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加飾シート及び加飾成形品
説明

加飾シート及び加飾成形品

【課題】生産性に優れ、かつ優れた耐汚染性、及び成形性を有する加飾シート、及び加飾成形品を提供する。
【解決手段】基材シートの片面に離型層及び表面保護層をこの順に有し、該表面保護層が、分子量が175〜1000の多官能(メタ)アクリレートモノマー及び標準ポリスチレンで換算された重量平均分子量が1万〜10万未満の熱可塑性樹脂を含有する電離放射線硬化性樹脂組成物からなり、該樹脂組成物中の該多官能(メタ)アクリレートモノマーと該熱可塑性樹脂との質量比が10:90〜75:25である加飾シートである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加飾シート及び加飾成形品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、三次元曲面などの複雑な表面形状を有する樹脂成形体の加飾には、射出成形同時転写加飾方法が用いられる。射出成形同時転写加飾方法によれば、加飾シートを金型内面に密着させて型締した後、キャビティ内に溶融した射出樹脂を射出して該加飾シートと射出樹脂とを一体化し、次いで加飾成形品を冷却して金型から取り出した後、基材シートを剥離することにより転写層を転写した加飾成形品を得ることができる。
【0003】
このようにして得られる加飾成形品は、従来用いられている家庭用電化製品、自動車内装品などの分野に加えて、例えば近年パソコン市場の拡大に伴う、日常携帯できるモバイルパソコンを含めたノート型のパソコンの分野での使用や、自動車内装、携帯電話分野での使用も注目されている。これらの分野で用いられる部材は、成形性に加えて、日常生活において肌に塗布して用いる様々な日用品、例えば日焼け止めなどのスキンケア用品などへの耐汚染性が求められている。
【0004】
従来、上記のような加飾方法に用いられる加飾シートとしては、例えば、支持体シート上に、剥離層、絵柄層及び接着層からなる転写層を有する転写シートが提案されている(特許文献1参照)。ここで提案される加飾シートは、被転写体に剥離層、絵柄層及び接着層からなる転写層を転写することで、被転写体を加飾し加飾成形体を製造するものである。この加飾シートは、転写層表面、すなわち加飾成形品の剥離層が最表面となるため、耐汚染性などの表面特性の点で十分とはいえなかった。
【0005】
ところで、加飾方法に用いられる加飾シートには、加飾シートの製造のしやすさ、すなわち生産性が要求される。上記のように剥離層は、加飾成形品に設けられるため、優れた成形性を有する必要がある。そこで、剥離層を形成する樹脂として、その成形性を向上させるような樹脂、例えば高分子量の樹脂を選択する傾向にある。しかし、高分子量の樹脂を選択すると、一般的に樹脂組成物の粘度が高くなる傾向にあり、剥離層を形成する樹脂組成物が版やノズルに詰まり、該樹脂組成物の転移不良が生じる、いわゆる版乾きが生じることがあり印刷適性が低下し、生産性を著しく低下させるという問題が生じる場合がある。このように、優れた表面特性と優れた生産性とは相反する性能であり、これらの性能を高いレベルで両立する加飾シートの開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−312193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような状況下で、生産性に優れ、かつ加飾成形品に優れた耐汚染性、及び成形性を付与する加飾シート、及び加飾成形品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、下記の発明により当該課題を解決できることを見出した。すなわち本発明は、下記の加飾シート及び加飾成形品を提供するものである。
【0009】
1.基材シートの片面に離型層及び表面保護層をこの順に有し、該表面保護層が、分子量が175〜1000の多官能(メタ)アクリレートモノマー及び標準ポリスチレンで換算された重量平均分子量が1万〜10万未満の熱可塑性樹脂を含有する電離放射線硬化性樹脂組成物からなり、該樹脂組成物中の該多官能(メタ)アクリレートモノマーと該熱可塑性樹脂との質量比が10:90〜75:25である加飾シート。
2.樹脂成形体、接着剤層、表面保護層、離型層、及び基材シートを順に有し、該表面保護層が、分子量が175〜1000の多官能(メタ)アクリレートモノマー及び標準ポリスチレンで換算された重量平均分子量が1万〜10万未満の熱可塑性樹脂を含有する電離放射線硬化性樹脂組成物からなり、該樹脂組成物中の該多官能(メタ)アクリレートモノマーと該熱可塑性樹脂との質量比が10:90〜75:25であることを特徴とする基材シート付き加飾成形品。
3.樹脂成形体、接着剤層、及び表面保護層を順に有し、該表面保護層が、分子量が175〜1000の多官能(メタ)アクリレートモノマー及び標準ポリスチレンで換算された重量平均分子量が1万〜10万未満の熱可塑性樹脂を含有する電離放射線硬化性樹脂組成物からなり、該樹脂組成物中の該多官能(メタ)アクリレートモノマーと該熱可塑性樹脂との質量比が10:90〜75:25であることを特徴とする加飾成形品。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、生産性に優れ、かつ加飾成形品に優れた耐汚染性、及び成形性を付与する加飾シート、及び加飾成形品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の加飾シートの一例の断面を示す模式図である。
【図2】本発明の基材シート付き加飾成形品の一例の断面を示す模式図である。
【図3】本発明の加飾成形品の一例の断面を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[加飾シート]
本発明の加飾シートは、基材シートの片面に離型層及び表面保護層をこの順に有し、該表面保護層が、分子量が175〜1000の多官能(メタ)アクリレートモノマー及び標準ポリスチレンで換算された重量平均分子量が1万〜10万未満の熱可塑性樹脂を含有する電離放射線硬化性樹脂組成物からなり、該樹脂組成物中の該多官能(メタ)アクリレートモノマーと該熱可塑性樹脂との質量比が10:90〜75:25であることを特徴とする加飾シートである。以下、本発明を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の加飾シートの好ましい態様の一例の断面を示す模式図である。
図1に示される本発明の加飾シート10は、基材シート11上に、離型層12、表面保護層13を有し、さらにプライマー層14、装飾層15及び接着剤層16がこの順に好ましく積層された加飾シートである。
【0013】
≪基材シート≫
基材シート11としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体などのビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂;ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチルなどのアクリル系樹脂;ポリスチレンなどのスチレン系樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、三酢酸セルロース、セロファン、ポリカーボネート、ポリウレタン系などのエラストマー系樹脂などによるものが利用される。これらのうち、成形性及び剥離性が良好である点から、ポリエステル系樹脂、特にポリエチレンテレフタレート(以下「PET」という。)が好ましい。
