説明

加速器装置

【課題】周辺ノイズを抑制して監視対象部位の部分放電を高感度に検出する加速器装置を得る。
【解決手段】高電圧発生部及び高電圧印加部を有する加速器装置において、高電圧発生部又は高電圧印加部に対向させてアレイアンテナを設け、前記アレイアンテナで高電圧発生部又は高電圧印加部での絶縁異常により発生する部分放電に伴う電磁波を検出して異常検出を行なうようにした。アレイアンテナは複数のパッチアンテナで構成したパッチアレイアンテナである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は高電圧発生部又は高電圧印加部での絶縁異常により発生する部分放電による電磁波を検出して異常検出を行なう加速器装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
加速器装置として医療用加速器装置を例に説明する。高エネルギー電磁放射線又は粒子線の放射が発生させられる医療用加速器装置は、放射線治療医学において使用される。この装置により患者の身体範囲に放射線が照射され治療に供される。放射線治療は特に癌治療において、腫瘍細胞の分裂能力を阻止するため、又はこれらの細胞を殺すために施される。医療用加速器装置は、イオンビーム(イオン源)を予備加速する入射系、入射系からビームを入射し治療に適合したエネルギーまでビームを加速するシンクロトロン(加速系)、加速したビームを出射(出射系)し指定された照射室に効率よく導く高エネルギービーム輸送系、供給されたビームを腫瘍に適正に照射する照射系、及び医療用加速器装置の調整,運転管理,状態監視等を統括している制御系から構成されている。その他、前記各系には大小あわせて数百の電源から電力が供給されている。
【0003】
このような医療用加速器装置における従来の機能監視の方法としては、医療用加速器装置の動作を定性的に特徴づける信号が、自動的に検出されてデジタル化され、デジタル化された形で後続のコンピュータ支援による医療用加速器装置機能検査の枠内での評価のために提供すべくデータ処理装置に保存されるようにしている(例えば特許文献1)。
また、他の従来例では電力ケーブル中のアーク放電を1MHz〜3GHzに応答するマイクロ波ホーンアンテナでタイムリーに検出し、電源盤からアーク放電が生じた電力ケーブルへの電力供給を遮断することができるアーク放電の検出方法が開示されている(例えば特許文献2)。
また、他の従来例における機器の絶縁診断方法としては、固定子巻線に発生する部分放電をパッチアンテナで検出する方法が開示されている(例えば特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−324249号公報(4頁24〜28行,図1及び11頁14〜24行,図2)
【特許文献2】特開平7−198768号公報(3頁左欄3〜14行,図1)
【特許文献3】特開2006−250772号公報(4頁11〜18行,図1及び4頁50行〜5頁4行,図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
医療用加速器装置は大形かつ高額で高度先進医療のための治療装置である。この装置の最大の不具合は、機器の機能が停止すると、多数の患者の治療ができなくなることであり、その社会的影響は大きい。この機器の機能停止の要因としては、運転中に機器が正常動作範囲を逸脱する場合と、機器が正常に動作している範囲における高電圧部の絶縁劣化がある。特許文献1では、機器が正常動作範囲を逸脱した場合の機能監視はできるが、高電圧部の絶縁劣化の前兆である部分放電を監視することはできない。
【0006】
多数の機器が配置された電源盤の電力ケーブルのアーク放電を検出する方法として特許文献2の技術があるが、特許文献2のマイクロ波ホーンアンテナは検知周波数帯域が1MHz〜3GHzと広いので、アーク放電は検出できても、部分放電は周辺ノイズとの識別
が困難で、事実上部分放電検出はできないという問題点がある。
特許文献3では、電動機の金属容器フレーム内にパッチアンテナを設置して部分放電を検出しているが、医療用加速器装置のようなオープン空間であり、且つ多数の機器で構成される装置において、各装置の金属容器外部の複数部位で部分放電を検出する場合には、監視対象部位以外で発生するノイズや、監視対象部位以外で発生する放電による電磁波を検出してしまうため監視対象部位での放電との識別が困難であると言う問題点があった。
【0007】
