動物捕獲器
【課題】動物を逃がすことなく確実に捕獲できる動物捕獲器を提供する。
【解決手段】捕獲室1に形成された入口2を閉鎖することにより上記入口2から侵入した動物を捕獲する動物捕獲器であって、
捕獲室1の入口2に至る部分において、初期状態で奥に向かって上り傾斜するとともに、入口2に侵入しようとする動物が奥に向かって移動することにより奥側が下がるよう揺動する第1シーソー板11と、
上記第1シーソー板11の上部において、初期状態で奥に向かって下り傾斜して上記入口2を閉鎖するとともに、上記第1シーソー板11の揺動に連動して跳ね上がることにより上記入口2を開放する第2シーソー板12とを備え、
上記捕獲室1の入口2は、上り傾斜した第1シーソー板11の先端部分より上側に設けられている。
【解決手段】捕獲室1に形成された入口2を閉鎖することにより上記入口2から侵入した動物を捕獲する動物捕獲器であって、
捕獲室1の入口2に至る部分において、初期状態で奥に向かって上り傾斜するとともに、入口2に侵入しようとする動物が奥に向かって移動することにより奥側が下がるよう揺動する第1シーソー板11と、
上記第1シーソー板11の上部において、初期状態で奥に向かって下り傾斜して上記入口2を閉鎖するとともに、上記第1シーソー板11の揺動に連動して跳ね上がることにより上記入口2を開放する第2シーソー板12とを備え、
上記捕獲室1の入口2は、上り傾斜した第1シーソー板11の先端部分より上側に設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネズミ等の動物を捕獲するために使用される動物捕獲器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ネズミ等の動物を捕獲するために、例えば下記の特許文献1に示すように、シーソー板を利用した動物捕獲箱が提供されている。この動物捕獲箱は、鼠がシーソーの中央より奥に入って行くと、その重さによってシーソーの奥側が少し下がる。すると、回転軸が下側に離れているのでバランスがくずれ、奥側がいっきに底まで下がり、シーソー下部の磁石と箱底の磁石の吸引力で固定される。この状態で、シーソー入口がふさがれることにより鼠が逃げられなくなるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3113786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記動物捕獲箱は、シーソーの奥側がいっきに下がったときに磁石の吸引力で固定するようになっている。このため、捕獲された動物が驚いて暴れだすと磁石が外れてしまい、せっかく捕獲した動物に逃げられてしまうという問題がある。一方、鼠等の動物は尻尾が長く、体長の約1/2は尻尾の長さが占めている。したがって、シーソーの奥側がいっきに下がったときに、磁石の吸引力でシーソーが固定される前に鼠等の尻尾がシーソーと入口の間に挟まってしまい、磁石同士の間にその分隙間が出来て十分に固定することができない。一方、鼠等は、尻尾が挟まることにより異変を感じて逃げようとするので、この状態で鼠等が逆戻りすると、簡単にシーソーが元にもどってしまってせっかく箱に入った鼠等に簡単に逃げられてしまうという問題がある。また、1匹ないし2匹捕獲するのがせいぜいで、連続的に何匹も捕獲することができず、捕獲状況を頻繁に確認して1匹でも掛かっていれば捕獲された動物を取り出して初期状態に戻し、仕掛けなおさなければならない。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、動物を逃がすことなく確実に捕獲することができる動物捕獲器を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明の第1の動物捕獲器は、捕獲室に形成された入口を閉鎖することにより上記入口から侵入した動物を捕獲する動物捕獲器であって、
捕獲室の入口に至る部分において、初期状態で奥に向かって上り傾斜するとともに、入口に侵入しようとする動物が奥に向かって移動することにより奥側が下がるよう揺動する第1シーソー板と、
上記第1シーソー板の上部において、初期状態で奥に向かって下り傾斜して上記入口を閉鎖するとともに、上記第1シーソー板の揺動に連動して跳ね上がることにより上記入口を開放する第2シーソー板とを備え、
上記捕獲室の入口は、上り傾斜した第1シーソー板の先端部分より上側に設けられていることを要旨とする。
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明の第2の動物捕獲器は、捕獲室に形成された入口を閉鎖することにより上記入口から侵入した動物を捕獲する動物捕獲器であって、
捕獲室の入口に至る部分において、初期状態で奥に向かって上り傾斜するとともに、入口に侵入しようとする動物が奥に向かって移動することにより奥側が下がるよう揺動する踏み板と、
上記踏み板の上部において、初期状態で奥に向かって下り傾斜して上記入口を閉鎖するとともに、上記踏み板の揺動に連動して跳ね上がることにより上記入口を開放する開閉板とを備え、
上記捕獲室の入口は、上り傾斜した踏み板の先端部分より上側に設けられていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の第1の動物捕獲器によれば、動物が入口から侵入する際には、まず、第1シーソー板の上を奥に向かって移動することにより、第1シーソー板が奥側が下がるよう揺動する。すると、第1シーソー板の揺動に連動して第2シーソー板が跳ね上がるよう揺動し、これにより開放された入口から動物が捕獲室内に侵入する。動物が捕獲室内に侵入して第1シーソー板の上から外れると、第1シーソー板は元の傾斜に戻るよう揺動し、この揺動に連動して第2シーソー板も初期状態に戻るよう揺動する。このとき、上記捕獲室の入口が上り傾斜した第1シーソー板の先端部分より上側に設けられていることから、捕獲室内の動物は第2シーソー板が戻るのに気づくのが遅れ、第2シーソー板が元に戻って入口が閉鎖されてしまうと、動物は逃げられなくなって確実に捕獲できる。
【0009】
本発明において、上記跳ね上がった第2シーソー板が初期状態に戻り、捕獲室に捕らえた動物が入口を閉鎖した第2シーソー板に乗ったときに第2シーソー板をロックする第1ロック手段を備えている場合には、
例えば捕獲室の中に餌を置いて餌付けをしながら複数の動物を一網打尽に捕らえようとする場合、捕獲室の中に動物がいる状態でつぎの動物が侵入しようとすると第2シーソー板が揺動して入口が開いてしまい、捕獲室内の動物に逃げられてしまうが、第2シーソー板が第1ロック手段でロックされると、上述したようなことが起こらず、侵入した動物は入口から出られなくなる。
【0010】
本発明において、上記第2シーソー板を跳ね上げた状態でロック可能な第2ロック手段をさらに備えている場合には、
第2ロック手段によって第2シーソー板を跳ね上げた状態でロックしておくことにより、入口から捕獲室まで動物が自由に行き来できる状態となる。この状態でいわば餌付けをして慣れされ、安心させた段階で、第2ロック手段による上記ロックを解除し、上述した捕獲を開始することができる。このため、警戒心の強い動物を安心させて効果的に捕獲することができる。
【0011】
本発明の第2の動物捕獲器によれば、動物が入口から侵入する際には、まず、踏み板の上を奥に向かって移動することにより、踏み板が奥側が下がるよう揺動する。すると、踏み板の揺動に連動して開閉板が跳ね上がるよう揺動し、これにより開放された入口から動物が捕獲室内に侵入する。動物が捕獲室内に侵入して踏み板の上から外れると、踏み板は元の傾斜に戻るよう揺動し、この揺動に連動して開閉板も初期状態に戻るよう揺動する。このとき、上記捕獲室の入口が上り傾斜した踏み板の先端部分より上側に設けられていることから、捕獲室内の動物は開閉板が戻るのに気づくのが遅れ、開閉板が元に戻って入口が閉鎖されてしまうと、動物は逃げられなくなって確実に捕獲できる。
【0012】
本発明において、上記跳ね上がった開閉板が初期状態に戻ったときに開閉板をロックする第3ロック手段を備えている場合には、
例えば捕獲室の中に餌を置いて餌付けをしながら複数の動物を一網打尽に捕らえようとする場合、捕獲室の中に動物がいる状態でつぎの動物が侵入しようとすると開閉板が揺動して入口が開いてしまい、捕獲室内の動物に逃げられてしまうが、開閉板が第3ロック手段でロックされると、上述したようなことが起こらず、侵入した動物は入口から出られなくなる。
【0013】
本発明において、上記開閉板を跳ね上げた状態でロック可能な第4ロック手段をさらに備えている場合には、
