説明

動作玩具

【課題】ジッパーを剥がす感覚を何度でも繰り返して味わうことを可能とし、かつ、遊戯的要素が追加された玩具を提供する。
【解決手段】本発明の動作玩具は、本体上部に設けられた第1の吸着部材およびスイッチと、第1の吸着部材により吸着可能な切り掛け部材と、音声を出力するスピーカー部と、を有し、切り掛け部材と磁石との着脱により、スイッチがオン又はオフし、スイッチがオン状態になった場合にスピーカー部から音声が出力される。なお、切り掛け部材は、第1の吸着部材により吸着される位置に第2の吸着部材を有することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部材の着脱によって音声が出力される動作玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
菓子類のパッケージをはじめとして様々な分野で、包装箱等の開封を容易に行うために、開封部分に予めジッパーと呼ばれる2本の切取り線にはさまれた切取り部を設け、切取り部を剥がすことによって包装箱を開封する構造が広く利用されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開10−81326号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
切取り部を剥がすことは、爽快感がありストレス解消になると考えられるが、開封のために設けられた切取り部は一旦剥がしてしまうと再度の利用はできないため、使い切りとなる。またジッパー加工を家庭で作成することは困難であるため、繰り返して楽しむことができなかった。
【0004】
そこで、本発明では、ジッパーを剥がす感覚を何度でも繰り返して味わうことを可能とし、かつ、遊戯的要素が追加された玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の動作玩具は、本体上部に設けられた第1の吸着部材およびスイッチと、第1の吸着部材により吸着可能な切り掛け部材と、音声を出力するスピーカー部と、を有し、切り掛け部材と第1の吸着部材との着脱により、スイッチがオン又はオフし、スイッチがオン状態になった場合にスピーカー部から音声が出力される。
【0006】
本発明の動作玩具において、切り掛け部材は、第1の吸着部材により吸着される位置に第2の吸着部材を有することが好ましい。また、第1の吸着部材と、第2の吸着部材とが離間した際に、スイッチがオン状態となることが好ましい。また、切り掛け部材には複数の切込みが設けられており、任意の切込みの間の少なくとも1つ以上の領域に第2の吸着部材が設けられていることが好ましい。また、切り掛け部材には複数の切込みが設けられており、任意の切込みの間の少なくとも1つ以上の領域に凸部が設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、ジッパーを剥がす感覚を何度でも繰り返して味わうことを可能とし、かつ、遊戯的要素が追加された玩具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は、本実施形態に対応する動作玩具100の外観を示す図である。本実施の形態における動作玩具は、本体101と、本体101の上部に設けられた切り掛け部材102とを有する。
【0009】
ここで、切り掛け部材102は、変形可能な軟性材料から形成されており、端部をつまんで持ち上げることにより、図2(a)に示すように端部より部分的に本体100と切り掛け部材102が離間する。
【0010】
本体部101表面には、複数の磁石104が本体部101表面から突出するように設けられ、スイッチ部材105が本体部101表面から突出するように設けられている。
【0011】
切り掛け部材102には、突出した磁石104を挿入可能な位置に開口部106が形成され、突出したスイッチ部材105を押圧可能な位置に突起部107が形成されている。そして、切り掛け部材102の開口部106内部には、本体部材101に設けられた磁石104と吸着可能な磁石や鉄等の吸着部材108が設けられている。
【0012】
図2(b)は切り掛け部材102の裏面(本体部101と接する側)を示している。本実施の形態の切り掛け部材102は、複数の切込み201〜204が形成され、それぞれの切込みの間の領域にそれぞれ凸部205〜208が設けられている。なお、凸部205〜207には、それぞれ吸着部材108が設けられている。
【0013】
切り掛け部材102の端部をつまんで持ち上げることにより、磁石と吸着部材の吸着が解除され、図2(a)に示すように本体部101と切り掛け部材102とが離間する。磁石と吸着部材の吸着力により、あたかもジッパーを剥がすかの如き感覚を得ることができる。さらに、本実施の形態では、切り掛け部材に設けられた切込みの間の領域に、それぞれ吸着部材が設けられた凸部が形成されており、本体上部には該凸部に対向する位置に凹部209(図2(a)の点線で囲まれた窪み部分)が設けられている。本体部101と切り掛け部材102との着脱による該凸部と該凹部との係脱の際に、該凸部の影響により、それぞれの切込み部分において切り掛け部材の剥がれる速度が遅くなり、よりリアルにジッパーを剥がす感覚を味わうことが可能である。
【0014】
なお、切り掛け部材102の形状は、図1に示すような一般的なジッパー加工の形状を用いることにより、使用者の想像力が掻き立てられ、よりリアルにジッパーを剥がしている感覚を味わうことができる。ただし、切り掛け部材の形状は、ジッパー加工形状に限定されるものではなく、様々な形状を用いることができる。
【0015】
図3は、動作玩具100の組み立て図である。図3に示すように、動作玩具100は、蓋部材301、磁石104、スイッチ部材105、プリント基板302、本体部303が、積層されて構成される。
