動力機付き二輪車および電力受信装置
【課題】誘電体損を抑制できるように受電用コイルを配置可能な動力機付き二輪車および電力受信装置を提供する。
【解決手段】自転車1は、バッテリーユニット60と、受電用のコイル101と、コイル101を介して受電した電力を充電するための回路ユニット61とを備える。コイル101は、導体101aと、導体101aの周りに配され、受電時の誘電体損を抑制する被覆部材101bとを有する。被覆部材101bは、内部に無数の気泡を含む誘電体材料からなっている。
【解決手段】自転車1は、バッテリーユニット60と、受電用のコイル101と、コイル101を介して受電した電力を充電するための回路ユニット61とを備える。コイル101は、導体101aと、導体101aの周りに配され、受電時の誘電体損を抑制する被覆部材101bとを有する。被覆部材101bは、内部に無数の気泡を含む誘電体材料からなっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電池を備えた動力機付き二輪車およびそれに装備されて好ましい電力受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電動モータにより駆動力を補助する、いわゆるアシスト自転車が商品化され普及している。かかるアシスト自転車には、電動モータに電力を供給するための充電池が装備される。充電池は、着脱可能となっており、適宜、商用電源を用いて充電される。充電は、専用のアダプターを用いて行われる。
【0003】
通常、充電は、家庭において行われるが、アシスト自転車が駐輪場に駐輪されたようなときに充電が行われると便利である。たとえば、駐輪場にワイヤレス電力伝送システムを配置することで、別途、充電のための作業を伴うことなく、アシスト自転車側の充電池に充電を行うことができる。
【0004】
かかる充電のためのシステムとして、たとえば、共鳴法による電力伝送システムを用いることができる(特許文献1)。このシステムでは、送電側のコイルと受電側のコイルとの間の磁気共鳴を利用して電力が送られる。2つのコイルがある程度離れていても、送電側から受電側に電力を送ることができる。このため、駐輪場におけるアシスト自転車の駐輪位置をそれほど厳格に管理せずとも、充電池に対する充電が円滑に行われ得る。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−106136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記システムでは、電力伝送の際に、種々の損失が起こり得る。磁気共鳴方式の電力伝送では、磁界の他、交流(高周波)の電界が発生する。この電界が誘電体に作用することにより、損失が生じる(誘電体損)。よって、受電用コイルは、誘電体損をなるべく抑制できるようにして、アシスト自転車に配置される必要がある。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みて為されたものであり、誘電体損を抑制できるように受電用コイルを配置可能な動力機付き二輪車および電力受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様は、動力機付き二輪車に関する。本態様に係る動力機付き二輪車は、充電池と、受電用のコイルと、前記コイルを介して受電した電力を前記充電池に充電するための充電回路とを備える。前記コイルは、導体と、前記導体の周りに配され、受電時の誘電体損を抑制する被覆部材とを有する。
【0009】
本発明の第2の態様は、電力受信装置に関する。本態様に係る電力受信装置は、充電池と、受電用のコイルと、前記コイルを介して受電した電力を前記充電池に充電するための充電回路とを備える。前記コイルは、導体と、前記導体の周りに配され、受電時の誘電体損を抑制する被覆部材とを有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、誘電体損を抑制できるように受電用コイルを配置可能な動力機付き二輪車および電力受信装置を提供することができる。
【0011】
本発明の特徴は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下の実施の形態は、あくまでも、本発明の一つの実施形態であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以下の実施の形態により何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態に係る自転車の構成を示す図である。
【図2】実施の形態に係る前かごの構成を示す図である。
【図3】実施の形態に係る前かごの枠組み構造を示す図である。
【図4】実施の形態に係るコイルの構成を示す図である。
【図5】実施の形態に係るコイルの取付状態を示す図である。
【図6】実施の形態に係るカバーの構成を示す図である。
【図7】実施の形態に係るカバーおよびコイルの取付方法を説明する図である。
【図8】実施の形態に係るカバーの取付状態を示す図である。
【図9】実施の形態に係る給電システムの構成を示す図である。
【図10】実施の形態に係る給電システムの回路構成を示す図である。
【図11】実施の形態の変更例に係る受電用コイルの配置形態を示す図である。
【図12】実施の形態の変更例に係る受電用コイルの構成を示す図である。
【図13】実施の形態の変更例に係る前かごの枠組み構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態につき図面を参照して説明する。本実施の形態は、アシスト自転車(以下、自転車という)に本発明を適用したものである。
【0014】
自転車1は、本体フレーム10と、前輪21と、後輪22と、サドル30と、ペダル40と、モータ50と、バッテリーユニット60と、前かご70と、前照灯80と、ハンドル90を備えている。
【0015】
モータ50には、バッテリーユニット60から電力が供給される。この電力によりモータ50が駆動されると、モータ50の駆動力がペダルクランク軸に伝達される。これにより、ペダル40を踏む力より大きな推進力で、自転車1を走行させることができる。なお、バッテリーユニット60の電力は、モータ50以外にも、前照灯80などの他の電気部品にも供給される。
【0016】
バッテリーユニット60は、着脱可能となっている。ユーザは、取り外したバッテリーユニット60に対し、所定のアダプターを用いて、充電を行うことができる。充電は、バッテリーユニット60に配された回路ユニット61によって制御される。
【0017】
本実施の形態では、かかる充電形態の他に、電力伝送による充電が可能となっている。すなわち、前かご70に受電用のコイルが配置され、このコイルと、送電側のコイルとの磁気共鳴を利用して、電力伝送が行われる。送電された電力は、回路ユニット61に送られ、バッテリーユニット60内の充電池に蓄電される。
【0018】
図2(a)は、前かご70と受電用コイルの概略構成を示す分解斜視図、図2(b)は、前かご70にコイル101、102および基板103と、カバー71とを取り付けた状態の斜視図である。
【0019】
図2(a)を参照して、前かご70の前面には、2つのコイル101、102と、基板103と、カバー71が装着される。領域S1は、カバー70の装着領域を示している。領域S1には、2つのコイル101、102と基板103が装着される。さらに、これら2つのコイル101、102と基板103を覆うように、カバー71が前かご70の前面に取り付けられる。カバー71は、前かご70側に開口71aが形成された有底箱形状を有している。
【0020】
コイル101は、両端が非接続のLC共振コイルであり、送電時に、送電側のコイルとの間で磁気共鳴が生じるように設計されている。すなわち、コイル101は、送電時に、送電側のコイルと、磁場の共鳴により磁気的に結合される。
【0021】
コイル102は、磁気共鳴によりコイル101に生じた磁界を、電磁誘導により、電力として取り出すよう構成されている。コイル102には、コイル101により生じる磁界の変化に応じて、電流(交流)が流れる。コイル102の両端は、基板103上の整流回路に接続されている。電磁誘導によりコイル102に流れた電流(交流)は、基板103上の整流回路によって直流の電流に変換され、図1に示すバッテリーユニット60の回路ユニット61に送られる。なお、図2(a)には、基板103から回路ユニット61に向かう配線が図示省略されている。
