説明

動体情報解析装置、動体情報解析システム、動体情報解析装置の制御方法、および動体情報解析装置の制御プログラム

【課題】通行人の通行量を求めた際の実際の現場の様子をユーザが容易に把握すること。
【解決手段】監視領域における動体の情報を解析する動体情報解析装置であって、動体の情報を示すログ情報と監視領域の画像情報を取得する情報取得手段と、解析領域を決定する解析領域決定手段と、解析領域にログ情報があるか否かを判定する判定手段と、解析領域のログ情報を単位時間ごとに演算する演算手段と、単位時間ごとの解析領域のログ情報から、単位時間ごとの解析領域のログ情報量をレベル付けするレベル付け手段と、単位時間ごとに、ログ情報を有する解析領域に対応する画像情報を切り出す切出手段と、単位時間ごとの解析領域ごとにレベル付けされたレベル付け情報と、レベル付けされた解析領域に対応する単位時間ごとの切り出し画像情報と、を対応付けて記憶手段に記憶することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視されている領域において、通行人などの動体が通行する通行量および通行量の変化を解析する、動体情報解析装置、動体情報解析システム、動体情報解析装置の制御方法、および動体情報解析装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、道路の交差点に可視画像のカメラを設置し、このカメラにより、横断歩道を含む所定範囲の監視領域内の画像を撮像して、道路の交差点における歩行者の状況や人数を調べることにより、車両用信号および歩行者用信号の制御をより効率的に行ない、結果として歩行者の安全を向上させることができる技術が知られている。
【0003】
また、通行人の軌跡データそのものを方向別に色分けし、また、通行人の正確な位置の追跡処理を行うために、通行軌跡から空間内の各通行人同士の接近相対距離及び進行方向ベクトルがなす交差角を求めて、通行人同士の衝突現象を検知し、距離画像を用いて正確に通行人の行動を解析することができる通行人行動解析システムが、例えば、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−346617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、ある領域内の通行密度を求め、それを色分けして表示する機能を備えているが、色分けして表示された画像には実際の画像を使用していない。そのために、通行人の通行量または通行人の通行密度を求めた際の実際の現場の様子をユーザが把握することができない、という問題がある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、監視領域(カメラ撮影領域)内を通行する動体の数を計測し、単位時間における通行数の高低によって解析領域をレベル付けし、解析領域に対応する監視領域の実際の画像を抽出画像として切り出して保存する動体情報解析装置、動体情報解析システム、動体情報解析装置の制御方法、および動体情報解析装置の制御プログラムを提供しようというものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は次のような構成を採用する。
【0008】
すなわち、請求項1に係る発明は、監視領域における動体の情報を解析する動体情報解析装置であって、動体の情報を示すログ情報と、監視領域の画像情報を取得する情報取得手段と、情報取得手段で取得された監視領域の画像情報から,少なくとも1つ以上の解析領域を決定する解析領域決定手段と、情報取得手段によって取得されたログ情報を解析し、解析領域決定手段によって決定された解析領域にログ情報があるか否かを判定する判定手段と、判定手段によって判定された解析領域のログ情報を単位時間ごとに演算する演算手段と、演算手段によって演算された単位時間ごとの解析領域のログ情報から、単位時間ごとの解析領域のログ情報量をレベル付けするレベル付け手段と、単位時間ごとに、ログ情報を有する解析領域に対応する画像情報を切り出す切出手段と、を備え、切出手段は、解析領域を識別する解析領域情報と、単位時間ごとの解析領域ごとにレベル付けされたレベル付け情報と、レベル付けされた解析領域に対応する単位時間ごとの切り出し画像情報と、を対応付けて記憶手段に記憶することを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に記載される発明は、請求項1に記載に動体情報解析装置において、切出手段によって切り出される切り出し画像情報から、動体の情報を示すログ情報に対応する動体画像を抽出する動体画像抽出手段と、動体画像抽出手段によって抽出された動体画像を置換画像に置き換える動体画像置換手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に記載される発明は、請求項1または2に記載の動体情報解析装置において、切出手段によって切り出される切り出し画像情報、または動体画像置換手段によって動体画像が置換画像に置き換えられた切り出し画像情報を、レベル付け手段によってレベル付けされたレベル付け情報とともに表示させる表示画像情報を作成し、出力する出力作成手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に記載される発明は、請求項3に記載の動体情報解析装置において、表示画像情報は、切り出し画像情報の少なくとも一部の領域がレベル付け情報に対応して認識できる画像であることを特徴とする。
【0012】
また、請求項5に記載される発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の動体情報解析装置において、出力作成手段は、解析領域ごとに、レベル付け手段によってレベル付けされたレベル付け情報を3次元形状化した3次元形状情報を作成し、予め定められた時間の中で、3次元形状情報を単位時間ごとに重ねた層状3次元形状情報を作成し、層状3次元形状情報を出力することを特徴とする。
【0013】
また、請求項6に記載される発明は、請求項5に記載の動体情報解析装置において、出力作成手段は、解析領域ごとに作成された層状3次元形状情報を、監視領域の画像情報の解析領域に対応する位置に配置し、監視領域の画像情報の範囲を示す範囲形状情報とともに、解析領域に対応する位置に配置された層状3次元形状情報を出力することを特徴とする。
【0014】
また、請求項7に記載される発明は、請求項3乃至6の何れかに記載の動体情報解析装置において、層状3次元形状情報が指定される指定手段と、指定手段によって層状3次元形状情報のどの3次元形状情報が指定されたかを検知する検知手段と、をさらに備え、検知手段によって、層状3次元形状情報の3次元形状情報が指定された場合には、指定された3次元形状情報に対応する切り出し画像情報を出力することを特徴とする。
【0015】
また、請求項8に記載される発明は、請求項1乃至7の何れかに記載の動体情報解析装置において、切出手段によって切り出される切り出し画像情報は、単位時間の中で、少なくとも1つのログ情報を有する解析領域に対応する静止画像情報であることを特徴とする。
【0016】
また、請求項9に記載される発明は、請求項1乃至7の何れかに記載の動体情報解析装置において、切出手段によって切り出される切り出し画像情報は、単位時間の中で、最も多くのログ情報を有する解析領域に対応する静止画像情報であることを特徴とする。