第4ロック手段によって開閉板を跳ね上げた状態でロックしておくことにより、入口から捕獲室まで動物が自由に行き来できる状態となる。この状態でいわば餌付けをして慣れされ、安心させた段階で、第4ロック手段による上記ロックを解除し、上述した捕獲を開始することができる。このため、警戒心の強い動物を安心させて効果的に捕獲することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態における動物捕獲器の全体構造を示す斜視図である。
【図2】上記動物捕獲器の構造および動作を説明するための断面図である。
【図3】第1ロック機構の構造を説明する図である。
【図4】第1ロック機構の作用を説明する図である。
【図5】第2ロック機構を説明する図である。
【図6】捕獲室と捕獲構造部の接続構造を説明する図である。
【図7】本発明の第2実施形態における動物捕獲器の全体構造を示す図である。
【図8】本発明の第3実施形態における動物捕獲器の構造を示す斜視図である。
【図9】上記第3実施形態の捕獲構造を示す図である。
【図10】上記第3実施形態における第4ロック機構を説明する図である。
【図11】上記第3実施形態の作用を説明する図である。
【図12】本発明の第4実施形態における動物捕獲器の構造の要部を示す斜視図である。
【図13】上記第4実施形態の捕獲構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の動物捕獲器の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
図1は、この第1実施形態における動物捕獲器の全体構造を示す斜視図であり、図2は捕獲構造部の初期状態および動作を説明するための断面図である。図3は第1ロック機構を示す図であり、図5は第2ロック機構を説明する図である。
【0017】
この動物捕獲器は、入口2を有する捕獲室1と、上記捕獲室1の入口に取り付けられる捕獲構造部5とを備えている。この動物捕獲器は、捕獲構造部5を通過して入口2から動物が進入したときに、捕獲構造部5によって入口2を閉鎖して侵入した動物を捕獲するようになっている。
【0018】
上記捕獲室1は、この例では直方体の箱状であり、前側に開閉蓋6付きの入口2が設けられている。上記入口2は、捕獲室1前面の上半分が開口することにより形成されている。言い換えると、上記捕獲室1の入口2は、後述する上り傾斜した第1シーソー板11の先端部分より上側に設けられている。上記開閉蓋6はヒンジ部9を介して上下回動して入口2を開閉するようになっている。
【0019】
そして、上記捕獲室1の入口2を覆うような状態で捕獲構造部5が取り付けられる。上記捕獲構造部5は捕獲室1に対して着脱可能になっており、捕獲室1に鼠等を捕らえたときに取り外して、新しい捕獲室1を取り付けて仕掛けることができる。このとき取り外した捕獲室1は、開閉蓋6を閉めて鼠等を捕らえたまま、まとめて搬送したり処分したりすることが可能である。このとき、開閉蓋6は図示しないロック構造によりロックすることができる。
【0020】
図2は、捕獲構造部5の構造および動作を説明する断面図である。図2の実線で示したのが初期状態である。
【0021】
捕獲構造部5は、この例では直方体の箱状であり、背面に捕獲室1の入口2に対応する連通開口10が設けられ、前面には、動物が侵入する侵入口3が設けられている。捕獲構造部5と捕獲箱1は、入口2と連通開口10が合うように接合される。
【0022】
上記捕獲構造部5の内部には、捕獲室1の入口2に至る部分において、初期状態で奥に向かって上り傾斜するとともに、入口2に侵入しようとする動物が奥に向かって移動することにより奥に向かって下り傾斜するよう揺動する第1シーソー板11が設けられている。上記第1シーソー板11は、侵入口3側の第1軸11aに軸支されて前後に揺動するようになっている。すなわち、第1シーソー板11は、第1軸11aの手前側よりも奥側が長くなっている。
【0023】
上記第1シーソー板11の上には、上記第1シーソー板11の上部において、初期状態で奥に向かって下り傾斜して上記入口2を閉鎖するとともに、上記第1シーソー板11の揺動に連動して跳ね上がることにより上記入口2を開放する第2シーソー板12が設けられている。
【0024】
上記第2シーソー板12は、中央よりやや前側に配置された第2軸12aを中心に前後揺動することにより、入口2を開閉するようになっている。すなわち、初期状態で奥に向かって下り傾斜した状態で入口2を閉鎖し、跳ね上がった状態(図において鎖線で示す位置である)において、入口2を開放する。
【0025】
上記第1シーソー板11の第1軸11aよりも奥側の上部と、第2シーソー板12の第2軸12a下部とが、連結棒15によって連結されている。上記連結棒15の存在により、第1シーソー板11が第1軸11aを中心に揺動すると、その揺動に連動して第2シーソー板12が第2軸12aを中心に揺動する。連結棒15を第2軸12aの下部に垂下した固定部に連結したため、動物が乗ったときの第1シーソー板11の上下動範囲を少なくでき、第1シーソー板11の少ない動きで第2シーソー板12を十分に揺動させることができる。上記第2シーソー板12は、第2軸12aの手前側よりも奥側が少し長くなっている。
【0026】
また、上記跳ね上がった第2シーソー板12が初期状態に戻り、捕獲室1に捕らえた動物が入口2を閉鎖した第2シーソー板12に乗ったときに第2シーソー板12をロックする第1ロック機構21(本発明の第1ロック手段である)を備えている。
【0027】
図3は、上記第1ロック機構21の構造を説明する図である。
【0028】
上記第1ロック機構21は、捕獲構造部5背面の連通開口10の下縁部に設けられている。上記第1ロック機構21は、捕獲構造部5の両側壁に水平に架設される軸16の左右に、ロック片17が軸支されて構成されている。ロック片17は、側面視で逆さL字状に屈曲された金属板からなり、横片の左右に軸16が挿通される軸支板18が形成されている。軸16が連通開口10の下縁部に沿って配置され、それに軸支されたロック片17の横片が上下に回動するようになっている。
【0029】
図4は、上記第1ロック機構21の動作を説明する図である。
【0030】
上記第1ロック機構21は、第2シーソー板12が跳ね上がった状態から再び初期状態に戻っただけではロックはかからない。すなわち、第2シーソー板12の重みだけでは作動しない。しかし、捕獲室1動物を捕らえた後、跳ね上がった第2シーソー板12が初期状態に戻って入口2を閉鎖し、捕獲室1に捕らえられた動物が第2シーソー板12に乗ったときに、その重みで第2シーソー板12の先端がロック片17の横片に当たってロック片17を回動させ、先端がロック片17の横片よりも下側に位置してロックがかかるようになっている。そうすると、第2シーソー板12を跳ね上げようとしても、先端がロック片17に引っかかった状態で動物は逃げられなくなるのである。
【0031】
図5は、上記第2シーソー板12を跳ね上げた状態でロック可能な第2ロック機構22(本発明の第2ロック手段である)を説明するための図である。
【0032】
上記第2ロック機構22は、捕獲構造部5の天井に形成された貫通穴13と、上記貫通穴13に挿通されて第2シーソー板12の手前側を上から押し下げるための錘棒14とを備えて構成されている。上記錘棒14は、貫通穴13を通過して落ちてしまわないように、貫通穴13より大きめの頭部が形成されている。貫通穴13に錘棒14を挿通することにより、上記第2シーソー板12を跳ね上げた状態でロックすることができる。
【0033】
このような構成の動物捕獲器は、例えばつぎのようにして動作して動物を捕獲する。
【0034】
まず、捕獲室1内に餌を仕掛けて第2ロック機構22で第2シーソー板12を跳ね上げてロックした状態で、動物捕獲器を動物の通り道等に配置しておく。この状態では、入口2が開放されており、動物は、侵入口3、連通開口10および入口2を通って捕獲室1内に自由に出入りできる。このとき、第2シーソー板12は第2ロック機構22でロックされてほとんど動かないため、それに連動する第1シーソー板11は動物がその上で行き来してもほとんど揺動しない。このため、動物に警戒心を与えることなく、動物を慣れさせ、いわば餌付けをすることができる。
【0035】
そして、ある程度餌が食べられ、餌付けされた頃を見計らって、第2ロック機構22のロックを解除し、図2に示す初期状態に戻す(図2の実線で示した状態である)。
【0036】
この状態で動物が侵入口3から侵入して第1シーソー板11に乗ると、第1シーソー板11がわずかに奥側が下がるように揺動し、それに連動して第2シーソー板12が跳ね上がるよう揺動して入口2が開く(図2の鎖線で示した状態である)。すると奥の餌が見えるので、動物は餌に向かって進む。動物が第1シーソー板11の上から外れると、第1シーソー板11および第2シーソー板12が元に戻るように揺動して入口2が第2シーソー板12で閉鎖され、侵入した動物は出られなくなる。