【0022】
本実施の形態では、2つのコイル101、102は、方形状に巻回されている。2つのコイル101、102は、方形状の他、円形状に巻回されても良い。ただし、コイル101は、その輪郭がなるべく大きい方が望ましい。コイル101の輪郭が大きいほど、送電距離を長くできるためである。
【0023】
図3は、前かご70の構成を示す図である。なお、図3には、前かご70の前面のうち、領域S1近傍の領域が示されている。
【0024】
前かご70は、全体が、プラスチック(合成樹脂)により形成されている。図3に示すように、前かご70は、縦フレーム701と横フレーム702とが交差した枠組み構造となっている。縦フレーム701と横フレーム702は一体的に形成され、縦フレーム701と横フレーム702の間には、フレームのない隙間が網目状に存在している。
【0025】
領域S1の内側には、図2に示すコイル101、102と基板103が装着される領域S2が設けられている。領域S2にも、他の領域と同様の形態にて、縦フレーム701と横フレーム702が形成されている。
【0026】
領域S1と領域S2の間には、図2のカバー71を取り付けるための4つの係子部705が形成されている。また、領域S2には、横フレーム704上に、コイル101を位置決め支持するための4つの支持部706が形成され、さらに、その内側にも、横フレーム704上に、コイル102を位置決めするための4つの支持部707が形成されている。また、領域S1の中央には、基板103を装着するための板部708が形成され、この板部708に、基板103が嵌め込まれる凹部708aが形成されている。
【0027】
なお、支持部706は、同図左右方向に所定の間隔をおいて形成された一対の突片706a(図7(c)参照)からなっている。コイル101は、一対の突片706aの間に挿入されることにより、支持部706によって位置決め支持される。支持部707も支持部706と同様、一対の突片からなっており、コイル102は、一対の突片の間に挿入されることにより、支持部707によって位置決め支持される。
【0028】
図4(a)は、コイル101の構成を示す図である。なお、図4(a)には、コイル1
01を巻き方向に所定の長さだけ切りき出した状態が示されている。便宜上、図4(a)には、導体101aが被覆部材101bから所定の長さだけ飛び出した状態が示されている。図4(a)には、一本の導体が被覆部材101bによって被覆された構成例が示されている。
【0029】
導体101aは、銅などの導電性の高い金属材料からなっている。被覆部材101bは、ポリエチレン、ポリスチレン、テフロン(登録商標)などの低誘電率の樹脂材料からなっている。なお、被覆部材101は、内部に無数の気泡を有する発泡部材により構成するのが望ましい。気泡(空気)の誘電率は、ポリエチレン、ポリスチレン、テフロン(登録商標)などの低誘電率体の誘電率よりも一層低い。よって、内部に無数の気泡を有する発泡部材により被覆部材101を構成することで、被覆部材101の誘電率をさらに低下させることができる。なお、かかる発泡部材として、発泡ポリエチレンや発泡ポリスチレン(発泡スチロール)等を用いることができる。
【0030】
図4(a)の構成例において、被覆部材101bは、たとえば、長さ方向に貫通する孔を中央に有する直線状の部材として形成される。被覆部材101bの孔に、直線状の導体101aが挿入される。こうして、被覆部材101bと導体101aとが一体化された後、被覆部材101bと導体101aを所望の形状に折り曲げることにより、コイル101が形成される。一体化された被覆部材101bと導体101aの長さに応じて、コイル101の巻き回数を2回以上に設定可能である。
【0031】
図4(b)は、コイル101の他の構成例を示す図である。この構成例では、2回巻回された一本の導体101aが一つの被覆部材101bで被覆されている。図4(b)には、図4(a)と同様、コイル101を巻き方向に所定の長さだけ切りき出した状態が示されている。この場合、被覆部材101bは、巻き方向に平行な平面(同図のA−A’面)によって、2つのパート101b1、101b2に分けられる。パート101b1、101b2は、それぞれ、図2(a)のコイル101と同様、方形形状の輪郭を有している。これら2つのパート101b1、101b2を互いに貼り合わせることにより、被覆部材101bが構成される。
【0032】
図4(c)は、パート101b1の一部斜視図、図4(d)は、図4(b)からパート101bのみを取り出した図である。図4(c)、(d)に示すように、パート101b1には、導体101aが嵌め込まれる溝Gが形成されている。パート101b2もパート101b1と同様の構成を有する。すなわち、パート101b2には、パート101b2をパート101b1に貼り合わせると、パート101b1の溝Gに向き合う溝Gが形成されている。パート101b1、101b2に形成された溝Gの輪郭は、所望の形状に2回巻回された導体101aと同様の輪郭を有している。
【0033】
所望の形状に2回巻回された状態の一本の導体101aが、パート101b1の溝Gに嵌め込まれる。その後、パート101b2の溝Gを導体101aに嵌め込むようにして、パート101b2がパート101b1に貼り合わされる。こうしてコイル101が形成される。
【0034】
図5は、領域S2にコイル101、102と基板103を装着した状態を示す図である。図5に示すとおり、コイル101、102は、4隅近傍を支持部706、707によって支持される。また、基板103が板部708の凹部708aに嵌め込まれ、接着固定される。あるいは、これに代えて、ネジ留めにより基板103を固定してもよい。上記のとおり、基板103には、整流回路が設置されている。整流回路により直流化された電流は、配線103aを通って、回路ユニット61(図1参照)に送られる。
【0035】
コイル101は、たとえば、図4(a)に示すような被覆部材101bに1本の導体101aが通された構成とされる。コイル102は、導体の周りに絶縁層が被覆された通常のコイルであって、予め、方形形状に所定回数だけ巻回された状態で一体的に固められている。上記のとおり、コイル102は、両端が基板103上の整流回路に接続される。整流回路により直流化された電流は、配線103aを通って、回路ユニット61(図1参照)に送られる。
【0036】
図6は、カバー71を開口71a側から見たときの平面図である。
【0037】
カバー71は、全体が、プラスチック(合成樹脂)により形成されている。カバー71を形成する材料は、前かご70の材料と同じでも、異なっていても良い。上記のように、カバー71は、前かご70側に開口71aが形成された有底箱形状を有している。
【0038】
図6に示すように、カバー71は、縦フレーム711と横フレーム712とが交差した枠組み構造となっている。縦フレーム711と横フレーム712は一体的に形成され、縦フレーム711と横フレーム712の間には、フレームのない隙間が網目状に存在している。
【0039】
カバー71には、図3に示す4つの係止部705に対応する位置に、それぞれ、係止部705が嵌り込む受け孔713が形成されている。カバー71は、図3に示す4つの係止部705を、それぞれ、受け孔713に嵌め込むことにより、前かご70に取り付けられる。なお、嵌め込みに代えてネジ留めによりカバー71を前かご70に取り付けてもよい。
【0040】
図7(a)は、係止部705を受け孔713に嵌め込む直前の状態を示す図である。同図は、図5の右上の係止部705の近傍領域(破線)を同図の左右方向に平行で且つ紙面に垂直な面で切断したときの断面図である。
【0041】
図7(a)に示すように、係止部705は、円柱形状を有し、先端に掛かり部705aが形成されている。掛かり部705aは、係止部705の根元に向かって徐々に径が大きくなっている。また、係止部705には、先端から根元に向かってスリット705bが形成されている。このスリット705bによって、掛かり部705aは内側に撓むようになる。
【0042】
また、受け孔713は、係止部705の根元と略同径の円形の孔713aと、孔713aより径が大きい円形の孔713を有する。
【0043】
図7(a)の状態から受け孔713を矢印方向に押し込むと、掛かり部705aが内側に撓み、係止部705が孔713a内に入る。さらに受け孔713を押し込むと、掛かり部705aが、孔713abに到達し、孔713a内で広がる。こうして、図7(b)に示すように、掛かり部705aと孔713bとが係合し、係止部705が受け孔713から抜けなくなる。このとき、係止部705の先端が、前かご70の裏面に当接する。これにより、カバー71と前かご70の間隔が、距離Dに保たれる。
