加熱調理器
【課題】 グリル扉が高温になった場合に使用者に注意喚起を行いグリルを安全に使用すること。
【解決手段】 加熱調理器において、本体上面に設けられ被加熱物が載せられる天板2と、天板に対向するように設けられ被加熱物を加熱する加熱手段3と、本体内に設けられヒータを内蔵するグリル6と、このグリル6の前面を覆うグリル扉5と備える。この加熱調理器には、グリル扉5の温度を検出する温度検出手段が設けられ、高温表示部10を用いて、温度検出手段の検出温度に基づきグリル扉5の温度状態表示を表示する。
【解決手段】 加熱調理器において、本体上面に設けられ被加熱物が載せられる天板2と、天板に対向するように設けられ被加熱物を加熱する加熱手段3と、本体内に設けられヒータを内蔵するグリル6と、このグリル6の前面を覆うグリル扉5と備える。この加熱調理器には、グリル扉5の温度を検出する温度検出手段が設けられ、高温表示部10を用いて、温度検出手段の検出温度に基づきグリル扉5の温度状態表示を表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、魚焼きなどの調理を行なうグリルを有する加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の加熱調理器は魚等を加熱するグリル(ロースター)部と、天板上に載置された鍋等を該天板を介して加熱する加熱ユニットと、天板が高温状態である旨を表示する高温表示部とを備えるもので、グリル(ロースター)部の温度を検出する温度検出手段と、この温度検出手段から出力される温度検出信号に基づいて高温表示部の表示を制御する表示制御手段を備えている。このようにグリル(ロースター)部の温度検出結果から、天板の温度を推定し天板が高温のときだけ、高温である旨を表示するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−14669号公報(第3−7頁、第1図及び第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような加熱調理器では、グリル庫内温度が上昇した場合に天板温度が高温になる可能性があると断定して、天板を触らないように高温注意表示を行う。しかしながら、グリルの使用中は、グリルの周辺部は内蔵ファンによる冷却風によって冷却されているため、グリルの使用中に天板が必ず高温になるというものではない。一方、より熱源に近いグリル扉はより熱くなる可能性があるだけではなく、使用者にとって意識しずらい位置にあり、注意を払う必要がある。すなわち、使用者が加熱調理器脇に立って調理するとき天板上の鍋の操作を行っているなど、上面側に意識が行っている場合には、前面の低い位置に設けられたグリル扉には意識が行きづらくなり、うっかりグリル扉に触ってしまって熱い思いをする可能性があった。
【0005】
また、他の課題としては、グリル扉が高温であることを使用者に知らせるため、要注意部材であるグリル扉自身を光らせるなどのより直接的な注意喚起を行うことが考えられるが、可動部でかつ高温領域に近いグリル扉に視認性の高い表示を行うことは難しかった。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、グリルをより安全に使用することができる加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の加熱調理器は、本体と、前記本体上面に設けられ、被加熱物が載せられる天板と、前記本体内部かつ前記天板裏面に設けられ、前記被加熱物を加熱する加熱手段と、前記本体内部かつ前記加熱手段の下方に設けられ、内部に被調理物を焼くためのヒータを有するグリルと、前記グリルの前面を覆う窓材を有するグリル扉と、前記グリルの上方かつ前記加熱手段の下方に、前記グリルの熱が前記天板に伝導することを抑制するために設けられた隔壁と、前記隔壁の上に前記グリル扉に向けて光を照射する光源部と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明の加熱調理器は、本体と、前記本体上面に設けられ、被加熱物が載せられる天板と、前記本体内部かつ前記天板裏面に設けられ、前記被加熱物を加熱する加熱手段と、前記本体内部かつ前記加熱手段の下方に設けられ、内部に被調理物を焼くためのヒータを有するグリルと、前記グリルの前面を覆う窓材を有するグリル扉と、前記グリルの上方かつ前記加熱手段の下方に、前記グリルの熱が前記天板に伝導することを抑制するために設けられた隔壁と、前記隔壁の上に前記グリル扉に向けて光を照射する光源部と、を備えたため、グリル扉を用いた注意喚起、動作状態表示等の表示を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1における加熱調理器の外観図。
【図2】加熱調理器の構成を示すブロック図。
【図3】天板と加熱源と天板温度検出部の配置について説明する断面図。
【図4】グリル扉温度検出部の配置について説明するグリル付近の断面図。
【図5】グリル高温注意表示の処理を説明するフローチャート。
【図6】グリル高温注意表示の処理の他の実施例を示すフローチャート。
【図7】この発明の実施の形態2における加熱調理器の断面図。
【図8】グリル扉の裏面図。
【図9】この発明の実施の形態3における加熱調理器の上面図(天板なし)。
【図10】加熱調理器の断面図。
【図11】グリル外周前面パネルに設けられた発光素子の配置を示す加熱調理器の正面図。
【図12】この発明の実施の形態3における他の実施例を示す加熱調理器の断面図。
【図13】この発明の実施の形態3における他の実施例を示す加熱調理器の断面図。
【図14】この発明の実施の形態3における他の実施例を示す加熱調理器の断面図。
【図15】この発明の実施の形態3における他の実施例を示す加熱調理器の断面図。
【図16】グリル外周前面パネルに設けられた発光素子の配置を示す加熱調理器の正面図。
【図17】この発明の実施の形態4における加熱調理器の外観図。
【図18】ハンドルの構造を示す斜視図。
【図19】グリル扉の断面図
【図20】ハンドルの位置をグリル扉5の中段に移動させた状態の加熱調理器の外観図。
【図21】この発明の実施の形態5における加熱調理器の外観図。
【図22】枠材15と上下分割可能に構成したハンドル20の構造について説明する斜視図。
【図23】ハンドルの狭持構造を示す断面図と正面図。
【図24】上下分割したハンドルをグリル扉に配置した加熱調理器の外観図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1はこの実施の形態1における加熱調理器本体の外観を示すものである。
【0011】
図において、加熱調理器本体1は上面に例えば結晶化ガラスからなる天板2が配設されている。この天板2の下部には加熱源(加熱手段)として誘導加熱コイルが3a、3b、3cの3口分備えられており、天板2には誘導加熱コイル3a、3b、3cの位置に対応する箇所を示すように円状に印刷が施されている。加熱調理器1の前面にはグリル扉5を備えた魚焼きなどを行ためのヒータを内蔵するグリル6を備える構成となっている。また、加熱調理器本体1の前面には、加熱源やグリル6の火力の入り切り及び火力を調節するための操作部4が設けられており、例えば誘導加熱コイル3a、3b、3cに対応するようにダイヤル操作で火力を調節する構成となっている。また各誘導加熱コイル3a、3b、3cの火力状態を表示する火力表示部7がそれぞれの誘導加熱コイルに対応するように7a、7b、7cとして備えられている。さらに、また加熱調理器本体1の動作状態や、グリル6の設定状態を知らせるための表示部8を備える。また、天板2上にはそれぞれの加熱源3a、3b、3cの加熱動作により天板2が高温となった場合に使用者に注意を促すための高温注意表示部9がそれぞれの加熱源に対応して9a、9b、9cとして配置されている。また、グリル扉5の温度状態を表示するグリル高温注意表示部(高温表示部)10が天板2上面手前側であって、グリル5の配置位置に相当する部分にグリル5の横幅と略同一の長さを有して配置されている。この高温注意表示9とグリル高温注意表示手段10は、グリル6の加熱動作により、グリル扉5が熱くなっていることを使用者に報知するためのものであり、LED等の光源により天板2の下部から照射されるように構成されている。
【0012】
図2は、加熱調理器本体内の構成を示す機能ブロック図である。図2において図1で説明した部分については同じ番号を付し説明を省略する。
【0013】
加熱調理器本体1内には、操作部4から入力される使用者の加熱指令に基づき、加熱指令情報が制御部11へ伝達される。所定の電気信号で表される加熱指令を受けた制御部11は、指令に基づき対応する誘導加熱コイル3a、3b、3cやグリル6のヒータを動作させ加熱動作を行う。各誘導加熱コイル3a、3b、3c近傍にはそれぞれ天板2の温度を検出する天板温度検出部12が備えられ各誘導加熱コイルに対応して12a、12b、12cとして配置されている。またグリル6には、グリル扉5の温度を検出するグリル扉温度検出部13が配置されている。
【0014】
また制御部11は、加熱調理器本体1の動作状態を表示する表示部8と各加熱源の火力を表示する火力表示部7に表示データを送信し、制御内容が各表示部に表示されるように制御を行う。また、各誘導加熱コイル3の近傍に配置される天板温度検出部12とグリル扉5の温度を検出するグリル扉温度検出部13(温度検出手段)は、それぞれ温度の検出値を判定部14に送信するものであり、例えば、サーミスタ等の公知の素子を使用することができる。
【0015】
判定部14は、各温度検出部12、13の検出温度に基づいて高温注意表示部9、10の表示制御を行う制御装置であり、制御部11と一体又は別体に設けられた判定手段としてマイクロコンピュータ等で構成される。この判定部14は、予め設定された温度よりも天板温度検出部12の検出値が高いと判定した場合に、各誘導加熱コイル3に対応して配置された高温注意表示部9を点灯させ、使用者に注意を促す、一方、グリル6の加熱動作によりグリル扉温度検出部13の温度が予め設定されている温度よりも高いと判定した場合には、天板2上に配置されているグリル高温注意表示部10を点灯させるように動作するものである。
【0016】
本体内には、制御部11等の回路基板、誘導加熱コイル12、及び/又はグリル6を冷却する冷却ファン30が内蔵されている。冷却ファン30は、天板2若しくは本体後側に設けられた吸気口から外気を取り込み、制御部11等の回路基板に冷却風を吹き付けて冷却を行う。回路基板を通過した冷却風は、誘導加熱コイル3或いはグリル6の外側を通過してそれぞれの部材を冷却し、天板2若しくは本体後側に設けられた排気口から排出される。このとき、一部の冷却風は本体手前側に設けられた電子部品を冷却するために、本体前面側から排気されるようにすることができる。また、冷却ファン30の冷却風の経路は上述に限られず、本体内の電子回路、グリル等を冷却できるものであればどのような経路をとっても構わない。例えば、後述する実施の形態のように、本体前面の吸気口から空気を取り込み、本体側面若しくは後端側等に冷却風を排気するようにしてもよい。また、冷却ファン30は、冷却を要する部品の数、配置に従って複数設けることができる。
【0017】
次に、天板温度検出部12の配置について図3を用いて説明する。図3は天板2と加熱源3と天板温度検出部12の配置について説明する断面図である。
図3に示すように、天板2の下部には加熱源3である誘導加熱コイル3aが天板2に接するように配置されている。さらに誘導加熱コイル3a近傍の天板2の温度を検出する天板温度検出部12aが天板2に接するように配置される。この天板温度検出部12aは例えばサーミスタで構成されており、接している天板2の温度に応じてその抵抗値が変化し、判定部14での検出電圧が変化し、天板2の温度が上昇したことを検出する。ここでは加熱源3である誘導加熱コイル3a部分の天板温度を検出する構成について述べたが、誘導加熱コイル3b、3c部分の天板温度検出の構成と動作についても同様である。
【0018】
以下に、天板の高温注意表示動作を説明する、天板2の下部に配置される加熱源3(誘導加熱コイル3a、3b、3c)が加熱動作に入ると加熱源3からの輻射熱や天板2上で加熱されている調理容器(被加熱物)からの熱伝導により加熱源3(この場合3a)付近の天板2は温度上昇する。天板温度検出部12(この場合12a)は、この温度上昇を捉え検出電圧が変化し、判定部14は予め設定していた温度例えば60℃よりも高い温度に相当する電圧に達したと判定したときに、LED(Light Emitting Diode)で構成されている天板の高温注意表示部9(ここでは9a)を点灯させる。加熱終了後、天板温度検出部12aでの検出温度が60℃を下回ったと判定した場合には、判定部14は点灯させていた天板高温注意表示部9aを消灯させる。
なお、ここでは加熱開始後、天板2の温度が60℃以上で天板高温注意表示部9aを点灯させるように説明したが、加熱開始と同時に天板高温注意表示部9aを点灯させてもよい。