【0016】
蓋部材301は、動作玩具100の保護用のカバーの役割を果たし、プラスチックにより構成される。また、表面には磁石104を露出させるための開口部304と、スイッチ部材105を露出させるための開口部305が設けられている。また、ここでは、蓋部材301と接続するように切り掛け部材102が設けられている。なお、本実施の形態では、蓋部材301と切り掛け部材102とが部分的に接続するように設けられているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、蓋部材301と切り掛け部材102とが離間する際に、切り掛け部材102が蓋部材103から完全に離れる構造としてもよい。
【0017】
磁石104は、磁性体材料からなっており、蓋部材301の開口部304から玩具表面に突き出る突出部306が設けられている。
【0018】
スイッチ部材105は、シリコンラバーのような弾力性材料により構成され、蓋部材301の開口部305から玩具表面に突き出る突出部307が設けられている。
【0019】
プリント基板302上には、タクトスイッチ308が設けられており、スイッチ部材105からの圧力に応じてスイッチがオン又はオフされる。プリント基板302には、タクトスイッチ308がオン状態となった場合に導通するような配線が構成されている。
【0020】
本体部303には、音声出力用のスピーカー309、電源部310、制御部311が含まれる。制御部311は、電源部310からの電源供給を受け、プリント基板302上のタクトスイッチ308がオフ状態からオン状態へ変化したか否かを検知(判定)する。
【0021】
もし、タクトスイッチ308がオンになった場合には、スピーカー309より、音声出力を行う。また、制御部311は、タクトスイッチ308がオンになった場合に、所定の確率で異なる出力音をスピーカー309より出力させる。なお、本体部303の底面には、スピーカーからの音を出力するための、出力孔が設けられている。即ち、スピーカーのユニットは底面向きに設置され、該出力孔を介して音声が外部に出力される。
【0022】
次に、図4を参照して、切り掛け部材102と本体部101とが離間する様子を説明する。図4は、本体部101の蓋部材301と、スイッチ部材105、磁石104、切り掛け部材102の配置関係を示す断面図である。
【0023】
図4(a)は、本体部101と切り掛け部材102とが接触している様子を模式的に示している。蓋部材301に形成された開口部304から露出した磁石104と、切り掛け部材102に設けられた吸着部材108とが磁気的に吸着することにより、本体部101と切り掛け部材102とが接触している。また、切り掛け部材102に設けられた突起部107が蓋部材301に設けられた開口部305に挿入されて、スイッチ部材105を押圧する。この状態では、タクトスイッチ308はオフ状態となっている。
【0024】
図4(b)は、本体部101と切り掛け部材102とが離間している様子を模式的に示している。本体部101と切り掛け部材102とが離間することにより、切り掛け部材102に設けられた突起部107により押圧されていたスイッチ部材105の押圧が解除され、スイッチ部材105に設けられた突出部307が開口部305を介して露出する。この状態では、タクトスイッチ308はオン状態となっている。
【0025】
本実施の形態に示す動作玩具は、本体部101と切り掛け部材102とが離間することにより、スイッチがオンになり、動作玩具が作動する。なお、ここでは、本体部101側に磁石を設ける構造としたが、これに限られるものではなく、切り掛け部材側に磁石を設け、本体部側に鉄等の吸着部材を設けても良い。また、本体部101に設けられた磁石とスイッチ部材(又はタクトスイッチ)とを連動させて、本体部101の磁石と切り掛け部材102の吸着部材との着脱に連動して、タクトスイッチがオン又はオフする構造としてもよい。
【0026】
次に、図5を用いて本実施の形態に係る動作玩具の機能ブロック図を説明する。
【0027】
本発明の実施の形態にかかる動作玩具は、図5に示すように、電源501と、スイッチ502と、CPU(Central Processing Unit)503と、プログラムメモリ504と、D/A変換器(デジタル−アナログ変換器)505と、スピーカー506とを有する。
【0028】
電源501としては、例えば乾電池等を用いることが可能である。電源501からスイッチ501やCPU503等へ電力が供給される。
【0029】
スイッチ502は、本体部材に設けられたスイッチ部材の押圧によってオン/オフを切り換えるスイッチである。
【0030】
D/A変換器505は、CPU503から供給されたデジタル音声データをアナログ電気信号に変換して、スピーカー506に供給する。
【0031】
CPU503は、プログラムメモリ504のプログラムを実行する。プログラムメモリ504は、CPU503が実行するプログラムを記憶している。ここで、プログラムメモリ504には、スピーカー506から出力される音声に対応するデジタル音声データも記憶されている。
【0032】
スイッチ502がオンしてプログラムメモリ504のプログラムを実行することにより、メモリに予め記憶された音声が所定の確率で出力される。
【0033】
次に、図6のフローチャートを参照して、本体部101と切り掛け部材102とが離間した際の動作玩具の動作処理の一例について説明する。図6に示すフローチャートは、制御部において、対応する処理プログラムをプロセッサが実行することにより実現される。
【0034】
まず、ステップS1001では、タクトスイッチ701がOFF状態からON状態になったか否かを判定する。もし、ON状態になった場合には(ステップS1001において「YES」)、ステップS1002に移行する。ステップS1002では、プログラムメモリに記憶されたプログラムが実行される。