【0044】
なお、ここでは、図7(a)、(b)を参照して、図5の右上の係止部705と、これに対応する受け孔713との係合について説明したが、他の3つの係止部705と、対応する受け孔713との係合も、上記と同様に行われる。
【0045】
図7(c)は、支持部706にコイル101を収容した状態を示す図である。同図は、図5の支持部706の近傍領域を同図の左右方向に平行で紙面に垂直な面で切断したとき
の断面図である。
【0046】
図7(c)に示すように、支持部706は、一対の突片706aを備えている。これら2つの突片706aは、上部内側が面取りされた形状を有している。コイル101は、2つの突片706aの間に収容される。なお、図4(b)〜(d)に示したように、コイルの巻数が多数の場合も同様に固定されるが、コイル101の太さに応じて突片706aの間隔は変更される。
【0047】
コイル101は、突片706aの間に収容された状態で、前かご70の前面に接着固定される。たとえば、一対の突片706aの間に接着剤が付され、その上から、コイル101が突片706aの間に収容される。これにより、コイル101が突片706a間に接着固定される。この場合、コイル101が当たる前かご70の前面に、接着剤を付していても良い。こうすると、コイル101を前かご70前面に、より強固に固定することができる。
【0048】
さらに、図7(d)に示すように、カバー71の内面に、カバー71を前かご70に取り付けると一対の突片706の上を覆う突部714を設けても良い。こうすると、コイル101を前かご70前面に、より確実に固定することができる。
【0049】
なお、ここでは、図7(c)、(d)を参照して、図5の右上の支持部706の近傍領域の、カバー71取付時の状態について説明したが、他の3つの支持部706の近傍領域の、カバー71取付時の状態も、図7(c)、(d)と同様である。また、支持部707も支持部706と同様の構成を有し、コイル102は、上記と同様にして、支持部707に接着固定される。
【0050】
図8は、カバー71を前かご70に取り付けた状態を示す図である。
【0051】
図示の如く、カバー71を前かご70に取り付けることにより、コイル101、102と、基板103がカバー71によって覆われる。これにより、コイル101、102と、基板103はカバー71により保護され、また、前かご70の見栄えが高められる。
【0052】
図9は、給電システムの構成例を示す図である。同図の給電システムは、たとえば、駐輪場に設置されている。
【0053】
給電システムは、送電部2と、タイヤ止め3と、回路ユニット4とを有する。タイヤ止め3は、前輪21を幅方向に挟むようにして、前輪21をホールドする。自転車1は、前輪21をタイヤ止め3に嵌め込んだ状態で駐輪される。このように自転車1を駐輪すると、前かご70の前面が送電部2に向き合う。送電部2には、送電側のコイルが収容されている。回路ユニット4には、送電部2を介して送電を行うための回路が収容されている。
【0054】
図10は、給電システムの回路構成を示すブロック図である。
【0055】
図10において、整流回路111は、図2の基板113に配置されている。また、制御回路112、充電回路113、電源回路115、通信装置116は、図1の回路ユニット61に配置され、充電池114は、図1のバッテリーユニット60内に配置されている。さらに、発振器211から通信装置215は、図8の回路ユニット4内に配置されている。送電側のコイル201、202は、図8の送電部2に収容されている。
【0056】
コイル201とコイル101は、数MHz〜数10MHzの周波数帯域で共振が起こるように構成されている。コイル201とコイル101は、略同じ形状と大きさを有する。
コイル202は、コイル201とコイル101との間で共振(磁気共鳴)が起こるよう、電磁誘導により、電力をコイル201に与える。
【0057】
発振器211は、商用電源や太陽電池からの電力を、コイル201とコイル101との間で共振が起こる周波数(以下、「目標共振周波数」という)の電流信号に変換してコイル202に与える。カプラ212は、発振器211からコイル202に供給される電気信号の一部を検波器213に供給する。検波器213は、供給された電気信号をA/D変換し、変換後のデジタル信号を制御回路214に供給する。
【0058】
制御回路214は、検波器213から供給されたデジタル信号に基づいて、発振器211からコイル202に供給されている電流信号の周波数と振幅を検出する。そして、制御回路214は、検出した周波数と振幅に基づき、コイル202に供給される電流信号が、目標共振周波数と振幅になるよう、発振器211を制御する。なお、電流信号の振幅は、伝送される電力の大きさに応じて調整される。
【0059】
整流回路111は、コイル102により受電された交流の電力(交流電流)を直流の電力(直流電流)に変換し、制御回路112に供給する。制御回路112は、充電回路113、電源回路115および通信装置116を制御する。充電回路113は、充電池に対する充電を行う。充電は、商用電源から供給された電力、または、整流回路111から供給された電力を用いて行われる。電源回路115は、充電池114に蓄積された電力を、制御回路112による制御に応じて、各部に供給する。通信装置116は通信装置215との間で通信を行う。
【0060】
電力伝送時において、発振器211からコイル202に電流信号が供給されると、コイル202に磁界が発生し、この磁界に基づく電磁誘導によりコイル201に高周波電力が発生する。この高周波電力は、コイル201とコイル101との間の磁気共鳴によって、コイル101に伝送される。こうして伝送された電力は、電磁誘導により、コイル101からコイル102に受電される。
【0061】
コイル102は、受電した電力を整流回路111に出力する。整流回路111は、受電した交流の電力(交流電流)を整流して直流の電力(直流電流)に変換し、制御回路112に供給する。制御回路112は、供給された電力を充電回路113に供給し、充電回路113に充電を行わせる。充電回路113は、供給された電力を充電池114に充電する。
【0062】
かかる充電の際に、制御回路112は、充電池114に対する充電状況を監視し、送電すべき電力に関する情報を、通信装置116を介して通信装置215に送信する。通信装置215は、受信した情報を制御回路214に送る。制御回路214は、制御回路112から要求された電力になるよう、発振器211の振幅を調整する。
【0063】
充電池114が満充電になると、制御回路112は、その旨を示す情報を、通信装置116を介して通信装置215に送信する。通信装置215は、受信した情報を制御回路214に送る。これを受けて、制御回路214は、発振器211を停止させる。これにより、電力伝送が終了する。
【0064】
以上、本実施の形態によれば、コイル101の導体101aが被覆部材101bによって覆われているため、コイル101を前かご70に取り付けた状態において、導体101aを前かご70から離間させることができる。このため、電力充電時に、前かご70による誘電体損を抑制することができる。また、被覆部材101bは、低誘電率体からなっているため、被覆部材101bによる誘電体損も抑制することができる。さらに、被覆部材
101bを、発泡ポリエチレンや発泡ポリスチレン(発泡スチロール)等の、内部に無数の気泡を有する発泡部材により構成すると、被覆部材101bの誘電率を一層低くすることができるため、被覆部材101bによる誘電体損を顕著に抑制することができる。よって、本実施の形態によれば、電力受電時の誘電体損を抑制可能な電力受信装置を実現することができる。
【0065】
なお、本実施の形態では、被覆部材101bが、導体101aを外部からの衝撃から保護する緩衝材としての機能も発揮する。特に、被覆部材101bが発泡部材により構成されると、被覆部材101bによる緩衝機能を高めることができ、外部からの衝撃に対する導体101aの損傷をより効果的に防止することができる。
【0066】
誘電体損の抑制効果および外部衝撃の緩衝効果の観点から、被覆部材101bの厚みは、なるべく大きい方が望ましい。本実施の形態において、被覆部材101bの厚みは、前かご70の前面とカバー71の内面との間のギャップまで、適宜、大きくすることが可能である。
【0067】
