動産担保融資業務支援システム
【課題】担保物件の状態を把握・管理し、担保物件に対して担保内容の変更や担保権の実行についての明示をリアルタイムに行う動産担保融資業務支援システムを提供する。
【解決手段】案件の情報と担保物件の情報および担保物件の評価価値の履歴を保持するABL管理DB151を有し、動産担保融資に係る管理業務を支援するABL業務支援サーバ100と、情報を表示する機能を有するRFIDタグ122と、リーダ/ライタ121とを有し、ABL業務支援サーバ100は、RFIDタグ122から取得したID情報に基づいて在庫管理DB141の内容を更新する在庫管理部140と、在庫管理DB141の内容とABL管理DB151の内容とを関連付けて管理することで担保物件を把握して管理するABL管理部150とを有し、RFIDタグ122は、担保権が設定されている旨を表示し、担保権の実行が指示された場合は担保権が実行状態にある旨を表示する。
【解決手段】案件の情報と担保物件の情報および担保物件の評価価値の履歴を保持するABL管理DB151を有し、動産担保融資に係る管理業務を支援するABL業務支援サーバ100と、情報を表示する機能を有するRFIDタグ122と、リーダ/ライタ121とを有し、ABL業務支援サーバ100は、RFIDタグ122から取得したID情報に基づいて在庫管理DB141の内容を更新する在庫管理部140と、在庫管理DB141の内容とABL管理DB151の内容とを関連付けて管理することで担保物件を把握して管理するABL管理部150とを有し、RFIDタグ122は、担保権が設定されている旨を表示し、担保権の実行が指示された場合は担保権が実行状態にある旨を表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、在庫等を担保として金融機関が企業に融資を行う動産担保融資の業務を管理する技術に関し、特に、担保物件の登録から状態の把握、担保権の実行にいたるまでの一連の業務処理を支援する動産担保融資業務支援システムに適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、企業における資金調達の手段として、企業の保有する不動産や有価証券等以外の資産(例えば、在庫(原材料や部品、商品等)や機械設備等の動産や、売掛金などの債権)を担保として金融機関から融資を受けるいわゆる動産(資産)担保融資(Asset Based Lending:以下では単に「ABL」と記載する場合がある)が行われるようになってきている。
【0003】
在庫や機械設備等の動産を担保としたABLでは、一般的に担保物件が債務者である企業の手元に置かれたまま継続して営業に使用される譲渡担保の形式が利用される。この場合、債権者である金融機関にとっては、担保物件の管理(担保物件の特定や明示、所在や評価額等の異動の把握など)が困難であるという実施上の課題があり、ABLが広く普及することを妨げる一因となっているとされる。
【0004】
このような課題に対して、在庫(担保物件)にいわゆるRFID(Radio Frequency IDentification)タグを付すことによって、在庫を識別し、その所在や移動等を即時に把握して管理する技術が提案されている。
【0005】
例えば、特開2006−185300号公報(特許文献1)には、担保物件及び未担保物件を識別する物件に添付されたIC無線タグのタグ情報でなる識別情報と担保物件等の物件内容からなる物件情報と未担保物件に担保を設定等した際の取引内容を記述する取引情報とからなる物件情報データを記憶する物件情報データ記憶手段と、前記担保物件等が移動する際に、これら物件に添付されているIC無線タグからタグ情報を読み出すタグ情報読出し手段と、前記タグ情報に基づき、前記担保物件等の移動先を特定する移動先特定手段と、前記タグ情報に指定された物件情報データの物件情報に示されている物件の格納場所を、移動先に変更する移動先変更手段とを備えることで、管理している担保物件及び未担保物件に移動等の変更があった場合あるいは新たに譲渡担保の目的となった場合等に、その変更を迅速に特定し、物件情報の変更を遠隔地から行うことができる動産担保管理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−185300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、在庫を担保としたABLにおいて担保物件の状態を把握して管理するためには、一般的な物流・在庫管理の技術において利用が広がっているRFIDタグを利用することで、在庫の中から担保物件を自動的に特定し、その所在や評価価値の異動をリアルタイムに精緻に把握・管理することができる。
【0008】
しかしながら、従来の技術では、在庫に対する担保物件であることの明示方法については特に考慮されていない。この場合、通常は担保物件やその管理場所にその旨の紙面を貼付するなどによって明示しており、担保内容に変更があった場合や、債権者(金融機関)によって担保権が実行された場合の保全などの際は、その都度対象の担保物件を特定して紙面を貼付し直すなどの多大な手間を要している。
【0009】
そこで本発明の目的は、担保物件の状態を把握・管理し、さらに担保物件に対して担保内容の変更や担保権の実行についての明示をリアルタイムに行うことで動産担保融資に係る業務を支援する動産担保融資業務支援システムを提供することにある。本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0011】
本発明の代表的な実施の形態による動産担保融資業務支援システムは、在庫等を担保として金融機関が企業に融資を行う動産担保融資の業務処理を支援する動産担保融資業務支援システムであって、以下の点を特徴とするものである。
【0012】
すなわち、動産担保融資業務支援システムは、前記金融機関から登録された前記動産担保融資の案件の情報と、前記企業から登録された前記案件の対象の担保物件となる前記在庫の情報、および前記金融機関から登録された前記担保物件の評価価値の履歴を含む情報を保持する動産担保融資管理データベースを有し、前記動産担保融資に係る管理業務を支援する機能を有する動産担保融資業務支援サーバと、前記在庫に付され、自己の固有のID情報を無線通信により送信する機能および自己が保持する情報を自己の表示部に表示する機能とを有するRFIDタグと、前記在庫が保管されている管理場所に設置され、前記動産担保融資業務支援サーバに接続し、前記RFIDタグから無線通信により送信された前記ID情報を受信して前記動産担保融資業務支援サーバに送信し、また、前記動産担保融資業務支援サーバからの指示に基づいて前記RFIDタグに対して情報を無線通信により送信して書き込む機能を有するリーダ/ライタとを有する。
【0013】
また、前記動産担保融資業務支援サーバは、前記リーダ/ライタによって前記RFIDタグから取得した前記ID情報に基づいて、前記在庫の所在に関する情報を保持する在庫管理データベースの内容を更新して前記在庫の管理を行う機能を有する在庫管理部と、前記在庫管理データベースの内容と前記動産担保融資管理データベースの内容とを前記担保物件となる前記在庫を識別する情報によって関連付けて管理することで、前記担保物件を特定し、前記担保物件の所在および前記評価価値の推移を把握して管理する動産担保融資管理部とを有する。
【0014】
さらに、前記動産担保融資管理部は、前記案件の内容を含む情報を前記リーダ/ライタを介して前記担保物件に付された前記RFIDタグに送信し、該情報を受信した前記RFIDタグは、前記RFIDタグが付された前記在庫に対して担保権が設定されている旨を表示し、また、前記動産担保融資管理部は、前記金融機関から前記担保権の実行が指示された場合は、前記担保権が実行状態にある旨を示す内容を含む情報を前記リーダ/ライタを介して前記担保物件に付された前記RFIDタグに送信し、該情報を受信した前記RFIDタグは、前記RFIDタグが付された前記担保物件について前記担保権が実行状態にある旨を表示することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0016】
本発明の代表的な実施の形態によれば、表示機能を有するRFIDタグを在庫に付してその所在や移動を把握・管理するとともに、動産担保融資案件の情報と関連付けて管理することで、担保物件の特定やその所在および評価価値の推移等の状態の把握・管理を効率的に行うことが可能となるとともに、担保物件に対する担保内容の変更や担保権の実行についての明示をリアルタイムに行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態であるABL業務支援システムの構成例の概要を示した図である。
【図2】本発明の一実施の形態における登録機能の処理内容の例について説明する図である。
【図3】本発明の一実施の形態における確認機能の処理内容の例について説明する図である。
【図4】(a)〜(c)は、本発明の一実施の形態における、各在庫の所在場所を特定するための手法の例について説明する図である。
【図5】本発明の一実施の形態における評価替え機能の処理内容の例について説明する図である。
【図6】本発明の一実施の形態における解除機能の処理内容の例について説明する図である。
【図7】本発明の一実施の形態における実行機能の処理内容の例について説明する図である。
【図8】本発明の一実施の形態におけるRFIDタグの表示機能によって担保権の実行状態を表示する場合の例を示した図である。
【図9】本発明の一実施の形態における金融機関もしくは企業のクライアント端末上に表示する案件の管理画面の例を示した図である。
【図10】本発明の一実施の形態における担保物件の詳細情報を表示する詳細管理画面の例を示した図である。
【図11】本発明の一実施の形態における金融機関のクライアント端末上に表示する案件の確認画面の例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0019】
本発明の一実施の形態であるABL支援システムは、RFIDタグを在庫に付してその所在や移動を把握・管理するとともに、動産担保融資案件の情報と関連付けて管理することで、担保物件の特定やその所在および評価価値の推移等の状態の把握・管理、担保の解除や実行といったABLに係る業務を支援するシステムである。
【0020】
[システム構成]
図1は、本発明の一実施の形態であるABL支援システムの構成例の概要を示した図である。図1において、ABL業務支援システム1は、ABL業務支援サーバ100と、1以上の管理場所200に保管されている在庫201に付されたRFIDタグ122、および管理場所200に設置され、RFIDタグ122と無線通信することにより情報の送受信を行うリーダ/ライタ121とを有する構成となっている。さらに、ABL業務支援サーバ100には、インターネット等のネットワーク500を介して金融機関300(債権者)および企業400(債務者)の有するPC(Personal Computer)等のクライアント端末が接続される。
