説明

動物用健康検査材

【課題】受けた尿の物性によって、その尿を排出した動物の健康状態を検査する動物用健康検査材を、受けた尿が少量でも十分に色の変化を示すことができ、その変色後の色相を長時間に亘って保持することができ、かつ、保管中にpH指示薬などの色相変化を示す健康指示薬の構造変化を防ぐとともに、ハンドリングに優れ、使用時の指示薬の流出を抑えるようにする。
【解決手段】水酸基価及びその他特定の条件を満たし常温で固体状であり含水率が所定の値以下である特定のポリオール、ポリオール脂肪酸エステル又はそれらの混合物と、動物の非罹病状態における尿と接触した際の色相と罹病状態における尿に接触した際の色相とが異なる健康指示薬とを含む組成物を、シート状担持体に担持させて、罹病状態における尿と接触して上記健康指示薬による色相変化を呈しその変化後の色相を保持するものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、動物の健康状態に応じて変化する尿の物性の変化を検出し、その物性に応じて変色する色相を保持して動物の健康状態を時間経過後もチェック可能な動物用健康検査材に関する。
【背景技術】
【0002】
ペットなどの動物がかかる病気や体調の不良は、仕草や行動だけからはわかりにくい場合があるが、それでも排泄物の成分には変化が生じている場合がある。この性質を利用し、尿の成分を化学的にチェックすることで、動物の健康を調べる健康検査材が一般に用いられている。例えば、猫の病気として一般的な尿結石では、正常時の尿のpHが6.5〜7.0であるのに対して、尿結石に罹っている際のpHは7.0以上になることが知られている。すなわち、猫の尿のpHを測定することにより、尿結石に罹っているか否かを調べることができる。これは他の病気や他の動物についても、同様のことが言える場合があり、それらの病気では尿のpH値により罹病状態か非罹病状態かを判別できる。
【0003】
また、pHだけでなく、病気によっては尿に糖やタンパクが含まれたり、その他の物性が変化することが多く、それらの物質を検出して変色する検出薬により、罹病状態か非罹病状態かを判別することができる。
【0004】
具体的には、特許文献1に、粒子状やシート状などの高吸収性素材にpH指示薬などの尿検査薬を含浸保持させた健康チェック剤が記載されている。この健康チェック剤を、ペットトイレなどの動物が排尿する箇所に散布し又は敷いておき、動物がそこに排尿した後でその健康チェック剤の色変化を観測することで、その尿検査薬に対応する健康項目をチェックできる。
【0005】
また、細長い台紙の先端部にpH試験紙を設け、台紙とpH試験紙との間に尿などの検査液が溜まる構造を設けることで、pH試験紙の乾燥を遅延可能なpH検査用スティックが、特許文献2に記載されている。
【0006】
さらにこの他に親水性素材とpH指示薬とを合わせたものとしては、親水性素材に、pH指示薬と酸性又は塩基性の物質と水とともに、水との相溶性を有しかつpH指示薬に対する溶解能を有する常温で非揮散性の非プロトン性液体を保持させた担体であり、水の揮散とともに色調が変化する変色インジケータが、特許文献3に記載されている。
【0007】
【特許文献1】特許第3933788号公報
【特許文献2】特許第3351518号公報
【特許文献3】特開2000−97863号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、動物の中でも猫のように尿の回数が比較的少ない動物は、尿をするタイミングに合わせて尿の採取を行うのは困難である。このため、予め検査材をトイレに仕込んでおくといった使い方になる。しかし、そうして仕込んだ検査材が尿と接触することで呈した、尿の物性の微細な差異による色の違いを、長時間に亘って保持しなければ、後で異常を検知することができず、色が戻ってしまった後の検査材を見て健康体であると誤認してしまう場合があった。
【0009】
特許文献1に記載の健康チェック剤では、尿がかかった際に、高吸収性素材だけではpH指示薬を保持しきれずに流出させてしまうことがあった。また、水分の揮散が速いために、尿がかかる前の初期色に短時間で戻りやすく、観測した時には初期色に戻ってしまう場合があった。さらに、ペットトイレにも様々なタイプがあるが、高分子吸収体が用いられることが多いシートタイプでは、健康チェック剤中の水分が積極的に吸収されるために初期色に戻りやすいという問題もあった。なおかつ、猫砂タイプのペットトイレでは、アルカリ性を有する猫砂を用いている場合が多く、尿がかからなくても猫砂と接触しただけでアルカリ性に応じた色を示してしまう場合があった。
【0010】
また、特許文献2に記載のpH検査用スティックは、尿をかけたその場で検査員が目視するので、目視するまでの間だけ色相を保持すればよく、それほど長時間に亘る色相保持には向いていない。このため、尿の回数が比較的少ない動物に対して使用することは困難であった。さらに、特許文献1に記載の健康チェック剤と同様にpH指示薬が流出しやすいという問題点があった。
【0011】
一方、特許文献3に記載の変色インジケータは、水を揮散させて変色させることを目的としているため、過剰に水が含まれており、長期保管によりpH指示薬の構造が崩れ、変色感度が非常に鈍る場合があった。また、元々保持している水のために、外部から少々の尿がかかっただけでは十分に変色しない場合もあった。
【0012】
そこでこの発明は、受けた尿が少量でも十分に色の変化を示すことができ、その変色後の色相を長時間に亘って保持することができ、かつ、保管中にpH指示薬などの色相変化を示す健康指示薬の構造変化を防ぐとともに、ハンドリングに優れ、使用時の健康指示薬の流出を抑えた動物用健康検査材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明は、水酸基価及びその他特定の条件を満たし常温で固体状であり含水率が所定の値以下である特定のポリオール、ポリオール脂肪酸エステル又はそれらの混合物と、
動物の非罹病状態における尿と接触した際の色相と罹病状態における尿に接触した際の色相とが異なる健康指示薬とを含む組成物を、シート状担持体に担持させて、罹病状態における尿と接触して上記健康指示薬による色相変化を呈しその変化後の色相を保持することができる動物用健康検査材により、上記の課題を解決したのである。
【0014】
その特定のポリオール、ポリオール脂肪酸エステル又はそれらの混合物の構成とは以下のものが挙げられる。
【0015】
まず、第一の構成は次の通りである。水酸基価が6mgKOH/g以上1500mgKOH/g以下であり、常温固体状であり、含水率が15重量%以下であるポリエチレングリコールからなる。
【0016】
また、第二の構成は次の通りである。水酸基価が6mgKOH/g以上1500mgKOH/g以下であるポリグリセリンと、常温で固体状であり、かつ、HLB値が3以上15未満であるポリオール脂肪酸エステルとからなり、ポリグリセリンとポリオール脂肪酸エステルとの重量混合比が10:90〜30:70であり、かつ、全体の水酸基価が6mgKOH/g以上1500mgKOH/g以下であり、常温固体状であり、含水率が30重量%以下であるポリオール配合物からなる。
【0017】
