説明

加熱装置および定着装置ならびに定着装置の温度制御方法

【課題】加熱対象物の温度を正確に検出でき、トナーを一定の条件の範囲で、記録材に固着できる定着装置を、提供する。
【解決手段】この発明の定着装置(1)および温度制御方法は、検出対象であるローラ(3)に向けて放射線を放射し、ローラから戻された放射線を検出して温度信号を求め、ローラの表面の放射率を、累積画像形成回数、検出位置、放射線放射劣化率の少なくとも1つを用いて特定し、検出された温度信号を、ローラの表面の放射率に基づいて補正して温度データを生成し、生成された温度データに基づいて、ローラの温度を昇温させるための加熱機構(7)に供給する電力を制御することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、特に熱溶融性の顕像剤を用いる電子写真方式の複写装置やプリンタ装置等の画像形成装置に利用可能で、出力対象物に顕像剤を定着する定着装置およびその温度を制御する方法ならびに加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真プロセスを用いた画像形成装置に組み込まれる定着装置は、出力対象物すなわち記録材上に位置されているトナー(顕像剤)、に熱を加えることでトナーを軟化させ、圧力を加えることで、記録材に固着する。近年、電力供給を開始した時点からトナーが軟化する定着可能温度に達するまでの時間すなわち加熱時間を低減できる加熱方式として、誘導加熱が広く利用されている。
【0003】
しかしながら、誘導加熱を用いる定着装置においては、記録材にトナーを定着するための加加熱ローラ(発熱体)の温度を正確に検出することが困難である。
【0004】
これらを改善するために、多くの提案がある。
【0005】
特許文献1には、誘導加熱により加熱対象部材を加熱するもの(定着装置)において、加熱対象部材から放射される赤外線を赤外線検出手段に導くための光学系とミラーを有し、検出された赤外線に基づいて加熱対象部材を加熱する加熱手段に供給する電力を制御することが記載されている。
【0006】
特許文献2には、定着ローラから放出される赤外線を検知することにより、定着ローラの温度を推測して検知する温度検出素子を備える定着装置において、温度検出素子によって検出可能な波長領域における定着ローラの赤外線放出率を、その波長領域におけるトナーの赤外線放出率以下にすること、および赤外線検出部材が、赤外線を吸収するフィルム部材を有することが記載されている。
【0007】
特許文献3には、温度検出素子と、温度検出素子と加熱定着回転体との間の接触状態とを切り替えることができる接触状態切り替え手段と、を備え、定着装置のための加熱定着回転体の表面温度制御装置において、表面温度研手段の接触状態と非接触状態とを切り替えることが記載されている。
【特許文献1】特開2003−229242号公報
【特許文献2】特開2003−57987号公報
【特許文献3】特開2003−57989号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記のいずれの文献に示された提案も、接触温度検出手段に関する。接触温度検出手段の応答性は、非接触温度センサの応答性と異なる。このため、検出された温度は、タイムラグを含む。従って、正確な加熱ローラの定着温度の管理が困難である。また、加熱ローラのライフ(画像形成/定着枚数の増大)に伴い、接触温度検出手段の検出面の摺動面が劣化する。このため、赤外線の放射率の劣化に伴うセンサの応答性が劣化して、検出温度が不正確(誤検知)となる。赤外線放射率は、ローラ表面の個々の場所によっても、劣化率が異なる。従って、補正係数が同じであると、検出された温度は、誤差を含む。
【0009】
この発明の目的は、加熱対象物の温度を長期に亘って、正確に検出でき、トナーを一定の条件の範囲で、記録材に固着できる定着装置を、提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、磁界が供給されることで加熱され、被記録材上および顕像化剤を加熱する被加熱体と、前記被加熱体の長手方向に複数設けられ、それぞれ独立に前記磁界を提供可能で、前記被加熱体に誘導熱を生じさせるための磁界を提供する第1および第2のコイル体と、前記被加熱体表面の赤外線放射量を所定範囲内に維持するための表面状態維持機構と、前記被加熱体が熱を生じる領域を単位として、前記被加熱体から反射される放射熱を前記被加熱体と接触することなく検出する放射熱検出部および前記放射熱検出部の周囲温度を検出するための複数の温度検出部を複数含む温度検出機構と、前記被加熱体と所定位置で接触され、前記被加熱体との間を通過される前記被記録材に前記顕像化剤を固着させる圧力提供部材と、を具備したことを特徴とする定着装置、を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、加熱対象物の温度を正確に検出でき、トナーを一定の条件の範囲で、記録材に固着できる定着装置が得られる。これにより、定着装置により消費される電力も低減される。また、記録材に形成されたトナー画像の画質を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0013】
図1および図2に、本発明の実施の一形態を示す。
【0014】