【0021】
なお、管理場所200とは、企業400の保有する在庫201を管理する場所(領域)であり、例えば、企業400もしくは企業400から担保物件の管理を委託された物流会社の倉庫やその一部の領域などである。この管理場所200のうち、所定の管理場所200内に保管されている在庫201については譲渡担保により担保が設定されているものとして取り扱う。すなわち、当該所定の管理場所200に入ってきた(入庫してきた)在庫201は新たに担保物件の対象となり、販売等により出ていった(出庫した)在庫201は担保の対象から除外される。また、所定の管理場所200内にある在庫201でも、特定の商品種別のみが担保の対象となる場合もある。
【0022】
従来では一般的に、担保物件が多数となる場合は、その特定手段として、例えば、所定の管理場所200内に保管されている在庫については譲渡担保により担保が設定されているものとしてその旨を管理場所200に紙面等で明示したり、管理場所200の境界が明確でない場合などは、個々の担保物件にその旨の紙面を貼付したりしている。本実施の形態のABL業務支援システム1では、後述するように、表示機能付きのRFIDタグ122を在庫201に付することにより、担保が設定されている旨や担保権の実行状態の表示をABL案件の状況に応じてリアルタイムに行うことを可能とする。
【0023】
ABL業務支援サーバ100は、サーバ等のコンピュータシステムによって実装され、ABL案件と担保物件(在庫201)およびその評価価値の登録機能や、担保物件の所在および評価価値の推移等の状態の確認機能と評価替え機能、担保物件の管理の解除機能および担保権の実行機能といったABLに係る管理業務を支援する各機能を有する。このABL業務支援サーバ100は、例えば、ソフトウェアプログラムによって実装される基盤部110、RFIDタグ制御部120、管理部130、在庫管理部140、ABL管理部150の各部、および在庫管理DB141、ABL管理DB151の各データベースを有する。
【0024】
基盤部110は、図示しないOS(Operating System)や、データベース管理プログラム、Webサーバプログラムなどのミドルウェアなどを有し、ABL業務支援サーバ100のシステム基盤機能を提供する。例えば、金融機関300や企業400のユーザは、クライアント端末上のWebブラウザなどのソフトウェアを介して基盤部110のWebサーバプログラムにアクセスし、ABL管理部150などが提供する機能を利用してABLに係る業務を行うことができる。
【0025】
RFIDタグ制御部120は、後述する管理部130からの指示に基づいて、管理場所200に設置されたリーダ/ライタ121を制御することにより、在庫201に付されたRFIDタグ122とリーダ/ライタ121との間で無線通信を行う機能を有する。このリーダ/ライタ121は、ABL業務支援サーバ100に接続し、RFIDタグ制御部120からの指示に基づいて、RFIDタグ122から無線通信により送信されたID情報を受信して(読み取って)ABL業務支援サーバ100に送信し、また、RFIDタグ122に対して指示された情報を無線通信により送信する(書き込む)機能を有する。
【0026】
管理部130は、後述するABL管理部150からの指示に基づいて、RFIDタグ制御部120に対して、在庫201に付されたRFIDタグ122からの情報の取得、もしくは情報の書き換えを指示する機能を有する。また、RFIDタグ制御部120を介して各RFIDタグ122から取得した情報について、フォーマットを所定の形式に変換して後述する在庫管理部140に受け渡す機能も有する。
【0027】
在庫管理部140は、管理部130およびRFIDタグ制御部120を介して各RFIDタグ122から取得した情報に基づいて在庫管理DB141の内容を更新し、担保物件を含む在庫201の所在(管理場所200)に関する情報を管理する在庫管理の機能を有する。在庫管理DB141には、例えば、RFIDタグ122毎に、そのID情報と、当該RFIDタグ122が付された商品を識別する商品コード、更新タイムスタンプ、情報を取得した際のトリガとなったイベント情報等に加えて、例えば、在庫201の所在に関する情報として、所在場所(管理場所200)を識別するための場所コードや、GPS(Global Positioning System)情報などを保持する。
【0028】
ABL管理部150は、金融機関300から登録されたABL案件の情報と、企業400から登録された担保物件となる在庫201の情報、および金融機関300から登録された担保物件の評価価値の履歴を含む情報を保持するABL管理DB151の内容と、在庫管理部140が有する在庫管理DB141の内容とを関連付けて管理することで、各ABL案件の対象となる担保物件を特定し、その所在および評価価値の推移等の状態を把握・管理して、金融機関300および企業400のユーザによるABL案件に係る一連の業務を支援する機能を有する。
【0029】
ABL管理DB151には、例えば、担保物件である在庫201を識別する商品コード毎に、ABL案件の情報として、稟議書ID等の案件を識別する情報、融資先の企業400を識別する企業コード、クレジットライン、担保物件の評価時点での評価額、経費、担保掛目、処分見込額、貸出額、商品(担保)種類などの情報を保持する。これにより、担保物件(在庫201)を識別する商品コードをキーとして、在庫管理DB141の情報とABL案件の情報とを関連付けて管理することが可能である。
【0030】
なお、在庫管理DB141における、対象の担保物件の所在の情報や、これに付されているRFIDタグ122のID情報などを、ABL管理DB151に取り込んで保持することで、ABL管理DB151内で必要な情報が全て得られるような構成としてもよい。また、本実施の形態では、ABL管理部150の中に在庫管理部140を有する構成としているが、在庫管理部140は、例えば、ABL業務支援サーバ100上もしくは外部のシステム/サーバ等において独立して稼働する既存の在庫管理システム等を用いることも可能である。
【0031】
在庫201に付されたRFIDタグ122とリーダ/ライタ121との間の通信では、一般的に、リーダ/ライタ121からの呼び出し等をトリガとして、各RFIDタグ122が、自己の固有のID情報をリーダ/ライタ121に対して送信する。このID情報に基づいて各RFIDタグ122(およびこれが付された在庫201)を識別し、その所在を把握する。
【0032】
なお、RFIDタグ122の方式としては、電池を内蔵し、主にこの電池から電力を取得して動作するアクティブタイプと、電池を内蔵せず、リーダ/ライタ121から出力された無線電波から電力や搬送波の源振を取得して動作するパッシブタイプとがある。本実施の形態では、精度が高くかつ通信距離が長いことから効率的かつ正確に情報を取得することができ、また、RFIDタグ122側でID情報の送信以外の種々の機能を実現するため、アクティブタイプを利用するのが望ましい。
【0033】
本実施の形態のRFIDタグ122が有する機能としては、自己の固有のID情報を無線通信により送信することにより、付された商品等を識別可能とする商品認識機能に加えて、管理部130等を介してABL管理部150から指示された情報をリーダ/ライタ121から無線通信により受信して保持し、その内容をリアルタイムで表示する表示機能を有する。当該表示機能を有するRFIDタグ122として、例えば、いわゆる電子ペーパー等を利用した表示部を有するものが存在する。また、GPS情報を受信することによりRFIDタグ122およびこれが付された商品等の所在位置を識別可能とする位置認識機能を有していてもよい。
【0034】
[動産担保融資業務]
以下では、図1に示した本実施の形態のABL業務支援システム1によるABL業務の処理内容について説明する。ABL業務支援システム1では、(1)管理対象となる担保物件(在庫201)を特定して登録する登録機能、(2)企業400が所有する担保物件の所在(実在性)および価値の推移を確認する確認機能、(3)相場変動や担保物件の毀損・滅失などの状態に応じてその評価額およびクレジットラインを変更する評価替え機能、(4)ABLの終了に基づき管理対象であった担保物件を解除する解除機能、(5)担保物件に担保権の実行状態を明示する実行機能、の5つの機能を有し、これらの機能によってABL業務を行う。なお、これらの機能は、主にABL管理部150(および在庫管理部140)によって実行される。
【0035】
[登録機能]
図2は、登録機能の処理内容の例について説明する図である。まず、貸し手である金融機関300のユーザは、クライアント端末を利用してABL業務支援サーバ100にアクセスし、融資先の企業400の企業コード、稟議書ID、クレジットラインなどの案件の基礎情報を登録する。これらの情報は、ABL管理部150によりABL管理DB151に登録される。このとき、ABL管理部150は、案件IDを採番して上記の情報と関連付けてABL管理DB151に登録してもよい。
【0036】
次に、借り手である融資先の企業400のユーザは、同様にクライアント端末を利用してABL業務支援サーバ100にアクセスし、対象の案件の情報に対して、担保物件である在庫201を識別する商品コード、およびこれらに紐付けられたRFIDタグ122のID情報、担保物件の商品種類、担保物件が保管される管理場所200の情報などの担保物件を特定する情報を追加登録する。これらの情報についても、同様にABL管理部150によりABL管理DB151に登録される。なお、担保物件を識別する商品コードやRFIDタグ122のID情報については、対象が多数となる場合はデータファイルの取り込み等による一括登録とすることも可能である。
【0037】
次に、金融機関300のユーザは、対象の案件の情報に対して、担保物件の現在の評価額、経費、担保掛目などの評価情報を追加登録する。これらの情報については、例えば、第三者の動産評価会社等による評価金額に基づいて算定することができる。その後、対象の案件についての企業400への貸出額を登録する。貸出額については最新の情報に基づいて定期的に更新登録する。以上の処理により、管理対象となる担保物件(在庫201)を特定してABL業務支援サーバ100に登録することができる。
【0038】
[確認機能]
