説明

動画再生方法

【課題】 高速なデコード処理を必要とされる動画データであってもスムーズに再生することができる動画再生方法及びゲーム機を提供する。
【解決手段】
画像展開装置、グラフィック演算処理ユニット及びビデオRAMを有するグラフィックボードによってビデオゲーム機の表示装置に動画の再生を行なわせるための動画再生方法であって、このグラフィックボードは、DXTcアルゴリズムにより圧縮され再生順に連結してなる各コマごとの前記圧縮動画データが格納された記憶装置から、再生に必要な全ての前記圧縮動画データを読み出して前記ビデオRAMに格納する工程と、前記ビデオRAMに、前記再生に必要な全ての圧縮動画データが格納されると、前記画像展開装置がこの圧縮動画データを読出し動画データとして再生順に展開する工程と、前記展開後の動画データを、前記グラフィック演算処理ユニットが所定の時間間隔で前記表示装置に転送することで動画として再生する工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は圧縮動画データを再生する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来では動画を再生するためには、CPUが、圧縮された動画データのデコードを行ないつつグラフィックボードのビデオRAMに順次転送していた。ここで、一般的に、動画像のデコード処理はその負担が大きく演算性能が余り高くないCPUでは再生がスムーズに行えない場合もある。
【0003】
特許文献1には、デコード処理に用いる演算式に新たなアルゴリズムを用いたことによりデコード処理速度を改善させた装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−86505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この特許文献1に係る発明のように、演算式に新たなアルゴリズムを用いたとしても、CPUのみが動画データのデコード処理を行っていることには変わりない。すなわち、より高速なデコード処理速度が必要とされる3Dなどの動画データをスムーズに再生させるには、並行して他の制御も同時に処理するCPUだけではその負担が大きくなりすぎスムーズには再生できない場合がある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑み、高速なデコード処理を必要とされる動画データであってもスムーズに再生することができる動画再生方法及びゲーム機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の主要な観点によれば画像展開装置、グラフィック演算処理ユニット及びビデオRAMを有するグラフィックボードによってビデオゲーム機の表示装置に動画の再生を行なわせるための動画再生方法であって、このグラフィックボードは、DXTCアルゴリズムにより圧縮され再生順に連結してなる各コマごとの前記圧縮動画データが格納された記憶装置から、再生に必要な全ての前記圧縮動画データを読み出して前記ビデオRAMに格納する工程と、前記ビデオRAMに、前記再生に必要な全ての圧縮動画データが格納されると、前記画像展開装置がこの圧縮動画データを読出し動画データとして再生順に展開する工程と、前記展開後の動画データを、前記グラフィック演算処理ユニットが所定の時間間隔で前記表示装置に転送することで動画として再生する工程とを有することを特徴とする動画再生方法が提供される。
【0008】
また、この場合、前記ビデオRAMの記憶容量がリアルタイムでどのくらいあるのかを記憶可能容量として検出する工程と、前記記憶可能容量と前記圧縮動画データのデータ量とを比較する工程と、前記圧縮動画データのデータ量が前記記憶可能容量よりも大きい場合、この圧縮動画データを前記記憶可能容量以下のデータ量になるように分割する行程と、この分割された圧縮動画データ毎に前記ビデオRAMに格納する工程とを有し、さらに、前記表示装置に転送済みの前記圧縮動画データを前記ビデオRAMから順次削除する工程と、前記分割された残りの圧縮動画データのうち次に再生すべき圧縮動画データのデータ量と前記記憶可能容量とを比較する行程と、前記記憶可能容量の方が前記次に再生すべき圧縮動画データの容量よりも大きくなった場合に、前記次に再生すべき圧縮動画データを全て読み出して前記ビデオRAMに格納する工程とを有することが望ましい。
【0009】
