説明

動物またはヒトの毛髪を熱損傷から保護するための、第4級アンモニウム基を有するポリシロキサンの使用

【課題】熱の影響による損傷から有意に毛髪を保護することができる活性成分を提供すること。
【解決手段】動物またはヒトの毛髪を熱損傷から保護するための、少なくとも1個の第4級アンモニウム基を含有するポリシロキサンを使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物またはヒトの毛髪を熱損傷から保護するための、少なくとも1種の第4級アンモニウム基を含有するポリシロキサンの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの毛髪は、非常に多岐にわたる様々な影響を毎日受けている。ブラッシング、コーミング、結い上げ、または結わえ付けの結果としての機械的ストレスの他に、毛髪は、例えば強力な紫外線、冷気、熱、風、および水などの環境の影響によっても攻撃される。特定の人物の生理的状況(例えば、年齢、健康)も、ケラチン繊維の状態に影響を及ぼす。
【0003】
特に、化学薬品での処理は、毛髪の構造および表面特性を変化させる。例えば、パーマネントウェービング、脱色、カラーリング、ティンティング、ストレートニングなどの方法であるが、非常に活性の高い界面活性剤による頻繁な洗浄も、毛髪構造に引き起こされる損傷に大なり小なり寄与している。このように、例えばパーマネントウェーブ中に、皮質および毛髪のキューティクルも共に攻撃を受ける。システインのジスルフィド架橋は、還元工程によって破壊され、後続の酸化工程では、システイン酸へと部分的に酸化される。
【0004】
クリーニング、カラーリング、ウェービング、ストレートニング、セッティング、またはシェーピングのための頭髪の処理は、主に水性製剤で実施される。これらの処理方法の後、毛髪を再び乾燥させる。これを短時間で達成するために、乾燥は、温風を使用して実施される。しかし、温風ヘアドライヤーの使用は、シェーピングおよびセッティング処理を強めるように働く。カーリングトングも、ヘアカーリングを永久的にセットする目的で使用される。
【0005】
さらに、スムージングアイロンは、毛髪のストレートニングおよびセッティングに使用され、200℃よりも高い温度を発生させることができる。
【0006】
乾燥およびシェーピングのために温風および熱を当てる特定の方法は、毛髪の構造に損傷を与える。
【0007】
長時間にわたる熱の影響によって引き起こされる毛髪損傷の問題には注意が払われており、毛髪処理組成物への添加剤により熱加熱損傷の問題を低減させる非常に数多くの提案が既になされている。
【0008】
WO00/44337は、毛髪を熱処理による損傷から保護するために、化粧品配合物にポリシロキサンおよびタンパク質のコポリマーを使用することを開示している。同様に、構造についても、S. Meulemannによる論文「Test method for the study of ingredients protecting hair against damage caused by thermal stresses」(SOFW-Journal128th volume、3、2008)に記載されている。
【0009】
US6241977は、100〜180℃の範囲の熱による損傷から毛髪および羊毛を保護する活性成分としてのビニルエーテルおよびマレイン酸のコポリマーについて記述している。
【0010】
DE19943597は、毛髪のブロー乾燥保護として、水性ヘアトリートメント組成物での塩基性アミノ酸の使用を開示している。L−ヒスチジンは、温風を使用して毛髪の形を整えセットするのに役立つこれらの配合物で、適切であることが好ましい。
【0011】
JP03157316は、例えば、第4級アンモニウム塩、ある植物エキス、および第4級アンモニウム基を有する水溶性ポリマーの組合せを使用することを提案している。
【0012】
JP03135909は、高分子量シリコーンおよび脂肪酸アルカノールアミドの使用を提案している。
【0013】
WO99/11224によれば、例えばパンテノールなどの繊維構造改善活性成分と、例えば陽イオン界面活性剤などのコンディショニング活性成分との組合せが、毛髪の熱損傷を防止するのに適している。
【0014】
したがって、このように、クリーニングおよびケア効果の他に、熱の影響による損傷から毛髪を効果的に保護しかつ毛髪構造の変化を最小限に抑える、例えばシャンプー、リーブインコンディショナー、ヘアリンス、およびヘアアフタートリートメント組成物などの、毛髪のクリーニングおよびケア配合物用の様々な活性成分が、依然として求められている。
【0015】
第4級基を有するポリシロキサンと、ヘアケアまたは織物柔軟剤用の添加剤としてのその使用は、特許文献により知られている。
【0016】
したがって、例えば、DE1493384、EP0017122、およびUS4895964は、シロキサンが、ポリマー全体にランダムに分布しているアンモニウム基により中央で修飾されている構造を記述している。これらの化合物には、顕著なシリコーン特性が減じられ、良好な効力をもはや観察することができないという欠点がある。
【0017】
DE3719086およびEP0294642に記載されている陽イオン性ポリシロキサンは、より顕著なシリコーンの特徴を有する。DE3719086に記載されているものおよびEP0294642に記載されているものは、第4級官能基が熱によりポリシロキサンの末端に結合されている構造である。このタイプの化合物は、毛髪および織物の両方ならびに硬質面に対するコンディショナーとしてのそれらの作用に関して利点をもたらす。化粧品配合物でのそのような化合物の使用は、例えば、EP0530974、EP617607、EP1080714、WO2001082879、およびUS6207141に記載されている。
【0018】
EP1887024は、T構造を有する末端が陽イオン性のポリシロキサン、および化粧品配合物でのコンディショナーとしてのその使用について記述している。これらの陽イオン性ポリシロキサンは、顕著なコンディショニングおよびつや発生効果を示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
引用された明細書では、熱の影響によって毛髪が被る損傷に対し、第4級アンモニウム基を含有するポリシロキサンが及ぼす影響について記述しているものはない。
【0020】
本発明の目的は、熱の影響による損傷から有意に毛髪を保護することができる活性成分を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0021】
熱損傷から毛髪を保護する活性成分を求める際、驚くべきことに、陽イオン性ポリシロキサンは、毛髪ケラチンに対する熱の作用に対して著しい保護効果を発揮することを見出した。
【0022】
したがって、本発明は、熱損傷から動物またはヒトの毛髪を保護するための、少なくとも1個の第4級アンモニウム基を含有するポリシロキサンの使用を提供する。
【0023】
本発明による使用の1つの利点は、これらのポリシロキサンが、配合物の発泡挙動の改善、フォーム体積の増加、およびより良好なフォームクリーム状態に寄与することである。
【0024】
本発明による使用の別の利点は、第4級官能基を有するポリシロキサンが、皮膚および毛髪に対して並外れたコンディショニング効果を発揮できることである。例えば、皮膚に対するこのコンディショニング効果の結果、乾燥し、過酷な、または粗雑な皮膚状態は、水性の界面活性剤配合物を施用することによって予防することができ、気持ちの良いビロードや絹のような皮膚の感触が実現される。
【0025】
さらに本発明による使用の別の利点は、損傷していない毛髪および損傷した毛髪の適合性、柔軟性、体積、成形性、つや、扱い易さ、もつれた髪をほぐすなどの性質が改善されることである。
【0026】
本発明の文脈において、「第4級アンモニウム基」という用語は、4価の窒素を有する1価の正に帯電した基を含む。
【0027】
挙げることのできる例は、下記の一般式である
【0028】
【化1】

(式中、R1’、R2’、およびR3’は、互いに独立して、同一のまたは異なる分岐状または非分岐状の任意選択により置換された炭化水素基であって、任意選択によりエステル、アミド、またはエーテル官能基を含有する炭化水素基、またはHである)。
【0029】
本発明の文脈において、「ポリシロキサンの末端に結合された」という用語は、一般式XSiY1/2のいわゆるM’単位を介してシロキサン主鎖に結合している第4級アンモニウム基を含む。XおよびYは、下記のように定義される(式1参照)。
【0030】
【化2】