また、本実施の形態によれば、自転車の荷かごに受電用のコイル101が配置されるため、コイルの形状を大きくとることができる。また、図5に示すように、枠組み構造によりコイル101が支持されるため、コイル101の近傍に存在するプラスチック(誘電体)の体積を小さくすることができ、電力伝送時の誘電体損を一層抑制することができる。
【0068】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も上記の他に種々の変更が可能である。
【0069】
たとえば、上記実施の形態では、図4(a)の構造体を用いて、導体101aが1回だけ巻回されるようにコイル101が形成されたが、図4(b)〜(d)の構成体を用いて、導体101aが2回だけ巻回されるようにコイル101が形成されてもよく、図4(b)〜(d)の構成体における溝Gの数を増やして導体101aが3回以上巻回されるようにコイル101が形成されても良い。さらに、図4(a)の構造体を2回以上巻回してコイル101を形成しても良い。
【0070】
図11は、図4(a)の構造体を2回以上巻回する場合の構成例を示す図である。図11(a)〜(c)は、それぞれ、図7(c)の変更例を示している。
【0071】
図4(a)の構造体を2回巻回するときの構成例である。この構成例では、2つの突片706aの間隔が、図4(a)の構造体の幅の2倍に設定される。構造体がコイル面方向に広がるように2重に巻回されて、コイル101が形成される。コイル101は、2重となった部分が一対の突片706aの間に収容された状態で、接着固定される。3重に巻回されたコイル101が用いられる場合には、2つの突片706aの間隔が、図4(a)の構造体の幅の3倍に設定される。4重以上に巻回されたコイル101が用いられる場合も、同様に、2つの突片706aの間隔が調整される。
【0072】
図4(a)の構造体を2回巻回するときの構成例である。この構成例では、2つの突片706aの間隔は図4(a)の構造体の幅と同じで、2つの突片706aの高さが、図4(a)の構造体の幅の2倍に設定される。構造体がコイル面に垂直な方向に重なるように2回に巻回されて、コイル101が形成される。コイル101は、2段となった部分が一対の突片706aの間に収容された状態で、接着固定される。3段に重ねて巻回されたコイル101が用いられる場合には、2つの突片706aの高さが、図4(a)の構造体の幅の3倍に設定される。4段以上重ねて巻回されたコイル101が用いられる場合も、同様に、2つの突片706aの高さが調整される。
【0073】
図4(c)の構造体を3回巻回するときの構成例である。この構成例では、2つの突片706aの間隔は図4(a)の構造体の幅と同じで、突片706の対が3つ形成される。構造体がコイル面方向に所定の間隔をおいて広がるように3回に巻回されて、コイル101が形成される。各ターンのコイル101の部分が、一対の突片706aの間に収容され、接着固定される。2重または4重以上巻回されたコイル101が用いられる場合は、コイル101の巻き回数に応じて、突片706aの対の数が変更される。
【0074】
なお、上記実施の形態では、被覆部材101bがコイル101の全周に亘って一続きであったが、被覆部材101bが、コイル101の周方向に分断されていても良い。図12は、被覆部材101bがコイル101の周方向に4つに分断される場合の構成例である。ここでは、導体101bが2回巻回されている。このように被覆部材101bが分断されている場合、分断された各被覆部材101bに導体101aを通すための孔を設けておき、この孔に導体101aを通すことで、導体101aと被覆部材101bを一体化するような構成とすることができる。被覆部材101bの分断数を多くすると、導体101aを被覆部材101bの孔に通し易くなる。しかし、その反面、コイル101としての形状が安定しないため、コイル101の取り扱いがやや難しくなる。
【0075】
また、上記実施の形態では、コイル101が装着される前かご70の領域S2の枠組み構造を、他の領域の枠組み構造と同じにしたが、領域S2の枠組み構造を他の領域よりも疎にしても良い。
【0076】
図13は、その場合の構成例である。領域S2の縦フレーム703と横フレーム704は、周りの縦フレーム701と横フレーム702よりも幅が狭く、厚みも薄くなっている。また、縦フレーム703間の間隔と横フレーム704間の間隔は、それぞれ、縦フレーム701間の間隔と横フレーム702間の間隔よりも広くなっている。
【0077】
この構成例では、コイル101が配置される領域S2の枠組み構造がその他の領域の枠組み構造よりも疎となっているので、荷かご本来の機能を維持しながら、電力伝送時の誘電体損を一層抑制することができる。さらに、領域S2を覆うようにカバー71が荷かごに取り付けられるため、コイル101、102と、基板103はカバー71により保護され、前かご70の見栄えは高められる。
【0078】
また、上記実施の形態では、コイル102の導体が被覆部材で覆われなかったが、コイル102もコイル101と同様、導体を被覆部材で覆う構成としても良い。この場合、コイル102は、たとえば、図4(a)の構造体を所定回数巻回して構成される。
【0079】
また、上記実施の形態では、係止部705を荷かご70側に配置し、受け孔713をカバー71側に配置したが、係止部をカバー70側に配置し、受け孔を荷かご70側に配置しても良い。
【0080】
また、上記実施の形態では、前かご70の前面にコイル101等の受電のための構成を配置したが、前かご70の他の側面にコイル101等を配置しても良く、前かご70の前面と他の側面にコイル101等を配置しても良い。さらに、自転車1に後ろかごが装着される場合には、後ろかごにコイル101等を配置しても良い。
【0081】
また、カバー71と、前かご70の領域S2に、コイル101、102および基板103を雨等から保護するための防水シートを配置しても良い。
【0082】
また、上記実施の形態では、整流回路が設置された基板103を前かご70の領域S2
に配置したが、整流回路は、バッテリーユニット60内の回路ユニット61に配置しても良い。
【0083】
また、前かご70は、枠組み構造でなくても良く、たとえば、板状の部材に多数の孔が設けられたような構造でも良い。ただし、誘電体損を低下させるためには、領域S2は、枠組み構造であるのが望ましい。
【0084】
また、コイル102を省略して、コイル101から直接、電力を取り出すようにしても良い。
【0085】
さらに、本実施の形態は、アシスト自転車に本発明を適用したものであったが、原動機つき自転車やオートバイ等、アシスト自転車以外の動力機付き二輪車に本発明を適用することも可能である。
【0086】
本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0087】
1 … 自転車
60 … バッテリーユニット(充電池)
61 … 回路ユニット(充電回路)
70 … 前かご(荷かご)
101 … コイル
101a … 導体
101b … 被覆部材
701 … 縦フレーム(枠組み構造)
702 … 横フレーム(枠組み構造)
703 … 縦フレーム(枠組み構造)
704 … 横フレーム(枠組み構造)
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電池を備えた動力機付き二輪車およびそれに装備されて好ましい電力受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電動モータにより駆動力を補助する、いわゆるアシスト自転車が商品化され普及している。かかるアシスト自転車には、電動モータに電力を供給するための充電池が装備される。充電池は、着脱可能となっており、適宜、商用電源を用いて充電される。充電は、専用のアダプターを用いて行われる。
【0003】
通常、充電は、家庭において行われるが、アシスト自転車が駐輪場に駐輪されたようなときに充電が行われると便利である。たとえば、駐輪場にワイヤレス電力伝送システムを配置することで、別途、充電のための作業を伴うことなく、アシスト自転車側の充電池に充電を行うことができる。
【0004】
