説明

動物飼料補助食品用蛍光染料の追跡方法

【課題】従来の動物飼料中の痕跡成分の検出方法では、定性的分析はできたが、定量的分析はできなかった。本発明は、検出飼料添加物中の痕跡成分の定量的検出を可能にする。
【解決手段】水溶性蛍光トレーサを、溶解した飼料添加物に加え、均質混合及び乾燥して、追跡可能な飼料添加物とし、これを動物飼料と混合し、その後、水溶性蛍光トレーサを検出し測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物飼料に添加される補助食品のレベルを定量的に検出する方法に関する。本発明は、更に添加物の定量検出のためにその後乾燥される、溶解した均質な量の蛍光トレーサを含む、予め混合した補助食品の組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
動物飼料中の添加物や補助食品を定量的に検出する要請が以前から存在する。トレーサは安全でなければならない、均一でなければならない、低レベルでも容易に検出できなければならないといった、追跡用添加物として使用する全てのトレーサが満足しなければならない明確な特性がある。これを達成するために多くの試みがなされている。例えば特許文献1は、動物飼料用のコード化されたトレーサを記載している。特許文献2は、染料/指示薬が被覆された鉄粒子を添加することを記載している。前記鉄粒子は、磁石を使用して除去でき、続いて指示薬が展開される。これらのアプローチは、飼料添加物が存在するか否かを決定する(定性的検出)ためには極めて良好に機能するが、定量的(どの位の量が存在するか)にはいくつかの限界がある。液体飼料の場合にも有用とは言えず、生成物を得るためには、粒子と飼料添加物の十分で注意深い混合が必要になる。鉄粒子の粒径とコード化されたトレーサが、前記混合に関する役割を有する。これらのシステムで動物飼料を定量することは理論的には可能であるが、前記システムは実際には定性的な用途で良好に機能する。
【0003】
動物飼料に添加される飼料添加物の量を定量的に検出することが必要な理由は幾つか存在する。その中の1つは、添加物や補助食品の製造者が主張する結果が得られないという農夫や使用者の不満が、時々聞こえてくることである。多くの場合、綿密に調査すると、問題は飼料添加物にあるのではなく、農夫や使用者が製造者の指示に適切に従わないことにあることが判る。最も頻発するのは、製造者の推薦範囲内にない不正確なレベルで使用されることである。つまり過剰又は不足した量が使用されるか、添加物が均一に飼料と混合されていないのである。過剰に使用すると生成物が浪費されるため好ましくない。不足すると期待されあるいは探求されている結果が得られないため好ましくない。適切な分配が望ましく、これは例えば飼い葉桶の一端に居る動物は、飼料が与えられず、他端に居る動物は、全ての飼料を与えられて、過剰な量を摂取してしまうからである。従って、正確なレベルの飼料を使用するだけでなく、飼料混合物と適正に混合して、均一な乾燥混合物を供給することが重要である。
【0004】
これらの農夫や使用者に係わる問題を解決することは困難である。その補助のために、背景技術において開示したシステムが時に応じて使用されている。それらの限界については既に述べた。他の技術も過去において試された。
【0005】
光で励起されたときに、幾つかの化合物(蛍光色素分子)が蛍光を示すという事実を利用するサンプル中の化合物を分析(蛍光分析)することは公知である。蛍光分析は良好な特徴を有するサンプルでは感度が良くかつ正確であるという利点を有するが、重大な欠点も有する。例えば、錯体のサンプルでは、蛍光色素分子の蛍光が、前記蛍光色素分子の周囲の環境に存在する他の化合物によりしばしば変化させられ(クエンチングとして知られる)、錯体及び/又ははっきりした特徴のないサンプルでは定量的に蛍光分析を使用することは困難である。このことは、光の分散を考慮しなければならない不均質又は固相のサンプルでも同様である。例えば、粒状の酵素化合物を、粒状蛍光検出体又はマーカとして光を当てることにより、酵素のような生物的に活性な化合物の蛍光検出を行うことに関する、2002年9月12日発行の特許文献3を参照。他の例が非特許文献1に記載されている(技術注記:動物飼料に添加された液体酵素添加物の検出方法)。これは、蛍光トレーサを使用して液体酵素の存在/不在の検出を含む。
