説明

動作制御装置および動作制御方法、撮像装置、並びにプログラム

【課題】フォーカスラグを低減する。
【解決手段】透過率特定部28は、操作部17が半押し操作されると、そのタイミングの液晶NDフィルタ44の透過率を、液晶NDフィルタ44に印加電圧を変化させたタイミングからの経過時間と、サーミスタ45により測定される温度とで、温度別透過率対時間テーブル26を参照して特定する。NDフィルタ制御部24は、半押し操作されたタイミングにおける透過率に対応する電圧を、透過率対電圧テーブル25より読み出して、液晶NDフィルタ44に印加することで、半押し操作されたタイミングの透過率が固定されるようにする。ゲイン制御部22およびシャッタ制御部23は、半押しされたタイミングの透過率と、目標とする透過率との差分から、液晶NDフィルタ44で調整できない明るさをゲインおよびシャッタスピードを変化させて調整する。本技術は、撮像装置に適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、動作制御装置および動作制御方法、撮像装置、並びにプログラムに関し、特に、フォーカスラグを低減できるようにした動作制御装置および動作制御方法、撮像装置、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンパクトデジタルカメラの分野では、イメージセンサの高画素化に伴い、小絞りボケの影響により解像感が劣化することがあった。
【0003】
そこで、印加電圧によって口径を変化させることなく、所望の透過率を実現するND(Neutral Density)フィルタ(透過率可変減光フィルタ)の採用が検討されている。NDフィルタのうち、例えば、液晶NDフィルタは、対物レンズの切り替えに際して接眼像において急激に光量が変化するとき、透過率を変化させることで、露出の急激な変化を防止して観察者の疲労を軽減するといったことに利用されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−344673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、液晶NDフィルタにより透過率を変化させて露出を制御する場合、液晶NDフィルタにおける温度が低温であるようなとき、液晶の応答速度が低下するため、例えば、シャッタボタンを半押しして、撮像に入る前にAF(Auto Focus)を掛けるようなタイミングに、液晶NDフィルタによる露出の制御が遅れてしまい、フォーカスラグが増大してしまう恐れがあった。
【0006】
本技術は、このような状況に鑑みてなされたものであり、特に、印加電圧に応じて透過率を変化させるようなNDフィルタの応答速度の低下に起因するフォーカスラグを低減させるものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術の第1の側面の動作制御装置は、印加電圧により透過率が可変な透過率可変減光フィルタの透過率を特定する透過率特定部と、前記透過率特定部により特定された透過率となるように前記透過率可変減光フィルタに印加する電圧を制御する印加電圧制御部とを含み、前記印加電圧制御部は、撮像準備または撮像が指示されたタイミングにおける、前記透過率特定部により特定される、前記透過率可変減光フィルタの透過率を維持するように、前記透過率可変減光フィルタに印加する電圧を制御する。
【0008】
前記透過率可変減光フィルタを介して、画像を撮像する撮像部と、前記撮像部により撮像される画像の明るさから、前記透過率可変減光フィルタの適切な透過率を算出する透過率算出部と、前記透過率可変減光フィルタの透過率に対応する印加電圧を記憶する印加電圧記憶部とを含ませるようにすることができ、前記印加電圧制御部には、前記印加電圧記憶部に記憶されている印加電圧のうち、前記透過率算出部により算出された適切な透過率に対応する印加電圧を前記透過率可変減光フィルタに印加するように制御させるようにすることができる。
【0009】
前記撮像部により撮像される画像の撮像準備、または撮像を指示するとき操作される操作部とをさらに含ませるようにすることができ、前記透過率特定部には、前記印加電圧制御部が前記透過率可変減光フィルタに印加電圧を印加し始めた後の、所定のタイミングにおける透過率を特定させるようにすることができ、前記印加電圧制御部には、前記印加電圧記憶部に記憶された前記透過率可変減光フィルタの透過率に対応する印加電圧のうち、前記操作部により撮像準備を指示する操作がなされたタイミングにおける、前記透過率特定部により特定される透過率に対応する印加電圧を、前記透過率可変減光フィルタに印加するように制御させるようにすることができる。
【0010】
前記印加電圧制御部が印加電圧を第1の電圧に制御する際、前記印加電圧を制御し始めるときの第2の電圧から、前記第1の電圧へと制御が完了するまでの時系列の、前記透過率可変減光フィルタの透過率の応答特性データを記憶する応答特性データ記憶部と、前記印加電圧制御部が印加電圧を制御し始めた後に経過した経過時間を計測する経過時間計測部とをさらに含ませるようにすることができ、前記透過率特定部には、前記経過時間計測部により計測された経過時間、および、前記応答特性データ記憶部に記憶された応答特性データに基づいて、前記印加電圧制御部が前記透過率可変減光フィルタに印加電圧を印加し始めた後から、前記操作部により撮像準備を指示する操作がなされるタイミングまでに経過した経過時間における透過率を、前記操作部により撮像準備を指示する操作がなされるタイミングにおける透過率として特定させるようにすることができる。
【0011】
前記透過率可変減光フィルタの温度を測定する温度測定部をさらに含ませるようにすることができ、前記応答特性データ記憶部には、前記印加電圧制御部が印加電圧を第1の電圧に制御する際、前記印加電圧を制御し始めるときの第2の電圧から、前記第1の電圧にまで制御が完了するまでの時系列の、前記透過率可変減光フィルタの透過率の応答特性データを、前記透過率可変減光フィルタの温度毎に記憶させるようにすることができ、前記透過率特定部には、前記経過時間計測部により計測された経過時間、前記応答特性データ記憶部に記憶された応答特性データ、および前記温度測定部により測定された透過率可変減光フィルタの温度に基づいて、前記印加電圧制御部が前記透過率可変減光フィルタに印加電圧を印加し始めた後から、前記操作部により撮像準備を指示する操作がなされるタイミングまでに経過した経過時間における透過率を、前記操作部により撮像準備を指示する操作がなされるタイミングにおける透過率として特定させるようにすることができる。
【0012】
前記透過率可変減光フィルタの前段および後段の光量を測定する光量測定部をさらに含ませるようにすることができ、前記透過率特定部には、前記光量測定部により測定された前記透過率可変減光フィルタの前段および後段の光量に基づいて、前記印加電圧制御部が前記透過率可変減光フィルタに印加電圧を印加し始めた後の、前記操作部により撮像準備を指示する操作がなされるタイミングにおける透過率を特定させるようにすることができる。