さらに、第三の構成は次の通りである。水酸基価が6mgKOH/g以上1500mgKOH/g以下であるポリエチレングリコールと、水酸基価が6mgKOH/g以上1500mgKOH/g以下であるポリグリセリン、常温で固体状であり、かつ、HLB値が3以上15未満であるポリオール脂肪酸エステル、又はその両方とからなり、かつ、全体の水酸基価が6mgKOH/g以上1500mgKOH/g以下であり、常温固体状であり、含水率が30重量%以下であるポリオール調製物からなる。
【0018】
なお、水酸基価の測定及び算出は、JIS K 0070に準じて実施した。またここで、HLB値とはJIS K 3211の0115等で定義される親水性と親油性の程度を表す尺度であり、0〜20の値を取る。0に近いほど親油性であり、20に近いほど親水性である。
【0019】
すなわち、健康指示薬をシート状担持体に含浸させて保持させるだけでなく、水酸基価が6mgKOH/g以上1500mgKOH/g以下であるポリエチレングリコール(以下、「特定ポリエチレングリコール」という。)、水酸基価が6mgKOH/g以上1500mgKOH/g以下であるポリグリセリン(以下、「特定ポリグリセリン」という。)、HLB値が3以上15未満であり常温固体状であるポリオール脂肪酸エステル(以下、「特定ポリオール脂肪酸エステル」という)を、特定の条件で選択し、全体として特定の水酸基価の範囲となるものを用い、これにより健康指示薬を保持することによって、接触した動物の尿を長時間に亘って保持することができ、揮散によって初期色に戻ることを抑制できるので、接触した尿の排出者である動物の健康状態に応じた色相を呈し、かつその色相を保持できる。
【0020】
また、特定ポリエチレングリコール、特定ポリグリセリン、特定ポリオール脂肪酸エステルに主成分を限定し、なおかつ、全体の水酸基価又は平均水酸基価を抑えたものとすることで、それらポリオール類による変性作用を抑えるとともに、それ以外の化合物による影響を最小限に留めて、健康指示薬を安定状態で保持することができ、健康指示薬自体の構造が崩れることを抑制できるため、長期間の保管が可能となる。また、接触した動物の尿を長時間に亘って保持することができ、変色後の色相を長時間に亘って保持することができる。
【0021】
特に、上記ポリオール配合物、又はポリオール調製物に常温固体状である特定ポリオール脂肪酸エステルが含まれると、シート状担持体からの健康指示薬の流出をより徹底して抑えるとともに、尿がかかってから尿を取り込むまでの所要時間を調整することが可能となり、排尿中及びその直後における健康指示薬の流出を防ぎ、動物の毛に健康指示薬の色が色移りすることを防止できる。また、一度取り込んだ尿は長時間保持することができ、そのため色相変化を維持させやすいものとなるので好ましい。
【0022】
一方で、シート状担持体に担持させる組成物は、上記の特定ポリエチレングリコール、特定ポリグリセリン、及び特定ポリオール脂肪酸エステルと、上記健康指示薬だけでなく、他のポリオールやポリオール脂肪酸エステルを含んでいてもよい。ただし、それら不純物の含有量は組成物全体の10重量%未満である必要がある。
【0023】
また、含水率を所定の値以下とすると、健康指示薬を長期間に亘って安定に保つことができる。また、水分が過剰とならず、かつ、健康指示薬が十分に変色できるものとなる一方で、アルカリ性の猫砂や高吸水性素材に触れる程度の接触では、全体が変色するほどの影響を受けずに済む。さらに、シート状担持体に担持させたものであるので、これらの成分を敷設可能なシートとして取り扱うことができ、動物用トイレに敷設しておいて、1時間後〜6時間後でも変色を確認することができる。
【0024】
用いる健康指示薬が、動物の非罹病状態における尿と接触した際の色相と罹病状態における尿と接触した際の色相とが異なることで、この動物用健康検査材が接触した尿の物性によって、この動物用健康検査材が示す色相が異なり、その尿を排出した動物が当該健康指示薬によって判断しうる病気について罹病状態であるか非罹病状態であるかを判断できる。また、尿と接触する前の色相を、罹病状態における尿と接触した際の色相よりも、非罹病状態における尿と接触した際の色相に寄ったものとするか、又は、非罹病状態における尿と接触した際の色相と同じとしておくと、罹病状態の尿と接触した際の変色がわかりやすくなる。そのような変色を起こすように予め調整しておくには、上記の特定ポリエチレングリコール、又はポリオール配合物、又はポリオール調製物(以下、「ポリオール組成物」という。)とともに上記シート状担持体に担持させただけでそのような色相変化を示す健康指示薬があるならばそのまま用いるとよい。しかし、罹病状態の尿と接触した際に示す色相に寄った色相を示す健康指示薬を用いる場合には、その他の物質を添加したり、pHを調整したりすることで、色相を非罹病状態の尿と接触した際に示す色相に寄ったものに調整することができる。健康指示薬としてpH指示薬を用いる場合には、動物の非罹病状態における尿のpH値における色相と罹病状態における尿のpH値における色相とが異なるpH指示薬が利用でき、初期状態の色相を調整するにあたっては酸性又はアルカリ性であるpH調整剤を含有させて初期状態のpHを調整することで実現できる。また、色相の変化を鮮明にするため、2種類以上のpH指示薬を混合して使用しても良い。
【0025】
上記シート状担持体の具体例としては、ポリエチレン繊維やポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート繊維などの樹脂製繊維を一種類、又は複数種類用いた樹脂製不織布や、レーヨン繊維、パルプ繊維などの非樹脂製繊維を一種類又は複数種類用いた親水性不織布、スポンジなどの発泡体などを用いることができる。特にレーヨンなどの親水性素材を用いると、上記ポリオール組成物を保持しやすく、また、親水性素材自体にも尿が含浸されるため、シート状担持体内部にまで浸透して、より長時間に亘って色相を保持することができる。さらに、上記シート状担持体そのものによって健康指示薬を一般に変色させることが少なく、担体として好適である。特に健康指示薬としてpH指示薬を用いる場合には、これら上記シート状担持体によって変色することはほとんどない。
【0026】
なお、上記ポリオール組成物を上記シート状担持体に担持させる方法としては、加熱して液状にした上記ポリオール組成物を繊維内部に含浸させる方法や、上記シート状担持体の表面にグラビア印刷などの印刷により塗工する方法などが挙げられる。
【発明の効果】
【0027】
この発明にかかる動物用健康検査材を予め動物用トイレに敷設等しておくと、動物の排尿するタイミングがわからなくても、接触した尿により健康指示薬が呈した色相を保持し続けて、排尿から少なくとも1時間、構成によっては6時間から数日ほど経過した後でも動物の健康を確認することができる。また、この動物用健康検査材は、長期保管後も検査機能を失うことなく、動物の健康状態に応じて変わる尿の物性に応じた適切な変色を起こすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、この発明について詳細に説明する。
この発明は、特定のポリエチレングリコール、特定のポリグリセリンと特定のポリオール脂肪酸エステルからなるポリオール配合物、又は、特定のポリエチレングリコールと特定のポリグリセリンや特定のポリオール脂肪酸エステル又はその両方とからなるポリオール調製物のいずれかを用い、それと健康指示薬との混合物をシート状担持体に担持させた、動物用健康検査材である。
【0029】
