説明

動揺病低減装置および方法

【課題】乗員に与える不快感や違和感が少ない動揺病低減装置および方法を提供する。
【解決手段】乗物の乗員Cに運転者類似頭部運動を誘発させる刺激を与える刺激手段1を備え、刺激手段1は、乗物の旋回時に、乗員の遠心側に位置する体の一部を押すものである。乗員Cに運転者類似頭部運動を誘発させ、同乗者にも運転者類似頭部運動をさせることができるので、同乗者の動揺病を低減できる。乗員Cは能動的に運転者類似頭部運動を行うので、乗員Cに与える不快感や違和感が少なく、動揺病の低減の効果も高い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動揺病低減装置および方法に関する。さらに詳しくは、乗物の乗員の動揺病を低減するための動揺病低減装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両の運転者は同乗者に比べて動揺病(乗物酔い)にかかりにくいことが知られている。また、カーブ走行中の運転者と同乗者の頭部運動に着目すると、運転者は車両の旋回方向(向心方向)に頭部を傾けているが、同乗者は運転者とは逆向き(車両の旋回による遠心力が働く方向(遠心方向))に頭部を傾けていることが知られている。これらのことから、運転者と同乗者の頭部運動の違いと動揺病の発生とは関連があると考えられ、同乗者に運転者の頭部運動に類似する頭部運動をさせれば、同乗者の動揺病を低減できると考えられる。
【0003】
特許文献1には、車両座席の背部にヘッドレストを揺動可能に設け、そのヘッドレストを車両の旋回状態に応じて揺動することにより、乗員の頭部を向心方向に傾斜させるという技術が記載されている。
この従来技術によれば、同乗者の頭部を強制的に傾斜させ、運転者の頭部運動に類似する頭部運動をさせることができるので、同乗者の動揺病を低減できると記載されている。
【0004】
しかし、上記従来技術では、車両の旋回時には乗員の胴体は遠心力により遠心方向に傾くにもかかわらず、ヘッドレストに固定されている頭部のみは向心方向に強制的に傾斜させられるので、乗員に不快感を与えてしまうし、車両の旋回によって体に作用する遠心力を首で支えることとなるので、乗員に違和感を与えてしまう。そのため、上記従来技術は実用的ではないという問題がある。
また、動揺病の低減には乗員が能動的に頭部運動を行うことが必要と考えられるが、上記従来技術では乗員が受動的に頭部を傾斜させるので、動揺病の低減の効果が低いという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特願平7−252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、乗員に与える不快感や違和感が少ない動揺病低減装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明の動揺病低減装置は、乗物の乗員に運転者類似頭部運動を誘発させる刺激を与える刺激手段を備えることを特徴とする。
第2発明の動揺病低減装置は、第1発明において、前記刺激手段は、前記乗物の旋回時に、前記乗員の遠心側に位置する体の一部を押すものであることを特徴とする。
第3発明の動揺病低減装置は、第2発明において、前記刺激手段は、複数のエアパックと、該複数のエアパックに空気を供給する空気供給源と、該複数エアパックへの空気の供給を制御する制御装置とを備え、前記複数のエアパックは、前記乗員の左右に位置する体の一部に敷かれる位置に設けられていることを特徴とする。
第4発明の動揺病低減装置は、第2または第3発明において、前記乗員の体の一部は、該乗員の大腿部、臀部、腰、背中のうちの一、または二以上の組み合わせであることを特徴とする。
第5発明の動揺病低減装置は、第1発明において、前記刺激手段は、前記乗物の旋回時に、前記乗員の遠心側に位置する体の一部を側方から支えるものであることを特徴とする。
第6発明の動揺病低減装置は、第5発明において、前記刺激手段は、複数のエアパックと、該複数のエアパックに空気を供給する空気供給源と、該複数エアパックへの空気の供給を制御する制御装置とを備え、前記複数のエアパックは、前記乗員の体の一部を側方から支える位置に設けられていることを特徴とする。
第7発明の動揺病低減装置は、第5または第6発明において、前記乗員の体の一部は、該乗員の大腿部、臀部、腰、胴体のうちの一、または二以上の組み合わせであることを特徴とする。
第8発明の動揺病低減装置は、第1発明において、前記刺激手段は、前記乗物の旋回時に、前記乗員の胴体を向心方向に傾けるものであることを特徴とする。
第9発明の動揺病低減装置は、第8発明において、前記刺激手段は、複数のエアパックと、該複数のエアパックに空気を供給する空気供給源と、該複数エアパックへの空気の供給を制御する制御装置とを備え、前記複数のエアパックは、前記乗員の左右に位置する体の一部に敷かれる位置に設けられていることを特徴とする。
