動的設備管理システム
【課題】監視・維持・保全対象設備への各種計測機器の取り付けや取り外しに際し、関連するソフトウェアが設備管理システム内で自動的に設定され、状態監視を迅速且つ簡便に開始することができるようにする。
【解決手段】計測機器としてのセンサ2Aが接続されたときに、計測機器の種別と計測機器を接続した目的とを下位レベルの装置としての計測機器読取装置5Aがディレクトリサーバ3に伝送し、当該ディレクトリサーバ3がクラス情報を参照してインスタンスを生成すると共にクラス間関係を参照して関係インスタンスを生成して登録し且つ生成したインスタンスをインスタンス間関係に基づいて関係装置に送付し、そして、インスタンス間関係に基づいてインスタンス同士で設備管理データを交換するようにした。
【解決手段】計測機器としてのセンサ2Aが接続されたときに、計測機器の種別と計測機器を接続した目的とを下位レベルの装置としての計測機器読取装置5Aがディレクトリサーバ3に伝送し、当該ディレクトリサーバ3がクラス情報を参照してインスタンスを生成すると共にクラス間関係を参照して関係インスタンスを生成して登録し且つ生成したインスタンスをインスタンス間関係に基づいて関係装置に送付し、そして、インスタンス間関係に基づいてインスタンス同士で設備管理データを交換するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動的設備管理システムに関する。さらに詳述すると、本発明は、対象設備の監視や維持や保全等のための状態把握を行って設備管理に用いる情報を収集・活用するシステムに適用して好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
変圧器や開閉器などの電力流通設備においては、運転開始後30年以上経過する高経年化した設備の割合が増加している。また、年間に実施できる工事件数にも限りがあり、同時期に多数の設備等を一斉に更新することは不可能な状況にある。このため、高経年設備を安定的に維持し、経済性を考えて効率的に運用することが課題になっている。このような課題を克服するため、状態監視保全(CBM:Condition Based Maintenance の略)や信頼性重視保全(RCM:Reliability Centered Maintenance の略)等の手法の導入が進んでいる。これらの手法を実施する際には、運転している電力流通設備の状態把握が必要となる。このため、設備保全に用いる種々の情報(以下、保全情報或いは設備保全データとも呼ぶ)を収集・活用するシステムが重要な役割を担う。本発明では、このようなシステムを設備保全システムと呼ぶ。
【0003】
設備保全システムにおいては、状態監視保全等が必要になった段階で、設備保全に用いる情報を収集・活用する仕組みが迅速且つ簡便に構築できることが求められる。これは、設備保全システムを構成するセンサや情報通信機器の寿命が10年程度若しくはそれ以下と短いために監視・保全対象設備に故障が発生しにくい時期に常設してもコスト的に見合わないので、平常時には最小限のセンサで状態を収集するようにして予兆が見られる段階或いはバスタブ曲線におけるランダム破壊段階から劣化破壊段階に移行する付近でセンサを追加するようにすれば費用対効果を高めることが期待できることなどに基づく。
【0004】
このため、監視・保全対象設備へのセンサの取り付けや取り外しに際し、設備保全データの収集・管理・処理を行うソフトウェアが設備保全システム内で自動的に設定され、状態監視を迅速且つ簡便に開始できることが望ましい。このような自動設定機能を本発明ではプラグアンドプレイ(以下、PnPとも表記する)と呼ぶ。本発明者らは、このようなPnPを実現するために情報モデルに基づく設備保全システムの検討を行ってきた。情報モデルは、保全情報を処理・交換するオブジェクト(ソフトウェアモジュールの一種)の設計図に相当する。オブジェクトというモジュールを扱えるようにすることで、PnPにおける組合せの単位を明確にすることができる。
【0005】
そして、上述の設備保全システムを含む、対象設備の監視や維持や保全等を行う設備管理システムにおいては、複数のオブジェクトを相互に関連づける必要があり、さらに、関連するオブジェクト同士が通信ネットワークを経由して保全情報・設備保全データなどの設備管理に用いる種々の情報(以下、設備管理データとも呼ぶ)の収集と管理と処理とを行う必要がある。本発明では、このような、複数のオブジェクトが相互に関連づけられると共にこれら関連づけられたオブジェクト同士が状況に自律的に対応しながらデータ等の収集・管理・処理を行うシステムのことを動的設備管理システムと呼ぶ。
【0006】
通信ネットワークへの接続に関する従来の技術としては、Universal Plug and Play(以下、UPnPと表記する)がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−188255号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、UPnPでは、通信ネットワークに接続した装置に対するIPアドレス取得,装置検出,装置が提供する機能の情報提供はできても、設備管理データの収集や処理に関する手順やオブジェクト間関連の情報をどのように整理し、提供するかというところまではカバーされていないという問題がある。このため、本発明が対象とするような設備管理システムにおいて状態監視保全等が必要になった段階で設備管理に用いる情報を収集・活用する仕組みが迅速且つ簡便に構築できる、言い換えると、監視・維持・保全等を行う管理対象設備への各種計測機器の取り付けや取り外しに際して関連するソフトウェアが設備管理システム内で自動的に設定されて状態監視を迅速且つ簡便に開始することができるとは言い難い。
【0009】
そこで、本発明は、監視・維持・保全対象設備などのシステムが取り扱う対象設備への各種計測機器の取り付けや取り外しに際し、関連するソフトウェアが設備管理システム内で自動的に設定され、状態監視を迅速且つ簡便に開始することができるプラグアンドプレイ型の動的設備管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するため、請求項1記載の動的設備管理システムは、システムとして取り扱う対象設備の情報を取得する計測機器との間で信号の入出力を行う計測機器読取装置と、当該計測機器読取装置との間で信号の入出力を行う第一の装置と、ソフトウェアの集合を有すると共に第一の装置との間で信号の入出力を行う第二の装置とを備え、計測機器が計測機器読取装置に接続されたときに、計測機器の情報を元にシステムに必要となるソフトウェアを第二の装置が決定し、当該ソフトウェアを第二の装置から第一の装置と計測機器読取装置とに送付するようにしている。
【0011】
したがって、この動的設備管理システムによると、システムとして必要になるソフトウェアの決定と関係装置への送付とを第二の装置が自律的に行うようにしているので、システムとして取り扱う対象設備即ち管理対象設備への各種計測機器の取り付けや取り外しに際し、関連するソフトウェアがシステム内で自動的に設定され、状態監視が迅速且つ簡便に開始される。
【0012】
また、請求項2記載の動的設備管理システムは、システムとして取り扱う対象設備の情報を取得する計測機器と、当該計測機器と直接若しくは通信網を介して信号の入出力を行う下位レベルの装置と、当該下位レベルの装置と直接若しくは通信網を介して信号の入出力を行う上位レベルの装置と、下位レベルの装置及び上位レベルの装置との間で信号の入出力を行うサーバとを備え、計測機器によって取得されるシステムとして取り扱う対象設備の情報の項目(以下、クラス名という),当該クラスに対応させて生成されるインスタンスの名前を含むクラス毎のクラス情報と、インスタンスの名前,インスタンスの配置場所,クラス名を含むインスタンス毎のインスタンス情報と、上位レベルの設備管理データに対応するクラス名,上位レベルの設備管理データを生成するために使われる下位レベルの設備管理データに対応するクラス名,上位レベルの設備管理データを生成するための下位レベルの設備管理データの使い方,上位レベルの設備管理データに対応するクラスと下位レベルの設備管理データに対応するクラスとの組み合わせに対応させて生成される関係インスタンスの名前を含むクラス間関係と、上位レベルの装置に配置されるインスタンスの名前,下位レベルの装置に配置されるインスタンスの名前を含む関係インスタンス毎のインスタンス間関係とをサーバに格納し、計測機器が下位レベルの装置若しくは下位レベルの装置との間で信号の入出力を行う通信網に接続されたときに、計測機器の種別とシステムとして取り扱う対象設備の情報の項目としての計測機器を接続した目的とを下位レベルの装置がサーバに伝送し、当該サーバが、計測機器の種別とシステムとして取り扱う対象設備の情報の項目としての計測機器を接続した目的とに基づいてクラス情報を参照してインスタンスを生成し、インスタンス情報を検索して生成したインスタンスが存在していない場合には登録すると共にクラス間関係を参照して関係インスタンスを生成して登録し、生成したインスタンスをインスタンス間関係に基づいて下位レベルの装置や上位レベルの装置に送付し、そして、インスタンス間関係に基づいてインスタンス同士で設備管理データを交換するようにしている。
【0013】
また、請求項4記載の発明は、請求項2記載の動的設備管理システムにおいて、システムとして取り扱う対象設備が変電所の遮断器であると共に、計測機器が遮断器の通過電流とパレットスイッチ動作信号とを情報として取得するセンサであるようにしている。
【0014】
したがって、これらの動的設備管理システムによると、サーバが計測機器の種別などに基づいてインスタンスを生成して関係装置に送付すると共に当該インスタンスに係る関係インスタンスを生成しサーバに登録してインスタンス同士で設備管理データを交換するようにしているので、システムとして取り扱う対象設備即ち管理対象設備への各種計測機器の取り付けや取り外しに際し、関連するソフトウェアがシステム内で自動的に設定され、状態監視が迅速且つ簡便に開始される。
【0015】
また、請求項3記載の発明は、請求項2記載の動的設備管理システムにおいて、関係インスタンスのデータが全て文字列であるようにしている。この場合には、リフレクションを用いてインスタンス間関係の情報に基づいてメソッドを呼び出すことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の動的設備管理システムによれば、システムとして取り扱う対象設備即ち管理対象設備への各種計測機器の取り付けや取り外しに際し、関連するソフトウェアがシステム内で自動的に設定され、状態監視を迅速且つ簡便に開始することができるので、設備管理に用いる情報の収集・活用に纏わる作業の効率性の向上を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の動的設備管理システムの実施形態の概要を示す装置構成図である。
【図2】本発明の動的設備管理システムのシステムアーキテクチャを示す図である。
【図3】本発明の動的設備管理システムの基本構成を示す図である。
【図4】実施形態の設備管理システム(設備保全システム)の概要を示す機能ブロック図である。
【図5】実施形態の設備管理システム(設備保全システム)の働きを説明する機能ブロック図(センサが接続されたとき−その1)である。
【図6】実施形態の設備管理システム(設備保全システム)の働きを説明する機能ブロック図(センサが接続されたとき−その2)である。
【図7】レベル毎のオブジェクトとそのデータフローとを説明する図である。
【図8】実施形態の設備管理システム(設備保全システム)の働きを説明する機能ブロック図(センサが接続されたとき−その3)である。
【図9】実施形態の設備管理システム(設備保全システム)の働きを説明する機能ブロック図(センサが接続されたとき−その4)である。
【図10】実施形態の設備管理システム(設備保全システム)の働きを説明する機能ブロック図(センサが取り外されたとき−その1)である。
【図11】実施形態の設備管理システム(設備保全システム)の働きを説明する機能ブロック図(センサが取り外されたとき−その2)である。
【図12】実施形態の設備管理システム(設備保全システム)の働きを説明する機能ブロック図(センサが取り外されたとき−その3)である。
【図13】レベル毎のオブジェクトと「不完全」状態への遷移を説明する図である。
【図14】実施形態の設備管理システム(設備保全システム)の働きを説明する機能ブロック図(センサが取り外されたとき−その4)である。
【図15】プラグアンドプレイ機能の配置とその間のデータ交換を説明する図である。
【図16】下位レベルのデータから上位レベルのデータを算出するイメージを説明する図である。
【図17】下位レベルのデータから上位レベルのデータを算出するイメージを説明する図である。
【図18】下位レベルのデータから上位レベルのデータを算出するイメージを説明する図である。
【図19】論理ノード「SCBR」に対応するオブジェクトクラスの定義を説明する図である。
【図20】データ更新モジュールの内部構成を説明する図である。
【図21】データ更新モジュール内の収集スレッドにおける処理フローを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
【0019】
本発明の動的設備管理システムは、システムとして取り扱う対象設備の情報を取得する計測機器との間で信号の入出力を行う計測機器読取装置と、当該計測機器読取装置との間で信号の入出力を行う第一の装置と、ソフトウェアの集合を有すると共に第一の装置との間で信号の入出力を行う第二の装置とを備え、計測機器が計測機器読取装置に接続されたときに、計測機器の情報を元にシステムに必要となるソフトウェアを第二の装置が決定し、当該ソフトウェアを第二の装置から第一の装置と計測機器読取装置とに送付するものである。
【0020】
図1から図21に、監視・維持・保全等を行うシステムが取り扱う対象設備即ち管理対象設備として電力流通設備を取り上げ、本発明の動的設備管理システムを電力流通設備の設備保全システムに適用した実施形態の一例を示す。具体的には、本実施形態では、本発明の適用対象として電力流通設備である変電所設備の設備保全データを取得するための計測機器(種々のセンサ等;以下、単にセンサとも適宜呼ぶ)が追加されたときに設備保全システムの設定を自動的に実行するプラグアンドプレイを行う場合を例に挙げて説明する。具体的には、図1に示すように、変電所1内の遮断器1Aにセンサ2B,2Cが取り付けられていると共にガス絶縁開閉装置1Bにセンサ2D,2Eが取り付けられており、これらに加え、管理対象設備としての遮断器1Aに計測機器としてのセンサ2Aを新たに取り付ける場合を例に挙げて説明する。
【0021】
なお、遮断器1Aに取り付けられている(或いは取り付けられる)センサ2A,2B,2Cの測定データは計測機器ネットワーク4を介して計測機器読取装置5Aに入力され、ガス絶縁開閉装置1Bに取り付けられているセンサ2D,2Eの測定データは各センサ2D,2Eから計測機器読取装置5Bに直接入力される(即ち、計測機器ネットワーク4を介在させることは本発明において必須の構成ではない)。なお、計測機器ネットワーク4は、センサネットワークとも呼ばれるものであり、具体的には例えばZigBeeを用いて構成することが可能である。なお、以下では、各センサ2A,2B,2C,2D,2Eを区別する必要がない場合やこれらセンサ全体を指す場合には単にセンサ2と適宜表記する。なお、本発明の構成と対比すると、上述の設備保全データや上記の測定データが、システムとして取り扱う対象設備の情報に該当する。また、計測機器の種別と計測機器を接続した目的(監視項目・計測項目)が、計測機器の情報に該当する。
【0022】
計測機器読取装置5A,5Bとしてはセンサ2からケーブルを介して送信された電気信号を取り込む装置や無線によって通信されている無線信号を取り込む装置が用いられる(具体的には例えば、土屋武彦・庄野貴也・関口勝彦:「ネットワーク情報端末で広がる電力・電気設備監視計測」,東芝レビュー,Vol.61,No.11,pp.44-47,2006年 を参照)。なお、センサ2から送られてくる信号としてはアナログ信号,ディジタル信号が考えられる。
【0023】
なお、本発明では、計測機器(即ちセンサ2)としてどのような種類の計測機器を用いてどのように設置するか、また、計測機器読取装置5A,5Bとしてどのような種類の信号読取装置を用いるか、そして、計測機器(即ちセンサ2)と計測機器読取装置5A,5Bとをどのように接続するか、については、特定のものに限定されるものではなく、システムとして取り扱う対象設備即ち管理対象設備の種類や設備管理の内容などに基づいて適宜選択される。
【0024】
計測機器読取装置5A,5Bはセンサ2から送られてくる信号を設備保全システムで扱うデータ形式にして取り込む。また、計測機器読取装置5A,5Bは変電所1内の構内LAN6を通じてデータ管理装置7との間でデータ信号や指令信号等の信号の入出力を行う。ただし、計測機器読取装置5A,5Bとデータ管理装置7との間にLANなどの通信網を介在させることは必須ではなく計測機器読取装置とデータ管理装置7とを直接接続するようにしても良い。なお、本発明の構成と対比すると、データ管理装置7は第一の装置である。
【0025】
そして、センサ2から送られたデータ信号は計測機器読取装置5A,5Bを経由してデータ管理装置7に集められる。データ管理装置7は、計測機器読取装置5A,5Bから送られてきたデータを必要に応じて時系列順に整理・保存したり、複数のデータを組み合わせて新たなデータを計算したりする。データ管理装置7としては具体的には例えばPC(パーソナルコンピュータ)が用いられる。
