説明

加速度センサ利用ペアリング方法、システム、及び装置、並びに加速度センサ利用ペアリング用プログラム

【課題】簡単かつ確実にペアリングをする。
【解決手段】本発明による加速度センサ利用ペアリングシステムは、加速度センサを搭載した第1の端末と、第2の端末とを備え、第1の端末は、当該第1の端末がユーザによって移動されたときに、加速度センサが検出した加速度情報に基づいて当該第1の端末が移動した軌跡を示す軌跡情報を算出する第1端末用軌跡算出手段を含み、第2の端末は、第1の端末の移動に連動してユーザによって当該第2の端末からの入力操作が行われたときに、当該第2の端末における入力座標の軌跡を示す軌跡情報を算出する第2端末用軌跡算出手段を含み、第1端末用軌跡算出手段が算出した軌跡情報と、第2端末用軌跡算出手段が算出した軌跡情報とを比較することによって、第1の端末と第2の端末とをペアリングするか否かを判定するペアリング判定手段をさらに備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機などの通話端末と、パーソナルコンピュータ(PC)などの情報処理端末とを対応付けして連携させる、いわゆる端末間のペアリング方法に関し、特に、簡単な操作で、ユーザの意図通りに確実にペアリングでき、安価にシステムが実現できる加速度センサ利用ペアリング方法、システム、及び装置、並びに加速度センサ利用ペアリング用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、音声通話を行う電話機などの通話端末のユーザが、通話端末とPCなどの情報処理端末とを対応付けして連携させる、いわゆる端末のペアリングを行う方法が記載されている。特許文献1に記載された方法では、そのようにすることで、音声通話と、テキストや画像などを含む文書データを他のユーザとリアルタイムに閲覧・共同編集するデータ共有との同時利用を可能とし、ユーザ間の意思疎通を支援している。
【0003】
特許文献1に記載の方法では、まず、通話端末を用いて音声通話中の両ユーザが、情報処理端末に自分の通話端末の電話番号などの端末識別情報を手動で入力(手入力)することで、サーバ側で通話端末と情報処理端末とのペアリングが行われて、2組のペアが作成される。次に、片方のペアの情報処理端末と、もう片方のペアの情報処理端末との間で、自動的にデータ共有が開始される。
【0004】
特許文献2には、加速度センサ(加速度計やモーションセンサとも呼ばれることがある)を備えたリモートコントローラにおけるユーザ認証方法が記載されている。
【0005】
特許文献2に記載の方法では、ユーザがリモートコントローラを動かすと、リモートコントローラは、リモートコントローラが動かされた時の加速度を検出し、その加速度の方向と大きさとの組み合わせを要素とするパスワードを算出する。そして、リモートコントローラは、算出したパスワードを用いてユーザ認証を行う。ユーザは、ユーザ認証が完了したリモートコントローラを操作することで、赤外線などの無線を用いて、近くにあるテレビジョン受信機(以下、テレビ端末)テレビ端末やハードディスクドライブレコーダ(以下、HDDレコーダ端末)などを遠隔制御することができる(段落0027)。この遠隔制御の制御信号に、認証済みのユーザ情報を含めることで、テレビ端末やHDDレコーダ端末などでそのユーザに特有の処理を実行することができる(段落0029)。例えば、テレビ端末では、リモートコントローラを操作するユーザ毎に、表示するチャンネルや番組を変えることができる。また、HDDレコーダ端末では、リモートコントローラを操作するユーザが過去に録画したコンテンツのみを再生対象にすることができる(段落0030)。
【0006】
【特許文献1】特開2005−012380号公報
【特許文献2】特開2007−179169号公報(段落0027−0030)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載の方法では、ペアリング作業の際にユーザに大きな負担を掛けるため、簡単にペアが組めない。その理由は、特許文献1に記載された方法では、ペアリング作業の際に、音声通話中のユーザに対して、情報処理端末に自分の通話端末の電話番号を手入力することを強制するからである。電話番号の手入力は、手間の掛かる作業である。また、ユーザは他人の電話番号は覚えていても、自分の電話番号は覚えていない場合がある。特定の操作を行うことで、自機の電話番号を表示する機能を備えた通話端末もあるが、通話中は音量調整以外の機能が利用できない機種が多いため、ユーザは通話端末を操作しても自分の電話番号を知ることはできない。そのため、自分の電話番号を覚えていないユーザは、他の手段を使って自分の電話番号を調べ出す必要がある。
【0008】
また、特許文献1に記載の方法では、ユーザの意図と異なるペアが組まれてしまう場合があり、ペアリングの確実性に乏しい。その理由は、特許文献1に記載された方法では、ユーザが誤った電話番号を、誤りと気付かずに情報処理端末に手入力してしまうと、自分の情報処理端末と他人の通話端末とが意図せずペアリングされてしまうからである。
【0009】
例として、ユーザAとユーザB、及びユーザCとユーザDがそれぞれ通話中の場面を考える。例えば、ユーザAが誤った電話番号を手入力してしまい、それがたまたまユーザCの電話番号であった場合には、ユーザAの情報処理端末とユーザCの通話端末とがペアリングされてしまう。その結果、ユーザAの情報処理端末とユーザDの情報処理端末との間でデータ共有が開始されてしまう。
【0010】
また、特許文献2に記載された方法は、あくまでもユーザ認証の方法であり、複数の候補があるユーザ群の中から、リモートコントローラを操作しているユーザを特定することしかできない。そのため、ユーザがリモートコントローラを使って、ユーザの意図と異なる端末を遠隔制御してしまうという誤操作の発生の可能性を排除できない。リモートコントローラを用いて端末を遠隔制御するためには、リモートコントローラと端末とを何らかの形で関連付けする必要があるが、この関連付けは、概念としてはペアリングと同等である。
【0011】
特許文献2の段落0027に記載の通り、リモートコントローラと、テレビ端末やHDDレコーダ端末などの端末とは、1対多の関係になってしまっている。その結果、例えば、ユーザがHDDレコーダ端末を遠隔制御しようと思って操作したのに、テレビ端末が遠隔制御されてしまう場合があり得る。
【0012】
なお、特許文献2の段落0205−0206には、情報処理端末のマウスなどのポインティングデバイスを振動させることでユーザ認証を行う方法が記述されている。しかし、これは、あくまでも情報処理端末内でのユーザ認証の方法であるため、通話端末と情報処理端末とのペアリングには利用できない。
【0013】
そこで、本発明は、ペアリング作業の際にユーザに大きな負担を掛けず、簡単に、かつユーザの意図と異なるペアが組まれることを防止し、確実にペアリングをすることができる加速度センサ利用ペアリング方法、システム、及び装置、並びに加速度センサ利用ペアリング用プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明による加速度センサ利用ペアリングシステムは、加速度センサを搭載した第1の端末と、第2の端末とを備え、第1の端末は、当該第1の端末がユーザによって移動されたときに、加速度センサが検出した加速度情報に基づいて当該第1の端末が移動した軌跡を示す軌跡情報を算出する第1端末用軌跡算出手段を含み、第2の端末は、第1の端末の移動に連動してユーザによって当該第2の端末からの入力操作が行われたときに、当該第2の端末における入力座標の軌跡を示す軌跡情報を算出する第2端末用軌跡算出手段を含み、第1端末用軌跡算出手段が算出した軌跡情報と、第2端末用軌跡算出手段が算出した軌跡情報とを比較することによって、第1の端末と第2の端末とをペアリングするか否かを判定するペアリング判定手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0015】
本発明による加速度センサ利用ペアリング方法は、加速度センサを搭載した第1の端末がユーザによって移動されたときに、加速度センサが検出した加速度情報に基づいて当該第1の端末が移動した軌跡を示す軌跡情報を算出する第1端末用軌跡算出ステップと、第1の端末の移動に連動してユーザによって第2の端末からの入力操作が行われたときに、当該第2の端末における入力座標の軌跡を示す軌跡情報を算出する第2端末用軌跡算出ステップと、第1端末用軌跡算出手段が算出した軌跡情報と、第2端末用軌跡算出手段が算出した軌跡情報とを比較することによって、第1の端末と第2の端末とをペアリングするか否かを判定するペアリング判定ステップとを含むことを特徴とする。