図3は、確認機能の処理内容の例について説明する図である。まず、ABL業務支援サーバ100は、各在庫201に付されたRFIDタグ122からリーダ/ライタ121が受信したID情報もしくは商品コード、およびタイムスタンプの情報を取得し、取得した情報を在庫管理DB141に登録する。次に、ABL業務支援サーバ100は、在庫管理DB141に登録した情報に基づいて、各在庫201(各在庫201に付されたRFIDタグ122)の所在場所(管理場所200)を特定する。
【0039】
各在庫201(各在庫201に付されたRFIDタグ122)の所在場所(管理場所200)を特定するためには、図4の例に示すようにいくつかの手法が考えられる。図4(a)は、リーダ/ライタ121からの呼び出しの信号に対して、ID情報の応答の電波を送信してきた(リーダ/ライタ121が受信できた)RFIDタグ122について、対象のリーダ/ライタ121が設置された管理場所200内に存在するものとして特定する場合の例を示している。このパターンは、例えば、管理場所200が倉庫全体である場合など、リーダ/ライタ121と無線通信が可能な範囲にあるRFIDタグ122が付された在庫201は全て管理場所200内に存在するものとして取り扱えばよいというような場合に利用可能である。
【0040】
図4(b)は、RFIDタグ122がGPS情報を受信してリーダ/ライタ121に送信することが可能であり、各RFIDタグ122から取得したGPS情報から得られる位置情報に基づいて、対象のRFIDタグ122が存在する管理場所200を判定する場合の例を示している。このとき、予め各管理場所200の範囲(緯度/経度の範囲)を定義しておき、GPS情報から得られる各RFIDタグ122の位置(緯度/経度)が対象の管理場所200の範囲に含まれるか否かによって、対象の管理場所200内に存在するか否かを判定する。このパターンは、GPS情報の精度にも依存するが、管理場所200が所定の範囲(領域)に限定される場合(対象の管理場所200の外部に存在するRFIDタグ122との間でもリーダ/ライタ121が通信可能である場合)に利用可能である。
【0041】
図4(c)は、RFIDタグ122がID情報を送信するためのトリガとなったイベント情報等をリーダ/ライタ121に送信することが可能であり、各RFIDタグ122から取得したイベント情報に基づいて、対象のRFIDタグ122が対象の管理場所200内に存在するか否かを判定する場合の例を示している。このとき、予め管理場所200の範囲における入口(入庫口)と出口(出庫口)などのイベント発生場所に、RFIDタグ122に対してID情報を送信させるためのイベント情報を送信するイベント発生装置202を設置しておく。
【0042】
各RFIDタグ122は、物流の過程で各イベント発生場所を通過する際に、イベント発生場所に設置されたイベント発生装置202からのイベント情報を受信して、ID情報と受信したイベント情報(例えば入口の場合は“IN”、出口の場合は“OUT”)をリーダ/ライタ121に送信する。このイベント情報に基づいて、例えば“IN”のイベント情報を受信してから“OUT”のイベント情報を受信するまでの間は、対象のRFIDタグ122は対象のリーダ/ライタ121が設置された管理場所200内に存在するという判断をすることができる。このパターンは、管理場所200の範囲が狭い場合に、RFIDタグ122が対象の管理場所200内に存在するか否かを精度良く判定することができる。
【0043】
上記の図4(a)〜(c)で示した3つのパターンは、管理場所200の環境条件等に応じていずれを利用してもよい。また、これらのパターンの複数を適宜組み合わせて利用することで判定の精度を高めることも可能である。
【0044】
図3において、各在庫201に付されたRFIDタグ122から取得した情報および上記で特定した所在(管理場所200)の情報を在庫管理DB141に登録した後、さらにABL業務支援サーバ100は、ABL管理DB151に登録されている担保物件毎に、在庫管理DB141の情報等に基づいて数量や評価額などの集計を行い、ABL管理DB151の内容を更新する。
【0045】
その後、金融機関300(および企業400)のユーザは、ABL業務支援サーバ100にアクセスして、ABL管理DB151に登録されている対象の案件の情報を参照し、企業400に保有されている担保物件(在庫201)の所在(管理場所200)や、数量や評価額の推移などの担保物件の状態を確認する。このとき、必要に応じてABL管理DB151に保持された評価額等の情報を金融機関300のユーザからの補正指示により適宜更新してもよい。
【0046】
[評価替え機能]
図5は、評価替え機能の処理内容の例について説明する図である。金融機関300のユーザは、ABL業務支援サーバ100にアクセスして、ABL管理DB151に登録されている対象の案件の情報に対して、相場変動や担保物件の毀損・滅失などの状態に応じて、クレジットラインや評価額、経費、担保掛目などの評価情報を更新登録する。なお、これらの情報については、例えば、第三者の動産評価会社等による評価金額に基づいて算定することができる。
【0047】
[解除機能]
図6は、解除機能の処理内容の例について説明する図である。金融機関300のユーザは、ABL業務支援サーバ100にアクセスして、ABL管理DB151に登録されている対象の案件に対して、案件の終了等に基づいて担保物件の管理を解除することを指示する。このとき、対象の案件の情報をABL管理DB151から削除したりステータスを更新したりすることによって解除を行う。案件全体に限らず、個別の商品を選択指定して商品毎に担保物件の解除を指示できるようにしてもよい。
【0048】
[実行機能]
図7は、実行機能の処理内容の例について説明する図である。金融機関300のユーザは、ABL業務支援サーバ100にアクセスして、ABL管理DB151に登録されている対象の案件に対して、担保権を実行することを指示する。指示を受けたABL業務支援サーバ100は、例えば、ABL管理DB151に登録されている対象の案件のステータスを更新し、担保権が実行状態にある旨を示す内容を含む情報をリーダ/ライタ121を介して対象の担保物件(在庫201)に付されたRFIDタグ122に送信して、担保権が実行状態にある旨を表示するよう指示を行う。
【0049】
リーダ/ライタ121から指示を受信したRFIDタグ122は、表示機能によって、当該RFIDタグ122が付された担保物件(在庫201)については担保権が実行状態にあり、保全のため移動が禁止されている旨の文言を明示する。図8は、RFIDタグ122の表示機能によって担保権の実行状態を表示する場合の例を示した図である。表示領域の下段に、担保権の実行状態が表示されており、この内容は、通常時は非表示であるが上記の担保権の実行指示により即時に表示することができる。これにより、対象の在庫201が誤って出庫されたりすることを防止して担保物件を確実に保全することができる。
【0050】
なお、表示領域の中段には当該RFIDタグ122が付された在庫201に対して担保権が設定されている旨とその内容(債権者等)が表示されている。ここでは、例えば、図2に示した登録機能の処理によって対象となる担保物件(在庫201)が登録され特定された場合に、ABL業務支援サーバ100が、登録された案件の内容を含む情報をリーダ/ライタ121を介して対象の在庫201に付されたRFIDタグ122送信して、対象の在庫201に対して担保権が設定されている旨を表示するよう指示を行う。リーダ/ライタ121から指示を受信したRFIDタグ122は、表示機能によって、当該RFIDタグ122が付された在庫201に対して担保権が設定されている旨を表示する。
【0051】
この情報についても同様に、ABL業務支援サーバ100からの指示により即時に表示内容を変更したり、管理場所200からの出庫や担保物件の管理の解除等により非表示としたりすることができる。これにより、対象の在庫201がABLの対象となっていることを的確に明示することができる。
【0052】
[画面例]
図9は、ユーザが上記の登録機能、評価替え機能、解除機能、もしくは実行機能を利用する際に、ABL業務支援サーバ100のABL管理部150が生成し、金融機関300もしくは企業400のクライアント端末上に表示する案件の管理画面の例を示した図である。「案件選択」部において「新規」を選択した場合は、ABL案件を新たに登録する登録機能を実行することになる。また、融資先の企業400の「企業コード」および「稟議書ID」を指定して「表示」ボタンを押下することによって対象の案件をABL管理DB151から検索して表示した場合は、評価替え機能、解除機能、もしくは実行機能を実行することになる。
【0053】
「基礎情報入力」部では、「企業コード」、「稟議書ID」、「クレジットライン」、「貸出額」などの各項目について、登録機能の場合は新たに入力し、それ以外の場合は、対象の案件についてABL管理DB151に登録されている内容を表示する。「物件情報入力」部では、各担保物件についての「担保(商品)種類」、「管理場所」の情報、第三者の動産評価会社などによる担保物件の「評価額」、「処分費用」の見積額、および「担保掛目」などの各項目について、登録機能の場合は新たに入力し、それ以外の場合は、対象の案件についてABL管理DB151に登録されている内容を表示する。また、例えば、(「評価額」−「処分費用」)×「担保掛目」の式によって算出した額を「処分見込額」として表示する。
【0054】
当該画面に表示もしくは入力された案件について、下段の「登録・更新」、「担保実行」、「担保解除」の各ボタンを押下することによって、それぞれ、登録機能もしくは評価替え機能、実行機能、解除機能の実行をABL業務支援サーバ100に対して指示することができる。
【0055】
また、「物件情報入力」部において、各担保物件について対応する「詳細」情報の「表示」ボタンもしくは「全表示」ボタンを押下することによって、各担保物件もしくは全ての担保物件についての詳細情報を表示することができる。
【0056】
図10は、図9に示した管理画面から表示された担保物件の詳細情報を表示する詳細管理画面の例を示した図である。「担保物件」部には、対象の案件についてABL管理DB151に登録されている「企業コード」、「稟議書ID」、「担保種類」、「管理場所」の情報を表示する。「担保種類」および「管理場所」の項目については、図9の管理画面において「全表示」ボタンを押下している場合には全ての担保種類および管理場所200が対象となる。
【0057】
「物件詳細」部では、対象の担保物件について、商品コード毎の詳細な情報を、ABL管理DB151から取得して過去の履歴分も含めて表示する。このとき、「開始日付」および/または「終了日付」を指定することによって履歴を表示する期間を絞り込むことができる。対象の期間の担保物件のリストとして、担保物件である在庫201の「商品コード」、「処分見込額」、管理場所200への「入庫日時」と「出庫日時」、対象の担保物件(在庫201)に付されたRFIDタグ122の「タグID」(ID情報)、「ステータス」、「備考」などの各項目を表示する。