【0031】
本発明の文脈において、「水不溶性」という用語は、20℃および1バールの圧力で、水溶液中0.01重量%未満の溶解度と定義される。
【0032】
本発明の文脈において、「水溶性」という用語は、20℃および1バールの圧力で、水溶液中0.01重量%以上の溶解度と定義される。
【0033】
本発明の文脈において、例えば、異なる単位を数回有することができるポリシロキサンなどの化合物について記述する場合、この単位は、これらの化合物においてランダム分布(ランダムオリゴマー)または配列されたもの(ブロックオリゴマー)として生じてよい。そのような化合物中の単位の数に関する詳細は、対応する化合物全てにわたって平均した平均値を意味すると理解される。
【0034】
他に指示しない限り、記述されるパーセント(%)の全ては、質量%である。
【0035】
他に指示しない限り、例えば圧力や温度などの条件の全ては、標準条件である。
【0036】
保護をもたらすことが目標である熱損傷は、全ての熱源によって引き起こされ得る。毛髪に影響を及ぼす熱は、例えば放射線を通してまたは対流を通してまたは直接、毛髪に作用し得る。毛髪に作用する熱を引き起こす、日常的に用いられる機器の例には、例えば、温風ヘアドライヤー、スムージングアイロン、およびカーリングトングが含まれる。
【0037】
熱は、天然由来のもの、例えば日照でもよい。
【0038】
本発明によれば、少なくとも1個の第4級アンモニウム基を含有する全てのポリシロキサンを使用することができる。
【0039】
好ましくは、本発明により使用されるポリシロキサンは、その全電荷が正であるもの、したがって陽イオン性ポリシロキサンである。
【0040】
水溶性または水不溶性のポリシロキサンを使用することができる。生成される配合物に応じて(不透明または透明な配合物)、この配合物を生成するのに水溶性ポリシロキサンを使用すべきであるのかまたは不溶性ポリシロキサンを使用すべきであるのかは、当業者に知られている。
【0041】
好ましくは、本発明により使用されるポリシロキサンは、少なくとも2個の、特に好ましくは少なくとも3個の第4級アンモニウム基を含有する。
【0042】
本発明によれば、少なくとも1個の第4級アンモニウム基がポリシロキサンの末端に結合しているポリシロキサンを使用することが好ましく、使用されるポリシロキサンは、このポリシロキサンの末端に結合している全体で正確には2個の第4級アンモニウム基を含有することが、特に好ましい。そのようなポリシロキサンの例は、DE3719086およびEP0294642に見出すことができる。
【0043】
さらに、本発明による式Iのポリシロキサンを使用することが、非常に特に好ましい。
【0044】
[M’D
式I
【0045】
上式で:
M’=XSiY1/2
D=SiY2/2
T=SiZO3/2
Xは、第4級アンモニウム基を有する同一のまたは異なる有機基であり、
Yは、1から30個の炭素原子を有するアルキル、アリール、またはアルカリールの群からの同一のまたは異なる基であり、好ましくはメチルまたはフェニル、特にメチルであり、
Zは、1から30個の炭素原子を有するアルキル、アリール、またはアルカリールの群からの同一のまたは異なる基であり、好ましくはメチルまたはフェニルであり、
nは、2から200、好ましくは3から120、特に8から80である。
【0046】
適切な基Xは、例えば、構造−R1−R2を有する基であり、式中、
R1は、好ましくは下記の群から選択された同一のまたは異なる2価の基であり、
【0047】
【化3】

R1は、好ましくは
【化4】

であり、
R2は、下記の基からなる群から選択され、
【化5】

R3は、水素、または1から6個の炭素原子を有するアルキルの群からの同一のまたは異なる基であり、好ましくはメチルであり、
R4は、エーテル官能基を任意選択により含有する同一のまたは異なる2価の炭化水素基であり、好ましくはメチレンであり、
R5、R6、R7は、それぞれの場合において互いに独立して、水素、または1から30個の炭素原子を有するアルキル基であり、
R8は、−O−、NR10の群からの同一のまたは異なる基であり、
R9は、同一のまたは異なる、任意選択により分岐した2価の炭化水素基であり、
R10は、水素、または1から6個の炭素原子を有するアルキルの群からの同一のまたは異なる基であり、
R11は、下記の一般式の、同一のまたは異なる基であり、
【化6】