【0016】
本発明によるペアリング装置は、加速度センサを搭載した第1の端末と、第2の端末とのペアリングを行うペアリング装置であって、第1の端末がユーザによって移動されたときに、加速度センサが検出した加速度情報に基づいて第1の端末が移動した軌跡を算出した軌跡情報と、第2の端末が第1の端末の移動に連動してユーザによって第2の端末から入力操作が行われたときに、第2の端末における入力座標の軌跡を算出した軌跡情報とを比較することによって、第1の端末と第2の端末とをペアリングするか否かを判定するペアリング判定手段を備えたことを特徴とする。
【0017】
本発明による端末は、端末間のペアリングを行うペアリングシステムが備える端末であって、加速度センサを搭載し、端末がユーザによって移動されたときに、加速度センサが検出した加速度情報に基づいて端末が移動した軌跡を示す軌跡情報を算出する軌跡算出手段を備えたことを特徴とする。
【0018】
本発明によるペアリング用プログラムは、加速度センサを搭載した第1の端末と、第2の端末とのペアリングを行うためのペアリング用プログラムであって、コンピュータに、第1の端末がユーザによって移動されたときに、加速度センサが検出した加速度情報に基づいて第1の端末が移動した軌跡を算出した軌跡情報と、第2の端末が第1の端末の移動に連動してユーザによって第2の端末から入力操作が行われたときに、第2の端末における入力座標の軌跡を算出した軌跡情報とを比較することによって、第1の端末と第2の端末とをペアリングするか否かを判定するペアリング判定処理を
実行させるためのものである。
【0019】
本発明による端末用プログラムは、端末間のペアリングを行うペアリングシステムが備える端末が搭載する端末用プログラムであって、コンピュータに、端末がユーザによって移動されたときに、端末が搭載する加速度センサが検出した加速度情報に基づいて端末が移動した軌跡を示す軌跡情報を算出する軌跡算出処理を実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ペアリング作業の際にユーザに大きな負担を掛けず、簡単に、かつユーザの意図と異なるペアが組まれることを防止し、確実にペアリングをすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明におけるネットワーク構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、ペア管理装置100と、通話端末A10と、通話端末B11と、情報処理端末A20と、情報処理端末B21とは、インターネットや携帯電話網等の通信ネットワークを介して相互に接続されている。なお、本実施の形態では、通話端末と情報処理端末とが2台ずつの場合を示すが、何台(例えば、3以上)あっても構わない。また、本実施の形態では、端末として、通話端末と情報処理端末とを用いるが、通話機能を備えていない端末(例えば、PDA(Personal Digital Assistant)等)を用いてもかまわない。
【0022】
図2は、加速度センサ利用ペアリング方法の機能構成を示す機能ブロック図である。図3は、本発明の実施形態におけるデータ構造の一例を示す説明図である。これらの図を使って説明する。
【0023】
図2に示すように、ペア管理装置100は、軌跡比較手段101とペア記憶手段102と軌跡記憶手段103とを含む。ペア管理装置100は、具体的には、プログラムに従って動作するパーソナルコンピュータ等の情報処理装置によって実現される。
【0024】
軌跡比較手段101は、具体的には、プログラムに従って動作する情報処理装置のCPUによって実現される。軌跡比較手段101は、通話端末から軌跡220を、情報処理端末から軌跡230を受信し、この2つの軌跡情報に基づいて、軌跡210を生成し、生成した軌跡210に基づいて、通話端末と情報処理端末とのペアを組むか否かを判定し、ペアを組むと判定した場合にはペア200を生成する機能を備えている。
【0025】
ペア記憶手段102は、具体的には、磁気ディスク装置や光ディスク装置などの記憶装置によって実現される。ペア記憶手段102は、複数のペア200を格納する。ペア200は、成立したペアと同数のペア200が存在する。ペア200は、特許文献1の図2と図4とに示される「端末番号」と「連携PC IPアドレス」とのペアに相当する情報である。
【0026】
ペア200は、通話端末識別子201と情報処理端末識別子202とを含む。
【0027】
通話端末識別子201は、通話端末A10や通話端末B11を特定するアドレス情報である。具体的には、例えば、電話番号、SIPアドレス、IPアドレス、MACアドレスなどであるが、これに限定されるものではない。
【0028】
情報処理端末識別子202は、情報処理端末A20や情報処理端末B21を特定するアドレス情報である。具体的には、例えば、電話番号、SIPアドレス、IPアドレス、MACアドレスなどであるが、これに限定されるものではない。
【0029】
軌跡記憶手段103は、具体的には、磁気ディスク装置や光ディスク装置などの記憶装置によって実現される。軌跡記憶手段103は、複数の軌跡210を格納する。軌跡記憶手段103は、一連の軌跡210を、ユーザによる通話端末と入力手段との振動操作毎に、まとめて管理する。例えば、2人のユーザが振動操作を別々に行った場合、一連の軌跡210は、2セット生成される。
【0030】
軌跡210は、時刻211と、通話端末X座標212と、通話端末Y座標213と、情報処理端末X座標214と、情報処理端末Y座標215とを含む。
【0031】
時刻211は、通話端末や情報処理端末が軌跡情報を採取した時刻である。ただし、時刻211は、通話端末や情報処理端末が搭載する時計での時刻ではなく、ペア管理装置100が搭載する時計での時刻である。
【0032】
通話端末X座標212は、時刻211において通話端末が採取した、X−Y平面上での通話端末の位置のX座標の値である。
【0033】
通話端末Y座標213は、時刻211において通話端末が採取した、X−Y平面上での通話端末の位置のY座標の値である。
【0034】
情報処理端末X座標214は、時刻211において情報処理端末が採取した、X−Y平面上での情報処理端末の位置のX座標の値である。
【0035】
情報処理端末Y座標215は、時刻211において情報処理端末が採取した、X−Y平面上での情報処理端末の位置のY座標の値である。
【0036】
通話端末A10は、具体的には、プログラムに従って動作する携帯電話機、スマートフォン、固定電話機、街頭マルチメディア端末、車載端末、ゲーム機、外部と情報をやり取りする機能を備えたその他の類似装置によって実現される。なお、通話端末B11の構成は、通話端末A10と同一であるため、説明は省略する。
【0037】
通話端末A10は、加速度検出手段A111、加速度/速度変換手段A113、軌跡算出手段A114、振動監視手段A115、時刻補正手段A116、及び軌跡記憶手段A117を含む。
【0038】
加速度検出手段A111は、通話端末A10が物理的に動いた時の加速度情報を時系列に沿って検出可能な加速度センサによって実現される。加速度検出手段A111が検出する加速度情報は、地面と水平な平面、つまり地球の重力が掛かる方向に対して垂直な平面において、通話端末A10の横方向をX軸とし、通話端末A10の縦方向をY軸としたX−Y平面上での、加速度の方向と大きさとで構成される。
【0039】
加速度/速度変換手段A113は、具体的には、プログラムに従って動作する情報処理装置のCPUによって実現される。加速度/速度変換手段A113は、加速度検出手段A111が検出した時系列に沿った加速度情報を、時系列に沿った速度情報に変換する機能を備えている。この速度情報は、地面と水平な平面、つまり地球の重力が掛かる方向に対して垂直な平面において、通話端末A10の横方向をX軸とし、通話端末A10の縦方向をY軸としたX−Y平面上での、速度の方向と大きさとで構成される。この変換は、時系列に沿った加速度情報を積分することで実現することができる。
【0040】
軌跡算出手段A114は、具体的には、プログラムに従って動作する情報処理装置のCPUによって実現される。軌跡算出手段A114は、加速度/速度変換手段A113が算出した時系列に沿った速度情報を、時系列に沿った軌跡に変換する機能を備えている。この変換は、時系列に沿った速度情報を積分することで実現することができる。
【0041】
