献1、2)。
また本願出願人は以前に1分子中に2個のシラノール基を有する直鎖状オルガノポリシロキサン化合物と、1分子中に3個以上のアルコキシ基またはシラノール基を有するシロキサン化合物と、縮合触媒とを含有する光半導体素子封止用組成物を提案した(特許文献3)。
【0003】
【特許文献1】特表2008―534768号公報
【特許文献2】特表2008−535645号公報
【特許文献3】特開2008−274272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような縮合触媒を用いてシラノール基を有するポリシロキサンを縮合させ得られる硬化物は高温下においてハクリ、クラックが起きるなどの長期信頼性、輝度等に悪影響を及ぼすおそれがあることを本願発明者は見出した。
そこで、本発明は、透明性に優れ、高温下での長期信頼性に優れる(例えばハクリ、クラックを抑制することができ、耐久性に優れる。)加熱硬化性シリコーン樹脂組成物を提供することを目的とする。なお本願明細書において高温下での長期信頼性に優れるとは具体的には例えば長期高温試験でのハクリやクラックなどを起こしにくく、耐久性(密着性)に優れることを意味する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、(A)1分子中に2個以上のシラノール基を有するポリシロキサン100質量部と、(B)1分子中にケイ素原子に結合しているアルコキシ基を2個以上有するシラン化合物0.1〜2000質量部と、(C)縮合触媒としてアルミニウム化合物および/または亜鉛化合物と、(D)有機リン酸エステルおよび/または有機亜リン酸エステルとを含有する組成物が、透明性に優れ、高温下での長期信頼性に優れる加熱硬化性シリコーン樹脂組成物となりうることを見出した。
また、上記と同様の(A)〜(C)成分および(D)成分としてリン酸エステル、亜リン酸エステルおよびホウ素化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する組成物が、透明性に優れ、高温下での長期信頼性に優れる加熱硬化性シリコーン樹脂組成物となりうることを見出し、本発明を完成させた。
【0006】
すなわち、本発明は、下記1〜8を提供する。
1.(A)1分子中に2個以上のシラノール基を有するポリシロキサン100質量部と、
(B)1分子中にケイ素原子に結合しているアルコキシ基を2個以上有するシラン化合物0.1〜2000質量部と、
(C)縮合触媒としてアルミニウム化合物および/または亜鉛化合物と、
(D)リン酸エステル、亜リン酸エステルおよびホウ素化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種とを含有する加熱硬化性シリコーン樹脂組成物。
2. 前記亜リン酸エステルが下記式(dI−1)で表される化合物であり、前記リン酸エステルが下記式(dI−2)で表される化合物である上記1に記載の加熱硬化性シリコーン樹脂組成物。
P−(OR13 (dI−1)
O=P−(OR23 (dI−2)
(式中、R1、R2はそれぞれ独立に炭素数1〜18のアルキル基、アリール基またはシリル基である。)
3. 前記ホウ素化合物が、下記式(dII−1)〜下記式(dII−5)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である、上記1または2に記載のシリコーン樹脂組成物。
【化1】

[式(dII−1)〜(dII−5)中、Rは、独立して、水素原子、アルキル基、アリル基、アリール基、シリル基またはホスフィン基を示し、R′は、独立して、2価の炭化水素基を示し、式(dII−2)中nは0または1である。]
4. 前記(C)縮合触媒の量が、前記ポリシロキサンと前記シラン化合物の合計100質量部に対して、0.01〜5質量部である上記1〜3のいずれかに記載の加熱硬化性シリコーン樹脂組成物。
5. 前記(D)の量が、前記(C)縮合触媒1モルに対して0.01〜10モルである上記1〜4のいずれかに記載の加熱硬化性シリコーン樹脂組成物。
6. 前記(A)ポリシロキサンとして下記式(1)で表される重量平均分子量1,000〜1,000,000の直鎖状ポリジメチルシロキサンを含有する上記1〜5のいずれかに記載の加熱硬化性シリコーン樹脂組成物。
【化2】

7. 光半導体封止用である上記1〜6のいずれかに記載の加熱硬化性シリコーン樹脂組成物。
8. 上記1〜7のいずれかに記載の加熱硬化性シリコーン樹脂組成物をLEDチップに付与し、前記LEDチップを加熱し前記加熱硬化性シリコーン樹脂組成物を硬化させて前記LEDチップを封止することによって得られる光半導体封止体。
【発明の効果】
【0007】
本発明の加熱硬化性シリコーン樹脂組成物は、透明性に優れ、高温下での長期信頼性に優れる(例えば高温経時での密着性、耐久性に優れる)。
本発明の光半導体封止体は、透明性に優れ、高温下での長期信頼性に優れる(例えば高温経時での密着性、耐久性に優れる)。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の光半導体封止体の一例を模式的に示す上面図である。
【図2】図2は、図1に示す光半導体封止体のA−A断面を模式的に示す断面図である。
【図3】図3は、本発明の光半導体封止体の一例を模式的に示す断面図である。
【図4】図4は、本発明の光半導体封止体の一例を模式的に示す断面図である。
【図5】図5は、本発明の光半導体封止体を用いたLED表示器の一例を模式的に示す図である。
【図6】図6は、図5に示すLED表示器を用いたLED表示装置のブロック図である。
【図7】図7は、実施例において本発明の組成物を硬化させるために使用した型の断面を模式的に表す断面図である。
【図8】図8は、本発明の光半導体封止体の別の一例を模式的に示す断面図である。
【図9】図9は、本発明の光半導体封止体の別の一例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の加熱硬化性シリコーン樹脂組成物について以下に説明する。
本発明の加熱硬化性シリコーン樹脂組成物は、
(A)1分子中に2個以上のシラノール基を有するポリシロキサン100質量部と、
(B)1分子中にケイ素原子に結合しているアルコキシ基を2個以上有するシラン化合物0.1〜2000質量部と、
(C)縮合触媒としてアルミニウム化合物および/または亜鉛化合物と、
(D)リン酸エステル、亜リン酸エステルおよびホウ素化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種とを含有する加熱硬化性シリコーン樹脂組成物である。
なお、本発明の加熱硬化性シリコーン樹脂組成物を以下「本発明の組成物」ということがある。
【0010】
(A)ポリシロキサンについて以下に説明する。
本発明の組成物に含有されるポリシロキサンは、1分子中に2個以上のシラノール基を有するポリシロキサンである。
ポリシロキサンは、オルガノポリシロキサン、ジオルガノポリシロキサンであるのが好ましい態様の1つとして挙げられる。(ジ)オルガノポリシロキサンが有する炭化水素基は特に制限されない。例えば、フェニル基のような芳香族基;アルキル基;アルケニル基が挙げられる。ポリシロキサンの主鎖は直鎖、分岐のいずれであってもよい。ポリシロキサンとしては、例えば、2個以上のシラノール基が末端に結合しているポリジアルキルシロキサンが挙げられる。
ポリシロキサンは、透明性により優れ、高温経時での密着性、耐熱着色安定性、薄膜硬化性に優れるという観点から、2個のシラノール基が両末端に結合しているポリジメチルシロキサンであるのが好ましく、2個のシラノール基が両末端に結合している直鎖状のポリジメチルシロキサン(直鎖状ポリジメチルシロキサン−α,ω−ジオール)であるのがより好ましい。
ポリシロキサンは、例えば、下記式(1)で表されるものが挙げられる。
【0011】
【化3】