【0019】
続いて、グリル扉温度検出部13の配置について図4を用いて説明する。図4はグリル扉5とグリル6とグリル扉温度検出部13の配置について図示するグリル付近断面図である。図4aはグリル扉5が引き出された状態、図4bはグリル扉5が閉められた状態を示すものである。加熱調理器本体1に配設されるグリル6に、ハンドルを形成する枠材15に耐熱板ガラスからなる窓材16が取り付けたグリル扉5が、被加熱物である調理物を載置する網と汁受け皿(図示せず)と同時に引出自在にレール25に固定されている。グリル扉5の温度を検出するグリル扉温度検出部13は前述の天板温度検出部9と同様にサーミスタで構成されて、加熱調理器本体1の外郭から弾性体26(例えばバネ)によって付勢された状態で取り付けられている。図4aに示すようにグリル扉5が引き出された状態では、グリル扉温度検出部13は加熱調理器本体1の外郭から突出した状態であり、図4bに示すようにグリル扉5を閉じた状態では、グリル扉5を形成する窓材16がグリル扉温度検出部13に当接した状態となる。
【0020】
続いてグリル扉5の高温注意表示の概要を説明する。グリル扉5が閉じられた状態でグリル6の加熱動作が開始されると、グリル6庫内の温度上昇とともにグリル扉5の窓材16の温度も上昇する。窓材16に当接したグリル扉温度検出部13を構成するサーミスタの抵抗値は窓材16の温度上昇とともに変化し、判定部14での検出電圧が変化する。検出電圧から窓材16の温度が予め設定された所定の温度(例えば60℃)以上であると判定した場合には、判定部14がグリル横幅と略同じ長さのグリル高温注意表示部10を構成するLEDを点灯させるように動作し、使用者にグリル扉5が高温である旨を報知する。このグリル高温注意表示部10は本体上面であってグリル近傍に本体上方から視認可能に設けられグリル6の幅と略同一の長さを有するため、グリル扉5が高温になったときにこの表示部を点灯させることにより、使用者は直感的に要注意箇所を判別できる。
【0021】
図5は、グリル使用開始から使用後までの制御部11および判定部14の処理を示すフローチャートである。以下、このフローチャートを参照しながら、グリル6の動作と高温注意表示動作の詳細について説明する。制御部11は、操作部4に入力された操作信号がグリル6の加熱開始を指示する信号である場合には、グリル6のヒータに所定電流を通電し、加熱を開始する(ステップS1)。このとき、グリル6の加熱により、本体1内部の温度が上昇するため、冷却ファン30も同時に駆動して外部から比較的低い温度の空気を流入させるとともに、温まってしまった本体内部の空気を排出する。
【0022】
一方、判定部14は、グリル扉温度検出部13より、グリル扉温度の検出値を取得し、この検出値が予め定められた値(例えば、60℃以上)であるか否かを判定する(ステップS2)。この値は、マイクロコンピュータ等に内蔵されたメモリに予め記憶されているものであり、固定値であってもよいし、或いは、グリル6の動作モードや気温等の条件によって動的に計算し生成することもできる。このステップS2において、グリル扉5の温度が60℃以上である場合、判定部14はグリル高温注意表示部10に高温注意の表示を行わせる(ステップS3)。例えば、LEDに駆動電流を供給し、LEDが点灯するように制御する。一方、グリル扉5の温度が60℃未満であるときには、判定部14はグリル高温注意表示部10に高温注意の表示を行わず(ステップS5)、例えば、LEDを消灯させる/消灯状態を継続する。
【0023】
つぎに、判定部14は、グリル扉5が閉まっているか否かを判定する処理を行う(ステップS6)。具体的には、判定部14は、制御部11のタイマー或いはカウント情報からグリル加熱開始からの時間を判断し(ステップS6)、加熱開始からの経過時間tが所定値T1よりも短い場合には、通常の温度上昇期間と判定し警告等をせずにステップS4に移る。一方、経過時間tがT1≦t<T2(所定時間)の場合には、判定部14はグリル扉5が閉まっていない可能性があると判定するとともに、加熱停止前の事前警告としてグリル高温注意表示部10を点滅させる(ステップS7)。そして、経過時間tが所定時間T2以上になった場合には、グリル扉温度検出部13がグリル扉5に接触していないため検出温度が上昇していない可能性が高く、扉が閉められていないと判定して、制御部11へ警告信号(割り込み信号)を送信する。制御部11はこの警告信号を受信すると天板の表示部8に表示データを送信し、「扉が閉まっていない可能性があるため、グリル6の加熱を中止した」旨の表示を行わせる(ステップS8)。その後、ステップS9に処理が移り、制御部11はグリル6のヒータの通電を停止する。なお、判定部14は、扉が閉まっていないと判定した場合には、グリル高温注意表示部10を用いて、扉の異常により動作を停止した旨の報知表示を行うことも可能である。
【0024】
判定部14が扉温度に基づく表示処理(ステップS2〜S7)を終了すると(或いは並行して)、制御部11は操作部4に入力された操作を監視し、グリル6の停止操作若しくは主電源のオフ操作が行われた否かを判定する(ステップS4)。そして、これらの操作がない場合には、ステップS2に戻って上述の処理を継続する。一方、グリル6の停止操作若しくは主電源のオフ操作が行われた場合には、制御部11はヒータの通電停止を実行し、グリル6の加熱を停止する(ステップS9)。なお、このとき制御部11は、判定部14へ加熱が終了したことを報知信号を用いて知らせる。
【0025】
この報知信号を受信した判定部14は、加熱終了後もグリル扉5の温度を監視し、温度が所定温度未満に下がるまで、グリル高温注意表示部10による高温注意表示を継続する(ステップS11)。一方、検出値が予め定められた値を下回った場合には、判定部14は、グリル高温注意表示部10による高温注意表示を停止するとともに電力供給も停止し、制御部11へ温度が下がったことを知らせる報知信号を送信する(ステップS12)。この報知信号を受け取った制御部11は、冷却ファン30の通電を停止し、加熱停止後の冷却処理を終了する。
【0026】
なお、ステップS9で検出した加熱停止操作が主電源のオフ操作であった場合には、制御部11は、主電源の再投入を検知するための一部回路の電源供給(待機電力の供給)を残して、他の回路に対する電源供給を停止する。
【0027】
なお、ここでは、グリル6の加熱動作開始後に窓材16の温度が60℃以上になったと判定した場合には、判定部14がグリル高温注意表示部10を点灯させるようにしたが、図6のフローチャートに示すように、グリル6の加熱動作開始と同時にグリル扉高温注意表示部10を点灯させ、加熱動作終了後、窓材16の温度が60℃以下になったことを検出後にグリル高温注意表示部10を消灯するようにしてもよい。この場合、制御部11がグリル6のヒータへの通電を開始すると、制御部11が判定部14へ加熱開始を知らせる報知信号を出力する。判定部14は、この報知信号を受信すると、前述のようにグリル扉高温注意表示部10を通電し、点灯させる。以後、判定部14はグリル扉温度検出部13の検出値を監視し、温度が所定値未満になるまで通電を継続する。なお、図6において、図5と同一の符号は図5と同一又は相当の処理を表しており、これら図5及び図6で示した制御は、後述の実施の形態の加熱調理器においても同様に行われる。
【0028】
また、判定部14は図5又は図6のステップS3の処理としてグリル扉温度検出部13の検出値に応じて、検出温度が低い場合には点滅、所定温度以上の場合は点灯するように点灯状態を変更して使用者にグリル扉5の高温注意を促すようにしてもよい。また複数色のLEDなどを組み合わせて温度に応じて、高温注意の表示色を変更するようにしてもよい。これらの点滅、配色パターンは、各温度範囲に対応してマイクロコンピュータ内蔵の不揮発メモリに記憶しておき、ステップS3実行時に検出温度の属する温度範囲を判定し、温度範囲に応じたパターンを読み出してLEDなどを通電することにより、実行することができる。
【0029】
また、制御部11からの指令によりグリル6が加熱動作をしているのもかかわらず、グリル扉温度検出部13の検出値に変化が無い場合や、変化に異常があると判定した場合には、判定部14は制御部11によってグリル6の加熱動作を停止するとともに、グリル高温注意表示部10を他の表示時とは違う点灯のさせ方(例えば高速で点滅)で、使用者に対してグリルに異常が生じていることを報知するようにしている。
【0030】
また、グリル6の加熱動作開始前(ステップS1前)に例えばグリル扉温度検出部13の断線や短絡を判定部14で検出した場合も同様に異常状態と判定し、操作部4からグリル6の加熱指令があった場合でも、加熱動作を行わないようにする。そして、前述と同様に、グリル高温注意表示部10を他の表示時とは違う点灯のさせ方を行って、使用者に対してグリルに異常が生じていることを報知する。この処理により、より高い安全性を提供することができる。断線や短絡は、グリル扉温度検出部13配線の電圧値/電流値をアナログ−デジタルコンバータ等でデジタル信号に変換するか、或いは、電流値等が所定値未満、または以上になった場合に、有意の電圧になるように検出回路を構成し、マイクロコンピュータへ検出信号を入力することにより検出できる。
【0031】
また、判定部14でグリル高温注意表示部10のLEDを点灯させたにもかかわらずLEDが点灯しないことを検出した場合や、LEDの短絡などによる過電流を判定部14が検出した場合には、判定部14は制御部11へ異常発生を示す報知信号を送信し、この信号を受けた制御部11がグリル6の加熱動作を停止する、又は加熱動作を開始しないように制御する。
【0032】
以上のように、各加熱源3に配置した天板温度検出部12によって、各加熱源3付近の天板温度を検出し、その部分が高温である場合に各加熱源3に対応した高温注意表示手段9を点灯させるようにしたので、使用者は天板2のどの辺りが高温になっているかを認識することが容易になるという効果を奏する。
特に、従来の加熱調理器においては、グリル(ロースター)の庫内温度から天板の温度を推定しており、使用者にとっては天板が高温であることは認識できても、グリル(ロースター)が高温であるということを認識するには困難であった。また天板が高温となっている要因が、グリル(ロースター部)での調理によるものか、天板上での調理に起因するものか、使用者は判別がつかないという問題点も有していた。一方、この実施の形態の加熱調理器によれば、グリルの直上でかつ加熱部3から遠い位置(手前)にグリルの幅に概略近い幅のグリル高温注意表示部10を設けたため、他の加熱源の高温注意表示との識別が容易なるという効果を奏し、加熱調理器本体の上方からグリルの高温状態を認識することできるため、使用者にとってより安全性を高めることができる。ここで、グリル高温注意表示部10の幅は、グリル幅と同じである必要はないが、グリルとの関連性を連想させるためには、グリルの幅に近い幅を確保する必要があり、約70〜120%とすることが望ましい。
【0033】
また、グリル扉5を構成する窓材16の温度をグリル扉温度検出部13を接触させて直接検出し、窓材16の温度が所定以上になった場合にグリル高温注意表示部10を動作させるようにしたので、使用者はグリル扉5が高温であるということを認識することができる。
さらに、従来の加熱調理器においては、グリル庫内温度を検出して天板温度を推定しているが、グリル6と天板と間には、LED若しくは液晶表示装置などの高温に弱い部品が配置されているため、冷却風路を挟むようにグリル6と天板が設けられる。従って、グリル外壁の熱が冷却風路を横断して天板に伝わり、天板が80℃のように高温になる時点は(参考:特許文献1、0025段落)、加熱開始からかなり遅い時間である。一方、グリル庫内部の高温に直接さらされているグリル扉5の温度は天板よりも速く上昇するため、従来の加熱調理器では、天板が低温な状態であっても、使用者がグリル扉5にうっかり触ってしまった場合には、グリル扉5の熱さに驚くというような問題があった。その点、この実施の形態の加熱調理器ではグリル扉5の温度に従って、グリル扉5の温度に対する注意表示を行うため、より安全で快適な加熱調理器を提供することができる。
【0034】
また、グリル6の加熱動作開始後、一定時間経過後のグリル扉温度検出部13の検出値が判定部14に予め設定された値以下の場合には、グリル扉5が開いていることを報知するようにしたので、グリル6での調理不出来を防止するという効果を奏する。
また、グリル扉温度検出部13の検出値に応じてグリル高温注意表示部10の点灯方法または表示色を変更するようにしているので、使用者は大凡グリル扉5の温度が判別できるため、グリル扉5の高温状態をより的確に使用者に報知することがができるという効果がある。
また、グリル扉温度検出部13や、グリル高温注意表示部10に異常があると判定した場合には、グリルの加熱動作を停止または動作させないようにしたので、加熱調理器の安全性をより高めることができるという効果を奏する。
なお、この実施の形態において説明した全ての処理は、後述の実施の形態の加熱調理器に適用可能である。
【0035】
実施の形態2.
