説明

動力装置

【目的】 異常発生のため、火炉が圧縮機および膨張タービンと隔離されたとき、火炉からの高圧ガスの圧力を低下させるとともに、温度を低下し、かつ石炭灰などのダストを除去して機器の損傷防止を可能とする。
【構成】 異常発生により、火炉と、圧縮機および膨張タービンとが遮断されたとき、上記火炉内の高圧ガスを第2バイパス管を通って上記膨張タービンの排気管に送り、上記火炉内の高圧ガスの圧力を低下させるとともに、上記圧縮機と、上記火炉とを連結する配管内の圧縮空気を第3バイパス管を通って上記第2バイパス管に送り高圧ガスを冷却させ、かつ火炉からの高圧ガスに含まれているダストを脱塵装置にて除去して高圧ガスのみを上記膨張タービンおよび上記第3バイパス管に送るものである。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、大気圧以上の圧力で石炭などを燃焼させ、高温ガスを発生させる動力装置に係り、とくに異常時などに火炉が圧力を保持したまま隔離された場合に該火炉内の圧力の減少および温度の低下に好適な動力装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来加圧流動層燃焼プラントに使用されている動力装置は、たとえば、特開昭62−178731号公報に記載され、その要部を図6および図7に示すように、大気圧以上の圧力で石炭などを燃焼させ、高温ガスを発生させる火炉4と、該火炉4に圧縮空気を供給する圧縮機1と、上記火炉4からの高温ガスで駆動し、上記圧縮機1および発電機3を駆動させる膨張タービン2とを設け、かつ上記圧縮機1および上記火炉4を接続するとともに、第1遮断弁5を有する第1の配管8と、上記火炉4および上記膨張タービン2を接続するとともに、第2遮断弁6を有する第2の配管9と、上記第1の配管8の上記第1遮断弁5上流側および上記第2の配管9の上記第2遮断弁6下流側を接続するとともに、バイパス弁10を有する第1バイパス管11とを設けたものが提案されている。
【0003】上記の動力装置は、通常の運転時には、図6R>6に示すように、2個の遮断弁5,6を開き、バイパス弁10を閉じて圧縮機1からの圧縮空気を第1遮断弁5を通って火炉4へ送ると、該火炉4では高温ガスが発生し、第2遮断弁6を通って膨張タービン2に送って該膨張タービン2を回転させるとともに、圧縮機1および発電機3を回転させる。
【0004】ついで、上記動力装置にトラブルが発生した場合について図7により説明する。たとえば、火炉4から膨張タービン2への高圧ガスの供給が異常に増加することがある。この場合、これを保持すると、膨張タービン2が急激な速度変化または負荷の変化の原因となる。そこで、両遮断弁5,6を閉じて圧縮機1から火炉4への圧縮空気の供給を遮断するとともに、火炉4から膨張タービン2への高圧ガスの供給を遮断する。このとき、急激に遮断弁5を全閉すると、圧縮機1からの圧縮空気の行き場所がなくなるため、バイパス弁10を開いて圧縮空気を膨張タービン2にバイパスさせている。
【0005】また、火炉4自身が異常の場合も上記と同様な方法を行なっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術では、動力装置に異常が生じた場合、両遮断弁を閉じて火炉と圧縮機および膨張タービンとを遮断している。そのため、火炉内の圧力は、運転状態の高い圧力を保持したままとなる。しかも、燃料が石炭などの場合は、供給空気を遮断しても直ちに燃焼が停止することがないので、火炉内のガスは、十分高温のままである。ところが、供給空気量は十分でないため、不完全燃焼などにより一酸化炭素などの有毒ガスが火炉内に発生している恐れがある。また、異常が回復し、動力装置を再起動させるためには、火炉内の圧力を起動時の常圧状態にまで速やかに戻す必要がある。しかるに、火炉と膨張タービンとの間の遮断弁をいきなり開くことは、上記の有毒ガスが高温度のまま流れ出して停止状態の膨張タービンに供給されるが、この点についての配慮がされておらず、機器を損傷する恐れがあった。また、火炉内で石炭などを燃焼したさいに発生する石炭灰などのダストが高圧ガスに混入して膨張タービンに送入されるが、この点についての配慮がされておらず、膨張タービンの動翼がダストにより摩耗する恐れがあった。
