説明

加熱調理方法と装置

【課題】単位配置面積当たりの輻射熱量の増大と、食品に曝した後の過熱水蒸気潜熱の有効利用およびそれによる排気温度の低下とが図れるようにする。
【解決手段】平面視した配置スペースSに対し35%以上の配置密度で絶縁性を確保して加熱調理域1に配置した電熱管2に通電して発熱させながら、水3a、温水3bまたは飽和水蒸気3cを通して飽和水蒸気3cまたは過熱水蒸気3eにして放出し、前記発熱による輻射熱7と共に、加熱調理域1内の食品4に曝すのに併せ、食品4に曝した飽和水蒸気3cまたは過熱水蒸気3eは加熱調理域1上部の排気部9から、この排気部9に保持している石類、木炭、セラミックといった遠赤外線発生素材6との熱交換を経て外部に排気し、この熱交換を受けた遠赤外線発生素材6からの遠赤外線8に食品4を曝して、食品4を加熱調理することにより、上記の課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品につき焼きを主とした加熱調理を、過熱水蒸気を含む水系熱媒体、それを生成する発熱体を熱源として食品の加熱調理を行う加熱調理方法と装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1は、本出願人が先に開発し既に提案した、過熱水蒸気を含む水系熱媒体、それを生成する発熱体を熱源として食品の加熱調理を行う初期の技術を開示している。この技術は、通電により発熱し供給され通される水、温水または飽和水蒸気を温水、飽和水蒸気または過熱水蒸気にして放出する電熱管の蒸気供給口側の上流部と、蒸気放出口側の下流部とを、重なる2つの平面域に配管して、下流部を配管した平面域側を食品に対向させ、電熱管から放出する過熱水蒸気などと電熱管からの輻射熱とに、食品を曝して加熱処理するようにしている。
【0003】
これにより、処理室内で電熱管からの輻射熱と、電熱管に水、温水または飽和水蒸気を通して加熱し放出する常圧となった温水、飽和水蒸気または過熱水蒸気とに、食品を曝して、特別な圧力管理の必要無しに食品を加熱処理し、電熱管の発熱の低い上流部と発熱の高い下流部とを重なった2つの平面域に配管するだけの、特に複雑化や大型化しない形態にて、発熱の高い下流部を配管した平面域側を食品に対向させて食品を加熱処理することができ、しかも、過熱水蒸気などと共に電熱管からの上流側より強い輻射熱を、より均等に、効率よく、かつ、食品の搬送などを邪魔することなく、その食品に及ぼすことができる。特に、電熱管から放出する温水はクラスタが微少となってマイナスイオンが発生するので、マイナスイオンによる殺菌効果も得られる。また、電熱管は赤熱もし、蒸気を通すことで効率よく過熱水蒸気とし、その過熱水蒸気の温度は電熱管の長の選定と、電熱管への通電制御と、によって比較的自由に設定でき、食物に対する加熱調理の選択性に優れる。
【0004】
一方、特許文献1の技術以前の過熱水蒸気を利用した技術として、下記特許文献2は、食物の出入り口を蓋付きで設けた調理容器内に、過熱水蒸気を送り込む蒸気供給パイプと外部に通じる排気パイプとを設け、別に、発生器で発生させた水蒸気を加熱器により加熱して100℃から350℃で設定した過熱水蒸気とし、蒸気供給パイプを通じ所定の時間調理容器内に送り込むことによって、食物を調理する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−20484号公報
【特許文献2】特開平6−90677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の技術では、電熱管の平面視した配置スペースに対する配置密度が25%未満と低く、その単位配置面積当たりの輻射熱量に限界がある。また、電熱管を通して発生した過熱水蒸気は、食品に曝すが、その後外部に放出してしまうので、その潜熱の有効利用率はまだ低いし、選定した過熱水蒸気の温度によっては排気温度がまだ高く、そのままの排出には危険防止上の制限がある。従って、調理時間が短縮できない難点がある。これは、調理食物を搬送しながら連続して加熱調理するのに、超低速搬送として生産性を犠牲にするか、装置の配置スペースの増大、コスト上昇を犠牲にして、搬送距離を延長するか、が必要になる。
