説明

動的光学素子と光学結合する静的プログレッシブ面領域

眼用レンズは、プログレッシブ付加領域と動的光学素子とを含むレンズである。動的光学素子とプログレッシブ付加領域とは、光学結合する。プログレッシブ付加領域は、使用者の近用視界距離の付加倍率よりも小さな付加倍率を有する。動的光学素子は、活性化されたとき、使用者が近距離で鮮明に見えるように、使用者に必要な付加光学倍率を与える。この組合せは、使用者が、中間距離および近距離で鮮明に見える能力を与えるのみならず、好ましくない乱視、歪みおよび視界での妥協性をかなり減少させるという好ましい結果を導くことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2006年6月12日に出願され、「混合近用領域と光学結合するプログレッシブ領域面」と題された米国出願No.60/812,625と、2006年6月13日に出願され、「混合近用光ゾーンと光学結合するプログレッシブ領域面」と題された米国出願No.60/812,952と、2006年10月27日に出願され、「動的光学素子と光学結合する静的プログレッシブ面領域」と題された米国出願No.60/854,707と、2006年12月22日に出願され、「プログレッシブ倍率領域を有するアドバンスト眼用レンズ、設計およびアイウエアシステム」と題された米国出願No.60/876,464との優先権を主張し、かつこれら全体の内容は、参照として含まれる。
【0002】
本発明は、多焦点眼用レンズ、レンズの設計、レンズのシステムおよびアイウエア製品、または眼の上に、眼の中に、または眼の周りに使用される装置に関する。特に、本発明は、多くの場合、装着者にとって非常に良好な範囲に対して、好ましくない歪み、好ましくない乱視およびプログレッシブ付加レンズ(PAL)に関する視界での妥協性を低減する光学効果や最終結果を与える多焦点眼用レンズ、レンズの設計、レンズのシステムおよびアイウエア製品に関する。
【背景技術】
【0003】
老眼は、人間の目の水晶体の遠近調節機能の低下であり、しばしば老化に伴って起こる。この遠近調節機能の低下は、近距離の物体にピントを合わせる能力が欠けることによって生じる。老眼を矯正するための標準的なツールは、多焦点眼用レンズである。多焦点レンズは、所定の距離の範囲でのピント合わせの問題を矯正するために、複数の焦点距離(即ち光学倍率)を有するレンズである。多焦点眼用レンズは、レンズの領域を異なる光学倍率の領域に分けることによって機能する。代表的には、レンズの上部に配置された比較的大きな領域が、例えば、遠距離視力の誤差を矯正する。また、このレンズの下部に配置された小さな領域が、老眼によって生じる近距離視力の誤差を矯正するような付加光学倍率を与える。多焦点レンズは、レンズの中間部の近くに配置された小さな領域も有することができ、この領域は、中間距離視力の誤差を矯正するような付加光学倍率を与える。
【0004】
異なる光学倍率の領域間の移行は、2焦点および3焦点レンズの場合のように、急に、または、プログレッシブ付加レンズの場合のように、滑らかかつ連続的であることができる。プログレッシブ付加レンズは、多焦点レンズの一形態であり、レンズの下部に、レンズの遠距離視界ゾーンの始まりから近距離視界ゾーンへと、正の屈折光学倍率を連続的に増加させる勾配を有する。このような光学倍率のプログレッションは、レンズのフィッティングクロスまたはフィッティングポイントとして知られた所で実質的に始まり、全付加倍率が近距離視界ゾーンに実現されるまで続き、そして安定状態になる。通常の従来技術のプログレッシブ付加レンズは、このような光学倍率のプログレッションを生じるように形成されたレンズの外側の一方の面または両面の表面トポグラフィを利用する。プログレッシブ付加レンズは、複数のPALとして、または単一のPALとして、光学産業界で知られている。PALレンズは、遠距離にある物体から近距離にある物体にピントを合わせるとき、または近距離にある物体から遠距離にある物体にピントを合わせるとき、連続的な視力矯正を有し、ラインがなく、美観的に好ましい多焦点レンズを使用者に与えることができる点で、通常の2焦点レンズや3焦点レンズよりも効果的である。
【0005】
PALは、老眼の矯正として、米国および世界中の至る所で広く受け入れられ、流行しているが、深刻な視界での妥協性も含む。これら妥協性は、好ましくない乱視、歪みおよび視界不良に限定されないが、これらを含む。これら視界での妥協性は、使用者の水平方向の視界の幅に影響を与える可能性がある。この幅は、所定の距離でピントを合わせたとき、使用者が側面から側面へと視界を動かして鮮明に見ることができる視界の幅である。このように、PALレンズは、中間距離でピントを合わせると、コンピュータのスクリーンの大部分を見ることが困難になってしまう。同様に、PALレンズは、近距離でピントを合わせると、狭い水平視界幅を有する可能性があり、本や新聞の全ページを読むことが困難になってしまう。遠距離視力も、同様に影響を受ける可能性がある。PALレンズは、スポーツをすると、レンズの歪みにより、装着者に困難さを与える可能性がある。さらに、光学付加倍率がPALレンズの下部領域に配置されているせいで、装着者が近距離または中間距離にいる人の頭を超えて物体を見るとき、この領域を利用するために、頭の後ろを傾けなければならない。対照的に、装着者が階段を降りるときや下側を見るとき、遠距離焦点に代わって、足や階段を鮮明に見るために必要な近距離焦点が、レンズによって与えられる。このように、装着者の足は、焦点の外側にあり、歪んで見えてしまうであろう。このような制限に加えて、PALの装着者の多くは、各々のレンズに存在するアンバランスな歪みによる視界の動き(しばしば揺れと称される)として知られた好ましくない影響を受ける。実際、多くの人々が、この影響のせいで、このようなレンズの装着を拒否している。
【0006】
老眼の人の近用光学倍率の必要性を考慮すると、必要な近用光学倍率の大きさは、個人の目に残っている遠近調節機能の程度の大きさ(近用距離のピント合わせ能力)に直接的に関連している。一般的に、遠近調節機能の程度の大きさは、年齢と共に減少する。遠近調節機能の程度の大きさは、様々な健康上の理由によっても減少する可能性がある。従って、年を取り老眼になると、近用視界距離と中間視界距離とでピントを合わせる能力を矯正するために必要な光学倍率は、必要な屈折光学付加倍率に関連して強くなる。一例では、45歳の人では、近点距離で鮮明に見るために、+1.00ジオプトリの近用視界距離の光学倍率を必要とし、80歳では、同じ近点距離で鮮明に見るために、+2.75ジオプトリないし+3.00ジオプトリの近用視界距離の光学倍率を必要とする。PALレンズでの視界の妥協性の程度により、屈折光学付加倍率を増加させてしまうと、より重度の老人性遠視の人は、大きな視界の妥協性を受けるであろう。上述の例では、45歳の人が受けるレンズに関連した歪みのレベルは、80歳の人が受けるよりも小さいだろう。容易に明らかであるように、これは、手先の器用さの低減や損失のように、年配者に関わる生活の問題に必要とされることである。視力機能および抑止安全機能に妥協を加える多焦点レンズの処方は、比較的簡単に、安全に、煩わしさのない生活を送ることができるレンズとは対照的である。
【0007】
一例では、+1.00D付近の光学倍率を有する通常のPALは、約+1.00D以下の好ましくない乱視を有する可能性がある。しかし、+2.50D付近の光学倍率を有する通常のPALは、約+2.75D以上の好ましくない乱視を有する可能性があり、また、+3.25D付近の点の光学倍率を有する通常のPALは、約+3.75D以上の好ましくない乱視を有する可能性がある。従って、PALの近距離付加倍率が増加する(例えば+1.00D PALと比較して+2.50PAL)のに従って、PAL内に見られる好ましくない乱視は、近距離付加倍率に関連して、線形の割合よりも大きく増加する。
【0008】
最近では、レンズの各々の面に設けられたプログレッシブ付加面トポグラフィを有する二重側面PALが、発達している。2つのプログレッシブ付加面は、必要とされる適切な全体の付加的な近距離付加倍率を与えるためだけでなく、レンズの一方の面にPALによって発生される好ましくない乱視が、レンズの他方の面にPALによって発生される複数の好ましくない点収差を和らげるために、互いに関連してアライメントされ、回転される。このような設計が、通常のPALレンズと比較して、所定の近用距離付加倍率の好ましくない乱視や歪みを幾分減少させたとしても、好ましくない乱視のレベル、歪みおよび上述の他の視界での妥協性は、使用者になおも深刻な視界の問題を与える。
【発明の概要】
【0009】
従って、老眼の人の必要性を満足させ、同時に、歪みやぼやけを減少させ、水平視界の幅を広げ、安全性を改良し、スポーツをするとき、コンピュータで仕事をするとき、本屋新聞を読むときに、視力を改善するようにして、老眼を矯正する眼鏡レンズ、アイウエアシステムを提供する必要がある。
【0010】
本発明の一実施の形態では、フィッティングポイントを有する、使用者のための眼用レンズが、チャネルを有するプログレッシブ付加領域を含むことができる。このプログレッシブ付加領域は、このチャネル内に付加倍率を有する。この眼用レンズは、さらに、活性化されたとき、光学倍率を有し、プログレッシブ付加領域と光学結合(optical communication)する動的光学素子を含むことができる。
【0011】
本発明の一実施の形態では、フィッティングポイントを有する、使用者のための眼用レンズが、チャネルを有するプログレッシブ付加領域を含むことができる。このプログレッシブ付加領域は、このチャネル内に付加倍率を有する。この眼用レンズは、さらに、活性化されたとき、光学倍率を有し、プログレッシブ付加領域と光学結合する動的光学素子を含むことができる。この動的レンズは、前記フィッティングポイントの約15mm以内に配置された上縁部を有する。
【0012】
本発明の所定の実施の形態は、以下の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1A】図1Aは、フィッティングポイントおよびプログレッシブ付加領域を有する低付加倍率プログレッシブ付加レンズの一実施の形態を示している。
【図1B】図1Bは、図1AのAA線に沿って、レンズの断面に沿って受けた光学倍率130のグラフを示している。
