説明

加熱調理器

【課題】地域の電力消費量がピークとなる時間帯や電力消費量に対して電力供給量に余裕がある時間帯を設定可能にして電力需給の観点から好ましい時間帯に加熱調理を実行する。
【解決手段】調理時間設定手段で設定された調理時間と、タイマー設定手段20で設定された予約時刻とから調理開始時刻算出手段が加熱手段6,10,29による加熱調理を開始する時刻である調理開始時刻を算出し、調理開始時刻及び予約時刻と加熱調理の実行に関する時間帯である指定時間帯との時間的前後関係に基づいて、調理時間帯調整手段が調理開始時刻を繰り上げるように調整して、駆動制御手段27が調理開始時刻、予約時刻、及び調理時間に基づいて加熱手段6,10,29の動作を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯器、自動製パン器等の加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、炊き上がり時刻を任意に設定可能なタイマー手段を有する炊飯器が開示されている。この炊飯器では、タイマー手段の設定時刻から炊飯時間を引いた時間前に炊飯を開始させ、設定時刻直前に炊飯調理が完了するように実行される。
【0003】
地域の電力消費量は、時間帯によって変動する。例えば、夏場であれば、気温が最も上昇する14時頃から17時頃にかけてエアコン等の使用により、地域の電力消費量がピークになる傾向にある。一方、深夜等の時間帯では、地域の電力消費量が減り、電力供給量に余裕ができる傾向にある。
【0004】
しかし、特許文献1に記載の炊飯器では、タイマーの設定時刻によっては、地域の電力消費量がピークになる時間帯に最も電力を消費する炊飯工程を実行する場合があり、一方、地域の電力消費量が減り、電力供給量に余裕ができる時間帯に最も電力を消費する炊飯工程を実行しない場合がある。
【0005】
地域の電力消費量は、時間帯によらず可能な限り均一になる方が好ましく、この観点からすると、従来の炊飯器では必ずしも好ましいタイマー炊飯を実行しているとは言えなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭62−270115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、地域の電力消費量がピークとなる時間帯や電力消費量に対して電力供給量に余裕がある時間帯を設定可能にして電力需給の観点から好ましい時間帯に加熱調理を実行することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための手段として、本発明の加熱調理器は、容器に収容された調理対象物を加熱手段で加熱して調理する加熱調理器であって、調理メニューを選択するためのメニュー選択手段と、メニュー選択手段で選択された前記調理メニューに応じて、予め定められた調理時間を設定する調理時間設定手段と、前記加熱手段によって加熱調理済の前記調理対象物を提供する予定の時刻である予約時刻を設定するタイマー設定手段と、前記調理時間と前記予約時刻とから前記加熱手段による加熱調理を開始する時刻である調理開始時刻を算出する調理開始時刻算出手段と、前記調理開始時刻、前記予約時刻、及び前記調理時間に基づいて前記加熱手段の動作を制御する駆動制御手段と、前記調理開始時刻及び前記予約時刻と加熱調理の実行に関する指定時間帯との時間的前後関係に基づいて、前記調理開始時刻を繰り上げるように調整する調理時間帯調整手段とを備えるようにした。
【0009】
この構成によれば、調理開始時刻及び予約時刻と指定時間帯との時間的前後関係に基づいて、調理開始時刻を繰り上げるように調整して駆動制御手段により加熱手段の動作を制御することができるので、電力需給の観点から好ましい時間帯に調理を実行することができる。したがって、加熱調理の実行に関する時間帯である指定時間帯を設定可能にして電力需給の観点から好ましい時間帯に加熱調理を実行することができる。
【0010】
前記指定時間帯は前記加熱手段による電力消費の回避が要求される回避時間帯を含み、前記調理時間帯調整手段は、前記調理開始時刻算出手段で算出された前記調理開始時刻が前記指定時間帯の終了以前、かつ前記タイマー設定手段で設定された前記予約時刻が前記指定時間帯の開始以降であれば、前記指定時間帯の開始時刻から前記調理時間の少なくとも半分以上の時間だけ遡及した時刻に前記調理開始時刻を繰り上げることが好ましい。この構成によれば、調理時間の少なくとも半分以上の時間を、回避時間帯の開始時刻以前にシフトさせるように調理開始時刻を繰り上げることができる。これにより、調理時間の一部が回避時間帯に含まれることを許容した調理を実行することができる。また、回避時間帯の開始時刻以前に調理が完了することを許容した調理を実行することができる。したがって、調理時間の少なくとも半分以上の時間を回避時間帯から回避して電力需給の観点から好ましい時間帯に加熱調理を実行することができる。
【0011】
前記指定時間帯は前記加熱手段による電力消費の回避が要求される回避時間帯を含み、前記調理時間帯調整手段は、前記調理開始時刻算出手段で算出された前記調理開始時刻が前記指定時間帯の終了以前、かつ前記タイマー設定手段で設定された前記予約時刻が前記指定時間帯の開始以降であれば、前記調理時間に対して所定時間だけ減じたか、または加えた範囲内の時間だけ前記指定時間帯の開始時刻から遡及した時刻に前記調理開始時刻を補正することが好ましい。この構成によれば、調理時間の一部が所定時間だけ回避時間帯に含まれることを許容した調理を実行することができる。また、回避時間帯の開始時刻から所定時間だけ前の時刻に調理が完了することを許容した調理を実行することができる。
【0012】
前記所定時間は、前記回避時間帯の10%以内の時間であることが好ましい。
【0013】
前記指定時間帯は前記加熱手段による電力消費の優先実行が要求される優先時間帯を含み、前記調理時間帯調整手段は、前記調理開始時刻算出手段で算出された前記調理開始時刻が前記指定時間帯の開始以降であり、かつ前記タイマー設定手段で設定された前記予約時刻が前記指定時間帯の終了以降であれば、前記指定時間帯の終了時刻から前記調理時間の少なくとも半分以上の時間だけ遡及した時刻に前記調理開始時刻を繰り上げることが好ましい。この構成によれば、調理時間の少なくとも半分以上の時間を、優先時間帯の終了時刻以前にシフトさせるように調理開始時刻を繰り上げることができる。これにより、調理時間の一部が優先時間帯に含まれないことを許容した調理を実行することができる。また、優先時間帯の終了時刻以前に調理が完了することを許容した調理を実行することができる。したがって、調理時間の少なくとも半分以上の時間を優先時間帯を優先的に利用して電力需給の観点から好ましい時間帯に加熱調理を実行することができる。
【0014】