図1は、熱溶融性の顕像剤をシート状出力媒体に定着してハードコピーすなわちプリント出力を得る複写装置やプリンタ装置等の画像形成装置に組み込まれる定着装置を説明している。図2は、図1に示した定着装置に組み込まれる加熱装置の一例を説明している。
【0015】
定着装置は、シート状出力媒体にトナー(顕像剤)を固着してプリント出力を得るために、既に広く利用されている。シート状出力媒体は、例えば紙や樹脂シート等である。顕像剤(トナー)は、シート状出力媒体に静電的に保持されている。定着装置は、トナーとシート状出力媒体に熱を加えることによりトナーを軟化させ、所定の圧力を加えることでトナーを媒体に固定する。
【0016】
定着装置1は、加熱ローラ3と加圧ローラ5と誘導加熱方式の発熱装置7とを有する。加熱ローラ3と加圧ローラ5の軸線は、互いに、平行である。
【0017】
加圧ローラ5は、加圧機構(例えばばね部材とローラ保持構造体を含む)9により圧力が提供されることで、加熱ローラ3に押しつけられている。ばね部材とローラ保持構造体は、加圧ローラ5を加熱ローラ3に所定の圧力で押しつけることができるならば、周知のさまざまな構造体が利用可能である。
【0018】
加圧ローラ5の外周部分は、加圧機構9から提供される圧力に基づいて変形する。変形する領域は、ニップNと呼称される。ニップNは、加熱ローラ3と加圧ローラ5の外周面の長さである所定の幅を有する。ニップNの幅が一定の範囲内になるよう、加圧ローラ5の外径および材質、加熱ローラ3に押しつけられる際の圧力、加熱ローラ3の外径および硬さ等が適切に、設定される。
【0019】
加熱ローラ3の外周に沿うとともに加熱ローラが回転される際に、ニップNよりも下流側に規定される所定の位置には、爪11が設けられている。爪11は、用紙(シート状媒体)Sを、(用紙Sが)加熱ローラの表面側へ湾曲することにより生じる用紙Sと加熱ローラ3の表面との密着から(用紙Sを)解放(剥離)させるために用いられる。密着は、加熱ローラ3の表面と用紙S上トナーとの融着もしくは熱が加えられることによる用紙S自身のカールに起因して生じる。
【0020】
爪11は、用紙Sと加熱ローラ3の表面との融着の強さやローラ表面側への用紙Sの湾曲の程度すなわち剥離性に関連づけられて複数設けられてもよい。爪11は、(用紙Sの)剥離性が高い場合、省略されてもよい。爪11は、加圧ローラ5の外周にも加熱ローラ3に対する位置関係と同様の位置関係で設けられてもよい。
【0021】
加熱ローラ3および加圧ローラ5のいずれかまたはそれぞれの周囲の所定の位置には、クリーニングローラ13およびまたはオイル(コート)ローラ15が設けられている。クリーニングローラ13は、加熱ローラ3および加圧ローラ5の表面に付着することのあるトナー、挨あるいは塵(特に用紙Sから生じる微粉体)等を除去するために用いられる。オイル(コート)ローラ15は、加熱ローラ3および加圧ローラ5の表面にトナーが固着することを防止するおよびまたは前に説明した用紙Sの剥離性を高める目的で、対応するローラの表面にオイルを供給する。オイルは、例えばシリコーン系が好ましい。
【0022】
加熱ローラ3および加圧ローラ5のいずれかまたはそれぞれの近傍の所定の位置には、非接触温度検出手段(温度検出機構)17と安全装置19とが設けられている。温度検出機構17および安全装置19は、発熱装置7から発生される磁束(磁力線)の影響を受けない位置に設けられる。温度検出機構17は、加熱ローラ3の表面の温度を検出をする。温度検出機構17は、例えばサーモパイル型の温度センサ(非接触)である。温度検出機構17は、例えば接触式のサーミスタを含むものでもよい。温度検出機構17は、加熱ローラ3の長手方向に、所定の間隔で少なくとも2個、設けられる。
【0023】
温度検出機構17は、加熱ローラ3の周方向(軸と直交する平面の方向)で見た場合、例えば加熱ローラ3の軸を含む任意の面に配置される。温度検出機構17は、加熱ローラ3の周方向(軸と直交する平面の方向)で見た場合、例えばニップNの近傍(加熱ローラ3の回転方向の上流)や発熱装置7の近傍(発熱装置7と加熱ローラ3との間の空間)等の任意の位置に配置されてもよい。温度検出機構17は、加熱ローラ3の周方向(軸と直交する平面の方向)で見た場合、例えば加熱ローラ3と発熱装置7との間の空間の温度および加熱ローラ3の周囲であってニップNの付近の温度すなわち加熱ローラ3の周方向の複数位置の温度を検出できる。安全装置19は、例えばサーモスタットである。サーモスタット19は、加熱ローラ3の表面の温度が、予定されていない温度まで上昇した場合、発熱装置7の動作すなわち誘導電流の出力を停止させる。加熱ローラ3の表面の予定されていない温度への温度の上昇は、例えば温度検出機構17の異常(焼損/損傷)により生じる。
【0024】
加熱ローラ3は、発熱装置7により磁界(磁力線)が供給されることで生じる渦電流により発熱する金属導電層3aを有し、例えばチューブ状もしくは棒状に形成される。加熱ローラ3は、図示しない固有の軸線を回転中心とし、図示しないモータあるいは動力伝達機構から提供される回転力により、矢印方向に回転される。加熱ローラ3の外周面は、所定の速度[mm/秒]で移動される(加熱ローラ3は、所定の回転数で回転されるので、外周面が移動される速度は、回転数により求めることができる)。加熱ローラ3の外周面には、弾性体層およびまたはトナーが残存することを低減可能な離型層等が設けられる。
【0025】
加圧ローラ5は、ニップNを介在させた状態で加熱ローラ3の外周と接触されるので、加熱ローラが回転されることにより、矢印方向に、所定の回転数で回転される。加圧ローラ5の外周面は、所定の移動速度[mm/秒]で移動される。