第10発明の動揺病低減装置は、第1発明において、前記刺激手段は、前記乗物の旋回時に、前記乗員の遠心側に位置する体の一部に痛覚による刺激を与えるものであることを特徴とする。
第11発明の動揺病低減方法は、乗物の乗員に運転者類似頭部運動を誘発させる刺激を与えることを特徴とする。
第12発明の動揺病低減方法は、第11発明において、前記乗物の旋回時に、前記乗員の遠心側に位置する体の一部を押すことを特徴とする。
第13発明の動揺病低減方法は、第12発明において、前記乗員の体の一部は、該乗員の大腿部、臀部、腰、背中のうちの一、または二以上の組み合わせであることを特徴とする。
第14発明の動揺病低減方法は、第11発明において、前記乗物の旋回時に、前記乗員の遠心側に位置する体の一部を側方から支えることを特徴とする。
第15発明の動揺病低減方法は、第14発明において、前記乗員の体の一部は、該乗員の大腿部、臀部、腰、胴体のうちの一、または二以上の組み合わせであることを特徴とする。
第16発明の動揺病低減方法は、第11発明において、前記乗物の旋回時に、前記乗員の胴体を向心方向に傾けることを特徴とする。
第17発明の動揺病低減方法は、第11発明において、前記乗物の旋回時に、前記乗員の遠心側に位置する体の一部に痛覚による刺激を与えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
第1発明によれば、乗員に運転者類似頭部運動を誘発させ、同乗者にも運転者類似頭部運動をさせることができるので、同乗者の動揺病を低減できる。また、乗員は能動的に運転者類似頭部運動を行うので、乗員に与える不快感や違和感が少なく、動揺病の低減の効果も高い。
第2発明によれば、旋回時に、乗員の遠心側に位置する体の一部を押すことにより、乗員に運転者類似頭部運動を誘発させることができる。また、直進時は乗員に刺激を与えないので、乗員に与える不快感や違和感が少ない。
第3発明によれば、旋回時に、乗員の遠心側に位置するエアパックを膨らませることで、乗員の遠心側に位置する体の一部を押すことができる。また、乗員を拘束しないので、乗員に与える不快感や違和感が少ない。
第4発明によれば、旋回時に、乗員の遠心側に位置する大腿部、臀部、腰、背中のうちの一、または二以上の組み合わせを押すことにより、乗員に運転者類似頭部運動を誘発させることができる。
第5発明によれば、旋回時に、乗員の遠心側に位置する体の一部を側方から支えることにより、乗員は遠心力に抗して踏ん張ることができるので、乗員に運転者類似頭部運動を誘発させることができる。また、直進時は乗員に刺激を与えないので、乗員に与える不快感や違和感が少ない。
第6発明によれば、旋回時に、乗員の遠心側に位置するエアパックを膨らませることで、乗員の遠心側に位置する体の一部を側方から支えることができる。また、乗員を拘束しないので、乗員に与える不快感や違和感が少ない。
第7発明によれば、旋回時に、乗員の遠心側に位置する大腿部、臀部、腰、胴体のうちの一、または二以上の組み合わせを側方から支えることにより、乗員は遠心力に抗して踏ん張ることができるので、乗員に運転者類似頭部運動を誘発させることができる。
第8発明によれば、旋回時に、乗員の胴体を向心方向に傾けることにより、頭部の重心が向心方向に移動するので、乗員に運転者類似頭部運動を誘発させることができる。また、直進時は乗員に刺激を与えないので、乗員に与える不快感や違和感が少ない。
第9発明によれば、旋回時に、乗員の遠心側に位置するエアパックを膨らませることで、乗員の胴体を向心方向に傾けることができる。また、乗員を拘束しないので、乗員に与える不快感や違和感が少ない。
第10発明によれば、旋回時に、乗員の遠心側に位置する体の一部に痛覚による刺激を与えることにより、乗員は体の一部を能動的に浮かし、それにより胴体が向心方向に傾いて頭部の重心が向心方向に移動するので、乗員に運転者類似頭部運動を誘発させることができる。
第11発明によれば、乗員に運転者類似頭部運動を誘発させ、同乗者にも運転者類似頭部運動をさせることができるので、同乗者の動揺病を低減できる。また、乗員は能動的に運転者類似頭部運動を行うので、乗員に与える不快感や違和感が少なく、動揺病の低減の効果も高い。
第12発明によれば、旋回時に、乗員の遠心側に位置する体の一部を押すことにより、乗員に運転者類似頭部運動を誘発させることができる。また、直進時は乗員に刺激を与えないので、乗員に与える不快感や違和感が少ない。
第13発明によれば、旋回時に、乗員の遠心側に位置する大腿部、臀部、腰、背中のうちの一、または二以上の組み合わせを押すことにより、乗員に運転者類似頭部運動を誘発させることができる。
