説明

動作制御システム、動作制御プログラム及び無線端末

【課題】鳴動音の鳴動が周囲に迷惑となる状況にあるか否かを簡単な構成で判断することができるようにする。
【解決手段】本発明の動作制御システムは、自端末に、少なくとも音鳴動機能の動作設定又は非動作設定を示す動作モードが設定されているか否かを監視し、近距離無線通信により、自端末の動作モードを示す動作モード情報を送信したり、1又は複数の他端末の動作モード情報を受信したりする。動作制御システムは、受信された1又は複数の他端末の動作モード情報に基づき、1又は複数の他端末の動作モードの設定状況を取得し、その1又は複数の他端末の動作モード設定状況に応じて、自端末が有する機能の状態遷移を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動作制御システム、動作制御プログラム及び無線端末に関するものである。例えば、本発明は、近距離無線通信機能を有する携帯端末等の無線端末に適用し得るものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、携帯電話機、PHS端末、いわゆるスマートフォン等の携帯端末は、周囲の状況に応じて、着信音やバイブレータ等をOFFに設定できる、いわゆるマナーモードを有している。
【0003】
このマナーモードは、携帯端末を使用するユーザが手操作によって設定されるのが一般的である。例えば、オフィスの会議室などマナーとして静粛が要求される空間に立ち入る前にユーザがマナーモードに設定して使用されるが、ユーザが設定し忘れ等をしてしまい、その間に着信やメール受信等があると、携帯端末は鳴動してしまい、周囲に迷惑をかけてしまうことが多くある。
【0004】
このような課題を解決する従来技術として、特許文献1及び特許文献2に記載される技術がある。
【0005】
特許文献1には、例えば、ブルートゥース(Bluetooth:登録商標)や赤外線通信機能(IrDA:Interface Data Association)等の近距離無線通信手段を備えた携帯端末装置が、自装置の周辺に存在する他の近距離無線通信手段との間で通信を行なう。そして、携帯端末装置が、自装置の周辺に存在する他の機器の数を検出し、その検出数が所定数以上の場合に、自装置をマナーモードに自動的に切り替える技術が記載されている。
【0006】
また、特許文献2には、携帯電話装置の使用禁止区域の出入口に、使用禁止区域であることを指示する無線モジュールを設置し、携帯電話装置は、無線モジュールからの指示信号に基づいて、電源をオン状態又はオフ状態にする技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−135009号公報(段落0024〜段落0034)
【特許文献2】特開2003−47042号公報(段落0007)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した特許文献1の記載技術は、自端末の周辺に存在する他の端末の「数量(台数)」のみを、マナーモード切り替えの判断材料としているため、予め設定された閾値を超えた数の機器が検出されている間、常にマナーモード切り替え制御が行なわれてしまうという問題がある。
【0009】
つまり、特許文献1の記載技術は、周辺に多数の端末(すなわち人)が存在するか否かの「人の有無」を基準として制御を行なう方式であるため、本来マナーモードが設定されるべき「場所」という概念が欠落してしまっている。
【0010】
従って、例えば大都市の交差点等では、一時的に周辺に存在する他の端末の数が多くなるために、自端末は、その間継続して、自動的にマナーモードが設定されてしまう。これは、ユーザの意図しない切り替え動作であるといえる。
【0011】
また、特許文献1の記載技術では、「機器数閾値」について、予めユーザ設定を行なうことができることが記載されているが、その「機器数閾値」の設定基準が明確でなく、又ユーザによる任意の設定によるものであるため、「機器数閾値」の設定が煩雑となってしまい実用性に欠けるという問題もある。
【0012】
さらに、特許文献2の記載技術は、「場所」を基準として、自端末の動作を切り替えるものであるが、「使用禁止区域」という特定の場所を想定しているため、その特定の場所以外での制御ができない。
【0013】
また、特許文献2の記載技術は、「使用禁止区域」の出入口に、指示信号を送信する無線モジュールを設定することが必要であるため、無線モジュールの設置コストがかかってしまう。
【0014】
