説明

動物親子おもちゃ

【課題】子供の成長過程に適した用途に変更して継続して利用可能なおもちゃ、特に、このような動物親子おもちゃを提供する。
【解決手段】動物親子おもちゃは、収納空間21および収納空間21を覆うように設けられたクッション性部材22を含み、親動物を模した親動物おもちゃ11と、収納空間21内に収納され、親動物おもちゃ11の子動物を模した子動物おもちゃ12とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、動物親子おもちゃ、特に、子供の成長過程に適した用途に変更することによって継続して利用可能な動物親子おもちゃに関するものである。
【背景技術】
【0002】
妊娠を知ったときの父親、母親は、愛情の結晶としての生命が宿ったことに感動し、胎児が無事に成長することを願う。初めて我が子を抱いた日、親はただひたすら小さな生命の幸せを願う。子供に対する親としての素直な心、あたたかい心をいつまでも忘れずにいたい。このようなやさしい思いが子供たちに届けば、子供は親の愛情を感じとり、素直であたたかい心を持った子に育つ。
【0003】
子供があたたかい心を持って成長することは、全世界共通の願いである。乳幼児の0歳〜3歳児の頃は、自我が芽生える最も重要な時期とされている。言い換えれば、脳が最も発達する時期である。この時期に乳幼児があたたかい心を持って健全に成長するためには、親が子供に対してあたたかい心を持って深い愛情を注ぐことが重要である。親と子供が愛情および感動を共有すれば、子供の脳に対して優しい環境を作り上げることができることが知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
子供が親から受けた愛情をいつまでも記憶に留めていれば、その子はあたたかい心を持って育つ。したがって、特に子供が3歳になるまでの間に親から受けた愛情の記憶を、その後の成長時期においても子供の記憶に持続して残したい。
【0005】
しかし、一般的に0歳〜3歳までの時期の思い出は子供の記憶にはほとんど留まらない。したがって、子供が大きくなってからこの時期の記憶を思い起こすためには、親から受けた愛情の痕跡がおもちゃ等の媒体に残っていることが望ましい。
【0006】
そこで、この発明の目的は、子供の成長過程に適した用途に変更することによって継続して利用可能なおもちゃ、特にこのような動物親子おもちゃを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る動物親子おもちゃは、収納空間および収納空間を覆うように設けられたクッション性部材を含み、親動物を模した親動物おもちゃと、収納空間内に出し入れ可能な状態で収納され、親動物おもちゃの子動物を模した子動物おもちゃとを備える。
【0008】
上記構成の動物親子おもちゃは、例えば妊娠中にはクッションとして、授乳期には授乳クッションとして母親が使用し、その後は抱き枕やクッションとして子供が使用する。このように、母親の匂いが染み込んだ動物親子おもちゃを子供が継続して使用することにより、子供は母親の匂いに包まれてリラックスすることができる。
【0009】
また、親動物おもちゃの中から子動物おもちゃを取り出すことを通して、子供は親から生まれてくることを認識することができる。さらに、親動物おもちゃを母親に、子動物おもちゃを自分に見立てて遊ぶことにより、この動物親子おもちゃを通して親子の愛情の大切さを伝えることができる。
【0010】
好ましくは、収納空間には、子動物おもちゃとは異なる第2のおもちゃがさらに収納されている。この収納空間には、例えば子供の時に使用したおもちゃ、特に0歳〜3歳の時期に遊んだおもちゃを収納しておく。そして、子供の誕生日等に中身を取り出して当時の記憶を思い起こす。これにより、子供が親から受けた愛情の記憶を、その後の成長過程においても継続して思い出すことができる。
【0011】
好ましくは、収納空間にはハンカチがさらに収納されている。このハンカチは、母親が普段から使用していたものや、授乳用クッションとしての親動物おもちゃのカバーとして使用したものであってもよい。このようなハンカチは母親の匂いが染み込んでいるので、子供は、このハンカチを見る度に母親から受けた愛情を思い出すことができる。
【0012】
好ましくは、収納空間には、親動物おもちゃ、子動物おもちゃ、および第2のおもちゃのうちの少なくとも1つが登場する物語が記載された絵本がさらに収納されている。
【0013】
上記構成の動物親子おもちゃは、例えば、子供が言葉を認識するまでの間は、親が絵本を読みながらおもちゃ(「親動物おもちゃ」、「子動物おもちゃ」、および「第2のおもちゃ」を含む)で物語の内容を表現する。子供が言葉を認識できるようになってからは、親が絵本を読むのに合わせて子供がおもちゃで物語の内容を表現する。さらに、子供が文字を認識できるようになってからは、自分で絵本を読みながらおもちゃで物語の内容を表現する。
【0014】
このように、子供の成長過程に応じて様々な態様で遊べるおもちゃを提供することにより、子供は親から受けた愛情の詰まった動物親子おもちゃを継続して使用する。その結果、いつまでも親から受けた愛情を思い出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1〜図7を参照して、この発明の一実施形態に係る動物親子おもちゃを説明する。なお、図1は親動物おもちゃとしての親クジラ11を示す図、図2は子動物おもちゃとしての子クジラ12を示す図、図3はハンカチ13を示す図、図4は第2のおもちゃとしてのボールトイ14を示す図、図5は絵本15を示す図、図6は親クジラ11の内部構造を示す図、図7はボールトイ14の構造を示す図である。
