説明

加速度脈波計測法及びそのデータ処理法

【課題】近年健康状態をあらわす指標として注目されてきている加速度脈波であるが、現在使用されている計測機器は計測結果のデータ処理に統計的手法を使用することで、健康度の偏差値を求める使用方法が一般である。しかし加速度脈波の波形には個体差が大きいため、正確な健康状態を把握するための診断に使用できていないのが現状である。
【解決手段】加速度脈波の個人のデータを時系列的に蓄積するサーバーを用意することで個人の加速度脈波の変化を把握できる様になり、疾病の発症を非常に早期に発見することが可能となる。この様なデータ蓄積のためのサーバーを用意することでデータの一括管理が可能となり煩雑な作業を経ず個人の健康管理が行えるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は毛細血管の脈動を2次微分して得られる加速度脈波のセンサー部分を携帯電話等の通信機器に接続可能とすることで、計測結果の伝送を可能とし、伝送された個人データをサーバーに時系列的に蓄積することで、個人の健康管理に役立てることが可能となるサービスを提供するものに関する。
【背景技術】
【0002】
高齢化社会の進展に伴い、中高年者の成人病を中心とした健康問題が関心を集めており、これら疾患の原因としてさまざまな要因が挙げられている。その一つに、血液循環不全が原因と考えられるものが散見される。血液循環不全は細胞が必要とするだけの酸素や栄養の補給が出来なくなることにより、臓器や組織に器質的な病変を潜伏させ、これがある程度進行した時点で見た目には突然発症する。
【0003】
このため、器質的な病変が潜伏している状態で血液循環の良否を判定して疾病の予防に役立てようとする試みがなされており、以前は危険因子として血圧,心電図の変化,血中コレステロール,中性脂肪濃度などに着目して血液循環の良否を判定していた。
【0004】
ところが、これらのパラメータは必ずしも実際の健康状態を表しているとは言いがたく、血圧が低くとも脳卒中,心不全を発症する人もおり、反対に長年高血圧で高齢にあってもなお健在の人もいる。また、器質的変化が必ずしも心電図等に現れるとは限らず、重大な質病を早期に発見できない場合も多いと考えられる。
【0005】
これらの状況を補完するものとして、近年において、加速度脈波が血液循環の良否を表わすものとして有効であることが見い出され、注目を集めている。そこでまず、血液循環の指標となる加速度脈波について概説する。周知のように、血液循環は心臓から押し出された血液が動脈から組織・臓器の毛細血管へ到達し、静脈を経て心臓に戻るサイクルがいかに平滑に行われるかを把握することが健康状態の指針となる。また、酸素や栄養の補給は毛細血管で行われており、血液循環の良否は毛細血管の血行と深い関わりがあり、毛細血管の血液含有量の推移が血液循環の良い目安となると考えられる
【0006】
このことから、毛細血管の血液含有量の時間的推移を観察する方法の一つとして、指尖容積脈波の検査を行うことが行われているが、指尖容積脈波自体は比較的起伏に乏しく、微妙な波形の変化の解釈が困難である。また、血液循環に関わる変化も微小で、外乱もしくは雑音から有意の変化を分離することが困難であると言う欠点がある。ところが、指尖容積脈波の波形の、2回微分をとり、変化加速度波形(即ち、加速度脈波波形)へと変換することで、血液循環に関わる情報を拡大,抽出して血液循環の状態を分かりやすい形で表示することが可能となる。
【0007】
従来の技術としてはこの加速度脈波のピーク値をパラメータとして統計的に処理をして、血管年齢とその偏差値を求めるものが主であった。(特許3794410等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の加速度脈波のデータ処理方法は統計的手法を使用し、血管年齢の偏差値を基に個人の健康状態を把握する手法が主であったが、加速度脈波の波形には個人差があるため、統計的な処理よりも個人のデータを時系列的に把握する方が本人の健康状態の変化を把握するのには適しているということが近年判明してきた。
【0009】
しかし従来の計測器では、計測結果をその都度計算するか、データを記憶する形式のものでも、統計処理に使用するピーク値および計算結果を記憶するものしかなく、新しい解析方法が考案された場合過去に遡ってのデータの検証が不可能であった。これは波形の記憶には大きな容量を必要とするため、機器の記憶容量では記憶できるデータに限界があるためであった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
これらの問題を解決するべく、加速度脈波のセンサーを携帯電話等の通信機器に接続可能とし、計測した生データを転送可能とする。一方そのデータを蓄積するに充分な容量のサーバーを設置し、転送されたデータを蓄積する。このセンサーとサーバーの関係は1対1ではなく、データ転送時に識別番号を付与することで、複数のセンサーのデータを個別に蓄積可能とし、必要に応じて健康管理の指標とする蓄積データの処理ならびに時系列的なデータの変化による健康状態の判断を行うビジネスモデルを提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明により個人の加速度脈波の波形の時系列的比較が可能となり、疾病の発生による加速度脈波の微細な変化の兆候を把握することが可能となる。このことにより疾病の早期発見が可能となる。
【0012】
加速度脈波のデータ処理に新しい理論・解析手法が開発された場合に、生データでのデータ蓄積が行われていることから、それらの新しい理論・解析手法に対応が可能となる。
【0013】
医療機関との連携を図ることで、疾病の予防にも効果を発揮する。特に現在加速度脈波との相関が立証されていない疾病に関して、今後研究が進むことで使用者の健康管理がより緻密に行えるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
この発明が想定しているのは、携帯電話に接続可能な加速度脈波センサーを個人が所有し、サーバーを持つセンターと契約を行うことで、個人の加速度脈波のデータを蓄積し、現在開発されている解析法による健康管理と、将来開発が期待される解析方法に対するデータの蓄積を行う、当該センサーの開発と、サービスのビジネスモデルである。
【0015】
データ転送に携帯電話を使用する場合は、各キャリア用に携帯電話向けソフトを開発し、携帯電話画面での操作や検出データの確認が可能なようにし、課金もキャリア経由にすることでビジネスの展開が容易に行える利点があると考えられる。
【実施例1】
【0016】
携帯電話に接続可能な加速度脈波センサーを開発し、ユーザーはこの加速度脈波センサーを購入。この加速度脈波センサーを携帯電話に接続し加速度脈波を計測。計測結果は携帯電話の画面に表示され簡単なデータ処理は個別の携帯電話内のプログラムで行う。
【実施例2】
【0014】
実施例1に加え、使用者は別途サーバー運営会社と契約し、携帯電話でサーバーにデータを転送しサーバーへのデータの蓄積を行う。このデータは各種データ解析ならびに健康状態の監視に使用する。
【図面の簡単な説明】
【図1】に本発明のシステム構成を示す。使用者は加速度脈波センサーを携帯電話に接続し計測を行う。計測結果は携帯電話の通信機能を使用してサーバーにデータを転送し。サーバーはそのデータを格納する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛細血管の脈動を検出し、そのデータを検出器に接続された携帯電話等の通信装置で別途設置されたサーバーに送信することで、データ蓄積が容易に行えるように考案されたセンサー。
【請求項2】
請求項1のセンサーを使用して毛細血管の脈動を検出し、その脈動を2次微分した結果の加速度脈波を時系列的に保存し、必要に応じてデータを処理することで導き出される指標を健康状態の判断や病気の早期発見、既往症の再発の有無などに利用することを目的としたサーバーの運営を行うビジネスモデル。

【図1】
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【公開番号】特開2008−212607(P2008−212607A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−94410(P2007−94410)
【出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【出願人】(507104290)株式会社ディー・アンド・エー・システムズ (1)
【Fターム(参考)】