【0026】
発熱装置7は、加熱ローラ3の金属導電層3aに、所定強度の磁界を提供するコイル21を有する。コイル21は、磁性体により形成されたコア23の周囲に所定巻数巻き付けられ、所定形状に成形されている。コイル21(発熱装置7)は、加熱ローラ3がチューブ状(中空)である場合、加熱ローラ3の内部に配置されてもよい。
【0027】
コイル21は、図2に示すように、加熱ローラ3の長手方向に沿って、例えば3つに分割されている。それぞれのコイルに対応して、詳述しないがコアが設けられる。コイル21が3つに分割されている場合、加熱ローラ3の長手方向中央に位置されるコイルとその両端に位置される2つのコイルとが、電気的に等価に形成される。コイル21が3つに分割されている場合、加熱ローラ3の長手方向の中央に位置されるコイルを第1のコイル21−1とする。加熱ローラ3の長手方向に関し、第1のコイル21−1の両側(ローラ3の長手方向では端部)に位置するコイルを第2のコイル21−2とする。第2のコイルの一方を識別する場合、第1端部コイル21−2a、第2端部コイル21−2bとする。第2のコイルの第1端部コイル21−2aと第2端部コイル21−2bとは、電気的に直列に接続される。第1のコイル21−1以外は、同じ制御で、動作される。
【0028】
第1のコイル21−1は、少なくとも用紙SがA4サイズの用紙であって、その短辺が、用紙Sが搬送される際の搬送方向と直交する方向に搬送される場合に加熱ローラ3と接する長さを加熱できる大きさに規定される。加熱ローラ3の長さに比較して用紙Sが加熱ローラと接する領域(幅)が少ない場合、用紙Sが接する幅に対応する領域のみ発熱可能に、中央(第1)のコイル21−1にのみ電力を供給可能である。コイル21を、中央(第1)のコイル21−1と両端部(第2)のコイル21−2とに区分したことにより、加熱ローラ3の長手方向の温度分布を均一化できる。
【0029】
このような定着装置が用いられる画像形成装置において、トナーは、ニップNすなわち定着ポイントを用紙Sとともに通過される際に、加熱ローラ3から提供される熱により加熱され、軟化する(トナーは、用紙Sに定着すべき画像として用紙S上に静電的に位置されている)。軟化したトナーは、ニップNにおいて、加熱ローラ3と加圧ローラ5から所定の圧力を受ける。以上のような工程により、トナーすなわち出力すべき画像が、用紙Sに固定(定着)される。
【0030】
次に、温度検出機構17が配置されるべき「位置」について説明する。
【0031】
温度検出機構(サーモパイル型の温度センサ)17は、例えば図2に示した加熱ローラ3の長手方向に関し、3つに分割された個々のコイルの空間に関連づけられて設けられる。サーモパイル型の温度センサ17は、加熱ローラ3の軸に沿って投影した状態で、少なくとも2個、第1コイル21−1と第1端部コイル21−2aとの間、および第1コイル21−1と第2端部コイル21−2bとの間、に設けられる。サーモパイル型の温度センサ17は、好ましくは、加熱ローラ3の長手方向に関して、以下の3個、第1(中央)のコイル21−1により最も加熱される領域、第2のそれぞれのコイル21−2aおよび21−2bにより最も加熱される領域のそれぞれに、前の2個と合計で5個、設けられる。サーモパイル型の温度センサ17は、加熱ローラ3の長手方向に関し、さらに多くの個数が用意されてもよい。例えば図3に示すように、第2コイル21−2が加熱ローラ3の両端を覆うように長く形成されているような場合に、第2コイル21−2の両端に、さらに1個ずつ、前記5個と合わせて7個、設けられる。
【0032】
サーモパイル型の温度センサ17は、加熱ローラ3の軸と直交する平面(図1と同じ方向)による表示において、すなわち図1と同じ方向から見た状態で、ニップNを用紙Sが通過される際に加熱ローラ3の側に区分される領域に位置される。サーモパイル型の温度センサ17を上述の位置に配置することで、第1コイル21−1、第1端部コイル21−2aおよび第2端部コイル21−2bのいずれかと加熱ローラ3の表面との間の空間の温度が検出可能である。サーモパイル型の温度センサ17の上述の位置に配置することは、同時に、ニップNの近傍の加熱ローラ3の表面の温度を検出可能とする。
【0033】
図4は、図1および図2(または図3)に示した定着装置を動作させる駆動回路(温度制御回路)の一例を示す。
【0034】
発熱装置7の中央のコイル21−1、端部コイル21−2(第1端部コイル21−2aと第2端部コイル21−2bが直列に接続された状態で1つのコイルとして扱う)には、それぞれ、共振用のコンデンサ31a、31bが並列に接続されている。第1コイル21−1とコンデンサ31aおよび第2コイル21−2とコンデンサ31bの組には、それぞれスイッチング素子32a、32bが接続されている。個々のスイッチング素子32a、32bには、例えば100[A]程度の電流が供給可能なIGBT(インシュレーテットゲート型バイポーラトランジスタ=Insulated Gate Bipolar Transistor)や、MOS−FET(MOS型電界効果トランジスタ)等が利用可能である。
【0035】
中央(第1)コイル21−1、コンデンサ31aおよびスイッチング素子32aにより第1のインバータ回路33aが、端部(第2)コイル21−2、コンデンサ31bおよびスイッチング素子32bにより第2のインバータ回路33bが、それぞれ、定義される。
【0036】