【図2A】図2Aは、レンズのフィッティングポイントの上にある動的光学素子の一部であるように配置され、非常に大きな動的光学素子に組み合わせられた低付加倍率プログレッシブ付加レンズを有する本発明の一実施の形態を示している。
【図2B】図2Bは、動的光学素子がプログレッシブ付加領域と光学結合することにより発生された、組み合わせられた光学倍率を有する、図2Aの組み合わせられたレンズを示している。
【図3A】図3Aは、レンズのフィッティングポイントの上にある動的光学素子の一部であるように配置された低付加倍率プログレッシブ付加レンズおよび動的光学素子を有する本発明の一実施の形態を示している。図3Aは、動的光学素子が活性化されていないとき、フィッティングポイントを通って装着者の目から見える線に沿って受けた光学倍率が、装着者に正確な遠距離視界を与えることを示している。
【図3B】図3Bは、図3Aのレンズを示している。図3Bは、動的光学素子が活性化されたとき、フィッティングポイントを通って装着者の目から見える線に沿って受けた光学倍率が、装着者に正確な中間距離の焦点倍率を与えることを示している。
【図3C】図3Cは、図3Aのレンズを示している。図3Cは、動的光学素子が活性化されたとき、フィッティングポイントを通って装着者の目から見える線に沿って受けた光学倍率が、装着者に正確な近距離の焦点倍率を与えることを示している。
【図4A】図4Aは、レンズのフィッティングポイントの上に配置され、プログレッシブ付加領域とチャネルとの少なくとも一方よりも大きな動的光学素子と組み合わせられた低付加倍率プログレッシブ付加レンズを有する本発明の一実施の形態を示している。
【図4B】図4Bは、図4AのAA線に沿って受けた、一定のプログレッシブ付加面または領域によって与えられた光学倍率を示している。
【図4C】図4Cは、図4AのAA線に沿って活性化されたとき、動的光学素子によって与えられた光学倍率を示している。
【図4D】図4Dは、図4AのAA線に沿って受けた、動的電気活性光学素子および一定のプログレッシブ付加領域の倍率の組み合わせられた倍率を示している。図4Dは動的光学素子の上部および下部の歪んだ混合領域が、フィッティングポイント、プログレッシブ付加読み領域およびチャネルの外側にあることを示している。
【図5A】図5Aは、動的光学素子が低付加倍率プログレッシブ付加レンズのフィッティングポイントの下に配置された、本発明の一実施の形態を示している。
【図5B】図5Bは、図5AのAA線に沿って受けた光学倍率を示している。
【図6A】図6Aは、動的光学素子のサイズの実施の形態を示している。
【図6B】図6Bは、動的光学素子のサイズの他の実施の形態を示している。
【図6C】図6Cは、動的光学素子のサイズのさらに他の実施の形態を示している。
【図7A】図7Aは、従来技術のプログレッシブ付加レンズと、低付加倍率プログレッシブ付加レンズと動的光学素子とを含む本発明の実施の形態とを比較した、好ましくない乱視コンターマップである。
【図7B】図7Bは、図7Aと同様の好ましくない乱視コンターマップである。
【図7C】図7Cは、図7Aと同様の好ましくない乱視コンターマップである。
【図7D】図7Dは、図7Aと同様の好ましくない乱視コンターマップである。
【図7E】図7Eは、図7Aと同様の好ましくない乱視コンターマップである。
【図7F】図7Fは、図7Aと同様の好ましくない乱視コンターマップである。
【図7G】図7Gは、図7Aと同様の好ましくない乱視コンターマップである。
【図7H】図7Hは、図7Aと同様の好ましくない乱視コンターマップである。
【図7I】図7Iは、図7Aと同様の好ましくない乱視コンターマップである。
【図7J】図7Jは、図7Aと同様の好ましくない乱視コンターマップである。
【図7K】図7Kは、図7Aと同様の好ましくない乱視コンターマップである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
眼科学(ophthalmological)、視力測定学(optometric)および光学用語が、本願で使用される。明確化のために、これらの定義を以下に挙げる。
【0015】
付加倍率:遠距離視界の光学倍率に付加される光学倍率であり、多焦点レンズでの鮮明な近距離視界に必要とされる。例えば、近距離視界に対して+2.00Dの付加倍率を備えた−3.00Dの遠距離視界の処方を有するならば、多焦点レンズの近距離部分の実際の光学倍率は、−1.00Dである。付加倍率は、しばしば正の倍率として参照される。付加倍率は、さらに、近用視界距離の付加倍率を参照することによって区別されることができる。この近用視界距離の付加倍率は、レンズの近用視界距離の部分での付加倍率を参照する。また、中間視界距離の付加倍率は、レンズの中間視界距離の部分での付加倍率を参照する。代表的には、中間視界距離の付加倍率は、近用視界距離の付加倍率の約50%である。従って、上述の例では、+1.00Dの中間距離視界のための付加倍率を有し、多焦点レンズの中間視界距離の部分の実際の全光学倍率は、−2.00Dである。
【0016】
約:±10%を含む。従って、約10mmは、9mmから11mmまでを含むことを意味することが理解され得る。
【0017】
混合ゾーン:レンズの周縁部に沿った光学倍率の移行であり、第1の矯正倍率から第2の矯正倍率へ、または第2の矯正倍率から第1の矯正倍率へ、混合ゾーンを横切って、光学倍率が連続的に移行している。一般的に、混合ゾーンは、できるだけ小さくなるように設計されている。動的光学素子の周縁部は、この動的光学素子の視感性を減少させるような混合ゾーンを含み得る。混合ゾーンは、美観性を高めるために、および視力機能を高めるために使用される。混合ゾーンは、代表的には、非常に好ましくない乱視により、レンズの使用可能な部分と見なされていない。混合ゾーンは、移行ゾーンとしても知られている。
【0018】
チャネル:正の光学倍率を増加させることによって規定された、プログレッシブ付加レンズの領域である。この領域は、遠距離光学倍率領域、即ちゾーンから、近距離光学倍率領域、即ちゾーンへと延びている。この光学倍率のプログレッションは、フィッティングポイントとして知られたPAL領域で始まり、近距離視界ゾーンで終わる。このチャネルは、しばしばコリダとして参照される。
【0019】
チャネルの長さ:チャネルの長さは、フィッティングポイントからチャネル内の位置へと測定された距離である。このチャネルの付加倍率は、特定の近距離視界倍率の約85%以内である。
【0020】
チャネルの幅:好ましくない乱視によって結合されたチャネルの幅の最も狭い部分であり、約+1.00D以上である。この規定は、PALレンズと比較して、以下のような事実により、有用である。幅の広いチャネルは、一般的に歪みが少なく、視界の性能が良く、視界の快適性が高く、装着者が容易に適用できる。
【0021】
コンターマップ:このプロットは、プログレッシブ付加レンズの好ましくない乱視の光学倍率を測定し、プロットしたものから発生される。コンタープロットは、乱視用の光学倍率の様々な感度で発生されることができる。従って、プログレッシブレンズのどこで、および何に、光学設計の一部として好ましくない乱視が生じているかの可視図を与える。このようなマップの分析は、代表的には、チャネルの長さ、チャネルの幅、読み幅およびPALの遠距離の幅を定量化するために使用される。コンターマップは、好ましくない乱視用の倍率のマップとしても参照されることができる。これらマップは、様々なレンズの部分に光学倍率を測定および描写するためにも使用されることができる。
【0022】
通常のチャネルの幅:美観的な関心やアイウエアの流行性により、実質的に小さくされたレンズを有することが好ましい可能性がある。このようなレンズでは、チャネルは、当然ながら比較的短い。通常のチャネルの長さは、小さくされたPALレンズのチャネルの長さを参照する。これらチャネルの長さは、通常は、必ずではないが、約15mm以上である。一般的に、比較的長いチャネルの幅は、比較的幅の広いチャネルの幅および好ましくない乱視が少ないことを意味する。比較的長いチャネルは、しばしばソフトプログレッシブと関連付けられる。なぜならば、遠距離矯正と近距離矯正との間の移行は、光学倍率を次第に増加させることにより和らげられるからである。
【0023】
動的レンズ:光学倍率を有するレンズであり、電気的エネルギ、力学的エネルギ、即ち力を加えることによって変更可能である。レンズ全体が、変更可能な光学倍率を有しても、レンズの一部の領域、即ちゾーンのみが変更可能な光学倍率を有しても良い。このようなレンズの光学倍率は、2つ以上の光学倍率間で切り替えられることができるように、動的、即ち変えられ得る。一方の光学倍率は、実質的に倍率を有していなくても良い。動的レンズの例は、電気活性レンズ、メニスカスレンズ、流体レンズ、少なくとも1つの構成要素を有する移動可能な動的レンズ、ガスレンズおよび変形可能な部材を有するメンブレンレンズを含む。動的レンズは、動的光学素子、動的光学素子部材、動的光学ゾーンまたは動的光学領域としても参照されることができる。
【0024】
遠距離の基準点:基準点は、フィッティングクロスの上の約3〜4mmに位置し、ここでは、レンズの遠距離処方、即ち遠距離光学倍率は、容易に測定されることができる。
【0025】
遠距離視界ゾーン:光学倍率を含むレンズの部分であり、使用者が遠用視界距離で正確に見ることが可能な部分である。
【0026】
遠距離の幅:レンズの遠距離視界の部分内の最も狭い水平幅であり、装着者の遠距離視界の光学倍率矯正の0.25D以内の光学倍率で、鮮明かつ歪みのない矯正を与える。
【0027】
遠用視界距離:我々が見る距離であり、一例としては、我々の机の縁部を超えて見るとき、車を運転するとき、遠くの山を見るとき、または映画を見るときの距離である。この距離は、通常は、必ずではないが、目から約32インチ(81.28センチメートル)以上であると考えられる。遠用視界距離は、遠距離および遠距離点を参照することもできる。
【0028】
フィッティングクロス/フィッティングポイント:PAL上の基準点であり、レンズを通して真っ直ぐ前を見たとき、レンズが眼鏡の片レンズに装着され、使用者の顔に配置されると、使用者の瞳孔の近い位置を表す。フィッティングクロス/フィッティングポイントは、通常は、必ずではないが、チャネルの始まりの上の垂直方向に2〜5mmに位置している。フィッティングクロスは、代表的には、+0.00ジオプトリから約+0.12ジオプトリに亘る範囲で付加された光学倍率の非常にわずかな大きさを有する。このポイントまたはクロスは、装着者の瞳孔に対して、レンズのフィッティングの測定とダブルチェックとの少なくとも一方を行うために、容易に基準点を与えることができる。このマークは、患者や装着者のレンズの処方に基づいて、容易に取り除くことができる。
