説明

加熱調理用油脂組成物

【課題】
トランス脂肪酸含量を低減させたものでありながら、食品に水素添加臭の風味を付与することのできる加熱調理用油脂組成物を提供することである。
トランス脂肪酸含量を低減させた加熱調理用油脂組成物を用いて加熱調理したものでありながら、水素添加臭の風味を有する食品を提供することである。
【解決手段】
融点が40℃を超えて50℃以下である部分水素添加油を0.5〜15質量%含有する油脂組成物を加熱調理用の油脂に用いることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランス脂肪酸含量を低減させたものでありながら、食品に水素添加臭の風味を付与することのできる加熱調理用油脂組成物に関するものである。
また、本発明は、トランス脂肪酸含量を低減させた加熱調理用油脂組成物を用いて加熱調理したものでありながら、水素添加臭の風味を有する食品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フライドチキン、フライドポテト、バターピーナッツ、ドーナツ等に用いられる加熱調理用の油脂には、耐熱性、酸化安定性、油にじみがない、カラッとした仕上がり、揚げたてでも油が手に付かない等の機能が求められる。そのため、加熱調理用の油脂には、従来から動植物油脂を部分水素添加して得られる硬化油(以下、部分水素添加して得られる硬化油は、部分水素添加油とする。)が広く使用されている。
【0003】
部分水素添加油は、水素添加によって生成するトランス脂肪酸を含有している。
近年、トランス脂肪酸に関しては、ヒトをはじめ動物が長期間多量に摂取した場合には、血中総コレステロール値及び悪玉と呼ばれる低密度リポ蛋白質コレステロール値を高め、肥満や虚血性心疾患などの原因となりうるという学説が欧州や米国から出ている。そのため、一定水準以上のトランス脂肪酸を含有する食品については表示を義務化する等の対策をとる国が増えてきている。
我が国においても世界的な流れを受け、食品中のトランス脂肪酸含量を低減させる試みが検討されている。このような流れの中、部分水素添加油を使用した加熱調理用油脂についても、トランス脂肪酸含量を低減することが求められている。
【0004】
部分水素添加油中におけるトランス脂肪酸含量の低減化に関しては、水素添加反応の工程で、触媒や温度等の反応条件を工夫する試みがなされている(例えば、特許文献1、2)。
【0005】
一方、部分水素添加油は、水素添加臭と呼ばれる独特の風味を有しており、例えば、部分水素添加油を使用して加熱調理したフライドチキンやドーナツ等では、消費者が部分水素添加油から付与される水素添加臭の独特の風味に慣れ親しんでいる。従って、水素添加臭は、商品の個性を特徴付ける重要な風味の一部として定着している。
この部分水素添加油の水素添加臭は、前述したトランス脂肪酸に起因することが知られている。
従って、前述のトランス脂肪酸含量を低減させる試みにより、トランス脂肪酸含量が低減すると、水素添加臭の独特な風味が失われるという問題があった。
【0006】
以上のような背景から、トランス脂肪酸含量を低減させたものでありながら、食品に水素添加臭の風味を付与することのできる加熱調理用油脂の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−316585号公報
【特許文献2】特開2006−320275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、トランス脂肪酸含量を低減させたものでありながら、食品に水素添加臭の風味を付与することのできる加熱調理用油脂組成物を提供することである。
また、本発明の目的は、トランス脂肪酸含量を低減させた加熱調理用油脂組成物を用いて加熱調理したものでありながら、水素添加臭の風味を有する食品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、融点が40℃を超えて50℃以下である部分水素添加油を0.5〜15質量%含有する油脂組成物を加熱調理用の油脂に用いることで、当該油脂組成物がトランス脂肪酸含量を低減させたものでありながら、食品に水素添加臭の風味を付与することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明の第1の発明は、融点が40℃を超えて50℃以下である部分水素添加油を0.5〜15質量%含有する加熱調理用油脂組成物である。