【0026】
データ管理装置7に集められて必要に応じて加工されたデータは通信網8(社内網或いはインターネット網など)を経由して設備保全アプリケーションサーバ9に伝送される。設備保全アプリケーションサーバ9は、例えば故障解析や設備状態判定などの保全の業務要素に相当する機能を提供する。設備保全アプリケーションサーバ9としては具体的には例えばPCが用いられる。なお、設備保全アプリケーションサーバ9においてどのような機能やデータを提供するかは本発明が対象とすることではなく、さらに言えば、設備保全アプリケーションサーバ9を設けること自体が本発明の必須の要素ではないし、作業管理等を行う他のシステムが連係されていても良い。
【0027】
(1)設備管理システムの概要
本発明では、全体としては、図2に示すように、4階層(レベル)のシステムアーキテクチャを想定する。各レベルの概要は以下の通りである。
【0028】
<レベル1>計測機器読取部
接続された計測機器から送られてくる信号を読み取り、ディジタルデータとして扱えるように変換し、オブジェクトに取り込む。図1に示す例の場合には、センサ2から送られてくる信号を読み取って変換するものであり、計測機器読取装置5A,5Bが対応する。
【0029】
<レベル1.5>データ整理部
上記計測機器読取部からのデータについて、監視項目(計測項目)毎の時系列データの管理や、複数の監視項目における測定値から得られる新たな監視項目のデータ計算を行う。図1に示す例の場合には、計測機器読取装置5A,5Bの監視項目(例えば電流値等)毎の時系列データの管理や複数の監視項目における測定値から得られる新たな監視項目のデータ計算を行うものであり、データ管理装置7が対応する。
【0030】
<レベル2>統計処理・異常診断部
上記データ整理部に蓄積されているデータの例えば最大・最小値やトレンドを管理して閾値超過やトレンド変化等の異常発生が疑われる場合を抽出する。図1に示す例の場合には、設備保全アプリケーションサーバ9が対応する。ただし、前述の通り、設備保全アプリケーションサーバ9を設けることは本発明の必須の要素ではない。
【0031】
<レベル3>システム連係部
他のシステムとの間で必要なデータ交換を行う。図1に示す例の場合には、本発明の動的設備管理システム以外のシステム(例えば作業管理システム)との間で必要なデータ交換を行うものであり、設備保全アプリケーションサーバ9が対応し得る。ただし、前述の通り、設備保全アプリケーションサーバ9を設けることは本発明の必須の要素ではない。
【0032】
(2)本発明におけるプラグアンドプレイの概要
本実施形態では、設備管理データを取得するための計測機器が追加されたときに設備管理システム(設備保全システム)の設定を自動的に行うプラグアンドプレイを対象にする。計測機器を取り付ける際には、設備管理システム(設備保全システム)において以下のような作業や機能追加を行う。なお、設備管理データのことを、本実施形態の設備保全システムにおけるものとして設備保全データともいう。
【0033】
i)測定対象である管理対象設備(本実施形態では、遮断器1A)に計測機器
(本実施形態では、センサ2A)を取り付ける。
ii)センサ2Aと計測機器読取装置5Aとの通信路を設置・設定する。
iii)計測機器としてのセンサ2Aの種別や測定対象としての遮断器1Aの認識に基づ
いて、センサ2Aからの信号を適切なデータ形式に取り込むためのオブジェクト
を生成し、計測機器読取装置5Aに展開する。
iv)センサ2Aから得られたデータに基づいて、各保全業務に必要なデータ形式を準
備し、関連する情報処理機能を備えたオブジェクトをデータ管理装置7や設備保
全アプリケーションサーバ9に追加或いは変更する。
【0034】
ここで、本発明におけるプラグアンドプレイでは、測定対象(遮断器1A)に計測機器(センサ2A)を取り付けて当該計測機器を読み取る部分(計測機器読取装置5A)と有線又は無線を用いて物理的に接続すれば、残りの設定は自動的且つ高信頼に設備管理システムが行うようにする。すなわち、上記i)及びii)を手動で行えば、上記iii)及びiv)は自動で行われるようにする。
【0035】
上述のような計測機器(センサ2)の追加は、計測機器や関連データを既に利用しているか否かによって以下の3種類に分類される。
【0036】
1)取り付ける計測機器とその利用方法とについて利用実績があるもの(既知の計測機器の追加)。
2)取り付ける計測機器については利用実績がある一方で、利用方法については新しいもの(新規データの追加)。
3)取り付ける計測機器とその利用方法とについて利用実績がないもの(新規計測機器の追加)。
【0037】
一方、計測機器を取り外すときには、i)センサの取外し検出,ii)センサに対応するオブジェクトの削除,iii)データ管理装置7に搭載されているオブジェクトの停止を自動的に行う。
【0038】
そして、本実施形態の動的設備管理システムは、システムとして取り扱う対象設備としての遮断器1Aの情報を取得する計測機器としてのセンサ2Aと、当該計測機器としてのセンサ2Aと直接若しくは通信網4を介して信号の入出力を行う下位レベルの装置としての計測機器読取装置5Aと、当該下位レベルの装置としての計測機器読取装置5Aと直接若しくは通信網6を介して信号の入出力を行う上位レベルの装置としてのデータ管理装置7と、下位レベルの装置としての計測機器読取装置5A及び上位レベルの装置としてのデータ管理装置7との間で信号の入出力を行うディレクトリサーバ3とを備え、計測機器によって取得されるシステムとして取り扱う対象設備の情報の項目(以下、クラス名ともいう),当該クラスに対応させて生成されるインスタンスの名前を含むクラス毎のクラス情報と、インスタンスの名前,インスタンスの配置場所,クラス名を含むインスタンス毎のインスタンス情報と、上位レベルの設備管理データに対応するクラス名,上位レベルの設備管理データを生成するために使われる下位レベルの設備管理データに対応するクラス名,上位レベルの設備管理データを生成するための下位レベルの設備管理データの使い方,上位レベルの設備管理データに対応するクラスと下位レベルの設備管理データに対応するクラスとの組み合わせに対応させて生成される関係インスタンスの名前を含むクラス間関係と、上位レベルの装置に配置されるインスタンスの名前,下位レベルの装置に配置されるインスタンスの名前を含む関係インスタンス毎のインスタンス間関係とをディレクトリサーバ3に格納し、計測機器としてのセンサ2Aが下位レベルの装置若しくは下位レベルの装置との間で信号の入出力を行う通信網4に接続されたときに、下位レベルの装置としての計測機器読取装置5Aが計測機器としてのセンサ2Aが接続されたことを検出し(機能1)、計測機器の種別とシステムとして取り扱う対象設備の情報の項目としての計測機器を接続した目的とを下位レベルの装置としての計測機器読取装置5Aがディレクトリサーバ3に伝送し(機能2)、当該ディレクトリサーバ3が、計測機器の種別とシステムとして取り扱う対象設備の情報の項目としての計測機器を接続した目的とに基づいてクラス情報を参照してインスタンスを生成し(機能3)、インスタンス情報を検索して生成したインスタンスが存在していない場合には登録すると共にクラス間関係を参照して関係インスタンスを生成して登録し(機能4)、生成したインスタンスをインスタンス間関係に基づいて下位レベルの装置や上位レベルの装置に送付し(機能5,機能6)、そして、インスタンス間関係に基づいてインスタンス同士で設備管理データを交換する(機能7,機能8,機能9)ようにしている。
【0039】
(3)本発明におけるプラグアンドプレイ実現方法の概要
本発明のプラグアンドプレイ機能を備えた動的設備管理システムの基本構成を図3に示す。図3における上位レベルと下位レベルとは、図2に示す4階層のシステムアーキテクチャにおけるレベルの上位と下位とに対応・相当する。具体的には例えば、上位レベルがレベル1.5であって下位レベルがレベル1である、のようになる。
【0040】
本発明におけるプラグアンドプレイを実現するシステムを構成する要素は以下の通りである。
i)プラグアンドプレイモジュール(図3中ではPnPと表記)
情報モデルのインスタンスを動的設備管理システムに展開し、設備管理データの管理・処理を可能にする。
ii)ディレクトリサーバ
プラグアンドプレイを実現するために必要なデータを管理する。
iii)情報モデル
設備管理データの管理・処理を行う。
iv)データ更新モジュール
設備管理データを下位レベルの情報モデルから集め、適切な情報モデルに入力する。
【0041】
ここで、以下の説明では、図1に示す装置構成と対応させた図4に示す装置・機能構成によって計測機器としてのセンサ2Aが接続された場合のプラグアンドプレイ実現について説明する。具体的には、計測機器読取装置5Aとして情報端末(具体的には例えば、株式会社東芝製 NCT(Network Computing Terminal の略);センサ信号を直接取り込む装置)が設けられ、データ管理装置7として変電所サーバが設けられ、設備保全アプリケーションサーバ9として保全サーバが設けられている。さらに、ディレクトリサーバ3が通信網8に接続されており、当該通信網8を介してデータ信号や指令信号等の送受信が行われる。なお、ディレクトリサーバ3としては具体的には例えばPCが用いられる。なお、本発明の構成と対比すると、前述の通りデータ管理装置7は第一の装置であり、ディレクトリサーバ3は第二の装置である。
【0042】
(4)プラグアンドプレイモジュール
(4−1)プラグアンドプレイシステムの機能仕様
プラグアンドプレイモジュールは、それ単独で必要な機能を実現するのではなく、複数のプラグアンドプレイモジュール同士、またはディレクトリサービスとの連携によって、情報モデルに基づくソフトウェアモジュールのPnPを実現する。
【0043】
情報モデルとは、電力流通設備やその関連事項をオブジェクト指向に基づいてソフトウェアモジュールの仕様としてまとめられているものである。国際電気標準会議(IEC:International Electrotechnical Committee の略)では、変電所監視制御システムを主な用途として考えられているIEC 61850の情報モデル(IEC:「Communication network and systems for power utility automation − Part7-4: Basic communication structure − Compatible logical node classes and data classes」,IEC 61850-7-4 Ed.2 2009年)や、給電指令所のシステムにおけるAPI(Application Program Interface の略)を対象とした共通情報モデル(IEC:「Energy management system application program interface (EMS-API) − Part 301: Common information model (CIM) base」,IEC 61970-301 Ed.2 2009年)、さらには、共通情報モデルを配電管理の各種業務に適用したIEC 61968(IEC:「System interfaces for distribution management − Part 11: Distribution information exchange model」,IEC 61968-11 INF,2004年)がある。IECにおける情報モデル活用の主目的は相互運用性の確保にある。これに対し、本発明では、オブジェクト指向技術が持つ特長を生かし、機能性と保守性とを確保する目的で情報モデルを利用する。なお、機能性とは「ソフトウェアが、指定された条件の下で広く利用されるときに明示的及び暗示的必要に合致する機能を提供するソフトウェア製品の能力」のこといい、保守性とは「修正のしやすさに関するソフトウェア製品の能力。修正は、是正若しくは向上、又は環境の変化、要求仕様の変更及び機能仕様の変更にソフトウェアを適応させることを含めてもよい」ことをいう(JIS X0129 参照)。これらを踏まえ、本発明の動的設備管理システムでは、情報モデルのオブジェクトがメソッドを提供し、アプリケーションがメソッドを呼び出すことで情報モデルのオブジェクトを利用する(なお、本発明の情報モデルの詳細については後記(6)参照)。このとき、オブジェクトの位置がアプリケーションと同じ装置内にある場合と遠隔の装置にある場合との違いを意識しない仕組みとする。
【0044】
本実施形態では、センサ2Aが計測機器読取装置5Aに接続されたときと取り外されたときとのそれぞれにおける場合を例に挙げて本発明におけるプラグアンドプレイ機能全体の振る舞いを時系列に沿って説明する。
【0045】
より具体的には、本実施形態では、変電所1の遮断器をシステムとして取り扱う対象設備即ち管理対象設備として当該遮断器の通過電流とパレットスイッチ動作信号とを監視し、遮断電流とパレットスイッチ動作回数とを管理する場合を例に取り上げて説明する。
【0046】
i)センサが接続されたときの振る舞い
まず、センサ2Aが計測機器読取装置5Aに接続されたときの振る舞いを以下に説明する。本発明の動的設備管理システムにおけるプラグアンドプレイでは、センサを取り付ける際にセンサ自身の種別・仕様や測定対象(即ち、センサの設置場所)の情報、センサを取り付ける目的などから自動的に情報モデルのオブジェクトを生成・展開する。
【0047】
(ステップ1)
計測機器読取装置5Aにセンサ2Aが計測機器ネットワーク4を介して接続される(図5参照)。図5では、計測機器読取装置5Aが図3の「下位レベル(の装置)」,変電所サーバ7が「上位レベル(の装置)」,ディレクトリサーバ3が「ディレクトリサーバ」にそれぞれ該当する。
【0048】
計測機器読取装置5Aのプラグアンドプレイモジュール5aによってセンサ2Aの取り付けが検出される。その際、プラグアンドプレイモジュール5aに対する入力として、センサ2Aの種別情報が作業者によって与えられる(図5中の符号11)。
【0049】
(ステップ2)
計測機器読取装置5Aのプラグアンドプレイモジュール5aは、ディレクトリサーバ3のプラグアンドプレイモジュール3aに対し、センサ2Aが取り付けられた旨を通知すると共に、当該取り付けられたセンサ2Aの種別,センサの取り付けの目的,センサの設置場所について通知する(図5中の符号12)。ここで、センサの取り付けの目的はクラス間関係を参照して識別される。なお、本実施形態では、センサ2Aの種別はパレットスイッチ,取り付けの目的は遮断器累積動作回数,設置場所は変電所1の遮断器であるとする。なお、本実施形態の説明においては、遮断器のことを「CB」や「CB1」とも表記する。
【0050】
(ステップ3)
ディレクトリサーバ3のプラグアンドプレイモジュール3aは、与えられた情報を元にディレクトリサーバ3内のディレクトリ3bを検索し、必要なクラスファイルを取り出すと共に、当該クラス(情報モデルクラス)からインスタンスを生成する(即ち、インスタンス化を実行する)(図6参照;図中では、「クラス情報」における「生成インスタンス」が、生成されるインスタンスの名前を表す)。なお、本発明の構成と対比すると、図中の「クラス情報」における「クラス名」は、システムとして取り扱う対象設備即ち管理対象設備の情報の項目に該当するものであり、後出のセンサを接続した目的(取付目的:監視項目・計測項目)にも該当する。また、図6においては、実線の楕円は「完全状態」(すなわち、設備管理データの処理を行っている状態)のインスタンスを表し、破線の矢印は設備管理データの流れを示す。
【0051】
この際、取り付けられたセンサ2Aに対応するインスタンスだけでなく、レベルツリーにおいて与えられた目的をルートとするサブツリー(図7の破線部分)に含まれる全てのクラスのインスタンスを生成する。図6に示す例では、<レベル1>に対応するインスタンス「パレットスイッチ1」並びに<レベル2>に対応するインスタンス「CB累積動作回数1」が生成される。そして、プラグアンドプレイモジュール3aは生成したインスタンスの情報をディレクトリサーバ3のディレクトリ3bに登録する。なお、図6中の「インスタンス情報」の「設置場所」(:計測機器の設置場所)では、変電所1を「SSA」と表記し、遮断器を「CB1」と表記し、また、図6中の「クラス情報」の「場所」では、ディレクトリサーバ3を「DB1」と表記している。
【0052】
(ステップ4)
ディレクトリサーバ3のプラグアンドプレイモジュール3aが生成したインスタンスをいずれの計算機に配置するか決定する(図8,図9参照;図中では、「インスタンス情報」における「場所」がインスタンスの配置場所を表す。なお、図8においては、実線の楕円は「完全状態」(すなわち、設備管理データの処理を行っている状態)のインスタンスを表す)。この配置の決定は、例えば、各インスタンスの配置場所として作業者が指定したものをプラグアンドプレイモジュール3aに入力することによって行われる(図9中の符号18)。
【0053】
そして、生成されたインスタンスが、ディレクトリサーバ3のプラグアンドプレイモジュール3aから指定された各計算機のプラグアンドプレイモジュールに配送される。図8及び図9に示す例では、インスタンス「パレットスイッチ1」は計測機器読取装置5A(図8中の「インスタンス情報」の「場所」(:インスタンスの配置場所)では「NCT1」と表記)のプラグアンドプレイモジュール5aに(図9中の符号13)、インスタンス「CB累積動作回数1」は変電所サーバ7(図8中の「インスタンス情報」の「場所」(:インスタンスの配置場所)では「SSA」と表記)のプラグアンドプレイモジュール7aに(図9中の符号14)それぞれ配送される。
【0054】
