説明

動物用トイレ砂

【課題】尿臭の脱臭効果が高い動物用トイレ砂を提供する。
【解決手段】ゼオライト、セピオライトまたはアタパルジャイトの粒子をポリビニルアルコールで固化して成る複数の粒材11から成っている。ポリビニルアルコールは、けん化度が98.0モル%乃至99.0モル%、重合度が1700乃至2400である。ポリビニルアルコールは、ゼオライト100重量部に対して3重量部乃至5重量部配合されている。また、各粒材は、ゼオライト、セピオライトまたはアタパルジャイトの粒子をセメントで固化して成り、撥水処理が施されていてもよい。各粒材11は、直径が1mm乃至15mmである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物用トイレ砂に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の動物用トイレ砂として、シリカゲルなど、3秒間あたりの液吸収量が最大液吸収量の20%から70%で、かつ、最大液吸収量が重量の0.3倍から4.0倍である複数の粒状物から構成されたものがある(例えば、特許文献1参照)。また、植物由来の素材の粉砕物を70〜97重量%、合成樹脂を3〜30重量%含み、所定形状に成形され、吸水率が3〜10%で、吸水しても崩壊しない程度の十分な保形性を有するものもある(例えば、特許文献2または3参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−290172号公報
【特許文献2】特許第3519353号公報
【特許文献3】特開2003−180182号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の動物用トイレ砂では、脱臭効果が不十分であり、動物が尿を排泄したとき、わずかに尿臭が漂うという課題があった。また、特許文献2および3記載の動物用トイレ砂でも、植物由来の素材による消臭効果が不十分であり、動物が尿を排泄したとき、わずかに尿臭が漂うという課題があった。
【0005】
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、尿臭の脱臭効果が高い天然鉱物による動物用トイレ砂を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、第1の本発明に係る動物用トイレ砂は、ゼオライト、セピオライトまたはアタパルジャイトの粒子をポリビニルアルコールで固化して成る複数の粒材から成ることを、特徴とする。ゼオライト、セピオライトまたはアタパルジャイトは、天然鉱物である。
【0007】
第1の本発明に係る動物用トイレ砂は、動物用の二重構造のトイレで好適に使用される。すなわち、トイレの下部に吸水性シートを敷き、その上方にすのこなどを介して複数の粒材を敷き詰める。動物がトイレで尿を排泄すると、その尿が各粒材間の隙間を通過して下方の吸水性シートに吸収される。天然鉱物であるゼオライト、セピオライトまたはアタパルジャイトの粒子は、尿などの臭い成分を吸着する効果を有するため、粒材により動物の尿臭を脱臭することができる。
【0008】
第1の本発明に係る動物用トイレ砂で、前記ポリビニルアルコールは、けん化度が98.0モル%乃至99.0モル%、重合度が1700乃至2400であり、前記ゼオライト100重量部に対して3重量部乃至5重量部配合されていることが好ましい。この場合、臭い成分の吸着効果の低下を抑えつつ、湿潤時でも崩壊しにい粒材を構成することができる。
【0009】
第1の本発明に係る動物用トイレ砂で、各粒材は撥水処理が施されていることが好ましい。この場合、各粒材が尿の水分を吸収しにくいため、各粒材の寿命を伸ばすことができる。このため、各粒材を交換する周期が長くなり、交換の手間やコストを削減することができる。また、粒材は尿で濡れた状態では臭い成分を吸着しにくいが、撥水処理により乾いた状態を保つことができるため、脱臭効果を持続させることができる。撥水処理は、各粒材の表面に撥水剤を塗布することにより行うことができる。撥水剤としては、パラフィンワックス等のワックス系樹脂のほか、シリコン系樹脂、フッ素系樹脂などを用いてもよいが、パラフィンワックスが好適である。
【0010】
第1の本発明に係る動物用トイレ砂で、各粒材は香料を含んでいてもよい。この場合、香料の香りにより、動物の尿臭を抑えることができる。なお、香料は、例えばヒノキやラベンダー等から形成される。