【0014】
基材シート11の厚さとしては、成形性や形状追従性、取り扱いが容易であるとの観点から、通常10〜150μmであり、10〜125μmが好ましく、10〜80μmがより好ましい。
また、基材シート11は、これら樹脂の単層シート、あるいは同種又は異種樹脂による複層シートを用いることができる。
【0015】
基材シート11は、後述する離型層との密着性を向上させる目的で、所望により、片面又は両面に酸化法や凹凸化法などによる物理的又は化学的表面処理を施すことができる。
上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理法などが挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理は、基材シートの種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から好ましく用いられる。
【0016】
基材シート11は、該基材シート11とその上に設けられる層との層間密着性の強化などを目的として、易接着層を形成するなどの処理を施しても良い。なお、基材シートとして市販のものを用いる場合には、該市販品は予め上記のような表面処理が施されたものや、易接着剤層が設けられたもの、あるいは後述する離型層が形成されたものも用いることができる。
【0017】
≪離型層≫
離型層12は、好ましくは表面保護層13と、必要に応じて設けられるプライマー層14、装飾層15及び接着層16とを順に有する転写層17が基材シート11から容易に剥離できるように設けられる層である。該離型層12を有することで、本発明の加飾シートから転写層17を確実に、かつ容易に被転写体へ転写させ、基材シート11及び離型層12からなる剥離層18を確実に剥離することができる。離型層12は、図1に示すように、全面を被覆(全面ベタ状)しているベタ離型層であっても良いし、一部に設けられるものであっても良い。通常は、剥離性を考慮して、ベタ離型層が好ましい。
【0018】
離型層12は、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂(例えば、アクリル−メラミン系樹脂が含まれる。)、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、セルロース系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂、硝化綿などの熱可塑性樹脂、該熱可塑性樹脂を形成するモノマーの共重合体、あるいはこれらの樹脂を(メタ)アクリル酸やウレタンで変性したものを、単独で又は複数を混合した樹脂組成物を用いて形成することができる。なかでも、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、これらの樹脂を形成するモノマーの共重合体、及びこれらをウレタン変性したものが好ましく、より具体的には、アクリル−メラミン系樹脂単独、アクリル−メラミン系樹脂含有組成物、ポリエステル系樹脂とエチレン及びアクリル酸の共重合体をウレタン変性したものとを混合した樹脂組成物、アクリル系樹脂とスチレン及びアクリルとの共重合体のエマルションとを混合した樹脂組成物などが挙げられる。これらの内、アクリル−メラミン系樹脂単独又はアクリル−メラミン系樹脂を50質量%以上含有組成物で離型層12を構成することが特に好ましい。
離型層12の厚みは、通常、0.01〜5μm程度であり、好ましくは、0.05〜3μmの範囲である。
【0019】
≪表面保護層≫
表面保護層13は、電離放射線硬化性樹脂組成物により形成されてなるものであり、本発明の加飾シートを用いて得られる加飾成形品に優れた表面特性、特に耐汚染性を付与する層である。表面保護層13は、電離放射線硬化性樹脂組成物が完全に硬化したものであっても、半硬化したものであってもよいが、硬化物であると表面性能が良好となり、該樹脂組成物を後述する所定のものとすることで、硬化物であっても成形性が良好となる。
表面保護層13の形成に用いられる電離放射線硬化性樹脂組成物は、分子量が175〜1000の多官能(メタ)アクリレートモノマーと標準ポリスチレンで換算された重量平均分子量が1万〜10万未満の熱可塑性樹脂とを所定質量比で含有するものである。
【0020】
<多官能(メタ)アクリレートモノマー>
本発明で用いられる、分子量が175〜1000の多官能(メタ)アクリレートモノマーは、その官能基数が2以上であり、かつ分子量が175〜1000の(メタ)アクリレートモノマーのことをいう。
多官能(メタ)アクリレートモノマーの官能基数は、加飾成形品に優れた耐汚染性及び成形性を付与する観点からは、官能基数が3以上であることが好ましく、3〜8がより好ましく、3〜6がさらに好ましい。
また、多官能(メタ)アクリレートモノマーの分子量は、加飾成形品に優れた耐汚染性及び成形性を付与する観点からは、200〜800が好ましく、250〜600がより好ましく、250〜400がさらに好ましい。
【0021】
このような多官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、具体的にはエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが好ましく挙げられる。なかでも、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートがより好ましい。
本発明においては、上記の多官能(メタ)アクリレートモノマーは1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0022】
<熱可塑性樹脂>
本発明で用いられる熱可塑性樹脂は、標準ポリスチレンで換算された重量平均分子量が1万〜10万未満のものであれば、特に制限ない。ここで、該重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定された値であり、標準サンプルにポリスチレンを用いた条件で測定された値である。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂の重量平均分子量は、1万〜10万未満であることを要し、好ましくは3万〜10万未満である。熱可塑性樹脂の重量平均分子量が上記範囲内であると、樹脂組成物の粘度が高くなりすぎず、また電離放射線硬化性樹脂と分離することなく良好に混合でき、また版乾きを生じることがなく印刷適性が向上するので加飾シートの生産性が向上し、また、加飾成形品に優れた耐汚染性及び成形性を付与する観点からも好ましい。
【0023】
本発明で用いられる熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアセタール(ブチラール樹脂)、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエチレン,ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリスチレン,α−メチルスチレンなどのスチレン系樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリオキシメチレンなどのアセタール樹脂、エチレン−4フッ化エチレン共重合体などのフッ素樹脂、ポリイミド、ポリ乳酸、ポリビニルアセタール樹脂、液晶性ポリエステル樹脂などが挙げられ、これらは1種単独でも又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上組み合わせる場合は、これらの樹脂を構成するモノマーの共重合体でもよいし、それぞれの樹脂を混合して用いてもよい。