なお、ディレクトリサーバ3のプラグアンドプレイモジュール3aから計測機器読取装置5Aのプラグアンドプレイモジュール5aや変電所サーバ7のプラグアンドプレイモジュール7aへの各インスタンスの送信は、例えばRMI(Remote Method Invocation の略)を用いて行われる。
【0055】
そして、プラグアンドプレイモジュール3aは、各インスタンスの場所をディレクトリサーバ3のディレクトリ3bに登録する。
【0056】
インスタンスを受け入れたプラグアンドプレイモジュールは、データ更新モジュール(後記(7)参照)に対し、データ更新のために必要な情報(インスタンス間関係(の関係インスタンス)で表されている情報であり、具体的には、データを提供する側のインスタンスとそのgetter及びデータを保存する側のインスタンスとそのsetter)をディレクトリサーバ3内のディレクトリ3bから検索して当該情報を渡す。以降、後記(7)の内容に沿って、管理情報を取り扱うオブジェクトインスタンスのデータが予め設定された周期で或いは状態変化が生じる毎に更新される。なお、本実施形態では、データ更新モジュールは、データ管理装置7や設備保全アプリケーションサーバ9に配置される。
【0057】
図6等に示す構成と本発明の構成とを対比すると、図中の「クラス間関係」における「データ受信側」が上位レベルの設備管理データに対応するクラス名を表すと共に「データ送信側」が上位レベルの設備管理データを生成するために使われる下位レベルの設備管理データに対応するクラス名を表し、「関係の詳細」が上位レベルの設備管理データを生成するための下位レベルの設備管理データの使い方を表し、「生成インスタンス」が上位レベルの設備管理データに対応するクラスと下位レベルの設備管理データに対応するクラスとの組み合わせに対応させて生成される関係インスタンスの名前を表す。また、図中の「インスタンス間関係」における「受信インスタンス名」が上位レベルの装置に配置されるインスタンスの名前を表すと共に「送信インスタンス名」が下位レベルの装置に配置されるインスタンスの名前を表す。
【0058】
また、図6中の「クラス間関係」における「データ送信側」は設備管理データを送る側のクラスのことであり、「データ受信側」は設備管理データを受け取る側のクラスのことである。具体的には、「クラス間関係」の表内3段目「CB累積動作回数算出」では、「パレットスイッチ」クラスからパレットスイッチの状態(ON/OFF)が「CB累積動作回数」クラスに送られることを意味する。また、図6中の「インスタンス間関係」における「送信インスタンス名」は設備管理データを送る側のインスタンスのことであり、「受信インスタンス名」は設備管理データを受け取る側のインスタンスのことである。具体的には、「インスタンス間関係」の表内「CB累積動作回数算出1」では、「パレットスイッチ1」インスタンスから「CB累積動作回数1」インスタンスに送られることを意味する。
【0059】
ii)センサが取り外されたときの振る舞い
次に、センサ2Aが計測機器読取装置5Aから取り外されたときの振る舞いを以下に説明する。
【0060】
(ステップ1)
センサ2Aが取り外されたことが計測機器読取装置5Aのプラグアンドプレイモジュール5aによって検出される。ここで、ディレクトリサーバ3のディレクトリ3b内のインスタンス情報に基づき、取り外されたセンサ2Aに対応するインスタンスが「パレットスイッチ1」であることが識別される(図10中の符号15)。
【0061】
(ステップ2)
計測機器読取装置5Aのプラグアンドプレイモジュール5aは、ディレクトリサーバ3のプラグアンドプレイモジュール3aに対し、センサ2Aが取り外された旨を通知すると共に、当該取り外されたセンサ2Aに対応するインスタンス名と装置名とについて通知する(図11中の符号16)。
【0062】
(ステップ3)
通知を受け取ったディレクトリサーバ3のプラグアンドプレイモジュール3aは、インスタンスによるレベルツリーを検索し、このセンサインスタンスが削除されることによって必要なデータが全て揃わなくなるレベル1.5以上のインスタンスの状態を再帰的に「不完全」状態としてディレクトリ3bに書き込む(図12及び図13参照;なお、図12においては、実線の楕円は「完全状態」(すなわち、設備管理データの処理を行っている状態)のインスタンスを表し、破線の楕円は「不完全状態」のインスタンスを表し、破線の矢印は設備管理データの流れを示す)。
【0063】
(ステップ4)
ディレクトリサーバ3のプラグアンドプレイモジュール3aは、センサインスタンスを有している装置(本実施形態では計測機器読取装置5A)のプラグアンドプレイモジュール(本実施形態では符号5a)に対し、当該センサインスタンスの削除を指示し、指示を受けたプラグアンドプレイモジュールは当該インスタンスを削除する(図14中の符号17)。
【0064】
この仕様により、本発明のシステムでは、一度生成されたレベル1.5以上のインスタンスは、状態が再帰的に「不完全」状態にされるものの、センサを取り外してもシステムから削除はされない。
【0065】
(4−2)各モジュールの機能仕様
上述したように、本発明において実現されるプラグアンドプレイの機能は装置によって異なる。各機能が、いずれの装置で動作するプラグアンドプレイモジュールによって実現されるかを表1に示す。この表1においては、横軸は各装置で動作するプラグアンドプレイモジュールを意味する。
【表1】
【0066】
また、本発明のシステムにおいて表1に記載の各機能を実現する場所を図15に示す。
【0067】
以下に、表1に記載の<機能1>〜<機能14>を以下のように[機能群A]〜[機能群F]に分類し、各プラグアンドプレイモジュールが実現する機能を説明する。
【0068】
i)機能群A
計測機器読取装置5Aのプラグアンドプレイモジュール5aで実現する機能であり、具体的には以下の通りである。
【0069】
<機能1>センサ接続の検出
センサ2A(計測機器)が接続されたことを検出する。
【0070】
<機能10>センサ取り外しの検出
センサ2Aが取り外されたことを検出する。
<機能8>機器監視データの情報モデルインスタンスへの反映
機器監視演算結果を、計測機器読取装置5A(計測機器読取装置)が持つ情報モデルインスタンスに随時反映する。
【0071】
ii)機能群B
ディレクトリサーバ3のプラグアンドプレイモジュール3aで実現する機能であり、具体的には以下の通りである。
【0072】
<機能3>情報モデルインスタンスの生成
次のステップに従って処理を行う。
(ステップ1)
「<機能2>センサ接続の通知」の機能により、計測機器読取装置5Aのプラグアンドプレイモジュール5aから「センサの種別」,「センサを接続した目的(取付目的)」,「監視している主機の名称(センサの設置場所)」が与えられる。
(ステップ2)
ディレクトリサーバ3のディレクトリ3bの「クラス情報」を参照して「センサの種別」及び「センサを接続した目的(取付目的)」に相当する情報モデルクラスを見つけると共に、それらの情報モデルインスタンスを生成する。
(ステップ3)
ディレクトリ3bの「クラス間関係」情報を一覧検索し、「センサを接続した目的(取付目的)」が上位レベルのクラスとなっているエントリを見つけ、そのすべての下位レベルのクラスのオブジェクトインスタンスを生成する。
【0073】
<機能4>情報モデルインスタンス間の関連付け
次のステップに従って処理を行う。
(ステップ1)
ディレクトリサーバ3のディレクトリ3bの「インスタンス情報」を検索し、「<機能3>情報モデルインスタンスの生成」の機能で生成したインスタンスと同一のインスタンスが既存か否かを調べる。そして、既存の場合は<機能3>で生成したインスタンスを削除し、未だ存在していない場合には登録する。
(ステップ2)
<機能3>のステップ3の処理にて見つけたクラス間関係エントリをインスタンス化して(言い換えると、クラス間関係を参照しながら関係インスタンスを生成して)「インスタンス間関係」テーブルに登録する。
【0074】
<機能5>情報モデルインスタンス配送先の指定
本発明のシステムでは、各情報モデルインスタンスの配置先を記載したファイルをディレクトリサーバ3の配置先情報管理部3cに予め置いておき、この内容に応じて情報モデルインスタンスの配送先を決定する。
【0075】
<機能12>関連する情報モデルインスタンスの情報の更新
次のステップに従って処理を行う。
(ステップ1)
ディレクトリサーバ3のディレクトリ3bの「インスタンス間関係」テーブルを検索し、削除するセンサインスタンスが「下位レベル」にあるエントリを見つけ、その上位レベルインスタンスの状態を「不完全」にする。
(ステップ2)
上記で、上位レベルインスタンスが「下位レベル」にあるエントリを見つけ、見つかったらその上位インスタンスを「不完全」にする。これを再帰的に繰り返す。
【0076】
iii)機能群C
変電所サーバ7のプラグアンドプレイモジュール7aと保全サーバ9のプラグアンドプレイモジュール9aとで実現する機能であり、具体的には以下の通りである。
【0077】
<機能9>情報モデルインスタンス間関係の検索→データ更新モジュールへの通知
次のステップに従って処理を行う。
(ステップ1)
ディレクトリサーバ3のディレクトリ3bの「インスタンス間関係」テーブルを検索し、自身が保持している情報モデルインスタンスが「上位レベルのインスタンス」として登録されているエントリを探す。
(ステップ2)
上記ステップ1の条件を満たすエントリが存在する場合、以下の情報をデータ更新モジュールに通知する。
1)下位インスタンスのデータを取得するための下位インスタンスURL及びgetter名
2)下位インスタンスのデータを渡す宛先となる上位インスタンスURL及びsetter名
3)RPC(Remote Procedure Call の略)の方式(例えばRMI)
4)上記RPCの方式に関するパラメータの指定が必要な場合はそのパラメータ
【0078】
以下、20℃換算ガス圧を具体例として説明する。
【0079】
クラス間関係テーブルの情報として表2に示す情報をディレクトリサーバ3のディレクトリ3bに登録しておく。
【表2】
【0080】
このとき、下位レベルのデータから上位レベルのデータを算出するイメージを図16に示す。なお、図16に示される式において、記号「+」は単純な加算を意味するのではなく、20℃換算ガス圧は圧力と温度とから算出されることを意味する。
【0081】
一方、インスタンス間関係テーブルの情報として表3に示す情報をディレクトリサーバ3のディレクトリ3bに登録しておく。なお、表3等において「CB1」は遮断器を表す。
【表3】
【0082】
同じく、インスタンス情報テーブルの情報として表4に示す情報をディレクトリサーバ3のディレクトリ3bに登録しておく。なお、表4中の「XXX」は、高度通信に関するパラメータの指定が必要な場合のそのパラメータを表す。
【表4】
【0083】
上記三つのテーブルの情報から、プラグアンドプレイ機能は表5に示す情報を抽出し、データ更新モジュールに渡す。
【表5】
【0084】
本実施形態のシステムでは、以下の仕様に従う。
1)下位レベルの情報モデルインスタンスからデータを取得するメソッド(getter)の引数は時刻のみとする。そして、getterは引数で渡された時刻以降のデータを返す。
2)下位レベルの情報モデルインスタンスからデータを取得するタイミングはデータ更新モジュールに一任する。
3)上記例のように、下位レベルのデータが複数必要な場合は、それぞれのgetter処理やsetter処理はデータ毎に実行される。
【0085】
iv)機能群D
ディレクトリサーバ3以外のプラグアンドプレイモジュール(即ち、符号5a,7a,9a)で実現する機能であり、具体的には以下の通りである。
【0086】
<機能7>情報モデルインスタンスの外部への公開
ディレクトリサーバ3から送られてきたインスタンスを、外部からメソッド呼出しが可能な状態にする。
【0087】
v)機能群E
プラグアンドプレイモジュール同士の協調によって実現する機能であり、具体的には以下の通りである。
【0088】
<機能2>センサ接続の通知
計測機器読取装置5Aのプラグアンドプレイモジュール5aはディレクトリサーバ3のプラグアンドプレイモジュール3aに対し、「センサの種別」「センサを接続した目的(取付目的)」「監視している主機の名称(センサの設置場所)」の情報を通知する。
<機能6>情報モデルインスタンスの配置
ディレクトリサーバ3のプラグアンドプレイモジュール3aは、指定された配置先のプラグアンドプレイモジュールに情報モデルインスタンスを送付する。
<機能11>センサ取り外しの通知
計測機器読取装置5Aのプラグアンドプレイモジュール5aは、「センサの種別」を引数にディレクトリサーバ3のプラグアンドプレイモジュール3aのメソッドを遠隔呼出しする。
<機能13>該当情報モデルインスタンスの削除
次のステップに従って処理を行う。
(ステップ1)
指示を受けたインスタンスのメソッドを外部から呼び出せない状態にする。
(ステップ2)
ディレクトリサーバ3のプラグアンドプレイモジュール3aが削除の指示を出し、当該指示を受けた計測機器読取装置5のプラグアンドプレイモジュール5aがインスタンスの参照を削除する。また、ガベージコレクションを実行する。
【0089】
vi)機能群F
計測機器読取装置5以外のプラグアンドプレイモジュール(即ち、符号3a,7a,9a)で実現する機能であり、具体的には以下の通りである。
【0090】
<機能14>不完全状態への移行
計測機器読取装置,変電所サーバ,保全サーバにある当該インスタンスを不完全状態に移行させる。不完全状態に移行した前記インスタンスは,データの収集・処理を停止する。なお,前記インスタンス内に保存されているデータの読み出しは可能とする。
【0091】
(5)ディレクトリサービス
ディレクトリサービスはディレクトリサーバ3上で動作するサービスである。設備管理システムで動作するプラグアンドプレイ機能やアプリケーションが必要とする情報を登録/検索/削除する機能を提供する。
【0092】
(5−1)スキーマ
ディレクトリサービスが管理する情報は4種類であり、以下、それぞれのスキーマについて記載する。ここで、スキーマとは、関係データベース(RDB(Relational Database の略)とも表記される)で用いられている定義と同等であり、関係,関係内の属性,属性や関連の定義を指す。
【0093】
i)クラス情報
クラス情報は、情報モデルにおける「クラス」に関する情報を表現する。具体的には例えば表6に示す表形式にてその情報を管理する。なお、表6中の「xxxx」はURLを構成する任意の文字列を表す。
【表6】
【0094】
ここで、本実施形態のシステムでは、「クラス」をJava(登録商標)のクラスで実現する。表6の各項目の意味は次の通りである。
1)クラス名(key) :クラスの名前
2)項目名 :保全データ項目の名前
3)URL :クラスファイルが保管されている場所としてのURL
4)インスタンス名一覧:そのクラスから生成されたインスタンスの名称の一覧
【0095】
なお、クラス情報について、クラス名は設備管理システムのオブジェクトのクラスファイル名から得られ、項目名はクラスファイルに保存されている情報から得られ,場所としてのURLは当該クラスファイルが保存されているURLから得られ、インスタンス名一覧は当該クラスからインスタンスが生成される度に追加される。そして、クラス名と場所とは、クラスファイルが保存されたことを検出して自動生成するか、或いは作業者が直接入力して与える。また、インスタンス名一覧はインスタンス生成処理の中で追加される。
【0096】
ii)クラス間関係
クラス間関係は、上位レベルの設備保全データを生成するために下位レベルの設備保全データをどのように使うかを表現する。具体的には例えば表7に示す表形式にてその情報を管理する。なお、表7における「上位レベルの設備保全データを計算するための関数」の例はsetterメソッド名であり、実際の設備保全データの演算はsetterメソッド内で実行する。
【表7】
【0097】
また、クラス間の関係は数式1として捉えることができる。ただし、yは上位レベルの設備保全データを、(x1,x2,x3,…)は下位レベルの設備保全データを、fは上位レベルの設備保全データを計算するための関数をそれぞれ意味する。そして、数式1は、上位レベルの設備保全データと下位レベルの設備保全データとはそれぞれ複数入力,複数出力があり得ることを意味する。
(数式1) y=f(x1,x2,x3,…)
【0098】
数式1に照らし合わせて、表7の各項目の意味は次の通りである。
1)クラス間関係名(key) :クラス間関係の名前
2)上位レベルの設備保全データの一覧 :y
3)下位レベルの設備保全データの一覧 :x1,x2,x3,…
4)上位レベルの設備保全データを計算するための関数:f
【0099】
これらの情報から導出される関係式は図17に示す通りである。なお、図17に示される式において、記号「+」は単純な加算を意味するのではなく、20℃換算ガス圧は圧力と温度とから算出されることを意味する。
【0100】
iii)インスタンス情報
インスタンス情報は、情報モデルにおける「インスタンス」に関する情報を表現する。具体的には例えば表8に示す表形式にてその情報を管理する。なお、表8中の「xxx」は任意の文字列を表す。
【表8】
【0101】
ここで、本実施形態の設備保全システムでは、「インスタンス」をJava(登録商標)のインスタンスで実現する。表8の各項目の意味は次の通りである。
1)インスタンス名(key) :インスタンスの名前
2)URL :インスタンスが保管されている場所としてのURL
3)監視対象機器名 :監視している主機(ここでは遮断器)を特定する名称
(即ち、計測機器の設置場所)
4)クラス名 :元になったクラスの名前