そのため、鳴動音の鳴動が周囲に迷惑となる状況にあるか否かを簡単な構成で判断することができ、鳴動が周囲に迷惑となる状況にある場合には、少なくとも自端末の音出力を制限することができる動作制御システム、動作制御プログラム及び無線端末が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
かかる課題を解決するために、第1の本発明は、(1)自端末に、少なくとも音鳴動機能の動作設定又は非動作設定を示す動作モードが設定されているか否かを監視する動作モード監視手段と、(2)近距離無線通信により、自端末の動作モードを示す動作モード情報を送信したり、1又は複数の他端末の動作モード情報を受信したりする近距離無線通信手段と、(3)1又は複数の他端末の動作モード情報に基づき、1又は複数の他端末の動作モードの設定状況を取得する動作モード設定状況取得手段と、(4)1又は複数の他端末の動作モード設定状況に応じて、自端末が有する機能の状態遷移を行なう機能制御手段とを備えることを特徴とする動作制御システムである。
【0016】
第2の本発明は、コンピュータを、(1)自端末に、少なくとも音鳴動機能の動作設定又は非動作設定を示す動作モードが設定されているか否かを監視する動作モード監視手段、(2)近距離無線通信により、自端末の動作モードを示す動作モード情報を送信したり、1又は複数の他端末の動作モード情報を受信したりする近距離無線通信手段、(3)1又は複数の他端末の動作モード情報に基づき、1又は複数の他端末の動作モードの設定状況を取得する動作モード設定状況取得手段、(4)1又は複数の他端末の動作モード設定状況に応じて、自端末が有する機能の状態遷移を行なう機能制御手段として機能させることを特徴とする動作制御プログラムである。
【0017】
第3の本発明は、第1の本発明の動作制御システムを備えることを特徴とする無線端末である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、鳴動音の鳴動が周囲に迷惑となる状況にあるか否かを簡単な構成で判断することができ、鳴動が周囲に迷惑となる状況にある場合には、少なくとも自端末の音出力を制限することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施形態の携帯端末の内部構成を示す内部構成図である。
【図2】携帯端末(自端末)とその周辺に他の携帯端末との関係を説明する説明図である。
【図3】実施形態の携帯端末による動作モード通知信号の送信動作を示すフローチャートである。
【図4】実施形態の携帯端末における動作モード切り替え処理の動作を示すフローチャートである。
【図5】変形実施形態の携帯端末1における動作モード切り替え処理の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(A)実施形態
以下では、本発明の動作制御システム、動作制御プログラム及び無線端末の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0021】
(A−1)実施形態の構成
図1は、この実施形態に係る携帯端末の内部構成を示す内部構成図である。図1において、実施形態に係る携帯端末1は、操作部2、表示部3、電源部4、バイブレータ部5、アンテナ部6、近距離無線通信用アンテナ部8、近距離無線通信部9、動作モード監視部10、記憶部11、音声回路部12、マイクロホン13、スピーカ14、制御部15を有する。
【0022】
携帯端末1は、近距離無線通信機能を有する無線端末である。また、携帯端末1は、マナーモード機能、出力する音(例えば着信音、ボタン押下音等)の音量調整又は消音機能、バイブレータ機能、電源オンオフ機能等の動作モードの設定が可能なものである。携帯端末1は、近距離無線通信機能を有するものであれば、様々な端末を広く適用することができ、例えば、携帯電話機、PHS端末、スマートフォン、PDA端末、ゲーム端末、ノート型パーソナルコンピュータ等を適用することができる。
【0023】
ここで、この実施形態では、説明便宜上、動作モードの一例として、動作モードが「マナーモード」である場合を例示する。「マナーモード」とは、操作部2から制御部15を介して出力される操作音や、着信時に出力される着信音を出力しない状態にし、又表示部3のバックライトの点灯を停止させる動作モードである。また、「マナーモード」は、ユーザの任意の設定によって、バイブレータ部5の駆動可否を選択することもできる。
【0024】
操作部2は、ユーザの入力操作手段であり、ユーザ操作により入力された情報を制御部15に与えるものである。操作部2は、例えば、ダイヤルキー、ファンクションキー等を適用することができる。