【0029】
ハードプログレッシブ付加レンズ:遠距離矯正と近距離矯正との間を、比較的緩やかでない段階的な移行を含むプログレッシブ付加レンズである。ハードPALでは、好ましくない歪みは、フィッティングポイントの下にあり、レンズの周縁部には広がっていない。ハードPALは、比較的短いチャネルの幅および比較的狭いチャネルの幅を有しても良い。修正ハードプログレッシブ付加レンズは、比較的緩やかな光学倍率の移行、比較的長いチャネル、比較的幅の広いチャネル、レンズの周縁部に広がる比較的好ましくない乱視およびフィッティングポイントの下の好ましくない乱視のような、ソフトPALの特性を限定するように修正されたハードPALである。
【0030】
中間距離視界ゾーン:光学倍率を含むレンズの部分であり、使用者が中間視界距離で正確に見ることが可能な部分である。
【0031】
中間視界距離:我々が見る距離であり、一例としては、新聞を読むとき、コンピュータを操作しているとき、流し台で皿を洗っているとき、または衣類にアイロンを掛けるときである。この距離は、通常は、必ずではないが、目から約16インチ(40.64センチメートル)から約32インチ(81.28センチメートル)であると考えられる。中間視界距離は、中間距離および中間距離点を参照することもできる。
【0032】
レンズ:光の収束または発散を与えるあらゆるデバイス、またはデバイスの部分である。このデバイスは、静的または動的であることができる。レンズは、屈折性または回折性であることができる。レンズは、凹レンズ、凸レンズ、もしくは片面または両面がプラノレンズであることができる。レンズは、球形、円柱形、角柱形、またはこれらの組合せであることができる。レンズは、光学ガラス、プラスチックまたは樹脂でできていることができる。レンズは、光学素子、光学ゾーン、光学領域、光学倍率領域またはレンズとしても参照されることができる。光学産業界では、レンズの光学倍率がゼロであっても、レンズとして参照されることができることが注意されなければならない。
【0033】
レンズブランク:レンズに成形されることが可能な、光学材料でできたデバイスである。レンズブランクは、レンズブランクが外側の両面に光学倍率を有するように形成されることによって完成されることができる。また、レンズブランクは、レンズブランクが外側の一方の面にのみ光学倍率を有するように成形されることによって半完成(semi-finished)されることができる。さらに、レンズブランクは、レンズブランクが外側の両方の面に光学倍率を有するように形成されていない、完成されていない状態であることができる。完成されていない、または半完成のレンズの面は、自由形成、または通常のサーフェシングおよびポリシングとして知られた製造プロセスによって、完成されることができる。
【0034】
低付加倍率PAL:プログレッシブ付加レンズは、近距離で鮮明に見えるように、装着者にとって必要な近用付加倍率よりも小さな付加倍率を有する。
【0035】
多焦点レンズ:少なくとも1つの焦点、または光学倍率を有するレンズである。このようなレンズは、動的または静的であることができる。静的多焦点レンズの一例は、2焦点レンズ、3焦点レンズまたはプログレッシブ付加レンズを含む。動的多焦点レンズの一例は、使用される電極のタイプ、電極に印加された電圧および液晶の薄層内の変更された屈折率に依存して、レンズに発生され得る様々な光学倍率によって、電気活性レンズを含む。多焦点レンズは、静的と動的との組合せであることができる。例えば、電気活性素子は、静的な球面レンズ、静的な単一視界レンズ、静的な多焦点レンズ、例えばプログレッシブ付加レンズと光学結合するように使用されることができる。多くの場合、しかし全ての場合ではないが、多焦点レンズは、屈折レンズである。
【0036】
近距離視界ゾーン:光学倍率を含むレンズの部分であり、使用者が近用視界距離で正確に見えることが可能な部分である。
【0037】
近用視界距離:我々が見る距離であり、一例としては、本を読むとき、針に糸を通すとき、錠剤の瓶の説明書きを読むときである。この距離は、通常は、必ずではないが、目から約12インチ(30.48センチメートル)から約16インチ(40.64センチメートル)であると考えられる。近用視界距離は、近距離および近距離の点を参照することもできる。
【0038】
オフィスレンズ/オフィスPAL:所定の設計のプログレッシブ付加レンズであり、フィッティングクロス、比較的幅の広いチャネルおよび比較的広い読み幅を超えた中間距離視界を与える。これは、フィッティングクロスを超えた好ましくない乱視を広げ、かつ遠距離視界ゾーンを大部分の中間距離視界ゾーンに置き換える光学設計によって果される。これら特徴により、この形式のPALは、デスクワークに非常に適しているが、車の運転や、会社や家の周りの散歩での使用はできない。なぜならば、このレンズは、遠距離視界領域を含んでいないからである。
【0039】
眼用レンズ:視力の矯正に適したレンズであり、眼鏡レンズ、コンタクトレンズ、眼内レンズ、角膜レンズおよび角膜アンレーを含む。
【0040】
光学結合:所定の光学倍率の複数のレンズによって、光が、個々の素子の光学倍率の和と等しい組み合わせられた光学倍率を受けるアライメントされたレンズを通るようにして、アライメントされている状態である。
【0041】
パターン化電極:電極に適切な電圧を印加することにより、液晶によって発生される光学倍率が、電極のサイズ、形状および配置にかかわらず回折を生じるような、電気活性レンズで使用される電極である。例えば、回折光学効果は、同心リング形状の電極を使用することによって、液晶内に劇的に発生されることができる。
【0042】
画素化(pixilated)電極:電極のサイズ、形状および配置にかかわらず個別に処理可能な、電気活性レンズで使用される電極である。さらに、これら電極は、夫々処理可能であり、任意のパターンの電圧が電極に印加されることができる。例えば、画素化電極は、デカルトアレイで配置された正方形または長方形、もしくは六角形で配置された六角形であることができる。画素化電極は、グリッドに適合する規則的な形状である必要はない。例えば、全てのリングが個々に処理可能であるならば、画素化電極は同心リングであることができる。同心画素化電極は、回折光学効果を発生させるように夫々処理されることができる。
【0043】
プログレッシブ付加領域:レンズの領域であって、この領域の第1の部分に第1の光学倍率と、この領域の第2の部分に第2の光学倍率を有するレンズの領域である。これら領域間には、光学倍率の連続的な変化が存在する。例えば、レンズの領域は、この領域の一端で、遠距離視界の光学倍率を有することができる。光学倍率は、中間視界距離の光学倍率へ、そして、この領域の対向端で近用視界距離の光学倍率へと、この領域を横切る正の倍率で連続的に増加されることができる。光学倍率が近用視界距離の光学倍率に達した後、光学倍率は、プログレッシブ付加領域の光学倍率が遠用視界距離の光学倍率に戻って移行するように、減少されることができる。プログレッシブ付加領域は、レンズの面上にあるか、レンズ内に埋められることができる。プログレッシブ付加領域が面上にあり、表面トポグラフィを有するとき、この領域は、プログレッシブ付加面として知られている。
【0044】
読み幅:レンズの近距離視界の部分内の最も狭い水平幅であり、装着者の近距離視界の光学倍率矯正の0.25D以内の光学倍率で、鮮明かつ大部分の歪みのない矯正を与える。
【0045】
短いチャネルの長さ:美観的な関心やアイウエアの流行性により、実質的に小さくされたレンズを有することが好ましい可能性がある。このようなレンズでは、チャネルは、当然ながら比較的短い。短いチャネルの長さは、小さくされたPALレンズのチャネルの長さを参照する。これらチャネルの長さは、通常は、必ずではないが、約11mmないし15mmである。一般的に、比較的長いチャネルの幅は、比較的幅の広チャネルの幅および好ましくない乱視が少ないことを意味する。比較的短いチャネルは、しばしばハードプログレッシブと関連付けられる。なぜならば、遠距離矯正と近距離矯正との間の移行は、光学倍率を次第に増加させることにより強められるからである。
【0046】
ソフトプログレッシブ付加レンズ:遠距離矯正と近距離矯正との間を、比較的緩やかな、段階的な移行を含むプログレッシブ付加レンズである。ソフトPALでは、好ましくない歪みは、フィッティングポイントの上にあり、レンズの周縁部に広がっている。ソフトPALは、比較的長いチャネルの幅および比較的広いチャネルの幅を有しても良い。修正ソフトプログレッシブ付加レンズは、比較的緩やかな光学倍率の移行、比較的短いチャネル、比較的幅の狭いチャネル、レンズの視界部分に加えられる比較的好ましくない乱視およびフィッティングポイントの下の好ましくない乱視のような、ハードPALの特性を限定するように修正されたソフトPALである。
【0047】
静的レンズ:光学倍率を有するレンズであり、電気的エネルギ、力学的エネルギ、即ち力を加えることによって変更されることができない。静的レンズの例は、球面レンズ、円柱体レンズ、プログレッシブ付加レンズ、2重および3重レンズである。静的レンズは、一定のレンズとして参照されることもできる。
【0048】
好ましくない乱視:プログレッシブ付加レンズ内に見られる好ましくない光学収差、歪みまたは乱視は、患者に処方された視力矯正の部分ではないが、視界ゾーン間の光学倍率の滑らかな勾配により、PALの光学設計に特有のものである。しかし、レンズは、様々な屈折倍率のレンズの異なる領域に亘って好ましくない乱視を有する可能性があり、一般的に、レンズの好ましくない乱視は、レンズに見られる最大の好ましくない乱視を参照する。好ましくない乱視は、全体としてレンズに対向するように、レンズの所定の部分内に位置された好ましくない乱視も参照することができる。このような場合、与えられた用語は、レンズの所定の部分内で好ましくない乱視のみが考慮されることを示すように使用される。
【0049】