【0017】
また、請求項10に記載される発明は、請求項3乃至9の何れかに記載の動体情報解析装置と、動体情報解析装置の出力作成手段から出力された情報を表示する表示手段と、監視領域の画像情報を取得する画像情報取得手段と、を備え、動体情報解析装置は、画像情報取得手段によって取得された画像情報を受信する画像情報受信手段と、画像情報取得手段によって取得された画像情報から動体を検出する動体検出手段と、動体検出手段によって検出された動体の移動経路を追跡する移動経路追跡手段と、をさらに備え、移動経路追跡手段によって追跡された動体の移動経路をログ情報として出力することを特徴とする。
【0018】
また、請求項11に記載される発明は、監視領域における動体の情報を解析する動体情報解析装置の制御方法であって、動体の情報を示すログ情報と、監視領域の画像情報を取得する情報取得工程と、情報取得工程において取得された監視領域の画像情報から、少なくとも1つ以上の解析領域を決定する解析領域決定工程と、情報取得工程において取得されたログ情報を解析し、解析領域決定工程において決定された解析領域にログ情報があるか否かを判定する判定工程と、判定工程において判定された解析領域のログ情報を単位時間ごとに演算する演算工程と、演算工程において演算された単位時間ごとの解析領域のログ情報から、単位時間ごとの解析領域のログ情報量をレベル付けするレベル付け工程と、単位時間ごとに、ログ情報を有する解析領域に対応する画像情報を切り出す切出工程と、を備え、切出工程は、さらに、解析領域を識別する解析領域情報と、単位時間ごとの解析領域ごとにレベル付けされたレベル付け情報と、レベル付けされた解析領域に対応する単位時間ごとの切り出し画像情報と、を対応付けて記憶手段に記憶することを特徴とする。
【0019】
また、請求項12に記載される発明は、監視領域における動体の情報を解析する動体情報解析装置に含まれるコンピュータを、動体の情報を示すログ情報と、監視領域の画像情報を取得する情報取得手段、情報取得手段で取得された監視領域の画像情報から、少なくとも1つ以上の解析領域を決定する解析領域決定手段、情報取得手段によって取得されたログ情報を解析し、解析領域決定手段によって決定された解析領域にログ情報があるか否かを判定する判定手段、判定手段によって判定された解析領域のログ情報を単位時間ごとに演算する演算手段、演算手段によって演算された単位時間ごとの解析領域のログ情報から、単位時間ごとの解析領域のログ情報量をレベル付けするレベル付け手段、単位時間ごとに、ログ情報を有する解析領域に対応する画像情報を切り出す切出手段、として機能させ、切出手段は、解析領域を識別する解析領域情報と、単位時間ごとの解析領域ごとにレベル付けされたレベル付け情報と、レベル付けされた解析領域に対応する単位時間ごとの切り出し画像情報と、を対応付けて記憶手段に記憶する機能を発揮することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、通行数の多い領域、または少ない領域を監視画像から切り取って保存することにより、通行数を求めた際の実際の現場の様子を把握することができる。
【0021】
また、解析領域に人が写りこんでいた場合に、人検出技術や性別判定技術を利用して物体を判定し、適切なマーク等の置換画像などで、写りこんでいる人の画像を置き換えすることにより、プライバシーを保護することができる。また、写りこんでいる人物の画像を置き換えすることにより、肖像権を適切に保護することができる。
【0022】
さらに、解析領域ごとに、通行量(通行数が多いかまたは少ないか)を、レベル付けして監視画像とともに表示するので、通行数を求めた際の実際の現場の様子をレベル付けによって容易、かつ、瞬時に判断することができる。
【0023】
また、監視画像の一部(監視画像の縁など)がレベル付けによって、監視画像と異なる色相などに視覚化されるので、解析領域ごとに通行量を容易、かつ、瞬時に判断することができる。
【0024】
また、解析領域に対応する単位時間ごとの切り出し画像情報を使用することにより、通行人の通行量を求めた際の実際の現場の様子をユーザが容易に把握することができるので、データ解析領域の絞込みを容易に行うことができる。
【0025】
また、レベル付けされた3次元形状情報が解析領域ごとに視覚化されるので、ユーザは解析領域ごとに単位時間ごとの通行量を容易、かつ、瞬時に判断することができる。
【0026】
さらに、レベル付けされた3次元形状情報を単位時間ごとに重ねた層状3次元形状情報が解析領域ごとに視覚化されるので、ユーザは解析領域ごとに単位時間ごとの通行量の変化を容易、かつ、瞬時に判断することができる。
【0027】
さらに、層状3次元形状情報が、監視領域に対応する画像情報の中の対応する位置に表示されるので、ユーザはいずれの解析領域の層状3次元形状情報であるかを容易、かつ、瞬時に判断することができる。
【0028】
また、マウスなどの指定手段によって、層状3次元形状情報が指定された場合に、解析領域に対応する単位時間ごとの切り出し画像情報を表示するようにしたので、通行数を求めた際の実際の現場の様子を容易、かつ、瞬時に把握することができる。
【0029】
さらに、3次元グラフをアニメーション表示することにより、通行数分布の時間変化を視覚的に容易、かつ、瞬時に把握できる。
【0030】
さらに、切り出し画像情報を静止画像情報とすることで、通行数を求めた際の実際の現場の様子を容易、かつ、瞬時に把握することができる。
【0031】
さらに、切り出し画像情報を単位時間の中で通行数が最も多い静止画像情報とすることで、通行数を求めた際の実際の現場の混雑の様子を容易、かつ、瞬時に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る動体情報解析システムの機能的な構成を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明に係る動体情報解析システムによる処理手順の全体フローチャートの一部である。
【図3】本発明に係る動体情報解析システムによる処理手順の全体フローチャートのその他の一部である。
【図4】(A)本発明に係る動体情報解析システムによる処理手順の初期設定サブルーチンのフローチャートである。(B)本発明に係る動体情報解析システムによる処理手順の解析領域切り出しサブルーチンのフローチャートである。(C)本発明に係る動体情報解析システムによる処理手順の解析結果表示サブルーチンのフローチャートである。
【図5】本発明に係る監視領域の画像情報において解析領域ごとにレベル付けして表示した画像の一例を示す図である。
【図6】本発明に係る動体画像の置き換え概念の一例を表示した図である。
【図7】本発明に係る層状3次元形状情報の概念の一例を表示した図である。
【図8】本発明に係る監視領域の画像情報において解析領域ごとに層状3次元形状情報の概念の一例を表示した図である。
【図9】本発明に係る図8の表示例において、指定手段によって層状3次元形状情報が指定された場合の表示例の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
【0034】
最初に、本発明の実施形態について図1、図5〜図9を参照しながら説明する。