【0011】
第2の本発明に係る動物用トイレ砂は、ゼオライト、セピオライトまたはアタパルジャイトの粒子をセメントで固化して成り、撥水処理が施された複数の粒材から成ることを、特徴とする。粒材の大きさは、直径が1mm乃至15mmの範囲が好ましく、4mm乃至8mmの範囲が特に好ましい。
【0012】
第2の本発明に係る動物用トイレ砂は、動物用の二重構造のトイレで好適に使用される。すなわち、トイレの下部に吸水性シートを敷き、その上方にすのこなどを介して複数の粒材を敷き詰める。動物がトイレで尿を排泄すると、その尿が各粒材間の隙間を通過して下方の吸水性シートに吸収される。ゼオライト、セピオライトまたはアタパルジャイトの粒子は、尿などの臭い成分を吸着する効果を有するため、粒材により動物の尿臭を脱臭することができる。
【0013】
各粒材に撥水処理が施されているため、尿により各粒材に含まれるセメントのアルカリ分が溶出するのを抑えることができる。このため、溶出したアルカリ分で動物の足などを傷めるのを防ぐことができる。また、撥水処理により、各粒材が尿の水分を吸収しにくいため、各粒材の寿命を伸ばすことができる。このため、各粒材を交換する周期が長くなり、交換の手間やコストを削減することができる。また、粒材は尿で濡れた状態では臭い成分を吸着しにくいが、撥水処理により乾いた状態を保つことができるため、脱臭効果を持続させることができる。
【0014】
第1および第2の本発明に係る動物用トイレ砂で、各粒材は直径が1mm乃至15mmであることが好ましく、4mm乃至8mmの範囲が特に好ましい。この場合、より粒径が小さい猫用トイレ砂などと比べて各粒材間の隙間が大きくなるため、尿が各粒材間の隙間を通過しやすく、粒材を乾いた状態に保って脱臭効果を持続させることができる。粒径が小さいと、動物用のトイレのすのこから落下したり、尿の流れが悪くなって粒材に負担がかかったりする。また、粒径が大きすぎると、尿の流れが良く、粒材にかかる負担が少なくなるが、尿を吸った吸水性シートからの臭いが各粒材間の隙間から拡散されるため、尿臭の脱臭効果が得られなくなる。
本発明に係る動物用トイレ砂は、円柱状、球状、その他いかなる形状であってもよい。本発明に係る動物用トイレ砂は、ネコ用トイレ砂として好適に用いられるが、ハムスター、イヌなどのトイレ砂として用いられてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、尿臭の脱臭効果が高い動物用トイレ砂を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面に基づき、本発明の実施例について説明する。
図1および図2は、本発明の第1の実施の形態の動物用トイレ砂を示している。
本発明の第1の実施の形態の動物用トイレ砂は、ゼオライトの粒子をポリビニルアルコールで固化して成る複数の粒材11から成っている。
ポリビニルアルコールは、けん化度が98.0モル%乃至99.0モル%、重合度が1700乃至2400である。ポリビニルアルコールは、ゼオライト100重量部に対して3重量部乃至5重量部配合されている。
各粒材11は、円柱形または球形を成し、直径が4mm乃至8mmである。
【0017】
動物用トイレ砂は、図1に示す二重構造の動物用トイレ1で好適に使用される。
図1に示すように、二重構造の動物用トイレ1は、シート収納容器2とすのこ3とを有している。シート収納容器2は、上部が開放された箱形の容器から成る。すのこ3は、シート収納容器2の底部2aとの間に間隙を開けて、シート収納容器2の内部に取付可能になっている。すのこ3は、目の大きさが2mm×2mmである。
【0018】
図2に示すように、動物用トイレ砂は、すのこ3の上に複数の粒材11を敷き詰めて使用される。すのこ3の下のシート収容容器2の底部2aには、動物の尿などを吸収するための吸水性シート4を敷いておく。動物が動物用トイレ1で尿を排泄すると、その尿が各粒材11間の隙間を通過して下方の吸水性シート4に吸収される。ゼオライトの粒子は、尿などの臭い成分を吸着する効果を有するため、粒材11により動物の尿臭を脱臭することができる。
【0019】
動物用トイレ砂は、各粒材11の直径が4mm乃至8mmであり、より粒径が小さい猫用トイレ砂などと比べて各粒材11間の隙間が大きくなるため、尿が各粒材11間の隙間を通過しやすく、粒材11を乾いた状態に保って脱臭効果を持続させることができる。また、各粒材11は、すのこ3の目の大きさより大きいため、落下しない。