本発明の第2の発明は、前記加熱調理用油脂組成物の全構成脂肪酸中におけるトランス脂肪酸含量が、5.0質量%以下である第1の発明に記載の加熱調理用油脂組成物である。
本発明の第3の発明は、ヨウ素価54〜70のパーム分別軟質油及び/又はヨウ素価10〜55のパーム分別硬質油を含有する第1の発明又は第2の発明に記載の加熱調理用油脂組成物である。
本発明の第4の発明は、前記パーム分別軟質油が、パームオレインであり、前記パーム分別硬質油が、パームミッドフラクション及び/又はパームステアリンである第1の発明〜第3の発明の何れか1つの発明に記載の加熱調理用油脂組成物である。
本発明の第5の発明は、前記部分水素添加油が、大豆油の部分水素添加油、パーム油の部分水素添加油及び/又はコーン油の部分水素添加油である第1の発明〜第4の発明の何れか1つの発明に記載の加熱調理用油脂組成物である。
本発明の第6の発明は、第1の発明〜第5の発明の何れか1つの発明に記載の加熱調理用油脂組成物を用いて加熱調理することで得られる食品である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、トランス脂肪酸含量を低減させたものでありながら、食品に水素添加臭の風味を付与することのできる加熱調理用油脂組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、トランス脂肪酸含量を低減させた加熱調理用油脂組成物を用いて加熱調理したものでありながら、水素添加臭の風味を有する食品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について詳細に説明する。
まず、本発明の加熱調理用油脂組成物について説明する。
本発明の加熱調理用油脂組成物は、融点が40℃を超えて50℃以下である部分水素添加油を0.5〜15質量%含有することを特徴とする。
【0012】
本発明の加熱調理用油脂組成物は、部分水素添加油を含有する。
本発明で使用する部分水素添加油は、融点が40℃を超えて50℃以下であり、融点が41〜50℃であることが好ましく、融点が41〜48℃であることがより好ましい。
本発明で使用する部分水素添加油としては、融点が前記範囲である部分水素添加油のみを使用することが好ましい。
【0013】
本発明で使用する部分水素添加油は、融点が前記範囲であれば特に制限されることなく用いることができるが、植物油の部分水素添加油を用いることが好ましい。植物油の部分水素添加油としては、例えば、大豆油、菜種油、ハイオレイック菜種油、パーム油、コーン油、綿実油、サフラワー油、ハイオレイックサフラワー油、ヒマワリ油、ハイオレイックヒマワリ油、ゴマ油及び米油等やこれらのエステル交換油、分別油の部分水素添加油が挙げられる。また、植物油の部分水素添加油としては、パーム分別軟質油の部分水素添加油やパーム分別硬質油の部分水素添加油を使用することもできる。特に、植物油の部分水素添加油としては、大豆油の部分水素添加油、パーム油の部分水素添加油及び/又はコーン油の部分水素添加油を使用することが好ましい。
融点が前記範囲である部分水素添加油は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0014】
融点が前記範囲である部分水素添加油は、常法に従い、例えば、植物油等の油脂にニッケル触媒を対油0.01〜0.3質量%添加し、温度120℃〜200℃、水素圧0.01〜0.3MPaの条件で水素添加反応を行うことにより得ることができる。
【0015】
融点が前記範囲の部分水素添加油は、融点が40℃を超えて50℃以下でトランス脂肪酸含量が15〜70質量%であることが好ましく、融点が41〜50℃でトランス脂肪酸含量が17〜68質量%であることがより好ましく、融点が41〜48℃でトランス脂肪酸含量が17〜65質量%あることが更に好ましい。
【0016】
本発明の加熱調理用油脂組成物中における融点が前記範囲である部分水素添加油の含量は、0.5〜15質量%であり、0.5〜10質量%であることが好ましく、3〜10質量%であることがより好ましい。
【0017】
本発明の加熱調理用油脂組成物に使用する部分水素添加油の融点が前記範囲で、本発明の加熱調理用油脂組成物中における部分水素添加油の含量が前記範囲にあると、加熱調理用油脂組成物がトランス脂肪酸含量を低減させたものでありながら、食品に水素添加臭の風味を付与することができる。
【0018】