【0007】本発明の第1の目的は、異常発生のため、火炉が圧縮機および膨張タービンと隔離されたとき、火炉内の圧力を起動時の常圧状態まで速やかにかつ安全に減圧を可能とする動力装置を提供することにある。
【0008】本発明の第2の目的は、異常発生のため、火炉が圧縮機および膨張タービンと隔離されたとき、火炉からの高圧ガスを冷却し機器の信頼性を向上可能とする動力装置提供することにある。
【0009】本発明の第3の目的は、火炉で燃料を燃焼したさいに発生する灰などのダストを高圧ガスより分離し、膨張タービン内および該膨張タービンの排気管に接続する機器の損傷を防止可能とする動力装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的を達成するために、第1の発明は、大気圧以上の圧力により石炭などの燃料を燃焼させ、高温ガスを発生させる火炉と、該火炉に圧縮空気を供給する圧縮機と、上記火炉からの高温ガスで回転し、上記圧縮機および発電機を回転させる膨張タービンとを設け、かつ上記圧縮機からの圧縮空気を上記火炉に送るとともに、第1遮断弁を有する第1の配管と、上記火炉からの高圧ガスを上記膨張タービンに送るとともに、第2遮断弁を有する第2の配管と、上記第1の配管の上記第1遮断弁上流側および上記第2の配管の上記第2遮断弁下流側を接続するとともに、バイパス弁を有する第1バイパス管とを備えた動力装置において、異常発生により上記第1,第2遮断弁を閉じたとき、上記火炉からの高圧ガスを上記第2の配管の上記第2遮断弁上流側より分岐し、上記膨張タービンの排気管に送って上記火炉内の圧力を低下させる第2バイパス管を設けたものである。
【0011】上記第1および2の目的を達成するために、第2の発明は、大気圧以上の圧力により石炭などの燃料を燃焼させ、高温ガスを発生させる火炉と、該火炉に圧縮空気を供給する圧縮機と、上記火炉からの高温ガスで回転し、上記圧縮機および発電機を回転させる膨張タービンとを設け、かつ上記圧縮機からの圧縮空気を上記火炉に送るとともに、第1遮断弁を有する第1の配管と、上記火炉からの高圧ガスを上記膨張タービンに送るとともに、第2遮断弁を有する第2の配管と、上記第1の配管の上記第1遮断弁上流側および上記第2の配管の上記第2遮断弁下流側を接続するとともに、バイパス弁を有する第1バイパス管とを備えた動力装置において、異常発生により上記第1,第2遮断弁を閉じたとき、上記火炉からの高圧ガスを上記第2の配管の上記第2遮断弁上流側より分岐し上記膨張タービンの排気管に送って上記火炉内の圧力を低下させる第2バイパス管を設け、かつ上記第1の配管の上記第1遮断弁下流側より分岐し、圧縮空気を上記第2バイパス管の途中に送って高圧ガスを冷却させる第3バイパス管を設けたものである。
【0012】上記第1乃至第3の目的を達成するために、第3の発明は、大気圧以上の圧力により石炭などの燃料を燃焼させ、高温ガスを発生させる火炉と、該火炉に圧縮空気を供給する圧縮機と、上記火炉からの高温ガスで回転し、上記圧縮機および発電機を回転させる膨張タービンとを設け、かつ上記圧縮機からの圧縮空気を上記火炉に送るとともに、第1遮断弁を有する第1の配管と、上記火炉からの高圧ガスを上記膨張タービンに送るとともに、第2遮断弁を有する第2の配管と、上記第1の配管の上記第1遮断弁上流側および上記第2の配管の上記第2遮断弁下流側を接続するとともに、バイパス弁を有する第1バイパス管とを備えた動力装置において、上記第2の配管の上記第2遮断弁上流側に設置され、上記火炉からの高圧ガスからダストを除去する脱塵装置を設け、かつ異常発生により上記第1,第2遮断弁を閉じたとき、上記脱塵装置からのダストを除去した高圧ガスを上記第2の配管より分岐し、上記膨張タービンの配管に送って上記火炉内の圧力を低下させる第2バイパス管と、上記第1の配管の上記第1の配管の上記第1遮断弁下流より分岐し、圧縮空気を上記第2バイパス管の途中に送って高圧ガスを冷却させる第3バイパス管を設けたものである。