【0035】
[システム全体構成]
図1には、本実施形態に係る、画像情報取得手段としての画像情報取得部10と、動体情報解析装置20と、記憶手段としての記憶部30と、表示手段としての表示部40とから構成される動体情報解析システムを示す。なお、図1においては、画像情報取得部10と、情報処理装置20と、記憶部30と、表示部40とがそれぞれ一つずつで示されているが、これに限られず、それぞれ複数台で構成されていても良い。
【0036】
また、本発明に係る動体情報解析システムは、上述のような構成を有することにより、監視領域の画像情報を取得し、取得された画像情報から人間等の動体を検出し、動体の移動経路を追跡して動体のログ情報を生成し、監視領域の画像情報から,少なくとも1つ以上の解析領域を決定し、単位時間ごとに解析領域の動体の数をレベル付けし、動体が存在する解析領域に対応する画像情報を切り出し、切り出した画像をレベル付けされた3次元画像にモデリングし、レベル付けされた切り出した画像やモデリングした3次元画像を表示する機能を有する。
【0037】
ここで、当該機能を発揮するための構成について、図1に示す機能ブロック図を用いて説明する。
【0038】
画像情報取得部10は、監視領域の画像情報を取得する機能を有する。
【0039】
画像情報取得部10の一例としては、デジタルビデオがあり、デジタルビデオによって撮像する目標となる監視領域を撮像する。監視領域の一例としては、商品を陳列しているショップ、売店、駅の構内などの人が移動する空間、道路、交差点、駐車場などの人と他の移動物体が混在する空間などが挙げられる。また、画像情報取得部10は撮像した画像情報を画像情報受信部20aへ送信する機能も有する。
【0040】
動体情報解析装置20は、図示しないCPU(Central Processing Unit)(マルチプロセッサ構成では複数のCPUが追加されても良い)、バスライン、通信I/F(I/F:インタフェース)、メインメモリ、BIOS(Basic Input Output System)、I/Oコントローラ、ハードディスク、光ディスクドライブ、並びに半導体メモリを備える。
【0041】
CPU(Central Processing Unit)には、動体検出手段としての動体検出部20b、動体追跡手段としての動体追跡部20c、情報取得手段、解析領域決定手段、判定手段、演算手段、レベル付け手段としての通行数演算部20d、切出手段としての解析領域切出部20e、動体画像抽出手段としての動体抽出部20f、動体画像置換手段としての動体置換部20g、出力作成手段としての出力作成部20h、検知手段としての検知部20iが含まれる。
【0042】
画像情報受信部20aは、画像情報取得部10が監視領域を撮像した画像情報を受信する機能を有する。画像情報取得部10と画像情報受信部20aとの間の画像情報の送受信は無線または有線の任意の通信手段を使用できる。また、画像情報受信部20aは画像情報取得部10が監視領域を撮像した画像情報を通行数演算部20eに転送する機能も有する。
【0043】
動体検出部20bは画像情報取得部20aによって取得された画像情報から動体を検出する機能を有する。動体には人間、車、自転車などの任意の移動体が含まれる。
【0044】
動体追跡部20cは動体検出部20bによって検出された動体の移動経路を追跡する機能を有する。一例として、画像情報には座標情報が含まれているので、動体の移動経路を画像情報の座標軸であらわし、動体の識別情報と移動経路の座標情報とを対応させ、動体の識別情報と移動経路の座標情報とをログ情報として、ログ情報記憶部30aへ送信する。動体の座標は1つの座標で示されるが、これに限定されることなく、動体の座標を複数の座標であらわし、動体を形状情報としてもよい。
【0045】
通行数演算部20dは情報取得手段、解析領域決定手段、判定手段、演算手段、レベル付け手段として機能する。
【0046】
情報取得手段は、動体の情報を示すログ情報と、監視領域の画像情報を取得する機能を有する。ログ情報には動体の識別情報と移動経路の座標情報とが含まれる。また、監視領域の画像情報は、画像情報受信部20aから受信し、または、画像情報受信部20aからログ情報記憶部30aに記憶された監視領域の画像情報を受信してもよい。
【0047】
解析領域決定手段として、情報取得手段で取得された監視領域の画像情報から、少なくとも1つ以上の解析領域を決定する機能を有する。
【0048】
一例として、監視領域の画像情報を、図5に示すように、複数の矩形領域に区分し、矩形領域に区分されたそれぞれの領域を解析領域として決定する。なお、解析領域はこれに限られるわけではなく、監視領域の画像情報を任意に区分した領域を解析領域として決定することができる。また、あらかじめ監視領域の画像情報の解析領域の位置情報を記憶部30に記憶しておき、記憶部30に記憶されている位置情報に基づいて、監視領域の画像情報の解析領域を決定してもよい。
【0049】
判定手段は、情報取得手段によって取得されたログ情報を解析し、解析領域決定手段によって決定された解析領域にログ情報があるか否かを判定する機能を有する。
【0050】
ログ情報には、動体の識別情報と移動経路の座標情報とが含まれるので、動体の座標情報から、動体がどの解析領域に位置するかを判定手段は判定することができる。
【0051】
一例として、ログ情報に対して解析領域の識別情報を対応付けて、半導体メモリ等の一時記憶媒体に記憶させる。
【0052】
演算手段は、判定手段によって判定された解析領域のログ情報を単位時間ごとに演算する機能を有する。一例として、単位時間として5分を設定し、単位時間ごと、すなわちこの場合には5分ごとに、図5の各矩形領域にいくつのログ情報に対応する動体が入ったかを演算する。例えば、5分間に1つの矩形領域に、同一の識別情報を有する動体がいくつ存在したかを、ログ情報と矩形領域の座標情報とから判定手段が演算する。
【0053】
なお、単位時間は5分に限定されるわけではなく、動体の解析に適合する任意の時間を設定することができる。
【0054】
レベル付け手段は、演算手段によって演算された単位時間ごとの解析領域のログ情報から、単位時間ごとの解析領域のログ情報量をレベル付けする機能を有する。
【0055】
単位時間内の同一の識別情報を有する動体の数に応じて、解析領域ごとにレベル付けする。一例として、単位時間内の動体の数が0の場合にはレベル0と決定し、動体の数が1〜10の場合にはレベル1と決定し、動体の数が11〜30の場合にはレベル2と決定し、動体の数が31〜50の場合にはレベル3と決定し、動体の数が51以上の場合にはレベル4と決定する(図5参照)。解析領域ごとにレベル付けされたレベル数をレベル付け識別情報として、解析領域を識別する解析領域情報と対応させて半導体メモリ等の一時記憶媒体に記憶させる。
【0056】
なお、レベルとそのレベルに対応する動体の数の範囲はユーザが任意に決定することができる。
【0057】
切出手段としての解析領域切出部20eは、単位時間ごとに、ログ情報を有する解析領域に対応する切り出し画像情報を切り出す機能を有する。
【0058】
すなわち、解析領域切出部20eは、レベル付け識別情報を有する時刻に対応する監視領域の画像情報から、レベル付け識別情報を有する時刻の解析領域に対応する領域を切り出し画像情報として切り出す。
【0059】