本発明の加熱調理用油脂組成物の全構成脂肪酸中におけるトランス脂肪酸含量は、5.0質量%以下であることが好ましく、3.0質量%以下であることがより好ましく、1.0〜3.0質量%であることが更に好ましく、1.5〜3.0質量%であることが最も好ましい。トランス脂肪酸含量は、融点が前記範囲の部分水素添加油を、加熱調理用油脂組成物中に前記範囲となるように配合することにより調整することができる。
加熱調理用油脂組成物の全構成脂肪酸中におけるトランス脂肪酸含量が前記範囲にあると、加熱調理用油脂組成物がトランス脂肪酸含量を低減させたものでありながら、食品に水素添加臭の風味を付与することができる。
【0019】
従来の部分水素添加油を含有する加熱調理用油脂には、全構成脂肪酸中に40質量%程度のトランス脂肪酸が含まれる。従って、本発明によると、大幅にトランス脂肪酸含量を低減することができる。
なお、トランス脂肪酸含量は、AOCS法(Celf−96)に準じてガスクロマトグラフィー法にて測定することができる。
【0020】
本発明の加熱調理用油脂組成物は、ヨウ素価54〜70のパーム分別軟質油及び/又はヨウ素価10〜55のパーム分別硬質油を含有することが好ましく、ヨウ素価54〜70のパーム分別軟質油及びヨウ素価10〜55のパーム分別硬質油を含有することがより好ましい。
【0021】
本発明において、パーム分別軟質油とは、パーム油やパーム油の分別油を分別処理(乾式分別、溶剤分別、界面活性剤分別等)して得られる軟質部(液状部又はオレイン部と呼ばれることもある)のことを意味する。また、パーム分別軟質油としては、パーム分別軟質油にエステル交換を行うことにより得られるパーム分別軟質油のエステル交換油を用いることもできる。
【0022】
また、本発明において、パーム分別硬質油とは、パーム油やパーム油の分別油を分別処理(乾式分別、溶剤分別、界面活性剤分別等)して得られる硬質部(結晶部又はステアリン部と呼ばれることもある)のことを意味する。また、パーム分別硬質油としては、パーム分別硬質油にエステル交換を行うことにより得られるパーム分別硬質油のエステル交換油を用いることもできる。
【0023】
パーム分別軟質油のヨウ素価は、54〜70であり、54〜67であることが好ましく、54〜64であることがより好ましい。
【0024】
パーム分別軟質油の具体例としては、パームオレイン(パーム油を分別処理して得られる軟質部)、パームスーパーオレイン(パームオレインをさらに分別処理して得られる軟質部であり、スーパーオレインを呼ばれることもある)、パームトップオレイン(パームスーパーオレインをさらに分別処理して得られる軟質部であり、トップオレインを呼ばれることもある)等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
パーム分別軟質油としては、パームオレインを使用することが好ましい。
【0025】
パームオレインのヨウ素価は、54〜59であることが好ましく、55〜57であることがより好ましい。また、パームスーパーオレインのヨウ素価は、59〜64であることが好ましく、59〜62であることがより好ましい。また、パームトップオレインのヨウ素価は、64〜70であることが好ましく、65〜69であることがより好ましい。
【0026】
本発明の加熱調理用油脂組成物中におけるヨウ素価54〜70のパーム分別軟質油の含量は、2〜75質量%であることが好ましく、3〜75質量%であることがより好ましく、4〜55質量%であることが更に好ましく、5〜51質量%であることが最も好ましい。
【0027】
本発明の加熱調理用油脂組成物に使用するパーム分別軟質油が前記のもので、加熱調理用油脂組成物中におけるパーム分別軟質油の含量が前記範囲にあると、加熱調理用油脂組成物がトランス脂肪酸含量を低減させたものでありながら、食品により効果的に水素添加臭の風味を付与することができる。
【0028】
パーム分別硬質油のヨウ素価は、10〜55であり、20〜52であることが好ましく、30〜49であることがより好ましい。
【0029】
パーム分別硬質油の具体例としては、パームミッドフラクション(パームオレインをさらに分別処理して得られる硬質部であり、ソフトPMF、パーム油の中融点部、パーム油の中融点分別油と呼ばれることもある)(以下、パームミッドフラクションは、ソフトPMFとする)、パームステアリン(パーム油を分別処理して得られる硬質部)、ハードステアリン(パームステアリンをさらに分別処理して得られる硬質部)、ハードPMF(ソフトPMFをさらに分別処理して得られる硬質部)が挙げられ、これらの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
