説明

動物に付けられ又は着せられる、動物の生理状態を示すデバイス

本発明は、動物の生理状態を示すため、動物102に着せられるか又は付けられるデバイス100に関する。その動物の生理状態を測定するため、少なくとも1つの測定デバイスが使用される。結果として生じるデータは、動物の現在の生理状態を評価するとき、少なくとも1つの閾値と定期的に比較される。それに基づき、指示手段がその動物の現在の生理状態を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物の生理状態を示すため動物に付けられ又は着せられるデバイスに関する。本発明は更に、動物の生理状態を示す方法にも関する。本発明は更に、動物に付けられ又は着せられ、その動物の生理状態を示すのに使用されるデバイスを動作させるユーザデバイスにも関する。本発明は更に、動物に付けられ又は着せられて、動物の生理状態を示すよう構成されるデバイスを、ユーザデバイスを用いて動作させる方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
犬を外で見かける場合、しかもこの犬と親しい間柄でもない場合には、その犬が非常におとなしく、今まで決して人に危害を加えたことはないと飼い主がどんなにあなたを信じさせようとしても、その犬があなたに襲いかかることがないと信じ切ることはできないであろう。しかしながら、この状態は、通行者及び飼い主の双方にとって悩みの種となる。
【0003】
近年、危険なハウスペットに関するいくつかの深刻な事故が報告されている。例えばドイツでは、毎年数人の子供がひどい怪我をしているか、殺されてさえいる。これは、いくつかの政府にペットを飼育する際の法律を改正させるまでになっている。斯かる事故を防止するための諸外国からの反応は様々である。ある国では、ペットを所有するための許可が政府により承認されなければならず、一方で、他の国では、特殊な動物種は、外にいるときはいつでも口輪をつけなればならない。幾つかの国では、何種類かのペットの飼育を禁じることさえオプションとして考慮されている。それでもなお、犬又は他のいずれかの動物の傍を通行する歩行者に対して十分な安全性を提供する状況はまだ解決されていない。
【0004】
米国特許第5,794,324号において、ある装置が開示される。その装置は、複数の音に選択的に応じる音声処理手段と、音声処理手段からの複数の電気的入力に選択的に応じる音声処理手段に結合されるアクチュエータ手段と、そのアクチュエータ手段に結合される刺激生成手段とを有する。動物に与えられるその刺激は、その動物により生み出される音と相関関係のある行動に関する人間の肉声の命令を含むことができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この参照文献における問題は、動物及び動物の飼い主の傍を通り過ぎる歩行者が、動物の現在の生理的な状態を推定することができないことにある。これは結果として、例えば、動物が歩行者に突然襲い掛かることを動物の飼い主が防げないことをもたらす。斯かる襲撃を防止するために、飼い主は、動物が斯かる反応行動をとる前に気付き、好ましくは手遅れになる前に歩行者に警告することができなければならないか、又は動物が自動的におとなしくなるような方法が実現されなければならない。
【0006】
本発明の目的は上述のような問題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの側面によれば、本発明は、動物に付けられ又は着せられ、上記動物の生理状態を示すデバイスであって、
上記動物の生理状態に関するデータであって、上記動物の生理状態を評価するとき少なくとも1つの閾値と比較されるようなデータを測定する少なくとも1つの測定デバイスと、
プロセッサと、
上記動物の生理状態を示す前記プロセッサにより動作される指示手段とを有する。
【0008】
こうして、近くの人間は、その動物の現在の生理状態に関して指示手段により警告を受けることができる。そのことは、動物をより信頼のおけるものにする。動物は、例えば、犬、ネコ、若しくは他の種類のペット、又はライオン、トラといった動物園の動物とすることができる。更に、動物の生理状態が不安定な場合、その動物を避けることにより、動物により行われる危険な行動が防止されることができる。より詳細には、動物の飼い主も現在の状態に気付き、それに応じてそのように反応することができる。