なお、この発明においてポリオールとは、グリセリン、ポリグリセリンやポリエチレングリコールや、糖類などの、複数の水酸基を有する化合物をいう。また、ポリオール脂肪酸エステルとは、前記ポリオールが有する水酸基の一部に脂肪酸と反応を起こさせてエステル化した化合物をいう。上記のポリオールとこれらエステル化した化合物をまとめて「ポリオール類」という。具体的なポリオール脂肪酸エステルとしては、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられる。これら脂肪酸エステルは、基となるポリグリセリンや糖類などの重合度や、水酸基のエステル化率が異なる化合物の混合体であってもよい。これら重合度やエステル化率を単一に揃えることは困難であり、一般的に分散を有するものだからである。
【0030】
この発明で用い得るポリオール類について順に説明する。用いるポリオール類のうち、特定ポリエチレングリコール、特定ポリグリセリンとは、それぞれの化合物のうち水酸基価が6mgKOH/g以上1500mgKOH/g以下であるものをいう。水酸基価が1500mgKOH/gを超えるものが含まれると、水酸基によって健康指示薬が不安定化しやすく、そのため、pH値やその他物性値が本来変色すべき値であるにも拘わらず、色相が変わらない場合がある。一方で、ポリオール類全般で、6mgKOH/g未満であるものはほとんど市販されておらず、6mgKOH/gが現実的な下限である。
【0031】
なお、実際にはポリエチレングリコールの場合、300mgKOH/gを超えるものはほとんどなく、利用しやすいものとしては200mgKOH/g以下であるものが一般的である。水酸基価が200mgKOH/gを超えるものは常温で液体であるものがほとんどであり、単独では本発明に用いることができないが、他のポリオール類と混合することで利用可能な場合がある。
【0032】
また、実際にはポリグリセリンの場合、890mgKOH/g未満のものはほとんど市販されておらず、一般に使用できるものの下限は890mgKOH/gとなる。
【0033】
次に、上記の特定ポリオール脂肪酸エステルとは、常温において固体状であり、HLB値が3以上15未満である必要がある。15以上であるポリオール脂肪酸エステルを含んだポリオール調製物を含浸させた動物用健康検査材では、表面にべたつきが生じる場合があり、健康指示薬の流出や排尿中又はその直後の動物の毛に健康指示薬が呈する色が移行してしまう場合があるため15未満である必要がある。一方で、3未満であると親水性が低いため、そのようなポリオール脂肪酸エステルを含浸させた動物用健康検査材は、尿を水滴状に弾いてしまい、1時間以上変色しない場合があるため、3以上である必要がある。
【0034】
次に、これらの混合物について説明する。
上記ポリオール配合物は、常温において固体状であり、含水率が30重量%以下である。なおかつ、上記特定ポリグリセリンと上記特定ポリオール脂肪酸エステルとからなり、重量混合比が10:90〜30:70である。このポリオール配合物も、全体として水酸基価が6mgKOH/g以上1500mgKOH/g以下の値の範囲であることが必要である。ただし、上記特定ポリグリセリンと上記特定ポリオール脂肪酸エステルが一般に取りうる値から、一般に取りうる全体の水酸基価は、167mgKOH/g以上800mgKOH/g以下に収まることが多い。
【0035】
上記ポリオール調製物は、常温において固体状であり、含水率が30重量%以下である。なおかつ、上記特定ポリエチレングリコールと、上記特定ポリグリセリン、上記特定ポリオール脂肪酸エステル、又はその両方とからなる。またこのポリオール調製物も、全体として水酸基価が6mgKOH/g以上1500mgKOH/g以下の値の範囲であることが必要である。ただし、構成するポリオール類が上記の通り現実的に取りうる値の範囲の限界から、水酸基価が67mgKOH/g以上、1015mgKOH/g以下に収まることが多い。
【0036】
なお、上記の特定ポリエチレングリコール、特定ポリグリセリンのそれぞれは、重合度の異なる分子の混合物であってもよく、ポリエチレングリコールの集合体として、又はポリグリセリンの集合体として、上記の水酸基価を満たすものであればよい。また、上記のポリオール脂肪酸エステルは、重合度やエステル化度が異なる分子の混合物であってもよく、ポリオール脂肪酸エステルの集合体として、上記のHLB値を満たすものであればよい。なお、ポリオール脂肪酸エステルについても、全体として上記の水酸基価の範囲条件を満たしているとより好ましい。
【0037】
上記のような水酸基価であるポリオールや上記のようなHLB値であるポリオール脂肪酸エステルを含み、上記のような特定の水酸基価であるポリオール調製物を含有することにより、この発明にかかる動物用健康検査材は、尿と接触して、その尿を排出した動物の健康状態に応じた色相を呈した後、その色相を少なくとも1時間は保持することができ、6時間以上保持することができるとより好ましく、1日以上保持できればさらに好ましい。なお、保持期間は長いほど好ましく、上限はない。
【0038】
また、上記の特定ポリエチレングリコール、又は特定ポリグリセリン、又はポリオール脂肪酸エステルを必須成分として含む必要があるのは、以下の理由による。
【0039】
上記特定ポリエチレングリコールの場合、常温固体状であっても変色速度が速く、配合比率によって変色速度を調整することが可能である。また、加熱溶融時に健康指示薬と混合した場合、ポリエチレングリコールに健康指示薬が溶けるため、健康指示薬を溶かす溶媒が不要となるため最適である。ただし、親水性が高いため、使用方法によっては指示薬が流出する可能性があるため、他のポリオールと併用することが好ましい。
【0040】
上記特定ポリグリセリンの場合、色相を長期間保持することが可能であり、ポリグリセリンに指示薬が溶けるため、健康指示薬を溶かす溶媒が不要となるため最適である。ただし、使用方法によってはブロッキングが生じる可能性があるため、他のポリオールと併用することが必要となる。
【0041】
上記特定ポリオール脂肪酸エステルの場合、常温で固体であり、瞬時に水分を取り込まないため、変色速度の調整や健康指示薬の流出防止、ブロッキングを防止するという点では最適である。また特に、ポリグリセリン脂肪酸エステルの場合、色相を長期間保持することが可能であるため、ポリオール脂肪酸エステルの中でも最適である。ただし、単独では水分を取り込みにくいために十分に変色しにくく、上記ポリオール配合物や上記ポリオール調製物といった組み合わせの混合物として用いる必要がある。
【0042】
ただし、十分に上記健康指示薬を保持する必要があるとともに、他の化合物による変性などの影響を最小限に食い止めるため、上記特定ポリエチレングリコール、上記ポリオール配合物、又は上記ポリオール調製物が、後述するシート状担持体に担持させる組成物のうちの90質量%以上を占めている必要がある。逆をいえば、この発明にかかる健康検査材は、上記特定ポリエチレングリコール、上記ポリオール配合物、上記ポリオール調製物のいずれかと、上記健康指示薬とだけでなく、他のポリオール、ポリオール脂肪酸エステルを一種類、又は複数種類含有してもよい。ただし、それら不純物の含有量は、シート状担持体に担持させるポリオール組成物全体の10重量%未満である必要がある。この程度の範囲であれば、不純物としてその他のポリオールを含んでも、健康指示薬や尿の保持力、変色速度、粘性、色の保持力、担持後のべたつきなどの性質に悪影響を及ぼすことを抑制できる。