【0025】
表示部3は、制御部15の制御により、各種情報の画面表示手段であり、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)や、有機エレクトロルミネッセンス(いわゆる有機EL)等からなる表示手段を適用することができる。
【0026】
なお、実施形態では、操作部2と表示部3とが異なる構成である場合を例示したが、例えばタッチディスプレイ等のように表示部と位置入力部とを組み合わせた入力手段を適用するようにしてもよい。
【0027】
電源部4は、携帯端末1の各構成要素に対して電源を供給するものである。電源部4は、例えば2次電池、太陽電池、燃料電池など様々な電源を広く適用することができる。また、電源部4は、ACアダプタを通じて電源を供給するものであってもよい。
【0028】
バイブレータ部5は、制御部15の制御により、携帯端末1の筐体を振動させるものである。
【0029】
アンテナ部6は、基地局との間で無線通信するアンテナである。アンテナ部6は、通信部7からの信号に基づく電波を送信したり、基地局からの電波を捕捉し、捕捉した信号を通信部7に与えたりするものである。
【0030】
通信部7は、制御部15の制御の下、送信する信号をアンテナ部6に与えたり、又アンテナ部6により受信された信号を制御部15に与えたりするものである。
【0031】
近距離無線通信用アンテナ部8は、近距離無線通信部9からの信号を送信したり、他の携帯端末から近距離無線通信された信号を受信したりするものである。
【0032】
近距離無線通信部9は、電波到達範囲内に存在する1又は複数の他の携帯端末の近距離無線通信部との間で近距離無線通信を行なうものである。近距離無線通信部9は、例えば、ブルートゥース(登録商標)、Zigbee(登録商標)、赤外線通信手段(IrDA)等を適用することができる。
【0033】
近距離無線通信部9は、動作モード監視部10から自端末1に設定されている動作モードの種類を示す情報を受け取り、その動作モードを含む動作モード通知信号を形成し、動作モード通知信号を、近距離無線通信用アンテナ部8を介して送信するものである。これにより、自端末1の動作モードを、自端末1の周辺に存在する他の携帯端末(すなわち、電波到達範囲内に存在する他の携帯端末)に通知することができる。
【0034】
また、近距離無線通信部9は、近距離無線通信用アンテナ部8により受信された、1又は複数の他の携帯端末の動作モード通知信号に含まれる動作モードを、動作モード監視部10に与えるものである。これにより、自端末1の周辺に存在する他の携帯端末に設定されている動作モードを取得することができる。
【0035】
動作モード監視部10は、自端末1に設定されている動作モード及び他の携帯端末に設定されている動作モードを監視するものである。
【0036】
動作モード監視部10は、常時又は所定時間間隔で、制御部15から動作モードの通知を受けて、自端末1に設定している動作モードを監視するものであり、制御部15から通知された動作モードを近距離無線通信部9に与えるものである。例えば、動作モード監視部10は、自端末1がマナーモード設定されているか又は未設定であるかの通知を制御部15から受け、マナーモード設定又は未設定の情報を近距離無線通信部9に与える。
【0037】
また、動作モード監視部10は、近距離無線通信部9から他の携帯端末に設定されている動作モードを取得し、自端末の周辺に存在する他の携帯端末の動作モードを監視するものである。動作モード監視部10は、周辺の他の携帯端末の動作モードを制御部15に通知するものである。
【0038】
音声回路部12は、マイクロホン13からの音声信号を送話したり、受話された音声信号をスピーカ14に与えたりする処理部又は装置である。
【0039】
マイクロホン13は、送話音声を集音して音声信号として音声回路部12に与えるものである。
【0040】
スピーカ14は、音声回路部12からの音声信号に基づく受話音や着信音を出力するものである。
【0041】
制御部15は、携帯端末1の全体動作を制御するものである。制御部15は、例えば、記憶部11に格納される各種処理プログラムを読み出し、各処理プログラムを実行することにより、携帯端末1の動作機能を実現するものである。
【0042】
記憶部11は、通信処理を行なうための通信処理プログラム、各種アプリケーションプログラム、電子メール等の各種データを記憶する記憶手段又は記憶装置である。記憶部11は、例えばROM、EEPROM等の記憶手段を適用することができる。記憶部11に記憶される処理プログラムは、あらかじめインストールされているものであってもよいし、ネットワークを通じてダウンロードしてインストールしたものであってもよい。