【0007】
一方、特許文献2に記載の技術は、特許文献1に記載の技術のような電熱管内に蒸気を通して過熱水蒸気の発生方式でなく、過熱水蒸気の発生対象域に電熱管から熱輻射を及ぼす過熱方式でもない点で、特許文献1に記載の技術には及ばない。
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑み、電熱管に水蒸気を通して生成した過熱水蒸気と、電熱管からの熱輻射と、によって加熱調理をするのに、単位配置面積当たりの輻射熱量の増大と、食品に曝した後の過熱水蒸気潜熱の有効利用およびそれによる排気温度の低下とが図れる加熱調理方法と装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の加熱調理方法は、平面視した配置スペースに対し35%以上の配置密度で絶縁性を確保して加熱調理域に配置した電熱管に通電して発熱させながら、水、温水または飽和水蒸気を通して飽和水蒸気または過熱水蒸気にして放出し、前記発熱による輻射熱と共に、加熱調理域内の食品に曝すのに併せ、食品に曝した飽和水蒸気または過熱水蒸気は加熱調理域の上部の排気部から、この排気部に保持している石類、木炭、セラミックといった遠赤外線発生素材との熱交換を経て外部に排気し、この熱交換を受けた遠赤外線発生素材からの遠赤外線に食品を曝して、食品を加熱調理することを特徴としている。
【0010】
このような構成では、電熱管はその配置スペースに対し35%以上の配置密度でしかも絶縁性を確保して配置されるので、通電異常、通電効率低下の原因なしに、単位配置面積当たりの輻射熱量の増大と、選択した配置スペース内での電熱管の配置長さの長大化とを図った条件での飽和蒸気や過熱水蒸気を食品に曝して無酸素環境で加熱調理ができる。また、食品に曝した後の飽和蒸気や過熱水蒸気は、排気部の石類、木炭、セラミックといった遠赤外線発生素材との熱交換を経て外部に排気され、熱交換を受けて昇温した遠赤外線発生素材から発生する遠赤外線を食品に浸透性よく曝し食品の加熱調理に排熱を有効利用できるし、排気温度が低減する。
【0011】
このような方法を達成する加熱調理装置は、食品を出し入れまたは通過させる加熱調理域と、この調理域内に配置スペースに対し35%以上の配置密度で絶縁性を確保して配置されて、通電により発熱し供給され通される水、温水または飽和水蒸気を温水、飽和水蒸気または過熱水蒸気にして放出し、自身の発熱による輻射熱と共に、加熱調理域内の食品に曝す電熱管と、石類、木炭、セラミックといった遠赤外線発生素材を保持し、食品に曝した飽和水蒸気または過熱水蒸気を熱交換させながら排出する排気部と、を備えたことを特徴とするもので足りる。
【0012】
上記方法において、さらに、電熱管とその上の食品との間に配置した水皿内の水を、過熱水蒸気および輻射熱雰囲気下で蒸発させて、食品に曝すようにすることができる。
【0013】
このような構成では、上記に加え、さらに、加熱調理域内に水皿内の水から発生した飽和水蒸気を発散させて、過熱水蒸気および輻射熱に加え、食品に曝し加熱することができる。
【0014】
上記方法において、さらに、食品は、設定された、または選択された速度で、連続に搬送しながら加熱調理に供するようにすることができる。
【0015】
このような構成では、上記に加え、さらに、搬送速度を一定または選択して、食品に対する必要な加熱調理度を安定に、あるいは自由に得られる。
【0016】
上記方法において、さらに、電熱管は、食品の搬送方向に複数配置し、互いに独立した通電制御の基に加熱調理を行うことができる。
【0017】
このような構成では、上記に加え、さらに、食品が搬送される上流側から下流側へ、食品に曝す過熱水蒸気および輻射熱の温度を、必要に応じ、電熱管単位の異なった通電制御で同じにし、あるいは複数段に変化させて、内部への熱の浸透優先域、表面への焦げ目付け優先域など、食品の種類や調理目的に応じ、相前後して設定した個別の条件下で加熱調理ができる。