個々のインバータ回路33a、33bには、整流回路34によって整流され、リップル分が所定の大きさまで平滑化された直流電流が供給される。整流回路34には、商用の交流電源が接続される。整流回路34の前段には、発熱装置7(第1コイル21−1、第2コイル21−2)により消費される全消費電力を検出可能とするためのトランス35が配置されている。
【0037】
スイッチング素子32a、32bの制御端子には、それぞれのスイッチング素子を所定タイミングでONさせる駆動回路36a、36bが接続されている。駆動回路36a、36bは、それぞれ、対応するスイッチング素子の制御端子に、所定の駆動電圧を印加する。駆動回路36a、36bの動作タイミング、すなわち駆動回路36a、36bから対応するスイッチング素子32a、32bの制御端子に、駆動電圧が印加されるタイミングは、制御回路37a、37bにより、指示される。制御回路37a、37bから駆動回路36a、36bには、例えば20〜60kHzの範囲の周波数が、指示される。駆動回路36a、36bから所定周波数の駆動電圧が供給されることで、スイッチング素子32a、32bのそれぞれを伴って規定されるインバータ回路33a、33bが供給された周波数に従って、繰り返しONされる。供給された周波数に応じてインバータ回路33a、33bが繰り返しONされることで、それぞれのインバータ回路33a、33b内の第1コイル21−1、第2コイル21−2に、所定の大きさの電流が供給される。電流の大きさは、加熱ローラ3が発生すべき熱の大きさに応じて規定される。言い換えると、加熱ローラ3が発生する熱の大きさは、制御回路37a、37bから指示される周波数に依存する。
【0038】
加熱ローラ3から発生される熱は、非接触温度検出手段すなわち温度検出機構17により、加熱ローラ3の長手方向の温度検出機構17の位置毎に検出される。それぞれの温度検出機構17により検出された加熱ローラ3の長手方向の任意の位置の温度情報は、温度制御CPU38に入力される。温度検出機構17がASIC部を別に必要とする構造である場合、温度制御CPU38との間に、温度検出回路が設けられる。接触型の温度センサ(図示しない)が温度検出機構17の他にまたは温度検出機構17内に設けられている場合には、その出力信号(温度データ)も温度制御CPU38に入力される。
【0039】
温度制御CPU38は、個々の温度検出機構17から入力される温度情報と加熱ローラ3に要求されている熱量およびまたは加熱ローラ3の長手方向の温度分布等を参照して、ONすべきインバータ回路および供給すべき周波数を特定する。
【0040】
特定された周波数は、制御回路37a、37bを経由して駆動回路36a、36bに入力される。駆動回路36a、36bから対応するスイッチング素子32a、32bの制御端子に、温度制御CPU38で特定された周波数の駆動電圧が供給される。従って、加熱ローラ3に要求されている熱量およびまたは加熱ローラ3の長手方向の温度分布が、定着すべき用紙の大きさに基づいて最適化される。
【0041】
図1および図2(あるいは図3)に示した定着装置および図4に示した駆動回路では、コイルが2個(組)である場合を例に説明したが、コイルの個数(組)は任意に設定可能であり、3個(組)以上であってもよい。温度検出機構17もコイルの個数に合わせて増やすことが好ましい。少なくとも、コイル個数にコイル相互間の組(個数)分を加えた個数が必要である。
【0042】
図6は、図1および図2(あるいは図3)に示した定着装置の加熱ローラの温度を、図4に示した駆動回路により設定する一例を示す。
【0043】
図示しない画像形成装置が起動されることで、全ての温度センサ17がONされる。同時に、第1および第2のコイルの全てに、所定周波数の電力が供給される(S1)。
【0044】
個々の温度センサ17の周囲温度検出部(図示せず)および図示しないサーモパイル部から、それぞれ、自己温度データおよびローラ温度検出信号(赤外線検出値)が、それぞれ出力される。なお、(個々の温度センサ17に)接触式サーミスタが設けられている場合は、自己温度の検出に接触式サーミスタの出力を利用することも可能である(S2)。
【0045】
それぞれの温度センサ17から出力される自己温度データとローラ温度検出信号(赤外線検出値)とから、個々の温度センサ17の位置に対応する加熱ローラ3の表面の温度を示す検出温度信号が求められる(S3)。
【0046】
検出温度信号に基づいて、加熱ローラ3の長手方向(軸方向すなわち主走査方向)の全域に関し、表面の温度が基準温度に達したか否かが、温度制御CPU38により判断される。基準温度に達したか否かは、加熱ローラ3の周方向に関しても判断される。温度データ(検出信号)が出力される順番は任意に設定できる。温度制御CPU38側でラッチするタイミングを設定することも、できる(S4)。
【0047】
ステップS4で、加熱ローラ3表面の温度が基準温度に達したことが検知された場合(S4−Yes)、加熱ローラ3と加圧ローラ5との間のニップNの直前の温度が主走査方向の全域において目標の温度となるよう、かつ第1コイル21−1により上昇される領域の温度と第2コイル21−2により上昇される領域の温度との差が所定の範囲内であるか否かが、温度制御CPU38により判断される。必要に応じて、加熱ローラ3の周方向の温度ムラ(リップル)についても判断される(S5)。
【0048】
ステップS5で、加熱ローラ3の表面の温度差が所定の範囲内である場合(S5−Yes)、プリント(出力)予約があるか否かがチェックされる(S6)。