R12は、エーテル官能基を任意選択により含有する1から30個の炭素原子を有する同一のまたは異なるアルキル、アリール、またはアルカリール基であり、好ましくはメチル、エチル、またはフェニルであり、特にメチルであり、
eは、0から20であり、好ましくは0から10、特に1から3であり、
fは、0から20であり、好ましくは0から10であり、
e+fは、≧1であり、
xは、2から18であり、
aは、2から18であり、好ましくは3であり、
は、酸HAの無機または有機陰イオンから選択される第4級アンモニウム基上の正の電荷に対する同一のまたは異なる対イオンである。
【0048】
そのようなポリシロキサンの例は、EP1887024に記載されている。
【0049】
式Iによるポリシロキサンを使用する1つの利点は、DE3719086およびEP0294642に記載されるように、陽イオン性ポリシロキサンに比べて粘度低下作用が低いことである。このため、配合物を所望の粘度に調節するために必要とされる増粘剤が、著しく低減される。これにより、配合物の単純化が可能になり、資源を保存するという観点に配慮がなされる。
【0050】
本発明によるポリシロキサンの使用は、通常、化粧品配合物の適用例の形態で行われる。
【0051】
好ましくは、化粧品配合物は、クリーニングおよびケア配合物である。
【0052】
クリーニングおよびケア配合物は、主に、その適用の後に、通常は髪を温風ヘアドライヤーまたはスムージングアイロンで処理するヘアトリートメント用の配合物を意味すると理解される。そのようなヘアトリートメント組成物は、例えば、ヘアシャンプー、液体石鹸、ヘアリンス、パーマネントウェーブ中和ローション、ヘアカラーシャンプー、ヘアセッティング組成物、ヘアアレンジング組成物、ヘアスタイリング製剤、ブロー乾燥ローション、フォームセッティング組成物、ヘアトリートメント、リーブインコンディショナー、およびその他のクリーニングおよび配合物である。
【0053】
このように本発明は、さらに、ヒトまたは動物の毛髪を熱損傷から保護するための、化粧品配合物を生成するための少なくとも1個の第4級アンモニウム基を含むポリシロキサンの使用も提供する。
【0054】
ヒトまたは動物の毛髪を熱損傷から保護するための化粧品配合物の調製では、上述のポリシロキサンの群、好ましくは上記にて好ましいとされるポリシロキサンの群が使用される。
【0055】
少なくとも1個の第4級アンモニウム基を含有するポリシロキサンは、化粧品配合物中で0.01から20質量%、好ましくは0.1から8質量%、特に好ましくは0.2から4質量%の濃度で使用される。
【0056】
このように本発明は、さらに、配合物を生成するために少なくとも1個の第4級アンモニウム基を含有するポリシロキサンを使用することによって得られる、ヒトまたは動物の毛髪を熱損傷から保護するための化粧品配合物も提供する。
【0057】
ヒトまたは動物に毛髪を熱損傷から保護するための本発明による化粧品配合物は、配合物を生成するために、好ましくは上述のポリシロキサンの群を使用することによって、特に上記にて好ましいとされるポリシロキサンの群を使用することによって得られる。
【0058】
第4級アンモニウム基を含有するポリシロキサンを含む、ヒトまたは動物の毛髪を熱損傷から保護するための化粧品配合物は、例えば、
皮膚軟化剤、
乳化剤および界面活性剤、
増粘剤/粘度調節剤/安定化剤、
紫外光防護フィルタ、
酸化防止剤およびビタミン、
ヒドロトロープ(またはポリオール)、
固形分および充填剤、
被膜形成剤、
真珠光沢添加剤、
デオドラントおよび制汗剤活性成分、
防虫剤、
セルフタンニング剤、
保存料、
コンディショナー、
香料、
染料、
生体活性成分、
ケア添加剤、
過脂肪剤、
溶媒
の群から選択された少なくとも1種の追加の成分を含むことができる。
【0059】
使用することができる皮膚軟化剤は、全て化粧品用の油であり、特に、2から44個の炭素原子を有する直鎖状および/または分岐状のモノおよび/またはジカルボン酸と、1から22個の炭素原子を有する直鎖状および/または分岐状の飽和または不飽和アルコールとのモノまたはジエステルである。2から36個の炭素原子を有する脂肪族二官能性アルコールと、1から22個の炭素原子を有する単官能性脂肪族カルボン酸とのエステル化生成物を使用することも、同様に可能である。また、長鎖アリール酸エステル、例えば安息香酸のエステルなど、例えば、1から22個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状の飽和または不飽和アルコールの安息香酸エステル、あるいは、安息香酸イソステアリルまたは安息香酸オクチルドデシルも適切である。皮膚軟化剤および油成分として適切なその他のモノエステルは、例えば、12から22個の炭素原子を有する脂肪酸のメチルエステルおよびイソプロピルエステル、例えば、ラウリン酸メチル、ステアリン酸メチル、オレイン酸メチル、エルカ酸メチル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、オレイン酸イソプロピルなどである。その他の適切なモノエステルは、例えば、ステアリン酸n−ブチル、ラウリン酸n−ヘキシル、オレイン酸n−デシル、ステアリン酸イソオクチル、パルミチン酸イソノニル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−オクチルドデシル、オレイン酸オレイル、エルカ酸オレイル、オレイン酸エルシル、工業銘柄脂肪族アルコールカットと工業銘柄脂肪族カルボン酸との混合物から得ることが可能なエステル、例えば、12から22個の炭素原子を有する不飽和脂肪アルコールと12から22個の炭素原子を有する飽和および不飽和脂肪酸とのエステルであって、動物および植物脂肪から入手できるようなものである。しかし、例えばホホバ油中またはマッコウクジラ油中に存在するような、天然に生ずるモノエステルおよび/またはワックスエステル混合物も適している。適切なジカルボン酸エステルは、例えば、アジピン酸ジ−n−ブチル、セバシン酸ジ−n−ブチル、アジピン酸ジ(2−エチルヘキシル)、コハク酸ジ(2−ヘキシルデシル)、アゼライン酸ジイソトリデシルである。適切なジオールエステルは、例えば、エチレングリコールジオレエート、エチレングリコールジイソトリデカノエート、プロピレングリコールジ(2−エチルヘキサノエート)、ジイソステアリン酸ブタンジオール、カプリル酸/カプリン酸ブタンジオール、およびネオペンチルグリコールジカプリレートである。皮膚軟化剤として使用することができるその他の脂肪酸エステルは、例えば、C12〜15アルキル安息香酸エステル、炭酸ジカプリリル、炭酸ジエチルヘキシルである。同様に使用することができる皮膚軟化剤および油成分は、より長い鎖のトリグリセリド、すなわち、グリセロールと、少なくとも1個が比較的長鎖である3個の酸分子との、3重エステルである。例として、脂肪酸トリグリセリドをここに挙げることができ、使用することができるその例は、天然の植物油、例えばオリーブ油、ヒマワリ油、大豆油、落花生油、菜種油、アーモンド油、ゴマ油、アボカド油、ヒマシ油、ココアバター、ヤシ油であり、それだけではなくココナツ油またはパーム核油の液体画分でもあり、かつ動物油、例えばサメ肝油、タラ肝油、鯨油、牛脂およびバター脂肪など、蜜蝋やカルナバヤシ蝋、鯨蝋、ラノリン、クロー油などの蝋、牛脂の液体画分であり、また、カプリル/カプリン酸混合物の合成トリグリセリド、工業銘柄オレイン酸のトリグリセリド、イソステアリン酸とのトリグリセリド、または、皮膚軟化剤および油成分としてのパルミチン酸/オレイン酸混合物からのものでもある。さらに炭化水素、特に液体パラフィンおよびイソパラフィンも、使用することができる。使用することができる炭化水素の例は、パラフィン油、イソヘキサデカン、ポリデカン、ワセリン、流動パラフィン、スクワラン、セレシンである。さらに、オレイルアルコールまたはオクチルドデカノールなどの直鎖状または分岐状脂肪アルコール、およびジカプリリルエーテルなどの脂肪アルコールエーテルを使用することも可能である。適切なシリコーン油およびシリコーンワックスは、例えば、ポリジメチルシロキサン、シクロメチルシロキサン、およびアリールもしくはアルキルもしくはアルコキシ置換ポリメチルシロキサンまたはシクロメチルシロキサンである。適切なその他の油体は、例えば、6から18個、好ましくは8から10個の炭素原子を有する脂肪アルコールをベースにしたGuerbetアルコール、直鎖状C6〜C22脂肪酸と直鎖状C6〜C22脂肪アルコールとのエステル、分岐状C6〜C13カルボン酸と直鎖状C6〜C22脂肪アルコールとのエステル、直鎖状C6〜C22脂肪酸と分岐状C8〜C18アルコールとのエステル、特に2−エチルヘキサノールまたはイソノナノールとのエステル、分岐状C6〜C13カルボン酸と分岐状アルコールとのエステル、特に2−エチルヘキサノールまたはイソノナノールとのエステル、直鎖状および/または分岐状脂肪酸と多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、ジメルジオール、またはトリメルトリトールなど)および/またはGuerbetアルコールとのエステル、C6〜C10脂肪酸をベースにしたトリグリセリド、C6〜C18脂肪酸をベースにした液体モノ/ジ/トリグリセリド混合物、C6〜C22脂肪アルコールおよび/またはGuerbetアルコールと芳香族カルボン酸とのエステル、特に安息香酸、植物油、分岐状第1級アルコール、置換シクロヘキサン、直鎖状C6〜C22脂肪アルコールカーボネート、Guerbetカーボネート、安息香酸と直鎖状および/または分岐状C6〜C22アルコールとのエステル(例えば、Finsolv(商標)TN)、ジアルキルエーテル、エポキシド化脂肪酸エステルとポリオールとの開環生成物、シリコーン油および/または脂肪族もしくはナフテン系炭化水素である。
【0060】
使用することができる乳化剤または界面活性剤は、非イオン、陰イオン、陽イオン、または両性界面活性剤である。
【0061】
使用することができる非イオノゲン乳化剤または界面活性剤は、下記の群の少なくとも1種からの化合物である:
8から22個の炭素原子を有する直鎖状脂肪アルコール、12から22個の炭素原子を有する脂肪酸、およびアルキル基中に8から15個の炭素原子を有するアルキルフェノール上にエチレンオキシドが2から100モルおよび/またはプロピレンオキシドが0から5モル付加した付加生成物、
グリセロール上にエチレンオキシドが1から100モル付加した付加生成物のC12/18脂肪酸モノおよびジエステル、
6から22個の炭素原子を有する飽和および不飽和脂肪酸ならびにそのエチレンオキシド付加生成物のグリセロールモノおよびジエステルならびにソルビタンモノおよびジエステル、
アルキル基中に8から22個の炭素原子を有するアルキルモノおよびオリゴグリコシドならびにそのエチレンオキシド付加生成物、
ヒマシ油および/または水素化ヒマシ油状にエチレンオキシドが2から200モル付加した付加生成物、
直鎖状、分岐状、不飽和または飽和のC〜C22脂肪酸、リシノール酸、および12−ヒドロキシステアリン酸と、グリセロール、ポリグリセロール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、糖アルコール(例えば、ソルビトール)、アルキルグルコシド(例えば、メチルグルコシド、ブチルグルコシド、ラウリルグルコシド)、およびポリグルコシド(例えば、セルロース)をベースにした部分エステル、
モノ、ジ、およびトリアルキルホスフェートならびにモノ、ジ、および/またはトリ−PEGアルキルホスフェートと、それらの塩、
ポリシロキサン−ポリエーテルコポリマー(ジメチコンコポリオール)、例えば、PEG/PEG−20/6ジメチコン、PEG/PEG−20/20ジメチコン、ビス−PEG/PPG−20/20ジメチコン、PEG−12またはPEG−14ジメチコン、PEG/PEG−14/4、または4/12、または20/20、または18/18、または17/18、または15/15など、
ポリシロキサン−ポリアルキル−ポリエーテルコポリマーおよび対応する誘導体、例えば、ラウリルまたはセチルジメチコンコポリマー、特にセチルPEG/PPG−10/1ジメチコン(ABIL(登録商標)EM 90(Evonik Goldschmidt GmbH))など、
DE1165574に記載されるようなペンタエリスリトール、脂肪酸、クエン酸、および脂肪アルコールの混合エステル、および/または6から22個の炭素原子を有する脂肪酸、メチルグルコース、および例えばグリセロールやポリグリセロールなどのポリオールの混合エステル、
クエン酸エステル、例えばグリセリルステアレートシトレート、グリセリルオレエートシトレート、およびクエン酸ジラウリルなど。
【0062】
陰イオン乳化剤または界面活性剤は、例えばカルボキシレート、スルフェート、スルホネート、またはホスフェート基などの水溶性陰イオン基と、親油性基とを含有することができる。皮膚適合性陰イオン界面活性剤は、多数のものが当業者に知られており、市販されている。本明細書では、これらの活性剤は、そのアルカリ金属、アンモニウム、またはアルカノールアンモニウム塩の形をしたアルキルスルフェートまたはアルキルホスフェート、アルキルエーテルスルフェート、アルキルエーテルカルボキシレート、アシルサルコシネート、およびスルホスクシネート、およびアシルグルタメートであって、そのアルカリ金属またはアンモニウム塩の形をとるものでよい。
【0063】