また、この発明の別の実施形態によれば、前記記憶装置には、異なる複数の圧縮動画データが格納されており、前記グラフィックボードは、前記ビデオRAMの前記格納領域を複数に区分けする行程と、前記記憶装置から前記異なる複数の圧縮動画データを再生に必要なだけそれぞれ全て読み出して、前記区分けされた各格納領域にそれぞれ格納する工程と、前記各記憶領域に、前記再生に必要な全ての各圧縮動画データがそれぞれ格納されると、前記画像展開装置が前記各圧縮動画データをそれぞれ読出しそれぞれの動画データとして再生順に展開する工程と、前記展開後の各動画データを合成し所定の時間間隔で前記表示装置にそれぞれ転送することで複数の異なる動画を同時に再生する工程とを有することを特徴とする動画再生方法が提供される。
【0010】
また、この発明の別の観点によれば、画像展開装置、グラフィック演算処理ユニット及びビデオRAMを有するグラフィックボードによって表示装置に動画の再生を行なわせるゲーム機であって、このグラフィックボードは、DXTCアルゴリズムにより圧縮され再生順に連結してなる各コマごとの前記圧縮動画データが格納された記憶装置から、再生に必要な全ての前記圧縮動画データを読み出して前記ビデオRAMに格納する手段と、前記ビデオRAMに、前記再生に必要な全ての圧縮動画データが格納されると、前記画像展開装置がこの圧縮動画データを読出し動画データとして再生順に展開する手段と、前記展開後の動画データを、前記グラフィック演算処理ユニットが所定の時間間隔で前記表示装置に転送することで動画として再生する手段とを有することを特徴とするゲーム機が提供される。
【発明の効果】
【0011】
高速なデコード処理を必要とされる動画データであってもスムーズに再生することができる動画再生方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、この発明の一実施形態を示すブロック図である。
【図2】図2は、一実施形態を示すフローチャートである。
【図3】図3は、一実施形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
上述した本発明の特徴以外の特徴及びこの発明の顕著な効果については、次の発明の実施の形態および図面を参照することで当業者が容易に理解することができる。
【0014】
以下、図1〜3を参照しつつ、本願発明の一実施形態について説明する。
【0015】
図1は、この一実施形態としての画像処理装置1の構成を示す機能ブロック図である。なお、前記画像処理装置1は、本実施形態では、アミューズメントパークなどに設置されたビデオゲーム機の制御ユニットに搭載されていることを想定している。ただ、これに限定されず、この画像処理装置1は、例えば、パーソナルコンピュータなどに搭載されるものであってもよい。
【0016】
ここで、この画像処理装置1は、グラフィックボード3、CPU7、RAM8、データ格納部10及びプログラム格納部11を有しており、それぞれがバスを介して互いに接続されている。また、上記グラフィックボード3は図示しない入出力インターフェースを介して表示装置2と接続されている。
【0017】
前記データ格納部10には、ゲームデータ13及び圧縮動画データ16(A、B)が格納されている。ここで、前記ゲームデータ13は、ゲームを実行させるために必要なデータであり、例えばキャラクタデータやゲームシーケンスデータなどである。そして、下述するゲーム実行部19によって必要なデータが適宜読み出されることで、プレイヤの操作に従ってゲームが実行されるようになっている。
【0018】
ここで、前記圧縮動画データ16は、本実施形態では、圧縮動画データA、Bの2つを有している(以下、A、Bを特に区別しない場合には単に「圧縮動画データ16」と表記する)。なお、この圧縮動画データ16は、具体的には、コイン投入までの待機中やゲームプレイ中などに比較的に短時間(例えば30秒)で前記表示装置2に再生表示させるべき3Dムービーなどの動画データが圧縮化されたものである。
【0019】
また、この圧縮動画データは3Dコンピュータグラフィックスを圧縮させる技術であるDXTC(DirectX Texture Compression)によって圧縮化されている。そして、この圧縮動画データ16は、圧縮されたまま前記データ格納部10から後述するビデオRAM4へ転送可能になっている。すなわち、この画像処理装置1では、従来のように圧縮動画データのデコードを行ないつつビデオRAMに順次転送するという処理は行われず、前記圧縮動画データAは圧縮された状態で前記圧縮動画データ格納領域9に全て転送される。
【0020】
前記プログラム格納部11には、メイン制御部18、ゲーム実行部19、記憶容量比較部20、圧縮データ分割部21及び圧縮データ削除部22を有している。なお、このプログラム格納部11に格納された各機能部18〜22は、実際には前記CPU7によって前記RAM8上に呼び出されて実行される実行プログラムである。