【0058】
下段の「更新」ボタンを押下することによって、更新箇所の内容をABL管理DB151に反映させることができる。また、「読込」ボタンを押下することによって、データファイルから一括で情報を読み込んで登録もしくは更新することも可能である。
【0059】
図11は、ユーザが上記の確認機能を利用する際に、ABL業務支援サーバ100のABL管理部150が生成し、金融機関300のクライアント端末上に表示する案件の確認画面の例を示した図である。「表示選択」部では、対象の案件や担保物件を選択する条件として、融資先の企業400の「企業コード」、「稟議書ID」、「担保種類」、「管理場所」を指定し、「表示」ボタンを押下する。このとき、「担保種類」および「管理場所」についてはいずれか一方の指定も可能であり、また、全ての担保種類および管理場所200を対象とすることもできる。
【0060】
「表示」ボタンの押下により、ABL管理DB151から該当する内容を取得して、担保物件毎もしくは全ての担保物件について月別に集計した結果を「試算表表示」部に表示する。「試算表表示」部には、例えば、「在庫数」、「在庫確認日時」、「在庫回転期間」、「在庫評価額」、「在庫処分費用」、「処分見込額」、「クレジットライン」、「貸出額」などの各項目を表示する。
【0061】
ここで、例えば、「在庫評価額」は担保物件の「在庫数」×「評価額」、「在庫処分費用」は同様に「在庫数」×「処分費用」によって算出する。また、「処分見込額」および「貸出額」は、全担保物件を対象とした場合にのみ表示し、「処分見込額」は(「在庫評価額」−「在庫処分費用」)×「担保掛目」を各担保物件について合計した値、「貸出額」は対象の月の最新更新時点での貸出額を表示する。これらの情報を参照することにより、金融機関300のユーザは、担保物件の評価価値の推移を把握し、クレジットラインや貸出額の調整、担保権の実行などの判断を行うことができる。
【0062】
以上に説明したように、本実施の形態のABL業務支援システム1によれば、表示機能を有するアクティブ型RFIDタグ122を在庫201に付してその所在や移動を把握・管理するとともに、ABL管理DB151においてABL案件の情報と関連付けて管理することで、担保物件の所在や価値の推移等の把握・管理を効率的に行うことが可能となるとともに、担保物件に対する担保内容の変更や担保権の実行についての明示をリアルタイムに行うことが可能となる。これにより、金融機関300がABLを効率的に実施することが可能となり、ABLの積極的な展開と普及に寄与することができる。
【0063】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0064】
例えば、本実施の形態では、表示機能を有するRFIDタグ122を利用することによって、担保物件(在庫201)の所在の正確な把握と、担保内容や担保権の実行状態の明示とを実現しているが、例えば、担保物件を保管する管理場所200の境界が明確であり、管理場所200内に存在する担保物件(在庫201)が目視でも容易に識別・特定できるような場合は、例えば、各担保物件(在庫201)には表示機能を有さないRFIDタグを付すとともに、管理場所200の所定の場所にディスプレイ等の表示装置を設置して、ABL業務支援サーバ100からの指示により、担保内容や担保権の実行状態を一括で表示するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、動産担保融資における担保物件の登録から状態の把握、担保権の実行にいたるまでの一連の業務処理を支援する動産担保融資業務支援システムに利用可能である。
【符号の説明】
【0066】
1…ABL業務支援システム、
100…ABL業務支援サーバ、110…基盤部、120…RFIDタグ制御部、121…リーダ/ライタ、122…RFIDタグ、130…管理部、140…在庫管理部、141…在庫管理DB、150…ABL管理部、151…ABL管理DB、
200…管理場所、201…在庫、202…イベント発生装置、
300…金融機関、
400…企業、
500…ネットワーク。
【技術分野】
【0001】
本発明は、在庫等を担保として金融機関が企業に融資を行う動産担保融資の業務を管理する技術に関し、特に、担保物件の登録から状態の把握、担保権の実行にいたるまでの一連の業務処理を支援する動産担保融資業務支援システムに適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、企業における資金調達の手段として、企業の保有する不動産や有価証券等以外の資産(例えば、在庫(原材料や部品、商品等)や機械設備等の動産や、売掛金などの債権)を担保として金融機関から融資を受けるいわゆる動産(資産)担保融資(Asset Based Lending:以下では単に「ABL」と記載する場合がある)が行われるようになってきている。
【0003】
在庫や機械設備等の動産を担保としたABLでは、一般的に担保物件が債務者である企業の手元に置かれたまま継続して営業に使用される譲渡担保の形式が利用される。この場合、債権者である金融機関にとっては、担保物件の管理(担保物件の特定や明示、所在や評価額等の異動の把握など)が困難であるという実施上の課題があり、ABLが広く普及することを妨げる一因となっているとされる。
【0004】
このような課題に対して、在庫(担保物件)にいわゆるRFID(Radio Frequency IDentification)タグを付すことによって、在庫を識別し、その所在や移動等を即時に把握して管理する技術が提案されている。
【0005】
例えば、特開2006−185300号公報(特許文献1)には、担保物件及び未担保物件を識別する物件に添付されたIC無線タグのタグ情報でなる識別情報と担保物件等の物件内容からなる物件情報と未担保物件に担保を設定等した際の取引内容を記述する取引情報とからなる物件情報データを記憶する物件情報データ記憶手段と、前記担保物件等が移動する際に、これら物件に添付されているIC無線タグからタグ情報を読み出すタグ情報読出し手段と、前記タグ情報に基づき、前記担保物件等の移動先を特定する移動先特定手段と、前記タグ情報に指定された物件情報データの物件情報に示されている物件の格納場所を、移動先に変更する移動先変更手段とを備えることで、管理している担保物件及び未担保物件に移動等の変更があった場合あるいは新たに譲渡担保の目的となった場合等に、その変更を迅速に特定し、物件情報の変更を遠隔地から行うことができる動産担保管理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−185300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、在庫を担保としたABLにおいて担保物件の状態を把握して管理するためには、一般的な物流・在庫管理の技術において利用が広がっているRFIDタグを利用することで、在庫の中から担保物件を自動的に特定し、その所在や評価価値の異動をリアルタイムに精緻に把握・管理することができる。
【0008】
しかしながら、従来の技術では、在庫に対する担保物件であることの明示方法については特に考慮されていない。この場合、通常は担保物件やその管理場所にその旨の紙面を貼付するなどによって明示しており、担保内容に変更があった場合や、債権者(金融機関)によって担保権が実行された場合の保全などの際は、その都度対象の担保物件を特定して紙面を貼付し直すなどの多大な手間を要している。
【0009】
そこで本発明の目的は、担保物件の状態を把握・管理し、さらに担保物件に対して担保内容の変更や担保権の実行についての明示をリアルタイムに行うことで動産担保融資に係る業務を支援する動産担保融資業務支援システムを提供することにある。本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0011】
本発明の代表的な実施の形態による動産担保融資業務支援システムは、在庫等を担保として金融機関が企業に融資を行う動産担保融資の業務処理を支援する動産担保融資業務支援システムであって、以下の点を特徴とするものである。
【0012】
すなわち、動産担保融資業務支援システムは、前記金融機関から登録された前記動産担保融資の案件の情報と、前記企業から登録された前記案件の対象の担保物件となる前記在庫の情報、および前記金融機関から登録された前記担保物件の評価価値の履歴を含む情報を保持する動産担保融資管理データベースを有し、前記動産担保融資に係る管理業務を支援する機能を有する動産担保融資業務支援サーバと、前記在庫に付され、自己の固有のID情報を無線通信により送信する機能および自己が保持する情報を自己の表示部に表示する機能とを有するRFIDタグと、前記在庫が保管されている管理場所に設置され、前記動産担保融資業務支援サーバに接続し、前記RFIDタグから無線通信により送信された前記ID情報を受信して前記動産担保融資業務支援サーバに送信し、また、前記動産担保融資業務支援サーバからの指示に基づいて前記RFIDタグに対して情報を無線通信により送信して書き込む機能を有するリーダ/ライタとを有する。
【0013】
また、前記動産担保融資業務支援サーバは、前記リーダ/ライタによって前記RFIDタグから取得した前記ID情報に基づいて、前記在庫の所在に関する情報を保持する在庫管理データベースの内容を更新して前記在庫の管理を行う機能を有する在庫管理部と、前記在庫管理データベースの内容と前記動産担保融資管理データベースの内容とを前記担保物件となる前記在庫を識別する情報によって関連付けて管理することで、前記担保物件を特定し、前記担保物件の所在および前記評価価値の推移を把握して管理する動産担保融資管理部とを有する。
【0014】
さらに、前記動産担保融資管理部は、前記案件の内容を含む情報を前記リーダ/ライタを介して前記担保物件に付された前記RFIDタグに送信し、該情報を受信した前記RFIDタグは、前記RFIDタグが付された前記在庫に対して担保権が設定されている旨を表示し、また、前記動産担保融資管理部は、前記金融機関から前記担保権の実行が指示された場合は、前記担保権が実行状態にある旨を示す内容を含む情報を前記リーダ/ライタを介して前記担保物件に付された前記RFIDタグに送信し、該情報を受信した前記RFIDタグは、前記RFIDタグが付された前記担保物件について前記担保権が実行状態にある旨を表示することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0016】