【0006】
マイクロトレーサ、磁気トレーサ、コード化されたトレーサ又は蛍光トレーサを使用する場合でも、上記で言及した検出システムには、存在/不在の検出(定性分析)しか行えず、使用者/農夫が製造者の指示に従っているか否かを決定する定量的検出が行えないという欠点がある。
【0007】
ある種の特定のクラスの混合添加物では、定量的検出が特に重要である。この添加物のクラスには、一般にリシンやメチオニンのような典型的な必須アミノ酸であるα−アミノ酸と錯体化する痕跡成分を使用するミネラル添加物がある。ここでは存在することの検出とその量が重要である。
【0008】
健康促進のためには、十分な量の痕跡金属を動物が利用できる形態で、餌の中に供給する必要がある。摂取された物質が利用できる形態で吸収されることを生物学的利用能と定義する。動物への栄養分の生物学的利用能は、1995年にアマーマン、ベーカー及びルイスにより刊行された総合的なモノグラフに纏められている。
【0009】
動物飼料の痕跡成分の前記生物学的利用能を高めるための添加物として、多くの市販製品が開発されている。これらの製品の有用な効果は、金属と,一般に配位子と称される有機分子の会合に起因する。この会合つまり結合は、金属の動物による利用、つまり生物学的利用能を増加させる。これらの製品における痕跡成分の生物学的利用能が増加するのは、溶解度の増加、内臓内の安定性の増加、循環系への吸収の増大及び/又は代謝的利用の改善の結果である。
【0010】
有機配位子と会合する痕跡元素を含む異なったタイプの製品が市販されている。これらは、製品製造の際に使用する配位子の性質に基づいて異なったグループに分類される。ある製品のクラスでは、アミノ酸が配位子として使用され、金属とともに錯体やキレートを形成する。これらの製品の例が特許文献4〜特許文献14に記載されている。飼料添加物の第2のグループは、プロピオン酸のような短鎖カルボン酸の金属塩を含む(特許文献15〜特許文献18参照)。痕跡元素添加物の第3のグループは、全米飼料協会で、金属蛋白質化合物として分類され、「溶性塩とアミノ酸及び/又は部分的に加水分解された蛋白質のキレート化から得られる製品」と定義されている。これらの製品の例は、特許文献19〜特許文献23に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許明細書第6200610号
【特許文献2】米国特許明細書第4029820号
【特許文献3】米国特許公開第2002/0127586 A1号
【特許文献4】米国特許明細書第3941818号
【特許文献5】米国特許明細書第3950372号
【特許文献6】米国特許明細書第4067994号
【特許文献7】米国特許明細書第4900651号
【特許文献8】米国特許明細書第4948594号
【特許文献9】米国特許明細書第4956188号
【特許文献10】米国特許明細書第5061815号
【特許文献11】米国特許明細書第5278329号
【特許文献12】米国特許明細書第5583243号
【特許文献13】米国特許明細書第4863898号
【特許文献14】米国特許明細書第6166071号
【特許文献15】米国特許明細書第5591878号
【特許文献16】米国特許明細書第5707679号
【特許文献17】米国特許明細書第5795615号
【特許文献18】米国特許明細書第5846581号
【特許文献19】米国特許明細書第3400054号
【特許文献20】米国特許明細書第3463858号
【特許文献21】米国特許明細書第3775132号
【特許文献22】米国特許明細書第3969540号
【特許文献23】米国特許明細書第4020158号