【0021】
前記グラフィックボード3は、ビデオRAM4、GPU(Graphic Processing Unit、本願発明の「グラフィック演算処理ユニット」に対応)5及び画像展開装置6を有している。
【0022】
前記ビデオRAM4は、グラフィックを主に処理するためのメモリである。そして本実施形態では、前記ビデオRAM4は、前記圧縮動画データ16を格納するための圧縮動画データ格納領域9を有している。ここで、この圧縮動画データ格納領域9は、前記メイン制御部18によって前記データ格納部10から読み出された再生に必要な全ての前記圧縮動画データ16を一時的に格納するようになっている。
【0023】
また、このビデオRAM4の最大記憶容量のうち、具体的にどの位の容量を前記圧縮動画データ格納領域9に割当てるかは適宜設計が可能であるが、少なくとも128MB分の圧縮動画データが格納されるようになっていることが望ましい。なお、このデータ容量では、おおよそ30秒程度の3Dムービーの再生が可能である。また、この圧縮動画データ格納領域9の記憶可能な容量(以下「記憶可能容量」という)がどのくらいあるかは、前記記憶容量比較部20によってリアルタイムで検出されるようになっている。
【0024】
前記画像展開装置6は、前記圧縮動画データ16をデコード処理するものである。ここで、この画像展開装置6は、DXTCによって圧縮された動画データをデコード処理出来るものであれば良く、例えば、汎用のグラフィックボードに標準搭載されているような、主にテクスチャマッピングを行うための演算装置を利用するものであっても良い。
【0025】
また、前記画像展開装置6には、前記圧縮動画データ格納領域9に格納された前記圧縮動画データ16が前記GPU5によってこの画像展開装置6に転送されるようになっており、そして、当該転送された前記圧縮動画データ16がこの画像展開装置6によってデコード処理されるようになっている。そして、この画像展開装置6によってデコード処理の完了した動画データ(以下、前記圧縮動画データ16と区別するため、デコード処理後のものをこのように「動画データ」という)は前記GPU5に転送されるようになっている。
【0026】
前記GPU5は、グラフィックを主に処理するための演算処理ユニットである。そして、このGPU5は、前記メイン制御部18からの指示に基づいて、上述したように、前記圧縮動画データ格納領域9に格納された前記圧縮動画データ16を読出し前記画像展開装置6に転送するようになっている。なお、その際、前記圧縮動画データ16は各コマ画像が再生順になるように連結され順次転送されるようになっている。また、このGPU5は、前記画像展開装置6からデコード後の動画データが転送されると、その動画データにレンダリング処理などを施し前記表示装置2にビデオ信号として出力するようになっている。すなわち、これにより前記表示装置2には動画(本実施形態では3Dムービー)が再生表示される。
【0027】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0028】
(通常処理)
図2は、本実施形態の通常処理について示したフローチャートである。この通常処理とは、前記圧縮動画データ16のデータ容量が前記圧縮動画データ格納領域9の記憶可能容量(本実施形態では128MBとする)よりも小さい場合の処理である。すなわち、本実施形態においては、図1に示した前記圧縮動画データA(100MB)を動画Aとして再生する場合の処理である。なお、以下に示す符号S1〜9は、図2のS1〜9に対応している。
【0029】
まず、前記ゲーム実行部19がゲームシーケンスデータに従って動画A(圧縮動画データAに対応)を表示しようとする場合、前記メイン制御部18は、前記ゲーム実行部19によって処理されるゲーム進行に応じて前記データ格納部10から前記圧縮動画データAを全て読み出す(S1)。そして、前記メイン制御部18は、この読み出した前記圧縮動画データAを全て前記圧縮動画データ格納領域9に転送する(S2)。すると前記圧縮動画データ格納領域9には、この転送された前記圧縮動画データA(100MB)が全て格納される(S3)。
【0030】
次いで、前記GPU5は、前記メイン制御部18の指示により、前記圧縮動画データ格納領域9に格納された前記圧縮動画データAを読み出しつつ前記画像展開装置6に転送する。なお、このとき、前記GPU5は、前記圧縮動画データAの各コマ画像が再生順になるように連結し順次転送する(S4)。
【0031】