本発明の代表的な実施の形態によれば、表示機能を有するRFIDタグを在庫に付してその所在や移動を把握・管理するとともに、動産担保融資案件の情報と関連付けて管理することで、担保物件の特定やその所在および評価価値の推移等の状態の把握・管理を効率的に行うことが可能となるとともに、担保物件に対する担保内容の変更や担保権の実行についての明示をリアルタイムに行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態であるABL業務支援システムの構成例の概要を示した図である。
【図2】本発明の一実施の形態における登録機能の処理内容の例について説明する図である。
【図3】本発明の一実施の形態における確認機能の処理内容の例について説明する図である。
【図4】(a)〜(c)は、本発明の一実施の形態における、各在庫の所在場所を特定するための手法の例について説明する図である。
【図5】本発明の一実施の形態における評価替え機能の処理内容の例について説明する図である。
【図6】本発明の一実施の形態における解除機能の処理内容の例について説明する図である。
【図7】本発明の一実施の形態における実行機能の処理内容の例について説明する図である。
【図8】本発明の一実施の形態におけるRFIDタグの表示機能によって担保権の実行状態を表示する場合の例を示した図である。
【図9】本発明の一実施の形態における金融機関もしくは企業のクライアント端末上に表示する案件の管理画面の例を示した図である。
【図10】本発明の一実施の形態における担保物件の詳細情報を表示する詳細管理画面の例を示した図である。
【図11】本発明の一実施の形態における金融機関のクライアント端末上に表示する案件の確認画面の例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0019】
本発明の一実施の形態であるABL支援システムは、RFIDタグを在庫に付してその所在や移動を把握・管理するとともに、動産担保融資案件の情報と関連付けて管理することで、担保物件の特定やその所在および評価価値の推移等の状態の把握・管理、担保の解除や実行といったABLに係る業務を支援するシステムである。
【0020】
[システム構成]
図1は、本発明の一実施の形態であるABL支援システムの構成例の概要を示した図である。図1において、ABL業務支援システム1は、ABL業務支援サーバ100と、1以上の管理場所200に保管されている在庫201に付されたRFIDタグ122、および管理場所200に設置され、RFIDタグ122と無線通信することにより情報の送受信を行うリーダ/ライタ121とを有する構成となっている。さらに、ABL業務支援サーバ100には、インターネット等のネットワーク500を介して金融機関300(債権者)および企業400(債務者)の有するPC(Personal Computer)等のクライアント端末が接続される。
【0021】
なお、管理場所200とは、企業400の保有する在庫201を管理する場所(領域)であり、例えば、企業400もしくは企業400から担保物件の管理を委託された物流会社の倉庫やその一部の領域などである。この管理場所200のうち、所定の管理場所200内に保管されている在庫201については譲渡担保により担保が設定されているものとして取り扱う。すなわち、当該所定の管理場所200に入ってきた(入庫してきた)在庫201は新たに担保物件の対象となり、販売等により出ていった(出庫した)在庫201は担保の対象から除外される。また、所定の管理場所200内にある在庫201でも、特定の商品種別のみが担保の対象となる場合もある。
【0022】
従来では一般的に、担保物件が多数となる場合は、その特定手段として、例えば、所定の管理場所200内に保管されている在庫については譲渡担保により担保が設定されているものとしてその旨を管理場所200に紙面等で明示したり、管理場所200の境界が明確でない場合などは、個々の担保物件にその旨の紙面を貼付したりしている。本実施の形態のABL業務支援システム1では、後述するように、表示機能付きのRFIDタグ122を在庫201に付することにより、担保が設定されている旨や担保権の実行状態の表示をABL案件の状況に応じてリアルタイムに行うことを可能とする。
【0023】
ABL業務支援サーバ100は、サーバ等のコンピュータシステムによって実装され、ABL案件と担保物件(在庫201)およびその評価価値の登録機能や、担保物件の所在および評価価値の推移等の状態の確認機能と評価替え機能、担保物件の管理の解除機能および担保権の実行機能といったABLに係る管理業務を支援する各機能を有する。このABL業務支援サーバ100は、例えば、ソフトウェアプログラムによって実装される基盤部110、RFIDタグ制御部120、管理部130、在庫管理部140、ABL管理部150の各部、および在庫管理DB141、ABL管理DB151の各データベースを有する。
【0024】
基盤部110は、図示しないOS(Operating System)や、データベース管理プログラム、Webサーバプログラムなどのミドルウェアなどを有し、ABL業務支援サーバ100のシステム基盤機能を提供する。例えば、金融機関300や企業400のユーザは、クライアント端末上のWebブラウザなどのソフトウェアを介して基盤部110のWebサーバプログラムにアクセスし、ABL管理部150などが提供する機能を利用してABLに係る業務を行うことができる。
【0025】
RFIDタグ制御部120は、後述する管理部130からの指示に基づいて、管理場所200に設置されたリーダ/ライタ121を制御することにより、在庫201に付されたRFIDタグ122とリーダ/ライタ121との間で無線通信を行う機能を有する。このリーダ/ライタ121は、ABL業務支援サーバ100に接続し、RFIDタグ制御部120からの指示に基づいて、RFIDタグ122から無線通信により送信されたID情報を受信して(読み取って)ABL業務支援サーバ100に送信し、また、RFIDタグ122に対して指示された情報を無線通信により送信する(書き込む)機能を有する。
【0026】
管理部130は、後述するABL管理部150からの指示に基づいて、RFIDタグ制御部120に対して、在庫201に付されたRFIDタグ122からの情報の取得、もしくは情報の書き換えを指示する機能を有する。また、RFIDタグ制御部120を介して各RFIDタグ122から取得した情報について、フォーマットを所定の形式に変換して後述する在庫管理部140に受け渡す機能も有する。
【0027】
在庫管理部140は、管理部130およびRFIDタグ制御部120を介して各RFIDタグ122から取得した情報に基づいて在庫管理DB141の内容を更新し、担保物件を含む在庫201の所在(管理場所200)に関する情報を管理する在庫管理の機能を有する。在庫管理DB141には、例えば、RFIDタグ122毎に、そのID情報と、当該RFIDタグ122が付された商品を識別する商品コード、更新タイムスタンプ、情報を取得した際のトリガとなったイベント情報等に加えて、例えば、在庫201の所在に関する情報として、所在場所(管理場所200)を識別するための場所コードや、GPS(Global Positioning System)情報などを保持する。
【0028】
ABL管理部150は、金融機関300から登録されたABL案件の情報と、企業400から登録された担保物件となる在庫201の情報、および金融機関300から登録された担保物件の評価価値の履歴を含む情報を保持するABL管理DB151の内容と、在庫管理部140が有する在庫管理DB141の内容とを関連付けて管理することで、各ABL案件の対象となる担保物件を特定し、その所在および評価価値の推移等の状態を把握・管理して、金融機関300および企業400のユーザによるABL案件に係る一連の業務を支援する機能を有する。
【0029】
ABL管理DB151には、例えば、担保物件である在庫201を識別する商品コード毎に、ABL案件の情報として、稟議書ID等の案件を識別する情報、融資先の企業400を識別する企業コード、クレジットライン、担保物件の評価時点での評価額、経費、担保掛目、処分見込額、貸出額、商品(担保)種類などの情報を保持する。これにより、担保物件(在庫201)を識別する商品コードをキーとして、在庫管理DB141の情報とABL案件の情報とを関連付けて管理することが可能である。
【0030】
なお、在庫管理DB141における、対象の担保物件の所在の情報や、これに付されているRFIDタグ122のID情報などを、ABL管理DB151に取り込んで保持することで、ABL管理DB151内で必要な情報が全て得られるような構成としてもよい。また、本実施の形態では、ABL管理部150の中に在庫管理部140を有する構成としているが、在庫管理部140は、例えば、ABL業務支援サーバ100上もしくは外部のシステム/サーバ等において独立して稼働する既存の在庫管理システム等を用いることも可能である。
【0031】
在庫201に付されたRFIDタグ122とリーダ/ライタ121との間の通信では、一般的に、リーダ/ライタ121からの呼び出し等をトリガとして、各RFIDタグ122が、自己の固有のID情報をリーダ/ライタ121に対して送信する。このID情報に基づいて各RFIDタグ122(およびこれが付された在庫201)を識別し、その所在を把握する。
【0032】
なお、RFIDタグ122の方式としては、電池を内蔵し、主にこの電池から電力を取得して動作するアクティブタイプと、電池を内蔵せず、リーダ/ライタ121から出力された無線電波から電力や搬送波の源振を取得して動作するパッシブタイプとがある。本実施の形態では、精度が高くかつ通信距離が長いことから効率的かつ正確に情報を取得することができ、また、RFIDタグ122側でID情報の送信以外の種々の機能を実現するため、アクティブタイプを利用するのが望ましい。
【0033】
本実施の形態のRFIDタグ122が有する機能としては、自己の固有のID情報を無線通信により送信することにより、付された商品等を識別可能とする商品認識機能に加えて、管理部130等を介してABL管理部150から指示された情報をリーダ/ライタ121から無線通信により受信して保持し、その内容をリアルタイムで表示する表示機能を有する。当該表示機能を有するRFIDタグ122として、例えば、いわゆる電子ペーパー等を利用した表示部を有するものが存在する。また、GPS情報を受信することによりRFIDタグ122およびこれが付された商品等の所在位置を識別可能とする位置認識機能を有していてもよい。
【0034】
[動産担保融資業務]