かかる充電のためのシステムとして、たとえば、共鳴法による電力伝送システムを用いることができる(特許文献1)。このシステムでは、送電側のコイルと受電側のコイルとの間の磁気共鳴を利用して電力が送られる。2つのコイルがある程度離れていても、送電側から受電側に電力を送ることができる。このため、駐輪場におけるアシスト自転車の駐輪位置をそれほど厳格に管理せずとも、充電池に対する充電が円滑に行われ得る。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−106136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記システムでは、電力伝送の際に、種々の損失が起こり得る。磁気共鳴方式の電力伝送では、磁界の他、交流(高周波)の電界が発生する。この電界が誘電体に作用することにより、損失が生じる(誘電体損)。よって、受電用コイルは、誘電体損をなるべく抑制できるようにして、アシスト自転車に配置される必要がある。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みて為されたものであり、誘電体損を抑制できるように受電用コイルを配置可能な動力機付き二輪車および電力受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様は、動力機付き二輪車に関する。本態様に係る動力機付き二輪車は、充電池と、受電用のコイルと、前記コイルを介して受電した電力を前記充電池に充電するための充電回路とを備える。前記コイルは、導体と、前記導体の周りに配され、受電時の誘電体損を抑制する被覆部材とを有する。
【0009】
本発明の第2の態様は、電力受信装置に関する。本態様に係る電力受信装置は、充電池と、受電用のコイルと、前記コイルを介して受電した電力を前記充電池に充電するための充電回路とを備える。前記コイルは、導体と、前記導体の周りに配され、受電時の誘電体損を抑制する被覆部材とを有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、誘電体損を抑制できるように受電用コイルを配置可能な動力機付き二輪車および電力受信装置を提供することができる。
【0011】
本発明の特徴は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下の実施の形態は、あくまでも、本発明の一つの実施形態であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以下の実施の形態により何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態に係る自転車の構成を示す図である。
【図2】実施の形態に係る前かごの構成を示す図である。
【図3】実施の形態に係る前かごの枠組み構造を示す図である。
【図4】実施の形態に係るコイルの構成を示す図である。
【図5】実施の形態に係るコイルの取付状態を示す図である。
【図6】実施の形態に係るカバーの構成を示す図である。
【図7】実施の形態に係るカバーおよびコイルの取付方法を説明する図である。
【図8】実施の形態に係るカバーの取付状態を示す図である。
【図9】実施の形態に係る給電システムの構成を示す図である。
【図10】実施の形態に係る給電システムの回路構成を示す図である。
【図11】実施の形態の変更例に係る受電用コイルの配置形態を示す図である。
【図12】実施の形態の変更例に係る受電用コイルの構成を示す図である。
【図13】実施の形態の変更例に係る前かごの枠組み構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態につき図面を参照して説明する。本実施の形態は、アシスト自転車(以下、自転車という)に本発明を適用したものである。
【0014】
自転車1は、本体フレーム10と、前輪21と、後輪22と、サドル30と、ペダル40と、モータ50と、バッテリーユニット60と、前かご70と、前照灯80と、ハンドル90を備えている。
【0015】
モータ50には、バッテリーユニット60から電力が供給される。この電力によりモータ50が駆動されると、モータ50の駆動力がペダルクランク軸に伝達される。これにより、ペダル40を踏む力より大きな推進力で、自転車1を走行させることができる。なお、バッテリーユニット60の電力は、モータ50以外にも、前照灯80などの他の電気部品にも供給される。
【0016】
バッテリーユニット60は、着脱可能となっている。ユーザは、取り外したバッテリーユニット60に対し、所定のアダプターを用いて、充電を行うことができる。充電は、バッテリーユニット60に配された回路ユニット61によって制御される。
【0017】
本実施の形態では、かかる充電形態の他に、電力伝送による充電が可能となっている。すなわち、前かご70に受電用のコイルが配置され、このコイルと、送電側のコイルとの磁気共鳴を利用して、電力伝送が行われる。送電された電力は、回路ユニット61に送られ、バッテリーユニット60内の充電池に蓄電される。
【0018】
図2(a)は、前かご70と受電用コイルの概略構成を示す分解斜視図、図2(b)は、前かご70にコイル101、102および基板103と、カバー71とを取り付けた状態の斜視図である。
【0019】
図2(a)を参照して、前かご70の前面には、2つのコイル101、102と、基板103と、カバー71が装着される。領域S1は、カバー70の装着領域を示している。領域S1には、2つのコイル101、102と基板103が装着される。さらに、これら2つのコイル101、102と基板103を覆うように、カバー71が前かご70の前面に取り付けられる。カバー71は、前かご70側に開口71aが形成された有底箱形状を有している。
【0020】
コイル101は、両端が非接続のLC共振コイルであり、送電時に、送電側のコイルとの間で磁気共鳴が生じるように設計されている。すなわち、コイル101は、送電時に、送電側のコイルと、磁場の共鳴により磁気的に結合される。
【0021】
コイル102は、磁気共鳴によりコイル101に生じた磁界を、電磁誘導により、電力として取り出すよう構成されている。コイル102には、コイル101により生じる磁界の変化に応じて、電流(交流)が流れる。コイル102の両端は、基板103上の整流回路に接続されている。電磁誘導によりコイル102に流れた電流(交流)は、基板103上の整流回路によって直流の電流に変換され、図1に示すバッテリーユニット60の回路ユニット61に送られる。なお、図2(a)には、基板103から回路ユニット61に向かう配線が図示省略されている。
【0022】
本実施の形態では、2つのコイル101、102は、方形状に巻回されている。2つのコイル101、102は、方形状の他、円形状に巻回されても良い。ただし、コイル101は、その輪郭がなるべく大きい方が望ましい。コイル101の輪郭が大きいほど、送電距離を長くできるためである。
【0023】
図3は、前かご70の構成を示す図である。なお、図3には、前かご70の前面のうち、領域S1近傍の領域が示されている。
【0024】
前かご70は、全体が、プラスチック(合成樹脂)により形成されている。図3に示すように、前かご70は、縦フレーム701と横フレーム702とが交差した枠組み構造となっている。縦フレーム701と横フレーム702は一体的に形成され、縦フレーム701と横フレーム702の間には、フレームのない隙間が網目状に存在している。
【0025】
領域S1の内側には、図2に示すコイル101、102と基板103が装着される領域S2が設けられている。領域S2にも、他の領域と同様の形態にて、縦フレーム701と横フレーム702が形成されている。
【0026】
領域S1と領域S2の間には、図2のカバー71を取り付けるための4つの係子部705が形成されている。また、領域S2には、横フレーム704上に、コイル101を位置決め支持するための4つの支持部706が形成され、さらに、その内側にも、横フレーム704上に、コイル102を位置決めするための4つの支持部707が形成されている。また、領域S1の中央には、基板103を装着するための板部708が形成され、この板部708に、基板103が嵌め込まれる凹部708aが形成されている。
【0027】
なお、支持部706は、同図左右方向に所定の間隔をおいて形成された一対の突片706a(図7(c)参照)からなっている。コイル101は、一対の突片706aの間に挿入されることにより、支持部706によって位置決め支持される。支持部707も支持部706と同様、一対の突片からなっており、コイル102は、一対の突片の間に挿入されることにより、支持部707によって位置決め支持される。
【0028】
図4(a)は、コイル101の構成を示す図である。なお、図4(a)には、コイル1