振動監視手段A115は、具体的には、プログラムに従って動作する情報処理装置のCPUによって実現される。振動監視手段A115は、軌跡算出手段A114が算出した軌跡を監視し、加速度検出手段A111がユーザの手により動かされ始めたこと(振動開始)と、振動が終わってユーザの手が止まったこと(振動終了)とを検出する機能を備えている。振動監視手段A115は、振動開始を検出した際には、加速度検出手段A111がX−Y平面上のどの方向に動き始めたか(初期傾き)を算出する機能を備えている。
【0042】
時刻補正手段A116は、具体的には、プログラムに従って動作する情報処理装置のCPUによって実現される。時刻補正手段A116は、ペア管理装置100が搭載する時計の時刻情報と通話端末A10が搭載する時計の時刻情報とを交換することで、お互いの時計の時差を算出し、元々通話端末A10が搭載する時計での時刻として保存された時刻221を、ペア管理装置100の時計での時刻に変換する機能を備えている。
【0043】
軌跡記憶手段A117は、具体的には、磁気ディスク装置や光ディスク装置等の記憶装置によって実現される。軌跡記憶手段A117は、複数の軌跡220と初期傾き224とを格納する。軌跡記憶手段A117は、軌跡220として、軌跡算出手段A114が算出した、加速度検出手段A111の、地面と水平な平面、つまり地球の重力が掛かる方向に対して垂直な平面において、通話端末A10の横方向をX軸に、通話端末A10の縦方向をY軸にしたX−Y平面上での、時系列に沿った位置を格納する。
【0044】
軌跡220は、図3に示すように、時刻221とX座標222とY座標223とを含む。
【0045】
時刻221は、加速度検出手段A111が加速度情報を検出した時刻である。時刻221は、最初は通話端末A10が搭載する時計での時刻として保存されるが、後でペア管理装置100が搭載する時計での時刻に変換されて上書き保存される。
【0046】
X座標222は、時刻221の時点におけるX−Y平面上での加速度検出手段A111の位置のX座標の値である。
【0047】
Y座標223は、時刻221の時点におけるX−Y平面上での加速度検出手段A111の位置のY座標の値である。
【0048】
初期傾き224は、振動監視手段A115が振動開始を検出した際に算出され、加速度検出手段A111がX−Y平面上のどの方向に動き始めたかを示す。具体的には、初期傾き224は、加速度検出手段A111が動き始めた方向を、X−Y平面の原点を通る直線で表現した時の、直線の傾きに相当する。
【0049】
情報処理端末A20は、具体的には、パーソナルコンピュータ(PC)、携帯型コンピュータ(PDA)、携帯電話機、スマートフォン、固定電話機、街頭マルチメディア端末、車載端末、ネットワーク接続機能付きテレビ、ネットワーク接続機能付きセットトップボックス、ゲーム機、外部と情報をやり取りする機能を備えたその他の類似装置によって実現される。なお、情報処理端末B21の構成は、情報処理端末A20と同一であるため、説明は省略する。
【0050】
図2に示すように、情報処理端末A20は、入力手段A123、軌跡算出手段A124、振動監視手段A125、時刻補正手段A126、及び軌跡記憶手段A127を含む。
【0051】
入力手段A123は、具体的には、マウス、ノートPCなどが備えるタッチパッド、PDAやスマートフォンや街頭マルチメディア端末などが備えるタッチパネル式ディスプレイ装置、又はユーザの手や指などで入力操作ができる機能を備えたその他の類似装置によって実現される。以下、マウスやタッチパッドにおけるマウスカーソルや、タッチパネル式ディスプレイ装置におけるユーザがディスプレイにタッチした箇所を、「操作対象点」と呼ぶことにする。
【0052】
軌跡算出手段A124は、具体的には、プログラムに従って動作する情報処理装置のCPUによって実現される。軌跡算出手段A124は、ユーザが入力手段A123を操作した結果得られる、「操作対象点」の一連の移動方向と移動距離を、次々につなぎ合わせて行くことで、「操作対象点」の移動の軌跡を算出する機能を備えている。
【0053】
振動監視手段A125は、具体的には、プログラムに従って動作する情報処理装置のCPUによって実現される。振動監視手段A125は、軌跡算出手段A124が算出した軌跡を監視し、「操作対象点」がユーザの手により動かされ始めたこと(振動開始)と、振動が終わってユーザの手が止まったこと(振動終了)とを検出する機能を備えている。振動監視手段A125は、振動開始を検出した際には、「操作対象点」が、情報処理端末A20の画面の横方向をX軸に、縦方向をY軸にしたX−Y平面上のどの方向に動き始めたか(初期傾き)を算出する機能を備えている。
【0054】
時刻補正手段A126は、具体的には、プログラムに従って動作する情報処理装置のCPUによって実現される。時刻補正手段A126は、ペア管理装置100が搭載する時計の時刻情報と情報処理端末A20が搭載する時計の時刻情報とを交換することで、お互いの時計の時差を算出し、元々情報処理端末A20が搭載する時計での時刻として保存された時刻231を、ペア管理装置100が搭載する時計での時刻に変換する機能を備えている。
【0055】
軌跡記憶手段A127は、具体的には、磁気ディスク装置や光ディスク装置等の記憶装置によって実現される。軌跡記憶手段A127は、複数の軌跡230と初期傾き234とを格納する。軌跡記憶手段A127は、軌跡220として、軌跡算出手段A124が算出した「操作対象点」のX−Y平面上の位置とその時の時刻とを格納する。
【0056】
軌跡220は、図3に示すように、時刻231とX座標232とY座標233とを含む。
【0057】
時刻231は、軌跡算出手段A124が「操作対象点」の位置を算出した時刻である。時刻231は、最初は通話端末A10が搭載する時計での時刻として保存されるが、後でペア管理装置100が搭載する時計での時刻に変換されて上書き保存される。
【0058】
X座標232は、時刻231の時点におけるX−Y平面上での「操作対象点」の位置のX座標の値である。
【0059】
Y座標233は、時刻231の時点におけるX−Y平面上での「操作対象点」の位置のY座標の値である。
【0060】
初期傾き224は、振動監視手段A125が振動開始を検出した際に算出され、「操作対象点」がX−Y平面上のどの方向に動き始めたかを示す情報である。具体的には、初期傾き224は、「操作対象点」が動き始めた方向を、X−Y平面の原点を通る直線で表現した時の、直線の傾きに相当する。
【0061】
次に、動作について説明する。図4は、加速度センサ利用ペアリング方法の処理の一例を示すフローチャートである。なお、本実施形態では、ユーザAが通話端末A10と情報処理端末A20とを、ユーザBが通話端末B11と情報処理端末B21とを所有しているという前提で説明する。
【0062】
まず、端末のペアリングを行いたい場合、ユーザAは、通話端末A10を操作してペアリング実行用の画面を表示する操作を行う。すると、加速度検出手段A111は、自動的に時系列に沿った加速度情報の検出を開始する。次いで、加速度/速度変換手段A113は、加速度検出手段A111が検出した時系列に沿った加速度情報を、時系列に沿った速度情報に変換する処理を開始する。次いで、軌跡算出手段A114は、加速度/速度変換手段A113が算出した時系列に沿った速度情報を、時系列に沿った軌跡に変換する処理を開始する。なお、この軌跡の算出処理は、加速度検出手段A111が加速度情報を検出している間、継続して実行される。
【0063】
次に、振動監視手段A115は、軌跡算出手段A114が算出した軌跡に基づいて、ユーザAによる振動操作の開始を監視する処理を開始する。具体的には、まず、振動監視手段A115は、軌跡算出手段A114が算出した軌跡の情報から、最新の加速度検出手段A111の位置(X−Y平面上の座標)と、既定の時間を遡って得られる加速度検出手段A111の位置との、2つの位置を取得(抽出)する。次に、振動監視手段A115は、2つの位置の距離を算出し、既定の値を上回っているか否かを判定する。また、通話端末A10は、タイマーを起動する。
【0064】
次に、ユーザAは、情報処理端末A20を操作して、ペアリング実行用の画面を表示する操作を行う。すると、軌跡算出手段A124は、ユーザが入力手段A123を操作した結果得られる、「操作対象点」の一連の移動方向と移動距離とを、次々につなぎ合わせて行くことで、「操作対象点」の移動の軌跡を算出する処理を開始する。なお、この軌跡の算出処理は、ユーザが入力手段A123を操作している間、継続して実行される。
【0065】