5)完全/不完全 :自身の下位レベルにある設備保全データが全て揃ってい
る場合か否かの区別
6)参照アプリケーション名一覧:
当該インスタンスを参照しているアプリケーションの名称の一覧
7)RPC方式:
当該情報モデルインスタンスのメソッドを遠隔呼出しする方式がRMIや他の方式
のいずれの方式であるかの指定
8)RPC方式パラメータ:
遠隔メソッド呼出しの方式によってパラメータの指定が必要である場合の、通信機
能に渡すパラメータ
【0102】
iv)インスタンス間関係
インスタンス間関係(の関係インスタンス)は、インスタンス同士で実際にデータを交換する方法を表現する。具体的には例えば表9に示す表形式にてその情報を管理する。
【表9】
【0103】
表9の各項目の意味は次の通りである。
1)インスタンス間関係名(key) :インスタンス間関係(関係インスタンス)の名前
2)クラス間関係名 :クラス間関係(関係クラス)の名前
3)上位レベルのインスタンス一覧:設備保全データを受信する全インスタンスの名前
4)下位レベルのインスタンス一覧:設備保全データを送信する全インスタンスの名前
【0104】
このインスタンス間関係及びそこに関連づけされているクラス間関係から導出される関係式は図18に示す通りである。なお、図18に示される式において、記号「+」は単純な加算を意味するのではなく、20℃換算ガス圧は圧力と温度とから算出されることを意味する。
【0105】
(5−2)サービス
設備管理システムで動作するプラグアンドプレイ機能やアプリケーションに対して提供されるサービスは次の4つである。
【0106】
i)データ登録
上記(5−1)で説明した4つのスキーマ情報それぞれを登録する機能である。
【0107】
ii)データ検索
上記(5−1)で説明した4つのスキーマ情報それぞれを検索する機能である。
【0108】
iii)全データ取得
上記(5−1)で説明した4つのスキーマ情報それぞれで、ディレクトリサービスが有する全ての情報を返す機能である。
【0109】
iv)データ削除
上記(5−1)で説明した4つのスキーマ情報それぞれで、情報を削除する機能である。
【0110】
(6)情報モデル
保全情報を扱う情報モデルは、システムアーキテクチャで示した階層毎にIEC 61850の情報モデルと、共通情報モデル(CIM:Common Information Model の略)とを使い分ける。具体的には、レベル1及びレベル1.5においてはIEC 61850の情報モデルを用い、レベル2及びレベル3においては共通情報モデルを用いる。
【0111】
なお、規格で定められたインタフェース(例えば、IEC 61850であればACSI:Abstract Communication Service Interface の略)又は独自に定義したメソッドを利用する。
【0112】
独自に定義したメソッドについて、具体的には、共通データクラスの配列を用いて測定値を運び、メソッド名を用いて監視項目を指定する。IEC 61850をベースとした情報モデルに関しては、一つの論理ノードをレベル別クラス/インタフェース/実装クラスの三つにて構成する。その一例として、遮断器の診断を行う論理ノードであるSCBR(遮断器の接点損耗率等の処理を担う情報モデル)に対応するオブジェクトクラスの定義を図19に示す。SCBRを実現するため、LV1_5,SCBR_IF,SCBRImplの三つのオブジェクトクラスを用いる。それぞれが、レベル別クラス,インタフェース,実装クラスに対応する。
【0113】
<LV1_5>は、レベル1.5に配置される全ての論理ノードが有する特性を定義したオブジェクトクラスである。具体的には、レベルl.5に配置される論理ノードにおいて、設備保全データの加工(例えば、遮断器の接点損耗率の演算)を行うcalculateDataメソッドを、仮想メソッドとして用意する。仮想メソッドとは、上位のクラスにおいて処理の実体は定義せず、このクラスから派生したクラスにおいて同じ名前のメソッドの処理を定義しておき、呼出し側からは上位のクラスに対するメソッド呼出しにて派生クラスのメソッドを呼び出すことを可能とするオブジェクト指向技術の機能である。
【0114】
<SCBR_IF>は、外部のソフトウェアモジュールからアクセス可能なメソッドを定義する。ここで、外部のソフトウェアモジュールとは、異なるレベルに位置する情報モデルやデータ更新モジュール等を指す。SCBRを用いた接点損耗率監視の場合には、例えば、設備保全データを外部のソフトウェアモジュールに提供するgetterを3種類、外部からのデータを登録するためのsetterを3種類用意する。呼出し側から見た機能は以下の通りである。
【0115】
<getter>
パラメータとして時刻を指定する。各メソッドでは、この時刻以降の設備保全データを返す。設備保全データは時刻順の配列である。設備保全データの型は該当する共通データクラスである。
1)getActAbrCoef:接点損耗率の値を取得する。
2)getPos :開閉装置の位置(具体的には、投入・開放・切換中)を取得する。
3)getTripA :遮断電流の値を取得する。
【0116】
<setter>
パラメータとして、保存すべき設備保全データの配列を指定する。保存した設備保全データの中で最も新しいものの時刻を返す。
1)setACon:A接点のデータを保存する。
なお、A接点は、遮断器が投入されているときにONとなる接点である。
2)setBCon:B接点のデータを保存する。
なお、B接点は、遮断器が開放されているときにONとなる接点である。
3)setTripA:遮断電流の瞬時値を保存する。
【0117】
なお、<SCBR_IF>は、インタフェースであるため、具体的な処理手順は持たない。
【0118】
<LV1_5>と<SCBR_IF>とで定められたメソッドの具体的な処理手順を定めるのが実装クラスである<SCBRImpl>である。すなわち、実装クラスは、<LV1_5>を継承して<SCBR_IF>を実装する関係にある。もし、異なる処理方法を定めたり併用したりする場合には、<LV1_5>を継承して<SCBR_IF>を実装する別のオブジェクトクラス(例えば<SCBRImpl2>)を定義することも可能である。この場合でも,外部ソフトウェアモジュールからは<SCBR_IF>として見ているので、外部ソフトウェアモジュールの修正は不要である。
【0119】
(7)データ更新モジュール
本発明のプラグアンドプレイ機能では、ポーリング方式に基づいて設備管理データを収集する。この収集処理を担うのがデータ更新モジュールである。ポーリング方式は、設定が簡潔であり、具体的には、データ更新モジュールが収集すべきデータを保持するオブジェクトとそれを格納すべきオブジェクトとを把握していれば良いので一元管理が可能である。なお、ポーリング方式は周期的にデータ収集を行うので状態変化に対する即応性はないものの、演算の結果得られるデータに基づいて管理作業等の決定を行う用途であればこの即応性を強く求められるものではないので大きな問題とはならない。また、データ更新モジュールは、4階層のシステムアーキテクチャにおける<レベル1.5>以上の全てのレベルに格納される。
【0120】
データ更新モジュールの内部構成を図20に示す。データ更新モジュールは以下の三つの様相から構成される。
【0121】
i)インスタンス間関係管理
インスタンス間関係管理では、いずれの情報モデルから情報を集め、どこに保存するかという関係をリスト構造にて管理する(上述の(5)ディレクトリサーバにおけるインスタンス間関係を参照)。インスタンス間関係(の関係インスタンス)としては、以下の情報を全て文字列として保存する(コロンの右側はデータ例)。
情報源クラス名 :dam61850.logicalnode.l.TCTR
情報源インスタンスURL:TCTR1
getterメソッド名 :getAmdSv
保存先クラス名 :dam61850.logicalnode.s.SCBR
保存先インスタンス名 :SCBR1
setterメソッド名 :setTripA
setterパラメータクラス名:dam61850.cdc.SAV
【0122】
なお、TCTR,SCBR,SAVはいずれもIEC 61850による国際規格である。各々の概要は、TCTRは、電流センサに相当するオブジェクトであり、電流のサンプリング値等を管理・提供する機能を備える。SCBRは、遮断器の保守情報全般を管理するオブジェクトであり、本実施形態の場合には接点損耗率の値を処理・管理・提供する機能を備える。また、SAVはサンプリングデータを表すデータタイプであり、TCTRにおける電流のサンプリング値はこのSAVを用いて表される。
【0123】
ii)getter呼出し時刻管理
getter呼出し時刻管理では、情報源インスタンスURLとgetterメソッド名とを併せた文字列をキーとし、対応する時刻を一対にして管理する。時刻は、保存先インスタンスのsetterメソッドが返す値とする。これにより、下位レベルから収集すべきデータの時間範囲が特定可能となる。
【0124】
iii)収集スレッド
収集スレッドは設備管理データの収集と保存とを担う。この処理フローをUML(Unified Modeling Language の略)のアクティビティ図を用いて図21に示す。なお、UMLとは、ソフトウェアの設計結果を表すための表記法であり、オブジェクト指向技術の業界標準を作成する団体であるOMG(Object Management Group の略)によって定められており、ソフトウェアの分野では広く利用されている。
【0125】
収集スレッドによる設備管理データの収集と保存とに係る処理内容は以下の通りである。まず、インスタンス間関係リストの先頭を参照し(S1)、次のインスタンス間関係が存在するか否かを判定する(S2)。そして、次のインスタンス間関係が存在する場合には(S2:Y)、当該次のインスタンス間関係のデータを取得する(S3)。
【0126】
そして、S3の処理において取得したインスタンス間関係のデータを基に情報源インスタンスの getter を呼出し、設備管理データを取得する(S5)。このとき、getter を呼び出す際には、getter呼出し時刻管理から取得済みの最新データの(言い換えると、対応する)getter呼出し時刻を取得し、これをgetterメソッドのパラメータに指定する(S4)。なお、インスタンス間関係データは全て文字列であるので、この情報に基づいてメソッドを呼び出す仕組みを収集スレッドは備える。具体的には例えば、リフレクションを用いてこの仕組みを実現することが考えられる。リフレクションとは、プログラムの実行過程でプログラム自身の構造を読み取ったり書き換えたりする技術である。すなわち、メソッドの名前(具体的には文字列)からプログラム上の参照データを取得すること等ができる。なお、リフレクションをサポートする言語としては、Java(登録商標),C#,Perl,Objective−C等が存在する。
【0127】
S5の処理において取得された設備管理データは、インスタンス間関係に示された保存先インスタンスにsetterメソッドの呼出しを通じて保存する(S6)。setterメソッドの戻り値として受け取った時刻は、getter呼出し時刻管理の、対応するgetter呼出し時刻の更新に用いる(S7)。インスタンス間関係管理に保存されているデータ毎に上記の処理を繰り返して実行する(S1,S2:Y,S3〜S7)。なお、S7の処理からS2の処理に戻る毎に、インスタンス間関係リストにおけるS2の処理対象を一つずつ次に進める。
【0128】
そして、すべてのデータに関する処理が終了してインスタンス間関係リストに次のインスタンス間関係が存在しない場合には(S2:N)、保存先インスタンスにおいて設備管理データの加工(例えば、遮断器の接点損耗率の演算)を行うために保存先インスタンスのcalculateDataメソッドを呼び出す(S8)。その後、最初のインスタンス間関係に戻って処理を再開する(S1〜)。
【0129】
なお、インスタンス間関係管理のデータが途中で更新されたときは、修正後のデータに従って収集スレッドによる処理が行われる。
【0130】
以上のように構成された本発明の動的設備管理システムによれば、ディレクトリサーバ3が計測機器の種別などに基づいてインスタンスを自動的に生成して当該生成インスタンスに係るインスタンス間関係をディレクトリサーバ3に登録するようにしているので、システムとして取り扱う対象設備即ち管理対象設備への各種計測機器の取り付けや取り外しに際し、関連するソフトウェアがシステム内で自動的に設定され、状態監視を迅速且つ簡便に開始することができる。
【0131】
また、本発明の動的設備管理システムによれば、インスタンス間関係のデータを全て文字列にすることによってクラス及びメソッドの名称だけを通知すればデータ更新モジュールが対応することができるようになっているので、新たな計測機器が接続されて新たなクラスがシステムに導入された場合でも、データ更新モジュールを修正する必要がなく、また、システムを停止する必要もないという利点を有する。
【0132】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述の実施形態では電力流通設備である変電所の遮断器をシステムとして取り扱う対象設備即ち管理対象設備とし当該遮断器の通過電流とパレットスイッチ動作信号とを計測機器(センサ)によって計測して遮断電流とパレットスイッチ動作回数とを管理する場合を例に取り上げて説明したが、システムが取り扱う対象設備や計測機器の種類は上述の実施形態のものに限られず、例えばガス絶縁開閉装置をシステムが取り扱う対象設備としても良いし、例えば電流計,電圧計,油圧計,ガス圧計,温度計を計測機器としても良い。さらに言えば、システムが取り扱う対象設備は電力流通設備でなくても良い。なお、上述の実施形態ではシステムが取り扱う対象設備として電力流通設備をとりあげているのでIEC 61850のオブジェクトクラスを利用するようにしているが、電力流通設備以外に本発明を適用する場合には例えば独自に定義したオブジェクトクラスを用いるようにする。
【0133】
また、上述の実施形態ではディレクトリサーバ3と保全サーバ9とを機器構成として別体のものであるように表したが、ディレクトリサーバと保全サーバとを機器構成として一体のものとしても良い。具体的には例えば一台のPCによって両者を構成するようにしても良い。
【符号の説明】
【0134】
1A 管理対象設備(遮断器)
2A 計測機器(センサ)
3 第二の装置(ディレクトリサーバ)
3b ディレクトリ
5A 計測機器読取装置
7 第一の装置(データ管理装置)
8 通信網
【技術分野】
【0001】
本発明は、動的設備管理システムに関する。さらに詳述すると、本発明は、対象設備の監視や維持や保全等のための状態把握を行って設備管理に用いる情報を収集・活用するシステムに適用して好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
変圧器や開閉器などの電力流通設備においては、運転開始後30年以上経過する高経年化した設備の割合が増加している。また、年間に実施できる工事件数にも限りがあり、同時期に多数の設備等を一斉に更新することは不可能な状況にある。このため、高経年設備を安定的に維持し、経済性を考えて効率的に運用することが課題になっている。このような課題を克服するため、状態監視保全(CBM:Condition Based Maintenance の略)や信頼性重視保全(RCM:Reliability Centered Maintenance の略)等の手法の導入が進んでいる。これらの手法を実施する際には、運転している電力流通設備の状態把握が必要となる。このため、設備保全に用いる種々の情報(以下、保全情報或いは設備保全データとも呼ぶ)を収集・活用するシステムが重要な役割を担う。本発明では、このようなシステムを設備保全システムと呼ぶ。
【0003】
設備保全システムにおいては、状態監視保全等が必要になった段階で、設備保全に用いる情報を収集・活用する仕組みが迅速且つ簡便に構築できることが求められる。これは、設備保全システムを構成するセンサや情報通信機器の寿命が10年程度若しくはそれ以下と短いために監視・保全対象設備に故障が発生しにくい時期に常設してもコスト的に見合わないので、平常時には最小限のセンサで状態を収集するようにして予兆が見られる段階或いはバスタブ曲線におけるランダム破壊段階から劣化破壊段階に移行する付近でセンサを追加するようにすれば費用対効果を高めることが期待できることなどに基づく。
【0004】
このため、監視・保全対象設備へのセンサの取り付けや取り外しに際し、設備保全データの収集・管理・処理を行うソフトウェアが設備保全システム内で自動的に設定され、状態監視を迅速且つ簡便に開始できることが望ましい。このような自動設定機能を本発明ではプラグアンドプレイ(以下、PnPとも表記する)と呼ぶ。本発明者らは、このようなPnPを実現するために情報モデルに基づく設備保全システムの検討を行ってきた。情報モデルは、保全情報を処理・交換するオブジェクト(ソフトウェアモジュールの一種)の設計図に相当する。オブジェクトというモジュールを扱えるようにすることで、PnPにおける組合せの単位を明確にすることができる。
【0005】
そして、上述の設備保全システムを含む、対象設備の監視や維持や保全等を行う設備管理システムにおいては、複数のオブジェクトを相互に関連づける必要があり、さらに、関連するオブジェクト同士が通信ネットワークを経由して保全情報・設備保全データなどの設備管理に用いる種々の情報(以下、設備管理データとも呼ぶ)の収集と管理と処理とを行う必要がある。本発明では、このような、複数のオブジェクトが相互に関連づけられると共にこれら関連づけられたオブジェクト同士が状況に自律的に対応しながらデータ等の収集・管理・処理を行うシステムのことを動的設備管理システムと呼ぶ。