一例として、図5に示すように、解析領域切出部20eは監視領域の画像情報60から、切り出し画像情報61、62、63を切り出す。切り出し画像情報61には通行人が一人撮影されているので、レベル付け識別情報としてレベル1(動体の数が1〜10の場合)を有する。
【0060】
また、切り出し画像情報62には通行人が単位時間の間に11人も撮影されているので(説明の都合上、図5の切り出し画像情報62には通行人を図示せず)、レベル付け識別情報としてレベル2(動体の数が11〜30の場合)を有する。
【0061】
また、切り出し画像情報63には通行人が単位時間の間に31人も撮影されているので(説明の都合上、図5の切り出し画像情報63には通行人を図示せず)、レベル付け識別情報としてレベル3(動体の数が31〜50の場合)を有する。
【0062】
一例としての図5の切り出し画像情報62、63には説明の都合上、通行人が図示されていないが、切り出し画像情報62によって示される解析領域には単位時間に合計で11人が通行したことになる。すなわち切り出し画像情報62によって示される解析領域に11個の動体の識別情報が異なるログ情報が存在する。また、切り出し画像情報63によって示される解析領域には単位時間に合計で31人が通行したことになる。すなわち切り出し画像情報63によって示される解析領域には、動体の識別情報が異なる31個のログ情報が存在する。
【0063】
図5の場合には、監視領域の画像情報60から、切り出し画像情報61、62、63を切り出す様子を概念的に説明しているので、レベル0に対応する解析領域に対応する切り出し画像情報が切り出されているが、動体の数が1〜10の場合のレベル1以上のログ情報を有する解析領域に対応する切り出し画像情報だけを切り出すことによって、記憶部30に記憶する画像情報を低減し、動体情報解析装置20および動体情報解析の処理スピードの向上、および記憶部30の記憶領域を有効に活用することが可能になる。
【0064】
さらに、切出手段としての解析領域切出部20eは、解析領域を識別する解析領域情報と、単位時間ごとの解析領域ごとにレベル付けされたレベル付け情報と、レベル付けされた解析領域に対応する単位時間ごとの切り出し画像情報と、を対応付けて解析領域情報記憶部30bに記憶する機能を有する。
【0065】
解析領域情報とは、一例として、切り出し画像情報61、62、63の監視領域の画像情報60の中の位置を示す情報であり、同一の解析領域には同一の解析領域情報が付与される。レベル付け情報は上述したように単位時間あたりの動体の個数をレベル分けした情報である。切り出し画像情報は一例としてログ情報を有する切り出し画像情報61、62、63のそれぞれの画像情報である。
【0066】
動体抽出部20fは、解析領域切出部20eによって切り出される切り出し画像情報から、動体の情報を示すログ情報に対応する動体画像を抽出する機能を有する。
【0067】
例えば、図6に示されるように、解析領域切出部20eによって切り出される切り出し画像情報である図6(A)から、既存の人検出技術や性別判定技術を利用して、ログ情報に対応する動体画像64を抽出する。
【0068】
動体置換部20gは、動体抽出部20fによって抽出された動体画像64を置換画像65に置き換える機能を有する。動体抽出部20fによって抽出された動体画像64は、大人の男性であることが性別判定技術によって判定されているので、サラリーマン風の背広を着てネクタイをした大人の男性を示す置換画像65を、動体画像64の代わりに置き換える。なお、背景の画像はそのままにする。また、動体置換部20gは、置換画像65と、動体画像64と、切り出し画像情報とを対応付けて置換画像情報記憶部30cに記憶する。
【0069】
このように、偶然撮影してしまった人物などの画像を、デザイン化された置換画像65に置き換えることで、個人のプライバシーを保護することができる。また、写りこんでいる人物の画像を置き換えすることにより、肖像権を適切に保護することができる。
【0070】
出力作成部20hは、解析領域切出部20eによって切り出される切り出し画像情報、または、動体置換部20gによって動体画像が置換画像に置き換えられた切り出し画像情報を、レベル付け手段によってレベル付けされたレベル付け情報とともに表示させる表示画像情報を作成し、出力する機能を有する。
【0071】
一例として、監視領域の画像情報60とともに切り出し画像情報61、切り出し画像情報62、切り出し画像情報63を表示し、切り出し画像情報61がレベル1であること、切り出し画像情報62がレベル2であること、切り出し画像情報63がレベル3であることを示すレベル付け情報としてのテキスト情報を表示することができる(図示せず)。
【0072】
また、出力作成部20hは、切り出し画像情報の少なくとも一部の領域がレベル付け情報に対応して認識できる画像にする機能を有する。
【0073】
一例として、レベル付け情報に対応して認識できる画像には色、模様を変化させた画像が含まれる。
【0074】
例えば、図6に示すように、切り出し画像情報61の周囲の枠部分61aの色をレベル付けされたレベルに対応する色に着色する。
【0075】
また、例えば、図5に示すように、切り出し画像情報61の周囲の枠部分61a、切り出し画像情報62の周囲の枠部分62a、切り出し画像情報63の周囲の枠部分63a、をレベル付け情報によって色、模様を変える。例えば、レベル1の枠部分61aを赤色とし、レベル2の枠部分62aを黄色とし、レベル3の枠部分63aを緑色とする。このように監視画像の一部である切り出し画像情報がレベル付けによって、監視画像と異なる色相などに視覚化されるので、解析領域ごとに通行量を容易、かつ、瞬時に判断することができる。
【0076】
なお、切り出し画像情報61、切り出し画像情報62、切り出し画像情報63はそれぞれ単独で表示しても、図5のように監視画像の全体と一緒に表示してもよい。
【0077】
また、一例として、図6(B)の切り出し画像情報66において切り出し画像情報66の周囲の枠部分66aをレベル付け情報によって色、模様を変えて表示してもよい。
【0078】
また出力作成部20hは、解析領域ごとに、レベル付け手段によってレベル付けされたレベル付け情報を3次元形状化した3次元形状情報を作成し、予め定められた時間の中で、3次元形状情報を単位時間ごとに重ねた層状3次元形状情報を作成し、層状3次元形状情報を出力する機能を有する。
【0079】
一例として、図7に示すように、切り出し画像情報67a〜切り出し画像情報67fは、解析領域60a(図5参照)において、単位時間5分の間の代表的な切り出し画像をそれぞれ一枚ずつ示し、予め定められた時間として30分間監視した結果、6枚(30分間/5分間)の代表的な切り出し画像を示している。
【0080】
すなわち、切り出し画像情報67aは、最初の5分間のある時点で、通行人が解析領域60aを通過したことを示すログ情報に対応する切り出し画像である。切り出し画像情報67bは、次の5分間のある時点で、通行人が解析領域60aを通過したことを示すログ情報に対応する切り出し画像である。最後の切り出し画像情報67fは、30分間の中の最後の5分間のある時点で、通行人が解析領域60aを通過したことを示すログ情報に対応する切り出し画像である。
【0081】
図7に示す場合には、切り出し画像情報67aはレベル1(動体の数が1〜10の場合)であるので、切り出し画像情報67aに対応する3次元形状情報68aも赤色で表示する。
