説明

加熱調理器

【課題】赤外線強度検出手段の耐久性を低下させるおそれが少ない状態で、赤外線強度検出手段にて検出対象となる赤外線を精度よく検出して、被加熱物の材質の違いにかかわらず被加熱物の温度を精度よく検出することが可能となる加熱調理器を提供する。
【解決手段】被加熱物Nに接当される温度検知用被加熱体15が設けられ、赤外線強度検出手段13が、温度検知用被加熱体15から放射される赤外線の強度を検出するように設けられ、演算手段が、赤外線強度検出手段13にて検出される赤外線強度から被加熱物Nの温度を演算するように構成されており、温度検知用被加熱体15と赤外線強度検出手段13とを支持する支持部材16が筒状部18を備え、筒状部18の内部に赤外線強度検出手段13を橋架して備えて、冷却風を筒状部18の内部を通して通風させる通風式の冷却手段26が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加熱物を加熱する加熱手段と、前記被加熱物の温度を検出するための赤外線強度を検出する赤外線強度検出手段と、その赤外線強度検出手段により検出された赤外線強度に基づいて前記被加熱物の温度を演算する演算手段とを備えた加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、ガス燃焼式のバーナからなる加熱手段によって被加熱物を加熱するように構成された加熱調理器において、次のように構成されたものがあった。
すなわち、前記赤外線強度検出手段が、被加熱物から放射される赤外線であって且つ異なる2つの波長域の赤外線を対象として前記赤外線強度を検出するように構成され、前記演算手段が、検出した2つの波長域の赤外線強度、及び、予め実験により求めて記憶されている2つの波長域の赤外線強度の比率と温度との相関関係に基づいて、被加熱物の温度を演算する構成として、被加熱物の材質の違いに関係なく被加熱物の温度を検出することができるようにしたものがあった(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
又、別の従来例として、石英ガラスやサファイヤ等からなる透光性耐熱部材の上部側に被加熱物が載置され、前記透光性耐熱部材の下方側に設けられた電磁誘導式の加熱手段によって被加熱物を加熱するように構成された加熱調理器において、次のように構成されたものがあった。
すなわち、被加熱物を載置支持するための透光性耐熱部材における上部面に、黒い塗料を塗付するか又は黒色の板状の部材を備えることにより被加熱物の底部に接当する温度検知用加熱部を構成して、前記赤外線強度検出手段が、透光性耐熱部材を挟んで温度検知用加熱部と対向する位置に透光性耐熱部材に接当する状態で配置され、前記温度検知用加熱部の下面から透光性耐熱部材を通して放射される赤外線を検出するように構成され、その赤外線強度検出手段にて検出される赤外線強度に基づいて被加熱物の温度を検出するように構成したものがあった(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−340339号公報
【特許文献2】特開2003−121261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載される構成では、2つの波長域の赤外線強度の比率と温度との相関関係が予め設定して記憶している特性と同じ特性を有する被加熱物であれば、被加熱物の温度を適正に検出することは可能であるが、計測対象となる被加熱物における2つの波長域の赤外線強度の比率と温度との相関関係が予め設定して記憶している特性とは異なる場合には、被加熱物の温度を精度よく検出することができない不利があった。
【0006】
特許文献2に記載される構成では、前記赤外線強度検出手段は、前記温度検知用加熱部から放射された赤外線の強度を検出するようにしているので、被加熱物の材質の違いによる計測の誤差は無いが、この特許文献2に記載される構成では、温度検知用加熱部は、被加熱物を載置支持するための透光性耐熱部材の上部面に黒い塗料を塗付するか又は黒色の板状の部材を備えるような構成になっているから、被加熱物の底部が少しでも凹んだり、反っていたりした場合、被加熱物底部の温度と温度検知用加熱部の温度に大きな乖離が生じる(被加熱物の方が温度が高くなる)ので、被加熱物の温度を精度よく検出することができない。また、前記温度検知用加熱部から放射された赤外線は、天板を構成する透光性耐熱部材を通過したのちに赤外線強度検出手段によって検出される構成であるから、被加熱物から放射される赤外線が透光性耐熱部材を透過する際に赤外線強度が減衰するので、それだけS/N(信号対雑音)比が低下して赤外線強度の検出精度が低下するという不利がある。しかも、透光性耐熱部材を通して赤外線強度検出手段に対して被加熱物からの熱が伝わり易く、赤外線強度検出手段が高温の状態になり耐久性が低いものとなる不利もある。
【0007】
