説明

動物用シャンプー組成物

【課題】動物の外部寄生虫の防除効力が優れた動物用シャンプー組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】(A)殺虫性化合物および害虫忌避化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種、(B)陰イオン性界面活性剤、並びに(C)陽イオン性ポリサッカライドを含有してなる動物用シャンプー組成物;好ましくは(A)成分がピレスロイド系殺虫性化合物であり、(B)成分がポリオキシエチレン構造を有する陰イオン性界面活性剤であり、(C)成分がカチオン化セルロースである動物用シャンプー組成物を、動物に処理することにより該動物に寄生する外部寄生虫(例えばノミ類)を防除することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺虫性化合物及び害虫忌避化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有してなる動物用シャンプー組成物、および、該シャンプー組成物を使用する動物の外部寄生虫の防除方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、犬や猫等の愛玩動物は家族の一員として飼育されるようになっており、飼い主は愛玩動物の健康状態に大きな注意を払うようになってきている。そのため、当該愛玩動物に寄生し、当該愛玩動物におけるかゆみやアレルギー性皮膚炎等の原因とされる外部寄生虫(例えばノミ類等)の駆除も盛んに行われている。
動物等に寄生する外部寄生虫を防除する方法としては、例えば、殺虫性化合物または害虫忌避化合物を含有するシャンプー組成物にて当該動物を洗浄する方法がある。このようなシャンプー組成物を使用する場合は、当該シャンプー組成物は、動物に対する毒性や刺激性が低く、動物の皮膚や被毛に対して優しい動物用シャンプー組成物が求められている。
しかしながら、このような動物用シャンプー組成物において、含有させる有効成分の量を減少させると、外部寄生虫に対する防除効力が不十分となる場合があり、有効成分の安定した防除効力が得られる動物用シャンプー組成物が求められている。
【0003】
【特許文献1】特開平6-298628号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、殺虫性化合物および害虫忌避化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する動物用シャンプー組成物において、当該有効成分による外部寄生虫の防除効力が高められた動物用シャンプー組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意検討を行った結果、本発明に至った。
即ち、本発明は、以下の発明を含む。
[発明1]
(A)殺虫性化合物および害虫忌避化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種、
(B)陰イオン性界面活性剤、並びに
(C)陽イオン性ポリサッカライド
を含有してなる動物用シャンプー組成物。
[発明2]
前記(A)成分が、ピレスロイド系殺虫性化合物である発明1記載の動物用シャンプー組成物。
[発明3]
前記(B)成分が、ポリオキシエチレン構造を有する陰イオン性界面活性剤である発明1または2記載の動物用シャンプー組成物。
[発明4]
前記(C)成分が、カチオン化セルロースである発明1〜3のいずれか記載の動物用シャンプー組成物。
[発明5]
発明1〜4記載のいずれかの動物用シャンプー組成物を動物に処理することにより、該動物に寄生する外部寄生虫を防除する方法。
[発明6]
外部寄生虫がノミ類である請求項5記載の方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明の動物用シャンプー組成物は、動物の外部寄生虫に対して優れた防除効力を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の動物用シャンプー組成物は、(A)殺虫性化合物および害虫忌避化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の有効成分、(B)陰イオン性界面活性剤、並びに(C)陽イオン性ポリサッカライドを含有してなる。
【0008】
本発明の動物用シャンプー組成物に用いられる(A)成分としては、例えばアレスリン、エトフェンプロックス、シクロプロトリン、シハロトリン、シフルトリン、シペルメトリン、ピレトリン、トラロメトリン、フェンバレレート、エスフェンバレレート、フェンプロパトリン、フルシトリネート、ペルメトリン、ビフェントリン、シラフルオフェン、レスメトリン、テフルトリン、アクリナトリン、プラレトリン、シスメトリン、フェノトリン、デルタメトリン、テトラメトリン、フルバリネートおよびトランスフルトリン等のピレスロイド系殺虫性化合物;
フェニトロチオン、フェンチオン、ダイアジノン、ジクロルボス、フェニトロチオン、フェンチオン、ダイアジノン、ジクロルボス、トリキロルホン、プロチオホスおよびピダフォンチオン等の有機リン系殺虫性化合物;
カルバリル、フェノブカルブ、プロポクサー等のカーバメート系殺虫性化合物;
ディート、ジメチルフタレート、ジチルフタレートおよび2−エチル−1,3−ヘキサジオール等の害虫忌避化合物を例示することができる。尚、(A)成分は単独で用いてもよく、また、適宜組合わせて用いてもよい。
【0009】
本発明の動物用シャンプー組成物における(A)成分の含有量は、本発明の効果が発揮されれば特に限定されないが、安全性等の観点から、組成物全量に対して1重量%以下が好ましく、また駆除効力の観点から、組成物全量に対して0.01重量%以上が好ましい。
【0010】