【特許文献24】米国特許明細書第4076803号
【特許文献25】米国特許明細書第4103003号
【特許文献26】米国特許明細書第4172072号
【特許文献23】米国特許明細書第5698724号
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Journal of Animal Science, 2001, 79:2731-2735
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の主目的は、特に痕跡成分とアミノ酸の錯体の飼料添加物の定量的検出方法を提供することにある。
【0014】
本発明の他の目的は、飼料に添加されると、動物飼料に混合されたときに定量的検出を可能にする蛍光検出体を含む飼料添加混合物を製造することにある。
【0015】
上記目的及び他の目的を達成する方法及び手段は、以下の発明の詳細な説明から明らかになると思う。
【課題を解決するための手段】
【0016】
製造プロセスの間に、液体添加物の形態で混合された、可溶性トレーサ蛍光体を使用して、動物飼料混合物に添加された混合飼料添加物の量を定量的に検出し測定するための組成物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、一般的な家畜飼料の添加された溶解された飼料添加物の定量的検出のための方法に関する。飼料添加物が添加される家畜飼料は、一般に牛、豚、鶏、羊などの飼料が与えられる家畜の種類によって異なる。これらのための典型的な飼料は、動物によって大きく異なるが、ミネラル、穀物及び牧草を含む。飼料に応じて、飼料添加物は乾燥状態で添加し、攪拌し又は拡散させてトップドレッシング(top dressing)とする。種々の製造者による添加法及び添加量は、補助食品製造者や供給される補助食品に応じて変化する。例えば、痕跡成分のアミノ酸錯体を含むジンプロ・コーポレーションの飼料添加物では、典型的な飼料の推薦レベルは、動物が、豚、鶏、肉牛、乳牛、羊又は馬であるかによって異なる(しかし一般に、豚及び鶏の配給量1トン当たり1ポンド(約450g)から肉牛、乳牛の2.5g/日まで変化する)。これらの生成物は、商標「ジンプロ」や、他の商標である「アバイラ」を付して販売されている。痕跡金属は、亜鉛、銅、マグネシウム、コバルトであり、「アバイラ」の場合は、アミノ酸混合物で、亜鉛メチオニン錯体、又は銅リシン錯体である。本発明では、トレーサを、(水に)溶解した飼料添加物に加え、製造プロセス中、液状とする。トレーサは水溶性であることが重要である。水溶性蛍光トレーサは次のものを含む。フルオレセイン(ウラニン)、ローダミンWT、ローダミンB、ローダミン6G、アシッド・レッド、アシッド・イェロー、エオシン、トロピナルCBS−X、ピラニン、フォルワイトBBH、チノパル5BM GX、ジフェニル・ブリリアント・フラビン7GFF、リッサミン・フラビンFF、スルフォ・ローダミンG。
【0018】
添加される水溶性蛍光トレーサの量は変化するが、一般に0.0005%から0.05%、好ましくは0.0025%から0.01%、最も好ましくは0.01%である。前述の市販の任意の水溶性蛍光トレーサを使用できる。量に関して重要なのは、正確な測定及び検出を行うために十分な量を使用することである。
【0019】
蛍光マーカ化合物の光学的性質は公知であり、既知の蛍光マーカの励起を最適化するために、該蛍光マーカの励起に適正な波長の光の一部を供給できる光源を選択することが好ましい。(既知の蛍光マーカを使用する際に)、分析を妨害することになる、蛍光マーカ以外の化合物の励起や発光を回避し又は制限することが好ましい場合は、光ビームをフィルタに掛けて、選択された波長の光のみを使用しても良い。これは、1又は2以上のビームスプリッタや、高及び/又は低バンドパスフィルタや格子モノクロメータのような特定の波長の光のみを通過させる1又は2以上のバンドパスフィルタを使用して行うことができる。これらの特徴は、米国パーキン・エルマー社の市販の蛍光分析装置に組み込まれている。バンドパスフィルタやモノクロメータが、0.5〜10nmのような数nmの狭い範囲内の波長を有する光を通過させることは当業者に周知である。「モノグラフィックな光」という用語は、バンドパスフィルタや格子モノクロメータにより決定される狭い範囲内の波長を有する光であると理解すべきである。