【0013】上記脱塵装置は、ホッパと、該ホッパの上方部および側方部を上記第2の配管に、それぞれ接続するガス給入口およびガス排出口とを設けるとともに、下方部にダスト排出口を設け、かつ、内部に円筒形状に形成され、その外周に変圧ガスが通過する多数個の穴を有する複数個のフイルタを設けたものである。
【0014】上記第1乃至第3の目的を達成するために、第4の発明は、大気圧以上の圧力により石炭などの燃料を燃焼させ、高温ガスを発生させる火炉と、該火炉に圧縮空気を供給する圧縮機と、上記火炉からの高温ガスで回転し、上記圧縮機および発電機を回転させる膨張タービンを設け、かつ上記圧縮機からの圧縮空気を上記火炉に送るとともに、その流量を遮断する第1遮断弁を有する第1の配管と、上記火炉からの高温ガスを上記膨張タービンに送るとともに、その流量を遮断する第2遮断弁を有する第2の配管と、上記第1の配管の上記第1遮断弁上流側および上記第2の配管の上記第2遮断弁下流側を接続するとともに、バイパス弁を有する第1バイパス管とを備えた動力装置において、上記第2の配管の上記第2遮断弁上流側に設置されるとともに、上下方向に接続する2個のホッパにて構成され、上記火炉からの高圧ガスが上方のホッパの上記ガス給入口から送入したとき、フイルタにて高圧ガスに含まれているダストを除去し、高圧ガスのみを側方の第1ガス排出口より上記第2の配管に排出し、ダストおよび、該ダストに含まれている1部の高圧ガスを下方のホッパに落下させつつダストと高圧ガスとを分離して高圧ガスのみを第2ガス排出口より第2バイパス管に排出し、ダストを下方のダスト排出口より排出する脱塵装置を設け、かつ異常発生により上記第1,第2遮断弁を閉じたとき、上記脱塵装置からのダストを除去した高圧ガスを上記第2の配管の上記第2遮断弁上流側より分岐し、上記膨張タービンの排気管に送って上記火炉内の圧力を低下させる第2バイパス管と、上記第1の配管の上記第1遮断弁下流より分岐し、圧縮空気を上記第2バイパス管の途中に送って高温ガスを冷却させる第3バイパス管を設けたものである。
【0015】上記第2および第3バイパス管は、それぞれ流量を制御する制御手段を設けたものである。
【0016】
【作用】第1の発明によれば、異常発生により、第1の配管および第2の配管にそれぞれ設けた第1遮断弁および第2遮断弁を閉じたとき、第2の配管の第2遮断弁上流側より分岐する第2バイパス管にて膨張タービンの排気管に排出するので、火炉内の圧力を減少させることができ、これによって火炉内が圧縮空気の不足による不完全燃焼によって発生する一酸化段装置などの有毒ガスの発生を防止し、機器の信頼性を向上させることができる。
【0017】第2の発明によれば、異常発生により、第1の配管および第2の配管にそれぞれ設けた第1遮断弁および第2遮断弁を閉じたとき、火炉からの高圧ガスを上記第2の配管の上記第2遮断弁上流側より分岐する第2バイパス管にて膨張タービンの排気管に排出するとともに、第1の配管の上記第1遮断弁下流側の圧縮空気を上記第1の配管より分岐した第3バイパス管を通って上記第2バイパス管に送り、高圧ガスを冷却するので、火炉内の圧力を減少させるとともに、排気管に送る高圧ガスを冷却させることができ、これによって機器の信頼性をさらに向上することができる。
【0018】第3の発明によれば、第2の配管の第2遮断弁上流側に設けた脱塵装置にて高圧ガスに含まれている石炭灰などのダストを除去する。そして通常運転時には、ダストを分離した高圧ガスを膨張タービンに送るので、該膨張タービン内の機器の損傷を防止することができる。また、異常発生により第1の配管および第2の配管にそれぞれに設けた第1遮断弁および第2遮断弁を閉じたときには、脱塵装置にてダストを分離した高圧ガスを上記第2の配管より分岐した第2バイパス管を通って膨張タービンの排気管に排出するとともに、上記第1の配管の上記第1遮断弁下流側の圧縮空気を上記第1の配管より分岐した第3バイパス管を通って上記第2バイパス管にの途中に送り、高圧ガスを冷却するので、上記膨張タービン内の機器および上記排気管に接続する機器かダストによって損傷するのを防止することができ、さらに機器の信頼性を向上することができる。