【0013】
前記撮像部により撮像される画像のゲインを制御するゲイン制御部と、前記撮像部により画像が撮像されるタイミングにおいて、前記撮像部に入射される光を遮光する遮光速度を制御するシャッタ制御部とをさらに含ませるようにすることができ、前記透過率特定部により取得された透過率により透過される明るさが、前記撮像部により画像が撮像される際の最適な明るさに対して過不足する場合、前記明るさが最適なものとなるように、前記ゲイン制御部が前記撮像部のゲインを制御し、前記シャッタ制御部が前記シャッタ部の遮光速度を制御するか、または、そのいずれかが制御されるようにすることができる。
【0014】
前記透過率可変減光フィルタは、液晶NDフィルタとすることができる。
【0015】
前記透過率可変減光フィルタは、前記印加電圧の上昇に応じて前記透過率が増大するもの、または、前記印加電圧の上昇に応じて前記透過率が減少するものとすることができる。
【0016】
本技術の第1の側面の動作制御方法は、動作制御装置の動作制御方法であって、印加電圧により透過率が可変な透過率可変減光フィルタの透過率を特定する透過率特定処理をし、前記透過率特定処理により取得された透過率となるように前記透過率可変減光フィルタに印加する電圧を制御する印加電圧制御処理をするステップを含み、前記印加電圧制御処理は、撮像準備または撮像が指示されたタイミングにおける、前記透過率特定処理により特定される、前記透過率可変減光フィルタの透過率を維持するように、前記透過率可変減光フィルタに印加する電圧を制御する。
【0017】
本技術の第1の側面のプログラムは、コンピュータを、印加電圧により透過率が可変な透過率可変減光フィルタの透過率を特定する透過率特定部と、前記透過率特定部により特定された透過率となるように前記透過率可変減光フィルタに印加する電圧を制御する印加電圧制御部として機能させ、前記印加電圧制御部は、撮像準備または撮像が指示されたタイミングにおける、前記透過率特定部により特定される、前記透過率可変減光フィルタの透過率を維持するように、前記透過率可変減光フィルタに印加する電圧を制御する。
【0018】
本技術の第2の側面の撮像装置は、印加電圧により透過率が可変な透過率可変減光フィルタの透過率を特定する透過率特定部と、前記透過率特定部により特定された透過率となるように前記透過率可変減光フィルタに印加する電圧を制御する印加電圧制御部とを含み、前記印加電圧制御部は、撮像準備または撮像が指示されたタイミングにおける、前記透過率特定部により特定される、前記透過率可変減光フィルタの透過率を維持するように、前記透過率可変減光フィルタに印加する電圧を制御する。
【0019】
本技術の第1、および第2の側面においては、印加電圧により透過率が可変な透過率可変減光フィルタの透過率が特定され、特定された透過率となるように前記透過率可変減光フィルタに印加する電圧が制御され、撮像準備または撮像が指示されたタイミングにおける、前記透過率可変減光フィルタの透過率が維持されるように、前記透過率可変減光フィルタに印加される電圧が制御される。
【0020】
本技術の動作制御装置、または撮像装置は、独立した装置であっても良いし、動作制御処理、または撮像処理を行うブロックであっても良い。
【発明の効果】
【0021】
本技術によれば、フォーカスラグを低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本技術である撮像装置の第1の実施の形態の構成例を示す図である。
【図2】液晶NDフィルタに電圧を印加したタイミングからの経過時間に応じた透過率の特性を説明する図である。
【図3】図1の撮像装置による動作制御処理を説明するフローチャートである。
【図4】図1の撮像装置による動作制御処理を説明する図である。
【図5】半押し操作がなされたタイミングの液晶NDフィルタの透過率が維持されるように制御されることを説明する図である。
【図6】液晶NDフィルタの透過率が維持されることにより制御できない明るさをゲインおよびシャッタスピードで調整する例を説明する図である。
【図7】本技術である撮像装置の第2の実施の形態の構成例を示す図である。
【図8】図7の撮像装置による動作制御処理を説明するフローチャートである。
【図9】汎用のパーソナルコンピュータの構成例を説明する図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について説明する。なお、説明は以下の順序で行なう。
1.第1の実施の形態(透過率を推定する例)
2.第2の実施の形態(透過率を測定する例)
【0024】
<1.第1の実施の形態>
[本技術を適用した撮像装置の第1の実施の形態の構成例]
図1は、本技術を適用した撮像装置の第1の実施の形態の構成例を説明する図である。図1の撮像装置は、レンズ鏡筒11、画像処理部12、記録媒体13、表示処理部14、表示部15、制御部16、および操作部17を備えており、レンズ鏡筒11に設けられた撮像素子46により撮像された画像を記録媒体13に記録したり、表示部15に表示する。より詳細には、シャッタボタンなどからなる操作部17が撮像準備を示す半押し操作されると、制御部16が、レンズ鏡筒11を制御して、焦点を制御する。さらに、この状態からシャッタボタンからなる操作部17が、撮像指示を示す全押し操作されると、制御部16は、レンズ鏡筒11を制御して画像を撮像させる。そして、レンズ鏡筒11は、撮像した画像を画像信号として、画像処理部12に供給する。画像処理部12は、所定のデータ形式に圧縮させるなど、所定の処理を加えて、記録媒体13に記録させる。または、画像処理部12は、撮像した画像信号に所定の処理を加えて、表示処理部14に供給し、LCD(Liquid Crystal Display)などからなる表示部15に表示させる。
【0025】
より詳細には、レンズ鏡筒11は、ズームレンズ41、絞り42、フォーカスレンズ43、液晶NDフィルタ44、サーミスタ45、および撮像素子46を備えており、図示せぬ被写体の像をズームレンズ41、およびフォーカスレンズ43を介して撮像素子46に結像させる。そして、撮像素子46は、結像した被写体の像を撮像し、画像信号として出力する。また、絞り42は、制御部16により制御され、レンズ鏡筒11に入射する光量を調整する。液晶NDフィルタ(液晶透過率可変減光フィルタ)44は、制御部16より供給される電圧により透過率を変化させることにより、撮像素子46への光量を調整する。絞り42と液晶NDフィルタ44とは、基本的に目的が同様のものであるが、液晶NDフィルタ44は、レンズ鏡筒11内において、均質に透過率を変化させることで光量(照度)を調整できるが、液晶により透過率を変化させるため急激な変化には対応できない。一方、絞り42は、開口部の開閉により光量を調整するため、均質に光量を調整することができないものの、高速で光量を調整することができる。サーミスタ45は、液晶NDフィルタ44の温度を測定し、制御部16に供給する。撮像素子46は、例えば、CCD(Charge Coupled Devices)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などであり、制御部16により制御されて、画像を撮像して画像信号として出力する。