【0020】
動物用トイレ砂で、各粒材11は撥水処理が施されていていもよい。この場合、各粒材11が尿の水分を吸収しにくいため、各粒材11の寿命を伸ばすことができる。このため、各粒材11を交換する周期が長くなり、交換の手間やコストを削減することができる。また、粒材11は尿で濡れた状態では臭い成分を吸着しにくいが、撥水処理により乾いた状態を保つことができるため、脱臭効果を持続させることができる。
また、動物用トイレ砂で、各粒材11は香料を含んでいてもよい。この場合、香料の香りにより、動物の尿臭をマスキングで抑えることができる。
【0021】
本発明の第2の実施の形態の動物用トイレ砂は、ゼオライトの粒子をセメントで固化して成る複数の粒材から成っている。
各粒材は、円柱形または球形を成し、直径が4mm乃至8mmである。各粒材は、撥水処理が施されている。
【0022】
動物用トイレ砂は、図1に示す二重構造の動物用トイレ1で好適に使用される。
動物用トイレ砂は、すのこ3の上に複数の粒材を敷き詰めて使用される。すのこ3の下のシート収容容器2の底部2aには、動物の尿などを吸収するための吸水性シート4を敷いておく。動物が動物用トイレ1で尿を排泄すると、その尿が各粒材間の隙間を通過して下方の吸水性シート4に吸収される。ゼオライトの粒子は、尿などの臭い成分を吸着する効果を有するため、粒材により動物の尿臭を脱臭することができる。
【0023】
動物用トイレ砂は、各粒材の直径が4mm乃至8mmであり、より粒径が小さい猫用トイレ砂などと比べて各粒材間の隙間が大きくなるため、尿が各粒材間の隙間を通過しやすく、粒材を乾いた状態に保って脱臭効果を持続させることができる。また、各粒材11は、すのこ3の目の大きさより大きいため、落下しない。
【0024】
各粒材に撥水処理が施されているため、尿により各粒材に含まれるセメントのアルカリ分が溶出するのを抑えることができる。このため、溶出したアルカリ分で動物の足などを傷めるのを防ぐことができる。また、撥水処理により、各粒材が尿の水分を吸収しにくいため、各粒材の寿命を伸ばすことができる。このため、各粒材を交換する周期が長くなり、交換の手間やコストを削減することができる。また、粒材は尿で濡れた状態では臭い成分を吸着しにくいが、撥水処理により乾いた状態を保つことができるため、脱臭効果を持続させることができる。
【実施例1】
【0025】
動物用トイレ砂を、以下の方法で製造した。
ゼオライト粉体100重量部に対して、ポリビニルアルコールを1,3,5または8重量部、お湯を40重量部とする。お湯にポリビニルアルコールを加えて溶解し、その溶液をゼオライトに加えてミキサーで十分に混合する。それを、押出機(不二パウダル株式会社製、商品名「ディスク・ペレッター」)で、直径5mmの円柱状に押し出し、長さ7〜8mmで切断して、複数の粒材を製造した。
【0026】
ポリビニルアルコールは、2種類の市販製品(株式会社クラレ製、商品名「クラレポバールPVA117」、以下「PVA117」という、および株式会社クラレ製、商品名「クラレポバールPVA505」、以下「PVA505」という)を使用した。PVA117は、けん化度が98.0モル%乃至99.0モル%、重合度が約1700である。PVA505は、けん化度が72.5モル%乃至74.5モル%、重合度が約500である。
【0027】
ポリビニルアルコールの添加量を変えて全部で7種類の粒材を製造した。すなわち、PVA117の添加量が1,3,5,8重量部の4種類と、PVA505の添加量が3,5,8の3種類である。この7種類の粒材について以下の実験を行った。
【0028】
[アンモニア吸着テスト]
粒材200ミリリットルを3リットルのテストパックに入れ、0.25%のアンモニア溶液10ミリリットルをその粒材に振りかけて、テストパックを密封した。密封から10分後、30分後のテストパック内のアンモニア残留濃度を測定し、その結果を表1に示す。なお、密封前の初期濃度は270ppmである。また、アンモニア残留濃度は、0ppm〜3ppmのとき臭気はしないまたはかすかに感じられる程度、3ppm〜8ppmのとき臭気が感じられる程度、8ppm〜15ppmのとき臭気がきつくなる程度、15ppm〜30ppmのとき刺激臭がする程度である。
【0029】
【表1】