動的レンズを説明する際、本発明は、一例として、電気活性レンズ、流体レンズ、ガスレンズ、メンブレンレンズおよび機械的に移動可能なレンズ等を考える。このようなレンズの例は、Blumらの米国特許第6,517,203号、第6,491,394号、第6,619,799号、EpsteinとKurtinの米国特許第7,008,054号、第6,040,947号、第5,668,620号、第5,999,328号、第5,956,183号、第6,893,124号、Silverの米国特許第4,890,903号、第6,069,742号、第7,085,065号、第6,188,525号、第6,618,208号、Stonerの米国特許第5,182,585号、Quagliaの米国特許第5,229,885号で見ることができる。
【0050】
レンズの好ましくない乱視および歪みが、約1.00D以下であるならば、多くの場合、ほとんど気がつかないことが光学産業界内でよく知られ、受け入れられている。ここに開示される本発明は、多くの、大部分ではないが、PALに関する問題を解決する光学設計、レンズ、アイウエアシステムの実施の形態に関する。さらに、ここに開示される本発明は、PALに関する大部分の視界での妥協性を取り除く。本発明は、装着者に、適切な遠距離、中間距離および近距離光学倍率を与え、さらにPALと同様に、様々な距離に対して連続的にピントを合わせる能力を与える手段を提供する。しかし、同時に、本発明は、+3.00D、+3.25D、+3.50Dのような所定の高付加倍率の処方に対して、最大約1.50Dに好ましくない乱視を保つ。しかし多くの場合、本発明は、最大約1.00D以下に好ましくない乱視を保つ。
【0051】
本発明は、動的レンズが、装着者が近距離で鮮明に見えるように、この動的レンズに必要な付加的な光学倍率を与えることによって、動的レンズと低付加倍率PALとが光学結合するようにし、動的レンズに低付加倍率PALをアライメントすることに基づいている。この組合せは、装着者に、中間距離および近距離で鮮明に見える能力を与えることのみならず、好ましくない乱視レベル、歪み、視界での妥協性がかなり減少される、という好ましい結果を導くことができる。
【0052】
動的レンズは、電気活性素子であることができる。電気活性レンズでは、電気活性光学素子は、光学基板内に埋められる、または光学基板の面に取着されることができる。この光学基板は、完成された、半完成の、または完成されていないレンズブランクであることができる。半完成の、または完成されていないレンズが使用されると、レンズブランクは、少なくとも1つの光学倍率を有するように、レンズの製造の間、完成されることができる。電気活性光学素子は、通常の光学レンズ内に埋められる、または通常の光学レンズの面に取着されることができる。通常の光学レンズは、単一焦点レンズまたはプログレッシブ付加レンズもしくは2焦点または3焦点レンズであるような多焦点レンズであることができる。電気活性光学素子は、電気活性レンズの全体の視界領域に、または電気活性レンズの一部分のみに配置されることができる。電気活性光学素子は、眼鏡の電気活性レンズをばり取りするために、光学基板の周縁部から離間されることができる。電気活性光学素子は、レンズの上部、中央部、下部の近くに配置されることができる。実質的に電圧が印加されていないとき、電気活性光学素子は、活性化されていない状態であり、実質的な光学倍率を与えない。即ち、電圧が印加されていないとき、電気活性光学素子は、この光学素子が埋められたまたは取着された光学基板、即ち通常のレンズと実質的に同じ屈折率を有することができる。電圧が印加されたとき、電気活性光学素子は、活性化状態となり、光学付加倍率が与えられる。即ち、電圧が印加されたとき、電気活性光学素子は、この光学素子が埋められたまたは取着された光学基板、即ち通常のレンズとは異なる屈折率を有することができる。
【0053】
電気活性レンズは、目の通常の、または通常でない誤差を矯正するために使用されることができる。矯正は、電気活性素子、光学基板、または通常の光学レンズ、もしくはこれらの2つの組合せによって、発生されることができる。目の通常の誤差は、近視、遠視、乱視のような低次の光学収差を含む。目の通常でない誤差は、目の層(ocular lay)によって生じ得る高次の光学収差を含む。
【0054】
液晶は、電気活性光学素子の一部分として使用されることができ、液晶の屈折率は、液晶を横切る電場を発生させることによって、変化されることができる。このような電場は、液晶の両面に配置された電極に、少なくとも1種類の電圧を印加することによって発生されることができる。このような電極は、実際には透明であり、従来よく知られたインジウムスズ酸化物(ITO)のような実質的に透明な導電性物質、または他のこのような物質から製造されることができる。電気活性光学素子に基づいた液晶は、電気活性光学素子の一部分として使用されるのに、特に十分に適することができる。なぜならば、液晶は、プラノないし+3.00Dの光学付加倍率を与えるように、屈折率の変化の必要な範囲を与えることができるからである。光学付加倍率のこの範囲は、患者の大部分の老眼を矯正することが可能である。
【0055】
液晶の薄層(10μm未満)は、電気活性光学素子を構成するために使用されることができる。液晶の薄層は、2つの透明基板の間に挟まれることができる。この2つの基板は、液晶が、実質的に気密になるように、これら基板内に封止されるように、これら基板の周縁部に沿って封止されることができる。透明な導電性物質の層は、2つの、多くの場合平面状の透明基板の内面に堆積されることができる。導電性物質は、電極として使用されることができる。薄層が使用されるとき、電極の形状およびサイズは、レンズ内の所定の光学効果を与えるために使用されることができる。液晶の薄層のような電極に印加されるのに必要な動作電圧は、かなり低く、代表的には5ボルト未満であることができる。これら電極は、パターン化されることができる。例えば、回折光学効果は、基板の少なくとも1つの上に堆積された同心リング形状の電極を使用することによって、液晶内に劇的に発生されることができる。このような光学効果は、リングの半径、リングの幅および異なるリングに夫々印加される電圧の範囲に基づいて、光学付加倍率を発生されることができる。また、電極は、画素化されることができる。例えば、画素化電極は、デカルトアレイで配置された正方形または長方形、もしくは六角形で配置された六角形であることができる。このような画素化電極のアレイは、回折性の、同心リング電極構造をエミュレートすることによって、光学付加倍率を発生させるために使用されることができる。画素化電極は、地上天文学の大気の乱流の影響を補正するために使用されるのと同じようにして、目の高次の光学収差を矯正するために使用されることができる。
【0056】
現在の製造工程は、最大の画素サイズを限定し、動的電気活性光学素子の最大の直径を限定する。一例として、同心画素化アプローチが使用して生じる動的電気活性光学素子の最大の直径は、+1.50Dに対して20mm、+1.25Dに対して24mm、+1.50Dに対して30mmであると見積もられる。現在の製造工程は、画素化回折性のアプローチを使用して、動的電気活性光学素子の最大の直径を限定する。このように、本発明の実施の形態では、非常に大きな直径で、比較的小さな光学倍率を有する動的電気活性光学素子を有することができる。
【0057】
代わって、光学活性電気素子は、2つの透明基板と、1つの液晶とを有し、第1の基板は、大部分が平面状であり、透明な導電性層で覆われており、一方、第2の基板は、表面レリーフ回折パターンであり、透明な導電性層で覆われたパターン化表面を有する。表面レリーフ回折光学素子は、この素子にエッチングされたまたは構成された回折格子を有する物理基板である。表面レリーフ回折パターンは、ダイヤモンドのチューニング、注入モールド、キャスティング、熱成形およびスタンピングによって発生されることができる。このような光学素子は、一定の光学倍率と光学収差の矯正との少なくとも一方を有するように設計されることができる。電極によって液晶に電圧を印加することによって、光学倍率/光学収差の補正は、屈折率の整合および不整合によって、夫々オンおよびオフに切り替えられることができる。実質的に電圧が印加されていないとき、液晶は、表面レリーフ回折光学素子と実質的に同じ屈折率を有することができる。これは、表面レリーフ回折素子によって通常は与えられるであろう光学倍率を打ち消す。電圧が印加されると、液晶は、表面レリーフ回折素子が光学付加倍率を与えるように、表面レリーフ回折素子とは異なる屈折率を有することができる。表面レリーフ回折パターンのアプローチを使用することによって、大きな半径または水平幅を有する動的電気活性光学素子が製造されることができる。これら光学素子の幅は、40mm以上であるように製造されることができる。
【0058】
比較的薄い液晶の薄層(代表的には>50μm)が、電気活性多焦点光学素子を構成するために使用されることができる。例えば、モーダルレンズは、従来技術でよく知られた屈折光学素子を発生させるために使用されることができる。このモーダルレンズは、単一の高い導電性のリング形状電極で電気接触により囲まれた、単一の連続的な低い導電性の環状電極を組み込む。高い導電性のリング電極に単一の電圧を印加することに基づいて、必要不可欠な半径方向に対照的な、電気抵抗ネットワークは、液晶に屈折率の勾配を連続的に与える液晶の層に亘って、電圧勾配を発生させる。屈折率の勾配を有する液晶の層は、電気活性レンズとして機能し、この電気活性レンズへの入射光に焦点を合わせるであろう。
【0059】
本発明の一実施の形態では、動的光学素子は、組み合わせられたレンズを形成するために、プログレッシブ付加レンズに組み合わせて使用される。プログレッシブ付加レンズは、低付加プログレッシブ付加レンズであることができる。プログレッシブ付加レンズは、プログレッシブ付加領域を有する。動的光学素子は、プログレッシブ付加領域と光学結合するように配置されることができる。この動的光学素子は、プログレッシブ付加領域から離間されて配置されるが、このプログレッシブ付加領域と光学結合する。
【0060】
本発明の一実施の形態では、プログレッシブ付加領域は、+0.50D、+0.75D,+1.00D、+1.12D,+1.25D,+1.37Dおよび+1.50Dの1つの光学倍率を有することができる。また、本発明の一実施の形態では、動的光学素子は、活性状態で、+0.50D、+0.75D,+1.00D、+1.12D,+1.25D,+1.37D、+1.50D、+1.62D、+1.75D、+2.00Dおよび+2.25Dの1つの光学倍率を有することができる。プログレッシブ付加領域の光学倍率および動的光学素子の光学倍率は、+0.125D(+0.12Dまたは+0.13Dに近い)ステップまたは+0.25Dのステップで、患者に製造または処方されることができる。