【0026】
制御部16は、マイクロコンピュータなどから構成されており、撮像装置の動作全体を制御する。より詳細には、制御部16は、操作検出部21、ゲイン制御部22、シャッタ制御部23、NDフィルタ制御部24、透過率対電圧テーブル25、温度別透過率対時間テーブル26、時間計測部27、透過率特定部28、および適正透過率算出部29を備えている。操作検出部21は、操作部17からの操作信号に基づいて、撮像準備を指示する半押し、または、撮像を指示する全押しを検出し、対応する検出信号を出力する。ゲイン制御部22は、撮像素子46のゲインを適切な状態に制御する。シャッタ制御部23は、撮像素子46の撮像にあたり、シャッタ速度を適切に制御する。NDフィルタ制御部24は、液晶NDフィルタ44に印加する電圧を制御することにより、液晶NDフィルタ44の透過率を制御する。透過率対電圧テーブル25は、液晶NDフィルタ44の透過率と印加電圧との関係が示されたテーブルである。したがって、NDフィルタ制御部24は、所定の透過率に液晶NDフィルタ44を設定したい場合、透過率対電圧テーブル25を参照して、所定の透過率に対応する印加電圧を読み出し、読み出した印加電圧により液晶NDフィルタ44を制御する。尚、透過率から必要な印加電圧が求められればよいので、透過率から印加電圧が算出できるような関数を求めて、この関数により印加電圧を算出できるような構成を設けて、透過率対電圧テーブル25に代えて利用するようにしてもよい。
【0027】
温度別透過率対時間テーブル26は、液晶NDフィルタ44の透過率を制御する際、印加電圧を変化させたときの、印加電圧を変化させて印加したタイミングからの経過時間と、その経過時間における透過率との関係を、液晶NDフィルタ44の温度毎にテーブルとして記憶している。
【0028】
すなわち、例えば、図2の下段における時刻t1の印加電圧の波形で示されるように、印加電圧を電圧V12から電圧V11(>V12)に変化させて印加した場合、液晶NDフィルタ44の温度T1が比較的高いとき、図2の上段における波形L1で示されるように、透過率V1から目標となる透過率V2に到達するまでの経過時間は、時間(t2−t1)となる。一方、液晶NDフィルタ44の温度T1よりも低い温度T2(<T1)であるとき、透過率V1から目標となる透過率V2に到達するまでの経過時間は、図2の上段における波形L2で示されるように、時間(t3−t1)(>(t2−t1))となる。さらに、液晶NDフィルタ44の温度T2よりもさらに低い温度T3(<T2<T1)であるとき、図2の上段における波形L3で示されるように、透過率V1から目標となる透過率V2に到達するまでの経過時間は、時間(t4−t1)(>(t3−t1)>(t2−t1))となる。すなわち、液晶NDフィルタ44を構成する液晶は、温度が低温になるに従って、粘度が上昇することに伴って応答速度が低下することにより、印加電圧を上昇するように電圧V12から電圧V11に変化させると、目標となる透過率に達するまでの経過時間が長くなる。
【0029】
また、逆に、例えば、図2の下段における時刻t11の印加電圧の波形で示されるように、印加電圧を電圧V11から電圧V12(<V11)に変化させて印加した場合、液晶NDフィルタ44の温度T1が比較的高いとき、図2の上段における波形L11で示されるように、透過率V2から目標となる透過率V1に到達するまでの経過時間は、時間(t12−t11)となる。一方、液晶NDフィルタ44の温度T1よりも低い温度T2(<T1)であるとき、透過率V2から目標となる透過率V1に到達するまでの経過時間は、図2の上段における波形L12で示されるように、時間(t13−t11)(>(t12−t11))となる。さらに、液晶NDフィルタ44の温度T2よりもさらに低い温度T3(<T2<T1)であるとき、図2の上段における波形L13で示されるように、透過率V2から目標となる透過率V1に到達するまでの経過時間は、時間(t14−t11)(>(t13−t11)>(t12−t11))となる。すなわち、液晶NDフィルタ44を構成する液晶は、温度が低温になるに従って、粘度が上昇することに伴って応答速度が低下することにより、印加電圧を下降するように電圧V12から電圧V11に変化させても、目標となる透過率に達するまでの経過時間が長くなる。また、印加電圧を上昇させる場合よりも、下降させる場合の方が応答速度の低下は激しくなり、目標とする透過率に達するまでの経過時間がより長くなる。尚、図2において示される特性は、印加電圧を上昇させるとき透過率が低下する、いわゆるネガティブタイプの液晶NDフィルタ44によるものであるが、印加電圧を上昇させるとき透過率が上昇するポジティブタイプであっても、一般的には、印加電圧を上昇させるときの方が応答速度が速いことが知られている。
【0030】
温度別透過率対時間テーブル26には、この図2で示されるように、印加電圧を加える直前の印加電圧、加える印加電圧、および液晶NDフィルタ44の温度との関係がテーブルとして登録されている。尚、印加電圧を加える直前の印加電圧、加える印加電圧、および液晶NDフィルタ44の温度との関係が求められればよいので、これらのパラメータから透過率が算出できる近似関数を求め、温度別透過率対時間テーブル26に代えて利用するようにしてもよい。
【0031】
時間計測部27は、印加電圧を変化させたて印加し始めたタイミングからの経過時間を計測する。透過率特定部28は、時間計測部27により計測される経過時間と、サーミスタ45により計測される液晶NDフィルタ44の温度とに基づいて、温度別透過率対時間テーブル26を参照し、今現在の液晶NDフィルタ44の透過率を特定する。
【0032】
適正透過率算出部29は、レンズ鏡筒11の撮像素子46により撮像され、画像処理部12により所定の処理が施された画像信号に基づいて、液晶NDフィルタ44により設定可能な適正な透過率を算出する。
【0033】
NDフィルタ制御部24は、操作検出部21が半押しや全押しを検出した場合、透過率特定部28を制御して、今現在の透過率を特定し、透過率対電圧テーブル25を参照して、特定した透過率を維持する印加電圧を求めて印加し直す。このとき、ゲイン制御部22、およびシャッタ制御部23は、特定された透過率が目標とする最適な透過率に対して、どの程度過剰であるか、または、不足しているかを求めて、これらの過不足分を補うようにゲインおよびシャッタ速度、または、そのいずれかを制御する。このような動作により、液晶NDフィルタ44の応答特性により生じるフォーカスラグを低減することが可能となる。
【0034】
[図1の撮像装置による動作制御処理]
次に、図3のフローチャートを参照して、図1の撮像装置による撮像時の動作制御処理について説明する。
【0035】
