説明

加熱装置

【課題】加熱装置において、被加熱物のカロリーを非接触で簡易に算出し、そのカロリー値を簡易に管理することを目的とする。
【解決手段】テラHz帯の高周波通信手段10,11による吸収量、反射量から被加熱物5のカロリー情報を非接触で検出する被加熱物カロリー算出手段12と、被加熱物のカロリーを算出するために必要な重量、形状を測定する物理量検出手段13と、被加熱物を加熱する加熱手段1と、加熱手段等を制御する制御手段15により被加熱物のカロリーを算出し、カロリー情報を管理蓄積するカロリー管理手段20で構成する。これによって、非常に簡単に被加熱物の種類によらずカロリーを測定、管理することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食品などを加熱する加熱装置に関するものであり、被加熱物のカロリーを非接触で算出し、その技術を組込んだ加熱装置と日々のカロリーの管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、健康の意識向上のために、消費者の食事摂取量への関心や、食品にはカロリーを表示している。また、非接触でカロリーを測定する方法としては、近赤外領域の波長を用いて、食品の各成分を測定する方法も知られている。これらは、専用の分析装置としては有用であるが、一般消費者への普及は浸透できているとは言えない。
【0003】
また、加熱機器への組込みとなる例は、殆どみられない。加熱装置によって、得られた食品のカロリー値を管理する方法も見られない。一般的には、消費者はメモをとるなりして日記などに記録しているのが普通である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−292128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示されている方法によれば、専用の分析装置であり、非常に高価であり、一般家庭への加熱装置への組み込みに課題がある。また、近赤外領域の分析においては、液体のカロリーの測定は、水分等に吸収されやすい特性から正確にはかりにくい課題がある。また、摂取するための食品のカロリー値を記録し管理するのも煩わしい作業である。
【0006】
本発明は前記従来の課題を解決するもので、煩わしい操作を必要とせず、食品の種類を問わず加熱装置において、安価でカロリーを測定する加熱装置を提供し、かつ加熱されたカロリー値を簡便に自動的に管理することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の加熱装置は、テラHz帯の高周波通信手段による吸収量、反射量から被加熱物のカロリー情報を非接触で検出する被加熱物カロリー算出手段と、被加熱物のカロリーを算出するために必要な重量、形状を測定する物理量検出手段、被加熱物を加熱する加熱手段と、加熱手段等を制御する制御手段と、被加熱物カロリー算出手段で算出されたカロリー情報を管理蓄積するカロリー管理手段で構成される。
【0008】
テラHz帯は、ある特定の物質と共振することで、近赤外線と同様に被加熱物の成分、たんぱく質、炭水化物、脂質をその吸収、反射量から測定することが可能である。また、テラHz帯域における液体の誘電率、誘電損失を測定することで、不得手である液体上の披加熱物のカロリーも測定することが可能となる。
【0009】
また、テラHz帯はX線の領域まではいかないが、X線に近い特性として物体の形状を透視することも知られている。したがって、披加熱物のカロリーは、被加熱物の物理量をこれらによって、非接触で、被加熱物である食品のカロリーを測定することが可能となる。
【0010】
そして、測定されたカロリー情報を自動的に記憶蓄積するカロリー管理手段にて日々摂取量を管理することが可能である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の加熱装置は、テラHz帯の高周波通信手段による吸収量、反射量から被加熱物のカロリー情報を非接触で検出する被加熱物カロリー算出手段と、被加熱物のカロリーを算出するために必要な重量、形状を測定する物理量検出手段、被加熱物を加熱する加熱手段と、加熱手段等を制御する制御手段で構成される。
【0012】
これにより、非常に簡単に被加熱物の種類によらずカロリーを測定することが可能となる上、日々の健康管理への留意や、食事制限を受けている消費者への配慮、ダイエットに取組む消費者への効果的な目安となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1における加熱装置を示すブロック構成図
【図2】本発明の実施の形態2における加熱装置を示すブロック構成図
【図3】本発明の実施の形態3における加熱装置を示すブロック構成図
【発明を実施するための形態】
【0014】
第1の発明は、テラHz帯の高周波通信手段による吸収量、反射量から被加熱物のカロリー情報を非接触で検出する被加熱物カロリー算出手段と、被加熱物のカロリーを算出するために必要な重量、形状を測定する物理量検出手段、被加熱物を加熱する加熱手段と、加熱手段等を制御する制御手段、被加熱物カロリー算出手段で算出されたカロリー情報を管理蓄積するカロリー管理手段を有する構成としたものである。
【0015】
これによって、非常に簡単に被加熱物の種類によらずカロリーを測定することが可能となる上に測定されたカロリー情報を自動的に記憶蓄積するカロリー管理手段にて日々摂取量を管理することが可能である。
【0016】
第2の発明は、物理量検出手段が、テラHz帯の高周波通信手段による透過量から形状を算出する形状算出手段を有するものである。これにより、披加熱物の形状と、重量から被加熱物の情報を識別することが可能となり、被加熱物を載せる皿、容器の影響を除外して測定することも可能となり使い勝手を向上できる上に自動的に記憶蓄積するカロリー管理手段にて日々摂取量を管理することが可能である。
【0017】
第3の発明は、前記制御手段が、加熱開始前と加熱終了後にそれぞれ被加熱物カロリー算出手段の情報を表示手段で表示するものである。これにより、加熱進行とともに被加熱物から除かれる脂質などを測定すれば、最終消費者に調理した被加熱物のカロリー情報を提供することができる上に、そのカロリー情報を自動的に記憶蓄積するカロリー管理手段にて日々摂取量を管理することが可能である。