【0082】
同様に、切り出し画像情報67bはレベル1であるので、切り出し画像情報67bに対応する3次元形状情報68bも赤色で表示する。さらに、切り出し画像情報67c〜67fもレベル1であるので、切り出し画像情報67cに対応する3次元形状情報68c、切り出し画像情報67dに対応する3次元形状情報68d、切り出し画像情報67eに対応する3次元形状情報68e、切り出し画像情報67fに対応する3次元形状情報68fも赤色で表示する。図7の場合には、3次元形状情報68a〜68fを直方体で示しているが3次元形状情報は任意の形状で表示することができる。また、3次元形状情報68a〜68fを層状に重ねた全体を層状3次元形状情報68と称する。
【0083】
また、層状3次元形状情報68のぞれぞれの3次元形状情報はレベルに対応して色を変化させることができる。
【0084】
このように、レベル付けされた3次元形状情報が解析領域ごとに視覚化されるので、ユーザは解析領域ごとに単位時間ごとの通行量を容易、かつ、瞬時に判断することができる。
【0085】
さらに、出力作成部20hは、解析領域ごとに作成された層状3次元形状情報を、監視領域の画像情報の解析領域に対応する位置に配置し、監視領域の画像情報の範囲を示す範囲形状情報とともに、解析領域に対応する位置に配置された層状3次元形状情報を出力する機能を有する。
【0086】
一例として、図8に示すように、解析領域ごとに作成された層状3次元形状情報68を、監視領域の画像情報の解析領域に対応する位置、すなわち、一例として、図5の解析領域60a対応する位置に配置し、監視領域の画像情報の範囲を示す範囲形状情報、一例として図8の監視領域の画像情報60の範囲形状情報75とともに、解析領域に対応する位置(一例として、図5の解析領域60a)に配置された層状3次元形状情報(一例として、図8の層状3次元形状情報68)を出力する機能を有する。
【0087】
このように、レベル付けされた3次元形状情報を単位時間ごとに重ねた層状3次元形状情報が解析領域ごとに視覚化されるので、ユーザは解析領域ごとに単位時間ごとの通行量の変化を容易、かつ、瞬時に判断することができる。
【0088】
さらに、出力作成部20hは、層状3次元形状情報が指定されるマウス、キーボード等の指定部41と、指定部41によって層状3次元形状情報のどの3次元形状情報が指定されたかを検知する検知部20iと、をさらに備え、検知部20iによって、層状3次元形状情報の3次元形状情報が指定された場合には、指定された3次元形状情報に対応する切り出し画像情報を出力する機能を有する。
【0089】
一例として、図9に示すように、図8で示された表示において、カーソル76で、層状3次元形状情報68の3次元形状情報68eが指定されたことを検知部20iが検知すると、3次元形状情報68eに対応する時間帯における切り出し画像情報68e1〜68e4を出力する。
【0090】
このように、マウスなどの指定手段によって、層状3次元形状情報が指定された場合に、解析領域に対応する単位時間ごとの切り出し画像情報を表示するようにしたので、通行数を求めた際の実際の現場の様子を容易、かつ、瞬時に把握することができる。
【0091】
解析結果情報記憶部30dは、出力作成部20hで作成された3次元形状情報、層状3次元形状情報等の表示部30に表示される情報を記憶する。
【0092】
なお、ログ情報記憶部30a、解析領域情報記憶部30b、置換画像情報記憶部30c、解析結果情報記憶部30dを含む記憶部30は、動体情報解析装置20の外部記憶装置、または動体情報解析装置20に内蔵されてもよい。また、動体情報解析装置20の外部記憶装置とする場合には、記憶部30を、ネットワークを介したデータベースまたはサーバ装置の記憶装置とするように構成できる。
【0093】
[処理手順]
ここで、本発明を適用した場合において実現され得る具体的な処理手順について、図2〜図4に示すフローチャートを参照して説明する。なお、以下に示す処理手順は、一例であってこれ以外にも実現され得る処理手順は無数に存在する。
【0094】
なお、以下の手順は、本発明に係る動体情報解析システムにおいて、監視領域の画像情報を取得し、取得された画像情報から人間等の動体を検出し、動体の移動経路を追跡して動体のログ情報を生成し、監視領域の画像情報から,少なくとも1つ以上の解析領域を決定し、単位時間ごとに解析領域の動体の数をレベル付けし、動体が存在する解析領域に対応する画像情報を切り出し、切り出した画像をレベル付けされた3次元画像にモデリングし、レベル付けされた切り出した画像やモデリングした3次元画像を表示する機能を発揮するための処理手順である。
【0095】
ステップS1において、情報取得手段としての通行数演算部20dは、動体の情報を示すログ情報を取得する。ここで、ログ情報には動体の識別情報と移動経路の座標情報とが含まれる。
【0096】
ステップS2において、情報取得手段としての通行数演算部20dは、監視領域の画像情報を取得する。監視領域の画像情報は、画像情報受信部20aから受信し、または、画像情報受信部20aからログ情報記憶部30aに記憶された監視領域の画像情報を受信してもよい。
【0097】
ステップS3において、通行数演算部20dは、単位時間の設定、解析領域サイズの設定、通行した動体の通行数に基づくレベル付けなどの初期設定を初期設定サブルーチン(図4(A))で実行する。(詳細は図4(A)のステップS21〜ステップ24において説明する。)
【0098】
ステップS4において、通行数演算部20dは、ステップS1において取得したログ情報を解析する。具体的には、ステップS3において設定された、解析領域ごとに、単位時間あたりの動体数を演算する。
【0099】
ステップS5において、通行数演算部20dは設定されている解析領域の数の処理が実行されたか否かを判断する。設定されている解析領域の数の処理が実行された場合(ステップS5:YES)にはステップS9(図3参照)に進み、設定されている解析領域の数の処理が実行されていない場合(ステップS5:NO)にはステップS6に進む。
【0100】
ステップS6において、通行数演算部20dはステップS4における解析結果に基づいて、解析領域のレベル付けを実行する。一例として、解析領域の単位時間内の動体の総和の数が0の場合にはレベル0と決定し、動体の総和の数が1〜10の場合にはレベル1と決定し、動体の総和数が11〜30の場合にはレベル2と決定し、動体の総和数が31〜50の場合にはレベル3と決定し、動体の総和数が51以上の場合にはレベル4と決定する。なお、レベルとそのレベルに対応する動体の数の範囲はユーザが任意に決定することができる。
【0101】
ステップS7において、解析領域切出部20eは、監視領域の画像情報から、解析領域に対応する領域を有する、切り出し画像情報を切り出すための、解析領域切り出しサブルーチン(図4(B))を実行する。(詳細は図4(B)のステップS31〜ステップ32において説明する)
【0102】
一例として、図5に示すように、解析領域切出部20eは監視領域の画像情報60から、切り出し画像情報61、62、63を切り出す。
【0103】
ステップS8において、動体抽出部20fが、解析領域切出部20eによって切り出される切り出し画像情報から、動体の情報を示すログ情報に対応する動体画像を抽出する。
【0104】