ステップS1において、制御部16は、レンズ鏡筒11の撮像素子46を制御して、モニタリング用の画像を撮像させ、モニタリング用の画像信号を画像処理部12に出力させる。画像処理部12は、モニタリング用の画像を制御部16および表示制御部14に供給する。このとき、表示制御部14は、モニタリング画像の画像信号に所定の処理を施して表示部15に表示させる。
【0036】
ステップS2において、制御部16は、適正透過率算出部29を制御して、撮像に適切な液晶NDフィルタ44の透過率を算出する。
【0037】
ステップS3において、NDフィルタ制御部24は、適正な透過率の情報に基づいて、透過率対電圧テーブル25を参照し、適正な透過率に液晶NDフィルタ44を制御するための印加電圧の情報を読み出す。そして、NDフィルタ制御部24は、液晶NDフィルタ44を、読み出した適正な透過率に制御するための電圧で印加する。
【0038】
ステップS4において、時間計測部27は、印加電圧を変化させて印加したタイミングからの経過時間を計測する。尚、このとき、時間計測部27は、印加電圧を変化させる直前の印加電圧を記憶する。
【0039】
ステップS5において、操作検出部21は、操作部17が操作されて、撮像準備状態を指示する半押し操作がなされたか否かを判定する。ステップS5において、半押し操作がなされていないとみなされた場合、処理は、ステップS1に戻る。すなわち、半押し操作がなされるまで、ステップS1乃至S5の処理が繰り返されて、モニタリング画像が撮像され続けて、適切な光量を得るために適切な透過率になるように、常に、液晶NDフィルタ44の透過率が制御される状態となる。また、この間、ユーザは、表示部15に表示された画像を見ることにより、レンズ鏡筒11の撮像素子44が、どの位置を撮像しているのかを認識することができる。例えば、図4の時刻t0からモニタリングが開始されているような場合、時刻t21において、透過率がV21の状態からV22(<V21)に制御されるようなとき、時刻t21において印加電圧が変化して、時刻t22において目標の透過率V22となったことが示されている。さらに、モニタリング状態が継続することにより、時刻t23において、目標となる透過率が再び透過率V22となったことにより、印加電圧が変化すると、時刻t23から徐々に目標となる透過率V21まで徐々に上昇する。尚、図4の点線で示される例においては、透過率は、時刻t26において、目標となる透過率V21に到達することが示されている。
【0040】
そして、ステップS5において、例えば、図4の時刻t24で示されるように、操作部17が半押し操作されることにより対応する操作信号が発生し、半押し操作がなされたと判定された場合、処理は、ステップS6に進む。
【0041】
ステップS6において、制御部16は、透過率特定部28を制御して、今現在の液晶NDフィルタ44の透過率を特定させる。より詳細には、透過率特定部28は、時間計測部27を制御して、印加電圧が変化したタイミングからの経過時間を問い合わせる。時間計測部27は、印加電圧の変化を監視しながら、印加電圧が変化したタイミングからの経過時間を計測し続けている。このため、時間計測部27は、問合せがあったタイミングにおける印加電圧が変化したタイミングからの経過時間を応答すると共に、印加電圧が変化する直前のタイミングにおける印加電圧についても併せて応答する。また、透過率特定部28は、サーミスタ45を制御して、液晶NDフィルタの今現在の温度を測定させる。そして、透過率特定部28は、応答のあった印加電圧が変化したタイミングからの経過時間、印加電圧が変化する直前までの印加電圧、および、サーミスタ45により測定された温度に基づいて、温度別透過率対時間テーブル26を参照して、今現在の液晶NDフィルタ44の透過率を特定する。
【0042】
すなわち、例えば、図2の下段で示されるように、印加電圧V12からV11へと変化し、かつ、変化したタイミングが時刻t1であって、経過時間が(tA−t1)であるような場合、温度がT1であるときには、透過率特定部28は、図2の上段で示される波形L1に従って、今現在の透過率が透過率V4であるものとして特定する。また、例えば、図2の下段で示されるように、印加電圧が変化したタイミングが時刻t1であって、経過時間が(tA−t1)であるような場合、温度がT2であるときには、図2の上段で示される波形L2に従って、透過率特定部28は、今現在の透過率を、透過率V3であるものとして特定する。
【0043】
ステップS7において、制御部16は、NDフィルタ制御部24を制御して、今現在の液晶NDフィルタ44の透過率の状態を維持する電圧を、透過率対電圧テーブル25を参照して読み出させる。すなわち、今現在の液晶NDフィルタ44の透過率の状態を維持する印加電圧とは、ステップS6の処理で求められた透過率に対応する印加電圧である。そこで、NDフィルタ制御部24は、透過率対電圧テーブル25を参照して、特定された透過率に対応する印加電圧の情報を読み出す。
【0044】
ステップS8において、NDフィルタ制御部24は、読み出した印加電圧を液晶NDフィルタ44に印加する。すなわち、例えば、図4で示されるように、半押し操作がなされた時刻t24における透過率がV23である場合、時刻t24以降においては、液晶NDフィルタ44に対して透過率V23となるように印加電圧が変化して印加されることになるため、液晶NDフィルタ44の透過率は透過率V23の状態で固定(ロック)されることになる。
【0045】
ステップS9において、ゲイン制御部22、およびシャッタ制御部23は、現状の透過率における適正な透過率に対する差分の情報に基づいて、適切な明るさに対して過剰となっている明るさ、または、不足している明るさを調整するためのゲイン、およびシャッタスピードを算出する。
【0046】
すなわち、例えば、図5で示されるように、適正な透過率が透過率V32であって、時刻t0において、印加電圧を変化させて透過率がV31から徐々に変化していたところ、時刻t51において半押し操作がなされたことにより、透過率V31に到達せず透過率33(>透過率32)であるような場合、目標とする適正な透過率V32に対して透過率が(V33−V32)だけ過剰な状態であると考えることができる。
【0047】
液晶NDフィルタ44の透過率が、適正な透過率V32となっていれば、図6の状態Z1で示されるように、撮像素子46のゲイン、シャッタスピード、および液晶NDフィルタ44の透過率により、それぞれが適切に調整されることで、適切な明るさとなった画像を撮像素子46が撮像することができる。しかしながら、図5で示されるような状態となると、図6の状態Z2で示されるように、本来液晶NDフィルタ44の透過率により調整すべき明るさのパラメータが、上述したように適切な値とならないため、適切な明るさに対して乖離する成分が含まれることになり、結果として、適切な明るさで撮像することができない。
【0048】
