説明

動物用体脂肪測定具及び測定方法

【課題】従来の測定具よりも動物の体脂肪率を一層正確に測定することができる動物用体脂肪測定具を提供すること。
【解決手段】2枚の内側電極体121a,121bからなる内側電極対21と、2枚の外側電極体122a,122bからなる外側電極対22とを含む。各電極体は一つの平面上に並設される。隣り合う電極体間に間隙が設けられている。外側電極対22における一方の外側電極体122aと、内側電極対21における2つの内側電極体のうち、該一方の外側電極体122aに近い側に位置する内側電極体121aとが同電位V1となり、かつ外側電極対22における他方の外側電極体122bと、内側電極対21における2つの内側電極体のうち、該他方の外側電極体122bに近い側に位置する内側電極体121bとが同電位V2となるように(V1≠V2)、各電極体に電圧が印加される。外側電極体間の静電容量を計測することで動物の体脂肪を測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、犬や猫を始めとする各種の動物の体脂肪を測定する測定具及び測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生体の体脂肪の測定方法として、静電容量を利用した方法が知られている。例えば特許文献1には、複数の絶縁電極21と、絶縁電極21の1つの絶縁電極21と他の絶縁電極21間に電圧を印加して、各電極間の静電容量を計測する静電容量計測手段23と、計測された静電容量に基づいて体脂肪量を算出する演算部32と、算出された結果を表示する表示部4とを備えた体脂肪測定装置1が記載されている。絶縁電極21は、被測定部Mである人体の皮膚面から絶縁された状態で配置・使用される。静電容量計測手段23は、絶縁電極間21の体組成分で定まる静電容量を回路に含む発振回路2の発振周波数を基にして静電容量を計測する。
【0003】
前記の体脂肪測定装置とは別に、本出願人は、静電容量を計測することで動物の体脂肪を測定する動物用体脂肪測定具を提案している(特許文献2参照)。この動物用体脂肪測定具は、一つの平面上に並設され、動物の体の一部に押し付けて用いられる一対の絶縁電極体と、該電極体と電気的に接続し、かつ該電極体間に電圧を印加することで該電極体間の静電容量の算定が可能な算定部と、該算定部で算定された静電容量から体脂肪を演算する演算部と、該演算部で演算された結果を表示する表示部とを具備している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−152061号公報
【特許文献2】特開2010−99182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のように静電容量の計測を行う場合、互いの電極の位置関係が変わらないことが重要である。これは、呼吸等にともなう互いの電極間のわずかな距離や角度の変化が静電容量の測定に影響を与えるからである。ヒトの場合には測定中のみ呼吸を止めることができるが、非ヒト動物ではほぼ不可能である。特に非ヒト動物の場合、密集した不安定な被毛の上から電極を押し当てることになるため、電極の位置関係は容易に変化しやすい。このため静電容量の計測を動物に応用する場合、互いの電極の位置関係が固定されていることが必須である。よって特許文献1の体脂肪計は、ヒトの皮膚のように、皮膚が体毛で覆われていない場合には体脂肪の測定が可能であるが、ほぼ全身が被毛で覆われた犬や猫などを測定対象とした場合には、体脂肪の測定が非常に困難である。
【0006】
特許文献2に記載の技術によれば、皮膚が被毛で覆われた動物であっても、静電容量に基づいて体脂肪率を測定することが可能である。しかし同文献に記載の技術で測定される静電容量は、測定対象動物の皮膚層のみ、又は皮膚層とその下に位置する脂肪層とを重畳したものであり、脂肪層だけの静電容量は測定されていない。測定対象動物の体脂肪を一層正確に測定するためには、脂肪層だけの静電容量を測定することが有利である。
【0007】
したがって本発明の課題は、前述した従来技術よりも測定の精度が更に向上した動物用体脂肪測定具及び測定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、静電容量を計測することで動物の体脂肪を測定する動物用体脂肪測定具であって、
一つの平面上に並設され、かつ動物の体の一部に押し付けて用いられる少なくとも4枚の絶縁電極体を具備し、
前記少なくとも4枚の絶縁電極体は、2枚の内側電極体からなる内側電極対と、該内側電極対よりも外側に位置する2枚の外側電極体からなる外側電極対とを含み、かつ隣り合う電極体間に間隙が設けられており、