【0049】
ステップS6で、プリント(出力)予約がない場合(S6−No)、「待機ルーチン」が実行され(S7)、加熱ローラ3の表面の温度を「待機温度」で保持する『待機制御ルーチン』が実行される(S8)。
【0050】
ステップS6で、プリント(出力)予約がある場合(S6−Yes)、「プリント動作(画像形成工程)」に引き続いて加熱ローラ3と加圧ローラ5との間のニップNにトナー像が転写された用紙Sが給送され、用紙Sにトナーが定着される『定着工程』(S9)。
【0051】
ステップS4で、加熱ローラ3表面の温度が基準温度まで上昇していないことが検知された場合(S4−No)、『温度上昇ルーチン(ウォームアップ)』が実行される。すなわち、全てのコイルに、所定の周波数の電力が継続して供給される(S10)。
【0052】
ステップS5で、加熱ローラ3の表面の温度差が所定の大きさよりも大きい(リップルすなわち温度ムラがある)場合(S5−No)、いずれか一方のコイルにより温度が上昇される領域の温度が基準温度に到達するまでの時間が規定時間以内か否かがチェックされる(S11)。
【0053】
ステップS11で、加熱ローラ3の表面の温度に温度ムラがあるもののいずれか一方のコイルにより温度が上昇される領域の温度が基準温度に到達するまでの時間が規定時間以内であることが検出された場合(S11−No)、ステップS10の『温度上昇ルーチン(ウォームアップ)』が実行される。この場合、加熱ローラ3の表面の温度が低い領域を加熱できるコイルに、所定周波数の電力が供給される。
【0054】
ステップS11で、加熱ローラ3の表面のいずれか一方のコイルにより温度が上昇される領域の温度が基準温度に到達するまでの時間が規定時間を超えている(規定時間内で温度が上がらない)場合(S11−Yes)、『加熱ローラ3の表面が劣化した』と判断される。この場合、画像形成装置の表示部に、例えば図6に示すような『加熱ローラの交換および/または温度センサクリーニング』等のメンテナンスを促すメッセージが表示される(S12)。
【0055】
なお、ステップS7において「待機ルーチン」が設定された場合、一定時間の間、加熱ローラ3の表面の温度を、ステップS6においてプリント(出力)予約が入力された場合でも、所定の時間でプリントアウト可能な温度に回復できる第1の待機温度に維持される。第1の待機温度に加熱ローラ3の表面の温度を維持する場合、ステップS5と同様に、加熱ローラ3の長手方向において、温度ムラ(リップル)が所定の範囲内に収まるよう、第1および第2のコイルに、独立にまたは同時に所定周波数の電力が継続して供給される。なお、温度センサ17の出力に基づいて、個々のコイルには、非連続に電力が供給されてもよい(第1の待機温度よりも加熱ローラ3の表面の温度が高くなることを防ぐために、供給される電力の周波数が変化されるとともに全てのコイルへの電力の供給が停止される場合もある)。
【0056】
ステップS6においてプリント(出力)予約が入力され、ステップS9で『定着工程』が実行されている場合、用紙Sのサイズに応じて、電力が供給されるコイルおよび/または電力が供給される時間または電力の周波数が変化されることもある。例えば、画像形成領域の長さ(幅)が加熱ローラ3の長さより短い場合、第1(中央)のコイル21−1に電力が供給される時間に比較して、第2(端部)のコイル21−2に電力が供給される時間が短く設定される。個々のコイルに電力が供給される時間を一定とし、供給される周波数がコイル毎に、変化されてもよい(周波数の差に依存して発生する干渉音のレベルが所定の範囲内である場合)。
【0057】
一方、定着時の熱の吸収が通常の用紙Sに比較して大きな場合には、個々の温度センサ17の出力に基づいて、例えば、減法混色に基づいて色分解された複数色に対応するトナーが積層状態にあるような場合や出力媒体(用紙S)が厚いような場合には、任意のおよび/または全てのコイルに供給される電力が増大される(周波数が変化される)。特に、出力媒体のサイズ、媒体種類、出力媒体厚さに対して加熱ローラ3の目標とする規定温度が異なっており、例えば、出力媒体の厚さが厚い場合には、目標となる規定温度を上げる。また、温度降下あるいは温度リップルに対し、加熱ローラ3の温度が目標の温度となるように、任意のコイルに供給される電力が制御される。
【0058】
ところで、加熱ローラ3の表面は、通算して供給される出力媒体のサイズ、出力媒体の種類あるいは厚さにより、磨耗およびまたは劣化し、主走査方向の任意の位置で、放射率が変動することが知られている。例えば、図8に示すように、通紙枚数が2万枚程度に達すると、初期状態に比較して10%程度、放射率が低下する。なお、この劣化率は、通紙した用紙(出力媒体)Sの種類にも依存するので、後段に説明するが、加熱ローラ3からの赤外線放射量と温度センサ17から放射される(検出用の)放射線の強度(放出率)が変化される。
【0059】
このように、放射率が変化することによって、加熱ローラ3の実際の温度が主走査方向で同一であったとしても、温度センサ17から出力される検出結果(温度データ)は、加熱ローラ3の主走査方向位置毎に、異なる温度となる。なお、放射率は、定着サイズ、画像出力回数(定着枚数)、ローラ回転数等のいずれか、または複数の組み合わせにより、任意に設定できる。また、例えばCPU38に接続されるカウンタ138(またはCPU38のファームウエアとして定義される記憶部)に保持されているカウンタ値、すなわち画像形成回数に基づいて、劣化率(放射率)が設定されてもよいことはいうまでもない。