本発明の目的は、赤外線強度検出手段の耐久性を低下させるおそれが少ない状態で、赤外線強度検出手段にて検出対象となる赤外線を精度よく検出して、被加熱物の材質の違いにかかわらず被加熱物の温度を精度よく検出することが可能となる加熱調理器を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る加熱調理器は、被加熱物を加熱する加熱手段と、前記被加熱物の温度を検出するための赤外線強度を検出する赤外線強度検出手段と、その赤外線強度検出手段により検出された赤外線強度に基づいて前記被加熱物の温度を演算する演算手段とを備えたものであって、その第1特徴構成は、
前記被加熱物に接当して加熱される温度検知用被加熱体が設けられ、
前記赤外線強度検出手段が、前記温度検知用被加熱体から放射されて赤外線通過用空間を通して導入される赤外線の強度を検出するように設けられ、
前記演算手段が、前記赤外線強度検出手段にて検出される赤外線強度、及び、その赤外線強度検出手段にて検出される赤外線強度と前記温度検知用被加熱体における温度との関係を示す情報から前記被加熱物の温度を演算するように構成されており、
前記温度検知用被加熱体と前記赤外線強度検出手段とを前記被加熱物に対する接近離間方向に一体的に移動可能な状態で支持する支持部材が設けられており、
前記温度検知用被加熱体が、板状に形成されて、上面が前記被加熱物の底部に接当し、且つ、下面から赤外線を放射するように設けられ、
前記赤外線強度検出手段が、前記温度検知用被加熱体の下面から放射される赤外線を検出するように設けられており、
前記支持部材が、
前記赤外線通過用空間を内部に備える状態で筒状に形成された筒状部を備え、その筒状部の上部開口を覆う状態で前記温度検知用被加熱体を備えて構成され、
且つ、前記筒状部の内部に前記赤外線強度検出手段を橋架して備えて、前記温度検知用被加熱体の下面から放射される赤外線を前記赤外線通過用空間を通して前記赤外線強度検出手段に導入し、前記温度検知用被加熱体以外の他物から放射した赤外線を遮蔽して前記赤外線強度検出手段に入射することを阻止するように構成されており、
前記赤外線強度検出手段並びに前記支持部材の内面を冷却する冷却風を前記筒状部の内部を通して通風させる通風式の冷却手段が設けられている点にある。
【0009】
第1特徴構成によれば、前記温度検知用被加熱体が被加熱物に接当して加熱され、その温度検知用被加熱体から放射されて赤外線通過用空間を通して導入される赤外線の強度を赤外線強度検出手段が検出することになるが、そのとき、温度検知用被加熱体は、被加熱物に接当して加熱されて被加熱物の温度と同じか又はほぼ同じ温度になっている。そして、演算手段は、赤外線強度検出手段にて検出される赤外線強度、及び、その赤外線強度検出手段にて検出される赤外線強度と温度検知用被加熱体における温度との関係を示す情報から被加熱物の温度を演算するのである。
【0010】
前記赤外線強度検出手段にて検出される赤外線強度と温度検知用被加熱体における温度との関係を示す情報としては、例えば、予め実験によって温度検知用被加熱体の温度と赤外線強度検出手段にて検出される赤外線強度との関係を計測して、それらの計測結果をマップデータとして記憶することで対応できる。又、前記赤外線強度検出手段にて検出される赤外線強度と温度検知用被加熱体における温度との関係を示す情報として、前記温度検知用被加熱体の輻射率を用いることもできる。
【0011】
そして、赤外線強度検出手段にて検出される赤外線強度と温度検知用被加熱体における温度との関係は、被加熱物の材質の違いには無関係であるから、被加熱物の材質の違いにかかわらず精度よく被加熱物の温度を求めることが可能となる。
【0012】
また、このような構成にすれば、温度検知用加熱体は被加熱物の底部が少々凹んでいたり、反ったりしていても、常に接当して加熱されるため、被加熱物の底部の形状にかかわらず、精度よく温度を求めることが可能となる。
【0013】
前記赤外線強度検出手段は、温度検知用被加熱体から放射されて赤外線通過用空間を通して導入される赤外線の強度を検出するものであるから、温度検知用被加熱体から放射される赤外線は減衰することなく、赤外線強度検出手段にて受光できるので、赤外線の強度を精度よく検出することができる。しかも、赤外線強度検出手段と温度検知用被加熱体との間は空間であるから、温度検知用被加熱体から赤外線強度検出手段に熱が伝わり難いものとなり、赤外線強度検出手段が高温状態になるおそれは少なく、耐久性を低下させるおそれは少ないものになる。
【0014】
従って、赤外線強度検出手段の耐久性を低下させるおそれが少ない状態で、赤外線強度検出手段にて検出対象となる赤外線を精度よく検出して、被加熱物の材質の違いにかかわらず被加熱物の温度を精度よく検出することが可能となる加熱調理器を提供できるに至った。
また、温度検知用被加熱体が板状に形成されて上面が前記被加熱物の底部に接当し、下面から赤外線を放射するように設けられるから、被加熱物によって加熱される熱が下面側に伝わり易いものとなり、下面の温度は被加熱物の温度と同じか又はそれに近い温度となる。その結果、赤外線強度検出手段によって検出される赤外線強度に基づいて被加熱物の温度を精度よく求めることが可能となる。