【0043】
記憶部11は、制御部15により実行される処理プログラムとして、少なくとも、動作モード設定機能部11a、動作モード通知機能部11b、動作制御機能部11cを有する。
【0044】
動作モード設定機能部11aは、携帯端末1の動作モードを設定させるためのものである。動作モードは、操作部2を通じて、ユーザ操作により設定や設定変更を行なうことができ、又後述する動作モード切り替え機能部11cによっても設定や設定変更を行なうことができる。
【0045】
動作モード通知機能部11bは、自端末1に設定されている動作モードを、動作モード監視部10に通知させるものである。
【0046】
動作制御機能部11cは、動作モード監視部10から他の携帯端末の動作モードに基づいて、自端末の周辺に存在する他の携帯端末に設定されている動作モードの設定状況を取得するものである。
【0047】
また、動作制御機能部11cは、自端末の周辺に存在する他の携帯端末の設定状況に応じて、自端末が有する機能の状態遷移を行なうものである。
【0048】
例えば、動作制御機能部11cは、後述するようにマナーモード設定を行なっている他の携帯端末が多く存在する場合には、自端末の動作モードをマナーモードに設定したり、逆に通常モード設定(マナーモード非設定)の他の携帯端末が多く存在する場合には、自端末を通常モードに設定したりする。
【0049】
また、動作制御機能部11cは、マナーモード設定/非設定を行なうことに限定されるものではなく、着信音の消音設定をしたり、音量を下げる設定をしたり、通話や電子メール等のネットワーク通信機能を停止したりする等してもよい。
【0050】
(A−2)実施形態の動作
次に、実施形態に係る携帯端末1の動作モード切り替え処理の動作を、図面を参照しながら説明する。
【0051】
図2は、携帯端末(自端末)1とその周辺に他の携帯端末50−1〜50−4との関係を説明する説明図である。なお、図2において、周辺の他の携帯端末50−1〜50−4はいずれも、携帯端末1と同等の機能を備えるものとする。図2に示すように、携帯端末1は、常時又は所定時間間隔で、近距離無線通信により、自己に設定されている動作モードを含む動作モード通知信号を相互に授受する。
【0052】
図3は、携帯端末1において動作モード通知信号の送信動作を示すフローチャートである。
【0053】
まず、携帯端末1において、電源がONであるか否かの判断がなされる(S21)。そして、電源ONでない場合、スタートに戻り、処理はなされない。一方、電源ONの場合、電源部4から電源が各構成要素に供給される。このとき、携帯端末1は通信待機状態になっている。
【0054】
電源ONの場合、動作モード監視部10は、常時又は所定時間間隔毎に、制御部15に対して、自端末1に設定されている動作モードの問い合わせを行ない、マナーモードが設定されているか否かを監視する。
【0055】
動作モード監視部10からの問い合わせに対して、制御部15はマナーモード設定又は非設定の情報を動作モード監視部10に通知する(S22)。
【0056】
マナーモード設定又は非設定の情報は動作モード監視部10から近距離無線通信部9に与えられ、近距離無線通信部9が、マナーモード設定又は非設定の情報を含む動作モード通知信号を生成し、動作モード通信信号が、近距離無線通信用アンテナ部8から送出される(S23)。
【0057】
このとき、動作モード通知信号は、電源が入っている間、常時又は所定時間間隔で、近距離無線通信用アンテナ部8から送出され続ける。
【0058】
携帯端末1、及び図2に示す周辺の他の携帯端末50−1〜50−4は、上記のようにして、常時又は所定時間間隔で、各自端末の動作モード通知信号の送出を行なう。
【0059】
一方、携帯端末1において、近距離無線通信用アンテナ部8が、周辺に存在する他の携帯端末50−1〜50−4からの動作モード通知信号を受信すると、近距離無線通信部9は、他の携帯端末50−1〜50−4から受信した動作モードを動作モード監視部10に与える。
【0060】
動作モード監視部10は、取得した各携帯端末50−1〜50−4の動作モードを制御部15に与える。
【0061】
このとき、動作モード監視部10は、受信した動作モード通知信号の検出数を記憶部11に記憶する。例えば、電源ON時に、動作モード通知信号の検出数を「0」に初期化し、その後に受信した動作モード通知信号を受信するたびに、カウンタ値を1ずつ増加させることで実現できる。
【0062】