式(1)中、mは、ポリシロキサンの重量平均分子量に対応する数値とすることができる。mは、作業性、耐クラック性に優れるという観点から、10〜15,000の整数であるのが好ましい。
【0012】
ポリシロキサンはその製造について特に制限されない。例えば従来公知のものが挙げられる。
ポリシロキサンの分子量は、透明性により優れ、耐熱着色安定性、薄膜硬化性に優れ、可使時間が適切な長さとなり硬化性に優れ、硬化物物性に優れるという観点から、1,000〜1,000,000であるのが好ましく、6,000〜100,000であるのがより好ましい。なお、本発明においてポリシロキサンの分子量は、クロロホルムを溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量である。
【0013】
また、本発明においては(A)ポリシロキサンとして、レジン型シリコーン(シリコーンレジン)を使用することができる。レジン型シリコーンは一部網目状構造を有しているシリコーンであれば特に制限されない。例えば、下記(I)で表されるシリコーンレジンが挙げられる。
(R1SiO3/2)a(R22SiO2/2)b(R33SiO1/2)c(SiO4/2)d(XO1/2)e (I)
{式中、R1、R2、およびR3は同じか、もしくは相異なる炭化水素基および/もしくは反応性基、またはこれらの組み合わせであり、Xは水素原子および/またはアルキル基であり、a〜eは0または正数であり、かつb/aは0〜10の数であり、c/aは0〜0.5の数であり、d/(a+b+c+d)は0〜0.8の数であり、e/(a+b+c+d)は0〜0.6の数であり、a、b、c、dは同時に0ではない。}
【0014】
式(I)においてR[R1、R2、R3]としての炭化水素基は、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソ−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基;フェニル基等のアリール基;クロロメチル基、3−クロロプロピル基、1−クロロ−2−メチルプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基等が挙げられ、特にメチル基、ビニル基、フェニル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。R[R1、R2、R3]はそれぞれ別の基でもよく、同一の基でもよい。
さらにR[R1、R2、R3]は、例えば、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、アミノ基、チオール基等のような反応性基;脂環式エポキシ基のような反応性基を有する炭化水素基であってもよい。
【0015】
式(I)において、b/aは(TレジンとD骨格の比)0〜10が好ましく、硬化性、耐熱性の観点から0〜1が好ましい。c/aは0〜0.5が好ましい。0.5を超えるとしその他樹脂やシリコーン樹脂との相溶性が悪化し透明性に影響する。d/(a+b+c+d)は0〜0.8の数であり0.8を超えるとその他樹脂やシリコーン樹脂との相溶性が悪化し透明性に影響する。e/(a+b+c+d)は0〜0.6の数である。好ましくは0〜0.3であり、0.6を超えるとシリコーンレジンの安定性が悪化する。
【0016】
シリコーンレジン[例えば式(I)で表される成分]は公知の方法により得ることができ、例えば、上記各単位に対応するアルコキシ基含有シラン化合物を有機溶媒中で共加水分解し縮合させて、実質的に揮発性分を含まないものとして得ることができる。式(I)成分を得るための具体的な方法としては、例えば、R33SiOCH3とSi(OCH34とを、所望によりR22Si(OCH32及び/又はR1Si(OCH33とともに、有機溶媒中で共加水分解し縮合させればよい(各式中、R[R1、R2、R3]は上記と同義である)。有機溶媒としては共加水分解・縮合反応により生成するオルガノポリシロキサンを溶解することのできるものが好ましく、例えばトルエン、キシレン、塩化メチレン、ナフサミネラルスピリット等を挙げることができる。また有機溶媒を使用せずとも良い。
ポリシロキサンはそれぞれ単独でまたは2種以上を組合わせて使用することができる。
【0017】
(B)シラン化合物について以下に説明する。
本発明の組成物に含有されるシラン化合物は、1分子中にケイ素原子に結合しているアルコキシ基を2個以上有する化合物であれば特に制限されない。
例えば、1分子中1個のケイ素原子を有し、ケイ素原子にアルコキシ基が2個以上結合している化合物(以下この化合物を「シラン化合物B1」ということがある。)、1分子中2個以上のケイ素原子を有し、骨格がポリシロキサン骨格であり、ケイ素原子に結合しているアルコキシ基を2個以上有するオルガノポリシロキサン化合物(以下このオルガノポリシロキサン化合物を「シラン化合物B2」ということがある。)が挙げられる。
【0018】
シラン化合物は1分子中に1個以上の有機基を有することができる。
シラン化合物が有することができる有機基としては、例えば、酸素原子、窒素原子および硫黄原子からなる群から選ばれる少なくとも1種のヘテロ原子を含んでもよい炭化水素基が挙げられる。具体的には、例えば、アルキル基(炭素数1〜6のものが好ましい。)、(メタ)アクリレート基、アルケニル基、アリール基、これらの組合せが挙げられる。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチルアリル基が挙げられる。アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基が挙げられる。なかでも、耐熱着色安定性により優れるという観点から、メチル基、(メタ)アクリレート基、(メタ)アクリロキシアルキル基が好ましい。
【0019】
シラン化合物B1としては、例えば、下記式(2)で表されるものが挙げられる。
Si(OR1n24-n (2)
式(2)中、nは2、3または4であり、R1はアルキル基であり、R2は有機基である。有機基は、シラン化合物の有機基に関して記載したものと同義である。
【0020】
シラン化合物B1としては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランのようなジアルコキシシラン;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランのようなトリアルコキシシラン;テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロピルオキシシランのようなテトラアルコキシシラン;トリアルコキシシラン、テトラアルコキシシランの加水分解物;γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシランのような(メタ)アクリロキシアルキルトリアルコキシシランが挙げられる。
なお、本発明において、(メタ)アクリロキシトリアルコキシシランは、アクリロキシトリアルコキシシランまたはメタクリロキシトリアルコキシシランであることを意味する。(メタ)アクリレート基、(メタ)アクリロキシアルキル基についても同様である。
【0021】
シラン化合物B2としては、例えば、式(3)で表される化合物が挙げられる。
mSi(OR′)n(4-m-n)/2 (3)
式(3)中、Rは炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基またはアリール基であり、R′は炭素数1〜6のアルキル基であり、mは0<m<2、nは0<n<2、m+nは0<m+n≦3である。
【0022】
炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基等が挙げられる。なかでも、透明性により優れ、耐熱性、耐熱着色安定性に優れるという観点から、メチル基が好ましい。アルケニル基は、炭素数2〜6のものが挙げられ、具体的には例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチルアリル基が挙げられる。アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基が挙げられる。
式(3)で表される化合物において、R′の炭素数1〜6のアルキル基は例えば酸素原子のようなヘテロ原子を含むことができる。R′は例えばアシル基であってもよい。アシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基が挙げられる。
【0023】
シラン化合物B2としては、例えば、メチルメトキシオリゴマーのようなシリコーンアルコキシオリゴマーが挙げられる。
シリコーンアルコキシオリゴマーは、主鎖がポリオルガノシロキサンであり、分子末端がアルコキシシリル基で封鎖されたシリコーンレジンであるのが好ましい態様の1つとして挙げられる。
メチルメトキシオリゴマーは、例えば式(3)で表される化合物に該当し、メチルメトキシオリゴマーとしては、具体的には例えば、下記式(4)で表されるものが挙げられる。
【化4】

式(4)中、R″はメチル基であり、aは1〜100の整数であり、bは0〜100の整数である。
メチルメトキシオリゴマーは、市販品を使用することができる。メチルメトキシオリゴマーの市販品としては、例えば、x−40−9246(重量平均分子量6,000、信越化学工業社製が挙げられる。
【0024】
また、シラン化合物B2として例えば、少なくとも片末端にアルコキシシリル基を有し、1分子中に3個以上のアルコキシ基(アルコキシシリル基由来のもの)を有する化合物(以下これをシラン化合物B3と記述する。)が好ましい形態として挙げられる。シラン化合物B3は、例えば、両末端シラノール基を有するポリシロキサン1モルに対してアルコキシリル基を有するシラン化合物1モル以上を脱アルコール縮合した反応物;ケイ素原子に結合しているアルコキシ基を2個以上有するシラン化合物のオリゴマーを両末端に有するジオルガノポリシロキサンとすることができる。
シラン化合物B3を製造するために使用される、アルコキシ基を有するシラン化合物としては、例えば、上記の式(2):Si(OR1n24-nで表される化合物や上記の式(3):RmSi(OR′)n(4-m-n)/2で表される化合物などが挙げられる。
シラン化合物B3を製造するために使用される、両末端シラノール基を有するポリシロキサンとしては、例えば、上記の式(1)で表されるものが挙げられる。
シラン化合物B3としては、例えば、下記式(IV)で表されるものが挙げられる。
【化5】

式中、nはシラン化合物の分子量に対応する数値とすることができる。
式(IV)で表される化合物は、例えば両末端にシラノール基を有するポリシロキサンをテトラメトキシシラン[式(2)で表されるシラン化合物に該当する]で変性することによって製造することができる。
【0025】
シラン化合物は、透明性により優れ、耐熱着色安定性、薄膜硬化性、耐クラック性、相溶性に優れるという観点から、式(2)、式(3)で表されるものが好ましい。
【0026】
シラン化合物は、透明性により優れ、耐熱着色安定性、薄膜硬化性、耐クラック性、相溶性に優れるという観点から、テトラエトキシシランのようなテトラアルコキシシラン;γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシランのようなトリアルコキシ(メタ)アクリロキシアルキルシラン;メチルメトキシオリゴマーが好ましい。
【0027】
シラン化合物の分子量は、透明性により優れ、耐熱着色安定性、薄膜硬化性に優れ、硬化時間、可使時間が適切な長さとなり硬化性に優れ、相溶性に優れるという観点から、100〜1,000,000であるのが好ましく、1,000〜100,000であるのがより好ましい。
なお、本発明において、シラン化合物がシラン化合物B2の場合、その分子量は、クロロホルムを溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量であるものとする。
シラン化合物はその製造について特に制限されず、例えば従来公知のものが挙げられる。シラン化合物はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0028】
シラン化合物の量は、透明性により優れ、耐熱着色安定性、薄膜硬化性に優れ、耐クラック性、相溶性に優れるという観点から、ポリシロキサン100質量部に対して、0.1〜2000質量部であり、0.1〜1000質量部であるのが好ましく、0.1〜100質量部であるのがより好ましく、0.5〜50質量部とすることが更に好ましく、10質量部以下とすることも可能である。
【0029】
(C)縮合触媒について以下に説明する。
本発明の組成物に含有される(C)縮合触媒はアルミニウム化合物および/または亜鉛化合物を少なくとも含む。
【0030】
縮合触媒としては、例えば、キレート、塩、アルコラートのような有機基を有するものが挙げられる。
縮合触媒がキレートである場合、キレートを形成する配位子は特に制限されない。例えば、アセチルアセトナート類が挙げられる。なお本願発明において、キレートは配位子以外にアルコラートを有する縮合触媒を含む。
縮合触媒が塩である場合、金属原子と塩を形成しうる酸は特に制限されない。例えば、カルボン酸(例えば、脂肪族カルボン酸、脂環式カルボン酸、芳香族カルボン酸)が挙げられる。なお本願発明において、塩は塩以外にアルコラートを有する縮合触媒を含む。
縮合触媒がアルコラートである場合、金属原子とアルコラートを形成しうるアルコールは特に制限されない。アルコールが有する炭化水素基が例えば、直鎖状、分岐状、環状であるものが挙げられる。
縮合触媒としてのアルミニウム化合物(アルミニウム原子を含む縮合触媒)は、透明性、硬化性、平滑性、貯蔵安定性に優れ、可使時間、硬化時間が適切な長さとなるという観点から、有機基を有するアルミニウム化合物が好ましい。有機基とアルミニウム原子とは例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子のようなヘテロ原子;エステル結合を介して結合することができる。アルミニウム化合物としては、例えば、アルミニウムキレート、アルミニウム塩、アルミニウムアルコラートが挙げられる。
縮合触媒としての亜鉛化合物(亜鉛原子を含む縮合触媒)は、透明性、硬化性、耐熱クラック性、平滑性、貯蔵安定性に優れ、可使時間、硬化時間が適切な長さとなるという観点から、有機基を有する亜鉛化合物が好ましい。有機基と亜鉛原子とは例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子のようなヘテロ原子;エステル結合を介して結合することができる。亜鉛化合物としては例えば、亜鉛キレート、亜鉛塩、亜鉛アルコラートが挙げられる。
【0031】
アルミニウム化合物としては、例えば、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレートのようなアルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブトキシビスエチルアセトアセテート等のアルミニウムキレート;
オクチル酸アルミニウム、環状のアルミニウムオキサイドを含有する化合物(例えば、下記式(7)で表される化合物が挙げられる。)、アルミニウムトリアセテート、アルミニウムトリステアレートのようなアルミニウム塩;
アルミニウムsec−ブチラート、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルコキシアリールアルミネートのようなアルミニウムアルコラートが挙げられる。
【化6】

【0032】
亜鉛化合物は亜鉛を含む化合物であれば特に制限されない。例えば亜鉛塩;亜鉛錯体;亜鉛アルコラート;亜鉛華、スズ酸亜鉛などの亜鉛酸化物;亜鉛を含む2元および/または多元金属酸化物、これらの塩および/または錯体、これらの組み合わせが挙げられる。
亜鉛化合物としては例えば、下記式(1)、式(2)で表されるものが挙げられる。
【化7】

式(1)中、R1が炭素数1〜18のアルキル基、アリール基である。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基が挙げられる。アリール基としては例えば、フェニル基、ナフチル基、アズレンが挙げられる。
【0033】
式(2)で表される亜鉛化合物は以下のとおりである。
【化8】