【0061】
本発明は、遠用、中間および近用視界距離で、装着者の視力が適切に矯正される必要がある、静的と動的との両方を可能な倍率の組合せを考える。本発明の例およびここに開示される範囲内で与えられる実施の形態は、単に図示するものであり、限定することを意図するものではない。むしろ、低付加倍率プログレッシブ付加領域が動的光学素子と光学結合するとき、付加光学倍率の関係を示すことを意図している。
【0062】
動的光学素子は、この素子が活性化されたとき、この素子の周縁部に沿った光学倍率が、周縁部の視界を減少させるように混合されるように、混合ゾーンを有することができる。多くの場合、しかし全ての場合ではないが、動的光学素子の光学倍率は、プログレッシブ付加レンズに見られる光学倍率に活性化すると、動的光学素子の光学倍率は、動的光学素子によって寄与される最大の光学倍率からこの混合ゾーンに移行することができる。本発明の一実施の形態では、混合ゾーンは、動的光学素子の周縁部に沿って1mmないし4mmの幅であることができる。本発明の他の実施の形態では、混合ゾーンは、動的光学素子の周縁部に沿って1mmないし2mmの幅であることができる。
【0063】
動的光学素子が非活性であるとき、動的光学素子は、実質的に付加倍率を与えないであろう。従って、動的光学素子が非活性化されたとき、プログレッシブ付加レンズは、組み合わせたレンズに全ての付加倍率を与えることができる(即ち、組み合わせられた光学素子の全付加倍率がPALの付加倍率に等しい)。動的光学素子が、混合ゾーンを含むならば、非活性状態では、混合ゾーンは、実質的に光学倍率に寄与せず、非活性状態に整合した屈折率により、好ましくない乱視に寄与しない。本発明の一実施の形態では、動的光学素子が非活性化されたとき、組み合わせられたレンズ内の全体の好ましくない乱視は、プログレッシブ付加レンズによって寄与されるものと実質的に等しい。本発明の一実施の形態では、動的光学素子が非活性化されたとき、組み合わせられた光学素子の全付加倍率は、約+1.00Dであることができ、また、組み合わせられたレンズ内の全体の好ましくない乱視は、約1.00D以下であることができる。本発明の他の実施の形態では、動的レンズが非活性化されたとき、組み合わせられた光学素子の全付加倍率は、約+1.25Dであることができ、また、組み合わせられたレンズ内の全体の好ましくない乱視は、約1.25D以下であることができる。本発明の他の実施の形態では、動的光学素子が非活性化されたとき、組み合わせられた光学素子の全付加倍率は、約+1.50Dであることができ、また、組み合わせられたレンズ内の全体の好ましくない乱視は、約1.50D以下であることができる。
【0064】
動的光学素子が活性化されたとき、動的光学素子は、付加光学倍率を与えるであろう。この動的光学素子は、プログレッシブ付加レンズと光学結合するので、組み合わせられた光学素子の前付加倍率は、PALの付加倍率および動的光学素子の付加倍率と等しい。動的光学素子が、混合ゾーンを含むならば、活性化状態では、混合ゾーンは、光学倍率および活性化状態での屈折率との整合により好ましくない乱視に寄与し、視界の焦点に対して大部分は使用可能でない。従って、動的光学素子が混合ゾーンを含むとき、組み合わせられた光学素子の好ましくない乱視は、混合ゾーンを含まない動的光学素子の使用可能な部分内でのみ測定される。
【0065】
本発明の一実施の形態では、動的光学素子が活性化されたとき、レンズの使用可能な部分によって測定されるような組み合わせられたレンズ内の全体の好ましくない乱視が、プログレッシブ付加レンズ内の好ましくない乱視と実質的に等しくなることができる。本発明の一実施の形態では、動的光学素子が活性化され、組み合わせられた光学素子の全付加倍率が約+0.75Dないし+2.25Dであるならば、組み合わせられたレンズの使用可能な部分内の全体の好ましくない乱視は、1.00D以下であることができる。
【0066】
本発明の他の実施の形態では、動的光学素子が活性化され、組み合わせられた光学素子の全付加倍率が約+2.50Dないし+2.75Dであるならば、組み合わせられたレンズの使用可能な部分内の全体の好ましくない乱視は、1.25D以下であることができる。本発明のさらに他の実施の形態では、動的光学素子が活性化され、組み合わせられた光学素子の全付加倍率が約+3.00Dないし+3.50Dであるならば、組み合わせられたレンズの使用可能な部分内の全体の好ましくない乱視は、1.50D以下であることができる。
【0067】
従って、本発明は、レンズの使用可能な部分によって測定されるような、レンズの好ましくない乱視よりも十分に高い全光学付加倍率でレンズの製造を可能にする。もしくは、他の方法では、本発明の組み合わせられたレンズの所定の全付加倍率に対して、好ましくない乱視の程度が、実質的に減少される。これは、文字通りに教えられる、または商用的に入手可能である改良品に十分な度数である。この改良品は、比較的高い適合率、少ない歪み、装着者の少ない素早い動き(tripping)または方向感覚の喪失(disorientation)、および装着者によって中間および近距離視界のより幅広い鮮明な視界に移行する。
【0068】
本発明の一実施の形態では、動的光学素子は、装着者の近距離視界の処方に必要な全付加倍率の約30%ないし70%に寄与することができる。低付加倍率PALのプログレッシブ付加領域は、装着者の近距離視界の処方に必要な付加倍率のリマインダ、即ち、夫々約30%ないし70%に寄与することができる。本発明の他の実施の形態では、動的光学素子およびプログレッシブ付加領域は、装着者の近距離視界の処方に必要な全付加倍率の約50%に寄与することができる。動的光学素子が全付加倍率より大きく寄与しすぎるならば、動的レンズが非活性化されたとき、使用者は、中間距離で鮮明に見ることができない。さらに、動的光学素子が活性化されたとき、使用者は、中間距離視界ゾーンで光学倍率より大きく寄与することができ、中間距離で鮮明に見ることができない。動的光学素子が全付加倍率よりも小さく寄与するならだ、組み合わせられたレンズは、好ましくない乱視を有しすぎる可能性がある。
【0069】
動的レンズが混合ゾーンを含むとき、動的光学素子は、混合ゾーンの少なくとも一部が、組み合わせられた光学素子の周縁部に位置されることを十分に確実にする幅であることが必要である。本発明の一実施の形態では、動的光学素子の水平幅は、約26mm以上であることができる。本発明の他の実施の形態では、動的光学素子は、水平幅が約24mmないし40mmであることができる。本発明の他の実施の形態では、水平幅が約30mmないし34mmであることができる。動的光学素子が、約24mmの幅よりも短ければ、動的光学素子が活性化されたとき、使用者の視界に干渉し、使用者に過度の歪みおよび揺れを生じる可能性がある。動的光学素子が、約40mmの幅よりも長ければ、眼鏡フレームの形状に組み合われられたレンズをばり取りすることが難しい可能性がある。多くの場合、しかし全ての場合ではないが、動的光学素子が組み合わせられたレンズのフィッティングポイントで、またはフィッティングポイントの下で混合ゾーンに位置されると、動的光学素子は、垂直高さサイズよりも大きな水平幅サイズを有する楕円形状を有することができる。動的光学素子が、フィッティングポイント以上で混合ゾーンに位置されると、動的光学素子は、通常は、しかし必ずではないが、動的光学素子の上部の周縁部がフィッティングポイントの上の最小値8mmであるように配置される。電気活性でない動的光学素子は、組み合わせられたレンズの周縁部に配置されることができることが注意されなければならない。さらに、このような非電気活性動的光学素子は、24mm幅未満であることができる。
【0070】
本発明の一実施の形態では、動的光学素子は、フィッティンポイントに、または上に位置される。動的光学素子の上部の周縁部は、フィッティングポイントの上の約0mmないし15mmであることができる。動的光学素子は、活性化され、装着者が中間距離、近距離または中間距離と近距離の間の距離(近中間距離)を見るとき、必要な光学倍率を与えることができる。これは、フィッティングポイントに、または上に位置された動的光学素子を生じる。また、これは、装着者が真っ直ぐ前を見るとき、装着者が正確な中間距離処方を有することを可能にするであろう。さらに、プログレッシブ付加領域により、光学倍率は、チャネルを通して下向きに、フィッティングポイントから連続的に増加する。また、これは、装着者がチャネルを介して見るとき、装着者が正確な近中間距離および近距離処方の矯正を有するであろう。従って、装着者は、多くの場合、レンズの中間距離視界ゾーンを介して見ることに関して、下を向く必要がなく、顎を上げる必要もない。動的光学素子が、組み合わせられたレンズの上部から垂直方向に離間されるならば、使用者は、動的光学素子の上に、組み合わせられたレンズの一部分を利用することによって、遠距離で見ることができる。動的光学素子が活性化されたとき、レンズやフィッティングポイント付近の領域は、レンズの遠距離光学倍率に変えるであろう。
【0071】
動的光学素子が混合ゾーンを有する実施の形態では、フィッティングポイントの上に動的光学素子を位置させることが好ましい。このような一実施の形態では、動的光学素子が活性化されたとき、使用者は、混合ゾーンを通して見ることなく、フィッティングポイントを通って、およびチャネルを通して下向きに、真っ直ぐ前を見ることができる。上述のように、使用者は、使用者が、動的光学素子の縁部または混合ゾーンを超えなくてもよいので、活性状態では、好ましくない乱視の高い度数を受けることなく、組み合わせられた光学素子を利用できる。
【0072】
本発明の一実施の形態では、動的光学素子は、フィッティングポイントの下に配置されることができる。動的光学素子の上縁部は、フィッティングポイントの下で約0mmないし15mmであることができる。使用者がフィッティングポイントを通して真っ直ぐ前を見るとき、動的光学素子は、組み合わせられたレンズのこの部分と光学結合しないので、遠距離処方の補正は、組み合わせられた光学素子によって与えられる。しかし、使用者が、フィッティングポイントからチャネルを介して下向きに視線を移行すると、使用者の目が動的光学素子の混合ゾーンを通過するとき、好ましくない乱視の高い度数を受ける可能性がある。これは、以下に説明される様々な方法で改良される。
【0073】
本発明の組み合わせられた眼用レンズは、光学設計を有し、以下のことを考慮する。