さらに、前記支持部材が筒状に形成された筒状部を備えており、その筒状部の上部開口を覆う状態で温度検知用被加熱体を備え、筒状部の内部に位置する状態で赤外線強度検出手段が備えられる。そして、温度検知用被加熱体の下面から放射される赤外線が赤外線通過用空間を通して赤外線強度検出手段に導入されて適切に検出され、温度検知用被加熱体以外の他物から放射した赤外線を遮蔽して赤外線強度検出手段に入射することが阻止されることになる。
すなわち、温度検知用被加熱体と赤外線強度検出手段とを一体的に支持するための支持部材を筒状に構成して、温度検知用被加熱体と赤外線強度検出手段とを適切な位置に配備することで、温度検知用被加熱体以外の他物から放射した赤外線を遮蔽して検出誤差を少なくしながら、温度検知用被加熱体の下面から放射される赤外線の強度を適切に検出することが可能となる。
加えて、通風式の冷却手段によって冷却風が通風されることで、赤外線強度検出手段が冷却されるので、赤外線強度検出手段が冷却されて温度上昇することが抑制されて耐久性を向上することが可能であり、温度の変動に起因した計測誤差を少なくすることも可能となる。又、冷却風によって支持部材の内面が冷却されるので、支持部材の内面が温度上昇することにより赤外線の放射が多くなることを回避して、温度検知用被加熱体の下面から放射される赤外線の強度を適切に検出することが可能となる。
【0015】
本発明の第2特徴構成は、第1特徴構成に加えて、前記支持部材を前記被加熱物に対して接近する方向に弾性付勢する付勢手段が設けられている点にある。
【0016】
第2特徴構成によれば、前記温度検知用被加熱体と前記赤外線強度検出手段とが、支持部材によって一体的に移動可能に支持されて、付勢手段によって被加熱物に対して接近する方向に弾性付勢される。従って、温度検知用被加熱体と赤外線強度検出手段との間の離間距離が常に一定に維持されている状態で温度検知用被加熱体が被加熱物に押し付けられる状態で接当することになり、温度検知用被加熱体が被加熱物に対して適切に接当して被加熱物の熱によって加熱されることになる。
【0017】
尚、温度検知用被加熱体は被加熱物の熱によって加熱されることができればよいので、強い力で押し付ける必要はなく付勢手段の付勢力は小さい力で済ませることが可能であり、軽量の被加熱物であっても付勢手段の付勢力によって被加熱物が浮き上がる等の不利のない状態で使用できるものとなる。
【0018】
本発明の第3特徴構成は、第1特徴構成に加えて、前記温度検知用被加熱体が、前記被加熱物の底部に接当する熱伝導率の高い材料にて構成される板状の本体部と、その本体部の下面側に高輻射率の材料を塗付して形成される赤外線放射部とを備えて構成されている点にある。
【0019】
第3特徴構成によれば、熱伝導率の高い材料にて構成される板状の本体部が被加熱物に接当するので、被加熱物の熱が伝わり易いものになる。そして、本体部の下面側の赤外線放射部は高輻射率の材料にて構成されるから、本体部に伝えられた熱によって赤外線を多く放射することができ、被加熱物の温度を極力精度よく検出することが可能となる。
しかも、赤外線放射部は、本体部の下面側に高輻射率の材料を塗付して形成されるものであるから、例えば高輻射率の材料からなる硬質の板体を本体部に貼り付けたり接着させるような場合に比べて作成が容易であり、低コスト化を図ることが可能となる。
【0020】
本発明の第4特徴構成は、第1特徴構成に加えて、前記支持部材の内面が低輻射率に構成されている点にある。
【0021】
第4特徴構成によれば、支持部材の内面が低輻射率に構成されているから、支持部材の内面からは赤外線の放射が少ない状態になるので、支持部材自身から放射される赤外線による計測誤差を少なくして、赤外線強度検出手段により温度検知用被加熱体の下面から放射される赤外線の強度を適切に検出することが可能となる。
【0022】
本発明の第5特徴構成は、第1特徴構成に加えて、前記筒状部が、内側に位置する内筒部材と、その内筒部材との間に空間を形成する状態で外側に位置する外筒部材とを備えて構成され、且つ、前記外筒部材の上部開口を覆う状態で前記温度検知用被加熱体を保持し、前記内筒部材の内部に位置する状態で前記赤外線強度検出手段を備えて構成され、
前記通風式の冷却手段が、前記内筒部材の内部を通して上方側に向けて通風し、且つ、前記内筒部材の上端部と前記温度検知用被加熱体との間に形成された通風用の開放部を通過させ、さらに、前記内筒部材と前記外筒部材との間に形成された空間を通して下方側に向けて通風させて外部に排出する状態で、前記冷却風を通風させるように構成されている点にある。
【0023】
第5特徴構成によれば、前記筒状部が内筒部材と外筒部材とを備えて構成され、外筒部材の上部開口を覆う状態で温度検知用被加熱体を保持し、内筒部材の内部に位置する状態で赤外線強度検出手段が備えられる。そして、冷却手段が、内筒部材の内部を通して上方側に向けて通風し、且つ、内筒部材の上端部と温度検知用被加熱体との間に形成された通風用の開放部を通過させ、さらに、内筒部材と外筒部材との間に形成された空間を通して下方側に向けて通風させて外部に排出する状態で、冷却風を通風させることになる。
【0024】