前記画像展開装置6は、前記ビデオRAM4から転送された前記圧縮動画データAを受信すると、この前記圧縮動画データAのデコード処理を開始する(S5)。そして、前記画像展開装置6は、デコード処理の完了した動画データAの各コマ画像を前記GPU5に転送する(S6)。
【0032】
そして、前記GPU5は、受信した動画データAを、各コマ画像ごとにレンダリング処理などを施し、そしてビデオ信号として前記表示装置2に順次出力する(S7)。すると、前記表示装置2には動画Aとして3Dムービーが再生表示される(S8)。
【0033】
また、前記圧縮データ削除部22は、前記動画データAの前記表示装置2への出力が終了すると、それに伴い対応する前記圧縮動画データAを、例えば、各コマ毎に前記圧縮動画データ格納領域9から順次削除していく(S9)。すなわち、これにより前記圧縮動画データ格納領域9の記憶可能容量が次第に増加していく。そして、最終的に全ての前記圧縮動画データAが前記圧縮動画データ格納領域9から削除されてこの通常処理は終了する。
【0034】
(分割処理)
図3は、本実施形態における分割処理について示したフローチャートである。ここで、分割処理とは、前記圧縮動画データ格納領域9の記憶可能容量よりも前記圧縮動画データ16のデータ容量の方が大きく、そのままでは前記圧縮動画データ16を前記圧縮動画データ格納領域9に全て格納しきれない場合に、前記圧縮動画データ16を複数に分割して処理するものである。本実施形態では、前記圧縮動画データ格納領域9の記憶可能容量(128MB)に対してデータ容量の大きい前記圧縮動画データB(150MB)を再生する場合の処理である。以下、この分割処理について説明する。なお、図3に示した符号S11〜26は、以下の説明における符号S11〜26に対応している。
【0035】
まず、前記ゲーム実行部19がゲームシーケンスデータに従って動画B(圧縮動画データBに対応)を表示しようとする場合、前記記憶容量比較部20は、前記圧縮動画データ格納領域9の記憶可能容量(本実施形態では最大容量である128MB)を検出し(S11)、そして、前記圧縮動画データBの容量(150MB)と比較する(S12)。
【0036】
このとき、仮に前記圧縮動画データ16のデータ容量が前記圧縮動画データ格納領域9の記憶可能容量よりも小さい場合(S13のYES)には、上述した通常処理(図2)を行う。一方、本実施形態のように、前記圧縮動画データBのデータ容量が前記圧縮動画データ格納領域9の記憶可能容量よりも大きい場合(S13のNO)には、前記圧縮データ分割部21は、前記圧縮動画データ格納領域9の記憶可能容量よりも小さくなるように前記圧縮動画データBを分割して前記データ格納部10から読み出す(S14)。例えば、前記圧縮データ分割部21は、前記圧縮動画データBを80MBと70MBの2つに分割する。
【0037】
そして、前記圧縮データ分割部21は、この読み出された分割後の前記圧縮動画データBのうち最初の80MB分(以下、「単位圧縮動画データB1」という)を全て前記圧縮動画データ格納領域9に転送する(S15)。すると前記圧縮動画データ格納領域9には、前記単位圧縮動画データB1が全て(80MB分)格納される(S16)。
【0038】
次に、前記GPU5は、前記メイン制御部18の指示により、前記圧縮動画データ格納領域9に格納された前記単位圧縮動画データB1を読み出し前記画像展開装置6に順次転送する。なお、このとき、前記GPU5は、前記単位圧縮動画データB1の各コマ画像が再生順になるように連結し順次転送する(S17)。
【0039】
前記画像展開装置6は、前記圧縮動画データ格納領域9から転送された前記単位圧縮動画データB1を受信すると、この単位圧縮動画データB1のデコード処理を開始する(S18)。そして、前記画像展開装置6は、デコード処理の完了したものを動画データB1として各コマ画像を前記GPU5に転送する(S19)。
【0040】
そして、前記GPU5は、受信した動画データB1の各コマ画像ごとにレンダリング処理などを施し、ビデオ信号として前記表示装置2に転送する(S20)。すると、前記表示装置2には動画B1として3Dムービーが再生表示される(S21)。
【0041】
ここで、本実施形態のように、残りの圧縮動画データBの70MB分(以下「単位動画圧縮データB2」と表記する)が未だ前記データ格納部10に残っている場合には(S22のYES)、前記圧縮データ削除部22は、前記動画データB1の前記表示装置2への出力が終了すると、それに伴い対応する前記圧縮動画データB1を、例えば、各コマ毎に前記圧縮動画データ格納領域9から順次削除していく(S23)。すなわち、これにより前記圧縮動画データ格納領域9の記憶可能容量が次第に増加していく。
【0042】