陽イオン乳化剤および界面活性剤も、添加することができる。使用することができる活性剤は、特に、第4級アンモニウム化合物であり、特に、例えばアルキルトリメチルアンモニウムハロゲン化物など、例えば塩化もしくは臭化セチルトリメチルアンモニウムまたは塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムなどであり、それだけではなく例えば塩化ジステアリルジメチルアンモニウムなどのジアルキルジメチルアンモニウムハロゲン化物などの、8から22個の炭素原子を有する少なくとも1つの直鎖状および/または分岐状の飽和または不飽和アルキル鎖を有するものである。
【0064】
さらに、例えば塩化パルミタミドプロピルトリメチルアンモニウムなどのモノアルキルアミドクワット(monoalkylamidoquat)、または対応するジアルキルアミドクワットを、使用することができる。
【0065】
さらに、容易に生分解可能な第4級エステル化合物を使用することができ、これらは、モノ、ジ、またはトリエタノールアミンをベースにした4級化脂肪酸エステルでよい。さらに、アルキルグアニジニウム塩を、陽イオン乳化剤として添加することができる。
【0066】
穏やかな、すなわち特に皮膚に適合性ある界面活性剤の、典型的な例は、脂肪アルコールポリグリコールエーテルスルフェート、モノグリセリドスルフェート、モノおよび/またはジアルキルスルホスクシネート、脂肪酸イセチオネート、脂肪酸サルコシネート、脂肪酸タウリド、脂肪酸グルタメート、エーテルカルボン酸、アルキルオリゴグルコシド、脂肪酸グルカミド、アルキルアミドベタイン、および/またはタンパク質脂肪酸縮合体であり、後者は例えば、小麦タンパク質をベースにしている。
【0067】
さらに、例えばベタイン、アンホアセテート、またはアンホプロピオネートなどの両性界面活性剤、したがって例えば、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムグリシネートなどの物質、例えばグリシン酸ココアルキルジメチルアンモニウム、グリシン酸N−アシルアミノプロピル−N,N−ジメチルアンモニウム、例えばグリシン酸ココアシルアミノプロピルジメチルアンモニウム、およびそれぞれの場合にアルキルまたはアシル基に8から18個の炭素原子を有する2−アルキル−3−カルボキシメチル−3−ヒドロキシエチルイミダゾリン、およびココアシルアミノエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルグリシネートも使用することが可能である。
【0068】
両性界面活性剤の中で、分子中のC8/18−アルキルまたは−アシル基とは別に、少なくとも1個の遊離アミノ基および少なくとも1個の−COOHまたは−SOH基を含有し、かつ内部塩を形成することが可能な界面活性化合物を使用することが可能である。適切な両性界面活性剤の例は、N−アルキルグリシン、N−アルキルプロピオン酸、N−アルキルアミノ酪酸、N−アルキルイミノジプロピオン酸、N−ヒドロキシエチル−N−アルキルアミドプロピルグリシン、N−アルキルタウリン、N−アルキルサルコシン、2−アルキルアミノプロピオン酸、およびアルキルアミノ酢酸であって、それぞれの場合に約8から18個の炭素原子をアルキル基中に有するものである。両性界面活性剤のその他の例は、N−ココアルキルアミノプロピオネート、ココアシルアミノエチルアミノプロピオネート、およびC12/18アシルサルコシンである。
【0069】
適切な増粘剤は、例えば多糖であり、特にキサンタンガム、グアールガム、寒天、アルギネートおよびチロース、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロース、また、脂肪酸の、比較的高い分子量のポリエチレングリコールモノおよびジエステル、ポリアクリレート(例えば、Carbopol(商標)またはSynthalens(商標))、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、およびポリビニルピロリドン、例えばエトキシル化脂肪酸グリセリドなどの界面活性剤、脂肪酸と例えばペンタエリスリトールやトリメチロールプロパンなどのポリオールとのエステル、狭く相同な分布を有する脂肪アルコールエトキシレート、またはアルキルオリゴグルコシド、また、塩化ナトリウムや塩化アンモニウムなどの電解質でもある。
【0070】
油相を増粘させるのに適した増粘剤は、当業者に知られている全ての増粘剤である。特に本明細書では、水素化ヒマシ蝋、蜜蝋、またはマイクロワックスなどのワックスを挙げることができる。さらに、シリカ、アルミナ、またはシートシリカ(例えば、ヘクトライト、ラポナイト、サポナイト)などの無機増粘剤を使用することもできる。これに関し、これらの無機油相増粘剤は、疎水的に変性させてもよい。油中水エマルジョンの増粘/安定化では、特に、エアロシル、シートシリケート、および/または脂肪酸の金属塩、例えばステアリン酸亜鉛などを、本明細書で使用することができる。
【0071】
存在し得る水性界面活性剤系の粘度調節剤は、例えば、NaCl、ココアミドDEA/MEAやラウレス−3などの低分子量非イオン性界面活性剤、PEG−200水素化グリセリルパルメートなどのポリマー系で高分子量の結合性である高度にエトキシル化した脂肪誘導体である。
【0072】
使用することができる紫外光防護フィルタは、例えば、紫外線を吸収することができかつ吸収したエネルギーをより長い波長の放射線、例えば熱の形態で再び放出することができる、有機物質である。UVBフィルタは、油溶性または水溶性でよい。油溶性UVB光防護フィルタの例は:
3−ベンジリデンカンファーおよびその誘導体、例えば3−(4−メチルベンジリデン)カンファー、
4−アミノ安息香酸誘導体、例えば2−エチルヘキシル4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、2−エチルヘキシル4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、およびアミル4−(ジメチルアミノ)ベンゾエートなど、
2−エチルヘキシル4−メトキシシンナメート、イソペンチル4−メトキシシンナメート、2−エチルヘキシル2−シアノ−3−フェニルシンナメート(オクトクリレン)などの桂皮酸エステル、
サリチル酸のエステル、例えばサリチル酸2−エチルヘキシル、サリチル酸4−イソプロピルベンジル、サリチル酸ホモメンチルなど、
ベンゾフェノンの誘導体、例えば2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなど、
ベンザルマロン酸のエステル、例えばジ−2−エチルヘキシル4−メトキシベンザロネートなど、
トリアジン誘導体、例えば2,4,6−トリアニリノ−(p−カルボ−2’−エチル−1’−ヘキシルオキシ)−1,3,5−トリアジンおよびオクチルトリアゾンなど、
プロパン−1,3−ジオン、例えば1−(4−t−ブチルフェニル)−3−(4’−メトキシフェニル)プロパン−1,3−ジオンなど
である。適切な水溶性UVB光防護フィルタは:
2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸、およびそのアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム、アルカノールアンモニウム、およびグルクアンモニウム塩、
ベンゾフェノンのスルホン酸誘導体、例えば2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸およびその塩など、
3−ベンジリデンカンファーのスルホン酸誘導体、例えば4−(2−オキソ−3−ボルニリデンメチル)ベンゼンスルホン酸および2−メチル−5−(2−オキソ−3−ボルニリデン)−スルホン酸およびその塩など
である。
【0073】
適切な、典型的なUVA光防護フィルタは、特に、ベンゾイルメタンの誘導体であり、例えば1−(4’−t−ブチルフェニル)−3−(4’−メトキシフェニル)−プロパン−1,3−ジオンまたは1−フェニル−3−(4’−イソプロピルフェニル)−プロパン−1,3−ジオンなどである。UV−AおよびUV−Bフィルタは、当然ながら、混合物中で使用することもできる。
【0074】
特定の可溶性物質の他に、不溶性顔料、すなわち微細分散金属酸化物または塩も、この目的に適しており、例えば二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、シリケート(タルク)、硫酸バリウム、およびステアリン酸亜鉛などがある。本明細書の粒子は、100nm未満、例えば5から50nmの間、特に15から30nmの間の平均直径を有するべきである。粒子は球形を有することができるが、楕円形を有しまたは球形から何か他の方法で逸脱する形状を有する粒子を使用することも可能である。比較的新しい種類の光防護フィルタは、例えば50%強度の水性分散液として得られる、例えば粒度が<200nmの2,2’−メチレンビス{6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール}などの、微粉化された有機顔料である。
【0075】
他の適切な紫外光防護フィルタは、P.FinkelのSOFW−Journal 122、543(1996)による概説に見出すことができる。主要な紫外光防護フィルタの、前述の2つの群の他に、紫外線が皮膚に侵入すると引き起こされる光化学連鎖反応を中断させる、酸化防止剤タイプの2次光防護剤を使用することも可能である。使用することができる酸化防止剤およびビタミンは、例えば、スーパーオキシドジスムターゼ、トコフェロール(ビタミンE)、ソルビン酸トコフェロール、酢酸トコフェロール、トコフェロールのその他のエステル、ジブチルヒドロキシトルエン、およびアスコルビン酸(ビタミンC)、およびその塩、およびその誘導体でもあり(例えば、マグネシウムアスコルビルホスフェート、ナトリウムアスコルビルホスフェート、ソルビン酸アスコルビル)、脂肪酸のアスコルビルエステル、ブチル化ヒドロキシ安息香酸およびその塩、過酸化物、例えば過酸化水素、過ホウ酸塩、チオグリコレート、過硫酸塩、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸(TROLOX.RTM)、没食子酸およびそのアルキルエステル、尿酸およびその塩およびアルキルエステル、ソルビン酸およびその塩、リポ酸、フェルラ酸、アミン(例えば、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、アミノグアニジン)、スルフヒドリル化合物(例えば、グルタチオン)、ジヒドロキシ−フマル酸およびその塩、ピドロ酸グリシン、ピロル酸アルギニン、ノルジヒドログアヤレト酸、ビオフラボノイド、クルクミン、リジン、L−メチオニン、プロリン、スーパーオキシドジスムターゼ、シリマリン、茶抽出物、グレープフルーツピール/種子抽出物、メラニン、ローズマリー抽出物、チオオクタン酸、レスベラトロール、オキシレスベラトロールなどである。
【0076】
流動挙動および付着特性を改善するのに使用することができるヒドロトロープは、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、またはポリオールである。本明細書で適切なポリオールは、2から15個の炭素原子および少なくとも2個のヒドロキシル基を有することができる。典型的な例は:
グリセロールアルキレングリコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、およびポリエチレングリコールなどであって、平均分子量が100から1000ダルトンのもの、自己凝縮度が1.5から10の工業銘柄オリゴグリセロール混合物、例えば、ジグリセロール含量が40から50重量%の工業銘柄ジグリセロール混合物、メチロール化合物、特にトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ペンタエリスリトール、およびジペンタエリスリトールなど、低級アルキルグルコシド、特に1から4個の炭素原子をアルキル基に有するものであって、例えばメチルおよびブチルグルコシドなど、5から12個の炭素原子を有する糖アルコールであって、例えばソルビトールやマンニトールなど、5から12個の炭素原子を有する糖であって、例えばグルコースやスクロースなど、また、グルカミンなどのアミノ糖である。
【0077】
使用することができる固形分は、例えば、酸化鉄顔料、二酸化チタンまたは酸化亜鉛粒子、およびさらに「紫外光防護剤」として指定されるものである。さらに、特別な感覚作用もたらす粒子、例えばナイロン−12、窒化ホウ素、例えばポリアクリレートやポリメチルアクリレート粒子などのポリマー粒子、またはシリコーンエラストマーなどを使用することも可能である。使用することができる充填剤には、タピオカデンプン、リン酸架橋デンプン、アルミニウムデンプン、またはナトリウムデンプンなどのデンプンおよびデンプン誘導体、コハク酸オクテニル、および主に紫外線フィルタ作用も着色作用も持たない顔料、例えばAerosils(登録商標)(CAS No.7631−86−9)などが含まれる。
【0078】