式(2)中、R2、R3は同一または異なる炭素数1〜18の1価の炭化水素基、アルコキシ基である。式(2)中、同一の(R2COCHCOR3)内にあるR2、R3は入れ替わっていてもよい。
炭素数1〜18の1価の炭化水素基としては例えば炭素数1〜18のアルキル基、アリール基が挙げられる。炭素数1〜18のアルキル基、アリール基は上記と同義である。
アルコキシ基としては例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基が挙げられる。
【0034】
亜鉛化合物としては、例えば、亜鉛アセテート、亜鉛アセチルアセテート、2−エチルヘキサン酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、ネオデカン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛のような脂肪族カルボン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛のような脂環式カルボン酸亜鉛、安息香酸亜鉛、p−tert−ブチル安息香酸亜鉛、亜鉛サリチレートのような芳香族カルボン酸亜鉛等のカルボン酸塩;亜鉛(メタ)アクリレート;亜鉛アセチルアセトナート[Zn(II)アセチルアセトナート、Zn(acac)2]、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネートZnのような亜鉛キレートが挙げられる。
亜鉛化合物はその製造について特に制限されない。例えば、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、水酸化亜鉛、塩化亜鉛、硫酸亜鉛および硝酸亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種:1モルに対して酸(例えばカルボン酸)またはそのエステルを2モル以上反応させる方法が挙げられる。上記酸の量は10モル以下とすることができる。
【0035】
本発明の組成物は縮合触媒としてアルミニウム化合物および/または亜鉛化合物を含有する。この場合、透明性、硬化性に優れる組成物が得られる。
なかでも、縮合触媒は、透明性、硬化性、平滑性、貯蔵安定性に優れ、可使時間、硬化時間が適切な長さとなるという観点から、アルミニウムキレート、アルミニウム塩、アルミニウムアルコラート、アルミニウムキレート、アルニウム塩、亜鉛塩、亜鉛キレートが好ましく、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、2エチルヘキサン酸アルニウム、2−エチルヘキサン酸亜鉛、亜鉛アセチルアセトナートがより好ましい。
【0036】
本発明の組成物が縮合触媒として亜鉛化合物を含有する場合、本発明の組成物は耐硫化水素性も合わせて有する。本発明の組成物は優れた耐硫化性(例えば、耐硫化水素性)によって、金属の腐食(例えば、銀の変色)を抑制することができる。したがって、本発明の組成物は縮合触媒として亜鉛化合物を含有することによって、例えば、金属のリフレクタ等の半導体発光装置内の金属の腐食を抑制し、光反射性を経時的に維持して光源(例えば半導体発光装置)の輝度が低下するのを抑制することができる。
縮合触媒はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0037】
縮合触媒(C)の量[本発明の組成物が縮合触媒(C)としてさらにジルコニウム化合物、ハフニウム化合物、スズ化合物を含有する場合はアルミニウム化合物、亜鉛化合物とこれらの合計量]は、透明性、硬化性、平滑性、貯蔵安定性に優れ、可使時間、硬化時間が適切な長さとなるという観点から、前記ポリシロキサンと前記シラン化合物の合計100質量部に対して、0.01〜5質量部であるのが好ましく、0.01〜0.5質量部であるのがより好ましい。
【0038】
本発明の組成物は、縮合触媒(C)としてさらにジルコニウム化合物および/またはハフニウム化合物を含有することができる。ジルコニウム化合物およびハフニウム化合物は縮合触媒として機能する。本発明の成物は縮合触媒としてさらにジルコニウム化合物および/またはハフニウム化合物を含有する場合、硬化性を向上させることができ、高温下での長期信頼性により優れ剥離やクラックを抑制することができる。ジルコニウム化合物およびハフニウム化合物は有機基を有するのが好ましい態様の1つとして挙げられる。
ジルコニウムまたはハフニウムは、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子のようなヘテロ原子を介して、および/または、エステル結合のような結合基を介して、有機基と結合することができる。有機基は、脂肪族炭化水素基(鎖状、分岐状、環状、これらの組み合わせを含む。脂肪族炭化水素基は不飽和結合を有することができる。)、芳香族炭化水素基、これらの組み合わせが挙げられる。有機基は例えば酸素原子、窒素原子、硫黄原子のようなヘテロ原子を有することができる。結合基を有する有機基としては、例えば、有機カルボキシレート(−O−CO−R);アルコキシ基、フェノキシ基のような、炭化水素基がオキシ基と結合したのもの(−O−R);配位子;これらの組み合わせが挙げられる。ジルコニウム化合物および/またはハフニウム化合物はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0039】
ジルコニウム化合物としては例えば下記式(1)で表される化合物および/または下記式(2)で表される化合物が挙げられる。
【化9】

(1)
式(1)中、Rは炭素原子数1〜18の炭化水素基である。
【化10】

(2)
式(2)中、Rは同一または異なり炭素原子数1〜16の炭化水素基であり、Rは同一または異なり炭素原子数1〜18の炭化水素基であり、mは1〜3の整数である。
【0040】
式(1)で表されるジルコニウム化合物はジルコニル[(Zr=O)2+]を構成要素として含むジルコニウム金属塩である。式(1)で表されるジルコニウム化合物を含む本実施形態に係る組成物は硬化性により優れる。硬化性をより向上でき、高温下での長期信頼性が高い(例えば、ハクリやクラックを抑制することができ、耐久性に優れる。)という観点から、式(1)で表されるジルコニウム化合物は脂肪族カルボン酸塩および/または脂環式カルボン酸塩が好ましく、脂環式カルボン酸塩がより好ましい。
式(1)で表されるジルコニウム化合物としては例えば、ジオクチル酸ジルコニル、ジネオデカン酸ジルコニルのような脂肪族カルボン酸塩;ナフテン酸ジルコニル、シクロヘキサン酸ジルコニルのような脂環式カルボン酸塩;安息香酸ジルコニルのような芳香族カルボン酸塩が挙げられる。高温下での長期信頼性が高い(例えば、耐久性に優れ、ハクリやクラックをより抑制できる。)、硬化性に優れるという観点から、式(1)で表されるジルコニウム化合物は、ジオクチル酸ジルコニルおよびナフテン酸ジルコニルのうちの一方または両方であるのが好ましい。
【0041】
式(2)で表されるジルコニウム化合物について、式(2)中mが2以上である場合、複数のR2は同じでも異なっていてもよい。また、mが1〜2である場合、複数のR2は同じでも異なっていてもよい。
【0042】
耐熱着色安定性、相溶性(例えば、シリコーン樹脂に対する相溶性)に優れるという観点から、上記式(2)においてRで表される炭化水素基の炭素原子数は3〜16であるのが好ましく、4〜16であるのがより好ましい。
2で表される炭化水素基としては、例えば、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、これらの組み合わせが挙げられる。炭化水素基は直鎖状でも分岐していてもよい。炭化水素基は不飽和結合を有することができる。炭化水素基は例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子のようなヘテロ原子を有することができる。
【0043】
高温下での長期信頼性が高く(例えば高温経時のハクリやクラックを抑制することができ、耐久性に優れる)、硬化性、耐熱着色安定性に優れ、相溶性に優れるという観点から、R2で表される炭化水素基は環状構造を有するのが好ましい。環状構造としては、例えば、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、これらの組み合わせが挙げられる。R2は環状構造に例えば脂肪族炭化水素基を組合わせて有することができる。
なかでも耐熱着色安定性により優れ、相溶性に優れるという観点から、Rで表される炭化水素基は脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基であることが好ましく、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ナフテン環(RCOO−としてのナフテート基)、フェニル基がより好ましく、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ナフテン環がさらに好ましい。
【0044】
また、耐熱着色安定性により優れ、相溶性に優れるという観点から、Rで表される炭化水素基の炭素原子数は3〜8であるのが好ましい。R3で表される炭化水素基は炭素原子数以外はR2と同義である。耐熱着色安定性により優れ相溶性に優れるという観点からR3は脂肪族炭化水素基が好ましい。
【0045】
脂肪族炭化水素基を有するRO−(アルコキシ基)は、なかでも、耐熱着色安定性に優れ、相溶性に優れるという観点から、脂肪族炭化水素基を有するRO−(アルコキシ基)はメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソプロポキシ基であるのが好ましい。
【0046】
なかでも、耐熱着色安定性に優れ、相溶性に優れるという観点から、環状構造として脂環式炭化水素基を有する化合物、環状構造として芳香族炭化水素基を有する化合物が好ましく、ジルコニウムトリアルコキシモノナフテート、ジルコニウムトリアルコキシモノイソブチレート、ジルコニウムトリアルコキシモノ2エチルヘキサノエート、ジルコニウムトリアルコキシモノシクロプロパンカルボキシレート、ジルコニウムトリアルコキシシクロブタンカルボキレート、ジルコニウムトリアルコキシモノシクロペンタンカルボキシレート、ジルコニウムトリアルコキシモノシクロヘキサンカルボキシレート、ジルコニウムトリアルコキシモノアダマンタンカルボキシレート、ジルコニウムトリアルコキシモノナフテートがより好ましく、ジルコニウムトリブトキシモノナフテート、ジルコニウムトリブトキシモノイソブチレート、ジルコニウムトリブトキシモノ2エチルヘキサノエート、ジルコニウムトリブトキシモノシクロプロパンカルボキシレート、ジルコニウムトリブトキシモノシクロペンタンカルボキシレート、ジルコニウムトリブトキシモノシクロヘキサンカルボキシレート、ジルコニウムトリブトキシモノアダマンタンカルボキシレート、ジルコニウムトリブトキシモノナフテートがさらに好ましい。
【0047】
本発明の組成物がさらに含有することができるハフニウム化合物は、ハフニウム原子および有機基を有する化合物であるのが好ましい態様の1つとして挙げられる。なかでも、ハフニウム化合物は、耐硫化性により優れ、高温下での長期信頼性が高く(例えば、ハクリやクラックを抑制することができ、耐久性に優れる。)、硬化性に優れるという観点から、下記式(I)で表される化合物および/または下記式(II)で表される化合物であるのが好ましい。
【化11】

