説明

動画像データ伝送装置及び動画像データ伝送方法

【課題】画像フレーム上のマクロブロックを含む重要なブロックを効率良く伝送することができる動画像データ伝送装置及び動画像データ伝送方法を提供する。
【解決手段】画像フレームF1のマクロブロックMB1と画像フレームF2のマクロブロックMB2との画素変化量に応じてマクロブロックMB1の重みを決定して該マクロブロックMB1に付与し、さらに、付与した重みに基づいてマクロブロックMB1が含まれる伝送パケットの伝送方法の制御を行う。これにより、重要なマクロブロックを効率良く伝送することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視カメラ等の動画像データの伝送を行う電子機器に用いて好適な動画像データ伝送装置及び動画像データ伝送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の動画像データ伝送装置として、例えば特許文献1で開示されているものが知られている。特許文献1で開示された動画像データ伝送装置は、第1の画像フレーム上における参照画像要素の位置と前記第1の画像フレームよりも後に再生される第2の画像フレーム上において前記参照画像要素を含むマクロブロックの位置とに基づいて前記後方マクロブロックの動きベクトルを演算するベクトル演算部と、前記動きベクトル演算部によって演算された前記動きベクトルに基づいて前記参照画像要素を含む前記第1の画像フレーム上の領域である参照画像ブロックを決定する参照画像ブロック決定部と、前記第1の画像フレーム上におけるマクロブロックと前記参照画像ブロックとが画像フレーム上において重なる重複領域の割合に応じて前記マクロブロックに重みを付与する重み付与部と、前記重み付与部によって付与された前記重みに基づいて前記マクロブロックの伝送方法を制御する伝送方法制御部と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−263658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の動画像データ伝送装置においては、第1の画像フレームのマクロブロックの重みを付加する際に、第1の画像フレームよりも後に再生される第2の画像フレームの動きベクトルを必要とするため、第2の画像フレームの符号化処理が終わるのを待つ必要がある。このようなことから、第1の画像フレームのマクロブロックに重みを付与するのに時間がかかり、重要なマクロブロック(例えば画像の変化の大きい重要部分)を効率良く伝送することができないという問題がある。
【0005】
本発明は、係る事情に鑑みてなされたものであり、画像フレーム上の重要なブロック(マクロブロックを含む)を効率良く伝送することができる動画像データ伝送装置及び動画像データ伝送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の動画像データ伝送装置は、動画像データを伝送する動画像データ伝送装置であって、第1の画像フレーム上における第1ブロックと前記第1の画像フレームよりも前に再生される第2の画像フレーム上の第2ブロックとの画素の変化量を求める画素変化判定部と、前記画素変化判定部で求められた前記画素の変化量をもとに前記第1ブロックに重みを付与する重み付与部と、前記重み付与部によって付与された前記重みに基づいて前記第1ブロックの伝送方法を制御する伝送方法制御部と、を備えた。
【0007】
この構成によれば、第1ブロックと第2ブロックとの画素の変化量に応じて第1ブロックに重みを付与し、さらに、付与した重みに基づいて第1ブロックの伝送方法を制御するので、重要なブロックを効率良く伝送することができる。
【0008】
上記構成において、前記画素変化判定部は、前記第1ブロックの輝度信号と前記第2ブロックの輝度信号の変化量を測定する。
【0009】
この構成によれば、第1ブロックに適確な重みを付与することができる。
【0010】
上記構成において、前記画素変化判定部は、前記第1ブロックの色差信号と前記第2ブロックの色差信号の変化量を測定する。
【0011】
この構成によれば、第1ブロックに適確な重みを付与することができる。
【0012】
上記構成において、前記伝送方法制御部は、前記重み付与部で付与された前記第1ブロックの前記重みをもとに前記第1ブロックを含む第1伝送パケットに重要度を設定する。
【0013】
この構成によれば、重要なブロックを伝送することができる。
【0014】
上記構成において、前記伝送方法制御部は、前記第1伝送パケットの重要度を基に送信回数を設定する。
【0015】
この構成によれば、重要なブロックを確実に伝送することができる。
【0016】
上記構成において、前記伝送方法制御部は、前記第1伝送パケットの重要度を基に誤り訂正符号を設定する。
【0017】
この構成によれば、重要なブロックを含むパケットを確実に受信側に伝送することができる。
【0018】
本発明の動画像データ伝送方法は、動画像データを伝送する動画像データ伝送方法であって、第1の画像フレーム上における第1ブロックと前記第1の画像フレームよりも前に再生される第2の画像フレーム上の第2ブロックとの画素の変化量を求める画素変化判定ステップと、前記画素変化判定ステップで求められた前記画素の変化量をもとに前記第1ブロックに重みを付与する重み付与ステップと、前記重み付与ステップによって付与された前記重みに基づいて前記第1ブロックの伝送方法を制御する伝送方法制御ステップと、を備えた。
【0019】