前記指定時間帯は前記加熱手段による電力消費の優先実行が要求される優先時間帯を含み、前記調理時間帯調整手段は、前記調理開始時刻算出手段で算出された前記調理開始時刻が前記指定時間帯の開始以降であり、かつ前記タイマー設定手段で設定された前記予約時刻が前記指定時間帯の終了以降であれば、前記調理時間に対して所定時間だけ減じたか、または加えた範囲内の時間だけ前記指定時間帯の終了時刻から遡及した時刻に前記調理開始時刻を補正することが好ましい。この構成によれば、調理時間の一部が所定時間だけ優先時間帯に含まれないことを許容した調理を実行することができる。また、優先時間帯の終了時刻から所定時間だけ前の時刻に調理が完了することを許容した調理を実行することができる。
【0015】
前記所定時間は、前記優先時間帯の10%以内の時間であることが好ましい。
【0016】
前記指定時間帯を任意に設定可能な指定時間帯設定手段を備えることが好ましい。この構成によれば、メーカー出荷後に、使用者が指定時間帯を任意に設定できる。したがって、計画停電、節電、電力ピークのシフトにも対応できる。
【0017】
前記調理開始時刻が繰り上がった場合に前記予約時刻の直前に加熱調理済の前記調理対象物を再加熱する再加熱手段を備えることが好ましい。この構成によれば、調理開始時刻を繰り上げて調理された加熱済の調理物を予約時刻の直前に再加熱手段により自動で再加熱するので、予約時刻に加熱済の調理物を調理完了直後と同様の状態にすることができる。したがって、使用者が手動で再加熱を行う煩わしさを低減でき、また、食味の低下を回避することができる。
【0018】
前記調理開始時刻が繰り上がった場合に前記調理時間経過後から前記予約時刻までの間、加熱調理済の前記調理対象物を保温する保温手段を備えることが好ましい。この構成によれば、調理開始時刻を繰り上げて調理された加熱済の調理物を、加熱調理完了後、予約時刻まで保温手段により保温するので、予約時刻まで加熱済の調理物を温かい状態に維持することができる。そして、菌繁殖リスクを抑えることができる。
【0019】
前記再加熱手段による再加熱の実行または非実行を設定するための再加熱設定手段を備えることが好ましい。この構成によれば、再加熱の実行の要否を選択することができる。
【0020】
前記調理開始時刻が繰り上がった場合に前記調理時間経過後から前記予約時刻までの間、加熱調理済の前記調理対象物を保温する保温手段と、前記再加熱手段による再加熱の実行または非実行を設定するための再加熱設定手段とを備えることが好ましい。
【0021】
前記保温手段による保温の実行または非実行を設定するための保温設定手段を備えることが好ましい。この構成によれば、保温の実行の要否を選択することができる。
【0022】
前記加熱手段の制御に前記指定時間帯を使用しない通常モードと、前記加熱手段の制御に前記指定時間帯を使用する特別モードとを選択するためのモード選択手段を備えることが好ましい。この構成によれば、使用者が所望のモードを選択して加熱調理を実行することができる。
【0023】
前記課題を解決するための手段として、本発明の加熱調理器は、容器に収容された調理対象物を加熱手段で加熱して調理する加熱調理器であって、調理メニューを選択するためのメニュー選択手段と、メニュー選択手段で選択された前記調理メニューに応じて、予め定められた調理時間を設定する調理時間設定手段と、前記加熱手段によって加熱調理済の前記調理対象物を提供する予定の時刻である予約時刻を設定するタイマー設定手段と、前記調理時間と前記予約時刻とから前記加熱手段による加熱調理を開始する時刻である調理開始時刻を算出する調理開始時刻算出手段と、前記調理開始時刻、前記予約時刻、及び前記調理時間に基づいて前記加熱手段の動作を制御する駆動制御手段と、加熱調理の実行に関する指定時間帯である前記加熱手段による電力消費の回避が要求される回避時間帯を任意に設定可能な指定時間帯設定手段と、前記調理時間および前記予約時刻が前記回避時間帯に含まれる場合に予約設定エラーであることを表示し、予約設定を拒否する予約設定拒否手段とを備えるようにした。
【0024】
この構成によれば、使用者は、予約設定による調理実行が調理の回避時間帯にかかることを知ることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、調理開始時刻及び予約時刻と指定時間帯との時間的前後関係に基づいて、調理開始時刻を繰り上げるように調整して駆動制御手段により加熱手段の動作を制御することができるので、電力需給の観点から好ましい時間帯に調理を実行することができる。したがって、加熱調理の実行に関する時間帯である指定時間帯を設定可能にして電力需給の観点から好ましい時間帯に加熱調理を実行することができる。
【0026】
また、調理開始時刻を繰り上げて調理された加熱済の調理物を予約時刻の直前に再加熱手段により再加熱するので、予約時刻に加熱済の調理物を調理完了直後と同様の状態にすることができる。したがって、使用者が手動で再加熱を行う煩わしさを低減でき、また、食味の低下を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の加熱調理器である炊飯器を示す概略図。
【図2】予約調理設定の流れを示すフローチャート。
【図3】予約調理待機開始時に実行されるフローチャート。
【図4】予約調理待機開始時に実行される調理開始時刻の設定の流れを示すフローチャート。
【図5】予約調理待機開始時に実行される調理開始時刻の設定の流れを示すフローチャート。
【図6】調理開始時刻及び予約時刻と優先時間帯との関係を示す図。
【図7】調理開始時刻及び予約時刻と回避時間帯との関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0029】
図1は本発明に係る加熱調理器である炊飯器1を示す。この炊飯器1は、内鍋(容器)2、内鍋2を収容する本体3、及び本体3に回動可能に取り付けられる蓋体8を備える。
【0030】
内鍋2は、熱伝導率が高いアルミ等からなる鍋母材の外面に、後述する誘導加熱コイル6への高周波電流の通電時に生じる渦電流によって電磁誘導加熱される強磁性材料をコーティングや接合等によって施したものである。
【0031】
本体3は、有底筒形状の胴体4と、この胴体4内に配置された内鍋2を収容するための非導電性材料製の保護枠5とを備える。これら胴体4と保護枠5との間の空間には、本発明の加熱手段、再加熱手段、および保温手段を構成する誘導加熱コイル6、内鍋用温度センサ7、本発明の加熱手段、再加熱手段、および保温手段を構成する胴ヒータ29、及び後に詳述するコントローラ(駆動制御手段)27が配設されている。
【0032】
蓋体8は、内鍋2及び本体3の開口部を開放可能に閉塞する。蓋体8の内鍋2側には、放熱板9、本発明の加熱手段、再加熱手段、および保温手段を構成する蓋ヒータ10、及び内蓋11が配設されている。内蓋11の周縁には、蓋体8の閉鎖時に内鍋2の縁部に密着して内鍋2を密閉するためのシール部材(図示せず)が設けられている。また、蓋体8の内部には、蓋体用温度センサ12、内鍋2内の圧力を検出する圧力センサ33及び調圧器14が配設されている。