【0024】
上記の熱可塑性樹脂の中でも、アクリル樹脂が好ましく、少なくとも(メタ)アクリル酸エステルモノマーを構成単位とするアクリル樹脂がより好ましい。より具体的には、(メタ)アクリル酸エステルモノマーの単独重合体、2種以上の異なる(メタ)アクリル酸エステルモノマーの共重合体、あるいは(メタ)アクリル酸エステルモノマーと他のモノマーとの共重合体が好ましい。
【0025】
ここで、(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ノルマルブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸セカンダリーブチル、(メタ)アクリル酸ターシャリーブチル、(メタ)アクリル酸イソボニル、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−エチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートなどが好ましく挙げられ、これらのうち(メタ)アクリル酸メチルがより好ましい。
2種以上の異なる(メタ)アクリル酸エステルモノマーの共重合体としては、上記例示されたものから選ばれる2種以上の(メタ)アクリル酸エステルの共重合体が例示され、これらの共重合体はランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよい。
【0026】
(メタ)アクリル酸エステルモノマーと共重合体を形成する他のモノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能なものであれば特に限定されないが、本発明では、(メタ)アクリル酸、スチレン、(無水)マレイン酸、フマル酸、ジビニルベンゼン、ビニルビフェニル、ビニルナフタレン、ジフェニルエチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、フッ化ビニル、ビニルアルコール、アクリロニトリル、アクリルアミド、ブタジエン、イソプレン、イソブテン、1−ブテン、2−ブテン、N−ビニル−2−ピロリドン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン、ノルボルネン類などの脂環式オレフィンモノマー、ビニルカプロラクタム、シトラコン酸無水物、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド類、ビニルエーテル類などが好ましく挙げられ、特にスチレン及び(無水)マレイン酸が共重合成分として好適である。すなわち、(メタ)アクリル酸エステルとスチレン又は(無水)マレイン酸の二元共重合体、(メタ)アクリル酸エステルとスチレン及び(無水)マレイン酸の三元共重合体が好適である。なお、(メタ)アクリル酸エステルと他のモノマーとの共重合体はランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよい。
【0027】
アクリル樹脂の多分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、1.1〜3.0の範囲であることが好ましい。多分散度がこの範囲内であると、優れた成形性及び耐汚染性の他、耐摩耗性、耐擦傷性などの表面特性が得られる。これと同様の観点から、多分散度は、1.5〜2.5の範囲であることがより好ましい。
【0028】
<多官能(メタ)アクリレートモノマーと熱可塑性樹脂との質量比>
本発明で用いられる電離放射線硬化性樹脂組成物中の多官能(メタ)アクリレートモノマーと熱可塑性樹脂との質量比が10:90〜75:25であることを要する。この質量比が10:90よりも小さい、すなわち樹脂組成物中の多官能(メタ)アクリレートモノマーの含有量が10よりも少ないと、優れた耐汚染性が得られず、印刷適性が低下し、一方、この質量比が75:25よりも大きい、すなわち樹脂組成物中の多官能(メタ)アクリレートモノマーの含有量が75よりも多いと、優れた成形性が得られず、またそれに加えて、成形後の転写層と樹脂成形体との密着性も得られない。優れた耐汚染性と成形性を得る観点から、質量比は、30:70〜70:30が好ましく、35:65〜65:35がより好ましい。
【0029】
<印刷適性>
本発明において、電離放射線硬化性樹脂組成物を上記の多官能(メタ)アクリレートモノマーと熱可塑性樹脂とを所定の質量比で含むものとすることで、印刷適性に優れた樹脂組成物となるため優れた生産性が得られ、かつ加飾成形品に優れた耐汚染性、及び成形性を付与する性能も得られる。
ここで、印刷適性は、塗布による表面保護層の形成容易性の観点から、空気に触れた電離放射線硬化性樹脂組成物(インキ)が皮膜化し難く、再溶解性に優れる性能である。また、インキの乾燥性が速く皮膜化しやすい、あるいは再溶解性に乏しいと、版やノズルにインキが詰まりインキの転移不良が生じる版乾きや、皮膜塊がドクターブレードや印刷物に付着すると印刷、塗布面不良を招きやすくなる。
【0030】
蒸気圧の低い溶剤を添加し溶剤の蒸発を抑え、皮膜形成を遅くすることにより改善することはできるが、長い乾燥装置、高い温度の熱風が必要となり、結果として生産性の低下につながってしまう。電離放射線硬化性樹脂組成物の塗布方法により、不具合は様々であるが、代表的な塗布方法についての問題を説明する。このように、加飾シートの製造において、樹脂組成物の印刷適性はその生産性に直結し、極めて重要な課題となる。
(i)グラビアコートの場合は、グラビア版に目詰りを起こし、基材への転移時、転移量の低下、筋やかすれ、ムラ、レベリング不足等による塗布面不良を招いてしまう。また、ドクターに皮膜が出来ると、インキの掻き取り状態に異常を来たし、塗布面不良を生じさせる。ドクターに出来た皮膜が基材に付着した場合には、スジ状のインキ抜け、皮膜塊が塗布面に転移することによる塗布面状態の悪化を生じさせることになる。
(ii)ロールコート法の場合は、ロールに皮膜が出来ると、転移量の低下、筋やかすれ、ムラ、レベリング不足等による塗布面不良を招いてしまう。ロールに生じた皮膜物の一部が剥離し、ロール伝えに基材に転移し、塗布面状態の平滑性を低下させ、また、皮膜塊が基材に転移することにより塗布膜の外観を悪化させることになる。
(iii)ダイコート法の場合は、リップが皮膜により詰まると、液が基材に均一に転移せず、インキ抜けを生じ、更に悪化すると塗布できなくなってしまう。また、コンマコート法の場合は、コンマ形状ギャップ調整部が皮膜化すると、塗布面状態の平滑性を悪化させ、皮膜塊が基材に転移することにより外観を阻害する場合がある。
(iv)その他のコート法の場合、例えばカーテンフローコート法の場合は、皮膜の生成によりスリット状ノズルからの樹脂組成物の膜切れ、塗布膜厚の低下を招いてしまい、スプレーコート法の場合は、皮膜によりスプレーノズルの詰りが生じ、同様に均一な面形成を阻害することになってしまう。また、ナイフコート法の場合は、ナイフドクターに皮膜が形成されると、塗布面状態の平滑性を悪化させ、皮膜塊が基材に転移することにより外観を阻害することになってしまう。