【0019】第4の発明によれば、第2の配管の第2遮断弁上流側に設けた脱塵装置を上下方向に接続する2個のホッパにて構成し、該上方のホッパには、火炉からの高圧ガスが送入すると、高圧ガスに含まれているダストを除去し、ダストと、該ダストに含まれている一部の高圧ガスを下方のホッパ内に落下させてダストと高圧ガスとを分離し、高圧ガスのみ第2バイパス管に送りダストを下方より排出させる。そして、通常運転時には、第2遮断弁が開いているので、上方のホッパ内でダストと分離した高圧ガスを膨張タービンに送って膨張タービン内の機器の損傷を防止することができる。また異常発生時には、下方のホッパ内からダストと分離した高圧ガスを上記膨張タービンの排気管に排出するとともに、第1の配管の第1遮断弁下流側の圧縮空気を上記第1の配管より分岐した第3バイパス管を通って上記第2バイパス管の途中に送り、高圧ガスを冷却するので、高圧ガスとの分離効率を向上することができ、さらに機器の信頼性を向上することができる。
【0020】
【実施例】以下、第1および第2の発明の一実施例である動力装置を示す図1について説明する。図1に示す実施例と、前記従来技術を示す図6,7との相違点は、第2の配管9の第2遮断弁6上流側より分岐して火炉4内の高圧ガスを膨張タービン3の排気管16の途中に送る第2バイパス管12と、該第2バイパス管12の途中に設置され、火炉4なの高圧ガスの流量を制御する第1調節弁13とを設け、かつ第1の配管8の第1遮断弁5下流側より分岐し、圧縮空気を第2バイパス管12の第1調節弁13上流側に送る第3バイパス管14と、該第3バイパス管14の途中に設置され、圧縮空気の流量を制御する第2調節弁15とを設けた点である。そのため、上記以外は図6,7と同一符号をもって示す。
【0021】つぎに動作について説明する。通常の運転時には、第1,第2遮断弁5,6を開き、バイパス弁10および第1,第2調節弁13,15を閉じて圧縮機1からの圧縮空気を第1遮断弁6を通って火炉4へ送ると、該火炉4では高温ガスが発生し、第2遮断弁6を通って膨張タービン2に送って該膨張タービン2を回転させるとともに、圧縮機1および発電機3を回転させる。
【0022】ついで、上記動力装置にトラブルが発生した場合には、第1,第2遮断弁5,6を閉じて圧縮機1および膨張タービン2と、火炉4とを遮断する。この状態でバイパス弁10を開き、圧縮機1からの圧縮空気をバイパス弁10を通って膨張タービン2に送るので、圧縮機1の急激な全閉による圧縮空気の行き場所がなくなるのを防止する。また、第1調節弁13を開き、第2の配管9の火炉4と第2遮断弁6との間に残存している高圧ガスを第2バイパス管12を通って膨張タービン2の排気管16に送るので、火炉4内圧力は減圧される。同時に、第2調節弁15を開き、第1の配管8の火炉4と第1遮断弁5との間に残存している圧縮空気を第3バイパス管14を通って第2バイパス管12に送るので、第2バイパス管12を通る高圧ガスは圧縮空気によって冷却される。したがって異常時、火炉4内に高温高圧ガスが保持されたまま、圧縮機1および膨張タービン2と隔離される状態から再起動が可能な状態まで、火炉4内の高圧ガスの圧力および温度を、安全かつ他の機器の信頼性を損なうことなく制御することができる。
【0023】つぎに、第3の発明の一実施例である動力装置および該動力装置に使用される脱塵装置をそれぞれ示す図2および図3について説明する。図2に示す実施例と、前記図1に示す実施例との相違点は、第2の配管9の火炉4と、第2バイパス管12分岐点との間に脱塵装置17を設けた点であり、上記以外は同一であるから、同一符号をもって示すとともに、脱塵装置17を中心にして説明する。脱塵装置17は、図3に示すように、ホッパ18内にセラミックにて円筒形状に形成され、外周に高圧ガスの通過する多数の穴19を有するフイルタ20を複数個設け、上方の第2の配管9に接続するガス給入口21からダストを含む高圧ガスが送入すると、複数のフィルタ20を通過しながら高圧ガスがダストと分離し、穴19を通って第2の配管9に接続するガス排出口22より排出する。また高圧ガスと分離したダストは、下方に落下し、一旦底部に溜ったのち、ダスト排出口23より排出される。上記ガス給入口21およびガス排出口22は、第2の配管9に接続し、ダスト排出口23は、図示しないダスト排出装置に接続している。