【0043】
また、常温で液体状のポリグリセリンを含む上記ポリオール配合物、ならびにポリオール調製物全体としては、常温で流動性を失い固化する必要がある。逆に、常温で液状であると、シート状担持体に担持させた後でべたつきが生じたり、シート同士に接着が起きたり、あるいは、動物の毛への色移りが無視できなくなるおそれがあるからである。
【0044】
上記ポリオール組成物の中でも、ポリオール調製物が特に好ましい。その中でもポリオール脂肪酸エステルがポリグリセリン脂肪酸エステルであることが最も好ましい。ポリグリセリン脂肪酸エステルを用いることで、上記ポリオール調製物の色相変化を長期間に亘って保持することができ、上記健康指示薬を変質させにくく、健康指示薬の流出を防ぎ、ハンドリングを改善することができるためである。その好ましい混合比は、上記特定のポリオールの一種類、又は複数種類の混合物100重量部に対して、ポリオール脂肪酸エステル5重量部以上400重量部以下であり、より好ましくは、8重量部以上350重量部以下である。
【0045】
ただし、ポリオール脂肪酸エステルを添加する場合、その添加量は、他の特定ポリエチレングリコール、特定ポリグリセリン、又はその両方と合わせた混合物100重量部に対して、5重量部以上、400重量部以下であると好ましい。ポリオール脂肪酸エステルが5重量部未満の場合、色相を3時間以上保持することができず、また、ポリオール脂肪酸エステルが400重量部を超える場合、5分後でも色相が変化しない場合があるためである。
【0046】
また、上記ポリオール組成物を構成するポリオール又はポリオール脂肪酸エステルのうち、少なくとも一部は、上記健康指示薬を溶解可能であることが好ましい。上記健康指示薬を溶解できないポリオールやポリオール脂肪酸エステルとの混合物であると、上記健康指示薬は事実上、上記ポリオール組成物が含有する少量の水分にのみ溶解して呈色することになり、色の変化がわかりにくいものとなるからである。逆に、上記ポリオール組成物を構成する化合物の大半が上記健康指示薬を溶解できるものであれば、動物の非罹病状態における尿と接触した際の色相と罹病状態における尿と接触した際の色相との区別が判りやすく、また、色が安定しやすくなる。さらに、アルコールに可溶な上記健康指示薬を用いる場合には、アルコールに上記健康指示薬を溶かして上記健康指示薬を溶解できない上記ポリオール組成物に加えることもできる。しかしその場合は、アルコールの揮散に伴い色相が安定しにくくなるという問題点を有する。
【0047】
なお、上記のポリオール類はいずれも水分を含むものが一般的であり、その水分含有量の上限は、後述する動物用健康検査材全体に対する含水率の条件を満たすものであるとよい。なお、上記ポリオール組成物の少なくとも一部が上記健康指示薬を溶解できるものであれば、水分を含んでいなくても特に問題はない。
【0048】
その上で、上記ポリオール組成物は、全体として常温において固体状である必要がある。常温で液体状であると、後述するシート状担持体に安定的に保持させることが極めて困難になるからである。なお、上記ポリオール組成物を構成する一部のポリオール類が常温で液体状であっても、全体として固体状であればよい。仮にポリオール組成物全体が常温で液体状であると、液体である尿を瞬時に取り込むことができるが、その反面、そのポリオール又はその誘導体を含浸させたシート状担持体の表面がべたついてしまうため、後述する健康指示薬が流出しやすく、排尿中又はその直後の動物の毛に健康指示薬が呈する色が移行してしまう場合があるからである。
【0049】
上記健康指示薬としては、ある動物が、特定の病気について罹病状態である場合と非罹病状態である場合とで、接触したときに示す色相が異なる化合物であれば利用可能である。例えば、健康な猫の尿はpHが7.0以下であるが、尿結石に罹っている猫の尿はpHが7.0より高くなるので、pH7.0付近に変色域を有するpH指示薬を上記健康指示薬として用いることで、猫が尿結石に罹っているか否かを判別する動物用健康検査材とすることができる。この他、動物の種類や病気の種類に限らず、罹病状態であるか否かによって尿のpH値が変動する病気については、その変動するpH値の付近に変色域を有するように調整したpH指示薬を、上記健康指示薬として用いることができる。このようなpH指示薬としては、ブロムチモールブルー、チモールブルー、メチルレッド、ブロムクレゾールグリーン、クレゾールレッドなどが挙げられる。これらは単数でも使用可能であるが、より確実に色の変化を示させるために、複数を併用して用いると好ましい。特に、ブロムチモールブルー、チモールブルー、メチルレッドを併用すると、pH6〜8の近傍ではっきりとした変色を示すことができるので好ましい。動物の尿は極端な酸性、アルカリ性となることは少なく、中性付近で微小な変動をすることが多いためである。
【0050】
また、健康指示薬としてテトラブロムフェノールブルーを用いた場合、尿中蛋白質の濃度により反応するため腎臓異常などの可能性を早期に発見できる。また、健康指示薬としてグルコースオキシダーゼとペルオキシダーゼとo−トリジンとを併用することにより、これらの混合体はブドウ糖と反応するので糖尿病の可能性を判定できる。更には、ビス(4−(α−ヒドロペルオキシイソプロピル)ベンジル)エーテルとo−トリジンとを併用することにより、これらの混合体はヘモグロビンなどと反応するため尿中潜血を判定することができ、膀胱炎や尿路結石などの検査を行うことが出来る。
【0051】
なお、上記健康指示薬は、水やアルコールに溶解させてから上記ポリオール組成物と混合しても良いが、上記ポリオール組成物が上記健康指示薬を溶解することができる場合には直接混合させる方法が好ましい。そして、最終的に得られる動物用健康検査材の含水率が上記の条件を満たすものである必要がある。
【0052】
この健康指示薬が、この発明にかかる動物用健康検査材が検査対象とする病気について検査対象とする病気に罹った罹病状態の尿と接触すると色相変化を起こす必要があり、かつ、非罹病状態である動物の尿と接触しても色相はそのまま、もしくは罹病状態の尿とは明らかに異なる色相となるものであるように調整しておくことが好ましい。病気時に変色せず、健康時に変色するものであると、尿が接触していないのに罹病状態でないと判断して病気を放置するために動物の病状が悪化したり、尿が接触しない場合でも病気であると判断して必要以上に心配してしまったりする場合がある。また、健康時の尿でも罹病状態と同じ色相に変色するものであると、罹病状態でないのに必要以上に心配してしまう場合がある。そのためには、尿と接触する前の上記動物用健康検査材の色相から、非罹病状態の尿と接触した際に示す色相と、罹病状態の尿と接触した際に示す色相とが、それぞれ判別できる程度に変色することが好ましい。具体的には、尿と接触する前の色相が、尿と接触した後の色相と変わるように、上記動物用健康検査材にその他の調整剤を含めて色相を調整する。例えばpH指示薬を用いる場合には、上記ポリオール組成物と上記pH指示薬とを上記シート状担持体に担持させたそのままの状態で、そのようなpH値になっていればよいが、そうでない場合は、上記ポリオール組成物と上記pH指示薬との混合物に、pH調整剤を加えてpH値を非罹病状態側となるように調整しておく。このようなpH調整剤としては、例えば、クエン酸、水酸化ナトリウムなどが挙げられる。