つまり、冷却風が内筒部材の内部を通過するときに赤外線強度検出手段が冷却され、又、冷却風が内筒部材と外筒部材との間に形成された空間を通して通風されるので、外筒部材が加熱手段による熱によって加熱されることがあっても、その熱が内筒部材の内部にまで伝わることを有効に阻止して、赤外線強度検出手段が温度上昇を抑制することができる。
【0025】
本発明の第6特徴構成は、第1特徴構成〜第5特徴構成のいずれかに加えて、前記赤外線強度検出手段が、1.5μm以上且つ1.8μm以下の範囲内、2.0μm以上且つ2.4μm以下の範囲内、3.1μm以上且つ4.2μm以下の範囲内、又は、8.0μm以上且つ12.0μm以下の範囲内における波長域の赤外線の強度を検出するように構成されている点にある。
【0026】
第6特徴構成によれば、赤外線が空気中を通過するときに空気中に含まれる二酸化炭素(CO2)及び水分(H2O)により吸収されて減衰するおそれが少ない状態で適切に温度検知用被加熱体から放射された赤外線強度を検出することが可能となる。
【0027】
空気中には二酸化炭素や水分が気体の状態で存在する。そして、温度検知用被加熱体から放射されて赤外線通過用空間を通して赤外線強度検出手段に導入される際に、空気中に存在する二酸化炭素や水分により赤外線が吸収されることになる。
説明を加えると、図5に示すように、1.5μm以上且つ1.8μm以下の範囲内、2.0μm以上且つ2.4μm以下の範囲内、3.1μm以上且つ4.2μm以下の範囲内、又は、8.0μm以上且つ12.0μm以下の範囲内を除く波長範囲内にて二酸化炭素や水分により赤外線が吸収されることになる。従って、上記したような波長範囲内の波長にて赤外線強度を検出すると、温度検知用被加熱体から放射される赤外線強度を検出するときにおけるノイズ発生の原因となる。
【0028】
そこで、赤外線強度検出手段により赤外線強度を検出する場合、上記したような二酸化炭素や水分により赤外線が吸収されないか又は吸収され難い波長範囲の赤外線を検出するようにしている。このようにして正確な赤外線強度を検出することが可能となる。
【0029】
上記波長域の赤外線の赤外線強度を検出するための赤外線強度検出手段としては、検知対象の赤外線の波長が0.8μmから2.6μmの範囲内である場合には、Ge(ゲルマニウム)若しくはInGaAs(インジウムガリウムヒ素)を赤外線セルとして用いた赤外線センサを、検知対象の赤外線の波長が1.5μmから5.0μmの範囲内である場合には、PbS(硫化鉛)若しくはPbSe(セレン化鉛)を赤外線セルとして用いた赤外線センサを利用することができる。また、検知対象の赤外線の波長が9μmから11.5μmの範囲内である場合には、HgCdTe(水銀カドミウムテルル)を赤外線セルとして用いた赤外線センサを利用することができる。また、すべての波長域において熱型の赤外線セルであるサーモパイルや昇電素子を利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】コンロの概略構成図
【図2】支持部材の縦断側面図
【図3】支持部材の横断平面図
【図4】温度検知用被加熱体の温度と赤外線検出部の出力との関係を示す図
【図5】波長吸収を示すスペクトル分布図
【図6】別実施形態の概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面に基づいて、本発明に係る加熱調理器をガス燃焼式のコンロに適用した場合
の実施形態を説明する。
図1に示すように、コンロは、円形の加熱用の開口1aを有する平板状の天板1、開口1aの上方に離間させて加熱対象物調理用の鍋等の被加熱物Nを載置可能な五徳2、その五徳2上に載置される被加熱物Nを加熱する加熱手段としてのバーナ3、そのバーナ3の作動を制御する燃焼制御部4等を備えて構成されている。
【0032】
前記バーナ3は、ブンゼン燃焼式の内炎式バーナであり、燃料供給路5を通じて供給される燃料ガスGを噴出するガスノズル6、そのガスノズル6から燃料ガスGが噴出されると共に、その燃料ガスGの噴出に伴う吸引作用により燃焼用空気Aが供給される混合管7、及び、内周部に混合気を噴出する複数の炎口8を備えて、前記混合管7から混合気が供給される環状ケーシング部材9等を備えて構成され、前記バーナ3は、前記開口1aの下方に位置させて設けられている。
【0033】
このバーナ3においては、混合管7から環状ケーシング部材9内に供給された燃料ガスGと空気Aとの混合気が炎口8から環状ケーシング部材9の中心に向けて略水平方向に噴出され、その噴出された燃料ガスGと空気Aとの混合気が燃焼して、火炎Fが前記開口1aを通って上向きに形成される。
【0034】
前記燃料供給路5には、前記ガスノズル6への燃料ガスGの供給を断続する燃料供給断続弁10と、ガスノズル6への燃料ガスGの供給量を調節する燃料供給量調節弁11とが設けられ、バーナ3の環状ケーシング部材9内の下方には、開口1aを介して落下した煮零れ等を受けるための汁受皿12が設けられる。
【0035】