例えば耐水性を改善するのに使用することができる被膜形成剤の例は、ポリウレタン、ジメチコン、コポリオール、ポリアクリレート、またはPVP/VAコポリマー(PVP=ポリビニルピロリドン、VA=酢酸ビニル)である。使用することができる脂溶性被膜形成剤は、例えば、ポリビニルピロリドン(PVP)をベースにしたポリマー、ポリビニルピロリドンのコポリマー、PVP/ヘキサデセンコポリマー、またはPVP/エイコセンコポリマーである。
【0079】
使用することができる真珠光沢添加剤は、例えば、ジステアリン酸グリコールまたはPEG−3ジステアレートである。
【0080】
適切なデオドラント活性成分は、例えば、通常の香料成分などの臭気コンシーラー、臭気吸収剤、例えば特許公開明細書DE4009347に記載されているシート状シリケートであり、これの中で特に、モンモリロナイト、カオリナイト、イリタイト、ベイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ベントナイト、スメクタイトであり、または例えば、リシノール酸の亜鉛塩でもある。抗菌剤も同様に、組み込むのに適している。抗菌物質は、例えば、2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテル(Irgasan)、1,6−ジ−(4−クロロフェニルビグアニド)ヘキサン(クロルヘキシジン)、3,4,4’−トリクロロカルボニリド、第4級アンモニウム化合物、チョウジ油、ミント油、タイム油、クエン酸トリエチル、ファルネゾール(3,7,11−トリメチル−2,6,10−ドデカトリエン−1−オール)、エチルヘキシルグリセリルエーテル、ポリグリセリル−3カプリレート、(TEGO(登録商標)Cosmo P813、Degussa)、および特許公開明細書DE 198 55 934、DE 37 40 186、DE 39 38 140、DE 42 04 321、DE 42 29 707、DE 42 29 737、DE 42 38 081、DE 43 09 372、DE 43 24 219、およびEP 666 732に記載されている、効果的な薬剤である。
【0081】
使用してもよい制汗剤活性成分は、アストリンゼン、例えばアルミニウムクロロハイドレート(「ACH」)やアルミニウムジルコニウムグリシン塩(「ZAG」)などの塩基性塩化アルミニウムである。
【0082】
使用してもよい防虫剤は、例えば、N,N−ジエチル−m−トルアミド、1,2−ペンタンジオール、またはInsect Repellent 3535である。
【0083】
使用することができるセルフタンニング剤は、例えば、ジヒドロキシアセトンおよびエリスルローズである。
【0084】
使用することができる保存料は、例えば、1種または複数のアルキルパラベンエステルとフェノキシエタノールとの混合物である。アルキルパラベンエステルは、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、および/またはブチルパラベンでよい。フェノキシエタノールの代わりに、その他のアルコール、例えばベンジルアルコールやエタノールなどを使用することも可能である。さらに、その他の通常の保存料、例えばソルビン酸または安息香酸、サリチル酸、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、クロロアセトアミド、ジアゾリジニル尿素、DMDMヒダントイン、ブチルカルバミン酸ヨードプロピニル、ヒドロキシメチルグリシン酸ナトリウム、メチルイソチアゾリン、クロロメチルイソチアゾリン、エチルヘキシルグリセロール、またはカプリリルグリコールなどを使用することも可能である。
【0085】
使用することができるコンディショニング剤は、例えば、塩化セトリモニウム、塩化ジセチルジモニウム、塩化ベヘントリモニウム、塩化ジステアリルジモニウム、メト硫酸ベヘントリモニウム、塩化ジステアロイルエチルジモニウム、塩化パルミトアミドプロピルトリモニウム、グアー塩化ヒドロキシプロピルトリモニウム、ヒドロキシプロピルグアー、塩化ヒドロキシプロピルトリモニウム、またはクオタニウム−80などの有機第4級化合物、あるいは、例えばアミノプロピルジメチコンやステアラミドプロピルジメチルアミンなどのアミン誘導体である。
【0086】
使用することができる香料は、天然または合成の臭気物質、またはそれらの混合物である。天然の臭気物質は、花(ユリ、ラベンター、バラ、ジャスミン、ネロリ、イランイランノキ)、茎および葉(ゼラニウム、パチョリ、プチグレン)、果実(アニス、コリアンダー、キャラウェー、ジュニパー)、果実ピール(ベルガモット、レモン、オレンジ)、根(トウモロコシ、アンゲリカ、セロリ、カルダモン、コスタス、アイリス、タイム)、針葉および枝(トウヒ、モミ、マツ、ハイマツ)、樹脂およびバルサム(ガルバナム、エレミ、ベンゾイン、ミルラ、オリバナム、オポポナックス)からの抽出物である。例えば、シベットおよびビーバーなどの動物原材料も適している。典型的な合成臭い化合物は、エステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコール、および炭化水素タイプの生成物である。エステルタイプの臭い化合物は、例えば、酢酸ベンジル、イソ酪酸フェノキシエチル、酢酸p−t−ブチルシクロヘキシル、酢酸リナリル、酢酸ジメチルベンジルカルビニル、酢酸フェニルエチル、安息香酸リナリル、ギ酸ベンジル、グリシン酸エチルメチルフェニル、プロピオン酸アリルシクロヘキシル、プロピオン酸スチルアリル、およびサリチル酸ベンジルである。エーテルには、例えばベンジルエチルエーテルが含まれ、アルデヒドには、例えば、8から18個の炭素原子を有する直鎖状アルカナール、シトラール、シトロネラル、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、シクラメンアルデヒド、ヒドロイシトロネラル、リリアル、およびブルゲオナールが含まれ、ケトンには、例えば、イオノン、α−イソメチルイオノン、およびメチルセドリルケトンが含まれ、アルコールには、アネトール、シトロネロル、オイゲノール、イソオイゲノール、ゲラニオール、リナロール、フェニルエチルアルコール、およびテルピノールが含まれ、炭化水素には、主にテルペンおよびバルサムが含まれる。一緒になると心地良い香りの調子を生成する、種々の臭気物質の混合物を使用することが可能である。芳香成分としてほとんど使用される低揮発性の精油も、香料として適しており、例えば、セージ油、カモミール油、クローブ油、メリッサ油、ミント油、桂皮油、リンデンブロッサム油、ジュニパーベリー油、ベチベル油、オリバナム油、ガルバナム油、ラボラナム油、およびラバンジン油がある。ベルガモット油、ジヒドロミルセノール、リリアル、リラール、シトロネロル、フェニルエチルアルコール、α−ヘキシル桂皮アムアルデヒド、ゲラニオール、ベンジルアセトン、シクラメンアルデヒド、リナロール、ボイサムブレンフォルテ、アムブロキサン、インドール、ヘジオン、サンデライス、レモン油、マンダリン油、オレンジ油、アリルアミルグリコレート、シクロベルタール、ラバンジン油、クラリーセージ油、β−ダマスコン、ゼラニウム油バーボン、サリチル酸シクロヘキシル、ベルトフィックスクアー、イソ−E−スーパー、フィクソライドNP、エベルニル、イラルデインγ、フェニル酢酸、酢酸ゲラニル、酢酸ベンジル、ローズオキシド、ロミラット、イロチル、およびフロラマットを、単独でまたは混合物として使用することも可能である。
【0087】
使用することができる染料は、例えば文献「Cosmetic Colourants」、the Dyes Commission of the German Research Society、Verlag Chemie、Weinheim、1984、pp.81から106に列挙されている、化粧品の目的で承認されかつ適切な物質である。これらの染料は、通常、全混合物に対して0.001から0.1重量%の濃度で使用される。
【0088】
生体活性成分は、例えば、トコフェロール、酢酸トコフェロール、パルミチン酸トコフェロール、アスコルビン酸、ポリフェノール、デオキシリボ核酸、補酵素Q10、レチノール、AHA酸、アミノ酸、ヒアルロン酸、α−ヒドロキシ酸、イソフラボン、ポリグルタミン酸、クレアチン(およびクレアチン誘導体)、グアニジン(およびグアニジン誘導体)、擬似セラミド、精油、ペプチド、タンパク質加水分解物、植物抽出物、ビサボロール、アラントイン、パンテノール、フィタントリオール、イデベノン、甘草抽出物、グリシルリジジン、およびイデベノン、スクレログルカン、β−グルカン、サンタルビン酸、およびビタミン複合体を意味すると理解すべきである。植物抽出物の例は、セイヨウトチノキ抽出物、カモミール抽出物、ローズマリー抽出物、クロフサおよびアカフサスグリ抽出物、カバノキ抽出物、ローズヒップ抽出物、藻抽出物、緑茶抽出物、アロエ抽出物、朝鮮人参抽出物、銀杏抽出物、グレープフルーツ抽出物、キンセンカ抽出物、カンファー、タイム抽出物、マンゴスチン抽出物、シスタス抽出物、テルミナリアアルジュナ抽出物、燕麦抽出物、オレガノ抽出物、ラズベリー抽出物、イチゴ抽出物などである。
【0089】
生体活性成分は、いわゆる障壁脂質も含むことができ、その例は、セラミド、フィトスフィンゴシンおよび誘導体、スフィンゴシンおよび誘導体、スフィンガニンおよび誘導体、擬似セラミド、リン脂質、リゾリン脂質、コレステロールおよび誘導体、コレステリルエステル、遊離脂肪酸、ラノリンおよび誘導体、スクワラン、スクワレンおよび関連物質である。
【0090】
本発明の文脈において、生体活性成分は、にきび抑制剤、例えば過酸化ベンジル、フィトスフィンゴシンおよび誘導体、ヒドロキシ安息香酸ナイアシンアミド、ニコチンアルデヒド、レチノール酸および誘導体、サリチル酸および誘導体、シトロネル酸などと、抗セルライト剤、例えばカフェイン、テオフィリン、テオブロミン、およびアミノフィリンなどのキサンチン化合物、カルニチン、カルノシン、サリチロイルフィトスフィンゴシン、フィトスフィンゴシン、サンタルビン酸など、ならびにフケ取り剤、例えばサリチル酸および誘導体、亜鉛ピリチオン、硫化セレン、硫黄、シクロピロキソールアミン、ビフォナゾール、クリムバゾール、オクトピロックス、およびアクチロックスなど、ならびにアストリンゼン、例えばアルコール、アルミニウム誘導体、没食子酸、サリチル酸ピリドキシン、亜鉛塩、例えば硫酸亜鉛、酢酸亜鉛、塩化亜鉛、乳酸亜鉛、ジルコニウムクロロハイドレートなども含む。コジック酸、アルブチン、ビタミンCおよび誘導体、ヒドロキノン、ターメリック油、クレアチニン、スフィンゴ脂質、ナイアシンアミドなどの脱色剤も同様に、生体活性成分に含めてよい。
【0091】
存在させてもよいケア添加剤は、例えばPEG−7グリセロールココエートなどのエトキシル化グリセロール脂肪酸エステル、または例えばポリクオタニウム−7などの陽イオンポリマー、またはポリグリセロールエステルなどである。
【0092】
使用することができる過脂肪剤は、例えば、ラノリンやレシチンなどの物質であり、また、ポリエトキシル化またはアシル化ラノリンおよびレシチン誘導体、ポリオール脂肪酸エステル、モノグリセリドおよび脂肪酸アルカノールアミドでもあり、後者は同時にフォーム安定化剤としても働く。
【0093】
使用することができる溶媒は、例えば、エタノールやプロパノール、1,3−プロパンジオールなどの脂肪族アルコール、炭酸エチレンや炭酸プロピレン、炭酸グリセロールなどの環状カーボネート、酢酸エチルや乳酸エチル、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチルなどのモノまたはポリカルボン酸のエステル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセロール、炭酸グリセロール、または水である。
【0094】
本発明を、以下に示す実施例において、例として記述するが、これらは本発明を、実施例で具体化される実施形態に限定することを全く意図するものではなく、その適用範囲は、説明および特許請求の範囲全体から生ずるものである。
【0095】
以下の図は、実施例の一部である。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】DSC測定の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0097】
(実施例1)
末端第4級官能基を有する陽イオン性ポリシロキサンの調製
a)SiH−官能性ポリシロキサンの平衡化
フェニルトリス(ジメチルシロキシ)シラン16.4g、デカメチルペンタシロキサン232g、酸触媒0.25gを、500mlの三口フラスコ内で混合し、80℃で4時間撹拌した。冷却後、NaHCO 20gを添加し、その混合物を室温で12時間撹拌した。濾過後、透明な生成物が得られた。
【0098】
b)エポキシシロキサンの調製
1a)により調製された化合物300g、およびアリルグリシジルエーテル9.3gを、最初に一緒に500mLの三口フラスコに導入し、100℃に加熱した。次いで白金触媒15ppmを添加し、その混合物を2時間撹拌した。引き続き行われる反応の後、エポキシ価が0.94%の透明な生成物が得られた。
【0099】
c)第4級ポリシロキサンポリマーへの変換
3−N,N−ジメチルアミノプロピルラウリルアミド36g、乳酸11g、およびイソプロパノール100gを、500mlの三口フラスコ内で、室温で撹拌した。次いで1b)により調製された化合物200gを、1滴ずつ添加した。次いで混合物を、50℃で8時間撹拌し蒸留した。以下の統計式によって示される、曇った高粘度の液体が得られた。
【0100】
【化7】