【0006】
通信ネットワークへの接続に関する従来の技術としては、Universal Plug and Play(以下、UPnPと表記する)がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−188255号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、UPnPでは、通信ネットワークに接続した装置に対するIPアドレス取得,装置検出,装置が提供する機能の情報提供はできても、設備管理データの収集や処理に関する手順やオブジェクト間関連の情報をどのように整理し、提供するかというところまではカバーされていないという問題がある。このため、本発明が対象とするような設備管理システムにおいて状態監視保全等が必要になった段階で設備管理に用いる情報を収集・活用する仕組みが迅速且つ簡便に構築できる、言い換えると、監視・維持・保全等を行う管理対象設備への各種計測機器の取り付けや取り外しに際して関連するソフトウェアが設備管理システム内で自動的に設定されて状態監視を迅速且つ簡便に開始することができるとは言い難い。
【0009】
そこで、本発明は、監視・維持・保全対象設備などのシステムが取り扱う対象設備への各種計測機器の取り付けや取り外しに際し、関連するソフトウェアが設備管理システム内で自動的に設定され、状態監視を迅速且つ簡便に開始することができるプラグアンドプレイ型の動的設備管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するため、請求項1記載の動的設備管理システムは、システムとして取り扱う対象設備の情報を取得する計測機器との間で信号の入出力を行う計測機器読取装置と、当該計測機器読取装置との間で信号の入出力を行う第一の装置と、ソフトウェアの集合を有すると共に第一の装置との間で信号の入出力を行う第二の装置とを備え、計測機器が計測機器読取装置に接続されたときに、計測機器の情報を元にシステムに必要となるソフトウェアを第二の装置が決定し、当該ソフトウェアを第二の装置から第一の装置と計測機器読取装置とに送付するようにしている。
【0011】
したがって、この動的設備管理システムによると、システムとして必要になるソフトウェアの決定と関係装置への送付とを第二の装置が自律的に行うようにしているので、システムとして取り扱う対象設備即ち管理対象設備への各種計測機器の取り付けや取り外しに際し、関連するソフトウェアがシステム内で自動的に設定され、状態監視が迅速且つ簡便に開始される。
【0012】
また、請求項2記載の動的設備管理システムは、システムとして取り扱う対象設備の情報を取得する計測機器と、当該計測機器と直接若しくは通信網を介して信号の入出力を行う下位レベルの装置と、当該下位レベルの装置と直接若しくは通信網を介して信号の入出力を行う上位レベルの装置と、下位レベルの装置及び上位レベルの装置との間で信号の入出力を行うサーバとを備え、計測機器によって取得されるシステムとして取り扱う対象設備の情報の項目(以下、クラス名という),当該クラスに対応させて生成されるインスタンスの名前を含むクラス毎のクラス情報と、インスタンスの名前,インスタンスの配置場所,クラス名を含むインスタンス毎のインスタンス情報と、上位レベルの設備管理データに対応するクラス名,上位レベルの設備管理データを生成するために使われる下位レベルの設備管理データに対応するクラス名,上位レベルの設備管理データを生成するための下位レベルの設備管理データの使い方,上位レベルの設備管理データに対応するクラスと下位レベルの設備管理データに対応するクラスとの組み合わせに対応させて生成される関係インスタンスの名前を含むクラス間関係と、上位レベルの装置に配置されるインスタンスの名前,下位レベルの装置に配置されるインスタンスの名前を含む関係インスタンス毎のインスタンス間関係とをサーバに格納し、計測機器が下位レベルの装置若しくは下位レベルの装置との間で信号の入出力を行う通信網に接続されたときに、計測機器の種別とシステムとして取り扱う対象設備の情報の項目としての計測機器を接続した目的とを下位レベルの装置がサーバに伝送し、当該サーバが、計測機器の種別とシステムとして取り扱う対象設備の情報の項目としての計測機器を接続した目的とに基づいてクラス情報を参照してインスタンスを生成し、インスタンス情報を検索して生成したインスタンスが存在していない場合には登録すると共にクラス間関係を参照して関係インスタンスを生成して登録し、生成したインスタンスをインスタンス間関係に基づいて下位レベルの装置や上位レベルの装置に送付し、そして、インスタンス間関係に基づいてインスタンス同士で設備管理データを交換するようにしている。
【0013】
また、請求項4記載の発明は、請求項2記載の動的設備管理システムにおいて、システムとして取り扱う対象設備が変電所の遮断器であると共に、計測機器が遮断器の通過電流とパレットスイッチ動作信号とを情報として取得するセンサであるようにしている。
【0014】
したがって、これらの動的設備管理システムによると、サーバが計測機器の種別などに基づいてインスタンスを生成して関係装置に送付すると共に当該インスタンスに係る関係インスタンスを生成しサーバに登録してインスタンス同士で設備管理データを交換するようにしているので、システムとして取り扱う対象設備即ち管理対象設備への各種計測機器の取り付けや取り外しに際し、関連するソフトウェアがシステム内で自動的に設定され、状態監視が迅速且つ簡便に開始される。
【0015】
また、請求項3記載の発明は、請求項2記載の動的設備管理システムにおいて、関係インスタンスのデータが全て文字列であるようにしている。この場合には、リフレクションを用いてインスタンス間関係の情報に基づいてメソッドを呼び出すことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の動的設備管理システムによれば、システムとして取り扱う対象設備即ち管理対象設備への各種計測機器の取り付けや取り外しに際し、関連するソフトウェアがシステム内で自動的に設定され、状態監視を迅速且つ簡便に開始することができるので、設備管理に用いる情報の収集・活用に纏わる作業の効率性の向上を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の動的設備管理システムの実施形態の概要を示す装置構成図である。
【図2】本発明の動的設備管理システムのシステムアーキテクチャを示す図である。
【図3】本発明の動的設備管理システムの基本構成を示す図である。
【図4】実施形態の設備管理システム(設備保全システム)の概要を示す機能ブロック図である。
【図5】実施形態の設備管理システム(設備保全システム)の働きを説明する機能ブロック図(センサが接続されたとき−その1)である。
【図6】実施形態の設備管理システム(設備保全システム)の働きを説明する機能ブロック図(センサが接続されたとき−その2)である。
【図7】レベル毎のオブジェクトとそのデータフローとを説明する図である。
【図8】実施形態の設備管理システム(設備保全システム)の働きを説明する機能ブロック図(センサが接続されたとき−その3)である。
【図9】実施形態の設備管理システム(設備保全システム)の働きを説明する機能ブロック図(センサが接続されたとき−その4)である。
【図10】実施形態の設備管理システム(設備保全システム)の働きを説明する機能ブロック図(センサが取り外されたとき−その1)である。
【図11】実施形態の設備管理システム(設備保全システム)の働きを説明する機能ブロック図(センサが取り外されたとき−その2)である。
【図12】実施形態の設備管理システム(設備保全システム)の働きを説明する機能ブロック図(センサが取り外されたとき−その3)である。
【図13】レベル毎のオブジェクトと「不完全」状態への遷移を説明する図である。
【図14】実施形態の設備管理システム(設備保全システム)の働きを説明する機能ブロック図(センサが取り外されたとき−その4)である。
【図15】プラグアンドプレイ機能の配置とその間のデータ交換を説明する図である。
【図16】下位レベルのデータから上位レベルのデータを算出するイメージを説明する図である。
【図17】下位レベルのデータから上位レベルのデータを算出するイメージを説明する図である。
【図18】下位レベルのデータから上位レベルのデータを算出するイメージを説明する図である。
【図19】論理ノード「SCBR」に対応するオブジェクトクラスの定義を説明する図である。
【図20】データ更新モジュールの内部構成を説明する図である。
【図21】データ更新モジュール内の収集スレッドにおける処理フローを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
【0019】
本発明の動的設備管理システムは、システムとして取り扱う対象設備の情報を取得する計測機器との間で信号の入出力を行う計測機器読取装置と、当該計測機器読取装置との間で信号の入出力を行う第一の装置と、ソフトウェアの集合を有すると共に第一の装置との間で信号の入出力を行う第二の装置とを備え、計測機器が計測機器読取装置に接続されたときに、計測機器の情報を元にシステムに必要となるソフトウェアを第二の装置が決定し、当該ソフトウェアを第二の装置から第一の装置と計測機器読取装置とに送付するものである。
【0020】
図1から図21に、監視・維持・保全等を行うシステムが取り扱う対象設備即ち管理対象設備として電力流通設備を取り上げ、本発明の動的設備管理システムを電力流通設備の設備保全システムに適用した実施形態の一例を示す。具体的には、本実施形態では、本発明の適用対象として電力流通設備である変電所設備の設備保全データを取得するための計測機器(種々のセンサ等;以下、単にセンサとも適宜呼ぶ)が追加されたときに設備保全システムの設定を自動的に実行するプラグアンドプレイを行う場合を例に挙げて説明する。具体的には、図1に示すように、変電所1内の遮断器1Aにセンサ2B,2Cが取り付けられていると共にガス絶縁開閉装置1Bにセンサ2D,2Eが取り付けられており、これらに加え、管理対象設備としての遮断器1Aに計測機器としてのセンサ2Aを新たに取り付ける場合を例に挙げて説明する。
【0021】
なお、遮断器1Aに取り付けられている(或いは取り付けられる)センサ2A,2B,2Cの測定データは計測機器ネットワーク4を介して計測機器読取装置5Aに入力され、ガス絶縁開閉装置1Bに取り付けられているセンサ2D,2Eの測定データは各センサ2D,2Eから計測機器読取装置5Bに直接入力される(即ち、計測機器ネットワーク4を介在させることは本発明において必須の構成ではない)。なお、計測機器ネットワーク4は、センサネットワークとも呼ばれるものであり、具体的には例えばZigBeeを用いて構成することが可能である。なお、以下では、各センサ2A,2B,2C,2D,2Eを区別する必要がない場合やこれらセンサ全体を指す場合には単にセンサ2と適宜表記する。なお、本発明の構成と対比すると、上述の設備保全データや上記の測定データが、システムとして取り扱う対象設備の情報に該当する。また、計測機器の種別と計測機器を接続した目的(監視項目・計測項目)が、計測機器の情報に該当する。
【0022】
計測機器読取装置5A,5Bとしてはセンサ2からケーブルを介して送信された電気信号を取り込む装置や無線によって通信されている無線信号を取り込む装置が用いられる(具体的には例えば、土屋武彦・庄野貴也・関口勝彦:「ネットワーク情報端末で広がる電力・電気設備監視計測」,東芝レビュー,Vol.61,No.11,pp.44-47,2006年 を参照)。なお、センサ2から送られてくる信号としてはアナログ信号,ディジタル信号が考えられる。
【0023】
なお、本発明では、計測機器(即ちセンサ2)としてどのような種類の計測機器を用いてどのように設置するか、また、計測機器読取装置5A,5Bとしてどのような種類の信号読取装置を用いるか、そして、計測機器(即ちセンサ2)と計測機器読取装置5A,5Bとをどのように接続するか、については、特定のものに限定されるものではなく、システムとして取り扱う対象設備即ち管理対象設備の種類や設備管理の内容などに基づいて適宜選択される。
【0024】
計測機器読取装置5A,5Bはセンサ2から送られてくる信号を設備保全システムで扱うデータ形式にして取り込む。また、計測機器読取装置5A,5Bは変電所1内の構内LAN6を通じてデータ管理装置7との間でデータ信号や指令信号等の信号の入出力を行う。ただし、計測機器読取装置5A,5Bとデータ管理装置7との間にLANなどの通信網を介在させることは必須ではなく計測機器読取装置とデータ管理装置7とを直接接続するようにしても良い。なお、本発明の構成と対比すると、データ管理装置7は第一の装置である。
【0025】
そして、センサ2から送られたデータ信号は計測機器読取装置5A,5Bを経由してデータ管理装置7に集められる。データ管理装置7は、計測機器読取装置5A,5Bから送られてきたデータを必要に応じて時系列順に整理・保存したり、複数のデータを組み合わせて新たなデータを計算したりする。データ管理装置7としては具体的には例えばPC(パーソナルコンピュータ)が用いられる。
【0026】
データ管理装置7に集められて必要に応じて加工されたデータは通信網8(社内網或いはインターネット網など)を経由して設備保全アプリケーションサーバ9に伝送される。設備保全アプリケーションサーバ9は、例えば故障解析や設備状態判定などの保全の業務要素に相当する機能を提供する。設備保全アプリケーションサーバ9としては具体的には例えばPCが用いられる。なお、設備保全アプリケーションサーバ9においてどのような機能やデータを提供するかは本発明が対象とすることではなく、さらに言えば、設備保全アプリケーションサーバ9を設けること自体が本発明の必須の要素ではないし、作業管理等を行う他のシステムが連係されていても良い。
【0027】
(1)設備管理システムの概要
本発明では、全体としては、図2に示すように、4階層(レベル)のシステムアーキテクチャを想定する。各レベルの概要は以下の通りである。
【0028】
<レベル1>計測機器読取部
接続された計測機器から送られてくる信号を読み取り、ディジタルデータとして扱えるように変換し、オブジェクトに取り込む。図1に示す例の場合には、センサ2から送られてくる信号を読み取って変換するものであり、計測機器読取装置5A,5Bが対応する。
【0029】
<レベル1.5>データ整理部
上記計測機器読取部からのデータについて、監視項目(計測項目)毎の時系列データの管理や、複数の監視項目における測定値から得られる新たな監視項目のデータ計算を行う。図1に示す例の場合には、計測機器読取装置5A,5Bの監視項目(例えば電流値等)毎の時系列データの管理や複数の監視項目における測定値から得られる新たな監視項目のデータ計算を行うものであり、データ管理装置7が対応する。
【0030】
<レベル2>統計処理・異常診断部
上記データ整理部に蓄積されているデータの例えば最大・最小値やトレンドを管理して閾値超過やトレンド変化等の異常発生が疑われる場合を抽出する。図1に示す例の場合には、設備保全アプリケーションサーバ9が対応する。ただし、前述の通り、設備保全アプリケーションサーバ9を設けることは本発明の必須の要素ではない。
【0031】
<レベル3>システム連係部
他のシステムとの間で必要なデータ交換を行う。図1に示す例の場合には、本発明の動的設備管理システム以外のシステム(例えば作業管理システム)との間で必要なデータ交換を行うものであり、設備保全アプリケーションサーバ9が対応し得る。ただし、前述の通り、設備保全アプリケーションサーバ9を設けることは本発明の必須の要素ではない。
【0032】
(2)本発明におけるプラグアンドプレイの概要
本実施形態では、設備管理データを取得するための計測機器が追加されたときに設備管理システム(設備保全システム)の設定を自動的に行うプラグアンドプレイを対象にする。計測機器を取り付ける際には、設備管理システム(設備保全システム)において以下のような作業や機能追加を行う。なお、設備管理データのことを、本実施形態の設備保全システムにおけるものとして設備保全データともいう。
【0033】
i)測定対象である管理対象設備(本実施形態では、遮断器1A)に計測機器
(本実施形態では、センサ2A)を取り付ける。
ii)センサ2Aと計測機器読取装置5Aとの通信路を設置・設定する。
iii)計測機器としてのセンサ2Aの種別や測定対象としての遮断器1Aの認識に基づ
いて、センサ2Aからの信号を適切なデータ形式に取り込むためのオブジェクト
を生成し、計測機器読取装置5Aに展開する。
iv)センサ2Aから得られたデータに基づいて、各保全業務に必要なデータ形式を準
備し、関連する情報処理機能を備えたオブジェクトをデータ管理装置7や設備保
全アプリケーションサーバ9に追加或いは変更する。
【0034】
ここで、本発明におけるプラグアンドプレイでは、測定対象(遮断器1A)に計測機器(センサ2A)を取り付けて当該計測機器を読み取る部分(計測機器読取装置5A)と有線又は無線を用いて物理的に接続すれば、残りの設定は自動的且つ高信頼に設備管理システムが行うようにする。すなわち、上記i)及びii)を手動で行えば、上記iii)及びiv)は自動で行われるようにする。
【0035】
上述のような計測機器(センサ2)の追加は、計測機器や関連データを既に利用しているか否かによって以下の3種類に分類される。
【0036】
1)取り付ける計測機器とその利用方法とについて利用実績があるもの(既知の計測機器の追加)。
2)取り付ける計測機器については利用実績がある一方で、利用方法については新しいもの(新規データの追加)。