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、周辺ノイズを抑制して監視対象部位の部分放電を高感度に検出する加速器装置を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係わる加速器装置は、高電圧発生部及び高電圧印加部を有する加速器装置において、前記高電圧発生部又は高電圧印加部に対向させてアレイアンテナを設け、前記アレイアンテナで前記高電圧発生部又は高電圧印加部での絶縁異常により発生する部分放電に伴う電磁波を検出して異常検出を行なうようにしたものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明の加速器装置によれば、高電圧発生部又は高電圧印加部に対向させてアレイアンテナを設け、前記アレイアンテナで高電圧発生部又は高電圧印加部での絶縁異常により発生する部分放電に伴う電磁波を検出して異常検出を行なうようにしたので、高電圧発生部又は高電圧印加部に対向させて設けたアレイアンテナの高指向性により、周辺ノイズを抑制して監視対象部位の部分放電を高感度に検出することができる。これにより、従来解消できなかった、監視対象部位以外で発生するノイズや放電による電磁波を検出してしまうために、監視対象部位での部分放電との識別が困難であった従来の問題点を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1における加速器装置を示す構成図である。
【図2】実施の形態1の加速器装置におけるパッチアレーアンテナを示す分解斜視図である。
【図3】図2に示すパッチアレーアンテナの断面図である。
【図4】図3のA−A線から矢印方向に見た断面図である。
【図5】実施の形態1の加速器装置における部分放電を監視する監視フローチャートである。
【図6】実施の形態2における加速器装置を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1における加速器装置を示す構成図である。図2は実施の形態1の加速器装置におけるパッチアレーアンテナを示す分解斜視図である。図3は図2に示すパッチアレーアンテナの断面図である。図4は図3のA−A線から矢印方向に見た断面図である。図5は実施の形態1の加速器装置における部分放電を監視する監視フローチャートである。以下、図に基づいて説明する。
【0012】
加速器装置として医療用加速器装置を例に説明する。医療用加速器装置1は、加速器系12と、加速器系12を動作させるために加速器系12の周辺に設置された電源(A)13、電源(B)14、電源(C)15、電源(D)16、電源(E)17、およびこれらの各電源から電力を供給する高電圧ケーブル18,電源ケーブル19などから構成されており、加速器系12には種々の動作のための電力が供給されている。特に加速器系12は高電圧で動作させる必要があり、図1の電源(A)13は70kVの直流高電圧パルスを発生する電源であり、直流高電圧パルスを高電圧ケーブル18を介して加速器系12に供給している。直流高電圧パルスは、例えば高電圧発生時間30μ秒の矩形波を100m秒間隔で連続発生し、この発生時間と発生間隔は運転状態により変わるものである。
【0013】
医療用加速器装置1の異常監視装置2は、電源(A)13の近傍に設置した電磁波検出手段23及び高電圧信号検出手段26と、電磁波検出手段23及び高電圧信号モニタ28からの信号を受信して信号処理する信号処理手段24と監視手段25とから構成されている。電磁波検出手段23はパッチアレーアンテナ20と高周波同軸ケーブル21と電磁波検出器22とで構成され、パッチアレーアンテナ20を用いて絶縁異常により発生する部分放電に伴う電磁波を受信し、受信した信号を高周波同軸ケーブル21を介して電磁波検出器22に伝送する。
【0014】
パッチアレーアンテナ20は高指向性とするために図2,図3,図4に示す構成としている。図2,図3,図4を用いてパッチアレーアンテナ20の構成を説明する。パッチアレーアンテナ20は誘電体基板31と補強板38と非励振パッチ36と誘電体37とで構成されている。誘電体基板31には、前面に4個の励振パッチ32と給電点34と給電用マイクロストリップ線路33が設けてある。給電点34からの給電線は不要輻射を小さくするために給電用マイクロストリップ線路33とし、更に給電用マイクロストリップ線路33の給電点34から各励振パッチ32までの長さはすべて等しい構造としている。給電用マイクロストリップ線路33を励振パッチ32と同一基板上に形成し、給電点34から各励振パッチ32までの長さを同一長とすることで、給電用マイクロストリップ線路からの不要放射レベルが低減してアンテナの受信特性が向上し、指向性を高くすることができ、高感度に検出できる。励振パッチ32の形状寸法はパッチアレーアンテナ20の中心周波数と帯域幅の設計緒元で決定される。誘電体基板31の裏面は全面が接地電極35となっている。パッチアレーアンテナで構成することにより、GHz帯の高周波を狭帯域で高感度に検出することができる。