【0060】
このため、予めクリーニングローラ13に、加熱ローラ3の表面を研磨する研磨剤を含有させ、加熱ローラ3の放射率を均一化することが好ましい。研磨剤は、耐熱温度が200℃以上のものが好ましく、例えば、コロイダルシリカ、ダイヤモンド(スラリー)、アルミナ(酸化アルミ)、酸化セリウム、ジルコニア(酸化ジルコニウム)、セラミック類、ニッケル等が利用可能である。なお、研磨剤は、オイルローラ15により加熱ローラ3に提供されるオイルに混入されてもよい。また、色や耐水性/耐油性は、特別な制限を受けない
研磨剤の粒径は、例えば、
コロイダルシリカ 0.02 〜 0.05(μm)
ダイヤモンド(スラリー) 0.2 〜 8(μm)
酸化アルミ(アルミナ) 0.05 〜 5(μm)
酸化セリウム 0.01 〜 4(μm)
である。
【0061】
なお、第1の待機温度に加熱ローラ3の表面の温度が維持されてから所定時間経過した場合、もしくはステップS9の『定着工程』が終了して所定時間が経過した場合、加熱ローラ3の表面の温度は、消費電力が第1の待機温度よりも少ない第2の待機温度に維持される。第2の待機温度は、プリント(出力)が指示された時点から個々のコイルに電力が供給された際に、規定された時間内に加熱ローラ3の温度を『定着工程』が実行可能な温度に復帰可能な温度である。
【0062】
個々のコイルへ供給される電力は、温度センサ17から出力された加熱ローラ3の温度または温度信号に基づいて、制御されることはいうまでもない。
【0063】
図7は、図1および図2に示した定着装置の加熱ローラの温度を図4に示した駆動回路により設定する別の一例を示す。
【0064】
図示しない画像形成装置が起動されることで、全ての温度センサ17がONされる。同時に、第1および第2のコイルの全てに、所定周波数の電力が供給される(S101)。
【0065】
個々の温度センサ17の周囲温度検出部(図示せず)からおよび図示しないサーモパイル部から、それぞれ、自己温度データおよびローラ温度検出信号(赤外線検出値)が、それぞれ出力される。なお、(個々の温度センサ17に)接触式サーミスタが設けられている場合は、自己温度の検出に、接触式サーミスタの出力を利用することも可能である(S102)。
【0066】
それぞれの温度センサ17から出力される自己温度データとローラ温度検出信号(赤外線検出値)とから、個々の温度センサ17の位置に対応する加熱ローラ3の表面の温度を示す検出温度信号が求められる(S103)。
【0067】
検出温度信号に基づいて、加熱ローラ3の長手方向(軸方向すなわち主走査方向)の全域に関し、表面の温度が基準温度に達したか否かが、温度制御CPU38により判断される。基準温度に達したか否かは、加熱ローラ3の周方向に関しても判断される。温度データ(検出信号)が出力される順番は任意に設定できる。温度制御CPU38側でラッチするタイミングを設定することも、できる(S104)。
【0068】
ステップS104で、加熱ローラ3表面の温度が基準温度に達したことが検知された場合(S104−Yes)、第1コイル21−1により上昇される領域の温度と第2コイル21−2により上昇される領域の温度との差が所定の範囲内であるか否かが、温度制御CPU38により判断される。必要に応じて、加熱ローラ3の周方向の温度ムラ、すなわちリップルについても判断される(S105)。
【0069】
ステップS105で、加熱ローラ3の表面の温度差が所定の範囲内である場合(S5−Yes)、プリント(出力)予約があるか否かがチェックされる(S106)。
【0070】
ステップS106で、プリント(出力)予約がない場合(S106−No)、「待機ルーチン」が実行され(S107)、加熱ローラ3の表面の温度を「待機温度」で保持する『待機制御ルーチン』が実行される(S108)。
【0071】
ステップS106で、プリント(出力)予約がある場合(S106−Yes)、「プリント動作(画像形成工程)」に引き続いて加熱ローラ3と加圧ローラ5との間のニップNにトナー像が転写された用紙Sが給送され、用紙Sにトナーが定着される『定着工程』(S109)。
【0072】
ステップS104で、加熱ローラ3表面の温度が基準温度まで上昇していないことが検知された場合(S104−No)、『温度上昇ルーチン(ウォームアップ)』が実行される。すなわち、全てのコイルに所定の周波数の電力が継続して供給される(S110)。
【0073】
ステップS105で、加熱ローラ3の表面の温度差が所定の大きさよりも大きい場合、すなわちリップル(温度ムラ)がある場合(S105−No)、いずれか一方のコイルにより温度が上昇される領域の温度が基準温度に到達するまでの時間が規定時間以内か否かがチェックされる(S111)。
【0074】
ステップS111で、加熱ローラ3の表面の温度に温度ムラがあるもののいずれか一方のコイルにより温度が上昇される領域の温度が基準温度に到達するまでの時間が規定時間以内であることが検出された場合(S111−No)、ステップS110の『温度上昇ルーチン(ウォームアップ)』が実行される。この場合、加熱ローラ3の表面の温度が低い領域を加熱できるコイルに、所定周波数の電力が供給される。このとき、個々の温度センサ17から出力される温度データ(ローラ温度、赤外線検出値)は、センサ毎に、異なる。また、加熱ローラ3の主走査方向の位置に応じて、加熱ローラ3から放射される赤外線放出率も変動する。このため、図8に示す、通紙枚数と放射率の低下との関係を基に温度センサ17の図示しないサーモパイル部から加熱ローラ3に向けて放射される(検出用)放射線の強度(放出率)が変化される。