第14発明によれば、旋回時に、乗員の遠心側に位置する体の一部を側方から支えることにより、乗員は遠心力に抗して踏ん張ることができるので、乗員に運転者類似頭部運動を誘発させることができる。また、直進時は乗員に刺激を与えないので、乗員に与える不快感や違和感が少ない。
第15発明によれば、旋回時に、乗員の遠心側に位置する大腿部、臀部、腰、胴体のうちの一、または二以上の組み合わせを側方から支えることにより、乗員は遠心力に抗して踏ん張ることができるので、乗員に運転者類似頭部運動を誘発させることができる。
第16発明によれば、旋回時に、乗員の胴体を向心方向に傾けることにより、頭部の重心が向心方向に移動するので、乗員に運転者類似頭部運動を誘発させることができる。また、直進時は乗員に刺激を与えないので、乗員に与える不快感や違和感が少ない。
第17発明によれば、旋回時に、乗員の遠心側に位置する体の一部に痛覚による刺激を与えることにより、乗員は体の一部を能動的に浮かし、それにより胴体が向心方向に傾いて頭部の重心が向心方向に移動するので、乗員に運転者類似頭部運動を誘発させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施形態に係る動揺病低減装置の刺激手段の説明図である。
【図2】同刺激手段を適用した動揺病低減装置の説明図である。
【図3】本発明の他の実施形態に係る動揺病低減装置の説明図であって、(A)は左側面図、(B)は正面図である。
【図4】さらに他の実施形態に係る動揺病低減装置の説明図であって、(A)は左側面図、(B)は平面図である。
【図5】遠心側および向心側の説明図である。
【図6】試験参加者の頭部ロール角と車両横加速度の時系列変化を示すグラフであり、(A)は動揺病低減装置無しの場合、(B)は動揺病低減装置有りの場合である。
【図7】試験参加者3名の動揺病低減装置無し、有りの場合の頭部最大ロール角を示すグラフである。
【図8】6自由度動揺病数理モデルのブロック線図である。
【図9】30分の加振実験を行った場合のMSIシミュレーション結果である。
【図10】日常運転者1名の、Hard条件でのスラローム走行の結果を示すグラフである。
【図11】日常運転者のMild条件におけるスラローム走行データを用いたMSI算出結果を示すグラフである。
【図12】日常運転者のHard条件におけるスラローム走行データを用いたMSI算出結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(原理)
つぎに、本発明の原理について説明する。
動揺病(乗物酔い)の原因として最も有力な説は感覚混乱説である。通常、感覚混乱説では多感覚モダリティ間における感覚量の不一致が酔いの原因と考えられる。一方、前庭系を中心とする単一感覚情報によっても酔いを生じるという事実に基づき、感覚情報と、脳内に構築された内部モデルにおける感覚量の誤差に基づく動揺病モデルが知られている。具体的には、前庭系による重力方向推定メカニズムに着目した、頭部並進運動に伴う動揺病数理モデルが知られている(Bos, J.E., Bles, W. :Theoretical considerations on canal-otolith
interaction and an observer model, Biological Cybernetics 86, pp.191-207, 2002 参照)。
【0011】
本発明者は、前記動揺病数理モデルを車酔いの解析に利用できるよう、頭部回転を含む頭部6自由度運動に拡張した6自由度動揺病数理モデルを考案した。
6自由度動揺病数理モデルは頭部の加速度ベクトルおよび角速度ベクトルから、動揺病発生率(以下、MSI(Motion
Sick Incidence)という。)を算出するものであり、動揺病数理モデルと同様、ヒトが前庭系から重力方向を推定していることを前提としている。また、6自由度動揺病数理モデルでは、重力加速度を含む頭部加速度および頭部角速度から重力方向を推定し、これと主に小脳等から構築される内部モデルに基づく推定重力方向との差によって動揺病が生じると仮定している。
【0012】
具体的には、6自由度動揺病数理モデルは図8に示すブロック線図で表される。図8において、ベクトルfは頭部座標系から見た頭部の重力と慣性力の合力による加速度であり、数1で表される。ここで、ベクトルaは慣性力による加速度であり、ベクトルgは重力加速度である。
【数1】

また、ベクトルωは頭部座標での回転角速度である。
【0013】
OTOは加速度fを感知する耳石器に相当し、<OTO>はその内部モデルであり、ともにその応答特性から単位行列と仮定している。また、SCCは回転角速度ωを感知する半規管に相当し、<SCC>はその内部モデルであり、それぞれ数2、数3のように表される(Haslwanter, T., Jaeger R., Mayr, S., Fetter, M., (2000). Three