外側電極対における一方の外側電極体と、内側電極対における2つの内側電極体のうち、該一方の外側電極体に近い側に位置する内側電極体とが同電位V1となり、かつ外側電極対における他方の外側電極体と、内側電極対における2つの内側電極体のうち、該他方の外側電極体に近い側に位置する内側電極体とが同電位V2となるように(ただしV1≠V2である。)、各電極体に電圧が印加されるように構成されており、
前記体脂肪測定具は更に、各外側電極体と電気的に接続し、かつ該外側電極体間の静電容量の算定が可能な算定部と、
算定部で算定された静電容量から体脂肪を演算する演算部と、
演算部で演算された結果を表示する表示部とを具備する動物用体脂肪測定具を提供するものである。
【0009】
また本発明は、前記の動物用体脂肪測定具を用い、動物の体の静電容量を計測して動物の体脂肪を測定する動物の体脂肪測定方法であって、
外側電極対における一方の外側電極体と、内側電極対における2つの内側電極体のうち、該一方の外側電極体に近い側に位置する内側電極体とが同電位V1となり、かつ外側電極対における他方の外側電極体と、内側電極対における2つの内側電極体のうち、該他方の外側電極体に近い側に位置する内側電極体とが同電位V2となるように(ただしV1≠V2である。)、各電極体に電圧を印加する際に、印加電圧を変化させて2つの外側電極体による電界が測定対象動物の脂肪層に及ぶ電圧を決定し、
決定された印加電圧を印加した状態下に、外側電極体間の静電容量を計測して動物の体脂肪を求める動物の体脂肪測定方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の動物用体脂肪測定具及び測定方法によれば、従来の測定具よりも動物の体脂肪率を一層正確に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の動物用体脂肪測定具の一実施形態を示すブロック構成図である。
【図2】図2は、図1に示す体脂肪測定具における電極群付近の構成を示す模式図である。
【図3】図3は、図2に示す電極群の電気的接続状態を示す模式図である。
【図4】図4(a)は、本発明の体脂肪測定具を用いて静電容量を測定するときに生じる電界の状態を示す模式図であり、図4(b)は、特許文献2に記載の体脂肪測定具を用いて静電容量を測定するときに生じる電界の状態を示す模式図である。
【図5】図5(a)ないし図5(c)は、本発明の動物用体脂肪測定具を犬に対して使用するときの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。本発明の動物用体脂肪測定具における「体脂肪」という語は、特別明記しない限り、「体脂肪率」と「体脂肪量(重量、体積)」の両方を含む概念である。
【0013】
本発明においては、静電容量を利用して動物の体脂肪を測定する。ここで言う動物とは、家庭で飼育されている犬や猫等の動物(非ヒト哺乳類)を包含するのみならず、家庭外(例えば動物園等)で飼育されている動物(非ヒト哺乳類)も包含する広い概念である。これらの動物は一般に皮膚が被毛で覆われている。また、本発明は対象からヒトを排除するものではないが、対象が非ヒト動物である場合に非常に有用なものである。
【0014】
静電容量を利用したセンサは、一般に水分量の測定に多く用いられている。例えば、木材中の含水率の測定に用いられている。また、ヒトを対象とする場合には、美容、化粧品分野での皮膚の水分量の測定に用いられている。更に、魚や食肉類を対象とする場合には、含水率と脂肪率との間に高い相関があることを利用して、脂肪率の測定にも用いられている。前記のセンサは、測定対象物の誘電率の違いによる静電容量の変化を検出するものである。測定には一対の電極が用いられ、電極間に電界を形成することで静電容量を測定している。これと異なり、本発明においては少なくとも二対の電極が用いられ、各電極対を構成する2枚の電極体によって電界を形成し、それらの電極対のうち、一つの電極対を構成する2枚の電極体間に形成された電界の静電容量を測定する。動物の身体を構成する物質である脂肪及び水の静電容量は、脂肪の方が水よりも約一桁小さい値である。したがって体脂肪が多いほど、測定される静電容量は小さくなる。
【0015】
図1には、本発明の動物用体脂肪測定具(以下、単に「体脂肪測定具」とも言う。)の一実施形態のブロック構成図が示されている。同図に示す体脂肪測定具1は、複数の絶縁電極体からなる電極群20と、静電容量の算定部30と、演算部40と、表示部50とを具備する。これら各部は、一つの筐体(図示せず)内に収容されており、一体化している。以下、各部の詳細について説明する。
【0016】
電極群20は少なくとも二対、すなわち少なくとも4枚の絶縁電極体121a,121b,122a,122bを含んでいる。各電極体は、第1の面とこれに並設された第2の面を有する平板状のものである。各絶縁電極体は、動物の体の一部に押し付けて用いられるものである。各電極体は、その大きさや形状が同じでもよく、あるいは異なっていてもよい。一般に各絶縁電極体は同形でかつ同寸であり、同材質である。各絶縁電極体は、各種金属を始めとする導電性材料で構成されている。