【0031】
<その他の添加物>
本発明で用いられる電離放射線硬化性樹脂組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、上記の多官能(メタ)アクリレートモノマーや熱可塑性樹脂以外の成分を含有することができる。
例えば、本発明で用いられる電離放射線硬化性樹脂組成物は、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレート系オリゴマーなどの多官能(メタ)アクリレートオリゴマーや、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどの単官能(メタ)アクリレートを含有することができる。
【0032】
その他の添加物としては、耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チキソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、着色剤などの樹脂組成物に常用される各種添加剤も挙げられる。
【0033】
表面保護層13の厚さは、通常1〜50μm程度であり、好ましくは5〜20μmの範囲である。表面保護層13の厚さが上記範囲内であると、優れた耐汚染性とともに、優れた成形性をも得られる。
【0034】
表面保護層13には、各種の添加剤を添加して各種の機能、例えば、高硬度で耐傷付き性を有する、いわゆるハードコート機能、防曇コート機能、防汚コート機能、防眩コート機能、反射防止コート機能、紫外線遮蔽コート機能、赤外線遮蔽コート機能などを付与することもできる。
また、表面保護層13は、その上に設けられるプライマー層14との密着性を向上させる目的で、その表面に必要に応じてコロナ放電処理又はプラズマ処理を施すことができる。
【0035】
≪プライマー層≫
本発明の加飾シートは、表面保護層13と装飾層15との間に、さらにプライマー層14を積層することが好ましい。プライマー層14を設けることにより、表面保護層13と装飾層15との密着性をさらに向上させることができる。プライマー層14は透明又は半透明な層であることが好ましく、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂、セルロース系樹脂、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレンなどの樹脂の1種単独又は2種以上の混合物が用いられるが、特にポリウレタン系2液硬化型樹脂を用いたものが好ましい。
【0036】
ポリウレタン系2液硬化型樹脂としては、例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系、ポリエステル系、ウレタン系、アクリル系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系などのポリマーポリオール単独、又はそれらの混合物に対して、使用直前に硬化剤を添加したものが用いられる。
前記ポリマーポリオールとしては、アクリル系ポリマーポリオール、あるいはポリエステル系ポリマーポリオールが好ましく、アクリル系ポリマーポリオールがより好ましい。アクリル系ポリマーポリオールとしては、(メタ)アクリル酸エチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステルに、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート等のヒドロキシアクリレートを共重合させて複数の水酸基を導入したものが好ましく挙げられる。また、ポリエステル系ポリマーポリオールとしては、例えばポリ(エチレンアジペート)、ポリ(ブチレンアジペート)、ポリ(ネオペンチルアジペート)、ポリ(ヘキサメチレンアジペート)、ポリ(ブチレンアゼラエート)、ポリ(ブチレンセバケート)、ポリカプロラクトンなどが用いられる。
【0037】
また、本発明においては、上記のアクリル系ポリマーポリオールとウレタン樹脂との混合物を用いることも好ましい。この場合、アクリル系ポリマーポリオールとウレタン樹脂との配合比(質量比)は、40:60〜95:5が好ましく、60:40〜90:10がより好ましい。配合比が上記範囲内であると、優れた密着性が得られる。
【0038】
硬化剤としては、多価イソシアネートが好ましく、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート;1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネートなどの脂肪族(乃至は脂環式)イソシアネート;を用いることができ、あるいは、上記各種イソシアネートの付加体又は多量体、例えば、トリレンジイソシアネートの付加体、トリレンジイソシアネート3量体(trimer)なども用いることができる。
【0039】
また、本発明において、ポリウレタン系2液硬化型樹脂として用いられるポリマーポリオール(未硬化時)のガラス転移温度Tgは、65℃以上であることが好ましく、該ガラス転移温度Tgの上限に特に制限はないが、通常110℃程度であり、好ましいTgは70〜100℃の範囲である。ガラス転移温度Tgが上記範囲内であると、優れた密着性が得られ、また装飾層15の転移性も良好となる。
【0040】
プライマー層14は、上記樹脂を溶媒に溶解した塗布液を、公知の方法で塗布、乾燥して得ることができる。プライマー層14の厚みについては、通常、0.5〜20μm程度であり、好ましくは、1〜5μmの範囲である。
【0041】
≪装飾層≫
本発明における装飾層15は、通常絵柄層及び/又は隠蔽層により構成される。ここで、絵柄層は、模様や文字などとパターン状の絵柄を表現するために設けられる層であり、隠蔽層は、通常全面ベタ層であり射出樹脂などの着色などを隠蔽するために設けられる層である。隠蔽層には、絵柄層の絵柄を引き立てるために絵柄層の内側に設けられる場合の外、それ単独で装飾層を形成する場合がある。また、当該装飾層は、透明転写箔であってもよいし、色付き転写箔であってもよい。
本発明に係る絵柄層は、模様や文字などとパターン状の絵柄を表現するために設けられる層である。絵柄層の絵柄は任意であるが、例えば、木目、石目、布目、砂目、幾何学模様、文字などからなる絵柄を挙げることができる。
装飾層15は、前述したプライマー層14に印刷インキでグラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、転写シートからの転写印刷、昇華転写印刷、インクジェット印刷などの公知の印刷法により形成することで、図1に示すようにプライマー層14と接着剤層16との間に形成される。装飾層15の厚みは、意匠性の観点から3〜40μmが好ましく、10〜30μmがより好ましい。
【0042】