そこで、ステップS9の処理においては、例えば、図6の状態Z3で示されるように、液晶NDフィルタ44の透過率により調整すべき明るさのパラメータでは不十分な状態となっている乖離成分を、撮像素子46のシャッタスピードで補う。尚、図6においては、液晶NDフィルタ44の透過率により調整すべき明るさのパラメータでは不十分な状態となっている乖離成分をシャッタスピードのパラメータを調整することにより、全体として適切な明るさにする例が示されているが、ゲインを調整するパラメータを制御することで、全体として適切な明るさにするようにしてもよいし、両方を調整することで、全体として適切な明るさにするようにしてもよい。
【0049】
ステップS10において、制御部16は、フォーカスレンズ43を制御して、AF(Auto Focus)動作を実行させて、撮像素子46に被写体の像が決像される状態に設定する。
【0050】
ステップS11において、操作検出部21は、操作部17の操作信号に基づいて、半押し操作が解除されたか否かを判定する。ステップS11において、例えば、半押し操作が解除された場合、処理は、ステップS14に進み、オートフォーカスが解除されて、ステップS1に戻る。すなわち、この場合、モニタリングの状態に戻ることになる。
【0051】
一方、ステップS11において、半押し操作が解除されない場合、ステップS12において、操作検出部21は、操作部17の操作信号に基づいて、撮像指示を示す全押し操作がなされたか否かを判定し、全押し操作がなされない場合、処理は、ステップS11に戻る。すなわち、半押し状態が継続された場合、ステップS11,S12の処理が繰り返される。
【0052】
そして、ステップS12において、例えば、図4の時刻t27で示されるように、全押し操作がなされたとみなされた場合、処理は、ステップS13に進む。
【0053】
ステップS13において、ゲイン制御部22、およびシャッタ制御部23は、撮像素子46を制御して、ステップS10の処理で求められた適切なゲイン、およびシャッタスピードで画像を撮像させ、処理は、ステップS14に進む。この処理により、例えば、図4の時刻t27乃至t28で示されるように、撮像素子46は、画像を撮像(キャプチャ)し、撮像した画像を画像信号として画像処理部12に供給する。そして、この処理の後は、時刻t28以降で示されるようにモニタリングの処理に戻る。尚、図4においては、時刻t28以降においては、印加電圧が時刻t23における状態に戻されることにより、時刻t29において、透過率がV21に到達したことが示されている。
【0054】
このような処理により、図4の時刻t23で示されるように、液晶NDフィルタ44を適切な透過率にするため、印加電圧を変化させた後、適正な透過率となる時刻t26の前のタイミングである時刻t24で半押し操作がなされることで、適正ではない透過率の状態で焦点調整がロックされても、その状態で透過率が固定され、かつ、その透過率で調整できなかった明るさをゲインやシャッタスピードを調整して撮像することが可能となる。
【0055】
結果として、液晶NDフィルタ44への印加電圧に対する透過率の応答速度が追い付かないことにより生じるフォーカスラグを抑制することが可能となる。
【0056】
尚、以上においては、NDフィルタの一例として液晶NDフィルタを用いた例について説明してきたが、印加電圧に応じて透過率が変化するタイプのNDフィルタであれば、他の構造のNDフィルタでもよいものである。また、NDフィルタの一例として、ネガティブタイプの液晶NDフィルタを用いる例について説明してきたが、ポジティブタイプの液晶NDフィルタでも良い。さらに、応答特性について、液晶NDフィルタの温度特性につても考慮する例について説明してきたが、応答特性に影響するパラメータは温度以外のものを考慮するようにしてもよい。
【0057】
<2.第2の実施の形態>
[本技術を適用した撮像装置の第2の実施の形態の構成例]
以上においては、液晶NDフィルタに印加電圧を印加したタイミングからの経過時間、および、液晶NDフィルタの温度に基づいて、透過率対時間テーブルを参照し、半押しされたタイミングにおける透過率を特定し、特定した透過率を維持するための印加電圧と、目標とする透過率との差分、すなわち、本来液晶NDフィルタにより調整されるべき明るさとの差分を調整するための、ゲインおよびシャッタスピードを算出する例について説明してきた。しかしながら、半押しされたタイミングにおける透過率は、そのタイミングにおける液晶NDフィルタの透過率を実測して利用するようにしても良い。
【0058】
図7は、半押しされたタイミングにおける液晶NDフィルタの透過率を実測して利用するようにした撮像装置の第2の実施の形態の構成例を示している。尚、図7の撮像装置において、図1の撮像装置の構成と同一の機能を備えた構成については、同一の名称、および同一の符号を付しており、その説明は適宜省略するものとする。
【0059】
すなわち、図7の撮像装置において、図1の撮像装置と異なる点は、液晶NDフィルタ44、およびサーミスタ45に代えて、液晶NDフィルタ101、および光量測定部102を設けた点である。また、制御部16において、NDフィルタ制御部24、温度別透過率対時間テーブル26、時間計測部27、および透過率特定部28に代えて、NDフィルタ制御部111、および透過率特定部112を設けた点である。液晶NDフィルタ101は、基本的には、液晶NDフィルタ24と同様の機能のものであるが、レンズ鏡筒11の内径よりも一部がはみ出す部位を持つ構成となっている。そして、光量測定部102は、液晶NDフィルタ101の部位のうち、レンズ鏡筒111よりもはみ出した部位を挟むように構成されており、液晶NDフィルタ101の前段部と後段部との光量をそれぞれ測定する測定部102a,102bが設けられており、それぞれの位置で測定される光量を制御部16に供給する。すなわち、液晶NDフィルタ101の前段に設けられた光量測定部102の測定部102aは、液晶NDフィルタ101に入射前の光量を測定している。また、液晶NDフィルタ101の後段に設けられた光量測定部102の測定部102bは、液晶NDフィルタ101を透過した後の光量を測定している。
【0060】
NDフィルタ制御部111は、基本的にはNDフィルタ制御部24と同様のものであるが、半押しがなされたタイミングにおける液晶NDフィルタ101の透過率については、透過率特定部112により特定された値を利用する。透過率特定部112は、光量測定部102より供給されてくる、液晶NDフィルタ101の前段と後段のそれぞれの光量の比から透過率を算出し、特定する。
【0061】
[図7の撮像装置による動作制御処理]
次に、図8のフローチャートを参照して、図7の撮像装置による撮像時の動作制御処理について説明する。尚、図8のフローチャートにおいては、ステップS36の処理を除き、図3のフローチャートを参照して説明したステップS1乃至S5,S7乃至S14の処理と同様であるので、その説明は省略するものとする。
【0062】
すなわち、ステップS31乃至S35の処理においては、モニタリング画像が撮像され、半押しされたとみなされるまで、同様の処理が繰り返される。そして、ステップS35において、半押しがなされたと判定された場合、処理は、ステップS36に進む。
【0063】