Dimensional Eye Movement Responses to Off-Vertical Axis Rotations in
human. Experimental Brain Research., 134(1), pp.96-106. 参照)。
【数2】

【数3】

ここでτd、τaは時定数である。
【0014】
LPは、耳石器OTOおよび半規管SCCで検出されたセンサ信号から重力方向を検出する更新則であり、数4で与えられる。
【数4】

また<LP>は更新則LPの内部モデルであり、更新則LPと同じ時定数を持つ。
【0015】
ベクトルas、ωs、vsはそれぞれ並進加速度、回転角速度、および鉛直方向の感覚量を表す。スカラーKa、Kωは遠心性コピー等による車両−人体系のダイナミクスおよびキネマティクスの推定における、頭部の加速度および角速度の推定誤差率である。ベクトルΔa、Δω、Δvはそれぞれ並進加速度、回転角速度、鉛直方向の感覚量と内部モデルによる推定値の誤差量であり、ある種の学習過程と解釈できる積分を施した後にそれぞれのゲインKac、Kωc、Kvcを乗じて内部モデルの感覚器官の前に正帰還する。また推定誤差のΔvが、2次のHill関数を経て長い時定数の2階積分を受けることでMSIとして評価される。
【0016】
本発明者は、前記6自由度動揺病数理モデルを用いて、横方向加振時のMSIシミュレーションを行った。
本シミュレーションでは、加振台に固定したヒトをピーク加速度4m/s2、周波数0.26Hzの正弦波状に加振させた。加振時のヒトの頭部の動きは、加振台と同一周期、同一位相の正弦波であると仮定し、頭部傾き条件に+5deg、0deg、-5degの3水準設けた。正の振幅(+5deg)は、加振台と逆方向の頭部運動であり、運転者の頭部運動を模擬している。負の振幅(-5deg)は、加振台の方向の頭部運動であり、同乗者の頭部運動を模擬している。
図9に示すように、正の方向(+5deg)へ頭部を傾斜するほどMSIが小さくなる結果となった。これは、運転者の動揺病が同乗者に比べて少ないという傾向と一致している。
【0017】
つぎに、実車を用いてスラローム走行を行ったときの車両運動および運転者や同乗者の頭部運動を計測した。
実験車両には小型乗用車を用いた。実験走行は幅の広い二車線の道路でスラローム走行を条件ごとに3回行った。実験では運転者と同乗者の頭部加速度、頭部角度、車両の車両加速度、車両角度を計測している。運転者および同乗者の頭部加速度と頭部角度の計測は帽子に取り付けられた無線小型加速度センサ(WAA-001 ワイヤレステクノジー社製)とジャイロセンサ(InertiaCube2 INTER SENSE社製)にて行った。車両加速度、車両角度は車両データ計測センサ(MTi-G Xsense社製)により計測した。頭部の加速度センサのサンプリングタイムは250msec、ジャイロセンサのサンプリングタイムは10msecである。車両加速度、車両角度のサンプリングタイムは10msecである。車両データ計測センサは、なるべく運転者に近い車両の平坦な部分に取り付けた。これらのセンサ計測値を後部座席にてノートパソコンで記録した。実験参加者はインフォームドコンセントを得た運転免許を有する男性8名であり、うち4名が日常運転者(23〜24歳3名、38歳1名)、4名が非日常運転者(22〜23歳)である。また、スラローム走行は次の2条件で行った。
Mild条件:パイロン間隔20m、速度30km/h
Hard条件:パイロン間隔15m、速度40km/h
【0018】
3試行のスラローム走行の中で、運転者の頭部角度計測結果におけるドリフトが少なく、比較的高精度であると判断できる計測結果を選び解析を行った。図10に示すように、運転者の頭部ロール角が車両のロール角と逆位相であり、ここからスラローム走行時に運転者は旋回方向(向心方向)に頭部が傾斜していることがわかる。また傾斜タイミングやその傾け方はスラローム時の車両横加速度や車体のロール角の波形に近い。一方同乗者では、頭部ロール角が車両のロール角と同位相であり、頭部は横加速度に振られているような傾向が得られた。
Hard条件でも同傾向であったが、Mild条件に比べ加速度や車体ロールが大きくなるため、運転者は姿勢保持のために、より頭部を傾斜していた。このことから運転者は車体ロールや横加速度に応じて頭部を傾斜させ姿勢保持を行っているといえる。また同乗者の頭部はHard条件ほど大きく振られていた。
【0019】
スラローム走行実験における運転者と同乗者の頭部運動に伴うMSIを、前記6自由度動揺病数理モデルにて算出した。6自由度動揺病数理モデルへの入力は頭部座標での頭部加速度および角速度であり、実験で計測した車両加速度、車両角速度、運転者頭部角速度、同乗者頭部角速度を用いた。このとき、計測された頭部データをもとに仮想的な頭部運動として次のような頭部運動条件を設定した。