【0020】
水溶性蛍光トレーサマーカを、動物飼料補助食品と均質に混合した後に、製造プロセスを、オーブン乾燥、噴霧乾燥、及び他の従来の乾燥手段を使用して実施し、飼料添加物を、液体状態から乾燥粉末状態に導く。次いで他の従来の乾燥食品補給物と混合し、飼料添加物として販売する。
【0021】
検出プロセスで、例えばこれらの生成物に関する農夫や使用者の不満を解決するためには、生成物のサンプルを得てかつ溶解し、検出トレーサと添加物間の均質な関係により、蛍光トレーサに関する既知の検出技術を使用して、従来の蛍光分析による定量的レベルでの検出を可能にする。周知技術なので繰り返さない。
【0022】
更に詳細に例示するために、下記実施例を記載するが、これらは本発明のプロセスを限定するものではない。
【0023】
飼料添加物の第1の例は、ミネソタ州エデンプレイリーのジンプロ・コーポレーションの既知の市販製品であるアバイラ4に類似しているが、コバルトを含まない。それは、亜鉛、マンガン、銅、アミノ酸の混合物を含む。他の例は、亜鉛とメチオニンの錯体及び銅リシン錯体を含む。
【0024】
[実施例]
実施例中の分析用HPLC条件は次の通りである。
【0025】
[装置]
● シマヅSCL 10A VP システムコントローラ
● シマヅLC−10AD VPポンプ(2)
● シマヅSPD−10V VP UV−Vis 検出器
● シマヅSIL−10iA 自動注入器
● シマヅCTO−20AC カラム・オーブン
● シマヅRF10A XL 蛍光検出器
【0026】
[HPLC稼動条件(ウラニン)]
● カラム ACE 3μ C18 150x4.6mm
● 組合せ移動相
1.移動相A:pH7.1で調製された50mM燐酸緩衝液
2.移動相B:MeOH
3.比:移動相A/移動相B=60/40
● オーブン:35℃
● 流速:0.8mL/分
● 注入量:5μL
● λex=460;λemm=515
● 定組成条件
● 稼動時間=8.0分
● 希釈液は、200mM燐酸緩衝液/DI水(60/40)
【0027】
[実施例1]
[組合せ金属アミノ酸錯体]
蛋白質をアミノ酸に加水分解するために、デディートリッヒ・コーポレーションのモデルCTJ−32−100であるガラス被覆したスチール製クランプを有するトップ・ジャケット反応容器を使用した。約176ポンド(約79.2kg)の水と410ポンド(約184.5kg)の31.4%の塩酸を容器に加えた。この酸溶液に240ポンド(約108.0kg)の羽毛粉を加えた。この混合物を加圧下、140℃で1時間保持し、加水分解した。次いで容器を冷却し、通気した。この段階で攪拌を継続しながら、67ポンド(約30.2kg)の酸化亜鉛(80%亜鉛)を加え、溶解させた。次いで25ポンド(約11.3kg)の酸化銅(75%銅)を加え、溶解させた。次いで38ポンド(約17.1kg)の酸化マンガン(77%マンガン)を加え、溶解させた。最後に、84ポンド(約37.8kg)の水酸化ナトリウム(50%w/w)を加え、最終的なpHを約4.1とした。この組合せ金属アミノ酸錯体は。49%が固体であると分析された。
【0028】
[実施例2]
実施例1で調製した液体加水分解混合物(441.3g)を1000mLのガラスビーカーに加え、攪拌した。この溶液に、ウラニントレーサ(フィッシャー社、37.6mg)を加え、0.5時間継続して攪拌した。これに、トウモロコシの軸のキャリアを158.8g加えてペーストとし、乾燥パン中の乾燥オーブンで70℃で乾燥した。この物質を乾燥プロセスの間、スパチュラを使用して定期的に反転させた。乾燥終了後、乳鉢と乳棒で粉砕し、850ミクロンのシーブで篩いに掛け、大きな粒子を除去した。この生成物は0.01重量%のウラニンを含んでいる。