【0033】
調圧器14は蓋体8の蒸気孔8aを開閉するための調圧ボール14aとソレノイド14bとを備える。ソレノイド14bの通電時には、調圧器14は内鍋2内を密閉する閉鎖状態となる。詳細には、ソレノイド14bの通電時には、ソレノイド14bのプランジャは引き込み位置となり、調圧ボール14aは実線で示すように蒸気孔8aを閉鎖する位置にある。調圧ボール14aの重量は、内鍋2内の内圧が異常値まで上昇したときに、内圧により一点鎖線で示すように蒸気孔8aから退避した位置に移動するように設定されている。一方、ソレノイド14bの非通電時には、調圧器14は内鍋2内を大気開放する開放状態となる。詳細には、ソレノイド14bの非通電時には、調圧ボール14aは突出位置となったソレノイド14bのプランジャにより押され、蒸気孔8aから退避した位置に移動する。
【0034】
本体3の正面には、操作パネル15が設けられている。操作パネル15は、液晶表示装置等からなる表示装置16と、炊飯器1を操作するためのスイッチ類17〜23を備えている。
【0035】
スイッチ類17〜23は、調理メニューを選択するためのメニュー選択スイッチ(メニュー選択手段)17、予約調理において加熱手段6,10,29の制御に指定時間帯を使用しない通常モードと加熱手段6,10,29の制御に指定時間帯を使用する特別モードとを選択するためのモード設定スイッチ(モード選択手段)18、加熱調理の実行に関する時間帯である指定時間帯を設定する指定時間帯設定スイッチ(指定時間帯設定手段)19、加熱手段6,10,29によって加熱調理済の調理対象物を提供する予定の時刻である予約時刻を設定する予約時刻設定スイッチ(タイマー設定手段)20、炊飯開始を指示するための炊飯スイッチ21、炊飯工程、保温工程、および再加熱工程を取り消す(中止する)ための取り消しスイッチ22、及び予約調理を開始する予約スイッチ23を備えている。なお、指定時間帯設定スイッチ19により設定される指定時間帯は、加熱手段6,10,29による電力消費の優先実行が要求される優先時間帯および電力消費の回避が要求される回避時間帯のうち少なくとも一方が含まれる。
【0036】
コントローラ27は、マイクロコンピュータ27a、読み書き可能メモリ(RAM)27b、読み出し専用メモリ(ROM)27c、タイマー手段27dを備えている。
【0037】
マイクロコンピュータ27aは、内鍋温度センサ7、蓋体温度センサ12、及びスイッチ類17〜23から入力される信号を、RAM27b、タイマー手段27dと協働してROM27cに記憶されたプログラムに従って処理し、調理開始時刻(Tsui-start)、予約時刻(Tres)、及び調理時間(Tsui)に基づいて、誘導加熱コイル6、胴ヒータ29、及び蓋ヒータ10を制御して、炊飯工程、保温工程、および再加熱工程を実行する。
【0038】
次に、本発明にかかる加熱調理器である炊飯器1の予約炊飯設定、および予約炊飯時の動作について図2を参照して説明する。
【0039】
予約炊飯設定では、使用者がモード設定スイッチ18により通常モードまたは特別モードのいずれか一方の調理モードを選択すると、予約調理モード信号がコントローラ27に送信される。
【0040】
コントローラ27は、受信した予約調理モード信号が通常モードおよび特別モードのいずれであるかを判定する(S1)。
【0041】
予約調理モード信号が特別モード信号であると判定された場合、コントローラ27は、特別モード予約のフラグ(Fyoyaku-special)をONにし(S2)、回避時間帯を設定するか否かいずれか一方を使用者に選択させる信号を表示装置16に送信して表示させる。
【0042】
コントローラ27は、使用者の選択による回避時間帯を設定する信号を受信した場合、回避時間帯設定のフラグをONにし(S4)、回避時間帯の開始時刻および終了時刻の入力を使用者に促す信号を表示装置16に送信して表示させる。
【0043】
一方、S3のステップにおいて、コントローラ27は、使用者の選択による回避時間帯を設定しない信号を受信した場合、S7のステップに進む。
【0044】
回避時間帯の開始時刻および終了時刻が入力されると、コントローラ27は、回避時間帯開始時刻(Tavo-on)および回避時間帯終了時刻(Tavo-off)を設定し(S5,S6)、優先時間帯を設定するか否かいずれか一方を使用者に選択させる信号を表示装置16に送信して表示させる。
【0045】
コントローラ27は、使用者の選択による優先時間帯を設定する信号を受信した場合、優先時間帯設定のフラグ(Fsui-pri)をONにし(S8)、優先時間帯の開始時刻および終了時刻の入力を使用者に促す信号を表示装置16に送信して表示させる。
【0046】
一方、S7のステップにおいて、コントローラ27は、使用者の選択による優先時間帯を設定しない信号を受信した場合、S11のステップに進む。
【0047】
優先時間帯の開始時刻および終了時刻が入力されると、コントローラ27は、優先時間帯開始時刻(Tpri-on)および優先時間帯終了時刻(Tpri-off)を設定し(S9,S10)、予約時刻(Tres)の設定を使用者に促す信号を表示装置16に送信して表示させる。
【0048】
予約時刻(Tres)が設定されると(S11)、調理メニューの選択を使用者に促す信号を表示装置16に送信して表示させる。
【0049】
調理メニューが選択されると(S12)、調理予約開始を指示するための予約スイッチ23が押されたか否かを判定する(S13)。予約スイッチ23が押された場合、調理開始時刻まで待機される。
【0050】
一方、S1のステップにおいて、予約調理モード信号が通常モード信号であると判定された場合、コントローラ27は、通常モード予約のフラグ(Fyoyaku-normal)をONにし(S15)、予約時刻(Tres)の設定を使用者に促す信号を表示装置16に送信して表示させ、S11のステップに進む。
【0051】
次に、予約スイッチ23が押された後、予約調理待機開始時に実行される調理開始時刻の設定について、図3ないし5を参照して説明する。なお、図4中のフローチャートには、回避時間帯の設定の有無を判定するステップを含み、図5のフローチャートには、優先時間帯の設定の有無を判定するステップを含む。
【0052】
図3に示すように、予約調理待機開始時、コントローラ27は、特別モード予約のフラグ(Fyoyaku-special)がONであるか否かを判定する(S15)。特別モード予約のフラグ(Fyoyaku-special)がONでないと判定された場合、S28のステップに進む。
【0053】
特別モード予約のフラグ(Fyoyaku-special)がONであると判定された場合、回避時間帯設定のフラグ(Fsui-avo)がONであるか否かを判定する(S16)。回避時間帯設定のフラグ(Fsui-avo)がONでないと判定された場合、S41のステップに進む。
【0054】