01を巻き方向に所定の長さだけ切りき出した状態が示されている。便宜上、図4(a)には、導体101aが被覆部材101bから所定の長さだけ飛び出した状態が示されている。図4(a)には、一本の導体が被覆部材101bによって被覆された構成例が示されている。
【0029】
導体101aは、銅などの導電性の高い金属材料からなっている。被覆部材101bは、ポリエチレン、ポリスチレン、テフロン(登録商標)などの低誘電率の樹脂材料からなっている。なお、被覆部材101は、内部に無数の気泡を有する発泡部材により構成するのが望ましい。気泡(空気)の誘電率は、ポリエチレン、ポリスチレン、テフロン(登録商標)などの低誘電率体の誘電率よりも一層低い。よって、内部に無数の気泡を有する発泡部材により被覆部材101を構成することで、被覆部材101の誘電率をさらに低下させることができる。なお、かかる発泡部材として、発泡ポリエチレンや発泡ポリスチレン(発泡スチロール)等を用いることができる。
【0030】
図4(a)の構成例において、被覆部材101bは、たとえば、長さ方向に貫通する孔を中央に有する直線状の部材として形成される。被覆部材101bの孔に、直線状の導体101aが挿入される。こうして、被覆部材101bと導体101aとが一体化された後、被覆部材101bと導体101aを所望の形状に折り曲げることにより、コイル101が形成される。一体化された被覆部材101bと導体101aの長さに応じて、コイル101の巻き回数を2回以上に設定可能である。
【0031】
図4(b)は、コイル101の他の構成例を示す図である。この構成例では、2回巻回された一本の導体101aが一つの被覆部材101bで被覆されている。図4(b)には、図4(a)と同様、コイル101を巻き方向に所定の長さだけ切りき出した状態が示されている。この場合、被覆部材101bは、巻き方向に平行な平面(同図のA−A’面)によって、2つのパート101b1、101b2に分けられる。パート101b1、101b2は、それぞれ、図2(a)のコイル101と同様、方形形状の輪郭を有している。これら2つのパート101b1、101b2を互いに貼り合わせることにより、被覆部材101bが構成される。
【0032】
図4(c)は、パート101b1の一部斜視図、図4(d)は、図4(b)からパート101bのみを取り出した図である。図4(c)、(d)に示すように、パート101b1には、導体101aが嵌め込まれる溝Gが形成されている。パート101b2もパート101b1と同様の構成を有する。すなわち、パート101b2には、パート101b2をパート101b1に貼り合わせると、パート101b1の溝Gに向き合う溝Gが形成されている。パート101b1、101b2に形成された溝Gの輪郭は、所望の形状に2回巻回された導体101aと同様の輪郭を有している。
【0033】
所望の形状に2回巻回された状態の一本の導体101aが、パート101b1の溝Gに嵌め込まれる。その後、パート101b2の溝Gを導体101aに嵌め込むようにして、パート101b2がパート101b1に貼り合わされる。こうしてコイル101が形成される。
【0034】
図5は、領域S2にコイル101、102と基板103を装着した状態を示す図である。図5に示すとおり、コイル101、102は、4隅近傍を支持部706、707によって支持される。また、基板103が板部708の凹部708aに嵌め込まれ、接着固定される。あるいは、これに代えて、ネジ留めにより基板103を固定してもよい。上記のとおり、基板103には、整流回路が設置されている。整流回路により直流化された電流は、配線103aを通って、回路ユニット61(図1参照)に送られる。
【0035】
コイル101は、たとえば、図4(a)に示すような被覆部材101bに1本の導体101aが通された構成とされる。コイル102は、導体の周りに絶縁層が被覆された通常のコイルであって、予め、方形形状に所定回数だけ巻回された状態で一体的に固められている。上記のとおり、コイル102は、両端が基板103上の整流回路に接続される。整流回路により直流化された電流は、配線103aを通って、回路ユニット61(図1参照)に送られる。
【0036】
図6は、カバー71を開口71a側から見たときの平面図である。
【0037】
カバー71は、全体が、プラスチック(合成樹脂)により形成されている。カバー71を形成する材料は、前かご70の材料と同じでも、異なっていても良い。上記のように、カバー71は、前かご70側に開口71aが形成された有底箱形状を有している。
【0038】
図6に示すように、カバー71は、縦フレーム711と横フレーム712とが交差した枠組み構造となっている。縦フレーム711と横フレーム712は一体的に形成され、縦フレーム711と横フレーム712の間には、フレームのない隙間が網目状に存在している。
【0039】
カバー71には、図3に示す4つの係止部705に対応する位置に、それぞれ、係止部705が嵌り込む受け孔713が形成されている。カバー71は、図3に示す4つの係止部705を、それぞれ、受け孔713に嵌め込むことにより、前かご70に取り付けられる。なお、嵌め込みに代えてネジ留めによりカバー71を前かご70に取り付けてもよい。
【0040】
図7(a)は、係止部705を受け孔713に嵌め込む直前の状態を示す図である。同図は、図5の右上の係止部705の近傍領域(破線)を同図の左右方向に平行で且つ紙面に垂直な面で切断したときの断面図である。
【0041】
図7(a)に示すように、係止部705は、円柱形状を有し、先端に掛かり部705aが形成されている。掛かり部705aは、係止部705の根元に向かって徐々に径が大きくなっている。また、係止部705には、先端から根元に向かってスリット705bが形成されている。このスリット705bによって、掛かり部705aは内側に撓むようになる。
【0042】
また、受け孔713は、係止部705の根元と略同径の円形の孔713aと、孔713aより径が大きい円形の孔713を有する。
【0043】
図7(a)の状態から受け孔713を矢印方向に押し込むと、掛かり部705aが内側に撓み、係止部705が孔713a内に入る。さらに受け孔713を押し込むと、掛かり部705aが、孔713abに到達し、孔713a内で広がる。こうして、図7(b)に示すように、掛かり部705aと孔713bとが係合し、係止部705が受け孔713から抜けなくなる。このとき、係止部705の先端が、前かご70の裏面に当接する。これにより、カバー71と前かご70の間隔が、距離Dに保たれる。
【0044】
なお、ここでは、図7(a)、(b)を参照して、図5の右上の係止部705と、これに対応する受け孔713との係合について説明したが、他の3つの係止部705と、対応する受け孔713との係合も、上記と同様に行われる。
【0045】
図7(c)は、支持部706にコイル101を収容した状態を示す図である。同図は、図5の支持部706の近傍領域を同図の左右方向に平行で紙面に垂直な面で切断したとき
の断面図である。
【0046】
図7(c)に示すように、支持部706は、一対の突片706aを備えている。これら2つの突片706aは、上部内側が面取りされた形状を有している。コイル101は、2つの突片706aの間に収容される。なお、図4(b)〜(d)に示したように、コイルの巻数が多数の場合も同様に固定されるが、コイル101の太さに応じて突片706aの間隔は変更される。
【0047】
コイル101は、突片706aの間に収容された状態で、前かご70の前面に接着固定される。たとえば、一対の突片706aの間に接着剤が付され、その上から、コイル101が突片706aの間に収容される。これにより、コイル101が突片706a間に接着固定される。この場合、コイル101が当たる前かご70の前面に、接着剤を付していても良い。こうすると、コイル101を前かご70前面に、より強固に固定することができる。
【0048】
さらに、図7(d)に示すように、カバー71の内面に、カバー71を前かご70に取り付けると一対の突片706の上を覆う突部714を設けても良い。こうすると、コイル101を前かご70前面に、より確実に固定することができる。
【0049】
なお、ここでは、図7(c)、(d)を参照して、図5の右上の支持部706の近傍領域の、カバー71取付時の状態について説明したが、他の3つの支持部706の近傍領域の、カバー71取付時の状態も、図7(c)、(d)と同様である。また、支持部707も支持部706と同様の構成を有し、コイル102は、上記と同様にして、支持部707に接着固定される。
【0050】