(1)運転者条件:実験で計測された運転者の頭部運動
(2)逆運転者条件:実験で計測された運転者の頭部運動と逆方向の頭部運動
(3)頭部垂直条件:頭部を常に垂直の状態に保つ
(4)同乗者条件:実験で計測された同乗者の頭部運動
(5)逆同乗者条件:実験で計測された同乗者の頭部運動と逆方向の頭部運動
(6)車両運動条件:車両に固定されており、車両と同じ頭部運動
(7)逆車両運動条件:車両運動条件のロールを逆にした頭部運動
【0020】
図11、図12は、それぞれMild条件、Hard条件における頭部運動条件ごとのMSIのピークと頭部最大ロール角の関係である。頭部最大ロール角は位相や波形を考慮した平均的なピーク値を取った。運転者条件と同乗者条件とを比較した場合、運転者条件のMSIのほうが小さくなった。また、カーブ旋回方向と逆方向(遠心方向)への頭部傾斜の条件(同乗者条件、逆運転者条件、車両運動条件)のMSIに比べてカーブ旋回方向(向心方向)への頭部傾斜の条件(運転者条件、逆同乗者条件、逆車両運動条件)のMSIほうが小さくなった。
また、Mild条件に比べHard条件では運転者は頭部を大きく動かしているが、Hard条件では、運転者条件のMSIと逆運転者条件のMSIとの差が少なくなっている。これはMild条件では余裕があるため運転者は確実な頭部運動を行うことが可能でありMSIを大きく低減できるが、Hard条件では運転自体の難易度が高いため適切な頭部運動が実現できなかったと考えられる。
【0021】
上記のごとく、実車で得られた頭部運動によるMSI計算結果において、運転者の方が同乗者よりMSIの値が小さくなった。これは運転者の動揺病が少ないという傾向と一致している。これより、運転者の行う向心方向への頭部傾斜(以下、運転者頭部運動という。)には動揺病の低減効果があるといえる。
したがって、同乗者にも運転者頭部運動に類似する頭部運動(以下、運転者類似頭部運動という。)を誘発させることにより動揺病を低減できるといえる。なお、本発明において、運転者類似頭部運動は、運転者頭部運動と同一の頭部運動に加えて、車両の旋回時に同乗者が少なくとも遠心方向に頭部を傾けない頭部運動を含む概念である。
【0022】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
本発明者は、上記の結果を踏まえ、乗物の乗員、例えば車両の同乗者に、運転者類似頭部運動を誘発させる動揺病低減装置を考案した。
なお、本明細書および特許請求の範囲に記載の「乗物」には、自家用車、バス、トラック等の車両の他、電車、船、アミューズメントパークの大型乗物、運転シミュレータ等が含まれる。以下、車両に適用した実施形態について説明する。
【0023】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る動揺病低減装置Aは、車両の旋回時に、乗員の遠心側に位置する体の一部を押すことにより、乗員に運転者類似頭部運動を誘発させる刺激を与える刺激手段1を備える。ここで、遠心側とは、図5に示すように、車両や乗員における、車両の旋回中心から遠い側を意味する。また、向心側とは、車両や乗員における、車両の旋回中心に近い側を意味する。
【0024】
図1に示すように、刺激手段1は、一対のエアパック10,10と、そのエアパック10,10に空気を供給する空気供給源であるエアタンク20とを備えており、一対のエアパック10,10とエアタンク20とは三又のパイプ30を介して連結されている。また、一対のエアパック10,10は、車両の座席の座面の上に敷かれるクッションシート40の左右に挿入されている。
【0025】
パイプ30のエアタンク20に接続されている部分には、エアタンク20から供給される圧縮空気を減圧するレギュレータ31が取り付けられている。また、パイプ30の各エアパック10,10に接続されている部分には、エアタンク20から供給される空気をエアパック10内に流入・排出させる制御弁32が取り付けられている。また、制御弁32には、制御装置33が接続されており、エアパック10に空気が供給されるタイミングや量を制御できるようになっている。
なお、本実施形態において、エアパック10,10は長方形であり、空気を流入させた時の寸法は幅120mm、長さ370mm、厚さ50mmである。また、エアパック10,10の動作圧力は0.05MPaで一定である。さらに、予備実験にて実験参加者が最も自然であると判断する時間を調査した結果から、エアパック10,10の膨張時間、および空気排出時間はそれぞれ2秒である。
【0026】
図2に示すように、上記刺激手段1の一対のエアパック10,10が挿入されたクッションシート40は、乗員Cが座る座席Sの座面の上に敷かれる。具体的には、一対のエアパック10,10は、その長尺方向が座面の側面に平行となるように、乗員Cの左右の大腿部および臀部に敷かれる位置に設けられている。