【0024】つぎに動作について説明する。通常の運転時には、第1,第2遮断弁5,6を開きバイパス弁10および第1,第2調節弁13,15を閉じているので、火炉4からのダストを含む高圧ガスは、第2の配管9を通って脱塵装置17に送入する。脱塵装置17では、高圧ガスと、ダストとを分離し、高圧ガスをガス排出口22より第2の配管9を通って膨張タービン2に送る。一方、高圧ガスより分離したダストをダスト排出口23より外部に排出する。したがって、通常運転時、膨張タービン2内の翼などがダストによって損傷するのを防止することができる。また、動力装置にトラブルが発生した場合には、第1,第2遮断弁5,6を閉じ、バイパス弁10および第1,第2調節弁13,15を開くので、火炉4からのダストを含む高圧ガスは、第2の配管9を通って脱塵装置17に送入し、ダストと分離してガス排出口23より第2の配管9および第2バイパス12を通って膨張タービン2の排気管16に送られる。一方、高圧ガスより分離したダストは、ダスト排出口23より外部に排出される。したがって、異常発生時、膨張タービン2の排気管16に接続する機器がダストによって損傷するのを防止することができる。
【0025】つぎに、第3の発明の他の一実施例である動力装置および脱塵装置をそれぞれ示す図4および図5について説明する。図4に示す実施例と、前記図2に示す実施例との相違点は、脱塵装置24の構成が図5に示すように、前記図3に示す脱塵装置17と相違するのみで、その他は同一であるから、同一符号を持って示すとともに、脱塵装置24を中心にして説明する。図5に示すように、脱塵装置24は、上下方向に接続する2個のホッパ25,26とを設けている。上方のホッパ25は、前記図3に示すホッパ18と同様に、セラミックにて円筒形状に形成され、外周に高圧ガスの通過する穴27を有するフイルタ28を複数個設け、かつ上方には第2の配管9に接続するガス給入口29と、側方には第2の配管9に接続する第1ガス排出口30と、下方には、一部の高圧ガスを含むダストを排出する第1ダスト排出口31とを設けている。下方のホッパ26は、上方に第1ダスト排出口31に接続するダスト給入口32を設け、斜上方には第2バイパス管12に接続する第2ガス排出口33を設け、下方には第2ダスト排出口34を設けている。つぎに脱塵装置24の動作について説明する。ガス給入口29よりダストを含む高圧ガスが送入すると、フイルタ28によって高圧ガスとダストとが分離され、高圧ガスが第1ガス排出口31より第2の配管9に送られる。一方のダストは、上記フイルタ28にて完全に変圧ガスと分離することができず、一部の高圧ガスを含んでいる。そのため、ダストは一部の高圧ガスとともに下方の第1ダスト排出口31およびダスト給入口32を通って下方のホッパ26内に落下する。このとき、ダスト中から一部の高圧ガスが分離し、斜上方の第2ガス排出口33より第2バイパス管12に送られる。一方一部の高圧ガスを分離したダストは下方の第2排出口34より外部に排出される。
【0026】したがって、本実施例による脱塵装置24は、膨張タービン2の排気管16に送る高圧ガスよりダストを分離する効率を向上することができ、これによって排気管16に接続する機器の損傷をさらに防止することができる。
【0027】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載するような効果を奏する。
【0028】第1の発明によれば、異常発生により、第1の配管および第2の配管にそれぞれ設けた第1遮断弁および第2遮断弁を閉じたとき、火炉内の高圧ガスを第2バイパス管を通って膨張タービンの排気管に排出するので、火炉内の圧力を減少させて火炉内が圧縮空気の不足による不完全燃焼による一酸化炭素などの有毒ガスの発生を防止し、機器の信頼性を向上させることができる。
【0029】第2の発明によれば、異常発生により、第1の配管および第2の配管にそれぞれ設けた第1遮断弁および第2遮断弁を閉じたとき、火炉内の高圧ガスを第2バイパス管を通って膨張タービンの排気管に排出するとともに、上記第1の配管の上記第1遮断弁下流側の圧縮空気を第3バイパス管を通って上記第2バイパス管の途中に送り、高圧ガスを冷却させるので、機器の損傷を防止し、さらに機器の信頼性を向上させることができる。