【0018】
上記装置において、さらに、電熱管は、絶縁層を介し同一平面上で渦巻状に巻かれたものとすることができる。
【0019】
この構成によれば、上記に加え、さらに、電熱管を高密度に渦巻状に巻くのに絶縁層を介することで、放電限界隙間、漏電限界隙間を超えて、互いが密に接し合う絶縁層を差し引くだけの100%近い高密度配置ができるし、絶縁層にセラミックなどの加熱による赤熱素材を用いることで、輻射熱の放熱面積としては100%とすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の加熱調理方法と装置によれば、絶縁性を確保して35%以上の配置密度で配置した電熱管により、スペースの増大や通電異常、通電効率低下の原因なく、単位配置面積当たり増量した輻射熱と、長大化を生かして電力効率よく生成した飽和水蒸気や過熱水蒸気を食品に曝して、発火のない無酸素環境で熱効率よく加熱調理ができる。また、食品に曝した後の飽和水蒸気や過熱水蒸気は、排気部の石類、木炭、セラミックといった遠赤外線発生素材との排熱を利用した熱交換により温度低下を図って、より制限条件少なく排気できるし、熱交換により昇温した遠赤外線発生素材からの遠赤外線を浸透性よく食品に曝して排熱をより有効に調理に利用でき、全体として調理時間を短縮し、省エネを図って所望の調理を、必要に応じ焦げ目付けなしにも、焦げ目付けありにも、食味、食感よく達成できる。
【0021】
上記に加え、さらに、水皿内の水から過熱水蒸気および輻射熱雰囲気下で飽和水蒸気を加熱調理域に発散させて、過熱水蒸気および輻射熱に加え、食品に曝し加熱することで、食品の加熱調理による過度の乾燥と疲労とを抑えられる。
【0022】
上記に加え、さらに、搬送速度を一定にし、または選択するだけで、一定条件での安定した調理、食品のボリューム、材料などによる調理の難易、調理の種類、の違いに対応する調理度合いが得られる。
【0023】
上記に加え、さらに、食品が搬送される上流側から下流側へ、食品に曝す過熱水蒸気および輻射熱の温度を、電熱管単位の異なった通電制御で、必要に応じ同じにしたり、複数段に変化させたりして、内部への熱の浸透優先域、表面への焦げ目付け優先域など、食品の種類や調理目的に応じ、相前後して設定した個別の条件下で加熱調理が首尾よく達成できる。
【0024】
上記に加え、さらに、電熱管を絶縁層を介し高密度に渦巻状に巻くことで放電限界隙間、漏電限界隙間を超えた、絶縁層を差し引くだけの100%近い高密度配置が実現して、同一配置スペース内での配置長さを最大限長大化できるし、絶縁層にセラミックなどの加熱による赤熱素材を用いることで、輻射熱の放熱面積としては100%として配置スペースロスをなくせる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態に係る加熱調理装置を、一部を切り欠き内部を露出させて示す斜視図である。
【図2】同装置の要部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施の形態に係る加熱調理方法と装置について、図1、図2を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。以下の説明は本発明の具体例であって、特許請求の範囲の記載事項を限定するものではない。
【0027】
本実施の形態の加熱調理方法は、図1、図2に示す加熱調理装置100を参照して、平面視した配置スペースSに対し35%以上の配置密度で絶縁性を確保して加熱調理域1に配置した電熱管2に通電して発熱させながら、水3a、温水3bまたは飽和水蒸気3cを通して飽和水蒸気3cまたは過熱水蒸気3eにして放出し、前記発熱による輻射熱7と共に、加熱調理域1内の食品4に曝すのに併せ、食品4に曝した飽和水蒸気3cまたは過熱水蒸気3eは加熱調理域1の上部の排気部9から、この排気部9に保持している石類、木炭、セラミックといった遠赤外線発生素材6との熱交換を経て外部に排気し、この熱交換を受けた遠赤外線発生素材6からの遠赤外線8に食品4を曝して、食品4を加熱調理するようにしている。