回避時間帯設定のフラグ(Fsui-avo)がONであると判定された場合、優先時間帯設定のフラグ(Fsui-pri)がONであるか否かを判定する(S17)。優先時間帯設定のフラグ(Fsui-pri)がONでないと判定された場合、S21のステップに進む。
【0055】
優先時間帯設定のフラグ(Fsui-pri)がONであると判定された場合、予約時刻(Tres)が優先時間帯開始時刻(Tpri-on)以降回避時間帯開始時刻(Tavo-on)以前であるか否かを判定する(S18)。
【0056】
予約時刻(Tres)が優先時間帯開始時刻(Tpri-on)以降回避時間帯開始時刻(Tavo-on)以前である場合、S41のステップに進む。予約時刻(Tres)が優先時間帯開始時刻(Tpri-on)以降回避時間帯開始時刻(Tavo-on)以前でない場合、S21のステップに進む。そして、メニュー選択スイッチ17で選択された調理メニューに応じて、必要炊飯時間(Tsui)(調理時間)を設定する(S21)。
【0057】
その後、必要炊飯時間(Tsui)と、予約時刻(Tres)とから調理開始時刻(Tsui-start)を算出し設定する(S22)。
【0058】
そして、炊飯(調理)開始時刻(Tsui-start)が回避時間帯の終了以前であり、かつ予約時刻(Tres)が回避時間帯の開始時刻(Tavo-on)以降であるか否かを判定する(S23)。
【0059】
炊飯(調理)開始時刻(Tsui-start)が回避時間帯の終了以前であり、かつ予約時刻(Tres)が回避時間帯の開始時刻(Tavo-on)以降であると判定された場合、回避時間帯開始時刻(Tavo-on)から必要炊飯時間(Tsui)だけ遡及した時刻に炊飯開始時刻(Tsui-start)を補正し、炊飯開始補正時刻(Tsui-start)を設定する(S24)。
【0060】
そして、現在時刻(Tnow)の設定に進む(S25)。
【0061】
一方、S23のステップにおいて、炊飯(調理)開始時刻(Tsui-start)が回避時間帯の終了以前でないか、あるいは予約時刻(Tres)が回避時間帯の開始時刻(Tavo-on)以降でないと判定された場合、炊飯開始時刻(Tsui-start)の調整を行わずに、現在時刻(Tnow)の設定に進む(S25)。
【0062】
現在時刻(Tnow)設定後、コントローラ27は、炊飯開始時刻(Tsui-start)が、現在時刻(Tnow)以前であるか否か、あるいは炊飯開始補正時刻(Tsui-start)が、現在時刻(Tnow)以前であるか否かを判定する(S26)。
【0063】
炊飯開始時刻(Tsui-start)または炊飯開始補正時刻(Tsui-start)が現在時刻(Tnow)以前でないと判定された場合、炊飯開始時刻(Tsui-start)または炊飯開始補正時刻(Tsui-start)まで待機する。
【0064】
現在時刻(Tnow)が炊飯開始時刻(Tsui-start)になったと判定された場合、炊飯を開始する(S27)。
【0065】
S16のステップにおいて、回避時間帯設定のフラグ(Fsui-avo)がONでないと判定された場合、S41のステップに進む。そして、メニュー選択スイッチ17で選択された調理メニューに応じて、必要炊飯時間(Tsui)(調理時間)を設定する(S41)。
【0066】
その後、必要炊飯時間(Tsui)と、予約時刻(Tres)とから調理開始時刻(Tsui-start)を算出し設定する(S42)。
【0067】
そして、炊飯(調理)開始時刻(Tsui-start)が優先時間帯であり、かつ予約時刻(Tres)が優先時間帯終了時刻(Tpri-off)以降であるか否かを判定する(S43)。
【0068】
炊飯(調理)開始時刻(Tsui-start)が優先時間帯であり、かつ予約時刻(Tres)が優先時間帯終了時刻(Tpri-off)以降であると判定された場合、優先時間帯終了時刻(Tpri-off)から必要炊飯時間(Tsui)だけ遡及した時刻に炊飯開始時刻(Tsui-start)を補正し、炊飯開始補正時刻(Tsui-start)を設定する(S44)。
【0069】
そして、現在時刻(Tnow)の設定に進む(S45)。
【0070】
一方、炊飯(調理)開始時刻(Tsui-start)が優先時間帯でないか、あるいは予約時刻(Tres)が優先時間帯終了時刻(Tpri-off)以降でないと判定された場合、炊飯開始時刻(Tsui-start)の調整を行わずに、現在時刻(Tnow)の設定に進む(S45)。
【0071】
現在時刻(Tnow)設定後、コントローラ27は、現在時刻(Tnow)が炊飯開始時刻(Tsui-start)になったか否かを判定する(S46)。
【0072】
炊飯開始時刻(Tsui-start)または炊飯開始補正時刻(Tsui-start)が現在時刻(Tnow)以前でないと判定された場合、炊飯開始時刻(Tsui-start)または炊飯開始補正時刻(Tsui-start)まで待機する。
【0073】
炊飯開始時刻(Tsui-start)または炊飯開始補正時刻(Tsui-start)が現在時刻(Tnow)以前であると判定された場合、炊飯を開始する(S47)。
【0074】
一方、S15のステップにおいて、特別モード予約のフラグ(Fyoyaku-special)がONでないと判定された場合、S28のステップに進む。そして、通常モード予約のフラグ(Fyoyaku-normal)がONであるか否かを判定する(S28)。
【0075】
通常モード予約のフラグ(Fyoyaku-normal)がONであると判定された場合、メニュー選択スイッチ17で選択された調理メニューに応じて、必要炊飯時間(Tsui)(調理時間)を設定する(S29)。
【0076】
その後、必要炊飯時間(Tsui)と、予約時刻(Tres)とから調理開始時刻(Tsui-start)を算出し設定する(S30)。そして、S25のステップに進む。
【0077】
一方、S28のステップにおいて、コントローラ27により通常モード予約のフラグ(Fyoyaku-normal)がONでないと判定された場合、炊飯を開始する(S27)。
【0078】
回避時間帯および優先時間帯の少なくとも一方を使用する特別モードで炊飯開始時刻(Tsui-start)を補正し加熱調理した場合、必要に応じて予約時刻(Tres)の直前に加熱手段6,10,29を再加熱手段として用いて加熱済の調理対象物を再加熱する。再加熱が必要となる場合については後述する。S21、29、41のステップは、調理時間設定手段を構成する。S22、30、42のステップは、調理開始時刻算出手段を構成する。S23、24、43、44のステップは、調理時間帯調整手段を構成する。
【0079】
図6は、回避時間帯が設定されている場合において、調理開始時刻(Tsui-start)および予約時刻(Tres)のそれぞれが含まれる時間帯をパターン分けしたものである。調理開始時刻(Tsui-start)と予約時刻(Tres)が含まれる時間帯のパターンは全部で6パターンである。