次に、振動監視手段A125は、軌跡算出手段A124が算出した軌跡に基づいて、ユーザAによる振動操作の開始を監視する処理を開始する。具体的には、まず、振動監視手段A125は、軌跡算出手段A124が算出した軌跡の情報から、最新の入力手段A123の位置(X−Y平面上の座標)と、既定の時間を遡って得られる入力手段A123の位置との、2つの位置を取得(抽出)する。次に、振動監視手段A125は、2つの位置の距離を算出し、既定の値を上回っているか否かを判定する。その後、ユーザAは、通話端末A10を入力手段A123の上に持って行き、重ねて一緒に保持する(ステップS300)。
【0066】
既定の時間が経過すると、ステップS300で起動された通話端末A10のタイマーはタイムアウトし、それを契機として、通話端末A10は、電子音などの音を鳴らすことで、ユーザAに振動操作を開始してよい旨を伝える。なお、報知の手段として、音を鳴らす代わりに、ディスプレイ装置や通話端末A10の背面にサブディスプレイ装置などが備えられている場合には、これらのディスプレイ装置にメッセージを表示しても良い。また、バイブレータ機能を使って通話端末A10でバイブレーションを起こしても良い。これを契機に、ユーザAは通話端末A10と入力手段A123とを一緒に左右に動かし始める(振動開始)(ステップS301)。
【0067】
振動監視手段A115は、通話端末A10の振動開始を検出する。すると、振動監視手段A115は、振動開始を検出した時点での最新の加速度検出手段A111のX−Y平面上の座標と、既定の時間を遡って得られる加速度検出手段A111の座標を通るX−Y平面上の直線の傾きとを算出し、その値を初期傾き224に格納する。また、軌跡算出手段A114は、軌跡220へ時刻221とX座標222とY座標223との保存を開始する(ステップ302)。これにより、ユーザAの振動操作中に、次々と軌跡220が新規生成されることになる。ここで、時刻221は、通話端末A10が搭載する時計での時刻である。
【0068】
次に、振動監視手段A115は、軌跡算出手段A114が算出した軌跡に基づいて、ユーザAによる振動操作の終了を監視する処理を開始する。具体的には、まず、振動監視手段A115は、ステップS300の処理と同様に2つの位置を取得(抽出)する。次に、振動監視手段A115は、2つの位置の距離を算出し、既定の値を下回っているか否かを判定する。
【0069】
また、振動監視手段A125は、入力手段A123の振動開始を検出する。振動監視手段A125は、振動監視手段A115と同様に、初期傾き234を格納する。また、軌跡算出手段A124は、軌跡230へ時刻231とX座標232とY座標233との保存を開始する。これにより、ユーザAの振動操作中に、次々と軌跡230が新規生成されることになる。ここで、時刻231は、情報処理端末A20が搭載する時計での時刻である。
【0070】
次に、振動監視手段A125は、軌跡算出手段A124が算出した軌跡に基づいて、ユーザAによる振動操作の終了を監視する処理を開始する。具体的には、まず、振動監視手段A125は、ステップS300の処理と同様に2つの位置を取得(抽出)する。次に、振動監視手段A125は、2つの位置の距離を算出し、既定の値を下回っているか否かを判定する。
【0071】
ユーザAは、通話端末A10と入力手段A123とを一緒に左右に何度か動かし終え、動かすのを止める(振動終了)(ステップS303)。
【0072】
振動監視手段A115は、通話端末A10の振動終了を検出する。すると、軌跡算出手段A114は、全ての軌跡220に対する、X座標222とY座標223との正規化を行う。軌跡算出手段A114と軌跡算出手段A124とで、軌跡の解像度が異なる場合でも、この正規化処理により、座標の縮尺を揃えることができるため、ステップS307において、軌跡比較手段101は、両端末の軌跡の比較を行えるようになる。この正規化処理は、具体的には、軌跡算出手段A114は、全てのX座標222を対象に|最大値|と|最小値|とを取得(抽出)し、各X座標222を、(X座標222)÷(|最大値|と|最小値|のうち、値の大きい方)の値で上書き保存する。ここで、|*|は*の絶対値である。例えば、最大値=20、最小値=−30、X座標222=15の場合には、|最小値|=30の方が|最大値|=20より値が大きいので、15÷30=0.5で上書き保存する。Y座標223に対しても同様の処理を行う。
【0073】
次に、時刻補正手段A116は、ペア管理装置100が搭載する時計の時刻情報と通話端末A10が搭載する時計の時刻情報とを交換することで、お互いの時計の時差を算出する。なお、時差の算出方法は、例えば、文献(RFC2030、「Simple Network Time Protocol (SNTP) Version 4 for IPv4, IPv6 and OSI」、1996年10月、http://tools.ietf.org/rfc/rfc2030.txt)に記載されている。
【0074】
時刻補正手段A116は、算出された時差を用いて、通話端末A10が搭載する時計での時刻として保存されている時刻221を、ペア管理装置100が搭載する時計での時刻に変換して上書き保存する。この変換処理は、例えば、通話端末A10が搭載する時計よりペア管理装置100が搭載する時計の方が1秒遅れていると算出された場合には、全ての軌跡220について、時刻221の時刻を1秒遅らせる処理を行う。
【0075】
その後、通話端末A10は、通話端末A10の識別子と、初期傾き224と、全ての軌跡220とを、軌跡比較手段101に送信する。最後に、通話端末A10は、通話端末A10の画面を更新し、処理中である旨のメッセージを表示する。また、情報処理端末A20も、通話端末A10と同様の処理を行う(ステップS304)。
【0076】
軌跡比較手段101は、初期傾き224と軌跡220と初期傾き234と軌跡230とを受信すると、軌跡220と軌跡230とから最初の時刻221と時刻231とを取得(抽出)し、時刻の差が既定の値以内か否か判定する。また、軌跡比較手段101は、最後の時刻221と時刻231とを取得(抽出)し、時刻の差が既定の値以内か否かか判定する(ステップS305)。
【0077】
どちらか片方でも既定値を超えていた場合、軌跡比較手段101は、通話端末A10と情報処理端末A20とのペアは成立しないことを確定する(ステップS309)。その後、軌跡比較手段101は、その旨を両端末に通知し、図4に示すように処理は初めに戻る。
【0078】
双方とも既定値以内である場合、軌跡比較手段101は、受信した軌跡220と軌跡230とのうち、時刻221と時刻231とが重複している軌跡220と軌跡230とだけを抽出し、抽出した軌跡220と軌跡230とに基づいて、軌跡210を新規に生成する。その後、図4に示すように、処理はステップS306に進む。
【0079】
具体的には、まず、軌跡比較手段101は、最初の時刻221と時刻231とのうち、遅い方の時刻を取得(抽出)し、この時刻より早い時刻221を持つ軌跡220と、この時刻より早い時刻231を持つ軌跡230とを全て廃棄する。次に、軌跡比較手段101は、最後の時刻221と時刻231とのうち、早い方の時刻を取得(抽出)し、この時刻より遅い時刻221を持つ軌跡220と、この時刻より遅い時刻231とを持つ軌跡230とを全て廃棄する。これにより時刻221と時刻231とが重複している軌跡220と軌跡230とだけが残る。
【0080】
この処理により、仮に、ステップS302の振動開始やステップS304の振動終了の検出タイミングが、通話端末A10と情報処理端末A20で正確に同期していなかったとしても、軌跡比較手段101は、あたかも正確に同期していたかのように、ステップS307において軌跡の一致を判定できるようになる。
【0081】
次に、軌跡比較手段101は、軌跡220と軌跡230との個数を数え、(個数が多い方)÷(個数が少ない方)の値を計算して小数点以下を切り捨て、これを「サンプリング速度比」として定義する。例えば、軌跡220の個数=100、軌跡230の個数=50の場合には、「サンプリング速度比」=100÷50=2となる。
【0082】
次に、軌跡比較手段101は、軌跡220と軌跡230とのうち、個数の多い方を軌跡210にコピーする。前記の例では、100個の軌跡210が新規生成され、時刻211と通話端末X座標212と通話端末Y座標213とに値が埋まり、情報処理端末X座標214と情報処理端末Y座標215とは値が空の状態になる。
【0083】