【0016】
まず、図1を参照して、親クジラ11は、動物親子おもちゃのうちの親動物を模した親動物おもちゃである。図6を参照して、親クジラ11は、収納空間21と、収納空間21を覆うように設けられたクッション性部材22とを含み、口23の部分がジッパー等によって開閉可能となっている。
【0017】
収納空間21は、一部に開口部25を有する外殻24によって覆われた空間であって、後述するおもちゃ等を収納する。開口部25は口23の方向を向いており、口23を開くと収納空間21のおもちゃ等を出し入れすることができる。外殻24を構成する材料は特に限定されないが、親クジラ11をクッション等として利用する観点からは、発泡スチロール等の軽量な材料が望ましい。
【0018】
クッション性部材22としては、綿、羽毛、またはウレタン等の公知の材料を使用することができ、親クジラ11の形状を保持すると共に、触り心地を向上させる。なお、親クジラ11をクッションとして使用する際に外殻24の硬さを使用者に感じさせないように、使用者が触れる機会の多い上部領域に配置されるクッション性部材22が相対的に多くなっている。一方、親クジラ11を床に載置して使用する場合の安定性を高めるために、下部領域に配置されるクッション性部材22は相対的に少なくなっている。
【0019】
この親クジラ11は、例えば、妊娠中の母親がリラックスする際にクッションとして使用することができる。また、授乳時に乳幼児の首を支える腕を置くための授乳クッションとして使用することができる。さらには、子供のクッションや抱き枕としても使用することができる。
【0020】
このように、親クジラ11は、胎児の時期から子供の成長過程に適した用途に変更することによって継続して使用することができる。また、母親の使用していた親クジラ11を子供が継続して使用することにより、子供は母親の匂いに包まれてリラックスすることができる。その結果、乳幼児の時期(特に0歳〜3歳までの時期)に親から受けた愛情を成長してからも思い出すことができる。
【0021】
次に、図2を参照して、子クジラ12は、親クジラ11の子供を模した子動物おもちゃである。この子クジラ12は、図6に示すように親クジラ11の収納空間21に収納可能な大きさである。そして、子供は親クジラ11の中から子クジラ12を取り出すことを通して、子供は親から生まれてくることを認識することができる。また、親クジラ11を母親に、子クジラ12を自分に見立てて遊ぶことにより、この動物親子おもちゃを通して、親子の愛情を伝えることができる。なお、子クジラ12の材質は特に限定されず、クッション性部材によって構成してもよいし、樹脂等の硬質材料で構成してもよい。
【0022】
次に、図3を参照して、ハンカチ13は、例えば、母親が普段から使用していたものや、親クジラ11を授乳用クッションとして使用する際の防汚カバーとして使用したもの等、任意のものを用いることができる。このようなハンカチ13には母親の匂いが特に染み込んでいるので、子供はこのハンカチ13を見る度に母親から受けた愛情を思い出すことができる。このハンカチ13は、収納空間21に収納してもよいし、親クジラ11や子クジラ12の尾びれを構成するように結びつけてもよいし、潮を吹いている状態を表現するために親クジラ11や子クジラ12の上部に取り付ける等してもよい。
【0023】
次に、図4を参照して、ボールトイ14は、透明の球体の内部に小球やマスコット等の任意のおもちゃを封入したものであり、収納空間21内に収納可能な大きさである。このボールトイ14は、床上を転がしたりして遊ぶことができる。また、この球体は分割可能な状態となっており、中身を取り替えることもできる。
【0024】
図7を参照して、ボールトイ14の一形態としては、内部が空洞の球体31と、球体31の内部に保持される軸32と、軸32に回転自在に保持されている人形33とを含む。このボールトイ14は、球体31を転がすと球体31の内部の人形33が軸32を中心として回転するスピンラトルである。
【0025】
次に、図5を参照して、絵本15は、例えば、親クジラ11と子クジラ12と悪役としてのボールトイ14(以下、これらを総称して「親クジラ等」という)とが登場する物語が記載されている。物語の具体的な内容は特に限定されてないが、例えば、親クジラ11と子クジラ12とが協力して悪役を退治する物語であってもよいし、悪役に捕まった親クジラ11を子クジラ12が助け出す物語であってもよい。
【0026】
そして、この絵本15は、親が子供に物語を読み聞かせるために使用することができる他、親クジラ等を使って絵本15に記載された物語の内容を表現することができる。例えば、半分に分割した球体31を船に見立てて悪役としての人形33を乗せる。そして、親クジラ11または子クジラ12を用いて船をひっくり返すことによって、悪役を退治するシーンを表現することができる。または、図7に示すボールトイ14を親クジラ11または子クジラ12を用いて転がすことによっても、悪役を退治するシーンを表現することができる。
【0027】
このように、物語の内容を表現する遊びは、子供の成長過程に合わせて親と子供との間で役割分担することができる。例えば、子供が言葉を認識するまでの間は、親が絵本を読みながら親クジラ等で物語の内容を表現する。子供が言葉を認識できるようになってからは、親が絵本を読むのに合わせて子供が親クジラ等で物語の内容を表現する。さらに、子供が文字を認識できるようになってからは、自分で絵本を読みながら親クジラ等で物語の内容を表現する。