一例として、図6(A)に示されるように、解析領域切出部20eによって切り出される切り出し画像情報61から、既存の人検出技術や性別判定技術を利用して、ログ情報に対応する動体画像64を抽出する。そして、図6(B)に示すように、動体置換部20gが、動体抽出部20fによって抽出された動体画像64を置換画像65に置き換える。
【0105】
ステップS9において、通行数演算部20dは、ステップS6において実行された解析領域のレベル付け情報を記憶する。すなわち、解析領域ごとにレベル付けされたレベル数をレベル付け識別情報として、解析領域を識別する解析領域情報と対応させて半導体メモリ等の一時記憶媒体に記憶させる。
【0106】
ステップS10において、解析領域切出部20eは、解析領域を識別する解析領域情報と、単位時間ごとの解析領域ごとにレベル付けされたレベル付け情報と、レベル付けされた解析領域に対応する単位時間ごとの切り出し画像情報と、を対応付けて解析領域情報記憶部30bに記憶する。
【0107】
ステップS11において、解析結果の表示に伴うステップを解析結果の表示サブルーチン(図4(C))で実行する。(詳細は図4(C)のステップS41〜ステップ43において、説明する。)
【0108】
解析結果の表示サブルーチンにおいて、出力作成部20hは、解析領域ごとに、解析結果を3次元形状などの様々な形状画像、またはテキスト情報を使用して表示部40に表示する。
【0109】
ステップS12において、アプリケーションプログラムが終了したかが判断され、アプリケーションプログラムが終了していない場合(ステップS12:NO)には、ステップS13に進む。
【0110】
ステップS13において、層状3次元形状情報を指定するマウス、キーボード等の指定部41によって、検知部20iが層状3次元形状情報のいずれかの3次元形状情報が指定されたことを検知した場合(ステップS13:YES)には、ステップS14に進み、検知しない場合(ステップS13:NO)にはステップS12に戻る。
【0111】
ステップS14において、カーソル76で、層状3次元形状情報68の3次元形状情報68eが指定されたことを検知部20iが検知すると、出力作成部20hは、3次元形状情報68eに対応する時間帯における切り出し画像情報68e1〜68e4を出力する(前述および後述する図9参照)。
【0112】
ステップS15において、出力作成部20hは、ステップS14において検知された層状3次元形状情報の中の3次元形状情報に関する解析結果を表示部40にテキスト情報で表示する(後述する図9参照)。
【0113】
次に、初期設定サブルーチン(ステップS21〜ステップS24)について説明する。
【0114】
ステップS21において、通行数演算部20dは、単位時間の設定を実施する。単位時間とは、監視領域の画像情報60から、解析領域ごとに動体の通行数を積算するための時間である。本実施形態では、単位時間を5分間と設定しているが、ユーザは領域解析に適切な任意の時間を設定することができる。単位時間は、ユーザが動体情報解析装置20にキーボード等の入力デバイスで直接入力することができる他に、記憶部30にあらかじめ記憶しておき、ステップS21において通行数演算部20dが設定情報を記憶部30から読み出して、単位時間を設定してもよい。
【0115】
ステップS22において、通行数演算部20dは、監視領域の画像情報60から、解析の対象となる解析領域を設定する。監視領域の画像情報60には位置座標が含まれるので、監視領域の画像情報60の中に任意の大きさの解析領域を設定することができる。一例として、図5に示されるように解析領域を矩形形状とすることもできる。解析領域の形状も、ユーザが動体情報解析装置20にキーボード等の入力デバイスで直接入力することができる他に、記憶部30にあらかじめ記憶しておき、ステップS22において通行数演算部20dが設定情報を記憶部30から読み出して、解析領域を設定してもよい。
【0116】
ステップS23において、通行数演算部20dは、解析領域の単位時間内の動体の総和の数に基づくレベル付けのレベル区分を設定する。一例として、図5に示すように、解析領域の単位時間内の動体の総和の数が0の場合にはレベル0と設定し、動体の総和の数が1〜10の場合にはレベル1と設定し、動体の総和数が11〜30の場合にはレベル2と設定し、動体の総和数が31〜50の場合にはレベル3と設定し、動体の総和数が51以上の場合にはレベル4と設定する。なお、レベルとそのレベルに対応する動体の数の範囲はユーザが任意に設定することができる。
【0117】
ステップS24において、通行数演算部20dは、解析領域の単位時間内の動体の総和の数に基づいてレベル付けを実施する(図5参照)。
【0118】
次に、解析領域切り出しサブルーチン(ステップS31〜ステップS32)について説明する。
【0119】
ステップS31において、解析領域切出部20eは、監視領域の画像情報60から、特定の時刻のフレーム画像を抽出する。デジタルビデオ等の画像情報取得部10は、フレーム単位で監視領域を撮影し、それぞれのフレーム単位には撮影された時刻情報が対応しているので、解析領域切出部20eは、監視領域の画像情報60から、特定の時刻のフレーム画像を抽出することができる。また、ログ情報にも撮影された時刻情報が対応しているので、解析領域切出部20eは、ログ情報によって指定される指定時刻のフレーム画像を抽出することができる。
【0120】
ステップS32において、解析領域切出部20eは、ステップS22において設定された解析領域に対応する画像情報である切り出し画像情報を切り出し、解析領域情報記憶部30bに記憶する。
【0121】
次に、解析結果の表示サブルーチン(ステップS41〜ステップS43)について説明する。
【0122】
ステップS41において、出力作成部20hは、解析領域切出部20eによって切り出される切り出し画像情報を、レベル付け手段によってレベル付けされたレベル付け情報とともに表示させる表示画像情報を作成し、出力する(図5参照)。この場合に、出力作成部20hは、切り出し画像情報の一部の枠領域をレベル付け情報に対応して認識できる色にする(図5、図6参照)。
【0123】
ステップS42において、出力作成部20hは、同一の解析領域において、レベル付け手段によってレベル付けされたレベル付け情報を3次元形状化した3次元形状情報を作成し、予め定められた時間の中で、3次元形状情報を単位時間ごとに重ねた層状3次元形状情報を作成し、層状3次元形状情報を出力する(前述した図7参照)。
【0124】
さらに、出力作成部20hは、解析領域ごとに作成された層状3次元形状情報を、監視領域の画像情報の解析領域に対応する位置に配置し、監視領域の画像情報の範囲を示す範囲形状情報とともに、解析領域に対応する位置に配置された層状3次元形状情報を出力する(前述および後述する図8参照)。
【0125】
ステップS43において、図8に示された画像情報を、監視されている時間に沿って次々に表示することで、ユーザにアニメーションを見ているかのようにして、通行数の変化を把握させる。
【0126】
[表示部40の画面の表示例]
次に図6を用いて、表示部40の画面表示例の一例について説明する。
【0127】
図6では、切り出し画像情報61の周囲の枠部分61aの色を切り出し画像情報61の解析領域を通過した通行数に基づいてレベル付けされたレベルに対応する色に着色する。
【0128】