上述の実施の形態1では、グリル扉温度検出部13がグリル扉5に接触している例を説明したが、この実施の形態2では、グリル扉5の表面温度が検出しにくい構造であっても、高温表示を適切に実行することのできる加熱調理器の例を説明する。
【0036】
図7は、この実施の形態の加熱調理器の断面図である。この図において、図1、2、4と同一の符号は、同一又は相当の部分を示しているため、以下、上述の実施の形態と異なる特徴を中心に説明する。
【0037】
火力表示部7は、天板2に対向するように天板直下に設けられており、間隔を置いて隣り合う誘導加熱コイル3からの熱から表示素子(LED)等を保護する遮熱壁を有する。この火力表示部7は、表示素子71と天板2での操作を可能にする操作部を備えた回路基板72を収容している。回路基板72は、本体前端面に略平行かつ列状に並べられた複数のLED71とこのLED71を個別に区切り光の漏洩を防ぐ遮光ケース73、この遮光ケース73の上面開口部を塞ぎLED71からの光を部分的に拡散する光拡散部材74を備えている。光拡散部材74は、プラスチックフィルム等に文字や図形が印刷されており、光が文字や図形部分を部分的に通過することにより文字等を表示するものである。光拡散板74から放射された光は、強化ガラス等で構成された天板2を通過して使用者側へ到達するようになっており、使用者は天板2の上方から文字等を視認することができる。なお、表示素子はLED71を用いたものだけでなく、液晶表示装置、有機EL(Electro-Luminescence)等、文字、図形、点灯/消灯で所定の状態を表示できるものであれば、いかなるものを用いてもよい。
【0038】
回路基板72は、操作部4の一部として設けられたタッチセンサを備えており、タッチセンサのインタフェース回路を通じて制御部11へ操作信号を出力する。回路基板72に設けられたインタフェース回路は電極75に接続されており、電極75は天板2と本体筐体の間に挟まれる形で天板上の操作による容量変化等をセンシングする。
【0039】
グリル扉5は、金属の枠材15、この枠材15に固定された耐熱ガラスの窓材16、枠体15又は窓材16に固定されたハンドル20を備えている。ここで、金属は熱伝導率が高い性質があるため、枠体15は略コの字状(或いは略ロの字)に設けられており、窓枠16との間に間隙(空気層)を確保し窓枠16への熱伝導を抑制するように構成されている。
【0040】
また、この実施の形態では、グリル高温注意表示部10aは、キッチン台22とグリル6との間に設けられた化粧部材21の背面側に設けられ、化粧部材21の後ろから光を照らして化粧部材21を光らせる構造になっている。この化粧部材21は、加熱調理器本体をキッチン台22に挿入した後にキッチン台22の裏面と本体との間にできる隙間に嵌め込む透光性の部材である。グリル高温注意表示部10aと化粧部材21は、グリル扉5により近いグリル位置に設けられるため、グリル扉5が高温になっていることをより直感的に知らせることができる。また、化粧部材21の光拡散作用により、化粧部材21を通過した光はグリル扉5の上面部(ハンドル20)に反射し、グリル扉5の真上からも光を見ることができる。このとき、化粧部材21から放射される光は赤色などの注意状態が視認しやすい色の光を使用するとよい。
【0041】
グリル高温注意表示部10aは、グリル6の熱が天板2及び誘導加熱コイル3に伝導することを抑制するために設けられた隔壁1aよりも、垂直方向で天板2に近い位置に設けられており、グリル6からの熱伝導から守られている。隔壁1aとグリル6の外壁面との間には外周空間62が冷却風路として設けられており、本体内に内蔵された冷却ファン30の吸引力により、化粧部材21に設けられた冷却風路又はその他の通気口から温度の低い外気が吸い込まれ、グリル6外壁側の冷却風路を通って外壁を冷却するように冷却風が流れる。また、この冷却風はグリル6側から天板2側へ熱が伝わりにくいようにする効果もある。
【0042】
グリル扉温度検出部13aは、グリル6の開口部周縁に設けられたグリル外周前面パネル61に設けられた非接触の温度センサであり、グリル外周前面パネル61に設けられた孔から窓材16の放出する赤外線を測定する赤外線センサが用いられている。このグリル扉温度検出部13aは外周空間62の拡張空間62a内に設けられ、グリル6の熱から守られている。すなわち、拡張空間62aの高さh2は、グリル6の通常の上壁面と隔壁1aとの間の空間高さh1よりも高くなっているため、遮熱効果が高くグリル扉温度検出部13aの破壊を防ぐとともに温度の測定精度も上げることができる。特に、この実施の形態では、拡張空間62aがヒータ63がないグリル6の前端部に設けられているため、ヒータ63の熱に対する保護効果が高い。
【0043】
このように非接触の温度センサを用いると、接触式の場合に比べて接触不良による温度誤検知という問題がない。また、グリル扉5は、煙の漏洩を防止するためグリル6又はグリル外周前面パネル61にできるだけ隙間無く接触している必要があるが、図4のように弾性体を使ってセンサをグリル扉5に押し付ける場合と違って、グリル扉5に対する力をかけないため、センサの追加が煙の漏洩を招くということはない。一方、赤外線センサはサーミスタと比べて熱に弱いため、グリル周辺など高温となる部分には採用し難いセンサである。この点は、図4のような高温となることが前提の接触式のセンサの方が優れている点である。この実施の形態ではこの問題を、非接触のグリル扉温度検出部13を冷却風路内に設けること、及び、遮熱性の高い外周空間62の拡張空間に設けることにより解決している。
【0044】
また、枠材15はグリル扉温度検出部13aを塞がないように、空間部が設けられている。図8は、グリル扉5の裏面側(グリル内部側)を示した図であり、枠材15のグリル扉温度検出部13aに対向する位置に切り欠き(空間部)を有し、窓材16の一部16aが露出する構造となっている。このため、グリル扉温度検出部13aは、温度上昇が速い金属製の枠材15の温度を検出するのではなく、使用者が触れる可能性のある露出面、すなわちガラス等の素材で作られた窓材16の温度を検知することができる。また、グリル6の使用後の残熱の問題では、逆に金属の枠材15は温度低下が早いが熱伝導率の低い窓材16では、比較的長く温度が高い状態を保つ可能性がある。その点、この実施の形態では、窓材16の温度を測定し、高温表示するためより安全性が高い加熱調理器を提供することができる。
【0045】
さらに、この実施の形態では、グリル扉5に遮光部22が設けられている。この遮光部22は、グリル扉温度検出部13aに赤外線センサを用いた場合に、赤外線センサがグリル扉5以外の外部の温度を検出することを防ぎ、温度検出の精度を向上させるものである。一方、遮光部22と窓材16、枠体15、グリル外周前面パネル61に囲まれた空間が高温になり、局所的に窓材16の温度が上昇しないように、グリル扉5の上端部(或いは遮光部22)とグリル外周前面パネル61も(或いは化粧部材21)との間には、通気路が形成されている。
【0046】
なお、上述の説明ではグリル扉温度検出部13aとして、非接触式のセンサを説明したが、グリル扉5の構造、グリル扉温度検出部13の位置、グリル高温注意表示部10の構造や配置など、それぞれ従来技術にはない特徴と効果があり、図7に示した非接触式のグリル高温注意表示部10aを実施の形態1で説明したような接触式の温度センサに置き換えて使用しても構わない。
【0047】
また、ハンドル20は、グリル扉5の上端部に設ける必要はなく、図1で説明したようにグリル扉5の下端部に設けてもよい。この場合、ハンドル20が窓材16を隠さない分、使用者がより窓材16に触る可能性が高くなるため、高温表示の必要性が高くなる。
【0048】
また、上述では、図8のように枠材15の一部に切り欠きを設けたが、窓材16がグリル扉温度検出部13aに対して露出し、窓材16の温度を検出することができるものであれば、切り欠きである必要は無く、孔を設けたり、枠材15の上端部を枠材15の全幅に渡って省くようにしてもよい。また、上述の説明では、窓材16の温度を図るようにしたが、使用者が触れる可能性が高い扉表面側の温度を測定できるものであるならば、窓材16以外の表面側部材を測定してもよい。
【0049】
実施の形態3.
次に、グリル扉5自身を用いて高温表示を行う実施の形態を説明する。図9は、天板2を外し、内部が見える状態の加熱調理器を上から見た外観図である。図10は、グリル高温注意表示部10bcの配置を示す断面図、図11は、加熱調理器の正面図でありグリル扉5を取り外した状態を図示している。図9〜図11において、上述の説明と同一の符号は同一又は相当の部分を表しており、以下、この実施の形態の特徴的部分を中心に、グリル扉5を用いて高温表示を行う構造について説明する。
【0050】
この実施の形態の加熱調理器は、図9及び図10に示すようにグリル扉5に裏面側から光を照射することにより、グリル6が高温であることを使用者に知らせる構造になっている。図10の例では、グリル扉5のハンドル20に透光性部材10cが嵌め込まれており、加熱調理器本体1側から照射された光が透光性部材10cを透過するとともに拡散し、この透光性部材10cが光ることによって高温注意の表示を行う。発光素子(光源部)10bは、グリル外周前面パネル61に設けられており、この実施の形態では、発光素子10bと透光性部材10cとによりグリル高温注意表示部10が構成されている。グリル外周前面パネル61はグリル扉裏面に対向し、かつグリル扉5が閉められたときに近接する位置であるため、グリル扉5(或いはハンドル20)を至近距離から直線的に照らすことができる。また、前述の実施の形態と同様にグリル外周空間62が冷却風路になっており拡張空間62aが設けられ、発光素子10bがこの拡張空間62aに配置されているため、発光素子10bをグリルの熱から保護することができる。また、垂直方向にヒータ63がない位置に発光素子10bを設けた利点も、前述の実施の形態でグリル扉温度検出部13について述べたものと同様にある。すなわち、この構造により素子の熱破壊を防止することが可能である。
【0051】
発光素子10bから照射された光は、窓材16を通過して透光性部材10cの裏面側に入光し、拡散しながら内部を通って透光性部材10cの表面から放射される。透光性部材10cは、上方に向かって斜めに傾いて設けられているため、正面からでも上方からでも視認しやすい構造になっている。この実施の形態では、発光素子10b及び透光性部材10cにより、高温表示手段が構成されている。
【0052】
金属製の枠材15は光の通過を阻害しないように、光が通過する箇所は空間部が設けられており、例えば、切り欠き、孔、又は、グリル扉の上端部に相当する部分を扉の全幅にわたって省くなどの構造を採用することができる。
【0053】
なお、発光素子10bは、グリル外周前面パネル61からの熱伝導を抑制するため、図10に示すように、若干の間隔を置いて配置するようにするとよい。
【0054】
グリル扉5を用いて高温表示を行う場合、可動部であるグリル扉に発光素子を内蔵し、本体と電気的に接続することは可能ではあるが、耐久性・耐熱性等を十分考慮して設計する必要がある。また、発熱がない操作部4側に発光素子を設け、グリル扉5の側面側から導光性部材を用いて光を屈折させ、ハンドル20を光らせることも考えられる。しかし、この方法では、ハンドル部の曲がり部分で光を屈折させ、さらに横長の光拡散部で正面方向や上方に光を放射する必要があるため、光源に近いハンドルの右端では光が強く、中心部や左端では光が弱くなるなど、思うようにハンドル部を光らせることができないという問題がある。さらに、耐熱ガラスである窓材16は薄いため側面から導光して正面側に光らせることは難しく、また、2枚の耐熱ガラス板に傾斜面を有する光拡散板を挟むような構造を採ることは困難である。
【0055】
一方、この実施の形態では、グリル外周前面パネル61に発光素子10bを設けているため、グリル扉5の裏面側からグリル扉5又はハンドル20を照射することができる。従って、グリル扉5のガラス面やハンドル20を自在に発光させることができるという効果がある。また、発光素子10bをグリル外周前面パネル61などグリル外周空間に設けた場合には、グリル6の熱が発光素子10bに与える影響が問題になるが、この実施の形態では、グリル6のヒータ位置や外周空間の冷却風路など、グリル6周りの構造を工夫することにより、発光素子10bの熱破壊の問題を解決している。なお、グリル6の外周空間はグリル6の全周に渡って設けられる必要はなく、グリル外壁に沿った一部の近傍空間のみであっても構わない。
【0056】
また、図11では、ほぼ円形状の発光素子10bを複数個、ハンドルの長手方向に並べる構成をとったが、発光素子10bの形状、構造はこれに限らずどのようなものでもよい。例えば、ハンドル20又は、発光させる窓材16の部分に応じた長方形の1つの発光素子を長手方向に伸びるように設けることも可能である。この場合、より均一に光らせることができるという効果がある。
【0057】
図12は、図10の加熱調理器の変形例であり、発光素子10aを熱条件の厳しいグリル6の外周空間に配置せず、例えば、隔壁よりも上方になるような位置、或いは、外周空間からの熱気の移動を制限できる壁を隔てた位置に設けた例である。発光素子10aから出た光は、外周空間に設けられた光反射部材10dによって孔を介して透光性部材10cの裏面に到達し、透光性部材10c表面を発光させることができる。光反射部材10dは、高温表示手段の一部であり、鏡、プリズム等、発光素子10aからの入光方向から向きを変更し、グリル扉裏面へ出光できるものであればどのような導光手段を用いてもよい。
【0058】
このような構造にすることにより、発光素子10aに対するグリル6の熱の影響をより低減することができる。なお、この例のハンドル20は、中央部がグリル扉5の窓材16と間隔をおいて配置され、両端部がグリル扉5(若しくは枠材15)に接続されている形状のものである。ハンドル20に対向する窓材16の表面には熱伝導率の低い透光性の部材が固定されている。この部材(保護部材)は指が直接窓材16に触れないように保護するために設けられるものである。
【0059】
また、図13のように、ハンドル20ではなくグリル扉5の面を光らせるようにすることも可能である。窓材16には、細かい凹凸をつけるなど光拡散面10eを設けて、より視認性を向上させてもよい。また、光を拡散させる手段としては、窓材16の裏面若しくは表面に光拡散部材を別部材で設けることも可能である。このとき、上方からも見やすいように上方に光を反射させるような傾斜面をつけるとよい。
以上のように、グリル扉5の表面を光らせた場合、高温となる部材をそのものを光らせるため、利用者にとって注意が必要な箇所又は部材が直感的に分かりやすいという利点がある。
【0060】
図14は図13の変形例で、グリル外周空間の隔壁1a内面側ではなく、外面側に発光素子10aを設けた実施例である。隔壁1aは、グリル前面側すなわち本体手前側が中央部若しくは後部側に比べて下側に延びる(グリル前端側に近づく)ように曲部を有する。特にこの実施例ではグリル扉5の上端より低い位置にまで隔壁1a面が下げられ、グリル扉5の上端裏面側に隙間を確保するように構成されている。発光素子10aは隔壁1aの外面側に設けられ、隔壁1aによりグリル6の熱から保護されている。隔壁1aとグリル6の壁面との間(外周空間62)は上述のように冷却風路になっていてもよいし、積極的に冷却風を通過させずに単に空気による断熱層となっていてもよい。冷却風路とする場合には、本体前面から冷却風を取り込むようにするだけでなく、本体後側から吸引した冷却風をグリル側面からグリル6の冷却風路に流し、本体側面或いは後端側から排気するように構成することも可能である。