装飾層15の形成に用いられる印刷インキのバインダー樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂、セルロース系樹脂などを好ましく挙げることができるが、アクリル系樹脂単独又はアクリル系樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂との混合物を主成分とするのが好ましい。これらの中では、アクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂又は別のアクリル系樹脂を混合すると印刷適性、成形適性がより良好となり好ましい。ここで、アクリル系樹脂としては、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート−ブチル(メタ)アクリレート共重合体、メチル(メタ)アクリレート−スチレン共重合体などのアクリル系樹脂〔ただし、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートをいう〕、フッ素などによる変性アクリル樹脂が挙げられ、これらを1種又は2種以上の混合物として用いることができる。この他、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートなどの分子中に水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルと、を共重合させて得られるアクリルポリオールを用いることもできる。また、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂としては、通常、酢酸ビニル含有量が5〜20質量%程度、平均重合度350〜900程度のものが用いられる。必要に応じ、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂にさらにマレイン酸、フマル酸などのカルボン酸を共重合させても良い。アクリル系樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂との混合比は、アクリル系樹脂/塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂=1/9〜9/1(質量比)程度である。この他、副成分の樹脂として、必要に応じて、適宜その他の樹脂、例えば、熱可塑性ポリエステル系樹脂、熱可塑性ウレタン系樹脂、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレンなどの塩素化ポリオレフィン系樹脂などの樹脂を混合しても良い。
【0043】
本発明に係る装飾層15に用いられる着色剤としては、アルミニウム、クロム、ニッケル、錫、チタン、リン化鉄、銅、金、銀、真鍮などの金属、合金、又は金属化合物の鱗片状箔粉からなるメタリック顔料、マイカ状酸化鉄、二酸化チタン被覆雲母、二酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、オキシ塩化ビスマス、二酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、着色二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛などの箔粉からなる真珠光沢(パール)顔料、アルミン酸ストロンチウム、アルミン酸カルシウム、アルミン酸バリウム、硫化亜鉛、硫化カルシウムなどの蛍光顔料、二酸化チタン、亜鉛華、三酸化アンチモンなどの白色無機顔料、亜鉛華、弁柄、朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、黄鉛、カーボンブラックなどの無機顔料、イソインドリノンイエロー、ハンザイエローA、キナクリドンレッド、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー、インダスレンブルーRS、アニリンブラックなどの有機顔料(染料も含む)を1種又は2種以上混合して用いることができる。
【0044】
このような装飾層15は、本発明の加飾シートに意匠性を付与するために設けられる層であるが、意匠性を向上させる目的で、さらに金属薄膜層などを形成しても良い。金属薄膜層の形成は、アルミニウム、クロム、金、銀、銅などの金属を用いて、真空蒸着、スパッタリングなどの方法で製膜することができる。この金属薄膜層は全面に設けても、部分的にパターン状に設けても良い。
装飾層15の形成に用いられる印刷インキは、上記成分の他に、沈降防止剤、硬化触媒、紫外線吸収剤、酸化防止剤、レベリング剤、増粘剤、消泡剤、滑剤などを適宜添加することができる。印刷インキは、上記成分を、通常溶剤に溶解又は分散した態様で提供される。溶剤としては、バインダー樹脂を溶解又は分散させるものであれば良く、有機溶剤及び/又は水を使用することができる。有機溶剤としては、トルエン、キシレンなどの炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテートなどのエステル類、アルコール類が挙げられる。
【0045】
≪接着剤層≫
本発明に係る接着剤層16は、表面保護層13と、必要に応じて設けられるプライマー層14、装飾層15及び接着層16とを順に有する転写層17を、接着性良く加飾成形品に転写するために形成されるもので、所望により設けられる層である。
【0046】
接着剤層16としては、感熱接着剤や加圧接着剤などで構成されるものが挙げられるが、本発明においては、必要に応じて加熱及び加圧によって、加飾成形品に対する密着性を発現するヒートシール層であることが好ましい。接着剤層16を構成する接着剤に用いられる樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合樹脂、スチレン−アクリル系共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂などの中から選ばれる少なくとも1種の樹脂を挙げることができる。前記樹脂の中から選択した1種又は2種以上の樹脂を溶液、あるいはエマルジョンなど塗布可能な形にしたものを、グラビア印刷法、スクリーン印刷法またはグラビア版を用いたリバースコーティング法などの手段により塗布、乾燥して形成することができる。
接着剤層16の厚みとしては、加飾シートを接着性良く、かつ効率的に加飾成形品に転写し得るという点から、0.1〜6μm程度が好ましい。
【0047】
接着剤層16には、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シュウ酸アニリド系化合物、シアノアクリレート系化合物、サリシレート系化合物などの有機系の紫外線吸収剤や、亜鉛、チタン、セリウム、スズ、鉄などの酸化物のような無機系の紫外線吸収能を有する微粒子の添加剤を含有させることができる。また、添加剤として、着色顔料、白色顔料、体質顔料、充填剤、帯電防止剤、酸化防止剤、蛍光増白剤なども適宜、必要に応じて含有させることができる。
【0048】
≪加飾シートの製造方法≫
本発明の加飾シートは、例えば、以下の[1]〜[7]の工程により製造することができる。
[1]基材シート11上に離型層12を積層する工程、
[2]離型層12上に電離放射線硬化性樹脂組成物層を積層する工程、
[3]該電離放射線硬化性樹脂組成物層に電離放射線を照射し該電離放射線硬化性樹脂組成物層を硬化又は半硬化して表面保護層13を形成する工程、
[4]所望により、該表面保護層13の表面にコロナ放電処理又はプラズマ処理を施す工程
[5]所望により、該表面保護層13上に、プライマー層14を積層する工程、
[6]所望により、該プライマー層14上に装飾層15を積層する工程、及び
[7]所望により、該装飾層15上に接着剤層16を積層する工程。
基材シート11上に積層される離型層12、表面保護層13、プライマー層14、装飾層15及び接着剤層16の積層方法は、グラビア印刷、ロールコートなどの公知の印刷又は塗布手段が用いられる。