【0037】
そして、例えば、餌付けを十分に行って複数の動物が捕獲室1内に入ったときに、そのうち1匹が出ようとして第2シーソー板12に乗ったとき、その重みで第2シーソー板12の先端が第1ロック機構21でロックされ、再び第2シーソー板12が跳ね上げられて動物に逃げられることがない。このようにして、捕獲室1に形成された入口2を閉鎖することにより入口2から侵入した動物を捕獲することができる。
【0038】
このように、本実施形態の動物捕獲器によれば、動物が入口2から侵入する際には、まず、第1シーソー板11の上を奥に向かって移動することにより、第1シーソー板11が奥側が下がるよう揺動する。すると、第1シーソー板11の揺動に連動して第2シーソー板12が跳ね上がるよう揺動し、これにより開放された入口2から動物が捕獲室1内に侵入する。動物が捕獲室1内に侵入して第1シーソー板11の上から外れると、第1シーソー板11は元の傾斜に戻るよう揺動し、この揺動に連動して第2シーソー板12も初期状態に戻るよう揺動する。このとき、上記捕獲室1の入口2が上り傾斜した第1シーソー板11の先端部分より上側に設けられていることから、捕獲室1内の動物は第2シーソー板12が戻るのに気づくのが遅れ、第2シーソー板12が元に戻って入口2が閉鎖されてしまうと、動物は逃げられなくなって確実に捕獲できる。
【0039】
また、上記跳ね上がった第2シーソー板12が初期状態に戻り、捕獲室1に捕らえた動物が入口2を閉鎖した第2シーソー板12に乗ったときに第2シーソー板12をロックする第1ロック機構21を備えているため、
例えば捕獲室1の中に餌を置いて餌付けをしながら複数の動物を一網打尽に捕らえようとする場合、捕獲室1の中に動物がいる状態でつぎの動物が侵入しようとすると第2シーソー板12が揺動して入口2が開いてしまい、捕獲室1内の動物に逃げられてしまうが、第2シーソー板12が第1ロック機構21でロックされると、上述したようなことが起こらず、侵入した動物は入口2から出られなくなる。
【0040】
また、上記第2シーソー板12を跳ね上げた状態でロック可能な第2ロック機構22をさらに備えているため、
第2ロック機構22によって第2シーソー板12を跳ね上げた状態でロックしておくことにより、入口2から捕獲室1まで動物が自由に行き来できる状態となる。この状態でいわば餌付けをして慣れされ、安心させた段階で、第2ロック機構22による上記ロックを解除し、上述した捕獲を開始することができる。このため、警戒心の強い動物を安心させて効果的に捕獲することができる。
【0041】
図6は、捕獲室1と捕獲構造部5の接続構造の一例を示す図である。
【0042】
この例では、捕獲室1の上面に、ワイヤ27を掛け渡して固定する一方、捕獲構造部5の上部後端に、上記ワイヤ27に引っ掛けるためのフック26を設けている。上記フック26をワイヤ27に引っ掛けて捕獲室1と捕獲構造部5の接続する。
【0043】
図7は、本発明の第2実施形態を示す。
【0044】
この例は、捕獲室1に一旦捕らえた動物を別の捕獲空間に溜めることにより、連続的に多くの動物を捕獲できるようにしたものである。
【0045】
この実施形態は、捕獲室1および捕獲構造部5の主要な構造は、上記第1実施形態と同様であるので、以下、重複する説明は省略する。この実施形態では、第1ロック機構21が設けられていない。また、捕獲構造部5の天井に、捕獲室1に捕らえた動物の出口19を設け、出口19には大型の捕獲箱20に連通する通路23が接続されている。
【0046】
上記通路23の途中には、逆行阻止構造部25が設けられ、通路23と捕獲箱20の接続部分には、捕獲箱20に入った鼠が出られないようにするための返し部24が設けられている。
【0047】
上記逆行阻止構造部25は、この例では、捕獲構造部5と同様の第1シーソー板31と第2シーソー板32とを備え、第2シーソー板32の上部空間に動物の逆行を阻止する阻止板33が設けられている。上記返し部24は、通路23と捕獲箱20の接合部に設けたドーナツ板34の円周上に、多数のワイヤ35を先窄まり状に貫通させて配置したものである。
【0048】
この例では、捕獲された動物は、入ってきたほうに向かって戻って逃げようとする習性があるため、捕獲室1から入口2に向かって突き進む。そうすると、動物は第2シーソー板12上の坂道を登って出口19から通路を通って先に進む。そして、逆行阻止構造部25および返し部24を通過して捕獲箱20内にいたる。そうすると、捕獲室1は空室になるため、再びつぎの動物を捕獲できる状態になる。
【0049】
そして、つぎの動物が上述した動作と同様にして入口2から侵入し、捕獲室1に捕獲し、さらに捕獲箱20に捕獲する。このような捕獲動作を繰り返すことにより、連続的に動物を捕獲できる。このとき、逆行阻止構造部25を通過した動物は再び捕獲室1に戻ることはない。同様に、返し部24を通過した動物は捕獲箱20を出ることはない。
【0050】
上記逆行阻止構造部25は、通路に複数設けることもできる。このようにすることにより、捕獲室1に捕らえた動物は、複数の逆行阻止構造部25でつぎつぎと捕獲箱20に誘導して連続捕獲をすることができる。
【0051】
図8〜図11は、本発明の第3実施形態を示す。
【0052】
この動物捕獲器は、捕獲室41の前面に入口42が設けられ、上記入口42の周辺部分に捕獲構造45が設けられて構成されている。捕獲室41に形成された入口42を閉鎖することにより上記入口42から侵入した動物を捕獲する。
【0053】
上記捕獲構造45は、捕獲室41の入口42に至る部分において、初期状態で奥に向かって上り傾斜するとともに、入口42に侵入しようとする動物が奥に向かって移動することにより奥側が下がるよう揺動する踏み板51と、
上記踏み板51の上部において、初期状態で奥に向かって下り傾斜して上記入口42を閉鎖するとともに、上記踏み板51の揺動に連動して跳ね上がることにより上記入口42を開放する開閉板52とを備えて構成されている。
【0054】
より詳しく説明すると、捕獲室41は直方体状であり、その前面に開口した入口42の周囲に枠体43が設けられている。枠体43には水平軸52aが架設され、この水平軸52aに軸支された作動板53の根元に開閉板52が取り付けられている。上記作動板53の先端部には、作動板53を下方に牽引して開閉板52の下側部を跳ね上げるための牽引ワイヤ54が取り付けられている。上記牽引ワイヤ54は、コ字状に屈曲成形され、両開放端が作動板53に固定されている。
【0055】
上記枠体43の下辺部には、上記跳ね上がった開閉板52が初期状態に戻ったときに開閉板52をロックする第3ロック機構61が設けられている。上記第3ロック機構61は、枠体43の下辺に沿って水平に架設された軸63に軸支された断面略L字状のロック片64を備えて構成されている。上記ロック片64は、枠体43の下辺部中央に折り曲げ形成された足場板55の両側にそれぞれ形成されている。
【0056】
入口42は、枠体43の下半部に開口している。言い換えると。開閉板52を軸支する水平軸52aと、枠体43の下辺部の足場板55との間で開口している。また、開閉板52を軸支する水平軸52aの奥側には、中天井板56が設けられている。このように、上記捕獲室41の入口42は、上り傾斜した踏み板51の先端部分より上側に設けられている。
【0057】
図9(D)(E)は第3ロック機構61の動作を説明する図である。上記ロック片64は、L字状の長片が軸支されて軸63を中心として回動する。跳ね上がった開閉板52が初期状態に戻るときに、開閉板52の下端部がロック片64の長片上端部に当たってロック片64を回動させる。そして、開閉板52の下端部がロック片64の長片上端部を超え、ロック片64が元の位置に戻った状態で開閉板52がロックされる。
【0058】
一方、捕獲室41の前側には、踏み板51が配置される。上記踏み板51は、ワイヤーをコ字状に屈曲形成して両開放端を鉤状にした位置決めホルダ57に取り付けられている。上記位置決めホルダ57は、鉤状に形成したフック部が捕獲室41の側面の穴に差し込まれている。上記位置決めホルダ57の中央バー部に、踏み板51の根元辺部が回動可能に取り付けられている。一方、上記踏み板51の先端辺には、上記牽引ワイヤ54に引っ掛けるための凸片58が形成されている。
【0059】
上記動物捕獲器では、初期状態では、開閉板52が奥側を下り傾斜にしてセットされ、開閉板52の下半部で入口42が閉じられている。このとき、第3ロック機構61は開閉板52をロックしていない。この状態で、踏み板51の上に動物が載ると、その重みで牽引ワイヤ54が下方に牽引され、作動板53を回動させて開閉板52を回動させ、その下側部を上方に跳ね上げ、入口42が開放される。