[式(I)中、nは1〜4の整数であり、R1は炭化水素基であり、R2は炭素数1〜18のアルキル基である。]
【化12】

式(II)中mは1〜4の整数であり、R2は炭素数1〜18のアルキル基であり、R3、R4は同一のまたは異なる、炭素数1〜18の炭化水素基またはアルコキシ基である。
【0048】
式(I)において、R1における炭化水素基としては例えば炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基(アルキル基;アリル基のような不飽和脂肪族炭化水素基を含む。)、脂環式炭化水素基、アリール基(芳香族炭化水素基)、これらの組み合わせが挙げられる。炭化水素基は直鎖状でも分岐していてもよい。炭化水素基は不飽和結合を有することができる。炭化水素基は例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子のようなヘテロ原子を有することができる。
1における炭化水素基は、耐硫化性により優れ、耐熱性(例えば耐熱着色安定性)に優れ、薄膜硬化性に優れ、熱硬化性、相溶性に優れるという観点から、環状構造を有するのが好ましく、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、これらの組み合わせであるのがより好ましい。R1は環状構造のほかに例えば脂肪族炭化水素基を有することができる。
【0049】
脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、脂肪族炭化水素基は、上記式(2)で表されるジルコニウム化合物中のR2と同様である。
なかでも、耐硫化性により優れ、耐熱性(例えば耐熱着色安定性)に優れ、薄膜硬化性に優れ、熱硬化性、相溶性に優れるという観点から、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基が好ましく、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ナフテン環、アダマンチル基、ノルボルニル基、フェニル基、ナフチル基およびアズレンからなる群から選ばれる少なくとも1種であるがより好ましく、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ナフテン環(R1COO−としてのナフテート基)、フェニル基がさらに好ましく、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ナフテン環が特に好ましい。
【0050】
式(I)においてR2は炭素数1〜18のアルキル基である。R2において炭素原子数は、耐硫化性により優れ、耐熱性(例えば耐熱着色安定性)に優れ、薄膜硬化性に優れ、熱硬化性、相溶性に優れるという観点から、3〜8であるのが好ましい。R2は上記と同様のものが挙げられる。なかでも、耐硫化性により優れ、耐熱性(例えば耐熱着色安定性)に優れ薄膜硬化性に優れ熱硬化性、相溶性に優れるという観点から、メチル基、エチル基、プロピル基(n−プロピル基、イソプロピル基)、ブチル基、ペンチル基が好ましい。
【0051】
なかでも、耐硫化性により優れ、薄膜硬化性に優れ、耐熱性(例えば耐熱着色安定性に優れる。)に優れ、高温下での長期信頼性が高く、熱硬化性、相溶性に優れるという観点から、ハフニウムトリアルコキシモノナフテート、ハフニウムトリアルコキシモノイソブチレート、ハフニウムトリアルコキシモノ2エチルヘキサノエート、ハフニウムトリアルコキシモノシクロプロパンカルボキシレート、ハフニウムトリアルコキシシクロブタンカルボキレート、ハフニウムトリアルコキシモノシクロペンタンカルボキシレート、ハフニウムトリアルコキシモノシクロヘキサンカルボキシレート、ハフニウムトリアルコキシモノアダマンタンカルボキシレート、ハフニウムトリアルコキシモノベンゼンカルボキシレート、ハフニウムジアルコキシジナフテートが好ましく、ハフニウムトリブトキシモノナフテート、ハフニウムトリブトキシモノイソブチレート、ハフニウムトリブトキシモノ2エチルヘキサノエート、ハフニウムトリブトキシモノシクロプロパンカルボキシレート、ハフニウムトリブトキシモノシクロペンタンカルボキシレート、ハフニウムトリブトキシモノシクロヘキサンカルボキシレート、ハフニウムトリアルコキシモノベンゼンカルボキシレート、ハフニウムトリブトキシモノアダマンタンカルボキシレート、ハフニウムジブトキシジナフテート、ハフニウムトリプロポキシモノナフテートがより好ましい。
【0052】
上記式(II)で表されるハフニウム化合物について、式(II)中、炭素数1〜18のアルキル基は式(I)におけるR2(炭素数1〜18のアルキル基)と同義である。炭素数1〜18の炭化水素基は式(I)におけるR1(炭化水素基)の炭素数が1〜18であるものと同様である。アルコキシ基としては例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基のような炭素数1〜18のものが挙げられる。R3、R4は、塩素原子、臭素原子、フッ素原子のようなハロゲンを有してもよい。なお式(II)においてR3、R4は入れ替わってもよい。
【0053】
式(II)で表されるハフニウム化合物はなかでも、耐硫化性により優れ、薄膜硬化性に優れ、耐熱性(例えば耐熱着色安定性に優れる。)に優れ、高温下での長期信頼性が高く(例えば高温経時での密着性改善やクラックを抑制することができ、耐久性に優れる。)、熱硬化性、相溶性に優れるという観点から、ハフニウムジ−n−ブトキサイド(ビス−2,4−ペンタジオネート)、ハフニウム−2,4−ペンタジオネート、ハフニウムテトラメチルペンタジオネート、ハフニウムトリフルオロペンタジオネートが好ましい。
【0054】
耐熱着色安定性により優れ、貯蔵安定性に優れるという観点から、ジルコニウム化合物および/またはハフニウム化合物の量は(A)成分および(B)成分の合計100質量部に対して0.001〜1質量部であるのが好ましく、0.01〜0.5質量部であるのがより好ましく、0.001〜0.05質量部であるのがさらに好ましい。
【0055】
本発明の組成物は縮合触媒(C)としてさらにスズ化合物を含有することができる。本発明の組成物は、耐熱着色安定性、薄膜硬化性に優れるという観点から、さらにスズ化合物を含有するのが好ましく、4価のスズ化合物がより好ましい。4価のスズ化合物は、少なくとも1個のアルキル基と少なくとも1個のアシル基(エステル結合)とを有する4価のスズ化合物が好ましい。
【0056】
少なくとも1個のアルキル基と少なくとも1個のアシル基とを有する4価のスズ化合物としては、例えば、下記式(II)で表されるもの、式(II)で表されるもののビス型、ポリマー型が挙げられる。
3a−Sn−[O−CO−R44-a (II)
式中、R3はアルキル基であり、R4は炭化水素基であり、aは1〜3の整数である。
【0057】
アルキル基は炭素原子数1以上のものが挙げられ、具体的には例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、オクチル基が挙げられる。
炭化水素基は特に制限されない。例えば、メチル基、エチル基のような脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、これらの組み合わせが挙げられる。炭化水素基は直鎖状でも分岐していてもよい。炭化水素基は不飽和結合を有することができる。炭化水素基は例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子のようなヘテロ原子を有することができる。
【0058】
スズ化合物は、なかでも、耐熱着色安定性、薄膜硬化性に優れるという観点から、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオレエート、ジブチルスズジラウリレート、ジブチルスズオキシアセテートジブチルスズオキシオクチレート、ジブチルスズオキシラウレートが好ましい。
スズ化合物はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。スズ化合物はその製造について特に制限されない。例えば従来公知のものが挙げられる。
【0059】
スズ化合物の量は、耐熱着色安定性、薄膜硬化性に優れるという観点から、前記ポリシロキサンと前記シラン化合物の合計100質量部に対して、0.001〜1質量部であるのが好ましく、0.01〜0.1質量部であるのがより好ましい。
【0060】
(D)成分について以下に説明する。
本発明の組成物に含有される(D)成分は、リン酸エステル、亜リン酸エステルおよびホウ素化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である。本発明の組成物が(D)成分として少なくともリン酸エステルおよび/または亜リン酸エステルを含有することによって、本発明の組成物は透明性に優れ、高温下での長期信頼性に優れる。本発明の組成物が(D)成分として少なくともホウ素化合物を含有することによって、本発明の組成物は透明性に優れ、高温下での長期信頼性に優れ、被着体に対する密着性に優れる。
【0061】
リン酸エステル、亜リン酸エステルについて以下に説明する。
本発明の組成物に含有される(D)成分としてのリン酸エステルは、リン酸(オルトリン酸)のエステル[脂肪族エステル(脂肪族エステルが有する脂肪族炭化水素基は直鎖状、分岐状、環状を含む。)、芳香族エステル、脂肪族炭化水素基および芳香族炭化水素基を有するエステル]である。本発明の組成物に含有される(D)成分としての亜リン酸エステルは、亜リン酸(ホスホン酸)のエステル[脂肪族エステル(脂肪族エステルが有する脂肪族炭化水素基は直鎖状、分岐状、環状を含む。)、芳香族エステル、脂肪族炭化水素基および芳香族炭化水素基を有するエステル]である。リン酸エステルおよび亜リン酸エステルはモノエステル、ジエステルおよびトリエステルのうちのいずれであってもよい。本発明においてリン酸エステルおよび亜リン酸エステルはつまり有機リン酸エステルまたは有機亜リン酸エステルを意味するものである。なおリン酸または亜リン酸と無機物とだけで形成されるリン酸塩は本発明には含まれない。
【0062】
亜リン酸エステルは例えば亜リン酸とアルコールまたはヒドロキシ基を有する芳香族化合物とのエステルであれば特に制限されない。
亜リン酸エステルとしては例えば、下記式(dI−1)で表されるものが挙げられる。
P−(OR13 (dI−1)
式中、R1はそれぞれ独立に炭素数1〜18のアルキル基、アリール基またはシリル基である。炭素数1〜18のアルキル基、アリール基は上記と同義である。
シリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチルエチルシリル基のようなトリアルキルシリル基;メトキシジメチルシリル基のようなアルコキシジアルキルシリル基;ジメトキシメチルシリル基のようなジアルコキシアルキルシリル基;トリメトキシシリル基のようなトリアルコキシシリル基が挙げられる。
1は、(A)ポリシロキサンおよび/または(B)シラン化合物に対する相溶性に優れるという観点から、炭素数1〜18のアルキル基であるのが好ましい。
【0063】
リン酸エステルは例えばリン酸とアルコールまたはヒドロキシ基を有する芳香族化合物とのエステルであれば特に制限されない。
リン酸エステルとしては、例えば、下記式(dI−2)で表されるものが挙げられる。
O=P−(OR23 (dI−2)
式中、R2はそれぞれ独立に炭素数1〜18のアルキル基、アリール基またはシリル基である。炭素数1〜18のアルキル基、アリール基、シリル基は上記と同義である。
2は、(A)ポリシロキサンおよび/または(B)シラン化合物に対する相溶性に優れるという観点から、炭素数1〜18のアルキル基であるのが好ましく、炭素数1〜6のアルキル基であるのがより好ましい。
【0064】
リン酸エステル、亜リン酸エステルは、透明性、硬化性、平滑性、貯蔵安定性に優れ、可使時間、硬化時間が適切な長さとなるという観点から、リン原子が非共有電子対を有するのが好ましく、亜リン酸エステルがより好ましく、上記式(dI−1)で表される亜リン酸エステルがさらに好ましく、亜リン酸トリ2エチルヘキサン、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸トリス(トリメチルシリル)が特に好ましい。
リン酸エステルは、透明性、硬化性、平滑性、貯蔵安定性に優れ、可使時間、硬化時間が適切な長さとなるという観点から、上記式(dI−2)で表されるリン酸エステルが好ましく、リン酸トリエチル、リン酸トリス(トリメチルシリル)がより好ましい。
【0065】
ホウ素化合物について以下に説明する。
本発明の組成物に(D)成分として含有することができるホウ素化合物は、ホウ素原子を有する化合物であれば特に制限されない。有機基を有するホウ素化合物が好ましい態様の1つとして挙げられる。有機基とホウ素原子とは例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子のようなヘテロ原子;エステル結合を介して結合することができる。
ホウ素化合物としては、例えば、下記式(dII−1)〜下記式(dII−5)で表される化合物が挙げられる。ホウ素化合物は、透明性により優れ、高温下での長期信頼性により優れ、被着体に対する密着性に優れるという観点から、下記式(dII−1)〜下記式(dII−5)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であるのが好ましい。
【化13】