次に、軌跡比較手段101は、軌跡220と軌跡230とのうち、個数の少ない方のX座標とY座標を軌跡210にコピーする。ただし、このコピーの際には、「サンプリング速度比」と同じ回数だけ軌跡210を時刻211が早い順に取り出して、取り出した1つ以上の軌跡210に対して、空になっているX座標とY座標に、軌跡220と軌跡230とのうち、個数の少ない方のX座標とY座標をコピーする。前記の例では、時刻211が1番目に早い軌跡210と2番目に早い軌跡210の2個が取り出され、2つの情報処理端末X座標214の両方に、時刻231が1番目に早い軌跡230のX座標232がコピーされ、2つの情報処理端末Y座標215の両方に、時刻231が1番目に早い軌跡230のY座標233がコピーされる。順次、この処理が、時刻211が3番目に早い軌跡210と4番目に早い軌跡210など、後続の軌跡210に対して行われる。
【0084】
この処理により、仮に、加速度検出手段A111が単位時間当たりに加速度を検出する回数(サンプリング速度)と、入力手段A123が単位時間当たりに「操作対象点」の位置を採取する回数(サンプリング速度)とが、異なっていても、この2つのサンプリング速度の差異を吸収できる。
【0085】
軌跡比較手段101は、初期傾き224と初期傾き234とを用いて、全ての軌跡210について、通話端末X座標212と通話端末Y座標213との値を変換する処理を行う(ステップS306)。この変換処理を行う理由を、図5と図6を用いて説明する。図5と図6とは、座標系の回転が必要な理由を説明するための図である。なお、通話端末A10は、加速度センサを備えた携帯電話機であり、情報処理端末A20は、マウスを備えたPCであるものとして説明する。
【0086】
図5の(a),(b)に示すように、携帯電話とマウスとは別々のX−Y平面の座標系を持つ。携帯電話の場合には、加速度センサの位置が座標系の原点となり、マウスの場合には、マウス内のボールが接地する部分が座標系の原点となる。
【0087】
ここで、ユーザは、図5(a)に示すように、携帯電話のY座標とマウスのY座標とが正確に平行になるようにして、携帯電話とマウスとを一緒に保持することは少ないと考えられる。むしろ、ほとんどの場合、ユーザは、図5(b)に示すように、2つのY座標が平行にならない形で、携帯電話とマウスとを一緒に保持すると考えられる。
【0088】
図5(a)の場合には、特に通話端末X座標212と通話端末Y座標213との値を変換しなくても、ステップS307において、軌跡比較手段101は、携帯電話とマウスの軌跡が一致すると判定すると考えられる。そのため、この場合には特に問題はない。
【0089】
一方、図5(b)の場合には、ステップS307において、軌跡比較手段101は、携帯電話とマウスとの軌跡が一致しないと誤判定する。何故ならば、図6の(b−1)はマウスの座標系と携帯電話の座標系を別々にして、(b)では傾いていた携帯電話の座標系を傾かないようにしたものであるが、マウスの座標系では時計の2時の方向に動き始める軌跡が、携帯電話の座標系では時計の5時の方向に動き始める軌跡になっているからである。当然のことながら、この状態のままでは、ステップS307において、2つの軌跡は一致しないと判定されてしまい、誤った判定結果を得ることとなる。
【0090】
そこで、時計の5時の方向に動き始める携帯電話の軌跡が、時計の2時の方向に動き始める軌跡になるように、携帯電話の座標系を、原点を中心に点対称になるように回転させることで、この問題を解決する。この回転処理は、「アフィン変換」として広く知られる方法を用いて実現できる。つまり、このステップでは、通話端末X座標212と通話端末Y座標213との値を、「アフィン変換」を用いて変換する処理を行う。
【0091】
まず、軌跡比較手段101は、初期傾き224と初期傾き234とを用いて、通話端末A10の座標系を回転させる角度を算出する。次に、軌跡比較手段101は、全ての軌跡210について、通話端末X座標212と通話端末Y座標213との値を「アフィン変換」を用いて変換を行い、変換後の値を通話端末X座標212と通話端末Y座標213とに上書き保存する。
【0092】
軌跡比較手段101は、通話端末A10の軌跡と情報処理端末A20の軌跡とを、時系列上に比較することで、軌跡が一致するかどうかを判定する(ステップS307)。図7は、2つの軌跡の時系列上の比較を、模式的に表した説明図である。なお、説明の簡略化のために「サンプリング速度比」=1という前提で説明する。
【0093】
図7に示すように、点線は、通話端末A10の軌跡であり、実線は、情報処理端末A20の軌跡である。点線上の黒点の座標は、それぞれ(通話端末X座標212.通話端末Y座標213)で与えられる。同様に実線上の黒点の座標は、それぞれ(情報処理端末X座標214.情報処理端末Y座標215)で与えられる。共通の時刻211を持つ(通話端末X座標212.通話端末Y座標213)と(情報処理端末X座標214.情報処理端末Y座標215)とが、直線で結ばれている。以下、この各直線の長さを「軌跡間距離」と定義する。
【0094】
まず、軌跡比較手段101は、全ての軌跡210について「軌跡間距離」を算出する。次に、軌跡比較手段101は、軌跡210の総数に対して、「軌跡間距離」が既定の値以内である場合の割合を算出する。そして、軌跡比較手段101は、算出した割合が既定の値を下回るか否かを判定する。
【0095】
算出した割合が規定の値を下回る場合には、軌跡比較手段101は、通話端末A10と情報処理端末A20とのペアが成立することを確定する(ステップS308)。軌跡比較手段101は、まず、その旨を両端末に通知する。次に、軌跡比較手段101は、ペア200を新規に生成し、ステップS304において通話端末A10と情報処理端末A20とが送信した識別子を、それぞれ通話端末識別子201と情報処理端末識別子202として保存する。
【0096】
算出した割合が規定の値を下回らない場合には、軌跡比較手段101は、通話端末A10と情報処理端末A20とのペアは成立しないことを確定する(ステップS309)。その後、軌跡比較手段101は、その旨を両端末に通知し、図4に示すように処理は初めに戻る。
【0097】
ここで、例えば、ユーザAとユーザBとの通話端末及びマウスを振動させる操作のタイミングが重なった場合を考えてみる。この場合でも、ペア管理装置が受信する軌跡情報は、ユーザ毎に異なる。そのため、ペア管理装置は、各ユーザの意図通りに、各ユーザがマウスと一緒に保持した通話端末と、そのマウスがつながっている情報処理端末とのペアを組むことができる。
【0098】
以上のように、本実施形態によれば、ペアリング作業の際にユーザに大きな負担を掛けない、簡単なペアリングを行うことができる。その理由は、ユーザは、自分の通話端末の電話番号などを手入力することは不要で、自分の通話端末を自分の情報処理端末のマウスと一緒に保持して振動させるだけで、ペアリング作業を行えるからである。
【0099】
また、本実施形態によれば、ユーザの意図と異なるペアが組まれることを防止できる、確実なペアリングを行うことができる。その理由は、複数のユーザの通話端末とマウスを振動させる操作のタイミングが重なった場合でも、振動により得られた通話端末とマウスの軌跡情報を、ペア管理装置において比較を行ってペアを組むかどうかを判定することで、ユーザの意図通りに、ユーザがマウスと一緒に保持した通話端末と、そのマウスがつながっている情報処理端末とのペアを組むことができるからである。
【0100】
さらに、本実施形態によれば、通話端末で算出される軌跡の解像度と情報処理端末で算出される軌跡の解像度とが、異なっていてもペアが組めるという効果が得られる。(ステップS304参照)。
【0101】
さらに、本実施形態によれば、通話端末と情報処理端末との時刻を、あらかじめ同期しておかなくてもペアが組めるという効果が得られる。(ステップS304参照)。
【0102】
さらに、本実施形態によれば、振動開始や振動終了の検出タイミングが、通話端末と情報処理端末とで正確に同期していなかったとしてもペアが組めるという効果が得られる。(ステップS305参照)。
【0103】
さらに、本実施形態によれば、加速度検出手段A111のサンプリング速度と入力手段A123のサンプリング速度とを、あらかじめ一致させておかなくてもペアが組めるという効果が得られる。(ステップS305参照)。
【0104】
さらに、本実施形態によれば、通話端末と情報処理端末との向きを、ユーザがわざわざ揃えなくてもペアが組めるという効果が得られる。(ステップS306参照)。
【0105】