【0060】
捕獲室41内の誘引剤や餌に誘引されて、動物は入口42から捕獲室41内部に侵入する。侵入してしまうと、踏み板51と牽引ワイヤ54にかかっていた荷重は解除され、開閉板52は元に戻るように回動する。そして、初期状態に戻ったときに、第3ロック機構61によって開閉板52がロックされ、動物は捕獲室41内に閉じ込められて捕獲される。
【0061】
本実施形態では、上記開閉板52を跳ね上げた状態でロック可能な第4ロック機構をさらに備えている。これにより、警戒心の強い動物を捕獲する場合は、第4ロック機構により、予め開閉板52を跳ね上げて入口42を開放した状態でロックし、ある程度の期間放置していわゆる餌付けを行う。餌付けができたら第4ロック機構のロックを解除して上述した初期状態に戻し、捕獲できる状態にする。
【0062】
図10は、第4ロック機構の具体例を示す図である。(A)は第1例であり、開閉板52の上半部に形成された穴65aにロック錘65を差し込み、ロック錘65の重量により開閉板52を回動させて下半部を跳ね上げた状態でロックする。(B)は第2例であり、枠体43の上部に側面視L字状のロック片66を軸支している。ロックしない状態では、鎖線で示すようにロック片66は跳ね上げておけばよい。ロックするときは、実線で示したように、ロック片66を下側に回動させ、L字の短片を前方に突出させる。これにより、開閉板52はL字の短片と干渉して下半部が跳ね上げられた状態でロックする。
【0063】
図11は、踏み板51を収容した状態を示す。動物捕獲器自体を格納したり搬送したりするときは、図示のように、踏み板51を位置決めホルダ57ごと回動させて捕獲室41の上に載置することが行われる。
【0064】
本実施形態の動物捕獲器によれば、動物が入口42から侵入する際には、まず、踏み板51の上を奥に向かって移動することにより、踏み板51が奥側が下がるよう揺動する。すると、踏み板51の揺動に連動して開閉板52が跳ね上がるよう揺動し、これにより開放された入口42から動物が捕獲室41内に侵入する。動物が捕獲室41内に侵入して踏み板51の上から外れると、踏み板51は元の傾斜に戻るよう揺動し、この揺動に連動して開閉板52も初期状態に戻るよう揺動する。このとき、上記捕獲室41の入口42が上り傾斜した踏み板51の先端部分より上側に設けられていることから、捕獲室41内の動物は開閉板52が戻るのに気づくのが遅れ、開閉板52が元に戻って入口42が閉鎖されてしまうと、動物は逃げられなくなって確実に捕獲できる。
【0065】
また、上記跳ね上がった開閉板52が初期状態に戻ったときに開閉板52をロックする第3ロック機構61を備えているため、
例えば捕獲室41の中に餌を置いて餌付けをしながら複数の動物を一網打尽に捕らえようとする場合、捕獲室41の中に動物がいる状態でつぎの動物が侵入しようとすると開閉板52が揺動して入口42が開いてしまい、捕獲室41内の動物に逃げられてしまうが、開閉板52が第3ロック機構61でロックされると、上述したようなことが起こらず、侵入した動物は入口42から出られなくなる。
【0066】
また、上記開閉板52を跳ね上げた状態でロック可能な第4ロック機構をさらに備えているため、
第4ロック機構によって開閉板52を跳ね上げた状態でロックしておくことにより、入口42から捕獲室41まで動物が自由に行き来できる状態となる。この状態でいわば餌付けをして慣れされ、安心させた段階で、第4ロック機構による上記ロックを解除し、上述した捕獲を開始することができる。このため、警戒心の強い動物を安心させて効果的に捕獲することができる。
【0067】
図12、図13は、本発明の第4実施形態を示す。
【0068】
この実施形態は、踏み板の構造以外は上記第3実施形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付して説明を省略している。
【0069】
この例では、枠体43の下辺部にフック71を介してベース板72が取り付けられ、ベース板72の両側に屈曲形成された軸受板73に架設された軸73aに踏み板74が軸支されている。踏み板74の回動先端部は、牽引ワイヤ54の中央バーに載置されている。これにより、踏み板74上に動物が載って荷重がかかると、牽引ワイヤ54を牽引して開閉板52を回動させるようになっている。
【0070】
上記踏み板74には、誘導板75の先端部が載置されている。
【0071】
上記誘導板75は、ベース板72の後端部に立設されたフック76で位置決めされている。上記誘導板75は、先端側が踏み板74上に載置され、反対の後端側が設置面に接地されている。これにより、誘導板75に動物が載ることによる重みが踏み板74に伝わって開閉板52が回動するようになっている。
【0072】
この構造では、踏み板74と誘導板75を合わせて第3実施形態の踏み板51程度の大きさにすることにより、踏み板74自体を大幅に小さくすることができる。そして、踏み板74、誘導板75、ベース板72を捕獲室41から取り外してコンパクトに収容や搬送を行なうことができる。
【0073】
なお、上記各実施形態において、捕らえる動物は、ネズミのような小動物だけでなく、アライグマ等の捕獲にも有効である。これらの動物は、集団で動くために餌付けにより複数を一網打尽に連続捕獲することができる。
【0074】
また、捕獲室41や捕獲箱20としては直方体の箱状のものに限らず、容器形状としては各種のものを採用することができる。また、第1ロック機構21や第2ロック機構22として、例示した構造のものに限定するものではなく、第2シーソー板12の揺動を規制してロックしうるものであれば、各種の形態を採用することができる。
【0075】
また、第3および第4の実施形態においても、第3ロック機構61や第4ロック機構として、例示した構造のものに限定するものではなく、開閉板52の揺動を規制してロックしうるものであれば、各種の形態を採用することができる。
【符号の説明】
【0076】
1:捕獲室
2:入口
3:侵入口
5:捕獲構造部
6:開閉蓋
9:ヒンジ部
10:連通開口
11:第1シーソー板
11a:第1軸
12:第2シーソー板
12a:第2軸
13:貫通穴
14:錘棒
15:連結棒
16:軸
17:ロック片
18:軸支板
19:出口
20:捕獲箱
21:第1ロック機構
22:第2ロック機構
23:通路
24:返し部
25:逆行阻止構造部
26:フック
27:ワイヤ
31:第1シーソー板
32:第2シーソー板
33:阻止板
34:ドーナツ板
35:ワイヤ
41 捕獲室
42 入口
43 枠体
45 捕獲構造
51 踏み板
52 開閉板
52a 水平軸
53 作動板
54 牽引ワイヤ
55 足場板
56 中天井板
57 位置決めホルダ
58 凸片
61 第3ロック機構
63 軸
64 ロック片
65 ロック錘
65a 穴
66 ロック片
71 フック
72 ベース板
73 軸受板
73a 軸
74 踏み板
75 誘導板
76 フック
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネズミ等の動物を捕獲するために使用される動物捕獲器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ネズミ等の動物を捕獲するために、例えば下記の特許文献1に示すように、シーソー板を利用した動物捕獲箱が提供されている。この動物捕獲箱は、鼠がシーソーの中央より奥に入って行くと、その重さによってシーソーの奥側が少し下がる。すると、回転軸が下側に離れているのでバランスがくずれ、奥側がいっきに底まで下がり、シーソー下部の磁石と箱底の磁石の吸引力で固定される。この状態で、シーソー入口がふさがれることにより鼠が逃げられなくなるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3113786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記動物捕獲箱は、シーソーの奥側がいっきに下がったときに磁石の吸引力で固定するようになっている。このため、捕獲された動物が驚いて暴れだすと磁石が外れてしまい、せっかく捕獲した動物に逃げられてしまうという問題がある。一方、鼠等の動物は尻尾が長く、体長の約1/2は尻尾の長さが占めている。したがって、シーソーの奥側がいっきに下がったときに、磁石の吸引力でシーソーが固定される前に鼠等の尻尾がシーソーと入口の間に挟まってしまい、磁石同士の間にその分隙間が出来て十分に固定することができない。一方、鼠等は、尻尾が挟まることにより異変を感じて逃げようとするので、この状態で鼠等が逆戻りすると、簡単にシーソーが元にもどってしまってせっかく箱に入った鼠等に簡単に逃げられてしまうという問題がある。また、1匹ないし2匹捕獲するのがせいぜいで、連続的に何匹も捕獲することができず、捕獲状況を頻繁に確認して1匹でも掛かっていれば捕獲された動物を取り出して初期状態に戻し、仕掛けなおさなければならない。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、動物を逃がすことなく確実に捕獲することができる動物捕獲器を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明の第1の動物捕獲器は、捕獲室に形成された入口を閉鎖することにより上記入口から侵入した動物を捕獲する動物捕獲器であって、