【0009】
1つの実施形態では、上記デバイスは、上記測定された生理データが上記閾値を超える場合、上記プロセッサにより動作され、上記動物に痛みを伴う制裁を与える刺激ユニットを更に有する。別の実施形態では、上記刺激ユニットが、上記動物に埋め込まれる。こうして、動物は非常に効率的に警告され、及び/又はなだめられることができ、動物が別の動物又は人間を傷つけるか又は殺す前に、動物により行われるすべての危険な行動が防止されることができる。
【0010】
ある実施形態では、上記刺激ユニットが、上記動物の飼い主又はトレーナにより更に動作される。こうして、生理データが1つ又は複数の閾値を超える場合であっても、飼い主は斯かる刺激を回避することができる。これは、例えば、例えば犬のような動物に野生動物をハントすることを許す場合に適用できる。
【0011】
ある実施形態では、上記動物が上記痛みを伴う制裁に反応しない場合、上記刺激ユニットが、痛みを伴う制裁のレベルを増加させるよう構成される。例として、次のより大きな閾値に到達した場合に、又は測定された生理データが再度第1の閾値を下回ることがない状況が所定時間経過した場合のいずれかに、痛みを伴う刺激の次のレベルが適用されることができる。こうして、動物が第1の刺激に反応しない場合、動物に影響を与え、かつ動物をおとなしくさせるまで刺激が増加されることができる。痛みを伴う制裁の大きさは、各個別の動物に適合されることもできる。その結果、そのデバイスは、各個別の動物がどのように反応するか(例えば同じ品種の2頭の犬とすることができる)を監視し、それに基づき、制裁のレベルを調整することができる。その痛みを伴う制裁を適用する前に、その動物は好ましくは警告を受け、こうして、その動物はその行動を調整する機会を付与される。
【0012】
ある実施形態においては、上記刺激ユニットが、
音響ユニット、
圧力又は振動等を加える機械刺激ユニット、
電気刺激ユニット、
温度刺激ユニット、及び
薬物供給ユニットを含むグループから少なくとも1つのユニットを有する。
【0013】
音響ユニットは、例えば、音響信号を提供するよう構成されることができる。音響信号の提供は、例えば携帯電話を介して直接話しかけることにより動物の飼い主により行われることができる。その場合、音響信号の周波数は人工的に20kHz以上の高周波にシフトされることができる。機械的な刺激は、例えば、動物につける首輪を自動的に収縮させることを有する。電気刺激ユニット(神経刺激器として知られるような、埋め込み型デバイスとすることもできる)は、好ましくは、電気パルス又は電気ショックを提供するよう構成される。温度刺激ユニットは、皮膚の上又は埋め込み型デバイスを用いて体内を熱く又は冷たくすることのいずれかを実行することができる。薬物供給ユニットは、経皮薬物システム(インクジェット状デバイス又はマイクロ針アレイ)を介して、又は進化した埋め込み型デバイスを用いて、注入を提供するよう構成されることができる。上述した実施形態にあるように、痛みを伴う制裁のレベルが増加されなければならないとき、上記異なった刺激ユニットが使用されることができる。例として、音響刺激は、動物に警告を与える際の第1のステップとして使用されることができる。続いて、ボリューム及び/又は周波数が増加されることができ、最後のステップとして注入刺激が使用されることができる。更に、その刺激ユニットは、動物がライオンであるか又はネコであるかに応じて、異なる動物に適合するよう構成されることができる。
【0014】
ある実施形態では、上記デバイスが、上記閾値を格納したメモリを更に有する。こうして、上記プロセッサは、上記動物の生理状態を評価するよう更に構成されることができる。その結果、上記動物の生理状態の評価は完全にデバイス側で実行される。
【0015】
ある実施形態では、上記デバイスが、上記生理データをユーザデバイスに送信する送信機を更に有し、上記生理データが上記閾値の外側にあるとき、上記送信機が上記飼い主/トレーナに警告データを送信するよう更に構成される。別の実施形態では、上記デバイスが、上記ユーザデバイスからデータを受信する受信機を更に有する。それにより、動物の生理状態の評価が、例えば、携帯電話、PDA又はプロセッサを有する任意の種類のデバイスといったユーザデバイスによりユーザ側で実行されることができる。その場合、送信機が測定デバイスからの出力値をユーザデバイスに送信し、受信機は、ユーザデバイスからの処理結果を受信することができる。これは更に、1つ又は複数の生理データが1つ又は複数の閾値を超えた場合でも、ユーザ(トレーナ、飼い主、又は動物の責任者)がそのデバイスに中止メッセージを送信することにより制裁を回避することを可能にする。