この方法によれば、第1ブロックと第2ブロックとの画素の変化量に応じて第1ブロックに重みを付与し、さらに、付与した重みに基づいて第1ブロックの伝送方法を制御するので、重要なブロック(マクロブロックを含む)を効率良く伝送することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、画像フレーム上の重要なブロックを効率良く伝送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態1に係る動画像データ伝送装置の概略構成を示すブロック図
【図2】図1の動画像データ伝送装置における画像フレームの構成例を示す図
【図3】図1の動画像データ伝送装置の動作を説明するためのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る動画像データ伝送装置の概略構成を示すブロック図である。同図において、本実施の形態の動画像データ伝送装置1は、画像フレーム入力部10と、画素変化判定部11と、重み付与部12と、伝送方法制御部13と、通信部14とを備える。なお、本実施の形態の動画像データ伝送装置が適用されるものとして、監視カメラがあるが、監視カメラに限らず動画像データを伝送する全ての電子機器に適用可能である。
【0024】
画像フレーム入力部10は、動画像データが蓄積されている記憶装置や、動画像データを取り込むカメラなどから動画像データを取得する。画像フレーム入力部10は、取得した動画像データを1フレームずつ画素変化判定部11に与える。画素変化判定部11は、画像フレーム入力部10からの時間的に前後する画像フレームから画素の変化量を求める。すなわち、画素変化判定部11は、画像フレームF1と、この画像フレームF1より前に再生される画像フレームF2との各画素を比較し、その変化量を求める。この場合、画素の比較方法は、“輝度”と“色差”のいずれか一方、または両方を用いて行う。また、画素の比較を行う範囲は、マクロブロックまたは特定ブロック単位で処理を行う。
【0025】
例えば図2において、画像フレームF1のマクロブロックMB1と画像フレームF2のマクロブロックMB2は、画像フレーム内の同じ位置にある。したがって、マクロブロックMB2は、マクロブロックMB1が再生された後に同じ場所に再生される。比較方法として色差を利用する場合は、マクロブロックMB1とマクロブロックMB2との各画素の色差を求め、各画素の色差の合計をマクロブロックMB1とマクロブロックMB2の画素変化量とする。同様に、比較方法として輝度を利用する場合は、マクロブロックMB1の各画素の輝度とマクロブロックMB2の各画素の輝度の差の合計をマクロブロックMB1とマクロブロックMB2との画素変化量とする。
【0026】
図1に戻り、重み付与部12は、画素変化判定部11で求められたマクロブロックMB1とマクロブロックMB2の画素変化量をもとにマクロブロックMB1の重みW1を決定する。マクロブロックMB1とマクロブロックMB2の画素変化量が大きい場合は、マクロブロックMB1の情報がないときの再生画像に与える影響が大きいので、マクロブロックMB1の重みW1を大きくする。一方、マクロブロックMB3とマクロブロックMB4の画素変化量が小さい場合は、マクロブロックMB3の情報が無いときの再生画像に与える影響が小さいので、マクロブロックMB3の重みW2を小さくする。
【0027】
伝送方法制御部13は、重み付与部12で与えられたマクロブロックMB1の重みをもとにマクロブロックMB1が含まれる伝送パケットP1の伝送方法の制御を行う。重みの大きいマクロブロックを含む伝送パケットは、伝送パケットの欠落時の再生画像に与える影響が大きい。一方、重みの小さいマクロブロックを含む伝送パケットは、伝送パケットの欠落時の再生画像に与える影響が小さい。したがって、伝送方法制御部13は、伝送パケットに含まれるマクロブロックの重みの合計をもとに伝送パケットの重要度Qを設定する。さらに、伝送パケットの重要度Qに応じて、伝送パケットごとに通信部14に伝送方法を設定する。具体的には、重要度Qが閾値以上の場合は、伝送パケットの送信回数をm回に設定する。また、重要度Qが閾値未満の場合は、伝送パケットの送信回数をn回に設定する。但し、mはnより大きい値である。重要なマクロブロックに対して送信回数を多くすることで、重要なマクロブロックを確実に伝送することが可能となる。
【0028】
通信部14は、動画像データの通信部であり、動画像データを伝送パケットに分割し、伝送する。また、伝送パケットごとに伝送方法制御部13によって設定された伝送方法に応じて伝送パケットの伝送を行う。具体的には、伝送方法制御部13でm回に設定された伝送パケットは最大m回まで伝送パケットの送信を行う。
【0029】
図3は、本実施の形態の動画像データ伝送装置1の動作を示すフローチャートである。同図において、まず動画像データが蓄積されている記憶装置や、動画像データを取り込むカメラなどから動画像データを取得する(ステップS10)。次いで、画像フレームF1とこの画像フレームF1より前に再生される画像フレームF2との各画素を比較し、その変化量を求める(ステップS11)。この場合、前述したように、色差を利用する場合は、図2に示すマクロブロックMB1とマクロブロックMB2との各画素の色差を求め、その各画素の色差の合計をマクロブロックMB1とマクロブロックMB2の画素変化量とする。輝度を利用する場合は、マクロブロックMB1の各画素の輝度とマクロブロックMB2の各画素の輝度の差の合計をマクロブロックMB1とマクロブロックMB2との画素変化量とする。
【0030】