なお、装飾層15を例えば上記のように絵柄層と隠蔽層との組み合わせとする場合は、一層を積層した後、乾燥し、その後次の層を積層すれば良い。
【0049】
本発明における表面保護層13を形成する工程において、離型層12上に積層された電離放射線硬化性樹脂組成物層を半硬化させてもよいし、硬化させてもよいが、硬化物であると表面性能が良好となり、該樹脂組成物を後述する所定のものとすることで、硬化物であっても成形性が良好となるため、硬化させることが好ましい。該電離放射線硬化性樹脂組成物層を硬化させる場合には、該樹脂組成物層に電子線、紫外線などの電離放射線を照射して硬化させることができる。ここで、電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度で電離放射線硬化性樹脂組成物層を硬化させることが好ましい。
なお、電子線の照射においては、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、基材シート11として電子線により劣化する基材を使用する場合には、電子線の透過深さと樹脂層の厚みが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定することにより、基材シート11への余分の電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線による基材の劣化を最小限にとどめることができる。
また、照射線量は、樹脂組成物層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜70kGy(1〜7Mrad)の範囲で選定される。
さらに、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
【0050】
電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈などが用いられる。
【0051】
≪加飾シートの用途≫
本発明の加飾シートは、加飾成形品に優れた耐汚染性、及び成形性を付与しうるものであり、日焼け止めクリームというとりわけ厳しい汚染性物質に対しても良好な耐汚染性を有している。さらに、表面保護層を形成する樹脂組成物の印刷適性が優れていることから、加飾シートを生産性よく製造することが可能であり、結果として加飾成形品も生産性よく製造することが可能となる。
本発明の加飾シートは、この特性をいかして、家庭用電化製品、自動車内装品などの分野や、パソコンの分野、とりわけパソコンの筐体など、幅広い分野で用いられる部材の加飾に好適に使用することができる。
【0052】
[加飾成形品の製造方法]
本発明の加飾シートは、射出成形同時転写加飾に好適に用いられる。そして、本発明の加飾成形品は、例えば本発明の加飾シートを用いて、射出成形同時転写加飾により製造することができる。より具体的には、本発明の加飾成形品は、例えば、以下の工程(1)〜(4)により製造することができる。
(1)本発明の上記加飾シートの基材シート側を金型内に向けて、該加飾シートを金型内形状に沿うように金型内面に密着させて型締する工程、
(2)射出樹脂を金型内に射出する工程、
(3)該射出樹脂が冷却した後に金型から加飾成形品を取り出す工程、及び
(4)該加飾成形品から基材シート及び離型層を剥離する工程。
【0053】
上記工程(1)において、加飾シートを金型内形状に沿うように金型内面に密着させる方法としては、(i)加飾シートを熱盤で加熱して行う方法、あるいは(ii)常温で真空引きして行う方法などが挙げられる。上記(i)の加熱して行う方法の場合は、加熱する温度は、基材シートのガラス転移温度近傍以上で、かつ、溶融温度(又は融点)未満の範囲であることが好ましい。通常はガラス転移温度近傍の温度で行うことが、より好ましい。
なお、上記のガラス転移温度近傍とは、ガラス転移温度±5℃程度の範囲をさし、基材シートとして好適なポリエステルシートを使用する場合には、一般に70〜130℃程度である。
【0054】
上記工程(2)において、後述する射出樹脂を溶融させて、キャビティ内に射出して該加飾シートと射出樹脂とを一体化させる。射出樹脂が熱可塑性樹脂の場合は、加熱溶融によって流動状態にして、また、射出樹脂が熱硬化性樹脂の場合は、未硬化の液状組成物を室温又は適宜加熱して流動状態で射出して、冷却して固化させる。これによって、加飾シートが、形成された樹脂成形体と一体化して貼り付き、加飾成形品となる。射出樹脂の加熱温度は、射出樹脂によるが、一般に180〜320℃程度である。
次いで、冷却した後に金型から取り出すと(工程(3))、樹脂成形体、接着剤層、表面保護層、離型層、及び基材シートを順に有する、本発明の基材シート付きの加飾成形品が得られる。さらに、工程(4)により基材シート及び離型層を剥離することにより、樹脂成形体、接着剤層、及び表面保護層を順に有する本発明の加飾成形品が得られる。
【0055】
≪射出樹脂≫
加飾成形品に用いられる射出樹脂としては、射出成形可能な熱可塑性樹脂あるいは、熱硬化性樹脂(2液硬化性樹脂を含む)であれば良く、特に制限されず、様々な樹脂を用いることができる。このような熱可塑性樹脂材料としては、例えばポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのビニル系重合体;ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン系共重合体、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂)などのスチレン系樹脂;ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリアクリロニトリルなどのアクリル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、エチレングリコール−テレフタル酸−イソフタル酸共重合体、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂;ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、2液反応硬化型のポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、単独でも良いし、二種以上混合して用いても良い。
【0056】
また、これらの樹脂には、必要に応じて各種添加剤、例えば酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、難燃剤、可塑剤、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムなどの無機物粉末、木粉、ガラス繊維などの充填剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、着色剤などを添加することができる。なお、射出樹脂は、用途に応じて適宜、着色剤を添加して着色した樹脂を使用しても良い。着色剤には、前述の基材シートに用いることのできるものと同様の公知の着色剤を使用できる。
加飾成形品を構成する射出樹脂成形体の厚みについては特に制限はなく、当該加飾成形品の用途に応じて選定されるが、通常1〜5mm、好ましくは2〜3mmである。
【0057】
[基材シート付き加飾成形品、及び加飾成形品]