【0053】
なお、非罹病状態の尿と接触した際に示す色相が、元の色相から変化しないものとすると、色相に拘わらず変色があることで誤って罹病状態であると誤解する危険性が無くなるが、実際に尿と接触したかどうかの確認がしにくくなるという欠点がある。
【0054】
上記シート状担持体の材料は、検査対象の動物の尿によって化学変化しないものであると好ましく、具体的には、セルロース、セルロース誘導体、レーヨン、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコールなどの親水性高分子や、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの疎水性高分子が挙げられる。また、上記シート状担持体の形状は特に限定されないが、不織布などの多孔性シートであると、上記健康指示薬と上記ポリオール組成物、及び水の保持がし易いとともに、検出対象液体を吸収しやすく、長時間に亘って変化後の色相を保持しやすい。
【0055】
上記シート状担持体に上記ポリオール組成物及び健康指示薬を担持させる方法としては、上記ポリオール組成物を液状となる温度にして、上記健康指示薬とともに上記シート状担持体の内部にまで含浸させる方法の他、上記シート状担持体の表面に塗工する方法も挙げられる。冷却後は常温で固形状であるため、上記シート状担持体と親和性が高ければ剥がれ落ちにくいものとなり、また、表面に載せることが出来る程度の少量でも十分に呈色させることができる。塗工する方法としては、ホットメルトコーター、リバースコーター、ホットスタンプ、スプレーコーティング、グラビア印刷機などの機械を用いた塗工が挙げられる。
【0056】
また、上記シート状担持体の裏面に、水を透過しないシートを貼り合わせると、他方の面を上に敷設することで、尿の透過を防ぎ、変化した色相の保持能力を高めることができる。このような水を透過しないシートとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどのフィルムや耐水性不織布などが挙げられる。
【0057】
動物用トイレに敷設して、動物の尿から動物の罹病状態をチェックする場合には、シートに直接排泄することを動物が嫌がる場合には、その表面を少量の砂で覆って、動物に排泄させやすくする手段も可能である。この場合、上記動物用健康検査材の表面を覆う砂は、水の吸収性が低いものを用いる必要がある。砂に吸収されて尿が上記動物用健康検査材まで届かなくなっては意味がないからである。
【0058】
このように設置した上記動物用健康検査材は、尿がかかった直後に変色した場合、その変色後の色を少なくとも1時間は保持することができ、6時間以上保持することができるものであると好ましい。
【0059】
一方、この発明にかかる動物用健康検査材の含水率は、0重量%でもよい。含水率が低いことで健康指示薬を長期間にわたって安定に維持することができるため好ましい。ただし、含水率が低いことで初期の色相変化が遅れる場合がある。そのため、初期の色相変化速度を高めるには0.1重量%以上であるとよく、1重量%以上であるとより好ましい。0.1重量%未満であると、変色後の色相の保持性が著しく低下する場合がある。なお、この好ましい含水率の下限は製造時の値であり、使用時の尿が接触するまでの間に水分が揮散して含水率が低下する場合や吸湿して含水率が増加する場合がある。一方で、含水率は特定ポリエチレングリコールの場合、15重量%以下である必要がある。また、ポリオール配合物、ポリオール調製物の場合、30重量%以下である必要がある。水分が多すぎる状態で長期間保存していると、pH指示薬など上記健康指示薬の種類によっては再結晶してしまう場合がある。このような再結晶が起こると、上記健康指示薬の状態が変わり、必要な色相変化を示すことができなくなってしまう場合がある。特定ポリエチレングリコールの場合、含水率が15重量%、ポリオール配合物、ポリオール調製物の場合、30重量%を超えると、この可能性が特に高くなってしまうため、それぞれの重量%以下であることが必要であり、特に長期間保存する場合には、ポリオール組成物の水分量は15重量%以下であるとより好ましい。また、特定ポリエチレングリコールの場合、含水率が15重量%を超えると、接触した尿によって健康指示薬の流出が向上する場合がある。なお、この発明にかかる動物用健康検査材を製造するにあたっては、含水率を適切な値とするために、上記のポリオール組成物が含有する水以外に、別途水を担持させてもよい。
【0060】
また、この発明にかかる動物用健康検査材は、上記の成分の他に、この発明にかかる作用を阻害しない範囲で添加剤を有していても良い。このような添加剤としては、ブチルヒドロキシトルエン、ジブチルヒドロキシアニソールなどの酸化防止剤、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェノン)ベンゾトリアゾールなどの光安定化剤、ブロッキング防止目的としてワックスやセルロースパウダーなどのブロッキング防止剤などが挙げられる。
【0061】
さらに、この発明にかかる動物用健康検査材は、使用の際に下側となる面に水を透過しないシートを貼り合わせておくと、尿の透過を防ぎ、変化した色相の保持能力を高め、変色が裏移りせず、色が拡散しにくくなるためより好ましい。このような水を透過しないシートとしてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどのフィルムや耐水性不織布などが挙げられる。また、貼り合わせる方法としては、熱溶着、ドライラミネート、または動物用健康検査材の下に設置するだけでも同様の効果を得ることができる。
【実施例】
【0062】
以下、実施例を挙げてこの発明をより具体的に示す。なお、水酸基価の測定は、JIS H 0070に準じて実施した。
【0063】
<pH指示薬を用いた場合>
(実施例1)
水酸基価が6mgKOH/gであり、含水率10重量%である常温で固体状のポリエチレングリコール(ナカライテクス(株)製:#20000、不純物としてエチレングリコールを含む。(表中、ポリエチレングリコールを「PEG」と略記する。)100重量部に、pH指示薬としてメチルレッド(純正化学(株)製)を0.03重量部及びブロモチモールブルー(純正化学(株)製)を0.03重量部、初期pH調整剤としてクエン酸一水和物0.004重量部とを均一に溶解させ、80℃に加温した後、シート状担持体であるレーヨン不織布(金星製紙(株)製:ボンリック4100)100重量部にバーコーター(No.10)を用いて担持させたシート状の動物用健康検査材を得た。
【0064】
得られた動物用健康検査材の上方から、pH6.8、7.4、8.0に調整したpH調整液をそれぞれ滴下したものを、25℃の環境下で経時的な色相変化を目視にて観察した。その結果を表1に示す。なお、表中の◎、○、△、×の意味は以下の通りである。
・◎:適正な無変色、もしくは色相変化があり、評価が可能
・○:一旦変色した色相が元に戻りつつあるが、評価は可能
・△:試験前に比べ僅かに色相変化があるが、評価は不可能
・×:不適正な無変色、もしくは色相変化があり、評価が不可能(変色後に元に戻った場合を含む。)
なお、適正な無変色とは、pH調整液のpH値上、その色のままであることが適正である状態を示す。また、不適正な無変色とは、本来pH値上は変色するはずであるにも拘わらず変色しないものをいう。