このように切り出し画像情報61の周囲の枠を着色することで、監視領域の中の実際の現場の様子と、その現場を通行した通行数のおおよそのレベルを一瞬で視認することができる。
【0129】
なお、図6(B)は、動体抽出部20fによって抽出された動体画像64を置換画像65に置き換えた画像情報で、置換画像65を含む切り出し画像情報66の場合にも、周囲の枠部分66aの色をレベル付けされたレベルに対応する色に着色する。
【0130】
図7は前述したように、出力作成部20hが、解析領域ごとに、レベル付け手段によってレベル付けされたレベル付け情報を3次元形状化した3次元形状情報を作成し、予め定められた時間の中で、3次元形状情報を単位時間ごとに重ねた層状3次元形状情報を作成し、層状3次元形状情報を出力した結果表示される画面の一例である。
【0131】
図7に示すように、切り出し画像情報67a〜切り出し画像情報67fは、解析領域60a(図5参照)において、単位時間5分の間の代表的な切り出し画像をそれぞれ一枚ずつ示し、予め定められた時間として30分間監視した結果、6枚(30分間/5分間)の代表的な切り出し画像を示している。なお、層状3次元形状情報68のぞれぞれの3次元形状情報68a〜68fはレベル付け手段によってレベル付けされたレベルに対応して色を変化させることができる。
【0132】
図7では、切り出し画像情報67a〜67fはレベル1(動体の数が1〜10の場合)であるので、切り出し画像情報67a〜67fに対応する3次元形状情報68a〜68fは赤色で着色されている。なお、3次元形状情報68a〜68fの形状および色は任意に設定されることができる。このように、3次元形状情報68a〜68fを含む層状3次元形状情報を単独で表示部40に表示させることもできる。
【0133】
図8は、本発明に係る監視領域の画像情報において解析領域ごとに層状3次元形状情報を表示する一例を示す図である。
【0134】
図8では、表示部40の画面に、監視領域の画像情報60の範囲形状情報75、すなわち監視領域の外形形状75、を表示し、監視領域の画像情報60の中の解析領域ごとに、層状3次元形状情報を表示する。すなわち、層状3次元形状情報68は図5の解析領域60aにおける層状3次元形状情報であり、層状3次元形状情報69は図5の解析領域60bにおける層状3次元形状情報であり、層状3次元形状情報70は図5の解析領域60cにおける層状3次元形状情報であり、層状3次元形状情報71は図5の解析領域60dにおける層状3次元形状情報であり、層状3次元形状情報72は図5の解析領域60eにおける層状3次元形状情報であり、層状3次元形状情報73は図5の解析領域60fにおける層状3次元形状情報であり、層状3次元形状情報74は図5の解析領域60gにおける層状3次元形状情報である。
【0135】
このように、レベル付けされた3次元形状情報を単位時間ごとに重ねた層状3次元形状情報が、解析領域ごとに表示部40で視覚化されるので、ユーザは解析領域ごとに単位時間ごとの通行量の変化を容易、かつ、瞬時に判断することができる。
【0136】
図9では、図8の表示において、カーソル76で、層状3次元形状情報68の3次元形状情報68eが指定されたことを検知部20iが検知すると、3次元形状情報68eに対応する時間帯における切り出し画像情報68e1〜68e4が表示される。
【0137】
層状3次元形状情報68は午前10時00分から、5分間隔で、30分間、監視領域の画像情報における解析領域60a(図5参照)を解析した結果を示した層状3次元形状情報である。
【0138】
3次元形状情報68aは、最初の5分間(午前10時00分から午前10時05分)の間に、解析領域60a(図5参照)を通過した通行人の数に基づくレベル付け情報に対応した色を有する3次元形状情報である。例えば、レベル1の場合には赤色である。3次元形状情報68bは、次の5分間(午前10時05分から午前10時10分)の間に、解析領域60aを通過した通行人の数に基づくレベル付け情報に対応した色を有する3次元形状情報である。3次元形状情報68cは、次の5分間(午前10時10分から午前10時15分)の間に、解析領域60aを通過した通行人の数に基づくレベル付け情報に対応した色を有する3次元形状情報である。同様に、3次元形状情報68eは、(午前10時20分から午前10時25分)の5分間に、解析領域60aを通過した通行人の数に基づくレベル付け情報に対応した色を有する3次元形状情報である。
【0139】
図9の場合には、3次元形状情報68eがカーソル76で指定されているので、午前10時20分から午前10時25分の5分間の切り出し画像情報68e1〜68e5が表示部40に表示される。図9の場合には、一分ごとに切り出し画像が表示されているが、動体が含まれる任意の画像を切り出し画像として、任意の数だけ表示することができる。
【0140】
このように、マウスなどの指定手段によって、層状3次元形状情報が指定された場合に、解析領域に対応する単位時間ごとの切り出し画像情報を表示するようにしたので、通行数を求めた際の実際の現場の様子を容易、かつ、瞬時に把握することができる。
【0141】
また、切り出し画像情報68e1〜68e5の補助情報として、カーソル76で指定された3次元形状情報68eの情報(日付、単位時間、単位時間の最初と最後の時刻、表示されている切り出し画像の枚数、解析領域を通過した通行数に基づくレベル付け情報、通行数などの情報)をテキスト情報77で表示することもできる。
【0142】
さらに、図9ではあらかじめ定められた時間として30分間の監視領域の通行数を一画面だけ表示しているが、数時間の通行数の変化を視覚的に捉えるために、最初の30分間の監視領域の通行数の様子を図9のように3次元表示した後に、次の30分間の監視領域の通行数の様子を図9のように3次元表示し、さらにその次の30分間の監視領域の通行数の様子を図9のように3次元表示し、30分間ごと通行数の様子をあらわす図9の画面を、次々に時間の経過に沿って順番に表示することによって、ユーザはアニメーションを見ているかの感覚で、通行数の変化を視覚的に容易に把握することができる。
【0143】
また、切り出し画像情報は図5等に示すように静止画であるが、単位時間の中で最も通行数が多い画像情報を切り出し画像情報とすることができる。また、単位時間の中で最初に通行する物体を捉えた画像情報を切り出し画像情報とし、単位時間の中で最後に通行する物体を捉えた画像情報を切り出し画像情報とすることもできる。
【0144】
なお、図5は、以上に説明した表示部40に表示される画面として説明されていないが、図5に表示されている画面の全体または一部を表示部40に表示するように構成することもできる。
【0145】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限るものではなく、種々の変更が可能である。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施例に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0146】
10…画像情報取得部
20…動体情報解析装置
20a…画像情報受信部
20b…動体検出部
20c…動体追跡部
20d…通行数演算部
20e…解析領域切出部
20f…動体抽出部
20g…動体置換部
20h…出力作成部
20i…検知部
30…記憶部
40…表示部