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0019】
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の実施の形態を説明するブロック構成図である。図1の場合は、加熱装置として高周波加熱装置の例で説明する。即ち高周波発生手段であるマグネトロン1から出た高周波は、導波管2、給電室3を介して加熱室4内に放射され、加熱室4内の被加熱物5を加熱する。給電室3内にはアンテナ6があり、アンテナ6は導波管モータ7で
回転する構成としている。
【0020】
テラHz帯高周波通信手段10、11は、テラHz帯の高周波を発振し受信する。カロリー算出手段12は、テラHz帯高周波通信手段で得られた電界強度から被加熱物に吸収、反射されてきた電波量からカロリーを算出する。
【0021】
物理量検出手段である重量センサ13は、被加熱物を載置する載置台9に付随して、被加熱物の重量を検出する。本実施の形態1では、重量による歪ゲージによる抵抗変化などで重量を検出する。温度センサ14は、加熱進行とともに、被加熱物5の温度を検出する。
【0022】
制御手段15は、これら各手段の信号に基づいて加熱手段1などを制御する。ための操作手段19は、制御手段15への操作を行う。カロリー管理手段20は、カロリー算出手段12で得られたカロリー値を記憶蓄積する。これらにより加熱装置16が構成される。
【0023】
図1において、制御手段15は、テラHz帯高周波通信手段が、被加熱物5に対して高周波を放射し、被加熱物5に吸収される電波量、反射される電波量を検出する。
【0024】
テラHz帯の高周波は、被加熱物5に含まれるたんぱく質、脂質、炭水化物のそれぞれにあわせて周波数を変化させて、その吸収量,反射量をカロリー算出手段12により演算するとともに、物理量検出手段13の重量センサの信号から被加熱物の各成分の比率を算出し、カロリー管理手段20にそのカロリー値を記憶蓄積する。
【0025】
したがって、測定のたびに、加熱装置には、被加熱物カロリー値を自動的に蓄積していくことが可能となる。なお、操作手段16は、カロリー値を管理するために必要な時間時刻情報、カロリー情報測定毎の摂取、非摂取のための足し算、引き算などの操作系を備えている。
【0026】
(実施の形態2)
図2は、本発明の第2の実施の形態を説明するブロック構成図である。第1の実施の形態と同様の構成には同じ番号を付し、その説明を省略する。
【0027】
図2において、テラHz帯高周波通信手段10、11を対抗させた状態で、被加熱物5に高周波を放射させて、反射量から被加熱物の形状を推定することが可能である。これは、テラHz帯のX線領域に近い特性を利用することによって、重量センサ13の信号と組み合わせることによって制御手段15による加熱手段1の加熱時間の制御の向上が図れるものである。
【0028】
(実施の形態3)
図3は本発明の第3の実施の形態を説明するブロック構成図である。第1および第2の実施の形態と同様の構成には同じ番号を付し、その説明を省略する。
【0029】
図3において、制御手段15は、加熱開始前と加熱終了後にそれぞれ被加熱物カロリー算出手段からの情報を表示手段17で表示するとともに、カロリー管理手段20に自動的に記憶蓄積される。 制御手段15が、加熱手段1を制御し、被加熱物5が加熱されると、例えば肉類などから油分(脂質)が脱脂されカロリーを落とすことができる。
【0030】
加熱開始前と加熱終了後にそれぞれ被加熱物カロリー算出手段の情報を表示手段で表示する構成とすることにより、加熱進行とともに被加熱物から除かれる脂質などを測定すれば、最終消費者に調理した被加熱物のカロリー情報を表示し、記憶蓄積したカロリー値を
提供することができ、日々の健康管理情報を提供する事も可能となる。
【0031】
なお、本実施の形態で説明した制御手段は、CPU(またはマイコン)、RAM、ROM、記憶・記録装置、I/Oなどを備えた電気・情報機器、コンピュータ等のハードリソースを協働させるプログラムの形態で実施してもよい。プログラムの形態であれば、磁気メディアや光メディアなどの記録媒体により新しい機能の配布・更新やそのインストール作業が簡単にできる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
以上のように、本発明は電子レンジ等に適用できるものであり、本発明によれば、非常に簡単に被加熱物の種類によらずカロリーを測定し管理することが可能となる。
【符号の説明】
【0033】
1 加熱手段
10、11 テラHz帯高周波通信手段
12 カロリー算出手段
13 物理量検出手段
15 制御手段
16 加熱装置
17 表示手段
19 操作手段
20 カロリー管理手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テラHz帯の高周波発振手段による吸収量、反射量から被加熱物のカロリー情報を非接触で検出する被加熱物カロリー算出手段と、前記被加熱物のカロリーを算出するために必要な重量、形状を測定する物理量検出手段、前記被加熱物を加熱する加熱手段と、前記加熱手段等を制御する制御手段と前記被加熱物カロリー算出手段で算出されたカロリー情報を管理蓄積するカロリー管理手段を有する加熱装置。
【請求項2】
前記物理量検出手段が、テラHz帯の高周波通信手段による透過量から形状を算出する形状算出手段を有する請求項1に記載の加熱装置。
【請求項3】
前記制御手段が、加熱開始前と加熱終了後にそれぞれ被加熱物カロリー算出手段から読取った情報を表示手段で表示する請求項1に記載の加熱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−64518(P2011−64518A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−213953(P2009−213953)
【出願日】平成21年9月16日(2009.9.16)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】