パーム分別硬質油としては、ソフトPMF及び/又はパームステアリンを使用することが好ましい。ソフトPMFとパームステアリンを組み合わせて使用する場合のソフトPMFとパームステアリンとの配合比は、ソフトPMF:パームステアリンの質量比で2:1〜1:30であることが好ましく、3:2〜1:25であることがより好ましく、1:1〜1:5であることが更に好ましく、1:1〜1:2であることが最も好ましい。
【0030】
ソフトPMFのヨウ素価は、40〜50であることが好ましく、42〜48であることがより好ましく、43〜47であることが最も好ましい。また、パームステアリンのヨウ素価は、28〜48であることが好まし好ましく、30〜42であることがより好ましく、31〜35であることが最も好ましい。また、ハードステアリンのヨウ素価は、10〜20であることが好ましく、10〜18であることがより好ましく、10〜16であることが最も好ましい。また、ハードPMFのヨウ素価は、30〜40であることが好まし好ましく、32〜38であることがより好ましく、33〜37であることが最も好ましい。
【0031】
本発明の加熱調理用油脂組成物中におけるヨウ素価10〜55のパーム分別硬質油の含量は、2質量%以上50質量%未満であることが好ましく、3〜40質量%であることがより好ましく、4〜35質量%であることが更に好ましく、5〜30質量%であることが最も好ましい。
【0032】
本発明の加熱調理用油脂組成物に使用するパーム分別硬質油が前記のもので、本発明の加熱調理用油脂組成物中におけるパーム分別硬質油の含量が前記範囲にあると、加熱調理用油脂組成物がトランス脂肪酸含量を低減させたものでありながら、食品により効果的に水素添加臭の風味を付与することができる。
【0033】
本発明の加熱調理用油脂組成物は、本発明の効果を損なわない程度であれば、融点が前記範囲の部分水素添加油、パーム分別軟質油、パーム分別硬質油以外の動植物油脂を適宜配合することができる。具体的には、大豆油、菜種油、ハイオレイック菜種油、パーム油、コーン油、綿実油、サフラワー油、ハイオレイックサフラワー油、ヒマワリ油、ハイオレイックヒマワリ油、ゴマ油及び米油等が挙げられ、これらは1種又は2種以上の組み合わせて用いることができる。
【0034】
本発明の加熱調理用油脂組成物は、必要に応じて通常の加熱調理用の油脂に用いられる添加剤を適宜配合することができる。具体的には、保存安定性向上、酸化安定性向上、熱安定性向上、低温化での結晶抑制等を目的としたポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリソルベート、縮合リシノレイン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ビタミンE、アスコルビン酸脂肪酸エステル、リグナン、コエンザイムQ、オリザノール、ジグリセリド、シリコーン、トコフェロール、ルチン、茶抽出物及びレシチン等が挙げられる。
【0035】
本発明の加熱調理用油脂組成物は、前記融点が前記範囲である部分水素添加油を、前記範囲の含量となるように配合することで製造することができる。具体的には、前記融点が前記範囲である部分水素添加油を0.5〜15質量%、好ましくは前記融点が前記範囲である部分水素添加油を0.5〜10質量%、より好ましくは前記融点が前記範囲である部分水素添加油を3〜10質量%配合することで製造することができる。
【0036】
また、本発明の加熱調理用油脂組成物は、前記融点が前記範囲である部分水素添加油に加えて、更に前記パーム分別軟質油及び/又はパーム分別硬質油を、前記範囲の含量となるように配合することで製造することができる。具体的には、好ましくは前記パーム分別軟質油を2〜75質量%、前記パーム分別硬質油を2質量以上50質量%未満、より好ましくは前記パーム分別軟質油を3〜75質量%、前記パーム分別硬質油を3〜40質量%、更に好ましくは前記パーム分別軟質油を4〜55質量%、前記パーム分別硬質油を4〜35質量%、最も好ましくは前記パーム分別軟質油を5〜51質量%、前記パーム分別硬質油を5〜30質量%配合することで製造することができる。
【0037】
本発明の加熱調理用油脂組成物は、加熱調理の用途に好適に使用することができる。加熱調理の用途の具体例としては、から揚げ、フライ、ドーナツ等の揚げ物、炒め物等が挙げられる。また、本発明の加熱調理用油脂組成物は、スプレー又は塗布することで、オーブン加熱等の用途に用いることもできる。