【0065】
【表1】

【0066】
またそれとは別に、上記の得られた動物用健康検査材をアルミ袋内に密封し、40℃の環境で3ヶ月保管した後、上記と同様に三種類のpH調整液を滴下した後の色相変化を観察した。その結果を表1に示す。
【0067】
(実施例2)
実施例1において、水酸基価が890mgKOH/gであり、含水率10重量%である常温で液体状のポリグリセリン(阪本薬品工業(株)製:#750、不純物としてグリセリンを含む。)10重量部を加え、初期pH調整剤を無添加にした以外は実施例1と同様の手順により動物用健康検査材を得て、同様の試験を行った。その結果を表1に示す。
【0068】
(実施例3)
実施例2で用いたポリグリセリンを25重量部とし、HLB値が3であり、含水率0重量%である常温で固体状のポリグリセリン脂肪酸エステル(太陽化学(株)製:サンソフトQ−1810S)(表中、ポリグリセリン脂肪酸エステルを「PGFAE」と略記する。)75重量部を加えた以外は実施例2と同様の手順により動物用健康検査材を得て、同様の試験を行った。その結果を表1に示す。
【0069】
(実施例4)
実施例3で用いたポリグリセリン脂肪酸エステルを、HLB値が14.9であり、含水率0重量%である常温で固体状のポリグリセリン脂肪酸エステル(太陽化学(株)製:サンソフトQ−18Y)75重量部に変えた以外は実施例2と同様の手順により動物用健康検査材を得て、同様の試験を行った。その結果を表1に示す。
【0070】
(実施例5)
実施例3で用いたポリグリセリン脂肪酸エステルを、HLB値が11であり、含水率0重量%である常温で固体状のポリグリセリン脂肪酸エステル(太陽化学(株)製:サンソフトQ−182S)6.3重量部に変えた以外は実施例2と同様の手順により動物用健康検査材を得て、同様の試験を行った。その結果を表1に示す。
【0071】
(実施例6)
実施例5で用いたポリグリセリン脂肪酸エステルを500重量部に変えた以外は実施例2と同様の手順により動物用健康検査材を得て、同様の試験を行った。その結果を表1に示す。
【0072】
(実施例7)
実施例3で用いたポリグリセリンを、水酸基価が1070mgKOH/gであり、含水率5重量%である常温で液体状のポリグリセリン(阪本薬品工業(株)製:#310、不純物としてグリセリンを含む。)に変えた以外は実施例2と同様の手順により動物用健康検査材を得て、同様の試験を行った。その結果を表1に示す。
【0073】
(実施例8)
実施例3で用いたポリエチレングリコールを水酸基価が113mgKOH/gであり、含水率5重量%である常温で固体状のポリエチレングリコール(ナカライテクス(株)製:#1000、不純物としてエチレングリコールを含む。)100重量部に変えた以外は実施例2と同様の手順により動物用健康検査材を得て、同様の試験を行った。その結果を表1に示す。
【0074】
(実施例9)
実施例8で用いた動物用健康検査材にポリグリセリン脂肪酸エステルを、HLB値が6.7であり、含水率0重量%である常温で固体状のソルビタン脂肪酸エステル(花王(株)製:エマゾールP−10V)75重量部に変えた以外は実施例2と同様の手順により動物用健康検査材を得て、同様の試験を行った。その結果を表1に示す。
【0075】
(実施例10)
実施例8で用いたポリグリセリン脂肪酸エステルを、HLB値が7であり、含水率0.5重量%である常温で固体状のショ糖脂肪酸エステル(三菱化学フーズ(株)製:シュガーエステルS−770)75重量部に変えた以外は実施例2と同様の手順により動物用健康検査材を得て、同様の試験を行った。その結果を表1に示す。
【0076】
<罹病状態の猫の尿での検討>
(実施例11)
実施例3で得られた動物用健康検査材にpH調整液の代わりに罹病状態の猫から採取したpH7.2の尿を用いた以外は実施例2と同様の試験を行った。その結果を表2に示す。
【0077】
【表2】

【0078】
<猫砂の上に設置での検討>
(実施例12)
実施例1において、シリカゲルの猫砂(アイリスオーヤマ(株)製 商品名:脱臭サンド、アルカリ性)の上に動物用健康検査材を設置した以外は、実施例1と同様の試験を実施した。その結果を表2に示す。
【0079】
<その他の病気への応用例>
(実施例13)
実施例3で用いたpH指示薬の代わりに、テトラブロムフェノールブルー(東京化成工業(株)製、表中「TBPB」と略記する。):0.02重量部を用い、初期pH調整剤としてクエン酸(扶桑化学工業(株)製)5重量部を用い、pH調整液を蛋白調製液に変えた以外は実施例3と同様の手順により動物用健康検査材を得て、同様の試験を行った。その結果を表2に示す。なお、蛋白調製液は、水にアルブミン[人血清由来(和光純薬工業(株)製)を(1)0mg/dL(無添加)、(2)15mg/dL、(3)100mg/dLに調製したものを使用した。
【0080】
(実施例14)
実施例3で用いたpH指示薬の代わりに、グルコースオキシダーゼ(関東化学(株)製):0.0002重量部、ペルオキシダーゼ(関東化学(株)製):0.0014重量部、o−トリジン(キシダ化学(株)製):0.055重量部からなる混合物を用い、pH調整液をブドウ糖調製液に変えた以外は実施例2と同様の手順により動物用健康検査材を得て、同様の試験を行った。その結果を表2に示す。なお、ブドウ糖調製液は、水にD−(+)−グルコース(ナカライテクス(株)製)を(1)0mg/dL(無添加)、(2)100mg/dL、(3)500mg/dLに調製したものを使用した。
【0081】
(実施例15)
実施例3で用いたpH指示薬の代わりに、クメンヒドロペルオキシド(ナカライテクス(株)製):0.015重量部、o−トリジン(キシダ化学(株)製):0.025重量部からなる混合物を用い、pH調整液をヘモグロビン調製液に変えた以外は実施例2と同様の手順により動物用健康検査材を得て、同様の試験を行った。その結果を表2に示す。なお、ヘモグロビン調製液は、水にヘモグロビン(和光純薬工業(株)製)を(1)0mg/dL(無添加)、(2)0.06mg/dL、(3)0.15mg/dLに調製したものを使用した。
【0082】
(実施例16)
実施例2で用いたポリグリセリンの代わりにHLB値が11であり、含水率0重量%である常温で固体状のポリグリセリン脂肪酸エステル(太陽化学(株)製:サンソフトQ−182S)550重量部に変えた以外は実施例2と同様の手順により動物用健康検査材を得て、同様の試験を行った。その結果を表2に示す。
【0083】
(実施例17)
実施例2で用いたポリグリセリンの代わりにHLB値が11であり、含水率0重量%である常温で固体状のポリグリセリン脂肪酸エステル(太陽化学(株)製:サンソフトQ−182S)6重量部に変えた以外は実施例2と同様の手順により動物用健康検査材を得て、同様の試験を行った。それらの結果を表2に示す。
【0084】
(実施例18)
実施例2で用いたポリエチレングリコールの代わりにHLB値が11であり、含水率0重量%である常温で固体状のポリグリセリン脂肪酸エステル(太陽化学(株)製:サンソフトQ−182S)に変え、ポリグリセリンを20重量部に変えた以外は実施例2と同様の手順により動物用健康検査材を得て、同様の試験を行った。それらの結果を表2に示す。
【0085】
(実施例19)
実施例3で得られたポリオール調製物をシート状担持体に8g/mとなるようにホットメルトコーター(松下工業(株)製)にてコーティングして動物用健康検査材を得て、実施例1と同様の試験を行った。それらの結果を表2に示す。