図8は、カバー71を前かご70に取り付けた状態を示す図である。
【0051】
図示の如く、カバー71を前かご70に取り付けることにより、コイル101、102と、基板103がカバー71によって覆われる。これにより、コイル101、102と、基板103はカバー71により保護され、また、前かご70の見栄えが高められる。
【0052】
図9は、給電システムの構成例を示す図である。同図の給電システムは、たとえば、駐輪場に設置されている。
【0053】
給電システムは、送電部2と、タイヤ止め3と、回路ユニット4とを有する。タイヤ止め3は、前輪21を幅方向に挟むようにして、前輪21をホールドする。自転車1は、前輪21をタイヤ止め3に嵌め込んだ状態で駐輪される。このように自転車1を駐輪すると、前かご70の前面が送電部2に向き合う。送電部2には、送電側のコイルが収容されている。回路ユニット4には、送電部2を介して送電を行うための回路が収容されている。
【0054】
図10は、給電システムの回路構成を示すブロック図である。
【0055】
図10において、整流回路111は、図2の基板113に配置されている。また、制御回路112、充電回路113、電源回路115、通信装置116は、図1の回路ユニット61に配置され、充電池114は、図1のバッテリーユニット60内に配置されている。さらに、発振器211から通信装置215は、図8の回路ユニット4内に配置されている。送電側のコイル201、202は、図8の送電部2に収容されている。
【0056】
コイル201とコイル101は、数MHz〜数10MHzの周波数帯域で共振が起こるように構成されている。コイル201とコイル101は、略同じ形状と大きさを有する。
コイル202は、コイル201とコイル101との間で共振(磁気共鳴)が起こるよう、電磁誘導により、電力をコイル201に与える。
【0057】
発振器211は、商用電源や太陽電池からの電力を、コイル201とコイル101との間で共振が起こる周波数(以下、「目標共振周波数」という)の電流信号に変換してコイル202に与える。カプラ212は、発振器211からコイル202に供給される電気信号の一部を検波器213に供給する。検波器213は、供給された電気信号をA/D変換し、変換後のデジタル信号を制御回路214に供給する。
【0058】
制御回路214は、検波器213から供給されたデジタル信号に基づいて、発振器211からコイル202に供給されている電流信号の周波数と振幅を検出する。そして、制御回路214は、検出した周波数と振幅に基づき、コイル202に供給される電流信号が、目標共振周波数と振幅になるよう、発振器211を制御する。なお、電流信号の振幅は、伝送される電力の大きさに応じて調整される。
【0059】
整流回路111は、コイル102により受電された交流の電力(交流電流)を直流の電力(直流電流)に変換し、制御回路112に供給する。制御回路112は、充電回路113、電源回路115および通信装置116を制御する。充電回路113は、充電池に対する充電を行う。充電は、商用電源から供給された電力、または、整流回路111から供給された電力を用いて行われる。電源回路115は、充電池114に蓄積された電力を、制御回路112による制御に応じて、各部に供給する。通信装置116は通信装置215との間で通信を行う。
【0060】
電力伝送時において、発振器211からコイル202に電流信号が供給されると、コイル202に磁界が発生し、この磁界に基づく電磁誘導によりコイル201に高周波電力が発生する。この高周波電力は、コイル201とコイル101との間の磁気共鳴によって、コイル101に伝送される。こうして伝送された電力は、電磁誘導により、コイル101からコイル102に受電される。
【0061】
コイル102は、受電した電力を整流回路111に出力する。整流回路111は、受電した交流の電力(交流電流)を整流して直流の電力(直流電流)に変換し、制御回路112に供給する。制御回路112は、供給された電力を充電回路113に供給し、充電回路113に充電を行わせる。充電回路113は、供給された電力を充電池114に充電する。
【0062】
かかる充電の際に、制御回路112は、充電池114に対する充電状況を監視し、送電すべき電力に関する情報を、通信装置116を介して通信装置215に送信する。通信装置215は、受信した情報を制御回路214に送る。制御回路214は、制御回路112から要求された電力になるよう、発振器211の振幅を調整する。
【0063】
充電池114が満充電になると、制御回路112は、その旨を示す情報を、通信装置116を介して通信装置215に送信する。通信装置215は、受信した情報を制御回路214に送る。これを受けて、制御回路214は、発振器211を停止させる。これにより、電力伝送が終了する。
【0064】
以上、本実施の形態によれば、コイル101の導体101aが被覆部材101bによって覆われているため、コイル101を前かご70に取り付けた状態において、導体101aを前かご70から離間させることができる。このため、電力充電時に、前かご70による誘電体損を抑制することができる。また、被覆部材101bは、低誘電率体からなっているため、被覆部材101bによる誘電体損も抑制することができる。さらに、被覆部材
101bを、発泡ポリエチレンや発泡ポリスチレン(発泡スチロール)等の、内部に無数の気泡を有する発泡部材により構成すると、被覆部材101bの誘電率を一層低くすることができるため、被覆部材101bによる誘電体損を顕著に抑制することができる。よって、本実施の形態によれば、電力受電時の誘電体損を抑制可能な電力受信装置を実現することができる。
【0065】
なお、本実施の形態では、被覆部材101bが、導体101aを外部からの衝撃から保護する緩衝材としての機能も発揮する。特に、被覆部材101bが発泡部材により構成されると、被覆部材101bによる緩衝機能を高めることができ、外部からの衝撃に対する導体101aの損傷をより効果的に防止することができる。
【0066】
誘電体損の抑制効果および外部衝撃の緩衝効果の観点から、被覆部材101bの厚みは、なるべく大きい方が望ましい。本実施の形態において、被覆部材101bの厚みは、前かご70の前面とカバー71の内面との間のギャップまで、適宜、大きくすることが可能である。
【0067】
また、本実施の形態によれば、自転車の荷かごに受電用のコイル101が配置されるため、コイルの形状を大きくとることができる。また、図5に示すように、枠組み構造によりコイル101が支持されるため、コイル101の近傍に存在するプラスチック(誘電体)の体積を小さくすることができ、電力伝送時の誘電体損を一層抑制することができる。
【0068】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も上記の他に種々の変更が可能である。
【0069】
たとえば、上記実施の形態では、図4(a)の構造体を用いて、導体101aが1回だけ巻回されるようにコイル101が形成されたが、図4(b)〜(d)の構成体を用いて、導体101aが2回だけ巻回されるようにコイル101が形成されてもよく、図4(b)〜(d)の構成体における溝Gの数を増やして導体101aが3回以上巻回されるようにコイル101が形成されても良い。さらに、図4(a)の構造体を2回以上巻回してコイル101を形成しても良い。
【0070】
図11は、図4(a)の構造体を2回以上巻回する場合の構成例を示す図である。図11(a)〜(c)は、それぞれ、図7(c)の変更例を示している。
【0071】
図4(a)の構造体を2回巻回するときの構成例である。この構成例では、2つの突片706aの間隔が、図4(a)の構造体の幅の2倍に設定される。構造体がコイル面方向に広がるように2重に巻回されて、コイル101が形成される。コイル101は、2重となった部分が一対の突片706aの間に収容された状態で、接着固定される。3重に巻回されたコイル101が用いられる場合には、2つの突片706aの間隔が、図4(a)の構造体の幅の3倍に設定される。4重以上に巻回されたコイル101が用いられる場合も、同様に、2つの突片706aの間隔が調整される。
【0072】
図4(a)の構造体を2回巻回するときの構成例である。この構成例では、2つの突片706aの間隔は図4(a)の構造体の幅と同じで、2つの突片706aの高さが、図4(a)の構造体の幅の2倍に設定される。構造体がコイル面に垂直な方向に重なるように2回に巻回されて、コイル101が形成される。コイル101は、2段となった部分が一対の突片706aの間に収容された状態で、接着固定される。3段に重ねて巻回されたコイル101が用いられる場合には、2つの突片706aの高さが、図4(a)の構造体の幅の3倍に設定される。4段以上重ねて巻回されたコイル101が用いられる場合も、同様に、2つの突片706aの高さが調整される。