また、特許文献2に記載の方法には問題点として、無線通信用のハードウェアを備えていない情報処理端末ではペアリングができないため、安価にシステムを実現できないという点がある。その理由は、特許文献2には、リモートコントローラによるテレビ端末やHDDレコーダ端末などの端末の遠隔制御について記載されているが、リモートコントローラを携帯電話などの通話端末に、テレビ端末やHDDレコーダ端末などの端末をPCなどの情報処理端末に置き換えて考えると、デスクトップPCは、通常は無線通信用のハードウェアを備えていないため、特許文献2に記載された方法を利用すると、デスクトップPCではペアリングができないからである。そのため、デスクトップPCでもペアリングができるようにするには、無線通信用の拡張ボードなどを購入する必要がある。その結果、安価にシステムを実現できなくなってしまう。
【0106】
本実施形態によれば、無線通信用のハードウェアを備えていない情報処理端末でもペアリングができ、安価なペアリング方法を提供できることである。情報処理端末は通信のために無線通信用のハードウェアを備える必要はなく、LANなどの有線通信を使って通信することができるからである。
【実施例】
【0107】
次に、本発明の実施例について、図8と図9を用いて説明する。ユーザAが通話端末A10と情報処理端末A20との間でペアリングを行う場合に、どのような画面遷移があるのか、またはどのような操作を行うのかを、図8を用いて説明する。図8は、画面例と操作例を示す説明図である。
【0108】
図8(1)は、ステップS300において、ユーザAが通話端末A10と情報処理端末A20とを操作して表示したペアリング実行用の画面である。
【0109】
図8(2)は、ステップS301において、ユーザAが通話端末A10と入力手段A123とを一緒に左右に振動させる操作を示す。
【0110】
図8(3)は、ステップS304において、通話端末A10と情報処理端末A20とが、処理中である旨のメッセージを表示している画面である。
【0111】
図8(4)は、ステップS308において、通話端末A10と情報処理端末A20とが、ペアが成立した旨のメッセージを表示している画面である。
【0112】
図9は、マウス以外の入力手段を備えた情報処理端末のペアリングの仕方を示す説明図である。
【0113】
図9(5)に示すように、ノートPCなどのタッチパッドを備える情報処理端末と、通話端末とをペアリングする際には、通話端末を手で握りながら、同じ手の親指や中指などでタッチパッドを操作すればよい。
【0114】
図9(6)に示すように、PDAやスマートフォンや街頭マルチメディア端末などのタッチパネル式ディスプレイ装置を備える情報処理端末と、通話端末とをペアリングする際には、通話端末を手で握りながら、同じ手の親指や中指などでタッチパネル式ディスプレイ装置を操作すればよい。
【0115】
次に、本発明による加速度センサ利用ペアリングシステムの最小構成について説明する。図10は、加速度センサ利用ペアリングシステムの最小の構成例を示すブロック図である。図10に示すように、加速度センサ利用ペアリングシステムは、最小の構成要素として、加速度センサを搭載した第1の端末10と、第2の端末20と、ペア管理装置100とを含む。また、第1の端末10は、第1端末用軌跡算出手段A114を含み、第2の端末20は、第2端末用軌跡算出手段A124とを含み、ペア管理装置100は、軌跡比較手段101とを含む。
【0116】
図10に示す最小構成の加速度センサ利用ペアリングシステムにおいて、第1端末用軌跡算出手段A114は、第1の端末10がユーザによって移動されたときに、加速度センサが検出した加速度情報に基づいて当該第1の端末10が移動した軌跡を示す軌跡情報を算出する機能を備えている。また、第2端末用軌跡算出手段A124は、第1の端末10の移動に連動してユーザによって当該第2の端末20からの入力操作が行われたときに、当該第2の端末20における入力座標の軌跡を示す軌跡情報を算出する機能を備えている。また、軌跡比較手段101は、第1端末用軌跡算出手段が算出した軌跡情報と、前記第2端末用軌跡算出手段が算出した軌跡情報とを比較することによって、前記第1の端末10と前記第2の端末20とをペアリングするか否かを判定する機能を備えている。
【0117】
図10に示す最小構成の加速度センサ利用ペアリング方法によれば、ペア管理装置100は、第1の端末10から受信した軌跡情報と、第2の端末20から受信した軌跡情報とを比較し、2つの軌跡情報が近いと判定すると、第1の端末10と第2の端末20とのペアを成立させる。そのため、番号を入力するなど、ユーザに負担をかけることなく、簡単にペアリングを行うことができる。また、例えば、複数のユーザの振動させる操作のタイミングが重なった場合でも、ペア管理装置100が受信する軌跡情報は、ユーザ毎に異なる。そのため、ユーザの意図通りに、確実に第1の端末10と第2の端末20とのペアリングを行うことができる。
【0118】
なお、上記の実施形態及び実施例では、以下の(1)〜(7)に示すような加速度センサ利用ペアリング方法の特徴的構成が示されている。
【0119】
(1)加速度センサ利用ペアリング方法は、加速度センサ(例えば、加速度検出手段A111によって実現される)を搭載した第1の端末(例えば、通話端末A10によって実現される)がユーザによって移動されたときに、加速度センサが検出した加速度情報に基づいて当該第1の端末が移動した軌跡を示す軌跡情報(例えば、軌跡220)を算出する第1端末用軌跡算出ステップ(例えば、軌跡算出手段A114によって実現される)と、第1の端末の移動に連動してユーザによって第2の端末(例えば、情報処理端末A20によって実現される)からの入力操作が行われたときに、当該第2の端末における入力座標の軌跡を示す軌跡情報(例えば、軌跡230)を算出する第2端末用軌跡算出ステップ(例えば、軌跡算出手段A124によって実現される)と、第1端末用軌跡算出手段が算出した軌跡情報と、第2端末用軌跡算出手段が算出した軌跡情報とを比較することによって、第1の端末と第2の端末とをペアリングするか否かを判定するペアリング判定ステップ(例えば、軌跡比較手段101によって実現される)とを含むことを特徴とする。
【0120】
(2)加速度センサ利用ペアリング方法において、第1端末用軌跡算出ステップで、第1の端末が移動した移動位置(例えば、X座標222及びY座標223)と当該第1の端末が当該移動位置に移動した時刻(例えば、時刻221)とを対応付けて含む軌跡情報を算出し、第2端末用軌跡算出ステップで、第2の端末が移動した移動位置(例えば、X座標232及びY座標233)と当該第2の端末が当該移動位置に移動した時刻(例えば、時刻231)とを対応付けて含む軌跡情報を算出し、ペアリング判定ステップで、同時刻における第1端末用軌跡算出手段が算出した軌跡情報に含まれる移動位置と第2端末用軌跡算出手段が算出した軌跡情報に含まれる移動位置との差が、所定距離以内であると判定したときに、第1の端末と第2の端末とをペアリングすると判定するように構成されていてもよい。
【0121】
(3)加速度センサ利用ペアリング方法は、第1の端末と第2の端末とでペアリング実行画面を表示して第1の端末と第2の端末の入力手段とを一緒に保持し、第1の端末と入力手段とを振動させる操作に基づいて、前記第1の端末と前記第2の端末とのペアリングを行う加速度センサ利用ペアリング方法であって、第1の端末と入力手段との振動操作開始を検出し、第1の端末と第2の端末とでの初期傾きを算出し、軌跡情報の保存を開始する振動監視ステップ(例えば、振動監視手段A115によって実現される)と、第1の端末と入力手段とを振動させる操作が終了されると、第1の端末と入力手段との振動操作終了を検出し(例えば、振動監視手段A115によって実現される)、保存済みの軌跡情報のX座標とY座標とを正規化し、第1の端末が搭載する時計とペア管理装置が搭載する時計との時差を算出し、算出した時差に基づいて軌跡情報の保存時刻をペア管理装置が搭載する時計での時刻に変換し(例えば、時刻補正手段A116によって実現される)、初期傾き(例えば、初期傾き224)と軌跡情報とをペア管理装置に送信する送信ステップと、受信した軌跡情報に基づいて、振動開始時刻の差と振動終了時刻の差とが共に既定値以内か判定する時刻差判定ステップ(例えば、軌跡比較手段101によって実現される)と、初期傾きを用いて第1の端末の座標系を回転する座標系回転ステップ(例えば、軌跡比較手段101によって実現される)と、第1の端末と第2の端末との軌跡情報が一致するか否かを判定することで、第1の端末と第2の端末とのペアを成立させるか否かを判定するペア判定ステップ(例えば、軌跡比較手段101によって実現される)とを含むことを特徴とする。
【0122】