3)取り付ける計測機器とその利用方法とについて利用実績がないもの(新規計測機器の追加)。
【0037】
一方、計測機器を取り外すときには、i)センサの取外し検出,ii)センサに対応するオブジェクトの削除,iii)データ管理装置7に搭載されているオブジェクトの停止を自動的に行う。
【0038】
そして、本実施形態の動的設備管理システムは、システムとして取り扱う対象設備としての遮断器1Aの情報を取得する計測機器としてのセンサ2Aと、当該計測機器としてのセンサ2Aと直接若しくは通信網4を介して信号の入出力を行う下位レベルの装置としての計測機器読取装置5Aと、当該下位レベルの装置としての計測機器読取装置5Aと直接若しくは通信網6を介して信号の入出力を行う上位レベルの装置としてのデータ管理装置7と、下位レベルの装置としての計測機器読取装置5A及び上位レベルの装置としてのデータ管理装置7との間で信号の入出力を行うディレクトリサーバ3とを備え、計測機器によって取得されるシステムとして取り扱う対象設備の情報の項目(以下、クラス名ともいう),当該クラスに対応させて生成されるインスタンスの名前を含むクラス毎のクラス情報と、インスタンスの名前,インスタンスの配置場所,クラス名を含むインスタンス毎のインスタンス情報と、上位レベルの設備管理データに対応するクラス名,上位レベルの設備管理データを生成するために使われる下位レベルの設備管理データに対応するクラス名,上位レベルの設備管理データを生成するための下位レベルの設備管理データの使い方,上位レベルの設備管理データに対応するクラスと下位レベルの設備管理データに対応するクラスとの組み合わせに対応させて生成される関係インスタンスの名前を含むクラス間関係と、上位レベルの装置に配置されるインスタンスの名前,下位レベルの装置に配置されるインスタンスの名前を含む関係インスタンス毎のインスタンス間関係とをディレクトリサーバ3に格納し、計測機器としてのセンサ2Aが下位レベルの装置若しくは下位レベルの装置との間で信号の入出力を行う通信網4に接続されたときに、下位レベルの装置としての計測機器読取装置5Aが計測機器としてのセンサ2Aが接続されたことを検出し(機能1)、計測機器の種別とシステムとして取り扱う対象設備の情報の項目としての計測機器を接続した目的とを下位レベルの装置としての計測機器読取装置5Aがディレクトリサーバ3に伝送し(機能2)、当該ディレクトリサーバ3が、計測機器の種別とシステムとして取り扱う対象設備の情報の項目としての計測機器を接続した目的とに基づいてクラス情報を参照してインスタンスを生成し(機能3)、インスタンス情報を検索して生成したインスタンスが存在していない場合には登録すると共にクラス間関係を参照して関係インスタンスを生成して登録し(機能4)、生成したインスタンスをインスタンス間関係に基づいて下位レベルの装置や上位レベルの装置に送付し(機能5,機能6)、そして、インスタンス間関係に基づいてインスタンス同士で設備管理データを交換する(機能7,機能8,機能9)ようにしている。
【0039】
(3)本発明におけるプラグアンドプレイ実現方法の概要
本発明のプラグアンドプレイ機能を備えた動的設備管理システムの基本構成を図3に示す。図3における上位レベルと下位レベルとは、図2に示す4階層のシステムアーキテクチャにおけるレベルの上位と下位とに対応・相当する。具体的には例えば、上位レベルがレベル1.5であって下位レベルがレベル1である、のようになる。
【0040】
本発明におけるプラグアンドプレイを実現するシステムを構成する要素は以下の通りである。
i)プラグアンドプレイモジュール(図3中ではPnPと表記)
情報モデルのインスタンスを動的設備管理システムに展開し、設備管理データの管理・処理を可能にする。
ii)ディレクトリサーバ
プラグアンドプレイを実現するために必要なデータを管理する。
iii)情報モデル
設備管理データの管理・処理を行う。
iv)データ更新モジュール
設備管理データを下位レベルの情報モデルから集め、適切な情報モデルに入力する。
【0041】
ここで、以下の説明では、図1に示す装置構成と対応させた図4に示す装置・機能構成によって計測機器としてのセンサ2Aが接続された場合のプラグアンドプレイ実現について説明する。具体的には、計測機器読取装置5Aとして情報端末(具体的には例えば、株式会社東芝製 NCT(Network Computing Terminal の略);センサ信号を直接取り込む装置)が設けられ、データ管理装置7として変電所サーバが設けられ、設備保全アプリケーションサーバ9として保全サーバが設けられている。さらに、ディレクトリサーバ3が通信網8に接続されており、当該通信網8を介してデータ信号や指令信号等の送受信が行われる。なお、ディレクトリサーバ3としては具体的には例えばPCが用いられる。なお、本発明の構成と対比すると、前述の通りデータ管理装置7は第一の装置であり、ディレクトリサーバ3は第二の装置である。
【0042】
(4)プラグアンドプレイモジュール
(4−1)プラグアンドプレイシステムの機能仕様
プラグアンドプレイモジュールは、それ単独で必要な機能を実現するのではなく、複数のプラグアンドプレイモジュール同士、またはディレクトリサービスとの連携によって、情報モデルに基づくソフトウェアモジュールのPnPを実現する。
【0043】
情報モデルとは、電力流通設備やその関連事項をオブジェクト指向に基づいてソフトウェアモジュールの仕様としてまとめられているものである。国際電気標準会議(IEC:International Electrotechnical Committee の略)では、変電所監視制御システムを主な用途として考えられているIEC 61850の情報モデル(IEC:「Communication network and systems for power utility automation − Part7-4: Basic communication structure − Compatible logical node classes and data classes」,IEC 61850-7-4 Ed.2 2009年)や、給電指令所のシステムにおけるAPI(Application Program Interface の略)を対象とした共通情報モデル(IEC:「Energy management system application program interface (EMS-API) − Part 301: Common information model (CIM) base」,IEC 61970-301 Ed.2 2009年)、さらには、共通情報モデルを配電管理の各種業務に適用したIEC 61968(IEC:「System interfaces for distribution management − Part 11: Distribution information exchange model」,IEC 61968-11 INF,2004年)がある。IECにおける情報モデル活用の主目的は相互運用性の確保にある。これに対し、本発明では、オブジェクト指向技術が持つ特長を生かし、機能性と保守性とを確保する目的で情報モデルを利用する。なお、機能性とは「ソフトウェアが、指定された条件の下で広く利用されるときに明示的及び暗示的必要に合致する機能を提供するソフトウェア製品の能力」のこといい、保守性とは「修正のしやすさに関するソフトウェア製品の能力。修正は、是正若しくは向上、又は環境の変化、要求仕様の変更及び機能仕様の変更にソフトウェアを適応させることを含めてもよい」ことをいう(JIS X0129 参照)。これらを踏まえ、本発明の動的設備管理システムでは、情報モデルのオブジェクトがメソッドを提供し、アプリケーションがメソッドを呼び出すことで情報モデルのオブジェクトを利用する(なお、本発明の情報モデルの詳細については後記(6)参照)。このとき、オブジェクトの位置がアプリケーションと同じ装置内にある場合と遠隔の装置にある場合との違いを意識しない仕組みとする。
【0044】
本実施形態では、センサ2Aが計測機器読取装置5Aに接続されたときと取り外されたときとのそれぞれにおける場合を例に挙げて本発明におけるプラグアンドプレイ機能全体の振る舞いを時系列に沿って説明する。
【0045】
より具体的には、本実施形態では、変電所1の遮断器をシステムとして取り扱う対象設備即ち管理対象設備として当該遮断器の通過電流とパレットスイッチ動作信号とを監視し、遮断電流とパレットスイッチ動作回数とを管理する場合を例に取り上げて説明する。
【0046】
i)センサが接続されたときの振る舞い
まず、センサ2Aが計測機器読取装置5Aに接続されたときの振る舞いを以下に説明する。本発明の動的設備管理システムにおけるプラグアンドプレイでは、センサを取り付ける際にセンサ自身の種別・仕様や測定対象(即ち、センサの設置場所)の情報、センサを取り付ける目的などから自動的に情報モデルのオブジェクトを生成・展開する。
【0047】
(ステップ1)
計測機器読取装置5Aにセンサ2Aが計測機器ネットワーク4を介して接続される(図5参照)。図5では、計測機器読取装置5Aが図3の「下位レベル(の装置)」,変電所サーバ7が「上位レベル(の装置)」,ディレクトリサーバ3が「ディレクトリサーバ」にそれぞれ該当する。
【0048】
計測機器読取装置5Aのプラグアンドプレイモジュール5aによってセンサ2Aの取り付けが検出される。その際、プラグアンドプレイモジュール5aに対する入力として、センサ2Aの種別情報が作業者によって与えられる(図5中の符号11)。
【0049】
(ステップ2)
計測機器読取装置5Aのプラグアンドプレイモジュール5aは、ディレクトリサーバ3のプラグアンドプレイモジュール3aに対し、センサ2Aが取り付けられた旨を通知すると共に、当該取り付けられたセンサ2Aの種別,センサの取り付けの目的,センサの設置場所について通知する(図5中の符号12)。ここで、センサの取り付けの目的はクラス間関係を参照して識別される。なお、本実施形態では、センサ2Aの種別はパレットスイッチ,取り付けの目的は遮断器累積動作回数,設置場所は変電所1の遮断器であるとする。なお、本実施形態の説明においては、遮断器のことを「CB」や「CB1」とも表記する。
【0050】
(ステップ3)
ディレクトリサーバ3のプラグアンドプレイモジュール3aは、与えられた情報を元にディレクトリサーバ3内のディレクトリ3bを検索し、必要なクラスファイルを取り出すと共に、当該クラス(情報モデルクラス)からインスタンスを生成する(即ち、インスタンス化を実行する)(図6参照;図中では、「クラス情報」における「生成インスタンス」が、生成されるインスタンスの名前を表す)。なお、本発明の構成と対比すると、図中の「クラス情報」における「クラス名」は、システムとして取り扱う対象設備即ち管理対象設備の情報の項目に該当するものであり、後出のセンサを接続した目的(取付目的:監視項目・計測項目)にも該当する。また、図6においては、実線の楕円は「完全状態」(すなわち、設備管理データの処理を行っている状態)のインスタンスを表し、破線の矢印は設備管理データの流れを示す。
【0051】
この際、取り付けられたセンサ2Aに対応するインスタンスだけでなく、レベルツリーにおいて与えられた目的をルートとするサブツリー(図7の破線部分)に含まれる全てのクラスのインスタンスを生成する。図6に示す例では、<レベル1>に対応するインスタンス「パレットスイッチ1」並びに<レベル2>に対応するインスタンス「CB累積動作回数1」が生成される。そして、プラグアンドプレイモジュール3aは生成したインスタンスの情報をディレクトリサーバ3のディレクトリ3bに登録する。なお、図6中の「インスタンス情報」の「設置場所」(:計測機器の設置場所)では、変電所1を「SSA」と表記し、遮断器を「CB1」と表記し、また、図6中の「クラス情報」の「場所」では、ディレクトリサーバ3を「DB1」と表記している。
【0052】
(ステップ4)
ディレクトリサーバ3のプラグアンドプレイモジュール3aが生成したインスタンスをいずれの計算機に配置するか決定する(図8,図9参照;図中では、「インスタンス情報」における「場所」がインスタンスの配置場所を表す。なお、図8においては、実線の楕円は「完全状態」(すなわち、設備管理データの処理を行っている状態)のインスタンスを表す)。この配置の決定は、例えば、各インスタンスの配置場所として作業者が指定したものをプラグアンドプレイモジュール3aに入力することによって行われる(図9中の符号18)。
【0053】
そして、生成されたインスタンスが、ディレクトリサーバ3のプラグアンドプレイモジュール3aから指定された各計算機のプラグアンドプレイモジュールに配送される。図8及び図9に示す例では、インスタンス「パレットスイッチ1」は計測機器読取装置5A(図8中の「インスタンス情報」の「場所」(:インスタンスの配置場所)では「NCT1」と表記)のプラグアンドプレイモジュール5aに(図9中の符号13)、インスタンス「CB累積動作回数1」は変電所サーバ7(図8中の「インスタンス情報」の「場所」(:インスタンスの配置場所)では「SSA」と表記)のプラグアンドプレイモジュール7aに(図9中の符号14)それぞれ配送される。
【0054】
なお、ディレクトリサーバ3のプラグアンドプレイモジュール3aから計測機器読取装置5Aのプラグアンドプレイモジュール5aや変電所サーバ7のプラグアンドプレイモジュール7aへの各インスタンスの送信は、例えばRMI(Remote Method Invocation の略)を用いて行われる。
【0055】
そして、プラグアンドプレイモジュール3aは、各インスタンスの場所をディレクトリサーバ3のディレクトリ3bに登録する。
【0056】
インスタンスを受け入れたプラグアンドプレイモジュールは、データ更新モジュール(後記(7)参照)に対し、データ更新のために必要な情報(インスタンス間関係(の関係インスタンス)で表されている情報であり、具体的には、データを提供する側のインスタンスとそのgetter及びデータを保存する側のインスタンスとそのsetter)をディレクトリサーバ3内のディレクトリ3bから検索して当該情報を渡す。以降、後記(7)の内容に沿って、管理情報を取り扱うオブジェクトインスタンスのデータが予め設定された周期で或いは状態変化が生じる毎に更新される。なお、本実施形態では、データ更新モジュールは、データ管理装置7や設備保全アプリケーションサーバ9に配置される。
【0057】
図6等に示す構成と本発明の構成とを対比すると、図中の「クラス間関係」における「データ受信側」が上位レベルの設備管理データに対応するクラス名を表すと共に「データ送信側」が上位レベルの設備管理データを生成するために使われる下位レベルの設備管理データに対応するクラス名を表し、「関係の詳細」が上位レベルの設備管理データを生成するための下位レベルの設備管理データの使い方を表し、「生成インスタンス」が上位レベルの設備管理データに対応するクラスと下位レベルの設備管理データに対応するクラスとの組み合わせに対応させて生成される関係インスタンスの名前を表す。また、図中の「インスタンス間関係」における「受信インスタンス名」が上位レベルの装置に配置されるインスタンスの名前を表すと共に「送信インスタンス名」が下位レベルの装置に配置されるインスタンスの名前を表す。
【0058】
また、図6中の「クラス間関係」における「データ送信側」は設備管理データを送る側のクラスのことであり、「データ受信側」は設備管理データを受け取る側のクラスのことである。具体的には、「クラス間関係」の表内3段目「CB累積動作回数算出」では、「パレットスイッチ」クラスからパレットスイッチの状態(ON/OFF)が「CB累積動作回数」クラスに送られることを意味する。また、図6中の「インスタンス間関係」における「送信インスタンス名」は設備管理データを送る側のインスタンスのことであり、「受信インスタンス名」は設備管理データを受け取る側のインスタンスのことである。具体的には、「インスタンス間関係」の表内「CB累積動作回数算出1」では、「パレットスイッチ1」インスタンスから「CB累積動作回数1」インスタンスに送られることを意味する。
【0059】
ii)センサが取り外されたときの振る舞い
次に、センサ2Aが計測機器読取装置5Aから取り外されたときの振る舞いを以下に説明する。
【0060】
(ステップ1)
センサ2Aが取り外されたことが計測機器読取装置5Aのプラグアンドプレイモジュール5aによって検出される。ここで、ディレクトリサーバ3のディレクトリ3b内のインスタンス情報に基づき、取り外されたセンサ2Aに対応するインスタンスが「パレットスイッチ1」であることが識別される(図10中の符号15)。
【0061】
(ステップ2)
計測機器読取装置5Aのプラグアンドプレイモジュール5aは、ディレクトリサーバ3のプラグアンドプレイモジュール3aに対し、センサ2Aが取り外された旨を通知すると共に、当該取り外されたセンサ2Aに対応するインスタンス名と装置名とについて通知する(図11中の符号16)。
【0062】
(ステップ3)
通知を受け取ったディレクトリサーバ3のプラグアンドプレイモジュール3aは、インスタンスによるレベルツリーを検索し、このセンサインスタンスが削除されることによって必要なデータが全て揃わなくなるレベル1.5以上のインスタンスの状態を再帰的に「不完全」状態としてディレクトリ3bに書き込む(図12及び図13参照;なお、図12においては、実線の楕円は「完全状態」(すなわち、設備管理データの処理を行っている状態)のインスタンスを表し、破線の楕円は「不完全状態」のインスタンスを表し、破線の矢印は設備管理データの流れを示す)。
【0063】
(ステップ4)