また、同じ送信元からの動作モード通知信号が重複なく、リアルタイムの検出数を記憶するために、例えば、動作モード通知信号に含まれる送信元識別情報に基づいて送信元を識別して、同じ送信元からの信号については検出数にカウントせず、異なる送信元からの信号を検出したときには新規にカウントするようにしてもよい。
【0063】
制御部15は、周辺に存在する他の携帯端末50−1〜50−4の動作モードに基づいて、自端末1の動作モードの切り替え処理を行なう。
【0064】
図4は、携帯端末1における動作モード切り替え処理の動作を示すフローチャートである。
【0065】
図4において、電源がONであるか否かを判断し、電源がONでない場合は処理が行なわれず、スタートに戻る。一方、電源がONの場合は、処理をS2に進む(S1)。
【0066】
電源ONの場合、マナーモードの設定状態が判断される(S2)。自端末1にマナーモード設定がなされている場合、処理をS3に移行する。S3では、図3で例示したように、制御部15がマナーモード設定を示す情報を動作モード監視部10に与え、マナーモード設定の情報を含む動作モード通知信号が送出される(S3)。
【0067】
一方、マナーモード非設定の場合、処理はS4に移行する。制御部15は、周辺の他の携帯端末50−1〜50−4の動作モードを動作モード監視部10から取得する(S4)。
【0068】
このとき、制御部15は、動作モードの状態、すなわちマナーモード設定状態を記憶部11に記憶する。制御部15は、マナーモード設定数、通常モード設定数(例えばマナーモード非設定数)を記憶部11に記憶する。
【0069】
また、マナーモード非設定の場合も、制御部15は、マナーモード非設定を示す情報を動作モード監視部10に与え、マナーモード非設定の情報含む動作通知信号が送出される(S4)。
【0070】
制御部15は、記憶部11に記憶される動作モード通知信号の検出数に基づいて、動作モード通知信号の検出数が変化したか否かを判断する(S5)。ここで、動作モード通知信号の検出数の確認は、動作モード監視部10から動作モードを取得するたびに行なう。
【0071】
動作モード通知信号の検出数が変化した場合、制御部15は、動作モード通知信号の検出数におけるマナーモード設定数の割合の判断を行なう(S6)。
【0072】
ここで、動作モード通知信号の検出数が変化した場合とは、検出数が増加した場合でもよいし、減少した場合でもよい。また、動作モード通知信号の検出数全体におけるマナーモード設定数の割合の判断は、特に限定されるものではなく、適宜設定することができる。例えば、マナーモード設定数が、動作モード通知信号の検出数のうち、2/3以上である、60%以上である等の判断を行なう。
【0073】
マナーモード設定数の割合が所定数未満である場合、制御部15は処理をS4に移行する。これにより、他の携帯端末50−1〜50−4の動作モードが取得されるたびに、処理を繰り返し行なうことができる。
【0074】
一方、マナーモード設定数の割合が所定数以上である場合、制御部15は、マナーモードの設定を行なう(S7)。
【0075】
なお、この実施形態では、動作モードがマナーモードである場合を例示するので、制御部15は、マナーモード設定を行なうものとするが、少なくとも音出力を停止することができれば、マナーモード設定以外の動作モードを変更するようにしてもよい。
【0076】
例えば、制御部15は、着信音の鳴動のみを消音するように変更したり、通信部7への電源供給を停止するように電源部4に対して指示したりしてもよい。このような場合でも、動作モード監視部10及び近距離無線通信部9の動作は正常に動作するので、自端末1の動作モードを他の携帯端末50−1〜50−4に与えることができる。
【0077】
制御部15がマナーモード設定を行なうと、制御部15は、動作モード監視部10に対して、マナーモード設定である旨を示す情報を与える(S8)。これにより、マナーモード設定の情報が、動作モード監視部10を介して、近距離無線通信部9に与えられるので、自端末1がマナーモード設定である旨を含む動作モード通知信号が送出される。すなわち、マナーモードが設定された旨を他の携帯端末50−1〜50−4に通知することができる。
【0078】
また、制御部15は、動作モード監視部10から、周辺の他の携帯端末50−1〜50−4の動作モードを取得すると(S8)、制御部15は、動作モード通知信号の検出数における通常モード設定数の割合を求める(S9)。
【0079】
そして、通常モード設定数の割合が所定数未満の場合、制御部15は処理をS4に戻し、通常モード設定数の割合が所定数以上の場合、制御部15は、自端末1を通常モードに設定変更し、処理をS4に戻す(S10)。
【0080】