【0017】
図2には、本実施形態の体脂肪測定具10における電極群20付近の構成が模式的に示されている。電極群20を構成する各絶縁電極体121a,121b,122a,122bは一つの平面上に並設されている。詳細には、各電極体はいずれも矩形をしており、その長手方向を一致させ、所定の間隙をおいて離間した状態で、これらを支持する平板23の一面上に並設されている。各電極体の長手方向と、平板23の長手方向とは一致している。各電極体と平板23とは、電気的に絶縁状態にある。平板23は、適度な弾性を持つ可撓性の材料から構成されている。あるいは平板23をキャタピラ状の材料から構成して、平板23が測定対象動物の体表に一層沿いやすくなるようにしてもよい。
【0018】
本実施形態における電極群20は、二対の電極対21,22、すなわち4枚の絶縁電極体から構成されている。二対の電極対21,22は、2枚の内側電極体121a,121bからなる内側電極対21と、該内側電極対21よりも外側に位置する2枚の外側電極体122a,122bからなる外側電極対22とを含んでいる。
【0019】
図3には、電極群20の電気的接続状態が模式的に示されている。同図に示すように、電極群20においては、外側電極対22における一方の外側電極体122aは、可変電圧源31の一方の端子に接続されている。また、内側電極対21における2つの内側電極体121a,121bのうち、一方の該外側電極体122aに近い側に位置する内側電極体121aは、バッファアンプ33aを経由して外側電極体122aと接続されている。このため、外側電極122aの電位がV1になると、内側電極121aの電位は、直ちに外側電極122aと同電位に保たれる。これとともに、外側電極対22における他方の外側電極体122bは、可変電圧源32の他方の端子に接続されている。また、内側電極対21における2つの内側電極体121a,121bのうち、他方の該外側電極体122bに近い側に位置する内側電極体121bは、バッファアンプ33bを経由して外側電極122bと接続されている。このため、外側電極122bの電位がV2になると、内側電極121bの電位は、直ちに外側電極122bと同電位に保たれる。V1とV2とは異なる電位である。
【0020】
また、外側電極122aは、バッファアンプ33aを通して差動アンプ34の一方の端子に接続される。これとともに、外側電極122bは、バッファアンプ33bを通して差動アンプのもう一方の端子に接続される。差動アンプ34は、バッファアンプ33a及びバッファアンプ33bを経由した外側電極体122a及び外側電極体122bに生じる電位の差を増幅し、出力するアンプであり、その出力は静電容量を求めるための信号処理手段32に伝送される。
【0021】
各電極体は、プリント配線パターンや導線等によって算定部30と電気的に接続している。算定部30は、各電極体に電圧を印加することで該電極体間の静電容量の算定が可能な構造になっている。図1に示すように、算定部30は、体脂肪測定具10に備えられた中央制御部12と電気的に接続されており、中央制御部12からの指示によって動作するようになっている。算定部30に備えられている可変電圧源31(図3参照)は、各電極体に交流電圧を印加することが可能な電子回路から構成されている。この目的のために、算定部30は、体脂肪測定具10に備えられた電源部13とも電気的に接続されている。なお、電源部13は中央制御部12を駆動させるために、該中央制御部12とも電気的に接続されている。電源部13は電池であり得る。あるいは電源部13はACアダプタに接続され得る。
【0022】
本実施形態においては、2つの電極体間の測定部位をコンデンサに見立てて静電容量を測定する。この場合、コンデンサに見立てる測定部位として、外側電極対22に印加された電圧によって電界が生じている部位を選択した点が本発明の特徴の一つである。外側電極対22に印加された電圧によって電界が生じている部位を、静電容量の測定部位として選択した理由は次のとおりである。測定対象動物の体脂肪率は、皮膚層の下側に位置する脂肪層の厚みと関連し、脂肪層の厚みが全身の体脂肪率を反映していることが知られている。特に測定対象動物が犬の場合、腰背部の脂肪層の厚みが全身の体脂肪率と高く相関している(例えば、Wilkinson MJA et.al. Use of Ultrasound in the Measurement of Subcutaneous Fat and Prediction of Total Body Fat in Dogs. Journal of Nutrition. (1991) Vol. 121; s47-s50参照)。しかし、脂肪層は皮膚層の下側に位置しているので、静電容量によって体脂肪率を測定する場合には、電極の面積を非常に大きくするか、又は印加電圧を非常に高くしないと、電界が脂肪層にまで生じない。