【0016】
ある実施形態では、上記動物の生理データを測定する少なくとも1つの測定デバイスが、
心電図(ECG)、
脳波図(EEG)
筋電図(EMG)、
GSR(電気皮膚反応)センサ、
温度センサ、
埋め込み型又は経皮的血液センサ、
埋め込み型神経センサ、
グルコース監視デバイス、及び
埋め込み型又は経皮的グルコース監視デバイスを含むグループからの少なくとも1つの測定デバイスを有する。
【0017】
従って、上記閾値は、例えば、ECG測定デバイスを用いるときは、最大心臓活動レベル又は単位時間あたりに生成された電気インパルスの最大数、EEG測定デバイスを用いるときは脳活動により生じる最大電流、EMG測定デバイスを用いるときは、その収縮の間に筋肉に生成される最大電流等に関する最大値を規定することができる。上記埋め込み型神経センサが電気的又は化学的のいずれかで駆動されることができる。
【0018】
ある実施形態において、上記指示手段が、
光源、
光変調デバイス、
ディスプレイデバイス、
音響システムを含むグループからの少なくとも1つの指示手段を有する。
【0019】
こうして、人々は、動物の生理状態に関して視覚的及び/又は音響的に警告を受けることができる。例として、生理状態がOKである場合、緑の光が点灯する一方、生理状態がOKでない、又はそのデバイスがディアクティベート(deactivate:無効化)されており、その動物が信頼できない状態であれば、赤い光が点灯する。音響的な警告信号を与える音響システムが、光源に追加して実現されることができる。デバイスがディスエーブル(disable:無効化)されるか、機能していないことを示す追加的な手段が含まれることもできる。
【0020】
別の側面によれば、本発明は、動物の生理状態を、上記動物に付けられ又は着せられるデバイスを用いて提示する方法に関する。上記デバイスは、少なくとも1つの測定デバイスと指示手段とを有しており、その方法は、
上記少なくとも1つの測定デバイスを用いて上記動物の生理状態に関するデータであって、上記動物の生理状態を評価するとき少なくとも1つの閾値と比較されるデータを測定するステップと、
上記評価に基づき、上記指示手段を用いて上記動物の生理状態を提示するステップとを有する。
【0021】
更に別の側面によれば、本発明は、動物に付けられ又は着せられるデバイスをユーザデバイスを用いて動作させるよう構成されるユーザデバイスに関する。該ユーザデバイスにより動作される上記デバイスは、上記動物の生理状態を示すのに使用されるものであり、上記ユーザデバイスは、
上記動物の生理状態に関するデータを上記デバイスから受信する受信機と、
少なくとも1つの閾値を格納するメモリと、
上記動物の生理状態を評価するとき、上記受信データを上記少なくとも1つの閾値と比較するプロセッサと、
上記デバイスに上記評価の結果を送信する送信機とを有する。
【0022】
更に別の側面によれば、本発明は、動物に付けられ又は着せられるデバイスを動作させる方法に関する。上記デバイスは、上記動物の生理状態を示すよう構成されており、その方法は、
上記動物の生理状態に関するデータを上記デバイスから受信するステップと、
上記動物の生理状態を評価するとき、上記受信データを少なくとも1つの所定の閾値と比較するステップと、
上記デバイスに上記評価の結果を送信するステップとを有する。
【0023】
本発明は、処理ユニットに上述の方法を実行させる命令が格納されたコンピュータ可読媒体に更に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明のこれら及び他の側面が以下に説明される実施形態を参照して明らかとなり、及び説明されることになる。
【0025】
以下、本発明の好ましい実施形態が図面を参照して説明されることになる。
【0026】