回避時間帯開始時刻(Tavo-on)以前の時間帯:C、回避時間帯開始時刻(Tavo-on)以降、かつ回避時間帯終了時刻(Tavo-off)以前の時間帯(回避時間帯):B、回避時間帯終了時刻(Tavo-off)以降の時間帯:Aとする。
【0080】
(パターン1)
調理開始時刻:A
予約時刻 :A
このパターンでは、調理開始時刻(Tsui-start)および予約時刻(Tres)の両方が回避時間帯終了時刻(Tavo-off)以降の時間帯Aであり、調理時間の間、回避時間帯Bが含まれていない。したがって、調理時間帯のシフトはない。
【0081】
(パターン2)
調理開始時刻:B
予約時刻 :A
このパターンでは、調理開始時刻(Tsui-start)が回避時間帯開始時刻(Tavo-on)以降、回避時間帯終了時刻(Tavo-off)以前の時間帯Bであり、かつ予約時刻(Tres)が回避時間帯終了時刻(Tavo-off)以降の時間帯Aであるため、調理時間の一部が回避時間帯Bに含まれている。したがって、調理時間帯はシフトをする。具体的には、調理完了時刻を回避時間帯開始時刻(Tavo-on)とし、調理開始時刻(Tsui-start)を回避時間帯開始時刻(Tavo-on)から調理時間だけ遡及した時刻とする。
【0082】
(パターン3)
調理開始時刻:C
予約時刻 :A
このパターンでは、調理開始時刻(Tsui-start)が回避時間帯開始時刻(Tavo-on)以前の時間帯Cであり、かつ予約時刻(Tres)が回避時間帯終了時刻(Tavo-off)以降の時間帯Aであるため、調理時間の一部が回避時間帯Bに含まれている。したがって、調理時間帯はシフトをする。具体的には、パターン2のシフトと同様である。
【0083】
(パターン4)
調理開始時刻:B
予約時刻 :B
このパターンでは、調理開始時刻(Tsui-start)および予約時刻(Tres)の両方が回避時間帯開始時刻(Tavo-on)以降、回避時間帯終了時刻(Tavo-off)以前の時間帯Bであり、調理時間の全部が回避時間帯Bに含まれている。したがって、調理時間帯はシフトをする。具体的には、パターン2のシフトと同様である。
【0084】
(パターン5)
調理開始時刻:C
予約時刻 :B
このパターンでは、調理開始時刻(Tsui-start)が回避時間帯開始時刻(Tavo-on)以前の時間帯Cであり、かつ予約時刻(Tres)が回避時間帯開始時刻(Tavo-on)以降、回避時間帯終了時刻(Tavo-off)以前の時間帯Bであり、調理時間の一部が回避時間帯Bに含まれている。したがって、調理時間帯はシフトをする。具体的には、パターン2のシフトと同様である。
【0085】
(パターン6)
調理開始時刻:C
予約時刻 :C
このパターンでは、調理開始時刻(Tsui-start)および予約時刻(Tres)の両方が回避時間帯開始時刻(Tavo-on)以前の時間帯Cであり、調理時間は回避時間帯Bに含まれていない。したがって、調理時間帯はシフトしない。
【0086】
回避時間帯Bが設定されたパターン1〜6の中では、少なくとも調理時間の一部が回避時間帯に含まれる2〜5の場合にのみ、調理開始時刻(Tsui-start)を調整し、調理開始時刻(Tsui-start)を回避時間帯開始時刻(Tavo-on)から調理時間だけ遡及した時刻とする。そして、調理時間帯がシフトしたパターン2〜5の場合、予約時刻(Tres)直前に加熱手段6,10,29を再加熱手段として用いて加熱済の調理対象物を再加熱する。
【0087】
図7は、優先時間帯が設定されている場合において、調理開始時刻(Tsui-start)および予約時刻(Tres)のそれぞれが含まれる時間帯をパターン分けしたものである。調理開始時刻(Tsui-start)と予約時刻(Tres)が含まれる時間帯のパターンは全部で6パターンである。
優先時間帯開始時刻(Tpri-on)以前の時間帯:F、優先時間帯開始時刻(Tpri-on)以降、かつ優先時間帯終了時刻(Tpri-off)以前の時間帯(優先時間帯):E、優先時間帯終了時刻(Tpri-off)以降の時間帯:Dとする。
【0088】
(パターン1)
調理開始時刻:D
予約時刻 :D
このパターンでは、調理開始時刻(Tsui-start)および予約時刻(Tres)の両方が優先時間帯終了時刻(Tpri-off)以降の時間帯Dである。したがって、調理開始時刻(Tsui-start)が優先時間帯Eの開始以降であり、かつ予約時刻(Tres)が優先時間帯Eの終了以降であるため、調理時間帯はシフトをする。具体的には、調理完了時刻を優先時間帯終了時刻(Tpri-off)とし、調理開始時刻(Tsui-start)を、優先時間帯終了時刻(Tpri-off)から調理時間だけ遡及した時刻とする。
【0089】
(パターン2)
調理開始時刻:E
予約時刻 :D
このパターンでは、調理開始時刻(Tsui-start)が優先時間帯開始時刻(Tpri-on)以降、優先時間帯終了時刻(Tpri-off)以前の時間帯Eであり、かつ予約時刻(Tres)が優先時間帯終了時刻(Tpri-off)以降の時間帯Dであるため、調理時間の一部が優先時間帯Eに含まれている。したがって、調理時間帯はシフトをする。具体的には、調理完了時刻を優先時間帯終了時刻(Tpri-off)とし、調理開始時刻(Tsui-start)を、優先時間帯終了時刻(Tpri-off)から調理時間だけ遡及した時刻とする。
【0090】
(パターン3)
調理開始時刻:F
予約時刻 :D
このパターンでは、調理開始時刻(Tsui-start)が優先時間帯開始時刻(Tpri-on)以前の時間帯Fであり、かつ予約時刻(Tres)が優先時間帯終了時刻(Tpri-off)以降の時間帯Dであるため、調理時間の一部が優先時間帯E全体に含まれている。したがって、調理時間帯はシフトしない。
【0091】
(パターン4)
調理開始時刻:E
予約時刻 :E
このパターンでは、調理開始時刻(Tsui-start)および予約時刻(Tres)の両方が優先時間帯開始時刻(Tpri-on)以降、優先時間帯終了時刻(Tpri-off)以前の時間帯Eであるため、調理時間の全部が優先時間帯E全体に含まれている。したがって、調理時間帯はシフトしない。
【0092】
(パターン5)
調理開始時刻:F
予約時刻 :E
このパターンでは、調理開始時刻(Tsui-start)が優先時間帯開始時刻(Tpri-on)以前の時間帯Fであり、予約時刻(Tres)が優先時間帯開始時刻(Tpri-on)以降、優先時間帯終了時刻(Tpri-off)以前の時間帯Eであるため、調理時間の一部が優先時間帯Eに含まれている。したがって、調理時間帯はシフトしない。
【0093】
(パターン6)
調理開始時刻:F
予約時刻 :F
このパターンでは、調理開始時刻(Tsui-start)および予約時刻(Tres)の両方が優先時間帯開始時刻(Tpri-on)以前の時間帯Fであり、調理時間は優先時間帯Eに含まれていない。したがって、調理時間帯はシフトしない。
【0094】