【0086】
(実施例20)
実施例3で用いたポリグリセリン脂肪酸エステルを70重量部に変え、含水率0重量%である常温で固体状のパラフィンワックス(日本精鑞(株)製:155):5重量部を加えた以外は実施例2と同様の手順により動物用健康検査材を得て、同様の試験を行った。その結果を表2に示す。
【0087】
(実施例21)
実施例18のポリグリセリンを13重量部に変え、HLB値が3であり、含水率0重量%である常温で固体状のポリグリセリン脂肪酸エステル(太陽化学(株)製:サンソフトQ−1810S)に変えた以外は、実施例18と同様の手順により動物用健康検査材を得て、同様の試験を行った。その結果を表3に示す。
【0088】
【表3】

【0089】
(実施例22)
実施例18で用いたポリグリセリンを水酸基価が1070mgKOH/gであり、含水率5重量%である常温で液体状のポリグリセリン(阪本薬品工業(株)製:#310、不純物としてグリセリンを含む。)42重量部に変え、HLB値が12であり、含水率0重量%である常温で固体状のポリグリセリン脂肪酸エステル(太陽化学(株)製:サンソフトQ−18S)に変えた以外は、実施例18と同様の手順により動物用健康検査材を得て、同様の試験を行った。その結果を表3に示す。
【0090】
(実施例23)
実施例18で用いた健康指示薬を水47重量部に溶かして加えた以外は、実施例18と同様の手順により動物用健康検査材を得て、同様の試験を行った。その結果を表3に示す。
【0091】
(実施例24)
実施例5で用いたポリエチレングリコールを120重量部に変え、ポリグリセリンを5重量部に変え、HLB値が3であり、含水率0重量%である常温で固体状のポリグリセリン脂肪酸エステル(太陽化学(株)製:サンソフトQ−1810S)500重量部に変えた以外は、実施例5と同様の手順により動物用健康検査材を得て、同様の試験を行った。その結果を表3に示す。
【0092】
(実施例25)
実施例5で用いたポリエチレングリコールを水酸基価が113mgKOH/gであり、含水率5重量%である常温で固体状のポリエチレングリコール(ナカライテクス(株)製:#1000、不純物としてエチレングリコールを含む。)5重量部に変え、ポリグリセリンを水酸基価が1070mgKOH/gであり、含水率5重量%である常温で液体状のポリグリセリン(阪本薬品工業(株)製:#310、不純物としてグリセリンを含む。)120重量部に変え、HLB値が12であり、含水率0重量%である常温で固体状のポリグリセリン脂肪酸エステル(太陽化学(株)製:サンソフトQ−18S)6.3重量部に変えた以外は、実施例5と同様の手順により動物用健康検査材を得て、同様の試験を行った。その結果を表3に示す。
【0093】
(実施例26)
実施例3で得られたポリオール調製物にHLB値が6.7であり、含水率0重量%である常温で固体状のソルビタン脂肪酸エステル(花王(株)製:エマゾールP−10V)25重量部加えた以外は、実施例3と同様の手順により動物用健康検査材を得て、同様の試験を行った。その結果を表3に示す。
【0094】
(実施例27)
実施例1で得られた動物用健康検査材の裏面に、周囲に両面テープを貼り付けた厚さ30μmのポリエチレンフィルムを貼り合わせて得られた動物用健康検査材を用いた以外は、実施例1と同様の試験を行った。その結果を表3に示す。
【0095】
(実施例28)
実施例1で用いたポリエチレングリコールの代わりに水酸基価が113mgKOH/gであり、含水率5重量%である常温で固体状のポリエチレングリコール(ナカライテクス(株)製:#1000、不純物としてエチレングリコールを含む。)に変えた以外は実施例1と同様の手順により動物用健康検査材を得て、同様の試験を行った。その結果を表3に示す。
【0096】
(実施例29)
実施例28において、水酸基価が190mgKOH/gであり、含水率5重量%である常温でペースト状のポリエチレングリコール(ナカライテクス(株)製:#600、不純物としてエチレングリコールを含む。)5重量部を加えた以外は実施例1と同様の手順により動物用健康検査材を得て、同様の試験を行った。またその混合物は常温で固体状であった。その結果を表3に示す。
【0097】
(比較例1)
実施例1で用いたポリエチレングリコールの代わりに水酸基価が281mgKOH/gであり、含水率5重量%である常温で液体状のポリエチレングリコール(ナカライテクス(株)製:#400、不純物としてエチレングリコールを含む。)を用いた以外は、実施例1と同様の手順により動物用健康検査材を得て、同様の試験を行った。その結果、色相変化は生じたもののシートが濡れた状態であるため、健康指示薬が拡散し、色相が薄れてしまうため、すぐに評価ができなくなった。それらの結果を表4に示す。
【0098】
【表4】

【0099】
(比較例2)
実施例1で用いたポリエチレングリコールの代わりに水酸基価が890mgKOH/gであり、含水率10重量%である常温で液体状のポリグリセリン(阪本薬品工業(株)製:#750、不純物としてグリセリンを含む。)を用いた以外は、実施例1と同様の手順により動物用健康検査材を得て、同様の試験を行った。長時間の色相保持や健康指示薬の安定性は良好であるものの、pH調整液滴下直後に動物用健康検査材の表面がべたついてしまい、排尿中又はその直後の動物の毛に健康指示薬が呈する色が移行してしまうものとなった。それらの結果を表4に示す。
【0100】
(比較例3)
実施例3において、ポリグリセリンの代わりに水酸基価が1830mgKOH/gであり、含水率1重量%である常温で液体状のグリセリン(ナカライテクス(株)製)を用いた以外は、実施例2と同様の手順により動物用健康検査材を得て、同様の試験を行った。その結果、3ヶ月保管後は色相が変化しなくなってしまった。これはグリセリンの水酸基によりpH指示薬が変性されてpH試験機能が失われてしまったからと考えられる。それらの結果を表4に示す。
【0101】
(比較例4)
実施例1で用いたポリエチレングリコールの代わりに水酸基価が503mgKOH/gであり、含水率0重量%である常温で固体状のHLB値11のポリグリセリン脂肪酸エステル(太陽化学(株)製:サンソフトQ−182S)を用いた以外は、実施例1と同様の手順により動物用健康検査材を得て、同様の試験を行った。その結果、評価が可能である色相に到達するまでに3時間程度要するため、誤った判断を下す可能性があった。それらの結果を表4に示す。
【0102】
(比較例5)
実施例1で用いたポリエチレングリコールの代わりに水酸基価が290mgKOH/gであり、含水率0重量%である常温で固体状のHLB値6.7のソルビタン脂肪酸エステル(花王(株)製:エマゾールP−10V)(表中、ソルビタン脂肪酸エステルを「ソルビタンFAE」と略記する。)を用いた以外は、実施例1と同様の手順により動物用健康検査材を得て、同様の試験を行った。その結果、色相が変わらなかった。それらの結果を表4に示す。
【0103】
(比較例6)
実施例1で用いたポリエチレングリコールの代わりに水酸基価が370mgKOH/gであり、含水率0.5重量%である常温で固体状のHLB値7のショ糖脂肪酸エステル(三菱化学フーズ(株)製:シュガーエステルS−770)を用いた以外は、実施例1と同様の手順により動物用健康検査材を得ようとしたが、その結果、常温で粘調な状態となったため、シート表面へのコーティングが困難なものとなった。また仮にコーティングできたとしても、シート表面がべたついてしまい、排尿中又はその直後の動物の毛に健康指示薬が呈する色が移行してしまうものになると推察される。その結果を表4に示す。