捕獲室の入口に至る部分において、初期状態で奥に向かって上り傾斜するとともに、入口に侵入しようとする動物が奥に向かって移動することにより奥側が下がるよう揺動する第1シーソー板と、
上記第1シーソー板の上部において、初期状態で奥に向かって下り傾斜して上記入口を閉鎖するとともに、上記第1シーソー板の揺動に連動して跳ね上がることにより上記入口を開放する第2シーソー板とを備え、
上記捕獲室の入口は、上り傾斜した第1シーソー板の先端部分より上側に設けられていることを要旨とする。
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明の第2の動物捕獲器は、捕獲室に形成された入口を閉鎖することにより上記入口から侵入した動物を捕獲する動物捕獲器であって、
捕獲室の入口に至る部分において、初期状態で奥に向かって上り傾斜するとともに、入口に侵入しようとする動物が奥に向かって移動することにより奥側が下がるよう揺動する踏み板と、
上記踏み板の上部において、初期状態で奥に向かって下り傾斜して上記入口を閉鎖するとともに、上記踏み板の揺動に連動して跳ね上がることにより上記入口を開放する開閉板とを備え、
上記捕獲室の入口は、上り傾斜した踏み板の先端部分より上側に設けられていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の第1の動物捕獲器によれば、動物が入口から侵入する際には、まず、第1シーソー板の上を奥に向かって移動することにより、第1シーソー板が奥側が下がるよう揺動する。すると、第1シーソー板の揺動に連動して第2シーソー板が跳ね上がるよう揺動し、これにより開放された入口から動物が捕獲室内に侵入する。動物が捕獲室内に侵入して第1シーソー板の上から外れると、第1シーソー板は元の傾斜に戻るよう揺動し、この揺動に連動して第2シーソー板も初期状態に戻るよう揺動する。このとき、上記捕獲室の入口が上り傾斜した第1シーソー板の先端部分より上側に設けられていることから、捕獲室内の動物は第2シーソー板が戻るのに気づくのが遅れ、第2シーソー板が元に戻って入口が閉鎖されてしまうと、動物は逃げられなくなって確実に捕獲できる。
【0009】
本発明において、上記跳ね上がった第2シーソー板が初期状態に戻り、捕獲室に捕らえた動物が入口を閉鎖した第2シーソー板に乗ったときに第2シーソー板をロックする第1ロック手段を備えている場合には、
例えば捕獲室の中に餌を置いて餌付けをしながら複数の動物を一網打尽に捕らえようとする場合、捕獲室の中に動物がいる状態でつぎの動物が侵入しようとすると第2シーソー板が揺動して入口が開いてしまい、捕獲室内の動物に逃げられてしまうが、第2シーソー板が第1ロック手段でロックされると、上述したようなことが起こらず、侵入した動物は入口から出られなくなる。
【0010】
本発明において、上記第2シーソー板を跳ね上げた状態でロック可能な第2ロック手段をさらに備えている場合には、
第2ロック手段によって第2シーソー板を跳ね上げた状態でロックしておくことにより、入口から捕獲室まで動物が自由に行き来できる状態となる。この状態でいわば餌付けをして慣れされ、安心させた段階で、第2ロック手段による上記ロックを解除し、上述した捕獲を開始することができる。このため、警戒心の強い動物を安心させて効果的に捕獲することができる。
【0011】
本発明の第2の動物捕獲器によれば、動物が入口から侵入する際には、まず、踏み板の上を奥に向かって移動することにより、踏み板が奥側が下がるよう揺動する。すると、踏み板の揺動に連動して開閉板が跳ね上がるよう揺動し、これにより開放された入口から動物が捕獲室内に侵入する。動物が捕獲室内に侵入して踏み板の上から外れると、踏み板は元の傾斜に戻るよう揺動し、この揺動に連動して開閉板も初期状態に戻るよう揺動する。このとき、上記捕獲室の入口が上り傾斜した踏み板の先端部分より上側に設けられていることから、捕獲室内の動物は開閉板が戻るのに気づくのが遅れ、開閉板が元に戻って入口が閉鎖されてしまうと、動物は逃げられなくなって確実に捕獲できる。
【0012】
本発明において、上記跳ね上がった開閉板が初期状態に戻ったときに開閉板をロックする第3ロック手段を備えている場合には、
例えば捕獲室の中に餌を置いて餌付けをしながら複数の動物を一網打尽に捕らえようとする場合、捕獲室の中に動物がいる状態でつぎの動物が侵入しようとすると開閉板が揺動して入口が開いてしまい、捕獲室内の動物に逃げられてしまうが、開閉板が第3ロック手段でロックされると、上述したようなことが起こらず、侵入した動物は入口から出られなくなる。
【0013】
本発明において、上記開閉板を跳ね上げた状態でロック可能な第4ロック手段をさらに備えている場合には、
第4ロック手段によって開閉板を跳ね上げた状態でロックしておくことにより、入口から捕獲室まで動物が自由に行き来できる状態となる。この状態でいわば餌付けをして慣れされ、安心させた段階で、第4ロック手段による上記ロックを解除し、上述した捕獲を開始することができる。このため、警戒心の強い動物を安心させて効果的に捕獲することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態における動物捕獲器の全体構造を示す斜視図である。
【図2】上記動物捕獲器の構造および動作を説明するための断面図である。
【図3】第1ロック機構の構造を説明する図である。
【図4】第1ロック機構の作用を説明する図である。
【図5】第2ロック機構を説明する図である。
【図6】捕獲室と捕獲構造部の接続構造を説明する図である。
【図7】本発明の第2実施形態における動物捕獲器の全体構造を示す図である。
【図8】本発明の第3実施形態における動物捕獲器の構造を示す斜視図である。
【図9】上記第3実施形態の捕獲構造を示す図である。
【図10】上記第3実施形態における第4ロック機構を説明する図である。
【図11】上記第3実施形態の作用を説明する図である。
【図12】本発明の第4実施形態における動物捕獲器の構造の要部を示す斜視図である。
【図13】上記第4実施形態の捕獲構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の動物捕獲器の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
図1は、この第1実施形態における動物捕獲器の全体構造を示す斜視図であり、図2は捕獲構造部の初期状態および動作を説明するための断面図である。図3は第1ロック機構を示す図であり、図5は第2ロック機構を説明する図である。
【0017】
この動物捕獲器は、入口2を有する捕獲室1と、上記捕獲室1の入口に取り付けられる捕獲構造部5とを備えている。この動物捕獲器は、捕獲構造部5を通過して入口2から動物が進入したときに、捕獲構造部5によって入口2を閉鎖して侵入した動物を捕獲するようになっている。
【0018】
上記捕獲室1は、この例では直方体の箱状であり、前側に開閉蓋6付きの入口2が設けられている。上記入口2は、捕獲室1前面の上半分が開口することにより形成されている。言い換えると、上記捕獲室1の入口2は、後述する上り傾斜した第1シーソー板11の先端部分より上側に設けられている。上記開閉蓋6はヒンジ部9を介して上下回動して入口2を開閉するようになっている。
【0019】
そして、上記捕獲室1の入口2を覆うような状態で捕獲構造部5が取り付けられる。上記捕獲構造部5は捕獲室1に対して着脱可能になっており、捕獲室1に鼠等を捕らえたときに取り外して、新しい捕獲室1を取り付けて仕掛けることができる。このとき取り外した捕獲室1は、開閉蓋6を閉めて鼠等を捕らえたまま、まとめて搬送したり処分したりすることが可能である。このとき、開閉蓋6は図示しないロック構造によりロックすることができる。
【0020】
図2は、捕獲構造部5の構造および動作を説明する断面図である。図2の実線で示したのが初期状態である。