【0030】
表1に示すように、0.25%のアンモニア溶液では、PVA117およびPVA505ともに、添加量によらずアンモニアの残留濃度に有意な差が認められない。
次に、同様にして、2倍の濃度0.5%のアンモニア溶液を振りかけたときの結果を表2に示す。なお、密封前の初期濃度は500ppmである。
【0031】
【表2】

【0032】
表2に示すように、PVA117の添加量が1,3,5重量部のとき、アンモニア残留濃度が低く、臭い成分の吸着効果が高いことが確認された。
【0033】
[強度テスト]
各粒材の乾燥時および吸水時の強度を、各粒材を指で潰して調べ、その結果を表3に示す。
【0034】
【表3】

【0035】
表3に示すように、ポリビニルアルコールの添加量が多いとき、具体的にはPVA117の添加量が3,5,8重量部、およびPVA505の添加量が3,5,8重量部のとき、乾燥時および吸水時の強度が高いことが確認された。
【0036】
[吸水テスト]
各粒材の吸水率を調べ、その結果を表4に示す。
【0037】
【表4】

【0038】
表4に示すように、各粒材とも吸水率に大きな差はないことが確認された。
表1および表2のアンモニア吸着テスト、表3の強度テスト、表4の吸水テストのそれぞれの結果から、動物用トイレ砂は、PVA117のポリビニルアルコールが3重量部乃至5重量部配合されているものが最適であることが確認された。すなわち、この場合、臭い成分の吸着効果の低下を抑えつつ、湿潤時でも崩壊しにい粒材を構成することができる。
【実施例2】
【0039】
動物用トイレ砂を、以下の方法で2種類製造した。
(1) ゼオライト100重量部に対して、ポリビニルアルコールを5重量部、お湯を40重量部とする。お湯にポリビニルアルコールを加えて溶解し、その溶液をゼオライトに加えてミキサーで十分に混合する。それを、押出機(不二パウダル株式会社製、商品名「ディスク・ペレッター」)で、直径5mmの円柱状に押し出し、長さ5〜12mmで切断した。その後、60〜100℃で乾燥させ、含水率を7重量%以下にして、複数の粒材を製造した(以下、「ゼオライトペレットPVA」という)。ポリビニルアルコールは、実施例1で用いた市販製品「PVA117」(株式会社クラレ製、商品名「クラレポバールPVA117」)を使用した。
【0040】
(2) ゼオライト80重量部に対して、ポルトランドセメントを20重量部加えてミキサーで混合し、さらにお湯を全体の40重量部加えて混合する。それを、押出機(不二パウダル株式会社製、商品名「ディスク・ペレッター」)で、直径5mmの円柱状に押し出し、長さ5〜12mmで切断した。その後、養生期間をおいて十分に硬化したのを確認後、乾燥機で乾燥させて含水率を7重量%以下にし、複数の粒材を製造した(以下、「ゼオライトペレットセメント」)。
ゼオライトペレットPVAおよびゼオライトペレットセメントの2種類の粒材を使用して、以下の実験を行った。
【0041】
[脱臭効果比較テスト]
脱臭効果について、市販の2種類の他社製品との比較テストを行った。
粒材200ミリリットルを3リットルのテストパックに入れ、0.25%のアンモニア溶液10ミリリットルをその粒材に振りかけて、テストパックを密封した。密封から10分後、30分後のテストパック内のアンモニア残留濃度を測定し、その結果を表5に示す。
【0042】
【表5】