そして、前記圧縮動画データ格納領域9の記憶可能容量がその残りの単位圧縮動画データB2のデータ容量(70MB)以上になったことが前記記憶容量比較部20によって検出されると、前記圧縮データ分割部21は、前記単位圧縮動画データB2の全てを前記圧縮動画データ格納領域9に格納可能になったと判断する(S24のYES)。そして前記圧縮データ分割部21は、前記データ格納部10から前記単位圧縮動画データB2を全て読み出し、前記圧縮動画データ格納領域9に全て転送する(S25)。
【0043】
そして、上述したS16〜S21を経て、前記単位圧縮動画データB2の前記表示装置2への出力が全て終了すると(S22のNO)、前記圧縮データ削除部22は、それに伴い対応する前記圧縮動画データB2を、例えば、各コマ毎に前記圧縮動画データ格納領域9から順次削除していく。そして、最終的に全ての前記圧縮動画データB2が前記圧縮動画データ格納領域9から削除されてこの分割処理は終了する(S26)。
【0044】
なお、この発明は、上記一実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲で種々変形可能である。
【0045】
(並列処理)
例えば、上述した通常処理及び分割処理においては、1つの動画像として前記圧縮動画データA若しくはBを処理したものであったが、以下に説明するように、異なる複数の前記圧縮動画データC、Dを並列的に処理するものであってもよい。
【0046】
すなわち、この場合、前記ゲーム実行部19がゲームシーケンスデータに従って異なる複数の動画像(例えば、2つの異なる3DデモムービーC、D)を、前記表示装置2に分割表示させたり若しくは図示しない他のゲーム機とで同時に再生したりする場合(例えば1プレイヤと2プレイヤで前記画像処理装置1は共通するが画面は異なるという場合)、前記メイン制御部18は、前記ビデオRAM4に並列処理する数だけ区分けされた複数の記憶領域を予め設けておく。例えば、前記圧縮動画データC、Dがある場合には、前記ビデオRAM4の記憶領域もそれに応じて2つに区分けする。
【0047】
次に、前記メイン制御部18は、前記ゲーム実行部19が処理しているゲーム進行に応じて前記データ格納部10から前記圧縮動画データC、Dを全て読み出す。
【0048】
そして、前記メイン制御部18は、この読み出した各前記圧縮動画データC、Dを全て前記割当てられたビデオRAM4の記憶領域にそれぞれ全て転送する。すなわちこの場合、前記ビデオRAM4に割当てられた各記憶領域には、これら転送された各前記圧縮動画データC、Dがそれぞれ全て格納される。
【0049】
次いで、前記GPU5は、前記メイン制御部18の指示により、前記ビデオRAM4に格納された各前記圧縮動画データC、Dをそれぞれ読出し前記画像展開装置6に並列的に転送する。また、前記GPU5は、各前記圧縮動画データC、Dの各コマ画像がそれぞれ再生順になるように連結し順次転送する。
【0050】
前記画像展開装置6は、前記ビデオRAM4から読出され転送された各前記圧縮動画データC、Dを受信すると、各前記圧縮動画データC、Dのデコード処理の並列処理を開始する。そして、前記画像展開装置6は、デコード処理の完了した動画データC、Dの各コマ画像を順次、前記GPU5にそれぞれ転送する。
【0051】
次いで、前記GPU5は、受信した各動画データC、Dの各コマ画像ごとにレンダリング処理などを並列的に施すと共に、一画像になるよう合成して動画像を生成する。そしてこの生成後の動画像(以下、単に「動画像」という)C、Dをビデオ信号として前記表示装置2に転送する。すると、前記表示装置2には動画像C、Dが一画像として並列的に再生表示される。なお、このとき複数の表示装置に別個に動画像C若しくはDをそれぞれ表示させたい場合には、各動画データC、Dの各ビデオ信号を別個の表示装置にそれぞれ出力すればよい。
【0052】
また、前記圧縮データ削除部22は、前記表示装置2に転送が終了した順に前記圧縮動画データC、Dを前記ビデオRAM4から順次削除していき、最終的に全ての前記圧縮動画データC、Dが削除されてこの処理は終了する。
【0053】
なお、この並列処理は、もちろん前記分割処理と組み合わせて処理するものであってもよい。例えば、本実施形態での圧縮動画データA(100MB)及びB(150MB)を並列処理しようとする場合には(前記圧縮動画データ格納領域9の記憶可能容量(128MB)には、両データを一度に格納しきれないので)、前記区分けされた前記圧縮動画データ格納領域9の各記憶領域毎において、上述した分割処理(S11〜S26)をそれぞれ行うようにすればよい。すなわちこの場合、再生表示しようとする各圧縮動画データのデータ容量にとらわれず並列処理が可能となる。