【0021】
捕獲構造部5は、この例では直方体の箱状であり、背面に捕獲室1の入口2に対応する連通開口10が設けられ、前面には、動物が侵入する侵入口3が設けられている。捕獲構造部5と捕獲箱1は、入口2と連通開口10が合うように接合される。
【0022】
上記捕獲構造部5の内部には、捕獲室1の入口2に至る部分において、初期状態で奥に向かって上り傾斜するとともに、入口2に侵入しようとする動物が奥に向かって移動することにより奥に向かって下り傾斜するよう揺動する第1シーソー板11が設けられている。上記第1シーソー板11は、侵入口3側の第1軸11aに軸支されて前後に揺動するようになっている。すなわち、第1シーソー板11は、第1軸11aの手前側よりも奥側が長くなっている。
【0023】
上記第1シーソー板11の上には、上記第1シーソー板11の上部において、初期状態で奥に向かって下り傾斜して上記入口2を閉鎖するとともに、上記第1シーソー板11の揺動に連動して跳ね上がることにより上記入口2を開放する第2シーソー板12が設けられている。
【0024】
上記第2シーソー板12は、中央よりやや前側に配置された第2軸12aを中心に前後揺動することにより、入口2を開閉するようになっている。すなわち、初期状態で奥に向かって下り傾斜した状態で入口2を閉鎖し、跳ね上がった状態(図において鎖線で示す位置である)において、入口2を開放する。
【0025】
上記第1シーソー板11の第1軸11aよりも奥側の上部と、第2シーソー板12の第2軸12a下部とが、連結棒15によって連結されている。上記連結棒15の存在により、第1シーソー板11が第1軸11aを中心に揺動すると、その揺動に連動して第2シーソー板12が第2軸12aを中心に揺動する。連結棒15を第2軸12aの下部に垂下した固定部に連結したため、動物が乗ったときの第1シーソー板11の上下動範囲を少なくでき、第1シーソー板11の少ない動きで第2シーソー板12を十分に揺動させることができる。上記第2シーソー板12は、第2軸12aの手前側よりも奥側が少し長くなっている。
【0026】
また、上記跳ね上がった第2シーソー板12が初期状態に戻り、捕獲室1に捕らえた動物が入口2を閉鎖した第2シーソー板12に乗ったときに第2シーソー板12をロックする第1ロック機構21(本発明の第1ロック手段である)を備えている。
【0027】
図3は、上記第1ロック機構21の構造を説明する図である。
【0028】
上記第1ロック機構21は、捕獲構造部5背面の連通開口10の下縁部に設けられている。上記第1ロック機構21は、捕獲構造部5の両側壁に水平に架設される軸16の左右に、ロック片17が軸支されて構成されている。ロック片17は、側面視で逆さL字状に屈曲された金属板からなり、横片の左右に軸16が挿通される軸支板18が形成されている。軸16が連通開口10の下縁部に沿って配置され、それに軸支されたロック片17の横片が上下に回動するようになっている。
【0029】
図4は、上記第1ロック機構21の動作を説明する図である。
【0030】
上記第1ロック機構21は、第2シーソー板12が跳ね上がった状態から再び初期状態に戻っただけではロックはかからない。すなわち、第2シーソー板12の重みだけでは作動しない。しかし、捕獲室1動物を捕らえた後、跳ね上がった第2シーソー板12が初期状態に戻って入口2を閉鎖し、捕獲室1に捕らえられた動物が第2シーソー板12に乗ったときに、その重みで第2シーソー板12の先端がロック片17の横片に当たってロック片17を回動させ、先端がロック片17の横片よりも下側に位置してロックがかかるようになっている。そうすると、第2シーソー板12を跳ね上げようとしても、先端がロック片17に引っかかった状態で動物は逃げられなくなるのである。
【0031】
図5は、上記第2シーソー板12を跳ね上げた状態でロック可能な第2ロック機構22(本発明の第2ロック手段である)を説明するための図である。
【0032】
上記第2ロック機構22は、捕獲構造部5の天井に形成された貫通穴13と、上記貫通穴13に挿通されて第2シーソー板12の手前側を上から押し下げるための錘棒14とを備えて構成されている。上記錘棒14は、貫通穴13を通過して落ちてしまわないように、貫通穴13より大きめの頭部が形成されている。貫通穴13に錘棒14を挿通することにより、上記第2シーソー板12を跳ね上げた状態でロックすることができる。
【0033】
このような構成の動物捕獲器は、例えばつぎのようにして動作して動物を捕獲する。
【0034】
まず、捕獲室1内に餌を仕掛けて第2ロック機構22で第2シーソー板12を跳ね上げてロックした状態で、動物捕獲器を動物の通り道等に配置しておく。この状態では、入口2が開放されており、動物は、侵入口3、連通開口10および入口2を通って捕獲室1内に自由に出入りできる。このとき、第2シーソー板12は第2ロック機構22でロックされてほとんど動かないため、それに連動する第1シーソー板11は動物がその上で行き来してもほとんど揺動しない。このため、動物に警戒心を与えることなく、動物を慣れさせ、いわば餌付けをすることができる。
【0035】
そして、ある程度餌が食べられ、餌付けされた頃を見計らって、第2ロック機構22のロックを解除し、図2に示す初期状態に戻す(図2の実線で示した状態である)。
【0036】
この状態で動物が侵入口3から侵入して第1シーソー板11に乗ると、第1シーソー板11がわずかに奥側が下がるように揺動し、それに連動して第2シーソー板12が跳ね上がるよう揺動して入口2が開く(図2の鎖線で示した状態である)。すると奥の餌が見えるので、動物は餌に向かって進む。動物が第1シーソー板11の上から外れると、第1シーソー板11および第2シーソー板12が元に戻るように揺動して入口2が第2シーソー板12で閉鎖され、侵入した動物は出られなくなる。
【0037】
そして、例えば、餌付けを十分に行って複数の動物が捕獲室1内に入ったときに、そのうち1匹が出ようとして第2シーソー板12に乗ったとき、その重みで第2シーソー板12の先端が第1ロック機構21でロックされ、再び第2シーソー板12が跳ね上げられて動物に逃げられることがない。このようにして、捕獲室1に形成された入口2を閉鎖することにより入口2から侵入した動物を捕獲することができる。
【0038】
このように、本実施形態の動物捕獲器によれば、動物が入口2から侵入する際には、まず、第1シーソー板11の上を奥に向かって移動することにより、第1シーソー板11が奥側が下がるよう揺動する。すると、第1シーソー板11の揺動に連動して第2シーソー板12が跳ね上がるよう揺動し、これにより開放された入口2から動物が捕獲室1内に侵入する。動物が捕獲室1内に侵入して第1シーソー板11の上から外れると、第1シーソー板11は元の傾斜に戻るよう揺動し、この揺動に連動して第2シーソー板12も初期状態に戻るよう揺動する。このとき、上記捕獲室1の入口2が上り傾斜した第1シーソー板11の先端部分より上側に設けられていることから、捕獲室1内の動物は第2シーソー板12が戻るのに気づくのが遅れ、第2シーソー板12が元に戻って入口2が閉鎖されてしまうと、動物は逃げられなくなって確実に捕獲できる。
【0039】
また、上記跳ね上がった第2シーソー板12が初期状態に戻り、捕獲室1に捕らえた動物が入口2を閉鎖した第2シーソー板12に乗ったときに第2シーソー板12をロックする第1ロック機構21を備えているため、
例えば捕獲室1の中に餌を置いて餌付けをしながら複数の動物を一網打尽に捕らえようとする場合、捕獲室1の中に動物がいる状態でつぎの動物が侵入しようとすると第2シーソー板12が揺動して入口2が開いてしまい、捕獲室1内の動物に逃げられてしまうが、第2シーソー板12が第1ロック機構21でロックされると、上述したようなことが起こらず、侵入した動物は入口2から出られなくなる。
【0040】
また、上記第2シーソー板12を跳ね上げた状態でロック可能な第2ロック機構22をさらに備えているため、
第2ロック機構22によって第2シーソー板12を跳ね上げた状態でロックしておくことにより、入口2から捕獲室1まで動物が自由に行き来できる状態となる。この状態でいわば餌付けをして慣れされ、安心させた段階で、第2ロック機構22による上記ロックを解除し、上述した捕獲を開始することができる。このため、警戒心の強い動物を安心させて効果的に捕獲することができる。
【0041】
図6は、捕獲室1と捕獲構造部5の接続構造の一例を示す図である。
【0042】
この例では、捕獲室1の上面に、ワイヤ27を掛け渡して固定する一方、捕獲構造部5の上部後端に、上記ワイヤ27に引っ掛けるためのフック26を設けている。上記フック26をワイヤ27に引っ掛けて捕獲室1と捕獲構造部5の接続する。