この状態を模式的に図4(b)に示す。図4(b)に示す状態は、先に背景技術の項で述べた特許文献2に記載の測定具を用いた測定に相当するものである。同文献に記載の測定具は、可変電圧源31によって一対の絶縁電極121a,121b間に電圧を印加することができ、かつ両電極121a,121b間に電圧が印加された状態において、両電極121a,121b間の静電容量を静電容量測定器35によって測定することができるようになっているものである。これに対して本発明においては、電極対を二対用い、内側電極体121aと外側電極体122aとを入れ子の状態で配置するとともに、内側電極体121aと外側電極体122aとを同電位V1に設定し、かつ内側電極体121bと外側電極体122bとを同電位V2に設定している(V1≠V2)。こうすることで、図4(a)に示すように、一対の内側電極体121a,121bによって生じる電界が皮膚層に及び、その結果、一対の外側電極体122a,122bによって生じる電界が脂肪層に及ぶようになる。そして、外側電極体122a,122b間の静電容量を測定すれば、その静電容量は主として脂肪層に由来するものであると見なすことができるので、体脂肪率を従来よりも一層精度良く求めることができる。
【0023】
以上の説明から明らかなように、外側電極対22によって脂肪層の静電容量を測定するためには、各電極体に印加する電圧の程度を適切に調整することが有利である。外側電極対22に印加した電圧によって脂肪層に電界が生じたか否かは、次の方法で判断する。すなわち、外側電極対22及び内側電極対21に対して上述の手法で電圧(交流電圧)を印加し、そのときの外側電極体122a,122b間の静電容量を測定する。この場合、電圧を徐々に高めていき、その電圧に対応する静電容量を測定する。印加電圧が低く、外側電極対22に印加した電圧による電界が脂肪層に生じていない状態、つまり電界が皮膚層にしか生じていない状態では、電圧を高めていっても静電容量に実質的な変化は観察されない。この状態は先に述べた図4(b)に示す状態と類似のものである。これに対して、印加電圧が高くなると、図4(a)に示すように、一対の内側電極体121a,121bに印加した電圧によって生じる電界が、一対の外側電極体122a,122bに印加した電圧によって生じる電界を押し広げ、外側電極体122a,122bに印加した電圧による電界が脂肪層に生じ始める。この状態になると、印加電圧に応じて外側電極体122a,122b間の静電容量が変化する。そして、印加電圧に応じて外側電極体122a,122b間の静電容量が変化する電圧の範囲が、外側電極対22によって脂肪層に電界が生じる範囲であると判断する。先に述べたとおり、本実施形態の測定具10における算定部30には可変電圧源31が備えられているので、前記の手法によって、目的とする印加電圧を決定する操作は容易に行える。つまり、本実施形態の測定具10は、可変電圧源31による印加電圧を変化させて、一対の外側電極体122a,122bによる電界が測定対象動物の脂肪層に及ぶように構成されている。この印加電圧は、測定対象動物によって様々であり、また測定対象動物が同じであってもその種類(例えば測定対象動物が犬であれば、ラブラドールやチワワ等の犬種)によっても様々であるが、一般的に言って概ね10mV〜10Vの範囲である。
【0024】
静電容量の測定には、例えば回路構成が簡単な積分法を用いることができる。詳細には、電極体間に電圧をステップ状に印可し、電極体間の電圧が所定の一定値に到達するまでの充電時間から静電容量を求める。積分法に代えてインピーダンスブリッジやディップメータ等、他の方法を用いて静電容量を測定しても良い。
【0025】
上述のとおり、本実施形態においては、一対の外側電極体122a,122b間の測定部位をコンデンサに見立てて静電容量を測定するところ、各電極体と測定部位との間に被毛が介在すると、電極体が物理的に皮膚から遠ざけられ、電界が皮下まで及ばない場合がある。また、皮膚(特に真皮)に関しては、比較的厚みは薄いが、電気的特性が皮下脂肪層の下の筋肉層と似通っており、静電容量を測定する上で障害となりやすい。被毛又は皮膚の影響は特に周波数が高くなると顕著になることが知られている。この不都合を解消するために、一対の外側電極体122a,122b間に印加する交流電圧の周波数を、好ましくは1kHz〜1MHz、更に好ましくは10kHz〜1MHzの範囲のいずれかとすることで、被毛又は皮膚の影響をクリアできることが判明した。また、外側電極体122aと内側電極体121aとはバッファアンプ33aを介して接続されており、かつ外側電極体122bと内側電極体121bとも可変電圧源31、及びバッファアンプ33bを介して接続されているので、一対の内側電極体121a,121b間には、外側電極体122a,122b間に印加される交流電圧と同電圧及び同周波数の交流が同位相で印加される。
【0026】