以下では、図1に示した本実施の形態のABL業務支援システム1によるABL業務の処理内容について説明する。ABL業務支援システム1では、(1)管理対象となる担保物件(在庫201)を特定して登録する登録機能、(2)企業400が所有する担保物件の所在(実在性)および価値の推移を確認する確認機能、(3)相場変動や担保物件の毀損・滅失などの状態に応じてその評価額およびクレジットラインを変更する評価替え機能、(4)ABLの終了に基づき管理対象であった担保物件を解除する解除機能、(5)担保物件に担保権の実行状態を明示する実行機能、の5つの機能を有し、これらの機能によってABL業務を行う。なお、これらの機能は、主にABL管理部150(および在庫管理部140)によって実行される。
【0035】
[登録機能]
図2は、登録機能の処理内容の例について説明する図である。まず、貸し手である金融機関300のユーザは、クライアント端末を利用してABL業務支援サーバ100にアクセスし、融資先の企業400の企業コード、稟議書ID、クレジットラインなどの案件の基礎情報を登録する。これらの情報は、ABL管理部150によりABL管理DB151に登録される。このとき、ABL管理部150は、案件IDを採番して上記の情報と関連付けてABL管理DB151に登録してもよい。
【0036】
次に、借り手である融資先の企業400のユーザは、同様にクライアント端末を利用してABL業務支援サーバ100にアクセスし、対象の案件の情報に対して、担保物件である在庫201を識別する商品コード、およびこれらに紐付けられたRFIDタグ122のID情報、担保物件の商品種類、担保物件が保管される管理場所200の情報などの担保物件を特定する情報を追加登録する。これらの情報についても、同様にABL管理部150によりABL管理DB151に登録される。なお、担保物件を識別する商品コードやRFIDタグ122のID情報については、対象が多数となる場合はデータファイルの取り込み等による一括登録とすることも可能である。
【0037】
次に、金融機関300のユーザは、対象の案件の情報に対して、担保物件の現在の評価額、経費、担保掛目などの評価情報を追加登録する。これらの情報については、例えば、第三者の動産評価会社等による評価金額に基づいて算定することができる。その後、対象の案件についての企業400への貸出額を登録する。貸出額については最新の情報に基づいて定期的に更新登録する。以上の処理により、管理対象となる担保物件(在庫201)を特定してABL業務支援サーバ100に登録することができる。
【0038】
[確認機能]
図3は、確認機能の処理内容の例について説明する図である。まず、ABL業務支援サーバ100は、各在庫201に付されたRFIDタグ122からリーダ/ライタ121が受信したID情報もしくは商品コード、およびタイムスタンプの情報を取得し、取得した情報を在庫管理DB141に登録する。次に、ABL業務支援サーバ100は、在庫管理DB141に登録した情報に基づいて、各在庫201(各在庫201に付されたRFIDタグ122)の所在場所(管理場所200)を特定する。
【0039】
各在庫201(各在庫201に付されたRFIDタグ122)の所在場所(管理場所200)を特定するためには、図4の例に示すようにいくつかの手法が考えられる。図4(a)は、リーダ/ライタ121からの呼び出しの信号に対して、ID情報の応答の電波を送信してきた(リーダ/ライタ121が受信できた)RFIDタグ122について、対象のリーダ/ライタ121が設置された管理場所200内に存在するものとして特定する場合の例を示している。このパターンは、例えば、管理場所200が倉庫全体である場合など、リーダ/ライタ121と無線通信が可能な範囲にあるRFIDタグ122が付された在庫201は全て管理場所200内に存在するものとして取り扱えばよいというような場合に利用可能である。
【0040】
図4(b)は、RFIDタグ122がGPS情報を受信してリーダ/ライタ121に送信することが可能であり、各RFIDタグ122から取得したGPS情報から得られる位置情報に基づいて、対象のRFIDタグ122が存在する管理場所200を判定する場合の例を示している。このとき、予め各管理場所200の範囲(緯度/経度の範囲)を定義しておき、GPS情報から得られる各RFIDタグ122の位置(緯度/経度)が対象の管理場所200の範囲に含まれるか否かによって、対象の管理場所200内に存在するか否かを判定する。このパターンは、GPS情報の精度にも依存するが、管理場所200が所定の範囲(領域)に限定される場合(対象の管理場所200の外部に存在するRFIDタグ122との間でもリーダ/ライタ121が通信可能である場合)に利用可能である。
【0041】
図4(c)は、RFIDタグ122がID情報を送信するためのトリガとなったイベント情報等をリーダ/ライタ121に送信することが可能であり、各RFIDタグ122から取得したイベント情報に基づいて、対象のRFIDタグ122が対象の管理場所200内に存在するか否かを判定する場合の例を示している。このとき、予め管理場所200の範囲における入口(入庫口)と出口(出庫口)などのイベント発生場所に、RFIDタグ122に対してID情報を送信させるためのイベント情報を送信するイベント発生装置202を設置しておく。
【0042】
各RFIDタグ122は、物流の過程で各イベント発生場所を通過する際に、イベント発生場所に設置されたイベント発生装置202からのイベント情報を受信して、ID情報と受信したイベント情報(例えば入口の場合は“IN”、出口の場合は“OUT”)をリーダ/ライタ121に送信する。このイベント情報に基づいて、例えば“IN”のイベント情報を受信してから“OUT”のイベント情報を受信するまでの間は、対象のRFIDタグ122は対象のリーダ/ライタ121が設置された管理場所200内に存在するという判断をすることができる。このパターンは、管理場所200の範囲が狭い場合に、RFIDタグ122が対象の管理場所200内に存在するか否かを精度良く判定することができる。
【0043】
上記の図4(a)〜(c)で示した3つのパターンは、管理場所200の環境条件等に応じていずれを利用してもよい。また、これらのパターンの複数を適宜組み合わせて利用することで判定の精度を高めることも可能である。
【0044】
図3において、各在庫201に付されたRFIDタグ122から取得した情報および上記で特定した所在(管理場所200)の情報を在庫管理DB141に登録した後、さらにABL業務支援サーバ100は、ABL管理DB151に登録されている担保物件毎に、在庫管理DB141の情報等に基づいて数量や評価額などの集計を行い、ABL管理DB151の内容を更新する。
【0045】
その後、金融機関300(および企業400)のユーザは、ABL業務支援サーバ100にアクセスして、ABL管理DB151に登録されている対象の案件の情報を参照し、企業400に保有されている担保物件(在庫201)の所在(管理場所200)や、数量や評価額の推移などの担保物件の状態を確認する。このとき、必要に応じてABL管理DB151に保持された評価額等の情報を金融機関300のユーザからの補正指示により適宜更新してもよい。
【0046】
[評価替え機能]
図5は、評価替え機能の処理内容の例について説明する図である。金融機関300のユーザは、ABL業務支援サーバ100にアクセスして、ABL管理DB151に登録されている対象の案件の情報に対して、相場変動や担保物件の毀損・滅失などの状態に応じて、クレジットラインや評価額、経費、担保掛目などの評価情報を更新登録する。なお、これらの情報については、例えば、第三者の動産評価会社等による評価金額に基づいて算定することができる。
【0047】
[解除機能]
図6は、解除機能の処理内容の例について説明する図である。金融機関300のユーザは、ABL業務支援サーバ100にアクセスして、ABL管理DB151に登録されている対象の案件に対して、案件の終了等に基づいて担保物件の管理を解除することを指示する。このとき、対象の案件の情報をABL管理DB151から削除したりステータスを更新したりすることによって解除を行う。案件全体に限らず、個別の商品を選択指定して商品毎に担保物件の解除を指示できるようにしてもよい。
【0048】
[実行機能]
図7は、実行機能の処理内容の例について説明する図である。金融機関300のユーザは、ABL業務支援サーバ100にアクセスして、ABL管理DB151に登録されている対象の案件に対して、担保権を実行することを指示する。指示を受けたABL業務支援サーバ100は、例えば、ABL管理DB151に登録されている対象の案件のステータスを更新し、担保権が実行状態にある旨を示す内容を含む情報をリーダ/ライタ121を介して対象の担保物件(在庫201)に付されたRFIDタグ122に送信して、担保権が実行状態にある旨を表示するよう指示を行う。
【0049】
リーダ/ライタ121から指示を受信したRFIDタグ122は、表示機能によって、当該RFIDタグ122が付された担保物件(在庫201)については担保権が実行状態にあり、保全のため移動が禁止されている旨の文言を明示する。図8は、RFIDタグ122の表示機能によって担保権の実行状態を表示する場合の例を示した図である。表示領域の下段に、担保権の実行状態が表示されており、この内容は、通常時は非表示であるが上記の担保権の実行指示により即時に表示することができる。これにより、対象の在庫201が誤って出庫されたりすることを防止して担保物件を確実に保全することができる。
【0050】
なお、表示領域の中段には当該RFIDタグ122が付された在庫201に対して担保権が設定されている旨とその内容(債権者等)が表示されている。ここでは、例えば、図2に示した登録機能の処理によって対象となる担保物件(在庫201)が登録され特定された場合に、ABL業務支援サーバ100が、登録された案件の内容を含む情報をリーダ/ライタ121を介して対象の在庫201に付されたRFIDタグ122送信して、対象の在庫201に対して担保権が設定されている旨を表示するよう指示を行う。リーダ/ライタ121から指示を受信したRFIDタグ122は、表示機能によって、当該RFIDタグ122が付された在庫201に対して担保権が設定されている旨を表示する。
【0051】
この情報についても同様に、ABL業務支援サーバ100からの指示により即時に表示内容を変更したり、管理場所200からの出庫や担保物件の管理の解除等により非表示としたりすることができる。これにより、対象の在庫201がABLの対象となっていることを的確に明示することができる。
【0052】
[画面例]
図9は、ユーザが上記の登録機能、評価替え機能、解除機能、もしくは実行機能を利用する際に、ABL業務支援サーバ100のABL管理部150が生成し、金融機関300もしくは企業400のクライアント端末上に表示する案件の管理画面の例を示した図である。「案件選択」部において「新規」を選択した場合は、ABL案件を新たに登録する登録機能を実行することになる。また、融資先の企業400の「企業コード」および「稟議書ID」を指定して「表示」ボタンを押下することによって対象の案件をABL管理DB151から検索して表示した場合は、評価替え機能、解除機能、もしくは実行機能を実行することになる。