また、曲部は光の反射面を備えているのでグリル扉5の光拡散面10eに効率的に光を照射することができる。反射面は、反射率の高い塗料などを塗布することも考えられるが、鉄などの金属面や金属メッキをそのまま利用することができる。また、この実施例では、グリル扉5から発光素子10aまでの距離を確保することが可能であるため、グリル扉5をより広範囲に光らせることができ、光の強度のムラを抑制できる。また、少ない個数の発光素子10aでグリル扉5の高温注意をグリル扉5の前面横幅方向に長く表示することができる。グリル扉5までの距離は、まず奥行き方向に確保することができる。さらに、図14のように光を屈折させる場合(屈折は必須ではない)には、縦方向にも距離を確保できるという利点がある。
【0061】
なお、図13のように他の導光部材10dを用いてもよいことは言うまでもない。
この実施例では、隔壁1aの前端をグリル外周空間62に対する遮熱部材として利用したが、隔壁1aとは別部材を用いて、グリル外周空間62から発光素子10a(或いは他のグリル高温注意表示部材)への熱の伝導を抑制できるようにし、この別部材をグリル6からの赤外線放射を低減させる隔壁として機能させるようにしても構わない。
図14の破線は、ハンドル20を図10のように上端付近に設けた場合に、ハンドル20兼光拡散部材10cを設けた場合の、光拡散部材10cの位置を示す仮想線である。このように、この実施例の構造は、グリル扉5を光らせるのでなくハンドル20を光らせる場合にも使用することができる。
【0062】
また、隔壁1aよりも上(必ずしも隔壁の上方投射領域である必要はない)に発光素子10aを配置した場合には、グリル扉5の上方から導光手段を用いてハンドル20を光らせるようにすることもできる。
【0063】
また、上述の説明では、グリル6の上部側に発光素子等を設けた例を説明したが、同様にグリル6の下側、すなわち、グリル外周前面パネル61若しくはその下から光を導光し、グリル扉5若しくはハンドル20を光らせるようにすることも可能である。
図15は、発光素子等の高温表示手段をグリル下端付近に配置した加熱調理器の断面図であり、図16はその正面外観図である。グリル6の底面の外側(下側)には、他の隔壁1bがあり、グリル6の熱でキッチンが痛まないように熱の伝導を抑制している。このグリル底面と隔壁1bとの間も、グリル外周空間62であり、この外周空間を覆うように本体前面側にはグリル外周前面パネル61が設けられている。このグリル外周空間には冷却ファン30からの冷却風がグリル後方、又は側方から送風されており、グリル底面及び外周空間を冷却している(排気は、本体前端付近で折り返して後方に導風したり、側面、前面等に抜くことも可能)。特に、グリル6の使用時には、グリル底面に図示しない受け皿が載置され被調理物から落ちた油等を受けるようになっているが、この冷却ファン30はこの油が高温になって発火しないようにグリル底面を介して受け皿の温度を油の発火点以下に保つ役割がある。この場合、受け皿に水を張る必要が無く、受け皿の水が蒸発して被調理物の水分が多くなるという現象を抑えることが可能であり、いわゆる水なしグリルというような名称で呼ばれる構造になっている。
【0064】
この実施例では、グリル外周空間(冷却風路)に上述の実施例と同様に発光素子10bを配置し、グリル5の熱から発光素子10bを保護しながら、透光性部材10cを有するハンドル20を扉の裏面側から光らせる構造になっている。ここで、発光素子10bは、上述の実施例と同様の形状のものでも構わないが、図16のように横長形状を有する発光素子を用いてもよい。この発光素子10bは、光源それ自体が横長形状のものでもよいし、小さい光源とこの光源の光を横方向に拡散する導光板10dとの組合せで構成してもよい。特に、グリル底面側の外周空間は奥行きがあり、他の部品が配置されることが少ないため、横方向に光を十分に拡散させるための距離とスペースを確保しやすい。
なお、本体1の底面を隔壁1cとして用いることもできるし、本体底面とグリル底面との間に、熱の移動を制限する隔壁1cを別途設けることもできる。
また、他の適用例としては、隔壁1cの外側面の下に発光素子10aを設けることも可能であり、グリル底面側を図14で示した例のようにすることにより、同様の効果を得ることができる。
また、グリル外周前面パネル61の側辺を用いて同様にグリル高温表示を行ってもよい。
【0065】
実施の形態4.
以上の実施の形態では、加熱調理器の天板やグリル扉5の高温注意表示を効果的に使用者に報知するようにしたものであるが、次に加熱調理器の使用中、グリル扉5の高温状態から使用者を保護するために、この保護の機能をより高めることができる加熱調理器の実施の形態を示す。
【0066】
図17は、この実施の形態の加熱調理器の外観を示す正面図である。以下番号を付して本実施の形態の加熱調理器本体の構成を説明する。実施の形態1〜3で説明した部分については同一の番号を付して説明を省略する。
【0067】
加熱調理器本体1は天板2と操作部4など備えるとともに加熱調理器本体1正面に扉5を備えるグリル6を有する。グリル扉5は枠材15に透過性を有する耐熱ガラスで構成された窓材16が固定されている。枠材15にはグリル扉5の開閉(引き出し)動作に使用者が手を掛けるハンドル18を掛止するための孔部17が枠材15の両脇に複数箇所に(本実施の形態では縦に3段)設けられている。またハンドル18は、図18に示すようにハンドル18の両脇にL字型形状をした爪部19が備わり、爪部19が枠材15の孔部17で掛止されるよう構成されている。
【0068】
続いて図19を用いてこのハンドル18の使用方法を説明する。図19はグリル扉5の枠部15に掛止されるハンドル18と爪部19の様子を示す断面図である。図19に示すように爪部19が孔部17に挿入され、挿入後に爪部19が下げることで孔部17に引っ掛かり固定される。ハンドル18を枠材15から外す場合は、先ずハンドル18を上に引き上げ、孔部17に掛止されていた爪部19を外し、その後手前に引き出すことで枠材15からハンドル部を離すことが可能になる。本実施の形態では枠材15に孔部17を縦に3段設けているので、グリル扉5のハンドル18の位置を3段階に変更可能に構成している。図20にハンドル18の位置をグリル扉5の中段に移動させた状態の加熱調理器本体1の外観を示す。
【0069】
以上のようにハンドル18をグリル扉5の任意の位置に固定できるように構成したので、グリル扉5を引き出す場合には上段又は下段にハンドル18を接続して使い易い状態にすることができ、また、加熱中、或いは使用後など、ガラス面の温度が上がった場合には、ハンドル18によって窓材16の一部を覆う位置(ガード位置)に配置することができるため、使用者が、加熱されたグリル扉5の特に高温になる窓材16へ接触する機会を低減することができ、安全性を向上することができる。
さらに、ハンドル18を孔部17に対応した任意の高さに固定できるので、使用者にとって使いやすい位置にすることが出来、グリルおの使い勝手を向上することが出来る。
また、別のハンドル18を使用していない他の孔部17を使用して固定するようにして、ハンドルを追加することが出来るので、グリル扉5の特に高温になる窓材16へ接触する機会を更に低減することができ、安全性を一層向上することが出来る。
本実施の形態ではハンドル18の爪部19を枠材15の孔部17に掛止する構造で説明したが、ハンドルの移動が可能になる構造であればどの様な形態でも良く、本実施の形態で説明した構造に限るものではない。
【0070】
実施の形態5.
実施の形態4は、グリル扉のハンドル位置を変更し、安全性を向上させるように構成したものであるが、本実施の形態では、更に安全性を向上させることが出来る別の形態について説明する。
【0071】
図21は本実施の形態を示す加熱調理器本体の外観図である、実施の形態4で説明した箇所は同一の番号を付して説明を省略する。加熱調理器本体1に備えられたグリル扉5はハンドル20を有している。前述の実施の形態3との相違点は、ハンドル20が上下方向に分割可能なように構成され、ハンドル20は枠材15に設けたスリット21にハンドル20の一部が狭持される構造となっている
図22及び図23を用いて、ハンドル20の狭持構造について説明する。図22は枠材15と上下分割可能に構成したハンドル20(説明上、上を20a、下を20bとする)の構造について説明する斜視図であり、図23は枠部15狭持されるハンドル20の狭持状態を示す断面図と正面図である。
【0072】
図22及び図23を用いてハンドル20の構造及び動作について説明する。図22に示すようにハンドル20は上下に分割可能な状態で枠材15に配されている。ハンドル20(20a、20b)はハンドル本体の両脇にT字形状をした被狭持部材22(22a、22b)を有している。この被狭持部材22は枠材15に設けたスリット21に嵌めこまれるように構成される。また図22には示していないが、図23に示すように被狭持部材22は枠材15内に設けた狭持部材23、24によって、被狭持部材22の側面を両側から挟むように保持されている。この狭持部材23、24は例えば硬質ゴム等の弾性体で構成され、ハンドル20の被狭持部材22を挟み込んでハンドル20を保持している。弾性体である狭持部材23、24によって被狭持部材22を挟むようにしているので、ハンドル20にスリット21の開口部に沿って上下方向に力を加えるとハンドル20は力を加えた向きに移動(摺動)し、加える力を除くとハンドル20はその位置で固定される。
【0073】
以上説明したように、ハンドル20を上下分割可能な構成とし、ハンドル20に設けた被狭時部材22を、枠材15内に備えた狭持部材23、24により挟み保持する構成としたので、ハンドル20をグリル扉5の任意の位置に移動、配置することが可能になり、実施の形態3で説明した形態よりも一層、ハンドルの設置位置の自由度が高まる。そして、ハンドル20をガード位置に移動させた場合に、グリル調理中に加熱されたグリル扉5の特に高温になる窓材16へ接触する機会を低減することができ、安全性を向上することが出来る。
【0074】
さらに、ハンドル20は上下に分割可能な構成であり、分割されたハンドル20a、20bはそれぞれ独立して上下に摺動させることが可能であるため、ハンドル20を上下に分けた状態でグリル扉前面に配置することが可能で、グリル扉5への使用者の接触を防止するガード部材として一層効果的に機能させることが可能になる。図24に上下分割したハンドル20をグリル扉5に配置してより一層保護機能を高めた加熱調理器の外観を示す。
【0075】
本実施の形態では、被狭持部材と狭持部材によってハンドルを任意の位置に固定する方法を説明したが、任意に固定する方法はこれに限るものではなく、ハンドルを上下分割、任意位置に固定可能な方法であれば何れの方法でもよい。
【0076】
上述の実施の形態の特定の詳細構造等は、この発明の範囲を何ら制限するものではなく、こられの説明に基づいて様々な形態に応用可能である。例えば、上述の実施の形態では、グリル扉5の温度を検出して高温表示を行っていたが、高温表示手段の構造、配置などは、グリル庫内の温度を検出する場合、温度を検出せずにグリルの動作(加熱開始/加熱終了/加熱終了後の冷却期間)に基づいて、高温表示を行う場合にも適用できる。
また、板ガラスに対する保護機能を有するハンドル20なども特定の制御に拘束されることなく、使用可能であることは言うまでもない。
また、複数の実施の形態や実施例は、それぞれの利点を生かして自在に組合せ可能なものである。
【産業上の利用可能性】
【0077】
この発明は、グリルを有する加熱調理器に利用できるものである。
【符号の説明】
【0078】
1 加熱調理器本体、 2 天板、 3 加熱源、 4 操作部、 5 グリル扉、 6 グリル、 7 火力表示部、 8 表示部、 9 高温注意表示部、 10 グリル高温注意表示部、 11 制御部、 12 天板温度検出部、 13 グリル扉温度検出部、 14 判定部、 15 枠材、 16 窓材、17 孔部、 18 ハンドル、 19 爪部、 20 ハンドル、 21 スリット、22 被狭持部材、 23、24 狭持部材、 25 レール、 26 弾性体、 冷却ファン30
【技術分野】
【0001】
この発明は、魚焼きなどの調理を行なうグリルを有する加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の加熱調理器は魚等を加熱するグリル(ロースター)部と、天板上に載置された鍋等を該天板を介して加熱する加熱ユニットと、天板が高温状態である旨を表示する高温表示部とを備えるもので、グリル(ロースター)部の温度を検出する温度検出手段と、この温度検出手段から出力される温度検出信号に基づいて高温表示部の表示を制御する表示制御手段を備えている。このようにグリル(ロースター)部の温度検出結果から、天板の温度を推定し天板が高温のときだけ、高温である旨を表示するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−14669号公報(第3−7頁、第1図及び第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような加熱調理器では、グリル庫内温度が上昇した場合に天板温度が高温になる可能性があると断定して、天板を触らないように高温注意表示を行う。しかしながら、グリルの使用中は、グリルの周辺部は内蔵ファンによる冷却風によって冷却されているため、グリルの使用中に天板が必ず高温になるというものではない。一方、より熱源に近いグリル扉はより熱くなる可能性があるだけではなく、使用者にとって意識しずらい位置にあり、注意を払う必要がある。すなわち、使用者が加熱調理器脇に立って調理するとき天板上の鍋の操作を行っているなど、上面側に意識が行っている場合には、前面の低い位置に設けられたグリル扉には意識が行きづらくなり、うっかりグリル扉に触ってしまって熱い思いをする可能性があった。
【0005】
