説明

動作制御装置、錠前ユニットおよび錠前システム

【課題】旧情報記憶カードに代わる新情報記憶カードを登録する際に当該新情報記憶カードと対応付けるべき複数の動作制御装置のうちの一部の動作制御装置について当該新情報記憶カードとの対応付けをしなかった場合でも、旧情報記憶カードの使用により被制御装置の動作が許可されることを抑制し、被制御装置の管理の確実性を向上させる。
【解決手段】過去に登録されたICカード15(旧ICカード)が錠前ユニットに対して使用されたときには、当該錠前ユニットによりICカード15に動作不許可情報19を書き込む。ICカード15に動作不許可情報19が書き込まれた後は、当該ICカード15が錠前システムのいずれの錠前ユニットに対して使用されても、錠前装置の施解錠動作は許可されない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICカードまたは磁気カード等の情報記憶カードに基づいて被制御装置の動作を制御する動作制御装置、このような動作制御装置を適用した錠前ユニット、およびこのような錠前ユニットを複数備えた錠前システムに関する。
【背景技術】
【0002】
識別情報が記憶されたICカードまたは磁気カード等の情報記憶カードを鍵として利用し、情報記憶カードから読み取った識別情報が正しい識別情報である場合に錠前装置の施解錠動作を許可する技術は知られている(特許文献1参照)。この技術は、例えば、情報記憶カードに記憶された識別情報を情報記憶カードから読み取るカードリーダライタと、カードリーダライタにより情報記憶カードから読み取られた識別情報が正しい識別情報であるか否かを判断し、情報記憶カードから読み取られた識別情報が正しい識別情報である場合に錠前装置の施解錠動作を許可するCPU(コントロールプロセッシングユニット)と、デッドボルトおよびデッドボルトの移動を制御する機構を有する電気錠等の錠前装置とを備えた錠前ユニットによって具現化することができ、このような構成を備えた錠前ユニットは、例えばホテル、オフィスビル、住宅等の建造物等に広く利用されている。
【0003】
例えば、ホテルの各部屋に錠前ユニットを適用した場合、通常、部屋ごとに居住者または利用者が相互に異なるので、情報記憶カードと錠前ユニットとが一対一に対応付けられている。すなわち、特定の1枚の情報記憶カードに記憶された識別情報を正しい識別情報と判断することができる錠前ユニットは1つに特定されており、これにより、当該特定の1枚の情報記憶カードの使用によってのみ当該特定の1つの錠前ユニットを施解錠させることができ、当該特定の1つの錠前ユニットが取り付けられた特定の1つの扉を開扉不能(施錠時)にし、あるいは開扉可能(解錠時)にすることができる。
【0004】
一方、例えば、個人や複数人からなるグループが複数の部屋を共同して利用する場合や、管理人がホテルの各部屋を一括して管理する場合があり、このような場合には、特定の1枚の情報記憶カードを特定の複数の錠前ユニットと対応付けることができる。この場合には、特定の1枚の情報記憶カードに記憶された識別情報を正しい識別情報と判断することができる錠前ユニットが複数特定されており、これにより、当該特定の1枚の情報記憶カードの使用により、当該特定の複数の錠前ユニットのいずれも施解錠させることができる。したがって、当該特定の1枚の情報記憶カードの使用により、当該特定の複数の錠前ユニットがそれぞれ取り付けられた特定の複数の扉のうちの任意の扉を開扉不能にし、あるいは開扉可能にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−92434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、管理人が、1枚の情報記憶カードを用意し、当該情報記憶カードに記憶された識別情報を正しい識別情報と判断することができる複数の錠前ユニットを特定し、当該情報記憶カードと当該複数の錠前ユニットとを対応付けて当該情報記憶カードの登録を行い、当該情報記憶カードを利用者に手渡したところ、この利用者が当該情報記憶カードを喪失してしまったとする。
【0007】
そこで、管理人は、利用者が喪失してしまった情報記憶カード(以下、これを「旧情報記憶カード」という。)に代わる新しい情報記憶カード(以下、これを「新情報記憶カード」という。)を用意し、旧情報記憶カードと対応付けた複数の錠前ユニットと同一の錠前ユニットと当該新情報記憶カードとを対応付けて当該新情報記憶カードの登録を行ったとする。これにより、上記特定の複数の錠前ユニットのすべてが当該新情報記憶カードに記憶された識別情報を正しい識別情報と判断することができるようになる。この結果、当該新情報記憶カードの使用によって当該複数の錠前ユニットのいずれをも施解錠動作させることができるようになると共に、旧情報記憶カードの使用によっては当該複数の錠前ユニットのいずれをも施解錠動作させることができなくなる。
【0008】
しかしながら、管理人が、旧情報記憶カードに代わる新情報記憶カードを上記特定の複数の錠前ユニットのすべてではなく、その一部の錠前ユニットのみに対応付けて当該新情報記憶カードの登録を行ったとする。この場合、旧情報記憶カードの拾得者または窃取者は、旧情報記憶カードを使用することにより、新情報記憶カードの登録の際に当該新情報記憶カードと対応付けられなかった錠前ユニットを施解錠動作させることができてしまう。このような事態は、例えば、管理人が新情報記憶カードと錠前ユニットとを対応づける作業をし忘れた場合や、新情報記憶カードと対応付けるべき錠前ユニットの個数が多く、管理人が新情報記憶カードをすべての錠前ユニットと対応付ける作業を行うのに時間がかかる場合などに起こり得る。このような事態が起こり得る危険を放置していたのでは、錠前ユニットが利用される建造物等のセキュリティを十分に確保することができないという問題がある。
【0009】
この点、複数の錠前ユニットのそれぞれに、他の錠前ユニットとの間で情報通信を行う機能を持たせることにより、情報記憶カードをすべての錠前ユニットに一遍に対応付けて登録を行うことが可能となる。例えば、各錠前ユニットにこのような通信機能を持たせた場合には、管理人が1つの錠前ユニットに対して新情報記憶カードを登録する操作をしさえすれば、新情報記憶カードと各錠前ユニットとを対応付けるのに必要な情報が、新情報記憶カードと各錠前ユニットとの間で送受信され、すべての錠前ユニットにおいて当該新情報記憶カードとの対応付けが瞬時に完了するといった構成を実現することができる。このような場合、旧情報記憶カードの拾得者または窃取者には、旧情報記憶カードの使用によりいずれかの錠前ユニットを解錠させる機会は与えられない。しかし、このような通信機能を各錠前ユニットに持たせることは多大なコストがかかるという問題がある。
【0010】
以上のような問題は、建造物等の複数の部屋にそれぞれ設けられた錠前ユニットの管理を行う場合に限らず、建造物等のエントランスに情報記憶カードによって動作する自動ドアが設けられ、この自動ドアの管理を、複数の部屋の錠前ユニットの管理といっしょに行う場合や、建造物等に情報記憶カードによって動作するエレベータが設けられ、このエレベータの管理を、複数の部屋の錠前ユニットの管理といっしょに行う場合等にも起こり得る。
【0011】
本発明は例えば上述したような問題に鑑みなされたものであり、本発明の課題は、旧情報記憶カードに代わる新情報記憶カードを登録する際に当該新情報記憶カードと対応付けるべき複数の動作制御装置のうちの一部の動作制御装置について当該新情報記憶カードとの対応付けをしなかった場合でも、旧情報記憶カードの使用により被制御装置の動作が許可されることを抑制することができ、被制御装置の管理の確実性を向上させることができる動作制御装置、錠前ユニットおよび錠前システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の第1の動作制御装置は、情報記憶カードに基づいて被制御装置の動作を制御する動作制御装置であって、前記情報記憶カードとの間で情報通信を行う通信手段と、前記情報記憶カードに記憶された識別情報を当該情報記憶カードから前記通信手段により読み取り、当該識別情報に基づいて当該情報記憶カードが現在登録されている情報記憶カードおよび過去に登録されていた情報記憶カードのいずれであるかを判断する判断手段と、前記判断手段の判断の結果、当該情報記憶カードが現在登録されている情報記憶カードであるときには前記被制御装置の動作を許可し、当該情報記憶カードが過去に登録されていた情報記憶カードであるときには前記被制御装置の動作を許可しないと共に前記通信手段により当該情報記憶カードに動作不許可情報を書き込む制御手段とを備えていることを特徴とする。