ステップS36において、透過率特定部112が、光量測定部102により測定された液晶NDフィルタ44の前段および後段の光量の比率を算出することにより、今現在の液晶NDフィルタの透過率を特定する。
【0064】
そして、ステップS37において、NDフィルタ制御部111が、特定された液晶NDフィルタ44の透過率に対応する印加電圧を透過率対電圧テーブル25より読み出し、ステップS38において、読み出した印加電圧を液晶NDフィルタに印加して、半押しされたタイミングにおける透過率にロックした状態とする。そして、ステップS39において、半押しされたタイミングにおける透過率と、目標とする透過率との差分から、液晶NDフィルタ101により調整できない明るさを、調整するためのゲインおよびシャッタスピードが算出され、ステップS40において、AFが実行される。最終的に、ステップS42において、操作部17が全押しされることにより撮像が指示されると、ステップS43において、半押しされたタイミングにおける液晶NDフィルタの透過率で、かつ、ステップS39の処理で算出されたゲイン、およびシャッタスピードで画像が撮像される。
【0065】
以上の処理により、図1の撮像装置においては、操作部が操作されて半押しされたタイミングの液晶NDフィルタ44の透過率が直接測定されるため、正確な透過率が求められるので、液晶NDフィルタに印加すべき印加電圧をより高い精度で算出することが可能になる。また、半押しされたタイミングの液晶NDフィルタ44の透過率が正確に求められるので、液晶NDフィルタにより調整できない明るさを調整するためのゲインおよびシャッタスピードをより高い精度で制御することが可能となる。
【0066】
結果として、液晶NDフィルタへの印加電圧に対する透過率の応答速度が追い付かないことにより生じるフォーカスラグを低減することが可能となる。
【0067】
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行することもできるし、ソフトウエアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。ここで、コンピュータには、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータや、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどが含まれる。
【0068】
図9は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウェアの構成例を示すブロック図である。
【0069】
コンピュータにおいて、CPU(Central Processing Unit)1001,ROM(Read Only Memory)1002,RAM(Random Access Memory)1003は、バス1004により相互に接続されている。
【0070】
バス1004には、さらに、入出力インタフェース1005が接続されている。入出力インタフェース1005には、入力部1006、出力部1007、記憶部1008、通信部1009、及びドライブ1010が接続されている。
【0071】
入力部1006は、キーボード、マウス、マイクロフォンなどよりなる。出力部1007は、ディスプレイ、スピーカなどよりなる。記憶部1008は、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる。通信部1009は、ネットワークインタフェースなどよりなる。ドライブ1010は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリなどのリムーバブルメディア1011を駆動する。
【0072】
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU1001が、例えば、記憶部1008に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース1005及びバス1004を介して、RAM1003にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
【0073】
コンピュータ(CPU1001)が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブルメディア1011に記録して提供することができる。また、プログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供することができる。
【0074】
コンピュータでは、プログラムは、リムーバブルメディア1011をドライブ1010に装着することにより、入出力インタフェース1005を介して、記憶部1008にインストールすることができる。また、プログラムは、有線または無線の伝送媒体を介して、通信部1009で受信し、記憶部1008にインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM1002や記憶部1008に、あらかじめインストールしておくことができる。
【0075】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0076】
また、本明細書において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、すべての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
【0077】
なお、本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0078】
例えば、本技術は、1つの機能をネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成をとることができる。
【0079】
また、上述のフローチャートで説明した各ステップは、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
【0080】
さらに、1つのステップに複数の処理が含まれる場合には、その1つのステップに含まれる複数の処理は、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
【0081】
尚、本技術は以下のような構成を取ることができる。
(1) 印加電圧により透過率が可変な透過率可変減光フィルタの透過率を特定する透過率特定部と、
前記透過率特定部により特定された透過率となるように前記透過率可変減光フィルタに印加する電圧を制御する印加電圧制御部とを含み、
前記印加電圧制御部は、撮像準備または撮像が指示されたタイミングにおける、前記透過率特定部により特定される、前記透過率可変減光フィルタの透過率を維持するように、前記透過率可変減光フィルタに印加する電圧を制御する
動作制御装置。
(2) 前記透過率可変減光フィルタを介して、画像を撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像される画像の明るさから、前記透過率可変減光フィルタの適切な透過率を算出する透過率算出部と、