【0028】
このように、電熱管2はその配置スペースSに対し35%以上の配置密度でしかも絶縁性を確保して配置されるので、通電異常、通電効率低下の原因なしに、単位配置面積当たりの輻射熱量の増大と、選択した配置スペースS内での電熱管2の配置長さの長大化とを図った条件での飽和水蒸気3cや過熱水蒸気3eを食品4に曝して無酸素環境で加熱調理ができる。また、食品4に曝した後の飽和水蒸気3cや過熱水蒸気3eは、排気部9の石類、木炭、セラミックといった遠赤外線発生素材6との熱交換を経て外部に排気され、熱交換を受けて昇温した遠赤外線発生素材6から発生する遠赤外線8を食品4に浸透性よく曝し食品4の加熱調理に排熱を有効利用できるし、排気温度が低減する。
【0029】
このような方法を達成するのに加熱調理装置100は、図1、図2に示すように食品4を出し入れまたは通過させる加熱調理域1と、この加熱調理域1内に配置スペースSに対し35%以上の配置密度で絶縁性を確保して配置されて、通電により発熱し供給され通される水3a、温水3bまたは飽和水蒸気3cを飽和水蒸気3cまたは過熱水蒸気3eにして放出し、自身の発熱による輻射熱7と共に、加熱調理域1内の食品4に曝す電熱管2と、石類、木炭、セラミックといった遠赤外線発生素材6を保持し、食品4に曝した飽和水蒸気3cや過熱水蒸気3eを熱交換させながら排出する排気部9と、を備えたものとしている。
【0030】
このような方法と装置によれば、絶縁性を確保して35%以上の配置密度で配置した電熱管2により、スペースの増大や通電異常、通電効率低下の原因なく、単位配置面積当たり増量した輻射熱と、長大化を生かして電力効率よく生成した飽和水蒸気3cや過熱水蒸気3eを食品4に曝して、無酸素環境で発火なく焦げ目を付けての熱効率よく加熱調理ができる。また、食品4に曝した後の飽和水蒸気3cや過熱水蒸気3eは、排気部9の石類、木炭、セラミックといった遠赤外線発生素材6との排熱を利用した熱交換により温度低下を図って、より制限条件少なく排気できるし、熱交換により昇温した遠赤外線発生素材6からの遠赤外線8を浸透性よく食品4に曝して排熱をより有効に調理に利用でき、全体として調理時間を短縮し、省エネを図って所望の調理を、必要に応じ焦げ目付けなしにも、焦げ目付けありにも、食味、食感よく達成できる。
【0031】
本実施の形態の方法および装置は、さらに、電熱管2とその上の食品4との間に配置した水皿11内の水12を、過熱水蒸気3eおよび輻射熱7の雰囲気下で蒸発させて、食品4に曝すようにしている。これにより、加熱調理域1内に水皿11内の水12から発生した飽和水蒸気3cを発散させて、過熱水蒸気3eおよび輻射熱7に加え、食品4に曝し加熱するので、食品4の加熱調理による過度の乾燥と疲労とを抑えられる。
【0032】
また、食品4は、図1、図2に示すようなステンレス製の金属ベルトを用いるなどした耐熱性のあるベルトコンベア13などを利用して、設定された、または選択された速度で、連続に搬送しながら加熱調理に供するようにしている。これにより、搬送速度を一定に設定し、または選択して、食品4に対する必要な加熱調理度を安定に、あるいは自由に得られる。結果、搬送速度を一定にし、または選択するだけで、一定条件での安定した調理、食品4のボリューム、材料などによる調理の難易、調理の種類、の違いに対応する調理度合いが得られる。
【0033】
さらに、電熱管2は、図1、図2に示すように食品4の搬送方向に複数配置し、互いに独立した通電制御の基に加熱調理を行うようにしている。これにより、食品4が搬送される上流側から下流側へ、食品4に曝す過熱水蒸気3eおよび輻射熱7の温度を、必要に応じ、電熱管単位の異なった通電制御で同じにし、あるいは400℃、600℃、800℃などと複数段に変化させて、内部への熱の浸透優先域、表面への調理度強化域、焦げ目付け優先域など、食品4の種類や調理目的に応じ、相前後して設定した個別の条件下で加熱調理が首尾よくできる。なお、電熱管2で生成した飽和水蒸気3cや過熱水蒸気3eは、ベルトコンベア13のベルトや水皿11、トレー43に通気性がなくても、網44によりトレー43から浮かされている食品4のまわりに回り込ませられるので、電熱管2の中心端から単に加熱調理域1内に噴出させるようにしている。しかし、図示しないが、場合によっては、多数の噴出穴を持ったシャワー配管の噴出穴から広域に分散して噴出させることもできる。