また、他の課題としては、グリル扉が高温であることを使用者に知らせるため、要注意部材であるグリル扉自身を光らせるなどのより直接的な注意喚起を行うことが考えられるが、可動部でかつ高温領域に近いグリル扉に視認性の高い表示を行うことは難しかった。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、グリルをより安全に使用することができる加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の加熱調理器は、本体と、前記本体上面に設けられ、被加熱物が載せられる天板と、前記本体内部かつ前記天板裏面に設けられ、前記被加熱物を加熱する加熱手段と、前記本体内部かつ前記加熱手段の下方に設けられ、内部に被調理物を焼くためのヒータを有するグリルと、前記グリルの前面を覆う窓材を有するグリル扉と、前記グリルの上方かつ前記加熱手段の下方に、前記グリルの熱が前記天板に伝導することを抑制するために設けられた隔壁と、前記隔壁の上に前記グリル扉に向けて光を照射する光源部と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明の加熱調理器は、本体と、前記本体上面に設けられ、被加熱物が載せられる天板と、前記本体内部かつ前記天板裏面に設けられ、前記被加熱物を加熱する加熱手段と、前記本体内部かつ前記加熱手段の下方に設けられ、内部に被調理物を焼くためのヒータを有するグリルと、前記グリルの前面を覆う窓材を有するグリル扉と、前記グリルの上方かつ前記加熱手段の下方に、前記グリルの熱が前記天板に伝導することを抑制するために設けられた隔壁と、前記隔壁の上に前記グリル扉に向けて光を照射する光源部と、を備えたため、グリル扉を用いた注意喚起、動作状態表示等の表示を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1における加熱調理器の外観図。
【図2】加熱調理器の構成を示すブロック図。
【図3】天板と加熱源と天板温度検出部の配置について説明する断面図。
【図4】グリル扉温度検出部の配置について説明するグリル付近の断面図。
【図5】グリル高温注意表示の処理を説明するフローチャート。
【図6】グリル高温注意表示の処理の他の実施例を示すフローチャート。
【図7】この発明の実施の形態2における加熱調理器の断面図。
【図8】グリル扉の裏面図。
【図9】この発明の実施の形態3における加熱調理器の上面図(天板なし)。
【図10】加熱調理器の断面図。
【図11】グリル外周前面パネルに設けられた発光素子の配置を示す加熱調理器の正面図。
【図12】この発明の実施の形態3における他の実施例を示す加熱調理器の断面図。
【図13】この発明の実施の形態3における他の実施例を示す加熱調理器の断面図。
【図14】この発明の実施の形態3における他の実施例を示す加熱調理器の断面図。
【図15】この発明の実施の形態3における他の実施例を示す加熱調理器の断面図。
【図16】グリル外周前面パネルに設けられた発光素子の配置を示す加熱調理器の正面図。
【図17】この発明の実施の形態4における加熱調理器の外観図。
【図18】ハンドルの構造を示す斜視図。
【図19】グリル扉の断面図
【図20】ハンドルの位置をグリル扉5の中段に移動させた状態の加熱調理器の外観図。
【図21】この発明の実施の形態5における加熱調理器の外観図。
【図22】枠材15と上下分割可能に構成したハンドル20の構造について説明する斜視図。
【図23】ハンドルの狭持構造を示す断面図と正面図。
【図24】上下分割したハンドルをグリル扉に配置した加熱調理器の外観図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1はこの実施の形態1における加熱調理器本体の外観を示すものである。
【0011】
図において、加熱調理器本体1は上面に例えば結晶化ガラスからなる天板2が配設されている。この天板2の下部には加熱源(加熱手段)として誘導加熱コイルが3a、3b、3cの3口分備えられており、天板2には誘導加熱コイル3a、3b、3cの位置に対応する箇所を示すように円状に印刷が施されている。加熱調理器1の前面にはグリル扉5を備えた魚焼きなどを行ためのヒータを内蔵するグリル6を備える構成となっている。また、加熱調理器本体1の前面には、加熱源やグリル6の火力の入り切り及び火力を調節するための操作部4が設けられており、例えば誘導加熱コイル3a、3b、3cに対応するようにダイヤル操作で火力を調節する構成となっている。また各誘導加熱コイル3a、3b、3cの火力状態を表示する火力表示部7がそれぞれの誘導加熱コイルに対応するように7a、7b、7cとして備えられている。さらに、また加熱調理器本体1の動作状態や、グリル6の設定状態を知らせるための表示部8を備える。また、天板2上にはそれぞれの加熱源3a、3b、3cの加熱動作により天板2が高温となった場合に使用者に注意を促すための高温注意表示部9がそれぞれの加熱源に対応して9a、9b、9cとして配置されている。また、グリル扉5の温度状態を表示するグリル高温注意表示部(高温表示部)10が天板2上面手前側であって、グリル5の配置位置に相当する部分にグリル5の横幅と略同一の長さを有して配置されている。この高温注意表示9とグリル高温注意表示手段10は、グリル6の加熱動作により、グリル扉5が熱くなっていることを使用者に報知するためのものであり、LED等の光源により天板2の下部から照射されるように構成されている。
【0012】
図2は、加熱調理器本体内の構成を示す機能ブロック図である。図2において図1で説明した部分については同じ番号を付し説明を省略する。
【0013】
加熱調理器本体1内には、操作部4から入力される使用者の加熱指令に基づき、加熱指令情報が制御部11へ伝達される。所定の電気信号で表される加熱指令を受けた制御部11は、指令に基づき対応する誘導加熱コイル3a、3b、3cやグリル6のヒータを動作させ加熱動作を行う。各誘導加熱コイル3a、3b、3c近傍にはそれぞれ天板2の温度を検出する天板温度検出部12が備えられ各誘導加熱コイルに対応して12a、12b、12cとして配置されている。またグリル6には、グリル扉5の温度を検出するグリル扉温度検出部13が配置されている。
【0014】
また制御部11は、加熱調理器本体1の動作状態を表示する表示部8と各加熱源の火力を表示する火力表示部7に表示データを送信し、制御内容が各表示部に表示されるように制御を行う。また、各誘導加熱コイル3の近傍に配置される天板温度検出部12とグリル扉5の温度を検出するグリル扉温度検出部13(温度検出手段)は、それぞれ温度の検出値を判定部14に送信するものであり、例えば、サーミスタ等の公知の素子を使用することができる。
【0015】
判定部14は、各温度検出部12、13の検出温度に基づいて高温注意表示部9、10の表示制御を行う制御装置であり、制御部11と一体又は別体に設けられた判定手段としてマイクロコンピュータ等で構成される。この判定部14は、予め設定された温度よりも天板温度検出部12の検出値が高いと判定した場合に、各誘導加熱コイル3に対応して配置された高温注意表示部9を点灯させ、使用者に注意を促す、一方、グリル6の加熱動作によりグリル扉温度検出部13の温度が予め設定されている温度よりも高いと判定した場合には、天板2上に配置されているグリル高温注意表示部10を点灯させるように動作するものである。
【0016】
本体内には、制御部11等の回路基板、誘導加熱コイル12、及び/又はグリル6を冷却する冷却ファン30が内蔵されている。冷却ファン30は、天板2若しくは本体後側に設けられた吸気口から外気を取り込み、制御部11等の回路基板に冷却風を吹き付けて冷却を行う。回路基板を通過した冷却風は、誘導加熱コイル3或いはグリル6の外側を通過してそれぞれの部材を冷却し、天板2若しくは本体後側に設けられた排気口から排出される。このとき、一部の冷却風は本体手前側に設けられた電子部品を冷却するために、本体前面側から排気されるようにすることができる。また、冷却ファン30の冷却風の経路は上述に限られず、本体内の電子回路、グリル等を冷却できるものであればどのような経路をとっても構わない。例えば、後述する実施の形態のように、本体前面の吸気口から空気を取り込み、本体側面若しくは後端側等に冷却風を排気するようにしてもよい。また、冷却ファン30は、冷却を要する部品の数、配置に従って複数設けることができる。
【0017】
次に、天板温度検出部12の配置について図3を用いて説明する。図3は天板2と加熱源3と天板温度検出部12の配置について説明する断面図である。
図3に示すように、天板2の下部には加熱源3である誘導加熱コイル3aが天板2に接するように配置されている。さらに誘導加熱コイル3a近傍の天板2の温度を検出する天板温度検出部12aが天板2に接するように配置される。この天板温度検出部12aは例えばサーミスタで構成されており、接している天板2の温度に応じてその抵抗値が変化し、判定部14での検出電圧が変化し、天板2の温度が上昇したことを検出する。ここでは加熱源3である誘導加熱コイル3a部分の天板温度を検出する構成について述べたが、誘導加熱コイル3b、3c部分の天板温度検出の構成と動作についても同様である。
【0018】
以下に、天板の高温注意表示動作を説明する、天板2の下部に配置される加熱源3(誘導加熱コイル3a、3b、3c)が加熱動作に入ると加熱源3からの輻射熱や天板2上で加熱されている調理容器(被加熱物)からの熱伝導により加熱源3(この場合3a)付近の天板2は温度上昇する。天板温度検出部12(この場合12a)は、この温度上昇を捉え検出電圧が変化し、判定部14は予め設定していた温度例えば60℃よりも高い温度に相当する電圧に達したと判定したときに、LED(Light Emitting Diode)で構成されている天板の高温注意表示部9(ここでは9a)を点灯させる。加熱終了後、天板温度検出部12aでの検出温度が60℃を下回ったと判定した場合には、判定部14は点灯させていた天板高温注意表示部9aを消灯させる。
なお、ここでは加熱開始後、天板2の温度が60℃以上で天板高温注意表示部9aを点灯させるように説明したが、加熱開始と同時に天板高温注意表示部9aを点灯させてもよい。
【0019】
続いて、グリル扉温度検出部13の配置について図4を用いて説明する。図4はグリル扉5とグリル6とグリル扉温度検出部13の配置について図示するグリル付近断面図である。図4aはグリル扉5が引き出された状態、図4bはグリル扉5が閉められた状態を示すものである。加熱調理器本体1に配設されるグリル6に、ハンドルを形成する枠材15に耐熱板ガラスからなる窓材16が取り付けたグリル扉5が、被加熱物である調理物を載置する網と汁受け皿(図示せず)と同時に引出自在にレール25に固定されている。グリル扉5の温度を検出するグリル扉温度検出部13は前述の天板温度検出部9と同様にサーミスタで構成されて、加熱調理器本体1の外郭から弾性体26(例えばバネ)によって付勢された状態で取り付けられている。図4aに示すようにグリル扉5が引き出された状態では、グリル扉温度検出部13は加熱調理器本体1の外郭から突出した状態であり、図4bに示すようにグリル扉5を閉じた状態では、グリル扉5を形成する窓材16がグリル扉温度検出部13に当接した状態となる。
【0020】
続いてグリル扉5の高温注意表示の概要を説明する。グリル扉5が閉じられた状態でグリル6の加熱動作が開始されると、グリル6庫内の温度上昇とともにグリル扉5の窓材16の温度も上昇する。窓材16に当接したグリル扉温度検出部13を構成するサーミスタの抵抗値は窓材16の温度上昇とともに変化し、判定部14での検出電圧が変化する。検出電圧から窓材16の温度が予め設定された所定の温度(例えば60℃)以上であると判定した場合には、判定部14がグリル横幅と略同じ長さのグリル高温注意表示部10を構成するLEDを点灯させるように動作し、使用者にグリル扉5が高温である旨を報知する。このグリル高温注意表示部10は本体上面であってグリル近傍に本体上方から視認可能に設けられグリル6の幅と略同一の長さを有するため、グリル扉5が高温になったときにこの表示部を点灯させることにより、使用者は直感的に要注意箇所を判別できる。
【0021】
図5は、グリル使用開始から使用後までの制御部11および判定部14の処理を示すフローチャートである。以下、このフローチャートを参照しながら、グリル6の動作と高温注意表示動作の詳細について説明する。制御部11は、操作部4に入力された操作信号がグリル6の加熱開始を指示する信号である場合には、グリル6のヒータに所定電流を通電し、加熱を開始する(ステップS1)。このとき、グリル6の加熱により、本体1内部の温度が上昇するため、冷却ファン30も同時に駆動して外部から比較的低い温度の空気を流入させるとともに、温まってしまった本体内部の空気を排出する。
【0022】
一方、判定部14は、グリル扉温度検出部13より、グリル扉温度の検出値を取得し、この検出値が予め定められた値(例えば、60℃以上)であるか否かを判定する(ステップS2)。この値は、マイクロコンピュータ等に内蔵されたメモリに予め記憶されているものであり、固定値であってもよいし、或いは、グリル6の動作モードや気温等の条件によって動的に計算し生成することもできる。このステップS2において、グリル扉5の温度が60℃以上である場合、判定部14はグリル高温注意表示部10に高温注意の表示を行わせる(ステップS3)。例えば、LEDに駆動電流を供給し、LEDが点灯するように制御する。一方、グリル扉5の温度が60℃未満であるときには、判定部14はグリル高温注意表示部10に高温注意の表示を行わず(ステップS5)、例えば、LEDを消灯させる/消灯状態を継続する。
【0023】
つぎに、判定部14は、グリル扉5が閉まっているか否かを判定する処理を行う(ステップS6)。具体的には、判定部14は、制御部11のタイマー或いはカウント情報からグリル加熱開始からの時間を判断し(ステップS6)、加熱開始からの経過時間tが所定値T1よりも短い場合には、通常の温度上昇期間と判定し警告等をせずにステップS4に移る。一方、経過時間tがT1≦t<T2(所定時間)の場合には、判定部14はグリル扉5が閉まっていない可能性があると判定するとともに、加熱停止前の事前警告としてグリル高温注意表示部10を点滅させる(ステップS7)。そして、経過時間tが所定時間T2以上になった場合には、グリル扉温度検出部13がグリル扉5に接触していないため検出温度が上昇していない可能性が高く、扉が閉められていないと判定して、制御部11へ警告信号(割り込み信号)を送信する。制御部11はこの警告信号を受信すると天板の表示部8に表示データを送信し、「扉が閉まっていない可能性があるため、グリル6の加熱を中止した」旨の表示を行わせる(ステップS8)。その後、ステップS9に処理が移り、制御部11はグリル6のヒータの通電を停止する。なお、判定部14は、扉が閉まっていないと判定した場合には、グリル高温注意表示部10を用いて、扉の異常により動作を停止した旨の報知表示を行うことも可能である。
【0024】
判定部14が扉温度に基づく表示処理(ステップS2〜S7)を終了すると(或いは並行して)、制御部11は操作部4に入力された操作を監視し、グリル6の停止操作若しくは主電源のオフ操作が行われた否かを判定する(ステップS4)。そして、これらの操作がない場合には、ステップS2に戻って上述の処理を継続する。一方、グリル6の停止操作若しくは主電源のオフ操作が行われた場合には、制御部11はヒータの通電停止を実行し、グリル6の加熱を停止する(ステップS9)。なお、このとき制御部11は、判定部14へ加熱が終了したことを報知信号を用いて知らせる。
【0025】
この報知信号を受信した判定部14は、加熱終了後もグリル扉5の温度を監視し、温度が所定温度未満に下がるまで、グリル高温注意表示部10による高温注意表示を継続する(ステップS11)。一方、検出値が予め定められた値を下回った場合には、判定部14は、グリル高温注意表示部10による高温注意表示を停止するとともに電力供給も停止し、制御部11へ温度が下がったことを知らせる報知信号を送信する(ステップS12)。この報知信号を受け取った制御部11は、冷却ファン30の通電を停止し、加熱停止後の冷却処理を終了する。