【0101】
当業者なら、上述の式は、理想的な構造式を表すことが理解されよう。直鎖状およびより高度に分岐した構造が、生成物中にさらに存在する。
【0102】
(実施例2)
2個の末端第4級官能基を有する直鎖状陽イオン性ポリシロキサンの調製
a)SiH−官能性ポリシロキサンの平衡化(α,ωN=60)
1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン10g、デカメチルペンタシロキサン335g、酸性触媒0.35gを、500mlの三口フラスコ内で混合し、80℃で4時間撹拌した。冷却後、NaHCO 6gを添加し、その混合物を室温で12時間撹拌した。濾過後、SiH価が0.04%の透明な生成物が得られた。
【0103】
b)エポキシシロキサンの調製(α,ωN=60)
2aにより調製された化合物250g、およびアリルグリシジルエーテル8gを、最初に一緒に500mlの三口フラスコに導入し、100℃に加熱した。次いで白金触媒15ppmを添加し、その混合物を3時間撹拌した。次いで反応混合物を、オイルポンプ真空内で、120℃で2時間にわたり、揮発性構成成分から取り出した。エポキシ価が0.65%の透明な生成物が得られた。
【0104】
c)第4級ポリシロキサンポリマーへの変換(α,ωN=60)
3−N,N−ジメチルアミノプロピルラウリルアミド27g、酢酸5.5g、およびイソプロパノール130gを、500mlの三口フラスコ内で室温で撹拌した。次いで2bにより調製された化合物200gを、1滴ずつ添加した。次いでこの混合物を、50℃で8時間撹拌し、最後に揮発性画分を、100℃のオイルポンプ真空内で反応混合物から除去した。下記の統計式によって示される、曇った高粘度の液体が得られた。
【0105】
【化8】