【0013】
本発明の第1の動作制御装置によれば、使用された情報記憶カードが過去に登録されていた情報記憶カード(旧情報記憶カード)であるときには、当該情報記憶カードに動作不許可情報が書き込まれる。動作不許可情報が書き込まれた情報記憶カードが使用されたときに被制御装置の動作を許可しないようにする機能を動作制御装置に設けることにより、旧情報記憶カードに代わる新情報記憶カードを登録する際に当該新情報記憶カードと対応付けるべき複数の動作制御装置のうちの一部の動作制御装置について新情報記憶カードとの対応付けをしなかった場合でも、新情報記憶カードとの対応付けがされた動作制御装置に対して旧情報記憶カードが使用された後は、当該旧情報記憶カードが上記複数の動作制御装置のいずれに使用された場合でも、被制御装置の動作が許可されることを防止することができる。
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の第2の動作制御装置は、上述した本発明の第1の動作制御装置において、前記判断手段は、前記情報記憶カードに前記動作不許可情報が書き込まれているか否かを判断し、前記制御手段は、前記判断手段の判断の結果、前記情報記憶カードに前記動作不許可情報が書き込まれているときには前記被制御装置の動作を許可しないことを特徴とする。
【0015】
本発明の第2の動作制御装置によれば、動作不許可情報が書き込まれた情報記憶カードの使用によって被制御装置が動作することを防止することができる。
【0016】
上記課題を解決するために、本発明の第3の動作制御装置は、上述した本発明の第1または第2の動作制御装置において、記憶手段を備え、前記識別情報には、前記情報記憶カードを当該動作制御装置に登録した日時を示す登録日時情報が含まれ、前記記憶手段には、最後に登録された前記情報記憶カードの登録日時を示す登録日時情報が記憶され、前記判断手段は、前記情報記憶カードから前記通信手段により読み取った前記識別情報に含まれる登録日時情報が示す日時と前記記憶手段に記憶された登録日時情報が示す日時とを比較し、前記識別情報に含まれる登録日時情報が示す日時が前記記憶手段に記憶された登録日時情報が示す日時と一致したときには、当該情報記憶カードが現在登録されている情報記憶カードであると判断し、前記識別情報に含まれる登録日時情報が示す日時が前記記憶手段に記憶された登録日時情報が示す日時よりも前であるときには、当該情報記憶カードが過去に登録されていた情報記憶カードであると判断することを特徴とする。
【0017】
本発明の第3の動作制御装置によれば、使用された情報記憶カードが過去に登録されていた情報記憶カード、すなわち旧情報記憶カードであるか否かを容易かつ確実に判断することができる。
【0018】
上記課題を解決するために、本発明の第4の動作制御装置は、上述した本発明の第1または第2の動作制御装置において、記憶手段を備え、前記識別情報には、前記情報記憶カードに付加され、当該情報記憶カードが同一の動作制御装置に対応付けられて登録されるたびに増加(または減少)する付加番号が含まれ、前記記憶手段には、最後に登録された前記情報記憶カードに付加された付加番号が記憶され、前記判断手段は、前記情報記憶カードから前記通信手段により読み取った前記識別情報に含まれる付加番号と前記記憶手段に記憶された付加番号とを比較し、前記識別情報に含まれる付加番号が前記記憶手段に記憶された付加番号と一致したときには、当該情報記憶カードが現在登録されている情報記憶カードであると判断し、前記識別情報に含まれる付加番号が前記記憶手段に記憶された付加番号よりも小さい(または大きい)ときには、当該情報記憶カードが過去に登録されていた情報記憶カードであると判断することを特徴とする。
【0019】
本発明の第4の動作制御装置では、付加番号が、情報記憶カードに付加され、当該情報記憶カードが同一の動作制御装置に対応付けられて登録されるたびに増加する番号である場合、判断手段は、情報記憶カードから読み取った識別情報に含まれる付加番号が記憶手段に記憶された付加番号よりも小さいときに、当該情報記憶カードが過去に登録されていた情報記憶カードであると判断する。あるいは、付加番号が、情報記憶カードに付加され、当該情報記憶カードが同一の動作制御装置に対応付けられて登録されるたびに減少する番号である場合、判断手段は、情報記憶カードから読み取った識別情報に含まれる付加番号が記憶手段に記憶された付加番号よりも大きいときに、当該情報記憶カードが過去に登録されていた情報記憶カードであると判断する。このように、本発明の第4の動作制御装置によれば、使用された情報記憶カードが過去に登録されていた情報記憶カード、すなわち旧情報記憶カードであるか否かを容易かつ確実に判断することができる。
【0020】
上記課題を解決するために、本発明の錠前ユニットは、扉または扉の近傍に設けられる錠前装置と、上述した本発明の第1ないし第4のいずれかの動作制御装置を包含し、前記被制御装置としての前記錠前装置の施解錠動作を制御することにより、施錠時には前記扉を開扉不能にし、解錠時には前記扉を開扉可能にする錠前制御装置とを備えていることを特徴とする。
【0021】
本発明の錠前ユニットによれば、旧情報記憶カードに代わる新情報記憶カードを登録した後は、旧情報記憶カードに動作不許可情報を書き込むことにより、当該旧情報記憶カードの使用によって錠前装置の施解錠動作が許可されることを防止することができ、セキュリティを向上させることができる。
【0022】
上記課題を解決するために、本発明の錠前システムは、上述した本発明の錠前ユニットを複数備え、前記各錠前ユニットは、他の前記錠前ユニットとの間において情報通信を行う手段を備えていないことを特徴とする。
【0023】
本発明の錠前システムによれば、旧情報記憶カードに代わる新情報記憶カードを登録する際に、当該新情報記憶カードと一部の錠前ユニットとの対応付けをしなかった場合でも、新情報記憶カードと対応付けされた錠前ユニットに対して旧情報記憶カードが使用された後は、当該旧情報記憶カードの使用により、錠前システムが有するすべての錠前ユニットにおいて錠前装置の施解錠動作が許可されることを防止することができる。したがって、錠前システムが有する各錠前ユニットが他の錠前ユニットと情報通信を行う手段を備えていないために、情報記憶カードの登録の際に、錠前システムが有するすべての錠前ユニットに対して情報記憶カードとの対応付けを一遍に行うことができない場合であっても、錠前システムのセキュリティ性を向上させることができる。すなわち、各錠前ユニットに他の錠前ユニットと情報通信を行う手段を追加しなくても、錠前システムのセキュリティ性を向上させることができるので、コストを掛けずにセキュリティ性の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、旧情報記憶カードに代わる新情報記憶カードを登録する際に当該新情報記憶カードと対応付けるべき複数の動作制御装置のうちの一部の動作制御装置について当該新情報記憶カードとの対応付けをしなかった場合でも、旧情報記憶カードの使用により被制御装置の動作が許可されることを抑制することができ、被制御装置の管理の確実性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施形態による錠前システムを示す説明図である。
【図2】本発明の第1の実施形態による錠前ユニットの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態におけるICカードの構造を示す説明図である。
【図4】本発明の第1の実施形態による錠前システムの錠前ユニットにおける錠前制御装置が錠前装置の施解錠動作を制御する動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施形態において動作不許可情報が書き込まれたICカードを示す説明図である。