【0026】
なお、ステップS9で検出した加熱停止操作が主電源のオフ操作であった場合には、制御部11は、主電源の再投入を検知するための一部回路の電源供給(待機電力の供給)を残して、他の回路に対する電源供給を停止する。
【0027】
なお、ここでは、グリル6の加熱動作開始後に窓材16の温度が60℃以上になったと判定した場合には、判定部14がグリル高温注意表示部10を点灯させるようにしたが、図6のフローチャートに示すように、グリル6の加熱動作開始と同時にグリル扉高温注意表示部10を点灯させ、加熱動作終了後、窓材16の温度が60℃以下になったことを検出後にグリル高温注意表示部10を消灯するようにしてもよい。この場合、制御部11がグリル6のヒータへの通電を開始すると、制御部11が判定部14へ加熱開始を知らせる報知信号を出力する。判定部14は、この報知信号を受信すると、前述のようにグリル扉高温注意表示部10を通電し、点灯させる。以後、判定部14はグリル扉温度検出部13の検出値を監視し、温度が所定値未満になるまで通電を継続する。なお、図6において、図5と同一の符号は図5と同一又は相当の処理を表しており、これら図5及び図6で示した制御は、後述の実施の形態の加熱調理器においても同様に行われる。
【0028】
また、判定部14は図5又は図6のステップS3の処理としてグリル扉温度検出部13の検出値に応じて、検出温度が低い場合には点滅、所定温度以上の場合は点灯するように点灯状態を変更して使用者にグリル扉5の高温注意を促すようにしてもよい。また複数色のLEDなどを組み合わせて温度に応じて、高温注意の表示色を変更するようにしてもよい。これらの点滅、配色パターンは、各温度範囲に対応してマイクロコンピュータ内蔵の不揮発メモリに記憶しておき、ステップS3実行時に検出温度の属する温度範囲を判定し、温度範囲に応じたパターンを読み出してLEDなどを通電することにより、実行することができる。
【0029】
また、制御部11からの指令によりグリル6が加熱動作をしているのもかかわらず、グリル扉温度検出部13の検出値に変化が無い場合や、変化に異常があると判定した場合には、判定部14は制御部11によってグリル6の加熱動作を停止するとともに、グリル高温注意表示部10を他の表示時とは違う点灯のさせ方(例えば高速で点滅)で、使用者に対してグリルに異常が生じていることを報知するようにしている。
【0030】
また、グリル6の加熱動作開始前(ステップS1前)に例えばグリル扉温度検出部13の断線や短絡を判定部14で検出した場合も同様に異常状態と判定し、操作部4からグリル6の加熱指令があった場合でも、加熱動作を行わないようにする。そして、前述と同様に、グリル高温注意表示部10を他の表示時とは違う点灯のさせ方を行って、使用者に対してグリルに異常が生じていることを報知する。この処理により、より高い安全性を提供することができる。断線や短絡は、グリル扉温度検出部13配線の電圧値/電流値をアナログ−デジタルコンバータ等でデジタル信号に変換するか、或いは、電流値等が所定値未満、または以上になった場合に、有意の電圧になるように検出回路を構成し、マイクロコンピュータへ検出信号を入力することにより検出できる。
【0031】
また、判定部14でグリル高温注意表示部10のLEDを点灯させたにもかかわらずLEDが点灯しないことを検出した場合や、LEDの短絡などによる過電流を判定部14が検出した場合には、判定部14は制御部11へ異常発生を示す報知信号を送信し、この信号を受けた制御部11がグリル6の加熱動作を停止する、又は加熱動作を開始しないように制御する。
【0032】
以上のように、各加熱源3に配置した天板温度検出部12によって、各加熱源3付近の天板温度を検出し、その部分が高温である場合に各加熱源3に対応した高温注意表示手段9を点灯させるようにしたので、使用者は天板2のどの辺りが高温になっているかを認識することが容易になるという効果を奏する。
特に、従来の加熱調理器においては、グリル(ロースター)の庫内温度から天板の温度を推定しており、使用者にとっては天板が高温であることは認識できても、グリル(ロースター)が高温であるということを認識するには困難であった。また天板が高温となっている要因が、グリル(ロースター部)での調理によるものか、天板上での調理に起因するものか、使用者は判別がつかないという問題点も有していた。一方、この実施の形態の加熱調理器によれば、グリルの直上でかつ加熱部3から遠い位置(手前)にグリルの幅に概略近い幅のグリル高温注意表示部10を設けたため、他の加熱源の高温注意表示との識別が容易なるという効果を奏し、加熱調理器本体の上方からグリルの高温状態を認識することできるため、使用者にとってより安全性を高めることができる。ここで、グリル高温注意表示部10の幅は、グリル幅と同じである必要はないが、グリルとの関連性を連想させるためには、グリルの幅に近い幅を確保する必要があり、約70〜120%とすることが望ましい。
【0033】
また、グリル扉5を構成する窓材16の温度をグリル扉温度検出部13を接触させて直接検出し、窓材16の温度が所定以上になった場合にグリル高温注意表示部10を動作させるようにしたので、使用者はグリル扉5が高温であるということを認識することができる。
さらに、従来の加熱調理器においては、グリル庫内温度を検出して天板温度を推定しているが、グリル6と天板と間には、LED若しくは液晶表示装置などの高温に弱い部品が配置されているため、冷却風路を挟むようにグリル6と天板が設けられる。従って、グリル外壁の熱が冷却風路を横断して天板に伝わり、天板が80℃のように高温になる時点は(参考:特許文献1、0025段落)、加熱開始からかなり遅い時間である。一方、グリル庫内部の高温に直接さらされているグリル扉5の温度は天板よりも速く上昇するため、従来の加熱調理器では、天板が低温な状態であっても、使用者がグリル扉5にうっかり触ってしまった場合には、グリル扉5の熱さに驚くというような問題があった。その点、この実施の形態の加熱調理器ではグリル扉5の温度に従って、グリル扉5の温度に対する注意表示を行うため、より安全で快適な加熱調理器を提供することができる。
【0034】
また、グリル6の加熱動作開始後、一定時間経過後のグリル扉温度検出部13の検出値が判定部14に予め設定された値以下の場合には、グリル扉5が開いていることを報知するようにしたので、グリル6での調理不出来を防止するという効果を奏する。
また、グリル扉温度検出部13の検出値に応じてグリル高温注意表示部10の点灯方法または表示色を変更するようにしているので、使用者は大凡グリル扉5の温度が判別できるため、グリル扉5の高温状態をより的確に使用者に報知することがができるという効果がある。
また、グリル扉温度検出部13や、グリル高温注意表示部10に異常があると判定した場合には、グリルの加熱動作を停止または動作させないようにしたので、加熱調理器の安全性をより高めることができるという効果を奏する。
なお、この実施の形態において説明した全ての処理は、後述の実施の形態の加熱調理器に適用可能である。
【0035】
実施の形態2.
上述の実施の形態1では、グリル扉温度検出部13がグリル扉5に接触している例を説明したが、この実施の形態2では、グリル扉5の表面温度が検出しにくい構造であっても、高温表示を適切に実行することのできる加熱調理器の例を説明する。
【0036】
図7は、この実施の形態の加熱調理器の断面図である。この図において、図1、2、4と同一の符号は、同一又は相当の部分を示しているため、以下、上述の実施の形態と異なる特徴を中心に説明する。
【0037】
火力表示部7は、天板2に対向するように天板直下に設けられており、間隔を置いて隣り合う誘導加熱コイル3からの熱から表示素子(LED)等を保護する遮熱壁を有する。この火力表示部7は、表示素子71と天板2での操作を可能にする操作部を備えた回路基板72を収容している。回路基板72は、本体前端面に略平行かつ列状に並べられた複数のLED71とこのLED71を個別に区切り光の漏洩を防ぐ遮光ケース73、この遮光ケース73の上面開口部を塞ぎLED71からの光を部分的に拡散する光拡散部材74を備えている。光拡散部材74は、プラスチックフィルム等に文字や図形が印刷されており、光が文字や図形部分を部分的に通過することにより文字等を表示するものである。光拡散板74から放射された光は、強化ガラス等で構成された天板2を通過して使用者側へ到達するようになっており、使用者は天板2の上方から文字等を視認することができる。なお、表示素子はLED71を用いたものだけでなく、液晶表示装置、有機EL(Electro-Luminescence)等、文字、図形、点灯/消灯で所定の状態を表示できるものであれば、いかなるものを用いてもよい。
【0038】
回路基板72は、操作部4の一部として設けられたタッチセンサを備えており、タッチセンサのインタフェース回路を通じて制御部11へ操作信号を出力する。回路基板72に設けられたインタフェース回路は電極75に接続されており、電極75は天板2と本体筐体の間に挟まれる形で天板上の操作による容量変化等をセンシングする。
【0039】
グリル扉5は、金属の枠材15、この枠材15に固定された耐熱ガラスの窓材16、枠体15又は窓材16に固定されたハンドル20を備えている。ここで、金属は熱伝導率が高い性質があるため、枠体15は略コの字状(或いは略ロの字)に設けられており、窓枠16との間に間隙(空気層)を確保し窓枠16への熱伝導を抑制するように構成されている。
【0040】
また、この実施の形態では、グリル高温注意表示部10aは、キッチン台22とグリル6との間に設けられた化粧部材21の背面側に設けられ、化粧部材21の後ろから光を照らして化粧部材21を光らせる構造になっている。この化粧部材21は、加熱調理器本体をキッチン台22に挿入した後にキッチン台22の裏面と本体との間にできる隙間に嵌め込む透光性の部材である。グリル高温注意表示部10aと化粧部材21は、グリル扉5により近いグリル位置に設けられるため、グリル扉5が高温になっていることをより直感的に知らせることができる。また、化粧部材21の光拡散作用により、化粧部材21を通過した光はグリル扉5の上面部(ハンドル20)に反射し、グリル扉5の真上からも光を見ることができる。このとき、化粧部材21から放射される光は赤色などの注意状態が視認しやすい色の光を使用するとよい。
【0041】
グリル高温注意表示部10aは、グリル6の熱が天板2及び誘導加熱コイル3に伝導することを抑制するために設けられた隔壁1aよりも、垂直方向で天板2に近い位置に設けられており、グリル6からの熱伝導から守られている。隔壁1aとグリル6の外壁面との間には外周空間62が冷却風路として設けられており、本体内に内蔵された冷却ファン30の吸引力により、化粧部材21に設けられた冷却風路又はその他の通気口から温度の低い外気が吸い込まれ、グリル6外壁側の冷却風路を通って外壁を冷却するように冷却風が流れる。また、この冷却風はグリル6側から天板2側へ熱が伝わりにくいようにする効果もある。
【0042】
グリル扉温度検出部13aは、グリル6の開口部周縁に設けられたグリル外周前面パネル61に設けられた非接触の温度センサであり、グリル外周前面パネル61に設けられた孔から窓材16の放出する赤外線を測定する赤外線センサが用いられている。このグリル扉温度検出部13aは外周空間62の拡張空間62a内に設けられ、グリル6の熱から守られている。すなわち、拡張空間62aの高さh2は、グリル6の通常の上壁面と隔壁1aとの間の空間高さh1よりも高くなっているため、遮熱効果が高くグリル扉温度検出部13aの破壊を防ぐとともに温度の測定精度も上げることができる。特に、この実施の形態では、拡張空間62aがヒータ63がないグリル6の前端部に設けられているため、ヒータ63の熱に対する保護効果が高い。
【0043】
このように非接触の温度センサを用いると、接触式の場合に比べて接触不良による温度誤検知という問題がない。また、グリル扉5は、煙の漏洩を防止するためグリル6又はグリル外周前面パネル61にできるだけ隙間無く接触している必要があるが、図4のように弾性体を使ってセンサをグリル扉5に押し付ける場合と違って、グリル扉5に対する力をかけないため、センサの追加が煙の漏洩を招くということはない。一方、赤外線センサはサーミスタと比べて熱に弱いため、グリル周辺など高温となる部分には採用し難いセンサである。この点は、図4のような高温となることが前提の接触式のセンサの方が優れている点である。この実施の形態ではこの問題を、非接触のグリル扉温度検出部13を冷却風路内に設けること、及び、遮熱性の高い外周空間62の拡張空間に設けることにより解決している。
【0044】
また、枠材15はグリル扉温度検出部13aを塞がないように、空間部が設けられている。図8は、グリル扉5の裏面側(グリル内部側)を示した図であり、枠材15のグリル扉温度検出部13aに対向する位置に切り欠き(空間部)を有し、窓材16の一部16aが露出する構造となっている。このため、グリル扉温度検出部13aは、温度上昇が速い金属製の枠材15の温度を検出するのではなく、使用者が触れる可能性のある露出面、すなわちガラス等の素材で作られた窓材16の温度を検知することができる。また、グリル6の使用後の残熱の問題では、逆に金属の枠材15は温度低下が早いが熱伝導率の低い窓材16では、比較的長く温度が高い状態を保つ可能性がある。その点、この実施の形態では、窓材16の温度を測定し、高温表示するためより安全性が高い加熱調理器を提供することができる。
【0045】
さらに、この実施の形態では、グリル扉5に遮光部22が設けられている。この遮光部22は、グリル扉温度検出部13aに赤外線センサを用いた場合に、赤外線センサがグリル扉5以外の外部の温度を検出することを防ぎ、温度検出の精度を向上させるものである。一方、遮光部22と窓材16、枠体15、グリル外周前面パネル61に囲まれた空間が高温になり、局所的に窓材16の温度が上昇しないように、グリル扉5の上端部(或いは遮光部22)とグリル外周前面パネル61も(或いは化粧部材21)との間には、通気路が形成されている。
【0046】
なお、上述の説明ではグリル扉温度検出部13aとして、非接触式のセンサを説明したが、グリル扉5の構造、グリル扉温度検出部13の位置、グリル高温注意表示部10の構造や配置など、それぞれ従来技術にはない特徴と効果があり、図7に示した非接触式のグリル高温注意表示部10aを実施の形態1で説明したような接触式の温度センサに置き換えて使用しても構わない。
【0047】
また、ハンドル20は、グリル扉5の上端部に設ける必要はなく、図1で説明したようにグリル扉5の下端部に設けてもよい。この場合、ハンドル20が窓材16を隠さない分、使用者がより窓材16に触る可能性が高くなるため、高温表示の必要性が高くなる。
【0048】
また、上述では、図8のように枠材15の一部に切り欠きを設けたが、窓材16がグリル扉温度検出部13aに対して露出し、窓材16の温度を検出することができるものであれば、切り欠きである必要は無く、孔を設けたり、枠材15の上端部を枠材15の全幅に渡って省くようにしてもよい。また、上述の説明では、窓材16の温度を図るようにしたが、使用者が触れる可能性が高い扉表面側の温度を測定できるものであるならば、窓材16以外の表面側部材を測定してもよい。
【0049】
実施の形態3.