図1は、本発明の原理を示す。即ち、動物の生理状態を人間に通知すること、及びその方法により、他の人間103にとってその動物をより信頼できる存在にすることが示される。以下、その動物は犬102であると仮定して説明されることになる。ここに示されるデバイス100は、犬102の首輪に付けられ又は埋め込まれ、1つ又は複数の測定デバイスを介して規則的又は連続的に犬102の生理状態に関するデータを測定するのに使用される。生理データは、例えば、犬の心臓活動、GSR、犬の脳における電気活動、神経及び筋肉機能の評価、筋肉の緊張、犬のストレス、例えば酸化的ストレスを示すグルコース測定又はデータ、とすることができる。犬102の生理状態を評価するとき、これらのデータは定期的に所定の閾値と比較される。好ましくは、そのシステムを測定アーチファクトに対してより堅牢なものとするために、複数の測定パラメタの組み合わせが解析される。それに基づき、犬102の生理状態が、例えば子供、歩行者、サイクリストといった人間103に示される。これは、目に見える光105又はパルス化された光を介して実現されることができる。例として、緑の光は、その動物の生理状態が「OK」であること、即ち犬102が信頼できるものであることを示し、一方、データが1つ又は複数の閾値を超える場合には、赤い光が、その動物102の生理状態が「OKではない」こと、即ち信頼できる状態ではないことを示す。もちろん、人間に提示されることができる複数の中間状態があってよい。そのデバイスがディアクティベート(deactivate:無効化)されている状態であることを人々に警告するために、追加的な信号が使用されることができる。
【0027】
好ましい実施形態において、犬102の生理状態が「OKではない」なら、人間103は、例えばその犬102から離れているよう人々に指示する警告音声といった音響ノイズにより追加的に警告されることができる。
【0028】
ある実施形態において、1つ又は複数の測定データが1つ又は複数の閾値を超える場合に犬をなだめるための刺激ユニットが、例えば首輪に埋め込まれるなどして更に与えられる。これは、例えば、犬102に警告を与えるが、人間103には害を及ぼさない高周波音を用いるか、又は首輪を収縮させるような機械的な刺激を用いるか、又は経皮的に若しくは埋め込み型デバイスを介して注入されることができる薬物注射を用いることにより実現されることができる。
【0029】
ある実施形態において、上記デバイス100は、測定されたデータが1つ又は複数の閾値を超えるとき、無線で送信された警告信号を送信するよう更に構成される。これは、例としては、犬102が逃げた場合、又は飼い主104から遠く離れた場合、つまり飼い主が犬102を制御できなくなった場合に該当する。斯かる状況において、そのデバイスは、犬102の飼い主又は警察にSMS警告メッセージを送信するよう構成されることができる。好ましい実施形態において、飼い主は、自分の携帯電話を介して犬に直接話しかける機会を持つ。
【0030】
ある実施形態では、そのデバイス100は、動物の飼い主/トレーナ104からの指示を受信するよう更に構成される。これらの命令は、例えば、犬102の生理状態は通常であると犬の飼い主104は感じるが、生理データがそうではないことを示す場合に、痛みを伴う制裁を回避することを有する。これは、許される行為として、犬が野生の動物をハントする場合に該当する。
【0031】
ある実施形態において、犬の生理状態を評価するステップは、デバイス100側で行われる。その場合、その評価に基づき、犬102の生理状態が示される(例えば、前述されたような態様で視覚的に)。この態様で、痛みを伴う制裁が局所的に行われることもでき、結果として、飼い主104と独立して動作するデバイス100を生じさせる。
【0032】
別の実施形態において、その評価は外部的に行われる。例えば、ユーザ104側で行われる。その場合、ユーザ104により動作されるユーザデバイス101に生理データが規則的又は連続的に送信される。ユーザデバイスでは、生理データが閾値と比較される。
【0033】
図2は、動物102に付けられ又は着せられる、本発明によるデバイス100、200を示す。そのデバイスは、動物102の生理状態を示す。そのデバイス100、200は、動物102の生理状態に関するデータを測定する1つ又は複数の測定デバイス(M_D)203を有する。測定から得られる生理データは、所定の閾値と規則的又は連続的に比較される。デバイス100、200は、プロセッサ(P)202と、生理データを閾値と比較することにより得られる結果に基づき動物102の現在の生理状態を示す指示手段(I_M)204とを更に有する。