【0034】
しかも、図示例の電熱管2は、図1(b)に示すように絶縁層14を介し図1(a)に示すように同一平面上で渦巻状に巻かれたものとしている。このように、電熱管2を高密度に渦巻状に巻くのに絶縁層14を介することで、放電限界隙間、漏電限界隙間を超えて、互いが密に接し合う絶縁層14を差し引くだけの100%近い高密度配置が実現し、結果、同一配置スペースS内での配置長さを最大限長大化できる。また、絶縁層14にセラミックなどの加熱による赤熱素材を用いることで、輻射熱7の放熱面積としては100%として配置スペースロスをなくせる。なお、電熱管2の渦巻形状は、図1に示すような平面視円形のほか、正四角形や矩形として、相互配列間の配列隙間をなくしやすくすることもできる。
【0035】
さらに詳述すると、上記のような加熱調理のために、本実施の形態の加熱調理装置100は、図1、図2での図示例の場合、長手方向両端部に食品4の入り口21と出口22を有して加熱調理域1を囲うステンレス鋼製で、耐熱・断熱材料によりライニングするなどした耐熱・断熱性のトンネル型の加熱調理室23を有している。加熱調理室23内にはその底部上または底部寄りに電熱管2を長手方向に複数、具体的には3つ配列している。電熱管2の上には水皿11を配置して、加熱調理室23の左右の側壁内面の支持レール24、24によって支持している。水皿11の上にはベルトコンベア13の搬送往路13aが通り、搬送復路13bが電熱管2による邪魔がある場合は加熱調理室23の底部下、邪魔がない場合は加熱調理室23の底部と電熱管2との間を通るようにする。図示例では後者となっている。
【0036】
加熱調理室23の耐熱・断熱性のある天板23aには、長手方向一杯に延びる排気口25を設けてステンレス鋼などの金属製のメッシュ26を着脱できるように嵌め合わせて排気部9としてあり、メッシュ26が排気口25内に窪んで形成している凹部26a内に、前記遠赤外線発生素材6を収容して排気される飽和水蒸気3cや過熱水蒸気3eと熱交換させられるようにしている。ここで、排気部9はメッシュ26、遠赤外線発生素材6を含めた通気抵抗が、入り口21、出口22を合わせた通気抵抗よりも小さくする割合に応じて、加熱調理域1に放出した飽和水蒸気3cや過熱水蒸気3eが入り口21、出口22から流出するのを抑えやすくなる。
【0037】
加熱調理室23は、キャスタ31付きの台脚32で支持し、移動できるようにしている。これにより、食品4を加熱調理しながら販売する現場のバックヤードにて使用するのに、使用位置と格納位置との間で移動させたり、他の邪魔になるようなときでも一時的に移動させられるので、狭い場所での使い勝手がよくなる。
【0038】
電熱管2は、図1に示すように、耐熱・断熱材料によりライニングした熱源ケース33の上端開口部付近に配置して、耐熱・断熱を図って支持し、熱源ケース33を通じ外部からの電熱管2への通電経路34、水3a、温水3b、飽和水蒸気3cといった熱媒体を電熱管2に供給し通す熱媒体供給経路35との接続を図っている。熱媒体供給経路35は、ポンプ37によって送られてきた水3aを、電磁弁36により、電熱管2へ直接供給する水供給経路35aと、ボイラ38に通してから温水3b、飽和水蒸気3cとして電熱管2に加熱熱媒体を供給する加熱熱媒体供給経路35bとに切換え供給できるようにしている。加熱熱媒体供給経路35bは、ポンプ37による水3aの単位時間当たりの供給量と、ボイラ38での加熱容量との関係によって温水3bを供給するか、飽和水蒸気3cを供給するかを選択されるようにしている。
【0039】