【0043】
図7は、本発明の第2実施形態を示す。
【0044】
この例は、捕獲室1に一旦捕らえた動物を別の捕獲空間に溜めることにより、連続的に多くの動物を捕獲できるようにしたものである。
【0045】
この実施形態は、捕獲室1および捕獲構造部5の主要な構造は、上記第1実施形態と同様であるので、以下、重複する説明は省略する。この実施形態では、第1ロック機構21が設けられていない。また、捕獲構造部5の天井に、捕獲室1に捕らえた動物の出口19を設け、出口19には大型の捕獲箱20に連通する通路23が接続されている。
【0046】
上記通路23の途中には、逆行阻止構造部25が設けられ、通路23と捕獲箱20の接続部分には、捕獲箱20に入った鼠が出られないようにするための返し部24が設けられている。
【0047】
上記逆行阻止構造部25は、この例では、捕獲構造部5と同様の第1シーソー板31と第2シーソー板32とを備え、第2シーソー板32の上部空間に動物の逆行を阻止する阻止板33が設けられている。上記返し部24は、通路23と捕獲箱20の接合部に設けたドーナツ板34の円周上に、多数のワイヤ35を先窄まり状に貫通させて配置したものである。
【0048】
この例では、捕獲された動物は、入ってきたほうに向かって戻って逃げようとする習性があるため、捕獲室1から入口2に向かって突き進む。そうすると、動物は第2シーソー板12上の坂道を登って出口19から通路を通って先に進む。そして、逆行阻止構造部25および返し部24を通過して捕獲箱20内にいたる。そうすると、捕獲室1は空室になるため、再びつぎの動物を捕獲できる状態になる。
【0049】
そして、つぎの動物が上述した動作と同様にして入口2から侵入し、捕獲室1に捕獲し、さらに捕獲箱20に捕獲する。このような捕獲動作を繰り返すことにより、連続的に動物を捕獲できる。このとき、逆行阻止構造部25を通過した動物は再び捕獲室1に戻ることはない。同様に、返し部24を通過した動物は捕獲箱20を出ることはない。
【0050】
上記逆行阻止構造部25は、通路に複数設けることもできる。このようにすることにより、捕獲室1に捕らえた動物は、複数の逆行阻止構造部25でつぎつぎと捕獲箱20に誘導して連続捕獲をすることができる。
【0051】
図8〜図11は、本発明の第3実施形態を示す。
【0052】
この動物捕獲器は、捕獲室41の前面に入口42が設けられ、上記入口42の周辺部分に捕獲構造45が設けられて構成されている。捕獲室41に形成された入口42を閉鎖することにより上記入口42から侵入した動物を捕獲する。
【0053】
上記捕獲構造45は、捕獲室41の入口42に至る部分において、初期状態で奥に向かって上り傾斜するとともに、入口42に侵入しようとする動物が奥に向かって移動することにより奥側が下がるよう揺動する踏み板51と、
上記踏み板51の上部において、初期状態で奥に向かって下り傾斜して上記入口42を閉鎖するとともに、上記踏み板51の揺動に連動して跳ね上がることにより上記入口42を開放する開閉板52とを備えて構成されている。
【0054】
より詳しく説明すると、捕獲室41は直方体状であり、その前面に開口した入口42の周囲に枠体43が設けられている。枠体43には水平軸52aが架設され、この水平軸52aに軸支された作動板53の根元に開閉板52が取り付けられている。上記作動板53の先端部には、作動板53を下方に牽引して開閉板52の下側部を跳ね上げるための牽引ワイヤ54が取り付けられている。上記牽引ワイヤ54は、コ字状に屈曲成形され、両開放端が作動板53に固定されている。
【0055】
上記枠体43の下辺部には、上記跳ね上がった開閉板52が初期状態に戻ったときに開閉板52をロックする第3ロック機構61が設けられている。上記第3ロック機構61は、枠体43の下辺に沿って水平に架設された軸63に軸支された断面略L字状のロック片64を備えて構成されている。上記ロック片64は、枠体43の下辺部中央に折り曲げ形成された足場板55の両側にそれぞれ形成されている。
【0056】
入口42は、枠体43の下半部に開口している。言い換えると。開閉板52を軸支する水平軸52aと、枠体43の下辺部の足場板55との間で開口している。また、開閉板52を軸支する水平軸52aの奥側には、中天井板56が設けられている。このように、上記捕獲室41の入口42は、上り傾斜した踏み板51の先端部分より上側に設けられている。
【0057】
図9(D)(E)は第3ロック機構61の動作を説明する図である。上記ロック片64は、L字状の長片が軸支されて軸63を中心として回動する。跳ね上がった開閉板52が初期状態に戻るときに、開閉板52の下端部がロック片64の長片上端部に当たってロック片64を回動させる。そして、開閉板52の下端部がロック片64の長片上端部を超え、ロック片64が元の位置に戻った状態で開閉板52がロックされる。
【0058】
一方、捕獲室41の前側には、踏み板51が配置される。上記踏み板51は、ワイヤーをコ字状に屈曲形成して両開放端を鉤状にした位置決めホルダ57に取り付けられている。上記位置決めホルダ57は、鉤状に形成したフック部が捕獲室41の側面の穴に差し込まれている。上記位置決めホルダ57の中央バー部に、踏み板51の根元辺部が回動可能に取り付けられている。一方、上記踏み板51の先端辺には、上記牽引ワイヤ54に引っ掛けるための凸片58が形成されている。
【0059】
上記動物捕獲器では、初期状態では、開閉板52が奥側を下り傾斜にしてセットされ、開閉板52の下半部で入口42が閉じられている。このとき、第3ロック機構61は開閉板52をロックしていない。この状態で、踏み板51の上に動物が載ると、その重みで牽引ワイヤ54が下方に牽引され、作動板53を回動させて開閉板52を回動させ、その下側部を上方に跳ね上げ、入口42が開放される。
【0060】
捕獲室41内の誘引剤や餌に誘引されて、動物は入口42から捕獲室41内部に侵入する。侵入してしまうと、踏み板51と牽引ワイヤ54にかかっていた荷重は解除され、開閉板52は元に戻るように回動する。そして、初期状態に戻ったときに、第3ロック機構61によって開閉板52がロックされ、動物は捕獲室41内に閉じ込められて捕獲される。
【0061】
本実施形態では、上記開閉板52を跳ね上げた状態でロック可能な第4ロック機構をさらに備えている。これにより、警戒心の強い動物を捕獲する場合は、第4ロック機構により、予め開閉板52を跳ね上げて入口42を開放した状態でロックし、ある程度の期間放置していわゆる餌付けを行う。餌付けができたら第4ロック機構のロックを解除して上述した初期状態に戻し、捕獲できる状態にする。
【0062】
図10は、第4ロック機構の具体例を示す図である。(A)は第1例であり、開閉板52の上半部に形成された穴65aにロック錘65を差し込み、ロック錘65の重量により開閉板52を回動させて下半部を跳ね上げた状態でロックする。(B)は第2例であり、枠体43の上部に側面視L字状のロック片66を軸支している。ロックしない状態では、鎖線で示すようにロック片66は跳ね上げておけばよい。ロックするときは、実線で示したように、ロック片66を下側に回動させ、L字の短片を前方に突出させる。これにより、開閉板52はL字の短片と干渉して下半部が跳ね上げられた状態でロックする。
【0063】
図11は、踏み板51を収容した状態を示す。動物捕獲器自体を格納したり搬送したりするときは、図示のように、踏み板51を位置決めホルダ57ごと回動させて捕獲室41の上に載置することが行われる。
【0064】
本実施形態の動物捕獲器によれば、動物が入口42から侵入する際には、まず、踏み板51の上を奥に向かって移動することにより、踏み板51が奥側が下がるよう揺動する。すると、踏み板51の揺動に連動して開閉板52が跳ね上がるよう揺動し、これにより開放された入口42から動物が捕獲室41内に侵入する。動物が捕獲室41内に侵入して踏み板51の上から外れると、踏み板51は元の傾斜に戻るよう揺動し、この揺動に連動して開閉板52も初期状態に戻るよう揺動する。このとき、上記捕獲室41の入口42が上り傾斜した踏み板51の先端部分より上側に設けられていることから、捕獲室41内の動物は開閉板52が戻るのに気づくのが遅れ、開閉板52が元に戻って入口42が閉鎖されてしまうと、動物は逃げられなくなって確実に捕獲できる。
【0065】
また、上記跳ね上がった開閉板52が初期状態に戻ったときに開閉板52をロックする第3ロック機構61を備えているため、
例えば捕獲室41の中に餌を置いて餌付けをしながら複数の動物を一網打尽に捕らえようとする場合、捕獲室41の中に動物がいる状態でつぎの動物が侵入しようとすると開閉板52が揺動して入口42が開いてしまい、捕獲室41内の動物に逃げられてしまうが、開閉板52が第3ロック機構61でロックされると、上述したようなことが起こらず、侵入した動物は入口42から出られなくなる。