41…指定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視領域における動体の情報を解析する動体情報解析装置であって、
動体の情報を示すログ情報と、監視領域の画像情報を取得する情報取得手段と、
情報取得手段で取得された監視領域の画像情報から,少なくとも1つ以上の解析領域を決定する解析領域決定手段と、
情報取得手段によって取得されたログ情報を解析し、解析領域決定手段によって決定された解析領域にログ情報があるか否かを判定する判定手段と、
判定手段によって判定された解析領域のログ情報を単位時間ごとに演算する演算手段と、
演算手段によって演算された単位時間ごとの解析領域のログ情報から、単位時間ごとの解析領域のログ情報量をレベル付けするレベル付け手段と、
単位時間ごとに、ログ情報を有する解析領域に対応する画像情報を切り出す切出手段と、を備え、
切出手段は、解析領域を識別する解析領域情報と、単位時間ごとの解析領域ごとにレベル付けされたレベル付け情報と、レベル付けされた解析領域に対応する単位時間ごとの切り出し画像情報と、を対応付けて記憶手段に記憶することを特徴とする動体情報解析装置。
【請求項2】
請求項1に記載に動体情報解析装置において、
切出手段によって切り出される切り出し画像情報から、動体の情報を示すログ情報に対応する動体画像を抽出する動体画像抽出手段と、
動体画像抽出手段によって抽出された動体画像を置換画像に置き換える動体画像置換手段と、
を備えることを特徴とする動体情報解析装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の動体情報解析装置において、
切出手段によって切り出される切り出し画像情報、または動体画像置換手段によって動体画像が置換画像に置き換えられた切り出し画像情報を、レベル付け手段によってレベル付けされたレベル付け情報とともに表示させる表示画像情報を作成し、出力する出力作成手段と、
を備えることを特徴とする動体情報解析装置。
【請求項4】
請求項3に記載の動体情報解析装置において、
表示画像情報は、切り出し画像情報の少なくとも一部の領域がレベル付け情報に対応して認識できる画像であることを特徴とする動体情報解析装置。
【請求項5】
請求項1乃至3の何れかに記載の動体情報解析装置において、
出力作成手段は、解析領域ごとに、レベル付け手段によってレベル付けされたレベル付け情報を3次元形状化した3次元形状情報を作成し、予め定められた時間の中で、3次元形状情報を単位時間ごとに重ねた層状3次元形状情報を作成し、層状3次元形状情報を出力することを特徴とする動体情報解析装置。
【請求項6】
請求項5に記載の動体情報解析装置において、
出力作成手段は、解析領域ごとに作成された層状3次元形状情報を、監視領域の画像情報の解析領域に対応する位置に配置し、監視領域の画像情報の範囲を示す範囲形状情報とともに、解析領域に対応する位置に配置された層状3次元形状情報を出力することを特徴とする動体情報解析装置。
【請求項7】
請求項3乃至6の何れかに記載の動体情報解析装置において、
層状3次元形状情報が指定される指定手段と、
指定手段によって層状3次元形状情報のどの3次元形状情報が指定されたかを検知する検知手段と、
をさらに備え、
検知手段によって、層状3次元形状情報の3次元形状情報が指定された場合には、指定された3次元形状情報に対応する切り出し画像情報を出力することを特徴とする動体情報解析装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れかに記載の動体情報解析装置において、
切出手段によって切り出される切り出し画像情報は、単位時間の中で、少なくとも1つのログ情報を有する解析領域に対応する静止画像情報であることを特徴とする動体情報解析装置。
【請求項9】
請求項1乃至7の何れかに記載の動体情報解析装置において、
切出手段によって切り出される切り出し画像情報は、単位時間の中で、最も多くのログ情報を有する解析領域に対応する静止画像情報であることを特徴とする動体情報解析装置。
【請求項10】
請求項3乃至9の何れかに記載の動体情報解析装置と、
動体情報解析装置の出力作成手段から出力された情報を表示する表示手段と、
監視領域の画像情報を取得する画像情報取得手段と、を備え、
動体情報解析装置は、画像情報取得手段によって取得された画像情報を受信する画像情報受信手段と、画像情報取得手段によって取得された画像情報から動体を検出する動体検出手段と、動体検出手段によって検出された動体の移動経路を追跡する移動経路追跡手段と、をさらに備え、移動経路追跡手段によって追跡された動体の移動経路をログ情報として出力することを特徴とする動体情報解析システム。
【請求項11】
監視領域における動体の情報を解析する動体情報解析装置の制御方法であって、
動体の情報を示すログ情報と、監視領域の画像情報を取得する情報取得工程と、
情報取得工程において取得された監視領域の画像情報から、少なくとも1つ以上の解析領域を決定する解析領域決定工程と、
情報取得工程において取得されたログ情報を解析し、解析領域決定工程において決定された解析領域にログ情報があるか否かを判定する判定工程と、
判定工程において判定された解析領域のログ情報を単位時間ごとに演算する演算工程と、
演算工程において演算された単位時間ごとの解析領域のログ情報から、単位時間ごとの解析領域のログ情報量をレベル付けするレベル付け工程と、
単位時間ごとに、ログ情報を有する解析領域に対応する画像情報を切り出す切出工程と、を備え、
切出工程は、さらに、解析領域を識別する解析領域情報と、単位時間ごとの解析領域ごとにレベル付けされたレベル付け情報と、レベル付けされた解析領域に対応する単位時間ごとの切り出し画像情報と、を対応付けて記憶手段に記憶することを特徴とする動体情報解析装置の制御方法。
【請求項12】
監視領域における動体の情報を解析する動体情報解析装置に含まれるコンピュータを、
動体の情報を示すログ情報と、監視領域の画像情報を取得する情報取得手段、
情報取得手段で取得された監視領域の画像情報から、少なくとも1つ以上の解析領域を決定する解析領域決定手段、
情報取得手段によって取得されたログ情報を解析し、解析領域決定手段によって決定された解析領域にログ情報があるか否かを判定する判定手段、
判定手段によって判定された解析領域のログ情報を単位時間ごとに演算する演算手段、
演算手段によって演算された単位時間ごとの解析領域のログ情報から、単位時間ごとの解析領域のログ情報量をレベル付けするレベル付け手段、
単位時間ごとに、ログ情報を有する解析領域に対応する画像情報を切り出す切出手段、として機能させ、
切出手段は、解析領域を識別する解析領域情報と、単位時間ごとの解析領域ごとにレベル付けされたレベル付け情報と、レベル付けされた解析領域に対応する単位時間ごとの切り出し画像情報と、を対応付けて記憶手段に記憶する機能を発揮することを特徴とする動体情報解析装置の制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−84078(P2012−84078A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−231821(P2010−231821)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】