【0015】
図3はパッチアレーアンテナ20の立体構造を示す断面図である。図3に示すように、積層構造の誘電体基板31の前面の励振パッチ32と給電用マイクロストリップ線路33(図示せず)と裏面の接地電極35は誘電体基板31に密着して励振パッチ32と接地電極35とで誘電体基板31を挟持した構造となっており、実施の形態1では銅張りの誘電体基板31の前面と裏面を化学加工によりエッチングしてパターン形成している。非励振パッチ36はアルミニウム製で励振パッチ32と対向する位置に励振パッチ32と対をなして励振パッチ32より縦横ともに大きい外形寸法であり、図3に示す位置に誘電体(B)37に接着固定されている。励振パッチ32と空隙を介して対向設置した非励振パッチ36を配置し且つ励振パッチ32と非励振パッチ36を強誘電体で覆う構成として高指向性を実現している。
【0016】
誘電体(B)37の形状は図2に示すように凹状の箱型であり、誘電体基板31に伏せた形で、誘電体基板31の裏面に設けたアルミニウム製の補強板38と共に止めねじ42を止め穴40とねじ穴41に挿入して誘電体(B)37に固定されている。図2の誘電体(B)37に示す斜線部は誘電体(B)37の断面を示している。誘電体基板31と誘電体(B)37の接合面はシール剤を介して固定される。誘電体基板31と誘電体(B)37の囲まれた空隙39は大気圧空気であり、励振パッチ32と非励振パッチ36との空間距離および誘電体(B)37の比誘電率はパッチアレーアンテナ20の指向性が最良となる緒元で設計している。
【0017】
このように構成することで、給電点34に供給された電力は給電用マイクロストリップ線路33をとおり、励振パッチ32を励振し、励振パッチ32より電波が放射される。放
射された電波は無給電の非励振パッチ36を電磁結合により励振して、非励振パッチ36より電波が放射され、アンテナとして機能する。また非励振パッチ36の形状が励振パッチ32より大きい(差をつける)ことで励振周波数帯域が広がり、励振パッチ32の励振周波数との2周波共用化することで指向性を向上することができ高感度に検出できる。励振周波数帯域を広げることは誘電体基板31の厚みを厚くすることでも可能であるが、不要輻射が大きくなり指向性が悪くなる。
【0018】
実施の形態1の誘電体基板31は例えばガラステフロン(登録商標)積層体で比誘電率は2.6,厚み0.8mmあり、励振パッチ32は51×51mmで厚みは50〜100μm、非励振パッチ36は62×110mmで厚みは1.5mm、励振パッチ32と非励振パッチ36との空間距離は6mm、誘電体(B)37は比誘電率2.7のポリカーボネイトである。以上のように構成することで中心周波数に対する帯域幅2.5%でVSWR(Voltage Standing Wave Ratio:定在波比)=1.33以下の特性を有する小型で高指向性のパッチアレーアンテナ20を得ることができる。
【0019】
このように構成したパッチアレーアンテナ20を電源(A)13の高電圧発生部や高電圧ケーブル18との接続絶縁部に向けて近接設置する。実施の形態1では、このアンテナ特性を用いて絶縁異常により発生する部分放電に伴う電磁波を受信する。前述したように、図1の電源(A)13は70kVの直流高電圧パルスを発生する。この直流高電圧パルスの発生を高圧信号検出手段26で検出し、高電圧信号モニタ28でモニタリングして信号処理手段24に伝送する構成である。
【0020】
次に動作を説明する。医療用加速器装置を運転すると電源(A)13では高電圧パルスを発生し、高電圧ケーブル18を介して加速器系12に高電圧パルスが供給される。この状態で長時間運転した場合に、電源(A)13の高電圧発生部や高電圧ケーブルの絶縁部で絶縁劣化が生じて絶縁破壊の前兆である部分放電が発生する場合がある。この部分放電の発生に伴う高周波帯域の電磁波を電源(A)13の近傍に設置した高指向性のパッチアレーアンテナ20で検出して電源(A)13の異常を検知する。この異常発生時に、電源(B)14,電源(C)15,電源(D)16,電源(E)17から部分放電に類似のノイズが発生す場合が多い。そこで電源(A)13の絶縁劣化が生じる恐れがある部位に向け、つまり、対向させて高指向性のパッチアレーアンテナ20を設置して電磁波を検出することで電源(A)13のみの電磁波を検出することができる。
【0021】