このようにして、算定部30において算定された静電容量の値に基づき、演算部40において体脂肪の値が演算される。具体的には、算定部30において算定された静電容量の値の情報は、中央制御部12を介して、該中央制御部12に電気的に接続されている演算部40へ送られる。演算部40においては、静電容量の値の情報と、メモリ部14に予め記憶されている基礎情報とを用いて、体脂肪を算出する。メモリ部14は、体脂肪測定具10の筐体内に他の部分とともに一体的に収容されており、中央制御部12と電気的に接続されている。メモリ部14は例えば不揮発性の記憶素子であり得る。
【0027】
メモリ部14には、体脂肪の算出に用いられる基礎データ、例えば重水希釈法や水中体重法、二重エネルギーX線吸収法、コンピューティッド・トモグラフィ法を用いて別途求められた体脂肪量と静電容量との相関関係が記憶されている。またメモリ部14には、体脂肪の算出に必要な制御用データ等も記憶されている。本実施形態の体脂肪測定具は、動物の種類、大きさ等を問わず体脂肪の正確な測定が可能であるが、場合により、メモリ部14に体脂肪を測定する動物の種類、性別、体重等が初期データとして記憶されていることにより、より精度良く体脂肪を算定することができるようになっている。
【0028】
中央制御部12からの指令によってメモリ部14から読み出された各種データは演算部40へ送られ、同じ中央制御部12からの指令によって演算部40において体脂肪の値が演算される。演算部40は、そのような演算が可能な電子回路から構成されている。
【0029】
演算部40には以下に示す式(1)が予めプログラムされており、測定された静電容量から体脂肪率が即座に演算される。
体脂肪率(%)=SC2+TC+U (1)
(式中、Cは静電容量(ピコファラッド(pF))を表し、S、T及びUは外側電極体122a,122bの面積、各電極体間の間隙、周波数、電圧、押し当て圧力に関連した係数を表す。)
体脂肪率を計算する式は、多項式で表される前記の式(1)に限られず、例えば対数、指数等で近似してもよい。
【0030】
このようにして体脂肪の値が演算される。得られた体脂肪の値は、中央制御部12を介して、該中央制御部12に電気的に接続されている表示部50へ送られる。表示部50は、中央制御部12からの指令によって体脂肪の値を表示する。表示部50は、例えば発光ダイオード表示素子や液晶表示素子等からなる。表示部50を駆動するために、該表示部50は電源部13に電気的に接続されている。
【0031】
ところで、一般に、生体に電極を接触させて電極間の静電容量を測定する場合、形成される電界は微弱であるので、その電界が及ぶ範囲は電極の近傍に限られてしまう。特に本発明のように体脂肪の測定対象が動物の皮膚下層組織である場合、該動物は被毛で覆われていることに起因して、これが体脂肪の測定に大きな障害となる。これらの不都合を克服するために、本実施形態においては、各電極体の寸法、すなわち電極面積を電極体1個当たり好ましくは100〜1500mm2、更に好ましくは500〜1300mm2に設定する。これによって、静電容量が微弱であっても首尾よく体脂肪の測定を行うことができる。この場合、2つの外側電極体122a,122bの面積は同じでもよく、あるいは異なっていてもよい。2つの内側電極体121a,121bについても同様である。更に、外側電極体と内側電極体についても同様である。
【0032】
電極体の面積に関連して、電極体の幅、すなわち電極体の並列方向に沿う電極体の長さは、電極の面積が前記の範囲であることを条件として、5〜30mm、特に12〜17mmとすることが、外側電極対による電界が、脂肪層に効果的に生じることから好ましい。同様の理由により、電極の長さ、すなわち電極体の並列方向と直交する方向に沿った電極体の長さは、電極の面積が前記の範囲であることを条件として、25〜100mm、特に40〜80mmとすることが好ましい。この場合、2つの外側電極体122a,122bの幅及び長さは同じでもよく、あるいは異なっていてもよい。2つの内側電極体121a,121bについても同様である。更に、外側電極体と内側電極体についても同様である。
【0033】
また本実施形態においては、各電極体の間に設けられている間隙を適切に調整することでも、静電容量が微弱であるにもかかわらず首尾よく体脂肪の測定を行うことができる。特に本実施形態においては、各電極体間の距離が固定されていることが必要である。この距離が変化してしまうと、同じ個体(動物)でも静電容量の測定値に変動が生じる可能性があるからである。具体的には、各電極体の間の間隙を、隣り合う2つの電極体の全長にわたって一定の値に固定し、かつ間隙を好ましくは0.1〜10mm、更に好ましくは0.1〜5mmに設定することで、静電容量が微弱であっても首尾よく体脂肪の測定を行うことができる。この場合、間隙が前記の範囲内であれば、隣り合う電極体間の間隙は同じでもよく、あるいは異なっていてもよい。