【図6】本発明の第2の実施形態による錠前システムにおけるICカードの登録方法を示す説明図である。
【図7】本発明の第2の実施形態による錠前システムの錠前ユニットにおける錠前制御装置が錠前装置の施解錠動作を制御する動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について添付図面に従って説明する。
【0027】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態による錠前システムを例えばホテルの建造物における部屋の扉および当該建造物のエントランスの自動ドアに適用した場合を示している。図2は、錠前システムにおける錠前ユニットの構成を示している。
【0028】
図1において、本発明の第1の実施形態による錠前システム1は、複数の錠前ユニット2、3、4を備えている。錠前ユニット2は例えばホテルの建造物における第1の部屋の扉5に取り付けられ、錠前ユニット3は当該建造物における第2の部屋の扉6に取り付けられ、錠前ユニット4は当該建造物のエントランスに設けられた自動ドア7の近傍に取り付けられている。
【0029】
図2に示すように、錠前ユニット2は、錠前装置21と、錠前装置21の施解錠動作を制御する錠前制御装置22とを備えている。錠前装置21および錠前制御装置22は、図1に示すように、筐体23に収容されて扉5に取り付けられている。
【0030】
錠前装置21は、電気錠であり、デッドボルトと、デッドボルトを移動させる移動機構を備えている。施錠動作時において、錠前装置21は、錠前制御装置22から出力される制御信号に従って、デッドボルトを扉5または筐体23から突出するように移動させ、扉5を開扉不能にする。また、解錠動作時において、錠前装置21は、錠前制御装置22から出力される制御信号に従って、扉5または筐体23から突出したデッドボルトを扉5内または筐体23内に引き込むように移動させ、扉5を開扉可能にする。
【0031】
錠前制御装置22は、ICカードに基づいて錠前装置21の施解錠動作を制御する装置である。錠前制御装置22は、ICカードとの間で情報通信を行う通信手段としてのカードリーダライタ31、記憶手段としてのメモリ32、および判断手段および制御手段としてのCPU33を備えている。
【0032】
カードリーダライタ31は、ICカードとの間で無線通信を行う装置である。ICカードは、例えば非接触ICカードであり、その内部に、記憶部を内蔵したICチップ、アンテナ等を備えている。ICカードをカードリーダライタ31に接近させると、ICカードは、カードリーダライタ31から発せられる電磁波を受け、電磁誘導により電力を得る。これにより、ICカードとカードリーダライタ31との間が通信可能な状態となる。ICカードとカードリーダライタ31との間が通信可能な状態となったとき、カードリーダライタ31は、当該ICカードの記憶部に記憶された情報を読み取ることができ、また、ICカードの記憶部に情報を書き込む(情報をICカードに送信し、当該情報をICカードの記憶部に記憶させる)ことができる。
【0033】
メモリ32は例えば書換可能な不揮発性の半導体記憶素子である。メモリ32として例えばフラッシュメモリ等を用いることができる。
【0034】
CPU33は、カードリーダライタ31によるICカードからの情報の読取動作、カードリーダライタ31によるICカードへの情報の書込動作、メモリからの情報の読取動作、メモリへの情報の書込動作、錠前装置の施解錠動作等を制御するほか、演算処理、情報の比較処理、判断処理等を行う演算処理装置である。
【0035】
一方、錠前ユニット3は、錠前ユニット2と同様の構成を有し、施錠動作時には、錠前制御装置22から出力される制御信号に従って扉6を開扉不能にし、解錠動作時には、錠前制御装置22から出力される制御信号に従って扉6を開扉可能にする。錠前ユニット4は、錠前装置21が電気錠ではなく自動ドア開閉装置である点を除き、錠前ユニット2とほぼ同様の構成を有し、施錠動作時には、錠前制御装置22から出力される制御信号に従って自動ドア7を開扉不能にし、解錠動作時には、錠前制御装置22から出力される制御信号に従って自動ドア7を開扉可能にする。
【0036】
なお、錠前ユニット2、3、4はそれぞれいわゆるスタンドアローン型である。すなわち、錠前ユニット2は、錠前ユニット3、4と情報の通信を行う手段を備えておらず、錠前ユニット3は、錠前ユニット2、4と情報の通信を行う手段を備えておらず、錠前ユニット4は、錠前ユニット2、3と情報の通信を行う手段を備えていない。また、錠前システム1は、錠前ユニット2、3、4に情報を配信するサーバコンピュータも備えていない。
【0037】
図3(1)は記憶部に識別情報が記憶されたICカードの構造を示している。図3(1)に示すように、錠前システム1に使用されるICカード11の記憶部11Aには識別情報12が記憶されている。また、この識別情報12と同一の識別情報が、当該ICカード11の使用により錠前装置21を施解錠動作させることが許可された特定の錠前ユニットにおける錠前制御装置22のメモリ32に記憶されている。以下、特定のICカードの使用により錠前装置21等を施解錠動作させることが許可された特定の錠前ユニットを、当該特定のICカードに対応付けられた錠前ユニットという。
【0038】
ここで、錠前システム1においてICカード11を使用するためには、事前に、ICカード11の登録を行う必要がある。ICカード11の登録により、ICカード11の記憶部11Aには識別情報12が記憶され、ICカード11に対応付けられた錠前ユニットにおける錠前制御装置22のメモリ32には、識別情報12と同一の識別情報が記憶される。なお、少なくともICカード11の記憶部11Aにおいて、識別情報12は暗号化された状態で記憶される。
【0039】
識別情報12は、図3(1)に示すように、対応関係情報12Aおよび登録日時情報12Bを含む。対応関係情報12Aは、ICカード11と、ICカード11に対応付けられた錠前ユニットとの対応関係を示す情報である。対応関係情報12Aには、ICカード11のカード番号、錠前制御装置22の装置番号、錠前ユニットが取り付けられた扉に対応する建造物番号・部屋番号など、固有の情報であればどのような情報でも用いることができるが、本実施形態では、一例として、錠前ユニットが取り付けられた扉に対応する建造物番号および部屋番号を用いることとする。一方、登録日時情報12Bは、ICカード11を登録した日時を示す情報である。
【0040】
本実施形態におけるICカード11の登録方法は例えば次の通りである。すなわち、錠前ユニット2における錠前制御装置22のメモリ32には、錠前ユニット2が取り付けられた扉5に対応する建造物番号および部屋番号が対応関係情報として予め(例えば錠前ユニット2を扉5に取り付けたときに)記憶されている。同様に、錠前ユニット3における錠前制御装置22のメモリ32には、錠前ユニット3が取り付けられた扉6に対応する建造物番号および部屋番号が対応関係情報として予め記憶されている。また、錠前ユニット4における錠前制御装置22のメモリ32には、錠前ユニット4が取り付けられた自動ドア7に対応する建造物番号およびエントランス番号が対応関係情報として予め記憶されている。管理人は、例えば専用のカード発行装置を用いてICカード11を発行するに当たり、ICカード11に対応付けるべき錠前ユニットを特定し、上記カード発行装置に対して当該ICカード11を発行するための所定の入力操作を行う。これにより、管理者が特定した錠前ユニットにおける錠前制御装置22のメモリ32に記憶されている対応関係情報と同一の情報が対応関係情報12Aとして上記カード発行装置によりICカード11の記憶部11Aに記憶されると共に、ICカード11の発行時の日時を示す情報が登録日時情報12Bとして上記カード発行装置によりICカード11の記憶部11Aに記憶される。なお、管理人がICカード11に対応づけるべき錠前ユニットとして複数の錠前ユニットを特定した場合には、特定された複数の錠前ユニットにおける錠前制御装置22のメモリ32に記憶されている対応関係情報と同一の情報が対応関係情報12AとしてICカード11の記憶部11Aにそれぞれ記憶される。このようにして発行されたICカード11を、管理人(または利用者)が、特定された錠前ユニットに対してはじめて使用したとき、ICカード11の記憶部11Aに記憶された登録日時情報12Bが、当該錠前ユニットにおける錠前制御装置22のカードリーダライタ31により読み取られ、メモリ32に記憶(コピー)される。この結果、ICカード11の記憶部11Aと、管理人により特定された錠前ユニットにおける錠前制御装置22のメモリ32とには、同一の識別情報が記憶されることとなる。このように、本実施形態において、ICカードの登録は、専用のカード発行装置を用いてICカード11を発行する作業(第1の登録作業)と、この発行したICカード11を、当該ICカード11に対応付けるべき錠前ユニットに対して使用する作業(第2の登録作業)の2つの作業を経て完了する。