【0035】
続くステップS1003では、確率(P)がx/nに一致したか否かを判定する。もし、確率(P)がx/nの場合には(ステップS1003において「YES」)、ステップS1004に移行する。一方、確率(P)がx/nでない場合には(ステップS1003において「NO」)、音声aがスピーカーから出力される(ステップS1005)。
【0036】
ステップS1004では、音声bが出力されたか否かを判定する。もし、音声bが出力されなかった場合(ステップS1004において「NO」)、ステップS1006に移行する。一方、音声bが出力された場合(ステップS1004において「YES」)、動作を終了して待機状態となる。
【0037】
ステップS1006では、確率(P)がy/mに一致したか否かを判定する。もし、確率(P)がy/mの場合には(ステップS1006において「YES」)、音声cがスピーカーから出力される(ステップS1006)。一方、確率(P)がy/mでない場合には(ステップS1006において「NO」)、動作玩具から音声aがスピーカーから出力される(ステップS1005)。
【0038】
続くステップS1008では、確率(P)がz/qに一致したか否かを判定する。もし、確率(P)がz/qの場合には(ステップS1006において「YES」)、音声dがスピーカーから出力される(ステップS1009)。一方、確率(P)がz/qでない場合には(ステップS1008において「NO」)、動作玩具から音声eがスピーカーから出力される(ステップS1010)。
【0039】
ここで、スピーカーから出力される音声a〜eの一例を、例えば表1に示す。本実施の形態では、ジッパーが剥がれる感じを演出する「ペリペリ」音以外にも、所定の確率でルーレット音が発生し、当たり音又ははずれ音が発生する。
【0040】
【表1】

【0041】
本実施の形態の動作玩具では、一種類の音声だけでなく、様々な異なる音声を発生させることができる。さらに、発生音声の種類は操作回数等ではなく、ある確率によってランダムに発生されるものである。よって、使用者が次の動作を予想することが困難であり、繰り返し遊びに対する意欲を向上させることができる。なお、発生させる音声は様々なものを用いることができ、例えば、所定のメッセージや、動物の鳴き声、その他の効果音を利用することができる。
【0042】
なお、図中には示していないが、本実施の形態の動作玩具100には、キーホルダーや携帯ストラップに取り付けるための取付部材を設け、キーホルダーや携帯ストラップ用の玩具とすることができる。
【0043】
以上のように、本発明によれば、ジッパーを剥がす感覚を何度でも繰り返して味わう玩具を提供することが可能である。また、該玩具によれば、所定の確率によって異なる音声や特別音が出力されるので、単なるストレス発散目的ではなく、遊戯的要素を楽しむことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の動作玩具の外観を説明するための図。
【図2】本発明の動作玩具の外観を説明するための図。
【図3】本発明の動作玩具の組立て図を説明するための図。
【図4】本発明の動作玩具の構成を説明するための図。
【図5】本発明の動作玩具の機能ブロック図を説明するための図。
【図6】本発明の動作玩具のフローチャートを説明するための図。
【符号の説明】
【0045】
100 動作玩具
101 本体部
102 切り掛け部材
104 磁石
105 スイッチ部材
106 開口部
107 突起部
108 吸着部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体上部に設けられた第1の吸着部材およびスイッチと、前記第1の吸着部材により吸着可能な切り掛け部材と、
音声を出力するスピーカー部と、を有し、
前記切り掛け部材と前記第1の吸着部材との着脱により、前記スイッチがオン又はオフし、前記スイッチがオン状態になった場合に前記スピーカー部から音声が出力される動作玩具。
【請求項2】
請求項1において、
前記切り掛け部材は、前記第1の吸着部材により吸着される位置に第2の吸着部材を有する動作玩具。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、
前記第1の吸着部材と、前記第2の吸着部材とが離間した際に、前記スイッチがオン状態となる動作玩具。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項において、前記切り掛け部材には複数の切込みが設けられており、任意の切込みの間の少なくとも1つ以上の領域に第2の吸着部材が設けられている動作玩具。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項において、前記切り掛け部材には複数の切込みが設けられており、任意の切込みの間の少なくとも1つ以上の領域に凸部が設けられている動作玩具。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項において、所定の確率で異なる音声が発生する動作玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−51383(P2010−51383A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−217096(P2008−217096)
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【特許番号】特許第4327892号(P4327892)
【特許公報発行日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【出願人】(000135748)株式会社バンダイ (246)
【Fターム(参考)】