[式(dII−1)〜式(dII−5)中、Rは、独立して、水素原子、アルキル基、アリル基、アリール基、シリル基またはホスフィン基を示し、R′は、独立して、2価の炭化水素基を示し、式(dII−2)中nは0または1である。]
【0066】
式(dII−1)〜式(dII−5)中のRにおいて、アルキル基としては、炭素数1〜18のアルキル基であるのが好ましく、例えば上記と同様のものが挙げられる。アリル基としては例えば2−プロペニル基(−CH2CH=CH2)が挙げられる。アリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基等が挙げられる。シリル基としては、例えば、無置換シリル基;メチルシリル基などのモノアルキルシリル基;ジメチルシリル基などのジアルキルシリル基;トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチルエチルシリル基、トリブチルシリル基などのトリアルキルシリル基;メトキシジメチルシリル基などのアルコキシジアルキルシリル基;ジメトキシメチルシリル基などのジアルコキシアルキルシリル基;トリメトキシシリル基などのトリアルコキシシリル基;等が挙げられる。ホスフィン基としては、例えば、ジメチルホスフィン基、ジフェニルホスフィン基、ジトリルホスフィン基、ジナフチルホスフィン基等が挙げられる。
【0067】
式(dII−1)〜式(dII−5)中のR′(2価の炭化水素基)は好ましくは炭素数1〜20の2価の炭化水素基であり、より好ましくはアルキレン基である。例えばメチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ヘプタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基等が挙げられる。
式(dII−2)において、nが0である場合ホウ素原子とRとは単結合で結合する。
【0068】
これらのうち、本発明の組成物の高温下での長期信頼性がより優れ、被着体に対する密着性に優れるという理由から、2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン、トリス(トリメチルシリル)ボラート、2,4,6−トリメトキシボロキシン、ビス(ピナコレート)ジボロンであるのが好ましい。
(D)成分はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0069】
(D)成分[複数の(D)成分を併用する場合はそれらの合計。]の量は、透明性、高温下での長期信頼性がより優れ、硬化性、平滑性、貯蔵安定性に優れ、可使時間、硬化時間が適切な長さとなるという観点から、(C)縮合触媒1モルに対して0.01〜10モルであるのが好ましく、0.1〜5モルであるのがより好ましく、0.1〜2モルであるのがさらに好ましい。(D)成分がホウ素化合物であるまたはホウ素化合物を含み上記の範囲の量で(D)成分が使用される場合上記効果に加えてさらに被着体に対する密着性に優れる。
【0070】
(D)成分としてリン酸エステルおよび亜リン酸エステルを併用する場合、これらのモル比(リン酸エステル/亜リン酸エステル)は、透明性、高温経時の密着性、硬化性、平滑性、貯蔵安定性に優れ、可使時間、硬化時間が適切な長さとなるという観点から、1/10〜10/1であるのが好ましく、1/10〜2/1であるのがより好ましい。
【0071】
縮合触媒と(D)成分との組み合わせは、透明性、高温経時の密着性、硬化性、平滑性、貯蔵安定性に優れ、可使時間、硬化時間が適切な長さとなるという観点から、縮合触媒として、アルミニウム原子または亜鉛原子に空の軌道を有する、アルミニウム化合物および/または亜鉛化合物と、(D)成分として非共有電子対(ローンペア)を有する亜リン酸エステルおよび/またはホウ素化合物との組み合わせが好ましく、縮合触媒として上述の空の軌道を有する、アルミニウム化合物および/または亜鉛化合物と式(dI−1)で表される亜リン酸エステルおよび/または式(dII−6)で表されるホウ素化合物との組み合わせがより好ましく、亜鉛化合物と式(dI−1)で表される亜リン酸エステルおよび/または式(dII−6)で表されるホウ素化合物との組み合わせがさらに好ましい。(D)成分としてホウ素化合物を含有する場合、上記に加えて被着体に対する密着性に優れる。
縮合触媒がアルミニウム原子または亜鉛原子に有する空軌道と、(D)成分が有する非共有電子対との相互作用(例えば、配位結合など)によって、高温経時の密着性を改善することができると考えられる。なおこのようなメカニズムは本願発明者らの推測であり、メカニズムが上記以外のものであっても本発明の範囲内である。
【0072】
本発明の組成物は、上記の成分以外に、本発明の目的や効果を損なわない範囲で必要に応じてさらに添加剤を含有することができる。
添加剤としては、例えば、無機フィラーなどの充填剤、酸化防止剤、滑剤、紫外線吸収剤、熱光安定剤、分散剤、帯電防止剤、重合禁止剤、消泡剤、硬化促進剤、溶剤、蛍光体(例えば無機蛍光体)、老化防止剤、ラジカル禁止剤、接着性改良剤、難燃剤、界面活性剤、保存安定性改良剤、オゾン老化防止剤、増粘剤、可塑剤、放射線遮断剤、核剤、カップリング剤、導電性付与剤、リン系過酸化物分解剤、顔料、金属不活性化剤、物性調整剤、ビス(アルコキシシリル)アルカンやイソシアヌレート化合物、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、アミノ基を有するカップリング剤、アルミニウム、亜鉛以外のチタン、ジルコニウムなどのような接着付与剤および接着助剤が上げられる、(C)成分以外の縮合触媒、光重合開始剤、熱重合開始剤が挙げられる。各種添加剤は特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
【0073】
添加剤としてのビス(アルコキシシリル)アルカンは密着付与剤(接着付与剤)であり、2価のアルカン(アルキレン基)と2つのアルコキシシリル基とを有する化合物である。本発明の組成物がさらにビス(アルコキシシリル)アルカンを含有する場合接着性、密着性に優れる。アルコキシシリル基はアルコキシ基のほかに例えば、メチル基、エチル基のようなアルキル基を有することができる。2価のアルカンは例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子のようなヘテロ原子を有することができる。2価のアルカンは具体的には例えば、イミノ基(−NH−)を有することができる。2価のアルカンはヘテロ原子[例えば、イミノ基(−NH−)]を介して2つのアルキレン基が結合するものであってもよい。ビス(アルコキシシリル)アルカンとしては、例えば、下記式(VII)で表されるものが挙げられる。
【化14】

式中、R7〜R8はそれぞれアルキル基であり、R9は酸素原子、窒素原子、硫黄原子のようなヘテロ原子を有してもよい2価のアルカンであり、aはそれぞれ1〜3の整数である。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基が挙げられる。R9としての2価のアルカンは炭素原子数1〜10のアルキレン基が挙げられる。2価のアルカンは上記と同義である。
【0074】
ビス(アルコキシシリル)アルカンは、透明性、高温経時の密着性、硬化性、平滑性、貯蔵安定性に優れ、可使時間、硬化時間が適切な長さとなるという観点から、式(VII)で表されるものが好ましく、ビス(トリアルコキシシリル)アルカンがより好ましく、ビス−(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、1,7−ビス(トリメトキシシリル)ヘプタン、1,8−ビス(トリメトキシシリル)オクタン、1,9−ビス(トリメトキシシリル)ノナンおよび1,10−ビス(トリメトキシシリル)デカンからなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、ビス−(3−トリメトキシシリルプロピル)アミンがさらに好ましい。
ビス(アルコキシシリル)アルカンはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0075】
ビス(アルコキシシリル)アルカンの量は、透明性、高温経時の密着性、硬化性、平滑性、貯蔵安定性に優れ、可使時間、硬化時間が適切な長さとなるという観点から、ポリシロキサンとシラン化合物との合計100質量部に対して、0.1〜5質量部であるのがより好ましい。
【0076】
添加剤としてのイソシアヌレート化合物はイソシアネートの3量体によってイソシアヌレート骨格を形成する化合物であれば特に制限されない。本発明の組成物がさらにイソシアヌレート化合物を含有する場合接着性、密着性に優れる。イソシアヌレート化合物としては例えば、下記式(1)で表される化合物が挙げられる。
【化15】