【0041】
図3(2)ないし(4)はICカードの具体例を示している。例えば、錠前システム1が適用された建造物の建造物番号をXXXとし、扉5に対応する第1の部屋の部屋番号をAAAとし、扉6に対応する第2の部屋の部屋番号をBBBとし、自動ドア7に対応するエントランス番号をCCCとすると、図3(2)に示すICカード13の記憶部13Aには識別情報14が記憶されており、識別情報14において、対応関係情報14AはXXX−AAAおよびXXX−CCCであり、登録日時情報14Bは20101029175526である。すなわち、ICカード13に対応付けられた錠前ユニットは、扉5に取り付けられた錠前ユニット2および自動ドア7の近傍に取り付けられた錠前ユニット4であり、ICカード13が登録された日時は2010年10月29日17時55分26秒である。
【0042】
また、図3(3)に示すICカード15の記憶部15Aには識別情報16が記憶されており、識別情報16において、対応関係情報16AはXXX−AAAおよびXXX−CCCであり、登録日時情報16Bは20101030102025である。すなわち、ICカード15に対応付けられた錠前ユニットは、ICカード13に対応付けられた錠前ユニットと同じく、錠前ユニット2および4であり、ICカード15が登録された日時は2010年10月30日10時20分25秒である。
【0043】
また、図3(4)に示すICカード17の記憶部17Aには識別情報18が記憶されており、識別情報18において、対応関係情報18AはXXX−BBBおよびXXX−CCCであり、登録日時情報18Bは20101103113502である。すなわち、ICカード17に対応付けられた錠前ユニットは、扉6に取り付けられた錠前ユニット3および自動ドア7の近傍に取り付けられた錠前ユニット4であり、ICカード17が登録された日時は2010年11月03日11時35分02秒である。
【0044】
図4は、ICカード13、15、17に基づいて錠前ユニット2における錠前制御装置22が錠前装置21の施解錠動作を制御する動作を示している。以下、図3および図4を参照しながら、錠前ユニット2の錠前制御装置22が錠前装置21の施解錠動作を制御する動作を具体的に説明する。
【0045】
この説明では、以下の事実が起こったものと仮定する。すなわち、管理人が、2010年10月29日17時55分26秒に、ICカード13を、当該ICカード13に対応付けるべき錠前ユニットとして錠前ユニット2および4を特定して登録した後、ICカード13を利用者に手渡したものの、次の日の朝、利用者がICカード13を喪失していることが判明した。このため、管理人は、2010年10月30日10時20分25秒に、ICカード13に代わるICカード15を、当該ICカード15に対応付けるべき錠前ユニットとして錠前ユニット2を特定して登録した後、ICカード15を利用者に手渡した。なお、管理人は、ICカード15に対応付けるべき錠前ユニットとして錠前ユニット4を特定し忘れてしまった。すなわち、管理人は、錠前ユニット4に対して上記第2の登録作業をし忘れてしまった。以上の仮定においては、ICカード15が現在登録されているICカード(最後に登録されたICカード、または新ICカード)に当たり、ICカード13が過去に登録されていたICカード(旧ICカード)に当たる。
【0046】
このような仮定のもと、利用者はICカード15を錠前ユニット2における錠前制御装置22のカードリーダライタ31に接近させた。この場合、錠前ユニット2における錠前制御装置22のCPU33は、ICカード15の記憶部15Aに記憶された情報を、カードリーダライタ31を介して読み取る(図4中のステップS1:YES)。続いて、CPU33は、ICカード15から読み取った情報を復号し(ステップS2)、正しく復号することができたか否かを判断する(ステップS3)。
【0047】
ICカード15から読み取った情報を正しく復号することができたときには(ステップS3:YES)、続いて、CPU33は、ICカード15から読み取った情報に後述の動作不許可情報19が含まれているか否かを判断する(ステップS4)。
【0048】
ICカード15から読み取った情報中に動作不許可情報19が含まれていないときには(ステップS4:NO)、続いて、CPU33は、ICカード15から読み取った情報に含まれている対応関係情報16Aと、錠前ユニット2における錠前制御装置22のメモリ32に予め記憶されている対応関係情報とが一致するか否かを判断する(ステップS5)。図3(3)に示すように、ICカード15から読み取った情報に含まれている対応関係情報16Aには、錠前システム1が適用された建造物の建造物番号および扉5に対応する第1の部屋の部屋番号を示すXXX−AAAが含まれている。一方、上述したように、扉5に取り付けられた錠前ユニット2における錠前制御装置22のメモリ32には対応関係情報としてXXX−AAAが予め記憶されている。したがって、ICカード15から読み取った情報に含まれている対応関係情報16Aと、錠前ユニット2における錠前制御装置22のメモリ32に記憶されている対応関係情報とは一致する。
【0049】
このように、ICカード15から読み取った情報に含まれている対応関係情報16Aと、錠前ユニット2における錠前制御装置22のメモリ32に予め記憶されている対応関係情報とが一致したとき(ステップS5:YES)、続いて、CPU33は、ICカード15から読み取った情報に含まれている登録日時情報16Bが示す日時と、錠前ユニット2における錠前制御装置22のメモリ32に記憶されている登録日時情報が示す日時とが一致するか否かを判断する(ステップS6)。上述したように、ICカード15は、2010年10月30日10時20分25秒に、当該ICカード15に対応付けるべき錠前ユニットとして錠前ユニット2が特定されて登録が完了している。したがって、ICカード15から読み取った情報には、図3(3)に示すように、ICカード15の登録日時である2010年10月30日10時20分25秒を示す登録日時情報16B(20101030102025)が含まれている。また、現時点において、錠前ユニット2における錠前制御装置22のメモリ32には、ICカード15の登録日時である2010年10月30日10時20分25秒を示す登録日時情報(20101030102025)が記憶されている。よって、ICカード15から読み取った情報に含まれる登録日時情報16Bが示す日時と、錠前ユニット2における錠前制御装置22のメモリ32に記憶された登録日時情報16Bが示す日時とは一致する。
【0050】
このように、ICカード15から読み取った情報に含まれている登録日時情報16Bが示す日時と、錠前ユニット2における錠前制御装置22のメモリ32に記憶されている登録日時情報が示す日時とが一致したとき(ステップS6:YES)、CPU33は、錠前ユニット2の錠前装置21の施解錠動作を許可する(ステップS7)。そして、CPU33は錠前装置21に制御信号を出力し、錠前装置21を施錠または解錠させ、扉5を開扉不能(施錠の場合)または開扉可能(解錠の場合)にする。その後、処理はステップS1に戻る。
【0051】
一方、利用者が喪失したICカード13を拾得した者が、ICカード13を錠前ユニット2における錠前制御装置22のカードリーダライタ31に接近させた。この場合、錠前ユニット2における錠前制御装置22のCPU33は、ICカード13の記憶部13Aに記憶された情報をカードリーダライタ31を介して読み取り、復号する(図4中のステップS1:YES、ステップS2)。
【0052】