【0034】
1つ又は複数の測定デバイス(M_D)203は、例えば、心電図(ECG)、脳波図(EEG)、筋電図(EMG)、温度センサ、血液センサ、神経センサ、グルコース監視デバイス、動物の皮膚を介して体液を抽出することにより、電気泳動的手段により化学的に解析するデバイスといった、1つ又は複数の測定デバイスを有することができる。また、動物の生理状態を検出するとき、動物のストレスを測定するデバイス又は埋め込み型測定デバイスが使用されることができる。
【0035】
指示手段(I_M)204は、動物102の現在の状態を示す光源、光変調デバイス、ディスプレイデバイス、又は音響システムを有することができる。その指示は、前述されたように、緑又は赤い光を用いること、又は音声警告を用いること、又はパルス化された光を用いることを有することができる。例えば、システムが正常に機能していないこと(低バッテリ、故障接点等)又はディスエーブル若しくはディアクティベートされており、結果としてその動物が信頼のおけるものではないことを示す追加的な手段(図示省略)が与えられることもできる。
【0036】
ある実施形態において、前述のデバイス100、200は、測定された生理データが1つ又は複数の閾値を超える場合、動物102に痛みを伴う制裁を与える刺激ユニット(S_U)209を更に有する。その刺激ユニット(S_U)209は、電気的パルスを生成する刺激生成器、20kHz又はそれ以上の高周波音を生成する音響システム、動物が身に付ける首輪を収縮させる等の機械的刺激生成器、ヒートショック、薬物注入機構、又は進化した埋め込み型デバイスからなるグループからの1つ又は複数のユニットを有することができる。
【0037】
ある実施形態において、刺激ユニット(S_U)209は、動物がその痛みを伴う制裁に反応しない場合、1つ又は複数の刺激ユニット(S_U)209を用いて、痛みを伴う制裁のレベルを増加するよう構成される。例として、第1段階においては、動物にとって見ることのできる光又は傷つけない音といった痛みのない刺激が動物に適用され、学習効果を可能にする。動物がそうなることを何回か知った後、そして警告信号後に、何らかの痛みを伴う制裁が実行されることになる。動物はその状況を回避しようとするだろう。これは、本発明のデバイスがペットの飼い主によって受け入れられる、その受容度を改善することになろう。
【0038】
ある実施形態では、上記デバイス100、200が、上記閾値が格納されたメモリ206を更に有する。この実施形態では、前述のプロセッサ(P)202が、その1つ又は複数の測定デバイス(M_D)203からの出力を生理データに処理し、そのメモリ206に格納された閾値とそのデータとを比較することにより動物の生理状態を評価するステップを実行するよう更に構成される。また上記プロセッサ(P)は、評価の結果に基づき指示手段(I_M)204を動作させるように構成される。
【0039】
ある実施形態では、生理データと閾値とを比較するステップが、ユーザ104により動作されるユーザデバイス101に含まれるプロセッサによりユーザ104側で実行される。このユーザデバイス101は、例えば、携帯電話、PDA又はプロセッサを有する任意の種類のデバイスといったハンドヘルドデバイスとすることができる。そこでは、更に好ましくは、閾値がそのデバイス101に事前に格納される。この実施形態において、測定デバイス(M_D)203からの出力値をユーザデバイス101に送信し、ユーザデバイス101からの処理結果を受信するためそのユーザデバイス101と相互作用する送信機(T)205及び受信機(R)201が、そのデバイス100、200に更に含まれる。その後、受信結果はその動物の現在の生理状態を示すのに使用される。例として、生理データが閾値内にあることをその結果が示す場合、プロセッサ(P)202は、例えば緑の光を点灯させることにより、指示手段(I_M)204を動作させる。しかしながら、動物102の生理状態がOKでないことをその処理結果が示す場合、プロセッサ(P)202は、(ユーザ104が何か他にすることを決定するかどうかに基づき、)刺激ユニット(S_U)209を動作させ、及び/又は赤い光を点灯させることにより、犬102の現在の不安定な生理状態を示すことができる。
【0040】