式1中、Rはそれぞれ有機基または脂肪族不飽和結合を有することができる一価の炭化水素基である。さらにRはエポキシ基、グリシドキシ基、アルコキシシリル基、(メタ)アクリロイル基、イソシアネート基などを含むことができる。
イソシアヌレート化合物としては、例えば、トリス(トリメトキシシリル)イソシアヌレート、トリス(トリメトキシシリルアルキル)イソシアヌレート[トリス(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート]が挙げられる。イソシアヌレート化合物はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
イソシアヌレート化合物の量は、密着性に優れるという観点から、ポリシロキサンとシラン化合物との合計100質量部に対して、0.1〜10質量部であるのが好ましく、1〜5質量部であるのがより好ましい。
【0077】
無機蛍光体としては、例えば、LEDに広く利用されている、イットリウム、アルミニウム、ガーネット系のYAG系蛍光体、ZnS系蛍光体、Y22S系蛍光体、赤色発光蛍光体、青色発光蛍光体、緑色発光蛍光体が挙げられる。
【0078】
本発明の組成物は、貯蔵安定性に優れるという観点から、実質的に水を含まないのが好ましい態様の1つとして挙げられる。本発明において実質的に水を含まないとは、本発明の組成物中における水の量が0.1質量%以下であることをいう。
また、本発明の組成物は、作業環境性に優れるという観点から、実質的に溶媒を含まないのが好ましい態様の1つとして挙げられる。本発明において実質的に溶媒を含まないとは、本発明の組成物中における溶媒の量が1質量%以下であることをいう。
【0079】
本発明の組成物は、その製造について特に制限されない。例えば、(A)ポリシロキサンと、(B)シラン化合物と、(C)縮合触媒と、(D)成分と、必要に応じて使用することができる添加剤とを混合することによって製造することができる。
【0080】
本発明の組成物は1液型または2液型として製造することが可能である。本発明の組成物を2液型とする場合、(A)ポリシロキサンと(C)縮合触媒と(D)成分とを含む第1液と、(B)シラン化合物を含む第2液とを有するものとするのが好ましい態様の1つとして挙げられる。添加剤は第1液および第2液のうちの一方または両方に加えることができる。
【0081】
本発明の組成物は、光半導体封止用組成物として使用することができる。
本発明の組成物を適用することができる光半導体は特に制限されない。例えば、発光ダイオード(LED)、有機電界発光素子(有機EL)、レーザーダイオード、LEDアレイが挙げられる。
なお本発明の組成物を適用することができる被着体は光半導体に限らない。例えば、光半導体以外の半導体;ゴム;ポリフタルアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、(メタ)アクリル樹脂のようなプラスチック;ガラス;銀、銀メッキ、アルミ、アルミ窒化物、ホウ素窒化物のような金属およびまたはセラミックが挙げられる。
本発明の組成物の使用方法としては、例えば、光半導体に本発明の組成物を付与し、本発明の組成物が付与された光半導体を加熱して本発明の組成物を硬化させることが挙げられる。本発明の組成物を付与する方法は特に制限されない。例えば、ディスペンサーを使用する方法、ポッティング法、スクリーン印刷、トランスファー成形、インジェクション成形が挙げられる。
【0082】
本発明の組成物は加熱によって硬化させることができる。
加熱温度は、密着性、薄膜硬化性に優れ、硬化時間、可使時間を適切な長さとすることができ、縮合反応による副生成物であるアルコールが発泡するのを抑制でき、硬化物のクラックを抑制でき、硬化物の平滑性、成形性、物性に優れるという観点から、80℃〜150℃付近で硬化させるのが好ましく、150℃付近がより好ましい。
加熱は、硬化性に優れ、透明性により優れるという観点から、実質的に無水の条件下で行うことができる。本発明において、加熱が実質的に無水の条件下でなされるとは、加熱における環境の大気中の湿度が10%RH以下であることをいう。
【0083】
本発明の組成物を加熱し硬化させることによって得られる硬化物(シリコーン樹脂)は、長期のLED(なかでも白色LED)による使用に対して、高い透明性を保持することができ、耐熱着色安定性、薄膜硬化性、接着性、耐熱クラック性に優れる。得られる硬化物は架橋部分、骨格がすべてシロキサン結合なので従来のシリコーン樹脂より耐熱着色安定性に優れる。
【0084】
本発明の組成物を用いて得られる硬化物(硬化物の厚さが2mmである場合)は、JIS K0115:2004に準じ紫外・可視吸収スペクトル測定装置(島津製作所社製、以下同様。)を用いて波長400nmにおいて測定された透過率が、80%以上であるのが好ましく、85%以上であるのがより好ましい。
【0085】
また、本発明の組成物を用いて得られる硬化物は、初期硬化の後耐熱試験(初期硬化後の硬化物を150℃下に10日間置く試験)を行いその後の硬化物(厚さ:2mm)について、JIS K0115:2004に準じ紫外・可視スペクトル測定装置を用いて波長400nmにおいて測定された透過率が、80%以上であるのが好ましく、85%以上であるのがより好ましい。
【0086】
本発明の組成物を用いて得られる硬化物は、その透過性保持率(耐熱試験後の透過率/初期硬化の際の透過率×100)が、70〜100%であるのが好ましく、80〜100%であるのがより好ましい。
【0087】
本発明の組成物は、光半導体以外にも、例えば、ディスプレイ材料、光記録媒体材料、光学機器材料、光部品材料、光ファイバー材料、光・電子機能有機材料、半導体集積回路周辺材料等の用途に用いることができる。
【0088】
次に本発明の光半導体封止体について以下に説明する。
本発明の光半導体封止体は、本発明の加熱硬化性シリコーン樹脂組成物を用いてLEDチップを封止したものである。
本発明の光半導体封止体は、本発明の加熱硬化性シリコーン樹脂組成物をLEDチップに付与し、前記LEDチップを加熱し前記加熱硬化性シリコーン樹脂組成物を硬化させて前記LEDチップを封止することによって得ることができる。
【0089】
本発明の光半導体封止体に使用される組成物は本発明の加熱硬化性シリコーン樹脂組成物であれば特に制限されない。
本発明の光半導体封止体において組成物として本発明の加熱硬化性シリコーン樹脂組成物を使用することによって、本発明の光半導体封止体は、LEDチップからの発熱や発光等に対する耐熱着色安定性、透明性、薄膜硬化性に優れ、LEDチップからの発熱や光半導体封止体の製造時等におけるクラックやはがれの発生を防ぐことができる。
【0090】
本発明の光半導体封止体に使用されるLEDチップは、発光素子として発光ダイオードを有する電子回路であれば特に制限されない。
本発明の光半導体封止体に使用されるLEDチップはその発光色について特に制限されない。例えば、白色、青色、赤色、緑色が挙げられる。本発明の光半導体封止体は、LEDチップからの発熱による高温下に長時間さらされても、透明性、耐熱着色安定性に優れ、高温経時の密着性に優れるという観点から白色LEDに対して適用することができる。
白色LEDは特に制限されない。例えば従来公知のものが挙げられる。
LEDチップの大きさ、形状は特に制限されない。また、LEDチップの種類は、特に制限されず、例えば、ハイパワーLED、高輝度LED、汎用輝度LEDが挙げられる。
本発明の光半導体封止体は、1個の光半導体封止体の内部にLEDチップを少なくとも1個以上有するものであり、2個以上のLEDチップを有することができる。
【0091】
本発明の光半導体封止体の製造方法としては、例えば、LEDチップに本発明の加熱硬化性シリコーン樹脂組成物を付与する付与工程と、前記加熱硬化性シリコーン樹脂組成物が付与されたLEDチップを加熱をして加熱硬化性シリコーン樹脂組成物を硬化させてLEDチップを封止する加熱硬化工程とを有するものが挙げられる。
【0092】
付与工程においてLEDチップに加熱硬化性シリコーン樹脂組成物を付与し加熱硬化性シリコーン樹脂組成物が付与されたLEDチップを得る。付与工程において使用されるLEDチップは上記と同義である。付与工程において使用される組成物は本発明の加熱硬化性シリコーン樹脂組成物であれば特に制限されない。付与の方法は特に制限されない。
【0093】
次に、加熱硬化工程において、前記加熱硬化性シリコーン樹脂組成物が付与されたLEDチップを加熱をして前記加熱硬化性シリコーン樹脂組成物を硬化させてLEDチップを封止することによって、本発明の光半導体封止体を得ることができる。加熱硬化工程における加熱温度は上記と同義である。
【0094】
本発明の光半導体封止体の態形としては、例えば、硬化物が直接LEDチップを封止しているもの、砲弾型、表面実装型、複数のLEDチップまたは光半導体封止体の間および/または表面を封止しているものが挙げられる。
【0095】
本発明の光半導体封止体について添付の図面を用いて以下に説明する。なお本発明の光半導体封止体は添付の図面に限定されない。図1は本発明の光半導体封止体の一例を模式的に示す上面図であり、図2は図1に示す光半導体封止体のA−A断面を模式的に示す断面図である。
図1において、600は本発明の光半導体封止体であり、光半導体封止体600は、LEDチップ601と、LEDチップ601を封止する硬化物603とを備える。本発明の組成物は加熱後硬化物603となる。なお、図1において基板609は省略されている。
図2において、LEDチップ601は基板609に例えば接着剤、はんだ(図示せず。)によってボンディングされ、またはフリップチップ構造とすることによって接続されている。なお、図2において、ワイヤ、バンプ、電極等は省略されている。
また、図2におけるTは、硬化物603の厚さを示す。すなわち、Tは、LEDチップ601の表面上の任意の点605から、点605が属する面607に対して鉛直の方向に硬化物603の厚さを測定したときの値である。
本発明の光半導体封止体は、透明性を確保し、密閉性に優れるという観点から、その厚さ(図2におけるT)が0.1mm以上であるのが好ましく、0.5〜1mmであるのがより好ましい。
【0096】
本発明の光半導体封止体の一例として白色LEDを使用する場合について添付の図面を用いて以下に説明する。図3は、本発明の光半導体封止体の一例を模式的に示す断面図である。図4は、本発明の光半導体封止体の一例を模式的に示す断面図である。
【0097】
図3において、光半導体封止体200は基板210の上にパッケージ204を有する。
パッケージ204には、内部にキャビティー202が設けられている。キャビティー202内には、青色LEDチップ203と硬化物202とが配置されている。硬化物202は、本発明の組成物を硬化させたものである。この場合本発明の組成物は光半導体封止体200を白色に発光させるために使用することができる蛍光物質等を含有することができる。
青色LEDチップ203は、基板210上にマウント部材201で固定されている。青色LEDチップ203の各電極(図示せず。)と外部電極209とは導電性ワイヤー207によってワイヤーボンディングさせている。
キャビティー202において、斜線部206まで本発明の組成物で充填してもよい。
または、キャビティー202内を他の組成物で充填し、斜線部206を本発明の組成物で充填することができる。
【0098】
図4において、本発明の光半導体封止体300は、ランプ機能を有する樹脂306の内部に基板310、青色LEDチップ303およびインナーリード305を有する。
基板310の頭部にはキャビティー(図示せず。)が設けられている。キャビティーには、青色LEDチップ303と硬化物302とが配置されている。硬化物302は、本発明の組成物を硬化させたものである。この場合本発明の組成物は光半導体封止体300を白色に発光させるために使用することができる蛍光物質等を含有することができる。また、樹脂306を本発明の組成物を用いて形成することができる。