ICカード13から読み取った情報を正しく復号することができ、当該情報に動作不許可情報が含まれていないときには(ステップS3:YES、ステップS4:NO)、続いて、CPU33は、ICカード13から読み取った情報に含まれている対応関係情報14Aと、錠前ユニット2における錠前制御装置22のメモリ32に予め記憶されている対応関係情報とが一致するか否かを判断する(ステップS5)。図3(2)に示すように、ICカード13から読み取った情報に含まれている対応関係情報14Aには、錠前システム1が適用された建造物の建造物番号および扉5に対応する第1の部屋の部屋番号を示すXXX−AAAが含まれている。一方、上述したように、扉5に取り付けられた錠前ユニット2における錠前制御装置22のメモリ32には対応関係情報としてXXX−AAAが予め記憶されている。したがって、ICカード13から読み取った情報に含まれている対応関係情報14Aと、錠前ユニット2における錠前制御装置22のメモリ32に記憶されている対応関係情報とは一致する。
【0053】
このように、ICカード13から読み取った情報に含まれている対応関係情報14Aと、錠前ユニット2における錠前制御装置22のメモリ32に予め記憶されている対応関係情報とが一致したとき(ステップS5:YES)、続いて、CPU33は、ICカード13から読み取った情報に含まれている登録日時情報14Bが示す日時と、錠前ユニット2における錠前制御装置22のメモリ32に記憶されている登録日時情報が示す日時とが一致するか否かを判断する(ステップS6)。上述したように、ICカード13は、2010年10月29日17時55分26秒に、当該ICカード13に対応付けるべき錠前ユニットとして錠前ユニット2および4が特定されて登録が完了している。したがって、ICカード13から読み取った情報には、図3(2)に示すように、ICカード13の登録日時である2010年10月29日17時55分26秒を示す登録日時情報14B(20101030102025)が含まれている。ところが、上述したように、管理人は、錠前ユニット2および4を特定してICカード13を登録した後、錠前ユニット2を特定してICカード15を登録しているので、現時点において、錠前ユニット2における錠前制御装置22のメモリ32には、ICカード15の登録日時である2010年10月30日10時20分25秒を示す登録日時情報(20101030102025)が記憶されている(同一の錠前ユニットに対してICカードの登録を複数回行った場合には、最後に登録を行ったICカードの登録日時情報が当該錠前ユニットにおける錠前制御装置22のメモリ32に記憶され、過去に登録を行ったICカードの登録日時情報は当該メモリ32から消去される)。したがって、ICカード13から読み取った情報に含まれる登録日時情報14Bが示す日時と、錠前ユニット2における錠前制御装置22のメモリ32に記憶されている登録日時情報が示す日時とは一致しない。
【0054】
このように、ICカード13から読み取った情報に含まれている登録日時情報14Bが示す日時と、錠前ユニット2における錠前制御装置22のメモリ32に記憶されている登録日時情報が示す日時とが一致しないとき(ステップS6:NO)、続いて、CPU33は、ICカード13から読み取った情報に含まれている登録日時情報14Bが示す日時が、錠前ユニット2における錠前制御装置22のメモリ32に記憶されている登録日時情報が示す日時よりも前か否かを判断する(ステップS8)。上述したように、ICカード13から読み取った情報には、ICカード13の登録日時である2010年10月29日17時55分26秒を示す登録日時情報14Bが含まれ、錠前ユニット2における錠前制御装置22のメモリ32には、現時点において、ICカード15の登録日時である2010年10月30日10時20分25秒を示す登録日時情報が記憶されている。したがって、ICカード13から読み取った情報に含まれている登録日時情報14Bが示す日時は、錠前ユニット2における錠前制御装置22のメモリ32に記憶されている登録日時情報が示す日時よりも前である。
【0055】
このように、ICカード13から読み取った情報に含まれている登録日時情報14Bが示す日時が、錠前ユニット2における錠前制御装置22のメモリ32に記憶されている登録日時情報が示す日時よりも前であるときには(ステップS8:YES)、CPU33は、ICカード13に動作不許可情報を書き込む(ステップS9)。この結果、ICカード13の記憶部13Aには、図5に示すように、動作不許可情報19が記憶される。動作不許可情報は、例えば、他の情報等と識別可能な特定の符号からなる情報である。ICカードにいかなる識別情報が記憶されている場合であっても、ICカードに動作不許可情報が記憶された後は、当該ICカードを錠前システム1のいずれの錠前ユニット2、3、4に対して使用しても、錠前装置21の施解錠動作が許可されなくなる。
【0056】
また、この場合、CPU33は、錠前ユニット2の錠前装置21の施解錠動作を許可しない(ステップS10)。この結果、錠前装置21の施錠動作も解錠動作も行われず、錠前装置21が施錠状態である場合には、その施錠状態が維持され、錠前装置21が解錠状態である場合には、その解錠状態が維持される。その後、処理はステップS1に戻る。
【0057】
他方、上記ICカード13の拾得者が、再び、ICカード13を錠前ユニット2における錠前制御装置22のカードリーダライタ31に接近させた。この場合、錠前ユニット2における錠前制御装置22のCPU33は、ICカード13の記憶部13Aに記憶された情報をカードリーダライタ31を介して読み取り、復号する(図4中のステップS1:YES、ステップS2)。続いて、CPU33は、ICカード13から読み取った情報を正しく復号することができたか否かを判断する(ステップS3)。
【0058】
ICカード13から読み取った情報を正しく復号することができたときは(ステップS3:YES)、CPU33は、ICカード13から読み取った情報に動作不許可情報19が含まれているか否かを判断する(ステップS4)。図5に示すように、現時点において、ICカード13の記憶部13Aには動作不許可情報19が記憶されているので、ICカード13から読み取った情報にはこの動作不許可情報19が含まれている。
【0059】
このように、ICカード13から読み取った情報に動作不許可情報19が含まれているときには(ステップS4:YES)、CPU33は、錠前ユニット2における錠前装置21の施解錠動作を許可しない(ステップS10)。この結果、錠前装置21の施錠動作も解錠動作も行われず、錠前装置21が施錠状態である場合には、その施錠状態が維持され、錠前装置21が解錠状態である場合には、その解錠状態が維持される。その後、処理はステップS1に戻る。
【0060】
他方、他の利用者が、図3(4)に示すICカード17を錠前ユニット2における錠前制御装置22のカードリーダライタ31に接近させた。この場合、錠前ユニット2における錠前制御装置22のCPU33は、ICカード17の記憶部17Aに記憶された情報をカードリーダライタ31を介して読み取り、復号する(図4中のステップS1:YES、ステップS2)。
【0061】
ICカード13から読み取った情報を正しく復号することができ、当該情報に動作不許可情報が含まれていないときには(ステップS3:YES、ステップS4:NO)、続いて、CPU33は、ICカード17から読み取った情報に含まれている対応関係情報18Aと、錠前ユニット2における錠前制御装置22のメモリ32に予め記憶されている対応関係情報とが一致するか否かを判断する(ステップS5)。図3(4)に示すように、ICカード17から読み取った情報に含まれている対応関係情報18Aには、XXX−AAAが含まれていない。一方、上述したように、錠前ユニット2における錠前制御装置22のメモリ32には対応関係情報としてXXX−AAAが予め記憶されている。したがって、ICカード17から読み取った情報に含まれている対応関係情報18Aと、錠前ユニット2における錠前制御装置22のメモリ32に予め記憶されている対応関係情報とは一致しない。
【0062】
このように、ICカード17から読み取った情報に含まれている対応関係情報18Aと、錠前ユニット2における錠前制御装置22のメモリ32に記憶されている対応関係情報とが一致しないとき(ステップS5:NO)、CPU33は、錠前ユニット2における錠前装置21の施解錠動作を許可しない(ステップS10)。この結果、錠前装置21の施錠動作も解錠動作も行われず、錠前装置21が施錠状態である場合には、その施錠状態が維持され、錠前装置21が解錠状態である場合には、その解錠状態が維持される。その後、処理はステップS1に戻る。