図3は、動物の生理状態を示す本発明による方法を説明する。動物の生理状態は、動物の生理状態に関するデータを測定する1つ又は複数の測定デバイスを用いて、最初に測定される(P_S_A)301。そのデータは、動物の生理状態を評価するとき、1つ又は複数の所定の閾値と比較される(C_T_H)303。これは、動物に付けられ又は着せられるデバイス100で、又は外部のユーザデバイス101側のいずれかで実行されることができる。その後、評価の結果は、動物の生理状態を示すのに使用される(I_P_S)305。これは、緑の光又は赤い光を点灯することなどにより、明細書において前述されたような態様で行われることができる。
【0041】
ある実施形態において、その動物の生理状態の評価の結果が、1つ又は複数の生理データが閾値を超えることを示す場合(E_T_V?)307、警告信号が動物の飼い主に送信されることができるか(S_W_S)311、及び/又は動物に警告を与える若しくはなだめるための刺激が適用されることができる(S)313か、及び/又は音響信号が、動物の側にいる人たちにその動物に接近しないよう警告するのに使用されることができる(A_S)315。
【0042】
図4は、例えば犬102といった動物に付けられるか又は着せられるデバイス100、200を動作させる本発明によるユーザデバイス101、400を示す。ユーザデバイス101、400は、上述のデバイス100、200から動物102の生理状態に関するデータを受信する受信機(R)401と、少なくとも1つの閾値を格納するメモリ403とを有する。ユーザデバイス101、400は、その動物102の生理状態を評価するとき少なくとも1つの閾値とその受信データとを比較するプロセッサ(P)402と、動物102の評価された生理状態をそのデバイス100、200に送信する送信機(T)404とを更に有する。
【0043】
好ましい実施形態において、ユーザデバイス101、400は、例えば、携帯電話、又はプロセッサとメモリとを有する任意の種類のハンドヘルドデバイスといったデバイス100、200を遠隔的に動作させるリモート制御である。
【0044】
上述された実施形態は本発明を限定するものではなく説明するものであり、当業者であれば、添付された請求項の範囲から逸脱することなく、他の多くの実施形態をデザインすることができることになることに留意されたい。請求項において、括弧内に配置されるいかなる参照符号も請求項を限定するものとして解釈されるべきではない。単語「comprising(有する)」は、請求項に記載される以外の他の構成要素又はステップの存在を排除するものではない。本発明は、複数の個別の要素を有するハードウェアを用いて、及び適切にプログラムされたコンピュータを用いて実現されることができる。複数の要素を列挙するデバイスクレームにおいて、これらの手段の複数が1つの同じハードウェアアイテムにより実現されることができる。特定の手段が相互に異なる従属項に記載されるという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の原理、即ち動物の生理状態を人間に知らせることを示す図である。
【図2】動物の生理状態を示すため動物に付けられ又は着せられる、本発明によるデバイスを示す図である。
【図3】動物の生理状態を示す、本発明による方法を説明する図である。
【図4】動物に付けられ又は着せられるデバイスを動作させる、本発明によるユーザデバイスを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物に付けられ又は着せられ、前記動物の生理状態を示すデバイスであって、
前記動物の生理状態に関するデータであって、前記動物の生理状態を評価するとき少なくとも1つの閾値と比較されるようなデータを測定する少なくとも1つの測定デバイスと、
プロセッサと、
前記プロセッサにより動作される、前記動物の生理状態を示す指示手段とを有する、デバイス。
【請求項2】
前記プロセッサにより動作され、前記測定された生理データが前記閾値を超える場合前記動物に痛みを伴う制裁を与える刺激ユニットを更に有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記刺激ユニットが、前記動物に埋め込まれる、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記刺激ユニットが、前記動物の飼い主又はトレーナにより動作されるよう更に構成される、請求項2又は3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記動物が前記痛みを伴う制裁に反応しない場合、前記刺激ユニットが、痛みを伴う制裁のレベルを増加させる、請求項2乃至4のいずれかに記載のデバイス。