【0034】
本実施形態の体脂肪測定具10は、上述した各部に加え、歪みゲージ60を備えていてもよい。歪みゲージは、各電極体を動物の体の一部に押し当てるときに、その押し当ての圧力を測定して、圧力を一定にしたり、又は所定の圧力下の静電容量を検出したりする目的で用いられる。
【0035】
図2に示すように、歪みゲージ60は、各電極体を支持している平板23に取り付けられている。したがって歪みゲージ60も、体脂肪測定具10の筐体内に、他の部材とともに一体的に収容されている。歪みゲージ60は、平板23の二つの面のうち、電極体が取り付けられている面23a及び電極体が取り付けられていない面23bのどちらに設けても良く、両面に設けても良い。また、歪みゲージ60は1つでも良いが、複数個用いることによって、1個用いた場合の複数倍の出力が得られるので、感度も複数倍になる。本実施形態では歪みゲージ60が、面23a側に4つ設けられている場合について説明する。平板23の一方の面23aに設けられている各歪みゲージ60は、各電極体と同様に、平板23の幅方向に沿って並設されている。また各歪みゲージ60は、各電極体と一対一で対応するように、各電極体の長手方向の延長線上に配置されている。各歪みゲージ60は、各電極体に近接して配置されている。歪みゲージ60と電極体0との間の距離は好ましくは10〜100mm、更に好ましくは20〜50mmに設定されている。
【0036】
各電極体を動物の体の一部に押し当てることで、該電極体が撓む量と平板23の弾性係数から電極体の押し当ての圧力を知ることができる。歪みゲージ60は、電極体を支持する平板23に複数個取り付けられているので、電極体の押し当ての圧力を極めて正確に測定することができる。このことは、電極体の押し当ての圧力を容易に一定にでき、また所定の押し当て圧力下の静電容量を容易に得ることができることを意味している。電極体の押し当ての圧力を一定にでき、また所定の押し当て圧力下の静電容量を容易に得られることは、体脂肪の測定の精度を高めることに大きく寄与する。
【0037】
各歪みゲージ60は、体脂肪測定具10の筐体内に備えられた歪み算出部15に電気的に接続されている。歪み算出部15は、電源部13から電気の供給を受け、中央制御部12からの指令によって、各歪みゲージ60で測定された電極体の撓み量に基づき電極体の押し当ての圧力を算出する。歪み算出部15は、そのような算出が可能な電子回路から構成されている。歪み算出部15は、例えば増幅器、ホイートストーンブリッジ回路及び検出器を備えたブリッジボックスからなる。このブリッジボックスにおいては、上述した4つの歪みゲージ60を備えたホイートストーンブリッジ回路によって検出された出力と、歪みゲージ60のゲージ率から歪みを算出することができる。また、その歪みと、平板23の弾性率とに基づき、押し付け圧を算出することができる。算出された圧力は、例えば表示部50に表示されるようになっている。
【0038】
先に述べたとおり、歪みゲージ60は平板23の一方の面23aに取り付けられているので、歪み算出部15で算出される圧力は、該平板23が面23a側に撓む場合の圧力である。歪みゲージ60が平板23の各面に取り付けられている場合には、歪み算出部15で算出される圧力は、該平板23が面23b側へ撓む場合の圧力、又は面23a側に撓む場合の圧力である。
【0039】
本実施形態では4つの歪みゲージ60を用いているが、歪みゲージ60の使用数はそれに限られず、例えば1〜3個又は5個以上の歪みゲージ60を用いてもよい。要するに歪みゲージ60は少なくとも1つ用いればよい。なお、歪みゲージ60を4つ(又は4の倍数の個数)用いない場合であっても、ホイートストーンブリッジ回路を構成することができる。この場合には、ホイートストーンブリッジ回路における歪みゲージ60以外の抵抗素子として、例えば値が既知の固定抵抗を用いればよい。
【0040】
以上の構成を有する本実施形態の体脂肪測定具10を用いた動物の体脂肪の測定方法について説明すると、体脂肪測定具10における各電極体を、動物の体の一部に押し当てる。電極体を押し当てる部位は、動物の胴体部の肩甲骨から腸骨までの間で体側の方向から見た胴体の背部側半分の範囲(特に犬の場合に好ましい)、あるいは左右肩胛骨の間(特に猫の場合に好ましい)であることが、動きのある動物においても測定がし易い点、静電容量値と体脂肪率の相関性が高い点等から好ましい。
【0041】
犬の体脂肪を測定する場合を例にとると、図5(a)に示すように、体脂肪測定具10の電極群20を、犬の胴体部で肩甲骨か腸骨までの間で体側側から見た胴体の背部側半分の範囲で、犬の最後肋骨周囲部に押し付けるように使用することが好ましい。また、例えば図5(b)に示すように、背骨の正中線と好ましくは30mm程度平行にずらした位置において、正中線と平行に電極群20が並ぶように該電極群20を押し付けて使用することもできる。あるいは、図5(c)に示すように、背骨の正中線と直交する方向と平行に電極群20が並ぶように該電極群20を押し付けて使用することもできる。