【0043】
表5に示すように、ゼオライトペレットPVAのアンモニア残留濃度が最も低く、臭い成分の吸着効果が高いことが確認された。また、ゼオライトペレットセメントも、30分後には他社製品と同程度の臭い成分の吸着効果を有することが確認された。
【0044】
[処理別のアンモニア吸着テスト]
ゼオライトペレットPVAおよびゼオライトペレットセメントのそれぞれに、10倍希釈したパラフィンワックス系撥水剤(日華化学株式会社製、商品名「TH−44」)を表面全体にスプレーして撥水処理を行った粒材と、ヒノキオイルを0.25%含浸させてヒノキオイル処理した粒材とを製造し、無処理の粒材と比較を行った。
【0045】
粒材200ミリリットルを3リットルのテストパックに入れ、0.25%のアンモニア溶液10ミリリットルをその粒材に振りかけて、テストパックを密封した。密封から10分後、30分後のテストパック内のアンモニア残留濃度を測定し、その結果を表6に示す。
【0046】
【表6】

【0047】
表6に示すように、ゼオライトペレットPVAは、撥水処理した場合とヒノキオイル処理した場合と無処理の場合とのアンモニアの残留濃度に、有意な差が認められない。ゼオライトペレットセメントは、無処理の場合より、撥水処理した場合およびヒノキオイル処理した場合の方がアンモニア残留濃度が低いことが確認された。特に、撥水処理した場合が最もアンモニア残留濃度が低く、臭い成分の吸着効果が高いことが確認された。
【実施例3】
【0048】
動物用トイレ砂を、以下の方法で製造した。
ゼオライト80重量部に対して、ポルトランドセメントを20重量部加えてミキサーで混合し、さらにお湯を全体の40重量部加えて混合する。それを、押出機(不二パウダル株式会社製、商品名「ディスク・ペレッター」)で、直径5mmの円柱状に押し出し、長さ7〜8mmで切断した。その後、養生期間をおいて十分に硬化したのを確認後、乾燥機で60℃で乾燥させた。乾燥後、所定の倍率で希釈したパラフィンワックス系撥水剤(日華化学株式会社製、商品名「TH−44」)を表面全体にスプレーして撥水処理を行い、乾燥させて複数の粒材を製造した。
【0049】
[pH測定]
10倍希釈の撥水剤をスプレーした粒材と、50倍希釈の撥水剤をスプレーした粒材と、撥水処理を行っていない粒材とを製造し、各粒材を水に浸した後のpHの値の変化を測定し、その結果を表7に示す。
【0050】
【表7】

【0051】
表7に示すように、撥水処理を行った粒材は、撥水処理を行っていない粒材に比べ、30分間程度はpHの値の上昇が小さいことが確認された。これは、撥水剤により、各粒材に含まれるポルトランドセメントのアルカリ分が溶出するのを抑えることができるためであると考えられる。このため、撥水処理により、溶出したアルカリ分で動物の足などを傷めるのを防ぐことができることが確認された。
【0052】
[撥水剤の濃度の違いによるアンモニア吸着テスト]
5倍希釈、10倍希釈、20倍希釈、30倍希釈、40倍希釈および50倍希釈の撥水剤をスプレーした粒材と、撥水処理を行っていない粒材とを製造した。各粒材200ミリリットルを3リットルのテストパックに入れ、0.25%のアンモニア溶液10ミリリットルをその粒材に振りかけて、テストパックを密封した。密封から10分後、30分後のテストパック内のアンモニア残留濃度を測定し、その結果を表8に示す。
【0053】
【表8】