青色LEDチップ303は、基板310上にマウント部材301で固定されている。
青色LEDチップ303の各電極(図示せず。)と基板310およびインナーリード305とはそれぞれ導電性ワイヤー307によってワイヤーボンディングさせている。
【0099】
なお、図3、図4においてLEDチップを青色LEDチップとして説明したが、キャビティー内に赤色、緑色および青色の3色のLEDチップを配置すること、赤色、緑色および青色の3色のLEDチップのうちの1色または2色を選択してキャビティー内に配置し、選択したLEDの色に応じてLEDチップを白色に発光させるために使用することができる蛍光物質等を組成物に添加することができる。キャビティー内に本発明の組成物を例えばポッティング法によって充填し加熱することによって光半導体封止体とすることができる。
【0100】
本発明の光半導体封止体をLED表示器に利用する場合について添付の図面を用いて説明する。図5は、本発明の光半導体封止体を用いたLED表示器の一例を模式的に示す図である。図6は、図5に示すLED表示器を用いたLED表示装置のブロック図である。なお、本発明の光半導体封止体が使用されるLED表示器、LED表示装置は添付の図面に限定されない。
【0101】
図5において、LED表示器(本発明の光半導体封止体)400は、白色LEDチップ401を筐体404の内部にマトリックス状に配置し、白色LEDチップ401を硬化物406で封止し、筐体404の一部に遮光部材405を配置して構成されている。本発明の組成物を硬化物406に使用することができる。また、白色LEDチップ401として本発明の光半導体封止体を使用することができる。
【0102】
図6において、LED表示装置500は、白色LEDを用いるLED表示器501を具備する。LED表示器501は、駆動回路である点灯回路などと電気的に接続される。駆動回路からの出力パルスによって種々の画像が表示可能なディスプレイ等とすることができる。駆動回路としては、入力される表示データを一時的に記憶させるRAM(Random、Access、Memory)504と、RAM504に記憶されるデータから個々の白色LEDを所定の明るさに点灯させるための階調信号を演算する階調制御回路(CPU)503と、階調制御回路(CPU)503の出力信号でスイッチングされて、白色LEDを点灯させるドライバー502とを備える。階調制御回路(CPU)503は、RAM504に記憶されるデータから白色LEDの点灯時間を演算してパルス信号を出力する。なお、本発明の光半導体封止体はカラー表示できる、LED表示器やLED表示装置に使用することができる。
【0103】
図8は、本発明の光半導体封止体の別の一例を模式的に示す断面図である。
図8において、光半導体封止体800は、半導体発光素子803と、凹部802を有する枠体804と、封止材808とを有し、半導体発光素子803は凹部802の底部(図示せず。)に配置され、枠体804は凹部802の側面および/または底面(図示せず。)に第11族の金属から得られるリフレクタ820を備え、封止材808は半導体発光素子803およびリフレクタ820を封止する。
封止材808は、本発明のシリコーン樹脂組成物を硬化させたものである。凹部802において斜線部806まで本発明のシリコーン樹脂組成物で充填してもよい。または符号808の部分を他の透明な層(例えば空気層、ガラス層、プラスチック層)とし斜線部806を本発明の光半導体封止体が有する封止材とすることができる。封止材は蛍光物質等を含有することができる。
光半導体封止体は1個当たり、1個のまたは複数の半導体発光素子を有することができる。半導体発光素子は発光層(マウント部材と接する面の反対面)を上にして枠体内に配置すればよい。
半導体発光素子803は、枠体804と基板810とから形成される、凹部802の底部(図示せず。)に配置され、マウント部材801で固定されている。
枠体804が有する端部812、814が一体的に結合して、リフレクタが底面、または側面および底部を形成する場合リフレクタの底部の上に半導体発光素子を配置することができる。
リフレクタ820は凹部802の底部(図示せず。)から遠ざかるほど断面寸法が大きくなる、テーパ状の開口端(図示せず。)を有するものとすることができる。
マウント部材としては例えば銀ペースト、樹脂が挙げられる。半導体発光素子803の各電極(図示せず。)と外部電極809とは導電性ワイヤー807によってワイヤーボンディングされている。
【0104】
光半導体封止体800は、凹部802を封止材808、806または802(部分808と部分806とを合わせた部分)で封止することができる。
光半導体封止体をこのように封止することによって、耐硫化性を高めリフレクタ(金属層、特に銀、銀メッキ層)の腐食(例えば、変色。具体的には銀の変色)を抑制することができ、光半導体封止体の輝度や透明性を低下させることがない。
また、凹部を封止材で封止することによって、封止材は低硬度で硬化収縮が小さいため、封止材が硬化収縮によって凹部からのハガレたり、ワイヤーを断線するのを抑制することができる。
【0105】
図9は、本発明の光半導体封止体の別の一例を模式的に示す断面図である。図9において、光半導体封止体900は図8に示す光半導体封止体800の上にレンズ901を有する。レンズ901は本発明のシリコーン樹脂組成物を用いて形成されてもよい。
【0106】
本発明の光半導体封止体の用途としては、例えば、自動車用ランプ(ヘッドランプ、テールランプ、方向ランプ等)、家庭用照明器具、工業用照明器具、舞台用照明器具、ディスプレイ、信号、プロジェクターが挙げられる。
【実施例】
【0107】
以下に、実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されない。
【0108】
<評価>
以下に示すように、150℃8時間加熱後の状態、透過率、耐熱着色安定性、混合後の増粘、耐硫化性、密着性、長期信頼性評価試験後の状態について評価した。結果を第1表、第2表に示す。
【0109】
(1)150℃8時間加熱後の状態
下記のようにして得られた加熱硬化性シリコーン樹脂組成物を150℃の条件下で8時間加熱して硬化物を得た。
得られた硬化物を目視で観察しその結果、硬化物について、表面タックが消失して内部まで硬化が確認できる場合を「○」、表面タックが消失していて内部硬化が不十分な場合を「△」、表面タックがありまたは未硬化の状態である場合を「×」として評価した。
【0110】
(2)透過率評価試験
透過率評価試験において、下記のようにして得られた加熱硬化性シリコーン樹脂組成物を150℃の条件下で8時間硬化させて得られた初期硬化物、および耐熱試験(初期硬化物をさらに150℃の条件下で10日間加熱する試験。)後の硬化物(いずれも厚さが2mm。)についてそれぞれ、JIS K0115:2004に準じ紫外・可視吸収スペクトル測定装置(島津製作所社製)を用いて波長400nmにおける透過率を測定した。また、耐熱試験後の透過率の初期の透過率に対する保持率を下記計算式によって求めた。
透過率保持率(%)=(耐熱試験後の透過率)/(初期の透過率)×100
【0111】
(3)耐熱着色安定性評価試験
下記のようにして得られた加熱硬化性シリコーン樹脂組成物を150℃の条件下で8時間硬化させて得られた初期硬化物、および耐熱試験(初期硬化物を150℃の条件下で10日間加熱する試験。)後の硬化物(いずれも厚さが2mm。)について、耐熱試験後の硬化物が、初期硬化物と比較して黄変したかどうかを目視で観察した。
【0112】
(4)混合後の増粘(可使時間の評価)
第1表に示す成分を混合して製造した直後における25℃の条件下での組成物の粘度(初期粘度)と、得られた組成物を25℃の条件下に置き製造から24時間経過した後の組成物の粘度(24時間後の粘度)とを、E型粘度計を用いてRH50%、25℃の条件下で測定し、混合から24時間後の粘度の増加を確認した。混合から24時間後の粘度が混合直後の2倍以内である場合、可使時間が十分であるとして、これを「○」と評価し、混合から24時間後の粘度が混合直後の2倍を超える場合これを「×」と評価した。
【0113】
(5)長期信頼性評価試験後の状態
製造された組成物を、LEDパッケージ(エノモト社製。当該LEDパッケージは枠体がポリフタルアミドであり、銀メッキのリフレクタを有する。以下同様。)に流し込み、150℃、8時間の条件で硬化させて、硬化物と被着体との積層体を得た。
得られた硬化物を150℃の条件下に500hr置き、500時間後の状態をそれぞれ目視で確認した。クラックやLEDパッケージ(枠体、または枠体およびリフレクタ)からのはがれの発生の有無を目視で確認した。
評価の結果、硬化物にクラックやLEDパッケージからのはがれがない場合を「○」、硬化物がクラックを起こしたりLEDパッケージからはがれて接着性が低い場合を「×」とした。
【0114】
<サンプルの作製>
サンプルの作製について添付の図面を用いて以下に説明する。
図7は、実施例において本発明の加熱硬化性シリコーン樹脂組成物を硬化させるために使用した型を模式的に表す断面図である。
図7において、型8は、ガラス3(ガラス3の大きさは、縦10cm、横10cm、厚さ4mm)の上にPETフィルム5が配置され、PETフィルム5の上にシリコンモールドのスペーサー1(縦5cm、横5cm、高さ2mm)を配置されているものである。
型8を用いてスペーサー1の内部6に組成物6を流し込み、次のとおりサンプルの硬化を行った。
【0115】
組成物6が充填された型8を電気オーブンに入れて、上記の評価の条件で加熱して組成物6を硬化させ、厚さ2mmの硬化物6(初期硬化物)を製造した。得られた硬化物6を透過率、耐熱着色安定性の評価用のサンプルとして用いた。
【0116】
(6)耐硫化性
[硬化サンプル作成]
製造されたシリコーン樹脂組成物を、銀メッキ上に厚さ1mm程度になるよう塗布し、150℃、8時間の条件で硬化させて、耐硫化性評価用の硬化サンプルを得た。
【0117】
[耐硫化性試験]
10Lのデシケーターの底に、粉状に粉砕した硫化鉄10g程度(塩酸0.5mmolに対して大過剰)を置いた。次に、デシケーター内における硫化鉄の上方位置に、硫化鉄に接触しないように目皿(貫通孔を有する)を取り付け、この目皿上に硬化サンプルを置いた。次に、硫化鉄に塩酸0.5mmolを滴下することにより、硫化水素0.25mmol(硫化水素ガスのデシケータ内における理論計算による濃度は560ppm。実際の濃度は500ppm程度と推定される。)を発生させた(反応式:FeS+2HCl→FeCl2+H2S)。
【0118】
[耐硫化性の評価基準]
上述した耐硫化性試験の開始(硫化水素の発生)から24時間後に、目視により硬化サンプルにおける銀の変色を確認した。変色が確認されなかった場合には、耐硫化性に優れるものとして「○」と評価し、変色が確認された場合には、耐硫化性に劣るものとして「×」と評価した。
【0119】
(7)密着性
製造された組成物をLEDパッケージに流し込み、150℃、8時間の条件で硬化させて、硬化物と被着体との積層体を得た。
次に、得られた積層体について、スパチュラを用いて、硬化物を被着体から手剥離させ、その際の破壊形態によって、密着性(接着性)を評価した。すなわち、破壊形態が凝集破壊であった場合には、密着性に優れるものとして「○」と評価し、破壊形態が界面破壊であった場合には、密着性に劣るものとして「×」と評価した。
【0120】
[(D)成分としてリン酸エステルおよび/または亜リン酸エステルを含有する実施例]
<加熱硬化性シリコーン樹脂組成物の製造>
下記第1表に示す成分を同表に示す量(単位:質量部)で真空かくはん機を用いて均一に混合し加熱硬化性シリコーン樹脂組成物を製造した。
【0121】
【表1】