【0042】
上述したいずれの測定態様の場合においても、測定の精度を高める観点から、歪みゲージ60によって測定された電極体の押し付け圧が所定の範囲内となる状態下に測定を行うことが好ましい。特に、押し付け圧が20〜200g/cm2、とりわけ100〜200g/cm2の状態下に測定を行うと、個体差、例えば被毛の量の程度にかかわらず、体脂肪の測定を精度良く行い得るので好ましい。
【0043】
本実施形態の体脂肪測定具10によれば、従来の体脂肪測定具、例えば本出願人が先に提案した特許文献2に記載の測定具に比べて、体脂肪率を一層精度良く測定することができる。また本実施形態の体脂肪測定具10によれば、インピーダンス法を利用していた従来の体脂肪測定具による体脂肪の測定時に必要とされていた皮脂の取り除き、被毛のかきわけ、又は体表と電極との間への電解液等の充填等の煩雑な作業が必要なく、電極体を押し当てるだけで体脂肪の測定が可能という有利な効果も奏される。
【0044】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば前記実施形態においては、二対の電極対を用いたが、これに代えて三対以上の電極対を用いてもよい。三対以上の電極対を用いる場合には、相対的に外側に位置する電極対を外側電極対として用い、かつ該外側電極対よりも内側に位置する電極対を内側電極対として用いればよい。特に三対以上の電極対を用いる場合には、外側から2対の電極対の静電容量を測定することが、出力が高くなり、測定の精度が一層高くなる点から好ましい。
【0045】
また前記の実施形態の体脂肪測定具10は、各部が筐体内に収容された一体のものであったが、これに代えて、各電極体及び各歪みゲージを平板23に支持してなるプローブを構成し、このプローブを、その他の部位が筐体内に収容されてなる本体部と電気的に接続した別体の構造となしてもよい。
【実施例】
【0046】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
【0047】
〔実施例1〕
(1)重水希釈法による体脂肪率測定
家庭においてペットとして飼われている6頭のビーグル犬を対象とし、重水希釈法を用い、以下の手順で体脂肪を測定した。まず、Burkholderらの方法(William J. Burkholder, Craig D. Thatcher AJVR 59(8)1998 927-937)に準じ、各ビーグル犬(個体No.a〜f)の体脂肪率を正確に測定した。測定は無麻酔で行った。頚静脈より6ml採血し、血清分離を行い、重水注入前の血清サンプルとした。次に前足静脈に翼状針を留置し、重水をシリンジに0.2g/(kg体重)計り取り注入し、更にヘパリン加生理食塩水10mlを注入した。注入前後のシリンジの重量を測定し差分を重水の注入量(WD2O)gとした。重水の拡散時間として90分間とった。その後再び反対の頚静脈より6ml採血し、血清分離を行い注入後の血清サンプルとした。安定同位体質量分析器(IRMS)にて重水濃度を分析した。注入前の血清サンプル中の濃度を(C1)ppm、注入後の濃度を(C2)ppm、体重を(BW)kgとして下の計算式により体脂肪率を算出した。その結果を以下の表1に示す。
体脂肪率(%)=100−{WD2O×105/(C2−C1)}/0.732BW
【0048】
(2)本発明の体脂肪測定具を用いた体脂肪率測定
図1ないし図3に示す体脂肪測定具10を組み立てた。体脂肪測定具10における各部は、プラスチック製の筐体内にすべて収容し、一体化させた。電極体は銅製であり、長さ50mm、幅25mmの細長い長方形をしていた。4枚の電極体を、その長手方向が一致するように、アクリル製の平板上に並設した。各電極体間の間隙はいずれも0.1mmに固定した。各電極体を、図5(c)に示すように、ビーグル犬の左腰背部に押し当てた。押し当て圧は100g/cm2とした。この状態下に交流電圧を印加して、外側電極体122a,122b間の静電容量を測定した。印加電圧を上昇させていき、静電容量が変化し始める電圧を求めて、適切な印加電圧を決定した。その結果、電圧5Vの電圧を印加することが適切であると判断された。そこで、電圧を5Vに設定し、周波数100kHzの交流を印加して静電容量を測定した。このようにして測定された静電容量と、前記の(1)で測定された重水希釈法による体脂肪率との相関係数(n=6)を求めた。その結果を以下の表1に示す。なお、体脂肪率が高いほど静電容量は小さくなるので、体脂肪率と静電容量とは一次の負の相関関係となる。したがって相関係数が−1の場合が、相関が最も高くなる。
【0049】
〔比較例1〕