(4)加速度センサ利用ペアリング方法において、第1の端末の軌跡情報と第2の端末の軌跡情報とは、保存時刻とX−Y平面上の点との組が一連に連なった形でそれぞれ構成され、ペア判定ステップで、一連の点について、共通の保存時刻を持つ第1の端末の点と第2の端末の点との距離(例えば、軌跡間距離)を算出し、組の総数に対して距離が既定値以内である場合の割合を算出し、算出した割合が既定値を下回る場合には第1の端末と第2の端末とのペアを成立させると判定し、上回る場合にはペアを成立させないと判定するように構成されていてもよい。
【0123】
(5)加速度センサ利用ペアリング方法において、座標系回転ステップで、第1の端末と第2の端末とのX−Y平面の座標系において、X−Y平面の原点を通り傾きが第1の端末の初期傾きの値で表現される直線と、X−Y平面の原点を通り傾きが第2の端末の初期傾きの値で表現される直線とについて、一方の直線を、原点を中心に点対称になるように回転することで他方の直線に一致するために必要な角度を算出し、一方の座標系を、原点を中心に点対称になるように角度だけ回転させるように構成されていてもよい。
【0124】
(6)加速度センサ利用ペアリング方法において、第1の端末の軌跡情報と第2の端末の軌跡情報とは、保存時刻とX−Y平面上の点との組が一連に連なった形でそれぞれ構成され、時刻差判定ステップで、第1の端末の軌跡情報を構成する組と第2の端末の軌跡情報を構成する組との個数を計数し、(個数が多い方)÷(個数が少ない方)の値を計算して小数点以下を切り捨て、この値をサンプリング速度比とし、共通の保存時刻を持つ第1の端末の点と第2の端末の点との距離を算出する際に、第1の端末と第2の端末のうち、軌跡情報を構成する組の個数が少ない方の端末の軌跡情報の点を保存時刻が古い順に1つ抽出し、個数が多い方の端末の軌跡情報の点を保存時刻が古い順にサンプリング速度比の値で示される個数だけ取り出し、個数が少ない方から取り出した1点と、個数が多い方から取り出した点との間の距離を求めるという処理を、保存時刻が古い順に繰り返すように構成されていてもよい。
【0125】
(7)加速度センサ利用ペアリング方法において、時刻差判定ステップで、第1の端末の軌跡情報と第2の端末の軌跡情報とのうち、それぞれの保存時刻が重複している部分だけを抽出し、ペア判定ステップで、抽出した第1の端末の軌跡情報と第2の端末の軌跡情報とに基づいて、第1の端末と第2の端末との軌跡情報が一致するか否かを判定するように構成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明によれば、手元にある通話端末と情報処理端末とをアドホックにペアリングできるので、企業内ネットワークのSI事業者や、通信事業者、ISP事業者向けに、音声通話のみの電話サービスに対する付加価値サービスを創出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】本発明の実施形態におけるネットワーク構成の一例を示すブロック図である。
【図2】加速度センサ利用ペアリング方法の機能構成を示す機能ブロック図である。
【図3】本発明の実施形態におけるデータ構造の一例を示す説明図である。
【図4】加速度センサ利用ペアリング方法の処理の一例を示すフロー図である。
【図5】座標系の回転が必要な理由を説明するための図(その1)である。
【図6】座標系の回転が必要な理由を説明するための図(その2)である。
【図7】通話端末と情報処理端末との軌跡の時系列上の比較を、模式的に表した説明図である。
【図8】画面例と操作例を示す説明図である。
【図9】マウス以外の入力手段を備えた情報処理端末のペアリングの仕方を示す説明図である。
【図10】加速度センサ利用ペアリング方法の最小の構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0128】
10 通話端末A
11 通話端末B
20 情報処理端末A
21 情報処理端末B
100 ペア管理装置
101 軌跡比較手段
102 ペア記憶手段
103 軌跡記憶手段
200 ペア
201 通話端末識別子
202 情報処理端末識別子
210,220,230 軌跡
211,221,231 時刻
212 通話端末X座標
213 通話端末Y座標
214 情報処理端末X座標
215 情報処理端末Y座標
222,232 X座標
223,233 Y座標
224,234 初期傾き
A111,B111 加速度検出手段
A113,B113 加速度/速度変換手段
A114,A124,B114,B124 軌跡算出手段
A115,A125,B115,B125 振動監視手段
A116,A126,B116,B126 時刻補正手段
A117,A127,B117,B127 軌跡記憶手段
A123,B123 入力手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加速度センサを搭載した第1の端末と、
第2の端末とを備え、
前記第1の端末は、当該第1の端末がユーザによって移動されたときに、前記加速度センサが検出した加速度情報に基づいて当該第1の端末が移動した軌跡を示す軌跡情報を算出する第1端末用軌跡算出手段を含み、
前記第2の端末は、前記第1の端末の移動に連動してユーザによって当該第2の端末からの入力操作が行われたときに、当該第2の端末における入力座標の軌跡を示す軌跡情報を算出する第2端末用軌跡算出手段を含み、
前記第1端末用軌跡算出手段が算出した軌跡情報と、前記第2端末用軌跡算出手段が算出した軌跡情報とを比較することによって、前記第1の端末と前記第2の端末とをペアリングするか否かを判定するペアリング判定手段をさらに備えた
ことを特徴とする加速度センサ利用ペアリングシステム。
【請求項2】
第1端末用軌跡算出手段は、第1の端末が移動した移動位置と当該第1の端末が当該移動位置に移動した時刻とを対応付けて含む軌跡情報を算出し、
第2端末用軌跡算出手段は、第2の端末が移動した移動位置と当該第2の端末が当該移動位置に移動した時刻とを対応付けて含む軌跡情報を算出し、
ペアリング判定手段は、同時刻における前記第1端末用軌跡算出手段が算出した軌跡情報に含まれる移動位置と前記第2端末用軌跡算出手段が算出した軌跡情報に含まれる移動位置との差が、所定距離以内であると判定したときに、前記第1の端末と前記第2の端末とをペアリングすると判定する
請求項1記載の加速度センサ利用ペアリングシステム。
【請求項3】
第1の端末と、
第2の端末と、
前記第1の端末と前記第2の端末とのペアリングを管理するペア管理装置とを備え、
前記ペア管理装置は、
前記第1の端末と前記第2の端末とから受信した軌跡情報を比較することで前記第1の端末と前記第2の端末とのペアを組むか否か判定する軌跡比較手段と、
ペアの情報を記憶するペア記憶手段と、
前記第1の端末と前記第2の端末との前記軌跡情報を記憶する軌跡記憶手段とを含み、
前記第1の端末は、
当該第1の端末が物理的に動いた時の、当該第1の端末の横方向をX軸とし、当該第1の端末の縦方向をY軸としたX−Y平面上での加速度情報を時系列に沿って検出可能な加速度検出手段と、
時系列に沿った前記加速度情報を時系列に沿った速度情報に変換する加速度/速度変換手段と、
時系列に沿った前記速度情報を時系列に沿った軌跡情報に変換する軌跡算出手段と、
前記軌跡情報を監視してユーザによる前記加速度検出手段に対する振動操作開始と振動操作終了とを検出する振動監視手段と、
前記ペア管理装置が搭載する時計と当該第1の端末が搭載する時計との時差を算出し、算出した時差に基づいて軌跡情報の保存時刻を前記ペア管理装置が搭載する時計での時刻に変換する時刻補正手段と、
当該第1の端末の前記軌跡情報と、ユーザによる前記加速度検出手段に対する振動操作開始時に、前記加速度検出手段がX−Y平面上のどの方向に動き始めたかを示す初期傾きとを記憶する軌跡記憶手段とを含み、
前記第2の端末は、
2次元座標入力デバイスである入力手段と、
当該第2の端末の画面の横方向をX軸とし、縦方向をY軸としたX−Y平面上において前記入力手段により入力された2次元座標の移動の軌跡情報を算出する第2端末用軌跡算出手段と、
前記軌跡情報を監視してユーザによる前記入力手段に対する振動操作開始と振動操作終了とを検出する第2端末用振動監視手段と、
前記ペア管理装置が搭載する時計と当該第2の端末が搭載する時計との時差を算出し、算出した時差に基づいて軌跡情報の保存時刻を前記ペア管理装置が搭載する時計での時刻に変換する第2端末用時刻補正手段と、
当該第2の端末の前記軌跡情報と、ユーザによる前記入力手段に対する振動操作開始時に、入力された2次元座標がX−Y平面上のどの方向に動き始めたかを示す初期傾きとを記憶する第2端末用軌跡記憶手段とを含む
ことを特徴とする加速度センサ利用ペアリングシステム。
【請求項4】