【0075】
個々の温度センサ17の赤外線放出率は、初期と比較した加熱ローラ3の表面の劣化率に対応して増大されるよう予め設定されている。この場合、放射率の変化分(変化率)は、検出する温度の誤差が所定の範囲内に収まるよう、予め設定されることはいうまでもない。赤外線の放出量は、詳述しない画像形成部本体の電源が投入時、例えばCPU38に接続されるカウンタ138(またはCPU38のファームウエアとして定義される記憶部)に保持されている劣化率に基づいて決定される。
【0076】
ステップS111で、加熱ローラ3の表面のいずれか一方のコイルにより温度が上昇される領域の温度が基準温度に到達するまでの時間が規定時間を超えている(規定時間内で温度が上がらない)場合(S111−Yes)、『加熱ローラ3の表面が劣化した』と判断される。この場合、画像形成装置の表示部に、例えば図6に示したような『加熱ローラの交換/温度センサクリーニング』等のメンテナンスを促すメッセージが表示される(S112)。
【0077】
なお、ステップS107において「待機ルーチン」が設定された場合、一定時間の間、加熱ローラ3の表面の温度を、ステップS106においてプリント(出力)予約が入力された場合でも、所定の時間でプリントアウト可能な温度に回復できる第1の待機温度に維持される。第1の待機温度に加熱ローラ3の表面の温度を維持する場合、ステップS105と同様に、加熱ローラ3の長手方向において、温度ムラ(リップル)が所定の範囲内に収まるよう、第1および第2のコイルに、独立にまたは同時に所定周波数の電力が継続して供給される。なお、温度センサ17の出力に基づいて、個々のコイルには、非連続に電力が供給されてもよい(第1の待機温度よりも加熱ローラ3の表面の温度が高くなることを防ぐために、供給される電力の周波数が変化されるとともに全てのコイルへの電力の供給が停止される場合もある)。
【0078】
ステップS106においてプリント(出力)予約が入力され、ステップS109で『定着工程』が実行されている場合、用紙Sのサイズに応じて、電力が供給されるコイル/または電力が供給される時間または電力の周波数が変化されることもある。例えば、画像形成領域の長さ(幅)が加熱ローラ3の長さより短い場合、第1(中央)のコイル21−1に電力が供給される時間に比較して、第2(端部)のコイル21−2に電力が供給される時間が短く設定される。個々のコイルに電力が供給される時間を一定とし、供給される周波数がコイル毎に、変化されてもよい(周波数の差に依存して発生する干渉音のレベルが所定の範囲内である場合)。
【0079】
一方、定着時の熱の吸収が通常の用紙Sに比較して大きな場合には、個々の温度センサ17の出力に基づいて、任意の/全てのコイルに供給される電力が増大される(周波数が変化される)。
【0080】
なお、例えば、減法混色に基づいて色分解された複数色に対応するトナーが積層状態にあるような場合や出力媒体(用紙S)が厚いような場合や出力媒体のサイズ、媒体種類、出力媒体厚さが異なることに起因して、加熱ローラ3の目標とする規定温度が異なる。
【0081】
ところで、加熱ローラ3の表面は、通算して供給される出力媒体のサイズ、出力媒体の種類あるいは厚さにより、磨耗およびまたは劣化し、主走査方向の任意の位置で、放射率が変動することが知られている。例えば、図8に示すように、通紙枚数が2万枚程度に達すると、初期状態に比較して10%程度、放射率が低下する。なお、この劣化率は、通紙した用紙(出力媒体)Sの種類にも依存するので、後段に説明するが、加熱ローラ3からの赤外線放射量と温度センサ17から放射される(検出用の)放射線の強度(放出率)が変化される。また、この劣化率は、定着動作に伴う必要な熱容量が多い程、増大される。従って、劣化率に基づいて、加熱ローラ3からの赤外線の放射率の換算値が変更される。
【0082】
このように、加熱ローラ3からの赤外線の個々の温度センサ17による検出位置において、換算値が補正される。これにより、加熱ローラ3の長手方向(主走査方向)の温度差は、出力媒体(用紙)Sの種類や厚さならびに大きさ(主走査方向長さ)および合計通紙(画像形成)枚数などにかかわりなく、ライフにおいて、概ね一定に維持される。
【0083】
以上説明したように、本発明のサーモパイル型の温度センサを用いて、定着装置の加熱ローラの温度を設定する方法によれば、
a)定着画像に、温度検出装置の接触による擦れ等が発生することが防止される
b)加熱ローラ表面の温度のリップル(温度ムラ)が低減される
c)誘導加熱を用いた加熱ローラの温度制御において、制御温度の幅が向上される(温度差が低減される)
d)定着画像に、温度変化(リップル)の跡が残る(生じる)ことが抑止される
e)ウォーミングアップタイムが短縮できる。
【0084】
従って、消費電力も低減される。出力材料に形成されたトナー画像の画質を高めることができる。
【0085】
なお、発明の実施の形態の説明において、加熱ローラの温度を上昇させる加熱機構に、誘導加熱方式を用いる例を説明したが、加熱ローラの長手方向の温度を独立に制御可能であれば、加熱機構は、特に制限を受けない。また、この発明は、前記各実施の形態に限定されるものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々な変形もしくは変更が可能である。また、各実施の形態は、可能な限り適宜組み合わせて、もしくは一部を削除して実施されてもよく、その場合は、組み合わせもしくは削除に起因したさまざまな効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】この発明の実施形態が適用される定着装置の一例を説明する概略図。