加熱調理装置100は、各種動作制御のために必要な電源とコンピュータなどの制御装置とを有した駆動装置41を備え、電磁弁36の切換え制御、ポンプ37の駆動、駆動停止、水3aの供給量制御、電熱管2への給電、給電停止、電圧、電流制御、ボイラ38のヒータへの給電、給電停止、電圧、電流制御、ベルトコンベア13の駆動モータ42の駆動、駆動停止、回転数制御、など必要な動作制御を行うようにしている。
【0040】
なお、食品4は、トレー43に載置した網44によってトレー43から浮かして支持した状態で、上記の加熱調理に供するようにしていて、加熱調理によって生じる鶏肉から落ちる肉汁などは、トレー43で受けるようにする。これによって、トレー43以外が汚れることはないし、無酸素状態での加熱調理であるので、トレー43に受けた肉汁が発火することはない。なお、食品の種類や調理内容は特に問うものではない。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、食品を主として温水、飽和水蒸気、過熱水蒸気を選択して加熱調理でき、焦げ目付け無しにも、焦げ目付け有りにも、省スペースで、熱効率よく、短い調理時間で食味、食感よく調理できる。
【符号の説明】
【0042】
1 加熱調理域
2 電熱管
3a 水
3b 温水
3c 飽和水蒸気
3e 過熱水蒸気
4 食品
6 遠赤外線発生素材
7 輻射熱
8 遠赤外線
9 排気部
11 水皿
12 水
13 ベルトコンベア
14 絶縁層
21 入り口
22 出口
23 加熱調理室
24 支持レール
25 排気口
26 メッシュ
36 電磁弁
37 ポンプ
38 ボイラ
41 駆動装置
42 駆動モータ
43 トレー
100 加熱調理装置
S 配置スペース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視した配置スペースに対し35%以上の配置密度で絶縁性を確保して加熱調理域に配置した電熱管に通電して発熱させながら、水、温水または飽和水蒸気を通して飽和水蒸気または過熱水蒸気にして放出し、前記発熱による輻射熱と共に、加熱調理域内の食品に曝すのに併せ、食品に曝した飽和水蒸気または過熱水蒸気は加熱調理域の上部の排気部から、この排気部に保持している石類、木炭、セラミックといった遠赤外線発生素材との熱交換を経て外部に排気し、この熱交換を受けた遠赤外線発生素材からの遠赤外線に食品を曝して、食品を加熱調理することを特徴とする食品の加熱調理方法。
【請求項2】
電熱管とその上の食品との間に配置した水皿内の水を、過熱水蒸気および輻射熱雰囲気下で蒸発させて、食品に曝す請求項1に記載の食品の加熱調理方法。
【請求項3】
食品は、設定された、または選択された速度で、連続に搬送しながら加熱調理に供する請求項1、2のいずれか1項に記載の食品の加熱調理方法。
【請求項4】
電熱管は、食品の搬送方向に複数配置し、互いに独立した通電制御の基に加熱調理を行う請求項1〜3のいずれか1項に記載の加熱調理方法。
【請求項5】
食品を出し入れまたは通過させる加熱調理域と、この調理域内に配置スペースに対し35%以上の配置密度で絶縁性を確保して配置されて、通電により発熱し供給され通される水、温水または飽和水蒸気を飽和水蒸気または過熱水蒸気にして放出し、自身の発熱による輻射熱と共に、加熱調理域内の食品に曝す電熱管と、石類、木炭、セラミックといった遠赤外線発生素材を保持し、食品に曝した過熱水蒸気を熱交換させながら排出する排気部と、を備えたことを特徴とする食品の加熱調理装置。
【請求項6】
電熱管は、絶縁層を介し同一平面上で渦巻状に巻かれた請求項5に記載の食品の加熱調理装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−74(P2012−74A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−139845(P2010−139845)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(591130537)株式会社両双 (9)
【Fターム(参考)】