加速度センサを搭載した第1の端末がユーザによって移動されたときに、前記加速度センサが検出した加速度情報に基づいて当該第1の端末が移動した軌跡を示す軌跡情報を算出する第1端末用軌跡算出ステップと、
前記第1の端末の移動に連動してユーザによって第2の端末からの入力操作が行われたときに、当該第2の端末における入力座標の軌跡を示す軌跡情報を算出する第2端末用軌跡算出ステップと、
前記第1端末用軌跡算出手段が算出した軌跡情報と、前記第2端末用軌跡算出手段が算出した軌跡情報とを比較することによって、前記第1の端末と前記第2の端末とをペアリングするか否かを判定するペアリング判定ステップとを
含むことを特徴とする加速度センサ利用ペアリング方法。
【請求項5】
第1端末用軌跡算出ステップで、第1の端末が移動した移動位置と当該第1の端末が当該移動位置に移動した時刻とを対応付けて含む軌跡情報を算出し、
第2端末用軌跡算出ステップで、第2の端末が移動した移動位置と当該第2の端末が当該移動位置に移動した時刻とを対応付けて含む軌跡情報を算出し、
ペアリング判定ステップで、同時刻における前記第1端末用軌跡算出手段が算出した軌跡情報に含まれる移動位置と前記第2端末用軌跡算出手段が算出した軌跡情報に含まれる移動位置との差が、所定距離以内であると判定したときに、前記第1の端末と前記第2の端末とをペアリングすると判定する
請求項4記載の加速度センサ利用ペアリング方法。
【請求項6】
ユーザが第1の端末と第2の端末とでペアリング実行画面を表示して第1の端末と第2の端末の入力手段とを一緒に保持し、第1の端末と入力手段とを振動させる操作に基づいて、前記第1の端末と前記第2の端末とのペアリングを行う加速度センサ利用ペアリング方法であって、
第1の端末と入力手段との振動操作開始を検出し、第1の端末と第2の端末とでの初期傾きを算出し、軌跡情報の保存を開始する振動監視ステップと、
第1の端末と入力手段とを振動させる操作が終了されると、前記第1の端末と前記入力手段との振動操作終了を検出し、保存済みの前記軌跡情報のX座標とY座標とを正規化し、前記ペア管理装置が搭載する時計との時差を算出し、算出した時差に基づいて前記軌跡情報の保存時刻を前記ペア管理装置が搭載する時計での時刻に変換し、初期傾きと軌跡情報とをペア管理装置に送信する送信ステップと、
受信した前記軌跡情報に基づいて、振動開始時刻の差と振動終了時刻の差とが共に既定値以内か否かを判定する時刻差判定ステップと、
前記初期傾きを用いて前記第1の端末の座標系を回転する座標系回転ステップと、
前記第1の端末と前記第2の端末との前記軌跡情報が一致するか否かを判定することで、前記第1の端末と前記第2の端末とのペアを成立させるか否かを判定するステップとを
含むことを特徴とする加速度センサ利用ペアリング方法。
【請求項7】
前記第1の端末の軌跡情報と前記第2の端末の軌跡情報とは、保存時刻とX−Y平面上の点との組が一連に連なった形でそれぞれ構成され、
前記ペア判定ステップで、一連の点について、共通の保存時刻を持つ前記第1の端末の点と前記第2の端末の点との距離を算出し、組の総数に対して距離が既定値以内である場合の割合を算出し、算出した割合が既定値を下回る場合には前記第1の端末と前記第2の端末とのペアを成立させると判定し、上回る場合にはペアを成立させないと判定する
請求項6記載の加速度センサ利用ペアリング方法。
【請求項8】
座標系回転ステップで、前記第1の端末と前記第2の端末とのX−Y平面の座標系において、X−Y平面の原点を通り傾きが前記第1の端末の初期傾きの値で表現される直線と、X−Y平面の原点を通り傾きが前記第2の端末の初期傾きの値で表現される直線とについて、一方の直線を、原点を中心に点対称になるように回転することで他方の直線に一致するために必要な角度を算出し、一方の座標系を、原点を中心に点対称になるように前記角度だけ回転させる
請求項6又は請求項7記載の加速度センサ利用ペアリング方法。
【請求項9】
前記第1の端末の軌跡情報と前記第2の端末の軌跡情報とは、保存時刻とX−Y平面上の点の組が一連に連なった形でそれぞれ構成され、
前記時刻差判定ステップで、前記第1の端末の軌跡情報を構成する組と第2の端末の軌跡情報を構成する組との個数を計数し、(個数が多い方)÷(個数が少ない方)の値を計算して小数点以下を切り捨て、この値をサンプリング速度比とし、共通の保存時刻を持つ前記第1の端末の点と前記第2の端末の点との距離を算出する際に、前記第1の端末と前記第2の端末とのうち、軌跡情報を構成する組の個数が少ない方の端末の軌跡情報の点を保存時刻が古い順に1つ抽出し、個数が多い方の端末の軌跡情報の点を保存時刻が古い順にサンプリング速度比の値で示される個数だけ抽出し、個数が少ない方から抽出した1点と、個数が多い方から抽出した点との間の距離を求めるという処理を、保存時刻が古い順に繰り返す
請求項6から請求項8のうちいずれか1項に記載の加速度センサ利用ペアリング方法。
【請求項10】
前記時刻差判定ステップで、前記第1の端末の軌跡情報と前記第2の端末の軌跡情報とのうち、それぞれの保存時刻が重複している部分だけを抽出し、
前記ペア判定ステップで、抽出した前記第1の端末の軌跡情報と前記第2の端末の軌跡情報とに基づいて、前記第1の端末と前記第2の端末との軌跡情報が一致するか否かを判定する
請求項6から請求項9のうちいずれか1項に記載の加速度センサ利用ペアリング方法。
【請求項11】
加速度センサを搭載した第1の端末と、第2の端末とのペアリングを行うペアリング装置であって、
前記第1の端末がユーザによって移動されたときに、前記加速度センサが検出した加速度情報に基づいて当該第1の端末が移動した軌跡を算出した軌跡情報と、前記第2の端末が前記第1の端末の移動に連動してユーザによって当該第2の端末から入力操作が行われたときに、当該第2の端末における入力座標の軌跡を算出した軌跡情報とを比較することによって、前記第1の端末と前記第2の端末とをペアリングするか否かを判定するペアリング判定手段を備えた
ことを特徴とするペアリング装置。
【請求項12】
ペアリング判定手段は、同時刻における前記第1の端末が算出した軌跡情報に含まれる移動位置と前記第2の端末が算出した軌跡情報に含まれる移動位置との差が、所定距離以内であると判定したときに、前記第1の端末と前記第2の端末とをペアリングすると判定する
請求項11記載のペアリング装置。
【請求項13】
端末間のペアリングを行うペアリングシステムが備える端末であって、
加速度センサを搭載し、当該端末がユーザによって移動されたときに、前記加速度センサが検出した加速度情報に基づいて当該端末が移動した軌跡を示す軌跡情報を算出する軌跡算出手段を備えた
ことを特徴とする端末。
【請求項14】
軌跡算出手段は、端末が移動した移動位置と当該端末が当該移動位置に移動した時刻とを対応付けて含む軌跡情報を算出する
請求項13記載の端末。
【請求項15】
加速度センサを搭載した第1の端末と、第2の端末とのペアリングを行うためのペアリング用プログラムであって、
コンピュータに、
前記第1の端末がユーザによって移動されたときに、前記加速度センサが検出した加速度情報に基づいて当該第1の端末が移動した軌跡を算出した軌跡情報と、前記第2の端末が前記第1の端末の移動に連動してユーザによって当該第2の端末から入力操作が行われたときに、当該第2の端末における入力座標の軌跡を算出した軌跡情報とを比較することによって、前記第1の端末と前記第2の端末とをペアリングするか否かを判定するペアリング判定処理を
実行させるためのペアリング用プログラム。
【請求項16】
コンピュータに、
ペアリング判定処理で、同時刻における前記第1の端末が算出した軌跡情報に含まれる移動位置と前記第2の端末算出した軌跡情報に含まれる移動位置との差が、所定距離以内であると判定したときに、前記第1の端末と前記第2の端末とをペアリングすると判定する処理を実行させる
請求項15記載のペアリング用プログラム。
【請求項17】
端末間のペアリングを行うペアリングシステムが備える端末が搭載する端末用プログラムであって、
コンピュータに、
当該端末がユーザによって移動されたときに、当該端末が搭載する加速度センサが検出した加速度情報に基づいて当該端末が移動した軌跡を示す軌跡情報を算出する軌跡算出処理を
実行させるための端末用プログラム。
【請求項18】
コンピュータに、
前記軌跡算出処理で、当該端末が移動した移動位置と当該端末が当該移動位置に移動した時刻とを対応付けて含む軌跡情報を算出する処理を実行させる
請求項17記載の端末用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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