通常モード設定数の割合の判断も、マナーモード設定数の割合の判断と同様に、種々の方法を広く適用することができる。
【0081】
ここで、通常動作モード設定数の割合の判断を行なうのは、一時的に周辺に存在する他の携帯端末の数が多くなったり、少なくなったりすることがある。その場合、一時的にマナーモードに設定している他の携帯端末の数の増加した場合でも、再度、他の携帯端末に設定されている動作モードを確認して、通常モードに設定しているものが多く認識できる場合には、自端末1を通常モードに戻すためである。
【0082】
(A−3)実施形態の効果
以上のように、実施形態によれば、携帯端末に設けられた近距離無線通信用アンテナ部及び近距離無線通信部により、周辺の他の携帯端末の数を把握することが出来ると共に、動作モード監視部によって周辺の他の無線端末の中でマナーモードが設定されている携帯端末の数も把握することが出来る。そして、周辺でマナーモードが設定されている他の携帯端末の数の割合を把握し、その結果に応じて、自端末のマナーモードの設定又は非設定を自動的に行なうことができる。
【0083】
また、実施形態によれば、周辺の携帯端末の数だけでなく、周辺の携帯端末のマナーモード設定状態を把握できるため、「人の有無」と「場所」の両方を考慮し、自端末をマナーモード設定に自動的に移行制御を行うことができる。
【0084】
さらに、実施形態によれば、携帯端末間の通信のみで制御することが可能なので、従来のように、大規模な装置を設置したり、閾値設定をユーザに任せたりするという煩雑な操作が不要となる。
【0085】
(B)他の実施形態
上述した実施形態においても種々の変形実施形態を説明したが、本発明は次のような変形実施形態を適用するようにしてもよい。
【0086】
(B−1)上述した実施形態では、近距離無線通信により、周辺に存在する他の携帯端末との間で相互通信を行なう場合を例示した。しかし、周辺の他の携帯端末との間で相互通信することができるものであれば、近距離無線通信に限定されるものではない。
【0087】
(B−2)上述した実施形態では、主にマナーモードの設定移行の動作を例示したが、マナーモードに限定されるものではなく、相互通信によって取得した他の携帯端末の動作モード情報に基づいて、自端末が有する一部機能(例えば、操作部を用いた入力機能、通話機能、通信機能、電子メール機能等)の動作を抑制、停止させるなどの応用も可能である。
【0088】
(B−3)上述した実施形態では、相互通信によって取得した情報を、例えばLCDなどの表示部に出力させるようにしてもよい。
【0089】
例えば、相互通信により、周辺の他の携帯端末のマナーモード設定数の割合が所定数以上の場合、すなわち、周辺の他の携帯端末のマナーモード設定状況を取得すると、表示部に「現在マナーモード推奨エリアです」などの文章を表示させるようにしてもよい。これにより、マナーモード設定をユーザに促すことができる。
【0090】
また、表示部への上記表示画面と共に、制御部が、バイブレータ部を駆動させるようにしてもよい。これにより、マナーモード設定の促進を更に図ることができる。
【0091】
(B−4)上述した実施形態で説明した、図4に示した動作モードの切り替え方法は、一例であり、図4に示すフローチャートに限定されるものではない。
【0092】
例えば、図4のS6では、動作モード通知信号の検出数におけるマナーモード設定数の割合に基づいて、制御部が、マナーモード設定に切り替える場合を例示した。
【0093】
しかし、上記に代えて、動作モード通知信号の検出数における通常モード設定数の割合が所定数未満のときに、制御部が、マナーモード設定に切り替えるようにしてもよい。すなわち、この場合も、マナーモード非設定の数の割合が少ない場合に、自端末をマナーモードに設定することができるので、実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0094】
同様に、図4のS9において、通常モードの設定数に代えて、マナーモードン設定数が所定数未満のときに通常モードに変更するようにしてもよい。
【0095】
(B−5)図4に例示した動作モードの切り替え処理の変形実施形態として、図4に代えて、携帯端末1は、図5に例示する動作モード切り替え処理を行なうようにしてもよい。
【0096】
図5は、携帯端末1における動作モード切り替え処理の変形実施形態を示すフローチャートである。図5において、S1〜S7は、図4に示すフローチャートと同等の処理である。
【0097】
図5において、S7において、制御部15が自端末1をマナーモードに設定し、制御部15は、マナーモード設定の情報を動作モード監視部10に与える。これにより、マナーモード設定の情報を含む動作モード通知信号が送出される(S11)。