本発明の動物用シャンプー組成物に用いられる(B)成分としては、例えば硫酸エステル塩、スルホン酸エステル塩およびカルボン酸エステル塩が挙げられ、より具体的には高級脂肪酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルキルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、スルホコハク酸アルキル塩およびスルホコハク酸ポリオキシエチレンアルキル塩等を例示することができる。
本発明においては、洗浄・起泡力の観点および頭皮への刺激抑制の観点から、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム、スルホコハク酸ラウリルニナトリウム、スルホコハク酸ポリオキシエチレンラウリルニナトリウムが好ましく用いられる。尚、(B)成分は単独で用いてもよく、また、適宜組合わせて用いてもよい。
【0011】
本発明の動物用シャンプー組成物における(B)成分の含有量は、本発明の効果が発揮されれば特に限定されないが、洗浄・起泡力および泡持続力の観点から、組成物全量に対して3重量%以上が好ましく、また被毛や皮膚のべたつき感および皮膚刺激を抑制する観点から、組成物全量に対して20重量%以下が好ましい。
【0012】
本発明の動物用シャンプー組成物に用いられる(C)成分は、ポリサッカライド(多糖類)におけるヒドロキシル基末端に、例えば4級アンモニウム塩化合物等を反応させることにより、1箇所以上の陽イオン性の部位を持たせた陽イオン性ポリサッカライドである。
陽イオン性ポリサッカライドにおける主鎖となるポリサッカライドとしては、例えばカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体;キサンタンガム、ゲランガム、グァーガム、アラビアガムおよびカラヤガム等が挙げられる。
これらのポリサッカライドのヒドロキシル基末端に陽イオン性の部位を導入する陽イオン性部位を有する反応性化合物としては、例えば塩化グリシジルトリメチルアンモニウム、塩化3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム、塩化グリシジルトリエチルアンモニウム等が挙げられる。
(C)成分としては、例えば塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース等のカチオン化セルロース;塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]グァーガム等のカチオン化グァーガム;塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]デンプン等のカチオン化デンプン;塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]デキストラン等の陽イオン性デキストラン等を例示することができる。本発明においては、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース等のカチオン化セルロースが好ましく用いられる。
【0013】
本発明の動物用シャンプー組成物における(C)成分の含有量は、本発明の効果を発揮されれば特に限定されないが、組成物全量に対して0.01重量%以上が好ましく、1重量%以下が好ましい。
【0014】
本発明の動物用シャンプー組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、(A)〜(C)成分以外に、例えば非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、陽イオン性ポリサッカライド以外の陽イオン性界面活性剤、シリコーン類、増粘剤、保湿剤、パール化剤、溶剤、キレート剤、酸化防止剤、防腐・殺菌剤、pH調整剤、抗酸化剤、着色剤、香料などを目的に応じて適宜含有させることができる。
【0015】
尚、本発明の動物用シャンプー組成物には、(A)〜(C)成分および必要に応じて適宜含有させられる上記の成分の残部に液体溶剤を含有する。液体溶剤としては、例えば精製水、イオン交換水等の水、エタノール等の低級アルコール類、軽質流動イソパラフィン等の炭化水素類、エーテル類などが挙げられる。これらの溶剤は単独で用いてもよく、また適宜組合せて用いてもよい。本発明においては、精製水が好ましく用いられる。
【0016】
本発明の動物用シャンプー組成物の剤型としては、適宜、液状、ジェル状、クリーム状等の目的に応じた剤型にすることができ、充填される容器としては、ボトル、ポンプ付き容器、チューブ、ポンプフォーマーなどが挙げられる。
【0017】
本発明の動物用シャンプー組成物を適用できる動物としては、例えばネコ、イヌ、ウサギ等の愛玩動物類、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ等の家畜類、アヒル、ニワトリ、ガチョウ等の家禽類が挙げらる。
本発明の動物用シャンプー組成物は、上記の動物に寄生する、例えばノミ類、ダニ類、シラミ類、ハエ類、アブ類、ヌカカ類、ハジラミ類等の外部寄生虫に対して、優れた防除効力を有する。
【0018】
本発明の動物用シャンプー組成物を使用して、上記の動物に寄生する外部寄生虫を防除するには、通常、処理する動物の体毛を水で湿らせた後、該動物用シャンプー組成物をそのまま又は水で適宜希釈して、ブラシ等を用い均一に処理して、使用する。処理後は、必要により適宜水で洗い流す。使用対象動物の種類や体毛の量にもよるが、通常本発明の動物用シャンプー組成物は、予め水で希釈して使用することが好ましい。
【実施例】
【0019】
実施例1〜8および比較例1〜2
表1、表2および表3に記載した個々の成分を、記載の比率で適宜混合して、動物用シャンプー組成物を調製した。
【0020】
【表1】