【0030】第3の発明によれば、第2の配管の第2遮断弁上流側に設けた脱塵装置により、通常運転時、火炉からの高圧ガス中に含まれているダストを除去して高圧ガスのみ膨張タービンに送ることができ、また、異常発生により、第1の配管および第2の配管にそれぞれ設けた第1遮断弁および第2遮断弁を閉じたとき、上記脱塵装置によりダストを分離した高圧ガスを上記膨張タービンの排気管に排出するとともに、上記第1の配管の上記第1遮断弁下流側の圧縮空気を第3バイパス管を通って上記第2バイパス管の途中に送り、高圧ガスを冷却させるので、機器の損傷を防止し、さらに機器の信頼性を向上することができる。
【0031】第4の発明によれば、第2の配管の第2遮断弁上流側に設けた脱塵装置を上下方向に接続する2個のホッパにて構成し、該上方のホッパには、火炉からの高圧ガスが送入すると、高圧ガスに含まれているダストを除去し、ダストと、該ダストに含まれている一部の高圧ガスを下方のホッパ内に落下させてダストと高圧ガスとを分離し、高圧ガスのみ第2バイパス管に送りダストを下方より排出させる。そして、通常運転時には、第2遮断弁が開いているので、上方のホッパ内でダストと分離した高圧ガスを膨張タービンに送って膨張タービン内の機器の損傷を防止することができる。また異常発生時には、下方のホッパ内からダストと分離した高圧ガスを上記膨張タービンの排気管に排出するとともに、第1の配管の第1遮断弁下流側の圧縮空気を上記第1の配管より分岐した第3バイパス管を通って上記第2バイパス管の途中に送り、高圧ガスを冷却するので、高圧ガスとダストとの分離効率を向上することができ、さらに機器の信頼性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例である動力装置を示す図。
【図2】本発明の第2の実施例である動力装置を示す図。
【図3】図2に脱塵装置の拡大断面図。
【図4】本発明の第3の実施例である動力装置を示す図。
【図5】図4に示す脱塵装置の拡大断面図。
【図6】従来の動力装置の通常運転時を示す図。
【図7】従来の動力装置の異常運転時を示す図。
【符号の説明】
1…圧縮機,2…膨張タービン,3…発電機,4…火炉,5…第1遮断弁,6…第2遮断弁,8…第1の配管,9…第2の配管,10…バイパス弁,11…第1バイパス管,12…第2バイパス管,13…第1調節弁,14…第3バイパス管,15…第2調節弁,16…排気管,17,24…脱塵装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 大気圧以上の圧力により石炭などの燃料を燃焼させ、高温ガスを発生させる火炉と、該火炉に圧縮空気を供給する圧縮機と、上記火炉からの高温ガスで回転し、上記圧縮機および発電機を回転させる膨張タービンを設け、かつ上記圧縮機からの圧縮空気を上記火炉に送るとともに、その流量を遮断する第1遮断弁を有する第1の配管と、上記火炉からの高温ガスを上記膨張タービンに送るとともに、その流量を遮断する第2遮断弁を有する第2の配管と、上記第1の配管の上記第1遮断弁上流側および上記第2の配管の上記第2遮断弁下流側を接続するとともに、バイパス弁を有する第1バイパス管を備えた動力装置において、異常発生により、上記第1,第2遮断弁を閉じたとき、上記火炉からの高圧ガスを上記第2の配管の上記第2遮断弁上流側より分岐し、上記膨張タービンの排気管に送って上記火炉内の圧力を低下させる第2バイパス管を設けたことを特徴とする動力装置。
【請求項2】 大気圧以上の圧力により石炭などの燃料を燃焼させ、高温ガスを発生させる火炉と、該火炉に圧縮空気を供給する圧縮機と、上記火炉からの高温ガスで回転し、上記圧縮機および発電機を回転させる膨張タービンを設け、かつ上記圧縮機からの圧縮空気を上記火炉に送るとともに、その流量を遮断する第1遮断弁を有する第1の配管と、上記火炉からの高温ガスを上記膨張タービンに送るとともに、その流量を遮断する第2遮断弁を有する第2の配管と、上記第1の配管の上記第1遮断弁上流側および上記第2の配管の上記第2遮断弁下流側を接続するとともに、バイパス弁を有する第1バイパス管を備えた動力装置において、異常発生により、第1,第2遮断弁を閉じたとき、上記火炉からの高圧ガスを上記第2の配管の上記第2遮断弁上流側より分岐し、上記膨張タービンの排気管に送って上記火炉内の圧力を低下させる第2バイパス管を設け、かつ上記第1の配管の上記第1遮断弁下流側より分岐し、圧縮空気を上記バイパス管の途中に送って高温ガスを冷却させる第3バイパス管を設けたことを特徴とする動力装置。