【0104】
(比較例7)
実施例1で用いたポリエチレングリコールの代わりに水酸基価が890mgKOH/gであり、含水率10重量%である常温で液体状のポリグリセリン(阪本薬品工業(株)製:#750、不純物としてグリセリンを含む。)を用い、含水率0重量%である常温で固体状のパラフィンワックス(日本精鑞(株)製:155):200重量部加えた以外は、実施例1と同様の手順により動物用健康検査材を得ようとしたが、混合物が分層してしまい動物用健康検査材を得ることができなかった。その結果を表4に示す。
【0105】
(比較例8)
実施例3で用いたポリエチレングリコールを水酸基価が113mgKOH/gであり、含水率5重量%である常温で固体状のポリエチレングリコール(ナカライテクス(株)製:#1000、不純物としてエチレングリコールを含む。)に変え、同じくポリグリセリン脂肪酸エステルをHLB値が15であり、含水率0重量%である常温で固体状のポリグリセリン脂肪酸エステル(太陽化学(株)製:サンファットPS−68)に変えた以外は実施例2と同様の手順により動物用健康検査材を得て、同様の試験を行った。その結果、色相が変わらなかった。それらの結果を表4に示す。
【0106】
(比較例9)
動物用健康検査材の代わりに、市販のpH試験紙(アドバンテック(株)製・商品名ブロモチモールブルー試験紙)を用いて実施例1と同様の試験を行ったところ、pH調整液を滴下した直後は変色するものの、水の揮散に伴い、1時間後には滴下前の色相に戻ってしまった。その結果を表4に示す。
【0107】
(比較例10)
動物用健康検査材の代わりに、再生パルプ、デンプン、及びpH指示薬により構成されたペットの尿で診断する健康管理商品(ペットライブラリー(株)製・商品名:ペーハーマスター)を用いて実施例1と同様の試験を行ったところ、pH調整液を滴下した直後は変色するものの、水の揮散に伴い、1時間後には滴下前の色相に戻ってしまった。その結果を表4に示す。
【0108】
(比較例11)
実施例1において、水10重量部を加えた以外は実施例1と同様の手順により動物用健康検査材を得て、同様の試験を行った。また、得られた動物用健康検査材の含水率は15重量%であった。その結果、3ヶ月保管後は色相が変化しなくなってしまった。これは含水率が高いためにpH指示薬が変性されてpH試験機能が失われてしまったからと考えられる。それらの結果を表5に示す。
【0109】
【表5】

【0110】
(比較例12)
実施例18のポリグリセリンを10重量部に変えた以外は、実施例18と同様の手順により動物用健康検査材を得て、同様の試験を行った。その結果、5分後でも評価は不可能であり、誤った判断を下す可能性があった。それらの結果を表5に示す。
【0111】
(比較例13)
実施例18のポリグリセリンを43重量部に変えた以外は、実施例18と同様の手順により動物用健康検査材を得て、同様の試験を行った。その結果、長時間の色相保持や健康指示薬の安定性は良好であるものの、pH調整液滴下直後に動物用健康検査材の表面がベタついてしまい、排尿中又はその直後の動物の毛に健康指示薬が呈する色が移行してしまうものとなった。それらの結果を表5に示す。
【0112】
(比較例14)
実施例23の水を50重量部に変えた以外は、実施例23と同様の手順により動物用健康検査材を得て、同様の試験を行った。その結果、3ヶ月保管後は色相で判断がなくなってしまった。これは含水率が高いためにpH指示薬が変性されてpH試験機能が失われてしまったからと考えられる。それらの結果を表5に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水酸基価が6mgKOH/g以上1500mgKOH/g以下であり、常温固体状であり、含水率が15重量%以下であるポリエチレングリコールと、
動物の非罹病状態における尿に接触した際の色相と罹病状態における尿に接触した際の色相とが異なる健康指示薬とを含み、ポリエチレングリコールの含有率が90重量%以上である組成物を、シート状担持体に担持させて、罹病状態における尿と接触して上記健康指示薬による色相変化を呈しその変化後の色相を保持することができる動物用健康検査材。
【請求項2】
水酸基価が6mgKOH/g以上1500mgKOH/g以下であるポリグリセリンと、常温で固体状であり、かつ、HLB値が3以上15未満であるポリオール脂肪酸エステルとからなり、ポリグリセリンとポリオール脂肪酸エステルとの重量混合比が10:90〜30:70であり、かつ、全体の水酸基価が6mgKOH/g以上1500mgKOH/g以下であり、常温固体状であり、含水率が30重量%以下であるポリオール配合物と、
動物の非罹病状態における尿に接触した際の色相と罹病状態における尿に接触した際の色相とが異なる健康指示薬とを含み、上記ポリオール配合物の含有率が90重量%以上である組成物を、シート状担持体に担持させて、罹病状態における尿と接触して上記健康指示薬による色相変化を呈しその変化後の色相を保持することができる動物用健康検査材。
【請求項3】
水酸基価が6mgKOH/g以上1500mgKOH/g以下であるポリエチレングリコールと、水酸基価が6mgKOH/g以上1500mgKOH/g以下であるポリグリセリン、常温で固体状であり、かつ、HLB値が3以上15未満であるポリオール脂肪酸エステル、又はその両方とからなり、かつ、全体の水酸基価が6mgKOH/g以上1500mgKOH/g以下であり、常温固体状であり、含水率が30重量%以下であるポリオール調製物と、
動物の非罹病状態における尿に接触した際の色相と罹病状態における尿に接触した際の色相とが異なる健康指示薬とを含み、上記ポリオール調製物の含有率が90重量%以上である組成物を、シート状担持体に担持させて、罹病状態における尿と接触して上記健康指示薬による色相変化を呈しその変化後の色相を保持することができる動物用健康検査材。
【請求項4】
上記ポリオール脂肪酸エステルが、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、及び、ショ糖脂肪酸エステルのうち、少なくとも1種類からなる請求項2又は3に記載の動物用健康検査材。
【請求項5】
上記動物の尿と接触する前の色相が、罹病状態における尿と接触した際の色相よりも、非罹病状態における尿と接触した際の色相に寄ったものとなるように、上記健康指示薬の含有量を調整し、かつ、その色相を3時間以上に亘って保持し続けることができる請求項1乃至4のいずれか1項に記載の動物用健康検査材。
【請求項6】
上記シート状担持体の裏面に水を透過しないシートを貼り合わせた請求項1乃至5のいずれか1項に記載の動物用健康検査材。

【公開番号】特開2009−265093(P2009−265093A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−86094(P2009−86094)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000115980)レンゴー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】