ディレクトリサーバ3のプラグアンドプレイモジュール3aは、センサインスタンスを有している装置(本実施形態では計測機器読取装置5A)のプラグアンドプレイモジュール(本実施形態では符号5a)に対し、当該センサインスタンスの削除を指示し、指示を受けたプラグアンドプレイモジュールは当該インスタンスを削除する(図14中の符号17)。
【0064】
この仕様により、本発明のシステムでは、一度生成されたレベル1.5以上のインスタンスは、状態が再帰的に「不完全」状態にされるものの、センサを取り外してもシステムから削除はされない。
【0065】
(4−2)各モジュールの機能仕様
上述したように、本発明において実現されるプラグアンドプレイの機能は装置によって異なる。各機能が、いずれの装置で動作するプラグアンドプレイモジュールによって実現されるかを表1に示す。この表1においては、横軸は各装置で動作するプラグアンドプレイモジュールを意味する。
【表1】
【0066】
また、本発明のシステムにおいて表1に記載の各機能を実現する場所を図15に示す。
【0067】
以下に、表1に記載の<機能1>〜<機能14>を以下のように[機能群A]〜[機能群F]に分類し、各プラグアンドプレイモジュールが実現する機能を説明する。
【0068】
i)機能群A
計測機器読取装置5Aのプラグアンドプレイモジュール5aで実現する機能であり、具体的には以下の通りである。
【0069】
<機能1>センサ接続の検出
センサ2A(計測機器)が接続されたことを検出する。
【0070】
<機能10>センサ取り外しの検出
センサ2Aが取り外されたことを検出する。
<機能8>機器監視データの情報モデルインスタンスへの反映
機器監視演算結果を、計測機器読取装置5A(計測機器読取装置)が持つ情報モデルインスタンスに随時反映する。
【0071】
ii)機能群B
ディレクトリサーバ3のプラグアンドプレイモジュール3aで実現する機能であり、具体的には以下の通りである。
【0072】
<機能3>情報モデルインスタンスの生成
次のステップに従って処理を行う。
(ステップ1)
「<機能2>センサ接続の通知」の機能により、計測機器読取装置5Aのプラグアンドプレイモジュール5aから「センサの種別」,「センサを接続した目的(取付目的)」,「監視している主機の名称(センサの設置場所)」が与えられる。
(ステップ2)
ディレクトリサーバ3のディレクトリ3bの「クラス情報」を参照して「センサの種別」及び「センサを接続した目的(取付目的)」に相当する情報モデルクラスを見つけると共に、それらの情報モデルインスタンスを生成する。
(ステップ3)
ディレクトリ3bの「クラス間関係」情報を一覧検索し、「センサを接続した目的(取付目的)」が上位レベルのクラスとなっているエントリを見つけ、そのすべての下位レベルのクラスのオブジェクトインスタンスを生成する。
【0073】
<機能4>情報モデルインスタンス間の関連付け
次のステップに従って処理を行う。
(ステップ1)
ディレクトリサーバ3のディレクトリ3bの「インスタンス情報」を検索し、「<機能3>情報モデルインスタンスの生成」の機能で生成したインスタンスと同一のインスタンスが既存か否かを調べる。そして、既存の場合は<機能3>で生成したインスタンスを削除し、未だ存在していない場合には登録する。
(ステップ2)
<機能3>のステップ3の処理にて見つけたクラス間関係エントリをインスタンス化して(言い換えると、クラス間関係を参照しながら関係インスタンスを生成して)「インスタンス間関係」テーブルに登録する。
【0074】
<機能5>情報モデルインスタンス配送先の指定
本発明のシステムでは、各情報モデルインスタンスの配置先を記載したファイルをディレクトリサーバ3の配置先情報管理部3cに予め置いておき、この内容に応じて情報モデルインスタンスの配送先を決定する。
【0075】
<機能12>関連する情報モデルインスタンスの情報の更新
次のステップに従って処理を行う。
(ステップ1)
ディレクトリサーバ3のディレクトリ3bの「インスタンス間関係」テーブルを検索し、削除するセンサインスタンスが「下位レベル」にあるエントリを見つけ、その上位レベルインスタンスの状態を「不完全」にする。
(ステップ2)
上記で、上位レベルインスタンスが「下位レベル」にあるエントリを見つけ、見つかったらその上位インスタンスを「不完全」にする。これを再帰的に繰り返す。
【0076】
iii)機能群C
変電所サーバ7のプラグアンドプレイモジュール7aと保全サーバ9のプラグアンドプレイモジュール9aとで実現する機能であり、具体的には以下の通りである。
【0077】
<機能9>情報モデルインスタンス間関係の検索→データ更新モジュールへの通知
次のステップに従って処理を行う。
(ステップ1)
ディレクトリサーバ3のディレクトリ3bの「インスタンス間関係」テーブルを検索し、自身が保持している情報モデルインスタンスが「上位レベルのインスタンス」として登録されているエントリを探す。
(ステップ2)
上記ステップ1の条件を満たすエントリが存在する場合、以下の情報をデータ更新モジュールに通知する。
1)下位インスタンスのデータを取得するための下位インスタンスURL及びgetter名
2)下位インスタンスのデータを渡す宛先となる上位インスタンスURL及びsetter名
3)RPC(Remote Procedure Call の略)の方式(例えばRMI)
4)上記RPCの方式に関するパラメータの指定が必要な場合はそのパラメータ
【0078】
以下、20℃換算ガス圧を具体例として説明する。
【0079】
クラス間関係テーブルの情報として表2に示す情報をディレクトリサーバ3のディレクトリ3bに登録しておく。
【表2】
【0080】
このとき、下位レベルのデータから上位レベルのデータを算出するイメージを図16に示す。なお、図16に示される式において、記号「+」は単純な加算を意味するのではなく、20℃換算ガス圧は圧力と温度とから算出されることを意味する。
【0081】
一方、インスタンス間関係テーブルの情報として表3に示す情報をディレクトリサーバ3のディレクトリ3bに登録しておく。なお、表3等において「CB1」は遮断器を表す。
【表3】
【0082】
同じく、インスタンス情報テーブルの情報として表4に示す情報をディレクトリサーバ3のディレクトリ3bに登録しておく。なお、表4中の「XXX」は、高度通信に関するパラメータの指定が必要な場合のそのパラメータを表す。
【表4】
【0083】
上記三つのテーブルの情報から、プラグアンドプレイ機能は表5に示す情報を抽出し、データ更新モジュールに渡す。
【表5】
【0084】
本実施形態のシステムでは、以下の仕様に従う。
1)下位レベルの情報モデルインスタンスからデータを取得するメソッド(getter)の引数は時刻のみとする。そして、getterは引数で渡された時刻以降のデータを返す。
2)下位レベルの情報モデルインスタンスからデータを取得するタイミングはデータ更新モジュールに一任する。
3)上記例のように、下位レベルのデータが複数必要な場合は、それぞれのgetter処理やsetter処理はデータ毎に実行される。
【0085】
iv)機能群D
ディレクトリサーバ3以外のプラグアンドプレイモジュール(即ち、符号5a,7a,9a)で実現する機能であり、具体的には以下の通りである。
【0086】
<機能7>情報モデルインスタンスの外部への公開
ディレクトリサーバ3から送られてきたインスタンスを、外部からメソッド呼出しが可能な状態にする。
【0087】
v)機能群E
プラグアンドプレイモジュール同士の協調によって実現する機能であり、具体的には以下の通りである。
【0088】
<機能2>センサ接続の通知
計測機器読取装置5Aのプラグアンドプレイモジュール5aはディレクトリサーバ3のプラグアンドプレイモジュール3aに対し、「センサの種別」「センサを接続した目的(取付目的)」「監視している主機の名称(センサの設置場所)」の情報を通知する。
<機能6>情報モデルインスタンスの配置
ディレクトリサーバ3のプラグアンドプレイモジュール3aは、指定された配置先のプラグアンドプレイモジュールに情報モデルインスタンスを送付する。
<機能11>センサ取り外しの通知
計測機器読取装置5Aのプラグアンドプレイモジュール5aは、「センサの種別」を引数にディレクトリサーバ3のプラグアンドプレイモジュール3aのメソッドを遠隔呼出しする。
<機能13>該当情報モデルインスタンスの削除
次のステップに従って処理を行う。
(ステップ1)
指示を受けたインスタンスのメソッドを外部から呼び出せない状態にする。
(ステップ2)
ディレクトリサーバ3のプラグアンドプレイモジュール3aが削除の指示を出し、当該指示を受けた計測機器読取装置5のプラグアンドプレイモジュール5aがインスタンスの参照を削除する。また、ガベージコレクションを実行する。
【0089】
vi)機能群F
計測機器読取装置5以外のプラグアンドプレイモジュール(即ち、符号3a,7a,9a)で実現する機能であり、具体的には以下の通りである。
【0090】
<機能14>不完全状態への移行
計測機器読取装置,変電所サーバ,保全サーバにある当該インスタンスを不完全状態に移行させる。不完全状態に移行した前記インスタンスは,データの収集・処理を停止する。なお,前記インスタンス内に保存されているデータの読み出しは可能とする。
【0091】
(5)ディレクトリサービス
ディレクトリサービスはディレクトリサーバ3上で動作するサービスである。設備管理システムで動作するプラグアンドプレイ機能やアプリケーションが必要とする情報を登録/検索/削除する機能を提供する。
【0092】
(5−1)スキーマ
ディレクトリサービスが管理する情報は4種類であり、以下、それぞれのスキーマについて記載する。ここで、スキーマとは、関係データベース(RDB(Relational Database の略)とも表記される)で用いられている定義と同等であり、関係,関係内の属性,属性や関連の定義を指す。
【0093】
i)クラス情報
クラス情報は、情報モデルにおける「クラス」に関する情報を表現する。具体的には例えば表6に示す表形式にてその情報を管理する。なお、表6中の「xxxx」はURLを構成する任意の文字列を表す。
【表6】
【0094】
ここで、本実施形態のシステムでは、「クラス」をJava(登録商標)のクラスで実現する。表6の各項目の意味は次の通りである。
1)クラス名(key) :クラスの名前
2)項目名 :保全データ項目の名前
3)URL :クラスファイルが保管されている場所としてのURL
4)インスタンス名一覧:そのクラスから生成されたインスタンスの名称の一覧
【0095】
なお、クラス情報について、クラス名は設備管理システムのオブジェクトのクラスファイル名から得られ、項目名はクラスファイルに保存されている情報から得られ,場所としてのURLは当該クラスファイルが保存されているURLから得られ、インスタンス名一覧は当該クラスからインスタンスが生成される度に追加される。そして、クラス名と場所とは、クラスファイルが保存されたことを検出して自動生成するか、或いは作業者が直接入力して与える。また、インスタンス名一覧はインスタンス生成処理の中で追加される。
【0096】
ii)クラス間関係
クラス間関係は、上位レベルの設備保全データを生成するために下位レベルの設備保全データをどのように使うかを表現する。具体的には例えば表7に示す表形式にてその情報を管理する。なお、表7における「上位レベルの設備保全データを計算するための関数」の例はsetterメソッド名であり、実際の設備保全データの演算はsetterメソッド内で実行する。
【表7】
【0097】
また、クラス間の関係は数式1として捉えることができる。ただし、yは上位レベルの設備保全データを、(x1,x2,x3,…)は下位レベルの設備保全データを、fは上位レベルの設備保全データを計算するための関数をそれぞれ意味する。そして、数式1は、上位レベルの設備保全データと下位レベルの設備保全データとはそれぞれ複数入力,複数出力があり得ることを意味する。
(数式1) y=f(x1,x2,x3,…)
【0098】
数式1に照らし合わせて、表7の各項目の意味は次の通りである。
1)クラス間関係名(key) :クラス間関係の名前
2)上位レベルの設備保全データの一覧 :y
3)下位レベルの設備保全データの一覧 :x1,x2,x3,…
4)上位レベルの設備保全データを計算するための関数:f
【0099】
これらの情報から導出される関係式は図17に示す通りである。なお、図17に示される式において、記号「+」は単純な加算を意味するのではなく、20℃換算ガス圧は圧力と温度とから算出されることを意味する。
【0100】
iii)インスタンス情報
インスタンス情報は、情報モデルにおける「インスタンス」に関する情報を表現する。具体的には例えば表8に示す表形式にてその情報を管理する。なお、表8中の「xxx」は任意の文字列を表す。
【表8】
【0101】
ここで、本実施形態の設備保全システムでは、「インスタンス」をJava(登録商標)のインスタンスで実現する。表8の各項目の意味は次の通りである。
1)インスタンス名(key) :インスタンスの名前
2)URL :インスタンスが保管されている場所としてのURL
3)監視対象機器名 :監視している主機(ここでは遮断器)を特定する名称
(即ち、計測機器の設置場所)
4)クラス名 :元になったクラスの名前
5)完全/不完全 :自身の下位レベルにある設備保全データが全て揃ってい
る場合か否かの区別
6)参照アプリケーション名一覧:
当該インスタンスを参照しているアプリケーションの名称の一覧
7)RPC方式:
当該情報モデルインスタンスのメソッドを遠隔呼出しする方式がRMIや他の方式
のいずれの方式であるかの指定
8)RPC方式パラメータ:
遠隔メソッド呼出しの方式によってパラメータの指定が必要である場合の、通信機
能に渡すパラメータ
【0102】
iv)インスタンス間関係
インスタンス間関係(の関係インスタンス)は、インスタンス同士で実際にデータを交換する方法を表現する。具体的には例えば表9に示す表形式にてその情報を管理する。
【表9】
【0103】
表9の各項目の意味は次の通りである。
1)インスタンス間関係名(key) :インスタンス間関係(関係インスタンス)の名前
2)クラス間関係名 :クラス間関係(関係クラス)の名前
3)上位レベルのインスタンス一覧:設備保全データを受信する全インスタンスの名前
4)下位レベルのインスタンス一覧:設備保全データを送信する全インスタンスの名前
【0104】
このインスタンス間関係及びそこに関連づけされているクラス間関係から導出される関係式は図18に示す通りである。なお、図18に示される式において、記号「+」は単純な加算を意味するのではなく、20℃換算ガス圧は圧力と温度とから算出されることを意味する。
【0105】
(5−2)サービス
設備管理システムで動作するプラグアンドプレイ機能やアプリケーションに対して提供されるサービスは次の4つである。
【0106】
i)データ登録
上記(5−1)で説明した4つのスキーマ情報それぞれを登録する機能である。
【0107】
ii)データ検索
上記(5−1)で説明した4つのスキーマ情報それぞれを検索する機能である。
【0108】
iii)全データ取得
上記(5−1)で説明した4つのスキーマ情報それぞれで、ディレクトリサービスが有する全ての情報を返す機能である。
【0109】
iv)データ削除
上記(5−1)で説明した4つのスキーマ情報それぞれで、情報を削除する機能である。
【0110】
(6)情報モデル
保全情報を扱う情報モデルは、システムアーキテクチャで示した階層毎にIEC 61850の情報モデルと、共通情報モデル(CIM:Common Information Model の略)とを使い分ける。具体的には、レベル1及びレベル1.5においてはIEC 61850の情報モデルを用い、レベル2及びレベル3においては共通情報モデルを用いる。
【0111】
なお、規格で定められたインタフェース(例えば、IEC 61850であればACSI:Abstract Communication Service Interface の略)又は独自に定義したメソッドを利用する。
【0112】
独自に定義したメソッドについて、具体的には、共通データクラスの配列を用いて測定値を運び、メソッド名を用いて監視項目を指定する。IEC 61850をベースとした情報モデルに関しては、一つの論理ノードをレベル別クラス/インタフェース/実装クラスの三つにて構成する。その一例として、遮断器の診断を行う論理ノードであるSCBR(遮断器の接点損耗率等の処理を担う情報モデル)に対応するオブジェクトクラスの定義を図19に示す。SCBRを実現するため、LV1_5,SCBR_IF,SCBRImplの三つのオブジェクトクラスを用いる。それぞれが、レベル別クラス,インタフェース,実装クラスに対応する。
【0113】
<LV1_5>は、レベル1.5に配置される全ての論理ノードが有する特性を定義したオブジェクトクラスである。具体的には、レベルl.5に配置される論理ノードにおいて、設備保全データの加工(例えば、遮断器の接点損耗率の演算)を行うcalculateDataメソッドを、仮想メソッドとして用意する。仮想メソッドとは、上位のクラスにおいて処理の実体は定義せず、このクラスから派生したクラスにおいて同じ名前のメソッドの処理を定義しておき、呼出し側からは上位のクラスに対するメソッド呼出しにて派生クラスのメソッドを呼び出すことを可能とするオブジェクト指向技術の機能である。
【0114】
<SCBR_IF>は、外部のソフトウェアモジュールからアクセス可能なメソッドを定義する。ここで、外部のソフトウェアモジュールとは、異なるレベルに位置する情報モデルやデータ更新モジュール等を指す。SCBRを用いた接点損耗率監視の場合には、例えば、設備保全データを外部のソフトウェアモジュールに提供するgetterを3種類、外部からのデータを登録するためのsetterを3種類用意する。呼出し側から見た機能は以下の通りである。