【0029】
[実施例3]
トウモロコシのサンプル(143g)に、0.07重量%の実施例2で調製した生成物を加えた。次に、この混合物を抽出し、HPLCで分析して、飼料サンプル中のウラニントレーサの量を決定した。前記抽出は、100gの飼料を、200mM燐酸緩衝液とDI水の60/40混合物の100mLに混合し、次いで25分間攪拌した。次にこの混合物を濾過し、溶液を前述の条件でHPLCで分析した。次いで得られた結果を、実際の生成物中のレベルに戻し、飼料中の生成物の量を決定した。飼料中の生成物の理論量は0.07%で、ウラニントレーサのHPLCに基づいて計算された量は、0.068%で、従って正確な量の97.6%であった。
【0030】
[実施例4]
ZnSO4(135.7g)とメチオニン(112.9g)を溶解して、300mLの水で70℃に加熱して亜鉛メチオニン錯体のサンプルを調製した。これに、トレーサとしてローダミンB(シグマ社)を24.8mg加えた。これを乾燥して、生成物中に均質な0.01%のトレーサを含む生成物が得られた。乾燥終了後、乳鉢と乳棒で粉砕し、850ミクロンのシーブで篩いに掛け、大きな粒子を除去した。
【0031】
[実施例5]
実施例4でローダミンBを使用して調製した亜鉛メチオニン錯体を、0.07%のレベルでトウモロコシに加えた。次いでこの飼料混合物を、水と燐酸の混合物(60%の200mM燐酸緩衝液と40%のDI水)で抽出し、HPLCで分析した。溶媒システムを、移動相A/移動相Bの比を(30/70)で稼動させたこと、蛍光励起を540nmとしたこと、及び発光検出器を625nmにセットしたこと以外のHPLC条件は実施例3と同一にした。分析により、トウモロコシ中の生成物量は、0.067%と決定され、実際の量の97%であった。
【0032】
[実施例6]
CuSO4(162.4g)とリシンHCL(241.2g)を、350mLの水に溶解して、銅リシン錯体のサンプルを調製した。この混合物に、NaOH(36.1g)を添加し、全混合物を70℃で45分間加熱した。3−ヒドロキシピレン−5,8,10−トリスルホン酸(HPSA,アルドリッチ社)(39.2mg)を加え、混合物を1時間攪拌し、次いで回転蒸留で濃縮した。次いで生成物を乾燥パンに移動させ、更にオーブン中、70℃で乾燥した。乾燥終了後、乳鉢と乳棒で粉砕し、850ミクロンのシーブで篩いに掛け、大きな粒子を除去した。この生成物を実施例7で使用する。
【0033】
[実施例7]
実施例6で調製した銅リシン錯体を、0.07%のレベルでトウモロコシに加えた。次いでこの飼料混合物を、水と燐酸の混合物(60%の200mM燐酸緩衝液と40%のDI水)で抽出し、HPLCで分析した。抽出操作は、先行する実施例で記載した通り、100gのトウモロコシ混合物を100mLの希釈液に加えた。次いで溶媒を濾過し、溶液をHPLCで分析した。溶媒システムを、移動相A/移動相Bの比を(85/15)で稼動させたこと、蛍光励起を403nmとしたこと、及び発光検出器を513nmにセットしたこと以外のHPLC条件は実施例3と同一にした。分析により、トウモロコシ中の生成物量は、0.068%と決定され、実際の量の98%であった。
【0034】
[実施例8]
実施例1で調製した液体加水分解混合物(408.2g)を1000mLのガラスビーカーに加え、攪拌した。この溶液に、ローダミン6Gトレーサ(シグマ社、34.7mg)を加え、0.5時間継続して攪拌した。これに、トウモロコシの軸のキャリアを146.8g加えてペーストとし、乾燥パン中の乾燥オーブンで70℃で乾燥した。この物質を乾燥プロセスの間、スパチュラを使用して定期的に反転させた。乾燥終了後、乳鉢と乳棒で粉砕し、850ミクロンのシーブで篩いに掛け、大きな粒子を除去した。この生成物は0.01重量%のローダミン6Gを含んでいる。
【0035】
[実施例9]