【0098】
その後、制御部15は、例えば時計機能を利用して、所定時間経過したか否かを判断する(S12)。制御部15は、所定時間経過するまでマナーモード設定を維持する。そして、所定時間経過すると、制御部15は、処理をS4に戻し、他の携帯端末1からの動作モードに基づき、マナーモード設定数の割合に応じた動作モードの切り替え処理を行なう(S12)。
【0099】
一度マナーモードが設定された後、動作モードを通常モードに切り替えたりマナーモードに切り替えたりという不用意な切り替えを回避するために、制御部15は所定時間経過するまで、マナーモード設定を維持するようにしてもよい。例えば、所定時間としては、30分間、1時間等のように任意に設定することができる。なお、この所定時間の間も、携帯端末1は、近距離無線通信により、自端末の動作モードを含む動作モード通知信号を送出し続ける。
【0100】
これにより、例えば、電車内、映画館内等のように、マナーモード設定が望まれる場合に不用意に動作モードが切り替わることを回避しながら、周辺の他の携帯端末に、マナーモード設定を促すべく、動作モード通知信号の送出ができる。
【符号の説明】
【0101】
1…携帯端末、2…操作部、3…表示部、4…電源部、
5…バイブレータ部、6…アンテナ部、7…通信部、
8…近距離無線通信用アンテナ部、9…近距離無線通信部、
10…動作モード監視部、11…記憶部、11a…動作モード設定機能部、
11b…動作モード通知機能部、11c…動作制御機能部、
12…音声回路部、13…マイクロホン、14…スピーカ、15…制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自端末に、少なくとも音鳴動機能の動作設定又は非動作設定を示す動作モードが設定されているか否かを監視する動作モード監視手段と、
近距離無線通信により、自端末の上記動作モードを示す動作モード情報を送信したり、1又は複数の他端末の上記動作モード情報を受信したりする近距離無線通信手段と、
上記1又は複数の他端末の上記動作モード情報に基づき、上記1又は複数の他端末の上記動作モードの設定状況を取得する動作モード設定状況取得手段と、
上記1又は複数の他端末の動作モード設定状況に応じて、自端末が有する機能の状態遷移を行なう機能制御手段と
を備えることを特徴とする動作制御システム。
【請求項2】
上記動作モード設定状況取得手段が、上記各他端末から受信した上記動作モード情報の検出数のうち、上記音鳴動機能の非動作設定をしているものの占める割合を取得するものであり、
上記機能制御手段は、上記音鳴動機能の非動作設定の占める割合が所定以上の場合に、少なくとも上記音鳴動機能を停止させる
ことを特徴とする請求項1に記載の動作制御システム。
【請求項3】
上記動作モード設定状況取得手段が、上記各他端末から受信した上記動作モード情報の検出数のうち、上記音鳴動機能の非動作設定をしているものの占める割合を取得するものであり、
上記機能制御手段が、上記音鳴動機能の非動作設定の占める割合が所定以上の場合に、少なくとも上記音鳴動機能の非鳴動を促す出力動作を実行させる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の動作制御システム。
【請求項4】
コンピュータを、
自端末に、少なくとも音鳴動機能の動作設定又は非動作設定を示す動作モードが設定されているか否かを監視する動作モード監視手段、
近距離無線通信により、自端末の上記動作モードを示す動作モード情報を送信したり、1又は複数の他端末の上記動作モード情報を受信したりする近距離無線通信手段、
上記1又は複数の他端末の上記動作モード情報に基づき、上記1又は複数の他端末の上記動作モードの設定状況を取得する動作モード設定状況取得手段、
上記1又は複数の他端末の動作モード設定状況に応じて、自端末が有する機能の状態遷移を行なう機能制御手段
として機能させることを特徴とする動作制御プログラム。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載の動作制御システムを備えることを特徴とする無線端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−38463(P2013−38463A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170385(P2011−170385)
【出願日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】