前記透過率可変減光フィルタの透過率に対応する印加電圧を記憶する印加電圧記憶部とを含み、
前記印加電圧制御部は、前記印加電圧記憶部に記憶されている印加電圧のうち、前記透過率算出部により算出された適切な透過率に対応する印加電圧を前記透過率可変減光フィルタに印加するように制御する
(1)に記載の動作制御装置。
(3) 前記撮像部により撮像される画像の撮像準備、または撮像を指示するとき操作される操作部とをさらに含み、
前記透過率特定部は、前記印加電圧制御部が前記透過率可変減光フィルタに印加電圧を印加し始めた後の、所定のタイミングにおける透過率を特定し、
前記印加電圧制御部は、前記印加電圧記憶部に記憶された前記透過率可変減光フィルタの透過率に対応する印加電圧のうち、前記操作部により撮像準備を指示する操作がなされたタイミングにおける、前記透過率特定部により特定される透過率に対応する印加電圧を、前記透過率可変減光フィルタに印加するように制御する
(1)または(2)に記載の動作制御装置。
(4) 前記印加電圧制御部が印加電圧を第1の電圧に制御する際、前記印加電圧を制御し始めるときの第2の電圧から、前記第1の電圧へと制御が完了するまでの時系列の、前記透過率可変減光フィルタの透過率の応答特性データを記憶する応答特性データ記憶部と、
前記印加電圧制御部が印加電圧を制御し始めた後に経過した経過時間を計測する経過時間計測部とをさらに含み、
前記透過率特定部は、前記経過時間計測部により計測された経過時間、および、前記応答特性データ記憶部に記憶された応答特性データに基づいて、前記印加電圧制御部が前記透過率可変減光フィルタに印加電圧を印加し始めた後から、前記操作部により撮像準備を指示する操作がなされるタイミングまでに経過した経過時間における透過率を、前記操作部により撮像準備を指示する操作がなされるタイミングにおける透過率として特定する
(1)乃至(3)のいずれかに記載の動作制御装置。
(5) 前記透過率可変減光フィルタの温度を測定する温度測定部をさらに含み、
前記応答特性データ記憶部は、前記印加電圧制御部が印加電圧を第1の電圧に制御する際、前記印加電圧を制御し始めるときの第2の電圧から、前記第1の電圧にまで制御が完了するまでの時系列の、前記透過率可変減光フィルタの透過率の応答特性データを、前記透過率可変減光フィルタの温度毎に記憶し、
前記透過率特定部は、前記経過時間計測部により計測された経過時間、前記応答特性データ記憶部に記憶された応答特性データ、および前記温度測定部により測定された透過率可変減光フィルタの温度に基づいて、前記印加電圧制御部が前記透過率可変減光フィルタに印加電圧を印加し始めた後から、前記操作部により撮像準備を指示する操作がなされるタイミングまでに経過した経過時間における透過率を、前記操作部により撮像準備を指示する操作がなされるタイミングにおける透過率として特定する
(1)乃至(4)のいずれかに記載の動作制御装置。
(6) 前記透過率可変減光フィルタの前段および後段の光量を測定する光量測定部をさらに含み、
前記透過率特定部は、前記光量測定部により測定された前記透過率可変減光フィルタの前段および後段の光量に基づいて、前記印加電圧制御部が前記透過率可変減光フィルタに印加電圧を印加し始めた後の、前記操作部により撮像準備を指示する操作がなされるタイミングにおける透過率を特定する
(1)乃至(3)のいずれかに記載の動作制御装置。
(7) 前記撮像部により撮像される画像のゲインを制御するゲイン制御部と、
前記撮像部により画像が撮像されるタイミングにおいて、前記撮像部に入射される光を遮光する遮光速度を制御するシャッタ制御部とをさらに含み、
前記透過率特定部により取得された透過率により透過される明るさが、前記撮像部により画像が撮像される際の最適な明るさに対して過不足する場合、前記明るさが最適なものとなるように、前記ゲイン制御部が前記撮像部のゲインを制御し、前記シャッタ制御部が前記遮光速度を制御するか、または、そのいずれかが制御される
(1)乃至(6)のいずれかに記載の動作制御装置。
(8) 前記透過率可変減光フィルタは、液晶NDフィルタである
(1)乃至(7)のいずれかに記載の動作制御装置。
(9) 前記透過率可変減光フィルタは、前記印加電圧の上昇に応じて前記透過率が増大するもの、または、前記印加電圧の上昇に応じて前記透過率が減少するものである
(1)乃至(8)のいずれかに記載の動作制御装置。
(10) 動作制御装置の動作制御方法であって、
印加電圧により透過率が可変な透過率可変減光フィルタの透過率を特定する透過率特定処理をし、
前記透過率特定処理により取得された透過率となるように前記透過率可変減光フィルタに印加する電圧を制御する印加電圧制御処理をするステップを含み、
前記印加電圧制御処理は、撮像準備が指示されたタイミングにおける、前記透過率特定処理により特定される、前記透過率可変減光フィルタの透過率を維持するように、前記透過率可変減光フィルタに印加する電圧を制御する
動作制御方法。
(11) コンピュータを、
印加電圧により透過率が可変な透過率可変減光フィルタの透過率を特定する透過率特定部と、
前記透過率特定部により特定された透過率となるように前記透過率可変減光フィルタに印加する電圧を制御する印加電圧制御部として機能させ、
前記印加電圧制御部は、撮像準備または撮像が指示されたタイミングにおける、前記透過率特定部により特定される、前記透過率可変減光フィルタの透過率を維持するように、前記透過率可変減光フィルタに印加する電圧を制御する
ためのプログラム。
(12) 印加電圧により透過率が可変な透過率可変減光フィルタの透過率を特定する透過率特定部と、
前記透過率特定部により特定された透過率となるように前記透過率可変減光フィルタに印加する電圧を制御する印加電圧制御部とを含み、
前記印加電圧制御部は、撮像準備または撮像が指示されたタイミングにおける、前記透過率特定部により特定される、前記透過率可変減光フィルタの透過率を維持するように、前記透過率可変減光フィルタに印加する電圧を制御する
撮像装置。
【符号の説明】
【0082】
11 レンズ鏡筒, 12 画像処理部, 13 記録媒体, 14 表示処理部, 15 表示部, 16 制御部, 17 操作部, 21 操作検出部, 22 ゲイン制御部, 23 シャッタ制御部, 24 NDフィルタ制御部, 25 透過率対電圧テーブル, 26 温度別透過率対時間テーブル, 27 時間計測部, 28 透過率特定部, 29 適正透過率算出部, 41 ズームレンズ, 42 絞り, 43 フォーカスレンズ, 44 液晶NDフィルタ, 45 サーミスタ, 46 撮像素子, 101 液晶NDフィルタ, 102 光量測定部, 102a,102b 測定部, 111 NDフィルタ, 112 透過率特定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印加電圧により透過率が可変な透過率可変減光フィルタの透過率を特定する透過率特定部と、