なお、エアパック10,10は、クッションシート40の内部に挿入する以外にも、座席Sの座面の内部に直接挿入してもよい。
【0027】
動揺病低減装置Aは上記構成を有するから、車両の旋回時に、その車両の遠心側に位置するエアパック10に空気を供給して膨らませることにより、乗員Cの遠心側に位置する大腿部および臀部を上方に押すことができる。そのため、乗員Cに運転者類似頭部運動を誘発させることができる。その結果、同乗者にも運転者類似頭部運動をさせることができるので、同乗者の動揺病を低減できる。
また、乗員Cは能動的に運転者類似頭部運動を行うので、乗員Cに与える不快感や違和感が少なく、動揺病の低減の効果も高い。
さらに、乗員Cを拘束せず、直進時は乗員Cに刺激を与えないので、乗員Cに与える不快感や違和感が少ない。
なお、乗員Cの大腿部および臀部は、エアパック10によって上方に押されても、持ち上げられる必要はない。また、それにより乗員Cの胴体が向心方向に傾けられる必要もない。しかし、このような圧力を受けることにより乗員Cは能動的に頭部を向心方向に傾斜させる傾向があり、このような刺激で運転者類似頭部運動を誘発させることができる。
【0028】
上記第1実施形態では、エアパック10,10を乗員Cの左右の大腿部および臀部に敷かれる位置に設けたが、エアパック10,10の長さおよび位置を調整し、エアパック10,10を乗員Cの左右の大腿部のみに敷かれる位置に設けてもよいし、乗員Cの左右の臀部のみに敷かれる位置に設けてもよい。また、エアパック10,10を乗員Cの腰や背中の左右に敷かれる位置に設けて、それらを前方に押すようにしてもよい。すなわち、エアパック10は、乗員Cの大腿部、臀部、腰、背中のうちのいずれかに敷かれる位置に設けてもよいし、それらの任意の組み合わせに敷かれる位置に設けてもよい。エアパック10が設けられる位置が広範に渡る場合には、二対以上のエアパック10を設けてもよい。
このようにしても、車両の旋回時に、乗員Cの遠心側に位置する体の一部を押すことにより、乗員Cに運転者類似頭部運動を誘発させることができる。
【0029】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係る動揺病低減装置Bは、車両の旋回時に、乗員Cの遠心側に位置する体の一部を側方から支えることにより、乗員Cに運転者類似頭部運動を誘発させる刺激を与える刺激手段2を備える。
本実施形態に係る刺激手段2は、第1実施形態に係る刺激手段1とほぼ同様の構成であるが(図1参照)、一対のエアパック10,10は、乗員Cの大腿部および臀部を側方から支える位置に設けられている。すなわち、刺激手段2の一対のエアパック10,10の間隔は、刺激手段1の一対のエアパック10,10の間隔に比べて若干広くなっている。
【0030】
動揺病低減装置Bは上記構成を有するから、車両の旋回時に、その車両の遠心側に位置するエアパック10に空気を供給して膨らませることにより、乗員Cの遠心側に位置する大腿部および臀部を側方から支えることができる。そのため、バケットシートのように乗員Cは遠心力に抗して踏ん張ることができるので、乗員Cに運転者類似頭部運動を誘発させることができる。その結果、同乗者にも運転者類似頭部運動をさせることができるので、同乗者の動揺病を低減できる。
また、乗員Cは能動的に運転者類似頭部運動を行うので、乗員Cに与える不快感や違和感が少なく、動揺病の低減の効果も高い。
さらに、乗員Cを拘束せず、直進時は乗員Cに刺激を与えないので、乗員Cに与える不快感や違和感が少ない。
【0031】
上記第2実施形態では、エアパック10,10を乗員Cの大腿部および臀部を側方から支える位置に設けたが、エアパック10,10の長さおよび位置を調整し、エアパック10,10を乗員Cの大腿部のみを側方から支える位置に設けてもよいし、乗員Cの臀部のみを側方から支える位置に設けてもよい。また、エアパック10,10を乗員Cの腰や胴体を側方から支える位置に設けてもよい。すなわち、エアパック10は、乗員Cの大腿部、臀部、腰、胴体のうちのいずれかを側方から支える位置に設けてもよいし、それらの任意の組み合わせを側方から支える位置に設けてもよい。エアパック10が設けられる位置が広範に渡る場合には、二対以上のエアパック10を設けてもよい。
このようにしても、車両の旋回時に、乗員Cの遠心側に位置する体の一部を側方から支えることにより、乗員Cは遠心力に抗して踏ん張ることができるので、乗員Cに運転者類似頭部運動を誘発させることができる。
【0032】
また、図3に示すように、刺激手段2に用いられるエアパック10に代えて、座席Sの表面から突き出る高さが変更可能なカマボコ形の突出部材50を用いてもよい。より詳細には、一対の突出部材50,50を、乗員Cの大腿部および臀部の側方に設け、車両の旋回時に、その車両の遠心側に位置する突出部材50を突き出して高さを高くする。