トウモロコシのサンプル(143g)に、0.07重量%の実施例1で調製した生成物を加えた。次に、この混合物を前述の通り抽出し、HPLCで分析して、飼料サンプル中のローダミン6Gトレーサの量を決定した。次いで得られた結果を、実際の生成物中のレベルに戻し、飼料中の生成物の量を決定した。溶媒システムを、移動相A/アクリロニトリルの比を(50/50)で稼動させたこと、蛍光励起を526nmとしたこと、及び発光検出器を555nmにセットしたこと以外のHPLC条件は実施例3と同一にした。分析により、トウモロコシ中の生成物量は、0.065%と決定され、実際の量の93%であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飼料添加物調製プロセスにおいて、水溶性蛍光トレーサを、溶解した飼料添加物に加え、
前記溶解した飼料添加物と前記水溶性蛍光トレーサを均質になるまで混合して溶解混合物を製造し、
当該溶解混合物を乾燥して、追跡可能な飼料添加物とし、
当該追跡可能な飼料添加物を動物飼料と混合し、
その後、水溶性蛍光トレーサを検出し測定することにより、溶解性飼料添加物の量を定量的に検出することを特徴とする、
動物飼料と混合した溶解性飼料添加物のレベルを定量的に検出する方法。
【請求項2】
飼料添加物は痕跡金属を含む飼料添加物であり、痕跡金属は、亜鉛、銅、マグネシウム、コバルト、鉄、セレン、クロム及びそれらの混合物から成る群から選択される請求項1記載の方法。
【請求項3】
動物飼料が、ミネラル、穀物及び牧草から成る群から選択される請求項2記載の方法。
【請求項4】
水溶性蛍光トレーサが、フルオレセイン(ウラニン)、ローダミンWT、ローダミンB、ローダミン6G、アシッド・レッド、アシッド・イェロー、エオシン、トロピナルCBS−X、ピラニン、フォルワイトBBH、チノパル5BM GX、ジフェニル・ブリリアント・フラビン7GFF、リッサミン・フラビンFF、スルフォ・ローダミンGから成る群から選択される請求項2記載の方法。
【請求項5】
水溶性蛍光トレーサの量が、0.0005重量%から0.05重量%である請求項4記載の方法。
【請求項6】
水溶性蛍光トレーサの量が、0.0025重量%から0.01重量%である請求項5記載の方法。
【請求項7】
水溶性蛍光トレーサと前もって均質に混合され次いで乾燥された溶解性飼料添加物を含んで成る均質飼料混合添加物の形態である組成物。
【請求項8】
飼料添加物が、亜鉛、銅、マグネシウム、コバルト、鉄、セレン、クロム及びそれらの混合物から成る群から選択される請求項7記載の組成物。
【請求項9】
動物飼料が、ミネラル、穀物及び牧草から成る群から選択される請求項7記載の組成物。
【請求項10】
水溶性蛍光トレーサが、フルオレセイン(ウラニン)、ローダミンWT、ローダミンB、ローダミン6G、アシッド・レッド、アシッド・イェロー、エオシン、トロピナルCBS−X、ピラニン、フォルワイトBBH、チノパル5BM GX、ジフェニル・ブリリアント・フラビン7GFF、リッサミン・フラビンFF、スルフォ・ローダミンGから成る群から選択される請求項7記載の組成物。
【請求項11】
水溶性蛍光トレーサの量が、0.0005重量%から0.05重量%である請求項10記載の組成物。
【請求項12】
水溶性蛍光トレーサの量が、0.0025重量%から0.01重量%である請求項11記載の組成物。

【公表番号】特表2011−514975(P2011−514975A)
【公表日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−550810(P2010−550810)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【国際出願番号】PCT/US2009/036639
【国際公開番号】WO2009/114515
【国際公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(592144711)ジンプロ コーポレイション (4)
【氏名又は名称原語表記】ZINPRO CORPORATION
【Fターム(参考)】