1)装着者の近距離視界矯正を満足させるための、本発明の眼用レンズに必要な全体の近距離付加倍率と、
2)組み合わせられたレンズの使用可能な部分で、好ましくない乱視または歪みのレベルと、
3)プログレッシブ付加領域により部分的に寄与された光学付加倍率の大きさと、
4)活性化されたとき、動的光学素子により寄与される光学倍率の大きさと、
5)プログレッシブ付加領域のチャネルの長さと、
6)例えば、ソフトPAL設計、ハードPAL設計、修正ソフトPAL設計または修正ハードPAL設計のみでの、プログレッシブ付加領域の設計と、
7)動的光学素子の幅および高さと、
8)プログレッシブ付加領域に対する動的光学素子の位置。
【0074】
図1Aは、フィッティングポイント110と、プログレッシブ付加領域120とを有するプログレッシブ付加レンズ100の一実施の形態を示している。図1Aのプログレッシブ付加レンズは、装着者の必要とする近距離光学倍率矯正よりも小さい、所望の光学倍率を装着者に与えるように設計された低付加倍率プログレッシブ付加レンズである。例えば、PALの付加倍率は、近距離光学倍率矯正の50%であることができる。レンズのフィッティングポイントから、レンズの光学倍率が所望の付加光学倍率の85%以内である点への、レンズのAA線に沿った軸の距離での光学倍率は、チャネルの長さとして知られている。このチャネルの長さは、距離Dとして、図1Aに示されている。距離Dの値は、フレームの形式のような多くのファクタに応じて変えることができ、レンズは、光学倍率の必要性、チャネルの幅の必要性に応じて適合するように、ばり取りされる。本発明の他の実施の形態では、距離Dは、約11mmないし約20mmである。本発明の他の実施の形態では、距離Dは、約14mmないし約18mmである。
【0075】
図1Bは、線AAの軸に沿って、図1Aのレンズの断面に沿って受ける光学倍率130のグラフを示している。このグラフのx軸は、レンズの線AAの軸に沿った距離を示している。このグラフのy軸は、レンズ内の光学倍率の量を示している。このグラフに示された光学倍率は、フィッティングポイントで始まる。フィッティングポイントの前、またはここでの光学倍率は、約+0.00Dないし約+0.12D(即ち実質的に光学倍率を有しない)であるか、使用者の遠距離処方の必要性に応じて、正または負の屈折倍率を有することができる。図1Bは、フィッティングポイントの前、またはここでの光学倍率を有しないレンズを示している。フィッティングポイントの後、光学倍率は、最大倍率に連続的に増加する。最大倍率は、線AAに沿って、レンズの長さに対して保つことができる。図1Bは、最大倍率を保つことを示しており、光学倍率の平面形状として現れる。図1Bは、最大倍率の倍に生じる距離Dも示している。最大倍率の平面形状の後、光学倍率は、所望の光学倍率まで、光学倍率を連続的に減少させることができる。所望の光学倍率は、最大倍率未満のいかなる倍率でも良く、フィッティングポイントの光学倍率に等しくても良い。図1Bは、最大倍率の後に光学倍率が連続的に減少することを示している。
【0076】
本発明の一実施の形態では、プログレッシブ付加領域は、レンズの前面に位置されたプログレッシブ付加面であることができ、動的光学素子は、レンズの内部に埋められることができる。本発明の他の実施の形態では、プログレッシブ付加領域は、レンズの裏面に位置されたプログレッシブ付加面であることができ、動的光学素子は、レンズの内部に埋められることができる。本発明の他の実施の形態では、プログレッシブ付加領域は、2つのプログレッシブ付加面である。これらプログレッシブ付加面は、レンズの前面に配置された第1の面と、レンズの裏面に配置された第2の面(二重面のプログレッシブ付加レンズ)であり、動的光学素子は、レンズ内に埋められることができる。本発明の他の実施の形態では、プログレッシブ付加領域は、構成上の面により発生される可能性はないが、代わって、屈折率の勾配によって発生する可能性がある。このような一実施の形態は、単一焦点レンズで使用される表面と同じように、レンズの両面を使用可能にする。プログレッシブ付加領域を与えるこのような屈折率勾配は、レンズの内側に、またはレンズの一方の面に配置されることができる。
【0077】
本発明の1つの重要な効果は、上述のように、動的光学素子が非活性状態であるときさえも、装着者が正確な中間距離および遠距離視界の光学倍率を常に有することである。従って、適切な近距離光学倍率が装着者に必要とされるとき、必要とされる制御メカニズムのみが、動的光学素子を選択的に活性化するための手段である。この効果は、使用者の処方の近距離の必要な近距離よりも小さい付加倍率を有する低付加パワーPALによって与えられる。さらに、この低付加倍率は、装着者の中間距離視界の必要性に対する処方の光学倍率を補正する。動的光学素子が活性化されたとき、装着者の近距離光学倍率のピント合わせの必要性は、満たされるであろう。
【0078】
このため、レンズを制御するために必要なセンサを非常に簡単にすることができる。実際、使用者が中間距離を超えてピントを合わせるならば、全てを検出することが可能なセンシング装置が必要とされる。使用者が、遠距離よりも近くにピントを合わせなければ、動的光学素子は、非活性化されることができる。このような装置は、簡単な傾斜スイッチ、またはレンジファインダであることができる。
【0079】
本発明の実施の形態では、動的光学素子が活性化される前に、患者の目が動的光学素子の周縁部の点を通過するように、わずかな一時的な遅延が、制御システムに与えられることができる。これは、装着者に、動的光学素子の周縁部を通して見ることによって生じる可能性がある不快な好ましくない歪みの影響を避けることを可能にする。このような一実施の形態は、動的光学素子が混合ゾーンを含むとき、効果的であることができる。例として、装着者の視界のラインが遠距離の物体から近距離の物体へと移動するとき、装着者の目は、近距離視界ゾーンに動的光学素子の周縁部を超えて移動する。このような場合、動的光学素子は、装着者の視界のラインが動的光学素子の周縁部を通過して、近距離視界ゾーンに移行し終えるまで、活性化されない。これは、装着者の視界のラインが、周縁部を超えることが可能であるように、動的光学素子を活性化するための時間を遅らせることによって生じる。動的光学素子の活性化が、一時的に遅延されず、代わりに、周縁部を超えて移行された装着者の視界のラインの前に活性化されるならば、装着者は、周縁部を通って見る間、好ましくない乱視の高い度数を受ける可能性がある。本発明の実施の形態は、動的光学素子の周縁部が、組み合わせられたレンズのフィッティングポイントに、または下に配置されているとき、利用されることができる。本発明の他の実施の形態では、動的光学素子の周縁部は、組み合わせられたレンズのフィッティングポイントの上に配置されることができ、従って、多くの場合、遅延は、中間距離と近距離との間を見るとき、装着者の視界のラインが、動的光学素子の周縁部を決して超えないようにする必要がない。
【0080】
なおも、本発明のさらに他の実施の形態では、プログレッシブ付加レンズおよび動的光学素子の混合ゾーンは、混合ゾーンでの好ましくない乱視の2つの重ね合わせが、PALでの好ましくない乱視を少なくとも部分的に打ち消すように設計されることができる。この効果は、二重側面PALと比較することができ、一方の面の好ましくない乱視は、他方の面の好ましくない乱視を打ち消すように設計されている。
【0081】
本発明の一実施の形態では、動的光学素子の上縁部がレンズのフィッティングポイントの上にあるように、動的光学素子のサイズを増加させ、動的光学素子を配置することが好ましい。図2Aは、低付加倍率プログレッシブ付加レンズ200の一実施の形態を示している。このレンズ200は、この動的光学素子の上縁部250がレンズのフィッティングポイント210の上にあるように配置された非常に大きな動的光学素子220と組み合わせられている。本発明の一実施の形態では、比較的大きな動的光学素子の直径は、約24mmないし約40mmである。このレンズのフィッティングポイントに対する動的光学素子の垂直方向の配置は、距離dによって示されている。本発明の一実施の形態では、距離dは、約0mmの範囲から動的光学素子の直径の約2分の1である。本発明の他の実施の形態では、距離dは、動的光学素子の直径の約8分の1から、動的光学素子の直径の約8分の3である。図2Bは、動的光学素子が、プログレッシブ付加領域240へと光学伝播するために、発生される組み合わせられた光学倍率230を有する一実施の形態を示している。レンズ200は、減少されたチャネルの長さを有することができる。本発明の一実施の形態では、チャネルの長さは、約11mmないし約20mmである。本発明の他の実施の形態では、チャネルの長さは、約14mmないし約18mmである。
【0082】
図2A並びに図2Bの本発明の実施の形態では、動的光学素子が活性化されたとき、レンズが低付加倍率PALであり、また、動的光学素子がフィッティングポイントの上に配置されているので、装着者は、真っ直ぐ前を向いている間、正確な中間距離視界を有する。装着者の目がチャネルの下に移動するのに従って、装着者も正確な近中間距離を有する。最終的に、装着者は、組み合わせられたレンズの領域内で正確な近距離視界を有し、ここで、動的光学素子とプログレッシブ付加領域との組合せが、必要な近用視界距離の矯正を形成するように組み合わせる。これは、プログレッシブ付加領域に動的光学素子を組み合わせる効果的な方法である。なぜならば、コンピュータの使用は、大きな中間視界距離の仕事であり、多くの人々の視界は、真っ直ぐ前のコンピュータ画面またはわずかに下を向いた視界の姿勢であるからである。非活性状態では、フィッティングポイントの上および付近のレンズの領域は、フィッティングポイントの下で、弱いプログレッシブ倍率で距離視力視界の矯正を可能にする。プログレッシブ付加領域の最大の光学倍率は、使用者の必要な近距離光学倍率の約2分の1に寄与し、動的光学素子は、鮮明な近距離視界のために必要な光学倍率のリマインダである。
【0083】
図3Aないし3Cは、本発明の一実施の形態を示している。ここでは、動的光学素子320が、レンズ300内に配置され、また、プログレッシブ付加領域310が、レンズの裏面に配置されている。この裏プログレッシブ付加面は、自由形成として知られた製造アプローチによって、集積された動的光学素子を有する半完成のレンズブランクの処理の間、レンズに配置されることができる。本発明の他の実施の形態では、プログレッシブ付加領域は、半完成のレンズブランクの前面に配置されている。この半完成のレンズブランクは、動的光学素子がプログレッシブ付加面の曲率に適切にアライメントされるように、動的光学素子に埋められる。そして、この半完成のレンズブランクは、通常のサーフェシング、ポリシング、ばり取りおよび眼鏡フレームに装着されることによって、処理される。