本発明の基材シート付き加飾成形品は、例えば上記のように本発明の加飾シートを用いて製造することができ、工程(1)〜(3)を経ることにより得られるものであり、その構成は、樹脂成形体、接着剤層、表面保護層、離型層、及び基材シートを順に有し、該表面保護層が、分子量が175〜1000の多官能(メタ)アクリレートモノマー及び標準ポリスチレンで換算された重量平均分子量が1万〜10万未満の熱可塑性樹脂を含有する電離放射線硬化性樹脂組成物からなり、該樹脂組成物中の該多官能(メタ)アクリレートモノマーと該熱可塑性樹脂との質量比が10:90〜75:25であることを特徴とするものである。
【0058】
また、本発明の加飾成形品は、例えば上記のように本発明の加飾シートを用いて製造することができ、工程(1)〜(4)を経ることにより得られるものであり、その構成は、樹脂成形体、接着剤層、及び表面保護層を順に有し、該表面保護層が、分子量が175〜1000の多官能(メタ)アクリレートモノマー及び標準ポリスチレンで換算された重量平均分子量が1万〜10万未満の熱可塑性樹脂を含有する電離放射線硬化性樹脂組成物からなり、該樹脂組成物中の該多官能(メタ)アクリレートモノマーと該熱可塑性樹脂との質量比が10:90〜75:25であることを特徴するものである。
ここで、接着剤層、表面保護層、離型層、及び基材シートは、本発明の加飾シートの層として説明したものと同じものである。
【0059】
図2は、本発明の基材シート付き加飾成形品の一例の断面を示す模式図である。図2に示される基材シート付き加飾成形品20は、樹脂成形体22上に、表面保護層13と、プライマー層14、装飾層15及び接着剤層16とからなる転写層17が、接着剤層16を介して積層され、さらに該表面保護層13上に離型層12、及び基材シート11が積層一体化された構造を有している。ここで、基材シートは保護シート(マスキングフィルム)としての機能を有するため、剥離してもよいし、剥離することなくそのまま保管しておき、使用する直前に剥離してもよい。また基材シートを保護シートとして用いると、輸送時などに発生する擦れなどによる傷の発生から表面保護層を保護するための層として使用できるというメリットがある。
【0060】
また、図3は、本発明の加飾成形品の好ましい態様の一例の断面を示す模式図である。図3に示される加飾成形品21は、樹脂成形体22上に、表面保護層13と、プライマー層14、装飾層15及び接着剤層16とからなる転写層17が、接着剤層16を介して積層一体化された構造を有している。ここで、基材シート11、離型層12、表面保護層13、プライマー層14、装飾層15及び接着剤層16は、本発明の加飾シートの層として説明したものと同じものである。
【0061】
本発明の加飾成形品は、優れた耐汚染性、とりわけ日焼け止めクリームという厳しい汚染性物質に対しても良好な耐汚染性を有し、また、優れた成形性が得られる本発明の加飾シートを使用することで、仕上がりにも優れたものとなる。さらに、本発明の加飾シートを用いて作製する場合は、該加飾シートの表面保護層を形成する樹脂組成物の印刷適性が優れていることから、加飾シートを生産性よく製造することが可能であるため、加飾成形品も生産性よく製造することが可能となる。
本発明の加飾成形品は、これらの優れた特性をいかして、家庭用電化製品、自動車内装品などの分野や、パソコンの分野、とりわけパソコンの筐体など、幅広い分野において好適に使用することができる。
【実施例】
【0062】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
【0063】
<評価方法>
(1)耐汚染性
日焼け止めクリーム(「SUNSCREEN LOTION(商品名)」,Walgreens社製)を各実施例及び比較例で得られた加飾成形品に塗布し、70℃のオーブン内に1時間放置し、オーブンから取り出して、ふき取った後の加飾成形品表面の状態を目視にて観察した。判定基準を以下のようにして評価した。なお、表中の「+」はより良い評価であることを示し、例えば「△+」は「△」よりも良いが「○」よりも劣ることを示す。
○ :表面の状態は全く変化しない
△ :表面の一部が荒れたが、軽微なもので実用上問題がない
× :表面が著しく荒れた
(2)成形性(伸展性)
各実施例及び比較例で得た加飾シートを用いて、以下に示す方法で加飾樹脂成形品を作成し、成形後の外観にて評価した。評価基準は以下のとおりである。なお、表中の「+」はより良い評価であることを示し、例えば「△+」は「△」よりも良いが「○」よりも劣ることを示す。
○:表面保護層に塗膜割れや白化がほとんど見られず、良好に形状に追従した。
△:表面保護層に若干の塗装割れや軽微な白化が確認されたが、実用上問題ない
×:形状に追従できずに表面保護層に塗膜割れや白化が見られた。
(3)密着性
各実施例及び比較例で得た加飾シートを用いて、以下に示す方法で加飾樹脂成形品を作成し、成形後の塗膜の密着性について、JIS K5600−5−6の規格に準じて評価した。評価基準は以下のとおりである。
○:剥離は全く生じなかった
×:著しい剥離が生じた
(4)印刷適性(樹脂組成物の皮膜形成性)
各実施例及び比較例において、表面保護層の形成に用いる電離放射線硬化性樹脂組成物の連続塗布性の簡易評価方法として、該樹脂組成物を含む下記の調製により得られた塗布液の表面に皮膜が形成されるまでの時間を以下に示す方法で測定し、評価した。
(i)塗布液の調製
固形分(溶剤以外の樹脂成分の重量/インキ全体の重量)濃度が約30%となるように、各実施例及び比較例で用いた樹脂組成物に関し、酢酸エチル/MIBK=1/1の溶剤組成にて塗布液を調製した。なお、比較例6の多官能(メタ)アクリレートモノマーのみによる樹脂組成は、常温で液体であるので、そのまま評価した。
(ii)試験方法
時計皿にインキ(固形分:約30%)を2g滴下し、室温環境下(25℃、湿度50RH%程度)で、皮膜が確認されるまでの時間を測定した。
(iii)評価
○:10分以上の時間で皮膜形成
△:5〜10分で皮膜形成
×:5分以内で皮膜形成
【0064】
<加飾樹脂成形品の作製>
各実施例及び比較例で得られた加飾シートを熱盤温度350℃で加熱して該加飾シートの温度が100℃とし、射出成形の金型内形状に沿うように真空成形して、金型内面に密着させた。金型は、80mm角の大きさで、絞り3mm、コーナー部が11Rのトレー状である形状のものを用いた。一方、射出樹脂としてABS樹脂(「クララスチックMTH−2(商品名)」,日本エイアンドエル(株)製)を用いて、これを230℃にて溶融状態にしてから、キャビティ内に射出した。温度60℃の金型から取り出し、表面に基材シート、絵柄層、隠蔽層及び接着剤層からなる転写層を転写形成してなる図2に示す構成の加飾成形品20を得た。
【0065】
実施例1(加飾シートの製造)
基材シートとして、易接着処理が施された2軸延伸PETシート(厚み:75μm)上に、アクリル−メラミン系樹脂をグラビア法により塗布して、離型層(厚み:3μm)を形成した。
次いで、多官能(メタ)アクリレートモノマー(ペンタエリスリトールトリアクリレート,分子量:298)40質量部、重量平均分子量Mw95000の熱可塑性樹脂(アクリル樹脂,メタクリル酸メチルとメタクリル酸との共重合体,ガラス転移温度Tg:105℃)60質量部、その他紫外線吸収剤:1.1質量部、光安定剤:0.6質量部、及びレベリング剤0.2質量部を含む電離放射線硬化性樹脂組成物を、上記離型層上にバーコーターで塗布して、加速電圧165kV、照射線量50kGy(5Mrad)の電子線を照射して架橋硬化させて、表面保護層(厚み:12μm)を形成した。