【符号の説明】
【0054】
1…画像処理装置
2…表示装置
3…グラフィックボード
4…ビデオRAM
5…GPU
6…画像展開装置
7…CPU
8…RAM
9…圧縮動画データ格納領域
10…データ格納部
11…プログラム格納部
13…ゲームデータ
16…圧縮動画データ(A、B)
18…メイン制御部
19…ゲーム実行部
20…記憶容量比較部
21…圧縮データ分割部
22…圧縮データ削除部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像展開装置、グラフィック演算処理ユニット及びビデオRAMを有するグラフィックボードによってビデオゲーム機の表示装置に動画の再生を行なわせるための動画再生方法であって、
このグラフィックボードは、
DXTcアルゴリズムにより圧縮され再生順に連結してなる各コマごとの前記圧縮動画データが格納された記憶装置から、再生に必要な全ての前記圧縮動画データを読み出して前記ビデオRAMに格納する工程と、
前記ビデオRAMに、前記再生に必要な全ての圧縮動画データが格納されると、前記画像展開装置がこの圧縮動画データを読出し動画データとして再生順に展開する工程と、
前記展開後の動画データを、前記グラフィック演算処理ユニットが所定の時間間隔で前記表示装置に転送することで動画として再生する工程と
を有することを特徴とする動画再生方法。
【請求項2】
請求項1記載の動画再生方法において、
前記ビデオRAMの記憶容量がリアルタイムでどのくらいあるのかを記憶可能容量として検出する工程と、
前記記憶可能容量と前記圧縮動画データのデータ量とを比較する工程と、
前記圧縮動画データのデータ量が前記記憶可能容量よりも大きい場合、この圧縮動画データを前記記憶可能容量以下のデータ量になるように分割する行程と、
この分割された圧縮動画データ毎に前記ビデオRAMに格納する工程と
を有することを特徴とする動画再生方法。
【請求項3】
請求項2記載の動画再生方法において、
前記表示装置に転送済みの前記圧縮動画データを前記ビデオRAMから順次削除する工程と、
前記分割された残りの圧縮動画データのうち次に再生すべき圧縮動画データのデータ量と前記記憶可能容量とを比較する行程と、
前記記憶可能容量の方が前記次に再生すべき圧縮動画データの容量よりも大きくなった場合に、前記次に再生すべき圧縮動画データを全て読み出して前記ビデオRAMに格納する工程と
を有することを特徴とする動画再生方法。
【請求項4】
請求項1記載の動画再生方法において、
前記記憶装置には、異なる複数の圧縮動画データが格納されており、
前記グラフィックボードは、
前記ビデオRAMの前記格納領域を複数に区分けする行程と、
前記記憶装置から前記異なる複数の圧縮動画データを再生に必要なだけそれぞれ全て読み出して、前記区分けされた各格納領域にそれぞれ格納する工程と、
前記各記憶領域に、前記再生に必要な全ての各圧縮動画データがそれぞれ格納されると、前記画像展開装置が前記各圧縮動画データをそれぞれ読出しそれぞれの動画データとして再生順に展開する工程と、
前記展開後の各動画データを合成し所定の時間間隔で前記表示装置にそれぞれ転送することで複数の動画として再生する工程と
を有することを特徴とする動画再生方法。
【請求項5】
画像展開装置、グラフィック演算処理ユニット及びビデオRAMを有するグラフィックボードによって表示装置に動画の再生を行なわせるゲーム機であって、
このグラフィックボードは、
DXTcアルゴリズムにより圧縮され再生順に連結してなる各コマごとの前記圧縮動画データが格納された記憶装置から、再生に必要な全ての前記圧縮動画データを読み出して前記ビデオRAMに格納する手段と、
前記ビデオRAMに、前記再生に必要な全ての圧縮動画データが格納されると、前記画像展開装置がこの圧縮動画データを読出し動画データとして再生順に展開する手段と、
前記展開後の動画データを、前記グラフィック演算処理ユニットが所定の時間間隔で前記表示装置に転送することで動画として再生する手段と
を有することを特徴とするゲーム機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−223056(P2011−223056A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−86393(P2010−86393)
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【出願人】(310009993)株式会社タイトー (207)
【Fターム(参考)】