【0063】
また、ある者が、錠前システム1に使用されるICカードではない別のICカードを錠前ユニット2における錠前制御装置22のカードリーダライタ31に接近させた場合には、通常、当該ICカードから情報を読み取ることができず、また、たとえ当該ICカードから情報を読み取ることができたとしても、当該情報の復号を正しく行うことができない。このように、ICカードから情報を読み取ることができず、またはICカードから読み取った情報を正しく復号することができない場合には、CPU33は、錠前ユニット2における錠前装置21の施解錠動作を許可しない(ステップS3:NO、ステップS10)。
【0064】
なお、管理人が、錠前ユニット2と対応付けて新ICカードを発行し、当該新ICカードの上記第2の登録作業を錠前ユニット2に対して行うために、当該新ICカードを錠前ユニット2における錠前制御装置22のカードリーダライタ31に接近させた場合には、錠前ユニット2における錠前制御装置22のCPU33は、図4中のステップS1、S2、S3、S4およびS5を経た後、ステップS6において、当該新ICカードから読み取った情報に含まれている登録日時情報が示す日時と、錠前ユニット2における錠前制御装置22のメモリ32に記憶されている登録日時情報が示す日時とが一致するか否かを判断する。この時点において、錠前ユニット2における錠前制御装置22のメモリ32に記憶されている登録日時情報が示す日時は、前回登録が行われたICカードの登録日時を示している。したがって、CPU33は、当該新ICカードから読み取った情報に含まれている登録日時情報が示す日時と、錠前ユニット2における錠前制御装置22のメモリ32に記憶されている登録日時情報が示す日時とが一致しないと判断する。続いて、CPU33は、当該新ICカードから読み取った情報に含まれている登録日時情報が示す日時が、錠前ユニット2における錠前制御装置22のメモリ32に記憶されている登録日時情報が示す日時よりも前か否かを判断する(ステップS8)。上述したように、この時点において、錠前ユニット2における錠前制御装置22のメモリ32に記憶されている登録日時情報が示す日時は、前回登録が行われたICカードの登録日時を示しているので、当該新ICカードから読み取った情報に含まれている登録日時情報は、錠前ユニット2における錠前制御装置22のメモリ32に記憶されている登録日時情報が示す日時よりも後の日時を示していることとなる。したがって、CPU33は、当該新ICカードから読み取った情報に含まれている登録日時情報が示す日時が、錠前ユニット2における錠前制御装置22のメモリ32に記憶されている登録日時情報が示す日時よりも前ではないと判断する(ステップS8:NO)。この場合に、CPU33は、当該新ICカードから読み取った識別情報に含まれている登録日時情報を、錠前ユニット2における錠前制御装置22のメモリ32に記憶する。これにより、当該新ICカードの錠前ユニット2に対する上記第2の登録作業が完了する。また、この場合、CPU33は、錠前ユニット2の錠前装置21の施解錠動作を許可する(ステップS7)。その後、処理はステップS1に戻る。
【0065】
以上、錠前ユニット2における錠前制御装置22が錠前装置21の施解錠動作を制御する動作を説明したが、各錠前ユニット3、4における錠前制御装置22が錠前装置21の施解錠動作を制御する動作も、錠前ユニット2における錠前制御装置22が錠前装置21の施解錠動作を制御する動作と同様である。
【0066】
以上説明した通り、本発明の実施形態による錠前システム1によれば、ICカードを、当該ICカードに対応付けるべき錠前ユニットを特定して登録した後、当該ICカード(旧ICカード)に代わる新たなICカード(新ICカード)を、同じ錠前ユニットを特定して登録し、その後、旧ICカードが当該特定された錠前ユニットに対して使用された場合には、当該旧ICカードに動作不許可情報が書き込まれる。そして、旧ICカードに動作不許可情報が書き込まれた後は、当該旧ICカードを錠前システム1のいずれの錠前ユニット2、3、4に対して使用しても、錠前装置21の施解錠動作が許可されない。
【0067】
したがって、旧ICカードに代わる新ICカードを登録すべき複数の錠前ユニットのうちの一部の錠前ユニットについて新ICカードの登録をしなかった場合でも、旧ICカードの使用により錠前装置21の動作が許可されることを抑制することができ、建造物ないし各部屋のセキュリティを向上させることができる。
【0068】
例えば、上述した仮定において、管理人は、ICカード13を、当該ICカード13に対応付けるべき錠前ユニットとして錠前ユニット2および4を特定して登録した後、ICカード13の喪失が判明したので、ICカード13に代わるICカード15を、当該ICカード15に対応付けるべき錠前ユニットとして錠前ユニット2のみを特定して登録した。すなわち、管理人は、ICカード15の登録時に、ICカード15に対応付けるべき錠前ユニットとして錠前ユニット4を特定し忘れてしまった。この場合、もし、ICカード13の拾得者が、ICカード13を錠前ユニット2に対して使用する前に、錠前ユニット4に対して使用したとすると、錠前ユニット4における錠前制御装置22により錠前装置(自動ドア開閉装置)の施解錠動作が許可されてしまう。しかしながら、ICカード13の拾得者が、ICカード13を錠前ユニット2に対して使用すれば、錠前ユニット2における錠前制御装置22によりICカード13に動作不許可情報19が書き込まれる。そして、ひとたび動作不許可情報19がICカード13に書き込まれれば、その後、ICカード13の拾得者が、ICカード13を錠前システム1のいずれの錠前ユニット2、3、4に対して使用しても、ICカード13に書き込まれた動作不許可情報19に基づいて錠前装置21等の施解錠動作が許可されない。したがって、利用者が喪失したICカード13が他人により無断で使用され、扉5や自動ドア7が利用者の意に反して開扉されてしまうことを抑制することができる。
【0069】
特に、本実施形態の錠前システム1のように、錠前ユニット2、3、4がそれぞれスタンドアローン型であり、このためICカードの登録を錠前ユニット2、3、4に対して一遍に行うことができない場合には、利用者は、喪失した旧ICカードに代わる新ICカードの登録作業(上記第2の登録作業)を、すべての錠前ユニット2、3、4に対して1台1台行う必要があるため、登録作業をし忘れたり、登録作業に時間がかかったりする場合がある。このため、旧ICカードの拾得者または窃取者等に当該旧ICカードを使用する機会を与えてしまうおそれがある。しかしながら、本発明の実施形態による錠前システム1によれば、旧ICカードに動作不許可情報を書き込むことにより、たとえ、旧ICカードに代わる新ICカードの登録作業がされていない錠前ユニットに、当該旧ICカードが使用されたとしても、錠前装置21等の施解錠動作が許可されることを抑制することができる。このように、錠前システム1によれば、錠前ユニット2、3、4がそれぞれスタンドアローン型のままでも(すなわち、各錠前ユニット2、3、4に錠前ユニット同士で情報通信を行う機能等を追加しなくても)、建造物ないし各部屋のセキュリティを向上させることができる。したがって、建造物ないし各部屋のセキュリティの向上を低コストで実現することができる。
【0070】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、上述した第1の実施形態による錠前システム1と同一の構成要素には同一の符号を付す。
【0071】
本発明の第2の実施形態による錠前システムでは、ICカードの記憶部に予め記憶された固有の識別情報(例えばカード番号)を、当該ICカードに対応付けるべき錠前ユニットにおける錠前制御装置22のメモリ32に記憶(コピー)させることにより、ICカードの登録を行う。また、登録されたICカードを利用者が喪失したために、当該ICカード(旧ICカード)に代わる新しいICカード(新ICカード)が同一の錠前ユニットに対して登録された場合には、過去のICカードの識別情報が、当該錠前ユニットにおける錠前制御装置22のメモリ32から消去されずに、保持される。