【0084】
図3Aに示されるように、動的光学素子が非活性化されたとき、フィッティングポイントを通って装着者の目340から視界のラインに沿って受ける光学倍率は、正確な遠距離視界330を装着者に与える。図3Bに示されるように、動的光学素子が活性化されたとき、フィッティングポイントを通って装着者の目から視界のラインに沿って受ける光学倍率は、正確な中間距離焦点倍率331を装着者に与える。装着者が、図3B並びに図3Cに示されるようなチャネルを凝視して移動するのに従って、動的光学素子の組み合わせられた光学素子およびプログレッシブ付加面は、中間距離焦点から近距離焦点への倍率の移行をほとんど連続的に与える。従って、図3Cに示されるように、動的活性素子が活性化されたとき、フィッティングポイントを通って装着者の目から視界のラインに沿って受ける光学倍率は、正確な近距離焦点倍率332を装着者に与える。本発明のこの実施の形態の1つの主要な効果は、装着者が遠距離を見るならば、制御システムを決定する必要のみあるということである。このような距離視界の場合には、動的光学素子は、非活性状態に留まることができる。レンジ検出装置が使用される実施の形態では、物体が中間距離よりも目に近ければ、レンジシステムを決定する必要のみある。本発明のこの実施の形態の他の主要な効果は、使用者が、レンズの遠距離部分から近距離部分を見るとき、または近距離部分から遠距離部分をみるとき、のように、変化するとき、動的光学素子の上縁部を通過する、即ち横切る必要がないということである。動的光学素子が、フィッティングポイントの下に配置された多くの縁部を有するならば、遠距離から近距離、または近距離から遠距離を見るとき、この上縁部を通過する、即ち横切らなければならない。しかし、本発明の実施の形態では、目が、動的光学素子の上縁部の大部分を通過しないように、フィッティングポイントの下の動的光学素子の位置決めを可能にする。このような実施の形態は、視界の性能および人間工学に関して、他の効果を与えることができる。
【0085】
図3Aないし図3Cは、裏面のプログレッシブ付加面領域を示している。この領域は、レンズの前面に、またはレンズの前面と裏面との両方に配置されることができるが、動的光学素子は、レンジ内に配置されることができる。さらに、動的光学素子がレンズの内側に配置されるように示されるが、この動的光学素子は、歪曲した基板でできており、かつ眼用被覆材料によって覆われているならば、レンズの表面に配置されることができる。異なる付加倍率を夫々有する異なるPALレンズを組み合わせた既知の光学倍率を有する動的光学素子を使用することによって、動的光学素子の半完成のブランクの在庫商品識別番号(SKU)は、実質的に減らされることが可能である。例えば、+0.75Dの動的光学素子は、+1.25D、+1.50D、+1.75Dの付加倍率を減少させるように、夫々+0.50D、+0.75D、+1.00Dのプログレッシブ付加領域に組み合わせられることができる。もしくは、+1.00Dの動的光学素子は、+1.75D、+2.00Dの付加倍率を減少させるように、夫々+0.75D、+1.00Dのプログレッシブ付加領域に組み合わせられることができる。さらに、プログレッシブ付加領域は、プログレッシブ付加領域場、必要な読み矯正の約半分を与える動的電気活性光学素子に加えられるという事実と同様に、患者の遠距離倍率およびレンズを通って目の経路のような装着者の特性を説明するために最適化されることができる。同様に、逆も十分に行う。例えば、+1.00Dの動的光学素子は、+0.75D、+1.00D、+1.25Dに組み合わせられることができ、または+1.75D、+2.00D、+2.25D、+2.50の組み合わせられた光学倍率を減少させるような動的光学素子であることができる。
【0086】
図4Aは、本発明の他の実施の形態を示している。低付加倍率プログレッシブ付加レンズ400は、プログレッシブ付加領域とチャネル430との少なくとも一方より大きな動的光学素子420に組み合わせられている。この実施の形態では、前記動的光学素子の混合ゾーンからの好ましくない乱視450が、フィッティングポイント410と、プログレッシブ付加シャネルと、読みゾーン440との全ての外側で十分である。図4Bないし図4Dは、図4AのAA線の軸に沿って、レンズの断面に沿って受ける光学倍率のグラフを示している。各グラフのx軸は、レンズ内のAA線に沿った距離を表している。各グラフのy軸は、レンズ内の光学倍率の量を表している。フィッティングポイントの前、または付近の光学倍率は、約+0.00Dないし約+0.12D(即ち実質的に光学倍率を有しない)であることができるか、もしくは、使用者の視覚の遠距離の必要性に応じて、正または負の屈折倍率を有することができる。図4Bは、フィッティングポイントの前、または付近で光学倍率を有さないレンズを示している。図4Bは、光学倍率460が、図4AのAA線に沿って受ける一定のプログレッシブ付加面または領域により与えられることを示している。図4Cは、活性化されたとき、光学倍率470が、図4AのAA線に沿って受ける動的光学素子によって与えられることを示している。最後に、図4Dは、図4AのAA線に沿って受ける動的電気活性素子および一定のプログレッシブ付加領域の組み合わせられた倍率を示している。図から、動的電気活性光学素子の上部および下部の歪んだ混合領域450は、フィッティングポイント420と、プログレッシブ付加読み領域440と、チャネル4430との外側にあることが明らかである。
【0087】
図5A並びに図5Bは、実施の形態を示しており、動的光学素子520が、低付加倍率プログレッシブ付加レンズ500のフィッティングポイント510の下に配置されている。図5Aでは、動的電気活性素子の混合ゾーンの位置は、装着者の目がプログレッシブコリダ530に行き着くのに従って、著しく全体の歪み550を与える。本発明の所定の発明性ある実施の形態では、装着者の目が、動的光学素子の混合ゾーンの上縁部を通過するまで、動的光学素子の活性化を遅延させることによって解決される。図5Bは、図5AのAA線に沿った光学倍率を示している。歪み領域550は、フィッティングポイントの下のレンズの付加倍率に重なるように見られ、さらに、目がこの領域を通過するまで、動的光学素子の活性化を遅延させる必要があることを示している。目がこの領域を通過して入ると、例えば、読み領域540は、決して光学的な歪みを生じない。本発明の一実施の形態では、1mmないし2mmの非常に狭い混合ゾーンが、目がこの領域を素早く通過することを可能にする。本発明の一実施の形態では、動的光学素子の水平幅は、約24mmないし約40mmであることができる。本発明の他の実施の形態では、動的光学素子の水平幅は、約30mmないし約34mmであることができる。本発明のさらなる他の実施の形態では、動的光学素子の水平幅は、約32mmであることができる。従って、所定の発明性ある実施の形態では、動的光学素子は、垂直測定よりも幅の広い水平測定で、楕円のような形状である。
【0088】
図6Aないし図6Cは、動的光学素子の実施の形態を示している。これら実施の形態に示されるように、動的光学素子は、楕円形状を有し、約26mmないし約32mm幅である。図6Aは、約14mmの高さを有する動的光学素子を示している。図6Bは、約19mmの高さを有する動的光学素子を示している。図6Cは、約24mmの高さを有する動的光学素子を示している。
【0089】
図7Aないし図7Kは、既存の従来技術のプログレッシブ付加レンズと、低付加倍率プログレッシブ付加レンズと動的光学素子とを含む本発明の実施の形態とを比較した、好ましくない光学収差のコンターマップを示している。好ましくない光学収差倍率マップが、測定され、従来の倍率マップVM2000の”High Precision Lens Analyzer”の”visionix state”によって発生された。これは、両方の品質の制御のために、これら自身のPALを測定し検出するために、PALを製造し設計し、明確化の目的でマーケティングする際、レンズの製造者によって使用されるものと同等のものである。本発明の実施の形態は、低付加倍率PALおよび球面レンズを使用してシミュレーションされた。球面レンズは、所望の光学倍率の駆動される動的光学素子に等しい光学倍率を有する。この光学倍率は、レンズの周縁部に広がっている。
【0090】
図7Aは、+1.25D PALのEssilor Varilux Physio(商標)と、全体で+1.25Dの付加倍率を生じるように、+1.00D PALのEssilor Varilux Physioと+0.25Dの動的光学素子とを含む本発明の実施の形態とを比較している。図7Bは、+1.50D PALのEssilor Varilux Physioと、全体で+1.50Dの付加倍率を生じるように、+0.75D PALのEssilor Varilux Physioと+0.75Dの動的光学素子とを含む本発明の実施の形態とを比較している。図7Cは、+1.75D PALのEssilor Varilux Physioと、全体で+1.75Dの付加倍率を生じるように、+1.00D PALのEssilor Varilux Physioと+0.75Dの動的光学素子とを含む本発明の実施の形態とを比較している。図7Dは、+2.00D PALのEssilor Varilux Physioと、全体で+2.00Dの付加倍率を生じるように、+1.00D PALのEssilor Varilux Physioと+1.00Dの動的光学素子とを含む本発明の実施の形態とを比較している。図7Eは、+2.00D PALのEssilor Varilux Physioと、全体で+2.00Dの付加倍率を生じるように、+0.75D PALのEssilor Varilux Physioと+1.25Dの動的光学素子とを含む本発明の実施の形態とを比較している。図7Fは、+2.25D PALのEssilor Varilux Physioと、全体で+2.25Dの付加倍率を生じるように、+1.00D PALのEssilor Varilux Physioと+1.25Dの動的光学素子とを含む本発明の実施の形態とを比較している。図7Gは、+2.25D PALのEssilor Varilux Physioと、全体で+2.25Dの付加倍率を生じるように、+0.75D PALのEssilor Varilux Physioと+1.50Dの動的光学素子とを含む本発明の実施の形態とを比較している。図7Hは、+2.50D PALのEssilor Varilux Physioと、全体で+2.50Dの付加倍率を生じるように、+1.25 PALのEssilo