【0053】
「基礎情報入力」部では、「企業コード」、「稟議書ID」、「クレジットライン」、「貸出額」などの各項目について、登録機能の場合は新たに入力し、それ以外の場合は、対象の案件についてABL管理DB151に登録されている内容を表示する。「物件情報入力」部では、各担保物件についての「担保(商品)種類」、「管理場所」の情報、第三者の動産評価会社などによる担保物件の「評価額」、「処分費用」の見積額、および「担保掛目」などの各項目について、登録機能の場合は新たに入力し、それ以外の場合は、対象の案件についてABL管理DB151に登録されている内容を表示する。また、例えば、(「評価額」−「処分費用」)×「担保掛目」の式によって算出した額を「処分見込額」として表示する。
【0054】
当該画面に表示もしくは入力された案件について、下段の「登録・更新」、「担保実行」、「担保解除」の各ボタンを押下することによって、それぞれ、登録機能もしくは評価替え機能、実行機能、解除機能の実行をABL業務支援サーバ100に対して指示することができる。
【0055】
また、「物件情報入力」部において、各担保物件について対応する「詳細」情報の「表示」ボタンもしくは「全表示」ボタンを押下することによって、各担保物件もしくは全ての担保物件についての詳細情報を表示することができる。
【0056】
図10は、図9に示した管理画面から表示された担保物件の詳細情報を表示する詳細管理画面の例を示した図である。「担保物件」部には、対象の案件についてABL管理DB151に登録されている「企業コード」、「稟議書ID」、「担保種類」、「管理場所」の情報を表示する。「担保種類」および「管理場所」の項目については、図9の管理画面において「全表示」ボタンを押下している場合には全ての担保種類および管理場所200が対象となる。
【0057】
「物件詳細」部では、対象の担保物件について、商品コード毎の詳細な情報を、ABL管理DB151から取得して過去の履歴分も含めて表示する。このとき、「開始日付」および/または「終了日付」を指定することによって履歴を表示する期間を絞り込むことができる。対象の期間の担保物件のリストとして、担保物件である在庫201の「商品コード」、「処分見込額」、管理場所200への「入庫日時」と「出庫日時」、対象の担保物件(在庫201)に付されたRFIDタグ122の「タグID」(ID情報)、「ステータス」、「備考」などの各項目を表示する。
【0058】
下段の「更新」ボタンを押下することによって、更新箇所の内容をABL管理DB151に反映させることができる。また、「読込」ボタンを押下することによって、データファイルから一括で情報を読み込んで登録もしくは更新することも可能である。
【0059】
図11は、ユーザが上記の確認機能を利用する際に、ABL業務支援サーバ100のABL管理部150が生成し、金融機関300のクライアント端末上に表示する案件の確認画面の例を示した図である。「表示選択」部では、対象の案件や担保物件を選択する条件として、融資先の企業400の「企業コード」、「稟議書ID」、「担保種類」、「管理場所」を指定し、「表示」ボタンを押下する。このとき、「担保種類」および「管理場所」についてはいずれか一方の指定も可能であり、また、全ての担保種類および管理場所200を対象とすることもできる。
【0060】
「表示」ボタンの押下により、ABL管理DB151から該当する内容を取得して、担保物件毎もしくは全ての担保物件について月別に集計した結果を「試算表表示」部に表示する。「試算表表示」部には、例えば、「在庫数」、「在庫確認日時」、「在庫回転期間」、「在庫評価額」、「在庫処分費用」、「処分見込額」、「クレジットライン」、「貸出額」などの各項目を表示する。
【0061】
ここで、例えば、「在庫評価額」は担保物件の「在庫数」×「評価額」、「在庫処分費用」は同様に「在庫数」×「処分費用」によって算出する。また、「処分見込額」および「貸出額」は、全担保物件を対象とした場合にのみ表示し、「処分見込額」は(「在庫評価額」−「在庫処分費用」)×「担保掛目」を各担保物件について合計した値、「貸出額」は対象の月の最新更新時点での貸出額を表示する。これらの情報を参照することにより、金融機関300のユーザは、担保物件の評価価値の推移を把握し、クレジットラインや貸出額の調整、担保権の実行などの判断を行うことができる。
【0062】
以上に説明したように、本実施の形態のABL業務支援システム1によれば、表示機能を有するアクティブ型RFIDタグ122を在庫201に付してその所在や移動を把握・管理するとともに、ABL管理DB151においてABL案件の情報と関連付けて管理することで、担保物件の所在や価値の推移等の把握・管理を効率的に行うことが可能となるとともに、担保物件に対する担保内容の変更や担保権の実行についての明示をリアルタイムに行うことが可能となる。これにより、金融機関300がABLを効率的に実施することが可能となり、ABLの積極的な展開と普及に寄与することができる。
【0063】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0064】
例えば、本実施の形態では、表示機能を有するRFIDタグ122を利用することによって、担保物件(在庫201)の所在の正確な把握と、担保内容や担保権の実行状態の明示とを実現しているが、例えば、担保物件を保管する管理場所200の境界が明確であり、管理場所200内に存在する担保物件(在庫201)が目視でも容易に識別・特定できるような場合は、例えば、各担保物件(在庫201)には表示機能を有さないRFIDタグを付すとともに、管理場所200の所定の場所にディスプレイ等の表示装置を設置して、ABL業務支援サーバ100からの指示により、担保内容や担保権の実行状態を一括で表示するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、動産担保融資における担保物件の登録から状態の把握、担保権の実行にいたるまでの一連の業務処理を支援する動産担保融資業務支援システムに利用可能である。
【符号の説明】
【0066】
1…ABL業務支援システム、
100…ABL業務支援サーバ、110…基盤部、120…RFIDタグ制御部、121…リーダ/ライタ、122…RFIDタグ、130…管理部、140…在庫管理部、141…在庫管理DB、150…ABL管理部、151…ABL管理DB、
200…管理場所、201…在庫、202…イベント発生装置、
300…金融機関、
400…企業、
500…ネットワーク。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
在庫等を担保として金融機関が企業に融資を行う動産担保融資の業務処理を支援する動産担保融資業務支援システムであって、
前記金融機関から登録された前記動産担保融資の案件の情報と、前記企業から登録された前記案件の対象の担保物件となる前記在庫の情報、および前記金融機関から登録された前記担保物件の評価価値の履歴を含む情報を保持する動産担保融資管理データベースを有し、前記動産担保融資に係る管理業務を支援する機能を有する動産担保融資業務支援サーバと、
前記在庫に付され、自己の固有のID情報を無線通信により送信する機能および自己が保持する情報を自己の表示部に表示する機能とを有するRFIDタグと、
前記在庫が保管されている管理場所に設置され、前記動産担保融資業務支援サーバに接続し、前記RFIDタグから無線通信により送信された前記ID情報を受信して前記動産担保融資業務支援サーバに送信し、また、前記動産担保融資業務支援サーバからの指示に基づいて前記RFIDタグに対して情報を無線通信により送信して書き込む機能を有するリーダ/ライタとを有し、
前記動産担保融資業務支援サーバは、
前記リーダ/ライタによって前記RFIDタグから取得した前記ID情報に基づいて、前記在庫の所在に関する情報を保持する在庫管理データベースの内容を更新して前記在庫の管理を行う機能を有する在庫管理部と、
前記在庫管理データベースの内容と前記動産担保融資管理データベースの内容とを前記担保物件となる前記在庫を識別する情報によって関連付けて管理することで、前記担保物件を特定し、前記担保物件の所在および前記評価価値の推移を把握して管理する動産担保融資管理部とを有し、
前記動産担保融資管理部は、前記案件の内容を含む情報を前記リーダ/ライタを介して前記担保物件に付された前記RFIDタグに送信し、該情報を受信した前記RFIDタグは、前記RFIDタグが付された前記在庫に対して担保権が設定されている旨を表示し、
また、前記動産担保融資管理部は、前記金融機関から前記担保権の実行が指示された場合は、前記担保権が実行状態にある旨を示す内容を含む情報を前記リーダ/ライタを介して前記担保物件に付された前記RFIDタグに送信し、該情報を受信した前記RFIDタグは、前記RFIDタグが付された前記担保物件について前記担保権が実行状態にある旨を表示することを特徴とする動産担保融資業務支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の動産担保融資業務支援システムにおいて、
前記RFIDタグの前記表示部には、電子ペーパーを用いることを特徴とする動産担保融資業務支援システム。
【請求項3】
在庫等を担保として金融機関が企業に融資を行う動産担保融資の業務処理を支援する動産担保融資業務支援システムであって、
前記金融機関から登録された前記動産担保融資の案件の情報と、前記企業から登録された前記案件の対象の担保物件となる前記在庫の情報、および前記金融機関から登録された前記担保物件の評価価値の履歴を含む情報を保持する動産担保融資管理データベースを有し、前記動産担保融資に係る管理業務を支援する機能を有する動産担保融資業務支援サーバと、
前記在庫に付され、自己の固有のID情報を無線通信により送信する機能を有するRFIDタグと、
前記在庫が保管されている管理場所に設置され、前記動産担保融資業務支援サーバに接続し、前記RFIDタグから無線通信により送信された前記ID情報を受信して前記動産担保融資業務支援サーバに送信し、また、前記動産担保融資業務支援サーバからの指示に基づいて前記RFIDタグに対して情報を無線通信により送信して書き込む機能を有するリーダ/ライタと、
前記管理場所に設置され、前記動産担保融資業務支援サーバに接続し、前記動産担保融資業務支援サーバから指示された内容を表示する表示装置とを有し、
前記動産担保融資業務支援サーバは、