【請求項3】 大気圧以上の圧力により石炭などの燃料を燃焼させ、高温ガスを発生させる火炉と、該火炉に圧縮空気を供給する圧縮機と、上記火炉からの高温ガスで回転し、上記圧縮機および発電機を回転させる膨張タービンを設け、かつ上記圧縮機からの圧縮空気を上記火炉に送るとともに、その流量を遮断する第1遮断弁を有する第1の配管と、上記火炉からの高温ガスを上記膨張タービンに送るとともに、その流量を遮断する第2遮断弁を有する第2の配管と、上記第1の配管の上記第1遮断弁上流側および上記第2の配管の上記第2遮断弁下流側を接続するとともに、バイパス弁を有する第1バイパス管を備えた動力装置において、上記第2の配管の上記第2遮断弁上流側に配置され、上記火炉からの高圧ガスからダストを除去して上記第2の配管に送る脱塵装置を設け、かつ異常発生により上記第1,第2遮弁を閉じたとき、上記脱塵装置からのダストを除去した高圧ガスを上記第2の配管の上記第2遮断弁上流側より分岐し、上記膨張タービンの排気管に送って上記火炉内の圧力を低下させる第2バイパス管と、上記第1の配管の上記第1遮断弁下流側より分岐し、圧縮空気を上記第2バイパス管の途中に送って高温ガスを冷却させる第3バイパス管とを設けたことを特徴とする動力装置。
【請求項4】 上記脱塵装置は、ホッパと、該ホッパの上方部および側方部に設置され、それぞれ第2の配管に接続するガス給入口およびガス排出口とを設けるとともに、下方部にガス排出口を設け、かつ内部に円筒形状に形成され、その外周に高圧ガスのみを通過させる多数の穴を有する複数のフイルタを設けたことを特徴とする請求項3記載の動力装置。
【請求項5】 大気圧以上の圧力により石炭などの燃料を燃焼させ、高温ガスを発生させる火炉と、該火炉に圧縮空気を供給する圧縮機と、上記火炉からの高温ガスで回転し、上記圧縮機および発電機を回転させる膨張タービンを設け、かつ上記圧縮機からの圧縮空気を上記火炉に送るとともに、その流量を遮断する第1遮断弁を有する第1の配管と、上記火炉からの高温ガスを上記膨張タービンに送るとともに、その流量を遮断する第2遮断弁を有する第2の配管と、上記第1の配管の上記第1遮断弁上流側および上記第2の配管の上記第2遮断弁下流側を接続するとともに、バイパス弁を有する第1バイパス管を備えた動力装置において、上記第2の配管の上記遮断弁上流側に配置されるとともに、上下方向に接続する2個のホッパにて構成され、上記火炉からの高圧ガスが上方のホッパの上記ガス給入口から送入したとき、フイルタにて高圧ガスに含まれているダストを除去し、高圧ガスのみを側方の第1ガス排出口より上記第2の配管に排出し、ダストおよび、該ダストに含まれている1部の高圧ガスを下方のホッパに落下させつつダストと高圧ガスとを分離して高圧ガスのみを第2ガス排出口より第2バイパス管に排出し、ダストを下方のダスト排出口より排出する脱塵装置を設け、かつ異常発生により上記第1,第2遮断弁を閉じたとき、上記脱塵装置からのダストを除去した高圧ガスを上記第2の配管の上記第2遮断弁上流側より分岐し、上記膨張タービンの排気感に送って上記火炉内の圧力を低下させる第2バイパス管と、上記第1の配管の上記第1遮断弁下流側より分岐し、圧縮空気を上記第2バイパス管の途中に送って高温ガスを冷却させる第3バイパス管とを設けたことを特徴とする動力装置。
【請求項6】 上記第2および第3バイパス管は、それぞれ流量を制御する制御手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至3および5のいずれかに記載の動力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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