さらに、このコンロには、天板1の下方側に位置し且つ汁受皿12の中央部に位置して被加熱物Nに接当して加熱される温度検知用被加熱体15から放射された赤外線の強度を検出する赤外線強度検出手段としての赤外線強度検出部13が設けられ、その赤外線強度検出部13により検出された赤外線の強度に基づいて被加熱物Nの温度を演算する演算手段としての演算部14が設けられている。
【0036】
被加熱物Nに接当して加熱される温度検知用被加熱体15が設けられ、赤外線強度検出部13が、温度検知用被加熱体15から放射されて赤外線通過用空間を通して導入される赤外線の強度を検出するように設けられ、演算部14が、赤外線強度検出部13にて検出される赤外線強度、及び、その赤外線強度検出部13にて検出される赤外線強度と温度検知用被加熱体15における温度との関係を示す情報から被加熱物Nの温度を演算するように構成されている。
【0037】
又、温度検知用被加熱体15と赤外線強度検出部13とを被加熱物Nに対する接近離間方向としての上下方向に一体的に移動可能な状態で支持する支持部材16と、その支持部材16を被加熱物Nに対して接近する方向に弾性付勢する付勢手段としてのコイルバネ17とが設けられている。
【0038】
そして、前記支持部材16が、前記赤外線通過用空間を内部に備える状態で筒状に形成された筒状部18を備え、その筒状部18の上部開口を覆う状態で温度検知用被加熱体15を備えて構成され、且つ、筒状部18の内部に位置する状態で赤外線強度検出部13を備え、温度検知用被加熱体15の下面から放射される赤外線を赤外線通過用空間を通して赤外線強度検出部13に導入し、温度検知用被加熱体15以外の他物から放射した赤外線を遮蔽して赤外線強度検出部13に入射することを阻止するように構成されている。
【0039】
説明を加えると、図2に示すように、前記筒状部18が、内側に位置する内筒部材19と、その内筒部材19との間に空間を形成する状態で外側に位置する外筒部材20とを備えて構成され、且つ、外筒部材20の上部開口を覆う状態で温度検知用被加熱体15を保持し、内筒部材19の内部に赤外線強度検出部13を位置する状態で備えて構成されている。
【0040】
前記支持部材16は、軸芯が上下方向に向く状態で同芯状に設けられた内筒部材19及び外筒部材20からなる二重筒構造に構成された大径の筒状部18と、その二重筒構造の筒状部18の下方側に連なる小径のスライド軸部21とを一体的に連結して構成されている。筒状部18の下端部に位置する中継用板体22は、内筒部材19、外筒部材20及びスライド軸部21を夫々一定的に連結する連結部材としての機能を備えている。
【0041】
前記温度検知用被加熱体15は、板状に形成されて、外筒部材20の上部開口を塞ぐように外筒部材20の上端部に固定状態で取り付けて保持されており、上面が被加熱物Nの底部に接当し、且つ、下面から赤外線を放射するように設けられている。又、前記内筒部材19の上端部と赤外線強度検出部13との間は離間させてあり、内筒部材19に対して被加熱物Nからの熱が直接伝わらないようにしている。
【0042】
前記筒状部18における内筒部材19の内部側であって且つ上下方向の中間部に位置させて、ブラケット23を介して内筒部材19に位置固定される状態で赤外線強度検出部13が設けられている。赤外線強度検出部13は、温度検知用被加熱体15の下方に位置することになり、温度検知用被加熱体15の下面から放射した赤外線を検出することになる。
【0043】
そして、前記支持部材16を被加熱物Nに対して接近する方向としての上方に向けて弾性付勢する付勢手段としてのコイルバネ17が設けられている。説明を加えると、スライド軸部21が固定部側のボス部24に対して上下方向にスライド自在に内嵌する構成となっており、支持部材16全体が上下方向にスライド移動自在に支持される構成となっている。そして、前記コイルバネ17がスライド軸部21に外嵌装着されて固定部側のボス部24の上端部と中継用板体22との間に介装される構成となっている。
【0044】
つまり、コイルバネ17によって支持部材16が上方に移動付勢される構成となっており、スライド軸部21の下端部に設けられた接当規制部25がボス部24の下端部に接当して設定位置で位置規制してそれ以上の上方移動を規制する構成となっている。この設定位置では、五徳2に被加熱物Nが載置されていない状態では、支持部材16の上端部が五徳2に載置される被加熱物Nの底部の位置よりも少し上方に位置するようになっており、五徳2に被加熱物Nが載置されると被加熱物Nの底部に温度検知用被加熱体15が確実に接当して付勢力にて押し当てる構成となっている。
【0045】
前記温度検知用被加熱体15は、被加熱物Nの底部に接当する熱伝導率の高い材料にて構成される板状の本体部15aと、その本体部15aの下面側に高輻射率の材料を塗付して形成される赤外線放射部15bとを備えて構成されている。具体的には、図2に示すように、前記板状の本体部15aは熱伝導率の高い材質、例えばステンレスによって構成され、そのステンレス製の本体部15aの下面側に高輻射率の材料としての黒色の塗料を塗付して赤外線放射部15bを形成する構成となっている。つまり、赤外線放射部15bは黒体にできるだけ近い高輻射率になるように構成されている。
【0046】