【図2】図1に示した定着装置に組み込まれる加熱装置の例を示す概略図。
【図3】図2に示した加熱装置の別の例を示す概略図。
【図4】図1および図2(または図3)に示したに示した定着装置を動作させる駆動回路(温度制御回路)の一例を示す概略図。
【図5】図1および図2(または図3)に示した定着装置の加加熱ローラの温度を、図4に示した駆動回路により設定する一例を示す概略図。
【図6】図7に示す温度設定の工程において表示部に表示される表示の一例を示す概略図。
【図7】図1および図2(または図3)に示したに示した定着装置を動作させる駆動回路(温度制御回路)の別の一例を示す概略図。
【図8】図1および図2(または図3)に示した定着装置における通算の通紙枚数と加熱ローラ表面の放射率との関係を説明する概略図。
【符号の説明】
【0087】
1…定着装置、3…加熱ローラ、5…加圧ローラ、7…発熱装置、11…爪、13…クリーニングローラ、15…オイル(コート)ローラ、17…サーモパイルセンサ(非接触温度検出機構)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギーが供給されることで加熱され、被記録材上および顕像化剤を加熱する被加熱体と、
前記エネルギーを前記被加熱体に提供するものであって、前記被加熱体の長手方向に関連づけられて複数設け、前記被加熱体の前記長手方向の温度分布に対応して選択的に前記被加熱体に熱を生じさせる加熱機構と、
前記被加熱体表面の赤外線放射量を所定範囲内に維持するための表面状態維持機構と、
前記被加熱体から反射される放射熱を前記被加熱体と接触することなく検出する放射熱検出部および前記放射熱検出部の周囲温度を検出するための温度検出部とを含み、前記被加熱体が熱を生じる領域を単位としてその温度を検出する機構と、
を具備したことを特徴とする加熱装置。
【請求項2】
前記表面状態維持機構は、前記被加熱体表面の表面状態を、画像形成が繰り返された回数、前記被記録材の大きさおよび厚さおよびまたは前記被記録材の材質と拘わりなく、前記赤外線放射量を所定の範囲内に維持させることを特徴とする請求項1記載の加熱装置。
【請求項3】
前記表面状態維持機構は、前記被加熱体表面を研磨する研磨剤を提供することを特徴とする請求項2記載の加熱装置。
【請求項4】
磁界が供給されることで加熱され、被記録材上および顕像化剤を加熱する被加熱体と、
前記被加熱体の長手方向に複数設けられ、それぞれ独立に前記磁界を提供可能で、前記被加熱体に誘導熱を生じさせるための磁界を提供する第1および第2のコイル体と、
前記被加熱体表面の赤外線放射量を所定範囲内に維持するための表面状態維持機構と、
前記被加熱体が熱を生じる領域を単位として、前記被加熱体から反射される放射熱を前記被加熱体と接触することなく検出する放射熱検出部および前記放射熱検出部の周囲温度を検出するための複数の温度検出部を複数含む温度検出機構と、
前記被加熱体と所定位置で接触され、前記被加熱体との間を通過される前記被記録材に前記顕像化剤を固着させる圧力提供部材と、
を具備したことを特徴とする定着装置。
【請求項5】
前記第1のコイル体は、前記被加熱体の前記長手方向の概ね中央に位置され、前記第2のコイル体は、電気的に相互に接続された状態で、前記被加熱体の前記長手方向に沿うとともに前記第1のコイル体の両側で前記被加熱体の長手方向の端部に位置されていることを特徴とする請求項4記載の定着装置。
【請求項6】
前記表面状態維持機構は、前記被加熱体表面の表面状態を、画像形成が繰り返された回数、前記被記録材の大きさおよび厚さおよびまたは前記被記録材の材質と拘わりなく、前記赤外線放射量を所定の範囲内に維持させることを特徴とする請求項5記載の定着装置。
【請求項7】
前記表面状態維持機構は、前記被加熱体表面を研磨する研磨剤を提供することを特徴とする請求項6記載の定着装置。
【請求項8】
前記温度検出機構の前記放射熱検出部は、前記被加熱体に向けて放射する検出用放射量が変更可能であることを特徴とする請求項4記載の定着装置。
【請求項9】
検出対象に向けて放射線を放射し、検出対象から戻された放射線を検出して温度信号を求め、
検出対象の表面の放射率を、累積画像形成回数、検出位置、放射線放射劣化率の少なくとも1つを用いて特定し、
検出された温度信号を、特定された検出対象の表面の放射率に基づいて補正して温度データを生成し、
生成された温度データに基づいて、検出対象の温度を昇温させるための加熱機構に供給する電力を制御する
ことを特徴とする温度制御方法。
【請求項10】
検出対象の表面は、放射線の放出量を安定化させるために、研磨剤により継続的に研磨されることを特徴とする請求項9記載の温度制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−91885(P2006−91885A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−274531(P2005−274531)
【出願日】平成17年9月21日(2005.9.21)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】