さらに、図4に示すように、上記一対の突出部材50,50を、乗員Cの胴体の側方に設け、車両の旋回時に、その車両の遠心側に位置する突出部材50の突き出る高さを高くするようにしてもよい。
このようにしても、車両の旋回時に、乗員Cの遠心側に位置する体の一部を側方から支えることにより、乗員Cは遠心力に抗して踏ん張ることができるので、乗員Cに運転者類似頭部運動を誘発させることができる。
【0033】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態に係る動揺病低減装置Cは、車両の旋回時に、乗員Cの胴体を向心方向に傾けることにより、乗員Cに運転者類似頭部運動を誘発させる刺激を与える刺激手段3を備える。
本実施形態に係る刺激手段3は、第1実施形態に係る刺激手段1とほぼ同様の構成であるが(図1参照)、空気を供給したときのエアパック10の厚さが、刺激手段1のエアパック10よりも厚くなっている。そのため、車両の旋回時に、その車両の遠心側に位置するエアパック10に空気を供給して膨らませることにより、乗員Cの遠心側に位置する大腿部および臀部が上方に持ち上げられ、それにより乗員Cの胴体が向心方向に傾けられるようになっている。
【0034】
動揺病低減装置Cは上記構成を有するから、車両の旋回時に、その車両の遠心側に位置するエアパック10に空気を供給して膨らませることにより、乗員Cの胴体を向心方向に傾けることができる。そのため、乗員Cの頭部の重心が向心方向に移動するので、乗員Cに運転者類似頭部運動を誘発させることができる。その結果、同乗者にも運転者類似頭部運動をさせることができるので、同乗者の動揺病を低減できる。
また、乗員Cは能動的に運転者類似頭部運動を行うので、乗員Cに与える不快感や違和感が少なく、動揺病の低減の効果も高い。
さらに、乗員Cを拘束せず、直進時は乗員Cに刺激を与えないので、乗員Cに与える不快感や違和感が少ない。
【0035】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態に係る動揺病低減装置Dは、車両の旋回時に、乗員Cの遠心側に位置する体の一部に痛覚による刺激を与えることにより、乗員Cに運転者類似頭部運動を誘発させる刺激を与える刺激手段4を備える。
本実施形態に係る刺激手段4は、車両の旋回時に、例えば乗員Cの遠心側に位置する大腿部および臀部に痛覚による刺激を与えるような手段である。具体的には、第1実施形態に係る刺激手段1におけるエアパック10に代えて、一対の電気パッドをクッションシート40の左右に挿入したものである。なお、座席Sの表面から突き出ることができる針のような棒を用いてもよい。
【0036】
動揺病低減装置Dは上記構成を有するから、車両の旋回時に、その車両の遠心側に位置する電気パッドにより、あるいは針のような棒により、乗員Cの遠心側に位置する大腿部および臀部に痛覚による刺激を与えることにより、乗員Cは刺激が与えられた大腿部や臀部を能動的に浮かし、それにより胴体が向心方向に傾いて頭部の重心が向心方向に移動するので、乗員Cに運転者類似頭部運動を誘発させることができる。その結果、同乗者にも運転者類似頭部運動をさせることができるので、同乗者の動揺病を低減できる。
【0037】
(試験)
つぎに、上記第1実施形態に係る動揺病低減装置Aの効果の検証試験について説明する。
試験は、半径12mの左折カーブのみを走行することにより行った。このとき、カーブ進入速度を40km/hとした。試験参加者は助手席に着座し、動揺病低減装置無し、有りの2パターンをそれぞれ6走行ずつ経験した。また、エアパック10,10の動作は、後部座席の操作者が運転者のハンドル操舵に合わせて制御弁32を開閉させることによって行った。また試験参加者の頭部加速度と頭部角度の計測は帽子に取り付けられた無線小型加速度センサ(WAA-001 ワイヤレステクノジー社製)とジャイロセンサ(InertiaCube2 INTER SENSE社製)にて行った。車両加速度、車両角度は車両データ計測センサ(MTi-G Xsense社製)により計測した。なお、試験参加者はインフォームドコンセントを得た22才から24才までの男性3名であった。
【0038】
試験の結果、図6に示すように、動揺病低減装置無し(A)、有り(B)で同程度の車両横加速度が計測されているが、動揺病低減装置無し(A)に比べて動揺病低減装置有り(B)の方が、頭部ロール角が小さく抑えられていることが分かった。
【0039】