しかしながら、電源(A)13の高電圧パルス発生に伴う電磁波発生が無視できず、パッチアレーアンテナ20の計測に対するノイズとなる。そこで電源(A)13のノイズを抑制して部分放電に伴う電磁波のみを検出することが必要となる。このノイズ抑制の方法として実施の形態1では周波数帯域制限方法を用いている。予め計測した高周波パルスによるノイズの周波数特性からノイズが小さい帯域を選定して検出帯域としている。パッチアレーアンテナ20では前記検出帯域を中心周波数とする。
【0022】
監視フローチャートを図5に示す。前述したようにして、電磁波検出手段23で検出した信号は信号処理手段24に伝送し、高電圧信号検出手段26で検出し(ステップS1)、高電圧信号モニタ28でモニタリングした信号と同期して計測し(ステップS2)、計測値が監視手段25に伝送される。監視手段25では予め登録された規定値と比較して(ステップS3)、規定値を超えた場合に異常と判定し警報を発する(ステップS4)。このようにすることで電源(A)13の異常を確実に検出することができる。
また、他の電源(A)13のノイズ抑制の方法として、高電圧信号モニタ28でモニタリングした信号を元に計測時間を制御する方法がある。前述した直流高電圧パルスの場合の部分放電の発生はパルスの立ち上がりと立下がりである。したがってこのパルス発生時のみ計測することで、つまり、高電圧信号モニタ28でモニタリングした信号と同期して計測時間を制御して測定することにより、S/N比を向上することができ、同様の効果を奏することができる。
【0023】
実施の形態2.
図6は実施の形態2における加速器装置を示す構成図である。図において医療用加速器装置50は、高電圧発生部又は高電圧印加部となるイオン源51,入射系52,加速系53,出射系54,ビーム輸送系55,及び照射系56とを備えている。医療用加速器装置50は、イオン源51,入射系52,加速系53,出射系54,ビーム輸送系55,及び照射系56のそれぞれにパッチアレーアンテナ20a〜20g,電磁波検出器22a〜22g,及び動作信号検出手段(高電圧信号検出手段)57a〜57gとを備える。パッチアレーアンテナ20a〜20gの設置は実施の形態1と同様に、高電圧発生部,高電圧絶縁部や高圧ケーブル接続部などの絶縁劣化により部分放電が発生する可能性のある部位に対向させて近接設置する。
【0024】
イオン源51などの高電圧部を複数箇所有する機器には複数のパッチアレーアンテナ20と電磁波検出器22とを備える。各電磁波検出器22a〜22g及び動作信号検出手段57a〜57gはEthernet(登録商標)出力を有する。それぞれの電磁波検出器22a〜22gからの信号はネットワーク(a)58によりHUB(A)62aを介して信号処理手段(b)59に接続される。また、それぞれの動作信号検出手段57a〜57gからの信号はネットワーク(b)61によりHUB(B)62bを介して信号処理手段(b)59に接続される。
【0025】
信号処理手段(b)59では、監視端末60で設定されたプログラムに従い、イオン源51,入射系52,加速系53,出射系54,ビーム輸送系55,及び照射系56ごとに動作信号検出手段57a〜57gの信号と同期して信号処理し、その結果を監視端末60に伝送する。監視対象機器の動作信号と同期して部分放電に伴う電磁波を検出すると、ノイズと放電信号との識別精度が向上する。監視端末60では、各監視対象機器の信号値を記録して時間的変化を表示するとともに、伝送されたそれぞれの機器の監視信号を予め登録されたそれぞれの機器ごとの規定値と比較して、規定値を超えた場合に異常と判定し機器ごとに警報を発する構成となっている。
このように、高電圧発生部又は高電圧印加部である監視対象機器の各部に対向させてそれぞれパッチアレイアンテナを設置し、監視対象機器の各部の絶縁異常により発生する部分放電に伴う電磁波を、監視対象機器の動作信号と同期してパッチアレイアンテナでそれぞれ検出することにより放電発生部を特定することができる。
【0026】
次に動作について説明する。イオン源51,入射系52,加速系53,出射系54,ビーム輸送系55,及び照射系56に備えられた動作信号検出手段57a〜57gは、それぞれの機器に応じた動作信号(高電圧信号)を検出する。例えば、イオン源51では治療に供される各イオンを生成し、入射系52ではシンクロトロンへ入射するための予備加速を行なう。イオン源は大強度であるとともに、加速効率を上げるために電子をできるだけ剥ぎとって多価イオンを生成する必要があり、高エネルギー電子を用いたイオン源とするための高電圧・高磁場発生機器が使用される。
【0027】