【0122】
【表2】

【0123】
【表3】

【0124】
第1表、第2表に示される各成分の詳細は以下のとおりである。
・(A)ポリシロキサン1:ポリジメチルシロキサン−α,ω−ジオール(重量平均分子量49000)、商品名ss10、信越化学工業社製
・(A)ポリシロキサン2:ポリジメチルシロキサン−α,ω−ジオール(重量平均分子量1,000)、商品名x−21−5841、信越化学工業社製
・(A)ポリシロキサン3:シリコーンレジン(分子量4000、商品名:SR1000、モメンティブ・マテリアルズ・ジャパン合同会社社製)SR1000は、下記式(I)で表される構造を持ち、a〜eは0または正数であり、かつb/aは0〜10の数であり、c/aは0〜0.5の数であり、d/(a+b+c+d)は0〜0.8の数であり、e/(a+b+c+d)は0〜0.6の数である。
(R1SiO3/2)a(R22SiO2/2)b(R33SiO1/2)c(SiO4/2)d(XO1/2)e (I)
ここでRはメチル基、Xは水素基である。
・(A)ポリシロキサン4:シリコーンレジン(分子量6000、商品名:MKレジン、旭化成ワッカー社製)ポリシロキサン4は上記ポリシロキサン3で示した式(I)と同様の式で表され、式中、Rはメチル基、Xは水素基、エチル基である。
【0125】
・(B)シラン化合物1:シリコーンアルコキシオリゴマー[RmSi(OR′)n(4-m-n)/2、式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基またはアリール基であり、R′は炭素数1〜6のアルキル基であり、mは0<m<2、nは0<n<2、m+nは0<m+n≦3である。重量平均分子量6000。商品名x−40−9246、信越化学工業社製。]
・(B)シラン化合物2:両末端シラノール型ポリジメチルシロキサン(商品名ss70、信越化学工業社製、Mw=18000)100重量部に対してテトラメトキシシラン(信越化学工業社製、商品名KBM−04)20重量部、2エチルヘキサンスズ(関東化学社製)を0.01重量部添加し、60℃で8時間減圧しながら攪拌し、その後130℃8時間減圧下で残渣のテトラメトキシシランを除き、両末端がトリメトキシシリルオキシ基で変性されているポリジメチルシロキサンを得た。プロトンNMRにより、シラノールのピーク消失を確認し、両末端トリメトキシシリルを有するシラン化合物(トリメトキシシランのオリゴマーを両末端に有し、主鎖がジオルガノポリシロキサンである、両末端トリメトキシリルジメチルポリシロキサン)とした。得られたポリジメチルシロキサンをシラン化合物2とする。シラン化合物2の重量平均分子量(クロロホルムを溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算で表わされるもの)は35000であった。
【0126】
・(C)縮合触媒1:アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート(川研ファインケミカル)
・(C)縮合触媒2:アルミニウムテトラアセチルアセトナート(川研ファインケミカル社製)
・(C)縮合触媒3:2−エチルヘキサン酸亜鉛(ホープ製薬社製)
・(C)縮合触媒4:ジブチル錫ジアセテート(日東社化成社製)
・(D)亜リン酸エステル1:亜リン酸トリ2エチルヘキサン(城北化学)
・(D)亜リン酸エステル2:亜リン酸トリフェニル(城北化学工業社製)
・(D)亜リン酸エステル3:亜リン酸トリス(トリメチルシリル)(Gelest社製)
・(D)リン酸エステル1:リン酸トリエチル(東京化成)
・(D)リン酸エステル2:リン酸トリス(トリメチルシリル)(Gelest社製)
【0127】
・(C)ジルコニウム1:トリブトキシジルコニウムナフテート
ジルコニウムテトラブトキシド(関東化学社製、0.026mol)とナフテン酸(東京化成社製、カルボキシ基に結合する炭化水素基の炭素原子数の平均:15、中和価220mg、以下同様。)6.6g(0.026mol)とを窒素雰囲気下、室温で2時間程度攪拌し反応させ目的合成物とした。
なお、ナフテン酸の中和価はナフテン酸1gを中和するのに必要なKOHの量である。
合成物の定性はフーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)を用いてその分析を行った。その結果、カルボン酸由来のCOOHに帰属される1700cm-1付近の吸収が反応後は消失し、1450〜1560cm-1付近のCOOZrに由来するピークを確認した。
得られた合成物をジルコニウム1とする。ジルコニウム1が有するナフテート基(R1COO−)中のR1の平均炭素原子数は15である。
・(C)ジルコニウム2:トリブトキシジルコニウム−2エチルヘサノエート
ナフテン酸6.6gを2−エチルヘキサン酸(関東化学社製)3.75g(0.026mol)に代えたほかはジルコニウム1と同様にして実験および定性を行った。得られた合成物をジルコニウム2とする。
【0128】
・(C)ハフニウム1:トリブトキシハフニウムナフテート
2−エチルヘキサン酸1.44gをナフテン酸(東京化成社製、カルボキシ基に結合する炭化水素基の炭素原子数の平均:15、中和価220mg。なお、ナフテン酸の中和価はナフテン酸1gを中和するのに必要なKOHの量である。)2.55g(0.01mol)に代えたほかは下記ハフニウム2と同様にして実験および定性を行った。得られた合成物をハフニウム化合物1とする。ハフニウム化合物1が有するナフテート基(R1COO−)中のR1の平均炭素原子数は15である。
・(C)ハフニウム2:トリブトキシハフニウム−2エチルヘキサノート
ハフニウムテトラブトキシド(Gelest社製、0.01mol)と2−エチルヘキサン酸(関東化学社製)1.44g(0.01mol)とを窒素雰囲気下、室温で2時間程度攪拌し反応させ目的合成物とした。
合成物の定性はフーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)を用いてその分析を行った。その結果カルボン酸由来のCOOHに帰属される1700cm-1付近の吸収が反応後は消失し、1,450〜1,560cm-1付近のCOOHfに由来するピークを確認した。得られた合成物をハフニウム2とする。
【0129】
第1表に示す結果から明らかなように、シラン化合物、ならびにリン酸エステルおよび/または亜リン酸エステルを含有しない比較例1、リン酸エステルおよび/または亜リン酸エステルを含有しない比較例2〜4は、高温下での長期信頼性が低かった。硬化触媒を含有しない比較例5は加熱しても硬化しなかった。比較例1、2は耐硫化性が低かった。また、アルミニウム化合物および亜鉛化合物以外の硬化触媒(スズ系だけ)を含有する比較例6は、混合後の増粘が著しく可使時間が短く接着性に劣り、耐硫化性、高温下での長期信頼性が低かった。比較例6にさらに(D)成分を含有させても(比較例7)、可使時間や接着性(高温下での長期信頼性)は改善されなかった。
このように、スズ系触媒を含有する組成物から得られる硬化物をLEDに実装した場合、硬化物にクラックやハガレが生じ輝度等に悪影響を及ぼすおそれがあること、高温下での長期信頼性に劣ることを本願発明者は見出した。
これに対して、実施例1〜25(実施例7は欠番)は、透明性、耐熱着色安定性に優れる。
また、実施例1〜25は、長期信頼性評価試験後にクラックやはがれの発生がなく高温下での長期信頼性に優れ、混合後の増粘が低く可使時間を適切な長さに設定することができる。
このように本発明の組成物から得られる硬化物、および本発明の光半導体封止体は、耐熱性、接着性(耐熱接着性)、高温下での長期信頼性に優れる。また、本発明の組成物は可使時間を適切な長さに設定することができる。
本発明では、ポリシロキサンとシラン化合物と(C)縮合触媒としてアルミニウム化合物および/または亜鉛化合物を含有する組成物に対してリン酸エステルおよび/または亜リン酸エステルを添加することによって長期間、硬化物にクラックやはがれが生じにくく高温下での長期信頼性に優れ、黄変の少ない硬化物となりLEDなどの光半導体用封止材に好適に使用できる。
【0130】
[(D)成分として少なくともホウ素化合物を含有する実施例]
<評価>
下記のようにして得られた組成物について、150℃8時間加熱後の状態、透過率、耐熱着色安定性、混合後の増粘、耐硫化性、密着性、長期信頼性評価試験後の状態を評価した。結果を第2表に示す。各評価の評価方法、評価基準は上記と同様である。
<加熱硬化性シリコーン樹脂組成物の製造>
下記第2表に示す成分を同表に示す量(単位:質量部)で真空かくはん機を用いて均一に混合し加熱硬化性シリコーン樹脂組成物を製造した。第2表中、縮合触媒(C)/[(D)成分の合計]のモル比の値の計算では、縮合触媒(C)の量は、縮合触媒(C)として使用された亜鉛化合物、ジルコニウム化合物、ハフニウム化合物およびスズ化合物の合計量とした。
【0131】
【表4】

【0132】
第2表に示す各成分の詳細はホウ素化合物以外は第1表と同様である。第2表に示すホウ素化合物の詳細は以下のとおりである。
・(D)ホウ素化合物1:2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(東京化成工業社製)
・(D)ホウ素化合物2:トリス(トリメチルシリル)ボラート(東京化成工業社製)
・(D)ホウ素化合物3:2,4,6−トリメトキシボロキシン(東京化成工業社製)
・(D)ホウ素化合物4:ビス(ピナコレート)ジボロン(東京化成工業社製)
・(D)ホウ素化合物5:三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート(東京化成工業社製)
【0133】
第2表に示す結果から明らかなように、(D)成分としてホウ素化合物を含有し、縮合触媒(C)としてさらにジルコニウム化合物および/またはハフニウム化合物を含有する実施例26〜33は透明性、耐熱着色安定性に優れ、長期信頼性評価試験後にクラックやはがれの発生がなく高温下での長期信頼性、耐硫化性、密着性に優れ、混合後の増粘が低く可使時間を適切な長さに設定することができる。
【符号の説明】
【0134】
1 スペーサー 3 ガラス
5 PETフィルム
6 本発明の組成物(内部、硬化後硬化物6となる)
8 型
200、300 本発明の光半導体封止体 201、301 マウント部材
202 キャビティー、硬化物 203、303 青色LEDチップ
302 硬化物
204 パッケージ 206 斜線部
306 樹脂 207、307 導電性ワイヤー
209 外部電極 210、310 基板
305 インナーリード 400、501 LED表示器
401 白色LEDチップ 404 筐体
405 遮光部材 406 硬化物
500 LED表示装置 502 ドライバー
501 LED表示器 503 階調制御手段(CPU)
504 画像データ記憶手段(RAM) 600 本発明の光半導体封止体
601 LEDチップ 603 硬化物
605 点 607 点605が属する面
609 基板 T 硬化物603の厚さ
800、900 光半導体封止体
801 マウント部材
802 凹部、シリコーン樹脂層
803 半導体発光素子
804 枠体
806 斜線部(シリコーン樹脂層)
807 導電性ワイヤー
808 シリコーン樹脂層(その他の透明な層)
809 外部電極
312、314 端部
310 基板
320 リフレクタ
901 レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)1分子中に2個以上のシラノール基を有するポリシロキサン100質量部と、
(B)1分子中にケイ素原子に結合しているアルコキシ基を2個以上有するシラン化合物0.1〜2000質量部と、
(C)縮合触媒としてアルミニウム化合物および/または亜鉛化合物と、
(D)リン酸エステル、亜リン酸エステルおよびホウ素化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種とを含有する加熱硬化性シリコーン樹脂組成物。
【請求項2】
前記亜リン酸エステルが下記式(dI−1)で表される化合物であり、前記リン酸エステルが下記式(dI−2)で表される化合物である請求項1に記載の加熱硬化性シリコーン樹脂組成物。
P−(OR13 (dI−1)
O=P−(OR23 (dI−2)
(式中、R1、R2はそれぞれ独立に炭素数1〜18のアルキル基、アリール基またはシリル基である。)
【請求項3】
前記ホウ素化合物が、下記式(dII−1)〜下記式(dII−5)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1または2に記載のシリコーン樹脂組成物。
【化1】

[式(dII−1)〜(dII−5)中、Rは、独立して、水素原子、アルキル基、アリル基、アリール基、シリル基またはホスフィン基を示し、R′は、独立して、2価の炭化水素基を示し、式(dII−2)中nは0または1である。]
【請求項4】
前記(C)縮合触媒の量が、前記ポリシロキサンと前記シラン化合物の合計100質量部に対して、0.01〜5質量部である請求項1〜3のいずれかに記載の加熱硬化性シリコーン樹脂組成物。
【請求項5】
前記(D)の量が、前記(C)縮合触媒1モルに対して0.01〜10モルである請求項1〜4のいずれかに記載の加熱硬化性シリコーン樹脂組成物。
【請求項6】
前記(A)ポリシロキサンとして下記式(1)で表される重量平均分子量1,000〜1,000,000の直鎖状ポリジメチルシロキサンを含有する請求項1〜5のいずれかに記載の加熱硬化性シリコーン樹脂組成物。
【化2】

【請求項7】
光半導体封止用である請求項1〜6のいずれかに記載の加熱硬化性シリコーン樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の加熱硬化性シリコーン樹脂組成物をLEDチップに付与し、前記LEDチップを加熱し前記加熱硬化性シリコーン樹脂組成物を硬化させて前記LEDチップを封止することによって得られる光半導体封止体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−219729(P2011−219729A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−257190(P2010−257190)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】