次に、グリル扉5自身を用いて高温表示を行う実施の形態を説明する。図9は、天板2を外し、内部が見える状態の加熱調理器を上から見た外観図である。図10は、グリル高温注意表示部10bcの配置を示す断面図、図11は、加熱調理器の正面図でありグリル扉5を取り外した状態を図示している。図9〜図11において、上述の説明と同一の符号は同一又は相当の部分を表しており、以下、この実施の形態の特徴的部分を中心に、グリル扉5を用いて高温表示を行う構造について説明する。
【0050】
この実施の形態の加熱調理器は、図9及び図10に示すようにグリル扉5に裏面側から光を照射することにより、グリル6が高温であることを使用者に知らせる構造になっている。図10の例では、グリル扉5のハンドル20に透光性部材10cが嵌め込まれており、加熱調理器本体1側から照射された光が透光性部材10cを透過するとともに拡散し、この透光性部材10cが光ることによって高温注意の表示を行う。発光素子(光源部)10bは、グリル外周前面パネル61に設けられており、この実施の形態では、発光素子10bと透光性部材10cとによりグリル高温注意表示部10が構成されている。グリル外周前面パネル61はグリル扉裏面に対向し、かつグリル扉5が閉められたときに近接する位置であるため、グリル扉5(或いはハンドル20)を至近距離から直線的に照らすことができる。また、前述の実施の形態と同様にグリル外周空間62が冷却風路になっており拡張空間62aが設けられ、発光素子10bがこの拡張空間62aに配置されているため、発光素子10bをグリルの熱から保護することができる。また、垂直方向にヒータ63がない位置に発光素子10bを設けた利点も、前述の実施の形態でグリル扉温度検出部13について述べたものと同様にある。すなわち、この構造により素子の熱破壊を防止することが可能である。
【0051】
発光素子10bから照射された光は、窓材16を通過して透光性部材10cの裏面側に入光し、拡散しながら内部を通って透光性部材10cの表面から放射される。透光性部材10cは、上方に向かって斜めに傾いて設けられているため、正面からでも上方からでも視認しやすい構造になっている。この実施の形態では、発光素子10b及び透光性部材10cにより、高温表示手段が構成されている。
【0052】
金属製の枠材15は光の通過を阻害しないように、光が通過する箇所は空間部が設けられており、例えば、切り欠き、孔、又は、グリル扉の上端部に相当する部分を扉の全幅にわたって省くなどの構造を採用することができる。
【0053】
なお、発光素子10bは、グリル外周前面パネル61からの熱伝導を抑制するため、図10に示すように、若干の間隔を置いて配置するようにするとよい。
【0054】
グリル扉5を用いて高温表示を行う場合、可動部であるグリル扉に発光素子を内蔵し、本体と電気的に接続することは可能ではあるが、耐久性・耐熱性等を十分考慮して設計する必要がある。また、発熱がない操作部4側に発光素子を設け、グリル扉5の側面側から導光性部材を用いて光を屈折させ、ハンドル20を光らせることも考えられる。しかし、この方法では、ハンドル部の曲がり部分で光を屈折させ、さらに横長の光拡散部で正面方向や上方に光を放射する必要があるため、光源に近いハンドルの右端では光が強く、中心部や左端では光が弱くなるなど、思うようにハンドル部を光らせることができないという問題がある。さらに、耐熱ガラスである窓材16は薄いため側面から導光して正面側に光らせることは難しく、また、2枚の耐熱ガラス板に傾斜面を有する光拡散板を挟むような構造を採ることは困難である。
【0055】
一方、この実施の形態では、グリル外周前面パネル61に発光素子10bを設けているため、グリル扉5の裏面側からグリル扉5又はハンドル20を照射することができる。従って、グリル扉5のガラス面やハンドル20を自在に発光させることができるという効果がある。また、発光素子10bをグリル外周前面パネル61などグリル外周空間に設けた場合には、グリル6の熱が発光素子10bに与える影響が問題になるが、この実施の形態では、グリル6のヒータ位置や外周空間の冷却風路など、グリル6周りの構造を工夫することにより、発光素子10bの熱破壊の問題を解決している。なお、グリル6の外周空間はグリル6の全周に渡って設けられる必要はなく、グリル外壁に沿った一部の近傍空間のみであっても構わない。
【0056】
また、図11では、ほぼ円形状の発光素子10bを複数個、ハンドルの長手方向に並べる構成をとったが、発光素子10bの形状、構造はこれに限らずどのようなものでもよい。例えば、ハンドル20又は、発光させる窓材16の部分に応じた長方形の1つの発光素子を長手方向に伸びるように設けることも可能である。この場合、より均一に光らせることができるという効果がある。
【0057】
図12は、図10の加熱調理器の変形例であり、発光素子10aを熱条件の厳しいグリル6の外周空間に配置せず、例えば、隔壁よりも上方になるような位置、或いは、外周空間からの熱気の移動を制限できる壁を隔てた位置に設けた例である。発光素子10aから出た光は、外周空間に設けられた光反射部材10dによって孔を介して透光性部材10cの裏面に到達し、透光性部材10c表面を発光させることができる。光反射部材10dは、高温表示手段の一部であり、鏡、プリズム等、発光素子10aからの入光方向から向きを変更し、グリル扉裏面へ出光できるものであればどのような導光手段を用いてもよい。
【0058】
このような構造にすることにより、発光素子10aに対するグリル6の熱の影響をより低減することができる。なお、この例のハンドル20は、中央部がグリル扉5の窓材16と間隔をおいて配置され、両端部がグリル扉5(若しくは枠材15)に接続されている形状のものである。ハンドル20に対向する窓材16の表面には熱伝導率の低い透光性の部材が固定されている。この部材(保護部材)は指が直接窓材16に触れないように保護するために設けられるものである。
【0059】
また、図13のように、ハンドル20ではなくグリル扉5の面を光らせるようにすることも可能である。窓材16には、細かい凹凸をつけるなど光拡散面10eを設けて、より視認性を向上させてもよい。また、光を拡散させる手段としては、窓材16の裏面若しくは表面に光拡散部材を別部材で設けることも可能である。このとき、上方からも見やすいように上方に光を反射させるような傾斜面をつけるとよい。
以上のように、グリル扉5の表面を光らせた場合、高温となる部材をそのものを光らせるため、利用者にとって注意が必要な箇所又は部材が直感的に分かりやすいという利点がある。
【0060】
図14は図13の変形例で、グリル外周空間の隔壁1a内面側ではなく、外面側に発光素子10aを設けた実施例である。隔壁1aは、グリル前面側すなわち本体手前側が中央部若しくは後部側に比べて下側に延びる(グリル前端側に近づく)ように曲部を有する。特にこの実施例ではグリル扉5の上端より低い位置にまで隔壁1a面が下げられ、グリル扉5の上端裏面側に隙間を確保するように構成されている。発光素子10aは隔壁1aの外面側に設けられ、隔壁1aによりグリル6の熱から保護されている。隔壁1aとグリル6の壁面との間(外周空間62)は上述のように冷却風路になっていてもよいし、積極的に冷却風を通過させずに単に空気による断熱層となっていてもよい。冷却風路とする場合には、本体前面から冷却風を取り込むようにするだけでなく、本体後側から吸引した冷却風をグリル側面からグリル6の冷却風路に流し、本体側面或いは後端側から排気するように構成することも可能である。
また、曲部は光の反射面を備えているのでグリル扉5の光拡散面10eに効率的に光を照射することができる。反射面は、反射率の高い塗料などを塗布することも考えられるが、鉄などの金属面や金属メッキをそのまま利用することができる。また、この実施例では、グリル扉5から発光素子10aまでの距離を確保することが可能であるため、グリル扉5をより広範囲に光らせることができ、光の強度のムラを抑制できる。また、少ない個数の発光素子10aでグリル扉5の高温注意をグリル扉5の前面横幅方向に長く表示することができる。グリル扉5までの距離は、まず奥行き方向に確保することができる。さらに、図14のように光を屈折させる場合(屈折は必須ではない)には、縦方向にも距離を確保できるという利点がある。
【0061】
なお、図13のように他の導光部材10dを用いてもよいことは言うまでもない。
この実施例では、隔壁1aの前端をグリル外周空間62に対する遮熱部材として利用したが、隔壁1aとは別部材を用いて、グリル外周空間62から発光素子10a(或いは他のグリル高温注意表示部材)への熱の伝導を抑制できるようにし、この別部材をグリル6からの赤外線放射を低減させる隔壁として機能させるようにしても構わない。
図14の破線は、ハンドル20を図10のように上端付近に設けた場合に、ハンドル20兼光拡散部材10cを設けた場合の、光拡散部材10cの位置を示す仮想線である。このように、この実施例の構造は、グリル扉5を光らせるのでなくハンドル20を光らせる場合にも使用することができる。
【0062】
また、隔壁1aよりも上(必ずしも隔壁の上方投射領域である必要はない)に発光素子10aを配置した場合には、グリル扉5の上方から導光手段を用いてハンドル20を光らせるようにすることもできる。
【0063】
また、上述の説明では、グリル6の上部側に発光素子等を設けた例を説明したが、同様にグリル6の下側、すなわち、グリル外周前面パネル61若しくはその下から光を導光し、グリル扉5若しくはハンドル20を光らせるようにすることも可能である。
図15は、発光素子等の高温表示手段をグリル下端付近に配置した加熱調理器の断面図であり、図16はその正面外観図である。グリル6の底面の外側(下側)には、他の隔壁1bがあり、グリル6の熱でキッチンが痛まないように熱の伝導を抑制している。このグリル底面と隔壁1bとの間も、グリル外周空間62であり、この外周空間を覆うように本体前面側にはグリル外周前面パネル61が設けられている。このグリル外周空間には冷却ファン30からの冷却風がグリル後方、又は側方から送風されており、グリル底面及び外周空間を冷却している(排気は、本体前端付近で折り返して後方に導風したり、側面、前面等に抜くことも可能)。特に、グリル6の使用時には、グリル底面に図示しない受け皿が載置され被調理物から落ちた油等を受けるようになっているが、この冷却ファン30はこの油が高温になって発火しないようにグリル底面を介して受け皿の温度を油の発火点以下に保つ役割がある。この場合、受け皿に水を張る必要が無く、受け皿の水が蒸発して被調理物の水分が多くなるという現象を抑えることが可能であり、いわゆる水なしグリルというような名称で呼ばれる構造になっている。
【0064】
この実施例では、グリル外周空間(冷却風路)に上述の実施例と同様に発光素子10bを配置し、グリル5の熱から発光素子10bを保護しながら、透光性部材10cを有するハンドル20を扉の裏面側から光らせる構造になっている。ここで、発光素子10bは、上述の実施例と同様の形状のものでも構わないが、図16のように横長形状を有する発光素子を用いてもよい。この発光素子10bは、光源それ自体が横長形状のものでもよいし、小さい光源とこの光源の光を横方向に拡散する導光板10dとの組合せで構成してもよい。特に、グリル底面側の外周空間は奥行きがあり、他の部品が配置されることが少ないため、横方向に光を十分に拡散させるための距離とスペースを確保しやすい。
なお、本体1の底面を隔壁1cとして用いることもできるし、本体底面とグリル底面との間に、熱の移動を制限する隔壁1cを別途設けることもできる。
また、他の適用例としては、隔壁1cの外側面の下に発光素子10aを設けることも可能であり、グリル底面側を図14で示した例のようにすることにより、同様の効果を得ることができる。
また、グリル外周前面パネル61の側辺を用いて同様にグリル高温表示を行ってもよい。
【0065】
実施の形態4.