優先時間帯Eが設定されたパターン1〜6の中では、パターン1および2においてのみ調理開始時刻(Tsui-start)を調整し、調理開始時刻(Tsui-start)を優先時間帯終了時刻(Tpri-off)から調理時間だけ遡及した時刻とする。そして、調理時間帯がシフトしたパターン1および2の場合、予約時刻(Tres)直前に加熱手段6,10,29を再加熱手段として用いて加熱済の調理対象物を再加熱する。
【0095】
回避時間帯開始時刻(Tavo-on)を14時、回避時間帯終了時刻(Tavo-off)を17時に設定した場合を例として説明する。ここで、炊飯に要する時間(Tsui)(調理時間)は「ふつう」メニューで40分、「玄米」メニューで2時間とする。
【0096】
(予約時刻(Tres):18時、回避時間帯:14〜17時)
(i)「ふつう」メニューで炊飯する場合、炊飯に要する時間(40分)だけ遡及した時刻が調理を開始する時刻となるので、調理開始時刻は17時20分となる。しかしながら、回避時間帯が14〜17時に設定され、調理開始時刻17時20分は回避時間帯14〜17時に含まれない。したがって、調理開始時刻に変更はなく17時20分である。
【0097】
(ii)「玄米」メニューで炊飯する場合、炊飯に要する時間(2時間)だけ遡及した時刻が調理を開始する時刻となるので、調理開始時刻は16時となる。しかしながら、回避時間帯が14〜17時に設定され、調理開始時刻16時は回避時間帯14〜17時に含まれるので、調理完了時刻を回避時間帯開始時刻(Tavo-on)(14時)となるように遡及させ、14時から調理時間(2時間)だけ遡及した12時に調理開始時刻を補正する。
【0098】
(予約時刻(Tres):17時30分、回避時間帯:14〜17時)
(i)「ふつう」メニューで炊飯する場合、炊飯に要する時間(40分)だけ遡及した時刻が調理を開始する時刻となるので、調理開始時刻は16時50分となる。しかしながら、回避時間帯が14〜17時に設定され、調理開始時刻16時50分は回避時間帯14〜17時に含まれるので、調理完了時刻を回避時間帯開始時刻(Tavo-on)(14時)となるように遡及させ、14時から調理時間(40分)だけ遡及した13時20分に調理開始時刻を補正する。
【0099】
(ii)「玄米」メニューで炊飯する場合、炊飯に要する時間(2時間)だけ遡及した時刻が調理を開始する時刻となるので、調理開始時刻は15時30分となる。しかしながら、回避時間帯が14〜17時に設定され、調理開始時刻15時30分は回避時間帯14〜17時に含まれるので、調理完了時刻を回避時間帯開始時刻(Tavo-on)(14時)となるように遡及させ、14時から調理時間(2時間)だけ遡及した12時に調理開始時刻を補正する。
【0100】
優先時間帯開始時刻(Tpri-on)を23時、優先時間帯終了時刻(Tpri-off)を7時に設定した場合を例として説明する。ここで、炊飯に要する時間(Tsui)(調理時間)は「ふつう」メニューで40分、「玄米」メニューで2時間とする。
【0101】
(予約時刻(Tres):9時、優先時間帯:23〜7時)
(i)「ふつう」メニューで炊飯する場合、炊飯に要する時間(40分)だけ遡及した時刻が調理を開始する時刻となるので、調理開始時刻は8時20分となる。しかしながら、優先時間帯が23〜7時に設定され、調理開始時刻8時20分は優先時間帯23〜7時に含まれない。したがって、調理完了時刻を優先時間帯終了時刻(Tpri-off)(7時)となるように遡及させ、7時から調理時間(40分)だけ遡及した6時20分に調理開始時刻を補正する。
【0102】
(ii)「玄米」メニューで炊飯する場合、炊飯に要する時間(2時間)だけ遡及した時刻が調理を開始する時刻となるので、調理開始時刻は7時となる。しかしながら、優先時間帯が23〜7時に設定され、調理開始時刻7時は優先時間帯終了時刻である。したがって、調理完了時刻が優先時間帯終了時刻(Tpri-off)(7時)となるように遡及させ、7時から調理時間(2時間)だけ遡及した5時に調理開始時刻を補正する。
【0103】
(予約時刻(Tres):6時、優先時間帯:23〜7時)
(i)「ふつう」メニューで炊飯する場合、炊飯に要する時間(40分)だけ遡及した時刻が調理を開始する時刻となるので、調理開始時刻は5時20分となる。しかしながら、優先時間帯が23〜7時に設定されているので、調理開始時刻および調理完了時刻に変更はない。調理開始時刻は5時20分であり、調理完了時刻は6時である。
【0104】
(ii)「玄米」メニューで炊飯する場合、炊飯に要する時間(2時間)だけ遡及した時刻が調理を開始する時刻となるので、調理開始時刻は4時となる。しかしながら、優先時間帯が23〜7時に設定されているので、調理開始時刻および調理完了時刻に変更はない。調理開始時刻は4時であり、調理完了時刻は6時である。
【0105】
本発明によれば、指定時間帯設定スイッチ19により設定した指定時間帯を加熱手段6,10,29の制御に使用しない通常モード、および指定時間帯を加熱手段6,10,29の制御に使用する特別モードのいずれか一方をモード設定スイッチ18により選択し、選択したモードで加熱調理した調理対象物が予約時刻設定スイッチ20により設定された予約時刻(Tres)に提供されるよう調理予約を行うことができる。該調理予約では、メニュー選択手段17で選択された調理メニューに応じて調理時間(Tsui)が設定され、調理時間(Tsui)と予約時刻(Tres)とから調理開始時刻(Tsui-start)が算出される。特別モードが選択されている場合、調理開始時刻(Tsui-start)及び予約時刻(Tres)と指定時間帯との時間的前後関係に基づいて、調理開始時刻(Tsui-start)を繰り上げるように調整して駆動制御手段27により加熱手段6,10,29の動作を制御することができるので、電力需給の観点から好ましい時間帯に加熱調理を実行することができる。したがって、加熱調理の実行に関する時間帯である指定時間帯を設定可能にして電力需給の観点から好ましい時間帯に加熱調理を実行することができる。すなわち、炊飯予約メニューの実行において、最も電力を消費する炊飯調理を電力消費がピークとなる時間帯を外した時間帯や深夜時間帯に自動で行うことにより、地域全体での電力ピークから分散させることができる。これにより、電力会社は、停電リスクの回避や発電量の削減が可能となり、CO排出量低下など環境にやさしい炊飯調理が実行できる。そして、炊飯完了後、予約時刻までの時間に応じて、自動で保温を停止し予約時刻直前で保温または再加熱、あるいは自動で保温し予約時刻直前で再加熱することにより電気使用量の削減と操作の煩わしさを低減できる。
【0106】
また、調理開始時刻(Tsui-start)を繰り上げて調理された加熱済の調理物を予約時刻(Tres)の直前に再加熱手段6,10,29により自動で再加熱するので、予約時刻(Tres)に加熱済の調理物を調理完了直後と同様の状態にすることができる。したがって、使用者が手動で再加熱を行う煩わしさを低減でき、また、食味の低下を回避することができる。
【0107】