又、前記内筒部材19及び外筒部材20の内面が低輻射率に構成されている。つまり、この内筒部材19及び外筒部材20は、例えば、ステンレス、鉄、アルミ等の金属材で構成することになるが、その内面は光沢面となるように表面加工が施されている。このように構成することにより、低輻射率にして赤外線の輻射強度ができるだけ少なくなるようにしている。
【0047】
前記赤外線強度検出部13並びに前記支持部材16の内面を冷却する冷却風を前記筒状部18の内部を通して通風させる通風式の冷却手段の一例としての送風ファン26が設けられている。すなわち、図2に示すように、スライド軸部21が筒状に形成されて、このスライド軸部21の内部空間S1が通風路として利用され、このスライド軸部21の内部空間S1は、内筒部材19の内部空間S2と連通している。そして、スライド軸部21の内部空間S1に向けて供給管27を介して冷却風を供給する送風ファン26が設けられ、この送風ファン26により生起された冷却風は供給管27を通してスライド軸部21の内部空間S1に供給されるように構成されている。そして、中継用板体22における内筒部材19と外筒部材20との間の空間に対応する領域には、図3に示すように、均等に小径の孔を多数形成した排出部28が形成されている。
【0048】
従って、送風ファン26により生起された冷却風は、内筒部材19の内部空間S2を通して上方側に向けて通風され、内筒部材19の上端部と赤外線強度検出部13との間に形成された通風用の開放部S3を通過させて、内筒部材19と外筒部材20との間の空間S4に流入し、その内筒部材19と外筒部材20との間の空間S4を通して下方側に向けて通風され、排出部28から外部に排出される。尚、排出部28は均等に小径の孔を多数形成することによって、冷却風が特定の箇所に偏ることなくほぼ均等に通風するようにしている。この冷却風により前記赤外線強度検出部13並びに前記支持部材16の内面が冷却されることになる。
【0049】
前記内筒部材19の内部空間S2のうちの温度検知用被加熱体15から赤外線強度検出部13に至るまでの空間が赤外線通過用空間に対応する。
【0050】
次に、赤外線強度検出部13の構成について説明する。
この赤外線強度検出部13は、所定の波長域の赤外線のみを選択的に透過させるバンドパスフィルター29と、そのバンドパスフィルター29を通過した赤外線を検出する赤外線検出素子30とを備えて構成されている。尚、赤外線検出素子30以外にも信号処理用の種々の電気回路も備えられるが、ここでは説明は省略する。
【0051】
前記バンドパスフィルター29により選択的に透過させる波長域としては、空気中に存在する二酸化炭素(CO2)や水分(H2O)により赤外線が吸収されないか又は吸収され難い波長範囲として設定している。
【0052】
説明を加えると、図5に示すように、1.5μm以上且つ1.8μm以下の範囲内、2.0μm以上且つ2.4μm以下の範囲内、3.1μm以上且つ4.2μm以下の範囲内、又は、8.0μm以上且つ12.0μm以下の範囲内を除く波長範囲内にて二酸化炭素や水分により赤外線が吸収されることになる。つまり、上記した各波長範囲が、空気中に存在する二酸化炭素や水分により赤外線が吸収されないか又は吸収され難い波長範囲に対応する。
【0053】
そこで、バンドパスフィルター29により選択的に透過させる波長域として、1.5μm以上且つ1.8μm以下の範囲内、2.0μm以上且つ2.4μm以下の範囲内、3.1μm以上且つ4.2μm以下の範囲内、又は、8.0μm以上且つ12.0μm以下の範囲内のいずれかの波長域が設定される。
【0054】
次に、前記赤外線検出素子30について説明を加える。
赤外線検出素子30としては、検知対象の赤外線の波長が0.8μmから2.6μmの範囲内である場合には、Ge(ゲルマニウム)若しくはInGaAs(インジウムガリウムヒ素)を赤外線セルとして用いたもの、検知対象の赤外線の波長が1.5μmから5.0μmの範囲内である場合には、PbS(硫化鉛)若しくはPbSe(セレン化鉛)を赤外線セルとして用いたもの、また、検知対象の赤外線の波長が9μmから11.5μmの範囲内である場合には、比較的高価であるがHgCdTe(水銀カドミウムテルル)を赤外線セルとして用いたものを利用することができる。また、すべての波長域において熱型の赤外線セルであるサーモパイルや昇電素子を利用することができる。
【0055】
説明を加えると、PbS(硫化鉛)又はPbSe(セレン化鉛)を赤外線セルとして用いて構成した赤外線検出素子30は、1.5μmから5.0μmの範囲内の赤外線を常温(300K)の動作温度にて検出可能であり、しかも、3.1μm以上且つ4.2μm以下の範囲内の赤外線に対する感度が比較的高くて検出出力が大きい。従って、設定される波長域を3.1μm以上且つ4.2μm以下の範囲内に設定する場合、赤外線検出素子30を、PbS(硫化鉛)又はPbSe(セレン化鉛)を赤外線セルとして用いて構成するのが好ましい。
【0056】
次に、前記演算部14により被加熱物Nの温度を求める処理について説明する。