本比較例は、特許文献2に記載の測定具(図4(b)参照)による静電容量の測定に対応するものである。すなわち実施例1において、外側電極体122a,122bと、バッファアンプ33a,バッファアンプ33bとの接続を断ち、かつ可変電圧源31の電圧が内側電極体121a,121bにのみ印加されるように接続を変更した。これ以外は実施例1と同様にして、内側電極体121a,121b間の静電容量を測定した。その結果を以下の表1に示す。
【0050】
【表1】

【0051】
表1に示す結果から明らかなように、実施例1の測定具を用いて測定された静電容量は、比較例1の測定具を用いて測定された静電容量よりも、体脂肪率との相関係数が高くなることが判る。
【0052】
〔参考例〕
本参考例は、実施例1の測定具を用い、同実施例と同様の手順で静電容量の測定を行ったときに、電極体間に印加した電圧の値によって、内側電極体間の静電容量がどのように変化するかを測定したものである。測定は、印加電圧を50mVから5Vまで変化させて行った。また測定対象犬は、No.aとNo.cの犬とした。印加電圧の周波数は、実施例1と同様に100kHzとした。結果を以下の表2に示す。
【0053】
【表2】

【0054】
表2に示す結果から明らかなように、内側電極体間の静電容量は、印加した電圧の値に依存しないことが判る。したがって、内側電極体間の静電容量を測定しても、内側電極体間の電界が、脂肪層にまで及んだか否かの判断ができないことが判る。
【符号の説明】
【0055】
10 動物用体脂肪測定具
20 電極群
21 内側電極対
121a,121b 内側電極体
22 外側電極対
122a,122b 外側電極体
23 平板
30 算定部
31 可変電圧源
32 信号処理手段
33a,33b バッファアンプ
34 差動アンプ
35 静電容量測定器
40 演算部
50 表示部
60 歪みゲージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電容量を計測することで動物の体脂肪を測定する動物用体脂肪測定具であって、
一つの平面上に並設され、かつ動物の体の一部に押し付けて用いられる少なくとも4枚の絶縁電極体を具備し、
前記少なくとも4枚の絶縁電極体は、2枚の内側電極体からなる内側電極対と、該内側電極対よりも外側に位置する2枚の外側電極体からなる外側電極対とを含み、かつ隣り合う電極体間に間隙が設けられており、
外側電極対における一方の外側電極体と、内側電極対における2つの内側電極体のうち、該一方の外側電極体に近い側に位置する内側電極体とが同電位V1となり、かつ外側電極対における他方の外側電極体と、内側電極対における2つの内側電極体のうち、該他方の外側電極体に近い側に位置する内側電極体とが同電位V2となるように(ただしV1≠V2である。)、各電極体に電圧が印加されるように構成されており、
前記体脂肪測定具は更に、各外側電極体と電気的に接続し、かつ該外側電極体間の静電容量の算定が可能な算定部と、
算定部で算定された静電容量から体脂肪を演算する演算部と、
演算部で演算された結果を表示する表示部とを具備する動物用体脂肪測定具。
【請求項2】
電圧の印加が可変になっており、印加電圧を変化させて2つの外側電極体による電界が測定対象動物の脂肪層に及ぶように構成されている請求項1に記載の動物用体脂肪測定具。
【請求項3】
各電極体の幅が5〜30mmに設定されている請求項1又は2に記載の動物用体脂肪測定具。
【請求項4】
各電極体を測定対象動物の体の一部に押し付けるときの圧力を測定する手段を更に具備し、該手段によって測定された押し付け圧が20〜200g/cm2の範囲で体脂肪の測定を行うように構成されている請求項1ないし3のいずれか一項に記載の動物用体脂肪測定具。
【請求項5】
圧力を測定する手段が、感圧導電性ゴム、ピエゾ素子、静電容量計又は歪みゲージからなる請求項1ないし4のいずれか一項に記載の動物用体脂肪測定具。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか一項に記載の動物用体脂肪測定具を用い、動物の体の静電容量を計測して動物の体脂肪を測定する動物の体脂肪測定方法であって、
外側電極対における一方の外側電極体と、内側電極対における2つの内側電極体のうち、該一方の外側電極体に近い側に位置する内側電極体とが同電位V1となり、かつ外側電極対における他方の外側電極体と、内側電極対における2つの内側電極体のうち、該他方の外側電極体に近い側に位置する内側電極体とが同電位V2となるように(ただしV1≠V2である。)、各電極体に電圧を印加する際に、印加電圧を変化させて2つの外側電極体による電界が測定対象動物の脂肪層に及ぶ電圧を決定し、
決定された印加電圧を印加した状態下に、外側電極体間の静電容量を計測して動物の体脂肪を求める動物の体脂肪測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図4】
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