【0072】
この登録方法について図6を参照しながら具体的に説明する。図6において、まず、管理人が、ICカード41に対応付けるべき錠前ユニットを特定し、例えば、当該特定した錠前ユニットの錠前制御装置22のモードを使用モード(通常モード)から登録モードに切り替え、ICカード41を当該錠前ユニットにおける錠前制御装置22のカードリーダライタ31に接近させると、ICカード41の記憶部41Aに予め記憶されているカード番号42が、当該錠前ユニットにおける錠前制御装置22のメモリ32に記憶(コピー)される。このようにICカード41の登録が完了すると、錠前制御装置22は使用モードに戻る。その後、利用者がICカード41を喪失したために、ICカード41に代わる新しいICカード43を同一の錠前ユニットに対して登録する場合には、管理人は、当該錠前ユニットの錠前制御装置22のモードを登録モードに切り替え、ICカード43を当該錠前ユニットにおける錠前制御装置22のカードリーダライタ31に接近させる。これにより、ICカード43の記憶部43Aに予め記憶されているカード番号44(カード番号42とは異なる番号)が、当該錠前ユニットにおける錠前制御装置22のメモリ32に記憶(コピー)される。このとき、過去の登録により記憶されたカード番号42はメモリ32に保持される。このようにICカード43の登録が完了すると、錠前制御装置22は使用モードに戻る。さらに、ICカード43に代わる別の新たなICカードを当該錠前ユニットに登録することも可能である。
【0073】
図7は、ICカード41、43に基づいて、本発明の第2の実施形態による錠前システムにおいて、錠前ユニット2の錠前制御装置22が錠前装置21の施解錠動作を制御する動作を示している。以下、図6および図7を参照しながら、本発明の第2の実施形態における錠前制御装置22が錠前装置21の施解錠動作を制御する動作を具体的に説明する。
【0074】
この説明では、以下の事実が起こったものと仮定する。すなわち、管理人が、ICカード41を、当該ICカード41に対応付けるべき錠前ユニットとして錠前ユニット2および4を特定して登録し、当該ICカード41を利用者に手渡したものの、その後、利用者が当該ICカード41を喪失してしまった。このため、管理人は、ICカード41に代わるICカード43を、当該ICカード43に対応付けるべき錠前ユニットとして錠前ユニット2を特定して登録した後、当該ICカード43を利用者に手渡した。なお、管理人は、ICカード43に対応付けるべき錠前ユニットとして錠前ユニット4を特定し忘れてしまった。以上の仮定においては、ICカード43が現在登録されているICカード(最後に登録されたICカード、または新ICカード)に当たり、ICカード41が過去に登録されていたICカード(旧ICカード)に当たる。
【0075】
このような仮定のもと、利用者はICカード43を、錠前ユニット2における錠前制御装置22のカードリーダライタ31に接近させた。この場合、錠前ユニット2における錠前制御装置22のCPU33は、ICカード43の記憶部43Aに記憶された情報を、カードリーダライタ31を介して読み取り、復号する(図7中のステップS11:YES、ステップS12)。
【0076】
ICカード13から読み取った情報を正しく復号することができ、当該情報に動作不許可情報が含まれていないときには(ステップS13:YES、ステップS14:NO)、続いて、CPU33は、ICカード43から読み取った情報に含まれているカード番号と、錠前ユニット2における錠前制御装置22のメモリ32に最後に記憶されたカード番号(最後に登録されたICカードのカード番号)とが一致するか否かを判断する(ステップS15)。
【0077】
ICカード43から読み取った情報に含まれているカード番号と、錠前ユニット2における錠前制御装置22のメモリ32に最後に記憶されたカード番号とが一致したときには(ステップS15:YES)、CPU33は、錠前ユニット2の錠前装置21の施解錠動作を許可する(ステップS16)。そして、CPU33は錠前装置21に制御信号を出力し、錠前装置21を施錠または解錠させ、扉5を開扉不能(施錠の場合)または開扉可能(解錠の場合)にする。その後、処理はステップS11に戻る。
【0078】
一方、利用者が喪失したICカード41を拾得した者がICカード41を、錠前ユニット2における錠前制御装置22のカードリーダライタ31に接近させた。この場合、錠前ユニット2における錠前制御装置22のCPU33は、ICカード41の記憶部41Aに記憶された情報を、カードリーダライタ31を介して読み取り、復号する(図7中のステップS11:YES、ステップS12)。
【0079】
ICカード41から読み取った情報を正しく復号することができ、当該情報に動作不許可情報が含まれていないときには(ステップS13:YES、ステップS14:NO)、続いて、CPU33は、ICカード41から読み取った情報に含まれているカード番号と、錠前ユニット2における錠前制御装置22のメモリ32に最後に記憶されたカード番号とが一致するか否かを判断する(ステップS15)。錠前ユニット2における錠前制御装置22のメモリ32に最後に記憶されたカード番号はICカード43のカード番号であるので、ICカード41から読み取った情報に含まれているカード番号と、錠前ユニット2における錠前制御装置22のメモリ32に最後に記憶されたカード番号とは一致しない。
【0080】
このように、ICカード41から読み取った情報に含まれているカード番号と、錠前ユニット2における錠前制御装置22のメモリ32に最後に記憶されたカード番号とが一致しないときには(ステップS15:NO)、続いて、CPU33は、ICカード41から読み取った情報に含まれているカード番号と、錠前ユニット2における錠前制御装置22のメモリ32に過去に記憶されたカード番号とが一致するか否かを判断する(ステップS17)。上述したように、ICカード41はICカード43が登録される前に錠前ユニット2に登録されていたので、ICカード41のカード番号は、錠前ユニット2の錠前制御装置22のメモリ32に保持されている。したがって、ICカード41から読み取った情報に含まれているカード番号と一致するカード番号が、錠前ユニット2における錠前制御装置22のメモリ32中に存在している。
【0081】
したがって、ICカード41から読み取った情報に含まれているカード番号と、錠前ユニット2における錠前制御装置22のメモリ32に過去に記憶されたカード番号とが一致するので(ステップS17:YES)、CPU33は、ICカード41に動作不許可情報を書き込む(ステップS18)。この場合、CPU33は、錠前ユニット2の錠前装置21の施解錠動作を許可しない(ステップS19)。この結果、錠前装置21の施錠動作も解錠動作も行われない。その後、処理はステップS11に戻る。
【0082】
他方、上記ICカード41の拾得者が、再び、ICカード41を錠前ユニット2における錠前制御装置22のカードリーダライタ31に接近させた。この場合、錠前ユニット2における錠前制御装置22のCPU33は、ICカード41の記憶部41Aに記憶された情報を、カードリーダライタ31を介して読み取り、復号する(図7中のステップS11:YES、ステップS12)。続いて、CPU33は、ICカード41から読み取った情報を正しく復号することができたか否かを判断する(ステップS13)。
【0083】
ICカード41から読み取った情報を正しく復号することができたときは(ステップS13:YES)、CPU33は、続いて、ICカード41から読み取った情報に動作不許可情報が含まれているか否かを判断する(ステップS14)。現時点において、ICカード41には動作不許可情報が書き込まれているので、ICカード41から読み取った情報にはこの動作不許可情報が含まれている。
【0084】
このように、ICカード41から読み取った情報に動作不許可情報が含まれているときには(ステップS14:YES)、CPU33は、錠前ユニット2の錠前装置21の施解錠動作を許可しない(ステップS19)。この結果、錠前装置21の施錠動作も解錠動作も行われない。その後、処理はステップS11に戻る。
【0085】