【0028】
上記構成の動物親子おもちゃは、親クジラ11、子クジラ12、ハンカチ13、ボールトイ14、および絵本15等の各構成要素を単体として使用することができる他、各構成要素を組み合わせて使用することもできる。また、子供の成長過程に合わせて用途を変更したり、親と子供との間で役割を分担したりして様々な遊びを楽しむことができる。その結果、胎児の段階から生涯にわたって使用することができる動物親子おもちゃを得ることができる。
【0029】
なお、上記の実施形態において、親クジラ11の口23を開閉可能とした例を示したが、これに限ることなく、他の部分を開閉可能としてもよい。例えば、お腹にジッパーを設けて開閉可能とすることもできる。この場合、外殻24は開口部25が下を向くように配置する。
【0030】
また、上記の実施形態において、親クジラ11の用途として主にクッションの例を示したが、これに限ることなく、他の用途に使用することもできる。例えば、内部に発音体を組み込む等してもよいし、お腹の部分から口の部分に手を入れる空間を設けてパペットとして使用できるようにしてもよい。なお、子クジラ12についても同様である。
【0031】
また、上記の実施形態においては、第2のおもちゃとしてのボールトイ14の例を示したが、これに限ることなく、他のおもちゃであってもよい。本明細書中の「第2のおもちゃ」とは、子動物おもちゃとしての子クジラ11と異なるあらゆるおもちゃを指すものとする。
【0032】
例えば、乳幼児の時期に実際に使用したおしゃぶり等のお気に入りのおもちゃであってもよい。このようなお気に入りのおもちゃを収納空間21に収納しておいて、子供の誕生日等のセレモニーとして中身を確認するようにすれば、子供が大きくなった後も継続して乳幼児期の記憶を思い起こすことができる。
【0033】
また、上記の実施形態において、親クジラ11、子クジラ12、およびボールトイ14が絵本15に登場する例を示したが、これに限ることなく、これらのうちの少なくとも1つが登場する物語であればよい。また、これらに加えてハンカチ13を含む他のおもちゃが登場する物語であってもよい。
【0034】
また、図7では、人形33が既に球体31の内部に組み込まれているボールトイ14の例を示したが、この人形33は球体31から出し入れすることができるようにしてもよい。例えば、人形33は絵本15の絵の中に取り出し可能な状態で保持されており、物語の内容を親クジラ等によって表現する際に取り出して組み立てるようにしてもよい。
【0035】
さらに、上記の実施形態において、動物の親子としてのクジラの例を示したが、これに限ることなく、他のあらゆる動物の親子を模した動物親子おもちゃが考えられる。ここで、親動物おもちゃをクッションとして使用する観点からは、滑らかな曲線形状の体を有する動物、例えば、クジラ、イルカ、シャチ等が適しているといえる。
【0036】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0037】
この発明は、動物親子おもちゃに有利に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】この発明の一実施形態に係る親動物おもちゃを示す図である。
【図2】この発明の一実施形態に係る子動物おもちゃを示す図である。
【図3】この発明に使用するハンカチを示す図である。
【図4】この発明の一実施形態に係る第2のおもちゃを示す図である。
【図5】この発明の一実施形態に係る絵本を示す図である。
【図6】図1に示す親クジラの内部構造を示す図である。
【図7】図4に示すボールトイの具体的な構成を示す図である。
【符号の説明】
【0039】
11 親クジラ、12 子クジラ、13 ハンカチ、14 ボールトイ、15 絵本、21 収納空間、22 クッション性部材、23 口、24 開口部、31 球体、32 軸、33 人形。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納空間および前記収納空間を覆うように設けられたクッション性部材を含み、親動物を模した親動物おもちゃと、
前記収納空間内に出し入れ可能な状態で収納され、前記親動物おもちゃの子動物を模した子動物おもちゃとを備える、動物親子おもちゃ。
【請求項2】
前記収納空間には、前記子動物おもちゃとは異なる第2のおもちゃがさらに収納されている、請求項1に記載の動物親子おもちゃ。
【請求項3】
前記収納空間には、ハンカチがさらに収納されている、請求項1または2に記載の動物親子おもちゃ。
【請求項4】
前記収納空間には、前記親動物おもちゃ、前記子動物おもちゃ、および前記第2のおもちゃのうちの少なくとも1つが登場する物語が記載された絵本がさらに収納されている、請求項2に記載の動物親子おもちゃ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−99936(P2008−99936A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−285920(P2006−285920)
【出願日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【出願人】(390006231)アップリカ育児研究会アップリカ▲葛▼西株式会社 (97)
【Fターム(参考)】