次いで、画素変化判定で求められたマクロブロックMB1とマクロブロックMB2の画素変化量をもとにマクロブロックMB1の重みW1を決定し付与する(ステップS12)。この場合、マクロブロックMB1とマクロブロックMB2の画素変化量が大きい場合は、マクロブロックMB1の重みW1を大きくする。また、マクロブロックMB3とマクロブロックMB4の画素変化量が小さい場合は、マクロブロックMB3の重みW2を小さくする。
【0031】
ブロックに対する重み付けは、フレーム内の全てのブロックに対して行うので、全てのブロックに対する重み付けを行ったかどうかを判定する(ステップS13)。フレーム内の全てのブロックに対して重み付けを行っていない場合はステップST11に戻り、全てのブロックに対して重み付けを完了するまで同様の処理を繰り返す。フレーム内の全てのブロックに対して重み付けを行った場合はパケット送信を行う(ステップS14)。
【0032】
このように本実施の形態の動画像データ伝送装置1によれば、画像フレームF1のマクロブロックMB1と画像フレームF2のマクロブロックMB2との画素変化量に応じてマクロブロックMB1の重みを決定して該マクロブロックMB1に付与し、さらに、付与した重みに基づいてマクロブロックMB1が含まれる伝送パケットP1の伝送方法の制御を行う。これにより、重要なマクロブロックを効率良く伝送することができる。
【0033】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に係る動画像データ伝送装置2について説明する。なお、以下、実施の形態1と異なる部分について主に説明するものとし、同様の部分については、説明を適宜省略する。
【0034】
本実施の形態の動画像データ伝送装置2の伝送方法制御部13Aは、伝送パケットの重要度Qに応じて、伝送パケットごとに誤り訂正符号の有り/無しを設定する。具体的には、重要度Qが閾値以上の伝送パケットの場合は、誤り訂正符号が有りと設定する。また、重要度Qが閾値未満の伝送パケットの場合は、誤り訂正符号が無しと設定する。
【0035】
動画像データ伝送装置2の通信部14Aは、伝送方法制御部13Aによって設定された誤り訂正符号の有り/無しに応じて、誤り訂正符号の有りの場合は、伝送パケットの誤り訂正符号を生成して、誤り訂正符号をパケット化して伝送する。
【0036】
このように本実施の形態の動画像データ伝送装置2によれば、伝送パケットの重要度Qに応じて、伝送パケットごとに誤り訂正符号の有り/無しを設定し、誤り訂正符号の有りの場合は、伝送パケットの誤り訂正符号を生成して、誤り訂正符号をパケット化して伝送するので、重要なマクロブロックを含むパケットを確実に受信側に伝送することができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、画像フレーム上のマクロブロックを含む重要なブロックを効率良く伝送することができるといった効果を有し、監視カメラ等の動画像データの伝送を行う電子機器への適用が可能である。
【符号の説明】
【0038】
1、2 動画像データ伝送装置
10 画像フレーム入力部
11 画素変化判定部
12 重み付与部
13、13A 伝送方法制御部
14、14A 通信部
F1、F2 画像フレーム
MB1〜MB4 マクロブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動画像データを伝送する動画像データ伝送装置であって、
第1の画像フレーム上における第1ブロックと前記第1の画像フレームよりも前に再生される第2の画像フレーム上の第2ブロックとの画素の変化量を求める画素変化判定部と、
前記画素変化判定部で求められた前記画素の変化量をもとに前記第1ブロックに重みを付与する重み付与部と、
前記重み付与部によって付与された前記重みに基づいて前記第1ブロックの伝送方法を制御する伝送方法制御部と、
を備えた動画像データ伝送装置。
【請求項2】
前記画素変化判定部は、前記第1ブロックの輝度信号と前記第2ブロックの輝度信号の変化量を測定する請求項1に記載の動画像データ伝送装置。
【請求項3】
前記画素変化判定部は、前記第1ブロックの色差信号と前記第2ブロックの色差信号のの変化量を測定する請求項1に記載の動画像データ伝送装置。
【請求項4】
前記伝送方法制御部は、前記重み付与部で付与された前記第1ブロックの前記重みをもとに前記第1ブロックを含む第1伝送パケットに重要度を設定する請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の動画像データ伝送装置。
【請求項5】
前記伝送方法制御部は、前記第1伝送パケットの重要度を基に送信回数を設定する請求項4に記載の動画像データ伝送装置。
【請求項6】
前記伝送方法制御部は、前記第1伝送パケットの重要度を基に誤り訂正符号を設定する請求項4に記載の動画像データ伝送装置。
【請求項7】
動画像データを伝送する動画像データ伝送方法であって、
第1の画像フレーム上における第1ブロックと前記第1の画像フレームよりも前に再生される第2の画像フレーム上の第2ブロックとの画素の変化量を求める画素変化判定ステップと、
前記画素変化判定ステップで求められた前記画素の変化量をもとに前記第1ブロックに重みを付与する重み付与ステップと、
前記重み付与ステップによって付与された前記重みに基づいて前記第1ブロックの伝送方法を制御する伝送方法制御ステップと、
を備えた動画像データ伝送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−278894(P2010−278894A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−131081(P2009−131081)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】