【0106】
(実施例3)
第4級官能基を有する陽イオン性ポリシロキサンの付着関連特性
実施例1および実施例2の化合物を使用した、ヘアトリートメント組成物の調製および試験。
付着関連評価では、脱色処理によって、標準化された方法で予め損傷を与えた毛束を、使用した。このため、標準のヘアドレッシング製品を使用した。毛束に対する損傷は、DE10327871に詳述されている。
【0107】
試験配合物および毛束の前処理:
付着関連評価のため、実施例1および実施例2の化合物を、単純な化粧品配合物で使用した。
【0108】
ヘアリンスで使用した後の付着特性を、下記の配合物で調査した(表1)。
【0109】
【表1】

【0110】
試験配合物の組成は、(通常存在する)配合物の構成成分によって試験結果が影響を受けないように、単純になるよう意図的に選択される。本発明による配合物は、これら特定の成分の他に、かつ/またはこれら特定の成分の代わりに、別の成分を含むことができる。特に、他の成分との組合せによって、記述される効果の相乗的な改善をもたらすことができる。
【0111】
毛髪は、コンディショナーを含有していないシャンプー配合物(表2)を使用して、前処理する。
【0112】
【表2】

【0113】
コンディショニングサンプルによる、予め損傷を与えた毛束の標準化された処理:
上述のように、予め損傷を与えた毛束を、表2のシャンプー配合物で洗浄する。このため、毛束を、流れる温水で濡らす。過剰な水を、手で静かに絞り取り、次いでシャンプーを付着させ、1分間、毛髪に静かに馴染ませる(0.5ml/2g毛束)。毛束を、流れる温水で30秒間濯ぐ。この手順をもう1回繰り返すが、そのとき濯ぎは1分間、最後に実施する。
【0114】
次いで洗浄直後、毛束を、表1のヘアリンス配合物でコンディショニングする。このため、リンスを付着させ、毛髪に静かに馴染ませる(0.5ml/2g毛束)。1分間の滞留時間後、毛髪を1分間濯ぐ。
【0115】
次いでヘアリンス配合物でコンディショニングした毛束を、50%の大気湿度および25℃の空気中で、少なくとも12時間乾燥し、その後、スムージングアイロンで毛束に損傷を与え、その後、DSC測定(示差走査熱量測定)を行う。
【0116】
毛束の損傷:
毛束に熱損傷を与えるため、Babyliss Pro Tourmaline Plus スムージングアイロンを使用した。毛束の熱処理の前に、スムージングアイロンを予熱して、最も高い設定にした(設定5、190℃の温度にほぼ該当する)。
【0117】
次いで毛束を、スムージングアイロンで3回、それぞれ10秒間処理した。
【0118】
スムージングアイロンによる熱処理に起因した、毛髪損傷の測定:
次いでスムージングアイロンで損傷を与えた毛髪について、毛髪に対する損傷の程度を決定するために、示差走査熱量測定を使用して測定した。示差走査熱量測定は、毛髪に対する損傷の程度を決定するための、標準的な方法である。詳細は、F.J.Wortmannによる論文「Investigations of cosmetically treated human hair by differential scanning calorimetry in water」(J.Cosmet.Sci.、53、219〜228、2002)に記載されている。この測定方法では、毛髪損傷が増大すれば温度が低下することが確認される。
【0119】
基準値として、スムージングアイロンで処理していない、配合物0aで処理した毛束を、示差走査熱量測定(DSC)を使用して測定した。
【0120】
DSC測定結果:
図1は、得られたDSC測定結果をまとめたものである。参照物質(配合物0aでコンディショニングした毛束、その後の熱処理は無し)は、最も高い変性温度を有しており、したがって毛髪に対する損傷が最も少ない。配合物0aでコンディショニングし、次いでスムージングアイロンで処理した毛束は、最も低い変性温度を有しており、毛髪に対して最も大きい損傷が示される。配合物1aおよび2aで実施例1および実施例2の化合物を使用する場合、著しく高い変性温度が測定される。その結果、毛髪への損傷は、実施例1および2の化合物の使用を通して減少させることができる。その効果は、実施例2を使用した場合よりも実施例1を使用した場合に著しい。
【0121】
配合物の例:
これらの配合物の例は、毛髪を熱損傷から保護するために、末端第4級アンモニウム基を有するポリシロキサンを多数の化粧品配合物で使用できることを示している。
【0122】
【表3】