また、イオン源から出たビームは収束され、加速されて、シンクロトロンに入射するまでの予備加速を行なう線形加速器に輸送され数MeVまで加速される。さらに主加速器であるシンクロトロンに入射され数100MeVまで加速されて取り出される。これらの収束、加速などに高磁場・高電圧の機器が多用される。以下、出射系54,ビーム輸送系55,照射系56はともに大電力、高電圧の機器が多用される。これら各機器に設けた動作信号検出手段57a〜57gではこれらの機器に応じた動作信号を検出する。また、パッチアレーアンテナ20a〜20gは,それぞれの機器の最適S/N比となる検出周波数に設計される。イオン源51,入射系52,加速系53,出射系54,ビーム輸送系55,及び照射系56のいずれかで絶縁異常による部分放電が発生した場合の異常検出は実施の形態1と同様である。
【0028】
このように構成することで、大規模である医療用加速器装置の各部の絶縁異常を監視することができる。ここで重要なのは部分放電を監視することで医療用加速器装置の故障を予知できることである。故障の予知により事前に予防保全を施すことができ、不慮の装置運転停止を回避できるので、治療計画に支障をきたすこがなく、患者治療の計画的遂行に大きな効果を奏する。つまり、計画どおりに患者治療ができることは大きな経済的効果を得ると同時に、患者の生命を守る社会的責任を向上する効果となる。以上では医療用加速器装置を例に説明したが、加速器装置一般に適用できることは勿論である。
【符号の説明】
【0029】
1 加速器装置 2 異常監視装置
12 加速器系 13 電源(A)
14 電源(B) 15 電源(C)
16 電源(D) 17 電源(E)
18 高電圧ケーブル 19 電源ケーブル
20 パッチアレーアンテナ 21 高周波同軸ケーブル
22 電磁波検出器 23 電磁波検出手段
【0030】
24 信号処理手段 25 監視手段
26 高電圧信号検出手段 27 信号検出ケーブル
28 高電圧信号モニタ 31 誘電体基板
32 励振パッチ 33 給電マイクロストリップ線路
34 給電点 35 接地電極
36 非励振パッチ 37 誘電体(B)
38 補強板 39 空隙
【0031】
40 止め穴 41 ねじ穴
42 止めねじ 51 イオン源
52 入射系 53 加速系
54 出射系 55 ビーム輸送系
56 照射系 57 動作信号検出手段
58 ネットワーク(a) 59 信号処理手段(b)
60 監視端末 61 ネットワーク(b)
62 HUB

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電圧発生部及び高電圧印加部を有する加速器装置において、前記高電圧発生部又は高電圧印加部に対向させてアレイアンテナを設け、前記アレイアンテナで前記高電圧発生部又は高電圧印加部での絶縁異常により発生する部分放電に伴う電磁波を検出して異常検出を行なうようにした加速器装置。
【請求項2】
前記アレイアンテナは複数のパッチアンテナで構成したパッチアレイアンテナであることを特徴とする請求項1記載の加速器装置。
【請求項3】
前記パッチアレイアンテナは、誘電体基板の一面に複数の励振パッチを配置し他面に接地電極を配置し、前記パッチアレイアンテナの給電線を、前記励振パッチと同一の前記誘電体基板上に、前記各励振パッチに対して同一長の給電用マイクロストリップ線路で形成したことを特徴とする請求項2記載の加速器装置。
【請求項4】
前記パッチアレイアンテナは、励振パッチと、前記励振パッチと対向して配置され前記励振パッチより大きい面積を有する非励振パッチとで対構成となるパッチアンテナの複数個で構成したパッチアレイアンテナであることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の加速器装置。
【請求項5】
前記高電圧発生部又は高電圧印加部での絶縁異常により発生する部分放電に伴う電磁波を、監視対象機器の動作を動作信号検出手段で検出した動作信号と同期して、前記パッチアレイアンテナで検出して異常検出を行なうようにした請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載の加速器装置。
【請求項6】
前記高電圧発生部又は高電圧印加部である前記監視対象機器の各部に対向させてそれぞれ前記パッチアレイアンテナを設置し、前記監視対象機器の各部の絶縁異常により発生する部分放電に伴う電磁波を、前記監視対象機器の動作信号と同期して前記パッチアレイアンテナでそれぞれ検出することにより放電発生部を特定するようにした請求項5記載の加速器装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−182575(P2010−182575A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−26130(P2009−26130)
【出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】