次に、上記表面保護層表面にコロナ放電処理を施した後、その上に、ポリウレタン系2液硬化型樹脂(アクリル系ポリマーポリオールと硬化剤としてキシリレンジイソシアネートとを、NCO当量とOH当量とが同量になるように含む組成物,ガラス転移温度Tg(ポリオールの未硬化時):100℃)の溶液を塗布して、プライマー層(厚み1.5μm)を形成した。
次いで、上記プライマー層の上に、アクリル系樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂とをバインダー樹脂とした黒色系印刷インキ(アクリル樹脂:50質量%、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂:50質量%)を塗布量3g/m2でグラビア印刷を施して全面ベタ層の装飾層を形成した。さらにこの上にアクリル系樹脂(軟化温度:125℃)を塗布量4g/m2でグラビア印刷を施して接着剤層を形成し、図1に示す構成の加飾シートを作製した。
該加飾シートについて上記方法にて評価した。その評価結果を第1表に示す。
【0066】
実施例2〜8及び比較例1〜7
実施例1において、多官能(メタ)アクリレートモノマー、熱可塑性樹脂、及びこれらの質量比を第1表に示すものとした以外は実施例1と同様にして加飾シートを作製し、それぞれについて上記方法にて評価した。実施例2〜8の評価結果を第1表に示し、比較例1〜7の評価結果を第2表に示す。
【0067】
実施例9
実施例1において、プライマー層の形成を、ポリウレタン系2液硬化型樹脂(アクリル系ポリマーポリオールと硬化剤としてキシリレンジイソシアネートとを、NCO当量とOH当量とが同量になるように含む組成物,ガラス転移温度Tg(ポリオールの未硬化時):100℃)とウレタン樹脂(アクリル系ポリマーポリオール80質量部に対して20質量部)を含む溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして加飾シートを作製し、上記方法にて評価した。評価結果を第1表に示す。
【0068】
【表1】

*1,多官能(メタ)アクリレートI:ペンタエリスリトールトリアクリレート,分子量:298
*2,多官能(メタ)アクリレートII:エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート,分子量:692
*3,多官能(メタ)アクリレートIII:エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート,分子量:572
*4,熱可塑性樹脂として、以下のものを使用した。
熱可塑性樹脂A:重量平均分子量:9.5万,ガラス転移温度Tg:105℃,メタクリル酸メチルとスチレンと無水マレイン酸との共重合体
熱可塑性樹脂B:重量平均分子量:4.5万,ガラス転移温度Tg:105℃,メタクリル酸メチルの単独重合体
熱可塑性樹脂C:重量平均分子量:2.5万,ガラス転移温度Tg:105℃,メタクリル酸メチルとメタクリル酸との共重合体
熱可塑性樹脂D:重量平均分子量:8.5万,ガラス転移温度Tg:105℃,メタクリル酸メチルとスチレンと無水マレイン酸との共重合体
熱可塑性樹脂E:重量平均分子量:6.5万,ガラス転移温度Tg:55℃,メタクリル酸メチルとメタクリル酸との共重合体
熱可塑性樹脂F:重量平均分子量:15万,ガラス転移温度Tg:95℃,メタクリル酸メチルとメタクリル酸との共重合体
熱可塑性樹脂G:重量平均分子量:12万,ガラス転移温度Tg:105℃,メタクリル酸メチルの単独共重合体
*5,多官能(メタ)アクリレートと熱可塑性樹脂との質量比
*6,プライマー層樹脂組成物I:ポリウレタン系2液硬化型樹脂,
*7,プライマー層樹脂組成物II:ポリウレタン系2液硬化型樹脂とウレタン樹脂との混合物
【0069】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明の加飾シートは、加飾樹脂成形品に意匠性を付与するための射出成形同時転写加飾法に用いられる加飾シートとして有用である。また、本発明の加飾シートは、加飾成形品に優れた耐汚染性、及び成形性を付与するため、本発明の加飾成形品は、優れた耐汚染性を有し、また、優れた成形性が得られる本発明の加飾シートを使用することで、仕上がりにも優れたものとなる。さらに、表面保護層を形成する樹脂組成物の印刷適性が優れていることから、加飾シートを生産性よく製造することができ、結果として加飾成形品も生産性よく製造することが可能となる。
よって、本発明の加飾成形品は、家庭用電化製品、自動車内装品などの分野や、パソコンの分野、とりわけパソコンの筐体など、幅広い分野において好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0071】
10 加飾シート
11 基材シート
12 離型層
13 表面保護層
14 プライマー層
15 装飾層
16 接着剤層
17 転写層
18 剥離層
20 加飾成形品
21 樹脂成形体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材シートの片面に離型層及び表面保護層をこの順に有し、該表面保護層が、分子量が175〜1000の多官能(メタ)アクリレートモノマー及び標準ポリスチレンで換算された重量平均分子量が1万〜10万未満の熱可塑性樹脂を含有する電離放射線硬化性樹脂組成物からなり、該樹脂組成物中の該多官能(メタ)アクリレートモノマーと該熱可塑性樹脂との質量比が10:90〜75:25である加飾シート。
【請求項2】
多官能(メタ)アクリレートモノマーが、3〜8個の官能基を有する請求項1に記載の加飾シート。
【請求項3】
熱可塑性樹脂が、(メタ)アクリル酸エステルモノマーを構成単位とするアクリル樹脂である請求項1又は2に記載の加飾シート。
【請求項4】
表面保護層が、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物である請求項1〜3のいずれかに記載の加飾シート。
【請求項5】
樹脂成形体、接着剤層、表面保護層、離型層、及び基材シートを順に有し、該表面保護層が、分子量が175〜1000の多官能(メタ)アクリレートモノマー及び標準ポリスチレンで換算された重量平均分子量が1万〜10万未満の熱可塑性樹脂を含有する電離放射線硬化性樹脂組成物からなり、該樹脂組成物中の該多官能(メタ)アクリレートモノマーと該熱可塑性樹脂との質量比が10:90〜75:25であることを特徴とする基材シート付き加飾成形品。
【請求項6】
樹脂成形体、接着剤層、及び表面保護層を順に有し、該表面保護層が、分子量が175〜1000の多官能(メタ)アクリレートモノマー及び標準ポリスチレンで換算された重量平均分子量が1万〜10万未満の熱可塑性樹脂を含有する電離放射線硬化性樹脂組成物からなり、該樹脂組成物中の該多官能(メタ)アクリレートモノマーと該熱可塑性樹脂との質量比が10:90〜75:25であることを特徴とする加飾成形品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−91498(P2012−91498A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206019(P2011−206019)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】