【0123】
【表4】

【0124】
【表5】

【0125】
【表6】

【0126】
【表7】

【0127】
【表8】

【0128】
【表9】

【0129】
【表10】

【0130】
【表11】

【0131】
【表12】

【0132】
【表13】

【0133】
【表14】

【0134】
【表15】

【0135】
【表16】

【0136】
【表17】

【0137】
【表18】

【0138】
【表19】

【0139】
【表20】

【0140】
【表21】

【0141】
【表22】

【0142】
【表23】

【0143】
【表24】

【0144】
【表25】

【0145】
【表26】

【0146】
【表27】

【0147】
【表28】

【0148】
【表29】

【0149】
【表30】

【0150】
【表31】

【0151】
【表32】

【0152】
【表33】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物またはヒトの毛髪を熱損傷から保護するための、少なくとも1個の第4級アンモニウム基を含有するポリシロキサンの使用。
【請求項2】
少なくとも1個の第4級アンモニウム基が、ポリシロキサンの末端に結合していることを特徴とする、請求項1に記載のポリシロキサンの使用。
【請求項3】
全体で正確に2個の第4級アンモニウム基が存在し、これらがポリシロキサンの末端に結合していることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリシロキサンの使用。
【請求項4】
一般式Iによるポリシロキサンが使用されることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリシロキサンの使用:
[M’D
式I
(式中、
M’=XSiY1/2
D=SiY2/2
T=SiZO3/2
X=第4級アンモニウム基を有する同一のまたは異なる有機基、
Y=1から30個の炭素原子を有するアルキル、アリール、またはアルカリールの群からの同一のまたは異なる基、
Z=1から30個の炭素原子を有するアルキル、アリール、またはアルカリールの群からの同一のまたは異なる基、
n=2から200
である)。
【請求項5】
一般式Iによるポリシロキサンが、構造−R1−R2の基Xを有し、
R1は、好ましくは下記の群から選択された同一のまたは異なる2価の基であり、
【化9】

R2は、下記の基からなる群から選択され、
【化10】

R3は、水素または1から6個の炭素原子を有するアルキルの群からの同一のまたは異なる基であり、
R4は、エーテル官能基を任意選択により含む、同一のまたは異なる2価の炭化水素基であり、
R5、R6、R7は、それぞれの場合において互いに独立して、水素または1から30個の炭素原子を有するアルキル基であり、
R8は、−O−;−NR10の群からの同一のまたは異なる基であり、
R9は、同一のまたは異なる、任意選択により分岐している2価の炭化水素基であり、
R10は、水素または1から6個の炭素原子を有するアルキルの群からの同一のまたは異なる基であり、
R11は、下記の一般式の、同一のまたは異なる基であり、
【化11】

R12は、エーテル官能基を任意選択により含む、1から30個の炭素原子を有する同一のまたは異なるアルキル、アリール、またはアルカリール基であり、
eは0から20であり、
fは0から20であり、
e+fは>=1であり、
xは2から18であり、
aは2から18であり、
は、酸HAの無機または有機陰イオンから選択される第4級アンモニウム基上の正電荷に対する同一のまたは異なる対イオンである
ことを特徴とする、請求項4に記載のポリシロキサンの使用。
【請求項6】
ポリシロキサンが、化粧品配合物の形態で適用されることを特徴とする、請求項1から5の少なくとも一項に記載のポリシロキサンの使用。
【請求項7】
ポリシロキサンが、クリーニングおよびケア配合物の形態で適用されることを特徴とする、請求項6に記載のポリシロキサンの使用。
【請求項8】
動物またはヒトの毛髪を熱損傷から保護する化粧品配合物を生成するための、少なくとも1個の第4級アンモニウム基を含有するポリシロキサンの使用。
【請求項9】
少なくとも1個の第4級アンモニウム基を含有するポリシロキサンを含む、動物またはヒトの毛髪を熱損傷から保護するための化粧品配合物。
【請求項10】
ポリシロキサンを0.01から20質量%の濃度で含有することを特徴とする、請求項9に記載の化粧品配合物。

【図1】
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【公開番号】特開2010−37344(P2010−37344A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−181209(P2009−181209)
【出願日】平成21年8月4日(2009.8.4)
【出願人】(507375465)エヴォニク ゴールドシュミット ゲーエムベーハー (100)
【Fターム(参考)】