以上、錠前ユニット2における錠前制御装置22が錠前装置21の施解錠動作を制御する動作を説明したが、各錠前ユニット3、4における錠前制御装置22が錠前装置21の施解錠動作を制御する動作も、錠前ユニット2における錠前制御装置22が錠前装置21の施解錠動作を制御する動作と同様である。
【0086】
このように、本発明の第2の実施形態による錠前システムも、上述した本発明の第1の実施形態による錠前システム1と同様の作用効果を奏する。
【0087】
なお、上述した実施形態では、動作不許可情報を、他の情報等と識別可能な特定の符号からなる情報である場合を例にあげたが、本発明はこれに限らない。例えば動作不許可情報をフラグとし、このフラグをICカードの記憶部における特定のアドレスに記憶するようにしてもよい。
【0088】
また、上述した第1の実施形態では、識別情報に登録日時情報を含め、登録日時情報が示す日時に基づいて旧ICカードか新ICカードかを判別する場合を例にあげたが、本発明はこれに限らない。登録日時情報に代えてシーケンス番号(付加番号)を用いてもよい。すなわち、ICカードの登録に際し、ICカードの記憶部と、当該ICカードに対応付けられた錠前ユニットにおける錠前制御装置22のメモリ32にシーケンス番号を記憶するようにし、同一の錠前ユニットに対して代替のICカードの登録を行うたびに、ICカードの記憶部および錠前制御装置22のメモリ32に記憶するシーケンス番号が示す数値を増加させるようにする。この場合、使用されたICカードが旧ICカード(過去に登録されていたICカード)か新ICカード(現在登録されているICカード)かを判別する際には、当該ICカードから読み取った情報に含まれるシーケンス番号と、錠前制御装置22のメモリ32に記憶されているシーケンス番号とを比較し、両者が一致したときには当該ICカードが新ICカードであると判断し、当該ICカードから読み取った情報に含まれるシーケンス番号が示す数値が錠前制御装置22のメモリ32に記憶されているシーケンス番号が示す数値よりも小さい場合には、当該ICカードが旧ICカードであると判断する。
【0089】
また、上述した第1の実施形態において、登録日時情報に代えてシーケンス番号(付加番号)を用いる場合には、同一の錠前ユニットに対して代替のICカードの登録を行うたびに、ICカードの記憶部および錠前制御装置22のメモリ32に記憶するシーケンス番号が示す数値を減少させるようにしてもよい。この場合には、使用されたICカードから読み取った情報に含まれるシーケンス番号が示す数値が錠前制御装置22のメモリ32に記憶されているシーケンス番号が示す数値よりも大きい場合に、当該ICカードが旧ICカードであると判断する。
【0090】
また、上述した実施形態では情報記憶カードとして非接触型ICカードを用いる場合を例にあげたが、非接触型ICカードに代えて接触型ICカードを用いることもでき、また、ICタグ等を用いることもできる。さらに、ICカードに代えて磁気カードを用いてもよい。
【0091】
また、上述した実施形態では、扉および自動ドアについて施解錠を行う錠前ユニットを例にあげたが、本発明は、宅配ボックスやロッカーの管理を行う錠前制御装置を備えた錠前ユニット、エレベータの動作制御を行う動作制御装置を備えたユニット等にも適用することができる。すなわち、本発明の動作制御装置の制御対象は、施錠時に扉等を開扉不能にする電気錠等の錠前装置に限らない。
【0092】
また、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う動作制御装置、錠前ユニットおよび錠前システムもまた本発明の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0093】
1 錠前システム
2、3、4 錠前ユニット
5、6 扉
7 自動ドア
11、13、15、17、41、43 ICカード(情報記憶カード)
12、14、16、18 識別情報
19 動作不許可情報
21 錠前装置(被制御装置)
22 錠前制御装置(動作制御装置)
31 カードリーダライタ(通信手段)
32 メモリ(記憶手段)
33 CPU(判断手段、制御手段)
42、44 カード番号(識別情報)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報記憶カードに基づいて被制御装置の動作を制御する動作制御装置であって、
前記情報記憶カードとの間で情報通信を行う通信手段と、
前記情報記憶カードに記憶された識別情報を当該情報記憶カードから前記通信手段により読み取り、当該識別情報に基づいて当該情報記憶カードが現在登録されている情報記憶カードおよび過去に登録されていた情報記憶カードのいずれであるかを判断する判断手段と、
前記判断手段の判断の結果、当該情報記憶カードが現在登録されている情報記憶カードであるときには前記被制御装置の動作を許可し、当該情報記憶カードが過去に登録されていた情報記憶カードであるときには前記被制御装置の動作を許可しないと共に前記通信手段により当該情報記憶カードに動作不許可情報を書き込む制御手段とを備えていることを特徴とする動作制御装置。
【請求項2】
前記判断手段は、前記情報記憶カードに前記動作不許可情報が書き込まれているか否かを判断し、
前記制御手段は、前記判断手段の判断の結果、前記情報記憶カードに前記動作不許可情報が書き込まれているときには前記被制御装置の動作を許可しないことを特徴とする請求項1に記載の動作制御装置。
【請求項3】
記憶手段を備え、
前記識別情報には、前記情報記憶カードを当該動作制御装置に登録した日時を示す登録日時情報が含まれ、
前記記憶手段には、最後に登録された前記情報記憶カードの登録日時を示す登録日時情報が記憶され、
前記判断手段は、前記情報記憶カードから前記通信手段により読み取った前記識別情報に含まれる登録日時情報が示す日時と前記記憶手段に記憶された登録日時情報が示す日時とを比較し、前記識別情報に含まれる登録日時情報が示す日時が前記記憶手段に記憶された登録日時情報が示す日時と一致したときには、当該情報記憶カードが現在登録されている情報記憶カードであると判断し、前記識別情報に含まれる登録日時情報が示す日時が前記記憶手段に記憶された登録日時情報が示す日時よりも前であるときには、当該情報記憶カードが過去に登録されていた情報記憶カードであると判断することを特徴とする請求項1または2に記載の動作制御装置。
【請求項4】
記憶手段を備え、
前記識別情報には、前記情報記憶カードに付加され、当該情報記憶カードが同一の動作制御装置に対応付けられて登録されるたびに増加(または減少)する付加番号が含まれ、
前記記憶手段には、最後に登録された前記情報記憶カードに付加された付加番号が記憶され、
前記判断手段は、前記情報記憶カードから前記通信手段により読み取った前記識別情報に含まれる付加番号と前記記憶手段に記憶された付加番号とを比較し、前記識別情報に含まれる付加番号が前記記憶手段に記憶された付加番号と一致したときには、当該情報記憶カードが現在登録されている情報記憶カードであると判断し、前記識別情報に含まれる付加番号が前記記憶手段に記憶された付加番号よりも小さい(または大きい)ときには、当該情報記憶カードが過去に登録されていた情報記憶カードであると判断することを特徴とする請求項1または2に記載の動作制御装置。
【請求項5】
扉または扉の近傍に設けられる錠前装置と、
請求項1ないし4のいずれかに記載の動作制御装置を包含し、前記被制御装置としての前記錠前装置の施解錠動作を制御することにより、施錠時には前記扉を開扉不能にし、解錠時には前記扉を開扉可能にする錠前制御装置とを備えていることを特徴とする錠前ユニット。
【請求項6】
請求項5に記載の錠前ユニットを複数備え、前記各錠前ユニットは、他の前記錠前ユニットとの間において情報通信を行う手段を備えていないことを特徴とする錠前システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−102581(P2012−102581A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−253479(P2010−253479)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【出願人】(390037028)美和ロック株式会社 (868)
【Fターム(参考)】