【0038】
また、本発明の加熱調理用油脂組成物は、可塑性等の加工性を付与することでショートニングの形態とすることもできる。ショートニングは、フライ用ショートニングして用いることができる。ショートニングは、常法により製造することができるが、具体的には、原料油脂を混合後、窒素ガスを吹き込みながら、急冷練り合わせを行うことにより製造することができる。
【0039】
次に、本発明の食品について説明する。
本発明の食品は、本発明の加熱調理用油脂組成物を用いて加熱調理することで得られることを特徴とする。
【0040】
本発明において食品とは、本発明の加熱調理用油脂組成物を用い、揚げ物、炒め物、オーブン加熱等の加熱調理することにより得られる食品のことを意味する。本発明の食品は、トランス脂肪酸含量を低減させた加熱調理用油脂組成物を用いて加熱調理したものでありながら、水素添加臭の独特な風味を有するものである。
【0041】
本発明の食品の具体例としては、例えば、素揚げ、から揚げ、竜田揚げ、カツ、コロッケ、フライ、ナゲット、フリッター、天ぷら、ドーナツ、せんべい、あられ、ビスケット、クラッカー、クッキー、プレッツェル、コーンチップス、コーンパフ、コーンフレークス、ポップコーン、ポテトチップス、ナッツ、バターピーナツ、スナック菓子等の加熱調理食品が挙げられる。
【0042】
本発明の食品は、本発明による加熱調理用油脂組成物を用いること以外は、使用する素材や特別な条件を必要とせず、常法により製造する(調理する)ことができる。
【0043】
以下、具体的な実施例に基づいて、本発明について詳しく説明する。なお、本発明は、以下に示す実施例の内容に、何ら限定されるものではない。
【実施例】
【0044】
(油脂組成物の調製)
表1〜4に示した配合の原料油脂を混合後、窒素ガスを吹き込みながら、急冷練り合わせを行うことで実施例1〜12の油脂組成物、比較例1〜5の油脂組成物を得た。
また、一般的に水素添加臭を有する油脂として、表3に示した配合の原料油脂を用いて、実施例及び比較例の油脂組成物を同様の方法で、風味標準品の油脂組成物を調製した。
【0045】
表1〜4に示した原料油脂は、以下のものを使用した。なお、油脂A1はパーム分別軟質油、油脂B1〜2はパーム分別硬質油、油脂C1〜3は植物油の部分水素添加油、油脂c1〜3は植物油の部分水素添加油又は極度硬化油、油脂D1〜2はその他の油脂に相当するものである。
パーム油(ヨウ素価52、商品名:精製パーム油、日清オイリオグループ株式会社製)を分別することで軟質部のパームオレイン(ヨウ素価56、日清オイリオグループ株式会社社内製)を得て、油脂A1とした。
油脂A1を、さらに分別することで硬質部のソフトPMF(ヨウ素価45、日清オイリオグループ株式会社社内調製品)を得て、油脂B1とした。
パーム油(ヨウ素価52、商品名:精製パーム油、日清オイリオグループ株式会社製)を分別することで硬質部のパームステアリン(ヨウ素価33、日清オイリオグループ株式会社社内調製品)を得て、油脂B2とした。
コーン油の部分水素添加油(日清オイリオグループ株式会社社内調製品、ヨウ素価67、融点41.0℃、トランス脂肪酸含量44.2質量%)を油脂C1とした。
大豆油の部分水素添加油(商品名:大豆硬化油42、日清オイリオグループ株式会社製、ヨウ素価66、融点42.1℃、トランス脂肪酸含量49.8質量%)を油脂C2とした。
パーム油の部分水素添加油(商品名:パーム硬化油47、日清オイリオグループ株式会社製、ヨウ素価39、融点47.7℃、トランス脂肪酸含量19.3質量%)を油脂C3とした。
菜種油の部分水素添加油(商品名:菜種硬化油34、日清オイリオグループ株式会社製、ヨウ素価74、融点34.5℃、トランス脂肪酸含量37.3質量%)を油脂c1とした。
大豆油の部分水素添加油(商品名:大豆硬化油34、日清オイリオグループ株式会社製、ヨウ素価75、融点34.1℃、トランス脂肪酸含量38.5質量%)を油脂c2とした。
菜種油の極度硬化油(商品名:菜種極度硬化油、横関油脂工業株式会社製、ヨウ素価1、融点68.5℃、トランス脂肪酸含量0.0質量%)を油脂c3とした。
パーム油(商品名:精製パーム油、日清オイリオグループ株式会社製、ヨウ素価52)を油脂D1とした。
菜種油(商品名:菜種白絞油、日清オイリオグループ株式会社製)を油脂D2とした。
トランス脂肪酸含量は、AOCS法(Celf−96)に準じてガスクロマトグラフィー法にて測定した。
【0046】
【表1】