【0054】
表8に示すように、撥水処理を行った粒材は、撥水処理を行っていない粒材に比べ、アンモニア残留濃度が低いことが確認された。特に、30倍から40倍希釈の撥水剤をスプレーした粒材が最もアンモニア残留濃度が低く、臭い成分の吸着効果が高いことが確認された。
【0055】
[乾燥温度の違いによるアンモニア吸着テスト]
乾燥機で60℃で乾燥させた後、50倍希釈の撥水剤をスプレーした粒材と、室内乾燥させた後、50倍希釈の撥水剤をスプレーした粒材と、撥水処理を行っていない粒材とを製造した。各粒材200ミリリットルを3リットルのテストパックに入れ、0.25%のアンモニア溶液10ミリリットルをその粒材に振りかけて、テストパックを密封した。密封から10分後、30分後のテストパック内のアンモニア残留濃度を測定し、その結果を表9に示す。
【0056】
【表9】

【0057】
表9に示すように、撥水処理を行った粒材は、撥水処理を行っていない粒材に比べ、アンモニア残留濃度が低いことが確認された。特に、乾燥機で60℃で乾燥させた後撥水処理を行った粒材が最もアンモニア残留濃度が低く、臭い成分の吸着効果が高いことが確認された。
【実施例4】
【0058】
動物用トイレ砂を、以下の方法で製造した。
ゼオライト80重量部に対して、ポルトランドセメントを20重量部加えてミキサーで混合し、さらにお湯を全体の40重量部加えて混合する。それを、押出機(不二パウダル株式会社製、商品名「ディスク・ペレッター」)で、直径5mmの円柱状に押し出し、長さ5〜12mmで切断した。その後、養生期間をおいて十分に硬化したのを確認後、乾燥機で乾燥させて含水率を7重量%以下にし、複数の粒材を製造した。
【0059】
製造した粒材を、図1に示す二重構造の動物用トイレ1の、すのこ3の上に敷き詰め、一ヶ月間、猫のトイレ砂として使用した。猫が排泄した固形物は、すのこ3の上に残るため、手で取り除いた。猫が排泄した尿は、すのこ3の下の吸水性シート4に吸収される。このため、吸水性シート4を4〜5日毎に交換した。一日の猫の尿排泄量は、180〜200グラム程度であった。
【0060】
一ヶ月後に、すのこ3上の粒材のアンモニア残留濃度を測定すると、2ppmで、わずかに臭気がする程度であり、臭い成分の吸着効果が高いことが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】動物用トイレを示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態の動物用トイレ砂の、図1に示す動物用トイレでの使用状態を示す横断面図である。
【符号の説明】
【0062】
1 動物用トイレ
2 シート収納容器
2a 底部
3 すのこ
4 吸水性シート
11 粒材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゼオライト、セピオライトまたはアタパルジャイトの粒子をポリビニルアルコールで固化して成る複数の粒材から成ることを、特徴とする動物用トイレ砂。
【請求項2】
前記ポリビニルアルコールは、けん化度が98.0モル%乃至99.0モル%、重合度が1700乃至2400であり、前記ゼオライト100重量部に対して3重量部乃至5重量部配合されていることを、特徴とする請求項1記載の動物用トイレ砂。
【請求項3】
各粒材は撥水処理が施されていることを、特徴とする請求項1または2記載の動物用トイレ砂。
【請求項4】
各粒材は香料を含んでいることを、特徴とする請求項1,2または3記載の動物用トイレ砂。
【請求項5】
ゼオライト、セピオライトまたはアタパルジャイトの粒子をセメントで固化して成り、撥水処理が施された複数の粒材から成ることを、特徴とする動物用トイレ砂。
【請求項6】
各粒材は直径が1mm乃至15mmであることを、特徴とする請求項1,2,3,4または5記載の動物用トイレ砂。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−246797(P2006−246797A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−68233(P2005−68233)
【出願日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(391002203)新東北化学工業株式会社 (6)
【Fターム(参考)】