以上の実施の形態では、加熱調理器の天板やグリル扉5の高温注意表示を効果的に使用者に報知するようにしたものであるが、次に加熱調理器の使用中、グリル扉5の高温状態から使用者を保護するために、この保護の機能をより高めることができる加熱調理器の実施の形態を示す。
【0066】
図17は、この実施の形態の加熱調理器の外観を示す正面図である。以下番号を付して本実施の形態の加熱調理器本体の構成を説明する。実施の形態1〜3で説明した部分については同一の番号を付して説明を省略する。
【0067】
加熱調理器本体1は天板2と操作部4など備えるとともに加熱調理器本体1正面に扉5を備えるグリル6を有する。グリル扉5は枠材15に透過性を有する耐熱ガラスで構成された窓材16が固定されている。枠材15にはグリル扉5の開閉(引き出し)動作に使用者が手を掛けるハンドル18を掛止するための孔部17が枠材15の両脇に複数箇所に(本実施の形態では縦に3段)設けられている。またハンドル18は、図18に示すようにハンドル18の両脇にL字型形状をした爪部19が備わり、爪部19が枠材15の孔部17で掛止されるよう構成されている。
【0068】
続いて図19を用いてこのハンドル18の使用方法を説明する。図19はグリル扉5の枠部15に掛止されるハンドル18と爪部19の様子を示す断面図である。図19に示すように爪部19が孔部17に挿入され、挿入後に爪部19が下げることで孔部17に引っ掛かり固定される。ハンドル18を枠材15から外す場合は、先ずハンドル18を上に引き上げ、孔部17に掛止されていた爪部19を外し、その後手前に引き出すことで枠材15からハンドル部を離すことが可能になる。本実施の形態では枠材15に孔部17を縦に3段設けているので、グリル扉5のハンドル18の位置を3段階に変更可能に構成している。図20にハンドル18の位置をグリル扉5の中段に移動させた状態の加熱調理器本体1の外観を示す。
【0069】
以上のようにハンドル18をグリル扉5の任意の位置に固定できるように構成したので、グリル扉5を引き出す場合には上段又は下段にハンドル18を接続して使い易い状態にすることができ、また、加熱中、或いは使用後など、ガラス面の温度が上がった場合には、ハンドル18によって窓材16の一部を覆う位置(ガード位置)に配置することができるため、使用者が、加熱されたグリル扉5の特に高温になる窓材16へ接触する機会を低減することができ、安全性を向上することができる。
さらに、ハンドル18を孔部17に対応した任意の高さに固定できるので、使用者にとって使いやすい位置にすることが出来、グリルおの使い勝手を向上することが出来る。
また、別のハンドル18を使用していない他の孔部17を使用して固定するようにして、ハンドルを追加することが出来るので、グリル扉5の特に高温になる窓材16へ接触する機会を更に低減することができ、安全性を一層向上することが出来る。
本実施の形態ではハンドル18の爪部19を枠材15の孔部17に掛止する構造で説明したが、ハンドルの移動が可能になる構造であればどの様な形態でも良く、本実施の形態で説明した構造に限るものではない。
【0070】
実施の形態5.
実施の形態4は、グリル扉のハンドル位置を変更し、安全性を向上させるように構成したものであるが、本実施の形態では、更に安全性を向上させることが出来る別の形態について説明する。
【0071】
図21は本実施の形態を示す加熱調理器本体の外観図である、実施の形態4で説明した箇所は同一の番号を付して説明を省略する。加熱調理器本体1に備えられたグリル扉5はハンドル20を有している。前述の実施の形態3との相違点は、ハンドル20が上下方向に分割可能なように構成され、ハンドル20は枠材15に設けたスリット21にハンドル20の一部が狭持される構造となっている
図22及び図23を用いて、ハンドル20の狭持構造について説明する。図22は枠材15と上下分割可能に構成したハンドル20(説明上、上を20a、下を20bとする)の構造について説明する斜視図であり、図23は枠部15狭持されるハンドル20の狭持状態を示す断面図と正面図である。
【0072】
図22及び図23を用いてハンドル20の構造及び動作について説明する。図22に示すようにハンドル20は上下に分割可能な状態で枠材15に配されている。ハンドル20(20a、20b)はハンドル本体の両脇にT字形状をした被狭持部材22(22a、22b)を有している。この被狭持部材22は枠材15に設けたスリット21に嵌めこまれるように構成される。また図22には示していないが、図23に示すように被狭持部材22は枠材15内に設けた狭持部材23、24によって、被狭持部材22の側面を両側から挟むように保持されている。この狭持部材23、24は例えば硬質ゴム等の弾性体で構成され、ハンドル20の被狭持部材22を挟み込んでハンドル20を保持している。弾性体である狭持部材23、24によって被狭持部材22を挟むようにしているので、ハンドル20にスリット21の開口部に沿って上下方向に力を加えるとハンドル20は力を加えた向きに移動(摺動)し、加える力を除くとハンドル20はその位置で固定される。
【0073】
以上説明したように、ハンドル20を上下分割可能な構成とし、ハンドル20に設けた被狭時部材22を、枠材15内に備えた狭持部材23、24により挟み保持する構成としたので、ハンドル20をグリル扉5の任意の位置に移動、配置することが可能になり、実施の形態3で説明した形態よりも一層、ハンドルの設置位置の自由度が高まる。そして、ハンドル20をガード位置に移動させた場合に、グリル調理中に加熱されたグリル扉5の特に高温になる窓材16へ接触する機会を低減することができ、安全性を向上することが出来る。
【0074】
さらに、ハンドル20は上下に分割可能な構成であり、分割されたハンドル20a、20bはそれぞれ独立して上下に摺動させることが可能であるため、ハンドル20を上下に分けた状態でグリル扉前面に配置することが可能で、グリル扉5への使用者の接触を防止するガード部材として一層効果的に機能させることが可能になる。図24に上下分割したハンドル20をグリル扉5に配置してより一層保護機能を高めた加熱調理器の外観を示す。
【0075】
本実施の形態では、被狭持部材と狭持部材によってハンドルを任意の位置に固定する方法を説明したが、任意に固定する方法はこれに限るものではなく、ハンドルを上下分割、任意位置に固定可能な方法であれば何れの方法でもよい。
【0076】
上述の実施の形態の特定の詳細構造等は、この発明の範囲を何ら制限するものではなく、こられの説明に基づいて様々な形態に応用可能である。例えば、上述の実施の形態では、グリル扉5の温度を検出して高温表示を行っていたが、高温表示手段の構造、配置などは、グリル庫内の温度を検出する場合、温度を検出せずにグリルの動作(加熱開始/加熱終了/加熱終了後の冷却期間)に基づいて、高温表示を行う場合にも適用できる。
また、板ガラスに対する保護機能を有するハンドル20なども特定の制御に拘束されることなく、使用可能であることは言うまでもない。
また、複数の実施の形態や実施例は、それぞれの利点を生かして自在に組合せ可能なものである。
【産業上の利用可能性】
【0077】
この発明は、グリルを有する加熱調理器に利用できるものである。
【符号の説明】
【0078】
1 加熱調理器本体、 2 天板、 3 加熱源、 4 操作部、 5 グリル扉、 6 グリル、 7 火力表示部、 8 表示部、 9 高温注意表示部、 10 グリル高温注意表示部、 11 制御部、 12 天板温度検出部、 13 グリル扉温度検出部、 14 判定部、 15 枠材、 16 窓材、17 孔部、 18 ハンドル、 19 爪部、 20 ハンドル、 21 スリット、22 被狭持部材、 23、24 狭持部材、 25 レール、 26 弾性体、 冷却ファン30
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体上面に設けられ、被加熱物が載せられる天板と、
前記本体内部かつ前記天板裏面に設けられ、前記被加熱物を加熱する加熱手段と、
前記本体内部かつ前記加熱手段の下方に設けられ、内部に被調理物を焼くためのヒータを有するグリルと、
前記グリルの前面を覆う窓材を有するグリル扉と、
前記グリルの上方かつ前記加熱手段の下方に、前記グリルの熱が前記天板に伝導することを抑制するために設けられた隔壁と、
前記隔壁の上に前記グリル扉に向けて光を照射する光源部と、を備えた加熱調理器。
【請求項2】
前記グリルと前記隔壁の間に空間を設け、前記空間は冷却風路になっていることを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記グリル扉に設けられ、一部に透光性部材を有するハンドルを備え、
前記光源部は、前記窓材を介して前記透光部材を照射することを特徴とする請求項1又は2記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記本体に設けられ、前記グリル扉の温度を計測する温度検出手段と、操作部とを備え、前記光源、及び前記透光性部材は、前記グリル扉の温度状態を表示する高温表示手段として作用し、
前記操作部からの信号に基づいて前記加熱手段及び前記グリルの加熱動作を制御するとともに、前記温度検出手段の検出温度に基づいて前記高温表示手段における前記グリル扉の温度状態表示を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記温度検出手段は、前記本体に設けられ、前記グリル扉に接触して前記グリル扉の温度を計測することを特徴とする請求項4に記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記温度検出手段は、前記本体に設けられ、前記グリル扉に接触せずに前記グリル扉の温度を計測することを特徴とする請求項4に記載の加熱調理器。
【請求項1】
本体と、
前記本体上面に設けられ、被加熱物が載せられる天板と、
前記本体内部かつ前記天板裏面に設けられ、前記被加熱物を加熱する加熱手段と、
前記本体内部かつ前記加熱手段の下方に設けられ、内部に被調理物を焼くためのヒータを有するグリルと、
前記グリルの前面を覆う窓材を有するグリル扉と、
前記グリルの上方かつ前記加熱手段の下方に、前記グリルの熱が前記天板に伝導することを抑制するために設けられた隔壁と、
前記隔壁の上に前記グリル扉に向けて光を照射する光源部と、を備えた加熱調理器。
【請求項2】
前記グリルと前記隔壁の間に空間を設け、前記空間は冷却風路になっていることを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記グリル扉に設けられ、一部に透光性部材を有するハンドルを備え、
前記光源部は、前記窓材を介して前記透光部材を照射することを特徴とする請求項1又は2記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記本体に設けられ、前記グリル扉の温度を計測する温度検出手段と、操作部とを備え、前記光源、及び前記透光性部材は、前記グリル扉の温度状態を表示する高温表示手段として作用し、
前記操作部からの信号に基づいて前記加熱手段及び前記グリルの加熱動作を制御するとともに、前記温度検出手段の検出温度に基づいて前記高温表示手段における前記グリル扉の温度状態表示を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記温度検出手段は、前記本体に設けられ、前記グリル扉に接触して前記グリル扉の温度を計測することを特徴とする請求項4に記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記温度検出手段は、前記本体に設けられ、前記グリル扉に接触せずに前記グリル扉の温度を計測することを特徴とする請求項4に記載の加熱調理器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2013−108750(P2013−108750A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−20273(P2013−20273)
【出願日】平成25年2月5日(2013.2.5)
【分割の表示】特願2010−232477(P2010−232477)の分割
【原出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000176866)三菱電機ホーム機器株式会社 (1,201)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成25年2月5日(2013.2.5)
【分割の表示】特願2010−232477(P2010−232477)の分割
【原出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000176866)三菱電機ホーム機器株式会社 (1,201)
【Fターム(参考)】
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