【0073】
図4(c)の構造体を3回巻回するときの構成例である。この構成例では、2つの突片706aの間隔は図4(a)の構造体の幅と同じで、突片706の対が3つ形成される。構造体がコイル面方向に所定の間隔をおいて広がるように3回に巻回されて、コイル101が形成される。各ターンのコイル101の部分が、一対の突片706aの間に収容され、接着固定される。2重または4重以上巻回されたコイル101が用いられる場合は、コイル101の巻き回数に応じて、突片706aの対の数が変更される。
【0074】
なお、上記実施の形態では、被覆部材101bがコイル101の全周に亘って一続きであったが、被覆部材101bが、コイル101の周方向に分断されていても良い。図12は、被覆部材101bがコイル101の周方向に4つに分断される場合の構成例である。ここでは、導体101bが2回巻回されている。このように被覆部材101bが分断されている場合、分断された各被覆部材101bに導体101aを通すための孔を設けておき、この孔に導体101aを通すことで、導体101aと被覆部材101bを一体化するような構成とすることができる。被覆部材101bの分断数を多くすると、導体101aを被覆部材101bの孔に通し易くなる。しかし、その反面、コイル101としての形状が安定しないため、コイル101の取り扱いがやや難しくなる。
【0075】
また、上記実施の形態では、コイル101が装着される前かご70の領域S2の枠組み構造を、他の領域の枠組み構造と同じにしたが、領域S2の枠組み構造を他の領域よりも疎にしても良い。
【0076】
図13は、その場合の構成例である。領域S2の縦フレーム703と横フレーム704は、周りの縦フレーム701と横フレーム702よりも幅が狭く、厚みも薄くなっている。また、縦フレーム703間の間隔と横フレーム704間の間隔は、それぞれ、縦フレーム701間の間隔と横フレーム702間の間隔よりも広くなっている。
【0077】
この構成例では、コイル101が配置される領域S2の枠組み構造がその他の領域の枠組み構造よりも疎となっているので、荷かご本来の機能を維持しながら、電力伝送時の誘電体損を一層抑制することができる。さらに、領域S2を覆うようにカバー71が荷かごに取り付けられるため、コイル101、102と、基板103はカバー71により保護され、前かご70の見栄えは高められる。
【0078】
また、上記実施の形態では、コイル102の導体が被覆部材で覆われなかったが、コイル102もコイル101と同様、導体を被覆部材で覆う構成としても良い。この場合、コイル102は、たとえば、図4(a)の構造体を所定回数巻回して構成される。
【0079】
また、上記実施の形態では、係止部705を荷かご70側に配置し、受け孔713をカバー71側に配置したが、係止部をカバー70側に配置し、受け孔を荷かご70側に配置しても良い。
【0080】
また、上記実施の形態では、前かご70の前面にコイル101等の受電のための構成を配置したが、前かご70の他の側面にコイル101等を配置しても良く、前かご70の前面と他の側面にコイル101等を配置しても良い。さらに、自転車1に後ろかごが装着される場合には、後ろかごにコイル101等を配置しても良い。
【0081】
また、カバー71と、前かご70の領域S2に、コイル101、102および基板103を雨等から保護するための防水シートを配置しても良い。
【0082】
また、上記実施の形態では、整流回路が設置された基板103を前かご70の領域S2
に配置したが、整流回路は、バッテリーユニット60内の回路ユニット61に配置しても良い。
【0083】
また、前かご70は、枠組み構造でなくても良く、たとえば、板状の部材に多数の孔が設けられたような構造でも良い。ただし、誘電体損を低下させるためには、領域S2は、枠組み構造であるのが望ましい。
【0084】
また、コイル102を省略して、コイル101から直接、電力を取り出すようにしても良い。
【0085】
さらに、本実施の形態は、アシスト自転車に本発明を適用したものであったが、原動機つき自転車やオートバイ等、アシスト自転車以外の動力機付き二輪車に本発明を適用することも可能である。
【0086】
本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0087】
1 … 自転車
60 … バッテリーユニット(充電池)
61 … 回路ユニット(充電回路)
70 … 前かご(荷かご)
101 … コイル
101a … 導体
101b … 被覆部材
701 … 縦フレーム(枠組み構造)
702 … 横フレーム(枠組み構造)
703 … 縦フレーム(枠組み構造)
704 … 横フレーム(枠組み構造)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電池と、
受電用のコイルと、
前記コイルを介して受電した電力を前記充電池に充電するための充電回路と、
を備え、
前記コイルは、導体と、前記導体の周りに配され、受電時の誘電体損を抑制する被覆部材とを有する、
ことを特徴とする動力機付き二輪車。
【請求項2】
請求項1に記載の動力機付き二輪車において、
前記被覆部材は、内部に無数の気泡を含む誘電体材料からなっている、
ことを特徴とする動力機付き二輪車。
【請求項3】
請求項1または2に記載の動力機付き二輪車において、
前記コイルは、合成樹脂からなる枠組み構造に取り付けられている、
ことを特徴とする動力機付き二輪車。
【請求項4】
請求項3に記載の動力機付き二輪車において、
前記コイルは、前記動力機付き二輪車の荷かごに装着される、
ことを特徴とする動力機付き二輪車。
【請求項5】
請求項4に記載の動力機付き二輪車において、
前記荷かごは、全体が枠組み構造を有し、
前記荷かごの前記コイルが装着される領域の枠組み構造が、その他の領域の枠組み構造よりも疎となっている、
ことを特徴とする動力機付き二輪車。
【請求項6】
電力受信装置において、
充電池と、
受電用のコイルと、
前記コイルを介して受電した電力を前記充電池に充電するための充電回路と、
を備え、
前記コイルは、導体と、前記導体の周りに配され、受電時の誘電体損を抑制する被覆部材とを有する、
ことを特徴とする電力受信装置。
【請求項1】
充電池と、
受電用のコイルと、
前記コイルを介して受電した電力を前記充電池に充電するための充電回路と、
を備え、
前記コイルは、導体と、前記導体の周りに配され、受電時の誘電体損を抑制する被覆部材とを有する、
ことを特徴とする動力機付き二輪車。
【請求項2】
請求項1に記載の動力機付き二輪車において、
前記被覆部材は、内部に無数の気泡を含む誘電体材料からなっている、
ことを特徴とする動力機付き二輪車。
【請求項3】
請求項1または2に記載の動力機付き二輪車において、
前記コイルは、合成樹脂からなる枠組み構造に取り付けられている、
ことを特徴とする動力機付き二輪車。
【請求項4】
請求項3に記載の動力機付き二輪車において、
前記コイルは、前記動力機付き二輪車の荷かごに装着される、
ことを特徴とする動力機付き二輪車。
【請求項5】
請求項4に記載の動力機付き二輪車において、
前記荷かごは、全体が枠組み構造を有し、
前記荷かごの前記コイルが装着される領域の枠組み構造が、その他の領域の枠組み構造よりも疎となっている、
ことを特徴とする動力機付き二輪車。
【請求項6】
電力受信装置において、
充電池と、
受電用のコイルと、
前記コイルを介して受電した電力を前記充電池に充電するための充電回路と、
を備え、
前記コイルは、導体と、前記導体の周りに配され、受電時の誘電体損を抑制する被覆部材とを有する、
ことを特徴とする電力受信装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−34445(P2012−34445A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−169660(P2010−169660)
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
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