また、図7に示すように、他の試験参加者においても、動揺病低減装置有りの方が、頭部最大ロール角が小さく抑えられていることが分かった。これは、エアパックの膨らみが参加者の大腿部の支えとなり、遠心方向への頭部傾斜が抑えられたためと考えられる。これより、前記6自由度動揺病数理モデルによれば、動揺病低減装置有りの方が、MSIが小さくなり、動揺病が低減すると推察できる。なお、実験参加者からは、動揺病低減装置Aに対する違和感は無く、動揺病低減装置Aが有ると体の支えとなり、姿勢が安定するという意見を得た。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明に係る動揺病低減装置は、自家用車、バス、トラック等の車両の他、電車、船、アミューズメントパークの大型乗物や、運転シミュレータにおける動揺病の低減に利用することができる。
【符号の説明】
【0041】
10 エアパック
20 エアタンク
30 パイプ
31 レギュレータ
32 制御弁
33 制御装置
40 クッションシート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗物の乗員に運転者類似頭部運動を誘発させる刺激を与える刺激手段を備える
ことを特徴とする動揺病低減装置。
【請求項2】
前記刺激手段は、前記乗物の旋回時に、前記乗員の遠心側に位置する体の一部を押すものである
ことを特徴とする請求項1記載の動揺病低減装置。
【請求項3】
前記刺激手段は、複数のエアパックと、該複数のエアパックに空気を供給する空気供給源と、該複数エアパックへの空気の供給を制御する制御装置とを備え、
前記複数のエアパックは、前記乗員の左右に位置する体の一部に敷かれる位置に設けられている
ことを特徴とする請求項2記載の動揺病低減装置。
【請求項4】
前記乗員の体の一部は、該乗員の大腿部、臀部、腰、背中のうちの一、または二以上の組み合わせである
ことを特徴とする請求項2または3記載の動揺病低減装置。
【請求項5】
前記刺激手段は、前記乗物の旋回時に、前記乗員の遠心側に位置する体の一部を側方から支えるものである
ことを特徴とする請求項1記載の動揺病低減装置。
【請求項6】
前記刺激手段は、複数のエアパックと、該複数のエアパックに空気を供給する空気供給源と、該複数エアパックへの空気の供給を制御する制御装置とを備え、
前記複数のエアパックは、前記乗員の体の一部を側方から支える位置に設けられている
ことを特徴とする請求項5記載の動揺病低減装置。
【請求項7】
前記乗員の体の一部は、該乗員の大腿部、臀部、腰、胴体のうちの一、または二以上の組み合わせである
ことを特徴とする請求項5または6記載の動揺病低減装置。
【請求項8】
前記刺激手段は、前記乗物の旋回時に、前記乗員の胴体を向心方向に傾けるものである
ことを特徴とする請求項1記載の動揺病低減装置。
【請求項9】
前記刺激手段は、複数のエアパックと、該複数のエアパックに空気を供給する空気供給源と、該複数エアパックへの空気の供給を制御する制御装置とを備え、
前記複数のエアパックは、前記乗員の左右に位置する体の一部に敷かれる位置に設けられている
ことを特徴とする請求項8記載の動揺病低減装置。
【請求項10】
前記刺激手段は、前記乗物の旋回時に、前記乗員の遠心側に位置する体の一部に痛覚による刺激を与えるものである
ことを特徴とする請求項1記載の動揺病低減装置。
【請求項11】
乗物の乗員に運転者類似頭部運動を誘発させる刺激を与える
ことを特徴とする動揺病低減方法。
【請求項12】
前記乗物の旋回時に、前記乗員の遠心側に位置する体の一部を押す
ことを特徴とする請求項11記載の動揺病低減方法。
【請求項13】
前記乗員の体の一部は、該乗員の大腿部、臀部、腰、背中のうちの一、または二以上の組み合わせである
ことを特徴とする請求項12記載の動揺病低減方法。
【請求項14】
前記乗物の旋回時に、前記乗員の遠心側に位置する体の一部を側方から支える
ことを特徴とする請求項11記載の動揺病低減方法。
【請求項15】
前記乗員の体の一部は、該乗員の大腿部、臀部、腰、胴体のうちの一、または二以上の組み合わせである
ことを特徴とする請求項14記載の動揺病低減方法。
【請求項16】
前記乗物の旋回時に、前記乗員の胴体を向心方向に傾ける
ことを特徴とする請求項11記載の動揺病低減方法。
【請求項17】
前記乗物の旋回時に、前記乗員の遠心側に位置する体の一部に痛覚による刺激を与える
ことを特徴とする請求項11記載の動揺病低減方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2012−131269(P2012−131269A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−283228(P2010−283228)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(304028346)国立大学法人 香川大学 (285)
【Fターム(参考)】