【請求項6】
前記刺激ユニットが、
音響ユニット、
圧力又は振動等を加える機械刺激ユニット、
電気刺激ユニット、
温度刺激ユニット、及び
薬物供給ユニットを含むグループからの少なくとも1つを有する、請求項2乃至5のいずれかに記載のデバイス。
【請求項7】
前記閾値を格納したメモリを更に有する、請求項1乃至6のいずれかに記載のデバイス。
【請求項8】
前記生理データをユーザデバイスに送信する送信機を更に有し、前記生理データが前記閾値の外側にあるとき、前記送信機が前記飼い主/トレーナに警告データを送信するよう更に構成される、請求項1乃至7のいずれかに記載のデバイス。
【請求項9】
前記ユーザデバイスからデータを受信する受信機を更に有する、請求項1乃至8のいずれかに記載のデバイス。
【請求項10】
前記動物の生理データを測定する少なくとも1つの測定デバイスが、
心電図、
脳波図
筋電図、
GSRセンサ、
温度センサ、
埋め込み型又は経皮的血液センサ、
埋め込み型神経センサ、及び
埋め込み型又は経皮的グルコース監視デバイスを含むグループからの少なくとも1つの測定デバイスを有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
前記指示手段が、
光源、
光変調デバイス、
ディスプレイデバイス、
音響システムを含むグループからの少なくとも1つの指示手段を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項12】
動物に付けられ又は着せられるデバイスを用いて、前記動物の生理状態を提示する方法において、前記デバイスが、少なくとも1つの測定デバイスと指示手段とを有しており、
前記動物の生理状態に関するデータであって、前記動物の生理状態を評価するとき少なくとも1つの閾値と比較されるデータを、前記少なくとも1つの測定デバイスを用いて測定するステップと、
前記評価に基づき、前記指示手段を用いて前記動物の生理状態を提示するステップとを有する、方法。
【請求項13】
処理ユニットに請求項12に記載の方法を実行させる命令が格納されたコンピュータ可読媒体。
【請求項14】
動物に付けられ又は着せられるデバイスを動作させるよう構成されるユーザデバイスであって、該ユーザデバイスにより動作される前記デバイスが、前記動物の生理状態を示すのに使用されるものであり、前記ユーザデバイスは、
前記動物の生理状態に関するデータを前記デバイスから受信する受信機と、
少なくとも1つの閾値を格納するメモリと、
前記動物の生理状態を評価するとき、前記受信データを前記少なくとも1つの閾値と比較するプロセッサと、
前記デバイスに前記評価の結果を送信する送信機とを有する、ユーザデバイス。
【請求項15】
動物に付けられ又は着せられるデバイスをユーザデバイスを用いて動作させる方法において、前記デバイスが、前記動物の生理状態を示すよう構成されており、
前記動物の生理状態に関するデータを前記デバイスから受信するステップと、
前記動物の生理状態を評価するとき、前記受信データを少なくとも1つの所定の閾値と比較するステップと、
前記デバイスに前記評価の結果を送信するステップとを有する、方法。
【請求項16】
処理ユニットに請求項15に記載の方法を実行させる命令が格納されたコンピュータ可読媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−505692(P2009−505692A)
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−524637(P2008−524637)
【出願日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際出願番号】PCT/IB2006/052486
【国際公開番号】WO2007/015186
【国際公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)