この演算部14は、赤外線強度検出部13にて検出される赤外線強度、及び、その赤外線強度検出部13にて検出される赤外線強度と温度検知用被加熱体15における温度との関係を示す情報から被加熱物の温度を演算するように構成されている。
【0057】
このコンロでは、赤外線強度検出部13にて赤外線強度が検出される検出対象物は前記温度検知用被加熱体15であり常に同じ物体である。従って、予め実験により、温度検知用被加熱体15を被加熱物Nにより加熱して温度検知用被加熱体15の温度を異ならせて、夫々異なる温度であるときの赤外線強度検出部13にて赤外線強度を検出して、例えば図4に示すように、検出される赤外線強度と温度検知用被加熱体15の温度との関係をマップデータとして求めて、図示しない記憶手段に記憶させておくのである。
【0058】
そして、五徳2に被加熱物Nが載置されてバーナ3により加熱されている被加熱物Nの温度を検出するときには、被加熱物Nによって加熱される温度検知用被加熱体15から放射される赤外線の強度を赤外線強度検出部13にて検出して、演算部14が、赤外線強度検出部13にて検出された赤外線強度と前記マップデータとから、そのときの温度検知用被加熱体15の温度を演算にて求め、その温度検知用被加熱体15の温度から被加熱物Nの温度を求めるのである。
【0059】
前記演算部14にて求められた温度は、前記燃焼制御部4に出力され、燃焼制御部4は、この演算部14にて求められる温度に基づいて、前記燃料供給断続弁10、前記燃料供給量調節弁11等を制御することにより、被加熱物Nの自動温度制御、被加熱物Nの過昇温時の緊急停止制御等を行うように構成されている。
【0060】
〔別実施形態〕
以下、別実施形態を列記する。
【0061】
(1)上記実施形態では、前記演算手段としての演算部14が、前記赤外線強度検出手段にて検出される赤外線強度と温度検知用被加熱体15における温度との関係として、予め実験によって、温度検知用被加熱体15を加熱したときの赤外線強度検出部13にて検出される赤外線の強度と温度検知用被加熱体15の温度との関係をマップデータとして記憶するようにしたが、このような構成に代えて、次のように構成してもよい。
【0062】
すなわち、前記赤外線強度検出手段にて検出される赤外線強度と温度検知用被加熱体15における温度との関係として、前記温度検知用被加熱体15の輻射率の情報を用いて、その情報と赤外線強度検出手段の検出情報とから被加熱物の温度を求める構成としてもよい。
【0063】
説明を加えると、温度検知用被加熱体15から放射される赤外線強度は、同じ温度の黒体から放射される赤外線強度に温度検知用被加熱体15の輻射率を乗算した値と同じである。又、黒体から放射される赤外線の強度と温度との関係はプランクの法則で与えられる一律に定まる関係がある。従って、温度検知用被加熱体15から放射される赤外線強度を検出すると、その検出された赤外線強度から被加熱物の温度を求めることができるのである。
【0064】
そこで、前記演算手段が、前記赤外線強度検出手段にて検出される赤外線強度と温度検知用被加熱体における温度との関係として、前記温度検知用被加熱体の輻射率の情報を用いて、その情報と赤外線強度検出手段の検出情報とから被加熱物の温度を求める構成とすることができる。
【0065】
(2)上記実施形態では、前記加熱手段として、混合気を環状ケーシング部材から内向きに噴出させて燃焼させる内炎式バーナにて構成するものを示したが、このような構成に代えて、図6に示すように、混合気を外向き上方に噴出させるブンゼン燃焼式のバーナ3を備えたコンロとして構成してもよい。この構成では、バーナ3の中央部に上下方向に貫通する貫通孔31が形成されており、この貫通孔31を通して上記実施形態と同様な、上部に温度検知用被加熱体15を備えて内部に赤外線強度検出部13を内部に備える支持部材16を挿通させる状態で設ける構成となる。
【0066】
(3)上記実施形態では、前記支持部材を被加熱物に対して接近する方向に弾性付勢する付勢手段としてコイルバネを用いたが、コイルバネに限らず、板バネを用いたり、ゴム等弾性復帰力を利用する構成など各種の形態で実施できる。又、このような付勢手段を設けることなく、前記支持部材を位置固定状態に設けて、五徳が被加熱物の重量によって弾性的に下降することが可能な構成にしてもよい。
【0067】
(4)上記実施形態では、前記支持部材によって前記温度検知用被加熱体を被加熱物に対して接近離間方向に移動自在に支持する構成としたが、このような構成に代えて、例えば、被加熱物を天板にて載置支持する構成とし、その天板の一部を前記温度検知用被加熱体にて構成して、温度検知用被加熱体の上面に被加熱物が接当し、前記温度検知用被加熱体の下面から赤外線通過用空間を通して放射される赤外線を赤外線検出手段により検出する構成としてもよい。
【0068】
(5)上記実施形態では、前記温度検知用被加熱体が、前記被加熱物の底部に接当する熱伝導率の高い材料にて構成される板状の本体部と、その本体部の下面側に高輻射率の材料を塗付して形成される赤外線放射部とを備えて構成されるものを例示したが、このような構成に代えて、高輻射率の材料からなる硬質の板体を前記本体部に貼り付けたりあるいは接着させることにより一体化させて温度検知用被加熱体を構成するものでもよい。