そして、特別モードが選択され、指定時間帯が回避時間帯を含む場合、調理開始時刻(Tsui-start)が指定時間帯の終了以前、かつ予約時刻(Tres)が指定時間帯の開始以降であるときに、指定時間帯の開始時刻から調理時間(Tsui)だけ遡及した時刻に調理開始時刻(Tsui-start)を補正することができる。したがって、回避時間帯を回避して電力需給の観点から好ましい時間帯に加熱調理を実行することができる。
【0108】
また、特別モードが選択され、指定時間帯が優先時間帯を含む場合、調理開始時刻(Tsui-start)が指定時間帯、かつタイマー設定手段20で設定された予約時刻(Tres)が指定時間帯の終了以降であるときに、指定時間帯の開始時刻から調理時間(Tsui)だけ遡及した時刻に調理開始時刻(Tsui-start)を補正することができる。したがって、優先時間帯を優先的に利用して電力需給の観点から好ましい時間帯に加熱調理を実行することができる。
【0109】
さらに、指定時間帯設定スイッチ19を設けているので、メーカー出荷後に、使用者が指定時間帯を任意に設定でき、計画停電、節電、電力ピークのシフトにも対応できる。また、地域全体での電力分散や計画停電による炊飯停止を回避するため、使用者が「深夜電力の時間帯」や、「地域特有の電力使用が少ない時間帯」、「計画停電が実行される時間帯」等を設定できるよう炊飯プログラムを構成してもよい。
【0110】
なお、本発明の加熱調理器は、前記実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するように種々の変更が可能である。
【0111】
電力需給の観点から指定時間帯に基づいて加熱調理を実行することが好ましいが、食味などを考慮すると、調理完了時刻をなるべく予約時刻に近づける方が良い。
【0112】
したがって、調理時間の全部ではなく少なくとも半分以上の時間を、回避時間帯の開始時刻以前にシフトさせるように調理開始時刻を繰り上げてもよい。これにより、調理時間の一部が回避時間帯に含まれることを許容した調理を実行することができる。また、回避時間帯の開始時刻以前に調理が完了することを許容した調理を実行することができる。したがって、調理時間の少なくとも半分以上の時間を回避時間帯から回避して電力需給の観点から好ましい時間帯に加熱調理を実行することができる。
【0113】
調理時間帯調整手段は、調理時間に対して所定時間だけ減じたか、または加えた範囲内の時間だけ回避時間帯の開始時刻から遡及した時刻に調理開始時刻を補正してもよい。この構成によれば、調理時間の一部が所定時間だけ回避時間帯に含まれることを許容した調理を実行することができる。また、回避時間帯の開始時刻から所定時間だけ前の時刻に調理が完了することを許容した調理を実行することができる。なお、所定時間は、回避時間帯の10%以内の時間であることが望ましく、更に10分程度であることが望ましい。
【0114】
また、調理時間の少なくとも半分以上の時間を、優先時間帯の終了時刻以前にシフトさせるように調理開始時刻を繰り上げてもよい。これにより、調理時間の一部が優先時間帯に含まれないことを許容した調理を実行することができる。また、優先時間帯の終了時刻以前に調理が完了することを許容した調理を実行することができる。したがって、調理時間の少なくとも半分以上の時間を優先時間帯を優先的に利用して電力需給の観点から好ましい時間帯に加熱調理を実行することができる。
【0115】
調理時間帯調整手段は、調理時間に対して所定時間だけ減じたか、または加えた範囲内の時間だけ優先時間帯の終了時刻から遡及した時刻に調理開始時刻を補正してもよい。この構成によれば、調理時間の一部が所定時間だけ優先時間帯に含まれないことを許容した調理を実行することができる。また、優先時間帯の終了時刻から所定時間だけ前の時刻に調理が完了することを許容した調理を実行することができる。なお、所定時間は、優先時間帯の10%以内の時間であることが望ましく、更に10分程度であることが望ましい。
【0116】
操作パネル15は蓋体8に設けてもよい。
【0117】
指定時間帯は予めプログラムに設定していてもよい。その場合、予約調理設定において指定時間帯の入力を省略できるように構成する。
【0118】
実行される保温・再加熱の電力量を抑えるために、回避時間帯を設定した場合に調理完了時刻を回避時間帯開始時刻(Tavo-on)に設定することが望ましいが、回避時間帯開始時刻(Tavo-on)以前に設定してもよい。また、優先時間帯を設定した場合に調理完了時刻を優先時間帯終了時刻(Tpri-off)に設定することが望ましいが、優先時間帯終了時刻(Tpri-off)以前に設定してもよい。
【0119】
再加熱手段6,10,29による再加熱の実行または非実行を設定するための再加熱設定手段を設けてもよい。この構成によれば、再加熱の実行の要否を選択することができる。
【0120】
電力削減の観点から、調理開始時刻が繰り上がった場合、加熱調理完了後から予約時刻(Tres)までの間、温調制御を行わず(保温切り状態で)待機することが望ましい。そのため、前述した実施形態では、加熱調理完了後に保温を行わない加熱調理器について説明したが、炊飯調理完了後、ご飯が長時間低温状態となる場合は、菌繁殖リスクが高まるため、炊飯調理完了後から予約時刻までの時間に基づいて、保温手段6,10,29により加熱調理済の調理対象物の保温を設定する保温設定手段を設けてもよい。この構成によれば、調理開始時刻(Tsui-start)を繰り上げて調理された加熱済の調理物を、炊飯調理完了後から予約時刻までの時間に基づいて、保温設定手段が保温を設定して、加熱調理完了後、予約時刻(Tres)まで保温手段6,10,29により保温するので、予約時刻(Tres)まで加熱済の調理物の菌繁殖リスクを抑えることができる。例えば、ご飯が低温で保持され炊飯完了6時間以降に雑菌が加速度的に増殖するならば、炊飯完了から予約時刻が6時間以上の場合に保温が自動で実行されるように設定される。
【0121】
保温手段6,10,29による保温の実行または非実行を設定するための保温設定手段を設けてもよい。この構成によれば、保温の実行の要否を選択することができる。
【0122】
また、通常モードおよび特別モードそれぞれの電気使用量を演算し、両者を比較可能な手段であって、特別モードでの調理において、調理完了時刻から予約時刻までが長くなり、予約調理全体を通じての電気使用量が予約時刻直前で炊飯調理を実行する通常モードの予約調理よりも高くなる場合に、使用者が特別モードを設定しても、コントローラ27が両方のモードのうちで少ない電力量の通常モードを選択して再設定する再設定手段を設けてもよい。
【0123】
調理時間および予約時刻が回避時間帯に含まれる場合に予約設定エラーであることを表示し、予約設定を拒否する予約設定拒否手段を設けてもよい。この構成によれば、使用者は予約設定による調理実行が、調理の回避時間帯にかかることを知ることができる。
【0124】
本発明は、自動製パン器等の加熱調理器にも適用できる。
【符号の説明】