【0021】
【表2】

【0022】
【表3】

【0023】
試験例1
実施例1〜8および比較例1〜2の動物用シャンプー組成物を、各々水で100倍に希釈して試験溶液を調整した。それぞれの試験溶液中に、ネコノミ成虫15匹を漬けた。その後、該ネコノミ成虫を取り出し、清潔な濾紙を敷いたガラスシャーレに移し、ガラスシャーレを通気性を有するフィルムにて覆った。これらのガラスシャーレを26℃、相対湿度60%の条件下に、24時間保管し、その後、ガラスシャーレ中のネコノミの死虫数を観察した。結果を表4および表5に記す。
【0024】
【表4】

【0025】
【表5】

【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明のシャンプー組成物は、動物の外部寄生虫に対して優れた防除活性を有しており、有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)殺虫性化合物および害虫忌避化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種、
(B)陰イオン性界面活性剤、並びに
(C)陽イオン性ポリサッカライド
を含有してなる動物用シャンプー組成物。
【請求項2】
前記(A)成分が、ピレスロイド系殺虫性化合物である請求項1記載の動物用シャンプー組成物。
【請求項3】
前記(B)成分が、ポリオキシエチレン構造を有する陰イオン性界面活性剤である請求項1または2記載の動物用シャンプー組成物。
【請求項4】
前記(C)成分が、カチオン化セルロースである請求項1〜3のいずれか記載の動物用シャンプー組成物。
【請求項5】
請求項1〜4記載のいずれかの動物用シャンプー組成物を動物に処理することにより、該動物に寄生する外部寄生虫を防除する方法。
【請求項6】
外部寄生虫がノミ類である請求項5記載の方法。

【公開番号】特開2009−62281(P2009−62281A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−228650(P2007−228650)
【出願日】平成19年9月4日(2007.9.4)
【出願人】(000149181)株式会社大阪製薬 (14)
【出願人】(390000527)住化ライフテク株式会社 (54)
【Fターム(参考)】