【0069】
(6)上記実施形態では、前記加熱手段としてガス燃焼式のバーナにて構成したが、加熱手段はバーナに限定されるものではなく、例えば赤熱発光するハロゲンランプを用いたもの、電気抵抗線を内蔵したシーズヒータを用いたもの、又は、電磁誘導加熱を行う磁界発生コイルを用いたもの等、電気式加熱部にて構成しても良い。
【符号の説明】
【0070】
3 加熱手段
13 赤外線強度検出手段
14 演算手段
15 温度検知用被加熱体
16 支持部材
17 付勢手段
18 筒状部
19 内筒部材
20 外筒部材
26 冷却手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物を加熱する加熱手段と、前記被加熱物の温度を検出するための赤外線強度を検出する赤外線強度検出手段と、その赤外線強度検出手段により検出された赤外線強度に基づいて前記被加熱物の温度を演算する演算手段とを備えた加熱調理器であって、
前記被加熱物に接当して加熱される温度検知用被加熱体が設けられ、
前記赤外線強度検出手段が、前記温度検知用被加熱体から放射されて赤外線通過用空間を通して導入される赤外線の強度を検出するように設けられ、
前記演算手段が、前記赤外線強度検出手段にて検出される赤外線強度、及び、その赤外線強度検出手段にて検出される赤外線強度と前記温度検知用被加熱体における温度との関係を示す情報から前記被加熱物の温度を演算するように構成されており、
前記温度検知用被加熱体と前記赤外線強度検出手段とを前記被加熱物に対する接近離間方向に一体的に移動可能な状態で支持する支持部材が設けられており、
前記温度検知用被加熱体が、板状に形成されて、上面が前記被加熱物の底部に接当し、且つ、下面から赤外線を放射するように設けられ、
前記赤外線強度検出手段が、前記温度検知用被加熱体の下面から放射される赤外線を検出するように設けられており、
前記支持部材が、
前記赤外線通過用空間を内部に備える状態で筒状に形成された筒状部を備え、その筒状部の上部開口を覆う状態で前記温度検知用被加熱体を備えて構成され、
且つ、前記筒状部の内部に前記赤外線強度検出手段を橋架して備えて、前記温度検知用被加熱体の下面から放射される赤外線を前記赤外線通過用空間を通して前記赤外線強度検出手段に導入し、前記温度検知用被加熱体以外の他物から放射した赤外線を遮蔽して前記赤外線強度検出手段に入射することを阻止するように構成されており、
前記赤外線強度検出手段並びに前記支持部材の内面を冷却する冷却風を前記筒状部の内部を通して通風させる通風式の冷却手段が設けられている加熱調理器。
【請求項2】
前記支持部材を前記被加熱物に対して接近する方向に弾性付勢する付勢手段が設けられている請求項1記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記温度検知用被加熱体が、
前記被加熱物の底部に接当する熱伝導率の高い材料にて構成される板状の本体部と、その本体部の下面側に高輻射率の材料を塗付して形成される赤外線放射部とを備えて構成されている請求項1記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記支持部材の内面が低輻射率に構成されている請求項1記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記筒状部が、内側に位置する内筒部材と、その内筒部材との間に空間を形成する状態で外側に位置する外筒部材とを備えて構成され、且つ、前記外筒部材の上部開口を覆う状態で前記温度検知用被加熱体を保持し、前記内筒部材の内部に位置する状態で前記赤外線強度検出手段を備えて構成され、
前記通風式の冷却手段が、前記内筒部材の内部を通して上方側に向けて通風し、且つ、前記内筒部材の上端部と前記温度検知用被加熱体との間に形成された通風用の開放部を通過させ、さらに、前記内筒部材と前記外筒部材との間に形成された空間を通して下方側に向けて通風させて外部に排出する状態で、前記冷却風を通風させるように構成されている請求項1記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記赤外線強度検出手段が、1.5μm以上且つ1.8μm以下の範囲内、2.0μm以上且つ2.4μm以下の範囲内、3.1μm以上且つ4.2μm以下の範囲内、又は、8.0μm以上且つ12.0μm以下の範囲内における波長域の赤外線の強度を検出するように構成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−163759(P2011−163759A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−109514(P2011−109514)
【出願日】平成23年5月16日(2011.5.16)
【分割の表示】特願2006−88696(P2006−88696)の分割
【原出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】