【0047】
【表2】

【0048】
【表3】

【0049】
【表4】

【0050】
(調理評価)
実施例1〜12の油脂組成物、比較例1〜5の油脂組成物及び風味標準品(水素添加臭の風味を有する)の油脂組成物を用いて、市販のから揚げ粉(日清製粉株式会社製)100質量部に対してガラムマサラを5質量部加えたものを適量塗付したとりもも肉を、180℃で4分間フライし、実施例13〜24のフライドチキン、比較例6〜10のフライドチキン及び風味標準品のフライドチキンを得た。
水素添加臭の風味を有する風味標準品のフライドチキンを標準とし、各フライドチキンを5名のパネルが食した時の標準との水素添加臭の風味の違いを以下の基準で点数化し、各パネルの評点の平均値を算出することにより、得られたフライドチキンの評価を行った。各パネルの評点の平均値が3.0点以上を合格とした。結果を表5〜8に示す。
評価基準
標準とほぼ変わらない水素添加臭の風味を有する 5点
標準より水素添加臭の風味がやや弱い 4点
標準より水素添加臭の風味が少し弱いが許容される範囲である 3点
標準より水素添加臭の風味が弱い 2点
標準より水素添加臭の風味が明らかに弱い 1点
【0051】
【表5】

【0052】
【表6】

【0053】
【表7】

【0054】
【表8】

【0055】
表5〜7から分かるように、実施例1〜12の油脂組成物を用いてフライした実施例13〜24のフライドチキンは、トランス脂肪酸含量を大幅に低減させた油脂組成物を用いてフライしたものでありながら、水素添加臭の風味を有したものであった。
【0056】
一方、表8から分かるように、部分水素添加油の融点が規定の範囲を外れる比較例1〜4の油脂組成物は、トランス脂肪酸含量が実施例1〜12の油脂組成物と同程度である。しかし、比較例1〜4の油脂組成物を用いてフライした比較例6〜9のフライドチキンは、水素添加臭の風味が弱いものであった。また、部分水素添加油の代わりに極度硬化油を用いた比較例5の油脂組成物を用いてフライした比較例10のフライドチキンは、水素添加臭の風味が弱いものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
融点が40℃を超えて50℃以下である部分水素添加油を0.5〜15質量%含有する加熱調理用油脂組成物。
【請求項2】
前記加熱調理用油脂組成物の全構成脂肪酸中におけるトランス脂肪酸含量が、5.0質量%以下である請求項1に記載の加熱調理用油脂組成物。
【請求項3】
ヨウ素価54〜70のパーム分別軟質油及び/又はヨウ素価10〜55のパーム分別硬質油を含有する請求項1又は2に記載の加熱調理用油脂組成物。
【請求項4】
前記パーム分別軟質油が、パームオレインであり、前記パーム分別硬質油が、パームミッドフラクション及び/又はパームステアリンである請求項1〜3の何れか1項に記載の加熱調理用油脂組成物。
【請求項5】
前記部分水素添加油が、大豆油の部分水素添加油、パーム油の部分水素添加油及び/又はコーン油の部分水素添加油である請求項1〜4の何れか1項に記載の加熱調理用油脂組成物。
【請求項6】
請求項1〜5に記載の加熱調理用油脂組成物を用いて加熱調理することで得られる食品。

【公開番号】特開2011−152120(P2011−152120A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−61393(P2010−61393)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(000227009)日清オイリオグループ株式会社 (251)
【Fターム(参考)】