【0115】
<getter>
パラメータとして時刻を指定する。各メソッドでは、この時刻以降の設備保全データを返す。設備保全データは時刻順の配列である。設備保全データの型は該当する共通データクラスである。
1)getActAbrCoef:接点損耗率の値を取得する。
2)getPos :開閉装置の位置(具体的には、投入・開放・切換中)を取得する。
3)getTripA :遮断電流の値を取得する。
【0116】
<setter>
パラメータとして、保存すべき設備保全データの配列を指定する。保存した設備保全データの中で最も新しいものの時刻を返す。
1)setACon:A接点のデータを保存する。
なお、A接点は、遮断器が投入されているときにONとなる接点である。
2)setBCon:B接点のデータを保存する。
なお、B接点は、遮断器が開放されているときにONとなる接点である。
3)setTripA:遮断電流の瞬時値を保存する。
【0117】
なお、<SCBR_IF>は、インタフェースであるため、具体的な処理手順は持たない。
【0118】
<LV1_5>と<SCBR_IF>とで定められたメソッドの具体的な処理手順を定めるのが実装クラスである<SCBRImpl>である。すなわち、実装クラスは、<LV1_5>を継承して<SCBR_IF>を実装する関係にある。もし、異なる処理方法を定めたり併用したりする場合には、<LV1_5>を継承して<SCBR_IF>を実装する別のオブジェクトクラス(例えば<SCBRImpl2>)を定義することも可能である。この場合でも,外部ソフトウェアモジュールからは<SCBR_IF>として見ているので、外部ソフトウェアモジュールの修正は不要である。
【0119】
(7)データ更新モジュール
本発明のプラグアンドプレイ機能では、ポーリング方式に基づいて設備管理データを収集する。この収集処理を担うのがデータ更新モジュールである。ポーリング方式は、設定が簡潔であり、具体的には、データ更新モジュールが収集すべきデータを保持するオブジェクトとそれを格納すべきオブジェクトとを把握していれば良いので一元管理が可能である。なお、ポーリング方式は周期的にデータ収集を行うので状態変化に対する即応性はないものの、演算の結果得られるデータに基づいて管理作業等の決定を行う用途であればこの即応性を強く求められるものではないので大きな問題とはならない。また、データ更新モジュールは、4階層のシステムアーキテクチャにおける<レベル1.5>以上の全てのレベルに格納される。
【0120】
データ更新モジュールの内部構成を図20に示す。データ更新モジュールは以下の三つの様相から構成される。
【0121】
i)インスタンス間関係管理
インスタンス間関係管理では、いずれの情報モデルから情報を集め、どこに保存するかという関係をリスト構造にて管理する(上述の(5)ディレクトリサーバにおけるインスタンス間関係を参照)。インスタンス間関係(の関係インスタンス)としては、以下の情報を全て文字列として保存する(コロンの右側はデータ例)。
情報源クラス名 :dam61850.logicalnode.l.TCTR
情報源インスタンスURL:TCTR1
getterメソッド名 :getAmdSv
保存先クラス名 :dam61850.logicalnode.s.SCBR
保存先インスタンス名 :SCBR1
setterメソッド名 :setTripA
setterパラメータクラス名:dam61850.cdc.SAV
【0122】
なお、TCTR,SCBR,SAVはいずれもIEC 61850による国際規格である。各々の概要は、TCTRは、電流センサに相当するオブジェクトであり、電流のサンプリング値等を管理・提供する機能を備える。SCBRは、遮断器の保守情報全般を管理するオブジェクトであり、本実施形態の場合には接点損耗率の値を処理・管理・提供する機能を備える。また、SAVはサンプリングデータを表すデータタイプであり、TCTRにおける電流のサンプリング値はこのSAVを用いて表される。
【0123】
ii)getter呼出し時刻管理
getter呼出し時刻管理では、情報源インスタンスURLとgetterメソッド名とを併せた文字列をキーとし、対応する時刻を一対にして管理する。時刻は、保存先インスタンスのsetterメソッドが返す値とする。これにより、下位レベルから収集すべきデータの時間範囲が特定可能となる。
【0124】
iii)収集スレッド
収集スレッドは設備管理データの収集と保存とを担う。この処理フローをUML(Unified Modeling Language の略)のアクティビティ図を用いて図21に示す。なお、UMLとは、ソフトウェアの設計結果を表すための表記法であり、オブジェクト指向技術の業界標準を作成する団体であるOMG(Object Management Group の略)によって定められており、ソフトウェアの分野では広く利用されている。
【0125】
収集スレッドによる設備管理データの収集と保存とに係る処理内容は以下の通りである。まず、インスタンス間関係リストの先頭を参照し(S1)、次のインスタンス間関係が存在するか否かを判定する(S2)。そして、次のインスタンス間関係が存在する場合には(S2:Y)、当該次のインスタンス間関係のデータを取得する(S3)。
【0126】
そして、S3の処理において取得したインスタンス間関係のデータを基に情報源インスタンスの getter を呼出し、設備管理データを取得する(S5)。このとき、getter を呼び出す際には、getter呼出し時刻管理から取得済みの最新データの(言い換えると、対応する)getter呼出し時刻を取得し、これをgetterメソッドのパラメータに指定する(S4)。なお、インスタンス間関係データは全て文字列であるので、この情報に基づいてメソッドを呼び出す仕組みを収集スレッドは備える。具体的には例えば、リフレクションを用いてこの仕組みを実現することが考えられる。リフレクションとは、プログラムの実行過程でプログラム自身の構造を読み取ったり書き換えたりする技術である。すなわち、メソッドの名前(具体的には文字列)からプログラム上の参照データを取得すること等ができる。なお、リフレクションをサポートする言語としては、Java(登録商標),C#,Perl,Objective−C等が存在する。
【0127】
S5の処理において取得された設備管理データは、インスタンス間関係に示された保存先インスタンスにsetterメソッドの呼出しを通じて保存する(S6)。setterメソッドの戻り値として受け取った時刻は、getter呼出し時刻管理の、対応するgetter呼出し時刻の更新に用いる(S7)。インスタンス間関係管理に保存されているデータ毎に上記の処理を繰り返して実行する(S1,S2:Y,S3〜S7)。なお、S7の処理からS2の処理に戻る毎に、インスタンス間関係リストにおけるS2の処理対象を一つずつ次に進める。
【0128】
そして、すべてのデータに関する処理が終了してインスタンス間関係リストに次のインスタンス間関係が存在しない場合には(S2:N)、保存先インスタンスにおいて設備管理データの加工(例えば、遮断器の接点損耗率の演算)を行うために保存先インスタンスのcalculateDataメソッドを呼び出す(S8)。その後、最初のインスタンス間関係に戻って処理を再開する(S1〜)。
【0129】
なお、インスタンス間関係管理のデータが途中で更新されたときは、修正後のデータに従って収集スレッドによる処理が行われる。
【0130】
以上のように構成された本発明の動的設備管理システムによれば、ディレクトリサーバ3が計測機器の種別などに基づいてインスタンスを自動的に生成して当該生成インスタンスに係るインスタンス間関係をディレクトリサーバ3に登録するようにしているので、システムとして取り扱う対象設備即ち管理対象設備への各種計測機器の取り付けや取り外しに際し、関連するソフトウェアがシステム内で自動的に設定され、状態監視を迅速且つ簡便に開始することができる。
【0131】
また、本発明の動的設備管理システムによれば、インスタンス間関係のデータを全て文字列にすることによってクラス及びメソッドの名称だけを通知すればデータ更新モジュールが対応することができるようになっているので、新たな計測機器が接続されて新たなクラスがシステムに導入された場合でも、データ更新モジュールを修正する必要がなく、また、システムを停止する必要もないという利点を有する。
【0132】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述の実施形態では電力流通設備である変電所の遮断器をシステムとして取り扱う対象設備即ち管理対象設備とし当該遮断器の通過電流とパレットスイッチ動作信号とを計測機器(センサ)によって計測して遮断電流とパレットスイッチ動作回数とを管理する場合を例に取り上げて説明したが、システムが取り扱う対象設備や計測機器の種類は上述の実施形態のものに限られず、例えばガス絶縁開閉装置をシステムが取り扱う対象設備としても良いし、例えば電流計,電圧計,油圧計,ガス圧計,温度計を計測機器としても良い。さらに言えば、システムが取り扱う対象設備は電力流通設備でなくても良い。なお、上述の実施形態ではシステムが取り扱う対象設備として電力流通設備をとりあげているのでIEC 61850のオブジェクトクラスを利用するようにしているが、電力流通設備以外に本発明を適用する場合には例えば独自に定義したオブジェクトクラスを用いるようにする。
【0133】
また、上述の実施形態ではディレクトリサーバ3と保全サーバ9とを機器構成として別体のものであるように表したが、ディレクトリサーバと保全サーバとを機器構成として一体のものとしても良い。具体的には例えば一台のPCによって両者を構成するようにしても良い。
【符号の説明】
【0134】
1A 管理対象設備(遮断器)
2A 計測機器(センサ)
3 第二の装置(ディレクトリサーバ)
3b ディレクトリ
5A 計測機器読取装置
7 第一の装置(データ管理装置)
8 通信網
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムとして取り扱う対象設備の情報を取得する計測機器との間で信号の入出力を行う計測機器読取装置と、当該計測機器読取装置との間で信号の入出力を行う第一の装置と、ソフトウェアの集合を有すると共に前記第一の装置との間で信号の入出力を行う第二の装置とを備え、前記計測機器が前記計測機器読取装置に接続されたときに、前記計測機器の情報を元にシステムに必要となるソフトウェアを前記第二の装置が決定し、当該ソフトウェアを前記第二の装置から前記第一の装置と前記計測機器読取装置とに送付することを特徴とする動的設備管理システム。
【請求項2】
システムとして取り扱う対象設備の情報を取得する計測機器と、当該計測機器と直接若しくは通信網を介して信号の入出力を行う下位レベルの装置と、当該下位レベルの装置と直接若しくは通信網を介して信号の入出力を行う上位レベルの装置と、前記下位レベルの装置及び前記上位レベルの装置との間で信号の入出力を行うサーバとを備え、前記計測機器によって取得される前記システムとして取り扱う対象設備の情報の項目(以下、クラス名という),当該クラスに対応させて生成されるインスタンスの名前を含むクラス毎のクラス情報と、前記インスタンスの名前,前記インスタンスの配置場所,前記クラス名を含むインスタンス毎のインスタンス情報と、上位レベルの設備管理データに対応するクラス名,前記上位レベルの設備管理データを生成するために使われる下位レベルの設備管理データに対応するクラス名,前記上位レベルの設備管理データを生成するための前記下位レベルの設備管理データの使い方,前記上位レベルの設備管理データに対応するクラスと前記下位レベルの設備管理データに対応するクラスとの組み合わせに対応させて生成される関係インスタンスの名前を含むクラス間関係と、前記上位レベルの装置に配置される前記インスタンスの名前,前記下位レベルの装置に配置される前記インスタンスの名前を含む前記関係インスタンス毎のインスタンス間関係とを前記サーバに格納し、前記計測機器が前記下位レベルの装置若しくは前記下位レベルの装置との間で信号の入出力を行う通信網に接続されたときに、前記計測機器の種別と前記システムとして取り扱う対象設備の情報の項目としての前記計測機器を接続した目的とを前記下位レベルの装置が前記サーバに伝送し、当該サーバが、前記計測機器の種別と前記システムとして取り扱う対象設備の情報の項目としての計測機器を接続した目的とに基づいて前記クラス情報を参照してインスタンスを生成し、前記インスタンス情報を検索して前記生成したインスタンスが存在していない場合には登録すると共に前記クラス間関係を参照して関係インスタンスを生成して登録し、前記生成したインスタンスを前記インスタンス間関係に基づいて前記下位レベルの装置や前記上位レベルの装置に送付し、そして、前記インスタンス間関係に基づいて前記インスタンス同士で前記設備管理データを交換することを特徴とする動的設備管理システム。
【請求項3】
前記関係インスタンスのデータが全て文字列であることを特徴とする請求項2記載の動的設備管理システム。
【請求項4】
前記システムとして取り扱う対象設備が変電所の遮断器であると共に、前記計測機器が前記遮断器の通過電流とパレットスイッチ動作信号とを前記情報として取得するセンサであることを特徴とする請求項2記載の動的設備管理システム。
【請求項1】
システムとして取り扱う対象設備の情報を取得する計測機器との間で信号の入出力を行う計測機器読取装置と、当該計測機器読取装置との間で信号の入出力を行う第一の装置と、ソフトウェアの集合を有すると共に前記第一の装置との間で信号の入出力を行う第二の装置とを備え、前記計測機器が前記計測機器読取装置に接続されたときに、前記計測機器の情報を元にシステムに必要となるソフトウェアを前記第二の装置が決定し、当該ソフトウェアを前記第二の装置から前記第一の装置と前記計測機器読取装置とに送付することを特徴とする動的設備管理システム。
【請求項2】
システムとして取り扱う対象設備の情報を取得する計測機器と、当該計測機器と直接若しくは通信網を介して信号の入出力を行う下位レベルの装置と、当該下位レベルの装置と直接若しくは通信網を介して信号の入出力を行う上位レベルの装置と、前記下位レベルの装置及び前記上位レベルの装置との間で信号の入出力を行うサーバとを備え、前記計測機器によって取得される前記システムとして取り扱う対象設備の情報の項目(以下、クラス名という),当該クラスに対応させて生成されるインスタンスの名前を含むクラス毎のクラス情報と、前記インスタンスの名前,前記インスタンスの配置場所,前記クラス名を含むインスタンス毎のインスタンス情報と、上位レベルの設備管理データに対応するクラス名,前記上位レベルの設備管理データを生成するために使われる下位レベルの設備管理データに対応するクラス名,前記上位レベルの設備管理データを生成するための前記下位レベルの設備管理データの使い方,前記上位レベルの設備管理データに対応するクラスと前記下位レベルの設備管理データに対応するクラスとの組み合わせに対応させて生成される関係インスタンスの名前を含むクラス間関係と、前記上位レベルの装置に配置される前記インスタンスの名前,前記下位レベルの装置に配置される前記インスタンスの名前を含む前記関係インスタンス毎のインスタンス間関係とを前記サーバに格納し、前記計測機器が前記下位レベルの装置若しくは前記下位レベルの装置との間で信号の入出力を行う通信網に接続されたときに、前記計測機器の種別と前記システムとして取り扱う対象設備の情報の項目としての前記計測機器を接続した目的とを前記下位レベルの装置が前記サーバに伝送し、当該サーバが、前記計測機器の種別と前記システムとして取り扱う対象設備の情報の項目としての計測機器を接続した目的とに基づいて前記クラス情報を参照してインスタンスを生成し、前記インスタンス情報を検索して前記生成したインスタンスが存在していない場合には登録すると共に前記クラス間関係を参照して関係インスタンスを生成して登録し、前記生成したインスタンスを前記インスタンス間関係に基づいて前記下位レベルの装置や前記上位レベルの装置に送付し、そして、前記インスタンス間関係に基づいて前記インスタンス同士で前記設備管理データを交換することを特徴とする動的設備管理システム。
【請求項3】
前記関係インスタンスのデータが全て文字列であることを特徴とする請求項2記載の動的設備管理システム。
【請求項4】
前記システムとして取り扱う対象設備が変電所の遮断器であると共に、前記計測機器が前記遮断器の通過電流とパレットスイッチ動作信号とを前記情報として取得するセンサであることを特徴とする請求項2記載の動的設備管理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図21】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図21】
【図20】
【公開番号】特開2013−20571(P2013−20571A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155476(P2011−155476)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
【出願人】(000173809)一般財団法人電力中央研究所 (1,040)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
【出願人】(000173809)一般財団法人電力中央研究所 (1,040)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
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