前記透過率特定部により特定された透過率となるように前記透過率可変減光フィルタに印加する電圧を制御する印加電圧制御部とを含み、
前記印加電圧制御部は、撮像準備または撮像が指示されたタイミングにおける、前記透過率特定部により特定される、前記透過率可変減光フィルタの透過率を維持するように、前記透過率可変減光フィルタに印加する電圧を制御する
動作制御装置。
【請求項2】
前記透過率可変減光フィルタを介して、画像を撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像される画像の明るさから、前記透過率可変減光フィルタの適切な透過率を算出する透過率算出部と、
前記透過率可変減光フィルタの透過率に対応する印加電圧を記憶する印加電圧記憶部とを含み、
前記印加電圧制御部は、前記印加電圧記憶部に記憶されている印加電圧のうち、前記透過率算出部により算出された適切な透過率に対応する印加電圧を前記透過率可変減光フィルタに印加するように制御する
請求項1に記載の動作制御装置。
【請求項3】
前記撮像部により撮像される画像の撮像準備、または撮像を指示するとき操作される操作部とをさらに含み、
前記透過率特定部は、前記印加電圧制御部が前記透過率可変減光フィルタに印加電圧を印加し始めた後の、所定のタイミングにおける透過率を特定し、
前記印加電圧制御部は、前記印加電圧記憶部に記憶された前記透過率可変減光フィルタの透過率に対応する印加電圧のうち、前記操作部により撮像準備を指示する操作がなされたタイミングにおける、前記透過率特定部により特定される透過率に対応する印加電圧を、前記透過率可変減光フィルタに印加するように制御する
請求項2に記載の動作制御装置。
【請求項4】
前記印加電圧制御部が印加電圧を第1の電圧に制御する際、前記印加電圧を制御し始めるときの第2の電圧から、前記第1の電圧へと制御が完了するまでの時系列の、前記透過率可変減光フィルタの透過率の応答特性データを記憶する応答特性データ記憶部と、
前記印加電圧制御部が印加電圧を制御し始めた後に経過した経過時間を計測する経過時間計測部とをさらに含み、
前記透過率特定部は、前記経過時間計測部により計測された経過時間、および、前記応答特性データ記憶部に記憶された応答特性データに基づいて、前記印加電圧制御部が前記透過率可変減光フィルタに印加電圧を印加し始めた後から、前記操作部により撮像準備を指示する操作がなされるタイミングまでに経過した経過時間における透過率を、前記操作部により撮像準備を指示する操作がなされるタイミングにおける透過率として特定する
請求項3に記載の動作制御装置。
【請求項5】
前記透過率可変減光フィルタの温度を測定する温度測定部をさらに含み、
前記応答特性データ記憶部は、前記印加電圧制御部が印加電圧を第1の電圧に制御する際、前記印加電圧を制御し始めるときの第2の電圧から、前記第1の電圧にまで制御が完了するまでの時系列の、前記透過率可変減光フィルタの透過率の応答特性データを、前記透過率可変減光フィルタの温度毎に記憶し、
前記透過率特定部は、前記経過時間計測部により計測された経過時間、前記応答特性データ記憶部に記憶された応答特性データ、および前記温度測定部により測定された透過率可変減光フィルタの温度に基づいて、前記印加電圧制御部が前記透過率可変減光フィルタに印加電圧を印加し始めた後から、前記操作部により撮像準備を指示する操作がなされるタイミングまでに経過した経過時間における透過率を、前記操作部により撮像準備を指示する操作がなされるタイミングにおける透過率として特定する
請求項4に記載の動作制御装置。
【請求項6】
前記透過率可変減光フィルタの前段および後段の光量を測定する光量測定部をさらに含み、
前記透過率特定部は、前記光量測定部により測定された前記透過率可変減光フィルタの前段および後段の光量に基づいて、前記印加電圧制御部が前記透過率可変減光フィルタに印加電圧を印加し始めた後の、前記操作部により撮像準備を指示する操作がなされるタイミングにおける透過率を特定する
請求項3に記載の動作制御装置。
【請求項7】
前記撮像部により撮像される画像のゲインを制御するゲイン制御部と、
前記撮像部により画像が撮像されるタイミングにおいて、前記撮像部に入射される光を遮光する遮光速度を制御するシャッタ制御部とをさらに含み、
前記透過率特定部により取得された透過率により透過される明るさが、前記撮像部により画像が撮像される際の最適な明るさに対して過不足する場合、前記明るさが最適なものとなるように、前記ゲイン制御部が前記撮像部のゲインを制御し、前記シャッタ制御部が前記遮光速度を制御するか、または、そのいずれかが制御される
請求項1に記載の動作制御装置。
【請求項8】
前記透過率可変減光フィルタは、液晶NDフィルタである
請求項1に記載の動作制御装置。
【請求項9】
前記透過率可変減光フィルタは、前記印加電圧の上昇に応じて前記透過率が増大するもの、または、前記印加電圧の上昇に応じて前記透過率が減少するものである
請求項1に記載の動作制御装置。
【請求項10】
動作制御装置の動作制御方法であって、
印加電圧により透過率が可変な透過率可変減光フィルタの透過率を特定する透過率特定処理をし、
前記透過率特定処理により取得された透過率となるように前記透過率可変減光フィルタに印加する電圧を制御する印加電圧制御処理をするステップを含み、
前記印加電圧制御処理は、撮像準備または撮像が指示されたタイミングにおける、前記透過率特定処理により特定される、前記透過率可変減光フィルタの透過率を維持するように、前記透過率可変減光フィルタに印加する電圧を制御する
動作制御方法。
【請求項11】
コンピュータを、
印加電圧により透過率が可変な透過率可変減光フィルタの透過率を特定する透過率特定部と、
前記透過率特定部により特定された透過率となるように前記透過率可変減光フィルタに印加する電圧を制御する印加電圧制御部として機能させ、
前記印加電圧制御部は、撮像準備または撮像が指示されたタイミングにおける、前記透過率特定部により特定される、前記透過率可変減光フィルタの透過率を維持するように、前記透過率可変減光フィルタに印加する電圧を制御する
ためのプログラム。
【請求項12】
印加電圧により透過率が可変な透過率可変減光フィルタの透過率を特定する透過率特定部と、
前記透過率特定部により特定された透過率となるように前記透過率可変減光フィルタに印加する電圧を制御する印加電圧制御部とを含み、
前記印加電圧制御部は、撮像準備または撮像が指示されたタイミングにおける、前記透過率特定部により特定される、前記透過率可変減光フィルタの透過率を維持するように、前記透過率可変減光フィルタに印加する電圧を制御する
撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−88597(P2013−88597A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228540(P2011−228540)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】