r Varilux Physioと+1.25Dの動的光学素子とを含む本発明の実施の形態とを比較している。図7Iは、+2.50D PALのEssilor Varilux Physioと、全体で+2.50Dの付加倍率を生じるように、+1.00D PALのEssilor Varilux Physioと+1.50Dの動的光学素子とを含む本発明の実施の形態とを比較している。図7Jは、+2.75D PALのEssilor Varilux Physioと、全体で+2.75Dの付加倍率を生じるように、+1.25D PALのEssilor Varilux Physioと+1.50Dの動的光学素子とを含む本発明の実施の形態とを比較している。図7Kは、+3.00D PALのEssilor Varilux Physioと、全体で+1.50Dの付加倍率を生じるように、+1.50D PALのEssilor Varilux Physioと+1.50Dの動的光学素子とを含む本発明の実施の形態とを比較している。
【0091】
図7Aないし図7Kは、本発明のアプローチが、既存の従来技術のプログレッシブ付加レンズに比べて著しい改良を与えることを、明確に示している。図7Aないし図7Kに示された本発明の実施の形態は、既存の従来技術のPALレンズと比較すると、低付加倍率および高付加倍率の両方に対して、歪みをかなり減少させ、好ましくない乱視をかなり減少させ、より幅の広いチャネルを提供し、わずかに短いチャネルを提供する。本発明のアプローチは、このような著しい改良を与えることができ、使用者が、通常のPALレンズで、遠距離、中間距離および近距離で鮮明に見ることを可能にする。
【0092】
さらに、本発明内で、動的光学素子は、装着者の瞳孔間距離、フィッティングポイント、フレームアイワイヤのサイズの裁断に応じて、プログレッシブ付加領域に対して、垂直方向に、いくつかの場合には水平方向に、中心からそれる必要がある。しかし、全ての場合に、動的光学素子がプログレッシブ付加領域に対して中心からそれていると、動的光学素子が活性化されたとき、この領域に光学結合して留まる。フレームのアイワイヤ、即ちリムの垂直方向のサイズは、多くの場合、しかし全ての場合ではないが、中心からのずれの度合を決定することが注意されなければならない。
【0093】
本発明の眼用レンズは、88%以上の光透過率を有する。反射防止コーティングが、この眼用レンズの両面に使用されるならば、光透過率は、90%を超えるであろう。本発明の眼用レンズの光透過率は、90%以上である。本発明の眼用レンズは、例えば、一例では、反射防止コーティング、耐引掻性コーティング、クッションコーティング、疎水コーティングまたは紫外線コーティングのような、よく知られた様々なレンズ処理で覆われることができる。紫外線コーティングは、眼用レンズまたは紫外線コーティングに適用されることができる。これら実施の形態では、動的光学素子は、電気活性光学素子に基づいた液晶であり、紫外線コーティングは、液晶に長い間ダメージを与える紫外光から液晶を保護することができる。本発明の眼用レンズは、眼鏡フレームに必要な形状にばり取りすることができ、また、例えばリムのないフレームに装着されるように、周縁部に穴を開けられることができる。
【0094】
本発明は、全ての眼用レンズ、コンタクトレンズ、眼内レンズ、角膜アンレー、角膜インレーおよび眼鏡レンズを想定している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィッティングポイントを有する、使用者のための眼用レンズであって、
チャネルを有し、このチャネル内に付加倍率を有するプログレッシブ付加領域と、
活性化されたとき、光学倍率を有し、前記プログレッシブ付加領域と光学結合する動的光学素子とを具備し、
前記動的光学素子は、前記フィッティングポイントの約15mm以内に配置された上縁部を有する眼用レンズ。
【請求項2】
前記付加倍率は、前記使用者の近用視界距離の付加倍率よりも小さい請求項1の眼用レンズ。
【請求項3】
前記付加倍率は、前記近用視界距離の付加倍率の約50%である請求項1の眼用レンズ。
【請求項4】
前記付加倍率は、前記近用視界距離の付加倍率の約30%ないし約70%である請求項1の眼用レンズ。
【請求項5】
前記付加倍率が加えられたとき、前記光学倍率は、前記使用者の近用視界距離の付加倍率に実質的に等しい請求項1の眼用レンズ。
【請求項6】
前記プログレッシブ付加領域は、前記レンズの前面に配置されている請求項1の眼用レンズ。
【請求項7】
前記プログレッシブ付加領域は、前記レンズの裏面に配置されている請求項1の眼用レンズ。
【請求項8】
前記プログレッシブ付加領域は、前記レンズ内に埋められている請求項1の眼用レンズ。
【請求項9】
前記動的光学素子は、前記レンズの前面に配置されている請求項1の眼用レンズ。
【請求項10】
前記動的光学素子は、前記レンズの裏面に配置されている請求項1の眼用レンズ。
【請求項11】
前記動的光学素子は、前記レンズ内に埋められている請求項1の眼用レンズ。
【請求項12】
前記動的光学素子は、電気活性光学素子である請求項1の眼用レンズ。
【請求項13】
前記動的光学素子は、メニスカスレンズである請求項1の眼用レンズ。
【請求項14】
前記動的光学素子は、流体レンズである請求項1の眼用レンズ。
【請求項15】
前記動的光学素子は、少なくとも1つの移動可能な構成部材を有する移動可能な動的光学素子である請求項1の眼用レンズ。
【請求項16】
前記動的光学素子は、ガスレンズである請求項1の眼用レンズ。
【請求項17】
前記動的光学素子は、変形可能なメンブレンを有するメンブレンレンズである請求項1の眼用レンズ。
【請求項18】
前記付加倍率は、約+0.50ジオプトリないし約+1.50ジオプトリである請求項1の眼用レンズ。
【請求項19】
前記動的光学素子は、約+0.50ジオプトリないし約+2.25ジオプトリである請求項1の眼用レンズ。
【請求項20】
前記動的光学素子は、約24mmないし約40mmの幅を有する請求項1の眼用レンズ。
【請求項21】
前記プログレッシブ付加領域の前記チャネルは、約11ないし約20mmの長さを有する請求項1の眼用レンズ。
【請求項22】
前記動的光学素子の上縁部の少なくとも一部分は、このレンズの前記フィッティングポイントの上に配置されている請求項1の眼用レンズ。
【請求項23】
前記動的光学素子の上縁部は、約0mmとこのレンズの前記フィッティングポイントの上の前記動的光学素子の垂直方向の長さの約2分の1との間に配置されている請求項1の眼用レンズ。
【請求項24】
前記動的光学素子の上縁部は、前記動的光学素子の垂直方向の長さの約8分の1と、このレンズのフィッティングポイントの上の前記動的光学素子の垂直方向の長さの約8分の3との間に配置されている請求項1の眼用レンズ。
【請求項25】
前記動的レンズは、使用者の目が前記動的光学素子の上縁部を通過するまで、活性化されない請求項1の眼用レンズ。
【請求項26】
さらに、前記動的光学素子に設けられた混合ゾーンを具備する請求項1の眼用レンズ。
【請求項27】
前記光学倍率は、複数の光学倍率を有する請求項1の眼用レンズ。
【請求項28】
前記光学倍率は、正の倍率を有し、実質的に光学倍率を有さない請求項1の眼用レンズ。
【請求項29】
前記光学倍率は、変更可能である請求項1の眼用レンズ。
【請求項30】
前記動的光学素子は、活性化および非活性化されることが可能である請求項1の眼用レンズ。
【請求項31】
前記動的光学素子は、前記プログレッシブ付加領域から離間されている請求項1の眼用レンズ。
【請求項32】
さらに、前記光学倍率を制御するためのセンサを具備する請求項1の眼用レンズ。
【請求項33】
使用者が中間距離を超えて見たとき、前記センサは、前記動的光学素子を非活性化する請求項32の眼用レンズ。
【請求項34】
使用者が遠距離よりも近い距離を見たとき、前記センサは、前記動的光学素子を活性化する請求項32の眼用レンズ。
【請求項35】
使用者が、前記フィッティングポイントを通して見て、前記動的光学素子が活性化されたとき、中間距離視界の矯正が、使用者に与えられる請求項1の眼用レンズ。
【請求項36】
使用者が、前記フィッティングポイントを通して見て、前記動的光学素子が活性化されたとき、遠距離視界の矯正が、使用者に与えられる請求項1の眼用レンズ。
【請求項37】
前記動的光学素子は、前記プログレッシブ付加領域に対して中心からずれている請求項1の眼用レンズ。
【請求項38】
前記レンズは、半完成のブランクにより形成されている請求項1の眼用レンズ。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図7F】
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【図7G】
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【図7H】
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【図7I】
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【図7J】
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【図7K】
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【公表番号】特表2009−540386(P2009−540386A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−515447(P2009−515447)
【出願日】平成19年6月12日(2007.6.12)
【国際出願番号】PCT/US2007/013743
【国際公開番号】WO2007/146265
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(508366570)ピクセルオプティクス, インコーポレイテッド (13)
【Fターム(参考)】