前記リーダ/ライタによって前記RFIDタグから取得した前記ID情報に基づいて、前記在庫の所在に関する情報を保持する在庫管理データベースの内容を更新して前記在庫の管理を行う機能を有する在庫管理部と、
前記在庫管理データベースの内容と前記動産担保融資管理データベースの内容とを前記担保物件となる前記在庫を識別する情報によって関連付けて管理することで、前記担保物件を特定し、前記担保物件の所在および前記評価価値の推移を把握して管理する動産担保融資管理部とを有し、
前記動産担保融資管理部は、前記担保物件となる前記在庫が保管されている前記管理場所に設置された前記表示装置に、前記管理場所に保管されている前記在庫に対して担保権が設定されている旨を表示し、
また、前記動産担保融資管理部は、前記金融機関から前記担保権の実行が指示された場合は、前記担保権の実行の対象となる前記担保物件が保管されている前記管理場所に設置された前記表示装置に、前記担保権が実行状態にある旨を表示することを特徴とする動産担保融資業務支援システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の動産担保融資業務支援システムにおいて、
前記RFIDタグは、電池を内蔵するアクティブタイプであることを特徴とする動産担保融資業務支援システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の動産担保融資業務支援システムにおいて、
前記RFIDタグは、GPS情報を受信して、前記GPS情報を前記ID情報とともに前記リーダ/ライタを介して前記動産担保融資業務支援サーバに送信する機能を有し、
前記動産担保融資業務支援サーバは、前記RFIDタグから取得した前記GPS情報から得られる位置情報に基づいて、前記RFIDタグの位置が予め定められた対象の前記管理場所の範囲に含まれるか否かによって、前記RFIDタグが付された前記在庫が対象の前記管理場所に存在するか否かを判定することを特徴とする動産担保融資業務支援システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の動産担保融資業務支援システムにおいて、
前記管理場所の入口および出口に、前記RFIDタグに対して前記ID情報を送信させるためのトリガとなるイベント情報を送信するイベント発生装置をそれぞれ有し、
前記RFIDタグは、前記イベント発生装置から送信された前記イベント情報を受信して、前記ID情報とともに受信した前記イベント情報を前記リーダ/ライタを介して前記動産担保融資業務支援サーバに送信する機能を有し、
前記動産担保融資業務支援サーバは、前記RFIDタグから取得した前記イベント情報に基づいて、前記RFIDタグが前記入口を通過した際の前記イベント情報を受信してから前記出口を通過した際の前記イベント情報を受信するまでの間は、前記RFIDタグが付された前記在庫が前記リーダ/ライタが設置された前記管理場所に存在すると判定することを特徴とする動産担保融資業務支援システム。
【請求項1】
在庫等を担保として金融機関が企業に融資を行う動産担保融資の業務処理を支援する動産担保融資業務支援システムであって、
前記金融機関から登録された前記動産担保融資の案件の情報と、前記企業から登録された前記案件の対象の担保物件となる前記在庫の情報、および前記金融機関から登録された前記担保物件の評価価値の履歴を含む情報を保持する動産担保融資管理データベースを有し、前記動産担保融資に係る管理業務を支援する機能を有する動産担保融資業務支援サーバと、
前記在庫に付され、自己の固有のID情報を無線通信により送信する機能および自己が保持する情報を自己の表示部に表示する機能とを有するRFIDタグと、
前記在庫が保管されている管理場所に設置され、前記動産担保融資業務支援サーバに接続し、前記RFIDタグから無線通信により送信された前記ID情報を受信して前記動産担保融資業務支援サーバに送信し、また、前記動産担保融資業務支援サーバからの指示に基づいて前記RFIDタグに対して情報を無線通信により送信して書き込む機能を有するリーダ/ライタとを有し、
前記動産担保融資業務支援サーバは、
前記リーダ/ライタによって前記RFIDタグから取得した前記ID情報に基づいて、前記在庫の所在に関する情報を保持する在庫管理データベースの内容を更新して前記在庫の管理を行う機能を有する在庫管理部と、
前記在庫管理データベースの内容と前記動産担保融資管理データベースの内容とを前記担保物件となる前記在庫を識別する情報によって関連付けて管理することで、前記担保物件を特定し、前記担保物件の所在および前記評価価値の推移を把握して管理する動産担保融資管理部とを有し、
前記動産担保融資管理部は、前記案件の内容を含む情報を前記リーダ/ライタを介して前記担保物件に付された前記RFIDタグに送信し、該情報を受信した前記RFIDタグは、前記RFIDタグが付された前記在庫に対して担保権が設定されている旨を表示し、
また、前記動産担保融資管理部は、前記金融機関から前記担保権の実行が指示された場合は、前記担保権が実行状態にある旨を示す内容を含む情報を前記リーダ/ライタを介して前記担保物件に付された前記RFIDタグに送信し、該情報を受信した前記RFIDタグは、前記RFIDタグが付された前記担保物件について前記担保権が実行状態にある旨を表示することを特徴とする動産担保融資業務支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の動産担保融資業務支援システムにおいて、
前記RFIDタグの前記表示部には、電子ペーパーを用いることを特徴とする動産担保融資業務支援システム。
【請求項3】
在庫等を担保として金融機関が企業に融資を行う動産担保融資の業務処理を支援する動産担保融資業務支援システムであって、
前記金融機関から登録された前記動産担保融資の案件の情報と、前記企業から登録された前記案件の対象の担保物件となる前記在庫の情報、および前記金融機関から登録された前記担保物件の評価価値の履歴を含む情報を保持する動産担保融資管理データベースを有し、前記動産担保融資に係る管理業務を支援する機能を有する動産担保融資業務支援サーバと、
前記在庫に付され、自己の固有のID情報を無線通信により送信する機能を有するRFIDタグと、
前記在庫が保管されている管理場所に設置され、前記動産担保融資業務支援サーバに接続し、前記RFIDタグから無線通信により送信された前記ID情報を受信して前記動産担保融資業務支援サーバに送信し、また、前記動産担保融資業務支援サーバからの指示に基づいて前記RFIDタグに対して情報を無線通信により送信して書き込む機能を有するリーダ/ライタと、
前記管理場所に設置され、前記動産担保融資業務支援サーバに接続し、前記動産担保融資業務支援サーバから指示された内容を表示する表示装置とを有し、
前記動産担保融資業務支援サーバは、
前記リーダ/ライタによって前記RFIDタグから取得した前記ID情報に基づいて、前記在庫の所在に関する情報を保持する在庫管理データベースの内容を更新して前記在庫の管理を行う機能を有する在庫管理部と、
前記在庫管理データベースの内容と前記動産担保融資管理データベースの内容とを前記担保物件となる前記在庫を識別する情報によって関連付けて管理することで、前記担保物件を特定し、前記担保物件の所在および前記評価価値の推移を把握して管理する動産担保融資管理部とを有し、
前記動産担保融資管理部は、前記担保物件となる前記在庫が保管されている前記管理場所に設置された前記表示装置に、前記管理場所に保管されている前記在庫に対して担保権が設定されている旨を表示し、
また、前記動産担保融資管理部は、前記金融機関から前記担保権の実行が指示された場合は、前記担保権の実行の対象となる前記担保物件が保管されている前記管理場所に設置された前記表示装置に、前記担保権が実行状態にある旨を表示することを特徴とする動産担保融資業務支援システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の動産担保融資業務支援システムにおいて、
前記RFIDタグは、電池を内蔵するアクティブタイプであることを特徴とする動産担保融資業務支援システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の動産担保融資業務支援システムにおいて、
前記RFIDタグは、GPS情報を受信して、前記GPS情報を前記ID情報とともに前記リーダ/ライタを介して前記動産担保融資業務支援サーバに送信する機能を有し、
前記動産担保融資業務支援サーバは、前記RFIDタグから取得した前記GPS情報から得られる位置情報に基づいて、前記RFIDタグの位置が予め定められた対象の前記管理場所の範囲に含まれるか否かによって、前記RFIDタグが付された前記在庫が対象の前記管理場所に存在するか否かを判定することを特徴とする動産担保融資業務支援システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の動産担保融資業務支援システムにおいて、
前記管理場所の入口および出口に、前記RFIDタグに対して前記ID情報を送信させるためのトリガとなるイベント情報を送信するイベント発生装置をそれぞれ有し、
前記RFIDタグは、前記イベント発生装置から送信された前記イベント情報を受信して、前記ID情報とともに受信した前記イベント情報を前記リーダ/ライタを介して前記動産担保融資業務支援サーバに送信する機能を有し、
前記動産担保融資業務支援サーバは、前記RFIDタグから取得した前記イベント情報に基づいて、前記RFIDタグが前記入口を通過した際の前記イベント情報を受信してから前記出口を通過した際の前記イベント情報を受信するまでの間は、前記RFIDタグが付された前記在庫が前記リーダ/ライタが設置された前記管理場所に存在すると判定することを特徴とする動産担保融資業務支援システム。
【図10】
【図11】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2011−100291(P2011−100291A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−254381(P2009−254381)
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(000232818)日本郵船株式会社 (61)
【出願人】(304035975)株式会社MTI (46)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(000232818)日本郵船株式会社 (61)
【出願人】(304035975)株式会社MTI (46)
【Fターム(参考)】
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