【0125】
2 内鍋(容器)
6 加熱コイル
10 蓋ヒータ
17 メニュー選択スイッチ(メニュー選択手段)
18 モード設定スイッチ(モード選択手段)
19 指定時間帯設定スイッチ(指定時間帯設定手段)
20 予約時刻設定スイッチ(タイマー設定手段)
27 コントローラ(駆動制御手段)
29 胴ヒータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に収容された調理対象物を加熱手段で加熱して調理する加熱調理器であって、
調理メニューを選択するためのメニュー選択手段と、
メニュー選択手段で選択された前記調理メニューに応じて、予め定められた調理時間を設定する調理時間設定手段と、
前記加熱手段によって加熱調理済の前記調理対象物を提供する予定の時刻である予約時刻を設定するタイマー設定手段と、
前記調理時間と前記予約時刻とから前記加熱手段による加熱調理を開始する時刻である調理開始時刻を算出する調理開始時刻算出手段と、
前記調理開始時刻、前記予約時刻、及び前記調理時間に基づいて前記加熱手段の動作を制御する駆動制御手段と、
前記調理開始時刻及び前記予約時刻と加熱調理の実行に関する指定時間帯との時間的前後関係に基づいて、前記調理開始時刻を繰り上げるように調整する調理時間帯調整手段と
を備える加熱調理器。
【請求項2】
前記指定時間帯は前記加熱手段による電力消費の回避が要求される回避時間帯を含み、
前記調理時間帯調整手段は、前記調理開始時刻算出手段で算出された前記調理開始時刻が前記指定時間帯の終了以前、かつ前記タイマー設定手段で設定された前記予約時刻が前記指定時間帯の開始以降であれば、前記指定時間帯の開始時刻から前記調理時間の少なくとも半分以上の時間だけ遡及した時刻に前記調理開始時刻を繰り上げることを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記指定時間帯は前記加熱手段による電力消費の回避が要求される回避時間帯を含み、
前記調理時間帯調整手段は、前記調理開始時刻算出手段で算出された前記調理開始時刻が前記指定時間帯の終了以前、かつ前記タイマー設定手段で設定された前記予約時刻が前記指定時間帯の開始以降であれば、前記調理時間に対して所定時間だけ減じたか、または加えた範囲内の時間だけ前記指定時間帯の開始時刻から遡及した時刻に前記調理開始時刻を補正することを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記所定時間は、前記回避時間帯の10%以内の時間であることを特徴とする請求項3に記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記指定時間帯は前記加熱手段による電力消費の優先実行が要求される優先時間帯を含み、
前記調理時間帯調整手段は、前記調理開始時刻算出手段で算出された前記調理開始時刻が前記指定時間帯の開始以降であり、かつ前記タイマー設定手段で設定された前記予約時刻が前記指定時間帯の終了以降であれば、前記指定時間帯の終了時刻から前記調理時間の少なくとも半分以上の時間だけ遡及した時刻に前記調理開始時刻を繰り上げることを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記指定時間帯は前記加熱手段による電力消費の優先実行が要求される優先時間帯を含み、
前記調理時間帯調整手段は、前記調理開始時刻算出手段で算出された前記調理開始時刻が前記指定時間帯の開始以降であり、かつ前記タイマー設定手段で設定された前記予約時刻が前記指定時間帯の終了以降であれば、前記調理時間に対して所定時間だけ減じたか、または加えた範囲内の時間だけ前記指定時間帯の終了時刻から遡及した時刻に前記調理開始時刻を補正することを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項7】
前記所定時間は、前記優先時間帯の10%以内の時間であることを特徴とする請求項6に記載の加熱調理器。
【請求項8】
前記指定時間帯を任意に設定可能な指定時間帯設定手段を備えることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項9】
前記調理開始時刻が繰り上がった場合に前記予約時刻の直前に加熱調理済の前記調理対象物を再加熱する再加熱手段を備えることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項10】
前記調理開始時刻が繰り上がった場合に前記調理時間経過後から前記予約時刻までの間、加熱調理済の前記調理対象物を保温する保温手段を備えることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項11】
前記再加熱手段による再加熱の実行または非実行を設定するための再加熱設定手段を備えることを特徴とする請求項9に記載の加熱調理器。
【請求項12】
前記調理開始時刻が繰り上がった場合に前記調理時間経過後から前記予約時刻までの間、加熱調理済の前記調理対象物を保温する保温手段と、
前記再加熱手段による再加熱の実行または非実行を設定するための再加熱設定手段と
を備えることを特徴とする請求項9に記載の加熱調理器。
【請求項13】
前記保温手段による保温の実行または非実行を設定するための保温設定手段を備えることを特徴とする請求項10に記載の加熱調理器。
【請求項14】
前記加熱手段の制御に前記指定時間帯を使用しない通常モードと、前記加熱手段の制御に前記指定時間帯を使用する特別モードとを選択するためのモード選択手段を備えることを特徴とする請求項1ないし13のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項15】
容器に収容された調理対象物を加熱手段で加熱して調理する加熱調理器であって、
調理メニューを選択するためのメニュー選択手段と、
メニュー選択手段で選択された前記調理メニューに応じて、予め定められた調理時間を設定する調理時間設定手段と、
前記加熱手段によって加熱調理済の前記調理対象物を提供する予定の時刻である予約時刻を設定するタイマー設定手段と、
前記調理時間と前記予約時刻とから前記加熱手段による加熱調理を開始する時刻である調理開始時刻を算出する調理開始時刻算出手段と、
前記調理開始時刻、前記予約時刻、及び前記調理時間に基づいて前記加熱手段の動作を制御する駆動制御手段と、
加熱調理の実行に関する指定時間帯である前記加熱手段による電力消費の回避が要求される回避時間帯を任意に設定可能な指定時間帯設定手段と、
前記調理時間および前記予約時刻が前記回避時間帯に含まれる場合に予約設定エラーであることを表示し、予約設定を拒否する予約設定拒否手段と
を備える加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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