【0066】
また、上記開閉板52を跳ね上げた状態でロック可能な第4ロック機構をさらに備えているため、
第4ロック機構によって開閉板52を跳ね上げた状態でロックしておくことにより、入口42から捕獲室41まで動物が自由に行き来できる状態となる。この状態でいわば餌付けをして慣れされ、安心させた段階で、第4ロック機構による上記ロックを解除し、上述した捕獲を開始することができる。このため、警戒心の強い動物を安心させて効果的に捕獲することができる。
【0067】
図12、図13は、本発明の第4実施形態を示す。
【0068】
この実施形態は、踏み板の構造以外は上記第3実施形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付して説明を省略している。
【0069】
この例では、枠体43の下辺部にフック71を介してベース板72が取り付けられ、ベース板72の両側に屈曲形成された軸受板73に架設された軸73aに踏み板74が軸支されている。踏み板74の回動先端部は、牽引ワイヤ54の中央バーに載置されている。これにより、踏み板74上に動物が載って荷重がかかると、牽引ワイヤ54を牽引して開閉板52を回動させるようになっている。
【0070】
上記踏み板74には、誘導板75の先端部が載置されている。
【0071】
上記誘導板75は、ベース板72の後端部に立設されたフック76で位置決めされている。上記誘導板75は、先端側が踏み板74上に載置され、反対の後端側が設置面に接地されている。これにより、誘導板75に動物が載ることによる重みが踏み板74に伝わって開閉板52が回動するようになっている。
【0072】
この構造では、踏み板74と誘導板75を合わせて第3実施形態の踏み板51程度の大きさにすることにより、踏み板74自体を大幅に小さくすることができる。そして、踏み板74、誘導板75、ベース板72を捕獲室41から取り外してコンパクトに収容や搬送を行なうことができる。
【0073】
なお、上記各実施形態において、捕らえる動物は、ネズミのような小動物だけでなく、アライグマ等の捕獲にも有効である。これらの動物は、集団で動くために餌付けにより複数を一網打尽に連続捕獲することができる。
【0074】
また、捕獲室41や捕獲箱20としては直方体の箱状のものに限らず、容器形状としては各種のものを採用することができる。また、第1ロック機構21や第2ロック機構22として、例示した構造のものに限定するものではなく、第2シーソー板12の揺動を規制してロックしうるものであれば、各種の形態を採用することができる。
【0075】
また、第3および第4の実施形態においても、第3ロック機構61や第4ロック機構として、例示した構造のものに限定するものではなく、開閉板52の揺動を規制してロックしうるものであれば、各種の形態を採用することができる。
【符号の説明】
【0076】
1:捕獲室
2:入口
3:侵入口
5:捕獲構造部
6:開閉蓋
9:ヒンジ部
10:連通開口
11:第1シーソー板
11a:第1軸
12:第2シーソー板
12a:第2軸
13:貫通穴
14:錘棒
15:連結棒
16:軸
17:ロック片
18:軸支板
19:出口
20:捕獲箱
21:第1ロック機構
22:第2ロック機構
23:通路
24:返し部
25:逆行阻止構造部
26:フック
27:ワイヤ
31:第1シーソー板
32:第2シーソー板
33:阻止板
34:ドーナツ板
35:ワイヤ
41 捕獲室
42 入口
43 枠体
45 捕獲構造
51 踏み板
52 開閉板
52a 水平軸
53 作動板
54 牽引ワイヤ
55 足場板
56 中天井板
57 位置決めホルダ
58 凸片
61 第3ロック機構
63 軸
64 ロック片
65 ロック錘
65a 穴
66 ロック片
71 フック
72 ベース板
73 軸受板
73a 軸
74 踏み板
75 誘導板
76 フック
【特許請求の範囲】
【請求項1】
捕獲室に形成された入口を閉鎖することにより上記入口から侵入した動物を捕獲する動物捕獲器であって、
捕獲室の入口に至る部分において、初期状態で奥に向かって上り傾斜するとともに、入口に侵入しようとする動物が奥に向かって移動することにより奥側が下がるよう揺動する第1シーソー板と、
上記第1シーソー板の上部において、初期状態で奥に向かって下り傾斜して上記入口を閉鎖するとともに、上記第1シーソー板の揺動に連動して跳ね上がることにより上記入口を開放する第2シーソー板とを備え、
上記捕獲室の入口は、上り傾斜した第1シーソー板の先端部分より上側に設けられていることを特徴とする動物捕獲器。
【請求項2】
上記跳ね上がった第2シーソー板が初期状態に戻り、捕獲室に捕らえた動物が入口を閉鎖した第2シーソー板に乗ったときに第2シーソー板をロックする第1ロック手段を備えている請求項1記載の動物捕獲器。
【請求項3】
上記第2シーソー板を跳ね上げた状態でロック可能な第2ロック手段をさらに備えている請求項1または2記載の動物捕獲器。
【請求項4】
捕獲室に形成された入口を閉鎖することにより上記入口から侵入した動物を捕獲する動物捕獲器であって、
捕獲室の入口に至る部分において、初期状態で奥に向かって上り傾斜するとともに、入口に侵入しようとする動物が奥に向かって移動することにより奥側が下がるよう揺動する踏み板と、
上記踏み板の上部において、初期状態で奥に向かって下り傾斜して上記入口を閉鎖するとともに、上記踏み板の揺動に連動して跳ね上がることにより上記入口を開放する開閉板とを備え、
上記捕獲室の入口は、上り傾斜した踏み板の先端部分より上側に設けられていることを特徴とする動物捕獲器。
【請求項5】
上記跳ね上がった開閉板が初期状態に戻ったときに開閉板をロックする第3ロック手段を備えている請求項4記載の動物捕獲器。
【請求項6】
上記開閉板を跳ね上げた状態でロック可能な第4ロック手段をさらに備えている請求項4または5記載の動物捕獲器。
【請求項1】
捕獲室に形成された入口を閉鎖することにより上記入口から侵入した動物を捕獲する動物捕獲器であって、
捕獲室の入口に至る部分において、初期状態で奥に向かって上り傾斜するとともに、入口に侵入しようとする動物が奥に向かって移動することにより奥側が下がるよう揺動する第1シーソー板と、
上記第1シーソー板の上部において、初期状態で奥に向かって下り傾斜して上記入口を閉鎖するとともに、上記第1シーソー板の揺動に連動して跳ね上がることにより上記入口を開放する第2シーソー板とを備え、
上記捕獲室の入口は、上り傾斜した第1シーソー板の先端部分より上側に設けられていることを特徴とする動物捕獲器。
【請求項2】
上記跳ね上がった第2シーソー板が初期状態に戻り、捕獲室に捕らえた動物が入口を閉鎖した第2シーソー板に乗ったときに第2シーソー板をロックする第1ロック手段を備えている請求項1記載の動物捕獲器。
【請求項3】
上記第2シーソー板を跳ね上げた状態でロック可能な第2ロック手段をさらに備えている請求項1または2記載の動物捕獲器。
【請求項4】
捕獲室に形成された入口を閉鎖することにより上記入口から侵入した動物を捕獲する動物捕獲器であって、
捕獲室の入口に至る部分において、初期状態で奥に向かって上り傾斜するとともに、入口に侵入しようとする動物が奥に向かって移動することにより奥側が下がるよう揺動する踏み板と、
上記踏み板の上部において、初期状態で奥に向かって下り傾斜して上記入口を閉鎖するとともに、上記踏み板の揺動に連動して跳ね上がることにより上記入口を開放する開閉板とを備え、
上記捕獲室の入口は、上り傾斜した踏み板の先端部分より上側に設けられていることを特徴とする動物捕獲器。
【請求項5】
上記跳ね上がった開閉板が初期状態に戻ったときに開閉板をロックする第3ロック手段を備えている請求項4記載の動物捕獲器。
【請求項6】
上記開閉板を跳ね上げた状態でロック可能な第4ロック手段をさらに備えている請求項4または5記載の動物捕獲器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−213377(P2012−213377A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233531(P2011−233531)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(301014786)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(301014786)
【Fターム(参考)】
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